JP2004344046A - 植物の茎の重力屈性に関係する新規タンパク質とそれをコードする遺伝子 - Google Patents

植物の茎の重力屈性に関係する新規タンパク質とそれをコードする遺伝子 Download PDF

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昌生 田坂
Miyo Morita
美代 森田
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Abstract

【課題】農業、園芸、林業、造園の分野で、重力屈性の変化した植物が待望される。植物においてそのような重力屈性を生じるこの現象は200年以上も植物生理の重要課題の一つとして多くの研究がなされてきた。しかし、未だに細胞レベル・分子レベルでほとんど何も解っていない。
【解決手段】特定のアミノ酸配列を含むタンパク質、特定2の塩基配列を含むDNA、そのようなDNAを含む組換えDNA構築物、そのような組換えDNA構築物を含む植物を提供する。本発明はまた、コントロール植物と比較して、重力屈性の強化または低下した植物の生産方法を提供する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、植物タンパク質、DNAおよびそれらの用途に関する。
【0002】
【従来の技術】
植物は芽生えた後は移動できない。そのため、成長の制御によって環境の変化に対応する。植物の成長に影響を与える環境要因の一つに重力がある。陸上植物の茎は常に重力方向に逆らって上に伸びる事でより多くの光を葉に受け、根は下に伸びる事でより多くの水分や栄養分を得ると共に地上部を支える。植物が風、動物などによって倒されると、茎は負の根は正の重力屈性反応を示すことで重力に対して決まった方向に伸張できる様に体の向きを変える。この反応は感受細胞における重力感受、感受細胞内でのシグナルの発生、細胞内と細胞間のシグナル伝達、応答する組織の上下における細胞の偏差伸長の4つの過程から成り立つ。この現象は200年以上も植物生理の重要課題の一つとして多くの研究がなされてきた。しかし、未だに細胞レベル・分子レベルでほとんど何も解っていない。
【0003】
シロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)は小さな双子葉のロゼット植物であり、花が咲く時に花茎が伸張する。この植物では、根(正)、胚軸(負)、茎(負)の少なくとも3種の器官が重力屈性を示す。従来より発明者等は30種以上の変異株を単離し、遺伝学的解析をおこない、重力屈性関連遺伝子座を10箇所[SGR(shoot gravitropism)1−8、RHG(root and hypocotyl gravitropism)およびSLR(solitary root)]を同定した。従来、この内2つの遺伝子(SGR1, SGR7)がクローニングされた。
【0004】
特願平10−134097は、植物の根の重力屈性刺激応答に関与する遺伝子およびタンパク質を開示するが、茎の重力屈性に関与する遺伝子を開示も示唆もしない(特許文献1参照)。
【0005】
特願平11−310178は、高等植物の花茎および胚軸の負の重力屈性を示す重力屈性遺伝子SGR2を開示する。しかしSGR2は胚軸の重力屈性に関係する点が本発明の遺伝子とは異なる。また、SGR2の異常は、茎がかすかに湾曲したり、側枝が極端に下に垂れる点が特徴である点で、特願平11−310178は遺伝子の変異による形態への影響が側枝が水平に成るほかは見当たらない遺伝子を開示も示唆もしない(特許文献2参照)。
【0006】
ところで、農業、園芸および林業の実際生産・流通現場では、植物を垂直状態を確保せず、例えば横倒しにして植物を維持、例えば輸送、保管、または販売することは困難である。これは植物の茎の負の重力屈性のため、茎の屈曲が生じ、市場性が低下するからである。しかしこのような輸送、保管または販売には高コストである。したがって、茎の重力屈性のない植物が待望される。
【0007】
また近年、都市緑化の重要性が増加しつつあり、建築構造物の壁面等の緑化への利用可能性が検討されている。しかし、当該壁面の緑化に利用可能な植物は、ツタなどのつる性植物のような一部の植物に限定されている。これは通常の植物はその重力屈性のため、茎の屈曲が生じ壁面等での栽培に不適当であるからである。したがって、茎の重力屈性のない植物が待望される。
【0008】
反対に、重力屈性の強化された植物もまた産業上利用可能である。例えば、イネ、ムギ等の穀物作物は、収穫時期に倒伏すると土壌に接触した種子が吸水し穂に付着したまま発芽し、収量が減少する問題がある。通常の重力屈性の強度では、種子の穂発芽を抑制するのに十分ではない。したがって、茎の重力活性の強化された植物もまた待望される。
【0009】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては次のものがある。
【特許文献1】
特願平10−134097
【特許文献2】
特願平11−310178
【非特許文献1】
Yamauchi, Y., Fukakai, H., Fujisawa, H., and Tasaka, M. (1997). Mutations in the SGR4, SGR5, and SGR6 loci of Arabidopsis thaliana alter the shoot gravitropism. Plant Cell Physiol. 38, 530−535.
【非特許文献2】
Morita, M. T., Kato, T., Nagafusa K., Saito, C., Ueda, T., Nakano, A. and Tasaka, M. (2002). Involvement of the vacuoles of the endodermis in early process of shoot gravitropism in Arabidopsis. The Plant Cell, 14, 47−56.
【非特許文献3】
Kato, T., Morita, M.T., Fukaki, H., Yamauchi, Y., Uehara, M., Niihama, M. and Tasaka, M. (2002) SGR2, a phospholipase−like protein, and ZIG/SGR4, a SNARE, are involved in the shoot gravitropism of Arabidopsis. The Plant Cell, 14, 33−46.
