JP2004343467A - 自動車相互間無線通信装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】簡易な構成で混信および誤認識を可及的に防止するとともに電力消費を抑える自動車相互間無線通信装置の提供を課題とする。
【解決手段】送信電力を制御する送信電力制御回路6と、隣接する走行車両と無線通信を行うための通信装置の制御部として機能し、送信電力制御回路6に送信電力制御信号を出力する信号処理回路2と、自車の車速データを車速信号として出力しその出力が信号処理回路2に接続される車速信号発生回路5とを含み構成される。送信電力制御信号を受け送信電力制御回路6により車速の増速に比例して送信電力を大きくする。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、自動車相互間の無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、1対1の無線通信装置は、例えば、アマチュア無線で代表されるように、一般的には一定の出力電力で送信しているか、あるいは使用者が出力電力を設定し送信していた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述の送信電力が固定の方式を自動車相互間の無線通信装置(車車間通信ともいう)に使用した場合、例えば車車間通信として、隣接する車同士の間で情報(例えば道路渋滞情報、渋滞原因情報、事故情報、その他注意情報等)が取り交わされることを想定した場合、通信条件、通信環境、使用条件および使用環境によっては、自車と隣接する走行車両(1台前方または1台後方)との通信が、2台前方、3台前方(または2台後方、3台後方)の車両と通信してしまい、混信を起こしてしまう可能性がある。また、この種の通信装置として、例えば通信IDで1対1の通信を行う場合、通信が確立した状態であれば、データのやり取りは可能となるが、相手車両の絶対位置がわからず、2台前方、3台前方(または2台後方、3台後方)の車両を1台前方(または1台後方)の車両と誤認識してしまうおそれがある。一方、相手車両の位置にかかわらず一定の送信電力で送信していると、相手車両が近距離にいる場合に、必要以上の電力を消費していることになり無駄となる。相手車両の位置を認識して送信電力をコントロールすればよいが、通信している車両の絶対位置を認識するには、例えばカメラを使い車両を撮影し画像処理等でナンバープレートと通信IDとを照合して相手車両を判断する方法があるが、車両に搭載するにはコストが高くなる問題がある。
【0004】
本発明は、上記した点を背景になされたもので、簡易な構成で混信および誤認識を可及的に防止するとともに電力消費を抑える自動車相互間無線通信装置の提供を課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段及び発明の効果】
上記した課題を解決するために本発明の自動車相互間無線通信装置は、走行する自動車同士で無線通信する自動車相互間無線通信装置において、
自動車の車速に対応する車速信号を出力する車速信号出力手段と、
その自動車から無線通信電波を送信する無線送信手段とを備え、
その無線送信手段は、車速信号をパラメータとして、その車速信号に基づく車速の増大に応じて送信電力を増大するように制御する送信電力制御手段を含むことを特徴とする。
【0006】
上記構成により、自車の車速が速くなれば、距離の離れた車両との通信ができるように送信電力を大きくして、一方、徐行や停車中の場合、近距離にある車両との通信が1対1で確実に可能なレベルまで送信電力を小さくして、自車と隣接する車両との通信を可能とする状態でかつ必要以上に大きな電力を送信しないように電力を制御し、混信および誤認識を可及的に防ぐとともに電力消費の抑制も可能である。
【0007】
具体的には、車速信号が直接に送信電力制御手段へ入力され、その車速信号により送信電力が増減制御されるとしている。また、車速信号出力手段は、デジタル信号又はアナログ信号の車速信号を出力し、その車速信号をアナログ信号又はデジタル信号に変換する信号変換手段を介して該車速信号が前記送信電力制御手段へ入力され、その車速信号により前記送信電力が増減制御されるとしている。
【0008】
