JP2004344058A - 発酵おからの製造方法及び発酵おから入り小麦粉加工食品 - Google Patents
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Abstract
【課題】おからに発酵補助剤を添加すること、及びおからの酵素処理及び発酵前にあらかじめおからを殺菌しておくことを必須の要件とせず、また、得られる発酵おからは有用な食品素材とすることのできる、発酵おからの製造方法を提供する。
【解決手段】豆腐などの製造の際に副生されるおからに、所定量の酵素と微生物とを添加・混合して、おから・酵素・微生物混合体とする工程と、この混合体を密閉可能な容器内に投入・収容する工程と、混合体が収容された容器内から真空ポンプを用いて空気を除去し、容器内を低酸素状態にする工程と、低酸素状態に置かれた容器内の混合体を所定の時間、40℃〜65℃前後に保つ工程とから構成される。
【解決手段】豆腐などの製造の際に副生されるおからに、所定量の酵素と微生物とを添加・混合して、おから・酵素・微生物混合体とする工程と、この混合体を密閉可能な容器内に投入・収容する工程と、混合体が収容された容器内から真空ポンプを用いて空気を除去し、容器内を低酸素状態にする工程と、低酸素状態に置かれた容器内の混合体を所定の時間、40℃〜65℃前後に保つ工程とから構成される。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発酵おからの製造方法、及び該発酵おからを含んでなる小麦粉加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐を製造する際に副生するおからは、例えば食物繊維やイソフラボン、あるいはカリウムやカルシウムなど、人にとって有用な栄養素を豊富に含むものであるため、食品として非常に高い利用価値があることが知られている。その一方で、おからは含水率が高く腐敗し易いため、おからを市場に流通させることは困難であった。このため、これまでおからの多くは廃棄物として処理されるか、あるいは飼料や肥料として消費され、食品として利用されるおからは僅かであった。
【0003】
また、例え食品として利用された場合であっても、おからには不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質なども多く含まれるため、そのまま食してもその食感は悪かった。また、おから入りクッキーやおから入りパンを作製するなどして、おからを食品素材として用いた場合であっても、おからはかかるクッキーやパンの食感を悪いものとし、特にパンにおいては生地の膨らみを悪くした。
【0004】
そこで、かかる問題に鑑みて、おからを微生物で発酵させたり(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)、酵素処理した後に微生物で発酵させたり(例えば、特許文献3参照。)、あるいは微生物で培養した後に酵素処理(例えば、特許文献4参照。)するなどして、おからを腐り難くしておからの市場流通性を上げると同時に、おからの食感や風味を改良して、おからを多方面に利用可能な食品素材にしようとする方法が開示されてきた。
【0005】
【特許文献1】
特許第2579779号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−322729号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開昭62−186761号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特公平2−17143号公報(特許請求の範囲)
【0006】
しかしながら、上記方法において、単におからに微生物を作用させても、微生物が資化し得る態様の栄養素はおから中には多量に含まれていないため、おからの発酵を十分に進めることができなかった。このため、発酵を十分に進めるためには、おからにグルコースなどの糖源や、フスマなどの発酵補助剤を添加することを必要とした。さらに、得られる発酵後のおからは食味が悪く、依然として食感はざらざらした。
【0007】
また、おからを酵素で処理する場合においては、上記おからの微生物作用によるざらざら感は改善できるものの、おからを所定の温度(45℃〜65℃)で保持することが必要となるため、かかる場合にはおからが腐敗するという問題があった。このため、従来の方法では、おからを酵素で処理する前に、おからに乳酸などを添加しておからのpHを下げておくか、あるいはおからを120℃前後の高温で処理するなどして、おからに本来含まれる微生物(腐敗菌)を殺菌しておくことを必要とした。したがって、従来の方法では、その製造工程が煩雑なものとなった。
【0008】
また、おからを上記所定の温度で保持することにより、おからに含まれるリノール酸などの不飽和脂肪酸の酸化が促進されることとなるため、上記方法のうち、酵素処理工程を経て得られるおからは、脂肪の酸化臭がするなどして、食品としての利用が制限された。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発酵おからの製造方法であって、その製造工程が容易で、かつ、得られる発酵おからは腐敗し難く、また独特の風味を有してなり、したがって有用な食品素材とすることのできる発酵おからの製造方法、及びかかる発酵おからを用いてなる小麦粉加工食品を提供することにある。
【0010】
【発明を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、おからに酵素と微生物とを添加して、おから・酵素・微生物混合体とする工程と、該混合体を容器内で留置する工程と、を含んで構成され、前記留置する工程が、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされる発酵おからの製造方法にある。
【0011】
また、本発明の要旨とするところは、おからに酵素を添加して、おから・酵素混合体とする工程と、該混合体を容器内で留置する第1の工程と、留置された前記混合体に微生物を添加して、前記容器内でさらに留置する第2の工程と、を含んで構成され、前記第1の工程が、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされる発酵おからの製造方法にある。
【0012】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記留置する工程又は前記第1の工程が、前記容器内を減圧装置で減圧して、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされることにある。
【0013】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記留置する工程又は前記第1の工程が、前記容器内の酸素を不活性ガスで置換して、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされることにある。
【0014】
かかる構成により、混合体と酸素との接触が低く抑えられるため、おからを酵素で分解する際において、一般におからを好気性条件下で酵素分解する工程で起こる、おから中の不飽和脂肪酸などの酸化が抑えられることとなる。また、おからに本来含まれる腐敗菌の増殖が抑えられることとなる。さらに、微生物によるおからの嫌気性発酵が促進される。
【0015】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記おから・酵素・微生物混合体、又は前記おから・酵素混合体が蓄えられた容器内の温度を、前記酵素の至適温度に保つことにある。
【0016】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記酵素の至適温度が40℃〜65℃であることにある。
【0017】
かかる構成により、酵素の働きが活性化されるため、おからの酵素による分解が速やかになされることとなる。
【0018】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記酵素が、セルラーゼ、ぺクチナーゼ、プロテイナーゼ、リパーゼ、アミラーゼから選択される酵素であることにある。
【0019】
かかる構成により、おからに多量に含まれるものの、微生物が資化し難い不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質が、積極的に分解されることとなり、その結果、おからの性状が微生物の資化し易い態様に変わることとなる。
【0020】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記微生物が、前記おからから有機酸を生産する微生物であることにある。
【0021】
かかる構成により、本発明の製造方法を経て得られる発酵おからは、有機酸を含有することとなり、おからの風味が変わるだけでなく、そのpHが低く維持される。
【0022】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記微生物が、乳酸菌、プロピオン酸菌、バチルス属細菌、酵母から選択される好熱性の微生物であることにある。
【0023】
かかる構成により、混合体を上記高温・嫌気性条件下で保持しても、微生物は死滅することがなく、おからの発酵が速やかになされることとなる。
【0024】
また、本発明の要旨とするところは、前記製造方法によって製造された発酵おからから得られる発酵おから固形分にある。
【0025】
また、本発明の要旨とするところは、前記発酵おから固形分を乾燥してなる乾燥発酵おからにある。
【0026】
