JP2004337361A - ガイドワイヤー - Google Patents
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Abstract
【課題】コアワイヤーが超弾性合金からなり、遠位端部の型付けが容易であり、強い曲がり部分を有する血管内へも容易に追随して、遠位端側が復元可能に変形し、しかも、血管内への押し込み特性にも優れるガイドワイヤーを提供する。
【解決手段】コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい医療用ガイドワイヤーにおいて、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなることを特徴とするガイドワイヤー。
【選択図】 図1
【解決手段】コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい医療用ガイドワイヤーにおいて、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなることを特徴とするガイドワイヤー。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガイドワイヤーに関する。さらに詳しくは、本発明は、コアワイヤーが超弾性合金からなり、体腔内への押し込み特性が良好であり、しかも、遠位端に型付けして優れた操作性を与えることができる医療用のガイドワイヤーに関する。
【0002】
【従来の技術】
経皮的冠動脈形成術(PTCA)、ステント植え込み術などの治療や、心臓血管造影などの検査においては、カテーテルが血管内の所定位置まで挿入される。カテーテルは柔軟な材質で形成されており、カテーテルを挿入する血管は複雑な形状に屈曲しているので、カテーテルのみでは、血管内の所定位置まで押し込むことは困難である。そのために、血管内にガイドワイヤーを挿入し、そのガイドワイヤーに沿ってカテーテルを血管内の所定位置まで押し進めることが行われている。
従来より、ステンレス鋼線のガイドワイヤーが用いられてきた。ガイドワイヤーは、屈曲した血管の中を、内壁を傷つけないように押し進めなければならない。このために、遠位端部の外径が近位端部の外径より小さいコアワイヤーを用い、コアワイヤーの遠位端部がスプリングコイルにより覆われたガイドワイヤーが使用されている。遠位端部において、コアワイヤーの外径の小さい部分をスプリングコイルで覆うことにより、遠位端部の可撓性が増して、屈曲した血管内での進行が容易となり、近位端部のコアワイヤーの外径の大きい部分は、剛性が高く、押し込み特性が向上する。
ガイドワイヤーの遠位端は、患者の血管の状態に応じて、円弧状、L字状、J字状などに曲げられた型付けが施され、この型付けを利用して、ガイドワイヤーを前進、後退、左右に回転させるなどの操作を行いながら、X線透視下に血管内の所定位置まで押し進められる。しかし、このようなさまざまな対策を講じても、カテーテルの遠位端が血管の分枝に引っ掛かったり、曲率半径の小さい部分を通過したのちに遠位端部に永久歪みが残るなどの問題を生じていた。
このために、ガイドワイヤーの材質として、超弾性合金が検討されている。超弾性合金は、材料を大きく変形させても、力を除くとただちに元の形状に戻り、変形時の応力が小さく、ほぼ一定である合金である。例えば、先端部の柔軟性と復元性が高いガイドワイヤーとして、少なくとも先端側内芯部を超弾性合金により形成するとともに、被覆部を長手方向に同一外径の合成樹脂体によって形成したガイドワイヤーが提案されている(特許文献1)。しかし、このガイドワイヤーは、先端側内芯部と後端側内芯部を超弾性合金で一体的に形成すると、後端側の剛性が小さく、ガイドワイヤーの操作性が不良となり、後端側内芯部を剛性の高い金属材料で作製すると、超弾性合金と安定に接合することが容易ではない。このような欠点を補い、先端部にしなやかさを維持させる一方、基質部には剛性を維持させたガイドワイヤーとして、超弾性合金からなるガイドワイヤーの芯材において、血管導入先端部を除く表面の少なくとも一部が、無機被膜で覆われてなる芯材に、合成樹脂を被覆してなるガイドワイヤーが提案され、Ti−Ni系超弾性合金からなる線材に、Ni、ステンレス、シリコンカーバイド又は窒化チタンをコートして、ステンレス線と同様な高い剛性を付与したのち切断し、端面から50mm長を王水で処理して被膜を除去し、超弾性を有する先端部とする例が示されている(特許文献2)。しかし、このガイドワイヤーは、先端部に塑性変形による型付けを施すことができず、前進、後退、回転などの操作により、ガイドワイヤーの進行方向を選ぶことができないので、十分な操作性を有するとは言いがたい。
【特許文献1】
特開昭60−7862号公報(第1頁、第3頁)
【特許文献2】
特開平2−289266号公報(第1頁、第3頁、第4頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コアワイヤーが超弾性合金からなり、遠位端部の型付けが容易であり、強い曲がり部分を有する血管内へも容易に追随して、遠位端側が復元可能に変形し、しかも、血管内への押し込み特性にも優れるガイドワイヤーを提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さく、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなるガイドワイヤーは、遠位端部に円弧状、L字状、J字状などの型付けを施すことができ、ガイドワイヤーの近位端部を把持して操作し、型付けされた遠位端部に回転などをさせながら、複雑に屈曲した血管内を円滑に押し進め得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい医療用ガイドワイヤーにおいて、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなることを特徴とするガイドワイヤー、
(2)コートされた塑性的金属の厚さが、1〜30μmである第1項記載のガイドワイヤー、
(3)コアワイヤーの遠位端部が、スプリングコイルにより覆われてなる第1項記載のガイドワイヤー、
(4)コアワイヤーの遠位端部の塑性的金属でコートされた部分の弾性伸び率が、1%以下である第1項記載のガイドワイヤー、
(5)コアワイヤーの近位端部に、高弾性材料がコートされてなる第1項記載のガイドワイヤー、
