JP2004339282A - 水性インク及び水性インクセット - Google Patents

水性インク及び水性インクセット Download PDF

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【課題】普通紙、再生紙あるいはコート紙に対して高い印字品質が得られ、且つ耐ガス性に優れる水性インクおよび記録物色の光源依存性が低い水性インクセットにする。
【解決手段】(a)顔料と、(b)水と、(c)アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと、1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上と、を含有する水性インクであって、該顔料が8個以下の塩素原子を置換した銅フタロシアニンであることを特徴とする水性インク。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、普通紙、再生紙あるいはコート紙に対して高い印字品質が得られ、且つ耐ガス性に優れる水性インクおよび記録物色の光源依存性が低い水性インクセットに関する。
【0002】
【従来の技術】
インクジェット記録は、微細なノズルからインクを小滴として吐出し、文字や図形を被記録体表面に記録する方法である。インクジェット記録方式としては電歪素子を用いて電気信号を機械信号に変換し、ノズルヘッド部分に貯えたインクを断続的に吐出して被記録体表面に文字や記号を記録する方法、ノズルヘッド部分に貯えたインクを吐出部分に極近い一部を急速に加熱して泡を発生させ、その泡による体積膨張で断続的に吐出して、被記録体表面に文字や記号を記録する方法などが実用化されている。
【0003】
このようなインクジェット記録に用いられるインクは被記録体である紙への印字において、にじみがないこと、乾燥性がよいこと、様々な被記録体表面に均一に印字できること、カラー印字等の多色系の印字において隣り合った色が混じり合わないことなどの特性が要求されている。
【0004】
従来のインクにおいて、特に顔料を用いたインクの多くは主に浸透性を抑えることで、紙表面に対するインクのぬれを抑え、紙表面近くにインク滴をとどめることで印字品質を確保する検討がなされ、実用化されている。
【0005】
しかしながら、紙に対するぬれを抑えるインクでは紙種の違いによるにじみの差が大きく、特に様々な紙の成分が混じっている再生紙では、その各成分に対するインクのぬれ特性の差に起因するにじみが発生する。また、このようなインクでは印字の乾燥に時間がかかり、カラー印字等の多色系の印字において隣り合った色が混色してしまうという課題を有し、更に、色材として顔料を用いたインクでは顔料が紙等の表面に残る為、耐擦性が悪くなるという課題もある。
【0006】
このような課題を解決する為、インクの紙への浸透性を向上させることが試みられており、米国特許第5156675号明細書(特許文献1参照)のようにジエチレングリコールモノブチルエーテルの添加、米国特許第5183502号明細書(特許文献2参照)のようにアセチレングリコール系の界面活性剤であるサーフィノール465(日信化学製)の添加、あるいは米国特許第5196056号明細書(特許文献3参照)のようにジエチレングリコールモノブチルエーテルとサーフィノール465の両方を添加することなどが検討されている。あるいは米国特許第2083372号明細書ではジエチレングリコールのエーテル類をインクに用いることなどが検討されている。
【0007】
また、顔料を用いたインクでは、顔料の分散安定性を確保しながらインクの浸透性を向上することが一般に難しく浸透剤の選択の幅が狭い為、従来グリコールエーテルと顔料との組み合わせは特開昭56−147861号公報(特許文献4参照)のように顔料とトリエチレングリコールモノメチルエーテルを用いた例や特開平9−111165号公報(特許文献5参照)のように顔料とエチレングリコール、ジエチレングリコールあるいはトリエチレングリコールのエーテル類を用いた例などもある。
【0008】
さらに、着色剤の表面を高分子で被覆する方法が知られており、インクジェットプリンター用インクとして、特開昭62−95366号公報(特許文献6参照)にあるように、染料インクを内包したマイクロカプセルを用いる方法、特開平1−170672号公報(特許文献7参照)にあるように、水に不溶な溶媒に色素を溶解または分散させこれを界面活性剤で水中で乳化したマイクロカプセル化した色素を用いる方法、特開平5−39447号公報(特許文献8参照)にあるように、水、水溶性溶媒並びにポリエステルの少なくとも1種に昇華性分散染料を溶解または分散させた内包物をマイクロカプセルを記録液に使用する方法、特開平6−313141号公報(特許文献9参照)では着色された乳化重合粒子と水性材料からなるインキ組成物、特開平10−140065号公報(特許文献10参照)では転相乳化反応や酸析法による方法が検討されている。また、着色された乳化重合粒子と水性材料からなるインキ組成物(特許文献11参照)、転相乳化反応や酸析法による方法が検討されている(特許文献12参照)。
【0009】
さらに特開平10−025440号公報(特許文献13参照)などには顔料としてC.I.ピグメントブルー15:3を用いて耐光性を向上させることが、特開平11−275376号公報(特許文献14参照)にはカラーマネージメントの方法などの記載がある。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第5156675号明細書
【特許文献2】
米国特許第5183502号明細書
【特許文献3】
米国特許第5196056号明細書
【特許文献4】
