JP2004345983A - シート状パック化粧料 - Google Patents

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Abstract

【課題】保湿効果および整肌効果が良好で、かつ保存安定性が優れたシート状パック化粧料を提供する。
【解決手段】シート状基材にアミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を保持させ、その水分量を5質量%以下にしてシート状パック化粧料を構成する。
上記アミノ酸として、セリン、アルギニンおよびアスパラギン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含ませることが好ましく、また、上記シート状パック化粧料にはアミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種と共に美白剤を含有させてもよい。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート状パック化粧料に関し、さらに詳しくは、保湿効果および整肌効果が良好で、かつ保存安定性が優れたシート状パック化粧料に関する。
【0002】
【従来の技術】
アミノ酸やアミノ酸誘導体は、保湿効果が良好で、皮膚に対する活性作用を有し、かつ皮膚に対して栄養剤として働くことが報告されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0003】
【非特許文献1】
フレグランス ジャーナル No.89(1988)、p.102〜 108
【0004】
従って、このアミノ酸やアミノ酸誘導体を化粧水や美容液などの皮膚用化粧品に利用すると、肌のはり、しわ、しみなどを改善する整肌効果が期待できるものと考えられる。しかしながら、アミノ酸やアミノ酸誘導体の水溶液を化粧品に利用する場合、その化粧品中のアミノ酸やアミノ酸誘導体が細菌や真菌により汚染されるおそれがあるため、それらの菌による汚染を防止する目的で、防腐剤が配合されることになる。また、変色や変臭を防止するためにキレート剤や酸化防止剤なども配合される。
【0005】
しかしながら、防腐剤やキレート剤、酸化防止剤などは、それらの人体への影響を考慮して、規制された範囲内の配合量で使用し、かつ、それらの効果が充分に発現するようにしなければならないが、アミノ酸やアミノ酸誘導体の種類や量によっては、その効果が充分であるとは言えなかった。
【0006】
また、アミノ酸を含有するセリシンと泥との混合物からなる化粧料を基材に塗布または含浸させ、泥による美顔、美肌効果を期待するとともに、セリシンによる保湿、美肌効果を期待した化粧用パックシートが提案されている(特許文献1参照)。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−228344号公報(第2〜3頁)
【0008】
しかしながら、上記化粧用パックシートの場合は、30%以上の水を使用している上に、泥中の水分も存在するため、セリシンの保存安定性が悪く、また、保湿効果の点においても、充分なものとは言えなかった。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明は、アミノ酸やアミノ酸誘導体をシート状パック化粧料に利用するにあたって、アミノ酸やアミノ酸誘導体の有する良好な保湿効果や整肌効果を最大限に発現させ、かつ製品としての保存安定性が優れたシート状パック化粧料を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、アミノ酸やアミノ酸誘導体の有する保湿効果および整肌効果を最大限に引き出し、防腐剤やキレート剤、酸化防止剤などの安定化剤の添加量が少なくても、保存安定性が優れたシート状パック化粧料を得るため鋭意検討を重ねた結果、シート状基材にアミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を保持させ、かつ、その水分量を5質量%以下にしてシート状パック化粧料を構成するときは、保湿効果および整肌効果が良好で、かつ菌汚染や変色、変臭がなく、保存安定性が優れたシート状パック化粧料を提供でき、それによって、前記課題を解決できることを見出し、本発明を完成するにいたった。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。まず、本発明のシート状パック化粧料の作製方法について説明すると、本発明のシート状パック化粧料は、例えば、アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水に溶解させ、得られた水溶液をシート状基材に含浸させ、水分量が5質量%以下になるまで水を乾燥することによって作製される。
【0012】
そして、本発明のシート状パック化粧料の使用にあたっては、その使用前に水または化粧水や美容液などの水溶液をシート状パック化粧料に含浸させ、その状態で顔などの皮膚にパックを行うことによって、良好な保湿効果および整肌効果を発現させることができる。
【0013】
本発明において、シート状パック化粧料の水分量を5質量%以下にしているのは、水分量が5質量%より多くなると、アミノ酸やアミノ酸誘導体が細菌や真菌などの菌によって汚染を受けたり、変色や変臭を生じるようになるためであり、この水分量は少ないほど好ましく、特に3質量%以下であることが好ましい。
【0014】
本発明において用いるアミノ酸とは、例えば、アラニン、アルギニン、アスパラギン、アスパラギン酸、シトルリン、システイン、シスチン、グルタミン酸、グルタミン、グリシン、ヒスチジン、オキシプロリン、イソロイシン、ロイシン、リジン、メチオニン、オルニチン、フェニルアラニン、プロリン、セリン、スレオニン、トリプトファン、チロシン、バリンから選ばれる1種または2種以上であって、L体、D体、DL体のいずれであってもよく、また塩として用いてもよい。
【0015】
本発明において用いるアミノ酸誘導体とは、前記のアミノ酸を環化、アシル化またはエステル化したものであって、具体的には、例えば、ピロリドンカルボン酸塩、アセチルシステイン、アセチルメチオニン、アシルグルタミン酸塩、アシルグリシン塩、アシルアラニン塩、アシルアルギニンエチルエステル塩などが挙げられる。
【0016】