(6)コートされた高弾性材料の厚さが、2〜170μmである第5項記載のガイドワイヤー、及び、
(7)近位端部のヤング率が、180GPa以上である第5項記載のガイドワイヤー、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい医療用ガイドワイヤーにおいて、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなるガイドワイヤーである。
本発明に用いる超弾性合金は、変形時の応力がほぼ一定であり、材料を大きく変形させても力を除くとすぐに元の形に戻る合金である。超弾性合金としては、例えば、ニッケル−チタン合金、少量のバナジウム、クロム、マンガン、鉄又はコバルトを含有するニッケル−チタン合金、チタン−バナジウム−アルミニウム合金、チタン−ニオブ−スズ合金などを挙げることができる。超弾性合金の製造方法に特に制限はなく、例えば、各金属成分の粉末を混合してアーク溶解することにより合金化することができ、あるいは、合成時の反応熱を利用する燃焼合成法により製造することができる。また、市販されている特定の超弾性合金を使用することもできる。
本発明のガイドワイヤーの長さに特に制限はなく、使用目的に応じて適宜選択することができるが、通常は1,400〜2,200mmであることが好ましく、1,600〜2,000mmであることがより好ましい。本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい。例えば、近位端部の外径が0.340mmのコアワイヤーは、遠位端の外径が0.040〜0.100mmであることが好ましく、0.050〜0.080mmであることがより好ましい。
近位端部の外径よりも外径を小さくする遠位端部の領域に特に制限はないが、遠位端から100〜500mmまでの領域であることが好ましく、遠位端から200〜400mmまでの領域であることがより好ましい。遠位端部の外径を小さくする形状に特に制限はなく、例えば、近位端側から遠位端に向かって徐々に外径を小さくすることができ、あるいは、遠位端部をほぼ一定の小さい外径とすることもできる。遠位端部の外径を小さくする方法に特に制限はなく、例えば、研削などの機械的加工により外径を小さくすることができ、線条の延伸により外径を小さくすることもでき、あるいは、酸などの薬剤を用いて溶解することにより外径を小さくすることもできる。
【0006】
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなるガイドワイヤーである。本発明において、塑性的金属とは、JIS Z 2241に規定されるオフセット法により、規定の永久伸びε=0.2%として算出した耐力が、100MPa以下の金属である。塑性的金属としては、例えば、マグネシウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、アルミニウム、スズ、鉛などの純金属、アルミニウム−マグネシウム、アルミニウム−マンガンなどの合金などを挙げることができる。コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属をコートする方法に特に制限はなく、例えば、電気メッキ、無電解メッキ、イオンプレーティング、スパッタリングなどを挙げることができる。
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーの遠位端部の塑性的金属がコートされた部分の弾性伸び率が1%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましい。弾性伸び率とは、材料に外力を加えて変形させたのち、外力を取り去ると元の形状に戻る限界の伸び率である。コアワイヤーの遠位端部の塑性的金属がコートされた部分の弾性伸び率を1%以下とすることにより、ガイドワイヤーの遠位端部に型付けをすることが可能となる。本発明のガイドワイヤーは、超弾性合金からなるコアワイヤーを有していても、遠位端部の型付けが可能となり、患部に至るまでの血管の状態に応じて、遠位端部に円弧状、L字状、J字状などの型付けをし、ガイドワイヤーの遠位端部の前進、後退、左右方向への回転などを繰り返しながら、容易に無理なく血管内の所定位置までガイドワイヤーの遠位端を押し進めることができる。
【0007】
本発明において、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属をコートする領域は、遠位端から5〜25mmまでの領域であることが好ましく、遠位端から10〜20mmの領域であることがより好ましい。塑性的金属をコートする領域が遠位端から5mm未満までの領域であると、適切な型付けをするための長さが不足するおそれがある。塑性的金属をコートする領域が遠位端から25mmを超えるまでの領域であると、遠位端部の超弾性を有しない領域が長すぎて、ガイドワイヤーの操作性が低下するおそれがある。
本発明においては、コートされた塑性的金属の厚さが、1〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。コートされた塑性的金属の厚さが1μm未満であると、遠位端部の型付けが困難となるおそれがある。コートされた塑性的金属の厚さが30μmを超えると、塑性的金属がコートされた部分が硬くなりすぎて、ガイドワイヤーの操作性が低下するおそれがある。
本発明のガイドワイヤーにおいては、コアワイヤーの近位端部の外径よりも小さい外径を有するコアワイヤーの遠位端部が、スプリングコイルにより覆われてなることが好ましい。遠位端部を覆うスプリングコイルの巻き径は、近位端部の外径とほぼ等しいことが好ましい。小さい外径を有する遠位端部をスプリングコイルで覆うことにより、遠位端部のしなやかな弾性を保持するとともに、ガイドワイヤーを遠位端部から近位端部までほぼ一様な等しい外径を有する形状とすることができる。スプリングコイルの材質は、遠位端側が白金であり、近位端側がステンレス鋼であることが好ましい。遠位端側の白金のコイルスプリングの長さは、10〜50mmであることが好ましく、20〜40mmであることがより好ましい。遠位端側のスプリングコイルの材質をX線不透過性の白金とすることにより、X線透視下にガイドワイヤーの遠位端の位置を確認しつつ、ガイドワイヤーを押し進めることができる。