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の課題は、植物の茎の重力屈性に関係する新規タンパク質とそれをコードする遺伝子、およびそれらの用途を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
野生型シロイヌナズナの花茎は、水平に倒すと、90分で約90度上方に屈曲する。前記の負の重力屈性のためである。一方、本発明のDNAからなる遺伝子(以下、SGR5と称する)に点変異を有する変異株植物(そのうちの1例を以下、sgr5−1と称する)は、その花茎がほとんど屈曲を示さない(図1参照)。また、野生型シロイヌナズナ側枝もまた上方に伸長するのに対して、前記変異株の側枝は水平方向に伸長する。さらに、この変異株に野生型のSGR5遺伝子を導入すると、正常な屈性が回復する。このことから、SGR5遺伝子は、植物の茎の重力屈性に関係する遺伝子であることがわかる。
【0012】
これまでに既知の重力屈性が消失した変異植物は、形態異常、すなわちいわゆる地面をのたうち回ったり、相互にからみあったりするように成長することが多い。ところが、本発明のSGR5遺伝子に変異を生じた変異株は、茎の重力屈性が変化しているが、他の特性、例えばその他の葉、花、根などの形態、成長活性、開花特性等が正常である点で、当業者の予測を超えた特性を有するものである(図1参照)。他の特性が実質的に変異することなく、茎の重力屈性のみを変化させるこのSGR5は、育種での利用上きわめて有利である。
【0013】
SGR5の発現をRT−PCRで確かめると、この遺伝子は多くの器官で発現している。そこで、この遺伝子の5’上流域の2kbとレポーター遺伝子であるGUSを繋いだベクターを野生型植物に形質導入しGUSの発現を調べる(図3A)。その結果、芽生えでは胚軸と根の維管束系で発現している(図3B,C)。しかし、胚軸では内皮細胞が重力感受部位であり、根では根冠のコルメラ細胞が重力感受部位であり、これらの細胞も含めて根や胚軸で重力屈性に関与する事が知られている組織・細胞でGUSの発現は認められない。さらに、sgr5−1(SGR5の変異株)のこれらの器官の重力屈性は正常であることから、SGR5は胚軸や根の重力屈性には何ら関与しないといえる。
【0014】
これは、茎以外の形態が何ら変化することなく、重力屈性のみを変化させ得るから、育種での利用上きわめて有利である点で、SGR−5は当業者の予測を超えた特性を有する遺伝子であるということができる。植物体の支持、栄養の摂取に影響をおよぼすことなく茎のみの重力屈性を変化させることは、育種上極めて有利である。
【0015】
一方、sgr5−1で重力屈性異常を示す花茎では内皮細胞を中心にした同心円状の細胞群でGUSの発現が見られる(図3C)。花茎の内皮細胞が重力感受細胞であることは既に示されている。内皮細胞特異的なSCR(SCARECROW)プロモーターを使って、sgr5−1で内皮細胞特異的にSGR5を発現する事を試みると、この形質転換植物は正常な重力屈性を回復する(図3D)。したがってSGR5が内皮細胞で発現することが、正常な重力屈性に必要であることは明かである。
【0016】
また、上記タンパク質(以下、sgr5と称する)は、二つのジンクフィンガーモチーフを続けて持ち(Cタイプ)、タンパク質相互作用に関係する可能性が高いコイルドコイルドメインを1つ持ち、また、核局在化シグナルが存在する(図2参照)。また、sgr5をタバコ培養細胞で発現させると、当該タンパク質は核に局在化する。これらの事実から、sgr5は転写因子として機能することがいえる。
【0017】
よって本発明者等は、以下の発明を提供する。
1態様では、本発明は、配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質、またはその中の1ないし10個のアミノ酸が置換、欠失、もしくは付加されているアミノ酸配列を含む、前記タンパク質と機能的に同等なタンパク質を提供する。
【0018】
上記タンパク質は、その発現によって、植物は茎、好ましくは花茎の重力屈性を生じることを特徴とする。上記タンパク質は、当業者に公知の方法により、生産できる。例えば、植物、動物、例えばE.coliや酵母のような微生物宿主中で、タンパク質をコードするDNAの組換え発現によって達成される。そのような手法は例えば、(Sambrook et al., Moleculae Cloning : A Lboratory Manual, 2nd ed. Cold Spring harbor (1989)等)に見出される。具体的には、そのタンパク質をコードするDNAを、pTrc99A(Pharmacia Biotech)のような発現ベクターに構築する。次いでE.coliのような細菌を形質転換し、必要により、例えばIPTGでタンパク質合成を誘導させた後、細菌を溶菌する。目的のタンパク質は可溶性溶菌画分に見出され、必要により常法にしたがって精製する。
【0019】
「1または2以上のアミノ酸」とは、例えば50、40、30、20、10、5、4、3、2、または1個のアミノ酸である。1または2以上のアミノ酸が置換、欠失または付加されたアミノ酸配列を有するタンパク質の製造もまた、公知方法によっておこなうことができる。例えば、Excite PCR−Based Site−Directed Mutagenesis Kit (STRATAGENE)のようなキットを使用して、そのようなタンパク質をコードするアミノ酸配列を有するDNAを構築し、適当な宿主内でタンパク質を発現させることによって、実施できる。このようなタンパク質のうち、それをコードするDNAを発現可能に含むDNA構築物を、本発明のDNAが欠損している植物、例えば、sgr5−1変異株に形質転換し、その結果重力屈性が回復する場合、当該タンパク質は、本発明のタンパク質と機能的に同等なタンパク質であるといえる。
【0020】
その他にも、機能的に同等なタンパク質の選択は公知方法を使用して種々考えられる。例えば、(Sambrook et al., Moleculae Cloning : A Lboratory Manual, 2nd ed. Cold Spring harbor (1989)等)およびPCR技術(島本功ら監修、「植物のPCR実験プロトコール」(細胞工学別冊、植物細胞工学シリーズ2)秀潤社 1995年4月10日発行参照)に記載されているような方法にしたがって実施する。
【0021】
1態様では、本発明は配列番号1の第159位のアミノ酸「D(アスパラギン酸)」が「N(アスパラギン)」に変異した、変異体タンパク質を提供する。この変異体タンパク質を安定に発現する植物もまた本発明の1態様である。該変異体タンパク質は植物中で発現すると、植物の茎の重力屈性が部分的に喪失する。その他の変異体タンパク質も、植物の重力屈性を生じる機能を有する限り本発明のタンパク質に含まれるものとする。
【0022】
1態様では、本発明は、本発明のタンパク質に特異的に結合可能な抗体を提供する。このような抗体はモノクローナル抗体、ポリクローナル抗体、または合成抗体並びにFab、FvまたはscFvフラグメント等のような抗体フラグメントであってよい。このような抗体の生産は、公知の方法、例えば、Harlow and Lane’’Antibodies, A Laboratory Manual’’(CHS Press, Cold Spring Harbor, 1988)等に記載される方法によっておこないうる。例えば、モノクローナル抗体は、マウス等の動物に本発明のタンパク質を注射し、免疫化し、マウスより脾臓細胞を採取し、ミエローマ細胞と共培養し、細胞融合させハイブリドーマを得る。抗体産生のみとめられたハイブリドーマをクローン化し所望の抗体を産生するクローンを選択し、これを培養することにより、モノクローナル抗体を大量に産生することができる。また、ポリクローナル抗体は、本発明のタンパク質をウサギ等の動物に注射し、抗体を産生させる。次いで該動物から血液を採取し、そこから所望の抗体を含む抗血清を得ることができる。