このように、車速信号が直接に送信電力制御手段へ入力されてもよく、また信号変換して入力してもよく、信号の種類を問わず処理可能である。近年、車速センサからの出力を利用して車両の付加機能が作動されるようにしたものも多く、例えば自動ドアロック装置、車速警報装置等があり、車速信号としてデジタル信号を利用しているケースも多い。このデジタル信号を利用すれば簡易に装置を構成することも可能で、上記のようにデジタル信号をアナログ信号に変換する手段を付加することにより、比較的簡易な構成で車速に対応して適正な送信電力とすることができる。
【0009】
さらに、具体的には、無線送信手段は、前記車速信号をパラメータとして、その車速信号に基づき、送信電力を上げるように制御すると共に、減速の場合には増速の場合より送信電力を下げるタイミングを遅らせるヒステリシスが生じるようにヒステリシス制御する送信電力制御手段を含むことを特徴としており、送信電力はいったん引上げられると所定の幅をもって送信電力が維持されるため、送信の安定が図られる。
【0010】
また、本発明では、走行する自動車同士で無線通信する自動車相互間無線通信装置において、
自動車の車速に対応する車速信号を出力する車速信号出力手段と、
他の自動車から無線通信電波を受信する無線受信手段とを備え、
その無線受信手段は、車速信号をパラメータとして、その車速信号に基づく車速の増大に応じて受信電力を増大するように制御する受信電力制御手段を含むことを特徴とする。
【0011】
上記構成により、徐行や停車中の場合、近距離にある車両との1対1の通信のみを確実に行えるように受信電力を小さくし、自車の車速が速くなれば、受信電力を大きめにして、混信および誤認識を可及的に防止し、その効果がさらに高められる。
【0012】
具体的には、無線受信手段は、車速信号をパラメータとして、その車速信号に基づき、受信電力を上げるように制御すると共に、減速の場合には前記増速の場合より前記受信電力を下げるタイミングを遅らせるヒステリシスが生じるようにヒステリシス制御する受信電力制御手段を含むことを特徴としており、受信電力はいったん引上げられると所定の幅をもって受信電力が維持され、受信の安定が図られる。
【0013】
さらに、本発明では、走行する自動車同士で無線通信する自動車相互間無線通信装置において、
自動車の車速に対応する車速信号を出力する車速信号出力手段と、
その自動車から他の自動車へ無線通信電波を送信する無線送信手段と、
他の自動車からその自動車への無線通信電波を受信する無線受信手段とを備え、
無線送信手段及び/又は無線受信手段は、車速信号出力手段による自車の車速信号に対応する自車速度と、無線受信手段により受信される他の自動車の車速信号に対応する他車速度との車速差をパラメータとして、その車速差の増大に応じて送信電力及び/又は受信電力を増減するように制御する通信電力制御手段を含むことを特徴とする。
【0014】
上記構成により、自車と通信する相手車両との速度差に応じて、自車と相手車両との距離が離れる場合、送信電力を大きくし、距離が近くなる場合、送信電力を小さくして、相手車両の速度を加味して、より適正な送信電力にできる。また、受信電力も同様に相手車両の速度を加味して、より適正な受信電力にできる。
【0015】
また、本発明は、走行する自動車同士で無線通信する自動車相互間無線通信装置において、
自動車の車速に対応する車速信号を出力する車速信号出力手段と、
その自動車から他の自動車へ無線通信電波を送信する無線送信手段と、
他の自動車からその自動車への無線通信電波を受信する無線受信手段と、
自車から他車への無線通信電波の誤通信、又は他車から自車への無線通信電波の誤通信を検出する誤通信検出手段とを備え、
無線送信手段及び/又は無線受信手段は、誤通信検出手段によって検出される誤通信率をパラメータとして、その誤通信率の増大に応じて送信電力及び/又は受信電力を増大するように制御する通信電力制御手段を含むことを特徴とする。
【0016】
上記構成により、自車と相手車両との通信の誤り率が悪化した場合、送信電力の設定値を出力が大きくなる方向にシフトさせ、より大きな送信電力として、通信品質を確保できる。また、受信電力も誤り率が悪化した場合、受信電力を大きくするようにでき、良好な相互通信が可能となる。
【0017】
さらに、本発明は、請求項1と請求項5との組合せからなることを特徴とする。請求項1、請求項5又は請求項9と請求項7との組合せからなることを特徴とする。請求項1、請求項5又は請求項9と請求項8との組合せからなることを特徴とする。請求項7と請求項8との組合せからなることを特徴とする。請求項1、請求項5又は請求項9と請求項12との組合せからなることを特徴とする。
