JP2004341181A - 細径ケーブル用アダプタ - Google Patents
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Abstract
【課題】設備費用を抑えつつ、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャ等の接続部に対して、極めて容易に細径ケーブルを接続させる。
【解決手段】本発明の細径ケーブル用アダプタは、外形が丸形の多心光ファイバケーブルと略同一形状となる一対のスペーサ31を備えており、スペーサ31の内側には細径ケーブルであるエレメント部64を保持する保持孔となる保持溝32が形成されている。
このスペーサ31間に、シーリングテープ34を介してエレメント部64を配設してスペーサ31同士を接合させ、固定バンド36によって締め付けて固定する。そして、エレメント部64を保持したアダプタ22を丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャのケーブル把持部に把持させるとともに、アダプタ22にグロメット23を取り付けてクロージャ11内に配設し、クロージャ11のスリーブ12を密閉する。
【選択図】 図4
【解決手段】本発明の細径ケーブル用アダプタは、外形が丸形の多心光ファイバケーブルと略同一形状となる一対のスペーサ31を備えており、スペーサ31の内側には細径ケーブルであるエレメント部64を保持する保持孔となる保持溝32が形成されている。
このスペーサ31間に、シーリングテープ34を介してエレメント部64を配設してスペーサ31同士を接合させ、固定バンド36によって締め付けて固定する。そして、エレメント部64を保持したアダプタ22を丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャのケーブル把持部に把持させるとともに、アダプタ22にグロメット23を取り付けてクロージャ11内に配設し、クロージャ11のスリーブ12を密閉する。
【選択図】 図4
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバケーブル用クロージャ等の多心光ファイバケーブルの接続部に細径ケーブルを接続させる際に用いる細径ケーブル用アダプタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバを収容局から加入者側のビル等に配線するための基幹となる光通信路として、多心光ファイバケーブルが架空や地下等の屋外、または屋内に敷設されている。また、光通信路の線路設計により、多心光ファイバケーブル同士を接続したり、または1本の多心光ファイバケーブルを複数の光ファイバケーブルへ分岐させて接続することが多く行われており、特に架空や地下等の屋外環境での接続箇所には、防水性等を考慮してその接続点を保護したり光ファイバの余長処理を行ったりするためのクロージャが設けられている。
また、近年では、インターネットのさらなる普及に伴い、一般家庭への光ファイバの引き込みの要求が増大しており、多心光ファイバケーブルの接続箇所から1心または2心等の少数心の光ファイバを分岐させることが行われている。
【0003】
図10に、多心光ファイバケーブルの一例を示す。
図10に示すように、光ファイバケーブル50は、中心にテンションメンバ51を有するスロット52の溝53に、複数の光ファイバテープ心線60が収容されている。また、光ファイバテープ心線60が溝53から外れるのを防ぐために、スロット52の周囲には押さえ巻き54が巻かれている。さらに、押さえ巻き54の外側にはプラスチック製の外被層55が被覆されている。
このように、例えば架空等の屋外に敷設される光ファイバケーブルは、断面形状が丸形の比較的大径のケーブルである。
【0004】
これに対して、一般家庭へ引き込む引き込み線として用いられる細径ケーブルの一例を図11に示す。
図11に示す細径ケーブルである光ドロップケーブル60は、エレメント部64とメッセンジャワイヤ部67とが首部65により接続された構成である。
エレメント部64は、中央に配置された光ファイバ68と、光ファイバ68に対してそれぞれ略同間隔で並列された2本の抗張力体61とが、樹脂62により被覆されている。
光ファイバ68は、特に種類や形状が限定されるものではないが、好適に用いられる例として、コアとクラッドからなるガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂が被覆されてなるものが挙げられる。
なお、この光ドロップケーブル60には、光ファイバ68が1本のみ設けられているが、これが2本設けられていても良く、または2本以上の光ファイバがテープ状に一体化された光ファイバテープ心線となっていても良い。
【0005】
メッセンジャワイヤ部67は、光ドロップケーブル60を架空で支持するための強度を有するように構成されており、支持線66が樹脂62により被覆されている。支持線66は、例えば鋼線が用いられる。
【0006】
また、エレメント部64の外周には、光ファイバ68に向かって形成されたノッチ63が2つ設けられている。このノッチ63は、光ファイバ68の取り出しを容易にするものであり、取り出しの際には、2つのノッチ63の間の樹脂62に切り込みを入れるようにして引き裂けば良い。
【0007】
このような光ドロップケーブル60をクロージャ等に接続する場合には、光ドロップケーブル60の端部から首部6を引き裂いてエレメント部64及びメッセンジャワイヤ部67を任意の長さだけ分離させ、断面が矩形形状であるエレメント部64をクロージャの内側に導入して、接続する。
【0008】
図10に示したような架空に敷設された多心光ファイバケーブルから、図11に示したような細径ケーブルを用いて加入者側に光ファイバを引き込む場合には、丸形で比較的大径の多心光ファイバケーブル同士を接続する構造を有する既設のクロージャを、細径ケーブルの接続にも適応が可能な構造を有する新たなクロージャに交換していた。もしくは、多心光ファイバケーブルに新たな接続箇所を設け、細径ケーブルの接続にも適応が可能なクロージャを取り付けていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多心光ファイバケーブル用の既設のクロージャに細径ケーブルを接続しようとした場合は、例えば防水機能を付与するグロメットや、細径ケーブルをクロージャ内で把持するための部材を、それぞれ設計寸法の異なるクロージャの形式ごとに合わせた新規の構造で製作しなければならない。細径ケーブル用に多種の部材を製作しようとすると、多くの労力と費用がかかってしまうため、好ましくない。そのため、既設のクロージャを用いて細径ケーブルを接続することはなかった。
