JP2004340235A - 形鋼の連結金具 - Google Patents
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Abstract
【課題】形鋼同士を簡単に連結できる軽量小型で安価な連結金具を提供する。
【解決手段】連結金具1は、形鋼同士の連結部3の両側面を挟持する1対の板部材6の対向面の少なくとも一方に、連結部3の両側端に接して各形鋼の横移動を規制する係止部8を有するとともに、各係止部8の各内端面に接する直線同士が交差する交差部の互いの外側位置には両板部材6に直交するボルト孔をそれぞれ有してなる1対の連結部材を形成し、係止部8が連結部3と係合するようにして連結部を両側から連結部材で挟持し互いをボルトで締め付ける構成とする。係止部8は、対の突起列または凸条、或いは溝、のいずれかで直交十字状に形成する。係止部は幅の異なる凹部を階段状に重ねて形成し、ボルト穴は長穴9とし、ボルト穴の座部9aは外側が高い傾斜面にし、或いは、係止部の各端部には把持爪8cを設けるなどするとよい。
【選択図】 図1
【解決手段】連結金具1は、形鋼同士の連結部3の両側面を挟持する1対の板部材6の対向面の少なくとも一方に、連結部3の両側端に接して各形鋼の横移動を規制する係止部8を有するとともに、各係止部8の各内端面に接する直線同士が交差する交差部の互いの外側位置には両板部材6に直交するボルト孔をそれぞれ有してなる1対の連結部材を形成し、係止部8が連結部3と係合するようにして連結部を両側から連結部材で挟持し互いをボルトで締め付ける構成とする。係止部8は、対の突起列または凸条、或いは溝、のいずれかで直交十字状に形成する。係止部は幅の異なる凹部を階段状に重ねて形成し、ボルト穴は長穴9とし、ボルト穴の座部9aは外側が高い傾斜面にし、或いは、係止部の各端部には把持爪8cを設けるなどするとよい。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、形鋼による構築物の形鋼同士の連結部に用いる連結金具の技術に係わり、更に詳しくは、例えば解体移設や設置変更が可能に構築する必要のある自動車製造ラインの搬送トロリー用走行レールの支持架構など、形鋼により解体可能に構築する構築物の形鋼同士を直交方向にまたは直線状に突き合わせて連結する連結部の固定に用いる形鋼の連結金具の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
解体移設や設置変更や増設などを可能に構築する必要のある、例えば自動車製造ラインの搬送トロリー用走行レールの支持架構などの構築物において、形鋼同士の突き合わせ連結部を溶接で連結すると、解体後の部材を再利用する場合に溶接部のはつりや機械的加工が必要となり再組み立ての前処理に長期間を要する。これを解消するため、従来は、図7に示す様に、形鋼20,21同士の突き合わせ連結部には、例えばL字状部材の両辺(または図示しないが平坦な板部材の両端)にそれぞれボルト孔を設けた連結部材22を、互いの形鋼にまたがるように当接させて両部材をボルト23で締結し、更に、ズレ防止のため連結部材と形鋼側端とを符号24で示す箇所などを溶接して固定する方法が一般に採用されている。この場合、連結部にはボルト締め付け箇所が多く且つ部材同士の位置ズレを調整または修正し、更に溶接等によるズレ止め処置が必要であるなど、組立作業に手間がかかかるといった問題がある。また解体時に溶接箇所の溶断と形鋼の再利用のためのグラインダによる修正作業が必要である。
【0003】
一方、H形鋼、I形鋼、溝形鋼などの形鋼同士の突き合わせ連結部において、連結固定用のボルト本数を減らし且つ溶接作業を省いて組み立てと解体の作業時間を短縮する形鋼の連結方法として、ほぼ立方形の中空部材の4隅にそれぞれボルト孔を垂直に貫通形成し、且つ、上下面には垂直に貫通する形鋼挿入孔と、前後と左右の各側面にはそれぞれ互いの対向面に向けて水平貫通する形鋼挿入孔とをそれぞれ設け、この部材をボルト孔と直交する方向に2分割して1対の継ぎ手ブロックとなし、この1対の継ぎ手ブロックの形鋼挿入孔に形鋼を挿入し、4隅のボルト孔に装着したボルトで互いの半割の継ぎ手ブロック同士を締め付けて形鋼同士を連結固定する継ぎ手ブロックが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、この公知文献に示された従来の継ぎ手ブロックは、形鋼挿入孔が連結対象の形鋼の形状に合わせてそれぞれ専用に製作する必要がある。つまり、長手方向と直交する断面の幅と高さが同じ形鋼であっても、溝形鋼、H形鋼、I形鋼など形鋼の形状に合わせて形鋼挿入孔が形成されている必要がある。形鋼による構築物は、柱と梁と補助部材など部分によって異なる形の形鋼を使い分けて構築する場合が多く、異なる形の形鋼同士を突き合わせて連結する連結部に上記のような従来の継ぎ手ブロックを用いる場合、形鋼挿入孔の形状が異なる多種類の継ぎ手ブロックを準備し、これを選択的に使い分ける必要がある。この従来の継ぎ手ブロックは、重量が重く現場での取扱が容易ではないことに加え、形状が複雑で且つ多種類必要ということも関係して製作コストも高いといった問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭53−19623号公報(第3頁、第1図,第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の状況に鑑み本発明が解決しようとするところは、溝形鋼、H形鋼、またはI形鋼の長手方向に直交する断面の幅または高さが互いに等しい部材同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、直交するL字状、T字状、または十字状に、或いは直線状に互いに突き合わせた形鋼同士の連結部を固定する連結金具であって、構造が簡単且つ軽量で取り付け取り外し作業が容易に且つ迅速に行え、低価格で製作可能な形鋼の連結金具を提供することにある。また本発明が解決しようとする他の課題は、一種類の連結部材で寸法の異なる複数種類の形鋼同士の連結部に適用可能な形鋼の連結金具を提供することにより、作業時の多種類の連結部材を持ち歩く労力を軽減するとともに作業性を向上させ且つ少品種大量生産によるコスト低減をはかることにある。また、本発明が解決しようとする更に別の課題は、形鋼を強固に把持し、容易に抜け落ちない構造を備えた形鋼の連結金具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述の課題解決のため、本発明では、形鋼による構築物の形鋼の連結金具を以下のように構成する。即ち、前記課題に記載した形鋼同士の連結部の両側面を挟持する1対の板部材の対向側面の少なくとも一方に、前記連結部の各形鋼の両側端に係合して形鋼の長手方向と直交方向の移動をそれぞれ規制する係止部を形成し、且つ、該それぞれの係止部の各内端面に接する直線同士が交差する交差部の互いの外側位置には前記両板部材に直交するボルト孔をそれぞれ貫通形成してなる1対の連結部材を形成し、前記連結部材の係止部が前記連結部の形鋼と係合するようにして該連結部を両側から挟持し、前記ボルト孔にボルトを装着して両連結部材同士を締め付けるように構成する。そして前記の係止部は、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の高さの各1対の突起列または凸条、または、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の深さの溝、のいずれかにより直交十字状に形成すると都合がよい。これにより長手方向に直交する断面の幅または高さが等しい形鋼同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、互いに直交方向にまたは直線状に突き合わせた形鋼同士の連結部を簡単且つ容易に固定できるようにし、簡単且つ軽量の構造にして、取り付け取り外し作業の作業性の向上と迅速化をはかり、且つ低価格で提供できるようにする。係止部は、溝状の凹部で形成する場合、機械加工により簡単に形成できる。上記の連結部材を鋳造する場合、製作が容易で且つ製造コストをより一層低減できる。
