JP2004345419A - 車両用暗視システムおよび車両用前照灯装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】車両用暗視システムは、第1の赤外波長領域の照射光を少なくとも照射する第1の灯具1A、1Bと、第1の赤外波長領域とは異なる第2の赤外波長領域の照射光を少なくとも照射する第2の灯具1B、2Bと、第1および第2の灯具1A、2A、1B、2Bのいずれか一方を選択する照射選択手段5と、第1の赤外波長領域の照射光が車両前方の反射物体4から反射する第1の反射光および第2の赤外波長領域の照射光が車両前方の反射物体4から反射する第2の反射光のいずれか一方を選択する受光選択手段9と、選択手段9で選択された反射光を受光する撮像手段3と、撮像手段3で撮像された反射物体4の画像を表示する表示手段6とを備える。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、赤外光を車両前方に照射してその反射光を用いて暗視を行う車両用暗視システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
近赤外光を車両前方に照射して、その反射光を近赤外線に感度を持つ受光カメラで撮像することによって、夜間走行時に車両前方の暗視画像を得ることができる。しかし、対向車両が自車両と同様の暗視装置を備えている場合、対向車両が照射する近赤外光に対して自車両の受光カメラがハレーションを起こしてしまう。そこで、従来の車両用暗視システムは、赤外線バンドパスフィルタを介した赤外線パルスレーザ光を光源として位相の異なるパルス光を複数パターン用意し、赤外線バンドパスフィルタを介したCCDカメラで赤外線パルスの反射光を撮像する(例えば特許文献1)。この従来装置は、CCDカメラの電子シャッタの開閉の間隔を赤外線パルス光の位相と同期させ、対向車両の赤外線パルス光の位相と自車両の赤外線パルス光の位相とをずらすことにより、ハレーションを回避するものである。
本願発明に関連する先行技術文献としては次のものがある。
【特許文献1】
特開2001−253309号公報
【特許文献2】
特開2001−313850号公報
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来装置は、既存の前照灯装置とは別に赤外線パルスレーザの照射装置が必要であるとともに、赤外線パルス光およびCCDカメラのシャッタ間隔の正確な制御が要求されるため、実用性に問題がある。
本発明は、カメラのハレーション発生を簡潔な構成で回避することのできる車両用暗視システムおよび車両用前照灯装置を提供する。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明による車両用暗視システムは、第1の赤外波長領域の照射光を少なくとも照射する第1の灯具と、第1の赤外波長領域とは異なる第2の赤外波長領域の照射光を少なくとも照射する第2の灯具と、第1および第2の灯具のいずれか一方を選択する照射選択手段と、第1の赤外波長領域の照射光が車両前方の反射物体から反射する第1の反射光および第2の赤外波長領域の照射光が車両前方の反射物体から反射する第2の反射光のいずれか一方を選択する受光選択手段と、選択手段で選択された反射光を受光する撮像手段と、撮像手段で撮像された反射物体の画像を表示する表示手段とを備える。
本発明による車両用前照灯装置は、第1の光源と、すれ違いビーム配光用の反射領域および走行ビーム配光用の反射領域を有する第1の反射鏡とを備える第1灯具と、第2の光源と、すれ違いビーム配光用の反射領域および走行ビーム配光用の反射領域を有する第2の反射鏡とを備える第2灯具とを備え、第1灯具は、すれ違いビームとして第1の光源の可視光を前記すれ違いビーム配光用反射領域に照射し、同時に、暗視装置用赤外光として記第1の光源の赤外光を前記走行ビーム配光用反射領域に照射し、第2灯具は、すれ違いビームとして第2の光源の可視光をすれ違いビーム配光用反射領域に照射し、同時に暗視装置用赤外光として第2の光源の赤外光を走行ビーム配光用反射領域に照射する第1形態と、走行ビームとして第2の光源の可視光を走行ビーム配光用反射領域に照射する第2形態とを有し、第1形態と第2形態とを切り換え可能である。
また、本発明による車両用前照灯装置は、第1の光源と、すれ違いビーム配光用の反射領域および走行ビーム配光用の反射領域を有する第1の反射鏡と、第1の光源からの光を遮断する遮光部材とを備える第1灯具と、第2の光源と、走行ビーム配光用の反射領域を有する第2の反射鏡とを備える第2灯具とを備え、第1灯具は、すれ違いビームとして第1の光源の可視光を前記すれ違いビーム配光用反射領域に照射し、同時に暗視装置用赤外光として第1の光源の赤外光を走行ビーム配光用反射領域に照射する第1形態と、すれ違いビームとして第1の光源の可視光をすれ違いビーム配光用反射領域に照射し、走行ビーム配光用反射領域に照射される第1の光源の前記光を遮断する第2形態とを有し、第1形態と第2形態とを切換可能であり、第2灯具は、暗視装置用赤外光として第2の光源の赤外光を走行ビーム配光用反射領域に照射する第1形態と、走行ビームとして第2の光源の可視光を走行ビーム配光用反射領域に照射する第2形態とを有し、第1形態と第2形態とを切り換え可能である。
【0005】
【発明の効果】
車両用暗視システムは、照射光の赤外波長領域が異なる第1灯具および第2灯具を切り換え、選択された灯具からの反射光を選択して撮像するので、対向車からの照射光とは波長領域の異なる灯具を選択することにより、対向車からの照射光によるハレーションを防止することができる。
車両用前照灯装置は、暗視装置用の光源としても機能し、第1灯具および第2灯具を切り換えることにより、暗視システムを備えた対向車からの照射光によるハレーションを防止する機能を備えながら、使用状況に応じてすれ違いビームと走行ビームを選択することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】
《第1の実施の形態》
図1に、本発明の第1の実施の形態による車両用暗視システムの基本構成を示す。図1に示すように車両用暗視システムは、ランプ光源1Aと、ランプ光源1Bと、ランプ光源1A、1Bの車両前方の光軸上にそれぞれ配置された赤外線バンドパスフィルタ2A、2Bと、反射物体4で反射した反射光を受光する近赤外線カメラ3と、近赤外線カメラ3の車両前方の光軸上に配置された選択式赤外線バンドフィルタ9とを備えている。また、車両用暗視装置は、外部信号8に応じてランプ光源1A、1Bの切換選択、および選択式赤外線バンドパスフィルタ9の切換選択を制御する制御部5と、赤外線カメラ6による撮像画像を表示する表示装置6とを備えている。
【0007】
ランプ光源1A、1Bは、赤外線成分が含まれていれば赤外光および可視光を照射するハロゲン電球、LED電球、または高輝度放電(HID)電球を用いることができる。または、赤外光のみを照射する赤外線専用ランプを用いることもできる。
【0008】
図2に、ハロゲン電球とHID電球の波長に応じた発光スペクトル特性、および赤外線バンドパスフィルタの透過帯域の一例を示す。赤外線バンドパスフィルタ2A、2Bは、それぞれランプ光源1A、1Bから照射された光のうち所定透過帯域に対応する赤外線波長の成分のみを透過する。すなわち、赤外線バンドパスフィルタの透過帯域を図2に破線で示すように設定すると、透過帯域に対応する波長成分の赤外光のみが赤外線バンドパスフィルタを透過する。これにより、ランプ光源1Aの光軸上には、赤外線バンドパスフィルタ2Aを透過する波長成分を有する赤外光Aが照射され、ランプ光源1Bの光軸上には、赤外線バンドパスフィルタ2Bを透過する波長成分を有する赤外光Bが照射される。ここで、ランプ光源1Aと赤外線バンドパスフィルタ2A、およびランプ光源1Bと赤外線バンドパスフィルタ2Bをそれぞれ赤外線照射装置とする。すなわち、車両用暗視システムは波長帯域の異なる2つの赤外線照射装置を備えている。
【0009】
選択式赤外線バンドフィルタ9は、赤外線バンドフィルタ2Aと同様に赤外光Aを透過する透過帯域aを有する赤外線バンドフィルタ9Aと、赤外線バンドフィルタ2Bと同様に赤外光Bを透過する透過帯域bを有する赤外線バンドフィルタ9Bとを備えている。
【0010】
制御部5は、例えばCPUおよびCPU周辺部品からなり、外部トリガ信号8に応じてランプ光源1Aまたはランプ光源1Bを選択するとともに、選択した赤外線照射装置の波長帯域と選択式赤外線バンドパスフィルタ9の透過波長帯域が合致するように、選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換える。ここで、外部トリガ信号8は、例えば運転者のマニュアル操作による信号、表示装置6に設定された輝度しきい値に応じた信号、または車車間通信による対向車両の赤外線照射装置に関する情報とすることができる。