【0010】
このように、既に敷設されている多心光ファイバケーブルに細径ケーブルを接続するためには、既設のクロージャを、細径ケーブルが接続可能な新たなクロージャに交換もしくは新設する必要があった。そのため、細径ケーブルの接続を行うにあたり、既設のクロージャを無駄にしてしまうとともに、新規のクロージャを用意しなければならないため、費用が嵩んでしまう。また、クロージャを交換する作業に多大な時間がかかってしまう。
【0011】
本発明は、設備費用を抑えつつ、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャ等の接続部に対して、極めて容易に細径ケーブルを接続させることができる細径ケーブル用アダプタを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成することができる本発明の細径ケーブル用アダプタは、断面が丸形の多心光ファイバケーブルが接続される接続部に対して、多心光ファイバケーブルよりも小径の光ファイバケーブルである細径ケーブルを接続させる際に用いられる細径ケーブル用アダプタであって、多心光ファイバケーブルと略同一形状の外形を有する円筒状をなし、内側に細径ケーブルを保持する保持孔が形成されており、多心光ファイバケーブルが接続される接続部に接続可能なスペーサを備えていることを特徴としている。
【0013】
このような細径ケーブル用アダプタによれば、細径ケーブルをスペーサの保持孔に保持させることにより、外形形状が異なることにより接続することができなかった多心光ファイバケーブル用クロージャ等の接続部に、細径ケーブルを容易に接続させることができる。
これにより、例えば、架空や地下に既に設置されているクロージャ等の多心光ファイバケーブルの接続部を、細径ケーブル適応型の新たなものに交換することなく、細径ケーブルを接続して一般家庭に光ファイバを引き込むことができる。そして、このように既設のクロージャ等をそのまま用いることができるので、新たなものと交換することによる設備費の増大を抑えることができるとともに、交換作業を不要とすることができ、細径ケーブルの接続作業の容易化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の細径ケーブル用アダプタにおいて、スペーサは、保持孔を二分するように、保持される細径ケーブルの長手方向に沿って分割可能であることが好ましい。
もしくは、スペーサは、保持される前記細径ケーブルの長手方向に沿って、前記保持孔を二分するように開閉可能であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の細径ケーブル用アダプタにおいて、スペーサは、保持孔の内周と保持される細径ケーブルの外周との間を密封するシール材を備えていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の細径ケーブル用アダプタにおいて、スペーサを外周側から径方向の内方へ締め付ける、締め付け部材を備えていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の細径ケーブル用アダプタにおいて、スペーサの外周面に、締め付け部材の位置を規制する溝が周方向に沿って形成されていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る細径ケーブル用アダプタの実施の形態の例について図面を参照して説明する。
図1は、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャの一部(図中右側)を断面視した平面図である。図2は、図1に示したクロージャの一部(図中右側)を断面視した側面図である。図3は、図1に示したクロージャ内の構造を示す一部の斜視図である。
なお、本実施の形態の説明において、丸形の多心光ファイバケーブル50は、例えば図10に示した多心光ファイバケーブル50と同等のものであり、また、細径ケーブルであるエレメント部64は、例えば図11に示した光ドロップケーブル60のエレメント部64と同等のものである。
図1から図3に示すように、このクロージャ11は、円筒状のスリーブ12を有している。このスリーブ12は、上下で半割の構造とされており、その内部には、長手方向に沿って連結金具13が配設されている。
【0019】
連結金具13には、その両端部に、それぞれ一対の把持金具14がネジ止め固定されている。これら把持金具14は、コ字状のケーブル把持部14aを有し、このケーブル把持部14aは、スリーブ12の中央方向に向かって延在するテンションメンバ把持部14bを有している。ケーブル把持部14aには、その上下から中央に向かって、固定ボルト16が設けられており、これら固定ボルト16の先端には、丸形の多心光ファイバケーブル50の外周面に沿うように湾曲し、多心光ファイバケーブル50を挟んで把持するように構成された固定板15が設けられている。なお、この固定板15には、互いに対向する面に複数の凸部が形成されており、多心光ファイバケーブル50を把持したときに、多心光ファイバケーブル50がその軸方向に移動しないように図られている。
【0020】
このように構成された把持金具14には、それぞれ丸形の多心光ファイバケーブル50及び細径ケーブル用のアダプタ22が把持されている。
そして、丸形の多心光ファイバケーブル50は、ケーブル把持部14aの固定板15間に配設させた状態にて、固定ボルト16をねじ込むことにより、これら固定板15によって挟持されて把持される。また、多心光ファイバケーブル50の中心から引き出されたテンションメンバ51は、テンションメンバ把持部14bにネジ止めにより固定される。
【0021】
また、アダプタ22は、多心光ファイバケーブル50と同様に、ケーブル把持部14aの固定板15間に配設させた状態にて、固定ボルト16をねじ込むことにより、これら固定板15によって挟まれて把持される。
これら把持金具14に把持された多心光ファイバケーブル50及びアダプタ22には、環状のグロメット23が取り付けられている。これらグロメット23は、スリーブ12の端部に形成されたグロメット保持部12a内に、少なくとも軸方向の両端面で気密性を有するように収容されている。
【0022】