特開昭56−147861号公報
【特許文献5】
特開平9−111165号公報
【特許文献6】
特開昭62−95366号公報
【特許文献7】
特開平1−170672号公報
【特許文献8】
特開平5−39447号公報
【特許文献9】
特開平6−313141号公報
【特許文献10】
特開平10−140065号公報
【特許文献11】
特開平01−301760号公報
【特許文献12】
特開平5−064724号公報
【特許文献13】
特開平10−025440号公報
【特許文献14】
特開平11−275376号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の水性インクは不安定であり、界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が存在すると、吸脱着が起こりやすくなり、保存安定性が劣るという課題がある。通常の水性インクは紙に対するにじみを低減させるため、界面活性剤やグリコールエーテル等の親水部と疎水部を有する物質が必要である。これらの物質を用いないインクでは紙に対する浸透性が不十分となり、均一な印字を行なうためには紙種が制限され、印字画像の低下を引き起こしやすくなるという課題があった。
【0012】
さらに、従来の分散体(顔料分散液)に印字品質を向上させるための添加剤(アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤、シリコン系界面活性剤、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテル若しくは1,2−アルキレングリコールまたはこれらの混合物)を用いると長期の保存安定性が得られず、インクの再溶解性が悪いためインクが乾燥してインクジェットヘッドのノズルで詰まり易くなるという課題や、ヘッドを構成する物質に用いられる接着剤等の材料をアタックして接着強度を低下させ、吐出安定性を悪くするなどの課題を有していた。
【0013】
また、このような分散剤により分散された顔料は分散剤の残存物がインク系中に残り、分散剤が十分に分散に寄与せず顔料から脱離して粘度が高いものになってしまうという課題があった。粘度が高くなると顔料等の色材の添加量が制限され特に普通紙において十分な印字品質が得られない。
【0014】
さらに、インクジェット記録用インクのように微粒子の銅フタロシアニンを用いる場合は耐ガス性が低く、他の色(ブラック、イエロー、マゼンタなど)とのバランスが悪く、印刷物を長期に大気中に保存すると、銅フタロシアニンで形成されるシアンの色だけが劣化し変色してしまうという課題がある。
【0015】
そして、例えばインクジェットインクの場合、ニュートラルイエローに近いピグメントイエロー74を含むイエローインクとニュートラルマゼンタに近いピグメントレッド122を含むマゼンタインクとの組み合わせで灰色の色を作成したときに、光源による色シフトが起こり、光源によって色が違う色にずれてしまうという課題(いわゆる光源依存性(メタメリズム))がある。この組み合わせは、他のニュートラルイエローやニュートラルマゼンタとの組み合わせを用いても同じである。
【0016】
そこで本発明はこのような課題を解決するもので、その目的とするところは普通紙、再生紙あるいはコート紙に対して高い印字品質が得られ、且つ耐ガス性に優れる水性インクおよび記録物色の光源依存性が低い水性インクセットを提供するところにある。
【0017】
【課題を解決するための手段】
本発明の水性インクは、(a)顔料と、(b)水と、(c)アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上と、を含有する水性インクであって、該顔料が8個以下の塩素原子を置換した銅フタロシアニンであることを特徴とする。
【0018】
【発明の実施の形態】
本発明によるインクジェット記録用インクは、印字の乾燥性がよいことや普通紙における印字のにじみが少なく十分な発色あること、普通紙、再生紙あるいはコート紙に対して高い印字品質が得られ、且つ耐ガス性に優れる水性インクおよび記録物色の光源依存性が低いことなどの特性が要求されていることに鑑み、鋭意検討した結果によるものである。
【0019】
本発明によるインクジェット記録用インクは、(a)顔料と、(b)水と、(c)アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上と、を含有する水性インクであって、該顔料が8個以下の塩素原子を置換した銅フタロシアニンであることを特徴とする。塩素が置換されることで、耐ガス性が向上し、発色性が高い水性インクを得ることができ、また、記録物色の光源依存性が低い水性インクセットを得ることができる。置換数が8を超えると色がグリーンに近くなり、色の再現範囲が狭くなり色の表現力が低下する。ピグメントイエロー74を含むインクとピグメントレッド122を含むインクとの組み合わせにおいて光源依存性が低く、発色が良好な好ましい置換量は銅フタロシアニン分子1つに対して2〜6であり、さらに好ましくは3または4である。概念図を図1に示す。
【0020】
前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと、1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上の添加量が0.5%(以下単に「%」と記載するものは「重量%」を示す。)以上30%以下であることを特徴とする。0.5%未満では浸透性の効果が低く印字品質が向上しない。30%を超えると粘度上昇により使いづらくなり、それ以上添加しても印字品質向上の効果がない。より好ましくは1%以上15%以下である。