また、本発明の要旨とするところは、前記製造方法によって製造された発酵おからから分離して得られる発酵おから液状分にある。
【0027】
かかる構成により、本発明にかかる発酵おから固形分及び乾燥発酵おからは、含水率が低くなるため、その保存性、及び取り扱い性が発酵おからに比べてさらに上がることとなる。また、おからの酵素分解と発酵とによって生成された、発酵おから中の還元糖などの低分子化合物の多くが、発酵おから液状分として発酵おからから分離し得るため、かかる液状分の分離後に得られる発酵おから固形分又は乾燥発酵おからは、低分子化合物をほとんど含まないこととなる。
【0028】
また、本発明の要旨とするところは、前記製造方法によって製造された発酵おから、又は前記発酵おから固形分、又は前記乾燥発酵おからと、少なくとも小麦粉とを混練して小麦混練物とする工程を含んで作製される、発酵おから入り小麦粉加工食品にある。
【0029】
また、本発明にかかる小麦粉加工食品が、前記小麦粉又は前記小麦混練物にイーストを添加する工程を含んで作製されることにある。
【0030】
かかる構成により、小麦粉加工食品に、おからの豊富な栄養素が含有されることとなる。
【0031】
【発明の実施の態様】
本発明にかかる発酵おからの製造方法、及び該発酵おからから得られる発酵おから固形分、乾燥発酵おから、発酵おから液状分、そして、かかる発酵おからを用いてなる小麦粉加工食品について、以下に詳しく説明する。
【0032】
本発明の発酵おからの製造方法は、豆腐などの製造の際に副生されるおからに、所定量の酵素と微生物とを添加する工程と、かかるおからと酵素と微生物とを撹拌・混合して、おから・酵素・微生物混合体とする工程と、この混合体を密閉可能な容器内に投入・収容する工程と、混合体が収容された容器内から真空ポンプを用いて空気を除去した後密栓し、容器内を低酸素状態にする工程と、低酸素状態に置かれた容器内の混合体を所定の時間、40℃〜65℃前後で留置して、おからの酵素分解と発酵とを行う工程とから構成される。
【0033】
上記工程において、おから・酵素・微生物混合体とする工程は、おからに酵素と微生物とを添加した後、おからがペースト状になるまで十分に撹拌・混合して行うことが好ましい。これにより、混合体が均質化されるため、おからの酵素分解と発酵とを均一に行うことが可能となる。また、おからに内包される空気が可能な限り除去されることとなるため、混合体が酸素と接触することを低く抑えることができる。
【0034】
おからに対する酵素、及び微生物の添加量は、おからの酵素分解と発酵とが効率よくなされる範囲内であれば特に限定されるものではないが、おから90gに対して、酵素が0.05〜1.0g、微生物が105〜1010個程度であることが好ましく、酵素が0.1〜0.3g、微生物が106〜108個の範囲内にあることがより好ましい。かかる態様により、酵素及び微生物に要するコストを低く抑えつつ、短期間で本発明の発酵おからを製造することが可能となる。
【0035】
ここで、酵素の添加量が0.05g未満である場合には、おからを酵素分解するために長時間を要することとなる。また、酵素の添加量が1.0gよりも多くした場合には、発酵おからの製造コストを上げることとなる。
【0036】
また、微生物の添加量が105個未満である場合には、おから及びおからを酵素分解してなる酵素分解物を十分に発酵するために長期間を要することとなる。また、おから及びその酵素分解物が雑菌で汚染されてしまうおそれがある。また、1010個よりも多くした場合には、おから及びその酵素分解物の発酵は短期間で行うことができるものの、液体培養によってグラム単位で1010個よりも多い菌液を調製しようとする場合に、遠心分離機などの設備や特別な培地が必要となるため、発酵おからの製造コストが上がることとなる。
【0037】
おからに添加される酵素としては、おからに含まれる不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質を分解し得る酵素であることが好ましい。かかる酵素として、具体的には、セルラーゼ、ぺクチナーゼ、プロテイナーゼ、リパーゼ、アミラーゼなどを挙げることができる。なお、かかる酵素の群から選択される2種以上の酵素を組み合わせて、おからに添加してもよい。これにより、おからの性状を微生物が資化し易い態様に変えることが可能となる。
【0038】
おからに添加される微生物としては、混合体を40℃〜65℃下で留置してもその活性を維持して、おから及びその酵素分解物を発酵させ得るものであることが好ましく、さらに、おから及びその酵素分解物から乳酸や酢酸、あるいはプロピオン酸などの有機酸を生産し得る微生物であることがより好ましい。かかる態様で製造された発酵おからは、有機酸を含むこととなるため、未処理(未発酵)のおからとは異なる風味を有することができるだけでなく、発酵おからのpHが低くなるため腐敗菌が増殖し難く、発酵おからの保存性を上げることができる。かかる微生物として、具体的には、乳酸菌やプロピオン酸菌、バチルス属細菌、酵母などを挙げることができる。特に、かかる微生物は、上記温度範囲(40℃〜65℃)内に至適温度を有する、好熱性の通性嫌気微生物もしくは絶対嫌気性微生物であることがより好ましい。これにより、おからの発酵をより速やかに行うことが可能となる。なお、かかる微生物の群から選択される2種以上の微生物を組み合わせて、おからに添加してもよい。
【0039】
ここで、おからに添加される微生物の態様は、微生物生菌体や微生物死菌体、あるいは微生物代謝物や、微生物を培養して得られる微生物培養液のいずれであってよい。
【0040】
混合体を所定の時間留置する工程は、おからに添加される酵素の活性を維持もしくは促進し得る温度範囲内に容器内を維持して行えばよく、その温度は特に限定されるものではないが、40℃〜65℃の範囲であることが好ましく、45℃〜55℃の範囲であることがより好ましい。かかる態様により、前述の酵素の多くが至適温度で保持されることとなるため、おからの酵素分解が効率よくなされて、微生物が資化し得る態様の栄養素がより多く混合体中に含まれることとなる。ここで、混合体を留置する温度が40℃より低い場合には、おからの酵素分解に長時間を要することとなる。また、65℃より高い場合には、酵素の失活を招くおそれがある。
【0041】
混合体を蓄えてなる容器内を低酸素状態にする工程は、混合体が酸素と接触することを可能な限り妨げることができるものであればよい。具体的には、メチレンブルーの水溶液を含浸させてなるろ紙を容器内に設置した際に、かかるメチレンブルーの青色が脱色する程度まで容器内を低酸素状態にすることが好ましく、略真空状態にすることがより好ましい。これにより、微生物による嫌気性発酵が促進されて、おから及びその酵素分解物の発酵を効率よく進めることができる。また、混合体を好気性条件下、高温で保持することによって一般的に促進される、おから中の不飽和脂肪酸の酸化やこれに伴うおからの褐変、及びおからに含まれる腐敗菌の活性が抑制されることとなる。このため、得られる発酵おからはアンモニア臭や硫黄臭や脂肪の酸化臭がせず、また、その色合いも未処理(未発酵)のおからとほとんど変わらないものとなり、その食品素材としての有用性を上げることができる。
【0042】
混合体を容器内で保持する時間は、おからを発酵させ得るものであれば、特に限定されるものではないが、おからの発酵をより完全に進めるために、3〜10日間程度であることが好ましい。かかる期間発酵させて得られる発酵おからは、その後常温・常圧で放置しても腐敗し難く、また褐変し難いものとなる。
【0043】
本発明により得られる発酵おからは、そのまま食してもよいが、小麦粉(あるいは小麦混練物)に添加するなどして、おから入り小麦粉加工食品を作製するための食品素材として用いてもよい。これにより、従来の小麦粉加工食品が有し得ない発酵おからの栄養素(食物繊維など)や発酵おからの風味が、かかる小麦粉加工食品に含まれることとなるため、小麦粉加工食品に付加価値を付けることができる。また、従来の小麦粉加工食品に比べて保水性が上がるため、小麦粉加工食品の食味が短期間で落ちることを防ぐことができる。さらに、かかる小麦粉加工食品がパンである場合には、本発明の発酵おからは、おから入りパンの製造工程においてパン生地の膨らみを阻害しないため、外観のふっくらとしたおから入りパンの製造を可能にする。
【0044】
ここで、小麦粉に添加される発酵おからの量は、小麦粉100重量部に対して発酵おから5〜50重量部であることが好ましく、20〜40重量部であることがより好ましい。これにより、得られる小麦粉加工食品におからの風味を最も効果的に付加することができる。なお、かかる添加量が5重量部未満である場合には、得られる小麦粉加工食品に発酵おからの風味を十分に付加することができない。また、50重量部より多い場合には、パン生地の膨らみを阻害するおそれがある。
【0045】
本発明により得られる発酵おからは、おからの酵素分解と発酵がなされているため、未処理(未発酵)のおからに比べてその保水性は低下している。このため、かかる発酵おからは、圧搾や遠心分離、あるいはろ過などによって、発酵おから固形分と発酵おから液状分とに分離することが容易となり、その含水率を低下させることができる。また、かかる発酵おから固形分を温熱送風乾燥や真空乾燥、あるいは凍結真空乾燥などすることによって、さらに含水率の低い乾燥発酵おからとすることも容易となる。このように、発酵おからを発酵おから固形分もしくは乾燥発酵おからとすることにより、発酵おからの保存性、取り扱い性をさらに上げることができる。また、本発明の製造方法によって発酵おから中に生じた還元糖などの低分子化合物は、発酵おから液状分と伴に発酵おからから取り除かれるため、分離後に得られる発酵おから固形分や乾燥発酵おからを用いてなる小麦粉加工食品は、その製造時の加熱工程において、還元糖に由来するメイラード反応が抑制されることとなる。このため、得られる小麦粉加工食品が褐変することを防止できる。