【0008】
また、上記連結部材は、長辺と短辺とからなる略長方形の板部材を用いてその片側の平坦面に直交十字状の凹部を、縦方向と横方向の凹部がそれぞれ前記長方形の長辺と短辺に沿う様に形成し、直交十字状の凹部の短い方の凹部は両凹部の交差部を貫いて係合する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させ、且つ、長い方の凹部は前記交差部を貫く形鋼に対し側方から当接する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させる様に形成すると更に好都合である。この場合、被連結側の形鋼を短寸の凹部の全長または長寸の凹部との交差部に係る状態で、また、連結側の形鋼を長寸の凹部でそれぞれ把持させる形態で各々の形鋼を把持するようにする。これにより、形鋼をそれぞれ必要な把持長で確実に挟持固定し且つ必要以上の無駄な把持長を無くする。そして一層の軽量化とコスト低減をはかる。
【0009】
或いは更に、上記連結部材の形鋼側面に係合する係止部を、板部材の表面側から深さ方向に向けて段階的に幅が狭くなる複数の凹部が階段状に重なる形態とするとともに、ボルト孔は、それぞれ、最も幅の狭い凹部の交差部近傍の互いの凹部の外側位置から最も幅の広い凹部の交差部の互いの凹部の外側位置に向けて斜め方向の長穴に形成するか、或いは、最も幅の広い凹部の交差部の互いの凹部の外側位置に丸穴に形成すると好都合である。これにより、一種類の連結部材で寸法の異なる複数種類の形鋼同士の連結部に使用して挟持固定し、形鋼の構築物の組み立て作業時に作業者が複数種類の連結部材を多数持ち歩く労力を軽減し、且つ、少品種大量生産によるコスト低減をはかる。
【0010】
なお、上記のボルト孔周縁のボルト座部となる面は、直交十字状の係止部の交差中心から見て半径方向外側から内側に向けて高さが次第に低下する下方傾斜面に形成するとともに、直交十字状に交差する係止部の交差部には中抜き孔を設けるとよい。これにより、ボルトを締め付ける際に連結部材が撓み易くなり、この撓み作用により形鋼との接触面を偏らせて大きな接触面圧を発生させ形鋼を確実に保持させる。
【0011】
また、直交十字状の係止部が形鋼連結部に当接して押圧する面の連結部材外端縁近傍には、把持爪をそれぞれ突設すると好都合である。これにより、該把持爪が、形鋼の連結部に食い込むように当接して容易に抜け出さないように強力に形鋼を把持する。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。図1に本発明に係る形鋼の連結金具の各構成部材を展開して斜視図で示す。図2にこの連結金具の下方連結部材の平面(a)と側面(b)をそれぞれ示す。図3にはこの連結金具を用いて溝形鋼同士の連結部を挟持固定した状態を示し、(a)は十字状の連結部、(b)はT字状の連結部をそれぞれ示している。図4に図3(a)の連結部を連結部中心を通り被連結側形鋼と直交する断面で示す。図6には本発明に係る形鋼の連結金具の使用例として、トロリーコンベアのレール支持架構を例示する。なお、図5は連結部材の別の実施例を示す。
【0013】
添付の図6は、自動車製造工場の搬送用トロリコンベア走行用レール16のレール支持架構15の形鋼同士の連結部3に本発明に係る形鋼の連結金具4を使用した場合を例示している。本発明に係る連結金具4は、この例に限らず形鋼を用いて解体移設や増改築可能に構築する種々の構築物に使用し、長手方向に直交する断面の幅または高さが等しい形鋼(溝形鋼、I形鋼,H 形鋼)同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、互いに直交方向にまたは直線状に突き合わせて連結する連結部の固定に用いる。
【0014】
図において、形鋼の連結金具4は、長方形の4隅に斜めにカットしたコーナー部13を有する1対の板部材6,6のそれぞれの片面(内側面7)に、互いに直交する形鋼1,2同士の連結部3の各形鋼1,2それぞれの側面の幅にほぼ一致する内幅で適宜の深さの溝状の短辺側凹部8aと長辺側凹部8bを直交十字状に配置して互いに直交する係止部8を設けるとともに、それぞれの係止部8a,8bの交差部の互いの凹部の外側に、各凹部の中心が交差する交差中心に対しそれぞれ対称的に配置され且つ板部材6に直交するボルト孔9をそれぞれ貫通形成した1対の連結部材5,5、および、該連結部材4,4を前記連結部3の両側面に当接して係止部8を連結部3の形鋼1,2の側面にそれぞれ係合させた状態で前記ボルト孔9にそれぞれ装着して連結部材5,5同士を締め付けて固定する4本のボルト10およびナット11とによって構成される。
【0015】
連結部材5の直交十字状の凹部8は、板部材6,6の対向する内面7,7の表面側から深さ方向に向けて順次幅が狭くなるように複数均等に階段状に重ねて形成する。またボルト孔9は、それぞれ、最も幅の狭い凹部8の交差部にほぼ接するようにしてその交差部外側から最も幅の広い凹部8の交差部にほぼ接するようにしてその交差部外側に向けて斜め方向の長穴状に4個形成する。階段状の凹部8は、各段のそれぞれの凹部の幅に対応する幅を有する複数種の形鋼同士の連結部に係合するように設定する。なお、このボルト孔9については、前記のような長孔とはせず、例えば図5に示す様に、直交十字状の凹部8の最も外側の各凹部が交差する互いの外側に丸孔状に貫通形成したボルト孔9bであってもよい。
【0016】
連結部材5,5の形鋼連結部3に接する側面と反対の外側面7aにおける各ボルト孔9の周縁はそれぞれ外側面7aから若干盛り上げ、その盛り上げ部にボルト10またはナット11が当接する平坦な座部9aを形成する。座部9aは、直交十字状の係止部の交差部中心から見て半径方向外側から内側に向けて高さが次第に低下する下方傾斜面に形成するとともに、形鋼係止用の直交十字状凹部8の短辺側凹部8aと長辺側凹部8bの互いの交差部には中抜き孔として大きな円形孔14を設け、且つ、板部材6,6の外側面7a側には、円形孔14の周辺を厚くした補強部12を備える。
【0017】
つぎに、上記構成からなる形鋼の連結金具4の使用例を図3,図6に基づいて説明する。図6のようなトロリー走行用レール16のレール架構15を組み立てる場合、1対の連結部材5,5を、形鋼の互いに直交する、L字状、T字状、十字状のそれぞれの連結部3に、その両側面から連結部3を挟持するように当てがい、4個のボルト孔9(図示の例では長穴9)それぞれに座金(図示しない)を介してボルト10をそれぞれ装着し、各ボルト10の先端に座金(図示しない)を介してそれぞれナット11を螺合させ、各形鋼の互いの位置を調整して形鋼の側面を凹部8に係合させて形鋼の長手方向と直交方向の移動を規制し、各ボルト10をそれぞれ均等に締め付ける。連結部材5,5のボルト孔9の座部9aには、互いに直交十字状の凹部8の交差部中心方向に向けて次第に高さが低くなる僅かな角度の下方傾斜面が形成されているので、ボルト10はこの傾斜に沿って形鋼連結中心側に確実に寄せる案内として機能し、また、ボルト10およびナット11と座面9aとの間の傾いた若干の隙間が後工程のボルト10の増し締めを助けるように機能する。
