JP2004340377A - 流体封入式筒形マウントおよび流体封入式筒形マウントの製造方法 - Google Patents

流体封入式筒形マウントおよび流体封入式筒形マウントの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 軸方向の振動入力時にオリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保されて流体の流動作用に基づく防振効果が一層効果的に発揮され得る、改良された構造の流体封入式筒形マウントを提供すること。
【解決手段】 インナ軸部材12とアウタ筒部材14を連結する隔壁ゴム弾性体50を、該インナ軸部材12と該アウタ筒部材14の径方向対向面間の中間部分を軸方向に延びる円筒状部52と、該円筒状部52における本体ゴム弾性体16側の軸方向先端部分から径方向内方に向かって略円弧状に延びる円環ドーム状部54とから構成し、初期荷重が及ぼされていない装着前状態で軸方向に引張変形が及ぼされると共に、該初期荷重が及ぼされた装着状態で軸方向に圧縮変形が及ぼされるように該隔壁ゴム弾性体50の軸方向両端部における該インナ軸部材12と該アウタ筒部材14への固着位置を設定した。
【選択図】 図1

Description

本発明は、全体として略円筒形状をもって形成されて内部に封入された非圧縮性流体の流動作用に基づき、主として軸方向に入力される振動に対する防振効果を発揮する流体封入式筒形マウントに係り、特に、自動車用のエンジンマウントやボデーマウント,キャブマウント等のように、装着状態下においてパワーユニット荷重やボデー荷重等の静的な初期荷重が軸方向に及ぼされ、そこに重ねて入力される軸方向振動に対して流体の流動作用に基づく有効な防振効果を発揮せしめ得る、新規な構造の流体封入式筒形マウントに関するものである。
従来から、振動伝達系を構成する部材間に介装される防振連結体乃至は防振支持体の一種として、インナ軸部材とアウタ筒部材をゴム弾性体で連結せしめた筒形の防振装置が知られており、更に、特許文献1や特許文献2には、内部に封入した非圧縮性流体の流動作用を利用して主として軸方向の入力振動に対する防振効果を得るようにした流体封入式の筒形マウントが提案されている。これら特許文献1,2に開示されている従来構造の流体封入式筒形マウントは、インナ軸部材とアウタ筒部材における軸方向一方の端部間を本体ゴム弾性体で弾性的に連結すると共に、軸方向他方の端部間を可撓性膜で連結し、更に軸方向中間部分を隔壁ゴム弾性体で連結することにより、壁部の一部が本体ゴム弾性的で構成された受圧室と、壁部の一部が可撓性膜で構成された平衡室を、隔壁ゴム弾性体を挟んだ軸方向両側に形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を封入すると共に、受圧室と平衡室をオリフィス通路で相互に連通せしめた構造とされている。
かかる流体封入式筒形マウントにおいては、インナ軸部材とアウタ筒部材の間に軸方向の振動が入力された際に、受圧室と平衡室の間に相対的な圧力変動が惹起されて、かかる圧力変動に基づいてオリフィス通路を通じての流体流動が生ぜしめられることとなり、このオリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づいて防振効果が発揮されるようになっている。
ところが、上述の特許文献1,2に記載されている如き従来構造の流体封入式防振装置では、軸方向の振動入力時にオリフィス通路を通じて受圧室と平衡室の間で流動せしめられる流体流動量を十分に確保することが難しく、そのために、流体の流動作用に基づく防振効果が未だ十分に発揮され難いという問題があった。
なお、そのような問題に対処するために、例えば特許文献3や特許文献4,特許文献5等に記載されているように、受圧室と平衡室を仕切る隔壁ゴム弾性体の内周縁部又は外周縁部をインナ軸部材又はアウタ筒部材に対して非接着として軸方向に摺動可能とすることにより隔壁ゴム弾性体の軸方向変位量を大きくすることも考えられるが、隔壁ゴム弾性体の内周縁部又は外周縁部をインナ軸部材又はアウタ筒部材に非接着とすると、かかる部位におけるシール性と耐久性を十分に確保することが難しく、受圧室と平衡室の短絡によって目的とする防振効果が発揮されなくなるおそれがある。
また、特許文献6においては、隔壁ゴム弾性体を軸方向に延びる略樽形筒体形状とすることが提案されているが、このような樽形筒体形状の隔壁ゴム弾性体も軸方向の振動入力時には軸方向に屈曲して伸縮変形するだけで、受圧室と平衡室の間には、未だ十分な相対的圧力変動が生ぜしめられ難いという問題がある。しかも、隔壁ゴム弾性体が受圧室側に大きく膨らんだ形状とされることから、受圧室の容積が十分に確保され難くなって、特に大きなストロークの振動に対する防振性能が低下するおそれもある。
特公平7−88866号公報 特開平8−152041号公報 特開平8−170686号公報 特開平9−229128号公報 特開平10−132016号公報 実開平6−22642号公報
ここにおいて、本発明は、上述の如き事情を背景として為されたものであって、その解決課題とするところは、軸方向の振動入力時にオリフィス通路を通じての流体流動量が有利に確保されて流体の流動作用に基づく防振効果が一層効果的に発揮され得る、改良された構造の流体封入式筒形マウントを提供することにある。
以下、このような課題を解決するために為された本発明の態様を記載する。なお、以下に記載の各態様において採用される構成要素は、可能な限り任意の組み合わせで採用可能である。また、本発明の態様乃至は技術的特徴は、以下に記載のものに限定されることなく、明細書全体および図面に記載され、或いはそれらの記載から当業者が把握することの出来る発明思想に基づいて認識されるものであることが理解されるべきである。
(流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様1)
流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様1は、インナ軸部材の外周側にアウタ筒部材を離隔配置せしめて、それらインナ軸部材とアウタ筒部材における軸方向一方の端部間を本体ゴム弾性体で連結すると共に、軸方向他方の端部間を可撓性膜で連結し、更に軸方向中間部分を隔壁ゴム弾性体で連結することにより、該隔壁ゴム弾性体を挟んだ軸方向両側に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて該インナ軸部材と該アウタ筒部材の間への軸方向の振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が該可撓性膜で構成されて該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を充填すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に接続するオリフィス通路を設けて、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の間に軸方向の初期荷重が及ぼされた状態で装着されて、軸方向の入力振動に対して前記オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようにした流体封入式筒形マウントにおいて、前記隔壁ゴム弾性体を、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の径方向対向面間の中間部分を軸方向に延びる円筒状部と、該円筒状部における前記本体ゴム弾性体側の軸方向先端部分から径方向内方に向かって円弧状に湾曲して延びる円環ドーム状部とから構成して、該円筒状部側の軸方向端部を前記アウタ筒部材に固着すると共に、該円環ドーム状部側の軸方向端部を前記インナ軸部材に固着する一方、かかる隔壁ゴム弾性体において、前記初期荷重が及ぼされていない装着前状態で軸方向に引張変形が及ぼされると共に、該初期荷重が及ぼされた装着状態で軸方向に圧縮変形が及ぼされるように、該隔壁ゴム弾性体の軸方向両端部における該インナ軸部材と該アウタ筒部材への固着位置を設定したことを、特徴とする。
このような本態様に従う構造とされた流体封入式筒形マウントにおいては、隔壁ゴム弾性体の円筒状部が受圧室に向かって軸方向に突出して延びるように形成されていることから、軸方向の振動入力時に隔壁ゴム弾性体が受圧室に対するピストンのように作動せしめられることとなる。即ち、軸方向の振動入力に際して、インナ軸部材に対してアウタ筒部材が本体ゴム弾性体側に軸方向変位せしめられた際には、隔壁ゴム弾性体の円筒状部がアウタ筒部材と共に軸方向で受圧室側に変位して円環ドーム状部を受圧室内で軸方向に押し込むように作動せしめられる一方、インナ軸部材に対してアウタ筒部材が本体ゴム弾性体と反対側に軸方向変位せしめられた際には、隔壁ゴム弾性体の円筒状部がアウタ筒部材と共に軸方向で平衡室側に変位して円環ドーム状部を受圧室から軸方向に引き抜くように作動せしめられる。それ故、軸方向の振動入力時に受圧室に対して有効な圧力変動が生ぜしめられて、受圧室と平衡室の圧力差に基づくオリフィス通路を通じての流体流動量が大きく確保されて、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が極めて効果的に発揮され得るのである。
また、隔壁ゴム弾性体は、その軸方向両端縁部がインナ軸部材の外周面とアウタ筒部材の内周面にそれぞれ固着されていることから、隔壁ゴム弾性体のインナ軸部材やアウタ筒部材に対する取付部位における受圧室と平衡室の間での圧力のリーク(オリフィス通路の短絡)も完全に防止されて、安定した防振効果が長期間に亘って安定して発揮され得る。
加えて、かかる隔壁ゴム弾性体は、マウントの装着状態下に及ぼされる軸方向の初期荷重の作用方向と反対向きの引張方向に予変形されて、即ち予め引張変形されて組み付けられていることから、マウント装着状態下で及ぼされる初期荷重による隔壁ゴム弾性体の弾性変形量が小さく抑えられることとなり、また、そのような装着状態下で軸方向に及ぼされる振動入力によって隔壁ゴム弾性体に生ぜしめられる弾性変形に伴う歪や応力も軽減されることから、隔壁ゴム弾性体の耐久性が有利に確保され得るのである。
さらに、隔壁ゴム弾性体は、マウントの装着前状態において軸方向に引っ張られて自由長よりも大きな軸方向寸法で組み付けられているが、マウントの装着状態下では、初期荷重による弾性変形により引張変形が解消されて更に軸方向で所定量だけ圧縮変形せしめられた状態とされる。このように、軸方向に所定量だけ圧縮変形せしめられた状態を中心として、軸方向振動入力時に弾性変形せしめられることにより、円環ドーム状部における前述の如きピストン的な作用効果が一層有利に発揮されると共に、円環ドーム状部における全体的な引張変形が軽減され得て、耐久性の更なる向上も図られ得るのである。
(流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様2)