【0023】
1態様では、本発明はまた、
(a)配列番号2の塩基配列、
(b)本発明のタンパク質をコードする塩基配列、および
(c)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件で、(a)または(b)の相補鎖にハイブリダイズし得る塩基配列、
からなる群より選択される塩基配列を含むDNAを提供する。以後、これを「本発明のDNA」と称する。また、本発明は上記(a)、(b)または(c)の塩基配列(以下、「本発明の塩基配列」という)と相補的な塩基配列を含むDNAを提供する。
【0024】
このようなDNAの生産は、公知の方法、例えば、Sambrook et al., Moleculae Cloning : A Lboratory Manual, 2nd ed. Cold Spring harbor (1989)等や秀潤社、植物細胞工学シリーズ4『モデル植物の実験プロトコール』に記載される方法によって実施可能である。例えば、本発明のDNAから例えば細菌、例えばE. coliを使用してcDNAまたはゲノムライブラリーを作成し、これを増殖させ、次いで溶菌し、タンパク質を除去し、例えばイソプロパノール沈降によってDNAを回収することによって単離することができる。
【0025】
ストリンジェントな条件は、塩基配列の長さに依存して変化し得る。典型的なストリンジェントなハイブリダイゼーション条件の例によると、ある試験塩基配列は引用配列に好ましくは、7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA、50℃中と、洗浄は2xSSC、0.1%SDS、50℃で、より望ましくは7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA、50℃中と、洗浄は1xSSC、0.1% SDS、50℃で、より望ましくはなお7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA、50℃中と、洗浄は0.5xSSC、0.1% SDS、50℃で、好ましくは7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA、50℃中と、洗浄は0.1xSSC、0.1% SDS、50℃で、より好ましくは7% ドデシル硫酸ナトリウム(SDS)、0.5M NaPO、1mM EDTA、50℃中と、洗浄は0.1xSSC、0.1% SDS、65℃でハイブリダイズする。
【0026】
このようなストリンジェントな条件下で本発明の塩基配列の相補的塩基配列にハイブリダイズしうる塩基配列を含むDNAは、本発明のDNAと機能的に同等であることが、当業者にとって明かである。本発明のDNAまたはその相補物に機能的に同等であるとは、本発明のタンパク質をコードするか、またはその植物中での発現によって植物の重力屈性が発生または増加、または、喪失または減少することを意味する。
【0027】
機能的に同等なDNAは、例えば、Excite PCR−Based Site−Directed Mutagenesis Kit (STRATAGENE)のようなキットを使用して、塩基配列に変異を有するDNAを構築することによって、実施できる。このようなDNAを発現可能に含むDNA構築物を、本発明のDNAが欠損している植物、例えば、sgr5−1変異株に形質転換し、その結果重力屈性が回復する場合、当該DNAは、本発明のDNAと機能的に同等なDNAである。
【0028】
1態様では本発明は、本発明の塩基配列を含む、少なくとも15、例えば20、25、30、40、50またはそれ以上ヌクレオチド長であるポリヌクレオチドフラグメント、またはその相補的フラグメントを提供する。該ヌクレオチドにはリボヌクレオチドおよびデオキシリボヌクレオチドが含まれる。このようなフラグメントを本発明のDNAの検出プローブまたはその合成用プライマーなどとして使用できる。
【0029】
このようなDNAフラグメントは、当業者にとっては明らかな手法により生産する。このようなDNAフラグメントは、例えば、該遺伝子中の対応する野生型または変異体遺伝子座に完全に相補的な塩基配列を含んでいる。しかし、オリゴヌクレオチドのストリンジェントなハイブリダイゼーションに不都合な影響を及ぼさない限り、要すれば、1または2以上のミスマッチを導入し得る。本発明のDNAフラグメントは、検出を容易にするために1または2以上の標識を含んでいてよい。
【0030】
1態様では、本発明は本発明のDNAを含む組換えDNA構築物を提供する。
このような組換えDNA構築物は、公知方法、例えば(Sambrook et al., Moleculae Cloning : A Lboratory Manual, 2nd ed. Cold Spring harbor (1989)等)に記載の任意の方法に従って生産できる。
【0031】
該組換えDNA構築物は、適当な宿主細胞において、本発明のDNAの転写、および必要により翻訳を指示することのできる核酸配列であって、必要により転写ターミネーターに機能可能に連結される本発明のDNAの塩基配列に、必要により作動可能に連結されるプロモーターを含む配列を意味する。それは典型的にはまた、塩基配列の正しい翻訳に要する配列を含む。所望の塩基配列を含む組換えDNA構築物は、キメラであり得、その構成要素の少なくとも1つがその他の構成要素の少なくとも1つについて異種性であることを意味する。組換えDNA構築物はまた、天然に存在するが異種性発現のために有用な組換え形態で取得したものであり得る。しかし、典型的には、組換えDNA構築物は宿主について異種性であり得る。
【0032】
組換えDNA構築物の塩基配列の発現は、構成的プロモーターの、または宿主細胞がある特定の外部刺激に曝露されるときにのみ転写を開始する誘導可能プロモーターの制御下であり得る。例えば植物の場合には、プロモーターはまた特定組織、または器官、または発達の段階に特異的であることができる。
【0033】
構成的発現に好ましいプロモーターは、アクチンプロモーター(McElroy et al.,Plant Cell 2: 163−171(1990))またはユビキチンプロモーター(Zhang et al, 1991, Plant Cell 3:1155)およびCaMV 35Sおよび19S(Odell et al. 1985, Nature, 313:810)プロモーターを含み得る。他の適当なプロモーター配列は、組織/器官特異的プロモーター、例えば、内皮組織特異的プロモーター、緑色組織特異的プロモーター、根特異的プロモーター(de Framond, FEBS 290: 103−106(1991))、茎特異的プロモーター(Hudspeth & Grula,Plant Molec Biol 12: 579−589(1989))、および花特異的プロモーター、化学的に調節されるプロモーター、例えばエタノールに誘導されるプロモーター(Caddick et al.,(1998)Nat. Biotechnol 16: 177−180)、PR−1aプロモーター(Lebel et al., Plant J. 16:223−233(1998))、傷誘導可能なプロモーター(例えば、Xu et al.,Plant Molec. Biol. 22: 573−588(1993); Logemann et al., Plant Cell 1: 151−158(1989); Rohrmeier & Lehle, Plant Molec. Biol. 22:783−792(1993); Firek et al., Plant Molec. 22: 129−142(1993); Warner et al.,Plant J. 3:191−201(1993)などを含み得るがこれらに限定されない。