【0021】
前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を5%以下含むことを特徴とする。5%を超えると印字品質の効果が頭打ちであり、添加しても粘度が上昇して使いづらくなり、ヘッドの先端にインクが付着しやすくなり、印字が乱れやすくなる。より好ましい添加量は0.1〜2%である。
【0022】
また、少なくとも前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群から選ばれる1種以上と、を同時に添加することを特徴とする。同時に用いることにより印字品質がより向上する。
【0023】
前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤が0.5%以下のときはジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群から選ばれる1種以上は1%以上であることを特徴とする。アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤は少量で浸透性を向上させる効果がある。従って、0.5%以下のときはジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群から選ばれる1種以上は1%以上であることが、印字品質向上の観点から好ましい。
【0024】
本発明において好ましく用いられるアセチレングリコール系化合物としては、オルフィンE1010、STG、Y(何れも商品名、日信化学社製)、サーフィノール82、104、440、465、485(何れも商品名、Air Products and Chemicals Inc.製)等の市販品を用いることができる。
【0025】
本発明において好ましく用いられるアセチレンアルコール系化合物としては、3,5−ジメチル−1−ヘキシン−3オール、2,4−ジメチル−5−ヘキシン−3−オール、サーフィノール61(商品名、Air Products and Chemicals Inc.製)等を用いることができる。
【0026】
前述の顔料を包含するポリマーが、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を主成分とすることを特徴とする。本発明で用いるアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上は通常の分散剤分散に用いる分散剤と吸脱着反応を起こすため、脱離した分散剤により印字が乱れるという現象を生じ易い。しかし、上記のポリマーを用いればポリマーが安定に着色剤を包含しているので吸脱着を起こしにくいので好ましい。
前述の顔料をポリマーで包含した着色剤が少なくとも重合性基を有する分散剤と共重合性モノマーとの共重合体で該顔料を包含したものであることを特徴とする。ここで、重合性基を有する分散剤とは少なくとも疎水基、親水基および重合性基を有するもので、重合性基はアクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基などであり、共重合性基も同じくクリロイル基、メタクリロイル基、アリル基あるいはビニル基などになる。
インクジェット記録用インクとしては粒径が比較的そろっていた方が目詰まりや吐出の安定性の観点から好ましいので、顔料をポリマーで包含した着色剤は、乳化重合によって製造されることが好ましい。また、ポリマーが、ポリアクリル酸エステル、スチレン−アクリル酸共重合体、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミド、含珪素ポリマー、含硫黄ポリマーからなる群から選ばれた1種以上を主成分として用いるので、堅固なポリマーになり、本発明で好適に用いられるアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと、1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上の添加によっても変形せず、しかも均一な粒径を得やすいので好ましい。
【0027】
前述の顔料を用いる場合、その顔料をポリマーで包含した着色剤(「分散体」と言うこともある。)は、重合性基を有する分散剤で該顔料を分散させた後、その分散剤と共重合可能なモノマーと重合開始剤を用いて水中で乳化重合されたものであることを特徴とする。顔料をポリマーで包含した着色剤は、重合性ビニル基、アリル基、アクリロイル基あるいはメタクリロイル基等を有する分散剤で顔料を分散させた後、かかる分散剤と共重合可能なモノマーと重合開始剤の存在下、水中で乳化重合を行なうことによって得ることができる。
【0028】
染料を用いる場合は、染料をポリマーで包含した着色剤の場合は、油溶性染料をモノマーに直接溶解し乳化重合で得る方法が好ましい。ラジカル重合の方法としては水中での乳化重合が好ましい。ラジカル重合開始剤および(メタ)アクリル系モノマー、アリル系モノマー、スチレン類から選ばれた1種以上、必要に応じて乳化剤、連鎖移動剤、反応停止剤、触媒などを用いた反応系で加熱によりラジカルを発生させる乳化重合を行なう方法が好ましい。
【0029】
前述の1,2−アルキレングリコールが炭素数4〜10の1,2−アルキレングリコールであり、添加量が15%以下であることを特徴とする。1,2−アルキレングリコールの中で炭素数が3以下のものは浸透性の向上の効果が低い。炭素数が15を超えると水溶性が低いので本発明のような水溶性インクには使用しづらく、エチレンオキシを付加した構造やスルホン酸基、燐酸基などの水溶性基を導入する必要が生じる。炭素数が4以上の場合はこのような水溶性基を導入した構造でも構わず、そうすると炭素数は30以下であればよい。そして添加量は15%以下であることが好ましい。15%を超えると浸透性も頭打ちになりそれ以上添加しても印字品質向上の効果がなく、逆に粘度が増加するので使用しづらくなる。
