JP2004345408A - 車両用制動制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】自車両が牽引されるときにも、前方物体との相対関係に応じて随時適切な制動力を発生させることができる車両用制動制御装置を提供する。
【解決手段】自車両が牽引されているかを判断すると共に、自車両に牽引フック6にかかる引張力Tを検出し、自車両が牽引状態にあるものの牽引フック6に引張力Tが零となるときには(ステップS8の判定が“Yes”)、牽引車両との相対関係に基づいてブレーキアクチュエータ11に制動力を発生させる閾値DLを上げて、制動力が発生し易くなるようにする(ステップS9)。
【選択図】 図3
【解決手段】自車両が牽引されているかを判断すると共に、自車両に牽引フック6にかかる引張力Tを検出し、自車両が牽引状態にあるものの牽引フック6に引張力Tが零となるときには(ステップS8の判定が“Yes”)、牽引車両との相対関係に基づいてブレーキアクチュエータ11に制動力を発生させる閾値DLを上げて、制動力が発生し易くなるようにする(ステップS9)。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の制動操作に係らず車両に制動力を発生可能な車両用制動制御装置に関するもので、特に車両がエンジンをかけた状態等イグニッションONで制動制御装置が起動している状態で牽引される場合に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばレーザレーダで検出する先行車両との車間距離が短くなったときに、自車両に自動ブレーキを作動させ、そのブレーキ力を先行車両との相対速度及び車間距離に応じて算出するように構成された自動車の走行制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−65297号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、自動ブレーキやパワーステアリング等の作動を維持するためにエンジンをかけた状態等イグニッションONで走行制御装置が起動している状態で自車両が牽引される際、自車両と牽引車両との相対速度が増大しにくいので自動ブレーキによる制動力が発生しにくいという未解決の課題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、自車両が牽引されるときにも、前方物体との相対関係に応じて随時適切な制動力を発生させることができる車両用制動制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用制動制御装置は、自車両が牽引されているか否かを判断し、自車両が牽引された状態にあるときには、前方物体との相対関係に応じて前記制動力発生手段に制動力を発生させる閾値を、非牽引時に比べて制動力が発生し易くなるように変更することを特徴としている。
【0007】
【発明の効果】
本発明に係る車両用制動制御装置によれば、自車両が牽引されているか否かを判断し、自車両が牽引された状態にあるときには、前方物体との相対関係に応じて前記制動力発生手段に制動力を発生させる閾値を、非牽引時に比べて制動力が発生し易くなるように変更するので、牽引時に運転者が制動操作をしなくとも、前方物体との相対関係に応じて随時適切な制動力を発生させることができ、運転者の負担を軽減させることができるという効果が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すブロック図である。図中、距離センサ1は、例えば車体前面グリル内に配設され、車両前方にレーザ光を発して、車両前方の先行車両等の前方物体からの反射光を受光するレーダー方式の検出器であり、自車両と前方物体との距離D及び相対速度Vrを検出する。この相対速度Vrは、距離Dを微分して求めるか、或いは距離Dをバンドパスフィルタ処理することにより求める。なお、距離センサ1には、レーザ光を利用する場合に限らず、電波や超音波を利用して前方物体までの距離を検出して相対速度を演算したり、ドップラーレーダを使用したりしてもよい。
【0009】
また、車速センサ2は、例えば変速機(図示省略)における出力軸の回転速度に応じて自車速Vを検出し、インヒビタスイッチ3は、運転者により操作されるセレクトレバー(図示省略)の選択位置を検出し、ハザードスイッチ4は、ハザードランプ(図示省略)の作動状態を検出する。
また、引張力検出装置5は、自車両が牽引されるときの牽引フック6にかかる引張力Tを検出する。ここで、牽引フック6は、図2に示すように、雄ねじ部6aを有し、この雄ねじ部6aを車体7のフロント下部に設けたナット8に螺合させて車体7に固定する所謂ねじ込み式のフックである。このナット8は、軸方向に摺動自在で且つ軸回転が阻止されるように車体7に係合保持され、更に軸方向の車体前方側に弾装されたコイルスプリング9の弾発力によって、車体後方側(紙面上左方向)に付勢されている。これにより、ナット8は、牽引フック6にかかる引張力が零であるときには、コイルスプリング9の弾発力によって後端の初期位置にあり、牽引フック6にかかる引張力がコイルスプリング9の弾発力に抗して増加するときには、初期位置から車体前方側に移動する。したがって、引張力検出装置5は、初期位置からのナット8の位置変化を測定するリニアエンコーダ等の位置センサであって、このナット8の移動量に応じた引張力Tを演算するように構成されている。
【0010】
そして、図1のコントローラ10は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、距離D及び相対速度Vrと、自車速Vと、セレクトレバーの選択位置と、ハザードランプの作動状態と、引張力Tとを入力して、図3の制動制御処理を実行し、ブレーキアクチュエータ11に対する制動力指令値Pの出力を制御する。