【0011】
図1に示すように、対向車両も同様の車両用暗視システム7(以降、対向車システムとする)を備えているとする。
【0012】
つぎに、車両用暗視システムの動作を説明する。
車車間通信等によって、対向車システム7がランプ光源1Bを選択し、赤外線バンドパスフィルタ2Bを透過する波長帯域bの赤外光Bを照射していると検出されると、これをトリガ信号8として制御部5はランプ光源1Aを選択する。ランプ光源1Aから照射された光は透過波長帯域aの赤外線バンドパスフィルタ2Aを透過し、自車両前方には波長帯域aの赤外光Aのみが照射される。制御部5は、さらに透過帯域aの赤外線バンドパスフィルタ9Aを光軸上に配置するように選択式赤外線バンドパスフィルタ9を制御する。
【0013】
自車両前方に照射された赤外光Aは反射物体4に反射減衰する。反射赤外光Aは透過波長帯域aの赤外線バンドパスフィルタ9Aを透過して、赤外線カメラ3に受光される。赤外線カメラ3で撮像された赤外光画像は、例えば液晶モニタを備える表示装置6に表示され、運転者に提供される。
【0014】
一方、対向車システム7の照射する赤外光Bは赤外線バンドパスフィルタ9Aを透過することができないので、赤外線カメラ3は対向車システム7からの照射赤外光Bを直接受光することがない。これにより、対向車システム7の照射光によるハレーションの発生を抑制することができる。なお、対向車システム7がランプ光源1Aを選択して赤外光Aを照射している場合、制御部5はランプ光源1Bを選択するとともに、赤外線バンドパスフィルタ9Bを光軸上に配置するように選択式バンドパスフィルタ9を制御する。これにより、ハレーションの発生を抑えることができる。
【0015】
また、上述したように制御部5は運転者のマニュアル操作または表示装置6に表示される画像の輝度に応じて、自車両前方に照射する赤外光の波長帯域を選択することができる。
【0016】
このように、以上説明した第1の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)車両用暗視システムは、ランプ光源1Aと赤外線バンドパスフィルタ2Aを有し、第1の赤外波長領域aの照射光を照射する第1の灯具と、ランプ光源1Bと赤外線バンドパスフィルタ2Bを有し、第1の赤外波長領域bの照射光を照射する第2の灯具を備えている。また車両用暗視システムは、近赤外線カメラ3の車両前方側の光軸上に配置された選択式赤外線バンドパスフィルタ9とを備える。選択式赤外線バンドパスフィルタ9は、各ランプ光源1A、1Bから照射され、各赤外線バンドパスフィルタ2A、2Bを透過した赤外光の波長帯域に対応する複数の赤外線バンドパスフィルタ9A、9Bを備えている。制御部5は、同様の暗視システム7を有する対向車からの照射赤外光を検出し、対向車の赤外光の波長帯域とは異なる波長帯域の赤外光を照射するように、ランプ光源1A、1Bを切り換えるとともに、赤外光照射装置から照射される赤外光の波長帯域に対応する赤外線バンドパスフィルタ9A、9Bを選択する。これにより、自車両の灯具から照射され、車両前方の反射物体で反射された赤外光は選択式赤外線バンドパスフィルタ9を透過することができるが、対向車から照射される赤外光は波長帯域が異なるため赤外線バンドパスフィルタ9を透過することができない。その結果、対向車から照射される赤外光による近赤外線カメラ3のハレーションを抑制することができる。また、ランプ光源1A、1Bおよび選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換えて、対向車と自車両の照射する赤外光の波長帯域を異ならせるだけの簡単な構成で、ハレーションを抑制することができる。
(2)ランプ光源1A、1Bとしては、赤外光および可視光を同時に照射する光源や、赤外光のみを照射する光源を用いることができるので、既存のランプ光源や前照灯装置を利用して暗視システムを実現することができ、実用性が向上する。
【0017】
《第2の実施の形態》
本発明の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。第2の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態の車両用暗視システムにランプ光源として用いられるヘッドランプ装置について説明する。第2の実施の形態によるヘッドランプ装置は、図3(a)(b)に示すように4つの灯具を備える4灯式である。図4にすれ違いビーム用の第1灯具M1の一部断面図を示し、図5(a)(b)にすれ違いビームと走行ビームを兼用する第2灯具N1の一部断面図を示す。
【0018】
まず、図4を用いて第1灯具M1の構成について説明する。第1灯具M1は、例えば図3(a)(b)の位置30に設置される。
【0019】
図4に示すように、第1灯具M1は、HID管球11Aと、すれ違いビームの配光パターンを生成する反射鏡12と、走行ビームの配光パターンを生成する反射鏡13と、HID管球11Aの周囲に配置されたフィルター部材14Aと、HID管球11Aからの直射光を遮光する直射光遮光部材17とを備えている。また、第1灯具M1は、レンズ18、HID管球11Aに蒸着され、完全に光を遮断するカットライン部材23および灯室等を備えている。なお、反射鏡12,13の配光パターンによってはカットライン部材23を省略することもできる。
【0020】
図6に、HID管球11Aの発光スペクトル強度特性100Aおよび後述する赤外光透過部材16Aの透過特性200Aを示す。HID管球は、放電管に封入された封入物質を放電によって発光させるため、封入物質の選択によって発光波長および強度を制御することが可能である。HID管球11Aは、封入物質の発光特性に応じて、図6に示すような輝線スペクトルの形態を示す。
【0021】
フィルタ部材14は、可視光透過部材15と、可視光は遮断し、特定波長帯域の赤外光のみを透過する赤外光透過部材16Aとから構成される。赤外光透過部材16Aは図6に示す透過特性200Aを有する赤外線バンドパスフィルタであり、HID管球11Aの赤外光領域における強い発光スペクトル波長領域のみを透過する。ここで、赤外光透過部材16Aを透過する波長帯域aの赤外光を、赤外光Aとする。なお、HID管球11Aは、赤外光領域において発光スペクトル強度の高い波長帯域に対応する赤外線バンドパスフィルタを介して光を照射する場合、一般的なハロゲン電球に比べて照射エネルギー効率がよい。
【0022】
つぎに、図5(a)(b)を用いて第2灯具N1の構成について説明する。第2灯具N1は、例えば図3(a)(b)の位置31に設置される。なお、図5(a)(b)に示す第2灯具N1において、図4の第1灯具M1と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0023】
図5(a)(b)に示すように、第2灯具N1は、HID管球11Bと、すれ違いビームの配光パターンを生成する反射鏡12と、走行ビームの配光パターンを生成する反射鏡13と、HID管球11Bの周囲に配置された可動式フィルター部材14Bと、HID管球11Bからの直射光を遮光する直射光遮光部材17と、レンズ18と、HID管球11Bに蒸着され、完全に光を遮断するカットライン部材23および灯室等を備えている。
【0024】
図7に、HID管球11Bの発光スペクトル強度特性100Bおよび後述する赤外光透過部材16Bの透過特性200Bを示す。図7に示すようにHID管球11Bは、HID管球11Aとは赤外光領域での特性が異なる発光スペクトル強度特性100Bを有する。フィルタ部材14Bは、可視光透過部材15と、可視光は遮断し、特定波長帯域の赤外光のみを透過する赤外光透過部材16Bとから構成される。赤外光透過部材16Bは図7に示す透過特性200Bを有する赤外線バンドパスフィルタであり、HID管球11Bの赤外光領域における強い発光スペクトル波長領域のみを透過する。すなわち、第1灯具M1の赤外光透過部材16Aと第2灯具の赤外光透過部材16Bとでは、赤外光の透過波長帯域が異なる。ここで、赤外光透過部材16Bを透過する波長帯域bの赤外光を、赤外光Bとする。フィルタ部材14Bは、モータとギア機構からなる回転機構140によりHID管球11Bを中心として回動可能に構成されている。
【0025】
次に、第1灯具M1および第2灯具N1の動作を説明する。