【0034】
また本発明の組換えDNA構築物は、必要により転写ターミネーターを含み得る。また本発明の組換えDNA構築物は、必要により転写産物を所望のオルガネラ、組織、器官に移行させるシグナルペプチドをコードするDNAを含み得る。シグナルペプチドの例は、植物病原性に関連するタンパク質、例えばPR−1、PR−2および同様のものに、天然に連結されたものを含む。例えば、Payne et al., 1988を参照。移行ペプチド、例えばクロロプラスト移行ペプチドは、例えば、van den Broeck, et al., Nature 313: 358−363(1985)に記載される。また遺伝子産物は、ミトコンドリア及びペルオキシソームのような他のオルガネラに局在化させることができる(例えば、Unger et al.,Plant Molec. Biol. 13: 411−418(1989))。また、様々な細胞性区画、例えば液胞へのコードされたタンパク質の局在化を生じるような配列も含む(Shinshi et al., Plant Molec. Biol. 14: 357−368(1990))。
【0035】
本発明のDNAを、本発明のDNAを適当な組換えDNA構築物に挿入して、これを植物細胞に導入し、その後形質転換植物細胞を植物組織、器官、植物に再生する。形質転換される植物細胞は、植物組織、器官、植物に再生可能なものが好ましい。以下、これを「本発明の植物等」と称する。本発明の植物等は、その重力屈性がコントロール植物と比較して、実質的に強化または低下されていることを特徴とする。また、本明細書において後述する植物の生産方法によって生産される植物も「本発明の植物等」に含むものとする。
【0036】
1態様では、本発明は前記組換えDNA構築物を含む植物細胞または植物を提供する。
本明細書では、「植物」は、任意の発達段階の任意の植物、特に種子植物、例えば、単子葉または双子葉植物である。「植物」はまた、その植物の後代のほか、植物の一部、例えば、葉、茎、根、花または花部分、果実、花粉、卵細胞、接合子、種子、挿し木、細胞、または組織培養物または任意の他の植物の部分または産物を含み得る。
その「後代」は、ある植物から有性生殖または無性生殖によって生産される任意の植物、例えば種子、苗、シュート、球根、塊茎、根茎、またはある植物から伝統的増殖法および/または育種法の適用によって得られる任意の植物を含み得る。
【0037】
「植物細胞」は、植物の構造的、および生理学的単位であり、プロトプラストおよび細胞壁を含む。植物細胞は、単離単一細胞または培養細胞の形態で、または高度に組織化された単位、例えば、植物組織、植物器官、または全植物体の一部としての形態であり得る。「植物細胞」は培養植物細胞であってよく、植物単位の培養(物)、例えば、種々の発達段階の、プロトプラスト、細胞培養細胞、植物組織の細胞、花粉、花粉管、胚珠、胚のう、接合子および胚の培養物を意味する。
【0038】
本発明の植物等は、重力屈性がコントロール植物と比較して低下している場合、水平面上でなくとも、成長し得ることを特徴とする。本明細書では「水平面でない」とは、水平面から少なくとも約45度、好ましくは少なくとも約60、70度、好ましくは実質的に約90度傾斜していることを意味する。
1態様では本発明は、植物を実質的に水平面上ではない適当な媒体上で栽培する方法であって、当該植物が本発明の植物であることを特徴とする方法を提供する。
【0039】
本発明の植物等は、重力屈性がコントロール植物と比較して低下している場合、垂直状態を確保せず、かつ、茎の屈曲を生じさせることなく維持できることを特徴とする。本明細書では、「垂直状態を確保せず」とは、垂直方向から少なくとも約30度、好ましくは約45、60、70度傾斜していること、すなわち水平方向から約20度以内であることを意味する。
1態様では本発明は、植物を、実質的に垂直状態を確保せず、かつ、茎の屈曲を生じさせることなく維持する方法であって、当該植物が本発明の植物であることを特徴とする方法を提供する。
【0040】
本発明の植物等は、重力屈性がコントロール植物と比較して低下している場合、適当な光源により光照射することによって該植物の成長方向を制御できることを特徴とする。本発明の植物等は、重力屈性がコントロール植物と比較して低下している場合、重力の影響を実質的に受けることなく、その向光性によって、光源方向へ成長することができることを特徴とする。1態様では本発明は、植物を適当な光源により光照射することによって、該植物の成長を該光源方向へ制御する方法であって、当該植物が本発明の植物であることを特徴とする方法を提供する。
【0041】
本発明の植物等は、重力屈性がコントロール植物と比較して強化されている場合、耐倒伏性であることを特徴とする。本明細書では「耐倒伏性である」とは、コントロール群と比較して、通常の統計的手法、例えばt−検定、分散分析、多変量解析等により、統計学的に有意に、例えば危険率20%、好ましくは10%、より好ましくは5%、最も好ましくは1%で倒伏株発生率が低下していることを意味する。
【0042】
本発明のDNAを植物細胞に取り込ませるプロセスは、慣行の組換えDNA技術を使用して実施できる。このような技術は例えば、秀潤社、植物細胞工学シリーズ4『モデル植物の実験プロトコール』に見出される。一般に、これは、当業界で既知である標準的クローニング手法を使用して、該DNAが異種性である(すなわち通常存在しない)発現系に本発明のDNA配列を挿入することを含む。この組換えDNA構築物は、挿入されるタンパク質コード配列の転写および翻訳のため必要なエレメントを含む。多数の当業界で既知のベクター系、例えば、プラスミド、バクテリオファージウイルス、および他の修飾ウイルスを使用して本発明の組換えDNA構築物を対象植物細胞に移入させる。好適なベクターは、ウイルスベクター、例えば、ラムダベクター系、λgt11、λgt10、およびシャロン4;プラスミドベクター、例えば、pBI121、pBR322、pACYC177、pACYC184、pARシリーズ、pKK233−3、pUC8、pUC9、pUC18、pUC19、pLG339、pRK290、pKC37、pKC101、pCDNAII;および他の類似系を含み得るがこれらに限定されない。形質転換された細胞を、全植物体に再生し、その結果本発明のDNAを発現させる。
【0043】
双子葉植物の形質転換法は当分野でよく知られており、アグロバクテリウムに基づく方法およびアグロバクテリウムを必要としない方法を含む。アグロバクテリウムを必要としない方法は、プロトプラストまたは細胞による外生遺伝的物質の直接取り込みを含むものである。これは、PEGまたはエレクトロポレーションにより仲介される取り込み、パーティクルボンバードメントにより仲介される送達、またはマイクロインジェクションによって達成できる。これらの方法の例は、Paszkowski et al., EMBO J3: 2717−2722(1984);Potrykus et al., Mol. Gen. Genet: 199:169−177(1985);Reich et al., Bioteshnology 4:1001−1004(1986);およびKlein et al., Nature 327: 70−73(1987)により記載されている。それぞれの場合において、形質転換された細胞を、当分野で既知の標準技術を用いて全植物体に再生する。