本発明のガイドワイヤーは、遠位端に球状又は半球状のボール部を有することが好ましい。遠位端にボール部を設けることにより、ガイドワイヤーの遠位端を滑らかにし、血管の内壁を損傷することなく、血管内を押し進めることができる。ボール部の材質に特に制限はなく、例えば、白金、金などの金属などを挙げることができる。ボール部の遠位端への接合方法に特に制限はなく、例えば、ろう付け、溶接などを挙げることができる。
【0008】
本発明のガイドワイヤーにおいては、コアワイヤーの近位端部に高弾性材料がコートされてなることが好ましい。高弾性材料をコートする近位端部の領域に特に制限はないが、コアワイヤーの近位端部の外径が一定である領域にコートすることが好ましく、例えば、全長1,800mmのコアワイヤーにおいては、近位端から1,500mmまでの領域をコートすることができる。
本発明に用いる高弾性材料は、ヤング率が200GPa以上であることが好ましく、300GPa以上であることがより好ましく、500GPa以上であることがさらに好ましい。ヤング率200GPa以上の高弾性材料としては、例えば、ニッケル、クロムなどを挙げることができ、ヤング率300GPa以上の高弾性材料としては、例えば、モリブデン、タングステンなどを挙げることができ、ヤング率500GPa以上の高弾性材料としては、例えば、窒化チタン、炭化タングステンなどを挙げることができる。コアワイヤーの近位端部に高弾性材料をコートする方法に特に制限はなく、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどを挙げることができる。コアワイヤーの近位端部に高弾性材料をコートして、近位端部のヤング率を高めることにより、ガイドワイヤーの押し込み特性を向上し、優れた操作性を付与することができる。
【0009】
本発明のガイドワイヤーにおいては、コアワイヤーの近位端部にコートされた高弾性材料の厚さが、2〜170μmであることが好ましく、4〜100μmであることがより好ましい。コートされた高弾性材料の厚さが2μm未満であると、ガイドワイヤーの押し込み特性を向上する効果が不十分となるおそれがある。コートされた高弾性材料の厚さが170μmを超えると、ヤング率が高くなりすぎて、ガイドワイヤーの操作性が低下するおそれがある。本発明においては、コアワイヤーの近位端部にコートする高弾性材料の厚さを近位端から遠位端部に向かって徐々に薄くし、近位端から遠位端部に向かってヤング率が徐々に小さくなり、物性の急激な変化のないコアワイヤーとすることができる。
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーの近位端部のヤング率が、180GPa以上であることが好ましく、190GPa以上であることがより好ましい。コアワイヤーの近位端部のヤング率が180GPa未満であると、ガイドワイヤーの押し込み特性が十分に向上しないおそれがある。
本発明のガイドワイヤーは、その表面を樹脂により被覆することができる。樹脂による被覆は、ガイドワイヤーの全表面に行うことができ、あるいは、遠位端部のみを被覆することもできる。例えば、遠位端部のスプリングコイルをシリコーンゴムなどの弾性体で被覆し、さらにその上をポリエチレンオキサイドなどの親水性樹脂で被覆することにより、ガイドワイヤーの滑り性を向上させ、優れた操作性を付与することができる。
【0010】
図1は、本発明のガイドワイヤーの一態様の模式的説明図である。本図では、径方向の寸法と長さ方向の寸法の比を、実際の寸法の比の300倍にしている。本図に示すガイドワイヤーは、近位端1から遠位端2までの全長が1,800mmであり、近位端から1,500mmまでの近位端部3のコアワイヤーの外径は0.340mmであり、遠位端から300mmまでの遠位端部4のコアワイヤーの外径は、近位端部と接する位置において0.340mmであり、遠位端に向かって徐々に外径が小さくなり、遠位端において0.060mmとなっている。遠位端部のうち、遠位端から15mmまでには、塑性的金属のコート5が施されている。遠位端部のうち、遠位端から170mmまでは、線径0.060mm、巻き径0.340mmのスプリングコイル6で覆われている。スプリングコイルのうち、遠位端側30mmの部分のスプリングコイルの材質は白金であり、残余のスプリングコイルの材質はステンレス鋼である。コアワイヤーの近位端部には、高弾性材料のコート7が施され、その厚さは近位端から遠位端部に向かうにつれて徐々に薄くなっている。
図2は、本発明のガイドワイヤーの他の態様の模式的説明図である。本図では、径方向の寸法と長さ方向の寸法の比を、実際の寸法の比の300倍にしている。本図に示すガイドワイヤーは、図1に示すガイドワイヤーの遠位端部に、弾性体樹脂の下層と親水性樹脂の上層からなる樹脂コート9を施したものである。
図3は、本発明のガイドワイヤーの他の態様の模式的説明図である。本図では、径方向の寸法と長さ方向の寸法の比を、実際の寸法の比の300倍にし、遠位端部と近位端部の長さの比を、実際の長さの比の3.8倍にしている。本図に示すガイドワイヤーは、遠位端部4の外径が段階的に小さくなっている。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
外径0.340mmのニッケル−チタン系超弾性合金の線条を長さ1,800mmに切断してコアワイヤー材料とし、遠位端から300mmの位置より遠位端に向かって徐々に外径が小さくなり、遠位端における外径が0.060mmになるように、研削加工を行った。次いで、遠位端から15mmの部分に、電気メッキにより厚さ11μmの銅メッキを施した。
同じ材質のニッケル−チタン系超弾性合金の外径0.060mmの線条に、同様にして厚さ11μmの銅メッキを施して試験片とし、弾性伸び率を測定したところ、0.7%であった。
遠位端部に銅メッキを施したコアワイヤーの近位端部に、イオンプレーティングにより厚さ6μmの窒化チタンのコートを施した。
コアワイヤーの作製に用いたのと同じ外径0.340mmのニッケル−チタン系超弾性合金の線条に、同様にして厚さ6μmの窒化チタンのコートを施して試験片とし、ヤング率を測定したところ、200GPaであった。
窒化チタンのコートの上に、ポリテトラフルオロエチレンのディスバージョンを塗布し、焼き付けて、厚さ5μmのポリテトラフルオロエチレンの皮膜を形成した。
次いで、遠位端部のうち、遠位端から170mmの部分を線径0.060mm、巻き径0.340mmのスプリングコイルで覆い、コアワイヤーにろう付けした。スプリングコイルの材質は、遠位端から30mmの部分を白金とし、残りの部分をSUS316とした。最後に、遠位端に直径0.340mmの半球状の白金のボール部をろう付けして、ガイドワイヤーを完成した。