図4に示した第1灯具M1は、すれ違いビーム専用に使用する灯具であり、暗視システムの光源としても用いることができる。図4に実線の光軸L1で示すように、HID管球11Aの光源から照射され、フィルタ部材14Aの可視光透過部材15を透過した光は、すれ違いビーム配光用反射鏡12で反射する。反射鏡12で反射された光は、赤外光Aの波長成分も含んだ通常の可視光のすれ違いビームとして車両前方の近傍に照射される。可視光透過部材15の領域は、すれ違いビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応している。
【0026】
一方、破線の光軸L2で示すように、HID管球11Aの光源から照射され、赤外光透過部材16Aを透過した光は、赤外光透過部材16Aの透過帯域に対応する赤外線波長帯域aの波長成分の赤外光Aのみである。赤外光Aは、走行ビーム配光用反射鏡13に反射し、すれ違いビーム照射時には可視光が照射されない車両前方の遠方(走行ビーム照射領域に相当)に照射される。車両前方の遠方に赤外光Aを照射することで、第1灯具M1は暗視システムの光源ランプとしても機能する。赤外光透過部材16Aの領域は、走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域に対応している。HID管球11Aの光源から直接前方に照射された直射光は、遮光部材17によって遮光され、車両前方に照射されることはない。
【0027】
図5(a)(b)に示す第2灯具N1は、すれ違いビーム用灯具または走行ビーム用灯具として用いられるとともに、暗視システムのランプ光源としても用いることができる。図5(a)には、第2灯具N1をすれ違いビーム用灯具および暗視システムの光源ランプとして用いる場合の第1形態を示し、図5(b)には第2灯具N1を走行ビーム用灯具および暗視システムの光源ランプとして用いる場合の第2形態を示している。
【0028】
まず、第2灯具N1の第1形態について説明する。図5(a)に実線の光軸L1で示すように、HID管球11Bの光源より照射され、可動式フィルター部材14Bの可視光透過部材15を透過した光は、すれ違いビーム配光用反射鏡12に反射する。反射鏡12で反射された光は、赤外光Bの波長成分も含んだ通常の可視光のすれ違いビームとして車両前方の近傍に照射される。可視光透過部材15の領域は、すれ違いビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応している。
【0029】
一方、破線の光軸L2で示すように、HID管球11Bの光源より照射され、赤外光透過部材16Bを透過した光は、赤外光透過部材16Bの透過帯域に対応する赤外線波長帯域bの波長成分の赤外光Bのみである。赤外光Bは、走行ビーム配光用反射鏡13に反射し、すれ違いビーム照射時には可視光が照射されない車両前方の遠方(走行ビーム照射領域に対応)に照射される。車両前方の遠方に赤外光Bを照射することで、第2灯具N1は暗視システムの光源ランプとしても機能する。赤外光透過部材16Bの領域は、走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域に対応している。HID管球11Bの光源から直接前方に照射された直射光は、遮光部材17によって遮光され、車両前方に照射されることはない。
【0030】
このように、第2灯具N1の第1形態は、図4に示す第1灯具M1と同様にすれ違いビームとして可視光を車両前方の近傍に照射するが、走行ビームに相当する領域に照射する赤外光の波長成分は、第1灯具M1とは異なる。
【0031】
第2灯具N1の第2形態について説明する。図5(b)に示す第2灯具N1の第2形態は、回転機構140の駆動により可動式フィルター14Bを回転し、すれ違いビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応する上部に赤外光透過部材16Bを、走行ビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応する下部に可視光透過部材15を配置する。これにより、図5(a)に示す第1形態に対して可視光透過部材15と赤外光透過部材16Bの配置を反転させる。
【0032】
図5(b)に実線の光軸L2で示すように、HID管球11Bの光源より照射され、可動式フィルター部材14Bの可視光透過部材15を透過した光は、走行ビーム配光用反射鏡13に反射する。反射鏡13で反射した光は、赤外光Bも含んだ通常の可視光の走行ビームとして車両前方の遠方に照射される。
【0033】
一方、破線の光軸L1で示すように、HID管球11Bの光源から照射され赤外光透過部材16Bを透過した光は、赤外線波長帯域bの波長成分の赤外光Bのみである。赤外光Bはすれ違いビーム配光用反射鏡12に反射し、すれ違いビーム照射領域に相当する車両前方の近傍に照射される。すれ違いビーム照射領域に照射される赤外光Bは、可視光の走行ビームによる運転にはなんら悪影響を及ぼさない。
【0034】
次に、第2灯具N1に設けられる可動式フィルター部材14Bについて図8(a)(b)を用いて説明する。図8(a)は、図5(a)に示す第1形態における可動式フィルタ14BのA―A断面図を示し、図8(b)は、図5(b)に示す第2形態における可動式フィルタ14BのA−A断面図を示している。
【0035】
可動式フィルター部材14Bは、HID管球11Bの周囲に配置され、HID管球11Bの軸方向に延在する2種類の円筒状フィルター部材40,41を備えている。フィルタ部材40、41は、回転機構140の駆動によりHID管球11Bを中心としてそれぞれ回動することができる。図9に、反射鏡12,13の反射領域を車両前方側からみた図を示す。すれ違いビームの照射領域は車両中心線に対して左右非対称であり、すれ違いビーム配光用反射鏡12と走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域は、それぞれ図12に示すように設定される。図8(a)(b)に示すフィルタ部材40,41の領域Dは、HID管球11Bの光源を中心として180+α°分の範囲であり、すれ違いビーム配光用反射鏡12に対応している。すなわち、可動式フィルタ部材14Bの領域Dを透過した光が、すれ違いビーム配光用反射鏡12に照射されるように構成されている。
【0036】
フィルタ部材40,41は、それぞれ可視光を遮断し波長帯域bの波長成分の赤外光Bのみを透過する赤外線バンドパスフィルタ16Bと、可視光を透過する可視光透過部材15とから構成される。赤外線バンドパスフィルタ16Bおよび可視光透過部材15の構成比率は、フィルタ部材40,41で異なる。フィルタ部材40は、180−α°分の範囲に赤外光透過部材16Bを有し、フィルタ部材41は、2α°分の範囲に赤外光透過部材16Bを有している。
【0037】
図8(a)に示すように、第1形態においては、外側のフィルタ部材40の赤外光透過部材16Bを走行ビーム配光用反射鏡13に対応させるとともに、内側のフィルタ部材41の赤外光透過部材16Bをフィルタ部材40の赤外光透過部材16Bに重ね合わせる。このとき、フィルタ部材40,41の可視光透過部材15が、すれ違いビーム配光用反射鏡12に対応する領域Dを構成する。
【0038】
図8(b)に示すように、第2形態においては、第1形態に対してフィルタ部材40を180±α°回転させるとともに、フィルタ部材41を図示時計回りに2α°回転させる。これにより、赤外光透過部材16Bがすれ違いビーム配光用反射鏡12に対応する領域Dを構成するように設定され、第1形態と第2形態とが切り換わる。
【0039】
なお、すれ違いビーム配光用反射鏡12および走行ビーム配光用反射鏡13を図10に示すように上下対称に設定し、反射鏡12,13を複数のセグメントに分割して複合反射面として構成することによりすれ違いビームと走行ビームの配光を生成することもできる。この場合は、可動式フィルタ部材14Bを1つの円筒状フィルタ部材から構成し、赤外光透過部材16Bと可視光透過部材15の構成比率を半々とする。そして円筒状フィルタ部材を180°回転することにより、第1形態と第2形態との切換選択を行う。
【0040】
図11の(1)に、以上説明した第2の実施の形態による第1灯具M1と第2灯具N1の使用状況に応じた選択方法を示す。すれ違いビームにより走行する場合は、図4に示す第1灯具M1または図5(a)に示す第2灯具N1の第1形態を使用する。第1灯具M1を使用する場合、第2灯具N1はオフする。このとき、第1灯具M1は暗視システムの光源として波長帯域aの波長成分の赤外光Aを走行ビーム照射領域に照射する。また、第2灯具N1の第1形態を使用する場合は、第1灯具M1はオフする。このとき、第2灯具N1の第1形態は暗視システムの光源として波長帯域bの波長成分の赤外光Bを走行ビーム照射領域に照射する。なお、走行ビームにより走行する場合は、第2灯具N1の第2形態のみを使用する。