【0030】
そして、前述の1,2−アルキレングリコールが1,2−ペンタンジオール(1,2−PD)および/または1,2−ヘキサンジオール(1,2−HD)であり、前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量が0.5%以上のときは前述の1,2−アルキレングリコールとの比が1:0〜1:10であることが好ましい。1,2−アルキレングリコールとしてそのまま用いて効果が高いのは1,2−ペンタンジオールおよび/または1,2−ヘキサンジオールである。1,2−ペンタンジオールは3〜15%が好ましい。3%未満のものは浸透性の向上の効果が低く、炭素数が15%を超えると水溶性が低いので本発明のような水溶性インクには使用しづらい。1,2−ヘキサンジオールは0.5〜10%が好ましい。0.5%未満のものは浸透性の向上の効果が低く、炭素数が10を超えると水溶性が低いので本発明のような水溶性インクには使用しづらい。前述のアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量が0.5%以上のときはその1,2−アルキレングリコールとの比が1:0〜1:10の間が印字品質の観点から好ましく、1,2−アルキレングリコールがアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の10倍を超えると印字品質の向上効果が頭打ちでありそれ以上添加しても効果が低く、逆に粘度上昇の弊害を生じる。
【0031】
前述の(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルの添加量が10%以下であることを特徴とする。(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルとはプロピレングリコール(PGmBE)および/またはジプロピレングリコール(DPGmBE)を示すが、浸透性の必要レベルとして、10%以下の添加が好ましい。
10%を超えると印字品質向上の効果が頭打ちであり、逆に粘度上昇の弊害と水溶性が低いので溶解助剤の添加が必要になってくる。より好ましくは0.5〜5%である。
ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルとはジエチレングリコールモノブチルエーテル(DEGmBE)および/またはトリエチレングリコールモノブチルエーテル(TEGmBE)を示すが、浸透性の必要レベルとして、20%以下の添加が好ましい。20%を超えると印字品質向上の効果が頭打ちであり、逆に粘度上昇の弊害が生じる。より好ましくは0.5〜10%である。
【0032】
水性インク中でもインクジェットに用いる場合これらの顔料としての添加量は、0.5〜30%が好ましいが、1.0〜12%がさらに好ましい。これ以下の添加量では、印字濃度が確保できなくなり、またこれ以上の添加量では、インクの粘度増加や粘度特性に構造粘性が生じ、インクジェットヘッドからのインクの吐出安定性が悪くなる傾向になる。
【0033】
また、顔料の粒経は1μm以下が好ましく、より好ましくは0.3μm以下の粒子からなる顔料を、さらに好ましくは0.01〜0.15μmの粒子からなる顔料が好ましい。
【0034】
分散方法は超音波分散、ビーズミル、サンドミル、ロールミル、ナノマイザーあるいはジェットミルなどによる分散方法を用いることができるが、ナノマイザーあるいはジェットミルなど非メディア分散が好ましい。
【0035】
また、本発明の水性インクには表面張力を適正な範囲にするために少なくとも界面活性剤を添加してなることが好ましい。
【0036】
その界面活性剤がアセチレンアルコール系界面活性剤、アセチレングリコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上であることがさらに好ましい。これらの界面活性剤を用いることで普通紙上のにじみが特に低減され、専用紙上での線幅を適当な値に調整することが可能となる。
また、その水性インクに表面張力を適正の範囲にするため、少なくともアルキレングリコールモノアルキルエーテルおよび/または1,2−アルキレングリコールを添加してなることが好ましい。
【0037】
そのアルキレングリコールモノアルキルエーテルが繰り返し単位10以下のアルキレングリコールであって、且つ炭素数4〜10のアルキルエーテルであることが好ましい。
【0038】
前述のアルキレングリコールモノアルキルエーテルがジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエ−テルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルであることが好ましい。
【0039】
前述の1,2−アルキレングリコールが1,2−ヘキサンジオールおよび/または1,2−ペンタンジオールであることが好ましい。これらの添加により印字の乾燥性が向上し、連続して印刷しても前の印字部分が次の媒体の裏面に転写されることがなくなるため、特にインクジェット記録にあっては高速印字が可能となる。
【0040】
また、表面張力を適正の範囲にするため、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと、1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上の物質を含むインクであって、該物質の添加量が0.5%以上30%以下であることが好ましい。