【0046】
本発明により得られる発酵おから液状分は、そのまま排水として処理することも可能であるが、おからに添加される微生物が、おからから有機酸を生産し得る微生物である場合には、発酵飲料の原料とすることもできる。特に、かかる微生物が乳酸菌である場合には、得られる発酵おから液状分には乳酸及び乳酸菌代謝物が含まれるため、かかる発酵おから液状分を、乳酸飲料の原料にすることができる。
【0047】
以上、本発明の発酵おからの製造方法、及び発酵おから関連物の一実施例を詳述したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その他の態様でも実施しうるものである。
【0048】
本発明で用いられるおからは、製造コストの観点から、呉から豆乳を搾り取った後に得られるおからであることが好ましいが、かかる態様に限定されるものではなく、おからを高温で処理したり、おからに酸を添加するなどして、殺菌処理を施した後のおからであってもよい。
【0049】
本発明において、おからを容器内に収容する工程は、前述のように、先ずおから・酵素・微生物混合体とした後に、かかる混合物を容器内に投入して行う態様に限られるものではなく、おからを先ず容器に投入した後に、この容器内のおからに所定量の酵素と微生物とをそれぞれ添加して撹拌・混合する態様であってもよい。
【0050】
本発明において、混合体が収容された容器内を低酸素状態にする工程は、容器内を真空ポンプで減圧して行う態様に限られるものではなく、希ガスなどの不活性ガスで容器内を置換したり、脱酸素剤を容器内に添加したりすることによって行ってもよい。なお、かかる工程は、混合体を容器内で留置する工程の間中、継続して行ってもよいが、製造コストの観点から、混合体を容器内に収容後、一時期に行い、その後は容器を密閉して行うことが好ましい。
【0051】
本発明の発酵おからの製造方法は、おからに酵素と微生物とを略同時期に添加して、かかる混合体を容器内で高温・嫌気性条件下で留置する態様に限られるものではない。すなわち、本発明の発酵おからの製造方法は、先ずおからに含まれる不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質を分解して、おからの性状を微生物の資化し易い態様に変え、次いでかかる態様のおからを微生物で処理(発酵)する態様であってもよい。
【0052】
したがって、本発明の発酵おからの製造方法は、先ずおからに酵素を添加・混合して、おから・酵素混合体とする工程と、この混合体を密閉可能な容器内に投入・収容する工程と、混合体が収容された容器内から真空ポンプを用いて空気を除去した後密栓し、容器内を低酸素状態にする工程と、低酸素状態に置かれた容器内の混合体を所定の時間、40℃〜65℃前後で留置する工程と、かかる酵素処理後のおからに微生物を添加して、さらに容器内で留置する工程とを含んで構成される態様であってもよい。
【0053】
ここで、おからを40℃〜65℃前後で留置する工程は、かかる製造工程(すなわち、酵素処理後のおからに微生物を添加して、留置する工程まで)の間中、継続して行ってもよいが、おからを酵素処理する工程の間のみに限定して行ってもよい。これは、おからを酵素で効率よく分解するために、おからは高温で保持することが好ましいが、おから及びその酵素分解物を発酵させるのに、おからを高温で保持することは必須の要件とはならないことによる。かかる構成により、発酵おからの製造コストの削減を図ることができるだけでなく、おからに添加する微生物が、好熱性の微生物に限定されることもなくなるため、微生物に要するコストも抑えることができる。
【0054】
また、酵素処理後のおからに微生物を添加して容器内に留置する工程は、おから及びその酵素分解物を発酵させ得る態様であれば、どのような状態でおから及びその酵素分解物を留置して行ってもよいが、かかる工程においても、容器内から空気を除去して、酵素処理後のおからを低酸素状態で留置して行うことが好ましい。かかる構成により、微生物の嫌気性発酵が速やかに進むこととなる。
【0055】
本発明の発酵おからや発酵おから固形分、あるいは乾燥発酵おからは、その用途は特に限定されるものではなく、ハンバーグなどの製造に用いられてもよいが、ホットケーキやパウンドケーキ、ドーナツ、クッキー、カリントウなどの菓子類や、パン、あるいはうどんなど、小麦粉を加工してなる食品の製造工程において、小麦粉(あるいは小麦混練物)に添加して用いられることが好ましい。かかる態様により、食物繊維を豊富に含む小麦粉加工食品を得ることができる。特に、おからに添加される微生物が乳酸菌である場合には、小麦粉加工食品にヨーグルト様の新たな風味を付加することができる。
【0056】
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施しうるものである。
【0057】
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
乳酸菌Entercoccus faecalis JCM 5803を液体培地(Yeast extract 0.25%,Glucose 0.1%,Peptone 0.5%含有)で37℃下、48時間培養して、乳酸菌培養液を得た。
【0059】
呉から豆乳を搾り取った後のおから900gに対して、前記乳酸菌培養液100g、セルラーゼT(天野エンザイム株式会社製)1gとぺクチナーゼGL(天野エンザイム株式会社製)3gをそれぞれ添加して混合し、ペースト状のおから・酵素・微生物混合体を調製した。次いで、この混合体を耐圧性容器内に収容し、真空ポンプを用いてこの容器内から空気を吸引した後、密栓した。その後、容器内の温度を45℃にして混合体を7日間静置し、本発明の発酵おからを得た。静置期間中の混合体の状態を調べるため、混合体中の生菌数をBCP加プレートカウントアガールで、混合体のpHをpHメーター(HORIBA社製)で、混合体中の糖度(ブリックス)をBrix計(ATAGO社製、PR201)でそれぞれ測定した。その結果を図1、及び図2に示す。
【0060】
また、静置開始直後の発酵おからと、7日間静置後の発酵おからについて、その酸度を滴定法で、またその褐色の度合いを測色色差計(日本電色工業株式会社製、ZE−2000)でそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。なお、表1中、L値は被測定物の明るさを示す指標である。また、a値及びb値は、被測定物の褐変の指標となるものである。詳細には、L値はその値が大きい程、被測定物が明るいことを意味する。また、a値は、その値が大きくなる程、被測定物の色は赤色に近づき、小さくなる程、被測定物の色は緑色に近づくことを意味する。また、b値は、その値が大きくなる程、被測定物の色は黄色に近づき、その値が小さくなる程、被測定物の色は青色に近づくことを意味する。
【0061】
【表1】
【0062】
(比較例1)
呉から豆乳を搾り取った後のおから900gに対して、前記乳酸菌培養液100gを添加して混合し、ペースト状のおから・微生物混合体とした以外は実施例1と同様にして、発酵おからを得た。静置期間中の混合体の状態についても、実施例1と同様にして調べた。その結果を図1に示す。
【0063】
(比較例2)
実施例1において、ペースト状のおから・酵素・微生物混合体を好気性条件下で静置する(すなわち、混合体が蓄えられた容器内から空気を吸引することをしない)以外は実施例1と同様にして、好気発酵おからを得た。7日間静置後の好気発酵おからについて、その酸度と褐色の度合いとを、実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0064】
図1の結果から、おからを微生物でのみ処理した場合には、ブリックスは変化せず、また、乳酸菌数の増加も、さらに、それに伴う乳酸の生成(pHの低下)も見受けることができず、したがって、おからの分解・発酵はほとんど進まないことが分かった。これに対し、おからを酵素と微生物とを組み合わせて処理した場合には、ブリックスの上昇が見られ、また、乳酸菌数の増加と、これに伴う乳酸の生成(pHの低下)も見受けられ、したがって、おからの分解・発酵が十分に進んだことが分かった。
【0065】
このことから、本発明の態様において、おからの発酵が十分に進むのは、おからに含まれる不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質が酵素によって積極的に分解されて、その結果、おからの性状が微生物の資化し易い態様となるためであり、したがって、おからの発酵は、おからに酵素を添加することによって、おからに発酵補助剤などを添加しなくても十分に進め得ることが分かった。
【0066】
また、表1の結果から、本発明の発酵おからは、好気発酵おからよりも酸度が高いことから、おから・酵素・微生物混合体を嫌気性条件下で静置することにより、より十分に発酵を進め得ることが分かった。また、本発明の発酵おからは、好気発酵おからよりもL値が高く、a値も低いことから、おから・酵素・微生物混合体を嫌気性条件下で静置することにより、得られる発酵おからの褐変を低く抑え得ることが分かった。なお、好気発酵おからでは色が赤黒く変色しており、脂肪の酸化臭が強かったのに対し、本発明の発酵おからは、その色は未処理のおから(静置開始直後の発酵おから)と比べるとやや明るさが低下し、黄色がかったものとなるものの、好気発酵おから程変色せず、また、脂肪の酸化臭もしなかった。
【0067】
(実施例2)
実施例1で得られた発酵おから350gを濾布に包み、MO型小型ろ過圧搾機(薮田機械株式会社製)で搾汁し、発酵おから固形分と発酵おから液状分を得た。かかる発酵おから固形分と発酵おから液状分の含水量を、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、FD230)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