また、連結金具13には、その中央部分に余長収納トレイ24が積層された状態で配設されており、光ファイバ同士の接続部分及びその両側の余長部分がこれら余長収納トレイ24内にそれぞれ収納されている。
なお、余長収納トレイ24内には、浸水検知センサを取り付けることもできる。
【0023】
次に、細径ケーブル用のアダプタ22について説明する。
図4は、アダプタに細径ケーブルを固定した状態を示す斜視図である。図5は、アダプタの分解斜視図である。図6は、アダプタを構成するスペーサの形状を説明するスペーサの平面図である。
【0024】
図4から図6に示すように、このアダプタ22は、断面半円状の一対のスペーサ31を備えている。この一対のスペーサ31は、外形が円柱形状の構造体を半割とした形状をなしており、互いに接合させた状態で中央に光ドロップケーブル60(図11参照)のエレメント部64(本実施形態での細径ケーブル)を配置できるように、長手方向にわたって保持溝32が形成されている。すなわち、一対のスペーサ31は、互いに接合させると、中央の軸方向に保持溝32により保持孔が形成され、全体として略円筒形状となる。また、一対のスペーサ31を接合させた状態の外形は、丸形の多心光ファイバケーブル50と略同一形状となっている。
なお、スペーサ31は、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのゴム硬度70程度の硬質ゴムから成型されている。
【0025】
また、これらスペーサ31の長手方向の両端部近傍には、円弧状の外周面に、円周方向へ沿って固定溝33が形成されている。
これらスペーサ31の間には、シール材であるシーリングテープ34を介してエレメント部64が配設され、エレメント部64が、スペーサ31の保持溝32内に保持される。
【0026】
シーリングテープ34は、例えば、未加硫のブチルゴムなどの軟質ゴムをシート状にしたもので、これらシーリングテープ34によって、保持溝32に保持されたエレメント部64とスペーサ31との間を気密にシールすることができる。また、一対のスペーサ31の間の接合箇所も気密に保たれる。
さらに、シーリングテープ34は、エレメント部64に引っ張り力が作用した際に、スペーサ31に対してエレメント部64が位置ずれしないように保持する機能も有している。
【0027】
なお、スペーサ31の保持溝32は、スペーサ31同士を互いに当接させた際に、保持するエレメント部64の外径よりも僅かに大きな角穴状の保持孔を形成する寸法とされている。ここでは、エレメント部64が、幅3mm、厚さ2mmの断面角形であるのに対して、スペーサ31の保持溝32は、幅5mm、深さ1.5mmとされ、これにより、保持溝32により形成される保持孔は、エレメント部64よりも、幅方向にそれぞれ1mmずつ、厚さ方向にそれぞれ0.75mmずつの隙間を有する形状とされている。そして、これら隙間に、シーリングテープ34が入り込む構造とされている。
【0028】
スペーサ31の固定溝33には、エレメント部64を保持させた状態にて、締め付け部材である固定バンド36が配設される。この固定バンド36は、一端に係止部36aを有する帯状のもので、互いに接合したスペーサ31に巻き付けて固定溝33内に配設して締め付け、一端側の36aに他端側を係止させることにより、スペーサ31を固定するものである。
なお、固定バンド36は、固定溝33により、スペーサ31の長手方向への移動が妨げられ、位置が規制される。
【0029】
アダプタ22に保持されたエレメント部64は、その端部が、中央部分にて引き裂かれ、中心の光ファイバ68が引き出される。そして、両側の抗張力体61を有する部分がその周囲の樹脂62とともにアダプタ22の外周側へ折り返されて、このアダプタ22の外周側に折り返された部分が、固定バンド36によってアダプタ22に緊結される。
【0030】
次に、光ドロップケーブル60をクロージャ11(図1参照)に接続する場合について、その手順に沿って説明する。
(1)まず、アダプタ22に保持させる光ドロップケーブル60の接続端において、エレメント部64とメッセンジャワイヤ部67とを繋ぐ首部65をカッタによって切り裂き、メッセンジャワイヤ部67を引き離す。
(2)次いで、図5に示すように、エレメント部64の接続端に、その上下からシーリングテープ34を介してスペーサ31をあてがい、スペーサ31の保持溝32内にエレメント部64を配設させる。
【0031】
(3)そして、スペーサ31の両端部における固定溝33に、固定バンド36を巻き付けて引っ張り、その一端側の係止部36aに他端側を係止させる。
このようにすると、図7に示すように、スペーサ31の両端部近傍が、固定バンド36によって締め付けられた状態に固定される。
(4)その後、スペーサ31から突出したエレメント部64の端部を、中央のノッチ63から引き裂き、中心の光ファイバ68を引き出す。
【0032】
(5)さらに、エレメント部64の両側の抗張力体61を有する部分を、アダプタ22の外周側へ折り返し、図4に示すように、この折り返し部分を、固定バンド36によってアダプタ22に緊結させる。
(6)このようにして、エレメント部64の接続端をアダプタ22に保持させたら、このアダプタ22を、図1から図3に示すように、クロージャ11に取り付けられる把持金具14に把持させる。つまり、ケーブル把持部14aの固定板15間にアダプタ22を配設させ、この状態にて固定ボルト16をねじ込み、固定板15によってアダプタ22を挟持させて把持させる。ここで、アダプタ22は、丸形の多心光ファイバケーブル50と外径が略同一とされているので、多心光ファイバケーブル50を把持する把持金具14によって確実に把持させることができる。
【0033】
(7)アダプタ22を把持させた把持金具14を、クロージャ11のスリーブ12内に配設されている連結金具13の端部にネジ止め固定する。
(8)次に、収納トレイ24内に、エレメント部64から引き出した光ファイバ68を接続し、その接続部分及びその両側の余長部分を収納トレイ24内に収納する。その際、収納トレイ24内に浸水検知センサを取り付けてもよい。
【0034】
(9)次いで、アダプタ22の端部に、環状のグロメット23を取り付け、このグロメット23を、スリーブ12の端部に形成されたグロメット保持部12a内に収納した後、上下のスリーブ12同士を突き合わせて固定して内部を密閉する。
ここで、このグロメット23には、その内外周及びアダプタ22を取り付けるための切れ目に接着材が塗布されており、これにより、アダプタ22及びスリーブ12のグロメット保持部12aとの間における高い気密性が確保される。