【0041】
前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の物質の添加量が0.1%以上5%以下であることが好ましい。
【0042】
少なくとも前記アセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上と、を含むことが好ましい。
【0043】
前述のアセチレングリコール系界面活性剤、アセチレンアルコール系界面活性剤およびシリコン系界面活性剤から選ばれた1種以上の添加量が0.01%〜0.5%であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテル、(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルおよび1,2−アルキレングリコールから選ばれた1種以上の添加量が1%以上であることが好ましい。
【0044】
本発明において好ましく用いられるシリコン系界面活性剤としては、ビックケミー・ジャパン株式会社より、BYK−347、BYK−348(商品名)が利用可能である。
【0045】
そして、前述の分散体を用いることによって安定性の優れたインクジェット記録用インクとすることができる。さらに前述の分散体を筆記具用インクにも好適に用いることができる。
【0046】
本発明におけるインクジェット記録用インクとしては、その放置安定性の確保、インクジェットヘッドからの安定吐出のため、目詰まり改善のためあるいはインクの劣化防止のためなどの目的で保湿剤、溶解助剤、浸透制御剤、粘度調整剤、pH調整剤、溶解助剤、酸化防止剤、防腐剤、防黴剤、腐食防止剤、分散に影響を与える金属イオンを捕獲するためのキレート等種々の添加剤を添加することもできる。
【0047】
以下、それらを例示する。
【0048】
インクジェットのノズル面で乾燥を抑えるために水溶性のあるグリコール類を添加することが好ましく、その例としてはエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、分子量2000以下のポリエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、イソプロピレングリコール、イソブチレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、メソエリスリトール、ペンタエリスリトールなどがある。
【0049】
また、本発明においてはノズル前面でインクが乾燥して詰まることを抑制するために、多くの種類の糖類を用いることもできる。単糖類および多糖類があり、グルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等の他にアルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類を用いることができる。そしてその添加量は0.05%以上で30%以下がよい。0.05%未満ではインクがヘッドの先端で乾燥して詰まる目詰まり現象を回復させる効果は少なく、30%を超えるとインクの粘度が上昇して適切な印字ができなくなる。一般的な糖類である単糖類および多糖類のグルコース、マンノース、フルクトース、リボース、キシロース、アラビノース、ラクトース、ガラクトース、アルドン酸、グルシトース、マルトース、セロビオース、スクロース、トレハロース、マルトトリオース等のより好ましい添加量は3〜20%である。アルギン酸およびその塩、シクロデキストリン類、セルロース類はインクにしたときの粘度が高くなり過ぎない程度の添加量にする必要がある。
【0050】
その他に水と相溶性を有し、インクに含まれる水との溶解性の低いグリコールエーテル類やインク成分の溶解性を向上させ、さらに被記録体たとえば紙に対する浸透性を向上させ、あるいはノズルの目詰まりを防止するために用いることのできるものとして、エタノール、メタノール、ブタノール、プロパノール、イソプロパノールなどの炭素数1から4のアルキルアルコール類、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジエチレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、エチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、トリエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、ジエチレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、1−メチル−1−メトキシブタノール、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノ−t−ブチルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−プロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−iso−プロピルエーテル、プロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノ−n−ブチルエーテルなどのグリコールエーテル類、ホルムアミド、アセトアミド、ジメチルスルホキシド、ソルビット、ソルビタン、アセチン、ジアセチン、トリアセチン、スルホラン、パラトルエンスルホンアミド、パラトルエンスルホンアミド−4−エチレンオキシ付加物などがあり、これらを適宜選択して使用することができる。