流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様2は、前記態様1に係る流体封入式筒形マウントにおいて、前記隔壁ゴム弾性体における前記円筒状部の軸方向端部に外周嵌着筒金具を接着して、該外周嵌着筒金具を前記アウタ筒部材に内嵌固定することにより該隔壁ゴム弾性体における円筒状部側の軸方向端部を該アウタ筒部材に固着する一方、該隔壁ゴム弾性体における前記円環ドーム状部の内周面に内周嵌着筒金具を接着して、該内周嵌着筒金具を前記インナ軸部材に外嵌固定することにより該隔壁ゴム弾性体における円環ドーム状部側の軸方向端部を該インナ軸部材に固着したことを、特徴とする。
このような本態様においては、隔壁ゴム弾性体の軸方向両端部分のインナ軸部材やアウタ筒部材に対する固定位置を、大きな自由度で適当な位置に設定することが出来るのであり、それ故、隔壁ゴム弾性体に対して装着前状態下で及ぼされる軸方向の引張変形量や装着状態下で及ぼされる軸方向の圧縮変形量を容易に調節設定することが可能となる。なお、本態様に従って外周嵌着筒金具を採用する場合には、該外周嵌着筒金具において外周面に開口して周方向に延びる凹溝を形成し、該凹溝を前記アウタ筒部材で覆蓋することによって前記オリフィス通路を形成した構成が、好適に採用されることとなる。このような構成を採用すれば、通路長さの大きなオリフィス通路を、特別な部材を必要とすることなく、コンパクトに形成することも可能となる。
(流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様3)
流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様3は、前記態様2に係る流体封入式筒形マウントにおいて、前記隔壁ゴム弾性体における前記円筒状部の外径寸法を前記外周嵌着筒金具の内径寸法よりも大きくして、該隔壁ゴム弾性体の軸方向端部の少なくとも外周部分を該外周嵌着筒金具の軸方向端面に接着して該軸方向端面から軸方向に突出せしめたことを、特徴とする。本態様においては、軸方向の振動入力に伴う外力を、隔壁ゴム弾性体の円筒状部に対して軸方向の圧縮力として一層有利に及ぼすことが出来るのであり、それによって、円筒状部の変形が抑えられて円環ドーム状部に対して軸方向力(軸方向の圧縮力)が一層効率的に及ぼされて、かかる円環ドーム状部における前述の如きピストン的な作用効果がより効果的に発揮されることとなる。
(流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様4)
流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様4は、前記態様2又は3に係る流体封入式筒形マウントにおいて、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材を軸方向一方の側において前記本体ゴム弾性体で直接に加硫接着せしめる一方、前記隔壁ゴム弾性体を該本体ゴム弾性体と別体形成して、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向他方の側から軸方向に差し入れて組み付けたことを、特徴とする。本態様においては、隔壁ゴム弾性体の形状や材質に関する設定自由度が大きく確保され得て、目的とする形状や特性の隔壁ゴム弾性体を有利に形成することが可能となる。
(流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様5)
流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様5は、前記態様4に係る流体封入式筒形マウントにおいて、前記内周嵌着筒金具に対して前記インナ軸部材を圧入固定する一方、前記アウタ筒部材の内周面においてシールゴム層を前記本体ゴム弾性体と一体的に形成し、該アウタ筒部材を縮径して該シールゴム層を介して前記外周嵌着筒金具に嵌着固定すると共に、該シールゴム層によって該アウタ筒部材の内周面に段差部を設けて、該段差部で該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する差し入れ位置を規定したことを、特徴とする。本態様においては、シールゴム層によって、アウタ筒部材に対する外周嵌着筒金具の嵌着部位がシールされると共に、かかるシールゴム層を巧く利用して、アウタ筒部材に対する外周嵌着筒金具の固定位置を、特別な部材や加工を必要とすることなく有利に設定することが可能となる。
(流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様6)
流体封入式筒形マウントに関する本発明の態様6は、前記態様1乃至5の何れかに係る流体封入式筒形マウントにおいて、前記インナ軸部材の軸方向一方の端部において軸直角方向外方に広がる鍔状部を設ける一方、前記アウタ筒部材において対向する軸方向一方の開口部分を軸方向外方に向かって次第に拡開するテーパ筒状部として、それら鍔状部とテーパ筒状部の対向面を前記本体ゴム弾性体で連結せしめたことを、特徴とする。本態様においては、鍔状部とテーパ筒状部の大きさや形状を適当に調節することにより、軸方向のばね定数を容易に且つ有利に調節設定することが可能となる。
(流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様1)
流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様1は、インナ軸部材の外周側にアウタ筒部材を離隔配置せしめて、それらインナ軸部材とアウタ筒部材における軸方向一方の端部間を本体ゴム弾性体で連結すると共に、軸方向他方の端部間を可撓性膜で連結し、更に軸方向中間部分を隔壁ゴム弾性体で連結することにより、該隔壁ゴム弾性体を挟んだ軸方向両側に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて該インナ軸部材と該アウタ筒部材の間への軸方向の振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が該可撓性膜で構成されて該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を充填すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に接続するオリフィス通路を設けて、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の間に軸方向の初期荷重が及ぼされた状態で装着されて、軸方向の入力振動に対して前記オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようにした流体封入式筒形マウントの製造方法であって、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材を軸方向一方の側において前記本体ゴム弾性体で直接に加硫接着せしめた一体加硫成形品を準備する一方、前記隔壁ゴム弾性体および前記可撓性膜をそれぞれ該本体ゴム弾性体と別体形成すると共に、それら隔壁ゴム弾性体と可撓性膜に対してそれぞれ内周嵌着筒金具および外周嵌着筒金具を加硫接着せしめて、それら隔壁ゴム弾性体と可撓性膜を該一体加硫成形品における軸方向他方の側から順次に差し入れてそれぞれの該内周嵌着筒金具と該外周嵌着筒金具を該インナ軸部材と該アウタ筒部材に嵌着固定することにより組み付けるようにし、且つ該隔壁ゴム弾性体の組み付けに際して、前記初期荷重が及ぼされていない装着前状態で該隔壁ゴム弾性体に軸方向の引張変形が及ぼされると共に、該初期荷重が及ぼされた装着状態で該隔壁ゴム弾性体に軸方向の圧縮変形が及ぼされるように、該隔壁ゴム弾性体の軸方向両端部における該インナ軸部材と該アウタ筒部材への固着位置を設定することを、特徴とする。
このような本発明方法に従えば、前述の如き本発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントを有利に製造することが出来る。換言すれば、本発明方法に従って製造された流体封入式筒形マウントにおいては、前述したように、軸方向の入力振動に対して、封入流体の流動作用に基づいて優れた防振効果を得ることが出来るのであり、しかも優れた耐久性が発揮され得るのである。
また、流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明においては、前記一体加硫成形品に対する前記隔壁ゴム弾性体と前記可撓性膜の組み付けを、前記非圧縮性流体中で行うことにより、それら隔壁ゴム弾性体および可撓性膜の組み付けと同時に前記受圧室に該非圧縮性流体を充填する方法が、好適に採用され得ることとなり、それによって、非圧縮性流体の充填を速やかに行うことが可能となる。なお、本態様においては、更に、インナ軸部材を内周嵌着筒金具に圧入固定する一方、外周嵌着筒金具をアウタ筒部材に差し入れた後でアウタ筒部材を八方絞り等で縮径加工してアウタ筒部材に外周嵌着筒金具を固着する組付方法が、有利に採用される。そこにおいて、アウタ筒部材に対する縮径加工を非圧縮性流体中で行うことも可能であるが、外周嵌着筒金具をアウタ筒部材に差し入れることによってそれら両部材間のシール性が或る程度確保されていれば、アウタ筒部材に対する縮径加工を大気中に取り出した後に行うようにしても良い。
(流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様2)
流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様2の特徴とするところは、本発明の前記態様1に係る流体封入式筒形マウントの製造方法において、前記隔壁ゴム弾性体における前記内周嵌着筒金具を前記インナ軸部材に外嵌固定することによって該隔壁ゴム弾性体の軸方向一方の端部を該インナ軸部材に固着する一方、該隔壁ゴム弾性体における前記外周嵌着筒金具を前記アウタ筒部材に対して軸方向に変位可能に嵌め込み、該インナ軸部材と該アウタ筒部材を前記初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめることにより、該隔壁ゴム弾性体を該インナ軸部材と一体的に軸方向に変位せしめて、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具を該アウタ筒部材に対して軸方向で該初期荷重の及ぼされる方向に相対変位させると共に、かかる状態下で該アウタ筒部材に縮径加工を施すことによって該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具を該アウタ筒部材に嵌着固定して、該隔壁ゴム弾性体の軸方向他方の端部を該アウタ筒部材に固着することにある。
