JP2004338231A - 画像露光装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】にじみの少ないカラー感光材料を使用して、高精細かつ高鮮鋭な画像を記録し、にじみの影響を受けがたい高品質、高精細なカラープリントを実現する。
【解決手段】露光制御部21は、画像データを基本階調に変換するためのLUTと、点画像及び線画像領域に適用する点、線画用の階調に変換するためのLUTとを備える。階調変換処理では、まず入力された露光用画像データの画像解析を行って点画像及び線画像を検出する。そして、画像から点画像又は線画像が検出された場合は、当該検出された点画像及び線画像の画像領域には点、線画用の階調に応じたLUTを用いて、点画像及び線画像を除くの他の画像領域には基本階調に応じたLUTを用いて階調変換を行う。
【選択図】 図2
【解決手段】露光制御部21は、画像データを基本階調に変換するためのLUTと、点画像及び線画像領域に適用する点、線画用の階調に変換するためのLUTとを備える。階調変換処理では、まず入力された露光用画像データの画像解析を行って点画像及び線画像を検出する。そして、画像から点画像又は線画像が検出された場合は、当該検出された点画像及び線画像の画像領域には点、線画用の階調に応じたLUTを用いて、点画像及び線画像を除くの他の画像領域には基本階調に応じたLUTを用いて階調変換を行う。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー感光記録材料に対して露光ビームを走査して画像を形成する画像露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像露光装置は、画像データに基づいて感光記録材料に露光ビームを走査することにより、感光記録材料上に画像を形成するものであり、写真等のカラープリントでは、露光画素密度が300〜400dpiのものが一般的に普及している。カラープリントでは、ハロゲン化銀カラー感光記録材料等からなるカラーペーパーが利用され、露光量を変調することで8〜14ビットの階調を実現し、視覚的、質感的に高画質なプリントを実現することができる。
【0003】
上記カラーペーパーは通常、露光ビームが走査されて露光されると、ハロゲン化銀が感光された部分に潜像を生じ、次工程の各処理プロセス(発色現像→漂白定着→安定化又は水洗→乾燥)において画像(色素画像)が形成されるが、この画像の最大画素濃度Dmax付近では、Dmaxを与える最低露光量以上の露光量を与えた場合、発色濃度はDmaxで飽和するものの、カラーペーパーは過剰な露光量によってにじみを生じ、線画像や点画像においては視覚的にぼけた画像となって、文字品位や細部描写の低下を引き起こすことがある。
【0004】
一方、カラーペーパー上で低濃度〜中間濃度領域の画像を再現する場合、線画像や点画像は、人の視認感度を下回り、それらの画像が認識しがたくなることがあるため、従来の技術では画像ににじみを生じさせるように感光材料を設計することで、実質上の濃度増加をもたらし、低濃度〜中間濃度領域の画像が人の目にも見やすくなるように調整されていた。
【0005】
しかしながらそれでは、画像に含まれる文字(例えば、ひらがなやカタカナの濁点等)、人物のほくろ等の点画像や、髪の毛、文字等の線画像、被写体の輪郭部分や樹木の枝や葉のエッジ等の、鮮鋭性が要求される繊細な画像部分を細かく表現することができないことに加え、Dmax濃度領域においてはよりにじみを生じさせる結果となり、プリント品質の低下を招いてしまうことがあった。さらに、露光対象の画像に含まれるエッジ領域については、Dmax領域においてにじみにより混色が生じ、エッジ部分の鮮鋭度の低下を引き起こしたりすることがあった。
【0006】
また、露光画素密度を高精細にしていくと、1ドットの露光画素サイズが小さくなり、高画質な画像を実現することができるが、低濃度〜中間濃度領域の線画像や点画像は高精細であるためにさらに人の視認感度が低下し、見にくいという問題が生じる。この問題を解決するために、さらなる画像にじみを生じさせるような設計をカラー感光材料に施すことは、プリント画質のさらなる低下を招くこととなる。
【0007】
また、これらの問題を解決する手段として、画像ノイズや画質劣化が少なく、処理速度の速い鮮鋭性強調処理や変倍処理、画質調整処理を行うことができる画像処理方法及び画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像処理方法では、元画像データに空間フィルタ処理を施して処理済み画像データを作成する際に、各画素データ値の空間フィルタ処理前後のデータ変化量に所定の変化量上限値を設け、この変化量上限値を超えない強度の画像処理を施すことにより、画像ノイズや画像劣化の低減、処理速度の向上を実現することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−262094号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記画像処理方法においてもDmax付近における画像にじみの問題及び低濃度〜中間濃度領域の線画像や点画像、エッジ等の高精細描写には十分な効果が得られない。
【0010】
本発明の課題は、にじみの少ないカラー感光記録材料を使用して、高精細かつ高鮮鋭な画像を記録し、にじみの影響を受けがたい高品質、高精細なカラープリントを実現することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、
カラー発色成分を含有する感光記録材料に対して露光ビームを走査して画像を形成する露光部を備えた画像露光装置において、
露光対象の画像に含まれる点画像及び線画像については、画像の基本階調とは異なる階調に階調変換する露光制御部と、
前記階調変換された画像の濃度階調に基づいて、前記露光部における露光ビームの光量を変調する変調部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像露光装置において、
前記変調部は、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量よりも高い光量となるように光量変調することを特徴とする。
【0013】
請求項1、2に記載の発明によれば、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より高い光量となるように光量変調するので、低濃度の点画像及び線画像における露光量を増大させるように制御することができる。すなわち、カラー感光記録材料上において低濃度の点画像及び線画像の発色濃度を増大させることができる。従って、高精細な露光画素密度とした場合でも、点画像及び線画像の繊細な画像部分を感光記録材料上で人の視認性を維持しながら鮮鋭に再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像露光装置において、
前記変調部は、最大画素濃度付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、最大画素濃度付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調するので、高濃度の点画像及び線画像における露光量を抑えるように制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぐことができ、高濃度の点画像及び線画像をより鮮鋭に表現することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、
カラー発色成分を含有する感光記録材料に対して露光ビームを走査して画像を形成する露光部を備えた画像露光装置において、
露光対象の画像に含まれるエッジ領域については、画像の基本階調とは異なる階調に階調変換する露光制御部と、
前記階調変換された画像の濃度階調に基づいて、前記露光部における露光ビームの光量を変調する変調部と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の画像露光装置において、
前記変調部は、最大画素濃度付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像露光装置において、
露光画素密度が主走査方向及び副走査方向ともに400dpi以上であることを特徴とする。
【0019】
請求項4、5、6に記載の発明によれば、最大画素濃度付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調するので、高濃度のエッジ領域における露光量を抑えるよう制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぎ、にじみによる混色を防止することで鮮鋭度を向上させることができる。従って、画像露光装置の露光画素密度を主走査方向、副走査方向ともに400dpi以上と、高精細な露光画素密度とした場合でも、エッジ領域の繊細な画像部分を感光記録材料上で鮮鋭に再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、点画像及び線画像の画像領域に対しては他の画像領域に適用する基本階調と異なる階調に変換し、最大画素濃度Dmax付近では基本階調を与える露光量より低露光量となるような階調に、低濃度〜中間濃度領域では基本階調を与える露光量より高露光量となるような階調に変換することにより、Dmax付近の濃度を有する点画像及び線画像の鮮鋭度を向上させるとともに、低濃度〜中間濃度の点画像及び線画像のカラープリント上における濃度を調整して人の視認性を向上させる例を説明する。