【0018】
連結部材5の取り付け方向は、形鋼が十字状の連結部に取り付ける場合、図3(a)に示すように、主梁または柱となる側の被連結側の形鋼1を、短辺側凹部8aのその形鋼の幅に最も近い凹部に少なくともその凹部の直交十字状交差部に掛かるかまたはこれを通過して反対側端に突き出るように係合させ、且つ、補助梁などの連結側の形鋼2,2は長辺側凹部8bのその形鋼の幅に最も近い凹部に係合するような向きに取り付けて補助梁2,2の先端を主梁1の側面に当接させる。このような向きに取り付けることにより、主梁1と補助梁2とはそれぞれ適切な把持長で把持できる。一方、直交T字状または直交L字状の連結部の場合、図3(b)に示すように、主梁1の端部が少なくとも直交十字状の凹部8の交差部に掛かるかまたは交差部を貫いて連結部材5の側端に端部が除く程度(いずれも直交L字状の連結部の場合)に或いは突き出る(直交T字状連結部の場合)様に挟持させ、その主梁1の側面に補助梁2の端部が当接するように挟持させる。なお上記いずれの場合も、例えば、主梁1か補助梁2のいずれか1本の形鋼に対し連結部材5、5を先に取り付けてボルト10の仮締めを行い、その後で他の形鋼を連結部材5,5間の他方の凹部8に挿入して、互いの形鋼同士の位置調整を行い、最後に4本のボルトを均等に締め付けるといった手順で順次形鋼を連結してレール架構15を構築すると能率的に作業が行える。
【0019】
そして最後に4本のボルト10を均等に増し締めする。この増し締めにより、連結部材5,5がその締め付け力で僅かに湾曲し、形鋼1,2との接触面が側方に移動して接触面圧が大きくなる。これによって、形鋼1,2は連結金具4に強力に保持され連結部が容易にズレを生じたり抜け落ちたりしないように確実に固定される。
【0020】
連結部材5は、重量軽減のため、添付の図に示すように長方形の4隅をカットして斜めのコーナー部13を形成し、更に、直交十字状の凹部の交差部の領域の中抜き孔として大きな円形孔14を貫通形成している。連結部材5の板部材6,6の外郭形状は、略長方形に限らず正方形、多角形、円形、または楕円形などいずれでもよい。連結部材5の形鋼に当接する内側面7に形成する直交十字状の係止部8は、1対の連結部材5,5のうち少なくとも一方のみに設け、他方の連結部材の内側面は平坦面にしてボルト孔9のみを設けた形にしてもよく、その方が作業性がよい。円形孔14は、重量軽減用の中抜き孔としての機能のほか、連結部材5,5で形鋼の連結部3を挟持してボルト10で締め付ける際にボルト10の締め付け力に応じて連結部材5,5を僅かに撓ませる機能を備える。この連結部材5の撓みにより、連結部材5が形鋼1,2に接する面が側方に偏り、接触圧力が大きくなって形鋼との間に大きな摩擦保持力を発生する。つまりこの円形孔14は形鋼の連結部を両側から強力に保持し容易にスリップしたり抜け落ちないように確実に支持固定する機能を補完する。
【0021】
つぎに、上記の連結部材5の実用品について一例を説明する。連結部材の長方形部の長さが240mm、幅が145mm、厚さが10mmであり、直交十字状の係止部8即ち凹部は、連結部材5の内側面7に近い方から順番に幅がそれぞれ96mm,81mm、71mmであり、その深さ即ち段差はそれぞれ2mmである。この寸法で製作した連結部材は、例えばJIS規格の溝形鋼の場合、溝形鋼の両側の溝部のフランジ幅(フェイス部の幅)をB、ウエブ部の高さをHとすると、B×Hの寸法で、65×125、75×150、75×180、80×200、90×200(いずれも単位はmm)の5種類の形鋼の連結部に対応でき、同様にこれと同じフェイス幅Bを有するI形鋼またはH形鋼の連結部にも用いることができる。形鋼の両側面に係合する深さは上記段差2mmである。ボルト孔は21mmの丸穴(図示の場合長孔)で、外径が18mm前後のボルトを装着可能である。ボルト10の長さは、それぞれ形鋼の高さと連結部材の厚さの約2倍(約20mm)を加算した面間寸法を締め付け可能な長さのボルトを用いる。なお、この連結部材は例えば機械構造用炭素鋼や合金鋼などの板材を切断して機械加工しても製作できるが、鋳造すると均一の品質で大量生産して低価格で提供できる。必要な箇所では溶接することもあり、溶接可能な材料で製作するのが好ましく、例えば鋳鉄では白芯可鍛鋳鉄を選定するとよい。
【0022】
工場の搬送ラインなどにおいては、製造機種の変更時には短期間で搬送ラインの変更をすることが要求される。そのため形鋼の連結金具4は、作業者が持ち運びと取扱が容易なように小型軽量化することが重要である。従って、連結部材に形成する直交十字状の凹部は、必要以上の幅を有しないように上記実施例の説明のような階段状に設けずに1段の凹状溝にしてもよい。例えば、構築物の柱と梁と補助部材とが特定の寸法の形鋼部材でのみ構築されるような場合、その形鋼の連結部の形鋼側面の幅寸法に合わせて1段の直交十字状の凹部を有する専用の連結部材(図示は省略する)を製作すと、連結部材には無駄な幅と長さが不要となりその無駄のない分だけ小型軽量になり、持ち運びや取付作業が容易となる。
【0023】
上記の実施例では、形鋼連結部3の形鋼1,2に係合してこれを保持する係止部8として、連結部材5に、形鋼の側面の幅とほぼ等しい溝状部からなる直交十字状の凹部で構成する場合を示した。図示は省略するが形鋼に係合する係止部は前記凹部に代えて、例えば、1対の板部材の少なくとも一方の片側面に、適宜の高さで形鋼の幅とほぼ同幅出対向する突起列を前記板部材の面に沿って直交十字方向に配列させて係止部を構成してもよい。この場合の突起列は、十字状の交差部を避けた外側に配列させる。この突起列からなる係止部は、前述の実施例における凹部と同様、形鋼同士の連結部の両側端に係合して各形鋼の長手方向と直交方向の横移動を防止する。この突起列からなる係止部を有する連結部材においても、前述の実施例における符号9に相当するボルト孔を、対向突起列からなる係止部が直交する交差部の外側に形成する。なお、図示はしないが、上記の突起列を筋状に連続する凸条に代えてもよい。
【0024】
一方、形鋼同士の連結部3の主梁1と補助梁2とがそれぞれ側面の幅が異なる場合、十字状係止部8の短辺側凹部8aと長辺側凹部8bとは、それぞれの側面の幅に応じた互いに異なる幅で形成してもよい。また、連結部3の主梁1と補助梁2とがそれぞれ異なる部材で構成され連結部材5,5が当接する方向の互いの部材の幅が異なる場合、形鋼の幅の差に応じて短辺側凹部8aと長辺側凹部8bとのそれぞれの深さを代えて形成するとよい。
【0025】
つぎに、前述の説明とは異なる別の連結部材の実施例を図5に示す。図5において(a)は連結部材5aを中央から片側半分を示す平面、(b)は図5(a)におけるA−A断面をそれぞれ示す。この図に示す連結部材5aは、前述の説明と同様な外郭形状の板部材6aの片側面(内側面7)に、前述の説明と同様、幅の異なる複数種類の形鋼を係止するため階段状に重ねて形成された凹部8を有する。そして、直交するそれぞれの凹部の両端縁部には、それぞれ凹部と直交方向に断面が山形尖鋭状の把持爪8cを各段に筋状に形成する一方、最も幅の広い凹部即ち上段凹部の十字状に交差する交差部の凹部外側に、丸孔のボルト孔9bをそれぞれ垂直に貫通形成している。この板部材6aの外側面7aは前述の実施例と同様に円形孔14の周囲に肉厚の補強部12を備え、且つ各ボルト孔9bの周辺部には外側から凹部8の交差中心方向に向けて次第に高さが低くくなる下方傾斜面の座部9aを有している。この連結部材5aは、前述の連結部材5と同様に形鋼同士の連結部3に両側から装着してボルト孔9bにボルト10を通して締め付け、形鋼の連結部3を挟持固定する。その際に、前記把持爪8cが形鋼1,2の側面に食い込むように当接するため、形鋼をの接触面積が小さく該接触部に強力な摩擦把持力が発生する。従って、形鋼は前述の実施例の連結金具4よりも一層確実且つ強固に保持固定され容易に抜け落ちることがない。