【0051】
また、本発明になるインクにはさらに紙や特殊紙等の媒体への浸透性を制御するため、他の界面活性剤を添加することも可能である。添加する界面活性剤は本実施例に示すインク系との相溶性のよい界面活性剤が好ましく、界面活性剤のなかでも浸透性が高く安定なものがよい。その例としては、両性界面活性剤、非イオン界面活性剤などがあげられる。両性界面活性剤としてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、2−アルキル−N−カルボキシメチル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルジメチルアミノ酢酸ベタイン、ポリオクチルポリアミノエチルグリシンその他イミダゾリン誘導体などがある。非イオン界面活性剤としては、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンオクチルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンドデシルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル(ポリオキシプロピレンポリオキシエチレンアルキルエーテル)などのエーテル系、ポリオキシエチレンオレイン酸、ポリオキシエチレンオレイン酸エステル、ポリオキシエチレンジステアリン酸エステル、ソルビタンラウレート、ソルビタンモノステアレート、ソルビタンモノオレエート、ソルビタンセスキオレート、ポリオキシエチレンモノオレエート、ポリオキシエチレンステアレートなどのエステル系、その他フッ素アルキルエステル、パーフルオロアルキルカルボン酸塩などの含フッ素系界面活性剤などがある。
【0052】
また、pH調整剤、溶解助剤あるいは酸化防止剤としてジエタノールアミン、トリエタノールアミン、プロパノールアミン、モルホリンなどのアミン類およびそれらの変成物、水酸化カリウム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウムなどの無機塩類、水酸化アンモニウム、4級アンモニウム水酸化物(テトラメチルアンモニウムなど)、炭酸(水素)カリウム、炭酸(水素)ナトリウム、炭酸(水素)リチウムなどの炭酸塩類その他燐酸塩など、あるいはN−メチル−2−ピロリドン、尿素、チオ尿素、テトラメチル尿素などの尿素類、アロハネート、メチルアロハネートなどのアロハネート類、ビウレット、ジメチルビウレット、テトラメチルビウレットなどのビウレット類など、L−アスコルビン酸およびその塩などがある。また、市販の酸化防止剤、紫外線吸収剤なども用いることができる。その例としてはチバガイギーのTinuvin328、900、1130、384、292、123、144、622、770、292、Irgacor252、153、Irganox1010、1076、1035、MD1024など、あるいはランタニドの酸化物などがある。
【0053】
さらに、粘度調整剤としては、ロジン類、アルギン酸類、ポリビニルアルコール、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリル酸塩、ポリビニルピロリドン、アラビアゴムスターチなどがある。
【0054】
防腐剤はアルキルイソチアゾロン、クロルアルキルイソチアゾロン、ベンズイソチアゾロン、ブロモニトロアルコール、オキサゾリジン系化合物および/またはクロルキシレノールなどが挙げられ、キレート剤はエチレンジアミン酢酸塩、ニトリロ三酢酸塩等が挙げられ、防錆剤はジシクロヘキシルアンモニウムニトラート、ベンゾトリアゾールなどが挙げられる。
【0055】
防腐剤として、アルキルイソチアゾロンの中でオクチルイソチアゾロンを有効成分とするものが(例えばNS−800H、NS800G、NS−800P:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。クロルアルキルイソチアゾロンとしてはクロルイソメチルチアゾロンを有効成分とするものが(例えばNS−500W、NS−80D、NS−CG、NS−TM、NS−RS:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。ベンズイソチアゾロンを有効成分とするものが(例えばプロキセルBDN、プロキセルBD20、プロキセルGXL、プロキセルLV、プロキセルTN:以上ゼネカ(英国)、デニサイドBIT、デニサイドNIPA:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。ブロモニトロアルコールを有効成分とするものが(例えばブロノポール、ミアサイドBT、ミアサイドAS:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。クロルキシレノールを有効成分とするものが(例えばPCMX:ナガセ化成工業株式会社)市販されている。また、オキサゾリジン系化合物やこれらの成分の混合物あるいは変性物を有効成分とするものが用途に応じて(例えばNS−BP、デニサイドBIT−20N、デニサイドSPB、サニセットHP、マイクロスタットS520、サニセットSK2、デニサイドNS−100、デニサイドBF−1、デニサイドC3H、サニセット161、デニサイドCSA、デニサイドCST、デニサイドC3、デニサイドOMP、デニサイドXR−6、デニサイドNM、モルデナイズN760、デニサットP4、デニサットP−8、デニサットCHR:以上ナガセ化成工業株式会社)市販されている。この中でも水性インクにおいてはオキサゾリジン系化合物を有効成分とするもの、クロルイソメチルチアゾロンを有効成分とするものおよびベンズイソチアゾロンを有効成分とするものが効果が高い。また、これら防腐剤は単独成分ではなく、構造があまり似通っていない2種以上用いた複合成分の方が耐性菌の抑制ができるので好ましい。
