JP2004346559A - 目地部材 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、簡易な構造で、且つ、ひび割れを確実に化粧目地部に生じさせることができる目地部材を実現することを目的とする。
【解決手段】コンクリートの打設時に誘発目地を形成するための目地部材1であって、基端部2と剛性を有する断面欠損部3とを有し、打設する前記コンクリートの表面から露出する露出面を基端部2に備える。
【選択図】 図1
【解決手段】コンクリートの打設時に誘発目地を形成するための目地部材1であって、基端部2と剛性を有する断面欠損部3とを有し、打設する前記コンクリートの表面から露出する露出面を基端部2に備える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートの打設時の誘発目地の形成に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造用鉄筋(主鉄筋、配力鉄筋等)を包含するコンクリート構造物の形成に於いて、コンクリート構造物にひび割れが発生することがあるが、特に、打設したコンクリートが硬化する際にひび割れが発生する。このようなひび割れから水が内部に浸入すると、構造用鉄筋が腐蝕して、コンクリート構造物の機能及び耐久性の低下を引き起こすこととなる。特に、水路の壁構造物や、地中壁など、止水すべきコンクリート構造物に対してはこのような水の浸入を防止する必要がある。このため、コンクリートのひび割れに対する対策として、誘発目地を設ける方法がある。この方法は、ひび割れをコンクリート構造物の特定の箇所に誘導して発生させると共に、当該箇所の内部にゴム等の止水部材を配置することで、ひび割れの発生を許容しつつ、止水効果も高めるものである。
【0003】
従来、ひび割れを誘導するために、例えば、構造用鉄筋を包含するように打設したコンクリート構造物の表面側に化粧目地部(溝部)を設けると共に、この化粧目地部と構造用鉄筋との間に板部材等からなる断面欠損用部材を埋設するコンクリートの目地構造がある(例えば、特許文献1参照)。この断面欠損用部材は、化粧目地部に向かって延出するように結束線によって構造用鉄筋に縛りつけられている。これにより断面積縮小部を形成しひび割れを誘発させる。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−207774号公報([0014]段落〜[0027]段落)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の誘発目地構造では、一方の断面欠損用部材を内部の構造用鉄筋に設けておき、他方の目地部材をコンクリート打設用の型枠に設ける。このように夫々の部材が別々に位置決めされるため、主鉄筋の位置関係等から、構造用鉄筋に固定される断面欠損用部材の基端部に対する位置決めが容易ではない。このため、コンクリートの打設時に断面欠損部材と目地部材との間で位置ずれが生じることがあり、これによって、ひび割れが化粧目地部とは離れた場所に発生する場合があった。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造で、且つ、ひび割れを確実に化粧目地部に生じさせることができる目地部材を実現する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔特徴構成1〕
この目的を達成するための本発明に係る目地部材の第一特徴構成は、請求項1に記載した如く、コンクリートの打設時に誘発目地を形成するための目地部材であって、基端部と剛性を有する断面欠損部とを有し、打設する前記コンクリートの表面から露出する露出面を前記基端部に備えた点にある。
【0008】
ここで、基端部に備えた露出面とは、コンクリートを打設した状態で、コンクリートと接しない面を言う。即ち、型枠に設置する際に、型枠側に対向させる面が当該露出面となる。
【0009】
例えば、化粧目地部を形成する目地部材を型枠に固定し、断面欠損部材を構造用鉄筋に固定する従来の場合には、目地部材及び断面欠損部材の位置ずれを防止するのは困難であり、ひび割れをコンクリート構造物の内部からコンクリート表面側の化粧目地部に誘導するため、ひび割れが化粧目地部から離れた位置に発生することが起り得る。従って、本特徴構成の如く、目地部材を基端部と剛性を有する断面欠損部とを有する構成にしてあれば、ひび割れをコンクリート表面側から発生させることができる。コンクリート表面の化粧目地部よりひび割れを誘導するため、ひび割れが化粧目地部から離れた部位に発生するのを防止できる。また、コンクリート表面に基端部、内方に断面欠損部を一体に構成するから、両者間の位置ずれが生じ得ず、基端部及び断面欠損部の位置決めにかかる手間も省力化できる。
【0010】
更に、本特徴構成の如く、断面欠損部を剛性を有する部材で構成することにより、コンクリートの打設時に、断面欠損部材が変形したり湾曲したりするのを防止し、断面欠損部材を所期の位置姿勢に確実に固定して意図しない部位にひび割れが生じるのを有効に防止することができる。
【0011】
従って、基端部と剛性を有する断面欠損部とを有する構成にすることにより、コンクリート構造物の形成を容易にし、且つ、ひび割れを適切に誘導することが可能な目地部材を簡易な構造で実現することができる。また、これによって、止水対策等を適切に施すことが可能になるので、構造用鉄筋の腐蝕や、コンクリートの機能及び耐久性の低下をより有効に防止することができる。
【0012】
〔特徴構成2〕
同第二特徴構成は、請求項2に記載した如く、前記断面欠損部が板状部材で構成され、前記基端部から分離可能に構成されている点にある。
【0013】
本特徴構成の如く、断面欠損部を板状部材で構成すれば、簡単な構成でありながら、コンクリート構造物の望む箇所に断面欠損部を確実に形成することができる。
【0014】
また、本特徴構成の如く、基端部及び断面欠損部を分離可能に構成すれば、コンクリートの打設後に少なくとも基端部を化粧目地部から取除くことができる。コンクリート構造物には、目地材として、特定の材質の仕上げ材を使用するように定められているものもある。例えば、下水道の壁部を構築する場合には、目地部に耐薬品性を有する目地材を充填することが求められる。そこで、断面欠損部と基端部とを分離可能に構成し、化粧目地部から基端部を取除いて任意の仕上げ材を充填する構成にすれば、各種の仕様に応じたコンクリート構造物を形成することができる。
【0015】