このような本発明方法においては、インナ軸部材とアウタ筒部材を初期荷重の及ぼされる方向に相対変位させることに伴い、本体ゴム弾性体に軸方向(初期荷重の及ぼされる方向)の圧縮変形が及ぼされると共に、本体ゴム弾性体に固着されたインナ軸部材や該インナ軸部材に内周嵌着筒金具を介して固着された隔壁ゴム弾性体、更には隔壁ゴム弾性体に固着された外周嵌着筒金具がアウタ筒部材に対して一体的に初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめられる。また、かかる状態下でアウタ筒部材に縮径加工を施して、隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具をアウタ筒部材に固定することによって、該外周嵌着筒金具がアウタ筒部材に対して相対的に位置決めされた状態で、本体ゴム弾性体が圧縮変形せしめられた状態から元の形状に戻ろうとする弾性作用に基づいて、隔壁ゴム弾性体の内周嵌着筒金具がインナ軸部材と一体的に初期荷重の作用方向と反対向きに変位せしめられることとなる。即ち、隔壁ゴム弾性体における軸方向一方の端部に固着された内周嵌着筒金具と他方の端部に固着された外周嵌着筒金具が、軸方向で離隔する方向に相対的に変位せしめられることとなり、以て、インナ軸部材とアウタ筒部材の間に軸方向の初期荷重が及ぼされていない装着前状態において、隔壁ゴム弾性体に軸方向の引張変形が及ぼされるのである。
従って、本発明方法に従えば、隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具をその軸方向変位量が確保されるようにアウタ筒部材に嵌め込んで、インナ軸部材とアウタ筒部材を初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめると共に、アウタ筒部材に縮径加工を施すという比較的に簡単な構造や製造工程を採用可能と為し得て、初期荷重が及ぼされていない装着前状態で隔壁ゴム弾性体に軸方向の引張変形が容易に且つ効果的に及ぼされることから、製造コストや製造工程の負担が抑えられつつ、隔壁ゴム弾性体の耐久性能が有利に向上され得るのである。また、そのように隔壁ゴム弾性体の耐久性能が向上されることに伴って軸方向の振動入力時に隔壁ゴム弾性体による受圧室に対するピストン作用が容易に且つ効果的に発揮されて、受圧室に有効な圧力変動が生ぜしめられることから、受圧室と平衡室の圧力差に基づくオリフィス通路を通じての流体流動量が大きく確保されて、オリフィス通路を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が容易に且つ効果的に発揮され得るのである。
しかも、隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具におけるアウタ筒部材に対する軸方向の相対変位量が大きな自由度で設定変更することが出来、その結果、隔壁ゴム弾性体に対して装着前状態下で及ぼされる軸方向の引張変形量や装着状態下で及ぼされる軸方向の圧縮変形量を容易に調節設定することが可能となる。
(流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様3)
流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様3の特徴とするところは、本発明の前記態様2に係る流体封入式筒形マウントの製造方法において、前記隔壁ゴム弾性体における前記外周嵌着筒金具と共に前記可撓性膜の前記外周嵌着筒金具も前記アウタ筒部材に対して軸方向に変位可能に嵌め込んで、前記インナ軸部材と該アウタ筒部材を前記初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめるに際して、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向位置を外部から規定すると共に、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具に対して該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具を軸方向で当接させることにより、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具を介して、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向の相対変位量を規定することにある。
このような本態様においては、隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具を可撓性膜の外周嵌着筒金具に軸方向で当接させることによって、隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具におけるアウタ筒部材に対する軸方向の固定位置が、可撓性膜の外周嵌着筒金具を介して安定して規定されることとなり、以て、隔壁ゴム弾性体に及ぼされる軸方向の引張変形量乃至は圧縮変形量が精度良く設定変更され得る。
(流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様4)
流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様4の特徴とするところは、本発明の前記態様3に係る流体封入式筒形マウントの製造方法において、前記隔壁ゴム弾性体における前記外周嵌着筒金具を前記アウタ筒部材に対して軸方向に変位可能に嵌め込んだ際に、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具と前記可撓性膜の前記外周嵌着筒金具を軸方向で所定距離を隔てて位置せしめて、該インナ軸部材と該アウタ筒部材を前記初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめるに際して、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具と該アウタ筒部材を該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具に対して相対変位せしめることにより、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向の相対変位量を、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具における該可撓性膜の該外周嵌着筒金具に対する当接によって規定することにある。
このような本態様においては、インナ軸部材とアウタ筒部材を初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめる際に、予め隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具と可撓性膜の外周嵌着筒金具を軸方向に所定距離を隔てて位置せしめることによって、隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具におけるアウタ筒部材に対する相対変位量が有効に確保されることに加えて、当該変位量が、隔壁ゴム弾性体および可撓性膜の両外周嵌着筒金具が当接されることによって安定して規定されることから、隔壁ゴム弾性体に及ぼされる軸方向の引張変形量乃至は圧縮変形量がより一層高度に設定変更され得るのである。
(流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様5)
流体封入式筒形マウントの製造方法に関する本発明の態様5の特徴とするところは、本発明の前記態様3に係る流体封入式筒形マウントの製造方法において、前記隔壁ゴム弾性体における前記外周嵌着筒金具を前記アウタ筒部材に対して軸方向に変位可能に嵌め込んだ際に、前記可撓性膜の前記外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向位置を外部から規定する規定手段と該可撓性膜の該外周嵌着筒金具を軸方向で所定距離を隔てて位置せしめると共に、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具と該可撓性膜の該外周嵌着筒金具を軸方向で相互に当接させて、該インナ軸部材と該アウタ筒部材を前記初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめるに際して、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具と該可撓性膜の該外周嵌着筒金具を該アウタ筒部材に対して相対変位せしめることにより、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向の相対変位量を、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具における該規定手段に対する当接によって規定することにある。
このような本態様においては、インナ軸部材とアウタ筒部材を初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめる際に、予め隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具と可撓性膜の外周嵌着筒金具を軸方向で相互に当接させて、それら両外周嵌着筒金具をアウタ筒部材に対して軸方向に相対変位させることによって、隔壁ゴム弾性体の外周嵌着筒金具が軸方向に安定して変位されると共に、アウタ筒部材に安定して固定されることから、隔壁ゴム弾性体に及ぼされる軸方向の引張変形量乃至は圧縮変形量がより一層高度に設定変更され得る。なお、本態様の規定手段としては、特に限定されるものでなく、例えば当該製造方法に用いられる治具等が適宜に採用可能である。
上述の説明から明らかなように、本発明に従う構造とされた流体封入式筒形マウントでは、円筒状部と円環ドーム状部を備えた特定構造の隔壁ゴム弾性体を採用したことにより、軸方向の振動入力時にオリフィス通路を流動せしめられる流体流量が有利に確保され得て、かかる流体の流動作用に基づく防振効果を有利に得ることが出来る。しかも、かかる特定構造の隔壁ゴム弾性体に対して、初期荷重が及ぼされていない装着前の状態下で軸方向の引張変形が及ぼされる一方、初期荷重が及ぼされた装着状態下で軸方向に圧縮変形が及ぼされるようにしたことから、隔壁ゴム弾性体の特定部位への応力集中を緩和して優れた耐久性を得ることが出来ると共に、隔壁ゴム弾性体のピストン作用を効率化して流体の流動作用に基づく防振性能の更なる向上が達成され得るのである。
以下、本発明を更に具体的に明らかにするために、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ、詳細に説明する。先ず、図1には、本発明の第一の実施形態としての自動車用のエンジンマウント10が示されている。このエンジンマウント10は、インナ軸部材としての内筒金具12とアウタ筒部材としての外筒金具14が、本体ゴム弾性体16等によって弾性的に連結された構造とされており、図2に示されているように自動車のパワーユニット17とボデー19の間に装着されて、パワーユニット17をボデー19に対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明中、上下方向は、原則として図1中の上下方向をいうものとする。