【0018】
上記構成により、これを任意に組み合わせて送信電力制御や受信電力制御が行われることにより、適正な送信電力および受信電力となり、その効果は相乗的に高められ、混信や誤認識を可及的に防止できかつ電力消費も抑えられる自動車相互間無線通信装置が実現できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき図面に示す実施例を参照して説明する。図1は、本発明の一例を示す自動車相互間無線通信装置の構成を示すブロック図である。自動車相互間無線通信装置(車車間通信装置ともいう)1は、隣接する走行車両と無線通信を行うための通信装置の制御部として機能する信号処理回路2と、この信号処理回路2からの出力が接続され、他の車両に無線送信する無線送信手段としての無線送信回路3と、他の車両からの通信を受信し、出力が信号処理回路2に接続される無線受信手段としての無線受信回路4と、自車の車速データを車速信号として出力が信号処理回路2に接続される車速信号発生回路(車速信号出力手段)5とを含み構成される。車速信号発生回路5では、例えば車速センサとしてエンコーダで車の回転軸の変位を検出しパルスを出力するようにして車速信号がデジタル信号として出力される。この自動車相互間無線通信装置1は、隣接する走行車両との間で通信IDを使って1対1の双方向通信を行い、例えば道路の事故情報、渋滞情報、渋滞原因情報等を伝え、あるいは受け取る場合に利用される。比較的簡易な構成で相互通信を行うものである。
【0020】
無線送信回路3は、車速に応じて送信電力を可変する送信電力制御回路6を含んでいる。信号処理回路2からの送信電力制御信号が送信電力制御回路6に入力される。信号処理回路2ではマイコンを備え信号の制御が行われる。信号処理回路2では車速信号発生回路5からの車速信号を取得し車速の演算をして車速に対応する送信電力値を決定する。決定したその指示信号出力を送信電力制御回路6に出力する。この送信電力制御回路6に入力される送信電力制御信号に対応して連続的に送信電力が可変される。無線送信回路3と無線受信回路4とには、通信アンテナ7,17が接続されている。
【0021】
なお、本発明では車速信号発生回路5からの生の信号を車速信号と表現しているが、信号処理回路2で行う車速の演算をした後の車速値も車速信号ととらえている。
【0022】
本発明の信号処理回路2は、制御部として機能し、信号を変調して送信する機能および受信した信号を復調する機能も内部に含むものである。本発明に関連する一般的に知られた無線通信回路について、図2に一例を示す。無線送受信回路は、通信手段として他の車両に無線送信する送信部30と、他の車両からの通信を受信する受信部40とから構成される。送信部30は、基準となる周波をつくる局部発振器34の出力が接続され、信号入力Siからの信号波(音声信号やトーン信号)を搬送波にのせる変調器35と、その変調器35の出力が接続され変調された信号を増幅する電力増幅器36と、この電力増幅器36で増幅された信号を電波信号として送信する送信アンテナ37とを含み構成される。
【0023】
受信部40は、受信アンテナ47と、受信信号を増幅する高周波増幅器42と、所定の周波をつくる局部発振器43の出力が接続され、高周波増幅器42で増幅された信号を中間周波数に変換する周波数混合器44と、この信号を増幅する中間周波増幅器45と、この中間周波増幅器45の出力が接続され、信号波(音声信号等)に戻す復調器46とを含み構成される。復調器46で復調された信号波が信号出力Soから出力される。信号波をトーン信号として、例えば数字1に対応して事故情報、数字2に対応して渋滞情報というように情報を数字(あるいは記号)で表わすように設定され通信を行うことで相互に情報を交換できる方法も含まれる。
【0024】
次に、図3は、車両の速度と自動車相互間無線通信装置1の送信電力との関係を示す図である。車両の速度に比例して速くなれば、無線送信回路3にある送信電力制御回路6は、送信電力を大きく出力する。このように、車速が速くなれば、距離の離れた車両と通信ができるように送信電力を大きくし、逆に徐行や停車中の場合は、近距離にある車両との1対1の通信のみを確実に行えるように送信電力を小さくする。これにより、適正な出力となり、混信や誤認識を防止できる。
【0025】