また、基端部をコンクリート構造物から取除くため、他のコンクリート構造物を形成する際に当該基端部を再利用することができる。断面欠損部についても、基端部と同様に取除かれる場合には、再利用することができる。また、基端部と断面欠損部とを別部材で構成するので、基端部及び断面欠損部の形状を任意に設定できると共に、これらの形成を容易にすることができる。
【0016】
〔特徴構成3〕
同第三特徴構成は、請求項3に記載した如く、前記断面欠損部の表面にゴム層を形成してある点にある。
【0017】
即ち、本特徴構成によれば、断面欠損部をコンクリート構造物中に残す場合に、断面欠損部の表面に止水効果を持つゴム層を形成し、断面欠損部とコンクリートとの間にゴム層を設けることで、止水機能を高めることができる。つまり、コンクリートは硬化する際に収縮するので、硬化に伴って断面欠損部の表面とコンクリートとの間に隙間が生じることも考えられる。しかし、断面欠損部の表面にゴム層を形成しておけば、ゴム層がコンクリートの硬化時にイオン結合によりコンクリートと密着し、隙間が生じるのを有効に防止することができる。これにより、構造用鉄筋の腐蝕や、構造物の機能及び耐久性の低下等をより効果的に防止することができる。
【0018】
〔特徴構成4〕
同第四特徴構成は、請求項4に記載した如く、前記基端部の表面にゴム層を設けてあり、前記基端部のゴム層が、前記露出面から離間した位置に形成してある点にある。
【0019】
断面欠損部をコンクリート構造物中に残す場合に、基端部についても止水効果を持つ非加硫ブチルゴム製のゴム層で被覆し、ひび割れに対する止水機能を持たせる構成にすることにより、止水効果を高めることができ、構造用鉄筋の腐蝕や、構造物の機能及び耐久性の低下等を防止することができる。尚、基端部のコンクリート構造物と接する面全体をゴム層で被覆し、コンクリート構造物の表面にゴム層が露出した状態であると、コンクリート構造物の美感を損なうこととなる。従って、コンクリート構造物の表面に露出しない状態にゴム層を形成することにより、止水機能を高めつつ、美感に優れたコンクリート構造物の誘発目地を形成することができる。
【0020】
〔特徴構成5〕
同第五特徴構成は、請求項5に記載した如く、前記基端部の外面のうち、前記コンクリートに埋設する外面の少なくとも一部に当該基端部が前記コンクリートから抜出るのを防止する抜出抵抗部を備える点にある。
【0021】
ここで、基端部が前記コンクリートから抜出るのを防止する抜出抵抗部を備える構造としては、基端部を略テーパ状(基端部の長手方向に垂直な断面が台形状の四角柱等)に形成する構造等が考えられる(台形の上底を構成する面がコンクリート表面側に来るように配置する)。基端部を目地の仕上げ材としてそのまま利用する場合には、脱枠時に基端部がコンクリート構造物から容易に抜出ない本構成にすると、確実に目地を形成できると共に、コンクリート構造物の形成にかかる手間を省力化することができる。
【0022】
〔特徴構成6〕
同第六特徴構成は、請求項6に記載した如く、前記断面欠損部の表面に凹凸部を形成してある点にある。
【0023】
断面欠損部をコンクリート構造物中に残す場合には、特に、本特徴構成の如く、断面欠損部の表面に凹凸部を形成すれば、断面欠損部とコンクリートとの間の付着力が増し、コンクリート用の型枠を外す時などに断面欠損部が抜け出るのをより効果的に防止することができ、コンクリート構造物の形成にかかる手間を省力化することができる。また、例えば、凹凸部をコンクリート構造物の表面に対して平行に延出するように形成することにより、水がコンクリートと断面欠損部の境界をコンクリートの内部に浸入しようとする時に、その浸入経路長を伸ばすことができるため、止水機能を向上させ、構造用鉄筋の腐蝕、コンクリート構造物の機能及び耐久性の低下をより効果的に防止することができる。
【0024】
〔特徴構成7〕
同第七特徴構成は、請求項7に記載した如く、前記断面欠損部を被覆する鞘状部材を設けてある点にある。
【0025】
例えば、目地の仕上げ材の材質が限られる場合など、基端部及び断面欠損部をコンクリート構造物から取除く必要がある場合、本特徴構成の如く、断面欠損部を被覆する鞘状部材を設けることにより、断面欠損部が直接コンクリートと接しないので、コンクリート硬化後、断面欠損部を容易に取除くことができ、コンクリート構造物の形成にかかる手間を省力化することができる。
【0026】
また、鞘状部材をブチルゴム等の止水機能を有する物質で形成することにより、コンクリート構造物の止水機能を高めることができ、構造用鉄筋の腐蝕、コンクリート構造物の機能及び耐久性の低下をより効果的に防止できる。
【0027】
〔特徴構成8〕
同第八特徴構成は、請求項8に記載した如く、前記断面欠損部が互いに重なり合う2枚の板状部材からなる点にある。
【0028】
例えば、目地の仕上げ材の材質が限られる場合など、基端部及び断面欠損部をコンクリート構造物から取除く必要がある場合、断面欠損部を1枚の板状部材で構成すると、板状部材をコンクリート構造物より取除く際に、板状部材の両面にコンクリート構造物からの力(付着力、摩擦力等)を受けることとなり、容易には板状部材を取除くことができない虞がある。
【0029】
従って、本特徴構成の如く、2枚の板状部材を用いることにより、夫々の板状部材の片面づつにコンクリートとの付着力等を分担させることで、板状部材を取除き易くすることができる。これにより、板状部材を取除く際の手間を省力化し、コンクリート構造物の形成を容易にすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明に係る目地部材の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0031】
本発明に係る目地部材1について図1及び図2を基に説明する。ここで、図1は、本発明に係る目地部材1を適用して形成されるコンクリート構造物の斜視図であり、図2は、コンクリート打設時の型枠4及び目地部材1、構造用鉄筋5、止水板6等の位置関係を表した水平方向の断面図である。
【0032】
図1及び図2に示すように、型枠4の内側には、基端部2と断面欠損部3とを有する目地部材1、構造用鉄筋5、止水板6等を設置する。
【0033】
型枠4の内側には、構造用鉄筋5である主鉄筋5aと配力鉄筋5bとが設置されている。ここで、本実施形態では、主鉄筋5aは、コンクリート構造物の表面と平行な面上に軸芯が鉛直方向に沿って設置されている。配力鉄筋5bは、主鉄筋5aと直行し、且つ、水平方向となるように主鉄筋5aの外側に固定されている。尚、本発明に係る目地部材を適用するコンクリート構造物の主鉄筋5a、配力鉄筋5bの構造はこれらに限られるものではない。配力鉄筋5bの目地部材1の断面欠損部3に対応する位置には、止水効果を高めるためにブチルゴム等で形成された止水板6を設置してもよい。