より詳細には、内筒金具12は、全体として厚肉小径のストレートな略円筒形状を有している。内筒金具12の軸方向中間部分の外周面には段差状部が設けられており、段差状部を挟んで軸方向上側が大径外周面13とされている。また、段差状部より軸方向上方に位置して、大径外周面13から径方向外方に突出するようにして環状凸部15が一体形成されている。
さらに、内筒金具12の軸方向上端部には、鍔状部としての略円板形状を有する拘束板金具18が溶接等で固着されている。拘束板金具18は、内筒金具12と同一中心軸上で軸直角方向に広がって配設されており、中央部分には、内筒金具12の中心孔20と略同じ内径の中央孔22が形成されている。また、内筒金具12と拘束板金具18は、鉄鋼等の金属材により十分な剛性を発揮し得る部材寸法をもって形成されている。そして、この内筒金具12は、図2に示すようにパワーユニット17に突設されたロッド21が中心孔20に挿通されて、このロッド21に対してナット23で締付固定されることにより、パワーユニット17に固定的に取り付けられるようになっている。なお、内筒金具12の下端面には、軸直角方向に広がるストッパプレート25が重ね合わされてナット23で締付固定されている。
一方、外筒金具14は、内筒金具12の外径寸法よりも十分に大きな内径寸法と内筒金具12よりも小さな軸方向寸法を有しており、内筒金具12に外挿されて、内筒金具12と略同一中心軸上に配設されている。そして、かかる配設状態下、内筒金具12と外筒金具14は、径方向に所定距離を隔てて対向位置せしめられていると共に、外筒金具14が、内筒金具12の軸方向中間部分に位置せしめられており、外筒金具14の軸方向両側から内筒金具12の軸方向両端部が、それぞれ所定長さで突出せしめられている。また、外筒金具14の軸方向上側開口部分には、軸方向外方に向って次第に径方向に広がるテーパ筒状部24が一体形成されており、このテーパ筒状部24が、内筒金具12の拘束板金具18に対して、軸方向で所定距離を隔てて対向位置せしめられている。そして、外筒金具14は、図2に示すように、略筒状のブラケット金具27に圧入固定され、該ブラケット金具27を介して自動車のボデー19に対して、ボルト29で固定的に取りつけられるようになっている。
また、このように互いに内外挿状態で配設された内外筒金具12,14は、軸方向の上側端部間が本体ゴム弾性体16によって相互に連結されている。かかる本体ゴム弾性体16は、図3, 4にも示されているように、全体として厚肉の略円環ブロック形状を有しており、内周面が内筒金具12の外周面に加硫接着されていると共に、外周面が外筒金具14の内周面に加硫接着されていることにより、それら内外筒金具12,14を備えた第一の一体加硫成形品26として形成されている。特に本実施形態では、本体ゴム弾性体16が、拘束板金具18とテーパ筒状部24の各対向面に対しても、それぞれ加硫接着されており、それらの対向面間に介在せしめられている。また、内筒金具12の環状凸部15が本体ゴム弾性体16内に突出して埋設されており、本体ゴム弾性体16の内筒金具12への接着面積が大きくされていると共に、本体ゴム弾性体16の下部の内周部分に対して、環状凸部15による拘束力が及ぼされるようになっている。
さらに、本体ゴム弾性体16は、軸方向下側部分が内外筒金具12,14の対向面間を軸方向下方に向かって所定長さで延び出していると共に、その軸方向下側端面は、外筒金具14から内筒金具12に向かって径方向内方に行くに従って軸方向外方(軸方向上方)に延びるように僅かに傾斜したテーパ状内面28とされている。また、外筒金具14の内周面上には、本体ゴム弾性体16の下側端面から軸方向下方に向かって延び出す筒形のシールゴム層30が、外筒金具14の内周面の略全体を覆うようにして、本体ゴム弾性体16と一体形成されて、外筒金具14に加硫接着されている。更に、シールゴム層30の内周面には段差部としての位置決め突部33が周方向に所定の間隔をもって設けられている。かかる位置決め突部33は、シールゴム層30の内周面において該シールゴム層30を周方向において所定の間隔で、軸方向中間部分より軸方向上方を径方向内方に厚肉とすることによって該シールゴム層30と一体形成されている。更にまた、シールゴム層30の軸方向下端部には、周方向の全周に亘って連続して延びる複数条のシールリップ32が突設されている。
また一方、本体ゴム弾性体16の軸方向上側部分は、外筒金具14の上側開口部から更に軸方向上方に向かって突出せしめられており、その突出先端面34が拘束板金具18に対して加硫接着されている。また、本体ゴム弾性体16が、外筒金具14のテーパ筒状部24上にまで広がって加硫接着されており、該テーパ筒状部24上から僅かに先細テーパ形状となる外周面をもって軸方向上方に突出せしめられている。更に、本体ゴム弾性体16の軸方向上端面(突出先端面34)においても、内外筒金具12,14の径方向対向面間距離に略等しい径方向寸法が設定されており、その全面において拘束板金具18に加硫接着されている。このことからも明らかなように、本実施形態では、内筒金具12や外筒金具14を備えた本体ゴム弾性体16における第一の一体加硫成形品26が、周方向の全周に亘って略一定の断面形状(位置決め突部33を除く)とされている。
一方、内外筒金具12,14における軸方向下側の端部間には、薄肉ゴム膜からなる可撓性膜としてのダイヤフラム36が配設されている。このダイヤフラム36は、図5にも示されているように、筒状部の上端開口部が外周側に延び出すと共に、筒状部の下側開口部が内周側に延び出した、周方向の全周に亘って略一定のクランク状断面の筒体形状を有している。そして、軸方向上端の外周縁部が大径の略円筒形状のアウタリング38に加硫接着されていると共に、軸方向下端の内周縁部が小径の略円筒形状のインナリング40に加硫接着されていることにより、ダイヤフラム36が、それらアウタリング38とインナリング40を備えた第二の一体加硫成形品42として形成されている。また、インナリング40の内周縁部には、シールゴム層44が配設されて、ダイヤフラム36と一体形成されていると共に、その軸方向下方部分に周方向の全周に亘って略一定断面で延びる複数条のシールリップ46が一体形成されている。そして、アウタリング38が外筒金具14の軸方向下端部に内挿されて嵌着固定されている一方、インナリング40が内筒金具12の軸方向下端部に外挿されて嵌着固定されている。要するに、ダイヤフラム36は、内外筒金具12,14間への装着状態下においても、十分な弛みをもって弛緩状態で配設されており、軸方向の弾性変形が十分なストロークをもって極めて容易に生ぜしめられ得るようにされているのである。なお、アウタリング38およびインナリング40は、金属等の硬質材で形成されており、外筒金具14や内筒金具12との嵌着面間には、シールゴム層30やシールリップ32およびインナリング40の内周面に被着形成されたシールゴム層44やシールリップ46が挟圧配設されて、それらの嵌着面間が流体密にシールされている。
これにより、内外筒金具12,14は、軸方向上側の端部間が本体ゴム弾性体16で流体密に連結されていると共に、軸方向下側の端部間がダイヤフラム36で流体密に連結されており、以て、内外筒金具12,14の径方向対向面間において、外部空間に対して遮断された密閉状態の流体封入領域48が形成されている。
そして、この流体封入領域48には、水やアルキレングリコール,ポリアルキレングリコール,シリコーン油等の非圧縮性流体が充填されて封入されている。特に、本実施形態では、後述する流体の共振作用に基づく防振効果を有利に得るために、0.1Pa・s以下の粘度を有する低粘性流体が好適に採用される。
さらに、本体ゴム弾性体16とダイヤフラム36の間には、隔壁ゴム50が配設されて流体封入領域48に収容されており、この隔壁ゴム50によって、内外筒金具12,14の軸方向中間部分が相互に弾性的に連結されている。かかる隔壁ゴム50は、図6にも示されているように、内外筒金具12,14の径方向対向面間の略中央部分を軸方向上方にストレートに延びる円筒状部52と該円筒状部52の軸方向上端部分から径方向内方に向かって略円弧状の断面形状で湾曲するドーム状部54を備えており、周方向の全周に亘って略一定の断面形状とされて、本体ゴム弾性体16とは別体として形成されている。
より詳細には、隔壁ゴム50の円筒状部52は、流体封入領域48の軸方向略中間部分を軸方向に延びる円筒形状とされている。また、ドーム状部54は、内外筒金具12、14の径方向対向面間距離の略半分を半径とする円の略1/4の略円弧状断面とされて、周方向に連続して環状に延びており、円筒状部52の上端部分から軸方向上方に突出してテーパ状内面28付近にまで亘っている。更に、円筒状部52の軸方向下端部には、外周嵌着筒金具としてのオリフィス金具56が加硫接着されている。かかるオリフィス金具56は略円環形状を有しており、その内径寸法が隔壁ゴム50の円筒状部52の内径寸法より大きく且つ該円筒状部52の外径寸法より小さくされている。そして、円筒状部52の下端部は、下端面の外周部分がオリフィス金具56の軸方向上端面に加硫接着されていると共に、その内周部分が軸方向下方に延び出し、オリフィス金具56に対してその内周面を覆うようにして加硫接着されている。これにより、隔壁ゴム50の円筒状部52は、オリフィス金具56から軸方向上方に向かって突出せしめられている一方、オリフィス金具56の内周面が円筒状部52で覆われており、オリフィス金具56が円筒状部52を介して内筒金具12に当接されることによって、内外筒金具12,14の相対的な変位量を緩衝的に制限する径方向のストッパ機構が構成されている。
一方、隔壁ゴム50におけるドーム状部54の上端部内周面には、内周嵌着筒金具としての嵌着筒金具58が加硫接着されている。かかる嵌着筒金具58はドーム状部54の上端部内周面の軸方向寸法よりも大きな高さ寸法を持つ円筒形状を有しており、ドーム状部54の上端部内周面の全面に被着されている。
而して、隔壁ゴム50の上下両端部にそれぞれ嵌着筒金具58とオリフィス金具56が加硫接着されることにより、第三の一体加硫成形品60が形成されている。
また、オリフィス金具56には、外周面に開口して周方向に略二周強の長さで略螺旋状に延びる凹溝62が形成されている。更に、この凹溝62の一方の周方向端部が、凹溝62の上壁部に形成された連通孔64を通じてオリフィス金具56の軸方向上面に開口せしめられている一方、かかる凹溝62の他方の周方向端部が、凹溝62の下壁部に形成された連通孔66を通じてオリフィス金具56の軸方向下面に開口せしめられている。