図4aは本発明の他の実施例における送信電力と車両速度(車速を変換した電圧値)との関係を示す。図に示すように送信電力を段階的に制御してもよい。図1における信号処理回路2では車速信号発生回路5からの車速信号を取得し車速の演算をして車速に対応する送信電力値を決定する。本実施例では送信電力を上げるときに段階的に上げるように車速しきい値を決定している。車速しきい値Vを複数設定している。決定したその指示信号出力を送信電力制御回路6に出力する。この送信電力制御回路6に入力される送信電力制御信号に対応して段階的に送信電力が可変される。この信号により送信電力Pが段階的に大きくなるように変更される。すなわち、入力の車速が増速されていくとき、車速V2で送信電力がそれまでのP1からP2へ引き上げられる。この送信電力P2は、いったん引き上げられると、次に速度が車速V1より下がらないと変わらない。減速の場合は増速の場合より送信電力を下げるタイミングを送らせるようにヒステリシスをもたせるようにしている。このようにヒステリシスをもたせた制御をしており、ある所定の幅をもって電力が上がる(または下がる)ようにでき、しきい値近辺の速度で走行している場合に、頻繁な送信電力の変更をしないようにできる。
【0026】
また、図4bに示すように、増速の場合は送信電力を直線的に上げていき、減速の場合には増速の場合よりも送信電力を下げるタイミングを遅らせるようにヒステリシスをもたせるように制御できる。本実施例では送信電力を車速に応じて連続的に上げる。すなわち、入力の車速が増速されていくとき、車速V0で送信電力がそれまでのP0から連続的に引き上げられる。例えば車速V2になった後、速度が減速してもV1まで送信電力P1を維持し、V1よりも減速した場合は図4bのように送信電力をP0まで下げる。また、車速がV4になった後、速度が減速してもV3まで送信電力P2を維持し、V3よりも減速した場合は送信電力が下げられる。このようにヒステリシスをもたせた制御をしており、ある所定の幅をもって電力が上がる(または下がる)ようにでき、しきい値近辺の速度で走行している場合に、頻繁な送信電力の変更をしないようにできる。なお、実施例では送信電力の制御を行っているが、受信電力の制御もヒステリシスをもたせた制御が同様に可能である。
【0027】
次に、図5は本発明の他の実施例を示す。車速信号発生回路5aは、車速信号がアナログ信号の場合を表し、その出力は直接に送信電力制御回路6に出力される。車速信号発生回路5aの出力は、信号処理回路2には接続されない。その他の回路構成は、図1に示す回路と同じであり、送信電力制御回路6に車速信号発生回路5aから連続した信号が入力され、車速に比例して送信電力を可変できる。
【0028】
図5の実施例では、図2における変調器35の出力とアンテナ37との間に送信電力制御回路6を設けた例といえる。具体的な回路を図6に示す。送信電力制御回路6としては、可変ゲイン増幅器16が採用できる。変調された信号を可変ゲイン増幅器16で所定の送信電力のレベルに増幅するとともに、車速信号発生回路5aからの車速の信号に応じて送信電力が可変されるものである。車速の増速に比例して送信電力を大きくするように可変できる。
【0029】
可変ゲイン増幅器16の一例を図7に示す。デュアルゲートFETで構成され、車速信号のアナログ変換された電圧がC(ゲートG2)に入力される。ゲートG2に入力される電圧が小さいとき増幅量も小さく送信電力も小さい。入力される電圧が大きいとき増幅量も大きく送信電力も大きくなる。初期状態では自車が停車あるいは徐行中の場合において隣接車両と通信が可能なレベルに送信電力が予め設定されている。なお、この可変ゲイン増幅器16(例えばデュアルゲートFET)の前段および後段に整合回路を設けてインピーダンスをマッチングさせるようにすると好ましい。可変ゲイン増幅器16は必要最小限の電力に設定することが可能でコストを抑えることができる。
【0030】
なお、送信電力制御回路6として可変ゲイン増幅器16に換えて、可変減衰器26を用いてもよい。可変減衰器26を用いた回路例を図8に示す。電力増幅器36とアンテナ7との間に送信電力制御回路6として可変減衰器26が設けられている。減衰器の減衰量を大きくすれば電力の出力が小さくなり、減衰量を小さくすれば電力出力が大きめになるように、減衰量を調整して電力の出力が連続的に変えられる。車速信号発生回路5aからの車速の信号に応じて送信電力が可変されるものである。車速の増速に比例して送信電力を大きくするように可変できる。
【0031】