【0056】
エチレンジアミン酢酸塩としてはエチレンジアミン二酢酸遊離酸、エチレンジアミン四酢酸遊離酸、2ナトリウム塩、3ナトリウム塩、4ナトリウム塩があるが、2ナトリウム塩、3ナトリウム塩および4ナトリウム塩好ましい。ニトリロ三酢酸塩としてはニトリロ三酢酸遊離酸、1ナトリウム塩、2ナトリウム塩、3ナトリウム塩があるが、1ナトリウム塩、2ナトリウム塩および3ナトリウム塩好ましい。水性インクにおいてはリチウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、トリエタノールアミン塩なども有効である。このエチレンジアミン酢酸塩やニトリロ三酢酸塩等はインクのカートリッジやヘッド中のインク経路に金属イオンが存在し、それによって分子発色体の分散体や高分子微粒子が凝集や変質しないようにする効果がある。
【0057】
防錆剤としてはジシクロヘキシルアンモニウムニトラート、ベンゾトリアゾールが有効である。この防錆剤ヘッド材料が金属で形成されているときの防錆剤であり、特にノズルの前面が錆びるとインクの飛びが悪くなるのでメッキ面など錆び易い場合に有効である。
【0058】
【実施例】
次に、本発明を実施例等を用いてさらに詳しく説明するが、本発明は斯かる実施例に何ら限定されるものではない。また、水性インクとしてインクジェット記録用インクを例に説明する。
(分散体1〜4の製造)
まず、分散体1はジクロロ銅フタロシアニン(山陽色素製)を用いる。攪拌機、温度計、還流管および滴下ロートをそなえた反応容器を窒素置換した後、スチレン20部、2−エチルヘキシルメタクリレート5部、ブチルメタクリレート15部、ラウリルメタクリレート10部、メタクリル酸2部、t―ドデシルメルカプタン0.3部を入れて70℃に加熱し、別に用意したスチレン150部、アクリル酸15部、ブチルメタクリレート50部、t−ドデシルメルカプタン1部、メチルエチルケトン20部およびアゾビスイソブチロニトリル1部を滴下ロートに入れて4時間かけて反応容器に滴下しながら分散ポリマーを重合反応させる。次に、反応容器にメチルエチルケトンを添加して40%濃度の分散ポリマー溶液を作成する。
【0059】
また、上記分散ポリマー溶液40部とジクロロ銅フタロシアニン(山陽色素製)30部、0.1mol/Lの水酸化ナトリウム水溶液100部、メチルエチルケトン30部を混合し、ホモジナイザーで30分攪拌する。その後、イオン交換水を300部添加して、さらに1時間攪拌する。そして、ロータリーエバポレーターを用いてメチルエチルケトンの全量と水の一部を留去して、0.1mol/Lの水酸化ナトリウムで中和してpH9に調整してから0.3μmのメンブレンフィルターでろ過して固形分(分散ポリマーとカーボンブラック)が20%である分散体1とする。
【0060】
上記と同様な手法で分散体2〜4を得る。分散ポリマーと顔料の重量比が20:80になるように調整する。分散体2はトリクロロ銅フタロシアニン(山陽色素製)を用いる。分散体3はテトラクロロ銅フタロシアニン(山陽色素製)を用いる。分散体4はペンタクロロ銅フタロシアニン(山陽色素製)を用いる。
(分散体5〜8の製造)
分散体5〜8は分散体1〜4と同様に作成する。分散体5はカーボンブラックであるレーベンC(コロンビアンカーボン製)、分散体6はピグメントブルー15:3(銅フタロシアニン顔料:クラリアント製)を用いる。分散体7はピグメントレッド122(ジメチルキナクリドン:ラリアント製)を用いる。分散体8はピグメントイエロー74(縮合アゾ顔料:クラリアント製)を用いる。
(インクジェットインクの調製例)
以下水性インクの具体例としてのインクジェット記録用インクに好適な組成の例を示す。分散体の添加量はその量(固形分濃度:顔料と分散ポリマーの合計量)を重量で換算したものとして示す。尚、本組成例中の残量の水の中にはインクの腐食防止のためトップサイド240(パーマケムアジア社製)を0.05%、インクジェットヘッド部材の腐食防止のためベンゾトリアゾールを0.02%、インク系中の金属イオンの影響を低減するためにEDTA(エチレンジアミン四酢酸)・2Na塩を0.04%それぞれイオン交換水に添加したものを用いた。各インク組成を表1に示す。
【0061】
【表1】
Figure 2004339282
表1中
TEGmBE:トリエチレングリコールモノブチルエーテル
オルフィンE1010(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
DEGmBE:ジエチレングリコールモノブチルエーテル
オルフィンSTG(アセチレングリコール系界面活性剤:日信化学工業株式会社製)
サーフィノール61(アセチレンアルコール系界面活性剤:エアープロダクツ(米国)製)
DPGmBE:ジプロピレングリコールモノブチルエーテル
PGmBE:プロピレングリコールモノブチルエーテル
をそれぞれ示す。
【0062】
表2に耐ガス性の評価結果を示す。ガスの例としてはオゾンを用いた例を示す。組成例1〜8のインクジェット記録用インクを用いて、EM930Cの普通紙ファインモードでXerox4024紙に印字したものを試験片として、50ppm、100ppmおよび200ppmで200時間放置したときのOD低下率(%)の値として示す。
【0063】
【表2】
Figure 2004339282
表2の結果から明らかなように、塩素置換銅フタロシアニンを含む組成例1、2、3および4のシアンインクである用いることで、C.I.ピグメントブルー15:3を含む組成例6のインクを用いるより耐ガス性が向上することがわかる。