【0011】
このブレーキアクチュエータ11は、コントローラ10からの制動力指令値Pに応じた大きさの制動力を、運転者のブレーキ操作に係らず断続的に発生するように構成されている。
次に、コントローラ10で実行する制動制御処理を図3及び図4のフローチャートに従って説明する。
【0012】
先ず、図3のステップS1で、各種センサ及びスイッチからのデータを読込む。具体的には、距離センサ1で検出した自車両と前方物体との距離D及び相対速度Vrと、車速センサ2で検出した自車速Vと、インヒビタスイッチ3で検出したセレクトレバーの選択位置と、ハザードスイッチ4で検出したハザードランプの作動状態と、引張力検出装置5で検出した引張力Tとを読込み、続くステップS2に移行する。
【0013】
ステップS2では、後述する図4の牽引判断処理を実行して、自車両が牽引されているか否かを表す牽引フラグFTを設定し、続いて移行するステップS3では、牽引フラグFTが“0”にリセットされているか否かを判定し、判定結果がFT=1であるときには、自車両が牽引されていると判断して後述するステップS8に移行し、逆にFT=0であるときには、自車両は牽引されていないと判断してステップS4に移行する。
【0014】
ステップS4では、前方物体との距離Dに基づいて制動の要否を判断する閾値DLを算出する。ここで、図5に示すように、自車両が前方を走行する先行車両に対して、車間距離D及び相対速度Vrで接近しているとすると、車間距離Dが零となる前に、自車両における左端の点Aが、先行車両の車幅W分だけ横方向に移動すれば、先行車両との接触を回避することが可能である。このとき、自車両が横加速度αxで横方向に移動すると、車幅W分の移動に要する時間Txは、下記(1)式で演算できる。
Tx=(2W/αx)1/2 ・・・・・・(1)
したがって、運転者によるステアリング操作で接触を回避するのに必要な操舵回避距離DSTRを、下記(2)式で演算できる。なお、VrNは相対速度のノイズ成分である。
DSTR=Tx・(Vr+VrN) ・・・(2)
また、車間距離Dが零となる前に、相対速度Vrが零以下となるように減速すれば、先行車両との接触を回避することが可能である。このとき、自車両が減速度αyで減速すると、運転者によるブレーキ操作で接触を回避するのに必要な制動回避距離DBRKを、下記(3)式で演算できる。
DBRK=(Vr+VrN)2/2αy ・・・(3)
ここで、横加速度αx、減速度αyを所定の値に設定すると、図6に示すように、相対速度Vrから操舵回避距離DSTRの境界線(破線)と、制動回避距離DBRKの境界線(破線)とが定まる。その結果、運転者によるステアリング操作、又はブレーキ操作の何れかで、障害物との接触を回避可能な閾値(太い実線)が定まり、この閾値に対して車間距離Dは短くなるほど、相対速度Vrは接近方向に増加するほど、障害物との接触回避が困難となる。
【0015】
したがって、ブレーキアクチュエータ11による制動の要否を判断する閾値DLは、下記(4)式に示すように、操舵回避距離DSTR、及び制動回避距離DBRKの小さい方の値を選択して算出する。
DL=min[DSTR,DBRK] ・・・(4)
こうして上記ステップS4で閾値DLを算出したらステップS5に移行し、車間距離Dが閾値DL以上であるか否かを判定する。この判定結果がD≧DLであるときには、運転者によるステアリング操作、又はブレーキ操作で障害物との接触回避が可能であり、制動は不要であると判断してステップS6に移行し、ブレーキアクチュエータ11への制動力指令値Pを出力停止状態に制御して、前記ステップS1に戻る。一方、判定結果がD<DLであるときには、運転者によるステアリング操作やブレーキ操作では、障害物との接触回避が困難なため、制動が必要であると判断してステップS7に移行し、ブレーキアクチュエータ11に比較的大きな制動力を発生させる所定の制動力指令値Pを出力する。
【0016】
一方、前記ステップS3の処理で自車両が牽引されていると判断されて移行するステップS8では、引張力Tが零であるか否かを判定し、この判定結果がT>0であるときには、自車両が牽引車両に対して牽引ロープ分の車間距離を維持していると判断して前記ステップS4に移行する。一方、判定結果がT=0であるときには、自車両が牽引ロープ分の車間距離を下回って牽引車両に接近していると判断してステップS9に移行する。
【0017】
ステップS9では、前記ステップS4と同様に前方物体との距離Dに基づいて制動の要否を判断する閾値DLを算出して、前記ステップS5に移行する。但し、このステップS5では、図6に示すように、ステップS4で算出した非牽引時又は引張力発生時の通常の閾値に比べて制動力が発生し易くなるように閾値DLを上げる。具体的には、下記(5)式に示すように、前記ステップS4で算出される操舵回避距離DSTR、及び制動回避距離DBRKの夫々に、係数K(K>1)を乗じ、こうして算出されたDSTR・K、及びDBRK・Kの小さい方の値を選択して算出する。また、係数Kは、引張力Tが零となるまでの減少率に応じて決定され、この減少率が大きいほど係数Kを大きくする。
DL=min[DSTR・K,DBRK・K] ・・・(5)
そして、図4の牽引判断処理では、先ずステップS20で、セレクトレバーがニュートラル位置のNレンジに設定されているか否かを判定し、Nレンジ以外のレンジ(Pレンジ、Rレンジ、Dレンジ等)に設定されているときには、自車両は牽引されていないと判断し、ステップS21に移行してから前述した牽引フラグFTを、自車両が牽引されていない旨を示す“0”にリセットしてこの牽引判断処理を終了する。一方、Nレンジが選択されているときには、ステップS22に移行する。