このガイドワイヤーに、図4に示すように、遠位端から10mmの位置で、角度αが45゜になるように塑性変形させて型付けした。型付け性は、優秀であった。
図5に示す形状の長さ175mm、内径2mmの腔路を有するポリテトラフルオロエチレン製の体腔モデルを用いて、押し込み試験を行った。体腔モデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、遠位端部に型付けしたガイドワイヤーを腔路に押し込んだ。遠位端部の型付けを利用して、前進、後退、左右への回転を繰り返しながら、ガイドワイヤーを円滑に押し込むことができた。押し込み試験ののち、体腔モデルから引き抜いたガイドワイヤーの遠位端部の型付けは、角度αが45゜のままであり、永久歪みを生じていなかった。
実施例2
実施例1と同じ操作を繰り返して、外径0.340mmのニッケル−チタン系超弾性合金の線条の切断、研削加工、銅メッキ、窒化チタンのコート、ポリテトラフルオロエチレン皮膜の形成、スプリングコイルのろう付け、ボール部のろう付けを行った。
さらに、ショアA硬度20のポリジメチルシロキサンを用いて遠位端部を被覆し、その上にポリエチレンオキサイドを厚さ1μmでコートし、遠位端部の表面に親水性を付与して、ガイドワイヤーを完成した。
このガイドワイヤーに、図4に示すように、遠位端から10mmの位置で、角度αが45゜になるように塑性変形させて型付けした。型付け性は、優秀であった。
実施例1と同様にして、体腔モデルへの押し込み試験を行った。実施例1よりもさらに円滑に、ガイドワイヤー全体を体腔モデルの腔路に押し込むことができた。押し込み試験ののち、体腔モデルから引き抜いたガイドワイヤーの遠位端部の型付けは、角度αが45゜のままであり、永久歪みを生じていなかった。
【0012】
比較例1
遠位端部に銅メッキを施さない以外は、実施例1と同様にして、ガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
外径0.340mmのニッケル−チタン系超弾性合金の線条を長さ1,800mmに切断してコアワイヤーの材料とし、遠位端から300mmの位置から遠位端に向かって徐々に外径が小さくなり、遠位端における外径が0.060mmになるように、研削加工を行った。
同じ材質のニッケル−チタン系超弾性合金の外径0.060mmの線条について、弾性伸び率を測定したところ、7.0%であった。
遠位端部に研削加工を施したコアワイヤーの近位端部に、イオンプレーティングにより厚さ6μmの窒化チタンのコートを施した。さらに、窒化チタンのコートの上に、ポリテトラフルオロエチレンのディスバージョンを塗布し、焼き付けて、厚さ5μmのポリテトラフルオロエチレンの皮膜を形成した。
次いで、遠位端部のうち、遠位端から170mmの部分を線径0.060mm、巻き径0.340mmのスプリングコイルで覆い、コアワイヤーにろう付けした。スプリングコイルの材質は、遠位端から30mmの部分を白金とし、残りの部分をSUS316とした。最後に、遠位端に直径0.340mmの半球状の白金のボール部をろう付けして、ガイドワイヤーを完成した。
このガイドワイヤーの遠位端部に、実施例1と同様にして、型付けを試みたが、塑性変形が起こらず、型付けすることができなかった。
実施例1と同様にして、体腔モデルへの押し込み試験を行った。ガイドワイヤーを左右に回転させて遠位端の進路を調整することができず、実施例1よりもガイドワイヤーの押し込みに手間がかかった。
比較例2
ステンレス鋼製のガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
外径0.340mmのSUS316の線条を長さ1,800mmに切断してコアワイヤーの材料とし、遠位端から300mmの位置から遠位端に向かって徐々に外径が小さくなり、遠位端における外径が0.060mmになるように、研削加工を行った。
外径0.060mmのSUS316の線条を試験片として、弾性伸び率を測定したところ、1.0%であった。
コアワイヤーの作製に用いたのと同じ外径0.340mmのSUS316の線条を試験片として、ヤング率を測定したところ、200GPaであった。
コアワイヤーの近位端部に、ポリテトラフルオロエチレンのディスバージョンを塗布し、焼き付けて、厚さ5μmのポリテトラフルオロエチレンの皮膜を形成した。
次いで、遠位端部のうち、遠位端から170mmの部分を線径0.060mm、巻き径0.340mmのスプリングコイルで覆い、コアワイヤーにろう付けした。スプリングコイルの材質は、遠位端から30mmの部分を白金とし、残りの部分をSUS316とした。最後に、遠位端に直径0.340mmの半球状の白金のボール部をろう付けして、ガイドワイヤーを完成した。
このガイドワイヤーに、図4に示すように、遠位端から10mmの位置で、角度αが45゜になるように塑性変形させて型付けした。型付け性は、良好であった。
実施例1と同様にして、体腔モデルへの押し込み試験を行った。ガイドワイヤーの体腔モデルへの押し込み特性は悪く、実施例1より手間がかかった。遠位端部が超弾性を有しないので、屈曲した腔路の通過が円滑でなく、また、屈曲した腔路の通過により、遠位端部の型付けが変形したためと考えられる。押し込み試験ののち、体腔モデルから引き抜いたガイドワイヤーの遠位端部の型付けは、角度αが40゜であり、永久歪みが生じていた。
実施例1〜2及び比較例1〜2のコアワイヤーの構造と物性及びガイドワイヤーの構造と性能を、まとめて第1表に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされ、遠位端部への型付けが可能なので、優れた押し込み特性と操作性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のガイドワイヤーの一態様の模式的説明図である。
【図2】図2は、本発明のガイドワイヤーの他の態様の模式的説明図である。
【図3】図3は、本発明のガイドワイヤーの他の態様の模式的説明図である。
【図4】図4、実施例における型付けの説明図である。
【図5】図5は、実施例で用いた体腔モデルの説明図である。
【符号の説明】
1 近位端
2 遠位端
3 近位端部
4 遠位端部
5 塑性的金属のコート
6 スプリングコイル
7 高弾性材料のコート
8 ボール部
9 樹脂コート
【発明の属する技術分野】
