JP2001093311A - 暗視装置用ヘッドランプ - Google Patents

暗視装置用ヘッドランプ

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 従来の暗視装置においては、ヘッドランプと
赤外線カメラの照射源である光源が別体となっていたた
め、多くの電力を必要とするとともに、取付け作業が煩
雑化し、さらには、取付スペースも、広いものが必要で
あった。 【解決手段】 本発明により、すれ違い配光を形成する
ヘッドランプの反射鏡の一部に開口部を設け、光源から
前記開口部を通して光が放射される位置に前記光源を焦
点とし、前記ヘッドランプの照射方向に光を反射する放
物反射面を設け、さらに前記放物反射面により反射され
た光の光路上に赤外線のみを透過する赤外線透過フィル
ターを配置し、暗視装置用照明部を設けた暗視装置用ヘ
ッドランプとしたことで、赤外線カメラの照射源である
光源とヘッドランプを一体化することができ、取付け作
業を簡略化でき、取付スペースも少ないものとすること
ができ、さらには、電力の消費も少ないものとできるも
のとして課題を解決するものである。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は夜間走行時に歩行者
などの存在の確認を一層に容易にするために車両に設け
られる暗視装置に用いられるヘッドランプに係るもので
あり、詳細には前記暗視装置用の照明部を有するヘッド
ランプの構成の提供を目的とするものである。
【0002】
【従来の技術】従来、車両80に暗視装置90を設ける
ときには、図8に示すように、例えば車両80の前端に
あるラジエータグリル81に適宜な開口81aを設け、
この開口81aから前方に向けて赤外線カメラ91を臨
ませておくものであり、車室内に前記赤外線カメラ91
からの信号を処理する制御部およびモニタ(何れも図示
は省略する)を設け、運転者にヘッドランプ82の光の
到達距離(約100m)よりも遠方の歩行者などの存在
を告知し、安全の向上を図るものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記し
た従来の暗視装置90においては、取付けに際しラジエ
ータグリル81に開口81aを設けるなど、後加工が必
要となるので取付作業が煩雑化する問題点を生じてい
る。また、上記の説明は歩行者など被写体が発する赤外
線のみを検知する、いわゆるパッシブ型の例で説明した
が、赤外線ランプ92などで被写体を照明するいわゆる
アクテブ型とする場合には、上記の赤外線カメラ91の
取付けに加えてさらに上記ラジエータグリル81などに
赤外線ランプ92の取付作業も必要となり、一層に煩雑
化するものとなり、さらには、ラジエータグリル81の
専用品への交換なども必要となりコストアップする問題
も生じる。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明は前記した従来の
課題を解決するための具体的手段として、すれ違い配光
を形成するヘッドランプの反射鏡の一部に開口部を設
け、光源から前記開口部を通して光が放射される位置に
前記光源を焦点とし、前記ヘッドランプの照射方向に光
を反射する放物反射面を設け、さらに前記放物反射面に
より反射された光の光路上に赤外線のみを透過する赤外
線透過フィルターを配置し暗視装置用照明部を設けたこ
とを特徴とする暗視装置用ヘッドランプを提供すること
で課題を解決するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】つぎに、本発明を図に示す実施形
態に基づいて詳細に説明する。図1および図2に符号1
で示すものは本発明に係るヘッドランプであり、このヘ
ッドランプ1はすれ違い配光を生成するものであって、
光源2と回転楕円など楕円形の反射鏡3と、遮光シェー
ド4と、投影レンズ5とから構成されるプロジェクター
型とされている。本実施形態でプロジェクター型とした
理由は、光束利用率が良く、明るい灯具であるためであ
る。しかし、通常のヘッドランプにおいても、本発明を
適用できることは言うまでもない。また、前記光源2と
してはハロゲン電球などを利用することができる。
【0006】ここで、プロジェクター型としたヘッドラ
ンプ1の作用について説明を行えば、楕円形とした反射
鏡3においては、第一焦点f1に置かれた光源2からの
光を反射し第二焦点f2に収束するものとなる。前記遮
光シェード4は前記第二焦点f2に収束する光束中に設
けられるものであり、例えば断面円形として収束する反
射鏡3からの光束の下半部を遮光し下弦の半円状とす