本発明において、特に好ましいアミノ酸としては、セリン、プロリン、アルギニン、グルタミン酸、アスパラギン酸、アラニンなどが挙げられ、それらの中でも、セリン、アルギニン、アスパラギン酸が好ましく、とりわけ、それらのアミノ酸を2種以上組み合わせて用いることが好ましい。すなわち、これらのアミノ酸はいずれも保湿性が良好である上に、セリンは中性アミノ酸で、アルギニンは塩基性アミノ酸であり、アスパラギン酸は酸性アミノ酸であることから、pHを皮膚と同じ弱酸性にするには、これらのアミノ酸を組み合わせて用いることが好ましいからである。
【0017】
本発明のシート状パック化粧料の作製方法をより具体的に説明すると、本発明のシート状パック化粧料は、例えば、次の方法によって作製される。
【0018】
まず、上記アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を水または水を主剤とする水性液に溶解して、配合液とする。その際、アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種の濃度を0.001〜50質量%にすることが好ましい。
【0019】
そして、得られた配合液をシート状基材に塗布または噴霧するか、あるいはシート状基材を配合液中に浸漬して、シート状基材に配合液を含浸させ、その後、水分量が5質量%以下になるまで乾燥することによって、本発明のシート状パック化粧料が得られる。
【0020】
上記のようにして本発明のシート状パック化粧料を作製した場合、通常、シート状パック化粧料中にアミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種が0.0001〜20質量%含有されることになるが、特にアミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種が0.01〜10質量%含有されるようにすることが好ましい。
【0021】
本発明において用いるシート状基材としては、例えば、不織布、織布、繊維、紙、シートなどが挙げられ、その材料としては、例えば、パルプ、レーヨン、コットン、ポリプロピレン、ポリエチレンなどが挙げられるが、本発明においては、特にパルプの不織布が好ましい。
【0022】
また、本発明においては、前記アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含む配合液中に美白剤を含有させ、アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種と美白剤とを含有するシート状パック化粧料とすることができ、その美白剤を含有させることによって、アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種による良好な保湿効果および整肌効果に加えて、顔などの肌に美しさを伴った白さを付与することができる。
【0023】
美白剤としては、例えば、ビタミンC、リン酸アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシドなどのビタミンC誘導体、アルブチン、エラグ酸、ルシノール、カンゾウエキス、カミツレエキス、コウジ酸、プラセンタエキスなどが挙げられ、特にリン酸アスコルビン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシドが好ましい。これらの美白剤はアミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種に対して質量比で1/100〜10/1(美白剤/アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種)の範囲で含有させることが好ましく、特に1/50〜5/1の範囲で含有させることが好ましい。
【0024】
本発明のシート状パック化粧料には、上記のアミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種や美白剤以外に、それらの効果を損なわない範囲で他の成分を含有させることができる。そのような成分としては、例えば、アルコール、金属イオン封鎖剤、増粘剤、油分、薬剤、香料、着色料、紫外線吸収剤、界面活性剤、防腐剤などが挙げられる。
【0025】
上記アルコールとしては、例えば、エタノール、イソプロパノールなどの1価のアルコール、エチレングリコール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,2−ペンタンジオールなどの2価のアルコール、グリセリンなどの3価のアルコール、ペンタエリスリトールなどの4価のアルコール、キシリトールなどの5価のアルコール、ソルビトール、マンニトールなどの6価のアルコール、マルトール、キシリトース、デンプン分解糖還元アルコールなどの糖アルコールなどが挙げられる。
【0026】
金属イオン封鎖剤としては、例えば、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジフォスホン酸四ナトリウム塩、エデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、エデト酸四ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸などが挙げられる。
【0027】
増粘剤としては、例えば、アラビアガム、カラギーナン、カラヤガム、トラガカントガム、キャロブガム、クインスシード、カゼイン、デキストリン、ゼラチン、ペクチン酸ナトリウム、アラギン酸ナトリウム、メチルセルロース、エチルセルロース、CMC(カルボキシメチルセルロース)、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、PVA(ポリビニルアルコール)、PVM(ポリビニルメチルエーテル)、PVP(ポリビニルピロリドン)、ポリアクリル酸ナトリウム、カルボキシビニルポリマー、ローカストビーンガム、グアーガム、タマリンガム、ジアルキルジメチルアンモニウム硫酸セルロース、キサンタンガム、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、ベントナイト、ヘクトライトなどが挙げられる。
【0028】