【0034】
また、配力鉄筋5bの更に内側には、断面欠損率を大きくするために、亜鉛メッキ鋼板やブチルゴム等で形成された止水板などで構成する断面欠損板(以下、「欠損板」と称する)9を設置してもよい。
【0035】
〔第一実施形態〕
次に、目地部材1の第一実施形態について、図3を基に説明する。ここで、図3はコンクリート構造物の水平方向の断面図である。本実施形態の目地部材1は断面欠損部3をコンクリート構造物中に残す場合に使用する。
【0036】
基端部2は、図3に示すように、自身の長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の上底を構成する面に、後述する断面欠損部3を装脱着可能な取付部が形成されている。この取付部としては、例えば、断面欠損部3の両表面を挟持可能な溝を形成しておく。本実施形態の基端部2は、コンクリート構造物より取除くので、コンクリートとの接着力の弱い材質を用いて形成する。
【0037】
断面欠損部3は、板状部材で構成するのが簡便であり、例えば、板状の鉄板を使用する。本実施形態では、断面欠損部3の表面に良好な止水効果を有する非加硫ブチルゴム等を塗布してゴム層7aを形成し、コンクリートとの間にゴム層7aを設けることで、止水機能を高める。
【0038】
〔型枠4への設置及びコンクリート構造物からの抜き取り〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図3を基に説明する。
基端部2の型枠4への固定は、例えば、釘止めによって行い、千鳥打ちする。また、基端部2をコンクリートから取除き易くするために、基端部2の表面に剥離材を塗布する。断面欠損部3は、基端部2に形成された取付部に差し込んで固定する。止水板6を目地部材1に対応する位置に配置し、配力鉄筋5b上に固定した後、型枠4を設置する。
【0039】
コンクリート打設後、基端部2は型枠4と共にコンクリート構造物から取除かれる。基端部2を取除いた後、断面欠損部3の化粧目地部に突出した部分に対して折り曲げる等の処理を行い、その後、化粧目地部に止水シール材等の充填材を充填する。尚、例えば、コンクリート構造物が下水道等に施設され、硫酸等が発生する環境である場合には、硫酸等に対する耐性を有する充填材を使用する。更に、本実施形態の基端部2は、他のコンクリート構造物を形成する際に再利用される。
【0040】
〔第二実施形態〕
続いて、目地部材1の第二実施形態について、図4を基に説明する。図4はコンクリート構造物の水平方向の断面図である。本実施形態の目地部材1は、基端部2及び断面欠損部3をコンクリート構造物中に残す場合に使用する。
【0041】
本実施形態の基端部2は、第一実施形態と同様に、その長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の上底を構成する面に、後述する断面欠損部3を装脱着可能な取付部が形成されている。本実施形態では、第一実施形態と同様に、基端部2の台形の下底を構成する面が露出面となる。断面欠損部3は、第一実施形態と同様に、板状の鉄板で構成されている。
【0042】
本実施形態では、断面欠損部3の表面にゴム層7aを形成するだけでなく、基端部2の表面にも非加硫ブチルゴム等を塗布してゴム層7bを形成する。尚、非加硫ブチルゴムはコンクリートの硬化時にイオン結合してコンクリートとよく接着し、コンクリート構造物の止水機能を高める。また、ゴム層7bは露出面から離間した位置に形成してあり、コンクリート構造物の表面に露出しないので、コンクリート構造物の誘発目地の美感を良好なものとすることができる。
【0043】
〔型枠4への設置〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図4を基に説明する。
基端部2の型枠4への固定は、脱枠時に型枠4と基端部2とを分離し易くするために、両面テープ等を用いて行う。コンクリート打設後、型枠4のみがコンクリート構造物から取り除かれ、基端部2は断面欠損部3と共にコンクリート構造物中に残る。
【0044】
〔第三実施形態〕
続いて、目地部材1の第三実施形態について、図5を基に説明する。図5はコンクリート構造物の水平方向の断面図である。本実施形態の目地部材1は、第二実施形態と同様に、基端部2及び断面欠損部3を共にコンクリート構造物中に残す場合に使用する。
【0045】
本実施形態の基端部2は、図5に示すように、その長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の下底を構成する面に、後述する断面欠損部3が形成されている。本実施形態では、基端部2の台形の上底を構成する面を露出面としてあり、露出面に接する側面を、基端部2がコンクリートから抜出るのを防止する抜出抵抗部となるように構成してある。本実施形態の基端部2は、第二実施形態と同様に、コンクリート構造物中に残す。断面欠損部3は、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、板状の鉄板で構成されている。更に、第二実施形態と同様に、断面欠損部3及び基端部2の表面に、美感を損なわないようコンクリート構造物の表面に露出しない状態に非加硫ブチルゴム等を塗布し、ゴム層7a及びゴム層7bを一体形成して、コンクリート構造物の止水機能を高める。
【0046】
尚、本実施形態では、基端部2の抜出抵抗部は外側に向かって湾曲する形状となっているが、これに限るものではない。内側に向かって湾曲した形状や直線状であってもよいし、側面が段状になっているものや、突出部を備える構成であっても良い。
【0047】
〔型枠4への設置〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図5を基に説明する。
本実施形態の基端部2は、脱枠時に型枠4と基端部2とを分離し易くするために、両面テープ等を用いて行う。コンクリート打設後、型枠4のみがコンクリート構造物から取り除かれ、基端部2は断面欠損部3と共にコンクリート構造物中に残る。
【0048】
上記第一実施形態から第三実施形態において、断面欠損部3の表面、ゴム層7aのコンクリートと接する表面には、凹凸部を形成してもよい。凹凸部を形成することにより、断面欠損部3とコンクリートとの間の付着力及び摩擦力が増して、脱枠時に基端部2が構造物より抜け出るのを防止する。また、第二実施形態では、ゴム層7bの表面にも凹凸部を形成してよい。更に、凹凸部を、例えば、コンクリート構造物の表面に対して平行に延出するように形成することにより、止水効果を高めることができる。