【0044】
アグロバクテリウムにより仲介される形質転換は、その高い形質転換効率および多くの異なる種に対する広範な用途の故に、双子葉植物の形質転換のための好ましい技術である。アグロバクテリウム形質転換は、典型的には、興味の持たれる外来DNAを有するバイナリーベクター(例えばpCIB200またはpCIB2001)を、共存するTiプラスミド上または染色体のいずれかに宿主アグロバクテリウム菌株(例えば、pCIB200およびpCIB2001のための菌株CIB542(Uknes et al., Plant Cell 5: 159−169(1993))が持っているvir遺伝子の補完に依存するかも知れない適当なアグロバクテリウム菌株に、移入させることを含む。アグロバクテリウムへの組換えバイナリーベクターの移入は、組換えバイナリーベクターを有するE. coliであって、pRK2013のようなプラスミドを持ち、組換えバイナリーベクターを標的アグロバクテリウム菌株に移動させることのできるヘルパーE. coli菌株を使用する、三元交配法によって達成する。別法として、この組換えバイナリーベクターは、DNA形質転換によってアグロバクテリウムに移入させることができる(Hoefgen and Willmitzer, Nucl. Acids Res. 16: 9877(1988))。
【0045】
組換えアグロバクテリウムによる標的植物種の形質転換は、通常、アグロバクテリウムをその植物由来の外植体と共培養することを含み、当分野で周知の手法に従うものである。形質転換された組織は、該バイナリープラスミドT−DNAボーダーの間に存在する抗生物質または除草剤抵抗性マーカーを有する選択培地上で再生する。
【0046】
あるDNAで植物細胞を形質転換するもう一つのアプローチは、不活性または生物活性の粒子を植物組織および細胞に推進させることを含む。この技術はすべてSanfordの米国特許第4945050、5036006、および5100792号に開示されている。一般に、この方法は、不活性または生物活性粒子を、当該細胞の外表面を貫通させその内部への取り込みをもたらすのに有効な条件の下で、細胞へと推進させることを含む。不活性粒子を利用する場合、所望のDNAを含むベクターで当該粒子を被覆することによって、このベクターを細胞内に導入することができる。別法として、ベクターによって標的細胞を取り巻き、その結果、該粒子の通り跡によってベクターを細胞内に運び入れることもできる。生物活性粒子(例えば、導入したいDNAをそれぞれ含んでいる乾燥コウボ細胞、乾燥細菌またはバクテリオファージ)もまた植物細胞組織中に推進させることができる。
【0047】
殆どの単子葉植物種の形質転換もまた、現在では常法となっている。好ましい技術は、ポリエチレングリコール法(Lazzeri et al. 1991 Theor. Appl. Genet 81:473)またはエレクトロポレーション法(Tada et al. 1990 Theor. Appl. Genet 80:475)を用いるプロトプラスト中への直接導入法、およびカルス組織中へのパーティクルボンバードメントを含む。こうして得た形質転換植物を、植物体へ再生し、必要により、さらに伝統的育種法によって商業的品種/変種を育成し得る。
【0048】
形質転換細胞の植物体への再生もまた、今日では常法といえる。例えばトウモロコシ(Shilli et al. Bio/Technology 7:581(1989)、特許出願EP0292435、EP0392225、およびWO93/07278)、イネ(Nature, 338:274−276(1989))、オーチャードグラス(Plant Cell Rep.,Vol.7:469−472(1988))、ジャガイモ(Visser et al. Theor. Appl. Genet 78:594(1989))、タバコ(Nagata and Takebe, Planta 99:12(1971))等に記載されている。
【0049】
また、形質転換は、In planta形質転換法によっても実施し得る。これは組織培養を経ないで植物が成長する状態そのまま成長点部位に置かれる細胞を形質転換させた後、形質転換された細胞から再分化する茎で形質転換された遺伝的に安定した形質転換植物体が獲得できる技術である。場合により、当該植物から種子を獲得し得る。この技術は1990年にはじめて開発され、国際的な関心を呼びおこし、派生技術として真空浸潤形質転換法、花芽沈漬法 ( Agrobacteria spraying method )、胚軸感染法などの非組織培養技術が開発された。
【0050】
本発明の組換えDNA構築物で形質転換された植物組織、器官、植物、またはその後代は、茎、特に花茎の重力屈性が、コントロール植物と比較して実質的に変化、たとえば強化され、または低下しているものが好ましい。本明細書では「重力屈性が低下している」とは、好ましくは暗黒条件下で測定した場合に、試験植物を90度傾けて十分時間後に、茎と水平面のなす角(図1参照)が、約85度以下、より好ましくは約80度以下、最も好ましくは約75度以下であることを意味する。十分時間は、植物種、測定温度、植物の状態等によって変化するが、シロイヌナズナ、室温下のばあいは約90分以上、好ましくは約180分以上、最も好ましくは約240分以上である(図1参照)。
【0051】
本明細書では「重力屈性が強化されている」とは、好ましくは暗黒条件下で測定した場合に、コントロール植物を90度傾けて茎が垂直方向に復帰する所定時間の約90%、好ましくは80%、より好ましくは約70%、60%、最も好ましくは50%の時間経過後に、茎と水平面のなす角が約90度に復帰することを意味する。上記所定時間は、植物種、測定温度、植物の状態等によって変化するが、シロイヌナズナ、室温下のばあいは約120分またはそれ以上、より好ましくは約90分である(図1参照)。
【0052】
1態様では、本発明は、コントロール植物と比較して、重力屈性の強化または低下した植物の生産方法であって、
(a) 本発明の組換えDNA構築物、または他の適当な、本発明のタンパク質の発現レベルをそれぞれ増加または減少し得る組換えDNA構築物によって、コントロール植物またはその細胞を形質転換すること、
(b) (a)の組換えDNA構築物が導入された植物または細胞を選択すること
(c) 細胞である場合には(b)で得られる細胞から植物を再生すること、および
(d) 必要により(b)または(c)で得られる植物からさらに別個の植物を生産すること
を含む方法を提供する。これを以下、「本発明の植物の生産方法」という。
【0053】
重力屈性が強化された植物を得るためには、本発明のDNAを含む組換えDNA構築物を発現、好ましくは十分過剰に植物中で発現させ、本発明のタンパク質を発現、好ましくは十分過剰に発現させる。
【0054】
前記の本発明のタンパク質の発現レベルを増加させる組換えDNA構築物は、十分強力に所定の遺伝子の発現を駆動し得るプロモーター、例えば任意の構成的プロモーター、および本発明のタンパク質をコードするDNAの増加したコピー数を含み得る。具体的には、例えば、該遺伝子の転写を強力に駆動し得る構成的プロモーターと、該遺伝子をセンス方向で融合したキメラ遺伝子を作製し、これを発現カセット中で標的植物細胞において発現させる。該組換えDNA構築物は、単数または複数コピーの、前記本発明のDNAを含み得る。植物での発現に好適な構成的プロモーターには、アクチンまたはユビキチンをコードする遺伝子からのプロモーターおよびCaMV 35Sおよび19Sプロモーターから選ばれるプロモーターを含み得るがこれらに限定されない。
【0055】