【0018】
ステップS22では、自車速Vが零から増加して低速域の所定値V1(例えば、時速15km)を超えたか否かを判定し、この判定結果がV<V1である、又はV≧V1であっても零から増加していないときには、自車両が牽引されていない可能性は高いと判断して前記ステップS21に移行する。一方、自車速Vが零から増加して所定値V1を超えているときには、自車両が牽引されている可能性があると判断してステップS23に移行する。
【0019】
ステップS23では、前方物体との相対速度の絶対値|Vr|が零近傍の所定値V2未満であるか否かを判定し、この判定結果が|Vr|≧V2であるときには、自車両は牽引されていない可能性があると判断して前記ステップS21に移行する。一方、判定結果が|Vr|<V2であるときには、前方物体と略一定の速度を維持しており自車両が牽引されている可能性が高いと判断してステップS24に移行する。
【0020】
ステップS24では、ハザードランプが作動しているか否かを判定し、ハザードランプが非作動状態であるときには、自車両は牽引されていない可能性があると判断して前記ステップS21に移行する。一方、ハザードランプが作動状態にあるときには、自車両が牽引されていると判断し、ステップS25に移行してから前述した牽引フラグFTを、自車両が牽引されている旨を示す“1”にセットしてこの牽引判断処理を終了する。
【0021】
ここで、図1のブレーキアクチュエータ11が制動力発生手段に対応し、図3のステップS3〜S9処理が制動制御手段に対応し、図3のステップS2(図4の牽引判断処理)の処理が牽引判断手段に対応し、図1の引張力検出装置が引張力検出手段に対応している。
次に、上記一実施形態の動作について説明する。
【0022】
今、自車両が先行車両の後方を走行しているとする。このとき、自車両ではドライブレンジが選択されて牽引フラグFTが“0”にリセットされるので、相対速度Vrに応じて通常の閾値DLを算出し(ステップS4)、この閾値DLと車間距離Dとに基づいて制動の要否を判定する(ステップS5)。
ここで、自車両が、概ね一定の速度で走行した先行車に対して理想的な車間距離を維持して走行しているときには、車間距離Dと閾値DLとの関係が、D≧DLとなるので、制動不要と判定され、ブレーキアクチュエータ11に対する制動力指令値Pは出力停止状態に制御される(ステップS6)。
【0023】
その後、先行車両の減速等で車間距離Dが減少し、相対速度Vrが増加してくると、ステアリング操作、又はブレーキ操作による接触回避が、次第に困難となる。そして、車間距離Dと閾値DLとの関係が、D<DLとなるときに、制動が必要であると判定され、ブレーキアクチュエータ11に制動力指令値Pが出力される(ステップS7)。ブレーキアクチュエータ11は、コントローラ10から出力された制動力指令値Pに応じて比較的大きな制動力を断続的に発生させて車両を減速させることにより、先行車両との接触を回避したり、或いは接触速度を低減させたりする。この自車両の減速で、再び先行車両との接触を回避できると判断されれば、ブレーキアクチュエータ11に対する制動力指令値Pの出力停止状態に復帰する。
【0024】
ところで、上記のように通常の制動制御を行っていた状態から、自動ブレーキやパワーステアリング等の作動を維持するために、エンジンをかけた状態等イグニッションONで制動制御装置が起動した状態で自車両を牽引したとする(ステップS3の判定が“No”)。
しかしながら、このような牽引時に、例えば牽引車両が駆動力を弱めるなどしてゆっくりと減速する場合には、自車両が牽引ロープ分の車間距離を下回って牽引車両に接近するものの、相対速度Vrが小さいためにブレーキアクチュエータ11による制動力が発生しにくい。そこで、自車両が牽引状態にあるものの牽引フック6に引張力Tが零となるときには(ステップS8の判定が“Yes”)、牽引車両との相対関係に基づいてブレーキアクチュエータ11に制動力を発生させる閾値DLを上げ(ステップS9)、制動力が発生し易くなるようにする。このとき、引張力Tが零となるまでの減少率が大きいほど、閾値DLの変更量を大きくするように構成されているので、牽引車両が大きく減速する等して引張力Tが早く抜けほど、ブレーキアクチュエータ11による制動力が発生し易くなる。
【0025】
一方、牽引フック6に引張力Tがかかっているとき、すなわち自車両が牽引車両に完全に引っ張られているときには(ステップS8の判定が“No”)、制動力を発生させる閾値DLの変更は行わない。それでも、牽引車両との相対速度Vrは略零であるので、ブレーキアクチュエータ11により不要な制動力が発生することはない。
【0026】
因みに、車両が牽引される場合には、セレクトレバーがNレンジに設定された状態で、車速が零から増加し始めてある程度の車速まで増加し、また牽引車両との相対速度が零近傍の値を維持し、更にハザードランプが点灯されるので、これらの条件を全て満たすか否かを判定して自車両が牽引されているか否かを正確に判断することができる。
【0027】
このように、上記一実施形態によれば、自車両が牽引されていると判断され、且つ引張力Tが零となるきには、ブレーキアクチュエータ11によって制動力を発生させる閾値DLを上げる、つまり非牽引時又は引張力発生時に比べて制動力が発生しやすくなるように変更するので、牽引時に運転者が制動操作をしなくとも、牽引車両との相対関係に応じて随時適切な制動力を発生させることができ、運転者の負担を軽減することができるという効果が得られる。
【0028】
また、自車両が牽引されていると判断された状態で、引張力Tが減少して零となるときに、引張力Tの減少率が大きいほど閾値DLの変更量を大きくするように構成されているので、牽引車両が大きく減速する等して引張力Tが早く抜けるほど、ブレーキアクチュエータ11による制動力が発生し易くなり、安全性が向上するという効果が得られる。