【0064】
次に、表3に記録物色の光源依存性の評価方法として、メタメリズムの評価について示す。本発明である組成1、2、3および4のシアンを用いたものと、比較のために組成6(ピグメントブルー15:3)を用いたものについて示す。他のマゼンタ色は組成7、イエロー色は組成8を用いた。光源依存性は具体的にはD2光源とF11光源を用いたときのグレイ色の色調の変化量ΔEの最大値の絶対値を示す。ここで、グレイはシアン、マゼンタおよびイエローの3色を用いて作成するコンポジットグレイである。
【0065】
【表3】
Figure 2004339282
表3の結果から明らかなように、本発明の水性インクセットでは光源依存性が低いことがわかる。
【0066】
また、表4に印字の評価結果として文字を印字したときのにじみの評価結果を示す。表4中のにじみはマイクロソフト社製WARDのMS明朝、フォントサイズ10.5において「書」の文字がつながりなく印字できるものをA、1個所つながってしまうものをB、2または3個所つながってしまうものをC、4個所以上つながってしまうものをDとして示す。表4において実施例中の組成例1、2、3および4は表1に示す組成と同一である。組成例11、12、13および14はそれぞれ表1における組成例1、2、3および4において、分散体以外を組成例6にしたものである。比較例の組成21、22、23および24はそれぞれ表1における組成例1、2、3および4において、本発明で好適に用いることのできるアセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上からなる物質を除いて、その代りにグリセリンを添加したものである。
【0067】
【表4】
Figure 2004339282
表4の結果から明らかなように比較例で用いるようなインクは印字品質が悪く、本発明で用いるインクジェット記録用インクを用いると印字品質が良好なことが分かる。
【0068】
尚、これらの印字評価の測定はセイコーエプソン株式会社製のインクジェットプリンターEM−930Cを用いることによって行なった。これらの評価に用いた紙は、ヨーロッパ、アメリカおよび日本の市販されている普通の紙でConqueror紙、Favorit紙、Modo Copy紙、Rapid Copy紙、EPSON EPP紙、Xerox 4024紙、Xerox 10紙、Neenha Bond紙、Ricopy 6200紙、やまゆり紙、Xerox R紙である。
【0069】
以上のように、本発明においては印字画像の紙等の被記録体に対するにじみが低減される高品質で実用性の高いインクジェット記録用インクを提供することができる。
【0070】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の水性インクが含んでなる銅フタロシアニン分子の構造を示したものである。

Claims (10)

  1. (a)顔料と、(b)水と、(c)アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと、1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上と、を含有する水性インクであって、該顔料が8個以下の塩素原子を置換した銅フタロシアニンであることを特徴とする水性インク。
  2. 前記(c)アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群より選ばれる1種以上の添加量が0.5重量%以上30重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性インク。
  3. 前記アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤を5重量%以下含むことを特徴とする請求項1または2に記載の水性インク。
  4. 前記アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤と、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群から選ばれる1種以上と、を同時に添加してなることを特徴とする請求項1に記載の水性インク。
  5. 前記アセチレングリコールおよび/またはアセチレンアルコール系界面活性剤の添加量が0.1重量%以上0.5重量%以下であり、ジ(トリ)エチレングリコールモノブチルエーテルおよび/または(ジ)プロピレングリコールモノブチルエーテルと1,2−アルキレングリコールとからなる群から選ばれる1種以上の添加量が1重量%以上であることを特徴とする請求項4に記載の水性インク。
  6. 前記1,2−アルキレングリコールが炭素数4〜10の1,2−アルキレングリコールであり、その添加量が10重量%以下であることを特徴とする請求項1に記載の水性インク。
  7. 前記1,2−アルキレングリコールが1,2−ペンタンジオールまたは1,2−ヘキサンジオールであることを特徴とする請求項6に記載の水性インク。
  8. 前記顔料が、分散ポリマーで包含されてなることを特徴とする請求項1〜7のいずれかに記載の水性インク。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の水性インクと、C.I.ピグメントイエロー74を含むイエローインクと、C.I.ピグメントレッド122を有するマゼンタインクとからなる水性インクセット。
  10. さらにカーボンブラックを含むブラックインクを有する請求項9に記載の水性インクセット。
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