【0022】
ここで、点画像とは、画像に含まれる被写体や図形、文字を構成する点状の画像をいい、例えば人物画像の瞳、衣服にプリントされた点模様、文字の点(例えば、ひらがなやカタカナの濁点やアルファベットの点、記号の点)等が挙げられる。なお、点画像は、画素1ドットから構成される点の画像であってもよい。
また、線画像とは、画像に含まれる被写体や図形、文字を構成する線状(直線、曲線を含む)の画像をいい、例えば人物の髪の毛、ひげやまつ毛、衣服のひだ、木の枝、葉の葉脈、文字の線等が挙げられる。線画像は、画素1ドットが縦横又は斜め方向に連続する、つまり1ドット単位で構成される線の画像であってもよい。
【0023】
まず、構成を説明する。
本実施の形態では、画像露光装置が、写真カラープリントを行うプリントシステムに備えられた例を説明する。
図1に、プリントシステム1を示す。
図1に示すように、プリントシステム1は、ホストコンピュータ100、画像露光装置200、現像処理装置300から構成される。なお、図1において実線で示す搬送ルートRは、カラー感光記録材料からなるカラーペーパーPが搬送される経路を示している。
【0024】
ホストコンピュータ100は、フィルムスキャナ110、フラッドベッドスキャナ120、モニタ130、キーボード140、メディアリーダ150、CD(Compact−Disk)ドライブ160を備えて構成される。
【0025】
ホストコンピュータ100は、プリントシステム1におけるプリント動作を統括的に制御するものであり、キーボード140を介して入力されるプリント指示に応じて、各部にプリント動作を実行させる。
【0026】
プリント時に、ホストコンピュータ100は、フィルムスキャナ110によりフィルムから読み取られた画像データ又はフラットベッドスキャナ120によりプリント画像から読み取られたR(赤色)、G(緑色)、B(青色)毎の画像データを露光用画像データとして画像露光装置200に出力する。また、メディアリーダ150又はCDドライブ160に装着されたメディアから読み出された画像データを画像露光装置200に出力する。
【0027】
次に、本発明に係る画像露光装置200について説明する。
画像露光装置200は、ホストコンピュータ100から入力された露光用画像データに基づいて、カラーペーパーPに露光ビームを走査して画像の潜像を形成するものである。画像露光装置200は、図1に示すように、搬送ユニット210、カッターユニット215、露光処理ユニット220、送出ユニット230から構成される。
【0028】
搬送ユニット210は、複数の搬送ローラ対を備えて、マガジンMに収納されているカラーペーパーPをカッターユニット215に搬送し、カッターユニット215において所定のサイズにカットされたカラーペーパーPを露光処理ユニット220に搬送する。
【0029】
露光処理ユニット220は、搬送ユニット210により搬送されたカラーペーパーPに露光ビームを走査して画像の潜像を形成するものである。
図2に、露光処理ユニット220の構成例を示す。
図2に示すように、露光処理ユニット220は、露光制御部21、変調部22、AOMドライバ24r、24g、24b、露光部30を備えて構成される。
【0030】
露光制御部21は、入力画像の画素値に対応する出力画像の出力値を示し、画像データを目的の階調に変換するための変換テーブルであるLUT(Look Up Table)を複数備え、ホストコンピュータ100から入力されたR、G、B毎の露光用画像データを所定のLUTを用いて階調変換し、変調部22へ出力する。
【0031】
露光制御部21は、後述する階調変換処理において、入力された露光用画像データの画像解析を行って点画像及び線画像の検出を行う。点画像及び線画像が検出されなかった場合は、全画像領域の階調を、予め最適な写真画質となるように求められた基本階調に変換する。一方、点画像又は線画像が検出された場合、点画像及び線画像を除くの他の画像領域については基本階調に階調変換し、点画像及び線画像の画像領域については点、線画用の階調に階調変換する。以下、基本階調と点、線画用の階調について説明する。
【0032】
図3は、基本階調と点、線画用の階調における画素濃度と露光量との対応関係を示した図である。図3に示すように、点、線画用の階調は、露光対象画像の最大濃度Dmax付近では、基本階調より小さな濃度階調を有する。つまり、基本階調を適用した場合より露光量が小さくなるように光量変調が行われる。このような点、線画用の階調を点画像及び線画像領域に適用することにより、点画像及び線画像の高濃度部分において露光量を抑えてカラーペーパーP上に現れるにじみを抑えることができ、より鮮鋭に点画像及び線画像を再現することができる。
【0033】
また、点、線画用の階調は、1/4〜1/2Dmaxの低濃度〜中間濃度領域では、基本階調より大きな濃度階調を有する。つまり、基本階調を適用した場合より露光量が大きくなるように光量変調が行われる。このような点、線画用の階調を点画像及び線画像に適用することにより、点画像及び線画像の低濃度部分において露光量を増大させ、カラーペーパーにおける発色濃度を増加させることにより、コントラストのついた点画像及び線画像を再現することができる。
【0034】
変調部22は、D/A変換回路23を備えて構成され、露光制御部21から入力されたR、G、B毎の露光用デジタル画像データをそれぞれアナログ画像信号に変換し、これら各画像信号に基づいてR、G、Bの各色に対応する光量制御信号を生成する。生成されたRに対応する光量制御信号はAOMドライバ24rに、Gに対応する光量制御信号はAOMドライバ24gに、Bに対応する光量制御信号はAOMドライバ24bに出力される。
【0035】
AOMドライバ24r、24g、24bは、各光源31r、31g、31bに対して設置される音響光学変調素子(以下、AOM素子という。)32r、32g、32bのそれぞれに対応し、変調部22から入力された光量制御信号に基づいて、各AOM素子32r、32g、32bの駆動電圧を制御する。
【0036】
露光部30は、R、G、Bの単色光をそれぞれ露光ビームとして発光する赤色の光源31r、緑色の光源31g、青色の光源31bと、各光源31r、31g、31bから出射された露光ビームを強度変調するAOM素子32r、32g、32bと、2次光をカットするスリット33aと、各色のビーム光径と直進性を調整するビームエキスパンダー34と、ビーム形状を整える33bと、露光ビームの進行方向を変更するためのミラー35a、35bと、副走査方向のビーム後継を調整するCY1レンズ36と、各色の露光ビームを1本の光軸に収束するプリズム37と、収束された露光ビームをペーパーに対して走査するためのポリゴンミラー38と、fθレンズやシリンドリカルレンズ等の結像レンズ群39と、図示していないものの、露光ビームの進行方向を変更する(露光部30の下部に設置される搬送機構221の方へ変更する。図2においては図に対して垂直下方向へ変更する。)ためのVミラーと、副走査方向の操作位置を調整するためのCY2ミラー等によって構成される。また、露光部30の下部には、カラーペーパーPを搬送する搬送機構221が設置されており、露光部30から走査された露光ビームによってカラーペーパーPが露光されながら搬送される。
なお、赤色の光源31rは半導体レーザからなり、緑色の光源31g、青色の光源31bは固体レーザ(SHGレーザ)、半導体レーザ、ガスレーザ等からなる。
【0037】
各光源31r、31g、31bから出射されたR、G、Bの露光ビームは、それぞれAOM素子32r、32g、32bにより強度変調される。強度変調された露光ビームは、ビームエキスパンダー34を通過してそのビーム光径が変換され、ミラー35a、35bで反射されてプリズム37に入射する。プリズム37に入射したR、G、Bの露光ビームは、1本の光軸に収束され、ポリゴンミラー38の反射面に入射し、結像レンズ群39を介して、搬送機構221により搬送ルートRの搬送方向に搬送されるカラーペーパーP上に集光される。このとき、ポリゴンミラー38の回転により、露光ビームはカラーペーパーP上を主走査方向に走査され、搬送機構221によりカラーペーパーPが搬送されることにより、露光ビームは副走査方向に走査される。つまり、主走査方向とは、カラーペーパーPの搬送方向と直交する方向をいい、副走査方向とは、カラーペーパーPの搬送方向をいう。
【0038】
露光処理ユニット220により画像の潜像が形成されたカラーペーパーPは、搬送機構により送出ユニット230に搬送される。送出ユニット230は、搬送ローラ対を備えて、露光処理ユニット220から搬送されたカラーペーパーPを現像処理装置300へ送り出す。
【0039】
図1に戻って現像処理装置300について説明する。
現像処理装置300は、画像露光装置200にから送出されたカラーペーパーPを発色現像する発色現像処理槽310と、発色現像されたカラーペーパーPを漂白定着処理する漂白定着処理槽320と、漂白処理定着されたカラーペーパーPを安定化処理する安定化処理部330と、安定化処理されたカラーペーパーPを乾燥処理する乾燥処理部340と、乾燥処理されたカラーペーパーPをカラープリントPEとして仕分けするソータ350と、を備えて構成される。