【0026】
上記いずれの実施例においても、直交十字状の係止部のそれぞれの両端近傍に形鋼の抜け止めボルト装着孔(図示しない)をそれぞれ設けると都合がよい。形鋼同士の連結部3の各形鋼に予め図示しないボルト孔を形成してある場合、連結部材5または5aを形鋼の連結部3に締め付ける際に、必要に応じ、前記形鋼側のボルト孔と前記連結部材側の抜け止めボルト装着穴とにボルトを装着する。これにより、万一連結金具4のボルト10が弛んだ場合や締め付け力が不十分な場合などに形鋼が抜け落ちる危険を防止することがでる。
【0027】
【発明の効果】
以上にしてなる請求項1に係る発明の形鋼の連結金具は、形鋼同士の連結部の両側面を挟持する1対の板部材の対向側面の少なくとも一方に、前記連結部の各形鋼の両側端に係合して形鋼の長手方向と直交方向の移動をそれぞれ規制する係止部を形成し、且つ、該それぞれの係止部の各内端面に接する直線同士が交差する交差部の互いの外側位置には前記両板部材に直交するボルト孔をそれぞれ貫通形成してなる1対の連結部材を形成し、前記連結部材の係止部が前記連結部の形鋼と係合するようにして該連結部を両側から挟持し、前記ボルト孔にボルトを装着して両連結部材同士を締め付けるように構成したので、長手方向に直交する断面の幅または高さが等しい形鋼同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、互いに直交方向にT字状、十字状、またはL字状に、或いは直線状に突き合わせた形鋼同士の連結部を簡単且つ容易に固定することができる。そして、連結部材は、構造が簡単且つ軽量で取り付け取り外し作業が迅速且つ容易に行える。また、連結部材は鋳造に適した形状であり、低価格で製作が可能であるなどといった作用効果がある。
【0028】
請求項2に係る発明の形鋼の連結金具は、形鋼の連結部に係合する前記係止部を、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の高さの各1対の突起列または凸条、または、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の深さの溝、のいずれかにより直交十字状の係止部に形成したので、この連結金具は、上記の作用効果のほか、係止部が機械加工でも容易に形成または成型可能である。もちろん鋳造する場合も製作が容易で製造コストが低減するといった作用効果がある。
【0029】
請求項3に係る発明の形鋼の連結金具は、連結部材を長辺と短辺とからなる略長方形の板部材を用いてその片側面に直交十字状の凹部を、縦方向と横方向の凹部がそれぞれ前記長方形の長辺と短辺に沿う様に形成し、直交十字状の凹部の短い方の凹部は両凹部の交差部を貫いて係合する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させ、且つ、長い方の凹部は前記交差部を貫く形鋼に対し側方から当接する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させる様に形成したので、被連結側の形鋼を短寸の凹部の全長または長寸の凹部との交差部に係る状態で、また、連結側の形鋼を長寸の凹部でそれぞれ把持させる形態で各々の形鋼を必要な把持長で確実に挟持固定することができ、且つ必要以上の無駄な把持長がなく、より一層の軽量化とコスト低減がはかられるといった作用効果がある。
【0030】
請求項4に係る発明の形鋼の連結金具は、形鋼側面に係合する連結部材の係止部を、上段側から下段に向けて段階的に幅が狭くなる複数の直交十字状の凹部が重なる形態に形成したので、一種類の連結部材で寸法の異なる複数種類の形鋼同士の連結部に使用して挟持固定することが可能となり、形鋼の構築物の組み立て作業時に作業者が複数種類の連結部材を多数持ち歩く労力を軽減するとともに、少品種大量生産によるコスト低減をはかることが可能であるといった作用効果がある。
【0031】
請求項5に係る発明の形鋼の連結金具は、ボルト孔周縁のボルト座部となる面を、直交十字状の凹部の中心から見て半径方向外側から内側に向けて高さが次第に低下する下方傾斜面に形成するとともに、直交十字状に交差する係止部の交差部には中抜き穴を設けた形状にしたことにより、ボルトを締め付ける際に連結部材が撓み易くなり、この撓み作用により形鋼との接触面を偏らせて大きな接触面圧を発生させ、摩擦保持力を高めて形鋼を確実に保持する作用を補完する。また、ボルトを締め付ける際にボルトの位置が形鋼連結部の中心方向に寄せられ対称位置で均等に締め付けることができて作業性が向上するなどの作用効果がある。
【0032】
請求項6に係る発明の形鋼の連結金具は、直交十字状の係止部が形鋼連結部に当接して押圧する面の連結部材外端縁近傍に、尖鋭状の把持爪をそれぞれ設けるようにしたので、該把持爪は、形鋼に食い込むように当接して容易に抜け出さないように強力に把持させることができるといった作用効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る形鋼の連結金具の各構成部材を展開して示す斜視図である。
【図2】図1の形鋼の連結金具における下方連結部材を示し、(a)は平面、(b)は側面をそれぞれ示す。
【図3】図1の形鋼の連結金具を用いて溝形鋼同士の連結部を挟持固定した状態を示す斜視図で、(a)は十字状の連結部、(b)はT字状の連結部をそれぞれ示す。
【図4】図3(a)の連結部を連結部中心を通り被連結側形鋼と直交する断面で示す図である。
【図5】連結部材の別の実施例を示し、(a)は中央から片側半分の部分平面図、(b)は図5(a)におけるA−A断面を示す。
【図6】本発明に係る形鋼の連結金具を、トロリーコンベアのレール支持架構に使用した場合の使用例を示す図で、(a)は側面、(b)は平面をそれぞれ示す。
【図7】従来の形鋼の連結部の連結構造を示す参考図である。
【符号の説明】
1 被連結側の形鋼(主梁)
2 連結側の形鋼(補助梁)
3 連結部
4 連結金具
5,5a 連結部材
6,6a 板部材
7 内側面
7a 外側面
8 係止部(凹部)
8a 短辺側凹部
8b 長辺側凹部
8c 把持爪
9 ボルト孔(長孔)
9a 座部(座面)
9b ボルト孔(丸孔)
10 ボルト
11 ナット
12 補強部
13 コーナー部
14 円形孔(中抜き孔)
15 レール架構
16 レール
20,21 形鋼
22 連結部材
23 ボルト
24 溶接部
【発明の属する技術分野】
本発明は、形鋼による構築物の形鋼同士の連結部に用いる連結金具の技術に係わり、更に詳しくは、例えば解体移設や設置変更が可能に構築する必要のある自動車製造ラインの搬送トロリー用走行レールの支持架構など、形鋼により解体可能に構築する構築物の形鋼同士を直交方向にまたは直線状に突き合わせて連結する連結部の固定に用いる形鋼の連結金具の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