本発明は、ガイドワイヤーに関する。さらに詳しくは、本発明は、コアワイヤーが超弾性合金からなり、体腔内への押し込み特性が良好であり、しかも、遠位端に型付けして優れた操作性を与えることができる医療用のガイドワイヤーに関する。
【0002】
【従来の技術】
経皮的冠動脈形成術(PTCA)、ステント植え込み術などの治療や、心臓血管造影などの検査においては、カテーテルが血管内の所定位置まで挿入される。カテーテルは柔軟な材質で形成されており、カテーテルを挿入する血管は複雑な形状に屈曲しているので、カテーテルのみでは、血管内の所定位置まで押し込むことは困難である。そのために、血管内にガイドワイヤーを挿入し、そのガイドワイヤーに沿ってカテーテルを血管内の所定位置まで押し進めることが行われている。
従来より、ステンレス鋼線のガイドワイヤーが用いられてきた。ガイドワイヤーは、屈曲した血管の中を、内壁を傷つけないように押し進めなければならない。このために、遠位端部の外径が近位端部の外径より小さいコアワイヤーを用い、コアワイヤーの遠位端部がスプリングコイルにより覆われたガイドワイヤーが使用されている。遠位端部において、コアワイヤーの外径の小さい部分をスプリングコイルで覆うことにより、遠位端部の可撓性が増して、屈曲した血管内での進行が容易となり、近位端部のコアワイヤーの外径の大きい部分は、剛性が高く、押し込み特性が向上する。
ガイドワイヤーの遠位端は、患者の血管の状態に応じて、円弧状、L字状、J字状などに曲げられた型付けが施され、この型付けを利用して、ガイドワイヤーを前進、後退、左右に回転させるなどの操作を行いながら、X線透視下に血管内の所定位置まで押し進められる。しかし、このようなさまざまな対策を講じても、カテーテルの遠位端が血管の分枝に引っ掛かったり、曲率半径の小さい部分を通過したのちに遠位端部に永久歪みが残るなどの問題を生じていた。
このために、ガイドワイヤーの材質として、超弾性合金が検討されている。超弾性合金は、材料を大きく変形させても、力を除くとただちに元の形状に戻り、変形時の応力が小さく、ほぼ一定である合金である。例えば、先端部の柔軟性と復元性が高いガイドワイヤーとして、少なくとも先端側内芯部を超弾性合金により形成するとともに、被覆部を長手方向に同一外径の合成樹脂体によって形成したガイドワイヤーが提案されている(特許文献1)。しかし、このガイドワイヤーは、先端側内芯部と後端側内芯部を超弾性合金で一体的に形成すると、後端側の剛性が小さく、ガイドワイヤーの操作性が不良となり、後端側内芯部を剛性の高い金属材料で作製すると、超弾性合金と安定に接合することが容易ではない。このような欠点を補い、先端部にしなやかさを維持させる一方、基質部には剛性を維持させたガイドワイヤーとして、超弾性合金からなるガイドワイヤーの芯材において、血管導入先端部を除く表面の少なくとも一部が、無機被膜で覆われてなる芯材に、合成樹脂を被覆してなるガイドワイヤーが提案され、Ti−Ni系超弾性合金からなる線材に、Ni、ステンレス、シリコンカーバイド又は窒化チタンをコートして、ステンレス線と同様な高い剛性を付与したのち切断し、端面から50mm長を王水で処理して被膜を除去し、超弾性を有する先端部とする例が示されている(特許文献2)。しかし、このガイドワイヤーは、先端部に塑性変形による型付けを施すことができず、前進、後退、回転などの操作により、ガイドワイヤーの進行方向を選ぶことができないので、十分な操作性を有するとは言いがたい。
【特許文献1】
特開昭60−7862号公報(第1頁、第3頁)
【特許文献2】
特開平2−289266号公報(第1頁、第3頁、第4頁)
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、コアワイヤーが超弾性合金からなり、遠位端部の型付けが容易であり、強い曲がり部分を有する血管内へも容易に追随して、遠位端側が復元可能に変形し、しかも、血管内への押し込み特性にも優れるガイドワイヤーを提供することを目的としてなされたものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さく、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなるガイドワイヤーは、遠位端部に円弧状、L字状、J字状などの型付けを施すことができ、ガイドワイヤーの近位端部を把持して操作し、型付けされた遠位端部に回転などをさせながら、複雑に屈曲した血管内を円滑に押し進め得ることを見いだし、この知見に基づいて本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい医療用ガイドワイヤーにおいて、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなることを特徴とするガイドワイヤー、
(2)コートされた塑性的金属の厚さが、1〜30μmである第1項記載のガイドワイヤー、
(3)コアワイヤーの遠位端部が、スプリングコイルにより覆われてなる第1項記載のガイドワイヤー、
(4)コアワイヤーの遠位端部の塑性的金属でコートされた部分の弾性伸び率が、1%以下である第1項記載のガイドワイヤー、
(5)コアワイヤーの近位端部に、高弾性材料がコートされてなる第1項記載のガイドワイヤー、
(6)コートされた高弾性材料の厚さが、2〜170μmである第5項記載のガイドワイヤー、及び、
(7)近位端部のヤング率が、180GPa以上である第5項記載のガイドワイヤー、
を提供するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい医療用ガイドワイヤーにおいて、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなるガイドワイヤーである。
本発明に用いる超弾性合金は、変形時の応力がほぼ一定であり、材料を大きく変形させても力を除くとすぐに元の形に戻る合金である。超弾性合金としては、例えば、ニッケル−チタン合金、少量のバナジウム、クロム、マンガン、鉄又はコバルトを含有するニッケル−チタン合金、チタン−バナジウム−アルミニウム合金、チタン−ニオブ−スズ合金などを挙げることができる。超弾性合金の製造方法に特に制限はなく、例えば、各金属成分の粉末を混合してアーク溶解することにより合金化することができ、あるいは、合成時の反応熱を利用する燃焼合成法により製造することができる。また、市販されている特定の超弾性合金を使用することもできる。