【0040】
ソータ350は、複数の排紙トレイを有し、ホストコンピュータ100からの指示に従って、現像処理装置300から送出されたプリントPEの仕分けを行って各排紙トレイに排出する。
【0041】
次に、上述した画像露光装置200の第1の実施の形態における動作を説明する。
図3は、画像露光装置200の露光制御部21により実行される階調変換処理を説明するフローチャートである。
【0042】
図3に示す階調変換処理では、ホストコンピュータ100から入力された露光用画像データの画像解析が行われ、点画像又は線画像の検出が行われる(ステップS1)。画像解析では、まず画像のエッジ成分の抽出が行われる。エッジ成分の抽出は、SobelフィルタやPrewittフィルタ等の公知のエッジ検出フィルタを適用することができる。そして、エッジ成分の抽出結果から、所定サイズで円状に並ぶエッジ画素を点画像として検出し、線状に並ぶエッジ画素を線画像として検出する。なお、線画像の検出には、VanderBrugやPatonの線検出オペレータ等、公知の検出手法を適用することとしてもよい。
【0043】
次いで、露光対象の画像に点画像又は線画像が検出されたか否かが判別され(ステップS2)、点画像又は線画像が検出されなかった場合は(ステップS2;N)、全画像領域に対し基本階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われ、全画像領域における階調が基本階調に変換される(ステップS3)。階調変換された露光用画像データは変調部22に出力され、本処理を終了する。
【0044】
一方、画像から点画像又は線画像が検出された場合(ステップS2;Y)、点画像及び線画像の画像領域については、点、線画用の階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われ、全画像領域から点画像及び線画像の画像領域を除いた画像領域については、基本階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われる(ステップS4)。階調変換された露光用画像データは、露光制御部21から変調部22に出力され(ステップS4)、本処理を終了する。
【0045】
変調部22では、露光用画像データに基づく光量変調が行われ、Dmax付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調に対する露光量より低い光量となるように、1/4〜1/2Dmaxの濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調に対する露光量より高い光量となるように光量変調される。
【0046】
以上のように、点画像及び線画像の画像領域については、最大画素濃度付近では、基本階調より低い濃度階調に変換することにより、高濃度の点画像及び線画像における露光量を抑えるように制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぐことができ、高濃度の点画像及び線画像をより鮮鋭に表現することができる。
【0047】
また、最大画素濃度に対して1/2〜1/4の濃度領域では、基本階調より高い濃度階調に変換することにより、低濃度の点画像及び線画像における露光量を増大させるよう制御することができる。すなわち、感光記録材料上で低濃度〜中間濃度の点画像及び線画像の発色濃度を増加させて人の視認性を向上させることができ、視覚的に見やすい画質を実現することができる。
【0048】
従って、高精細な露光画素密度とした場合でも、繊細な画像部分をカラーペーパー上でシャープに再現することができ、高画質なカラープリントを実現することができる。
【0049】
なお、本発明による効果は、露光画素密度が主走査方向及び副走査方向ともに高解像度である方がより大きな効果が得られる。
プリント上に形成される画素サイズが小さくなるほど、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度のような低濃度〜中間濃度領域で人の視認感度が低下する(より微細なサイズの点画像や線画像にしていくと、濃度計で測定すれば画像(濃度)が存在するにも関わらず、人の目では知覚できなくなる。)。また、プリント上に形成される画素サイズが小さくなるほど、相対的に画像にじみの影響が大きくなる。
【0050】
従って、写真感光材料のカラープリントにおいて、本発明により大きな効果が得られる好ましい条件としては、画素露光密度が主走査方向、副走査方向ともに400dpi(dot per inch)以上であり、この場合のプリント上の1ドットのサイズは、目視で視認可能な発色濃度として主走査方向及び副走査方向ともに65〜90μmが好ましい。65μm以下ではドット間に隙間が生じ、点画像や線画像の滑らかさが失われてしまい、90μm以上では視覚感度の影響のため、本発明による大きな効果が生じにくくなる。
【0051】
より好ましくは、主走査方向及び副走査方向ともに500〜600dpi以上の解像度であり、この場合のプリント上の1ドットのサイズは目視で視認可能な発色濃度として主走査方向及び副走査方向ともに500dpiで55〜90μm、600dpiで45〜90μmである(500dpiで55μm以下、600dpiで45μm以下ではドット間に隙間が生じ、点画像や線画像の滑らかさが失われてしまう。)。
【0052】
なお、ドット形状は、円形の他に上記解像度における好ましいドットサイズの範囲であれば、例えば楕円形のように主走査方向と副走査方向とで異なるサイズであってもよい。また、例えば400dpi(主走査方向)×800dpi(副走査方向)のように、主走査方向の画像解像度を上記の好ましいドットサイズの範囲に設定し、副走査方向は一部重ねて露光を行うこととして、副走査方向のドットサイズを大きく設定することとしてもよい。
【0053】
一方、主走査方向300dpi、副走査方向600dpiのような設定では、ドットサイズは主走査方向の300dpi(プリント上の1ドットサイズは、目視で視認可能な発色濃度として100〜120μm程度。)によって規定されるため、副走査方向が600dpiと高解像度であっても、副走査方向で一部重ねて露光を行った場合、主走査方向の解像度(ドットサイズ)によって点画像や線画像の解像度が規定されてしまい、本発明による大きな効果は生じがたい。
【0054】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、画像に含まれるエッジ領域については、最大画素濃度付近では基本階調を与える露光量より低露光量となるエッジ用の階調に変換することにより、カラー感光材料上で発生するにじみを防止し、高濃度のエッジ部分の鮮鋭度を向上させる例を説明する。
【0055】
まず、第2の実施の形態における画像露光装置の構成を説明するが、第2の実施の形態における画像露光装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、同一の符号を付してその図示を省略し、異なる構成部分についてのみ説明を行う。すなわち、第2の実施の形態において、画像露光装置100は、プリントシステム1に組み込まれており、搬送ユニット210、露光処理ユニット220、送出ユニット230から構成される。
【0056】
露光処理ユニット220の露光制御部21は、後述する第2の実施の形態における階調変換処理において、露光対象の画像からエッジ領域を検出する。画像からエッジ領域が検出されなかった場合には、最適な写真画質となるように予め求められた基本階調に全画像領域を階調変換する。一方、エッジ領域が検出された場合には、検出されたエッジ領域をエッジ用の階調に階調変換し、エッジ領域を除く他の画像領域を基本階調に階調変換する。以下、基本階調とエッジ用の階調について説明する。
【0057】
図5は、基本階調、エッジ用の階調における画素濃度と光量との相関関係を示す図である。
図5に示すように、エッジ用の階調は、露光対象画像の最大画素濃度Dmax付近では、基本階調より小さな濃度階調を有する。つまり、基本階調を適用した場合より露光量が小さくなる。このようなエッジ用の階調をエッジ領域に適用することにより、高画素濃度のエッジ領域において露光量を抑えて感光記録材料上に現れるにじみを抑え、より鮮鋭にエッジ領域を再現することができる。
【0058】
また、最小画素濃度Dminiから1/2Dmax付近までの低画素濃度領域では、エッジ用の階調は基本階調より大きい濃度階調を有する。つまり、基本階調を適用した場合より露光量が大きくなる。このようなエッジ用の階調をエッジ領域に適用することにより、低濃度のエッジ領域における露光量を増大させ、エッジ領域におけるコントラストを向上させることができる。なお、エッジ用の階調の低濃度画素領域については、基本階調と同一階調としてもよい。
【0059】
次に、第2の実施の形態における画像露光装置200の動作を説明する。
図6は、画像露光装置200の露光制御部21により実行される階調変換処理を説明するフローチャートである。
【0060】
図6に示す階調変換処理では、ホストコンピュータ100から入力された露光用画像データの画像解析が行われ、エッジ領域の検出が行われる(ステップS101)。画像解析では、画像のエッジ成分の抽出が行われる。エッジ成分の抽出は、SobelフィルタやPrewittフィルタ等の公知のエッジ検出フィルタを適用することができる。そして、抽出されたエッジ成分の情報に基づいてエッジ領域が検出される。