【0041】
すれ違いビーム運転時の第1灯具M1と第2灯具N1との切換選択は、上述した第1の実施の形態の制御部5により制御される。制御部5は、例えば車車間通信等により同様の暗視システム7を有する対向車の照射赤外光を検出し、対向車の照射赤外光と異なる赤外光を照射する灯具を選択する。また、制御部5は、選択した灯具から照射される赤外光を透過するよう選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換える。これにより、対向車からの照射赤外光による受光カメラ3のハレーションを回避する。
【0042】
第1灯具M1または第2灯具N1から照射され、反射物体4で反射して対応する赤外線バンドパスフィルタ9A、9Bを透過した赤外光は、受光カメラ3により撮像され、表示装置6に表示される。これにより、すれ違いビーム照射時に車両前方の遠方の赤外線画像を運転者等に提供する。
【0043】
このように、以上説明した第2の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)第1灯具M1および第2灯具N1は、すれ違いビーム配光用反射鏡12と走行ビーム配光用反射鏡13とを備える。第1灯具は、すれ違いビームとしてHID管球11A(第1の光源)の可視光を反射鏡12に照射するとともに、暗視装置用赤外光として、HID管球11Aの赤外光を反射鏡13に照射する。また、第2灯具N1は、すれ違いビームとしてHID管球11B(第2の光源)の可視光を反射鏡12に照射するとともに、暗視装置用赤外光として、HID管球11Bの赤外光を反射鏡13に照射する第1形態と、走行ビームとしてHID管球11Bの可視光を反射鏡13に照射する第2形態とを有する。このように、既存の4灯式前照灯装置を暗視装置用のランプ光源として利用することができるので、すれ違いビームおよび走行ビームと兼用できる暗視装置を実現することができる。
(2)すれ違いビームおよび暗視装置用の赤外光を照射するときは、第1灯具M1、または第2灯具N1の第1形態を選択する。第1灯具M1と第2灯具N1から照射される赤外光の波長帯域は異なるため、走行ビーム照射領域に照射する赤外光の波長帯域を変化させることができる。対向車から照射される赤外光に応じて第1灯具M1と第2灯具N1とを切り換え、さらに近赤外線カメラ3の光軸上に配置された選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換えることにより、対向車からの赤外光によるハレーションを抑制することができる。
【0044】
《第3の実施の形態》
つぎに、本発明の第3の実施の形態を図面を用いて説明する。第3の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態の車両用暗視システムに用いられるヘッドランプ装置について説明する。第3の実施の形態によるヘッドランプ装置は、上述した第2の実施の形態と同様に4つの灯具を備える4灯式である。ここでは、第2の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0045】
図3(a)(b)の位置30に配置される第1灯具M1の構成およびその動作は、第2の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0046】
図12(a)(b)にすれ違いビームと走行ビームを兼用する第2灯具N2の一部断面図を示す。第2灯具N2は、例えば図3(a)(b)の位置31に設置される。図12(a)(b)に示すように、第2灯具N2は、HID管球11Bと、すれ違いビームの配光パターンを生成する反射鏡12と、走行ビームの配光パターンを生成する反射鏡13と、HID管球11Bの周囲に配置された可動式フィルター部材19と、直射光遮光部材17と、レンズ18と、カットライン部材23および灯室等を備えている。
【0047】
HID管球11Bは、第1灯具M1のHID管球11Aとは赤外線領域での特性が異なる発光スペクトル強度特性100Bを有する(図7参照)。反射鏡12,13は、図12(a)(b)に示すように、同一の反射鏡として構成されている。これは、各セグメントの配光設計により同一の反射鏡の内側、すなわちHID管球11B側をすれ違いビーム配光用の反射領域とし、外側を走行ビーム配光用の反射領域として使用する。なお、HID管球11Bの下側の領域には反射鏡12,13は配置されていない。
【0048】
可動式フィルター部材19は、可視光は遮断し特定波長帯域の赤外光のみ透過する赤外光透過部材16Bを備えている。赤外光透過部材16Bは、図7に示す透過特性200Bを有し、HID管球11Bの赤外線領域における強い発光スペクトル波長領域bのみを透過する赤外線バンドパスフィルターである。したがって、第1灯具M1の赤外光透過部材16Aと第2灯具N2の赤外光透過部材16Bとでは赤外線の透過波長帯が異なる。可動式フィルタ19は、ソレノイド190の駆動によりHID管球11Bの軸方向、すなわち前後方向に摺動可能に構成されている。
【0049】
次に、第2灯具N2の動作を説明する。
図12(a)(b)に示す第2灯具N2は、すれ違いビーム用灯具および暗視システムのランプ光源として、または走行ビーム用灯具として用いられる。図12(a)には、第2灯具N2をすれ違いビーム用灯具および暗視システムの光源ランプとして用いる場合の第1形態を示し、図12(b)には第2灯具N2を走行ビーム用灯具として用いる場合の第2形態を示している。
【0050】
まず、第2灯具N2の第1形態について説明する。図12(a)に実線の光軸L4で示すように、HID管球11Bの光源より照射された光は、可動式フィルター部材19が介在することなく、すれ違いビーム配光用反射鏡12に直接照射する。反射鏡12で反射した光は、赤外光Bも含む通常の可視光のすれ違いビームとして車両前方の近傍に照射される。ここで、フィルタ部材19によって光の波長成分がカットされない開放領域は、すれ違いビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応している。
【0051】
一方、破線の光軸L3で示すように、HID管球11Bから照射され、可動式フィルター部材19の赤外光透過部材16Bを透過した光は、赤外線波長帯域bの波長成分の赤外光Bのみである。赤外光Bは、走行ビーム配光用反射鏡13に反射し、すれ違いビーム運転時には可視光が照射されない走行ビーム照射領域に相当する車両前方の遠方に照射される。車両前方の遠方に赤外光Bを照射することにより、第2灯具N2の第1形態は暗視システムのランプ光源としても機能する。可動式フィルター部材19の赤外光透過部材16Bの領域は、走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域に対応している。光源から直接前方に照射された直射光は、遮光部材17によって遮光され、車両前方に照射されることはない。
【0052】
このように、第2灯具N2の第1形態は、図4に示す第1灯具M1と同様にすれ違いビームとして可視光を車両前方の近傍に照射するが、走行ビームに相当する領域に照射する赤外光の波長成分は、第1灯具M1とは異なる。
【0053】
第2灯具N2の第2形態について説明する。図12(b)に示すように、ソレノイド190の駆動により、第1形態に対して可動式フィルター部材19を前方に摺動させる。図12(b)に実線の光軸L3及びL4で示すように、HID管球11Bの光源より照射された光は、可動式フィルター部材19によって波長成分がカットされず全て開放状態となり、すれ違いビーム配光用反射鏡12と走行ビーム配光用反射鏡13に照射する。反射鏡12,13で反射した光は、赤外光Bも含む通常の可視光のすれ違いビームおよび走行ビームとして車両前方に照射される。
【0054】
図11の(2)に、以上説明した第3の実施の形態による第1灯具M1と第2灯具N2の使用状況に応じた選択方法を示す。すれ違いビームにより走行する場合は、図4に示す第1灯具M1または図12(a)に示す第2灯具N2の第1形態を使用する。第1灯具M1を使用する場合、第2灯具N1はオフする。このとき、第1灯具M1は暗視システムの光源として波長帯域aの波長成分の赤外光Aを走行ビーム照射領域に照射する。また、第2灯具N2の第1形態を使用する場合は、第1灯具M1はオフする。このとき、第2灯具N2の第1形態は暗視システムの光源として波長帯域bの波長成分の赤外光Bを走行ビーム照射領域に照射する。なお、走行ビームにより走行する場合は、第2灯具N2の第2形態のみを使用する。