【0035】
このように、上記の実施の形態に示した細径ケーブル用アダプタによれば、エレメント部64をアダプタ22の保持溝32から形成される保持孔に保持させることにより、外径が異なることより接続することができなかった丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャ11に容易に接続することができる。
これにより、電柱の架空に既設のクロージャ11を、ドロップケーブル適応型の新たなものに交換することなく、光ドロップケーブル60を接続して一般家庭に光ファイバ68を引き込むことができる。
【0036】
そして、このように既設のクロージャ11をそのまま用いることができるので、新たなものと交換することによる設備費の増大を抑えることができるとともに、設置作業を不要とすることができ、光ドロップケーブル60の接続作業の容易化を図ることができる。
【0037】
また、アダプタ22は、保持溝32から形成される保持孔の内周とエレメント部64の外周との間、及びスペーサ31の接合面同士の間が、シーリングテープ34によってシールされているので、極めて良好なシール性を確保することができる。これにより、単に、雨水からの浸入を阻止すれば良い場合と異なる、例えば、光ファイバケーブルを地中に配設した場合のようにクロージャ11が地下水に完全に浸かってしまうような環境下においても、アダプタ22からのクロージャ11内への水の侵入を確実に防止することができ、信頼性を大幅に高めることができる。
【0038】
また、ドロップケーブル2の外周面に形成されたノッチ63に対しても、シーリングテープ34がノッチ63内に確実に入り込み、シール性が低下するようなこともない。
【0039】
さらに、光ファイバ68に沿って併設された抗張力体61を、光ファイバ68から分離させて折り返してアダプタ22の外周面に固定したので、エレメント部64に引っ張り力が作用したとしても、アダプタ22に対するエレメント部64のずれを確実に防止することができる。
【0040】
なお、上記の例では、スペーサ31を、保持孔を二分するように、保持されるエレメント部64の長手方向に沿って分割可能なように完全な半割構造としたが、スペーサ31としては、図8に示すように、保持されるエレメント部64の長手方向に沿って、保持孔を二分するように開閉可能である構成としても良い。図8に示すスペーサ31は、保持されるエレメント部64の長手方向に沿って外周側の任意の箇所から保持孔に達するスリットが形成されているとともに、長手方向に繋がった連結部分を有している。このスペーサ31を用いる場合も、これらスペーサ31間にエレメント部64を挟み込むように保持孔を閉じることでエレメント部64を保持することができる。この場合、少なくともスペーサ31の連結部分に可撓性を持たせることが好ましい。
また、スペーサ31としては、半割構造とせずに、単に、エレメント部64を通して保持させることが可能な保持孔を形成したものでも良い。
【0041】
また、アダプタ22としては、1本のエレメント部64を保持するものに限定されることはなく、複数本のエレメント部64を保持するものでも良い。例えば、図9に示すように、2本のエレメント部64を保持するタイプのアダプタ22としても良い。
【0042】
さらに、アダプタ22を締め付ける締め付け部材としては、固定バンド36に限らず、固定溝33におけるアダプタ22の外径よりも僅かに小径に形成され、弾性体により構成されたリングであっても良い。その場合も、例えば固定溝33にリングを嵌合させることによりスペーサ31の外周側から径方向の内方へ締め付け力を付与することができる。
また、締め付け部材を用いずに、粘着テープ等によってスペーサ31同士や抗張力体61を固定しても良い。その場合、固定溝33を形成する必要は無い。
【0043】
なお、上記の実施形態は、1心の光ファイバを備えた細径ケーブルだけでなく、2心等の複数心の光ファイバを備えた細径ケーブルにも適応可能である。
また、スペーサ31の外径としては、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャ11に適応可能な外径であれば良く、例えば、直径8〜25mm程度が好ましい。また、スペーサ31の長さは、クロージャ11におけるケーブル把持部14aよりも中央側から保持部12aに保持されるグロメット23よりも外側までの寸法以上が好ましく、例えば、80〜100mm程度が好ましい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の細径ケーブル用アダプタによれば、細径ケーブルをスペーサの保持孔に保持させることにより、外径が異なることより接続することができなかった多心光ファイバケーブル用クロージャ等の接続部に容易に接続させることができる。
これにより、既設のクロージャ等の多心光ファイバケーブルの接続部を、細径ケーブル適応型の新たなものに交換することなく、細径ケーブルを容易に接続して一般家庭等に光ファイバを引き込むことができる。
そして、このように既設のクロージャ等をそのまま用いることができるので、新たなものと交換することによる設備費の増大を抑えることができるとともに、設置作業を不要とすることができ、細径ケーブルの接続作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の細径ケーブル用アダプタによって細径ケーブルが接続された、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャの一部を断面視した平面図である。
【図2】丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャの一部を断面視した側面図である。
【図3】クロージャ内における接続部分の構造を示す一部の斜視図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の細径ケーブル用アダプタの構造を示すアダプタの斜視図である。
【図5】細径ケーブル用アダプタの構造を示す分解斜視図である。
【図6】細径ケーブル用アダプタを構成するスペーサの形状を示すスペーサの平面図である。
【図7】細径ケーブル用アダプタへの細径ケーブルの保持の仕方を示すアダプタの斜視図である。
【図8】他の構造の細径ケーブル用アダプタを示すアダプタの斜視図である。
【図9】2本のドロップケーブルを保持する細径ケーブル用アダプタを示すアダプタの斜視図である。
【図10】丸形の多心光ファイバケーブルの断面形状を示す断面図である。