【0061】
画像解析が終了すると、露光対象の画像からエッジ領域が検出されたか否かが判別され(ステップS102)、エッジ領域が検出されない場合は(ステップS102;N)、全画像領域に対して基本階調に変換するためのLUTを用いて、階調変換が行われ、全画像領域における階調が基本階調に変換される(ステップS103)。階調変換された露光用画像データは変調部22に出力され、本処理を終了する。
【0062】
一方、画像からエッジ領域が検出された場合(ステップS102;Y)、エッジ領域については、エッジ用の階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われ、全画像領域からエッジ領域を除いた画像領域については、基本階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われる(ステップS104)。階調変換された露光用画像データは、露光制御部21から変調部22に出力され(ステップS105)、本処理を終了する。
【0063】
変調部22では、露光用画像データに基づく光量変調が行われ、Dmax付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調に対する露光量より小さい光量となるように、Dmini〜1/2Dmaxの濃度を有するエッジ領域については、基本改良に対する露光量より大きい光量となるように光量変調される。
【0064】
以上のように、エッジ領域に対して、最大画素濃度Dmax付近では、基本階調より低い濃度階調に変換するので、高濃度のエッジ領域における露光量を抑えるように制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぐことができ、高濃度のエッジ領域をより鮮鋭に表現することができる。
【0065】
また、最小画素濃度Dmini〜1/4Dmaxの濃度領域、つまり低濃度〜中間濃度の領域では、基本階調より高い濃度階調に変換することにより、低濃度のエッジ領域における露光量を増大させるよう制御することができる。すなわち、感光記録材料上で低濃度のエッジ領域のコントラスト、鮮鋭度を向上させることができ、視覚的に見やすい画質を実現することができる。
【0066】
従って、高精細な露光画素密度とした場合でも、繊細な画像部分をカラーペーパー上でシャープに再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【0067】
なお、本発明による効果は、露光画像密度が主走査方向及び副走査方向ともに高解像度である方がより大きな効果が得られる。
写真感光材料のカラープリントでは、解像度600dpi(プリント上では1ドットサイズが、目視で視認可能な発色濃度として45〜90μm程度)のにじみ量の比(にじみ量/発色濃度のサイズ)は、解像度300dpi(プリント上では1ドットサイズが、目視で視認可能な発色濃度として100〜120μm程度)のにじみ量の比よりも大きくなる。また、プリント上に形成される画素サイズが小さくなるほど、相対的に画像にじみの影響が大きくなり、画像のエッジ部分の混色による色濁りの影響が大きくなる。
【0068】
従って、写真感光材料のカラープリントにおいて、本発明により大きな効果が得られる好ましい条件としては、露光画素密度が主走査方向、副走査方向ともに400dpi以上であり、この場合のプリント上の1ドットのサイズは、目視で視認可能な発色濃度として主走査方向、副走査方向ともに65〜90μmである(65μm以下では、ドット間に隙間が生じ、エッジ部分の滑らかさが失われてしまう。また、90μm以上では400dpiの高解像度が画像の精細さに生かせない。)。
【0069】
また、より好ましくは主走査方向、副走査方向ともに500〜600dpi以上の解像度であり、この場合のプリント上の1ドットは目視で視認可能な発色濃度として主走査方向、副走査方向ともに500dpiで55〜90μm、600dpiで45〜90μmである(500dpiで55μm以下、600dpiで45μm以下では、ドット間に隙間が生じ、エッジ部分の滑らかさが失われてしまう。)。
【0070】
なお、ドット形状は、円形の他に上記解像度における好ましいドットサイズの範囲であれば、例えば楕円形のように主走査方向と副走査方向とで異なるサイズであってもよい。また、例えば、400dpi(主走査方向)×800dpi(副走査方向)のように、主走査方向の画像解像度を上記の好ましいドットサイズの範囲に設定し、副走査方向は一部重ねて露光を行うこととして、副走査方向のドットサイズは大きく設定することとしてもよい。
【0071】
なお、本実施の形態における記述内容は、本発明を適用した画像露光装置200の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0072】
例えば、上述した説明では、露光処理ユニット220において、AOM素子32r、32g、32bを備えて、各光源31r、31g、31bからそれぞれ出射された露光ビームを強度変調する例を示したが、光源としてレーザダイオードを適用し、光量制御信号に応じた駆動電流をこのレーザダイオードに印加することにより、露光ビームを直接変調することとしてもよく、種々の変調形態を適用することが可能である。
【0073】
また、予め各階調に変換するためのLUTを準備しておき、このLUTを用いて階調変換を行っていたが、これに限らず、露光を行う毎に露光対象の画像データのヒストグラム解析を行い、当該ヒストグラム解析結果からその都度、点画像、線画像、エッジ領域に最適な階調を算出して階調変換することとしてもよい。
【0074】
その他、本実施の形態における画像露光装置200の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0075】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の発明によれば、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より高い光量となるように光量変調するので、低濃度の点画像及び線画像における露光量を増大させるように制御することができる。すなわち、カラー感光記録材料上において低濃度の点画像及び線画像の発色濃度を増大させることができる。従って、高精細な露光画素密度とした場合でも、点画像及び線画像の繊細な画像部分を感光記録材料上で人の視認性を維持しながら鮮鋭に再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【0076】
請求項3に記載の発明によれば、最大画素濃度付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調するので、高濃度の点画像及び線画像における露光量を抑えるように制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぐことができ、高濃度の点画像及び線画像をより鮮鋭に表現することができる。
【0077】
請求項4、5、6に記載の発明によれば、最大画素濃度付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調するので、高濃度のエッジ領域における露光量を抑えるよう制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぎ、にじみによる混色を防止することで鮮鋭度を向上させることができる。従って、画像露光装置の露光画素密度を主走査方向、副走査方向ともに400dpi以上と、高精細な露光画素密度とした場合でも、エッジ領域の繊細な画像部分を感光記録材料上で鮮鋭に再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施の形態の画像露光装置200が組み込まれた、プリントシステム1のシステム構成を示す図である。
【図2】露光処理ユニット220の構成を示す図である。
【図3】基本階調、点、線画用の階調における画素濃度と露光量との対応関係を示す図である。
【図4】第1の実施の形態における階調変換処理を示すフローチャートである。
【図5】基本階調、エッジ用の階調における画素濃度と露光量との対応関係を示す図である。
【図6】第2の実施の形態における階調変換処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 プリントシステム
100 ホストコンピュータ
200 画像露光装置
220 露光処理ユニット
21 露光制御部
22 変調部
23 D/A変換回路
30 露光部
300 現像処理装置
【発明の属する技術分野】
本発明は、カラー感光記録材料に対して露光ビームを走査して画像を形成する画像露光装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
画像露光装置は、画像データに基づいて感光記録材料に露光ビームを走査することにより、感光記録材料上に画像を形成するものであり、写真等のカラープリントでは、露光画素密度が300〜400dpiのものが一般的に普及している。カラープリントでは、ハロゲン化銀カラー感光記録材料等からなるカラーペーパーが利用され、露光量を変調することで8〜14ビットの階調を実現し、視覚的、質感的に高画質なプリントを実現することができる。
