JPS6324166Y2 - - Google Patents

Description

【考案の詳細な説明】 本考案はクラツク誘導型コンクリート壁体に関
するものである。

一般にコンクリートの基礎と一体的に壁体を構
築する方式にあつては、コンクリートの基礎と壁
体との剛性の相違から打設後の硬化乾燥に伴う収
縮により主としてコンクリート壁体下部にクラツ
クが発生する。

従来このようなクラツクの発生を防止する手段
として極めて特殊なセメントを使用するととも
に、十分な養生を行なう試みもなされていたが、
この手段では経済性及び施工性の点で実施化が極
めて困難であつた。

またコンクリート壁体の内外両壁面の対応箇所
にクラツク誘導目地を形成するとともに、その内
部に対応箇所の埋設鉄筋を不連続となし力学的に
絶縁する手段も知られている。

しかしながらこの手段によればコンクリート壁
体の収縮に伴いクラツク誘導目地にコンリートの
収縮応力が集中し、したがつてクラツクはクラツ
ク誘導目地の部分にのみ生じ易い利点を有するも
のの、防水性の点で問題があり、また埋設鉄筋の
一部が不連続となつているため力学的な強度の低
下を招来する欠点が存していた。

本考案上述した従来手段の欠点に鑑み、コンク
リート壁体の収縮に伴うクラツクを確実にクラツ
ク誘導目地の部分に生じさせるとともに、強度的
にもまた防水性の面でも優れた特性を発揮し得る
クラツク誘導型コンクリート壁体の提供を目的と
するものであり、かかる本考案の目的はコンクリ
ート基礎上に一体的に立設されたコンクリート壁
体の内外両壁面の対応箇所に、縦方向に向けた断
面Ｖ状のクラツク誘導目地をそれぞれ形成し、そ
の両クラツク誘導目地間の肉厚内部に可撓性材料
からなる止水板を埋設するとともに、前記コンク
リート壁体とコンクリート壁体に埋設した横方向
の補強部材との付着を、前記クラツク誘導目地に
対応する部分で遮断するように構成したことを特
徴としてなるクラツク誘導型コンクリート壁体に
より達成される。以下に本考案の一実施例を図面
を参照して説明する。

図示のコンクリート壁体Ａは、プレストレスト
コンクリートにより構築した例を示すものであ
る。

１は基礎部、２は該基礎部１上に打設したコン
クリート基礎であり、コンクリート壁体Ａはコン
クリート基礎２と一体的に打設することにより形
成してある。

コンクリート壁体Ａの下側には、その下端から
一定高さだけ上方に到るにしたがい縮幅されたテ
ーパー部３が形成されている。該テーパー部３の
内外両壁面の対応箇所には、断面Ｖ状のクラツク
誘導目地４ａ，４ｂがそれぞれ縦方向に形成して
ある。該クラツク誘導目地４ａ，４ｂは構築する
コンクリート壁体Ａの寸法、形状に対応させて任
意の間隔、長さに形成し得ることは勿論である。

前記両クラツク誘導目地４ａ，４ｂ間の肉厚内
部には、ゴム、合成ゴム等の可撓性材料からなる
止水板５がクラツク誘導目地４ａ，４ｂと同一方
向に埋設してある。

また、コンクリート壁体Ａ内に埋設した横方向
の鉄筋、PC鋼線、シース等の補強部材６は、前
記クラツク誘導目地４ａ，４ｂに対応する部分に
おいてコンクリートとの付着が遮断されている。

すなわち、補強部材６には、その対応する部分
において例えばテーピング７が施されている。

テーピング７のほか、補強部材６の外周に予じ
めアスフアルトを部分的に塗布することによつて
も同様にコンクリートとの付着を断つことが可能
である。

次に前記クラツク誘導目地４ａ，４ｂには、コ
ンクリート硬化後にモルタル等の自硬性接着材か
らなるシーリング材８が付着されている。さらに
コンクリート壁体Ａ全体が仕上層９ａ，９ｂによ
り被覆されている。１０は縦方向の埋設鉄筋であ
る。

上述のように構成されたコンクリート壁体Ａ
は、コンクリート基礎２と一体的に形成されてい
るため、コンクリート硬化時における壁面横方向
の収縮によりクラツクが生じるが、クラツク誘導
目地４ａ，４ｂの存在によりその部分にのみクラ
ツクが誘導される。

上述したように補強部材６とコンクリートとの
付着が、両クラツク誘導目地４ａ，４ｂ内部にお
いて部分的に断たれていため、コンクリート収縮
応力が、補強部材６の存在により妨げられること
なく両クラツク誘導目地４ａ，４ｂ間にのみ集中
することになり、クラツクは両クラツク誘導目地
４ａ，４ｂ間にのみ発生することになる。

またこのようにクラツクが生じた場合に、クラ
ツク誘導目地４ａ，４ｂ間には可撓性を有する止
水板５を埋設してあるため、クラツクの発生に伴
なつて該止水板５を伸長し内外両壁面の連通が阻
止される。

以上の説明から明らかなとおり本考案のクラツ
ク誘導型コンクリート壁体は、コンクリート壁体
の内外壁面に断面Ｖ状のクラツク誘導目地を形成
し、その肉厚内部に可撓性の止水板を埋設し、さ
らにその肉厚内部の補強部材とコンクリートとの
付着を遮断するように構成したものであるから、
コンクリート壁体の収縮応力が補強部材により妨
げられることなくクラツク誘導目地間に集中し、
確実にクラツクを発生させることができるととも
に、発生したクラツクの補修作業や仕上作業の容
易性を図れるものである。

また補強部材自体はクラツクが生じた状態でも
連続性を保持しているため、コンクリート壁体全
体の強度低下をきたすこともない。

さらに可撓性の止水板を埋設しているため、ク
ラツクが生じてもコンクリート壁体の防水性を保
持し得るものである。

【図面の簡単な説明】

第１図は本考案のクラツク誘導型コンクリート
壁体の縦断面図、第２図は第１図のＩ−Ｉ線断面
図である。 Ａ……コンクリート壁体、２……コンクリート
基礎、４ａ，４ｂ……クラツク誘導目地、５……
止水板、６……補強部材。

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. コンクリート基礎上に一体的に立設されたコン
   クリート壁体の内外両壁面の対応箇所に、縦方向
   に向けた断面Ｖ状のクラツク誘導目地をそれぞれ
   形成し、その両クラツク誘導目地間の肉厚内部に
   可撓性材料からなる止水板を埋設するとともに、
   前記コンクリート壁体とコンクリート壁体に埋設
   した横方向の補強部材との付着を、前記クラツク
   誘導目地に対応する部分で遮断するように構成し
   たことを特徴としてなるクラツク誘導型コンクリ
   ート壁体。