【図11】細径ケーブルである光ドロップケーブルの断面形状を示す断面図である。
【符号の説明】
11 スリーブ
22 細径ケーブル用アダプタ
31 スペーサ
32 保持溝(保持孔)
33 固定溝(溝)
34 シーリングテープ(シール材)
36 固定バンド(締め付け部材)
50 多心光ファイバケーブル
60 光ドロップケーブル(細径ケーブル)
68 光ファイバ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバケーブル用クロージャ等の多心光ファイバケーブルの接続部に細径ケーブルを接続させる際に用いる細径ケーブル用アダプタに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、光ファイバを収容局から加入者側のビル等に配線するための基幹となる光通信路として、多心光ファイバケーブルが架空や地下等の屋外、または屋内に敷設されている。また、光通信路の線路設計により、多心光ファイバケーブル同士を接続したり、または1本の多心光ファイバケーブルを複数の光ファイバケーブルへ分岐させて接続することが多く行われており、特に架空や地下等の屋外環境での接続箇所には、防水性等を考慮してその接続点を保護したり光ファイバの余長処理を行ったりするためのクロージャが設けられている。
また、近年では、インターネットのさらなる普及に伴い、一般家庭への光ファイバの引き込みの要求が増大しており、多心光ファイバケーブルの接続箇所から1心または2心等の少数心の光ファイバを分岐させることが行われている。
【0003】
図10に、多心光ファイバケーブルの一例を示す。
図10に示すように、光ファイバケーブル50は、中心にテンションメンバ51を有するスロット52の溝53に、複数の光ファイバテープ心線60が収容されている。また、光ファイバテープ心線60が溝53から外れるのを防ぐために、スロット52の周囲には押さえ巻き54が巻かれている。さらに、押さえ巻き54の外側にはプラスチック製の外被層55が被覆されている。
このように、例えば架空等の屋外に敷設される光ファイバケーブルは、断面形状が丸形の比較的大径のケーブルである。
【0004】
これに対して、一般家庭へ引き込む引き込み線として用いられる細径ケーブルの一例を図11に示す。
図11に示す細径ケーブルである光ドロップケーブル60は、エレメント部64とメッセンジャワイヤ部67とが首部65により接続された構成である。
エレメント部64は、中央に配置された光ファイバ68と、光ファイバ68に対してそれぞれ略同間隔で並列された2本の抗張力体61とが、樹脂62により被覆されている。
光ファイバ68は、特に種類や形状が限定されるものではないが、好適に用いられる例として、コアとクラッドからなるガラスファイバの外周に紫外線硬化樹脂が被覆されてなるものが挙げられる。
なお、この光ドロップケーブル60には、光ファイバ68が1本のみ設けられているが、これが2本設けられていても良く、または2本以上の光ファイバがテープ状に一体化された光ファイバテープ心線となっていても良い。
【0005】
メッセンジャワイヤ部67は、光ドロップケーブル60を架空で支持するための強度を有するように構成されており、支持線66が樹脂62により被覆されている。支持線66は、例えば鋼線が用いられる。
【0006】
また、エレメント部64の外周には、光ファイバ68に向かって形成されたノッチ63が2つ設けられている。このノッチ63は、光ファイバ68の取り出しを容易にするものであり、取り出しの際には、2つのノッチ63の間の樹脂62に切り込みを入れるようにして引き裂けば良い。
【0007】
このような光ドロップケーブル60をクロージャ等に接続する場合には、光ドロップケーブル60の端部から首部6を引き裂いてエレメント部64及びメッセンジャワイヤ部67を任意の長さだけ分離させ、断面が矩形形状であるエレメント部64をクロージャの内側に導入して、接続する。
【0008】
図10に示したような架空に敷設された多心光ファイバケーブルから、図11に示したような細径ケーブルを用いて加入者側に光ファイバを引き込む場合には、丸形で比較的大径の多心光ファイバケーブル同士を接続する構造を有する既設のクロージャを、細径ケーブルの接続にも適応が可能な構造を有する新たなクロージャに交換していた。もしくは、多心光ファイバケーブルに新たな接続箇所を設け、細径ケーブルの接続にも適応が可能なクロージャを取り付けていた。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、多心光ファイバケーブル用の既設のクロージャに細径ケーブルを接続しようとした場合は、例えば防水機能を付与するグロメットや、細径ケーブルをクロージャ内で把持するための部材を、それぞれ設計寸法の異なるクロージャの形式ごとに合わせた新規の構造で製作しなければならない。細径ケーブル用に多種の部材を製作しようとすると、多くの労力と費用がかかってしまうため、好ましくない。そのため、既設のクロージャを用いて細径ケーブルを接続することはなかった。
【0010】
このように、既に敷設されている多心光ファイバケーブルに細径ケーブルを接続するためには、既設のクロージャを、細径ケーブルが接続可能な新たなクロージャに交換もしくは新設する必要があった。そのため、細径ケーブルの接続を行うにあたり、既設のクロージャを無駄にしてしまうとともに、新規のクロージャを用意しなければならないため、費用が嵩んでしまう。また、クロージャを交換する作業に多大な時間がかかってしまう。
【0011】
本発明は、設備費用を抑えつつ、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャ等の接続部に対して、極めて容易に細径ケーブルを接続させることができる細径ケーブル用アダプタを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成することができる本発明の細径ケーブル用アダプタは、断面が丸形の多心光ファイバケーブルが接続される接続部に対して、多心光ファイバケーブルよりも小径の光ファイバケーブルである細径ケーブルを接続させる際に用いられる細径ケーブル用アダプタであって、多心光ファイバケーブルと略同一形状の外形を有する円筒状をなし、内側に細径ケーブルを保持する保持孔が形成されており、多心光ファイバケーブルが接続される接続部に接続可能なスペーサを備えていることを特徴としている。
【0013】