本発明のガイドワイヤーの長さに特に制限はなく、使用目的に応じて適宜選択することができるが、通常は1,400〜2,200mmであることが好ましく、1,600〜2,000mmであることがより好ましい。本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい。例えば、近位端部の外径が0.340mmのコアワイヤーは、遠位端の外径が0.040〜0.100mmであることが好ましく、0.050〜0.080mmであることがより好ましい。
近位端部の外径よりも外径を小さくする遠位端部の領域に特に制限はないが、遠位端から100〜500mmまでの領域であることが好ましく、遠位端から200〜400mmまでの領域であることがより好ましい。遠位端部の外径を小さくする形状に特に制限はなく、例えば、近位端側から遠位端に向かって徐々に外径を小さくすることができ、あるいは、遠位端部をほぼ一定の小さい外径とすることもできる。遠位端部の外径を小さくする方法に特に制限はなく、例えば、研削などの機械的加工により外径を小さくすることができ、線条の延伸により外径を小さくすることもでき、あるいは、酸などの薬剤を用いて溶解することにより外径を小さくすることもできる。
【0006】
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなるガイドワイヤーである。本発明において、塑性的金属とは、JIS Z 2241に規定されるオフセット法により、規定の永久伸びε=0.2%として算出した耐力が、100MPa以下の金属である。塑性的金属としては、例えば、マグネシウム、ニッケル、パラジウム、白金、銅、銀、金、アルミニウム、スズ、鉛などの純金属、アルミニウム−マグネシウム、アルミニウム−マンガンなどの合金などを挙げることができる。コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属をコートする方法に特に制限はなく、例えば、電気メッキ、無電解メッキ、イオンプレーティング、スパッタリングなどを挙げることができる。
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーの遠位端部の塑性的金属がコートされた部分の弾性伸び率が1%以下であることが好ましく、0.8%以下であることがより好ましい。弾性伸び率とは、材料に外力を加えて変形させたのち、外力を取り去ると元の形状に戻る限界の伸び率である。コアワイヤーの遠位端部の塑性的金属がコートされた部分の弾性伸び率を1%以下とすることにより、ガイドワイヤーの遠位端部に型付けをすることが可能となる。本発明のガイドワイヤーは、超弾性合金からなるコアワイヤーを有していても、遠位端部の型付けが可能となり、患部に至るまでの血管の状態に応じて、遠位端部に円弧状、L字状、J字状などの型付けをし、ガイドワイヤーの遠位端部の前進、後退、左右方向への回転などを繰り返しながら、容易に無理なく血管内の所定位置までガイドワイヤーの遠位端を押し進めることができる。
【0007】
本発明において、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属をコートする領域は、遠位端から5〜25mmまでの領域であることが好ましく、遠位端から10〜20mmの領域であることがより好ましい。塑性的金属をコートする領域が遠位端から5mm未満までの領域であると、適切な型付けをするための長さが不足するおそれがある。塑性的金属をコートする領域が遠位端から25mmを超えるまでの領域であると、遠位端部の超弾性を有しない領域が長すぎて、ガイドワイヤーの操作性が低下するおそれがある。
本発明においては、コートされた塑性的金属の厚さが、1〜30μmであることが好ましく、5〜20μmであることがより好ましい。コートされた塑性的金属の厚さが1μm未満であると、遠位端部の型付けが困難となるおそれがある。コートされた塑性的金属の厚さが30μmを超えると、塑性的金属がコートされた部分が硬くなりすぎて、ガイドワイヤーの操作性が低下するおそれがある。
本発明のガイドワイヤーにおいては、コアワイヤーの近位端部の外径よりも小さい外径を有するコアワイヤーの遠位端部が、スプリングコイルにより覆われてなることが好ましい。遠位端部を覆うスプリングコイルの巻き径は、近位端部の外径とほぼ等しいことが好ましい。小さい外径を有する遠位端部をスプリングコイルで覆うことにより、遠位端部のしなやかな弾性を保持するとともに、ガイドワイヤーを遠位端部から近位端部までほぼ一様な等しい外径を有する形状とすることができる。スプリングコイルの材質は、遠位端側が白金であり、近位端側がステンレス鋼であることが好ましい。遠位端側の白金のコイルスプリングの長さは、10〜50mmであることが好ましく、20〜40mmであることがより好ましい。遠位端側のスプリングコイルの材質をX線不透過性の白金とすることにより、X線透視下にガイドワイヤーの遠位端の位置を確認しつつ、ガイドワイヤーを押し進めることができる。
本発明のガイドワイヤーは、遠位端に球状又は半球状のボール部を有することが好ましい。遠位端にボール部を設けることにより、ガイドワイヤーの遠位端を滑らかにし、血管の内壁を損傷することなく、血管内を押し進めることができる。ボール部の材質に特に制限はなく、例えば、白金、金などの金属などを挙げることができる。ボール部の遠位端への接合方法に特に制限はなく、例えば、ろう付け、溶接などを挙げることができる。
【0008】
本発明のガイドワイヤーにおいては、コアワイヤーの近位端部に高弾性材料がコートされてなることが好ましい。高弾性材料をコートする近位端部の領域に特に制限はないが、コアワイヤーの近位端部の外径が一定である領域にコートすることが好ましく、例えば、全長1,800mmのコアワイヤーにおいては、近位端から1,500mmまでの領域をコートすることができる。
本発明に用いる高弾性材料は、ヤング率が200GPa以上であることが好ましく、300GPa以上であることがより好ましく、500GPa以上であることがさらに好ましい。ヤング率200GPa以上の高弾性材料としては、例えば、ニッケル、クロムなどを挙げることができ、ヤング率300GPa以上の高弾性材料としては、例えば、モリブデン、タングステンなどを挙げることができ、ヤング率500GPa以上の高弾性材料としては、例えば、窒化チタン、炭化タングステンなどを挙げることができる。コアワイヤーの近位端部に高弾性材料をコートする方法に特に制限はなく、例えば、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティングなどを挙げることができる。コアワイヤーの近位端部に高弾性材料をコートして、近位端部のヤング率を高めることにより、ガイドワイヤーの押し込み特性を向上し、優れた操作性を付与することができる。