解体移設や設置変更や増設などを可能に構築する必要のある、例えば自動車製造ラインの搬送トロリー用走行レールの支持架構などの構築物において、形鋼同士の突き合わせ連結部を溶接で連結すると、解体後の部材を再利用する場合に溶接部のはつりや機械的加工が必要となり再組み立ての前処理に長期間を要する。これを解消するため、従来は、図7に示す様に、形鋼20,21同士の突き合わせ連結部には、例えばL字状部材の両辺(または図示しないが平坦な板部材の両端)にそれぞれボルト孔を設けた連結部材22を、互いの形鋼にまたがるように当接させて両部材をボルト23で締結し、更に、ズレ防止のため連結部材と形鋼側端とを符号24で示す箇所などを溶接して固定する方法が一般に採用されている。この場合、連結部にはボルト締め付け箇所が多く且つ部材同士の位置ズレを調整または修正し、更に溶接等によるズレ止め処置が必要であるなど、組立作業に手間がかかかるといった問題がある。また解体時に溶接箇所の溶断と形鋼の再利用のためのグラインダによる修正作業が必要である。
【0003】
一方、H形鋼、I形鋼、溝形鋼などの形鋼同士の突き合わせ連結部において、連結固定用のボルト本数を減らし且つ溶接作業を省いて組み立てと解体の作業時間を短縮する形鋼の連結方法として、ほぼ立方形の中空部材の4隅にそれぞれボルト孔を垂直に貫通形成し、且つ、上下面には垂直に貫通する形鋼挿入孔と、前後と左右の各側面にはそれぞれ互いの対向面に向けて水平貫通する形鋼挿入孔とをそれぞれ設け、この部材をボルト孔と直交する方向に2分割して1対の継ぎ手ブロックとなし、この1対の継ぎ手ブロックの形鋼挿入孔に形鋼を挿入し、4隅のボルト孔に装着したボルトで互いの半割の継ぎ手ブロック同士を締め付けて形鋼同士を連結固定する継ぎ手ブロックが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかし、この公知文献に示された従来の継ぎ手ブロックは、形鋼挿入孔が連結対象の形鋼の形状に合わせてそれぞれ専用に製作する必要がある。つまり、長手方向と直交する断面の幅と高さが同じ形鋼であっても、溝形鋼、H形鋼、I形鋼など形鋼の形状に合わせて形鋼挿入孔が形成されている必要がある。形鋼による構築物は、柱と梁と補助部材など部分によって異なる形の形鋼を使い分けて構築する場合が多く、異なる形の形鋼同士を突き合わせて連結する連結部に上記のような従来の継ぎ手ブロックを用いる場合、形鋼挿入孔の形状が異なる多種類の継ぎ手ブロックを準備し、これを選択的に使い分ける必要がある。この従来の継ぎ手ブロックは、重量が重く現場での取扱が容易ではないことに加え、形状が複雑で且つ多種類必要ということも関係して製作コストも高いといった問題がある。
【0005】
【特許文献1】
特開昭53−19623号公報(第3頁、第1図,第2図)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
前述の状況に鑑み本発明が解決しようとするところは、溝形鋼、H形鋼、またはI形鋼の長手方向に直交する断面の幅または高さが互いに等しい部材同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、直交するL字状、T字状、または十字状に、或いは直線状に互いに突き合わせた形鋼同士の連結部を固定する連結金具であって、構造が簡単且つ軽量で取り付け取り外し作業が容易に且つ迅速に行え、低価格で製作可能な形鋼の連結金具を提供することにある。また本発明が解決しようとする他の課題は、一種類の連結部材で寸法の異なる複数種類の形鋼同士の連結部に適用可能な形鋼の連結金具を提供することにより、作業時の多種類の連結部材を持ち歩く労力を軽減するとともに作業性を向上させ且つ少品種大量生産によるコスト低減をはかることにある。また、本発明が解決しようとする更に別の課題は、形鋼を強固に把持し、容易に抜け落ちない構造を備えた形鋼の連結金具を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
前述の課題解決のため、本発明では、形鋼による構築物の形鋼の連結金具を以下のように構成する。即ち、前記課題に記載した形鋼同士の連結部の両側面を挟持する1対の板部材の対向側面の少なくとも一方に、前記連結部の各形鋼の両側端に係合して形鋼の長手方向と直交方向の移動をそれぞれ規制する係止部を形成し、且つ、該それぞれの係止部の各内端面に接する直線同士が交差する交差部の互いの外側位置には前記両板部材に直交するボルト孔をそれぞれ貫通形成してなる1対の連結部材を形成し、前記連結部材の係止部が前記連結部の形鋼と係合するようにして該連結部を両側から挟持し、前記ボルト孔にボルトを装着して両連結部材同士を締め付けるように構成する。そして前記の係止部は、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の高さの各1対の突起列または凸条、または、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の深さの溝、のいずれかにより直交十字状に形成すると都合がよい。これにより長手方向に直交する断面の幅または高さが等しい形鋼同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、互いに直交方向にまたは直線状に突き合わせた形鋼同士の連結部を簡単且つ容易に固定できるようにし、簡単且つ軽量の構造にして、取り付け取り外し作業の作業性の向上と迅速化をはかり、且つ低価格で提供できるようにする。係止部は、溝状の凹部で形成する場合、機械加工により簡単に形成できる。上記の連結部材を鋳造する場合、製作が容易で且つ製造コストをより一層低減できる。
【0008】
また、上記連結部材は、長辺と短辺とからなる略長方形の板部材を用いてその片側の平坦面に直交十字状の凹部を、縦方向と横方向の凹部がそれぞれ前記長方形の長辺と短辺に沿う様に形成し、直交十字状の凹部の短い方の凹部は両凹部の交差部を貫いて係合する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させ、且つ、長い方の凹部は前記交差部を貫く形鋼に対し側方から当接する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させる様に形成すると更に好都合である。この場合、被連結側の形鋼を短寸の凹部の全長または長寸の凹部との交差部に係る状態で、また、連結側の形鋼を長寸の凹部でそれぞれ把持させる形態で各々の形鋼を把持するようにする。これにより、形鋼をそれぞれ必要な把持長で確実に挟持固定し且つ必要以上の無駄な把持長を無くする。そして一層の軽量化とコスト低減をはかる。
【0009】
或いは更に、上記連結部材の形鋼側面に係合する係止部を、板部材の表面側から深さ方向に向けて段階的に幅が狭くなる複数の凹部が階段状に重なる形態とするとともに、ボルト孔は、それぞれ、最も幅の狭い凹部の交差部近傍の互いの凹部の外側位置から最も幅の広い凹部の交差部の互いの凹部の外側位置に向けて斜め方向の長穴に形成するか、或いは、最も幅の広い凹部の交差部の互いの凹部の外側位置に丸穴に形成すると好都合である。これにより、一種類の連結部材で寸法の異なる複数種類の形鋼同士の連結部に使用して挟持固定し、形鋼の構築物の組み立て作業時に作業者が複数種類の連結部材を多数持ち歩く労力を軽減し、且つ、少品種大量生産によるコスト低減をはかる。
【0010】
なお、上記のボルト孔周縁のボルト座部となる面は、直交十字状の係止部の交差中心から見て半径方向外側から内側に向けて高さが次第に低下する下方傾斜面に形成するとともに、直交十字状に交差する係止部の交差部には中抜き孔を設けるとよい。これにより、ボルトを締め付ける際に連結部材が撓み易くなり、この撓み作用により形鋼との接触面を偏らせて大きな接触面圧を発生させ形鋼を確実に保持させる。
【0011】