る。
【0007】前記投影レンズ5は、前記遮光シェード4
の近傍に焦点を有するものとして形成されているので、
前記遮光シェード4により整形が行われた光束の断面形
状を照射方向に投影するものとなり、この投影時には上
下左右が反転されるので下弦の半円状となる。なお、実
際には前記遮光シェード4は対向車に眩惑を与えないよ
う、ほぼ中心線Sまで形成される対向車シェード部4a
と、前記中心線Sより凹となり、歩行者や標識を照明す
るための歩行者用凹部4bを有するものとなっており、
対向車側には上向き光を含まず、歩道側には少量の上向
き光を含むようにして、すれ違いビームに適した配光特
性が得られるものとなっている。また、この際すれ違い
ビームの光軸は照射領域において、水平方向に対して
0.57°以上下方に向けられているものである。
【0008】本発明では、さらに前記ヘッドランプ1の
反射鏡3の一部に開口部6を設け、前記光源2から前記
開口部6を通して光が放射される位置に、前記光源2を
焦点とし、前記ヘッドランプ1の光の照射方向と略等し
い方向に中心軸を有する放物反射面7および前記放物反
射面7により反射された前記光源2からの光の光路上に
赤外光のみを透過させ、可視光をカットする赤外線透過
フィルター8を配置し暗視装置用照明部9が設けられる
ものである。そして図示は省略するが、前記放物反射面
7の光軸の調整や、前記赤外線透過フィルター8にレン
ズカットを施したり、前面にアウターレンズを設けるこ
とにより、前記暗視装置用照明部9から放射される赤外
線の照射領域での光軸や配光特性を整えるものである。
【0009】前記開口部6は本実施形態の場合、前記反
射鏡3の側面の一部に照射方向に長辺をもつ略長方形に
設けられており、この開口部6を通して前記光源2から
の光がこのヘッドランプ1の照射方向とは略直交する方
向に放射され、この光が放射された位置に前記放物反射
面7が前記反射鏡3と所定距離を置いて設けられてい
る。
【0010】さらに前記開口部6および前記放物反射面
7について説明を行うと、前記開口部6の大きさおよび
形状は必要とする光量により適宜に設けられるものであ
るが、前記のように本発明の場合、ヘッドランプ1の反
射鏡3の一部を用いているため、前記開口部6を設けれ
ば、当然ヘッドランプ1の光量が減るものとなるので、
なるべく小さなものとする必要がある。そして、前記放
物反射面7はこの開口部6に対応して設けられるもので
あり、前記開口部6から放射された光の全てを反射する
ことができる大きさおよび形状に設ける必要がある。こ
れは上記と同様に光源2の光を有効利用するためで、こ
のようにしないと、開口部6から放射された光が無駄に
なるためである。なお、本実施形態では説明の都合上、
前記開口部6は通常より大きめに記載している。
【0011】また、前記反射鏡3の前記開口部6を設け
る位置は、本実施形態の場合、前記光源2から放射され
た光が前記反射鏡3で反射されるものの、前記遮光シェ
ード4にてカットされてしまう光の光路上に設けてお
り、即ち、対向車に対する防眩のための対向車用シェー
ド部4aへ到達する光の光路上である前記反射鏡3の側
面下部に設けられるものである。
【0012】このようにすることにより、前記ヘッドラ
ンプ1の光量をほとんど減らすことなく、暗視装置用照
明部9を備えた本発明のようなヘッドランプ1の構成が
可能なものとなる。なお、本実施形態では、上記のよう
にして前記ヘッドランプ1の光量を減らすことがないよ
うに、前記開口部6の位置を決定したが、前記開口部6
を小さなものとすれば、前記ヘッドランプ1の配光特性
にあまり影響をおよぼすことがないので、前記開口部6
を設ける位置は比較的自由に設定することができるもの
である。
【0013】さらに、前記暗視装置用照明部9は前記し
たように、前記放物反射面7の光軸の調整や、前記赤外
線透過フィルター8にレンズカットを施したり、前面に
アウターレンズを設けることにより、前記暗視装置用照
明部9から放射される赤外線の照射領域での光軸を、水
平線を基準とし、下側0.57°の角度より上方に、か
つ、水平線までに向けられるものである。このようにす
ることにより前記ヘッドランプ1の照射範囲以外の場所
へ赤外線の照射が可能となるもので、可視光においては
対向車などに眩惑を与えることのないすれ違い配光と、
これ以外の赤外線のみが照射される範囲が加わり、遠方
に対して視認性に優れる走行配光に近似する配光特性が
得られる。
【0014】図3および図4は上記したヘッドランプ1
が組込まれるランプユニット10であり、上記にも説明
したようにヘッドランプ1はすれ違い配光を得るもので