可変減衰器26の一例を図9に示す。Cに車速信号がアナログ変換された電圧が入力される。PINダイオードを含み構成され、入力された電圧が小さいときPINダイオードの内部抵抗が大きく減衰量が大きく電力の出力は小さくなる。入力電圧が大きいときPINダイオードの内部抵抗が小さく減衰量が小さく電力の出力は大きくなる。なお、図9におけるコイルは高周波を逃がさないようにするためのチョークコイルである。
【0032】
次に、その動作について説明する。図8において変調器35で変調された信号は電力増幅器36で固定的に設定された増幅率で増幅される。増幅された信号は送信電力制御回路6を経てアンテナ7から隣接する車両に向けて電波信号として送信される。自車と相手車両とは比較的近距離が想定され、想定される最大距離離れた状態において、隣接する車両と通信が可能な送信電力のレベルに予め設定されているものである。初期状態で送信電力が大きめに設定され、可変減衰器26の減衰量を調整して、例えば自車が停車あるいは徐行中の場合には近距離にある車両との1対1の通信のみを確実に行えるように減衰量を大きくして送信電力を小さくするとともに、自車の速度が速くなった場合(車速が速い場合に相手車両との距離が離れたととらえる)には減衰量を小さくして送信電力を大きめにする。
【0033】
次に、図10は本発明の他の実施例を示し、車速信号発生回路5bからの車速信号がデジタル信号の場合で、この例では車速信号発生回路5bの出力は信号処理回路2に接続されず、その出力は別途に設けた信号変換回路(例えばD−A変換器)8に接続される。この信号変換回路8でアナログ信号に変換され、その出力が、送信電力制御回路6に接続される。他の回路構成は、図1に示す回路と同じである。このように回路構成してもよく、車速に応じた送信電力の制御が可能である。
【0034】
このように、車速信号発生回路5からの車速信号が、デジタル信号かアナログ信号かを問わず信号処理できる。
【0035】
次に、図11は、本発明の他の実施例を示すブロック図である。無線受信回路4は、車速に応じて受信電力を可変する受信電力制御回路9を含んでいる。信号処理回路2からの受信電力制御信号が受信電力制御回路9に入力される。信号処理回路2では車速信号発生回路5からの車速信号を取得し車速の演算をして車速に対応する受信電力値を決定する。決定したその指示信号出力が受信電力制御回路9に入力される。この受信電力制御回路9に入力された受信電力制御信号に対応して連続的に受信電力が可変される。
【0036】
図14aは車両の速度と受信電力との関係を示す図である。車両の比例して速度が速くなれば、距離の離れた車両と確実に通信できるように受信電力制御回路9は受信電力を大きく出力する。徐行や停車中の場合、近距離にある車両との1対1の通信のみを確実に行えるように受信電力を小さくする。このように車速に比例して受信電力を増減し、適正な受信電力とし、混信および誤認識を可及的に防止する。この受信電力制御は、走行中、送信していない間はこの制御が行われる。なお、受信電力制御回路9による制御は、前述の送信電力制御回路6による送信電力の制御と合わせて実施してもよいし、受信電力制御のみ単独で実施してもよい。
【0037】
次に、図12は本発明の他の実施例を示す。車速信号発生回路5aがアナログ信号の場合の例で、その出力は直接に受信電力制御回路9入力される。回路の具体例を図13に示す。アンテナ17と周波数混合器44との間に受信電力制御回路9が設けられる。受信電力制御回路9として可変ゲイン増幅器19を用いている。可変ゲイン増幅器19としては図6に示した例と同様のものが採用できる。初期状態では自車が停車あるいは徐行中において隣接する車両と通信が可能なレベルに受信電力が予め設定される。Cに車速がアナログ変換された電圧が入力され、入力された電圧に対応して増幅量が変化し受信電力が可変され、車速の遅い場合に受信電力を小さくし、車速の速い場合に受信電力を大きくできる。
【0038】
なお、図13において車速信号がデジタル信号の場合、信号変換回路8(図13に破線で示す)を挿入することにより、上記と同じように受信電力制御ができる。
【0039】
また、受信電力制御回路9として、可変ゲイン増幅器19に換えて可変減衰器を用いることも可能である。可変減衰器の減衰量を大きくすれば電力の出力が小さくなり、減衰量を小さくすれば電力出力が大きめになるように、減衰量を調整して、入力信号に対応して受信電力が可変される。図14bに車両速度と受信信号減衰量の関係を示す。徐行や停車中の場合、近距離にある車両との1対1の通信のみを確実に行えるように受信信号減衰量を大きくする(受信電力を小さくする)。車速が速くなれば、距離の離れた車両と確実に通信できるように受信信号減衰量を小さくする(受信電力を大きめにする)。