また、直交十字状の係止部が形鋼連結部に当接して押圧する面の連結部材外端縁近傍には、把持爪をそれぞれ突設すると好都合である。これにより、該把持爪が、形鋼の連結部に食い込むように当接して容易に抜け出さないように強力に形鋼を把持する。
【0012】
【発明の実施の形態】
つぎに本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明するが、本発明は、添付図面に示された形態に限定されず特許請求の範囲に記載の要件を満たす実施形態の全てを含むものである。図1に本発明に係る形鋼の連結金具の各構成部材を展開して斜視図で示す。図2にこの連結金具の下方連結部材の平面(a)と側面(b)をそれぞれ示す。図3にはこの連結金具を用いて溝形鋼同士の連結部を挟持固定した状態を示し、(a)は十字状の連結部、(b)はT字状の連結部をそれぞれ示している。図4に図3(a)の連結部を連結部中心を通り被連結側形鋼と直交する断面で示す。図6には本発明に係る形鋼の連結金具の使用例として、トロリーコンベアのレール支持架構を例示する。なお、図5は連結部材の別の実施例を示す。
【0013】
添付の図6は、自動車製造工場の搬送用トロリコンベア走行用レール16のレール支持架構15の形鋼同士の連結部3に本発明に係る形鋼の連結金具4を使用した場合を例示している。本発明に係る連結金具4は、この例に限らず形鋼を用いて解体移設や増改築可能に構築する種々の構築物に使用し、長手方向に直交する断面の幅または高さが等しい形鋼(溝形鋼、I形鋼,H 形鋼)同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、互いに直交方向にまたは直線状に突き合わせて連結する連結部の固定に用いる。
【0014】
図において、形鋼の連結金具4は、長方形の4隅に斜めにカットしたコーナー部13を有する1対の板部材6,6のそれぞれの片面(内側面7)に、互いに直交する形鋼1,2同士の連結部3の各形鋼1,2それぞれの側面の幅にほぼ一致する内幅で適宜の深さの溝状の短辺側凹部8aと長辺側凹部8bを直交十字状に配置して互いに直交する係止部8を設けるとともに、それぞれの係止部8a,8bの交差部の互いの凹部の外側に、各凹部の中心が交差する交差中心に対しそれぞれ対称的に配置され且つ板部材6に直交するボルト孔9をそれぞれ貫通形成した1対の連結部材5,5、および、該連結部材4,4を前記連結部3の両側面に当接して係止部8を連結部3の形鋼1,2の側面にそれぞれ係合させた状態で前記ボルト孔9にそれぞれ装着して連結部材5,5同士を締め付けて固定する4本のボルト10およびナット11とによって構成される。
【0015】
連結部材5の直交十字状の凹部8は、板部材6,6の対向する内面7,7の表面側から深さ方向に向けて順次幅が狭くなるように複数均等に階段状に重ねて形成する。またボルト孔9は、それぞれ、最も幅の狭い凹部8の交差部にほぼ接するようにしてその交差部外側から最も幅の広い凹部8の交差部にほぼ接するようにしてその交差部外側に向けて斜め方向の長穴状に4個形成する。階段状の凹部8は、各段のそれぞれの凹部の幅に対応する幅を有する複数種の形鋼同士の連結部に係合するように設定する。なお、このボルト孔9については、前記のような長孔とはせず、例えば図5に示す様に、直交十字状の凹部8の最も外側の各凹部が交差する互いの外側に丸孔状に貫通形成したボルト孔9bであってもよい。
【0016】
連結部材5,5の形鋼連結部3に接する側面と反対の外側面7aにおける各ボルト孔9の周縁はそれぞれ外側面7aから若干盛り上げ、その盛り上げ部にボルト10またはナット11が当接する平坦な座部9aを形成する。座部9aは、直交十字状の係止部の交差部中心から見て半径方向外側から内側に向けて高さが次第に低下する下方傾斜面に形成するとともに、形鋼係止用の直交十字状凹部8の短辺側凹部8aと長辺側凹部8bの互いの交差部には中抜き孔として大きな円形孔14を設け、且つ、板部材6,6の外側面7a側には、円形孔14の周辺を厚くした補強部12を備える。
【0017】
つぎに、上記構成からなる形鋼の連結金具4の使用例を図3,図6に基づいて説明する。図6のようなトロリー走行用レール16のレール架構15を組み立てる場合、1対の連結部材5,5を、形鋼の互いに直交する、L字状、T字状、十字状のそれぞれの連結部3に、その両側面から連結部3を挟持するように当てがい、4個のボルト孔9(図示の例では長穴9)それぞれに座金(図示しない)を介してボルト10をそれぞれ装着し、各ボルト10の先端に座金(図示しない)を介してそれぞれナット11を螺合させ、各形鋼の互いの位置を調整して形鋼の側面を凹部8に係合させて形鋼の長手方向と直交方向の移動を規制し、各ボルト10をそれぞれ均等に締め付ける。連結部材5,5のボルト孔9の座部9aには、互いに直交十字状の凹部8の交差部中心方向に向けて次第に高さが低くなる僅かな角度の下方傾斜面が形成されているので、ボルト10はこの傾斜に沿って形鋼連結中心側に確実に寄せる案内として機能し、また、ボルト10およびナット11と座面9aとの間の傾いた若干の隙間が後工程のボルト10の増し締めを助けるように機能する。
【0018】
連結部材5の取り付け方向は、形鋼が十字状の連結部に取り付ける場合、図3(a)に示すように、主梁または柱となる側の被連結側の形鋼1を、短辺側凹部8aのその形鋼の幅に最も近い凹部に少なくともその凹部の直交十字状交差部に掛かるかまたはこれを通過して反対側端に突き出るように係合させ、且つ、補助梁などの連結側の形鋼2,2は長辺側凹部8bのその形鋼の幅に最も近い凹部に係合するような向きに取り付けて補助梁2,2の先端を主梁1の側面に当接させる。このような向きに取り付けることにより、主梁1と補助梁2とはそれぞれ適切な把持長で把持できる。一方、直交T字状または直交L字状の連結部の場合、図3(b)に示すように、主梁1の端部が少なくとも直交十字状の凹部8の交差部に掛かるかまたは交差部を貫いて連結部材5の側端に端部が除く程度(いずれも直交L字状の連結部の場合)に或いは突き出る(直交T字状連結部の場合)様に挟持させ、その主梁1の側面に補助梁2の端部が当接するように挟持させる。なお上記いずれの場合も、例えば、主梁1か補助梁2のいずれか1本の形鋼に対し連結部材5、5を先に取り付けてボルト10の仮締めを行い、その後で他の形鋼を連結部材5,5間の他方の凹部8に挿入して、互いの形鋼同士の位置調整を行い、最後に4本のボルトを均等に締め付けるといった手順で順次形鋼を連結してレール架構15を構築すると能率的に作業が行える。
【0019】
そして最後に4本のボルト10を均等に増し締めする。この増し締めにより、連結部材5,5がその締め付け力で僅かに湾曲し、形鋼1,2との接触面が側方に移動して接触面圧が大きくなる。これによって、形鋼1,2は連結金具4に強力に保持され連結部が容易にズレを生じたり抜け落ちたりしないように確実に固定される。
【0020】
連結部材5は、重量軽減のため、添付の図に示すように長方形の4隅をカットして斜めのコーナー部13を形成し、更に、直交十字状の凹部の交差部の領域の中抜き孔として大きな円形孔14を貫通形成している。連結部材5の板部材6,6の外郭形状は、略長方形に限らず正方形、多角形、円形、または楕円形などいずれでもよい。連結部材5の形鋼に当接する内側面7に形成する直交十字状の係止部8は、1対の連結部材5,5のうち少なくとも一方のみに設け、他方の連結部材の内側面は平坦面にしてボルト孔9のみを設けた形にしてもよく、その方が作業性がよい。円形孔14は、重量軽減用の中抜き孔としての機能のほか、連結部材5,5で形鋼の連結部3を挟持してボルト10で締め付ける際にボルト10の締め付け力に応じて連結部材5,5を僅かに撓ませる機能を備える。この連結部材5の撓みにより、連結部材5が形鋼1,2に接する面が側方に偏り、接触圧力が大きくなって形鋼との間に大きな摩擦保持力を発生する。つまりこの円形孔14は形鋼の連結部を両側から強力に保持し容易にスリップしたり抜け落ちないように確実に支持固定する機能を補完する。