【0003】
上記カラーペーパーは通常、露光ビームが走査されて露光されると、ハロゲン化銀が感光された部分に潜像を生じ、次工程の各処理プロセス(発色現像→漂白定着→安定化又は水洗→乾燥)において画像(色素画像)が形成されるが、この画像の最大画素濃度Dmax付近では、Dmaxを与える最低露光量以上の露光量を与えた場合、発色濃度はDmaxで飽和するものの、カラーペーパーは過剰な露光量によってにじみを生じ、線画像や点画像においては視覚的にぼけた画像となって、文字品位や細部描写の低下を引き起こすことがある。
【0004】
一方、カラーペーパー上で低濃度〜中間濃度領域の画像を再現する場合、線画像や点画像は、人の視認感度を下回り、それらの画像が認識しがたくなることがあるため、従来の技術では画像ににじみを生じさせるように感光材料を設計することで、実質上の濃度増加をもたらし、低濃度〜中間濃度領域の画像が人の目にも見やすくなるように調整されていた。
【0005】
しかしながらそれでは、画像に含まれる文字(例えば、ひらがなやカタカナの濁点等)、人物のほくろ等の点画像や、髪の毛、文字等の線画像、被写体の輪郭部分や樹木の枝や葉のエッジ等の、鮮鋭性が要求される繊細な画像部分を細かく表現することができないことに加え、Dmax濃度領域においてはよりにじみを生じさせる結果となり、プリント品質の低下を招いてしまうことがあった。さらに、露光対象の画像に含まれるエッジ領域については、Dmax領域においてにじみにより混色が生じ、エッジ部分の鮮鋭度の低下を引き起こしたりすることがあった。
【0006】
また、露光画素密度を高精細にしていくと、1ドットの露光画素サイズが小さくなり、高画質な画像を実現することができるが、低濃度〜中間濃度領域の線画像や点画像は高精細であるためにさらに人の視認感度が低下し、見にくいという問題が生じる。この問題を解決するために、さらなる画像にじみを生じさせるような設計をカラー感光材料に施すことは、プリント画質のさらなる低下を招くこととなる。
【0007】
また、これらの問題を解決する手段として、画像ノイズや画質劣化が少なく、処理速度の速い鮮鋭性強調処理や変倍処理、画質調整処理を行うことができる画像処理方法及び画像処理装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この画像処理方法では、元画像データに空間フィルタ処理を施して処理済み画像データを作成する際に、各画素データ値の空間フィルタ処理前後のデータ変化量に所定の変化量上限値を設け、この変化量上限値を超えない強度の画像処理を施すことにより、画像ノイズや画像劣化の低減、処理速度の向上を実現することができる。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−262094号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記画像処理方法においてもDmax付近における画像にじみの問題及び低濃度〜中間濃度領域の線画像や点画像、エッジ等の高精細描写には十分な効果が得られない。
【0010】
本発明の課題は、にじみの少ないカラー感光記録材料を使用して、高精細かつ高鮮鋭な画像を記録し、にじみの影響を受けがたい高品質、高精細なカラープリントを実現することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、
カラー発色成分を含有する感光記録材料に対して露光ビームを走査して画像を形成する露光部を備えた画像露光装置において、
露光対象の画像に含まれる点画像及び線画像については、画像の基本階調とは異なる階調に階調変換する露光制御部と、
前記階調変換された画像の濃度階調に基づいて、前記露光部における露光ビームの光量を変調する変調部と、
を備えることを特徴とする。
【0012】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の画像露光装置において、
前記変調部は、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量よりも高い光量となるように光量変調することを特徴とする。
【0013】
請求項1、2に記載の発明によれば、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より高い光量となるように光量変調するので、低濃度の点画像及び線画像における露光量を増大させるように制御することができる。すなわち、カラー感光記録材料上において低濃度の点画像及び線画像の発色濃度を増大させることができる。従って、高精細な露光画素密度とした場合でも、点画像及び線画像の繊細な画像部分を感光記録材料上で人の視認性を維持しながら鮮鋭に再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【0014】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の画像露光装置において、
前記変調部は、最大画素濃度付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調することを特徴とする。
【0015】
請求項3に記載の発明によれば、最大画素濃度付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調するので、高濃度の点画像及び線画像における露光量を抑えるように制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぐことができ、高濃度の点画像及び線画像をより鮮鋭に表現することができる。
【0016】
請求項4に記載の発明は、
カラー発色成分を含有する感光記録材料に対して露光ビームを走査して画像を形成する露光部を備えた画像露光装置において、
露光対象の画像に含まれるエッジ領域については、画像の基本階調とは異なる階調に階調変換する露光制御部と、
前記階調変換された画像の濃度階調に基づいて、前記露光部における露光ビームの光量を変調する変調部と、
を備えることを特徴とする。
【0017】
請求項5に記載の発明は、請求項3に記載の画像露光装置において、
前記変調部は、最大画素濃度付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調することを特徴とする。
【0018】
請求項6に記載の発明は、請求項1〜5の何れか一項に記載の画像露光装置において、
露光画素密度が主走査方向及び副走査方向ともに400dpi以上であることを特徴とする。
【0019】
請求項4、5、6に記載の発明によれば、最大画素濃度付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調するので、高濃度のエッジ領域における露光量を抑えるよう制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぎ、にじみによる混色を防止することで鮮鋭度を向上させることができる。従って、画像露光装置の露光画素密度を主走査方向、副走査方向ともに400dpi以上と、高精細な露光画素密度とした場合でも、エッジ領域の繊細な画像部分を感光記録材料上で鮮鋭に再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、図を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0021】
〈第1の実施の形態〉
第1の実施の形態では、点画像及び線画像の画像領域に対しては他の画像領域に適用する基本階調と異なる階調に変換し、最大画素濃度Dmax付近では基本階調を与える露光量より低露光量となるような階調に、低濃度〜中間濃度領域では基本階調を与える露光量より高露光量となるような階調に変換することにより、Dmax付近の濃度を有する点画像及び線画像の鮮鋭度を向上させるとともに、低濃度〜中間濃度の点画像及び線画像のカラープリント上における濃度を調整して人の視認性を向上させる例を説明する。
【0022】
ここで、点画像とは、画像に含まれる被写体や図形、文字を構成する点状の画像をいい、例えば人物画像の瞳、衣服にプリントされた点模様、文字の点(例えば、ひらがなやカタカナの濁点やアルファベットの点、記号の点)等が挙げられる。なお、点画像は、画素1ドットから構成される点の画像であってもよい。
また、線画像とは、画像に含まれる被写体や図形、文字を構成する線状(直線、曲線を含む)の画像をいい、例えば人物の髪の毛、ひげやまつ毛、衣服のひだ、木の枝、葉の葉脈、文字の線等が挙げられる。線画像は、画素1ドットが縦横又は斜め方向に連続する、つまり1ドット単位で構成される線の画像であってもよい。
【0023】
まず、構成を説明する。
本実施の形態では、画像露光装置が、写真カラープリントを行うプリントシステムに備えられた例を説明する。
図1に、プリントシステム1を示す。
図1に示すように、プリントシステム1は、ホストコンピュータ100、画像露光装置200、現像処理装置300から構成される。なお、図1において実線で示す搬送ルートRは、カラー感光記録材料からなるカラーペーパーPが搬送される経路を示している。
【0024】