【0049】
〔第四実施形態〕
次に、目地部材1の第四実施形態について、図6を基に説明する。図6はコンクリート構造物の水平方向の断面図である。尚、本実施形態の目地部材1は、基端部2及び断面欠損部3をコンクリート構造物から取除く必要がある場合、例えば、目地の仕上げ材の材質が限られる場合等に使用する。
【0050】
本実施形態の基端部2は、長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の上底を構成する面に、後述する断面欠損部3を装脱着可能な取付部が形成されている。本実施形態では、基端部2の台形の下底を構成する面が露出面となる。本実施形態の断面欠損部3は、例えば、板状の鉄板で構成され、基端部2に設置された状態で、基端部2から突出する部分を覆う鞘部材8が設けられている。鞘部材8は、コンクリート硬化後、断面欠損部3を容易に取除くことができるように、断面欠損部3が直接コンクリートと接しないよう、断面欠損部3のコンクリートと接する表面を全て覆うように形成される。また、鞘部材8はコンクリート構造物中に残るので、止水機能を高めるため非加硫ブチルゴム等で形成する。
【0051】
〔型枠4への設置及びコンクリート構造物からの抜き取り〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図6を基に説明する。
基端部2の型枠4への固定は、例えば、釘止めによって行い、千鳥打ちする。また、基端部2をコンクリートから取除き易くするために、基端部2の表面に剥離材を塗布する。断面欠損部3と鞘部材8との間には、摩擦を少なくして断面欠損部3を抜き取り易くするために、油脂等を塗布する。止水板6を目地部材1に対応する位置に配置し、配力鉄筋5b上に固定した後、型枠4を設置する。
【0052】
コンクリート打設後、基端部2は型枠4と共にコンクリート構造物から取除かれる。更に、断面欠損部3(板状部材)についてもコンクリート構造物から取除き、その後、鞘部材8をコンクリート構造物の内部に残した状態で、この化粧目地部に充填材を充填する。本実施形態では、基端部2は、他のコンクリート構造物を形成する際に再利用される。
【0053】
〔第五実施形態〕
次に、目地部材1の第五実施形態について、図7を基に説明する。図7(イ)は構造物の水平方向の断面図であり、図7(ロ)は断面欠損部3の斜視図である。尚、本実施形態の目地部材1は、第四実施形態と同様に、基端部2及び断面欠損部3をコンクリート構造物から取除く必要がある場合に使用する。
【0054】
本実施形態の基端部2は、第四実施形態と同様に、長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の上底を構成する面に、後述する断面欠損部3を装脱着可能な取付部が形成されている。本実施形態では、基端部2の台形の下底を構成する面が露出面となる。
【0055】
本実施形態の断面欠損部3は、互いに重なり合う2枚の板状部材からなる。図7(ロ)に示すように、板状部材3a、板状部材3bには、コンクリート構造物から取除かれる際に把持する抜き代を形成するための凹部3cを設けてある。尚、この凹部3cは、板状部材3a若しくは板状部材3bの少なくとも何れか一方に形成されていれば良く、両方の板状部材に設ける場合には、凹部3cが互いに重なり合わないように設ける。
【0056】
〔型枠4への設置及びコンクリート構造物からの抜き取り〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図7を基に説明する。
第四実施形態と同様に、基端部2の型枠4への固定は釘止めによって行い、千鳥打ちする。また、基端部2をコンクリートから取除き易くするために、基端部2の表面に剥離材を塗布する。また、板状部材3aと板状部材3bとの間には、互いの摩擦力を低減するために油等を塗布する。板状部材3a及び板状部材3bは、互いに重ね合わせた状態で、凹部3cが設けられている部位を基端部2の取付部に差し込んで固定する。止水板6を目地部材1に対応する位置に配置し、配力鉄筋5b上に固定した後、型枠4を設置する。
【0057】
コンクリート打設後、基端部2は型枠4と共にコンクリート構造物から取除かれる。更に、板状部材3a及び板状部材3bについてもコンクリート構造物から取除く。尚、板状部材3a及び板状部材3bの抜き取りは、例えば、板状部材3bの凹部3cに対応する板状部材3aの部位を把持して行う。続く板状部材3bの抜き取りに際しては、どの部位を把持しても良い。また、第四実施形態と同様に、基端部2及び板状部材(断面欠損部3)は、他のコンクリート構造物を形成する際に再利用される。
【0058】
上述した第一実施形態から第五実施形態に於いて、基端部2は水平方向の断面の形状が略台形となるように形成されているがこれに限るものではない。また、断面欠損部3についても、板状の鉄板を用いているが、これに限るものではない。設置される場所や、コンクリート構造物の機能、用途に合わせて適宜適切な形状・材質の部材を形成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に於ける目地部材を適用したコンクリート構造物を示す斜視図
【図2】本発明に於ける目地部材を適用したコンクリート構造物を示す断面図
【図3】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す断面図
【図4】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す断面図
【図5】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す断面図
【図6】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す断面図
【図7】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す説明図
【符号の説明】
1 目地部材
2 基端部
3 断面欠損部
4 型枠
5 構造用鉄筋
6 止水板
7 ゴム層
8 鞘部材
9 欠損板
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンクリートの打設時の誘発目地の形成に関する。