【0029】
なお、上記一実施形態では、引張力Tが零となるまでの減少率が大きいほど、閾値DLの変更量を大きくする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、閾値DLの変更量は固定してもよい。
また、上記一実施形態では、自車両が牽引されていると判断され、且つ引張力Tが零となるときに、閾値DLを変更する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、自車両が牽引されていると判断されたときに、非牽引時に比べて制動力が発生し易くなるようにすればよいので、図3のステップS8の処理を省略し、ステップS2の処理で自車両が牽引されていると判断されたら、そのままステップS9に移行して閾値DLを変更してもよい。
【0030】
また、上記一実施形態では、牽引フック6と螺合したナット8の位置変化から引張力Tが零であるか否かを判断する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、引張力Tが発生しているとき、つまり自車両が牽引車両に完全に引っ張られているときには自車両は加速状態にあるが、引張力Tが零になると自車両は減速し始めるので、自車両の減速度を検出して減速度が発生したときに引張力Tが零であると判断するようにしてもよい。勿論、張力計等を用いて引張力Tが零であるか否かを判断してもよい。
【0031】
さらに、上記一実施形態では、牽引中に引張力Tが抜けたときには、制動力が発生し易くなるように、操舵回避距離DSTR及び制動回避距離DBRKの夫々に係数Kを乗じて、閾値DLを上げる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば操舵回避距離DSTR及び制動回避距離DBRKの夫々に、引張力Tの減少率に応じた所定の値を加算して閾値DLを上げてもよい。
【0032】
さらにまた、上記一実施形態では、ブレーキアクチュエータ11を用いて自車両に制動力を発生させる場合について説明しているが、このブレーキアクチュエータ11は、一般的な油圧式摩擦ブレーキに限らず、電動アクチュエータによって摩擦材をディスクロータに押圧して制動力を発生させる電動ブレーキ、或いは電気的に制動作用を得る回生ブレーキや発電ブレーキを用いてもよい。また、エンジンにおけるバルブタイミングの変更や、変速比の変更によって制動作用を得るエンジンブレーキを用いてもよいし、更には空気抵抗ブレーキを用いてもよい。要は、自車両に制動力を付与するものであれば任意の手段を用いることができる。
【0033】
また、上記一実施形態では、距離センサ1を用いて前方物体との相対速度Vrを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばCCDカメラ等で自車両の前方を撮像した画像から、前方物体までの距離D及び相対速度Vrを算出してもよい。
また、上記一実施形態では、セレクトレバーの選択位置と自車速V、前方物体との相対速度Vr、及びハザードランプの作動状態に基づいて、自車両が牽引されているか否かを判断する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、このうちハザードランプの作動状態を判定するステップS24の処理や、相対速度Vrの絶対値が所定値V2未満であるか否かを判定するステップS23の処理は省略してもよい。
【0034】
さらに、上記一実施形態では、ブレーキアクチュエータ11が所定の制動力を発生する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、接触回避可能な範囲からの逸脱度合に応じて制動力指令値Pを算出し、出力するようにしてもよい。
さらに、上記一実施形態では、エンジンを回転駆動源とする車両について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、回転駆動源に電気モータを使用した電気自動車にも適用することができ、要は、回転駆動源の出力トルクを制御することができればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略構成図である。
【図2】牽引フック取付け部の拡大図である。
【図3】制動制御処理を示すフローチャートである。
【図4】牽引判断処理を示すフローチャートである。
【図5】前方物体との接触回避を説明する図である。
【図6】接触回避が可能な境界線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 距離センサ
2 車速センサ
3 インヒビタスイッチ
4 ハザードスイッチ
5 引張力検出装置
6 牽引フック
8 ナット
9 コイルスプリング
10 コントローラ
11 ブレーキアクチュエータ
【発明の属する技術分野】
本発明は、運転者の制動操作に係らず車両に制動力を発生可能な車両用制動制御装置に関するもので、特に車両がエンジンをかけた状態等イグニッションONで制動制御装置が起動している状態で牽引される場合に有用なものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えばレーザレーダで検出する先行車両との車間距離が短くなったときに、自車両に自動ブレーキを作動させ、そのブレーキ力を先行車両との相対速度及び車間距離に応じて算出するように構成された自動車の走行制御装置が提案されている(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平7−65297号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1に記載された従来例にあっては、自動ブレーキやパワーステアリング等の作動を維持するためにエンジンをかけた状態等イグニッションONで走行制御装置が起動している状態で自車両が牽引される際、自車両と牽引車両との相対速度が増大しにくいので自動ブレーキによる制動力が発生しにくいという未解決の課題がある。