【0055】
すれ違いビーム運転時の第1灯具M1と第2灯具N2との切換選択は、上述した第1の実施の形態の制御部5により制御される。制御部5は、例えば車車間通信等により同様の暗視システム7を有する対向車の照射赤外光を検出し、対向車の照射赤外光と異なる赤外光を照射する灯具を選択する。また、制御部5は、選択した灯具から照射される赤外光を透過するよう選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換える。これにより、対向車からの照射赤外光による受光カメラ3のハレーションを回避する。
【0056】
第1灯具M1または第2灯具N2から照射され、反射物体4で反射して対応する赤外線バンドパスフィルタ9A、9Bを透過した赤外光は、受光カメラ3により撮像され、表示装置6に表示される。これにより、すれ違いビーム照射時に車両前方の遠方の赤外線画像を運転者等に提供する。
【0057】
このように、以上説明した第3の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)第1灯具M1および第2灯具N2は、すれ違いビーム配光用反射鏡12と走行ビーム配光用反射鏡13とを備える。第1灯具M1は、すれ違いビームとしてHID管球11A(第1の光源)の可視光を反射鏡12に照射するとともに、暗視装置用赤外光として、HID管球11Aの赤外光を反射鏡13に照射する。また、第2灯具N2は、すれ違いビームとしてHID管球11B(第2の光源)の可視光を反射鏡12に照射するとともに、暗視装置用赤外光として、HID管球11Bの赤外光を反射鏡13に照射する第1形態と、走行ビームとしてHID管球11Bの可視光を反射鏡13に照射する第2形態とを有する。このように、既存の4灯式前照灯装置を暗視装置用のランプ光源として利用することができるので、すれ違いビームおよび走行ビームと兼用できる暗視装置を実現することができる。
(2)すれ違いビームおよび暗視装置用の赤外光を照射するときは、第1灯具M1、または第2灯具N2の第1形態を選択する。第1灯具M1と第2灯具N2から照射される赤外光の波長帯域は異なるため、走行ビーム照射領域に照射する赤外光の波長帯域を変化させることができる。対向車から照射される赤外光に応じて第1灯具M1と第2灯具N2とを切り換え、さらに近赤外線カメラ3の光軸上に配置された選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換えることにより、対向車からの赤外光によるハレーションを抑制することができる。
【0058】
《第4の実施の形態》
本発明の第4の実施の形態を図面を用いて説明する。第4の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態の車両用暗視システムに用いられるヘッドランプ装置について説明する。第4の実施の形態によるヘッドランプ装置は、図3(a)(b)に示すように4つの灯具を備える4灯式である。図13(a)(b)にすれ違いビーム用の第1灯具M2の一部断面図を示し、図14(a)(b)に走行ビーム用の第2灯具N3の一部断面図を示す。ここでは、上述した第2の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0059】
まず、図13(a)(b)を用いて第1灯具M2の構成について説明する。第1灯具M2は、例えば図3(a)(b)の位置30に設置される。
【0060】
図13(a)(b)に示すように、第1灯具M2は、図6に示す発光スペクトル強度特性100Aを有するHID管球11Aと、すれ違いビームの配光パターンを生成する反射鏡12と、走行ビームの配光パターンを生成する反射鏡13と、HID管球11Aの周囲に配置された可動式フィルター部材20と、HID管球11Aからの直射光を遮光する直射光遮光部材17と、レンズ18、カットライン部材23および灯室等を備えている。
【0061】
反射鏡12,13は、同一の反射鏡として構成されており、各セグメントの配光設計により同一の反射鏡の内側、すなわちHID管球11A側をすれ違いビーム配光用の反射領域とし、外側を走行ビーム配光用の反射領域として使用する。なお、HID管球11Aの下側の領域には反射鏡12,13は配置されない。
【0062】
可動式フィルタ部材20は、可視光および赤外光を遮断する遮光部材21と、可視光は遮断し、特定波長帯域の赤外光のみを透過する赤外光透過部材16Aとから構成される。赤外光透過部材16Aは図6に示す透過特性200Aを有する赤外線バンドパスフィルタであり、HID管球11Aの赤外光領域における強い発光スペクトル波長領域aのみを透過する。可動式フィルタ部材20は、モータとギア機構からなる回転機構200によりHID管球11Aを中心として回動可能に構成されている。
【0063】
つぎに、図14(a)(b)を用いて第2灯具N3の構成について説明する。第2灯具N3は、例えば図3(a)(b)の位置31に設置される。なお、図14(a)(b)に示す第2灯具N3において、図13(a)(b)の第1灯具M2と同じ機能を有する部分には同一の符号を付している。
【0064】
図14(a)(b)に示すように、第2灯具N3は、第1灯具M2のHID管球11Aとは異なる発光スペクトル強度特性100B(図7参照)を有するHID管球11Bと、走行ビームの配光パターンを生成する反射鏡13と、HID管球11Bの周囲に配置された可動式フィルター部材19と、直射光遮光部材17と、レンズ18および灯室等を備えている。なお、HID管球11Bの下側には反射鏡は配置されていない。
【0065】
可動式フィルタ部材19は、可視光は遮断し、特定波長帯域の赤外光のみを透過する赤外線透過部材16Bを備えている。赤外線透過部材16Bは、図7に示す透過特性200Bを有し、HID管球11Bの赤外光領域における強い発光スペクトル波長領域bのみを透過する赤外線バンドパスフィルタである。すなわち、第1灯具M2の赤外光透過部材16Aと第2灯具N3の赤外光透過部材16Bとでは赤外光の透過波長帯域が異なる。可動式フィルタ部材19は、ソレノイド190の駆動により、HID管球11Bの軸方向、すなわち前後方向に摺動可能に構成されている。
【0066】
次に、第1灯具M2および第2灯具N3の動作を説明する。
図13(a)(b)に示す第1灯具M2は、すれ違いビーム用灯具および暗視システムのランプ光源として、またはすれ違いビーム専用灯具として用いられる。図13(a)には、第1灯具M2をすれ違いビーム用灯具および暗視システムの光源ランプとして用いる場合の第1形態を示し、図13(b)には第1灯具M2をすれ違いビーム用灯具として用いる場合の第2形態を示している。
【0067】
まず、第1灯具M2の第1形態について説明する。図13(a)に実線の光軸L4で示すように、HID管球11Aの光源より照射された光のうち、可動式フィルター部材20で遮光されない光は、すれ違いビーム配光用反射鏡12に直接照射する。反射鏡12で反射された光は、赤外光Aも含んだ通常の可視光のすれ違いビームとして車両前方の近傍に照射される。ここで、可動式フィルタ部材20の開放領域は、すれ違いビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応している。
【0068】
一方、破線の光軸L3で示すように、HID管球11Aから照射され、可動式フィルター部材20の赤外光透過部材16Aを透過した光は、赤外線波長帯域aの波長成分の赤外光Aのみである。赤外光Aは、走行ビーム配光用反射鏡13に反射し、すれ違いビーム運転時には可視光が照射されない走行ビーム照射領域に相当する車両前方の遠方に照射される。赤外光Aを車両前方の遠方に照射することで、第1灯具M2は暗視システムのランプ光源としても機能する。赤外光透過部材16Aの領域は、走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域に対応している。HID管球11Aの光源から直接前方に照射された直射光は、遮光部材17によって遮光され、車両前方に照射されることはない。
【0069】
第1灯具M2の第2形態について説明する。第2形態では、回転機構200の駆動により可動式フィルタ部材20を回転し、遮光部材21を走行ビーム配光用反射鏡13に対応する領域に配置する。図13(b)に実線の光軸L4で示すように、HID管球11Aの光源より照射された光のうち、可動式フィルター部材20で遮光されない光は、すれ違いビーム配光用反射鏡12に直接照射する。反射鏡12で反射された光は、赤外光Aも含んだ通常の可視光のすれ違いビームとして車両前方の近傍に照射される。ここで、フィルタ部材20の開放領域は、すれ違いビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応している。