このような細径ケーブル用アダプタによれば、細径ケーブルをスペーサの保持孔に保持させることにより、外形形状が異なることにより接続することができなかった多心光ファイバケーブル用クロージャ等の接続部に、細径ケーブルを容易に接続させることができる。
これにより、例えば、架空や地下に既に設置されているクロージャ等の多心光ファイバケーブルの接続部を、細径ケーブル適応型の新たなものに交換することなく、細径ケーブルを接続して一般家庭に光ファイバを引き込むことができる。そして、このように既設のクロージャ等をそのまま用いることができるので、新たなものと交換することによる設備費の増大を抑えることができるとともに、交換作業を不要とすることができ、細径ケーブルの接続作業の容易化を図ることができる。
【0014】
また、本発明の細径ケーブル用アダプタにおいて、スペーサは、保持孔を二分するように、保持される細径ケーブルの長手方向に沿って分割可能であることが好ましい。
もしくは、スペーサは、保持される前記細径ケーブルの長手方向に沿って、前記保持孔を二分するように開閉可能であることが好ましい。
【0015】
また、本発明の細径ケーブル用アダプタにおいて、スペーサは、保持孔の内周と保持される細径ケーブルの外周との間を密封するシール材を備えていることが好ましい。
【0016】
また、本発明の細径ケーブル用アダプタにおいて、スペーサを外周側から径方向の内方へ締め付ける、締め付け部材を備えていることが好ましい。
【0017】
また、本発明の細径ケーブル用アダプタにおいて、スペーサの外周面に、締め付け部材の位置を規制する溝が周方向に沿って形成されていることが好ましい。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る細径ケーブル用アダプタの実施の形態の例について図面を参照して説明する。
図1は、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャの一部(図中右側)を断面視した平面図である。図2は、図1に示したクロージャの一部(図中右側)を断面視した側面図である。図3は、図1に示したクロージャ内の構造を示す一部の斜視図である。
なお、本実施の形態の説明において、丸形の多心光ファイバケーブル50は、例えば図10に示した多心光ファイバケーブル50と同等のものであり、また、細径ケーブルであるエレメント部64は、例えば図11に示した光ドロップケーブル60のエレメント部64と同等のものである。
図1から図3に示すように、このクロージャ11は、円筒状のスリーブ12を有している。このスリーブ12は、上下で半割の構造とされており、その内部には、長手方向に沿って連結金具13が配設されている。
【0019】
連結金具13には、その両端部に、それぞれ一対の把持金具14がネジ止め固定されている。これら把持金具14は、コ字状のケーブル把持部14aを有し、このケーブル把持部14aは、スリーブ12の中央方向に向かって延在するテンションメンバ把持部14bを有している。ケーブル把持部14aには、その上下から中央に向かって、固定ボルト16が設けられており、これら固定ボルト16の先端には、丸形の多心光ファイバケーブル50の外周面に沿うように湾曲し、多心光ファイバケーブル50を挟んで把持するように構成された固定板15が設けられている。なお、この固定板15には、互いに対向する面に複数の凸部が形成されており、多心光ファイバケーブル50を把持したときに、多心光ファイバケーブル50がその軸方向に移動しないように図られている。
【0020】
このように構成された把持金具14には、それぞれ丸形の多心光ファイバケーブル50及び細径ケーブル用のアダプタ22が把持されている。
そして、丸形の多心光ファイバケーブル50は、ケーブル把持部14aの固定板15間に配設させた状態にて、固定ボルト16をねじ込むことにより、これら固定板15によって挟持されて把持される。また、多心光ファイバケーブル50の中心から引き出されたテンションメンバ51は、テンションメンバ把持部14bにネジ止めにより固定される。
【0021】
また、アダプタ22は、多心光ファイバケーブル50と同様に、ケーブル把持部14aの固定板15間に配設させた状態にて、固定ボルト16をねじ込むことにより、これら固定板15によって挟まれて把持される。
これら把持金具14に把持された多心光ファイバケーブル50及びアダプタ22には、環状のグロメット23が取り付けられている。これらグロメット23は、スリーブ12の端部に形成されたグロメット保持部12a内に、少なくとも軸方向の両端面で気密性を有するように収容されている。
【0022】
また、連結金具13には、その中央部分に余長収納トレイ24が積層された状態で配設されており、光ファイバ同士の接続部分及びその両側の余長部分がこれら余長収納トレイ24内にそれぞれ収納されている。
なお、余長収納トレイ24内には、浸水検知センサを取り付けることもできる。
【0023】
次に、細径ケーブル用のアダプタ22について説明する。
図4は、アダプタに細径ケーブルを固定した状態を示す斜視図である。図5は、アダプタの分解斜視図である。図6は、アダプタを構成するスペーサの形状を説明するスペーサの平面図である。
【0024】
図4から図6に示すように、このアダプタ22は、断面半円状の一対のスペーサ31を備えている。この一対のスペーサ31は、外形が円柱形状の構造体を半割とした形状をなしており、互いに接合させた状態で中央に光ドロップケーブル60(図11参照)のエレメント部64(本実施形態での細径ケーブル)を配置できるように、長手方向にわたって保持溝32が形成されている。すなわち、一対のスペーサ31は、互いに接合させると、中央の軸方向に保持溝32により保持孔が形成され、全体として略円筒形状となる。また、一対のスペーサ31を接合させた状態の外形は、丸形の多心光ファイバケーブル50と略同一形状となっている。
なお、スペーサ31は、例えば、エチレンプロピレンジエンゴム(EPDM)などのゴム硬度70程度の硬質ゴムから成型されている。
【0025】
また、これらスペーサ31の長手方向の両端部近傍には、円弧状の外周面に、円周方向へ沿って固定溝33が形成されている。
これらスペーサ31の間には、シール材であるシーリングテープ34を介してエレメント部64が配設され、エレメント部64が、スペーサ31の保持溝32内に保持される。
【0026】
シーリングテープ34は、例えば、未加硫のブチルゴムなどの軟質ゴムをシート状にしたもので、これらシーリングテープ34によって、保持溝32に保持されたエレメント部64とスペーサ31との間を気密にシールすることができる。また、一対のスペーサ31の間の接合箇所も気密に保たれる。