【0005】
そこで、本発明は上記従来例の未解決の課題に着目してなされたものであり、自車両が牽引されるときにも、前方物体との相対関係に応じて随時適切な制動力を発生させることができる車両用制動制御装置を提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る車両用制動制御装置は、自車両が牽引されているか否かを判断し、自車両が牽引された状態にあるときには、前方物体との相対関係に応じて前記制動力発生手段に制動力を発生させる閾値を、非牽引時に比べて制動力が発生し易くなるように変更することを特徴としている。
【0007】
【発明の効果】
本発明に係る車両用制動制御装置によれば、自車両が牽引されているか否かを判断し、自車両が牽引された状態にあるときには、前方物体との相対関係に応じて前記制動力発生手段に制動力を発生させる閾値を、非牽引時に比べて制動力が発生し易くなるように変更するので、牽引時に運転者が制動操作をしなくとも、前方物体との相対関係に応じて随時適切な制動力を発生させることができ、運転者の負担を軽減させることができるという効果が得られる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態を示すブロック図である。図中、距離センサ1は、例えば車体前面グリル内に配設され、車両前方にレーザ光を発して、車両前方の先行車両等の前方物体からの反射光を受光するレーダー方式の検出器であり、自車両と前方物体との距離D及び相対速度Vrを検出する。この相対速度Vrは、距離Dを微分して求めるか、或いは距離Dをバンドパスフィルタ処理することにより求める。なお、距離センサ1には、レーザ光を利用する場合に限らず、電波や超音波を利用して前方物体までの距離を検出して相対速度を演算したり、ドップラーレーダを使用したりしてもよい。
【0009】
また、車速センサ2は、例えば変速機(図示省略)における出力軸の回転速度に応じて自車速Vを検出し、インヒビタスイッチ3は、運転者により操作されるセレクトレバー(図示省略)の選択位置を検出し、ハザードスイッチ4は、ハザードランプ(図示省略)の作動状態を検出する。
また、引張力検出装置5は、自車両が牽引されるときの牽引フック6にかかる引張力Tを検出する。ここで、牽引フック6は、図2に示すように、雄ねじ部6aを有し、この雄ねじ部6aを車体7のフロント下部に設けたナット8に螺合させて車体7に固定する所謂ねじ込み式のフックである。このナット8は、軸方向に摺動自在で且つ軸回転が阻止されるように車体7に係合保持され、更に軸方向の車体前方側に弾装されたコイルスプリング9の弾発力によって、車体後方側(紙面上左方向)に付勢されている。これにより、ナット8は、牽引フック6にかかる引張力が零であるときには、コイルスプリング9の弾発力によって後端の初期位置にあり、牽引フック6にかかる引張力がコイルスプリング9の弾発力に抗して増加するときには、初期位置から車体前方側に移動する。したがって、引張力検出装置5は、初期位置からのナット8の位置変化を測定するリニアエンコーダ等の位置センサであって、このナット8の移動量に応じた引張力Tを演算するように構成されている。
【0010】
そして、図1のコントローラ10は、例えばマイクロコンピュータで構成されており、距離D及び相対速度Vrと、自車速Vと、セレクトレバーの選択位置と、ハザードランプの作動状態と、引張力Tとを入力して、図3の制動制御処理を実行し、ブレーキアクチュエータ11に対する制動力指令値Pの出力を制御する。
【0011】
このブレーキアクチュエータ11は、コントローラ10からの制動力指令値Pに応じた大きさの制動力を、運転者のブレーキ操作に係らず断続的に発生するように構成されている。
次に、コントローラ10で実行する制動制御処理を図3及び図4のフローチャートに従って説明する。
【0012】
先ず、図3のステップS1で、各種センサ及びスイッチからのデータを読込む。具体的には、距離センサ1で検出した自車両と前方物体との距離D及び相対速度Vrと、車速センサ2で検出した自車速Vと、インヒビタスイッチ3で検出したセレクトレバーの選択位置と、ハザードスイッチ4で検出したハザードランプの作動状態と、引張力検出装置5で検出した引張力Tとを読込み、続くステップS2に移行する。
【0013】
ステップS2では、後述する図4の牽引判断処理を実行して、自車両が牽引されているか否かを表す牽引フラグFTを設定し、続いて移行するステップS3では、牽引フラグFTが“0”にリセットされているか否かを判定し、判定結果がFT=1であるときには、自車両が牽引されていると判断して後述するステップS8に移行し、逆にFT=0であるときには、自車両は牽引されていないと判断してステップS4に移行する。
【0014】
ステップS4では、前方物体との距離Dに基づいて制動の要否を判断する閾値DLを算出する。ここで、図5に示すように、自車両が前方を走行する先行車両に対して、車間距離D及び相対速度Vrで接近しているとすると、車間距離Dが零となる前に、自車両における左端の点Aが、先行車両の車幅W分だけ横方向に移動すれば、先行車両との接触を回避することが可能である。このとき、自車両が横加速度αxで横方向に移動すると、車幅W分の移動に要する時間Txは、下記(1)式で演算できる。