そして、嵌着筒金具58に対して、内筒金具12が圧入されて、内筒金具12の軸方向中間部分に嵌着筒金具58が外嵌固定されている。また、オリフィス金具56が、外筒金具14に内挿されて、外筒金具14の軸方向中間部分に対して流体密に嵌着固定されている。これにより、オリフィス金具56や嵌着筒金具58を備えた隔壁ゴム50の第三の一体加硫成形品60が、内外筒金具12,14を備えた本体ゴム弾性体16の第一の一体加硫成形品26に対して組み付けられて、隔壁ゴム50が、流体封入領域48に収容された状態で、内外筒金具12,14の各軸方向中央部間に跨がって、それら内外筒金具12,14を連結するようにして配設されている。また、このように隔壁ゴム50が流体封入領域48に配設されることにより、流体封入領域48が隔壁ゴム50を挟んだ軸方向両側に仕切られており、以て、隔壁ゴム50の軸方向上側には、壁部の一部が本体ゴム弾性体16で構成された受圧室68が形成されていると共に、隔壁ゴム50の軸方向下側には、壁部の一部がダイヤフラム36で構成された平衡室70が形成されている。
また、オリフィス金具56は、外周面が外筒金具14に密着されて、凹溝62が周方向の全周に亘って流体密に覆蓋されており、それによって、受圧室68と平衡室70を相互に連通するオリフィス通路72が、外筒金具14の内周面に沿って周方向に延びるようにして形成されている。
ところで、本実施形態のエンジンマウント10は、例えば以下の方法に従って製造されており、それによって、隔壁ゴム50に対して予め装着前状態に軸方向の引張荷重、即ち本実施形態に係る予荷重が及ぼされている。
すなわち、かかるエンジンマウント10を製造するに際しては、先ず、図3〜4に示されている如き本体ゴム弾性体16からなる第一の一体加硫成形品26と、図5に示されている如きダイヤフラム36からなる第二の一体加硫成形品42と、図6〜7に示されている如き隔壁ゴム50からなる第三の一体加硫成形品60を、それぞれ準備する。そして、図8に示されているように、受圧室68や平衡室70に充填する非圧縮性流体中に第一の一体加硫成形品26と第三の一体加硫成形品60を浸漬する。また、必要に応じて、第一の一体加硫成形品26や第三の一体加硫成形品60を回転や傾斜等させたり、非圧縮性流体をノズルから噴出させて吹き付けたりすることで、各加硫成形品26,60に付着乃至は残留したエアを除去する。
その後、非圧縮性流体中で、第一の一体加硫成形品26における内外筒金具12,14間に第三の一体加硫成形品60を差し入れるようにして、第三の一体加硫成形品60を第一の一体加硫成形品26に対して軸方向に組み付ける。そして、第一の一体加硫成形品26の内筒金具12を第三の一体加硫成形品60の嵌着筒金具58に対して軸方向に圧入して、内筒金具12の大径外周面13に嵌着筒金具58を外嵌固定すると共に、第一の一体加硫成形品26の外筒金具14に対して第三の一体加硫成形品60のオリフィス金具56を嵌め入れる。
ここにおいて、オリフィス金具56の外筒金具14に対する軸方向の嵌め入れ位置が、外筒金具14の内周面に形成された位置決め突部33によって規定されるようになっている。特に、かかる位置決め突部33への当接で規定されるオリフィス金具56の外筒金具14に対する組み付け位置は、上述の嵌着筒金具58の内筒金具12に対する外嵌固定位置との軸方向での相対距離が、隔壁ゴム50の軸方向自由長よりも大きくなるように設定されている。これにより、第一の一体加硫成形品26に組み付けた第三の一体加硫成形品60においては、その隔壁ゴム50に対して軸方向の引張荷重が常時及ぼされて、隔壁ゴム50が軸方向の引張方向に所定量だけ弾性変形せしめられた状態で保持されることとなる。
上述の如く第一の一体加硫成形品26に第三の一体加硫成形品60を組み付けた後、更に非圧縮性流体中で、第二の一体加硫成形品42を第一の一体加硫成形品26に組み付ける。なお、非圧縮性流体中に浸漬せしめた第二の一体加硫成形品42には、第一又は第三の一体加硫成形品26,60と同様に、前述の如き付着乃至は残留エアの除去操作を、必要に応じて実施する。
そして、第一の一体加硫成形品26を第二の一体加硫成形品42のインナリング40に圧入して、第二の一体加硫成形品42を第一の一体加硫成形品26の内筒金具12に外嵌固定すると共に、第一の一体加硫成形品26の外筒金具14に対して第二の一体加硫成形品42のアウタリング38を嵌め入れる。
続いて、上述の如く第二及び第三の一体加硫成形品42、60を組み付けた第一の一体加硫成形品26の外筒金具14に対して、八方絞り加工等の縮径加工を施す。これにより、外筒金具14を、シームゴム層30を介して、第三の一体加硫成形品60のオリフィス金具56と第二の一体加硫成形品42のアウタリング38に対して、それぞれ流体密に嵌着固定し、以て、目的とするエンジンマウント10を得る。このようにして得られたエンジンマウント10には、非圧縮性流体中から取り出した後、洗浄や乾燥、更に必要に応じて塗装等の後処理を加える。それによって、図1に示されている如き、目的とする製品であるエンジンマウント10を得ることが出来るのである。
このような製造方法に従えば、第一,第二及び第三の一体加硫成形品26,42,60を組み付けて受圧室68や平衡室70を形成すると同時に、それら受圧室68と平衡室70に非圧縮性流体を充填して封入することが出来る。なお、前述の外筒金具14に対する縮径加工は、受圧室68や平衡室70の流体密性が確保され得る限り、第一,第二及び第三の一体加硫成形品26,42,60の組付体を大気中に取り出した後に実施しても良い。
上述の如き構造とされた本実施形態のエンジンマウント10は、前述のように内筒金具12が自動車のパワーユニット17に取り付けられる一方、外筒金具14が自動車のボデー19に取り付けられることにより、図2に示されているように、パワーユニット17をボデー19に対して防振支持するようにされる。そして、かかる装着状態下では、パワーユニット17の分担支持荷重が、静的な初期荷重として内筒金具12と外筒金具14の間に軸方向荷重として作用せしめられることとなる。
それ故、図1に示されているように、荷重が及ぼされていない無負荷の状態では、隔壁ゴム50が軸方向に引張変形せしめられた状態となっているが、車両への装着状態では、パワーユニット17の分担支持荷重の入力で本体ゴム弾性体16が弾性変形して内外筒金具12,14が軸方向に所定量だけ相対変位せしめられた位置で安定することとなる。また、隔壁ゴム50は、パワーユニット17の分担支持荷重が軸方向で圧縮側に及ぼされることから、装着前の引張変形が解消されて、更に軸方向に所定量だけ圧縮変形せしめられた状態とされる。
そして、そのような装着状態下において防振すべき振動が内外筒金具12,14間で軸方向に入力されると、内外筒金具12,14が軸方向に相対変位せしめられることに伴って隔壁ゴム50にも弾性変形が及ぼされる。その際、隔壁ゴム50は、円筒状部52の下端部が外筒金具14に固着されていることから、円筒状部52が外筒金具14と共に内筒金具12に対して軸方向に相対変位せしめられて、それがドーム状部54に及ぼされることにより、ドーム状部54において軸方向の往復変位が生ぜしめられることとなる。その結果、受圧室68の壁部の一部を構成するドーム状部54が、受圧室68に対してピストンのように作動せしめられることとなり、以て、受圧室68に有効な圧力変動が生ぜしめられて、受圧室68と平衡室70の圧力差に基づくオリフィス通路72を通じての流体流動量が大きく確保されることにより、オリフィス通路72を流動せしめられる流体の共振作用等の流動作用に基づく防振効果が、内外筒金具12,14間に及ぼされる軸方向振動に対して有利に発揮されるのである。
そこにおいて、本実施形態のエンジンマウント10にあっては、隔壁ゴム50が軸方向に引張状態で組み付けられており、パワーユニット17の分担支持荷重が及ぼされた装着状態下における軸方向の圧縮変形量が抑えられていることから、装着状態下での初期荷重や入力振動によって隔壁ゴム50に生ぜしめられる軸方向圧縮側の弾性変形量が軽減されることとなる。特に、本発明者が検討したところ、上述の如き円筒状部52とドーム状部54からなる特定構造の隔壁ゴム50においては、軸方向の圧縮変形に際して、ドーム状部54の内周面の嵌着筒金具58に対する固着部付近に惹起される引張歪が亀裂等の問題となり易いことが明らかとなったのであり、本実施形態のエンジンマウント10では、かかる部位における引張歪が効果的に低減されることから、隔壁ゴム50における亀裂等の発生が抑えられて優れた耐久性が発揮されるのである。
しかも、隔壁ゴム50は、振動入力に際して主に弾性変形せしめられるドーム状部54が無負荷状態では応力的に優れた円弧形断面とされて耐久性の更なる向上が図られている。加えて、かかる隔壁ゴム50は、装着状態で初期荷重により軸方向に所定量だけ圧縮変形せしめられて、ピストン的な作用をする上端のドーム状部54がやや平坦に軸直角方向に広がるように変形しており、その状態を中心として振動入力時に軸方向に往復変位せしめられるようになっていること、およびかかる中心状態から軸方向で引張側に変位せしめられた際にはドーム状部54自体の弾性による復元力もピストン効果を増大させる方向に作用するようになっていることから、隔壁ゴム50によって一層優れたピストン作用が発揮されて、目的とする防振効果の更なる向上が図られ得るのである。
次に、図9には、本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウント80が示されている。かかるエンジンマウント80は、外筒金具14の内周面に位置決め突部33が形成されていないことを除くと、前記第一の実施形態に係るエンジンマウント10と略同じ構造とされており、図10にも示されているように、第一の実施形態のマウント10と同様に自動車のパワーユニット17とボデー19の間に装着されて、パワーユニット17をボデー19に対して防振支持せしめるようになっている。なお、以下の説明において、前記第一の実施形態と同様な構造とされた部材及び部位については、図中に第一の実施形態と同一の符号を付することにより、それらの詳細な説明を省略する。
ここにおいて、本実施形態に係る自動車用エンジンマウント80の製造方法には、例えば以下の製造方法としての一具体例を採用することが可能であるが、本実施形態は、かかる具体例に限定されるものでない。
先ず、外筒金具14の内周面に位置決め突部33が形成されていない、本体ゴム弾性体16からなる第一の一体加硫成形品82と、ダイヤフラム36からなる第二の一体加硫成形品42と、隔壁ゴム50からなる第三の一体加硫成形品60を、それぞれ準備する。なお、かかる準備に際して、第三の一体加硫成形品60における嵌着筒金具58の内径寸法を内筒金具12の外径寸法よりも僅かに大きくすると共に、オリフィス金具56の外径寸法を外筒金具14の内周面に被着形成されたシールゴム層30の内径寸法よりも所定量だけ小さくする。また、第二の一体加硫成形品42におけるインナリング40の内径寸法を内筒金具12の外径寸法よりも僅かに大きくすると共に、該インナリング40の内周面に被着形成されたシールゴム層40の内径寸法を内筒金具12の外径寸法と略同じとし、更にアウタリング38の外径寸法を外筒金具14の内周面に被着形成されたシールゴム層30の内径寸法よりも所定量だけ小さくする。そして、受圧室68や平衡室70に充填する非圧縮性流体中に第一の一体加硫成形品82と第三の一体加硫成形品60を浸漬する。