【0009】
本発明のガイドワイヤーにおいては、コアワイヤーの近位端部にコートされた高弾性材料の厚さが、2〜170μmであることが好ましく、4〜100μmであることがより好ましい。コートされた高弾性材料の厚さが2μm未満であると、ガイドワイヤーの押し込み特性を向上する効果が不十分となるおそれがある。コートされた高弾性材料の厚さが170μmを超えると、ヤング率が高くなりすぎて、ガイドワイヤーの操作性が低下するおそれがある。本発明においては、コアワイヤーの近位端部にコートする高弾性材料の厚さを近位端から遠位端部に向かって徐々に薄くし、近位端から遠位端部に向かってヤング率が徐々に小さくなり、物性の急激な変化のないコアワイヤーとすることができる。
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーの近位端部のヤング率が、180GPa以上であることが好ましく、190GPa以上であることがより好ましい。コアワイヤーの近位端部のヤング率が180GPa未満であると、ガイドワイヤーの押し込み特性が十分に向上しないおそれがある。
本発明のガイドワイヤーは、その表面を樹脂により被覆することができる。樹脂による被覆は、ガイドワイヤーの全表面に行うことができ、あるいは、遠位端部のみを被覆することもできる。例えば、遠位端部のスプリングコイルをシリコーンゴムなどの弾性体で被覆し、さらにその上をポリエチレンオキサイドなどの親水性樹脂で被覆することにより、ガイドワイヤーの滑り性を向上させ、優れた操作性を付与することができる。
【0010】
図1は、本発明のガイドワイヤーの一態様の模式的説明図である。本図では、径方向の寸法と長さ方向の寸法の比を、実際の寸法の比の300倍にしている。本図に示すガイドワイヤーは、近位端1から遠位端2までの全長が1,800mmであり、近位端から1,500mmまでの近位端部3のコアワイヤーの外径は0.340mmであり、遠位端から300mmまでの遠位端部4のコアワイヤーの外径は、近位端部と接する位置において0.340mmであり、遠位端に向かって徐々に外径が小さくなり、遠位端において0.060mmとなっている。遠位端部のうち、遠位端から15mmまでには、塑性的金属のコート5が施されている。遠位端部のうち、遠位端から170mmまでは、線径0.060mm、巻き径0.340mmのスプリングコイル6で覆われている。スプリングコイルのうち、遠位端側30mmの部分のスプリングコイルの材質は白金であり、残余のスプリングコイルの材質はステンレス鋼である。コアワイヤーの近位端部には、高弾性材料のコート7が施され、その厚さは近位端から遠位端部に向かうにつれて徐々に薄くなっている。
図2は、本発明のガイドワイヤーの他の態様の模式的説明図である。本図では、径方向の寸法と長さ方向の寸法の比を、実際の寸法の比の300倍にしている。本図に示すガイドワイヤーは、図1に示すガイドワイヤーの遠位端部に、弾性体樹脂の下層と親水性樹脂の上層からなる樹脂コート9を施したものである。
図3は、本発明のガイドワイヤーの他の態様の模式的説明図である。本図では、径方向の寸法と長さ方向の寸法の比を、実際の寸法の比の300倍にし、遠位端部と近位端部の長さの比を、実際の長さの比の3.8倍にしている。本図に示すガイドワイヤーは、遠位端部4の外径が段階的に小さくなっている。
【0011】
【実施例】
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例によりなんら限定されるものではない。
実施例1
外径0.340mmのニッケル−チタン系超弾性合金の線条を長さ1,800mmに切断してコアワイヤー材料とし、遠位端から300mmの位置より遠位端に向かって徐々に外径が小さくなり、遠位端における外径が0.060mmになるように、研削加工を行った。次いで、遠位端から15mmの部分に、電気メッキにより厚さ11μmの銅メッキを施した。
同じ材質のニッケル−チタン系超弾性合金の外径0.060mmの線条に、同様にして厚さ11μmの銅メッキを施して試験片とし、弾性伸び率を測定したところ、0.7%であった。
遠位端部に銅メッキを施したコアワイヤーの近位端部に、イオンプレーティングにより厚さ6μmの窒化チタンのコートを施した。
コアワイヤーの作製に用いたのと同じ外径0.340mmのニッケル−チタン系超弾性合金の線条に、同様にして厚さ6μmの窒化チタンのコートを施して試験片とし、ヤング率を測定したところ、200GPaであった。
窒化チタンのコートの上に、ポリテトラフルオロエチレンのディスバージョンを塗布し、焼き付けて、厚さ5μmのポリテトラフルオロエチレンの皮膜を形成した。
次いで、遠位端部のうち、遠位端から170mmの部分を線径0.060mm、巻き径0.340mmのスプリングコイルで覆い、コアワイヤーにろう付けした。スプリングコイルの材質は、遠位端から30mmの部分を白金とし、残りの部分をSUS316とした。最後に、遠位端に直径0.340mmの半球状の白金のボール部をろう付けして、ガイドワイヤーを完成した。
このガイドワイヤーに、図4に示すように、遠位端から10mmの位置で、角度αが45゜になるように塑性変形させて型付けした。型付け性は、優秀であった。
図5に示す形状の長さ175mm、内径2mmの腔路を有するポリテトラフルオロエチレン製の体腔モデルを用いて、押し込み試験を行った。体腔モデルを37℃の恒温水槽に浸漬し、遠位端部に型付けしたガイドワイヤーを腔路に押し込んだ。遠位端部の型付けを利用して、前進、後退、左右への回転を繰り返しながら、ガイドワイヤーを円滑に押し込むことができた。押し込み試験ののち、体腔モデルから引き抜いたガイドワイヤーの遠位端部の型付けは、角度αが45゜のままであり、永久歪みを生じていなかった。
実施例2
実施例1と同じ操作を繰り返して、外径0.340mmのニッケル−チタン系超弾性合金の線条の切断、研削加工、銅メッキ、窒化チタンのコート、ポリテトラフルオロエチレン皮膜の形成、スプリングコイルのろう付け、ボール部のろう付けを行った。
さらに、ショアA硬度20のポリジメチルシロキサンを用いて遠位端部を被覆し、その上にポリエチレンオキサイドを厚さ1μmでコートし、遠位端部の表面に親水性を付与して、ガイドワイヤーを完成した。
このガイドワイヤーに、図4に示すように、遠位端から10mmの位置で、角度αが45゜になるように塑性変形させて型付けした。型付け性は、優秀であった。