重力屈性が低下した植物を得るためには、本発明のタンパク質の発現レベルを減少させ得る組換えDNA構築物を使用する。例えば、本発明のDNAのアンチセンスDNAを含むDNA構築物を植物中で発現させることにより、いわゆるアンチセンスRNAを生産させ、本発明のタンパク質の発現を抑制し、その結果、植物の重力屈性が低下する。アンチセンスRNAが植物においていわゆるアンチセンス効果を発揮することは、Eckerらによって実証され(J. R. Ecker and R. W. Davis, (1986) Proc. Natl. Acad.USA.83:5372)、その後、タバコ、ペチュニアおよびトマト等でアンチセンスRNAの発現によって標的遺伝子の発現が低下されることが報告されており、現在では植物における遺伝子発現を抑制する手段として確立されている。
【0056】
場合により、本発明のタンパク質の発現レベルを減少させ得る組換えDNA構築物として、本発明のDNA配列を含むDNA構築物を使用する、コサプレッション技術を利用して、本発明のタンパク質の発現を低下させ、それによって植物の重力屈性を低下させることも可能である。
【0057】
コサプレッション技術は、本発明のDNAと同一または類似した配列を有するDNA構築物の形質転換によってもたらされるコサプレション現象を利用する。コサプレッションは、植物に標的遺伝子と同一または類似の配列を有する遺伝子を、形質転換により導入すると、導入する外来遺伝子および標的遺伝子の両方の遺伝子の発現が抑制される現象のことをいう。コサプレッションの機構の詳細は明らかではないが、植物においてはしばしば観察される効果である(Curr. Biol.7:R793, 1997; Cuur. Biol.6:810, 1996)。
【0058】
上記組換えDNA構築物で形質転換された植物または植物細胞の選択は公知方法によって実施できる。例えば、種々の抗生物質または除草剤選択マーカーを上記組換えDNA構築マーカーに含ませることが好ましくあり得る。形質転換にルーチンに使用される選択マーカーは、カマイシン及び関連する抗生物質に対する抵抗性を付与する、nptII遺伝子(Messing & Vierra,Gene 19:259−268(1982);Bevan et al.,Nature 304: 184−187(1983))、除草剤ホスヒノスリシンに対する抵抗性を付与する、Bar遺伝子(White et al., Nucl/ Acids res 18: 1062(1990); Spencer et al., Theor. Appl. Genet 79: 625−631(1990))、抗生物質ハイグロマイシンに対する抵抗性を付与する、hph遺伝子(Blochinger & Digglemann, Mol Cell 4: 2929−2931)、およびメトトレキセートに対する抵抗性を付与するdhfr遺伝子(Bourouis et al., EMBO J. 2(7): 1099−1104(1983))及びグリフォサートに対する抵抗性を付与する、EPSPS遺伝子(米国特許番号4,940,935及び5,188,642)等が挙げられる。
形質転換した植物から別個の植物を得るためには、無性生殖または有性生殖的方法による周知の植物増殖手段を使用して実施し得る。
【0059】
重力屈性が強化された植物を選択するためには、例えば、適当な条件下、このましくは暗黒下で、所定の処理した植物を約90度傾けて成長させ、茎が垂直に復帰する特性、例えばそれに要する時間を測定することによって、選択可能である。逆に、重力屈性が低下した植物を選択することは、同様な条件下で、茎が垂直状態に回復し難い植物を選択することにより達成される。
【0060】
1態様では本発明は、コントロール植物と比較して、重力屈性の低下した植物の生産方法であって、
(a) 植物細胞または植物の、コントロール植物中に内生する本発明のDNAからなる遺伝子またはそれと機能的に同等な遺伝子を突然変異誘発させること、
(b) 本発明のDNAからなる遺伝子に突然変異を生じた植物細胞または植物を選択すること、
(c) 細胞である場合には(b)で得られる細胞から植物を再生すること、および
(d) 必要により(b)または(c)で得られる植物からさらに別個の植物を生産すること
を含む方法を提供する。この方法も、「本発明の植物の生産方法」である。
【0061】
植物に突然変異を誘発する方法は、公知方法によって実施可能である。例えば、成長点または種子を含む植物に適当な突然変異原、例えば化学物質、例えば、メタンスルホン酸エチル(EMS)、メチル−N−ニトロソ尿素(MNU)、およびブレオマイシン類よりなる群から選択される化学突然変異誘発物質を使用して実施し得る。その他、突然変異の誘発は、UV、γ線、X線、および高速ニュートロンよりなる群から選択される放射線を植物または細胞に照射することによっても実施し得る。
【0062】
植物細胞に突然変異を誘発する方法も、当業界で公知の任意の方法によって実施し得る。例えば、上記の突然変異原による処理のほか、部位特異的突然変異誘発法、ミスマッチ修復法、インビトロ突然変異誘発法によって内生遺伝子それ自体を変異させる。好ましくは、実施例5に記載の通り、例えば、T−DNA挿入法を使用し、内生の本発明のDNAからなるSGR5を突然変異させ、突然変異細胞を選択し、これを植物体に再生し、重力屈性の低下または喪失した植物を生産する。重力屈性が変化した植物の選択は、好ましくは暗黒下で植物を約90度傾斜させ、茎が上を向く特性を決定することにより実施し得、これは当業者が適宜の実験によりなしうることである。
【0063】
上記のような方法によって得られ得る植物も、また「本発明の植物等」に含む。当該植物は、茎の重力屈性が低下または喪失しているものが好ましい。
本遺伝子はシロイヌナズナから単離されるが、以下に非限定的に列挙する他の植物においても、同様の機能を有することは当業者にとって明かである。
【0064】
本発明の対象となる植物は、任意の植物、好ましくは種子植物、例えば単子葉または双子葉植物である、農作物、例えばトウモロコシ、コムギ、オオムギ、ライムギ、カンショ、インゲンマメ、エンドウマメ、チコリ、レタス、キャベツ、カリフラワー、ブロコッリー、カブ、ダイコン、ホウレンソウ、アスパラガス、タマネギ、ニンニク、トウガラシ、セルリー、カボチャ、アサ、ズッキーニ、リンゴ、ナシ、マルメロ、メロン、スイカ、スモモ、サクランボ、モモ、ネクタリン、アンズ、イチゴ、ブドウ、ラズベリー、ブラックベリー、パイナップル、アボカド、パパイヤ、マンゴ、バナナ、ダイズ、トマト、ソルガム、サトウキビ、テンサイ、ヒマワリ、ナタネ、クローバー、タバコ、ニンジン、ワタ、アルファルファ、イネ、ジャガイモ、ナス、およびキュウリ;鑑賞植物、例えば、アサガオ、アスター、アロエ、アマリリス、アリウム、イリス、ラン、カーネーション、ガーベラ、キク、キキョウ、キンギョソウ、キンセンカ、グラジオラス、ケイトウ、コスモス、コリウス、サクラソウ、ジニア、カスミソウ、スイセン、スターチス、ストック、ダリア、チューリップ、ナノハナ、スズラン、トルコギキョウ、ビンカ、ハゲイトウ、ケイトウ、ハボタン、オモト、ハナビシソウ、ホウズキ、ヒマワリ、フリージア、ベゴニア、ペチュニア、ホウセンカ、ユリ、ラナンキュラス、リンドウ、シロイヌナズナおよび;樹木植物、例えば、針葉樹、例えば、スギ、ヒノキ、広葉樹、常緑樹および落葉樹、特に、フウチョウソウ目、例えばモクセイソウ科、フウチョウソウ科、ワサビノキ科、アブラナ科植物、特にアブラナ科、例えばハボタン、ストック、ダイコン、ナタネ、ハクサイ、キャベツ、ブロッコリ、カリフラワー、カブ、コマツナ、ミズナ、ミブナ、カラシ、ダイコン、ワサビ、クレソンを含み得るがこれらに限定されない。ひとたび望まれる塩基配列が特定植物種に形質転換されると、その種中で増殖し、または伝統的育種方法を使用して同じ種、とくに商業的変種/品種の他の変種/品種に移し得る。