【0021】
つぎに、上記の連結部材5の実用品について一例を説明する。連結部材の長方形部の長さが240mm、幅が145mm、厚さが10mmであり、直交十字状の係止部8即ち凹部は、連結部材5の内側面7に近い方から順番に幅がそれぞれ96mm,81mm、71mmであり、その深さ即ち段差はそれぞれ2mmである。この寸法で製作した連結部材は、例えばJIS規格の溝形鋼の場合、溝形鋼の両側の溝部のフランジ幅(フェイス部の幅)をB、ウエブ部の高さをHとすると、B×Hの寸法で、65×125、75×150、75×180、80×200、90×200(いずれも単位はmm)の5種類の形鋼の連結部に対応でき、同様にこれと同じフェイス幅Bを有するI形鋼またはH形鋼の連結部にも用いることができる。形鋼の両側面に係合する深さは上記段差2mmである。ボルト孔は21mmの丸穴(図示の場合長孔)で、外径が18mm前後のボルトを装着可能である。ボルト10の長さは、それぞれ形鋼の高さと連結部材の厚さの約2倍(約20mm)を加算した面間寸法を締め付け可能な長さのボルトを用いる。なお、この連結部材は例えば機械構造用炭素鋼や合金鋼などの板材を切断して機械加工しても製作できるが、鋳造すると均一の品質で大量生産して低価格で提供できる。必要な箇所では溶接することもあり、溶接可能な材料で製作するのが好ましく、例えば鋳鉄では白芯可鍛鋳鉄を選定するとよい。
【0022】
工場の搬送ラインなどにおいては、製造機種の変更時には短期間で搬送ラインの変更をすることが要求される。そのため形鋼の連結金具4は、作業者が持ち運びと取扱が容易なように小型軽量化することが重要である。従って、連結部材に形成する直交十字状の凹部は、必要以上の幅を有しないように上記実施例の説明のような階段状に設けずに1段の凹状溝にしてもよい。例えば、構築物の柱と梁と補助部材とが特定の寸法の形鋼部材でのみ構築されるような場合、その形鋼の連結部の形鋼側面の幅寸法に合わせて1段の直交十字状の凹部を有する専用の連結部材(図示は省略する)を製作すと、連結部材には無駄な幅と長さが不要となりその無駄のない分だけ小型軽量になり、持ち運びや取付作業が容易となる。
【0023】
上記の実施例では、形鋼連結部3の形鋼1,2に係合してこれを保持する係止部8として、連結部材5に、形鋼の側面の幅とほぼ等しい溝状部からなる直交十字状の凹部で構成する場合を示した。図示は省略するが形鋼に係合する係止部は前記凹部に代えて、例えば、1対の板部材の少なくとも一方の片側面に、適宜の高さで形鋼の幅とほぼ同幅出対向する突起列を前記板部材の面に沿って直交十字方向に配列させて係止部を構成してもよい。この場合の突起列は、十字状の交差部を避けた外側に配列させる。この突起列からなる係止部は、前述の実施例における凹部と同様、形鋼同士の連結部の両側端に係合して各形鋼の長手方向と直交方向の横移動を防止する。この突起列からなる係止部を有する連結部材においても、前述の実施例における符号9に相当するボルト孔を、対向突起列からなる係止部が直交する交差部の外側に形成する。なお、図示はしないが、上記の突起列を筋状に連続する凸条に代えてもよい。
【0024】
一方、形鋼同士の連結部3の主梁1と補助梁2とがそれぞれ側面の幅が異なる場合、十字状係止部8の短辺側凹部8aと長辺側凹部8bとは、それぞれの側面の幅に応じた互いに異なる幅で形成してもよい。また、連結部3の主梁1と補助梁2とがそれぞれ異なる部材で構成され連結部材5,5が当接する方向の互いの部材の幅が異なる場合、形鋼の幅の差に応じて短辺側凹部8aと長辺側凹部8bとのそれぞれの深さを代えて形成するとよい。
【0025】
つぎに、前述の説明とは異なる別の連結部材の実施例を図5に示す。図5において(a)は連結部材5aを中央から片側半分を示す平面、(b)は図5(a)におけるA−A断面をそれぞれ示す。この図に示す連結部材5aは、前述の説明と同様な外郭形状の板部材6aの片側面(内側面7)に、前述の説明と同様、幅の異なる複数種類の形鋼を係止するため階段状に重ねて形成された凹部8を有する。そして、直交するそれぞれの凹部の両端縁部には、それぞれ凹部と直交方向に断面が山形尖鋭状の把持爪8cを各段に筋状に形成する一方、最も幅の広い凹部即ち上段凹部の十字状に交差する交差部の凹部外側に、丸孔のボルト孔9bをそれぞれ垂直に貫通形成している。この板部材6aの外側面7aは前述の実施例と同様に円形孔14の周囲に肉厚の補強部12を備え、且つ各ボルト孔9bの周辺部には外側から凹部8の交差中心方向に向けて次第に高さが低くくなる下方傾斜面の座部9aを有している。この連結部材5aは、前述の連結部材5と同様に形鋼同士の連結部3に両側から装着してボルト孔9bにボルト10を通して締め付け、形鋼の連結部3を挟持固定する。その際に、前記把持爪8cが形鋼1,2の側面に食い込むように当接するため、形鋼をの接触面積が小さく該接触部に強力な摩擦把持力が発生する。従って、形鋼は前述の実施例の連結金具4よりも一層確実且つ強固に保持固定され容易に抜け落ちることがない。
【0026】
上記いずれの実施例においても、直交十字状の係止部のそれぞれの両端近傍に形鋼の抜け止めボルト装着孔(図示しない)をそれぞれ設けると都合がよい。形鋼同士の連結部3の各形鋼に予め図示しないボルト孔を形成してある場合、連結部材5または5aを形鋼の連結部3に締め付ける際に、必要に応じ、前記形鋼側のボルト孔と前記連結部材側の抜け止めボルト装着穴とにボルトを装着する。これにより、万一連結金具4のボルト10が弛んだ場合や締め付け力が不十分な場合などに形鋼が抜け落ちる危険を防止することがでる。
【0027】
【発明の効果】
以上にしてなる請求項1に係る発明の形鋼の連結金具は、形鋼同士の連結部の両側面を挟持する1対の板部材の対向側面の少なくとも一方に、前記連結部の各形鋼の両側端に係合して形鋼の長手方向と直交方向の移動をそれぞれ規制する係止部を形成し、且つ、該それぞれの係止部の各内端面に接する直線同士が交差する交差部の互いの外側位置には前記両板部材に直交するボルト孔をそれぞれ貫通形成してなる1対の連結部材を形成し、前記連結部材の係止部が前記連結部の形鋼と係合するようにして該連結部を両側から挟持し、前記ボルト孔にボルトを装着して両連結部材同士を締め付けるように構成したので、長手方向に直交する断面の幅または高さが等しい形鋼同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、互いに直交方向にT字状、十字状、またはL字状に、或いは直線状に突き合わせた形鋼同士の連結部を簡単且つ容易に固定することができる。そして、連結部材は、構造が簡単且つ軽量で取り付け取り外し作業が迅速且つ容易に行える。また、連結部材は鋳造に適した形状であり、低価格で製作が可能であるなどといった作用効果がある。
【0028】
請求項2に係る発明の形鋼の連結金具は、形鋼の連結部に係合する前記係止部を、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の高さの各1対の突起列または凸条、または、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の深さの溝、のいずれかにより直交十字状の係止部に形成したので、この連結金具は、上記の作用効果のほか、係止部が機械加工でも容易に形成または成型可能である。もちろん鋳造する場合も製作が容易で製造コストが低減するといった作用効果がある。