実施例1と同様にして、体腔モデルへの押し込み試験を行った。実施例1よりもさらに円滑に、ガイドワイヤー全体を体腔モデルの腔路に押し込むことができた。押し込み試験ののち、体腔モデルから引き抜いたガイドワイヤーの遠位端部の型付けは、角度αが45゜のままであり、永久歪みを生じていなかった。
【0012】
比較例1
遠位端部に銅メッキを施さない以外は、実施例1と同様にして、ガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
外径0.340mmのニッケル−チタン系超弾性合金の線条を長さ1,800mmに切断してコアワイヤーの材料とし、遠位端から300mmの位置から遠位端に向かって徐々に外径が小さくなり、遠位端における外径が0.060mmになるように、研削加工を行った。
同じ材質のニッケル−チタン系超弾性合金の外径0.060mmの線条について、弾性伸び率を測定したところ、7.0%であった。
遠位端部に研削加工を施したコアワイヤーの近位端部に、イオンプレーティングにより厚さ6μmの窒化チタンのコートを施した。さらに、窒化チタンのコートの上に、ポリテトラフルオロエチレンのディスバージョンを塗布し、焼き付けて、厚さ5μmのポリテトラフルオロエチレンの皮膜を形成した。
次いで、遠位端部のうち、遠位端から170mmの部分を線径0.060mm、巻き径0.340mmのスプリングコイルで覆い、コアワイヤーにろう付けした。スプリングコイルの材質は、遠位端から30mmの部分を白金とし、残りの部分をSUS316とした。最後に、遠位端に直径0.340mmの半球状の白金のボール部をろう付けして、ガイドワイヤーを完成した。
このガイドワイヤーの遠位端部に、実施例1と同様にして、型付けを試みたが、塑性変形が起こらず、型付けすることができなかった。
実施例1と同様にして、体腔モデルへの押し込み試験を行った。ガイドワイヤーを左右に回転させて遠位端の進路を調整することができず、実施例1よりもガイドワイヤーの押し込みに手間がかかった。
比較例2
ステンレス鋼製のガイドワイヤーを作製し、評価を行った。
外径0.340mmのSUS316の線条を長さ1,800mmに切断してコアワイヤーの材料とし、遠位端から300mmの位置から遠位端に向かって徐々に外径が小さくなり、遠位端における外径が0.060mmになるように、研削加工を行った。
外径0.060mmのSUS316の線条を試験片として、弾性伸び率を測定したところ、1.0%であった。
コアワイヤーの作製に用いたのと同じ外径0.340mmのSUS316の線条を試験片として、ヤング率を測定したところ、200GPaであった。
コアワイヤーの近位端部に、ポリテトラフルオロエチレンのディスバージョンを塗布し、焼き付けて、厚さ5μmのポリテトラフルオロエチレンの皮膜を形成した。
次いで、遠位端部のうち、遠位端から170mmの部分を線径0.060mm、巻き径0.340mmのスプリングコイルで覆い、コアワイヤーにろう付けした。スプリングコイルの材質は、遠位端から30mmの部分を白金とし、残りの部分をSUS316とした。最後に、遠位端に直径0.340mmの半球状の白金のボール部をろう付けして、ガイドワイヤーを完成した。
このガイドワイヤーに、図4に示すように、遠位端から10mmの位置で、角度αが45゜になるように塑性変形させて型付けした。型付け性は、良好であった。
実施例1と同様にして、体腔モデルへの押し込み試験を行った。ガイドワイヤーの体腔モデルへの押し込み特性は悪く、実施例1より手間がかかった。遠位端部が超弾性を有しないので、屈曲した腔路の通過が円滑でなく、また、屈曲した腔路の通過により、遠位端部の型付けが変形したためと考えられる。押し込み試験ののち、体腔モデルから引き抜いたガイドワイヤーの遠位端部の型付けは、角度αが40゜であり、永久歪みが生じていた。
実施例1〜2及び比較例1〜2のコアワイヤーの構造と物性及びガイドワイヤーの構造と性能を、まとめて第1表に示す。
【0013】
【表1】
【0014】
【発明の効果】
本発明のガイドワイヤーは、コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされ、遠位端部への型付けが可能なので、優れた押し込み特性と操作性を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明のガイドワイヤーの一態様の模式的説明図である。
【図2】図2は、本発明のガイドワイヤーの他の態様の模式的説明図である。
【図3】図3は、本発明のガイドワイヤーの他の態様の模式的説明図である。
【図4】図4、実施例における型付けの説明図である。
【図5】図5は、実施例で用いた体腔モデルの説明図である。
【符号の説明】
1 近位端
2 遠位端
3 近位端部
4 遠位端部
5 塑性的金属のコート
6 スプリングコイル
7 高弾性材料のコート
8 ボール部
9 樹脂コート
Claims (7)
- コアワイヤーが超弾性合金からなり、コアワイヤーの遠位端部の外径が近位端部の外径よりも小さい医療用ガイドワイヤーにおいて、コアワイヤーの遠位端部に塑性的金属がコートされてなることを特徴とするガイドワイヤー。
- コートされた塑性的金属の厚さが、1〜30μmである請求項1記載のガイドワイヤー。
- コアワイヤーの遠位端部が、スプリングコイルにより覆われてなる請求項1記載のガイドワイヤー。
- コアワイヤーの遠位端部の塑性的金属でコートされた部分の弾性伸び率が、1%以下である請求項1記載のガイドワイヤー。
- コアワイヤーの近位端部に、高弾性材料がコートされてなる請求項1記載のガイドワイヤー。
- コートされた高弾性材料の厚さが、2〜170μmである請求項5記載のガイドワイヤー。
- 近位端部のヤング率が、180GPa以上である請求項5記載のガイドワイヤー。
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Cited By (3)
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WO2009041360A1 (ja) * | 2007-09-25 | 2009-04-02 | Kabushiki Kaisha Toshiba | 医療用ガイドワイヤ用芯線およびそれを用いた医療用ガイドワイヤ |
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