(比較例3)
呉から豆乳を搾り取った後のおから315gに、実施例1で用いた乳酸菌培養液35gとセルラーゼT(天野エンザイム株式会社製)0.4gとぺクチナーゼGL(天野エンザイム株式会社製)1.2gをそれぞれ添加して混合し、おから・酵素・微生物混合体約350gを調製した。次に、かかる混合体を実施例2と同様にして搾汁し、おから固形分314gを得た。このおから固形分の含水量を、実施例2と同様にして測定した。その結果を表2に示す。なお、おから液状分については、濾布に染み込んでしまい、回収することができなかった。
【0070】
表2の結果から、本発明の発酵おから固形分の含水量は、おから固形分の含水量よりも低いことから、発酵おからはおからに比べてその取り扱い性、保存性を上げ得ることが分かった。なお、本発明の発酵おから固形分が、おから固形分に比べて低い含水率を示すのは、おからでは、その水分がおからの組織内に保持されてしまい、かかる水分を組織内から取り除くことは物理的に難しいのに対し、本発明の発酵おからでは、かかる組織が酵素と微生物との作用で分解されて、組織内に保持されていた水分が分離し易くなったためであると考えられる。
【0071】
(実施例3)
実施例2で得られた発酵おから固形分を、送風定温乾燥器(東京理化器械株式会社製、WFO−450ND)を用いて、60℃下、2時間乾燥し、その後ミルミキサーを用いて粉末処理し、乾燥粉末発酵おからを得た。
【0072】
かかる乾燥粉末発酵おからは、発酵おから及び発酵おから固形分よりもさらに含水率が低く、本発明の発酵おからの保存性及び取り扱い性をさらに向上させることができた。
【0073】
(実施例4)
強力粉400g、実施例1で得られた発酵おから70g、砂糖20g、バター15g、スキムミルク8g、塩5g、水240gをパンケース内に入れ、家庭用パン焼き機(National製ホームベーカリー SD−BT6)にセットし、さらにドライイースト4gをパン焼き機のイースト容器内に投入した。その後かかるパン焼き機を作動させて、本発明の発酵おから入りパンを作製した。得られた発酵おから入りパンについて、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
また、実施例4で得られた発酵おから入りパンの保水性を調べた。かかる保水性は、得られたパン647gを室温で放置した時の重量変化を測定することによって調べた。その結果を図3に示す。
【0076】
(実施例5)
実施例1で得た発酵おからを30分間85℃下で処理して乾熱殺菌し、生菌数が、殺菌前では発酵おから1g当り2×108個程度であったものを、殺菌後では発酵おから1g当り5×101個程度とした。
【0077】
次に、かかる殺菌後の発酵おからを用いる以外は実施例4と同様にして、発酵おから入りパンを作製した。得られた発酵おから入りパンについて、実施例4と同様にして、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0078】
(実施例6)
乳酸菌Entercoccus faecalis JCM 5803の代わりに、乳酸菌Streptococcus thermophilusと乳酸菌Lactobacillus bulgaricusとを混合してなる微生物混合体を用いて培養液を調製した以外は実施例1と同様にして、発酵おからを得た。
【0079】
次に、かかる発酵おからを用いる以外は実施例4と同様にして、発酵おから入りパンを作製した。得られた発酵おから入りパンについて、実施例4と同様にして、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0080】
(比較例4)
強力粉400g、砂糖20g、バター15g、スキムミルク8g、塩5g、水240gをパンケース内に入れた以外は実施例4と同様にして、通常の(おから非含有)パンを作製した。得られたパンについて、実施例4と同様にして、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。また、実施例4と同様にして、その保水性を調べた。その結果を図3に示す。
【0081】
(比較例5)
強力粉400g、呉から豆乳を搾り取った後のおから70g、砂糖20g、バター15g、スキムミルク8g、塩5g、水240gをパンケース内に入れた以外は実施例4と同様にして、おから入りパンを作製した。得られたおから入りパンについて、実施例4と同様にして、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0082】
(比較例6)
強力粉400g、呉から豆乳を搾り取った後のおから70g、砂糖20g、バター15g、スキムミルク8g、塩5g、水228g、10%高酸度酢12gをパンケース内に入れた以外は実施例4と同様にして、おから入りパンを作製した。得られたおから入りパンについて、実施例4と同様にして、最大高さと官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0083】
表3の結果から、本発明の発酵おから入りパン(実施例4から6)は、通常のパン(比較例4)と比べても遜色なく膨らむことが分かった。また、通常のパンでは有し得ない、ほのかな酸味がした。
【0084】
実施例5から得られる発酵おから入りパンは、実施例4から得られる発酵おから入りパンと比べても、その最大高さに大きな差はなかった。このため、本発明の発酵おから入りパンが、通常のパンと遜色ない程度にふっくらしたものとなるのは、発酵おからに含まれる微生物(乳酸菌)の作用によるのではなく、未処理(未発酵)のおからとは性状の異なる、本発明の発酵おからを用いたことによるものであることが分かった。
【0085】
実施例6から得られる発酵おから入りパンは、実施例4から得られる発酵おから入りパンと比べても、その最大高さに大きな差がなかった。このため、本発明にかかる発酵おから入りパンの作製において、おからを発酵させるために添加される微生物は、実施例1の乳酸菌に限定されるものではないことが分かった。
【0086】
また、比較例5及び6から得られるおから入りパンは、実施例4乃至6から得られる発酵おから入りパンに比べて、その膨らみが悪かった。このため、おから入りパンが、通常の(おから非含有)パンと遜色なく膨らむためには、有機酸の存在の有無に関わらず、おからが発酵していることが必要であることが分かった。
【0087】
図3の結果より、おからを含まない通常のパン(比較例4)は、わずか3日で重量が600gになり、早期に乾燥するのに対し、本発明の発酵おから入りパン(実施例4)では、重量が600gになるまでに4日を要した。このことから、本発明の発酵おから入りパンは、その保水性が従来の(おから非含有)パンよりも優れ、したがって、本発酵おから入りパンは従来のパンに比べて食味が劣化し難いことが分かった。
【0088】
【発明の効果】
本発明の発酵おからの製造方法は、酵素と微生物とを組み合わせておからを処理するため、おからの発酵を十分に進めることが可能となる。このため、おからへ発酵補助剤を添加することを不要にすることができる。
【0089】
また、本発明の発酵おからの製造方法は、おからと酸素との接触を抑えて、おからに本来含まれる腐敗菌の働きを抑制しながらその発酵を行うため、おからをあらかじめ殺菌しておく手間を省くことができる。さらに、不飽和脂肪酸などの酸化を抑えつつ発酵を行うことができるため、得られる発酵おからからアンモニア臭や硫黄臭、あるいは脂肪の酸化臭が発生することを防ぐことができ、したがって、発酵おからの食品素材としての用途を限定することがない。
【0090】
本発明の発酵おからの製造方法は、得られる発酵おからに有機酸を含有させることができるため、その風味を未処理(未発酵)のおからとは異なるものとして、付加価値を付けることができる。また、そのpHを低くすることができるため、発酵おからを腐敗し難くすることができる。
【0091】
本発明にかかる発酵おからは、その保水性が未処理(未発酵)のおからよりも低くなるため、圧搾などによって発酵おからから液状分を除去して、発酵おからの含水率を低くすることが容易になる。具体的には、未処理(未発酵)のおからでは、その含水率を75%より低くすることは困難であるのに対し、発酵おからでは、その含水率を60%程度にまで下げることができる。したがって、発酵おからの保存性をさらに増すことができ、また、その取り扱い性を良くすることができる。
【0092】
本発明の発酵おからを用いて、発酵おから入りパンを作製した場合には、かかる発酵おからはパン生地の膨らみを阻害しないため、外観が通常のパンと変わらないおから入りパンを得ることができる。
【0093】
本発明の発酵おからの製造方法から得られる発酵おから液状分は、かかる液状分にも発酵物が含まれるため、発酵飲料の原料としての使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発酵おからの製造時の時間経過に伴うおからの性状(ブリックス及びpH)の変化を示すグラフである。
【図2】本発明の発酵おからの製造時の時間経過に伴うおから中の生菌数の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の発酵おから入りパンの時間経過による保水性の様子を示すグラフである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、発酵おからの製造方法、及び該発酵おからを含んでなる小麦粉加工食品に関する。
【0002】
【従来の技術】