また、非圧縮性流体中において、第一の一体加硫成形品82における内外筒金具12,14間に第三の一体加硫成形品60を差し入れる。そして、第一の一体加硫成形品82の内筒金具12を第三の一体加硫成形品60の嵌着筒金具58に対して軸方向に圧入して、内筒金具12の大径外周面13に嵌着筒金具58を外嵌固定する。これによって、隔壁ゴム50における軸方向一方の端部としてのドーム状部54の嵌着筒金具58に固着された端部を内筒金具12に固着する。
また、上述のようにして隔壁ゴム50の軸方向一方の端部における内筒金具12に対する固定位置を設定すると共に、第一の一体加硫成形品82の外筒金具14に対して第三の一体加硫成形品60のオリフィス金具56を嵌め入れる。特に本実施形態では、オリフィス金具56は、その外径寸法が外筒金具14のシールゴム層30の内径寸法よりも所定量だけ小さくされていることに基づいて、外筒金具14に対して軸方向に変位可能に嵌め込んでいる。
さらに、斯くの如く第一の一体加硫成形品82に第三の一体加硫成形品60を組み付けた後に、非圧縮性流体中で、第一の一体加硫成形品82の内筒金具12を第二の一体加硫成形品42のインナリング40に圧入して、インナリング40を内筒金具12に外嵌固定すると共に、第二の一体加硫成形品42のアウタリング38を外筒金具14に嵌め入れる。特に本実施形態では、アウタリング38は、その外径寸法が外筒金具14のシールゴム層30の内径寸法よりも所定量だけ小さくされていることに基づいて、外筒金具14に対して軸方向に変位可能に嵌め込んでいる。従って、図11にも示されているように、非圧縮性流体中において、インナリング40およびアウタリング38を備えたダイヤフラム36からなる第二の一体加硫成形品42を、第三の一体加硫成形品60を組み付けた第一の一体加硫成形品82に対して組み付けることによって、組付体84を得る。
そこにおいて、組付体84における第一の一体加硫成形品82の外筒金具14に対して、それぞれ、軸方向に変位可能に嵌め込まれた第二の一体加硫成形品42のアウタリング38と第三の一体加硫成形品60のオリフィス金具56を、軸方向に所定距離:d1 だけ離隔して位置せしめる。当該アウタリング38とオリフィス金具56の軸方向の離隔距離:d1 は、要求される隔壁ゴム50の装着前状態の引張変形量乃至は装着状態の圧縮変形量等に応じて、オリフィス金具56やアウタリング38、更隔壁ゴム50、ダイヤフラム36等の形状や大きさ等を設定変更することによって適宜に設定変更されるものであって、何等限定されるものでない。また、かかる組付け状態において、アウタリング38は、外筒金具14の開口端部よりも軸方向内方に位置させていると共に、外筒金具14の内周面に形成されたシールリップ32と径方向で対向位置させている。
また、組付体84を非圧縮性流体中にて図12に示される如き絞り金型86にセットする。当該実施形態の製造方法において採用される絞り金型86の形状や大きさ、構造等は、特に限定されるものでなく、流体封入式筒形マウントの製造に採用される公知の各種絞り金型が採用可能であることから、本実施形態で採用される絞り金型86の説明を簡略にする。
かかる絞り金型86は、主として第一の型88、第二の型90、第三の型92および治具94を含んで構成されている。第一の型88は、厚肉の略筒体形状を有していると共に、その中央孔の内周面が、軸方向一方(図12中、上)から他方(図12中、下)に向かって円錐状に次第に径寸法が大きくなる逆テーパ状面96とされている。また、第一の型88の下方には、第二の型90が配置されている。
第二の型90は、厚肉の略有底筒体形状とされていると共に、底部の中央には、所定の深さ寸法の中央凹所98が凹設されている。更に、中央凹所98の底部中央には、支持ロッド100が上方に向かって突設されている。支持ロッド100は、小径の略円柱形状とされていると共に、その外径寸法が、内筒金具12の内径寸法よりも僅かに小さくされている。更にまた、中央凹所98には、付勢手段としてのコイルスプリング102が、支持ロッド100に外挿された形態で収容配置されている。そして、コイルスプリング102の上端部が、中央凹所98から上方に向かって突出して所定の長さで延びている。また、第二の型90の開口周縁部には、浅底の段差部104が周方向の全周に亘って形成されている。
さらに、第三の型92は、全体として略円筒形状を有していると共に、周方向で適宜の数(例えば、本実施形態では12)に等分された複数の分割型106から構成されている。そして、これら複数の分割型106が、第二の型90の開口部の周りを囲むようにして第一の型88と第二の型90の間に配設されている。なお、図面上に明示されていないが、第二の型90の上端部および第三の型92の下端部には、後述の両型90,92を重ね合わせて各分割型106を径方向に有利に移動案内させるために、凹部や凸部等が必要に応じて設けられている。
更にまた、第三の型92の外周面、換言すると各分割型106の径方向外側の周壁部(面)が、軸方向一方(図12中、下)から軸方向他方(図12中、上)に向かって円錐状に次第に径寸法が小さくなるテーパ状面108とされている。また、テーパ状面108における下方から上方に向かう勾配の大きさが、第一の型88の逆テーパ状面96における下方から上方に向かう勾配の大きさと略同じされている。
また、第三の型92の内周面、換言すると各分割型106の径方向内側の周壁部(面)における軸方向中間部分および軸方向下部が、外筒金具14の外周面に対応した形状とされている。即ち、全ての分割型106が周方向で密接して円筒状に重ね合わされた際、第三の型92の内径寸法が、外筒金具14の外径寸法よりも所定量だけ小さくなるようにされている。また、各分割型106の内周面の軸方向上部には、径方向内方に向かって開口する保持溝部110が形成されており、以て、保持溝部110が第三の型92の周方向全体に亘って連続して延びている。そして、かかる保持溝部110に対して略円環形状の治具94が径方向に変位可能に嵌め込まれている。また、治具94は、第三の型92の内周面から径方向内方に向かって突出しており、その突出部分の下端部が、外筒金具14の開口端縁部よりも下方(図12中、下)に突出せしめられている。
そして、第三の型92を非圧縮性流体中の適宜の箇所に固定することによって、絞り金型86を非圧縮性流体中に設置すると共に、該絞り金型86に対して上述の組付体84をセットする。なお、絞り金型86の非圧縮性流体中における設置方向は、当業者が適宜に設定変更し得る事項の一つであって、図示される如き方向に限定されるものでない。かかる組付体84のセットに際しては、先ず、内筒金具12を本体ゴム弾性体16側の開口端部から第二の型90の支持ロッド100に外挿すると共に、本体ゴム弾性体16の軸方向端面に固着された拘束板金具18を第二の型90の開口部に嵌め入れて、第二の型90の中央凹所98から突設されたコイルスプリング102に拘束板金具18を載置して支持せしめる。
また、治具94を外筒金具14のダイヤフラム36が配設された側の端部に載置する。特に本実施形態では、治具94の下端部が段差状とされていることにより、治具94の径方向外側の下端面が、外筒金具14の開口端部に重ね合わされ当接せしめられていると共に、治具94の径方向内側の下端面が、ダイヤフラム36の径方向外方に加硫接着されたアウタリング38に重ね合わされて当接せしめられている。それによって、ダイヤフラム36におけるアウタリング38の外筒金具14に対する軸方向位置を規定し得るようになっている。
さらに、外筒金具14の径方向外方から複数の分割型106を組み付けて、各分割型106の内周面を外筒金具14の外周面に重ね合わせると共に、分割型106の保持溝部110に対して治具94を径方向に変位可能に嵌め込む。これにより、第三の型92および治具94を組み付けた組付体84に対して、内筒金具12に固着された拘束板金具18から外筒金具14に向かう方向にコイルスプリング102による付勢力を作用せしめることに基づいて、第二の型90と第三の型92を軸方向で離隔位置させると共に外筒金具14のテーパ筒状部24の突出先端部分と第二の型90の段差部104を軸方向で離隔して対向位置せしめた形態で、該組付体84をコイルスプリング102を介して第二の型90に支持させる。
また、第一の型88を第三の型92の一方(図12中、上)の端部から外挿して、第一の型88の逆テーパ状面96を第三の型92のテーパ状面108に重ね合わせる。更に、図13にも示されているように、コイルスプリング102の付勢力に抗して第一の型88に対して第三の型92に向かう方向に所定の大きさの圧力を及ぼして、第二の型90を第三の型92に軸方向で当接させると共に、外筒金具14のテーパ筒状部24の突出先端部分を第二の型90の段差部104に軸方向で当接させる。
これにより、治具94に支持された外筒金具14およびダイヤフラム36のアウタリング38を、内筒金具12および該内筒金具12に固着された隔壁ゴム50やオリフィス金具56に対して、マウント10(組付体84)の軸方向で下方(拘束板金具18に向かう方向)に相対変位させる。換言すれば、内筒金具12や隔壁ゴム50,オリフィス金具56を、外筒金具14およびアウタリング38に対してマウント10の軸方向で拘束板金具18から外筒金具14に向かう方向に相対変位させる。そして、これら外筒金具14およびアウタリング38と内筒金具12や隔壁ゴム50, オリフィス金具56を、コイルスプリング102による付勢力と第一の型88から第二の型90に向かう方向に及ぼされる圧力が平衡になる位置まで相対変位させると共に、アウタリング38とオリフィス金具56を相互に当接させることが出来る。これによって、本体ゴム弾性体16に対して初期荷重が及ぼされる方向となる軸方向の圧縮変形を及ぼすことが出来ると共に、オリフィス金具56の外筒金具14に対する軸方向の相対位置をアウタリング38を介して治具94に規定させることが出来る。なお、このことからも明らかなように、内筒金具12と外筒金具14の間に軸方向で初期荷重の及ぼされる方向は、マウント10の軸方向(図12,13中、上下)において、内筒金具12に固着された拘束板金具18から外筒金具14に向かう方向または外筒金具14から拘束板金具18に向かう方向をいう。
また、上述の如く、第一の型88の逆テーパ状面96と第三の型92のテーパ状面108を相互に当接させて、第一の型88を第二の型90に向かって変位させることに伴い第三の型92に対して軸方向で相対変位させる際の両テーパ状面96,108のテーパ作用により、第三の型92を構成する複数の分割型106が径方向外方から内方に向かって変位する。これにより、前述の如くオリフィス金具56を外筒金具14に対して初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめてアウタリング38を介して治具94に当接させることによってオリフィス金具56の外筒金具14に対する軸方向の相対位置が規定された状態下で、外筒金具14に縮径力(径方向外方から内方に向かう圧力)を及ぼす縮径加工としての絞り加工を施して、ダイヤフラム36のアウタリング38および隔壁ゴム50のオリフィス金具56を外筒金具14に固定する。即ち、隔壁ゴム50における軸方向他方の端部としての円筒状部52のオリフィス金具56に固着された端部を外筒金具14に固着する。