油分としては、例えば、アボガト油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリグリセリン、トリオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グルセリンなどの液体油脂、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚油、モクロウ、硬化ヒマシ油などの固体油脂、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、セラックロウ、POE(ポリオキシエチレン)ラノリンアルコールアセテート、POEコレステロールエーテル、ラノリン脂肪酸ポリエチレングリコール、POE水素添加ラノリンアルコールエーテルなどのロウ類、流動パラフィン、オゾケライト、スクワレン、ピリスタン、パファフィン、セレシン、スクワラン、ワセリン、マイクロクリスタンワックスなどの炭化水素などが挙げられる。
【0029】
本発明のシート状パック化粧料の適用部位としては、例えば、顔、首、胸部、腕部、腹部、足部、背中、頭部などが挙げられる。従って、本発明のシート状パック化粧料は、形状に関して特に制限されることなく、上記の適用部位に適した形状にすればよい。例えば、顔に適用する場合でも、全顔、目元、額、頬、鼻など、それぞれの形状に適するようにすればよい。
【0030】
【実施例】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に詳細に説明する。ただし、本発明はそれらの実施例のみに限定されるものではない。
【0031】
実施例1〜4および比較例1〜3
シート状パック化粧料の作製にあたって用いる配合液を表1および表2に示す組成で調製し、シート状基材としてはパルプ製の不織布(秤量:35g/m)を150cm×30cmに裁断して10枚積層したものを用い、その不織布に前記配合液を塗布することによって含浸させ、その後、加熱または風乾して水分を乾燥することにより(それぞれのシート状パック化粧料に応じて時間を変えて乾燥する)、シート状パック化粧料を作製した。それぞれのシート状パック化粧料における水分量を表1および表2に示す。
【0032】
表1および表2に示す各成分の配合液中の量は質量%によるものであり、精製水の量を示す残余とは全体として100質量%にする量を言う。そして、実施例4や比較例2ではリン酸アスコルビン酸マグネシウムとアスコルビン酸グルコシドを配合しているが、それらは美白剤である。また、実施例1〜4および比較例1〜3のいずれにもグリセリンとブチレングリコールを配合しているが、それらはこの種の化粧品に通常配合されるものであるからであり、グリセリンやブチレングリコールは必ずしも必要ではない。
【0033】
そして、シート状パック化粧料の水分量は、カールフィッシャー水分計によって、シート状パック化粧料全体中の水分量を測定することによって求めた。
【0034】
【表1】
Figure 2004345983
【0035】
【表2】
Figure 2004345983
【0036】
得られた実施例1〜4および比較例1〜3のシート状パック化粧料を用いて保湿・整肌効果の評価を行うとともに、それらのシート状パック化粧料の保存安定性を評価した。その結果を表3に示す。なお、保湿・整肌効果の評価方法および保存安定性の評価方法は次の通りである。
【0037】
保湿・整肌効果の評価方法:
実施例1〜4および比較例1〜3のシート状パック化粧料のそれぞれに、精製水を含浸させ、その精製水を含浸した状態のシート状パック化粧料を10人の専門パネラーの顔面(全顔)に5分間パックを行って保湿・整肌効果を評価させ、その評価結果を次の基準により点数化する。
【0038】
5:優れた保湿・整肌効果が感じられる。
4:良好な保湿・整肌効果が感じられる。
3:保湿・整肌効果が感じられる。
2:保湿・整肌効果がほとんど感じられない。
1:保湿・整肌効果がまったく感じられない。
【0039】
そして、10人の専門パネラーの評価点の平均値を求め、表3には保湿・整肌効果を次のように記号化して示す。
◎:パネラー10人の平均値が4点以上
○:パネラー10人の平均値が3点以上4点未満
△:パネラー10人の平均値が2点以上3点未満
×:パネラー10人の平均値が2点未満
【0040】
保存安定性の評価方法:
実施例1〜4および比較例1〜3のシート状パック化粧料をそれぞれガラス容器に入れ、50℃で30日間保存し、シート状パック化粧料の変色の有無を目視により観察するとともに、変臭の有無を調べた。その結果を次の基準により記号化して表3に示す。
◎:変色・変臭がまったくない。
○:変色・変臭がほとんどない。
△:変色・変臭がある。
×:明らかな変色・変臭がある。
【0041】
上記のような保湿・整肌効果の評価結果および保存安定性の評価結果を表3に示すが、表3にはシート状パック化粧料の水分量についても再度示す。
【0042】
【表3】
Figure 2004345983
【0043】
表3に示すように、実施例1〜4のシート状パック化粧料は、保湿・整肌効果が良好で、かつ保存安定性が優れていた。これに対して、アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有していない比較例1のシート状パック化粧料は、保湿・整肌効果がなく、また、アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させずに美白剤であるリン酸アスコルビン酸マグネシウムとアスコルビン酸グルコシドのみを含有させた比較例2のシート状パック化粧料も、保湿・整肌効果が充分でなく、アミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含有させているものの水分量が多い比較例3のシート状パック化粧料は、保存安定性に欠けていた。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、保湿効果および整肌効果が良好で、かつ保存安定性が優れたシート状パック化粧料を提供することができる。

Claims (3)

  1. シート状基材にアミノ酸およびアミノ酸誘導体よりなる群から選ばれる少なくとも1種を保持させてなり、その水分量が5質量%以下であることを特徴とするシート状パック化粧料。
  2. アミノ酸として、セリン、アルギニンおよびアスパラギン酸よりなる群から選ばれる少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1記載のシート状パック化粧料。
  3. 美白剤を含有することを特徴とする請求項1または2記載のシート状パック化粧料。
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