豆腐を製造する際に副生するおからは、例えば食物繊維やイソフラボン、あるいはカリウムやカルシウムなど、人にとって有用な栄養素を豊富に含むものであるため、食品として非常に高い利用価値があることが知られている。その一方で、おからは含水率が高く腐敗し易いため、おからを市場に流通させることは困難であった。このため、これまでおからの多くは廃棄物として処理されるか、あるいは飼料や肥料として消費され、食品として利用されるおからは僅かであった。
【0003】
また、例え食品として利用された場合であっても、おからには不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質なども多く含まれるため、そのまま食してもその食感は悪かった。また、おから入りクッキーやおから入りパンを作製するなどして、おからを食品素材として用いた場合であっても、おからはかかるクッキーやパンの食感を悪いものとし、特にパンにおいては生地の膨らみを悪くした。
【0004】
そこで、かかる問題に鑑みて、おからを微生物で発酵させたり(例えば、特許文献1及び特許文献2参照。)、酵素処理した後に微生物で発酵させたり(例えば、特許文献3参照。)、あるいは微生物で培養した後に酵素処理(例えば、特許文献4参照。)するなどして、おからを腐り難くしておからの市場流通性を上げると同時に、おからの食感や風味を改良して、おからを多方面に利用可能な食品素材にしようとする方法が開示されてきた。
【0005】
【特許文献1】
特許第2579779号公報(特許請求の範囲)
【特許文献2】
特開平9−322729号公報(特許請求の範囲)
【特許文献3】
特開昭62−186761号公報(特許請求の範囲)
【特許文献4】
特公平2−17143号公報(特許請求の範囲)
【0006】
しかしながら、上記方法において、単におからに微生物を作用させても、微生物が資化し得る態様の栄養素はおから中には多量に含まれていないため、おからの発酵を十分に進めることができなかった。このため、発酵を十分に進めるためには、おからにグルコースなどの糖源や、フスマなどの発酵補助剤を添加することを必要とした。さらに、得られる発酵後のおからは食味が悪く、依然として食感はざらざらした。
【0007】
また、おからを酵素で処理する場合においては、上記おからの微生物作用によるざらざら感は改善できるものの、おからを所定の温度(45℃〜65℃)で保持することが必要となるため、かかる場合にはおからが腐敗するという問題があった。このため、従来の方法では、おからを酵素で処理する前に、おからに乳酸などを添加しておからのpHを下げておくか、あるいはおからを120℃前後の高温で処理するなどして、おからに本来含まれる微生物(腐敗菌)を殺菌しておくことを必要とした。したがって、従来の方法では、その製造工程が煩雑なものとなった。
【0008】
また、おからを上記所定の温度で保持することにより、おからに含まれるリノール酸などの不飽和脂肪酸の酸化が促進されることとなるため、上記方法のうち、酵素処理工程を経て得られるおからは、脂肪の酸化臭がするなどして、食品としての利用が制限された。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、発酵おからの製造方法であって、その製造工程が容易で、かつ、得られる発酵おからは腐敗し難く、また独特の風味を有してなり、したがって有用な食品素材とすることのできる発酵おからの製造方法、及びかかる発酵おからを用いてなる小麦粉加工食品を提供することにある。
【0010】
【発明を解決するための手段】
本発明の要旨とするところは、おからに酵素と微生物とを添加して、おから・酵素・微生物混合体とする工程と、該混合体を容器内で留置する工程と、を含んで構成され、前記留置する工程が、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされる発酵おからの製造方法にある。
【0011】
また、本発明の要旨とするところは、おからに酵素を添加して、おから・酵素混合体とする工程と、該混合体を容器内で留置する第1の工程と、留置された前記混合体に微生物を添加して、前記容器内でさらに留置する第2の工程と、を含んで構成され、前記第1の工程が、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされる発酵おからの製造方法にある。
【0012】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記留置する工程又は前記第1の工程が、前記容器内を減圧装置で減圧して、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされることにある。
【0013】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記留置する工程又は前記第1の工程が、前記容器内の酸素を不活性ガスで置換して、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされることにある。
【0014】
かかる構成により、混合体と酸素との接触が低く抑えられるため、おからを酵素で分解する際において、一般におからを好気性条件下で酵素分解する工程で起こる、おから中の不飽和脂肪酸などの酸化が抑えられることとなる。また、おからに本来含まれる腐敗菌の増殖が抑えられることとなる。さらに、微生物によるおからの嫌気性発酵が促進される。
【0015】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記おから・酵素・微生物混合体、又は前記おから・酵素混合体が蓄えられた容器内の温度を、前記酵素の至適温度に保つことにある。
【0016】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記酵素の至適温度が40℃〜65℃であることにある。
【0017】
かかる構成により、酵素の働きが活性化されるため、おからの酵素による分解が速やかになされることとなる。
【0018】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記酵素が、セルラーゼ、ぺクチナーゼ、プロテイナーゼ、リパーゼ、アミラーゼから選択される酵素であることにある。
【0019】
かかる構成により、おからに多量に含まれるものの、微生物が資化し難い不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質が、積極的に分解されることとなり、その結果、おからの性状が微生物の資化し易い態様に変わることとなる。
【0020】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記微生物が、前記おからから有機酸を生産する微生物であることにある。
【0021】
かかる構成により、本発明の製造方法を経て得られる発酵おからは、有機酸を含有することとなり、おからの風味が変わるだけでなく、そのpHが低く維持される。
【0022】
また、本発明にかかる発酵おからの製造方法において、前記微生物が、乳酸菌、プロピオン酸菌、バチルス属細菌、酵母から選択される好熱性の微生物であることにある。
【0023】
かかる構成により、混合体を上記高温・嫌気性条件下で保持しても、微生物は死滅することがなく、おからの発酵が速やかになされることとなる。
【0024】
また、本発明の要旨とするところは、前記製造方法によって製造された発酵おからから得られる発酵おから固形分にある。
【0025】
また、本発明の要旨とするところは、前記発酵おから固形分を乾燥してなる乾燥発酵おからにある。
【0026】
また、本発明の要旨とするところは、前記製造方法によって製造された発酵おからから分離して得られる発酵おから液状分にある。
【0027】
かかる構成により、本発明にかかる発酵おから固形分及び乾燥発酵おからは、含水率が低くなるため、その保存性、及び取り扱い性が発酵おからに比べてさらに上がることとなる。また、おからの酵素分解と発酵とによって生成された、発酵おから中の還元糖などの低分子化合物の多くが、発酵おから液状分として発酵おからから分離し得るため、かかる液状分の分離後に得られる発酵おから固形分又は乾燥発酵おからは、低分子化合物をほとんど含まないこととなる。
【0028】
また、本発明の要旨とするところは、前記製造方法によって製造された発酵おから、又は前記発酵おから固形分、又は前記乾燥発酵おからと、少なくとも小麦粉とを混練して小麦混練物とする工程を含んで作製される、発酵おから入り小麦粉加工食品にある。
【0029】
また、本発明にかかる小麦粉加工食品が、前記小麦粉又は前記小麦混練物にイーストを添加する工程を含んで作製されることにある。
【0030】
かかる構成により、小麦粉加工食品に、おからの豊富な栄養素が含有されることとなる。
【0031】
【発明の実施の態様】
本発明にかかる発酵おからの製造方法、及び該発酵おからから得られる発酵おから固形分、乾燥発酵おから、発酵おから液状分、そして、かかる発酵おからを用いてなる小麦粉加工食品について、以下に詳しく説明する。
【0032】
本発明の発酵おからの製造方法は、豆腐などの製造の際に副生されるおからに、所定量の酵素と微生物とを添加する工程と、かかるおからと酵素と微生物とを撹拌・混合して、おから・酵素・微生物混合体とする工程と、この混合体を密閉可能な容器内に投入・収容する工程と、混合体が収容された容器内から真空ポンプを用いて空気を除去した後密栓し、容器内を低酸素状態にする工程と、低酸素状態に置かれた容器内の混合体を所定の時間、40℃〜65℃前後で留置して、おからの酵素分解と発酵とを行う工程とから構成される。
【0033】