なお、本実施形態では、組付体84を第一の型88に及ぼされる圧力の入力方向となる軸方向に弾性変位可能なコイルスプリング102を介して第二の型90に支持せしめていることに基づいて、第一の型88に所定の大きさの圧力を及ぼすことに伴いオリフィス金具56が外筒金具14に対して軸方向に相対変位する前に、外筒金具14に第三の型92の径方向内方への変位に伴う縮径力が大きく作用することを回避するようにしており、以て、オリフィス金具56の外筒金具14に対する相対変位量を十分に確保している。
而して、第一の型88を介して本体ゴム弾性体16に及ぼされる軸方向の圧縮力を解除すると共に、第三の型92を介して外筒金具14に及ぼされる縮径力を解除して、アウタリング38とオリフィス金具56の外筒金具14に対する固定位置が設定された組付体84を絞り金型86から取り出す。これにより、本体ゴム弾性体16に元の形状に戻ろうとする弾性作用が生ぜしめられ、換言すると本体ゴム弾性体16が初期荷重の及ぼされる圧縮方向と反対向きの引張方向に弾性変形されることとなって、図11にも示されているように、外筒金具14に軸方向に変位可能に嵌め込んだ際に所定の離隔距離:d2 をもって軸方向で対向位置せしめたアウタリング38とオリフィス金具56が、図9にも示されているように、当該離隔距離:d2 よりも大きな所定の離隔距離:d3 をもって軸方向で対向位置するように相対変位する。即ち、隔壁ゴム50の両端部に加硫接着されたオリフィス金具56と嵌着筒金具58が軸方向で離隔する方向に所定距離:d3 −d2 だけ相対変位する。その結果、本体ゴム弾性体16が引張変形された後のオリフィス金具56と嵌着筒金具58における軸方向の離隔距離:d3 が隔壁ゴム50の軸方向自由長よりも大きくなるように設定していることに基づき、隔壁ゴム50に対して軸方向の引張荷重が常時及ぼされて、隔壁ゴム50が軸方向の引張方向に所定量だけ弾性変形せしめられた状態で保持されることとなり、以て、目的とするエンジンマウント80を得る。
このような構造とされたエンジンマウント80においては、第一の実施形態と同様に、図9に示される如き無負荷の状態で隔壁ゴム50が軸方向に引張変形せしめられた状態となっているが、図10に示される如き車両への装着状態において初期荷重としてのパワーユニット17の分担支持荷重が隔壁ゴム50に及ぼされることに基づき、該隔壁ゴム50に装着前の引張変形が解消されて軸方向に所定量の圧縮変形が及ぼされる。それ故、隔壁ゴム50におけるドーム状部54の内周面の嵌着筒金具58に対する固着部付近に惹起される引張歪が効果的に低減されることから、隔壁ゴム50における亀裂等の発生が抑えられて優れた耐久性が発揮され得るのである。
そこにおいて、本実施形態では、上述の如き製造方法が採用されて、隔壁ゴム50に装着前状態で軸方向に引張変形が及ぼされると共に装着状態で軸方向に圧縮変形が及ぼされるように、隔壁ゴム50の両端部に固着された嵌着筒金具58およびオリフィス金具56の内筒金具12および外筒金具14に対する固着位置が設定されることによって、製造条件や要求される特性が設定変更される等の特別な事情がない限り、隔壁ゴム50の弾性変形を規制するための部材を配設したり、加工を施したりする必要がないことから、隔壁ゴム50の耐久性の向上が少ない部品点数で容易に且つ有効に実現され得るのである。
また、本実施形態では、隔壁ゴム50のオリフィス金具56がダイヤフラム36のアウタリング38に当接された状態で外筒金具14に固着されていることによって、オリフィス金具56が外筒金具14に安定して固定されていることから、オリフィス通路72の短絡が抑えられて、安定した防振効果が発揮され得る。
以上、本発明の実施形態について詳述してきたが、これらはあくまでも例示であり、これら実施形態における具体的な記載によって、本発明は、何等限定されるものでない。本発明は、当業者の知識に基づいて種々なる変更,修正,改良等を加えた態様で実施可能であり、また、そのような実施態様が、本発明の趣旨を逸脱しない限り、何れも、本発明の範囲内に含まれるものであることは、言うまでもない。
例えば、前記実施形態では、本体ゴム弾性体16の軸方向外面に拘束板金具18が加硫接着されていたが、例えば実開平6−22642号公報や特開平8−170686号公報等に記載されているように、そのような拘束板金具18を設けることなく、本体ゴム弾性体16の軸方向外面を全体に亘って自由表面としても良い。
また、前記実施形態におけるオリフィス通路72の具体的構造や形状,通路長さや断面積などは、要求される防振特性等に応じて適宜に変更され得る。例えば、オリフィス金具56を軸方向に貫通して延びる一つ若しくは複数のオリフィス通路を形成したり、内筒金具12と嵌着筒金具58によって内筒金具12の表面に沿って延びるオリフィス通路を形成したりすることも可能である。
さらに、前記第一の実施形態においてオリフィス金具56を軸方向に位置決めするために採用された位置決め突部33は、適当な大きさの突起や、周方向の全周に亘って連続して延びる突条等、任意の形状で形成され得る。また、かかる位置決め突部33を、シールゴム層30に代えて、外筒金具14等によって形成することも可能である。尤も、オリフィス金具56を外筒金具14に組み付ける際に位置決め出来る限り、そのような位置決め突部33は、本発明において必ずしも設ける必要がない。
また、初期荷重が及ぼされる前の組付状態下で隔壁ゴム50に及ぼされる軸方向の引張変形量や、初期荷重が及ぼされた装着状態下で隔壁ゴム50に及ぼされる軸方向の圧縮変形量は、隔壁ゴム50の材質や部材寸法の他、及ぼされる初期荷重が振動荷重の大きさ等を考慮して適宜に設定されるものであって、何等、限定されるものでない。
加えて、本発明は、例示の如き自動車用エンジンマウントの他、自動車用のボデーマウントやメンバマウント,キャブマウント,ストラットバークッション等、或いは自動車以外の各種分野に用いられる流体封入式の筒形マウントに対して、何れも適用可能であることは言うまでもない。
また、前記実施形態では、隔壁ゴム50に加硫接着されたオリフィス金具56とダイヤフラム36に加硫接着されたアウタリング38が軸方向で相互に当接されていたが、要求される製作条件や防振特性等によっては、必ずしも当接されている必要はない。
更にまた、本発明は、前記実施形態に係る製造方法に限定されるものでない。具体的には、例えば図14にも示されているように、非圧縮性流体中において、隔壁ゴム50に加硫接着されたオリフィス金具56を外筒金具14に対して軸方向に変位可能に嵌め込んだ際に、オリフィス金具56とダイヤフラム36に加硫接着されたアウタリング38を軸方向で当接させて、組付体112を得る。その後、図15にも示されているように、当該組付体112を前記第二の実施形態と同様に絞り金型86にセットして、規定手段としての治具94とアウタリング38を軸方向で所定の離隔距離:d4 をもって対向位置せしめることによって、第二の型90と第三の型92を重ね合わせると共に第一の型88と第三の型92を重ね合わせて第一の型88に第二の型92に向かう方向の圧力を及ぼした際に、オリフィス金具56とアウタリング38を外筒金具14に対して軸方向で初期荷重の及ぼされる方向(図15中、マウント軸方向で拘束板金具18から外筒金具14に向かう方向)に相対変位せしめると共に、治具94をアウタリング38に当接させることによって、オリフィス金具56およびアウタリング38の外筒金具14に対する軸方向の相対位置を規定する。その結果、かかる状態下で図13に示される如き第二の実施形態の一製造工程と略同様に、本体ゴム弾性体16に軸方向の予圧縮を及ぼすと共に、外筒金具14に縮径加工を施すことによってオリフィス金具56とアウタリング38を外筒金具14に固定し、その後、組付体112を絞り金型86から取り出すことにより、本体ゴム弾性体16の軸方向の引張変形に基づいて、図9に示される如き隔壁ゴム50に軸方向の引張変形が及ぼされたマウントを実現することが可能である。
また、前記第二の実施形態では、組付体84を支持せしめる付勢手段としてコイルスプリング102が採用されていたが、例えばコイルスプリング102に代えて或いは加えてピストンや皿ばね等を採用する事も可能である。
さらに、前記第二の実施形態では、隔壁ゴム50やダイヤフラム36を第一の一体加硫成形品82に対して組み付ける工程や、内筒金具12と外筒金具14を軸方向で相対変位せしめた状態で絞り加工によりオリフィス金具56とアウタリング38を外筒金具14に固定する工程等が、非圧縮性流体中で行われていたが、例えば、マウント内部に付着乃至は残留するエアが問題とならない程度に抑えられる場合等においては、これらの工程を大気中で行った後に、外筒金具14等に貫設した注入孔を通じて非圧縮性流体を注入することによって、マウントが実現されるようにしても良い。
本発明の第一の実施形態としての自動車用エンジンマウントの装着前状態を示す縦断面説明図である。 図1に示されたエンジンマウントの装着状態を示す縦断面図である。 図1に示されたエンジンマウントの一部を構成する第一の一体加硫成形品を示す縦断面説明図であって、図4のIII −III 断面に相当する図である。 図3に示された第一の一体加硫成形品を示す底面図である。 図1に示されたエンジンマウントの一部を構成する第二の一体加硫成形品を示す縦断面説明図である。 図1に示されたエンジンマウントの一部を構成する第三の一体加硫成形品を示す縦断面説明図であって、図7のVI−VI断面に相当する図である。 図6に示された第三の一体加硫成形品の平面図である。 図1に示されたエンジンマウントを製造する一工程を示す説明図である。 本発明の第二の実施形態としての自動車用エンジンマウントの装着前状態を示す縦断面説明図である。 図9に示されたエンジンマウントの装着状態を示す縦断面図である。 図9に示されたエンジンマウントを製造する一工程を示す説明図である。 図9に示されたエンジンマウントを製造する別の一工程を示す説明図である。 図9に示されたエンジンマウントを製造するまた別の一工程を示す説明図である。 図11〜13に示される製造方法と異なる製造方法を採用して図9に示されたエンジンマウントを製造する一工程を示す説明図であって、図11に示されたマウントを製造する一工程に対応する図である。 図11〜13に示される製造方法と異なる製造方法を採用して図9に示されたエンジンマウントを製造する別の一工程を示す説明図であって、図12に示されたマウントを製造する一工程に対応する図である。
符号の説明
10 エンジンマウント
12 内筒金具
14 外筒金具
16 本体ゴム弾性体
30 シールゴム層
33 位置決め突部
36 ダイヤフラム
50 隔壁ゴム
52 円筒状部
54 ドーム状部
56 オリフィス金具
68 受圧室
70 平衡室
72 オリフィス通路

Claims (12)