【0002】
【従来の技術】
構造用鉄筋(主鉄筋、配力鉄筋等)を包含するコンクリート構造物の形成に於いて、コンクリート構造物にひび割れが発生することがあるが、特に、打設したコンクリートが硬化する際にひび割れが発生する。このようなひび割れから水が内部に浸入すると、構造用鉄筋が腐蝕して、コンクリート構造物の機能及び耐久性の低下を引き起こすこととなる。特に、水路の壁構造物や、地中壁など、止水すべきコンクリート構造物に対してはこのような水の浸入を防止する必要がある。このため、コンクリートのひび割れに対する対策として、誘発目地を設ける方法がある。この方法は、ひび割れをコンクリート構造物の特定の箇所に誘導して発生させると共に、当該箇所の内部にゴム等の止水部材を配置することで、ひび割れの発生を許容しつつ、止水効果も高めるものである。
【0003】
従来、ひび割れを誘導するために、例えば、構造用鉄筋を包含するように打設したコンクリート構造物の表面側に化粧目地部(溝部)を設けると共に、この化粧目地部と構造用鉄筋との間に板部材等からなる断面欠損用部材を埋設するコンクリートの目地構造がある(例えば、特許文献1参照)。この断面欠損用部材は、化粧目地部に向かって延出するように結束線によって構造用鉄筋に縛りつけられている。これにより断面積縮小部を形成しひび割れを誘発させる。
【0004】
【特許文献1】
特開平07−207774号公報([0014]段落〜[0027]段落)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の誘発目地構造では、一方の断面欠損用部材を内部の構造用鉄筋に設けておき、他方の目地部材をコンクリート打設用の型枠に設ける。このように夫々の部材が別々に位置決めされるため、主鉄筋の位置関係等から、構造用鉄筋に固定される断面欠損用部材の基端部に対する位置決めが容易ではない。このため、コンクリートの打設時に断面欠損部材と目地部材との間で位置ずれが生じることがあり、これによって、ひび割れが化粧目地部とは離れた場所に発生する場合があった。
【0006】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡易な構造で、且つ、ひび割れを確実に化粧目地部に生じさせることができる目地部材を実現する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔特徴構成1〕
この目的を達成するための本発明に係る目地部材の第一特徴構成は、請求項1に記載した如く、コンクリートの打設時に誘発目地を形成するための目地部材であって、基端部と剛性を有する断面欠損部とを有し、打設する前記コンクリートの表面から露出する露出面を前記基端部に備えた点にある。
【0008】
ここで、基端部に備えた露出面とは、コンクリートを打設した状態で、コンクリートと接しない面を言う。即ち、型枠に設置する際に、型枠側に対向させる面が当該露出面となる。
【0009】
例えば、化粧目地部を形成する目地部材を型枠に固定し、断面欠損部材を構造用鉄筋に固定する従来の場合には、目地部材及び断面欠損部材の位置ずれを防止するのは困難であり、ひび割れをコンクリート構造物の内部からコンクリート表面側の化粧目地部に誘導するため、ひび割れが化粧目地部から離れた位置に発生することが起り得る。従って、本特徴構成の如く、目地部材を基端部と剛性を有する断面欠損部とを有する構成にしてあれば、ひび割れをコンクリート表面側から発生させることができる。コンクリート表面の化粧目地部よりひび割れを誘導するため、ひび割れが化粧目地部から離れた部位に発生するのを防止できる。また、コンクリート表面に基端部、内方に断面欠損部を一体に構成するから、両者間の位置ずれが生じ得ず、基端部及び断面欠損部の位置決めにかかる手間も省力化できる。
【0010】
更に、本特徴構成の如く、断面欠損部を剛性を有する部材で構成することにより、コンクリートの打設時に、断面欠損部材が変形したり湾曲したりするのを防止し、断面欠損部材を所期の位置姿勢に確実に固定して意図しない部位にひび割れが生じるのを有効に防止することができる。
【0011】
従って、基端部と剛性を有する断面欠損部とを有する構成にすることにより、コンクリート構造物の形成を容易にし、且つ、ひび割れを適切に誘導することが可能な目地部材を簡易な構造で実現することができる。また、これによって、止水対策等を適切に施すことが可能になるので、構造用鉄筋の腐蝕や、コンクリートの機能及び耐久性の低下をより有効に防止することができる。
【0012】
〔特徴構成2〕
同第二特徴構成は、請求項2に記載した如く、前記断面欠損部が板状部材で構成され、前記基端部から分離可能に構成されている点にある。
【0013】
本特徴構成の如く、断面欠損部を板状部材で構成すれば、簡単な構成でありながら、コンクリート構造物の望む箇所に断面欠損部を確実に形成することができる。
【0014】
また、本特徴構成の如く、基端部及び断面欠損部を分離可能に構成すれば、コンクリートの打設後に少なくとも基端部を化粧目地部から取除くことができる。コンクリート構造物には、目地材として、特定の材質の仕上げ材を使用するように定められているものもある。例えば、下水道の壁部を構築する場合には、目地部に耐薬品性を有する目地材を充填することが求められる。そこで、断面欠損部と基端部とを分離可能に構成し、化粧目地部から基端部を取除いて任意の仕上げ材を充填する構成にすれば、各種の仕様に応じたコンクリート構造物を形成することができる。
【0015】
また、基端部をコンクリート構造物から取除くため、他のコンクリート構造物を形成する際に当該基端部を再利用することができる。断面欠損部についても、基端部と同様に取除かれる場合には、再利用することができる。また、基端部と断面欠損部とを別部材で構成するので、基端部及び断面欠損部の形状を任意に設定できると共に、これらの形成を容易にすることができる。
【0016】
〔特徴構成3〕
同第三特徴構成は、請求項3に記載した如く、前記断面欠損部の表面にゴム層を形成してある点にある。
【0017】
即ち、本特徴構成によれば、断面欠損部をコンクリート構造物中に残す場合に、断面欠損部の表面に止水効果を持つゴム層を形成し、断面欠損部とコンクリートとの間にゴム層を設けることで、止水機能を高めることができる。つまり、コンクリートは硬化する際に収縮するので、硬化に伴って断面欠損部の表面とコンクリートとの間に隙間が生じることも考えられる。しかし、断面欠損部の表面にゴム層を形成しておけば、ゴム層がコンクリートの硬化時にイオン結合によりコンクリートと密着し、隙間が生じるのを有効に防止することができる。これにより、構造用鉄筋の腐蝕や、構造物の機能及び耐久性の低下等をより効果的に防止することができる。