さらに、シーリングテープ34は、エレメント部64に引っ張り力が作用した際に、スペーサ31に対してエレメント部64が位置ずれしないように保持する機能も有している。
【0027】
なお、スペーサ31の保持溝32は、スペーサ31同士を互いに当接させた際に、保持するエレメント部64の外径よりも僅かに大きな角穴状の保持孔を形成する寸法とされている。ここでは、エレメント部64が、幅3mm、厚さ2mmの断面角形であるのに対して、スペーサ31の保持溝32は、幅5mm、深さ1.5mmとされ、これにより、保持溝32により形成される保持孔は、エレメント部64よりも、幅方向にそれぞれ1mmずつ、厚さ方向にそれぞれ0.75mmずつの隙間を有する形状とされている。そして、これら隙間に、シーリングテープ34が入り込む構造とされている。
【0028】
スペーサ31の固定溝33には、エレメント部64を保持させた状態にて、締め付け部材である固定バンド36が配設される。この固定バンド36は、一端に係止部36aを有する帯状のもので、互いに接合したスペーサ31に巻き付けて固定溝33内に配設して締め付け、一端側の36aに他端側を係止させることにより、スペーサ31を固定するものである。
なお、固定バンド36は、固定溝33により、スペーサ31の長手方向への移動が妨げられ、位置が規制される。
【0029】
アダプタ22に保持されたエレメント部64は、その端部が、中央部分にて引き裂かれ、中心の光ファイバ68が引き出される。そして、両側の抗張力体61を有する部分がその周囲の樹脂62とともにアダプタ22の外周側へ折り返されて、このアダプタ22の外周側に折り返された部分が、固定バンド36によってアダプタ22に緊結される。
【0030】
次に、光ドロップケーブル60をクロージャ11(図1参照)に接続する場合について、その手順に沿って説明する。
(1)まず、アダプタ22に保持させる光ドロップケーブル60の接続端において、エレメント部64とメッセンジャワイヤ部67とを繋ぐ首部65をカッタによって切り裂き、メッセンジャワイヤ部67を引き離す。
(2)次いで、図5に示すように、エレメント部64の接続端に、その上下からシーリングテープ34を介してスペーサ31をあてがい、スペーサ31の保持溝32内にエレメント部64を配設させる。
【0031】
(3)そして、スペーサ31の両端部における固定溝33に、固定バンド36を巻き付けて引っ張り、その一端側の係止部36aに他端側を係止させる。
このようにすると、図7に示すように、スペーサ31の両端部近傍が、固定バンド36によって締め付けられた状態に固定される。
(4)その後、スペーサ31から突出したエレメント部64の端部を、中央のノッチ63から引き裂き、中心の光ファイバ68を引き出す。
【0032】
(5)さらに、エレメント部64の両側の抗張力体61を有する部分を、アダプタ22の外周側へ折り返し、図4に示すように、この折り返し部分を、固定バンド36によってアダプタ22に緊結させる。
(6)このようにして、エレメント部64の接続端をアダプタ22に保持させたら、このアダプタ22を、図1から図3に示すように、クロージャ11に取り付けられる把持金具14に把持させる。つまり、ケーブル把持部14aの固定板15間にアダプタ22を配設させ、この状態にて固定ボルト16をねじ込み、固定板15によってアダプタ22を挟持させて把持させる。ここで、アダプタ22は、丸形の多心光ファイバケーブル50と外径が略同一とされているので、多心光ファイバケーブル50を把持する把持金具14によって確実に把持させることができる。
【0033】
(7)アダプタ22を把持させた把持金具14を、クロージャ11のスリーブ12内に配設されている連結金具13の端部にネジ止め固定する。
(8)次に、収納トレイ24内に、エレメント部64から引き出した光ファイバ68を接続し、その接続部分及びその両側の余長部分を収納トレイ24内に収納する。その際、収納トレイ24内に浸水検知センサを取り付けてもよい。
【0034】
(9)次いで、アダプタ22の端部に、環状のグロメット23を取り付け、このグロメット23を、スリーブ12の端部に形成されたグロメット保持部12a内に収納した後、上下のスリーブ12同士を突き合わせて固定して内部を密閉する。
ここで、このグロメット23には、その内外周及びアダプタ22を取り付けるための切れ目に接着材が塗布されており、これにより、アダプタ22及びスリーブ12のグロメット保持部12aとの間における高い気密性が確保される。
【0035】
このように、上記の実施の形態に示した細径ケーブル用アダプタによれば、エレメント部64をアダプタ22の保持溝32から形成される保持孔に保持させることにより、外径が異なることより接続することができなかった丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャ11に容易に接続することができる。
これにより、電柱の架空に既設のクロージャ11を、ドロップケーブル適応型の新たなものに交換することなく、光ドロップケーブル60を接続して一般家庭に光ファイバ68を引き込むことができる。
【0036】
そして、このように既設のクロージャ11をそのまま用いることができるので、新たなものと交換することによる設備費の増大を抑えることができるとともに、設置作業を不要とすることができ、光ドロップケーブル60の接続作業の容易化を図ることができる。
【0037】
また、アダプタ22は、保持溝32から形成される保持孔の内周とエレメント部64の外周との間、及びスペーサ31の接合面同士の間が、シーリングテープ34によってシールされているので、極めて良好なシール性を確保することができる。これにより、単に、雨水からの浸入を阻止すれば良い場合と異なる、例えば、光ファイバケーブルを地中に配設した場合のようにクロージャ11が地下水に完全に浸かってしまうような環境下においても、アダプタ22からのクロージャ11内への水の侵入を確実に防止することができ、信頼性を大幅に高めることができる。
【0038】
また、ドロップケーブル2の外周面に形成されたノッチ63に対しても、シーリングテープ34がノッチ63内に確実に入り込み、シール性が低下するようなこともない。
【0039】
さらに、光ファイバ68に沿って併設された抗張力体61を、光ファイバ68から分離させて折り返してアダプタ22の外周面に固定したので、エレメント部64に引っ張り力が作用したとしても、アダプタ22に対するエレメント部64のずれを確実に防止することができる。
【0040】