ホストコンピュータ100は、フィルムスキャナ110、フラッドベッドスキャナ120、モニタ130、キーボード140、メディアリーダ150、CD(Compact−Disk)ドライブ160を備えて構成される。
【0025】
ホストコンピュータ100は、プリントシステム1におけるプリント動作を統括的に制御するものであり、キーボード140を介して入力されるプリント指示に応じて、各部にプリント動作を実行させる。
【0026】
プリント時に、ホストコンピュータ100は、フィルムスキャナ110によりフィルムから読み取られた画像データ又はフラットベッドスキャナ120によりプリント画像から読み取られたR(赤色)、G(緑色)、B(青色)毎の画像データを露光用画像データとして画像露光装置200に出力する。また、メディアリーダ150又はCDドライブ160に装着されたメディアから読み出された画像データを画像露光装置200に出力する。
【0027】
次に、本発明に係る画像露光装置200について説明する。
画像露光装置200は、ホストコンピュータ100から入力された露光用画像データに基づいて、カラーペーパーPに露光ビームを走査して画像の潜像を形成するものである。画像露光装置200は、図1に示すように、搬送ユニット210、カッターユニット215、露光処理ユニット220、送出ユニット230から構成される。
【0028】
搬送ユニット210は、複数の搬送ローラ対を備えて、マガジンMに収納されているカラーペーパーPをカッターユニット215に搬送し、カッターユニット215において所定のサイズにカットされたカラーペーパーPを露光処理ユニット220に搬送する。
【0029】
露光処理ユニット220は、搬送ユニット210により搬送されたカラーペーパーPに露光ビームを走査して画像の潜像を形成するものである。
図2に、露光処理ユニット220の構成例を示す。
図2に示すように、露光処理ユニット220は、露光制御部21、変調部22、AOMドライバ24r、24g、24b、露光部30を備えて構成される。
【0030】
露光制御部21は、入力画像の画素値に対応する出力画像の出力値を示し、画像データを目的の階調に変換するための変換テーブルであるLUT(Look Up Table)を複数備え、ホストコンピュータ100から入力されたR、G、B毎の露光用画像データを所定のLUTを用いて階調変換し、変調部22へ出力する。
【0031】
露光制御部21は、後述する階調変換処理において、入力された露光用画像データの画像解析を行って点画像及び線画像の検出を行う。点画像及び線画像が検出されなかった場合は、全画像領域の階調を、予め最適な写真画質となるように求められた基本階調に変換する。一方、点画像又は線画像が検出された場合、点画像及び線画像を除くの他の画像領域については基本階調に階調変換し、点画像及び線画像の画像領域については点、線画用の階調に階調変換する。以下、基本階調と点、線画用の階調について説明する。
【0032】
図3は、基本階調と点、線画用の階調における画素濃度と露光量との対応関係を示した図である。図3に示すように、点、線画用の階調は、露光対象画像の最大濃度Dmax付近では、基本階調より小さな濃度階調を有する。つまり、基本階調を適用した場合より露光量が小さくなるように光量変調が行われる。このような点、線画用の階調を点画像及び線画像領域に適用することにより、点画像及び線画像の高濃度部分において露光量を抑えてカラーペーパーP上に現れるにじみを抑えることができ、より鮮鋭に点画像及び線画像を再現することができる。
【0033】
また、点、線画用の階調は、1/4〜1/2Dmaxの低濃度〜中間濃度領域では、基本階調より大きな濃度階調を有する。つまり、基本階調を適用した場合より露光量が大きくなるように光量変調が行われる。このような点、線画用の階調を点画像及び線画像に適用することにより、点画像及び線画像の低濃度部分において露光量を増大させ、カラーペーパーにおける発色濃度を増加させることにより、コントラストのついた点画像及び線画像を再現することができる。
【0034】
変調部22は、D/A変換回路23を備えて構成され、露光制御部21から入力されたR、G、B毎の露光用デジタル画像データをそれぞれアナログ画像信号に変換し、これら各画像信号に基づいてR、G、Bの各色に対応する光量制御信号を生成する。生成されたRに対応する光量制御信号はAOMドライバ24rに、Gに対応する光量制御信号はAOMドライバ24gに、Bに対応する光量制御信号はAOMドライバ24bに出力される。
【0035】
AOMドライバ24r、24g、24bは、各光源31r、31g、31bに対して設置される音響光学変調素子(以下、AOM素子という。)32r、32g、32bのそれぞれに対応し、変調部22から入力された光量制御信号に基づいて、各AOM素子32r、32g、32bの駆動電圧を制御する。
【0036】
露光部30は、R、G、Bの単色光をそれぞれ露光ビームとして発光する赤色の光源31r、緑色の光源31g、青色の光源31bと、各光源31r、31g、31bから出射された露光ビームを強度変調するAOM素子32r、32g、32bと、2次光をカットするスリット33aと、各色のビーム光径と直進性を調整するビームエキスパンダー34と、ビーム形状を整える33bと、露光ビームの進行方向を変更するためのミラー35a、35bと、副走査方向のビーム後継を調整するCY1レンズ36と、各色の露光ビームを1本の光軸に収束するプリズム37と、収束された露光ビームをペーパーに対して走査するためのポリゴンミラー38と、fθレンズやシリンドリカルレンズ等の結像レンズ群39と、図示していないものの、露光ビームの進行方向を変更する(露光部30の下部に設置される搬送機構221の方へ変更する。図2においては図に対して垂直下方向へ変更する。)ためのVミラーと、副走査方向の操作位置を調整するためのCY2ミラー等によって構成される。また、露光部30の下部には、カラーペーパーPを搬送する搬送機構221が設置されており、露光部30から走査された露光ビームによってカラーペーパーPが露光されながら搬送される。
なお、赤色の光源31rは半導体レーザからなり、緑色の光源31g、青色の光源31bは固体レーザ(SHGレーザ)、半導体レーザ、ガスレーザ等からなる。
【0037】
各光源31r、31g、31bから出射されたR、G、Bの露光ビームは、それぞれAOM素子32r、32g、32bにより強度変調される。強度変調された露光ビームは、ビームエキスパンダー34を通過してそのビーム光径が変換され、ミラー35a、35bで反射されてプリズム37に入射する。プリズム37に入射したR、G、Bの露光ビームは、1本の光軸に収束され、ポリゴンミラー38の反射面に入射し、結像レンズ群39を介して、搬送機構221により搬送ルートRの搬送方向に搬送されるカラーペーパーP上に集光される。このとき、ポリゴンミラー38の回転により、露光ビームはカラーペーパーP上を主走査方向に走査され、搬送機構221によりカラーペーパーPが搬送されることにより、露光ビームは副走査方向に走査される。つまり、主走査方向とは、カラーペーパーPの搬送方向と直交する方向をいい、副走査方向とは、カラーペーパーPの搬送方向をいう。
【0038】
露光処理ユニット220により画像の潜像が形成されたカラーペーパーPは、搬送機構により送出ユニット230に搬送される。送出ユニット230は、搬送ローラ対を備えて、露光処理ユニット220から搬送されたカラーペーパーPを現像処理装置300へ送り出す。
【0039】
図1に戻って現像処理装置300について説明する。
現像処理装置300は、画像露光装置200にから送出されたカラーペーパーPを発色現像する発色現像処理槽310と、発色現像されたカラーペーパーPを漂白定着処理する漂白定着処理槽320と、漂白処理定着されたカラーペーパーPを安定化処理する安定化処理部330と、安定化処理されたカラーペーパーPを乾燥処理する乾燥処理部340と、乾燥処理されたカラーペーパーPをカラープリントPEとして仕分けするソータ350と、を備えて構成される。
【0040】
ソータ350は、複数の排紙トレイを有し、ホストコンピュータ100からの指示に従って、現像処理装置300から送出されたプリントPEの仕分けを行って各排紙トレイに排出する。
【0041】
次に、上述した画像露光装置200の第1の実施の形態における動作を説明する。
図3は、画像露光装置200の露光制御部21により実行される階調変換処理を説明するフローチャートである。
【0042】
図3に示す階調変換処理では、ホストコンピュータ100から入力された露光用画像データの画像解析が行われ、点画像又は線画像の検出が行われる(ステップS1)。画像解析では、まず画像のエッジ成分の抽出が行われる。エッジ成分の抽出は、SobelフィルタやPrewittフィルタ等の公知のエッジ検出フィルタを適用することができる。そして、エッジ成分の抽出結果から、所定サイズで円状に並ぶエッジ画素を点画像として検出し、線状に並ぶエッジ画素を線画像として検出する。なお、線画像の検出には、VanderBrugやPatonの線検出オペレータ等、公知の検出手法を適用することとしてもよい。
【0043】
次いで、露光対象の画像に点画像又は線画像が検出されたか否かが判別され(ステップS2)、点画像又は線画像が検出されなかった場合は(ステップS2;N)、全画像領域に対し基本階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われ、全画像領域における階調が基本階調に変換される(ステップS3)。階調変換された露光用画像データは変調部22に出力され、本処理を終了する。