【0065】
なお、本明細書の用語の意味は特記した用語以外、本発明の属する技術分野の当業者が通常用い得る意味に解釈する。また、遺伝子導入、突然変異処理、塩基配列の決定および植物の発芽、育成、管理は、本発明の属する技術分野の当業者の任意に既知の方法により実施し得る(Sambrook et al., Moleculae Cloning : A Lboratory Manual, 2nd ed. Cold Spring harbor (1989)等)。
【0066】
【実施例】
実施例1:SGR5−1の突然変異の誘発
sgr5−1変異をもつシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)、コロンビアエコタイプを、本質的にYamauchiら、(1997)、前掲の記載にしたがって取得した。具体的にはコロンビアエコタイプのglabrous1変異をもつ株を、Fukaki, H. et al., Plant Physiol. 110, 933−943(1991)に記載のように、一定の白色光下で、23℃の制御条件下で成長させ、種子を収穫した。該種子にエチルメタンスルホン酸(EMS)処理することにより新しい変異を誘発した。EMS処理は以下の手順でドラフト内において行った。15mlファルコンチューブ中の2mlの0.3% (v/v) EMS水溶液に、前記種子約7500粒を加え、よく撹拌した。16時間常温で放置した。その後、水で種子を10回洗浄し、土に播種した。約4500個体のM1植物から、約80000のM2種子を得た。このM2植物からsgr5−1変異体が選択された。
【0067】
実施例2:SGR5遺伝子の単離
SGR5遺伝子座のマッピング
sgr5−1変異体は化学突然変異剤EMSで処理されたコロンビア種の集団より得られているので、ランズバーグ種と交配し、そのF2世代における同変異の分離を分子マーカーと比較することにより、SGR5遺伝子座のおおよその位置を決定した。その結果、同遺伝子座は、2番染色体上の3cM付近にあると判明した。具体的には、次のようにして行った。
【0068】
F2種子を0.8%(w/v)次亜塩素酸ナトリウム、0.2% TritonX−100に10分間浸漬し、よく洗浄して滅菌を行い、0.5Xアラビドプシス栄養塩溶液(下記)を含む1.5%寒天培地(約40ml、栄研2号角形シャーレ(縦10cm 横14cm 高さ1.5cm))に播種した。23℃ constant light の恒温室で発芽・生育させ、土に移植した。アラビドプシス栄養塩溶液は、ハイポネックス((株)ハイポネックスジャパン)1000倍希釈液を用いた。
【0069】
F2植物体からのゲノムDNAの調製にはCTAB 法を用いた。植物体より、子葉一枚を、エッペンドルフチューブの中にいれ、十分にすりつぶした。100μlの CTAB バッファー(0.1M Tris−HCl(PH8.0),20mM EDTA,1.4M NaCl,2% セチルトリメチルアンモニウムブロマイド(cetyltrymethylammonium bromide),0.2% 2−メルカプトエタノール)を加え、60℃で30分保温した。100μlのクロロホルムを加え撹拌後、5000rpm で5分間遠心分離した。水層を新しいエッペンドルフチューブに移し、2/3量のイソプロパノールを加え、12000rpmで10分間遠心した。上澄みを捨て、70%エタノールを200μl加え15000rpmで数分遠心し、再び上澄みを捨て、ペレットを減圧乾燥した。乾燥後、50μl のTEに溶かした。
【0070】
当該遺伝子座領域の任意の位置の塩基配列をコロンビアおよびランズバーグで決定しつつ、両者の間での多型を探した。見い出した多型に基づいて分子マーカーの一種であるCAPSマーカー(Konieczny, A., and Ausubel, F.M.(1993) A produce for mapping Arabidopsismutations using co−dominant ecotype−specific PCR−based markers. Plant J. 4, 403−410.)を作成し、遺伝子座の絞り込みを進めた。なお、PCR反応液としては、「1Xamplification buffer(Takara社),125μM dNTPs,500ng プライマー(FおよびR),1U EX Taq(Takara社),50ng ゲノムDNA/反応溶液100μl」を用いた。
【0071】
約2000染色体を調べ、最終的にマーカーF23I14.1 F14H20.2−3の間約25kbの範囲内にSGR5が存在することが分かった。この領域には3つのORFの存在が予想されており、すべてのORFについてsgr5−1および野生型の塩基配列を解読・比較した。その結果一つのORF(At2g01940)内にGからAへの塩基置換が見つかった。シーケンス反応は、BigDye(登録商標)Terminator Cycle Sequencing Ready Reaction (Applied Biosystems)キットを用いて、その説明書に従った。シーケンスの解析には、ABI 3100 DNAシークエンサー(Applied Biosystems)を用いた。SGR5遺伝子野生型の塩基配列を図5(配列番号2)に、またそのORFによってコードされるタンパク質のアミノ酸配列を図4(配列番号1)に示す。図4のアミノ酸配列中、第37−200位および344−433位はSGR5ホモログ間で保存された領域である。前者はZinc Finger、後者はコイルドコイルを含む。
【0072】
実施例3:SGR5遺伝子の導入による正常な花茎重力屈性の回復
ABRC(Arabidopsis Biological Resource Center)より分譲された野生型At2g01940遺伝子を含むBACクローン(F14H20)を定法に基づいて増幅、単離した。SGR5遺伝子約2.2kbに加え予想プロモーター領域として上流約3kbと下流約2kbを含む約7kbをBACDNAより制限酵素を用いて切り出した。このDNA断片をバイナリーベクターpBIN19にクローニングし、アグロバクテリウムMP90株を介して、sgr5−1植物体へ形質転換した。T1、T2、T3植物体が重力屈性能を回復していたことから、At2g01940がSGR5遺伝子であることが証明できた。
【0073】
実施例4:SGR5遺伝子の組織特異的発現
SGR5遺伝子の発現パターンを調べるため、開始コドンより上流約3kbをこの遺伝子のプロモーター領域としてクローニングした。この断片を、カリフラワーモザイクウイルスの35Sプロモーター下流にレポーター遺伝子としてGUSを有するバイナリーベクターpBI101(クロンテック)の35Sプロモーターと置き換えた。アグロバクテリウムMP90株を介して、SGR5プロモーター−GUS融合遺伝子をsgr5−1植物体へ形質転換した。T2世代の形質転換体植物の芽生えと花茎を用いてGUS染色を行った。サンプルを90%アセトンに浸積し氷上で30分から60分置いた後、洗浄液(0.5M NaPO, 0.5M NaHPO, 75mM KFe(CN), 75mM KFe(CN))で洗浄した。その後染色液(洗浄液に100mM X−Glucを加える)に浸し、減圧浸潤させ、37℃で6時間から一晩発色させた。
【0074】