  1. インナ軸部材の外周側にアウタ筒部材を離隔配置せしめて、それらインナ軸部材とアウタ筒部材における軸方向一方の端部間を本体ゴム弾性体で連結すると共に、軸方向他方の端部間を可撓性膜で連結し、更に軸方向中間部分を隔壁ゴム弾性体で連結することにより、該隔壁ゴム弾性体を挟んだ軸方向両側に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて該インナ軸部材と該アウタ筒部材の間への軸方向の振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が該可撓性膜で構成されて該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を充填すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に接続するオリフィス通路を設けて、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の間に軸方向の初期荷重が及ぼされた状態で装着されて、軸方向の入力振動に対して前記オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようにした流体封入式筒形マウントにおいて、
    前記隔壁ゴム弾性体を、前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材の径方向対向面間の中間部分を軸方向に延びる円筒状部と、該円筒状部における前記本体ゴム弾性体側の軸方向先端部分から径方向内方に向かって円弧状に湾曲して延びる円環ドーム状部とから構成して、該円筒状部側の軸方向端部を前記アウタ筒部材に固着すると共に、該円環ドーム状部側の軸方向端部を前記インナ軸部材に固着する一方、かかる隔壁ゴム弾性体において、前記初期荷重が及ぼされていない装着前状態で軸方向に引張変形が及ぼされると共に、該初期荷重が及ぼされた装着状態で軸方向に圧縮変形が及ぼされるように、該隔壁ゴム弾性体の軸方向両端部における該インナ軸部材と該アウタ筒部材への固着位置を設定したことを特徴とする流体封入式筒形マウント。
  2. 前記隔壁ゴム弾性体における前記円筒状部の軸方向端部に外周嵌着筒金具を接着して、該外周嵌着筒金具を前記アウタ筒部材に内嵌固定することにより該隔壁ゴム弾性体における円筒状部側の軸方向端部を該アウタ筒部材に固着する一方、該隔壁ゴム弾性体における前記円環ドーム状部の内周面に内周嵌着筒金具を接着して、該内周嵌着筒金具を前記インナ軸部材に外嵌固定することにより該隔壁ゴム弾性体における円環ドーム状部側の軸方向端部を該インナ軸部材に固着した請求項1に記載の流体封入式筒形マウント。
  3. 前記隔壁ゴム弾性体における前記円筒状部の外径寸法を前記外周嵌着筒金具の内径寸法よりも大きくして、該隔壁ゴム弾性体の軸方向端部の少なくとも外周部分を該外周嵌着筒金具の軸方向端面に接着して該軸方向端面から軸方向に突出せしめた請求項2に記載の流体封入式筒形マウント。
  4. 前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材を軸方向一方の側において前記本体ゴム弾性体で直接に加硫接着せしめる一方、前記隔壁ゴム弾性体を該本体ゴム弾性体と別体形成して、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の軸方向他方の側から軸方向に差し入れて組み付けた請求項2又は3に記載の流体封入式筒形マウント。
  5. 前記内周嵌着筒金具に対して前記インナ軸部材を圧入固定する一方、前記アウタ筒部材の内周面においてシールゴム層を前記本体ゴム弾性体と一体的に形成し、該アウタ筒部材を縮径して該シールゴム層を介して前記外周嵌着筒金具に嵌着固定すると共に、該シールゴム層によって該アウタ筒部材の内周面に段差部を設けて、該段差部で該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する差し入れ位置を規定した請求項4に記載の流体封入式筒形マウント。
  6. 前記インナ軸部材の軸方向一方の端部において軸直角方向外方に広がる鍔状部を設ける一方、前記アウタ筒部材において対向する軸方向一方の開口部分を軸方向外方に向かって次第に拡開するテーパ筒状部として、それら鍔状部とテーパ筒状部の対向面を前記本体ゴム弾性体で連結せしめた請求項1乃至5の何れかに記載の流体封入式筒形マウント。
  7. インナ軸部材の外周側にアウタ筒部材を離隔配置せしめて、それらインナ軸部材とアウタ筒部材における軸方向一方の端部間を本体ゴム弾性体で連結すると共に、軸方向他方の端部間を可撓性膜で連結し、更に軸方向中間部分を隔壁ゴム弾性体で連結することにより、該隔壁ゴム弾性体を挟んだ軸方向両側に、壁部の一部が該本体ゴム弾性体で構成されて該インナ軸部材と該アウタ筒部材の間への軸方向の振動入力時に圧力変動が生ぜしめられる受圧室と、壁部の一部が該可撓性膜で構成されて該可撓性膜の変形に基づいて容積変化が容易に許容される平衡室を形成して、それら受圧室と平衡室に非圧縮性流体を充填すると共に、該受圧室と該平衡室を相互に接続するオリフィス通路を設けて、該インナ軸部材と該アウタ筒部材の間に軸方向の初期荷重が及ぼされた状態で装着されて、軸方向の入力振動に対して前記オリフィス通路を通じて流動せしめられる流体の流動作用に基づく防振効果が発揮されるようにした流体封入式筒形マウントの製造方法であって、
    前記インナ軸部材と前記アウタ筒部材を軸方向一方の側において前記本体ゴム弾性体で直接に加硫接着せしめた一体加硫成形品を準備する一方、前記隔壁ゴム弾性体および前記可撓性膜をそれぞれ該本体ゴム弾性体と別体形成すると共に、それら隔壁ゴム弾性体と可撓性膜に対してそれぞれ内周嵌着筒金具および外周嵌着筒金具を加硫接着せしめて、それら隔壁ゴム弾性体と可撓性膜を該一体加硫成形品における軸方向他方の側から順次に差し入れてそれぞれの該内周嵌着筒金具と該外周嵌着筒金具を該インナ軸部材と該アウタ筒部材に嵌着固定することにより組み付けるようにし、且つ該隔壁ゴム弾性体の組み付けに際して、前記初期荷重が及ぼされていない装着前状態で該隔壁ゴム弾性体に軸方向の引張変形が及ぼされると共に、該初期荷重が及ぼされた装着状態で該隔壁ゴム弾性体に軸方向の圧縮変形が及ぼされるように、該隔壁ゴム弾性体の軸方向両端部における該インナ軸部材と該アウタ筒部材への固着位置を設定することを特徴とする流体封入式筒形マウントの製造方法。
  8. 前記一体加硫成形品に対する前記隔壁ゴム弾性体と前記可撓性膜の組み付けを、前記非圧縮性流体中で行うことにより、それら隔壁ゴム弾性体および可撓性膜の組み付けと同時に前記受圧室に該非圧縮性流体を充填する請求項7に記載の流体封入式筒形マウントの製造方法。
  9. 前記隔壁ゴム弾性体における前記内周嵌着筒金具を前記インナ軸部材に外嵌固定することによって該隔壁ゴム弾性体の軸方向一方の端部を該インナ軸部材に固着する一方、該隔壁ゴム弾性体における前記外周嵌着筒金具を前記アウタ筒部材に対して軸方向に変位可能に嵌め込み、該インナ軸部材と該アウタ筒部材を前記初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめることにより、該隔壁ゴム弾性体を該インナ軸部材と一体的に軸方向に変位せしめて、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具を該アウタ筒部材に対して軸方向で該初期荷重の及ぼされる方向に相対変位させると共に、かかる状態下で該アウタ筒部材に縮径加工を施すことによって該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具を該アウタ筒部材に嵌着固定して、該隔壁ゴム弾性体の軸方向他方の端部を該アウタ筒部材に固着する請求項7又は8に記載の流体封入式筒形マウントの製造方法。
  10. 前記隔壁ゴム弾性体における前記外周嵌着筒金具と共に前記可撓性膜の前記外周嵌着筒金具も前記アウタ筒部材に対して軸方向に変位可能に嵌め込んで、前記インナ軸部材と該アウタ筒部材を前記初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめるに際して、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向位置を外部から規定すると共に、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具に対して該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具を軸方向で当接させることにより、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具を介して、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向の相対変位量を規定する請求項9に記載の流体封入式筒形マウントの製造方法。
  11. 前記隔壁ゴム弾性体における前記外周嵌着筒金具を前記アウタ筒部材に対して軸方向に変位可能に嵌め込んだ際に、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具と前記可撓性膜の前記外周嵌着筒金具を軸方向で所定距離を隔てて位置せしめて、該インナ軸部材と該アウタ筒部材を前記初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめるに際して、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具と該アウタ筒部材を該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具に対して相対変位せしめることにより、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向の相対変位量を、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具における該可撓性膜の該外周嵌着筒金具に対する当接によって規定する請求項10に記載の流体封入式筒形マウントの製造方法。
  12. 前記隔壁ゴム弾性体における前記外周嵌着筒金具を前記アウタ筒部材に対して軸方向に変位可能に嵌め込んだ際に、前記可撓性膜の前記外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向位置を外部から規定する規定手段と該可撓性膜の該外周嵌着筒金具を軸方向で所定距離を隔てて位置せしめると共に、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具と該可撓性膜の該外周嵌着筒金具を軸方向で相互に当接させて、該インナ軸部材と該アウタ筒部材を前記初期荷重の及ぼされる方向に相対変位せしめるに際して、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具と該可撓性膜の該外周嵌着筒金具を該アウタ筒部材に対して相対変位せしめることにより、該隔壁ゴム弾性体の該外周嵌着筒金具の該アウタ筒部材に対する軸方向の相対変位量を、該可撓性膜の該外周嵌着筒金具における該規定手段に対する当接によって規定する請求項10に記載の流体封入式筒形マウントの製造方法。
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