【0044】
一方、画像から点画像又は線画像が検出された場合(ステップS2;Y)、点画像及び線画像の画像領域については、点、線画用の階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われ、全画像領域から点画像及び線画像の画像領域を除いた画像領域については、基本階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われる(ステップS4)。階調変換された露光用画像データは、露光制御部21から変調部22に出力され(ステップS4)、本処理を終了する。
【0045】
変調部22では、露光用画像データに基づく光量変調が行われ、Dmax付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調に対する露光量より低い光量となるように、1/4〜1/2Dmaxの濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調に対する露光量より高い光量となるように光量変調される。
【0046】
以上のように、点画像及び線画像の画像領域については、最大画素濃度付近では、基本階調より低い濃度階調に変換することにより、高濃度の点画像及び線画像における露光量を抑えるように制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぐことができ、高濃度の点画像及び線画像をより鮮鋭に表現することができる。
【0047】
また、最大画素濃度に対して1/2〜1/4の濃度領域では、基本階調より高い濃度階調に変換することにより、低濃度の点画像及び線画像における露光量を増大させるよう制御することができる。すなわち、感光記録材料上で低濃度〜中間濃度の点画像及び線画像の発色濃度を増加させて人の視認性を向上させることができ、視覚的に見やすい画質を実現することができる。
【0048】
従って、高精細な露光画素密度とした場合でも、繊細な画像部分をカラーペーパー上でシャープに再現することができ、高画質なカラープリントを実現することができる。
【0049】
なお、本発明による効果は、露光画素密度が主走査方向及び副走査方向ともに高解像度である方がより大きな効果が得られる。
プリント上に形成される画素サイズが小さくなるほど、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度のような低濃度〜中間濃度領域で人の視認感度が低下する(より微細なサイズの点画像や線画像にしていくと、濃度計で測定すれば画像(濃度)が存在するにも関わらず、人の目では知覚できなくなる。)。また、プリント上に形成される画素サイズが小さくなるほど、相対的に画像にじみの影響が大きくなる。
【0050】
従って、写真感光材料のカラープリントにおいて、本発明により大きな効果が得られる好ましい条件としては、画素露光密度が主走査方向、副走査方向ともに400dpi(dot per inch)以上であり、この場合のプリント上の1ドットのサイズは、目視で視認可能な発色濃度として主走査方向及び副走査方向ともに65〜90μmが好ましい。65μm以下ではドット間に隙間が生じ、点画像や線画像の滑らかさが失われてしまい、90μm以上では視覚感度の影響のため、本発明による大きな効果が生じにくくなる。
【0051】
より好ましくは、主走査方向及び副走査方向ともに500〜600dpi以上の解像度であり、この場合のプリント上の1ドットのサイズは目視で視認可能な発色濃度として主走査方向及び副走査方向ともに500dpiで55〜90μm、600dpiで45〜90μmである(500dpiで55μm以下、600dpiで45μm以下ではドット間に隙間が生じ、点画像や線画像の滑らかさが失われてしまう。)。
【0052】
なお、ドット形状は、円形の他に上記解像度における好ましいドットサイズの範囲であれば、例えば楕円形のように主走査方向と副走査方向とで異なるサイズであってもよい。また、例えば400dpi(主走査方向)×800dpi(副走査方向)のように、主走査方向の画像解像度を上記の好ましいドットサイズの範囲に設定し、副走査方向は一部重ねて露光を行うこととして、副走査方向のドットサイズを大きく設定することとしてもよい。
【0053】
一方、主走査方向300dpi、副走査方向600dpiのような設定では、ドットサイズは主走査方向の300dpi(プリント上の1ドットサイズは、目視で視認可能な発色濃度として100〜120μm程度。)によって規定されるため、副走査方向が600dpiと高解像度であっても、副走査方向で一部重ねて露光を行った場合、主走査方向の解像度(ドットサイズ)によって点画像や線画像の解像度が規定されてしまい、本発明による大きな効果は生じがたい。
【0054】
〈第2の実施の形態〉
第2の実施の形態では、画像に含まれるエッジ領域については、最大画素濃度付近では基本階調を与える露光量より低露光量となるエッジ用の階調に変換することにより、カラー感光材料上で発生するにじみを防止し、高濃度のエッジ部分の鮮鋭度を向上させる例を説明する。
【0055】
まず、第2の実施の形態における画像露光装置の構成を説明するが、第2の実施の形態における画像露光装置の構成は、第1の実施の形態と同様であるので、同一の符号を付してその図示を省略し、異なる構成部分についてのみ説明を行う。すなわち、第2の実施の形態において、画像露光装置100は、プリントシステム1に組み込まれており、搬送ユニット210、露光処理ユニット220、送出ユニット230から構成される。
【0056】
露光処理ユニット220の露光制御部21は、後述する第2の実施の形態における階調変換処理において、露光対象の画像からエッジ領域を検出する。画像からエッジ領域が検出されなかった場合には、最適な写真画質となるように予め求められた基本階調に全画像領域を階調変換する。一方、エッジ領域が検出された場合には、検出されたエッジ領域をエッジ用の階調に階調変換し、エッジ領域を除く他の画像領域を基本階調に階調変換する。以下、基本階調とエッジ用の階調について説明する。
【0057】
図5は、基本階調、エッジ用の階調における画素濃度と光量との相関関係を示す図である。
図5に示すように、エッジ用の階調は、露光対象画像の最大画素濃度Dmax付近では、基本階調より小さな濃度階調を有する。つまり、基本階調を適用した場合より露光量が小さくなる。このようなエッジ用の階調をエッジ領域に適用することにより、高画素濃度のエッジ領域において露光量を抑えて感光記録材料上に現れるにじみを抑え、より鮮鋭にエッジ領域を再現することができる。
【0058】
また、最小画素濃度Dminiから1/2Dmax付近までの低画素濃度領域では、エッジ用の階調は基本階調より大きい濃度階調を有する。つまり、基本階調を適用した場合より露光量が大きくなる。このようなエッジ用の階調をエッジ領域に適用することにより、低濃度のエッジ領域における露光量を増大させ、エッジ領域におけるコントラストを向上させることができる。なお、エッジ用の階調の低濃度画素領域については、基本階調と同一階調としてもよい。
【0059】
次に、第2の実施の形態における画像露光装置200の動作を説明する。
図6は、画像露光装置200の露光制御部21により実行される階調変換処理を説明するフローチャートである。
【0060】
図6に示す階調変換処理では、ホストコンピュータ100から入力された露光用画像データの画像解析が行われ、エッジ領域の検出が行われる(ステップS101)。画像解析では、画像のエッジ成分の抽出が行われる。エッジ成分の抽出は、SobelフィルタやPrewittフィルタ等の公知のエッジ検出フィルタを適用することができる。そして、抽出されたエッジ成分の情報に基づいてエッジ領域が検出される。
【0061】
画像解析が終了すると、露光対象の画像からエッジ領域が検出されたか否かが判別され(ステップS102)、エッジ領域が検出されない場合は(ステップS102;N)、全画像領域に対して基本階調に変換するためのLUTを用いて、階調変換が行われ、全画像領域における階調が基本階調に変換される(ステップS103)。階調変換された露光用画像データは変調部22に出力され、本処理を終了する。
【0062】
一方、画像からエッジ領域が検出された場合(ステップS102;Y)、エッジ領域については、エッジ用の階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われ、全画像領域からエッジ領域を除いた画像領域については、基本階調に変換するためのLUTを用いて階調変換が行われる(ステップS104)。階調変換された露光用画像データは、露光制御部21から変調部22に出力され(ステップS105)、本処理を終了する。
【0063】
変調部22では、露光用画像データに基づく光量変調が行われ、Dmax付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調に対する露光量より小さい光量となるように、Dmini〜1/2Dmaxの濃度を有するエッジ領域については、基本改良に対する露光量より大きい光量となるように光量変調される。
【0064】