SGR5遺伝子の内皮細胞での機能を調べるため、まずcDNAのクローニングを行った。野生型(コロンビア)の花茎を液体窒素で凍結・粉砕し、RNeasy Mini kit(Qiagen K.K., Japan)をもちいてRNAの抽出を行った。これを鋳型として、Superscript II First strand synthesis syntem (Invitrogen)をもちいて逆転写をおこなった。両末端に制限酵素部位を付加したSGR5特異的プライマー(SGR5 cloning fw: AGGATCCATGTTGTCCAACAAGAACACAAA(配列番号3)およびSGR5 cloning rv: AGGATCCTTAAAAACCATTTTCCAACTCTC(配列番号4))を用い、SGR5cDNAを合成した。SGR5 cDNAを、内皮特異的プロモーターSCRを組み込んだバイナリーベクターの下流に連結した(pSCR::SGR5)。このプラスミドを用いてアグロバクテリウムMP90株を介して、sgr5−1に形質転換し、T2世代での重力屈性反応を観察した。その結果、sgr5−1変異株は、暗黒室温下で90度倒置の90分後茎が上を向かないのに対し(図1A、C参照)、pSCR::SGR5形質転換株は重力屈性を示した(図3E参照)。
【0075】
実施例5:DS挿入による重力屈性低下実験(sgr5−2)
sgr5−2はCold Spring Harbor Laboratory によって作成されたgene trap lineの一つである。gene trap lineとはトウモロコシのAc/Dsトランスポゾンを利用して作成されたものである。gene trap トランスポゾンは、Dsエレメントの間にレポーター遺伝子としてのGUS遺伝子とカナマイシン耐性を付与するNPTII遺伝子を挿入してあり、Acトランスポゼースの働きによりゲノム中にランダムに挿入される。結果として、任意の遺伝子の発現レポーターと成りうると同時に、その遺伝子の挿入変異を引き起こしうる。
【0076】
本実施例で使用したsgr5−2は、Cold Spring Harbor Laboratoryより分譲を受けた。エコタイプはランズバーグである。SGR5の第一エキソンにトランスポゾンが挿入されていることを明らかにした。Dsエレメントの両末端に位置し、外側に向くプライマー(Ds3−2、Ds5−2)とSGR5上に位置するプライマーを数種用意し、幾通りかの組み合わせでPCR反応を行い、得られたPCR産物に対してDs3−2もしくはDs5−2プライマーでシーケンス反応を行った。得られた塩基配列とSGR5ゲノム配列とを比較することで、Dsトランスポゾンの挿入位置を決定した。実際にSGR5遺伝子の転写産物をRT−PCRで確認したところ、SGR5−2変異株では正常な転写産物は見られなかった。以上のことから、sgr5−2変異株はSGR5遺伝子破壊株であるといえる。エコタイプが異なるため、sgr5−2については重力屈性等の性質については、ランズバーグ野生型と比較した。結果は、ランドスバーグ野生型は、暗黒室温条件下で90度倒置後の約200分で茎がほぼ垂直に復帰するのに対し、sgr5−2は200分後でも10度以下であった(図1F参照)。この事実からもまた、SGR5が植物に重力屈性をもたらす遺伝子であることがいえ、SGR5遺伝子を破壊して重力屈性が低下または喪失した植物が得られた。
【0077】
【発明の効果】
本発明に記載の新規タンパク質およびDNAを使用して、植物の茎の重力屈性が変化させる、分子生物学的手段が得られる。そしてこの手段により、植物育種において重力屈性が変化した植物系統を取得することが可能となるという顕著な効果がもたらされる。また本発明の新規タンパク質またはDNAを使用して、植物を垂直面で栽培すること、垂直状態を維持することなくかつ屈曲を生じさせることなく維持、輸送、販売すること、適当な光源で光照射することによって当該植物の成長方向を制御すること、および耐倒伏性の改善された植物を得ることが可能となるという顕著な効果がもたらされる。
【0078】
【配列表】
Figure 2004344046
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【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、図1 sgr5−1変異株の重力屈性。A,Bは野生株、C,Dはsgr5−1変異株、A,Cは倒した直後。B,Dは90分後。E は野生株と変異株の倒してからの屈曲の時間変化。
【図2】図2A SGR5のマップポジション。図2B SGR5を示す。第一エキソンは1−142位、第二エキソンは456−858位、および第三エキソンは1474−2248位に存在。当該タンパク質はC ジンクフィンガーモチーフを持ち、核局在化シグナルとコイルドコイルドメインを持つ。
【図3】図3A SGR5の組織特異的発現を調べるためのコンストラクト。この遺伝子の上流2kbがGUSとつないである。図3B,C 野生株の芽生えにおけるGUSの発現。D, 野生株の花茎におけるGUSの発現。内皮細胞を中心に数層の細胞で発現が見られる。E, SCRプロモーターでSGR5cDNAをsgr5−1変異株で発現させた形質転換植物の重力屈性。重力屈性の回復が見られる。F, 花茎の内皮細胞中に存在するアミロプラストの沈降。野生株でもsgr5−1でもアミロプラスとは重力方向に沈降していた。
【図4】図4は、sgr5タンパク質のアミノ酸配列を示す。
【図5−1】図5−1は、SGR5遺伝子の塩基配列を示す。
【図5−2】図5−2は、SGR5遺伝子の塩基配列を示す。

Claims (12)

  1. 配列番号1のアミノ酸配列を含むタンパク質または、その中の1もしくは2以上のアミノ酸が置換、欠失、もしくは付加されているアミノ酸配列を含む、前記タンパク質と機能的に同等なタンパク質。
  2. 請求項1のタンパク質に特異的に結合可能な抗体。
  3. (a)配列番号2の塩基配列、
    (b)請求項1のタンパク質をコードする塩基配列、および
    (c)ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件で、(a)または(b)の相補鎖にハイブリダイズし得る塩基配列、
    からなる群より選択される塩基配列を含むDNA。
  4. 少なくとも15ヌクレオチド長の、請求項3の(a)、(b)もしくは(c)の全部または一部の塩基配列を含むポリヌクレオチドフラグメントまたは、その相補的フラグメント。
  5. 請求項3のDNAを含む組換えDNA構築物。
  6. 請求項5の組換えDNA構築物を含む植物細胞。
  7. 請求項6の組換えDNA構築物を含む植物。
  8. コントロール植物と比較して、重力屈性の強化または低下した植物の生産方法であって、請求項5の組換えDNA構築物、または他の適当な、請求項1のタンパク質の発現レベルをそれぞれ増加または減少させ得る組換えDNA構築物によって、コントロール植物またはその細胞を形質転換することを含む方法。
  9. コントロール植物と比較して、重力屈性の低下した植物の生産方法であって、コントロール植物またはその細胞の、内生する請求項3のDNAからなる遺伝子またはそれと同等の機能を有する遺伝子を、突然変異させることを含む方法。
  10. 植物を実質的に水平面上ではない適当な媒体上で栽培する方法であって、当該植物が請求項7の植物、または請求項8もしくは9の生産方法によって生産される植物であることを特徴とする方法。
  11. 植物を、実質的に垂直状態を確保せず、かつ、茎の屈曲を生じさせることなく維持する方法であって、当該植物が請求項7の植物、または請求項8もしくは9の生産方法によって生産される植物であることを特徴とする方法。
  12. 植物を適当な光源により光照射することによって、該植物の成長を該光源方向へ制御する方法であって、当該植物が請求項7の植物、または請求項8もしくは9の生産方法によって生産される植物であることを特徴とする方法。
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