上記工程において、おから・酵素・微生物混合体とする工程は、おからに酵素と微生物とを添加した後、おからがペースト状になるまで十分に撹拌・混合して行うことが好ましい。これにより、混合体が均質化されるため、おからの酵素分解と発酵とを均一に行うことが可能となる。また、おからに内包される空気が可能な限り除去されることとなるため、混合体が酸素と接触することを低く抑えることができる。
【0034】
おからに対する酵素、及び微生物の添加量は、おからの酵素分解と発酵とが効率よくなされる範囲内であれば特に限定されるものではないが、おから90gに対して、酵素が0.05〜1.0g、微生物が105〜1010個程度であることが好ましく、酵素が0.1〜0.3g、微生物が106〜108個の範囲内にあることがより好ましい。かかる態様により、酵素及び微生物に要するコストを低く抑えつつ、短期間で本発明の発酵おからを製造することが可能となる。
【0035】
ここで、酵素の添加量が0.05g未満である場合には、おからを酵素分解するために長時間を要することとなる。また、酵素の添加量が1.0gよりも多くした場合には、発酵おからの製造コストを上げることとなる。
【0036】
また、微生物の添加量が105個未満である場合には、おから及びおからを酵素分解してなる酵素分解物を十分に発酵するために長期間を要することとなる。また、おから及びその酵素分解物が雑菌で汚染されてしまうおそれがある。また、1010個よりも多くした場合には、おから及びその酵素分解物の発酵は短期間で行うことができるものの、液体培養によってグラム単位で1010個よりも多い菌液を調製しようとする場合に、遠心分離機などの設備や特別な培地が必要となるため、発酵おからの製造コストが上がることとなる。
【0037】
おからに添加される酵素としては、おからに含まれる不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質を分解し得る酵素であることが好ましい。かかる酵素として、具体的には、セルラーゼ、ぺクチナーゼ、プロテイナーゼ、リパーゼ、アミラーゼなどを挙げることができる。なお、かかる酵素の群から選択される2種以上の酵素を組み合わせて、おからに添加してもよい。これにより、おからの性状を微生物が資化し易い態様に変えることが可能となる。
【0038】
おからに添加される微生物としては、混合体を40℃〜65℃下で留置してもその活性を維持して、おから及びその酵素分解物を発酵させ得るものであることが好ましく、さらに、おから及びその酵素分解物から乳酸や酢酸、あるいはプロピオン酸などの有機酸を生産し得る微生物であることがより好ましい。かかる態様で製造された発酵おからは、有機酸を含むこととなるため、未処理(未発酵)のおからとは異なる風味を有することができるだけでなく、発酵おからのpHが低くなるため腐敗菌が増殖し難く、発酵おからの保存性を上げることができる。かかる微生物として、具体的には、乳酸菌やプロピオン酸菌、バチルス属細菌、酵母などを挙げることができる。特に、かかる微生物は、上記温度範囲(40℃〜65℃)内に至適温度を有する、好熱性の通性嫌気微生物もしくは絶対嫌気性微生物であることがより好ましい。これにより、おからの発酵をより速やかに行うことが可能となる。なお、かかる微生物の群から選択される2種以上の微生物を組み合わせて、おからに添加してもよい。
【0039】
ここで、おからに添加される微生物の態様は、微生物生菌体や微生物死菌体、あるいは微生物代謝物や、微生物を培養して得られる微生物培養液のいずれであってよい。
【0040】
混合体を所定の時間留置する工程は、おからに添加される酵素の活性を維持もしくは促進し得る温度範囲内に容器内を維持して行えばよく、その温度は特に限定されるものではないが、40℃〜65℃の範囲であることが好ましく、45℃〜55℃の範囲であることがより好ましい。かかる態様により、前述の酵素の多くが至適温度で保持されることとなるため、おからの酵素分解が効率よくなされて、微生物が資化し得る態様の栄養素がより多く混合体中に含まれることとなる。ここで、混合体を留置する温度が40℃より低い場合には、おからの酵素分解に長時間を要することとなる。また、65℃より高い場合には、酵素の失活を招くおそれがある。
【0041】
混合体を蓄えてなる容器内を低酸素状態にする工程は、混合体が酸素と接触することを可能な限り妨げることができるものであればよい。具体的には、メチレンブルーの水溶液を含浸させてなるろ紙を容器内に設置した際に、かかるメチレンブルーの青色が脱色する程度まで容器内を低酸素状態にすることが好ましく、略真空状態にすることがより好ましい。これにより、微生物による嫌気性発酵が促進されて、おから及びその酵素分解物の発酵を効率よく進めることができる。また、混合体を好気性条件下、高温で保持することによって一般的に促進される、おから中の不飽和脂肪酸の酸化やこれに伴うおからの褐変、及びおからに含まれる腐敗菌の活性が抑制されることとなる。このため、得られる発酵おからはアンモニア臭や硫黄臭や脂肪の酸化臭がせず、また、その色合いも未処理(未発酵)のおからとほとんど変わらないものとなり、その食品素材としての有用性を上げることができる。
【0042】
混合体を容器内で保持する時間は、おからを発酵させ得るものであれば、特に限定されるものではないが、おからの発酵をより完全に進めるために、3〜10日間程度であることが好ましい。かかる期間発酵させて得られる発酵おからは、その後常温・常圧で放置しても腐敗し難く、また褐変し難いものとなる。
【0043】
本発明により得られる発酵おからは、そのまま食してもよいが、小麦粉(あるいは小麦混練物)に添加するなどして、おから入り小麦粉加工食品を作製するための食品素材として用いてもよい。これにより、従来の小麦粉加工食品が有し得ない発酵おからの栄養素(食物繊維など)や発酵おからの風味が、かかる小麦粉加工食品に含まれることとなるため、小麦粉加工食品に付加価値を付けることができる。また、従来の小麦粉加工食品に比べて保水性が上がるため、小麦粉加工食品の食味が短期間で落ちることを防ぐことができる。さらに、かかる小麦粉加工食品がパンである場合には、本発明の発酵おからは、おから入りパンの製造工程においてパン生地の膨らみを阻害しないため、外観のふっくらとしたおから入りパンの製造を可能にする。
【0044】
ここで、小麦粉に添加される発酵おからの量は、小麦粉100重量部に対して発酵おから5〜50重量部であることが好ましく、20〜40重量部であることがより好ましい。これにより、得られる小麦粉加工食品におからの風味を最も効果的に付加することができる。なお、かかる添加量が5重量部未満である場合には、得られる小麦粉加工食品に発酵おからの風味を十分に付加することができない。また、50重量部より多い場合には、パン生地の膨らみを阻害するおそれがある。
【0045】
本発明により得られる発酵おからは、おからの酵素分解と発酵がなされているため、未処理(未発酵)のおからに比べてその保水性は低下している。このため、かかる発酵おからは、圧搾や遠心分離、あるいはろ過などによって、発酵おから固形分と発酵おから液状分とに分離することが容易となり、その含水率を低下させることができる。また、かかる発酵おから固形分を温熱送風乾燥や真空乾燥、あるいは凍結真空乾燥などすることによって、さらに含水率の低い乾燥発酵おからとすることも容易となる。このように、発酵おからを発酵おから固形分もしくは乾燥発酵おからとすることにより、発酵おからの保存性、取り扱い性をさらに上げることができる。また、本発明の製造方法によって発酵おから中に生じた還元糖などの低分子化合物は、発酵おから液状分と伴に発酵おからから取り除かれるため、分離後に得られる発酵おから固形分や乾燥発酵おからを用いてなる小麦粉加工食品は、その製造時の加熱工程において、還元糖に由来するメイラード反応が抑制されることとなる。このため、得られる小麦粉加工食品が褐変することを防止できる。
【0046】
本発明により得られる発酵おから液状分は、そのまま排水として処理することも可能であるが、おからに添加される微生物が、おからから有機酸を生産し得る微生物である場合には、発酵飲料の原料とすることもできる。特に、かかる微生物が乳酸菌である場合には、得られる発酵おから液状分には乳酸及び乳酸菌代謝物が含まれるため、かかる発酵おから液状分を、乳酸飲料の原料にすることができる。
【0047】
以上、本発明の発酵おからの製造方法、及び発酵おから関連物の一実施例を詳述したが、本発明は上述の実施例に限定されるものではなく、その他の態様でも実施しうるものである。
【0048】
本発明で用いられるおからは、製造コストの観点から、呉から豆乳を搾り取った後に得られるおからであることが好ましいが、かかる態様に限定されるものではなく、おからを高温で処理したり、おからに酸を添加するなどして、殺菌処理を施した後のおからであってもよい。
【0049】
本発明において、おからを容器内に収容する工程は、前述のように、先ずおから・酵素・微生物混合体とした後に、かかる混合物を容器内に投入して行う態様に限られるものではなく、おからを先ず容器に投入した後に、この容器内のおからに所定量の酵素と微生物とをそれぞれ添加して撹拌・混合する態様であってもよい。
【0050】
本発明において、混合体が収容された容器内を低酸素状態にする工程は、容器内を真空ポンプで減圧して行う態様に限られるものではなく、希ガスなどの不活性ガスで容器内を置換したり、脱酸素剤を容器内に添加したりすることによって行ってもよい。なお、かかる工程は、混合体を容器内で留置する工程の間中、継続して行ってもよいが、製造コストの観点から、混合体を容器内に収容後、一時期に行い、その後は容器を密閉して行うことが好ましい。
【0051】
本発明の発酵おからの製造方法は、おからに酵素と微生物とを略同時期に添加して、かかる混合体を容器内で高温・嫌気性条件下で留置する態様に限られるものではない。すなわち、本発明の発酵おからの製造方法は、先ずおからに含まれる不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質を分解して、おからの性状を微生物の資化し易い態様に変え、次いでかかる態様のおからを微生物で処理(発酵)する態様であってもよい。