【0040】
次に、図15は、本発明の他の実施例を示すブロック図である。この実施例は、相手車両の速度を加味して送信電力の制御をする例である。隣接する前方または後方の車両との通信により得た隣接車両車速情報10が信号処理回路2に取り込まれ、この取り込まれた隣接車両の車速データと自車の車速データとを比較する比較回路11が信号処理回路2に設けられている。車速信号発生回路5からの信号と、隣接車両車速情報10からの信号とが比較回路11に入力される。比較回路11からの送信電力制御信号が送信電力制御回路6に入力される。隣接車両車速情報10については相手車両においても同様な自動車相互間無線通信装置が備えられ、相手車両の車速信号が変調器で変調され送信され、これを通信で受け取り復調器を通して信号波として取り込まれるものである。この比較回路11において、隣接車両との速度差=前方車両速度−自車速度(または、速度差=自車速度−後方車両速度)の比較が実行される。信号処理回路2では速度差に対応する送信電力値が決定される。決定されたその指示信号出力が送信電力制御回路6に入力される。
【0041】
比較回路11における速度差の算出では、自車速度を中心にしてコントロールできるように算出式を設定しており、前方に相手車両が存在する場合、前方車両速度から自車速度を差し引き、速度差がマイナスとなる状態を標準の状態にしている。速度差がマイナスの状態では相手車両が遅くまたは自車が速く相手車両に近づく相互関係にあって、その場合には送信電力が小さくされる。また、相手車両が後方に存在する場合には、自車速度から後方車両速度を差し引くようにしている。
【0042】
図16は、自車速度Vにおける隣接車両との速度差と送信電力との関係を示す。この実施例では、前述した自車の車速によって送信電力を制御する例を基本とし、自車の車速で行う送信電力の制御を、相手側の車両との速度差で補正する関係にできる。隣接車両の車速データと自車の車速データとを比較し、自車速度から算出された送信すべき送信電力よりも大きな電力が必要と判断した場合、例えば前方車両が自車の車速より速い場合(または後方車両が自車の車速より遅い場合)、自車の車速信号による送信電力を大きめになるようにして通信に適正な電力にする。一方、前方車両が自車の車速より遅い場合(または後方車両が自車の車速より速い場合)、送信電力を送信電力が小さくなるようにする。これにより、自車と通信する相手車両との速度差に応じて、自車と相手車両との距離が離れる場合、送信電力を大きくし、距離が近くなる場合、送信電力を小さくして、適正な出力となる。
【0043】
図16において、自車速度Vの変化した場合の例として、V=0からV=Vnに変化したときの送信電力を示す。Vnは任意の速度で、図においてVが0からVnにいく程速度が速い場合を示す。速度差が例えばゼロの場合(自車と相手車両が同速度の場合)、自車の速度の速い方が遅い方よりも送信電力は大きく設定されている。この自車速度を中心にして設定された送信電力において、例えば自車速度V1の場合で自車と相手車両との速度差がプラスのときには設定された送信電力を大きくする方向に変更され、一方、自車と相手車両との速度差がマイナスのとき送信電力を小さくする方向に変更される。これによって、自車の車速に相手車両の車速を加味してより適正な送信電力の制御ができる。なお、実施例では隣接車両との速度差で送信電力を制御を行うようにしているが、隣接車両との速度差で受信電力の制御も同様に行うことが可能である。
【0044】
図17は、本発明の他の実施例を示すブロック図である。隣接する車両との通信におけるビット(情報)誤り率(BER:Bit Error Rate)を測定する誤り率測定回路12を備える。誤り率=(誤りビット数)÷(全ビット数)で計算される。例えば、BERが、10−6とか表現される。これは、情報を10ビット伝送したときに1ビットだけ誤る伝送路であることを示している。10−kでkが大きいほど情報の誤りが少ない良い伝送路ということになる。この誤り率の変化を送信電力の制御と結合した例が本実施例である。
【0045】
信号処理回路2には、CPUを含み、比較回路11からの出力と、誤り率測定回路12からの出力とがCPUの演算回路13に接続される。誤り率測定回路12からの信号により、比較回路11の出力に補正を加えるように、この演算回路13で演算が実行された後、演算回路13から送信電力制御信号が送信電力制御回路6に入力される。CPUの演算回路13では、誤り率測定回路12からのデータを統計処理してどの程度誤りがあるかをみて送信電力を上げる必要があるかどうかを判断して、必要と判断した場合、送信電力を大きくする方向に信号が出力される。