【0070】
一方、点線の光軸L3で示すように、HID管球11Aから照射され、可動式フィルター部材20の遮光部材21に到達した光は、完全に遮光される。これにより、走行ビーム照射領域に相当する車両前方の遠方には、可視光のみならず赤外光Aも照射されることはない。
【0071】
このように、第1灯具M2の第1形態と第2形態では、可視光のすれ違いビームとしては全く同じ機能を備える。ただし、第1灯具M2は、第1形態では暗視システムの光源として走行ビーム照射領域に赤外光Aを照射し、第2形態では赤外光Aを走行ビーム照射領域に照射しないように構成されている。
【0072】
なお、図13(a)(b)に示すように複合反射面の配光設計によりすれ違いビーム及び走行ビーム配光を生成するように反射鏡12及び13の反射領域を上部半分の反射鏡で設定した場合、可動式フィルター部材20は、赤外光透過部材16Aと遮光部材21の構成比率を上下半々とし、可動式フィルタ部材20を180°回転することで第1形態と第2形態とを切換選択することができる。
【0073】
図14(a)(b)に示す第2灯具N3は、暗視システムのランプ光源専用灯具として、または走行ビーム専用灯具として用いられる。図14(a)には、第2灯具N3を暗視システムのランプ光源として用いる場合の第1形態を示し、図14(b)には第2灯具N3を走行ビーム用灯具として用いる場合の第2形態を示している。
【0074】
まず、第2灯具N3の第1形態について説明する。図14(a)に破線の光軸L3で示すように、HID管球11Bの光源より照射された光は、可動式フィルター部材19の赤外光透過部材16Bを透過し、走行ビーム配光用反射鏡13に照射する。反射鏡13で反射された光は、波長帯域bの波長成分を有する赤外光Bのみであり、走行ビーム照射領域に相当する車両前方の遠方に赤外光Bのみが照射される。可動式フィルター部材19の領域は、走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域に対応している。HID管球11Bの光源から直接前方に照射された直射光は、遮光部材17によって遮光され、車両前方に照射されることはない。
【0075】
つぎに、第2灯具N3の第2形態について説明する。第2形態は、ソレノイド190の駆動により、第1形態に対して可動式フィルター部材19を前方に摺動させる。図14(b)に実線の光軸L3で示すように、HID管球11Bの光源より照射された光は、可動式フィルター部材19を介在せず、すなわち波長成分がカットされずに全て開放状態となり、走行ビーム配光用反射鏡13に照射する。反射鏡13で反射された光は、赤外光Bも含んだ通常の可視光の走行ビームとして車両前方の遠方に照射される。可動式フィルタ部材19の開放領域は、走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域に対応している。
【0076】
図11の(3)に、以上説明した第4の実施の形態による第1灯具M2と第2灯具N3の使用状況に応じた選択方法を示す。すれ違いビームにより走行する場合は、図13(a)に示す第1灯具M2の第1形態、または図13(b)に示す第1灯具M2の第2形態および図14(a)に示す第2灯具N3の第1形態を使用する。第1灯具M2の第1形態を使用する場合、第2灯具N3はオフする。このとき、第1灯具M2は暗視システムの光源として波長帯域aの波長成分の赤外光Aを走行ビーム照射領域に照射する。また、第1灯具M2の第2形態および第2灯具N3の第1形態を使用する場合、第2灯具N3の第1形態は暗視システムの光源として波長帯域bの波長成分の赤外光Bを走行ビーム照射領域に照射する。なお、走行ビームにより走行する場合は、第2灯具N3の第2形態のみを使用する。
【0077】
すれ違いビーム運転時の第1灯具M2と第2灯具N3との切換選択は、上述した第1の実施の形態の制御部5により制御される。制御部5は、例えば車車間通信等により同様の暗視システム7を有する対向車の照射赤外光を検出し、対向車の照射赤外光と異なる赤外光を照射する灯具を選択する。また、制御部5は、選択した灯具から照射される赤外光を透過するよう選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換える。これにより、対向車からの照射赤外光による受光カメラ3のハレーションを回避する。
【0078】
第1灯具M2または第2灯具N3から照射され、反射物体4で反射して対応する赤外線バンドパスフィルタ9A、9Bを透過した赤外光は、受光カメラ3により撮像され、表示装置6に表示される。これにより、すれ違いビーム照射時に車両前方の遠方の赤外線画像を運転者等に提供する。
【0079】
このように、以上説明した第4の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)第1灯具M2は、すれ違いビーム配光用反射鏡12と、走行ビーム配光用反射鏡13と、遮光部材21とを備える。第2灯具N3は、走行ビーム配光用反射鏡13を備えている。第1灯具M2は、すれ違いビームとしてHID管球11A(第1の光源)の可視光を反射鏡12に照射する第1形態と、反射鏡13に照射されるHID管球11Aの光を遮断する第2形態とを有する。また、第2灯具N3は、暗視装置用赤外光としてHID管球11B(第2の光源)の赤外光を反射鏡13に照射する第1形態と、走行ビームとしてHID管球11Bの可視光を反射鏡13に照射する第2形態とを有する。このように、既存の4灯式前照灯装置を暗視装置用のランプ光源として利用することができるので、すれ違いビームおよび走行ビームと兼用できる暗視装置を実現することができる。
(2)すれ違いビームおよび暗視装置用の赤外光を照射するときは、第1灯具M2の第1形態、または第1灯具M2の第2形態および第2灯具N3の第1形態を選択する。第1灯具M2と第2灯具N3から照射される赤外光の波長帯域は異なるため、走行ビーム照射領域に照射する赤外光の波長帯域を変化させることができる。対向車から照射される赤外光に応じて第1灯具M2と第2灯具N3とを切り換え、さらに近赤外線カメラ3の光軸上に配置された選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換えることにより、対向車からの赤外光によるハレーションを抑制することができる。
【0080】
《第5の実施の形態》
本発明の第5の実施の形態を図面を用いて説明する。第5の実施の形態においては、上述した第1の実施の形態の車両用暗視システムに用いられるヘッドランプ装置について説明する。第5の実施の形態によるヘッドランプ装置は、図3(a)(b)に示すように4つの灯具を備える4灯式である。ここでは、第4の実施の形態との相違点を主に説明する。
【0081】
図3(a)(b)の位置31に配置される第2灯具N3の構成およびその動作は、図14(a)(b)に示す第4の実施の形態と同様であるので、説明を省略する。
【0082】
図15(a)(b)にすれ違いビーム用の第1灯具M3の一部断面図を示す。第1灯具M3は、例えば図3(a)(b)の位置30に設置される。図15(a)(b)に示すように、第1灯具M3は、図6に示す発光スペクトル強度特性100Aを有するHID管球11Aと、すれ違いビームの配光パターンを生成する反射鏡12と、走行ビームの配光パターンを生成する反射鏡13と、HID管球11Aの周囲に配置された可動式フィルター部材19と、HID管球11Aの周囲に配置された可動式シェード部材22と、直射光遮光部材17と、レンズ18と、カットライン部材23および灯室等を備えている。なお、HID管球11Aの下側の領域には反射鏡12,13は配置されていない。
【0083】
反射鏡12,13は、同一の反射鏡として構成されており、各セグメントの配光設計により同一の反射鏡の内側、すなわちHID管球11A側をすれ違いビーム配光用の反射領域とし、外側を走行ビーム配光用の反射領域として使用する。
【0084】
可動式フィルタ部材19は、可視光は遮断し、特定波長帯域の赤外光のみを透過する赤外光透過部材16Aから構成される。赤外光透過部材16Aは図6に示す透過特性200Aを有する赤外線バンドパスフィルタであり、HID管球11Aの赤外光領域における強い発光スペクトル波長領域aのみを透過する。可動式フィルタ部材19は、ソレノイド190の駆動によりHID管球11Aの軸方向、すなわち前後方向に摺動可能に構成されている。