【0018】
〔特徴構成4〕
同第四特徴構成は、請求項4に記載した如く、前記基端部の表面にゴム層を設けてあり、前記基端部のゴム層が、前記露出面から離間した位置に形成してある点にある。
【0019】
断面欠損部をコンクリート構造物中に残す場合に、基端部についても止水効果を持つ非加硫ブチルゴム製のゴム層で被覆し、ひび割れに対する止水機能を持たせる構成にすることにより、止水効果を高めることができ、構造用鉄筋の腐蝕や、構造物の機能及び耐久性の低下等を防止することができる。尚、基端部のコンクリート構造物と接する面全体をゴム層で被覆し、コンクリート構造物の表面にゴム層が露出した状態であると、コンクリート構造物の美感を損なうこととなる。従って、コンクリート構造物の表面に露出しない状態にゴム層を形成することにより、止水機能を高めつつ、美感に優れたコンクリート構造物の誘発目地を形成することができる。
【0020】
〔特徴構成5〕
同第五特徴構成は、請求項5に記載した如く、前記基端部の外面のうち、前記コンクリートに埋設する外面の少なくとも一部に当該基端部が前記コンクリートから抜出るのを防止する抜出抵抗部を備える点にある。
【0021】
ここで、基端部が前記コンクリートから抜出るのを防止する抜出抵抗部を備える構造としては、基端部を略テーパ状(基端部の長手方向に垂直な断面が台形状の四角柱等)に形成する構造等が考えられる(台形の上底を構成する面がコンクリート表面側に来るように配置する)。基端部を目地の仕上げ材としてそのまま利用する場合には、脱枠時に基端部がコンクリート構造物から容易に抜出ない本構成にすると、確実に目地を形成できると共に、コンクリート構造物の形成にかかる手間を省力化することができる。
【0022】
〔特徴構成6〕
同第六特徴構成は、請求項6に記載した如く、前記断面欠損部の表面に凹凸部を形成してある点にある。
【0023】
断面欠損部をコンクリート構造物中に残す場合には、特に、本特徴構成の如く、断面欠損部の表面に凹凸部を形成すれば、断面欠損部とコンクリートとの間の付着力が増し、コンクリート用の型枠を外す時などに断面欠損部が抜け出るのをより効果的に防止することができ、コンクリート構造物の形成にかかる手間を省力化することができる。また、例えば、凹凸部をコンクリート構造物の表面に対して平行に延出するように形成することにより、水がコンクリートと断面欠損部の境界をコンクリートの内部に浸入しようとする時に、その浸入経路長を伸ばすことができるため、止水機能を向上させ、構造用鉄筋の腐蝕、コンクリート構造物の機能及び耐久性の低下をより効果的に防止することができる。
【0024】
〔特徴構成7〕
同第七特徴構成は、請求項7に記載した如く、前記断面欠損部を被覆する鞘状部材を設けてある点にある。
【0025】
例えば、目地の仕上げ材の材質が限られる場合など、基端部及び断面欠損部をコンクリート構造物から取除く必要がある場合、本特徴構成の如く、断面欠損部を被覆する鞘状部材を設けることにより、断面欠損部が直接コンクリートと接しないので、コンクリート硬化後、断面欠損部を容易に取除くことができ、コンクリート構造物の形成にかかる手間を省力化することができる。
【0026】
また、鞘状部材をブチルゴム等の止水機能を有する物質で形成することにより、コンクリート構造物の止水機能を高めることができ、構造用鉄筋の腐蝕、コンクリート構造物の機能及び耐久性の低下をより効果的に防止できる。
【0027】
〔特徴構成8〕
同第八特徴構成は、請求項8に記載した如く、前記断面欠損部が互いに重なり合う2枚の板状部材からなる点にある。
【0028】
例えば、目地の仕上げ材の材質が限られる場合など、基端部及び断面欠損部をコンクリート構造物から取除く必要がある場合、断面欠損部を1枚の板状部材で構成すると、板状部材をコンクリート構造物より取除く際に、板状部材の両面にコンクリート構造物からの力(付着力、摩擦力等)を受けることとなり、容易には板状部材を取除くことができない虞がある。
【0029】
従って、本特徴構成の如く、2枚の板状部材を用いることにより、夫々の板状部材の片面づつにコンクリートとの付着力等を分担させることで、板状部材を取除き易くすることができる。これにより、板状部材を取除く際の手間を省力化し、コンクリート構造物の形成を容易にすることができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明に係る目地部材の実施の形態について、図面に基づいて説明する。
【0031】
本発明に係る目地部材1について図1及び図2を基に説明する。ここで、図1は、本発明に係る目地部材1を適用して形成されるコンクリート構造物の斜視図であり、図2は、コンクリート打設時の型枠4及び目地部材1、構造用鉄筋5、止水板6等の位置関係を表した水平方向の断面図である。
【0032】
図1及び図2に示すように、型枠4の内側には、基端部2と断面欠損部3とを有する目地部材1、構造用鉄筋5、止水板6等を設置する。
【0033】
型枠4の内側には、構造用鉄筋5である主鉄筋5aと配力鉄筋5bとが設置されている。ここで、本実施形態では、主鉄筋5aは、コンクリート構造物の表面と平行な面上に軸芯が鉛直方向に沿って設置されている。配力鉄筋5bは、主鉄筋5aと直行し、且つ、水平方向となるように主鉄筋5aの外側に固定されている。尚、本発明に係る目地部材を適用するコンクリート構造物の主鉄筋5a、配力鉄筋5bの構造はこれらに限られるものではない。配力鉄筋5bの目地部材1の断面欠損部3に対応する位置には、止水効果を高めるためにブチルゴム等で形成された止水板6を設置してもよい。
【0034】
また、配力鉄筋5bの更に内側には、断面欠損率を大きくするために、亜鉛メッキ鋼板やブチルゴム等で形成された止水板などで構成する断面欠損板(以下、「欠損板」と称する)9を設置してもよい。
【0035】
〔第一実施形態〕
次に、目地部材1の第一実施形態について、図3を基に説明する。ここで、図3はコンクリート構造物の水平方向の断面図である。本実施形態の目地部材1は断面欠損部3をコンクリート構造物中に残す場合に使用する。
【0036】
基端部2は、図3に示すように、自身の長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の上底を構成する面に、後述する断面欠損部3を装脱着可能な取付部が形成されている。この取付部としては、例えば、断面欠損部3の両表面を挟持可能な溝を形成しておく。本実施形態の基端部2は、コンクリート構造物より取除くので、コンクリートとの接着力の弱い材質を用いて形成する。