Tx=(2W/αx)1/2 ・・・・・・(1)
したがって、運転者によるステアリング操作で接触を回避するのに必要な操舵回避距離DSTRを、下記(2)式で演算できる。なお、VrNは相対速度のノイズ成分である。
DSTR=Tx・(Vr+VrN) ・・・(2)
また、車間距離Dが零となる前に、相対速度Vrが零以下となるように減速すれば、先行車両との接触を回避することが可能である。このとき、自車両が減速度αyで減速すると、運転者によるブレーキ操作で接触を回避するのに必要な制動回避距離DBRKを、下記(3)式で演算できる。
DBRK=(Vr+VrN)2/2αy ・・・(3)
ここで、横加速度αx、減速度αyを所定の値に設定すると、図6に示すように、相対速度Vrから操舵回避距離DSTRの境界線(破線)と、制動回避距離DBRKの境界線(破線)とが定まる。その結果、運転者によるステアリング操作、又はブレーキ操作の何れかで、障害物との接触を回避可能な閾値(太い実線)が定まり、この閾値に対して車間距離Dは短くなるほど、相対速度Vrは接近方向に増加するほど、障害物との接触回避が困難となる。
【0015】
したがって、ブレーキアクチュエータ11による制動の要否を判断する閾値DLは、下記(4)式に示すように、操舵回避距離DSTR、及び制動回避距離DBRKの小さい方の値を選択して算出する。
DL=min[DSTR,DBRK] ・・・(4)
こうして上記ステップS4で閾値DLを算出したらステップS5に移行し、車間距離Dが閾値DL以上であるか否かを判定する。この判定結果がD≧DLであるときには、運転者によるステアリング操作、又はブレーキ操作で障害物との接触回避が可能であり、制動は不要であると判断してステップS6に移行し、ブレーキアクチュエータ11への制動力指令値Pを出力停止状態に制御して、前記ステップS1に戻る。一方、判定結果がD<DLであるときには、運転者によるステアリング操作やブレーキ操作では、障害物との接触回避が困難なため、制動が必要であると判断してステップS7に移行し、ブレーキアクチュエータ11に比較的大きな制動力を発生させる所定の制動力指令値Pを出力する。
【0016】
一方、前記ステップS3の処理で自車両が牽引されていると判断されて移行するステップS8では、引張力Tが零であるか否かを判定し、この判定結果がT>0であるときには、自車両が牽引車両に対して牽引ロープ分の車間距離を維持していると判断して前記ステップS4に移行する。一方、判定結果がT=0であるときには、自車両が牽引ロープ分の車間距離を下回って牽引車両に接近していると判断してステップS9に移行する。
【0017】
ステップS9では、前記ステップS4と同様に前方物体との距離Dに基づいて制動の要否を判断する閾値DLを算出して、前記ステップS5に移行する。但し、このステップS5では、図6に示すように、ステップS4で算出した非牽引時又は引張力発生時の通常の閾値に比べて制動力が発生し易くなるように閾値DLを上げる。具体的には、下記(5)式に示すように、前記ステップS4で算出される操舵回避距離DSTR、及び制動回避距離DBRKの夫々に、係数K(K>1)を乗じ、こうして算出されたDSTR・K、及びDBRK・Kの小さい方の値を選択して算出する。また、係数Kは、引張力Tが零となるまでの減少率に応じて決定され、この減少率が大きいほど係数Kを大きくする。
DL=min[DSTR・K,DBRK・K] ・・・(5)
そして、図4の牽引判断処理では、先ずステップS20で、セレクトレバーがニュートラル位置のNレンジに設定されているか否かを判定し、Nレンジ以外のレンジ(Pレンジ、Rレンジ、Dレンジ等)に設定されているときには、自車両は牽引されていないと判断し、ステップS21に移行してから前述した牽引フラグFTを、自車両が牽引されていない旨を示す“0”にリセットしてこの牽引判断処理を終了する。一方、Nレンジが選択されているときには、ステップS22に移行する。
【0018】
ステップS22では、自車速Vが零から増加して低速域の所定値V1(例えば、時速15km)を超えたか否かを判定し、この判定結果がV<V1である、又はV≧V1であっても零から増加していないときには、自車両が牽引されていない可能性は高いと判断して前記ステップS21に移行する。一方、自車速Vが零から増加して所定値V1を超えているときには、自車両が牽引されている可能性があると判断してステップS23に移行する。
【0019】
ステップS23では、前方物体との相対速度の絶対値|Vr|が零近傍の所定値V2未満であるか否かを判定し、この判定結果が|Vr|≧V2であるときには、自車両は牽引されていない可能性があると判断して前記ステップS21に移行する。一方、判定結果が|Vr|<V2であるときには、前方物体と略一定の速度を維持しており自車両が牽引されている可能性が高いと判断してステップS24に移行する。
【0020】
ステップS24では、ハザードランプが作動しているか否かを判定し、ハザードランプが非作動状態であるときには、自車両は牽引されていない可能性があると判断して前記ステップS21に移行する。一方、ハザードランプが作動状態にあるときには、自車両が牽引されていると判断し、ステップS25に移行してから前述した牽引フラグFTを、自車両が牽引されている旨を示す“1”にセットしてこの牽引判断処理を終了する。
【0021】
ここで、図1のブレーキアクチュエータ11が制動力発生手段に対応し、図3のステップS3〜S9処理が制動制御手段に対応し、図3のステップS2(図4の牽引判断処理)の処理が牽引判断手段に対応し、図1の引張力検出装置が引張力検出手段に対応している。
次に、上記一実施形態の動作について説明する。
【0022】