【0085】
可動式シェード部材22は、可視光も赤外光も遮断する遮光部材21から構成される。可動式シェード部材22は、ソレノイド220の駆動によりHID管球11Aの軸方向、すなわち前後方向に摺動可能に構成されている。
【0086】
次に、第1灯具M3の動作を説明する。
図15(a)(b)に示す第1灯具M3は、すれ違いビーム用灯具および暗視システムのランプ光源として、またはすれ違いビーム専用灯具として用いられる。図15(a)には、第1灯具M3をすれ違いビーム用灯具および暗視システムの光源ランプとして用いる場合の第1形態を示し、図15(b)には第1灯具M3をすれ違いビーム用灯具として用いる場合の第2形態を示している。
【0087】
まず、第1灯具M3の第1形態について説明する。図15(a)に実線の光軸L4で示すように、HID管球11Aの光源より照射された光のうち、可動式フィルター部材19および可動式シェード部材22で遮光されない光は、すれ違いビーム配光用反射鏡12に直接照射する。反射鏡12で反射された光は、赤外光Aも含んだ通常の可視光のすれ違いビームとして車両前方の近傍に照射される。ここで、フィルタ部材19およびシェード部材22の開放領域は、すれ違いビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応している。
【0088】
一方、破線の光軸L3で示すように、HID管球11Aから照射され、可動式フィルター部材19の赤外光透過部材16Aを透過した光は、赤外線波長帯域aの波長成分の赤外光Aのみである。赤外光Aは、走行ビーム配光用反射鏡13に反射し、すれ違いビーム運転時には可視光が照射されない走行ビーム照射領域に相当する車両前方の遠方に照射される。赤外光Aを車両前方の遠方に照射することで、第1灯具M3は暗視システムのランプ光源としても機能する。赤外光透過部材16Aの領域は、走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域に対応している。HID管球11Aの光源から直接前方に照射された直射光は、遮光部材17によって遮光され、車両前方に照射されることはない。
【0089】
第1灯具M3の第2形態について説明する。第2形態では、ソレノイド190,220の駆動により、第1形態に対して可動式フィルタ部材19を前方に摺動し、可動式シェード部材22を後方に摺動する。すなわち、第2形態は第1形態に対してフィルタ部材19とシェード部材22の配置を逆転させている。図15(b)に実線の光軸L4で示すように、HID管球11Aの光源より照射された光のうち、可動式フィルター部材19および可動式シェード部材22で遮光されない光は、すれ違いビーム配光用反射鏡12に直接照射する。反射鏡12で反射された光は、赤外光Aも含んだ通常の可視光のすれ違いビームとして車両前方の近傍に照射される。ここで、フィルタ部材19およびシェード部材22の開放領域は、すれ違いビーム配光用反射鏡12の反射領域に対応している。
【0090】
一方、点線の光軸L3で示すように、HID管球11Aから照射され、可動式シェード部材22の遮光部材21に到達した光は、完全に遮光される。これにより、走行ビーム照射領域に相当する車両前方の遠方には、可視光のみならず赤外光Aも照射されることはない。遮光部材21によって遮光される領域は、走行ビーム配光用反射鏡13の反射領域に対応している。
【0091】
このように、第1灯具M2の第1形態と第2形態では、可視光のすれ違いビームとしては全く同じ機能を備える。ただし、第1灯具M2は、第1形態では暗視システムの光源として走行ビーム照射領域に赤外光Aを照射し、第2形態では赤外光Aを走行ビーム照射領域に照射しないように構成されている。
【0092】
図11の(4)に、以上説明した第5の実施の形態による第1灯具M3と第2灯具N3の使用状況に応じた選択方法を示す。すれ違いビームにより走行する場合は、図15(a)に示す第1灯具M3の第1形態、または図15(b)に示す第1灯具M3の第2形態および図14(a)に示す第2灯具N3の第1形態を使用する。第1灯具M3の第1形態を使用する場合、第2灯具N3はオフする。このとき、第1灯具M3は暗視システムの光源として波長帯域aの波長成分の赤外光Aを走行ビーム照射領域に照射する。また、第1灯具M3の第2形態および第2灯具N3の第1形態を使用する場合、第2灯具N3の第1形態は暗視システムの光源として波長帯域bの波長成分の赤外光Bを走行ビーム照射領域に照射する。なお、走行ビームにより走行する場合は、第2灯具N3の第2形態のみを使用する。
【0093】
すれ違いビーム運転時の第1灯具M3と第2灯具N3との切換選択は、上述した第1の実施の形態の制御部5により制御される。制御部5は、例えば車車間通信等により同様の暗視システム7を有する対向車の照射赤外光を検出し、対向車の照射赤外光と異なる赤外光を照射する灯具を選択する。また、制御部5は、選択した灯具から照射される赤外光を透過するよう選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換える。これにより、対向車からの照射赤外光による受光カメラ3のハレーションを回避する。
【0094】
第1灯具M3または第2灯具N3から照射され、反射物体4で反射して対応する赤外線バンドパスフィルタ9A、9Bを透過した赤外光は、受光カメラ3により撮像され、表示装置6に表示される。これにより、すれ違いビーム照射時に車両前方の遠方の赤外線画像を運転者等に提供する。
【0095】
このように、以上説明した第5の実施の形態においては、以下のような作用効果を奏することができる。
(1)第1灯具M3は、すれ違いビーム配光用反射鏡12と、走行ビーム配光用反射鏡13と、遮光部材21とを備える。第2灯具N3は、走行ビーム配光用反射鏡13を備えている。第1灯具M3は、すれ違いビームとしてHID管球11A(第1の光源)の可視光を反射鏡12に照射する第1形態と、反射鏡13に照射されるHID管球11Aの光を遮断する第2形態とを有する。また、第2灯具N3は、暗視装置用赤外光としてHID管球11B(第2の光源)の赤外光を反射鏡13に照射する第1形態と、走行ビームとしてHID管球11Bの可視光を反射鏡13に照射する第2形態とを有する。このように、既存の4灯式前照灯装置を暗視装置用のランプ光源として利用することができるので、すれ違いビームおよび走行ビームと兼用できる暗視装置を実現することができる。
(2)すれ違いビームおよび暗視装置用の赤外光を照射するときは、第1灯具M3の第1形態、または第1灯具M2の第2形態および第2灯具N3の第1形態を選択する。第1灯具M3と第2灯具N3から照射される赤外光の波長帯域は異なるため、走行ビーム照射領域に照射する赤外光の波長帯域を変化させることができる。対向車から照射される赤外光に応じて第1灯具M3と第2灯具N3とを切り換え、さらに近赤外線カメラ3の光軸上に配置された選択式赤外線バンドパスフィルタ9を切り換えることにより、対向車からの赤外光によるハレーションを抑制することができる。
【0096】
以上説明した第2から第5の実施の形態においては、第1灯具および第2灯具の光源として高輝度放電(HID)管球11A、11Bを用いたが、これには限定されることなく、可視光と赤外光とが含まれていればハロゲン電球やLED電球を用いることもできる。ただし、図2に示したようにHID電球は赤外光領域の所定の波長帯域で強い発光スペクトル強度を有するので、赤外線バンドパスフィルタの透過帯域を適切に設定することにより、ハロゲン電球灯に比べて効率のよい照射エネルギーを得ることができる。また、照射エネルギーの効率がよいため、同じ照射エネルギーを確保する場合、赤外線バンドパスフィルタの透過帯域を狭く設定することができ、さらには照射する赤外線波長の選択肢を多く設定することも可能である。赤外線バンドパスフィルタの透過帯域を狭く設定すると、HID電球を利用した同様のシステムを有する対向車からの赤外線照射による受光カメラのハレーション防止だけでなく、赤外光領域の広い範囲において平均的に強い発光強度を持つハロゲン電球を利用したヘッドライトからの赤外線照射エネルギーの受光も軽減できる。したがって、ハロゲン電球等を利用した一般のヘッドライトを備える対向車からの照射光による受光カメラのハレーション対策にも効果的である。
【0097】