【0037】
断面欠損部3は、板状部材で構成するのが簡便であり、例えば、板状の鉄板を使用する。本実施形態では、断面欠損部3の表面に良好な止水効果を有する非加硫ブチルゴム等を塗布してゴム層7aを形成し、コンクリートとの間にゴム層7aを設けることで、止水機能を高める。
【0038】
〔型枠4への設置及びコンクリート構造物からの抜き取り〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図3を基に説明する。
基端部2の型枠4への固定は、例えば、釘止めによって行い、千鳥打ちする。また、基端部2をコンクリートから取除き易くするために、基端部2の表面に剥離材を塗布する。断面欠損部3は、基端部2に形成された取付部に差し込んで固定する。止水板6を目地部材1に対応する位置に配置し、配力鉄筋5b上に固定した後、型枠4を設置する。
【0039】
コンクリート打設後、基端部2は型枠4と共にコンクリート構造物から取除かれる。基端部2を取除いた後、断面欠損部3の化粧目地部に突出した部分に対して折り曲げる等の処理を行い、その後、化粧目地部に止水シール材等の充填材を充填する。尚、例えば、コンクリート構造物が下水道等に施設され、硫酸等が発生する環境である場合には、硫酸等に対する耐性を有する充填材を使用する。更に、本実施形態の基端部2は、他のコンクリート構造物を形成する際に再利用される。
【0040】
〔第二実施形態〕
続いて、目地部材1の第二実施形態について、図4を基に説明する。図4はコンクリート構造物の水平方向の断面図である。本実施形態の目地部材1は、基端部2及び断面欠損部3をコンクリート構造物中に残す場合に使用する。
【0041】
本実施形態の基端部2は、第一実施形態と同様に、その長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の上底を構成する面に、後述する断面欠損部3を装脱着可能な取付部が形成されている。本実施形態では、第一実施形態と同様に、基端部2の台形の下底を構成する面が露出面となる。断面欠損部3は、第一実施形態と同様に、板状の鉄板で構成されている。
【0042】
本実施形態では、断面欠損部3の表面にゴム層7aを形成するだけでなく、基端部2の表面にも非加硫ブチルゴム等を塗布してゴム層7bを形成する。尚、非加硫ブチルゴムはコンクリートの硬化時にイオン結合してコンクリートとよく接着し、コンクリート構造物の止水機能を高める。また、ゴム層7bは露出面から離間した位置に形成してあり、コンクリート構造物の表面に露出しないので、コンクリート構造物の誘発目地の美感を良好なものとすることができる。
【0043】
〔型枠4への設置〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図4を基に説明する。
基端部2の型枠4への固定は、脱枠時に型枠4と基端部2とを分離し易くするために、両面テープ等を用いて行う。コンクリート打設後、型枠4のみがコンクリート構造物から取り除かれ、基端部2は断面欠損部3と共にコンクリート構造物中に残る。
【0044】
〔第三実施形態〕
続いて、目地部材1の第三実施形態について、図5を基に説明する。図5はコンクリート構造物の水平方向の断面図である。本実施形態の目地部材1は、第二実施形態と同様に、基端部2及び断面欠損部3を共にコンクリート構造物中に残す場合に使用する。
【0045】
本実施形態の基端部2は、図5に示すように、その長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の下底を構成する面に、後述する断面欠損部3が形成されている。本実施形態では、基端部2の台形の上底を構成する面を露出面としてあり、露出面に接する側面を、基端部2がコンクリートから抜出るのを防止する抜出抵抗部となるように構成してある。本実施形態の基端部2は、第二実施形態と同様に、コンクリート構造物中に残す。断面欠損部3は、第一実施形態及び第二実施形態と同様に、板状の鉄板で構成されている。更に、第二実施形態と同様に、断面欠損部3及び基端部2の表面に、美感を損なわないようコンクリート構造物の表面に露出しない状態に非加硫ブチルゴム等を塗布し、ゴム層7a及びゴム層7bを一体形成して、コンクリート構造物の止水機能を高める。
【0046】
尚、本実施形態では、基端部2の抜出抵抗部は外側に向かって湾曲する形状となっているが、これに限るものではない。内側に向かって湾曲した形状や直線状であってもよいし、側面が段状になっているものや、突出部を備える構成であっても良い。
【0047】
〔型枠4への設置〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図5を基に説明する。
本実施形態の基端部2は、脱枠時に型枠4と基端部2とを分離し易くするために、両面テープ等を用いて行う。コンクリート打設後、型枠4のみがコンクリート構造物から取り除かれ、基端部2は断面欠損部3と共にコンクリート構造物中に残る。
【0048】
上記第一実施形態から第三実施形態において、断面欠損部3の表面、ゴム層7aのコンクリートと接する表面には、凹凸部を形成してもよい。凹凸部を形成することにより、断面欠損部3とコンクリートとの間の付着力及び摩擦力が増して、脱枠時に基端部2が構造物より抜け出るのを防止する。また、第二実施形態では、ゴム層7bの表面にも凹凸部を形成してよい。更に、凹凸部を、例えば、コンクリート構造物の表面に対して平行に延出するように形成することにより、止水効果を高めることができる。
【0049】
〔第四実施形態〕
次に、目地部材1の第四実施形態について、図6を基に説明する。図6はコンクリート構造物の水平方向の断面図である。尚、本実施形態の目地部材1は、基端部2及び断面欠損部3をコンクリート構造物から取除く必要がある場合、例えば、目地の仕上げ材の材質が限られる場合等に使用する。
【0050】
本実施形態の基端部2は、長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の上底を構成する面に、後述する断面欠損部3を装脱着可能な取付部が形成されている。本実施形態では、基端部2の台形の下底を構成する面が露出面となる。本実施形態の断面欠損部3は、例えば、板状の鉄板で構成され、基端部2に設置された状態で、基端部2から突出する部分を覆う鞘部材8が設けられている。鞘部材8は、コンクリート硬化後、断面欠損部3を容易に取除くことができるように、断面欠損部3が直接コンクリートと接しないよう、断面欠損部3のコンクリートと接する表面を全て覆うように形成される。また、鞘部材8はコンクリート構造物中に残るので、止水機能を高めるため非加硫ブチルゴム等で形成する。