以上のように、エッジ領域に対して、最大画素濃度Dmax付近では、基本階調より低い濃度階調に変換するので、高濃度のエッジ領域における露光量を抑えるように制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぐことができ、高濃度のエッジ領域をより鮮鋭に表現することができる。
【0065】
また、最小画素濃度Dmini〜1/4Dmaxの濃度領域、つまり低濃度〜中間濃度の領域では、基本階調より高い濃度階調に変換することにより、低濃度のエッジ領域における露光量を増大させるよう制御することができる。すなわち、感光記録材料上で低濃度のエッジ領域のコントラスト、鮮鋭度を向上させることができ、視覚的に見やすい画質を実現することができる。
【0066】
従って、高精細な露光画素密度とした場合でも、繊細な画像部分をカラーペーパー上でシャープに再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【0067】
なお、本発明による効果は、露光画像密度が主走査方向及び副走査方向ともに高解像度である方がより大きな効果が得られる。
写真感光材料のカラープリントでは、解像度600dpi(プリント上では1ドットサイズが、目視で視認可能な発色濃度として45〜90μm程度)のにじみ量の比(にじみ量/発色濃度のサイズ)は、解像度300dpi(プリント上では1ドットサイズが、目視で視認可能な発色濃度として100〜120μm程度)のにじみ量の比よりも大きくなる。また、プリント上に形成される画素サイズが小さくなるほど、相対的に画像にじみの影響が大きくなり、画像のエッジ部分の混色による色濁りの影響が大きくなる。
【0068】
従って、写真感光材料のカラープリントにおいて、本発明により大きな効果が得られる好ましい条件としては、露光画素密度が主走査方向、副走査方向ともに400dpi以上であり、この場合のプリント上の1ドットのサイズは、目視で視認可能な発色濃度として主走査方向、副走査方向ともに65〜90μmである(65μm以下では、ドット間に隙間が生じ、エッジ部分の滑らかさが失われてしまう。また、90μm以上では400dpiの高解像度が画像の精細さに生かせない。)。
【0069】
また、より好ましくは主走査方向、副走査方向ともに500〜600dpi以上の解像度であり、この場合のプリント上の1ドットは目視で視認可能な発色濃度として主走査方向、副走査方向ともに500dpiで55〜90μm、600dpiで45〜90μmである(500dpiで55μm以下、600dpiで45μm以下では、ドット間に隙間が生じ、エッジ部分の滑らかさが失われてしまう。)。
【0070】
なお、ドット形状は、円形の他に上記解像度における好ましいドットサイズの範囲であれば、例えば楕円形のように主走査方向と副走査方向とで異なるサイズであってもよい。また、例えば、400dpi(主走査方向)×800dpi(副走査方向)のように、主走査方向の画像解像度を上記の好ましいドットサイズの範囲に設定し、副走査方向は一部重ねて露光を行うこととして、副走査方向のドットサイズは大きく設定することとしてもよい。
【0071】
なお、本実施の形態における記述内容は、本発明を適用した画像露光装置200の好適な一例であり、これに限定されるものではない。
【0072】
例えば、上述した説明では、露光処理ユニット220において、AOM素子32r、32g、32bを備えて、各光源31r、31g、31bからそれぞれ出射された露光ビームを強度変調する例を示したが、光源としてレーザダイオードを適用し、光量制御信号に応じた駆動電流をこのレーザダイオードに印加することにより、露光ビームを直接変調することとしてもよく、種々の変調形態を適用することが可能である。
【0073】
また、予め各階調に変換するためのLUTを準備しておき、このLUTを用いて階調変換を行っていたが、これに限らず、露光を行う毎に露光対象の画像データのヒストグラム解析を行い、当該ヒストグラム解析結果からその都度、点画像、線画像、エッジ領域に最適な階調を算出して階調変換することとしてもよい。
【0074】
その他、本実施の形態における画像露光装置200の細部構成及び細部動作に関しても適宜変更可能である。
【0075】
【発明の効果】
請求項1、2に記載の発明によれば、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より高い光量となるように光量変調するので、低濃度の点画像及び線画像における露光量を増大させるように制御することができる。すなわち、カラー感光記録材料上において低濃度の点画像及び線画像の発色濃度を増大させることができる。従って、高精細な露光画素密度とした場合でも、点画像及び線画像の繊細な画像部分を感光記録材料上で人の視認性を維持しながら鮮鋭に再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【0076】
請求項3に記載の発明によれば、最大画素濃度付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調するので、高濃度の点画像及び線画像における露光量を抑えるように制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぐことができ、高濃度の点画像及び線画像をより鮮鋭に表現することができる。
【0077】
請求項4、5、6に記載の発明によれば、最大画素濃度付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調するので、高濃度のエッジ領域における露光量を抑えるよう制御することができる。すなわち、感光記録材料上で発生するにじみを防ぎ、にじみによる混色を防止することで鮮鋭度を向上させることができる。従って、画像露光装置の露光画素密度を主走査方向、副走査方向ともに400dpi以上と、高精細な露光画素密度とした場合でも、エッジ領域の繊細な画像部分を感光記録材料上で鮮鋭に再現することができ、高品質なカラープリントを実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した実施の形態の画像露光装置200が組み込まれた、プリントシステム1のシステム構成を示す図である。
【図2】露光処理ユニット220の構成を示す図である。
【図3】基本階調、点、線画用の階調における画素濃度と露光量との対応関係を示す図である。
【図4】第1の実施の形態における階調変換処理を示すフローチャートである。
【図5】基本階調、エッジ用の階調における画素濃度と露光量との対応関係を示す図である。
【図6】第2の実施の形態における階調変換処理を示すフローチャートである。
【符号の説明】
1 プリントシステム
100 ホストコンピュータ
200 画像露光装置
220 露光処理ユニット
21 露光制御部
22 変調部
23 D/A変換回路
30 露光部
300 現像処理装置
Claims (6)
- カラー発色成分を含有する感光記録材料に対して露光ビームを走査して画像を形成する露光部を備えた画像露光装置において、
露光対象の画像に含まれる点画像及び線画像については、画像の基本階調とは異なる階調に階調変換する露光制御部と、
前記階調変換された画像の濃度階調に基づいて、前記露光部における露光ビームの光量を変調する変調部と、
を備えることを特徴とする画像露光装置。 - 前記変調部は、最大画素濃度に対して1/4〜1/2の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量よりも高い光量となるように光量変調することを特徴とする請求項1に記載の画像露光装置。
- 前記変調部は、最大画素濃度付近の濃度を有する点画像及び線画像については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調することを特徴とする請求項1又は2に記載の画像露光装置。
- カラー発色成分を含有する感光記録材料に対して露光ビームを走査して画像を形成する露光部を備えた画像露光装置において、
露光対象の画像に含まれるエッジ領域については、画像の基本階調とは異なる階調に階調変換する露光制御部と、
前記階調変換された画像の濃度階調に基づいて、前記露光部における露光ビームの光量を変調する変調部と、
を備えることを特徴とする画像露光装置。 - 前記変調部は、最大画素濃度付近の濃度を有するエッジ領域については、基本階調の画像を形成する露光量より低い光量となるように光量変調することを特徴とする請求項3に記載の画像露光装置。
- 露光画素密度が主走査方向及び副走査方向ともに400dpi以上であることを特徴とする請求項1〜5の何れか一項に記載の画像露光装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003137662A JP2004338231A (ja) | 2003-05-15 | 2003-05-15 | 画像露光装置 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2007137064A (ja) * | 2005-11-16 | 2007-06-07 | Xerox Corp | デジタル画像形成システムにおいて画質を制御するシステム及び方法 |
-
2003
- 2003-05-15 JP JP2003137662A patent/JP2004338231A/ja active Pending
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