あるので、ハウジング11とアウターレンズ12とで略
密閉された容器内に形成されるランプユニット10内に
は、上記ヘッドランプ1から遮光シェード4を取り除い
たような構成とした走行用ヘッドランプ13も組込ま
れ、また、必要に応じてはフロントマーカーランプ(図
示せず)など信号用のランプも組込まれて一体化され、
ランプユニット10とされるものである。
【0015】そして、上記に説明したヘッドランプ1を
照明源として採用する本発明の暗視装置20は、赤外線
カメラ14を上記ランプユニット10中に配置し、暗視
装置用照明部9を含む前記ヘッドランプ1、走行用ヘッ
ドランプ13と一体化している。なお、ランプユニット
10は自動車においては左右の二個所に設けられるもの
であるので、いずれの側か一方に設ければ良いものであ
る。
【0016】ここで、前記ランプユニット10の使用状
況について説明を行うと、例えば郊外などの走行配光で
走行が行える条件ではヘッドランプ1と走行用ヘッドラ
ンプ13との双方が点灯される。従って、上記ヘッドラ
ンプ1、走行用ヘッドランプ13とから放射されている
光の内の赤外線波長の部分を赤外線カメラ14の照明部
として使用するときにには、光量としても充分であり、
また、ヘッドランプ13からの放射光は正面遠方に向か
うものであるので視認性も充分なものとなる。
【0017】ところが、市街地などにおいては、配光特
性が主として下向き光で構成されているすれ違い配光の
ヘッドランプ1の側のみが点灯されるものであるので、
従来構成のものではヘッドランプ1以上の視認距離は得
られないものとなり、即ち赤外線カメラ14を備えた効
果が全く発揮できないものとなる。
【0018】この状態において、本発明のヘッドランプ
1においては、前記したようにヘッドランプ1の可視光
の照射とは別に赤外線のみを照射する暗視装置用照明部
9を備えているため、自車および対向車の運転者の視覚
に対してはすれ違い配光として認識されるものとなる
が、赤外線カメラ14に対しては正面遠方も照射する走
行配光に近い配光として認識されるものである。
【0019】なお、前記赤外線カメラ14のランプユニ
ット10内への配置にあたっては、この赤外線カメラ1
4の撮影を行う方向を、ランプユニット10が車両に取
付けられる状態を考慮して、車両の前方正面など必要と
される方向にセットしておくものであることは言うまで
もなく、さらには、レンズフード14aなど補助部品も
必要に応じて取付けておくものである。
【0020】また、前記暗視装置20には上記した赤外
線カメラ14のほかに、該赤外線カメラ14からの出力
は、一般的な可視光による画像とは異なる表現となるの
で違和感を取り除くための画像処理を行うプロセッサ2
1と、該プロセッサ21で処理した画像を運転者に告知
するモニタ22が設けられているが、本発明では、これ
らに対して設置の場所を規定するものではない。
【0021】次いで、上記の構成とした本発明の暗視装
置用のヘッドランプ1の作用および効果について説明す
る。本発明によりすれ違い配光を形成するヘッドランプ
1の反射鏡3の一部に開口部6を設け、前記光源2から
前記開口部6を通して光が放射される位置に前記光源2
を焦点とし、前記ヘッドランプ1の照射方向に光を反射
する放物反射面7を設け、さらに前記放物反射面7によ
り反射された光の光路上に赤外線のみ透過する赤外線透
過フィルター8を配置し、暗視装置用照明部9を設けた
ことにより、赤外線カメラ14の照明部を別途設ける必
要がなく、照射方向を車両に対して予めに最適なものと
して設定しておくことが可能となる。
【0022】つぎに、図5および図6に示すものは、本
発明に係る第二実施形態であり、前記第一実施形態と異
なるのは、開口部6がプロジェクター型のヘッドランプ
1の反射鏡3の下部に設けられていることである。他の
構成について、前記第一実施形態と同様であるので、詳
細な説明は省略する。
【0023】このように、開口部6を反射鏡3の下部に
設ける理由は、この種のプロジェクター型のヘッドラン
プ1の場合、光源2から反射鏡3の下部により反射され
る光は、配光上、対向車に対し、眩惑を生じる上向光と
なるため通常遮光シェード4により遮光され、利用され
ないものである。従ってこの部分に開口部6を設けるこ
とにより、ヘッドランプ自体の光量を減少させることな
く、また、配光特性にも影響をおよぼすことなく、暗視
装置用照明部9を設けることができ、光量を有効利用で
きるものとなる。また、プロジェクター型でないヘッド
ランプについても、反射鏡の下部は眩惑光を生じやすい
ため、同様に利用することができる。
【0024】また、図7は本発明によるヘッドランプ1