なお、上記の例では、スペーサ31を、保持孔を二分するように、保持されるエレメント部64の長手方向に沿って分割可能なように完全な半割構造としたが、スペーサ31としては、図8に示すように、保持されるエレメント部64の長手方向に沿って、保持孔を二分するように開閉可能である構成としても良い。図8に示すスペーサ31は、保持されるエレメント部64の長手方向に沿って外周側の任意の箇所から保持孔に達するスリットが形成されているとともに、長手方向に繋がった連結部分を有している。このスペーサ31を用いる場合も、これらスペーサ31間にエレメント部64を挟み込むように保持孔を閉じることでエレメント部64を保持することができる。この場合、少なくともスペーサ31の連結部分に可撓性を持たせることが好ましい。
また、スペーサ31としては、半割構造とせずに、単に、エレメント部64を通して保持させることが可能な保持孔を形成したものでも良い。
【0041】
また、アダプタ22としては、1本のエレメント部64を保持するものに限定されることはなく、複数本のエレメント部64を保持するものでも良い。例えば、図9に示すように、2本のエレメント部64を保持するタイプのアダプタ22としても良い。
【0042】
さらに、アダプタ22を締め付ける締め付け部材としては、固定バンド36に限らず、固定溝33におけるアダプタ22の外径よりも僅かに小径に形成され、弾性体により構成されたリングであっても良い。その場合も、例えば固定溝33にリングを嵌合させることによりスペーサ31の外周側から径方向の内方へ締め付け力を付与することができる。
また、締め付け部材を用いずに、粘着テープ等によってスペーサ31同士や抗張力体61を固定しても良い。その場合、固定溝33を形成する必要は無い。
【0043】
なお、上記の実施形態は、1心の光ファイバを備えた細径ケーブルだけでなく、2心等の複数心の光ファイバを備えた細径ケーブルにも適応可能である。
また、スペーサ31の外径としては、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャ11に適応可能な外径であれば良く、例えば、直径8〜25mm程度が好ましい。また、スペーサ31の長さは、クロージャ11におけるケーブル把持部14aよりも中央側から保持部12aに保持されるグロメット23よりも外側までの寸法以上が好ましく、例えば、80〜100mm程度が好ましい。
【0044】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の細径ケーブル用アダプタによれば、細径ケーブルをスペーサの保持孔に保持させることにより、外径が異なることより接続することができなかった多心光ファイバケーブル用クロージャ等の接続部に容易に接続させることができる。
これにより、既設のクロージャ等の多心光ファイバケーブルの接続部を、細径ケーブル適応型の新たなものに交換することなく、細径ケーブルを容易に接続して一般家庭等に光ファイバを引き込むことができる。
そして、このように既設のクロージャ等をそのまま用いることができるので、新たなものと交換することによる設備費の増大を抑えることができるとともに、設置作業を不要とすることができ、細径ケーブルの接続作業の容易化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施の形態の細径ケーブル用アダプタによって細径ケーブルが接続された、丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャの一部を断面視した平面図である。
【図2】丸形の多心光ファイバケーブル用クロージャの一部を断面視した側面図である。
【図3】クロージャ内における接続部分の構造を示す一部の斜視図である。
【図4】本発明に係る実施の形態の細径ケーブル用アダプタの構造を示すアダプタの斜視図である。
【図5】細径ケーブル用アダプタの構造を示す分解斜視図である。
【図6】細径ケーブル用アダプタを構成するスペーサの形状を示すスペーサの平面図である。
【図7】細径ケーブル用アダプタへの細径ケーブルの保持の仕方を示すアダプタの斜視図である。
【図8】他の構造の細径ケーブル用アダプタを示すアダプタの斜視図である。
【図9】2本のドロップケーブルを保持する細径ケーブル用アダプタを示すアダプタの斜視図である。
【図10】丸形の多心光ファイバケーブルの断面形状を示す断面図である。
【図11】細径ケーブルである光ドロップケーブルの断面形状を示す断面図である。
【符号の説明】
11 スリーブ
22 細径ケーブル用アダプタ
31 スペーサ
32 保持溝(保持孔)
33 固定溝(溝)
34 シーリングテープ(シール材)
36 固定バンド(締め付け部材)
50 多心光ファイバケーブル
60 光ドロップケーブル(細径ケーブル)
68 光ファイバ
Claims (6)
- 断面が丸形の多心光ファイバケーブルが接続される接続部に対して、前記多心光ファイバケーブルよりも小径の光ファイバケーブルである細径ケーブルを接続させる際に用いられる細径ケーブル用アダプタであって、
前記多心光ファイバケーブルと略同一形状の外形を有する円筒状をなし、内側に前記細径ケーブルを保持する保持孔が形成されており、前記多心光ファイバケーブルが接続される前記接続部に接続可能なスペーサを備えていることを特徴とする細径ケーブル用アダプタ。 - 請求項1に記載の細径ケーブル用アダプタであって、
前記スペーサは、前記保持孔を二分するように、保持される前記細径ケーブルの長手方向に沿って分割可能であることを特徴とする細径ケーブル用アダプタ。 - 請求項1に記載の細径ケーブル用アダプタであって、
前記スペーサは、保持される前記細径ケーブルの長手方向に沿って、前記保持孔を二分するように開閉可能であることを特徴とする細径ケーブル用アダプタ。 - 請求項2または請求項3に記載の細径ケーブル用アダプタであって、
前記保持孔の内周と保持される前記細径ケーブルの外周との間を密封するシール材を備えていることを特徴とする細径ケーブル用アダプタ。 - 請求項1から請求項4の何れか1項に記載の細径ケーブル用アダプタであって、
前記スペーサを外周側から径方向の内方へ締め付ける、締め付け部材を備えていることを特徴とする細径ケーブル用アダプタ。 - 請求項5に記載の細径ケーブル用アダプタであって、
前記スペーサの外周面に、前記締め付け部材の位置を規制する溝が周方向に沿って形成されていることを特徴とする細径ケーブル用アダプタ。
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