【0052】
したがって、本発明の発酵おからの製造方法は、先ずおからに酵素を添加・混合して、おから・酵素混合体とする工程と、この混合体を密閉可能な容器内に投入・収容する工程と、混合体が収容された容器内から真空ポンプを用いて空気を除去した後密栓し、容器内を低酸素状態にする工程と、低酸素状態に置かれた容器内の混合体を所定の時間、40℃〜65℃前後で留置する工程と、かかる酵素処理後のおからに微生物を添加して、さらに容器内で留置する工程とを含んで構成される態様であってもよい。
【0053】
ここで、おからを40℃〜65℃前後で留置する工程は、かかる製造工程(すなわち、酵素処理後のおからに微生物を添加して、留置する工程まで)の間中、継続して行ってもよいが、おからを酵素処理する工程の間のみに限定して行ってもよい。これは、おからを酵素で効率よく分解するために、おからは高温で保持することが好ましいが、おから及びその酵素分解物を発酵させるのに、おからを高温で保持することは必須の要件とはならないことによる。かかる構成により、発酵おからの製造コストの削減を図ることができるだけでなく、おからに添加する微生物が、好熱性の微生物に限定されることもなくなるため、微生物に要するコストも抑えることができる。
【0054】
また、酵素処理後のおからに微生物を添加して容器内に留置する工程は、おから及びその酵素分解物を発酵させ得る態様であれば、どのような状態でおから及びその酵素分解物を留置して行ってもよいが、かかる工程においても、容器内から空気を除去して、酵素処理後のおからを低酸素状態で留置して行うことが好ましい。かかる構成により、微生物の嫌気性発酵が速やかに進むこととなる。
【0055】
本発明の発酵おからや発酵おから固形分、あるいは乾燥発酵おからは、その用途は特に限定されるものではなく、ハンバーグなどの製造に用いられてもよいが、ホットケーキやパウンドケーキ、ドーナツ、クッキー、カリントウなどの菓子類や、パン、あるいはうどんなど、小麦粉を加工してなる食品の製造工程において、小麦粉(あるいは小麦混練物)に添加して用いられることが好ましい。かかる態様により、食物繊維を豊富に含む小麦粉加工食品を得ることができる。特に、おからに添加される微生物が乳酸菌である場合には、小麦粉加工食品にヨーグルト様の新たな風味を付加することができる。
【0056】
その他、本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施しうるものである。
【0057】
以下に本発明を実施例に基づいて説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0058】
(実施例1)
乳酸菌Entercoccus faecalis JCM 5803を液体培地(Yeast extract 0.25%,Glucose 0.1%,Peptone 0.5%含有)で37℃下、48時間培養して、乳酸菌培養液を得た。
【0059】
呉から豆乳を搾り取った後のおから900gに対して、前記乳酸菌培養液100g、セルラーゼT(天野エンザイム株式会社製)1gとぺクチナーゼGL(天野エンザイム株式会社製)3gをそれぞれ添加して混合し、ペースト状のおから・酵素・微生物混合体を調製した。次いで、この混合体を耐圧性容器内に収容し、真空ポンプを用いてこの容器内から空気を吸引した後、密栓した。その後、容器内の温度を45℃にして混合体を7日間静置し、本発明の発酵おからを得た。静置期間中の混合体の状態を調べるため、混合体中の生菌数をBCP加プレートカウントアガールで、混合体のpHをpHメーター(HORIBA社製)で、混合体中の糖度(ブリックス)をBrix計(ATAGO社製、PR201)でそれぞれ測定した。その結果を図1、及び図2に示す。
【0060】
また、静置開始直後の発酵おからと、7日間静置後の発酵おからについて、その酸度を滴定法で、またその褐色の度合いを測色色差計(日本電色工業株式会社製、ZE−2000)でそれぞれ測定した。その結果を表1に示す。なお、表1中、L値は被測定物の明るさを示す指標である。また、a値及びb値は、被測定物の褐変の指標となるものである。詳細には、L値はその値が大きい程、被測定物が明るいことを意味する。また、a値は、その値が大きくなる程、被測定物の色は赤色に近づき、小さくなる程、被測定物の色は緑色に近づくことを意味する。また、b値は、その値が大きくなる程、被測定物の色は黄色に近づき、その値が小さくなる程、被測定物の色は青色に近づくことを意味する。
【0061】
【表1】
【0062】
(比較例1)
呉から豆乳を搾り取った後のおから900gに対して、前記乳酸菌培養液100gを添加して混合し、ペースト状のおから・微生物混合体とした以外は実施例1と同様にして、発酵おからを得た。静置期間中の混合体の状態についても、実施例1と同様にして調べた。その結果を図1に示す。
【0063】
(比較例2)
実施例1において、ペースト状のおから・酵素・微生物混合体を好気性条件下で静置する(すなわち、混合体が蓄えられた容器内から空気を吸引することをしない)以外は実施例1と同様にして、好気発酵おからを得た。7日間静置後の好気発酵おからについて、その酸度と褐色の度合いとを、実施例1と同様にして測定した。その結果を表1に示す。
【0064】
図1の結果から、おからを微生物でのみ処理した場合には、ブリックスは変化せず、また、乳酸菌数の増加も、さらに、それに伴う乳酸の生成(pHの低下)も見受けることができず、したがって、おからの分解・発酵はほとんど進まないことが分かった。これに対し、おからを酵素と微生物とを組み合わせて処理した場合には、ブリックスの上昇が見られ、また、乳酸菌数の増加と、これに伴う乳酸の生成(pHの低下)も見受けられ、したがって、おからの分解・発酵が十分に進んだことが分かった。
【0065】
このことから、本発明の態様において、おからの発酵が十分に進むのは、おからに含まれる不溶性の多糖類や難消化性のたんぱく質が酵素によって積極的に分解されて、その結果、おからの性状が微生物の資化し易い態様となるためであり、したがって、おからの発酵は、おからに酵素を添加することによって、おからに発酵補助剤などを添加しなくても十分に進め得ることが分かった。
【0066】
また、表1の結果から、本発明の発酵おからは、好気発酵おからよりも酸度が高いことから、おから・酵素・微生物混合体を嫌気性条件下で静置することにより、より十分に発酵を進め得ることが分かった。また、本発明の発酵おからは、好気発酵おからよりもL値が高く、a値も低いことから、おから・酵素・微生物混合体を嫌気性条件下で静置することにより、得られる発酵おからの褐変を低く抑え得ることが分かった。なお、好気発酵おからでは色が赤黒く変色しており、脂肪の酸化臭が強かったのに対し、本発明の発酵おからは、その色は未処理のおから(静置開始直後の発酵おから)と比べるとやや明るさが低下し、黄色がかったものとなるものの、好気発酵おから程変色せず、また、脂肪の酸化臭もしなかった。
【0067】
(実施例2)
実施例1で得られた発酵おから350gを濾布に包み、MO型小型ろ過圧搾機(薮田機械株式会社製)で搾汁し、発酵おから固形分と発酵おから液状分を得た。かかる発酵おから固形分と発酵おから液状分の含水量を、赤外線水分計(株式会社ケット科学研究所製、FD230)を用いて測定した。その結果を表2に示す。
【0068】
【表2】
【0069】
(比較例3)
呉から豆乳を搾り取った後のおから315gに、実施例1で用いた乳酸菌培養液35gとセルラーゼT(天野エンザイム株式会社製)0.4gとぺクチナーゼGL(天野エンザイム株式会社製)1.2gをそれぞれ添加して混合し、おから・酵素・微生物混合体約350gを調製した。次に、かかる混合体を実施例2と同様にして搾汁し、おから固形分314gを得た。このおから固形分の含水量を、実施例2と同様にして測定した。その結果を表2に示す。なお、おから液状分については、濾布に染み込んでしまい、回収することができなかった。
【0070】
表2の結果から、本発明の発酵おから固形分の含水量は、おから固形分の含水量よりも低いことから、発酵おからはおからに比べてその取り扱い性、保存性を上げ得ることが分かった。なお、本発明の発酵おから固形分が、おから固形分に比べて低い含水率を示すのは、おからでは、その水分がおからの組織内に保持されてしまい、かかる水分を組織内から取り除くことは物理的に難しいのに対し、本発明の発酵おからでは、かかる組織が酵素と微生物との作用で分解されて、組織内に保持されていた水分が分離し易くなったためであると考えられる。
【0071】
(実施例3)
実施例2で得られた発酵おから固形分を、送風定温乾燥器(東京理化器械株式会社製、WFO−450ND)を用いて、60℃下、2時間乾燥し、その後ミルミキサーを用いて粉末処理し、乾燥粉末発酵おからを得た。
【0072】
かかる乾燥粉末発酵おからは、発酵おから及び発酵おから固形分よりもさらに含水率が低く、本発明の発酵おからの保存性及び取り扱い性をさらに向上させることができた。
【0073】
(実施例4)
強力粉400g、実施例1で得られた発酵おから70g、砂糖20g、バター15g、スキムミルク8g、塩5g、水240gをパンケース内に入れ、家庭用パン焼き機(National製ホームベーカリー SD−BT6)にセットし、さらにドライイースト4gをパン焼き機のイースト容器内に投入した。その後かかるパン焼き機を作動させて、本発明の発酵おから入りパンを作製した。得られた発酵おから入りパンについて、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0074】
【表3】