【0051】
〔型枠4への設置及びコンクリート構造物からの抜き取り〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図6を基に説明する。
基端部2の型枠4への固定は、例えば、釘止めによって行い、千鳥打ちする。また、基端部2をコンクリートから取除き易くするために、基端部2の表面に剥離材を塗布する。断面欠損部3と鞘部材8との間には、摩擦を少なくして断面欠損部3を抜き取り易くするために、油脂等を塗布する。止水板6を目地部材1に対応する位置に配置し、配力鉄筋5b上に固定した後、型枠4を設置する。
【0052】
コンクリート打設後、基端部2は型枠4と共にコンクリート構造物から取除かれる。更に、断面欠損部3(板状部材)についてもコンクリート構造物から取除き、その後、鞘部材8をコンクリート構造物の内部に残した状態で、この化粧目地部に充填材を充填する。本実施形態では、基端部2は、他のコンクリート構造物を形成する際に再利用される。
【0053】
〔第五実施形態〕
次に、目地部材1の第五実施形態について、図7を基に説明する。図7(イ)は構造物の水平方向の断面図であり、図7(ロ)は断面欠損部3の斜視図である。尚、本実施形態の目地部材1は、第四実施形態と同様に、基端部2及び断面欠損部3をコンクリート構造物から取除く必要がある場合に使用する。
【0054】
本実施形態の基端部2は、第四実施形態と同様に、長手方向に垂直な断面の形状が略台形となるように形成され、台形の上底を構成する面に、後述する断面欠損部3を装脱着可能な取付部が形成されている。本実施形態では、基端部2の台形の下底を構成する面が露出面となる。
【0055】
本実施形態の断面欠損部3は、互いに重なり合う2枚の板状部材からなる。図7(ロ)に示すように、板状部材3a、板状部材3bには、コンクリート構造物から取除かれる際に把持する抜き代を形成するための凹部3cを設けてある。尚、この凹部3cは、板状部材3a若しくは板状部材3bの少なくとも何れか一方に形成されていれば良く、両方の板状部材に設ける場合には、凹部3cが互いに重なり合わないように設ける。
【0056】
〔型枠4への設置及びコンクリート構造物からの抜き取り〕
次に、目地部材1の型枠4への設置について図7を基に説明する。
第四実施形態と同様に、基端部2の型枠4への固定は釘止めによって行い、千鳥打ちする。また、基端部2をコンクリートから取除き易くするために、基端部2の表面に剥離材を塗布する。また、板状部材3aと板状部材3bとの間には、互いの摩擦力を低減するために油等を塗布する。板状部材3a及び板状部材3bは、互いに重ね合わせた状態で、凹部3cが設けられている部位を基端部2の取付部に差し込んで固定する。止水板6を目地部材1に対応する位置に配置し、配力鉄筋5b上に固定した後、型枠4を設置する。
【0057】
コンクリート打設後、基端部2は型枠4と共にコンクリート構造物から取除かれる。更に、板状部材3a及び板状部材3bについてもコンクリート構造物から取除く。尚、板状部材3a及び板状部材3bの抜き取りは、例えば、板状部材3bの凹部3cに対応する板状部材3aの部位を把持して行う。続く板状部材3bの抜き取りに際しては、どの部位を把持しても良い。また、第四実施形態と同様に、基端部2及び板状部材(断面欠損部3)は、他のコンクリート構造物を形成する際に再利用される。
【0058】
上述した第一実施形態から第五実施形態に於いて、基端部2は水平方向の断面の形状が略台形となるように形成されているがこれに限るものではない。また、断面欠損部3についても、板状の鉄板を用いているが、これに限るものではない。設置される場所や、コンクリート構造物の機能、用途に合わせて適宜適切な形状・材質の部材を形成することが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に於ける目地部材を適用したコンクリート構造物を示す斜視図
【図2】本発明に於ける目地部材を適用したコンクリート構造物を示す断面図
【図3】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す断面図
【図4】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す断面図
【図5】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す断面図
【図6】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す断面図
【図7】本発明に係る目地部材の一実施形態を示す説明図
【符号の説明】
1 目地部材
2 基端部
3 断面欠損部
4 型枠
5 構造用鉄筋
6 止水板
7 ゴム層
8 鞘部材
9 欠損板
Claims (8)
- コンクリートの打設時に誘発目地を形成するための目地部材であって、
基端部と剛性を有する断面欠損部とを有し、打設する前記コンクリートの表面から露出する露出面を前記基端部に備えた目地部材。 - 前記断面欠損部が板状部材で構成され、前記基端部から分離可能に構成されている請求項1に記載の目地部材。
- 前記断面欠損部の表面にゴム層を形成してある請求項1または請求項2に記載の目地部材。
- 前記基端部の表面にゴム層を設けてあり、前記基端部のゴム層が、前記露出面から離間した位置に形成してある請求項3に記載の目地部材。
- 前記基端部の外面のうち、前記コンクリートに埋設する外面の少なくとも一部に当該基端部が前記コンクリートから抜出るのを防止する抜出抵抗部を備える請求項3または請求項4に記載の目地部材。
- 前記断面欠損部の表面に凹凸部を形成してある請求項1から請求項5の何れか1項に記載の目地部材。
- 前記断面欠損部を被覆する鞘状部材を設けてある請求項1または請求項2に記載の目地部材。
- 前記断面欠損部が互いに重なり合う2枚の板状部材からなる請求項2に記載の目地部材。
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2003
- 2003-05-21 JP JP2003143103A patent/JP2004346559A/ja active Pending
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