今、自車両が先行車両の後方を走行しているとする。このとき、自車両ではドライブレンジが選択されて牽引フラグFTが“0”にリセットされるので、相対速度Vrに応じて通常の閾値DLを算出し(ステップS4)、この閾値DLと車間距離Dとに基づいて制動の要否を判定する(ステップS5)。
ここで、自車両が、概ね一定の速度で走行した先行車に対して理想的な車間距離を維持して走行しているときには、車間距離Dと閾値DLとの関係が、D≧DLとなるので、制動不要と判定され、ブレーキアクチュエータ11に対する制動力指令値Pは出力停止状態に制御される(ステップS6)。
【0023】
その後、先行車両の減速等で車間距離Dが減少し、相対速度Vrが増加してくると、ステアリング操作、又はブレーキ操作による接触回避が、次第に困難となる。そして、車間距離Dと閾値DLとの関係が、D<DLとなるときに、制動が必要であると判定され、ブレーキアクチュエータ11に制動力指令値Pが出力される(ステップS7)。ブレーキアクチュエータ11は、コントローラ10から出力された制動力指令値Pに応じて比較的大きな制動力を断続的に発生させて車両を減速させることにより、先行車両との接触を回避したり、或いは接触速度を低減させたりする。この自車両の減速で、再び先行車両との接触を回避できると判断されれば、ブレーキアクチュエータ11に対する制動力指令値Pの出力停止状態に復帰する。
【0024】
ところで、上記のように通常の制動制御を行っていた状態から、自動ブレーキやパワーステアリング等の作動を維持するために、エンジンをかけた状態等イグニッションONで制動制御装置が起動した状態で自車両を牽引したとする(ステップS3の判定が“No”)。
しかしながら、このような牽引時に、例えば牽引車両が駆動力を弱めるなどしてゆっくりと減速する場合には、自車両が牽引ロープ分の車間距離を下回って牽引車両に接近するものの、相対速度Vrが小さいためにブレーキアクチュエータ11による制動力が発生しにくい。そこで、自車両が牽引状態にあるものの牽引フック6に引張力Tが零となるときには(ステップS8の判定が“Yes”)、牽引車両との相対関係に基づいてブレーキアクチュエータ11に制動力を発生させる閾値DLを上げ(ステップS9)、制動力が発生し易くなるようにする。このとき、引張力Tが零となるまでの減少率が大きいほど、閾値DLの変更量を大きくするように構成されているので、牽引車両が大きく減速する等して引張力Tが早く抜けほど、ブレーキアクチュエータ11による制動力が発生し易くなる。
【0025】
一方、牽引フック6に引張力Tがかかっているとき、すなわち自車両が牽引車両に完全に引っ張られているときには(ステップS8の判定が“No”)、制動力を発生させる閾値DLの変更は行わない。それでも、牽引車両との相対速度Vrは略零であるので、ブレーキアクチュエータ11により不要な制動力が発生することはない。
【0026】
因みに、車両が牽引される場合には、セレクトレバーがNレンジに設定された状態で、車速が零から増加し始めてある程度の車速まで増加し、また牽引車両との相対速度が零近傍の値を維持し、更にハザードランプが点灯されるので、これらの条件を全て満たすか否かを判定して自車両が牽引されているか否かを正確に判断することができる。
【0027】
このように、上記一実施形態によれば、自車両が牽引されていると判断され、且つ引張力Tが零となるきには、ブレーキアクチュエータ11によって制動力を発生させる閾値DLを上げる、つまり非牽引時又は引張力発生時に比べて制動力が発生しやすくなるように変更するので、牽引時に運転者が制動操作をしなくとも、牽引車両との相対関係に応じて随時適切な制動力を発生させることができ、運転者の負担を軽減することができるという効果が得られる。
【0028】
また、自車両が牽引されていると判断された状態で、引張力Tが減少して零となるときに、引張力Tの減少率が大きいほど閾値DLの変更量を大きくするように構成されているので、牽引車両が大きく減速する等して引張力Tが早く抜けるほど、ブレーキアクチュエータ11による制動力が発生し易くなり、安全性が向上するという効果が得られる。
【0029】
なお、上記一実施形態では、引張力Tが零となるまでの減少率が大きいほど、閾値DLの変更量を大きくする場合について説明したが、これに限定されるものではなく、閾値DLの変更量は固定してもよい。
また、上記一実施形態では、自車両が牽引されていると判断され、且つ引張力Tが零となるときに、閾値DLを変更する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、自車両が牽引されていると判断されたときに、非牽引時に比べて制動力が発生し易くなるようにすればよいので、図3のステップS8の処理を省略し、ステップS2の処理で自車両が牽引されていると判断されたら、そのままステップS9に移行して閾値DLを変更してもよい。
【0030】
また、上記一実施形態では、牽引フック6と螺合したナット8の位置変化から引張力Tが零であるか否かを判断する場合について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、引張力Tが発生しているとき、つまり自車両が牽引車両に完全に引っ張られているときには自車両は加速状態にあるが、引張力Tが零になると自車両は減速し始めるので、自車両の減速度を検出して減速度が発生したときに引張力Tが零であると判断するようにしてもよい。勿論、張力計等を用いて引張力Tが零であるか否かを判断してもよい。
【0031】
さらに、上記一実施形態では、牽引中に引張力Tが抜けたときには、制動力が発生し易くなるように、操舵回避距離DSTR及び制動回避距離DBRKの夫々に係数Kを乗じて、閾値DLを上げる場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えば操舵回避距離DSTR及び制動回避距離DBRKの夫々に、引張力Tの減少率に応じた所定の値を加算して閾値DLを上げてもよい。