【0075】
また、実施例4で得られた発酵おから入りパンの保水性を調べた。かかる保水性は、得られたパン647gを室温で放置した時の重量変化を測定することによって調べた。その結果を図3に示す。
【0076】
(実施例5)
実施例1で得た発酵おからを30分間85℃下で処理して乾熱殺菌し、生菌数が、殺菌前では発酵おから1g当り2×108個程度であったものを、殺菌後では発酵おから1g当り5×101個程度とした。
【0077】
次に、かかる殺菌後の発酵おからを用いる以外は実施例4と同様にして、発酵おから入りパンを作製した。得られた発酵おから入りパンについて、実施例4と同様にして、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0078】
(実施例6)
乳酸菌Entercoccus faecalis JCM 5803の代わりに、乳酸菌Streptococcus thermophilusと乳酸菌Lactobacillus bulgaricusとを混合してなる微生物混合体を用いて培養液を調製した以外は実施例1と同様にして、発酵おからを得た。
【0079】
次に、かかる発酵おからを用いる以外は実施例4と同様にして、発酵おから入りパンを作製した。得られた発酵おから入りパンについて、実施例4と同様にして、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0080】
(比較例4)
強力粉400g、砂糖20g、バター15g、スキムミルク8g、塩5g、水240gをパンケース内に入れた以外は実施例4と同様にして、通常の(おから非含有)パンを作製した。得られたパンについて、実施例4と同様にして、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。また、実施例4と同様にして、その保水性を調べた。その結果を図3に示す。
【0081】
(比較例5)
強力粉400g、呉から豆乳を搾り取った後のおから70g、砂糖20g、バター15g、スキムミルク8g、塩5g、水240gをパンケース内に入れた以外は実施例4と同様にして、おから入りパンを作製した。得られたおから入りパンについて、実施例4と同様にして、最大高さの測定と官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0082】
(比較例6)
強力粉400g、呉から豆乳を搾り取った後のおから70g、砂糖20g、バター15g、スキムミルク8g、塩5g、水228g、10%高酸度酢12gをパンケース内に入れた以外は実施例4と同様にして、おから入りパンを作製した。得られたおから入りパンについて、実施例4と同様にして、最大高さと官能テストを行った。その結果を表3に示す。
【0083】
表3の結果から、本発明の発酵おから入りパン(実施例4から6)は、通常のパン(比較例4)と比べても遜色なく膨らむことが分かった。また、通常のパンでは有し得ない、ほのかな酸味がした。
【0084】
実施例5から得られる発酵おから入りパンは、実施例4から得られる発酵おから入りパンと比べても、その最大高さに大きな差はなかった。このため、本発明の発酵おから入りパンが、通常のパンと遜色ない程度にふっくらしたものとなるのは、発酵おからに含まれる微生物(乳酸菌)の作用によるのではなく、未処理(未発酵)のおからとは性状の異なる、本発明の発酵おからを用いたことによるものであることが分かった。
【0085】
実施例6から得られる発酵おから入りパンは、実施例4から得られる発酵おから入りパンと比べても、その最大高さに大きな差がなかった。このため、本発明にかかる発酵おから入りパンの作製において、おからを発酵させるために添加される微生物は、実施例1の乳酸菌に限定されるものではないことが分かった。
【0086】
また、比較例5及び6から得られるおから入りパンは、実施例4乃至6から得られる発酵おから入りパンに比べて、その膨らみが悪かった。このため、おから入りパンが、通常の(おから非含有)パンと遜色なく膨らむためには、有機酸の存在の有無に関わらず、おからが発酵していることが必要であることが分かった。
【0087】
図3の結果より、おからを含まない通常のパン(比較例4)は、わずか3日で重量が600gになり、早期に乾燥するのに対し、本発明の発酵おから入りパン(実施例4)では、重量が600gになるまでに4日を要した。このことから、本発明の発酵おから入りパンは、その保水性が従来の(おから非含有)パンよりも優れ、したがって、本発酵おから入りパンは従来のパンに比べて食味が劣化し難いことが分かった。
【0088】
【発明の効果】
本発明の発酵おからの製造方法は、酵素と微生物とを組み合わせておからを処理するため、おからの発酵を十分に進めることが可能となる。このため、おからへ発酵補助剤を添加することを不要にすることができる。
【0089】
また、本発明の発酵おからの製造方法は、おからと酸素との接触を抑えて、おからに本来含まれる腐敗菌の働きを抑制しながらその発酵を行うため、おからをあらかじめ殺菌しておく手間を省くことができる。さらに、不飽和脂肪酸などの酸化を抑えつつ発酵を行うことができるため、得られる発酵おからからアンモニア臭や硫黄臭、あるいは脂肪の酸化臭が発生することを防ぐことができ、したがって、発酵おからの食品素材としての用途を限定することがない。
【0090】
本発明の発酵おからの製造方法は、得られる発酵おからに有機酸を含有させることができるため、その風味を未処理(未発酵)のおからとは異なるものとして、付加価値を付けることができる。また、そのpHを低くすることができるため、発酵おからを腐敗し難くすることができる。
【0091】
本発明にかかる発酵おからは、その保水性が未処理(未発酵)のおからよりも低くなるため、圧搾などによって発酵おからから液状分を除去して、発酵おからの含水率を低くすることが容易になる。具体的には、未処理(未発酵)のおからでは、その含水率を75%より低くすることは困難であるのに対し、発酵おからでは、その含水率を60%程度にまで下げることができる。したがって、発酵おからの保存性をさらに増すことができ、また、その取り扱い性を良くすることができる。
【0092】
本発明の発酵おからを用いて、発酵おから入りパンを作製した場合には、かかる発酵おからはパン生地の膨らみを阻害しないため、外観が通常のパンと変わらないおから入りパンを得ることができる。
【0093】
本発明の発酵おからの製造方法から得られる発酵おから液状分は、かかる液状分にも発酵物が含まれるため、発酵飲料の原料としての使用が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の発酵おからの製造時の時間経過に伴うおからの性状(ブリックス及びpH)の変化を示すグラフである。
【図2】本発明の発酵おからの製造時の時間経過に伴うおから中の生菌数の変化を示すグラフである。
【図3】本発明の発酵おから入りパンの時間経過による保水性の様子を示すグラフである。
Claims (14)
- おからに酵素と微生物とを添加して、おから・酵素・微生物混合体とする工程と、
該混合体を容器内で留置する工程と、
を含んで構成され、前記留置する工程が、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされる発酵おからの製造方法。 - おからに酵素を添加して、おから・酵素混合体とする工程と、
該混合体を容器内で留置する第1の工程と、
留置された前記混合体に微生物を添加して、前記容器内でさらに留置する第2の工程と、
を含んで構成され、前記第1の工程が、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされる発酵おからの製造方法。 - 前記留置する工程又は前記第1の工程が、前記容器内を減圧装置で減圧して、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされる請求項1又は2に記載の発酵おからの製造方法。
- 前記留置する工程又は前記第1の工程が、前記容器内の酸素を不活性ガスで置換して、前記混合体が蓄えられた容器内から酸素を除去してなされる請求項1又は2に記載の発酵おからの製造方法。
- 前記おから・酵素・微生物混合体、又は前記おから・酵素混合体が蓄えられた容器内の温度を、前記酵素の至適温度に保つ請求項1から4のいずれかに記載の発酵おからの製造方法。
- 前記酵素の至適温度が40℃〜65℃である請求項5に記載の発酵おからの製造方法。
- 前記酵素が、セルラーゼ、ぺクチナーゼ、プロテイナーゼ、リパーゼ、アミラーゼから選択される請求項1から6のいずれかに記載の発酵おからの製造方法。
- 前記微生物が、前記おからから有機酸を生産する微生物である請求項1から7のいずれかに記載の発酵おからの製造方法。
- 前記微生物が、乳酸菌、プロピオン酸菌、バチルス属細菌、酵母から選択される請求項1から8のいずれかに記載の発酵おからの製造方法。
- 請求項1から9のいずれかに記載の製造方法によって製造された発酵おからから得られる発酵おから固形分。
- 請求項10に記載の発酵おから固形分を乾燥してなる乾燥発酵おから。
- 請求項1から10のいずれかに記載の製造方法によって製造された発酵おからから分離して得られる発酵おから液状分。
- 請求項1から9のいずれかに記載の製造方法によって製造された発酵おから、又は請求項10に記載の発酵おから固形分、又は請求項11に記載の乾燥発酵おからと、少なくとも小麦粉とを混練して小麦混練物とする工程を含んで作製される、発酵おから入り小麦粉加工食品。
- 前記小麦粉又は前記小麦混練物にイーストを添加する工程を含んで作製される、請求項13に記載の発酵おから入り小麦粉加工食品。
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