上述した第2および第4の実施の形態においては、ギヤ機構とモータを有する回転機構140,200により可動式フィルタ部材14B、20を回転した。しかし、可動式フィルタ部材14B、20を回転することによって可視光および赤外光を対応する反射鏡12,13に照射させることができれば、回転機構の形態はこれには限定されない。同様に、第3および第5の実施の形態においては、ソレノイド190,220により可動式フィルタ部材19,22をスライドした。しかし、可動式フィルタ部材19,22をスライドすることによって可視光および赤外光を対応する反射鏡12,13に照射させ、また光源からの光を遮断することができれば、ソレノイド以外の機構を用いることもできる。なお、回転機構140,200,およびソレノイド190,220の駆動は、それぞれ制御部5からの信号に応じて制御される。
【0098】
上記実施の形態においては、照射部としてランプ光源1A、1Bを用い、第1の赤外光透過部材として赤外線バンドパスフィルタ2A、2Bを用い、第2の赤外光透過部材として赤外線バンドパスフィルタ9A、9Bを用い、選択式赤外光透過手段として選択式赤外線バンドパスフィルタを用い、制御手段として制御部5を用い、撮像手段として近赤外線カメラ3を用い、さらに表示手段として表示装置6を用いた。また、第1灯具の第1の光源としてHID管球11Aを、第1灯具の第1の赤外光透過部材として赤外光透過部材16Aを用い、第2灯具の第2の光源としてHID管球11Bを、第2灯具の第2の赤外光透過部材として赤外光透過部材16Bを用いた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における車両用暗視システムの基本構成図。
【図2】HID電球およびハロゲン電球の発光スペクトル強度特性を示す図。
【図3】(a)(b)第1灯具および第2灯具の配置を示す図。
【図4】第1灯具M1の構成図。
【図5】(a)第2灯具N1の第1形態の構成図、(b)第2灯具N1の第2形態の構成図。
【図6】第1灯具のHID管球の発光スペクトル強度特性および赤外光透過部材の透過帯域を示す図。
【図7】第2灯具のHID管球の発光スペクトル強度特性および赤外光透過部材の透過帯域を示す図。
【図8】(a)図5(a)に示す可動式フィルタ部材のA−A断面図、(b)図5(b)に示す可動式フィルタ部材のA−A断面図。
【図9】反射鏡12,13の反射領域を示す図。
【図10】反射鏡12,13の反射領域を示す図。
【図11】使用状況に応じた第1灯具および第2灯具の選択方法を示す図。
【図12】(a)第2灯具N2の第1形態の構成図、(b)第2灯具N2の第2形態の構成図。
【図13】(a)第1灯具M2の第1形態の構成図、(b)第1灯具M2の第2形態の構成図。
【図14】(a)第2灯具N3の第1形態の構成図、(b)第2灯具N3の第2形態の構成図。
【図15】(a)第1灯具M3の第1形態の構成図、(b)第1灯具M3の第2形態の構成図。
【符号の説明】
1A,1B:ランプ光源
2A、2B:赤外線バンドパスフィルタ
3:受光カメラ
5:制御部
6:表示装置
9:選択式赤外線バンドパスフィルタ
12:すれ違いビーム配光用反射鏡
13:走行ビーム配光用反射鏡
14A:フィルタ部材
14B、19,20,22:可動式フィルタ部材
15:可視光透過部材
16A、16B:赤外光透過部材
Claims (10)
- 第1の赤外波長領域の照射光を少なくとも照射する第1の灯具と、
前記第1の赤外波長領域とは異なる第2の赤外波長領域の照射光を少なくとも照射する第2の灯具と、
前記第1および第2の灯具のいずれか一方を選択する照射選択手段と、
前記第1の赤外波長領域の照射光が車両前方の反射物体から反射する第1の反射光および前記第2の赤外波長領域の照射光が車両前方の反射物体から反射する第2の反射光のいずれか一方を選択する受光選択手段と、
前記受光選択手段で選択された反射光を受光する撮像手段と、
前記撮像手段で撮像された反射物体の画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする車両用暗視システム。 - 請求項1の車両用暗視システムにおいて、
前記第1および第2の灯具は、可視光も照射することを特徴とする車両用暗視システム。 - 請求項1の車両用暗視システムにおいて、
前記第1および第2の灯具は、赤外光だけを照射することを特徴とする車両用暗視システム。 - 第1の光源と、すれ違いビーム配光用の反射領域および走行ビーム配光用の反射領域を有する第1の反射鏡とを備える第1灯具と、
第2の光源と、すれ違いビーム配光用の反射領域および走行ビーム配光用の反射領域を有する第2の反射鏡とを備える第2灯具とを備え、
前記第1灯具は、すれ違いビームとして、前記第1の光源の可視光を前記すれ違いビーム配光用反射領域に照射し、同時に、暗視装置用赤外光として、前記第1の光源の赤外光を前記走行ビーム配光用反射領域に照射し、
前記第2灯具は、すれ違いビームとして、前記第2の光源の可視光を前記すれ違いビーム配光用反射領域に照射し、同時に暗視装置用赤外光として、前記第2の光源の赤外光を前記走行ビーム配光用反射領域に照射する第1形態と、走行ビームとして、前記第2の光源の前記可視光を前記走行ビーム配光用反射領域に照射する第2形態とを有し、前記第1形態と前記第2形態とを切り換え可能であることを特徴とする車両用前照灯装置。 - 請求項4に記載の車両用前照灯装置において、
前記第1灯具と、前記第1形態の前記第2灯具とのいずれかにより前記すれ違いビームおよび前記暗視装置用赤外光を照射し、前記第2形態の前記第2灯具により前記走行ビームを照射することを特徴とする車両用前照灯装置。 - 第1の光源と、すれ違いビーム配光用の反射領域および走行ビーム配光用の反射領域を有する第1の反射鏡と、前記第1の光源からの光を遮断する遮光部材とを備える第1灯具と、
第2の光源と、走行ビーム配光用の反射領域を有する第2の反射鏡とを備える第2灯具とを備え、
前記第1灯具は、すれ違いビームとして、前記第1の光源の可視光を前記すれ違いビーム配光用反射領域に照射し、同時に暗視装置用赤外光として、前記第1の光源の赤外光を前記走行ビーム配光用反射領域に照射する第1形態と、前記すれ違いビームとして、前記第1の光源の前記可視光を前記すれ違いビーム配光用反射領域に照射し、前記走行ビーム配光用反射領域に照射される前記第1の光源の前記光を遮断する第2形態とを有し、前記第1形態と前記第2形態とを切換可能であり、
前記第2灯具は、暗視装置用赤外光として、前記第2の光源の赤外光を前記走行ビーム配光用反射領域に照射する第1形態と、走行ビームとして、前記第2の光源の可視光を前記走行ビーム配光用反射領域に照射する第2形態とを有し、前記第1形態と前記第2形態とを切り換え可能であることを特徴とする車両用前照灯装置。 - 請求項6に記載の車両用前照灯装置において、
前記第1形態の前記第1灯具と、前記第2形態の前記第1灯具および前記第1形態の前記第2灯具とのいずれかにより前記すれ違いビームおよび前記暗視装置用赤外光を照射し、前記第2形態の前記第2灯具により前記走行ビームを照射することを特徴とする車両用前照灯装置。 - 請求項4から請求項7のいずれかに記載の車両用前照灯装置において、
前記第1灯具は、前記第1の光源からの第1の波長帯域の赤外光を透過して前記走行ビーム配光用反射領域に照射させる第1の赤外光透過部材をさらに備え、前記第2灯具は、前記第1の波長帯域とは異なる前記第2の光源からの第2の波長帯域の赤外光を透過して前記走行ビーム配光用反射領域に照射させる第2の赤外光透過部材をさらに備えることを特徴とする車両用前照灯装置。 - 請求項8に記載の車両用前照灯装置において、
前記第1の光源および前記第2の光源は、それぞれ高輝度放電電球であり、
前記第1の光源は、前記第1の波長帯域に強い発光スペクトル強度を持ち、
前記第2の光源は、前記第2の波長帯域に強い発光スペクトル強度を持つことを特徴とする車両用前照灯装置。 - 請求項8または請求項9に記載の車両用前照灯装置と、
可視光波長領域を遮断し、前記第1の波長帯域の赤外光を透過する第3の赤外光透過部材と、前記可視光波長領域を遮断し、前記第2の波長帯域の赤外光を透過する第4の赤外光透過部材とを有する選択式赤外光透過手段と、
前記車両用前照灯装置の前記第1灯具と前記第2灯具とを切り換えるとともに、前記第1灯具が選択された場合には前記選択式赤外光透過手段から前記第3の赤外光透過部材を選択し、前記第2灯具が選択された場合には前記第4の赤外光透過部材を選択する制御手段と、
前記第1灯具または前記第2灯具から照射され、車両前方の反射物体で反射し、前記選択式赤外光透過手段を透過した赤外光を受光する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された反射物体の画像を表示する表示手段とを備えることを特徴とする車両用暗視システム。
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