【0032】
さらにまた、上記一実施形態では、ブレーキアクチュエータ11を用いて自車両に制動力を発生させる場合について説明しているが、このブレーキアクチュエータ11は、一般的な油圧式摩擦ブレーキに限らず、電動アクチュエータによって摩擦材をディスクロータに押圧して制動力を発生させる電動ブレーキ、或いは電気的に制動作用を得る回生ブレーキや発電ブレーキを用いてもよい。また、エンジンにおけるバルブタイミングの変更や、変速比の変更によって制動作用を得るエンジンブレーキを用いてもよいし、更には空気抵抗ブレーキを用いてもよい。要は、自車両に制動力を付与するものであれば任意の手段を用いることができる。
【0033】
また、上記一実施形態では、距離センサ1を用いて前方物体との相対速度Vrを検出する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、例えばCCDカメラ等で自車両の前方を撮像した画像から、前方物体までの距離D及び相対速度Vrを算出してもよい。
また、上記一実施形態では、セレクトレバーの選択位置と自車速V、前方物体との相対速度Vr、及びハザードランプの作動状態に基づいて、自車両が牽引されているか否かを判断する場合について説明したが、これに限定されるものではなく、このうちハザードランプの作動状態を判定するステップS24の処理や、相対速度Vrの絶対値が所定値V2未満であるか否かを判定するステップS23の処理は省略してもよい。
【0034】
さらに、上記一実施形態では、ブレーキアクチュエータ11が所定の制動力を発生する構成について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、接触回避可能な範囲からの逸脱度合に応じて制動力指令値Pを算出し、出力するようにしてもよい。
さらに、上記一実施形態では、エンジンを回転駆動源とする車両について説明したが、これに限定されるものではない。すなわち、回転駆動源に電気モータを使用した電気自動車にも適用することができ、要は、回転駆動源の出力トルクを制御することができればよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の概略構成図である。
【図2】牽引フック取付け部の拡大図である。
【図3】制動制御処理を示すフローチャートである。
【図4】牽引判断処理を示すフローチャートである。
【図5】前方物体との接触回避を説明する図である。
【図6】接触回避が可能な境界線を示すグラフである。
【符号の説明】
1 距離センサ
2 車速センサ
3 インヒビタスイッチ
4 ハザードスイッチ
5 引張力検出装置
6 牽引フック
8 ナット
9 コイルスプリング
10 コントローラ
11 ブレーキアクチュエータ
Claims (3)
- 運転者の制動操作に係らず制動力を発生可能な制動力発生手段と、自車両と前方物体との相対関係に応じて前記制動力発生手段の制動力を制御する制動制御手段とを備えた車両用制動制御装置において、
自車両が牽引されているか否かを判断する牽引判断手段を有し、前記制動制御手段は、前記牽引判断手段で自車両が牽引されていると判断されたときに、前方物体との相対関係に応じて前記制動力発生手段に制動力を発生させる閾値を、非牽引時に比べて制動力が発生し易くなるように変更することを特徴とする車両用制動制御装置。 - 自車両の牽引フックにかかる引張力を検出する引張力検出手段を有し、前記制動制御手段は、前記牽引判断手段で自車両が牽引されていると判断され、且つ前記引張力検出手段で検出した引張力が零となるときに、前方物体との相対関係に応じて前記制動力発生手段に制動力を発生させる閾値を、非牽引時又は引張力発生時に比べて制動力が発生し易くなるように変更することを特徴とする請求項1記載の車両用制動制御装置。
- 前記制動制御手段は、前記牽引判断手段で自車両が牽引されていると判断された状態で、前記引張力検出手段で検出される引張力が減少して零となるとき、引張力の減少率が大きいほど前記閾値の変更量を大きくすることを特徴とする請求項1又は2記載の車両用制動制御装置。
Priority Applications (1)
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JP2003142327A JP2004345408A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 車両用制動制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2003142327A JP2004345408A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 車両用制動制御装置 |
Publications (1)
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JP2003142327A Pending JP2004345408A (ja) | 2003-05-20 | 2003-05-20 | 車両用制動制御装置 |
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JP (1) | JP2004345408A (ja) |
-
2003
- 2003-05-20 JP JP2003142327A patent/JP2004345408A/ja active Pending
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