の照射特性を示すものであり、前記第一実施形態および
第二実施形態において共通なものである。まず、ヘッド
ランプ1は通常のすれ違いビーム配光LZを照射し、こ
のすれ違いビーム配光LZの光軸Lは水平線Hを基準に
して、角度θ以上下方に向けられている。つぎに、暗視
装置用照明部9は赤外線ビーム配光UZを照射するもの
であり、この赤外線ビーム配光UZの光軸Uは水平線H
を基準にして、下側θの角度より上方でかつ水平線Hま
での角度Φに向けられているものである。本実施形態の
場合、ヘッドランプ1がすれ違い配光を形成するもので
あるので、θ=0.57°、暗視装置の赤外線カメラの
特性によりΦ=0.1°である。このようにすることに
より、走行用のビームに近似する照射特性が得られるも
のとなり、この種の暗視装置20の照明源として理想的
なものが形成される。
【0025】
【発明の効果】以上に説明したように本発明により、す
れ違い配光を形成するヘッドランプの反射鏡の一部に開
口部を設け、光源から前記開口部を通して光が放射され
る位置に前記光源を焦点とし、前記ヘッドランプの照射
方向に光を反射する放物反射面を設け、さらに前記放物
反射面により反射された光の光路上に赤外線のみを透過
する赤外線透過フィルターを配置し、暗視装置用照明部
を設けた暗視装置用ヘッドランプとしたことで、第一に
は、この主の暗視装置に必要となる暗視カメラ用の照明
源を別途設ける必要がなく、載置するスペースも少なく
て済むものになるとともに、電力の供給もヘッドランプ
のみとなり、限られた容量の車両のバッテリーに負担に
なることがない。
【0026】また、第二には、暗視カメラ用の照明源が
ヘッドランプと一体になっているため、この照明源の照
射方向を簡単に調整できるものとなり、取付け作業の簡
素化を可能にするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る暗視装置用のヘッドランプの第
一実施形態を示す斜視図である。
【図2】 図1に示すA−A線に沿う断面図である。
【図3】 本発明に係る暗視装置用のヘッドランプが組
込まれたランプユニットを示す斜視図である。
【図4】 図3のB−B線に沿う断面図である。
【図5】 本発明に係る暗視装置用のヘッドランプの第
二実施形態を示す斜視図である。
【図6】 図5のC−C線に沿う断面図である。
【図7】 本発明に係る暗視装置用のヘッドランプの照
射特性を示す説明図である。
【図8】 従来の暗視装置を示す説明図である。
【符号の説明】
1 ……ヘッドランプ 2 ……光源 3 ……反射鏡 4 ……遮光シェード 4a……対向車用遮光シェード 4b……歩行者用凹部 5 ……投影レンズ 6 ……開口部 7 ……放物反射面 8 ……赤外線透過フィルター 9 ……暗視装置用照明部 10 ……ランプユニット 11 ……ハウジング 12 ……アウターレンズ 13 ……走行用ヘッドランプ 14 ……赤外線カメラ 20 ……暗視装置 21 ……プロセッサ 22 ……モニタ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F21V 7/16 F21M 3/20 Z 14/04 // F21W 101:10 F21Y 101:00

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 すれ違い配光を形成するヘッドランプの
    反射鏡の一部に開口部を設け、光源から前記開口部を通
    して光が放射される位置に前記光源を焦点とし、前記ヘ
    ッドランプの照射方向に光を反射する放物反射面を設
    け、さらに前記放物反射面により反射された光の光路上
    に赤外線のみを透過する赤外線透過フィルターを配置し
    暗視装置用照明部を設けたことを特徴とする暗視装置用
    ヘッドランプ。
  2. 【請求項2】 前記開口部は前記ヘッドランプの反射鏡
    の下部に設けられていることを特徴とする請求項1記載
    の暗視装置用ヘッドランプ。
  3. 【請求項3】 前記赤外線照明部より照射させる赤外線
    の光軸は、照射領域において水平線を基準とし下側0.
    57°の角度より上方でかつ水平線までに向けられてい
    ることを特徴とする請求項1または2記載の暗視装置用
    ヘッドランプ。
  4. 【請求項4】 前記ヘッドランプはプロジェクター型ヘ
    ッドランプであることを特徴とする請求項1〜3のいず
    れかに記載の暗視装置用ヘッドランプ。
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