【0046】
図18は、図17の実施例の場合における隣接車両との速度差と送信電力との関係を示す。この実施例では、前述した速度差に対応した送信電力値が設定されることを前提としている。この設定された送信電力値を、誤り率測定回路12からのデータで補正する関係にできる。自車速度が例えばVnの場合で速度差に対応して設定されている送信電力値を、誤り率が悪化した場合、送信電力を大きくする方向に送信電力値が変更される。すなわち、例えば図18に矢印AおよびBで示すようにシフトされ補正が加えられる。矢印Aにおいては送信電力P1がPs分だけ大きい方向に補正されPaとなることを表し、矢印Bにおいては補正前では速度差vaのときPaの送信電力が設定されていたが、速度差vb(vb<vaの関係にあり、補正前より小さい速度差)でPaの送信電力となることを表している。このように、通信状況が悪くなった場合、送信電力を大きくして通信品質を確保できる。なお、実施例では誤り率の変化を送信電力の制御と結合した例を示しているが、誤り率の変化を受信電力の制御と結合して行うことも可能である。
【0047】
また、本発明は、前述の実施例を任意に組み合わせて送信電力制御や受信電力制御が行われることにより、適正な送信電力および受信電力となり、その効果は相乗的に高められ、混信や誤認識を可及的に防止できる自動車相互間無線通信装置が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の自動車相互間無線通信装置の構成を示すブロック図。
【図2】一般的な無線送受信回路を示すブロック図。
【図3】本発明に係る車両速度と送信電力の関係を示す図。
【図4】本発明の他の実施例における車両速度と送信電力の関係を示す図。
【図5】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図6】本発明に係る送信部を示すブロック図。
【図7】本発明に係る可変ゲイン増幅器の一例を示す回路図。
【図8】本発明に係る送信部の他の実施例を示すブロック図。
【図9】本発明に係る可変減衰器の一例を示す回路図。
【図10】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図11】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図12】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図13】本発明に係る受信部を示すブロック図。
【図14】本発明における車両速度と受信電力の関係ならびに車両速度と受信信号減衰量の関係を示す図。
【図15】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図16】本発明の他の実施例における隣接車両との速度差と送信電力の関係を示す図。
【図17】本発明の他の実施例を示すブロック図。
【図18】図17の例における隣接車両との速度差と送信電力の関係を示す図。
【符号の説明】
1 自動車相互間無線通信装置
2 信号処理回路
3 無線送信回路(無線送信手段)
4 無線受信回路(無線受信手段)
5,5a,5b 車速信号発生回路(車速信号出力手段)
6 送信電力制御回路
8 信号変換回路
9 受信電力制御回路
10 隣接車両車速情報
11 比較回路
12 BER(誤り率)測定回路(誤通信検出手段)
13 演算回路
16,19 可変ゲイン増幅器
26 可変減衰器

Claims (13)

  1. 走行する自動車同士で無線通信する自動車相互間無線通信装置において、
    自動車の車速に対応する車速信号を出力する車速信号出力手段と、
    その自動車から無線通信電波を送信する無線送信手段とを備え、
    その無線送信手段は、前記車速信号をパラメータとして、その車速信号に基づく車速の増大に応じて前記送信電力を増大するように制御する送信電力制御手段を含むことを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
  2. 前記車速信号が直接に前記送信電力制御手段へ入力され、その車速信号により前記送信電力が増減制御される請求項1に記載の自動車相互間無線通信装置。