【0029】
請求項3に係る発明の形鋼の連結金具は、連結部材を長辺と短辺とからなる略長方形の板部材を用いてその片側面に直交十字状の凹部を、縦方向と横方向の凹部がそれぞれ前記長方形の長辺と短辺に沿う様に形成し、直交十字状の凹部の短い方の凹部は両凹部の交差部を貫いて係合する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させ、且つ、長い方の凹部は前記交差部を貫く形鋼に対し側方から当接する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させる様に形成したので、被連結側の形鋼を短寸の凹部の全長または長寸の凹部との交差部に係る状態で、また、連結側の形鋼を長寸の凹部でそれぞれ把持させる形態で各々の形鋼を必要な把持長で確実に挟持固定することができ、且つ必要以上の無駄な把持長がなく、より一層の軽量化とコスト低減がはかられるといった作用効果がある。
【0030】
請求項4に係る発明の形鋼の連結金具は、形鋼側面に係合する連結部材の係止部を、上段側から下段に向けて段階的に幅が狭くなる複数の直交十字状の凹部が重なる形態に形成したので、一種類の連結部材で寸法の異なる複数種類の形鋼同士の連結部に使用して挟持固定することが可能となり、形鋼の構築物の組み立て作業時に作業者が複数種類の連結部材を多数持ち歩く労力を軽減するとともに、少品種大量生産によるコスト低減をはかることが可能であるといった作用効果がある。
【0031】
請求項5に係る発明の形鋼の連結金具は、ボルト孔周縁のボルト座部となる面を、直交十字状の凹部の中心から見て半径方向外側から内側に向けて高さが次第に低下する下方傾斜面に形成するとともに、直交十字状に交差する係止部の交差部には中抜き穴を設けた形状にしたことにより、ボルトを締め付ける際に連結部材が撓み易くなり、この撓み作用により形鋼との接触面を偏らせて大きな接触面圧を発生させ、摩擦保持力を高めて形鋼を確実に保持する作用を補完する。また、ボルトを締め付ける際にボルトの位置が形鋼連結部の中心方向に寄せられ対称位置で均等に締め付けることができて作業性が向上するなどの作用効果がある。
【0032】
請求項6に係る発明の形鋼の連結金具は、直交十字状の係止部が形鋼連結部に当接して押圧する面の連結部材外端縁近傍に、尖鋭状の把持爪をそれぞれ設けるようにしたので、該把持爪は、形鋼に食い込むように当接して容易に抜け出さないように強力に把持させることができるといった作用効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る形鋼の連結金具の各構成部材を展開して示す斜視図である。
【図2】図1の形鋼の連結金具における下方連結部材を示し、(a)は平面、(b)は側面をそれぞれ示す。
【図3】図1の形鋼の連結金具を用いて溝形鋼同士の連結部を挟持固定した状態を示す斜視図で、(a)は十字状の連結部、(b)はT字状の連結部をそれぞれ示す。
【図4】図3(a)の連結部を連結部中心を通り被連結側形鋼と直交する断面で示す図である。
【図5】連結部材の別の実施例を示し、(a)は中央から片側半分の部分平面図、(b)は図5(a)におけるA−A断面を示す。
【図6】本発明に係る形鋼の連結金具を、トロリーコンベアのレール支持架構に使用した場合の使用例を示す図で、(a)は側面、(b)は平面をそれぞれ示す。
【図7】従来の形鋼の連結部の連結構造を示す参考図である。
【符号の説明】
1 被連結側の形鋼(主梁)
2 連結側の形鋼(補助梁)
3 連結部
4 連結金具
5,5a 連結部材
6,6a 板部材
7 内側面
7a 外側面
8 係止部(凹部)
8a 短辺側凹部
8b 長辺側凹部
8c 把持爪
9 ボルト孔(長孔)
9a 座部(座面)
9b ボルト孔(丸孔)
10 ボルト
11 ナット
12 補強部
13 コーナー部
14 円形孔(中抜き孔)
15 レール架構
16 レール
20,21 形鋼
22 連結部材
23 ボルト
24 溶接部
Claims (6)
- 長手方向に直交する断面の幅または高さが等しい形鋼同士を互いに同じ寸法の側同士を向かい合わせて、互いに直交方向にまたは直線状に突き合わせた形鋼同士の連結部を固定する連結金具であって、前記連結部の両側面を挟持する1対の板部材の対向側面の少なくとも一方に、前記連結部の各形鋼の両側端に係合して形鋼の長手方向と直交方向の移動をそれぞれ規制する係止部を形成し、且つ、該それぞれの係止部の各内端面に接する直線同士が交差する交差部の互いの外側位置には前記両板部材に直交するボルト孔をそれぞれ対称配置で貫通形成してなる1対の連結部材を形成し、前記連結部材の係止部が前記連結部の形鋼と係合するようにして該連結部を両側から挟持し、前記ボルト孔にボルトを装着して両連結部材同士を締め付けるように構成してなる、形鋼の連結金具。
- 形鋼の連結部に係合する前記係止部が、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の高さの各1対の突起列または凸条、または、連結部の各形鋼の側面に係合する内幅で且つ適宜の深さの溝、のいずれかにより直交十字状に形成してなる、請求項1に記載の形鋼の連結金具。
- 連結部材が、略長方形の1対の板部材の少なくとも一方の片側面に、前記直交十字状の凹部からなる係止部を、縦方向と横方向の凹部がそれぞれ前記長方形の長辺と短辺に沿う様に形成するとともに、該互いの凹部の交差部の互いの外側位置に各凹部の交差中心に対し対称配置で前記ボルト孔を設けてなり、前記直交十字状の凹部の短い方の凹部は両凹部の交差部を貫いて係合する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させ、且つ、長い方の凹部は前記交差部を貫く形鋼に対し側方から当接する側の形鋼の側面の幅にほぼ一致させる様に形成してなる、請求項1または2に記載の形鋼の連結金具。
- 前記連結部材の直交十字状の凹部は、板部材の表面側から深さ方向に向けて段階的に幅が狭くなる複数の凹部が階段状に重なる形態とするとともに、前記ボルト孔はそれぞれ、最も幅の狭い凹部の交差部近傍の互いの凹部の外側位置から最も幅の広い凹部の交差部の互いの凹部の外側位置に向けて斜め方向の長穴に形成するか、或いは、最も幅の広い凹部の交差部の互いの凹部の外側位置に丸穴に形成し、前記階段状の凹部は、各段のそれぞれの凹部の幅に対応する幅を有する複数種の形鋼同士の連結部に係合するように設定してしてなる、請求項3に記載の形鋼の連結金具。
- 連結部材の形鋼連結部に接する側面と反対の外側面における前記ボルト孔周縁のボルト座部となる面には、直交十字状の係止部の交差部中心から見て半径方向外側から内側に向けて高さが次第に低下する下方傾斜面に形成するとともに、前記係止部の交差部には中抜き孔を設けてなる、請求項1から4のいずれかに記載の形鋼の連結金具。
- 直交十字状の係止部が形鋼連結部に当接して押圧する面の連結部材外端縁近傍には、把持爪をそれぞれ突設してなる請求項1から5のいずれかに記載の形鋼の連結金具。
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2003
- 2003-05-15 JP JP2003136775A patent/JP2004340235A/ja active Pending
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