  3. 前記車速信号出力手段は、デジタル信号又はアナログ信号の車速信号を出力し、その車速信号をアナログ信号又はデジタル信号に変換する信号変換手段を介して該車速信号が前記送信電力制御手段へ入力され、その車速信号により前記送信電力が増減制御される請求項1に記載の自動車相互間無線通信装置。
  4. 前記無線送信手段は、前記車速信号をパラメータとして、その車速信号に基づき、前記送信電力を上げるように制御すると共に、減速の場合には前記増速の場合より前記送信電力を下げるタイミングを遅らせるヒステリシスが生じるようにヒステリシス制御する送信電力制御手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の自動車相互間無線通信装置。
  5. 走行する自動車同士で無線通信する自動車相互間無線通信装置において、
    自動車の車速に対応する車速信号を出力する車速信号出力手段と、
    他の自動車から無線通信電波を受信する無線受信手段とを備え、
    その無線受信手段は、前記車速信号をパラメータとして、その車速信号に基づく車速の増大に応じて前記受信電力を増大するように制御する受信電力制御手段を含むことを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
  6. 前記無線受信手段は、前記車速信号をパラメータとして、その車速信号に基づき、前記受信電力を上げるように制御すると共に、減速の場合には前記増速の場合より前記受信電力を下げるタイミングを遅らせるヒステリシスが生じるようにヒステリシス制御する受信電力制御手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の自動車相互間無線通信装置。
  7. 走行する自動車同士で無線通信する自動車相互間無線通信装置において、
    自動車の車速に対応する車速信号を出力する車速信号出力手段と、
    その自動車から他の自動車へ無線通信電波を送信する無線送信手段と、
    他の自動車からその自動車への無線通信電波を受信する無線受信手段とを備え、
    前記無線送信手段及び/又は無線受信手段は、前記車速信号出力手段による自車の車速信号に対応する自車速度と、前記無線受信手段により受信される他の自動車の車速信号に対応する他車速度との車速差をパラメータとして、その車速差の増大に応じて前記送信電力及び/又は前記受信電力を増減するように制御する通信電力制御手段を含むことを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
  8. 走行する自動車同士で無線通信する自動車相互間無線通信装置において、
    自動車の車速に対応する車速信号を出力する車速信号出力手段と、
    その自動車から他の自動車へ無線通信電波を送信する無線送信手段と、
    他の自動車からその自動車への無線通信電波を受信する無線受信手段と、
    自車から他車への無線通信電波の誤通信、又は他車から自車への無線通信電波の誤通信を検出する誤通信検出手段とを備え、
    前記無線送信手段及び/又は無線受信手段は、前記誤通信検出手段によって検出される誤通信率をパラメータとして、その誤通信率の増大に応じて前記送信電力及び/又は前記受信電力を増大するように制御する通信電力制御手段を含むことを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
  9. 請求項1と請求項5との組合せからなることを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
  10. 請求項1、請求項5又は請求項9と請求項7との組合せからなることを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
  11. 請求項1、請求項5又は請求項9と請求項8との組合せからなることを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
  12. 請求項7と請求項8との組合せからなることを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
  13. 請求項1、請求項5又は請求項9と請求項12との組合せからなることを特徴とする自動車相互間無線通信装置。
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