JP2004337131A - 膨脹剤組成物 - Google Patents

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Masamitsu Uesugi
正光 植杉
Hiroyasu Mihara
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Abstract

【課題】保存時における吸湿による質(膨脹効力)の低下や固結化(ケーキング)を有意に防止して保存安定性に優れ、使用にあたって所望の膨脹効果を十分に発揮し得る膨脹剤を提供する。更には、スナック菓子においてはサクサクとした食感を与える効果を発揮する膨脹剤を提供する。
【解決手段】膨脹剤に微粉末のステアリン酸カルシウムを含有し、膨脹剤100重量部に対して、ステアリン酸カルシウムを2〜10重量部含有する。微粉末のステアリン酸カルシウムを含有する膨脹剤組成物を膨脹剤として用いてベーキング食品を製造する。
【選択図】なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、パンや菓子類の製造に広く用いられる膨脹剤に関する。より詳細には、本発明は保存時における吸湿による質(膨脹効力)の低下や固結化(ケーキング)を有意に防止して保存安定性に優れ、使用にあたって所望の膨脹効果を十分に発揮し得る膨脹剤に関する。更に本発明は、スナック菓子においてはサクサクとした食感を与える効果を発揮する膨脹剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
ふくらし粉やベーキングパウダー等といった膨脹剤は、ドウやバッター等の生地を膨らますことにより、食品にソフトでふっくらとした食感を与えるとともに、火の通りをよくして、澱粉のアルファー化を促進させて歯触りや口溶けを良くし、消化を助けるという有用性を有しており、このためホットケーキ、スポンジケーキ、クッキー、和菓子などの焼き菓子;蒸しパン、肉まん、あんまん、饅頭等の蒸しもの;ドーナツ、プレッツェル、スナック菓子などの揚げ物;並びにウエハース、温泉煎餅、コーンカップ、冷凍食品の衣など、種々の食品に広く用いられている。
【0003】
膨脹剤、特に予め炭酸水素ナトリウム等のアルカリ剤と酸を混合して一剤とした一剤式膨脹剤は、湿気にあうと中に含まれる酸とアルカリが反応して効力を失うため、常に乾燥状態を保つことが必要とされる。このため従来から、膨脹剤にかたくり粉やコーンスターチなどの澱粉を配合することにより、膨脹剤の吸湿を防止することや、膨脹剤と油脂及び炭酸カルシウムを含有することを特徴とする膨脹剤組成物(特許文献1)などが検討なされている。しかし、澱粉を配合するだけでは膨脹剤の吸湿を十分防止することはできず、長期保存によって膨脹作用が低下したり、吸湿によって固結化したりして、膨脹剤製品が質的に低下することを免れない。また、膨脹剤と油脂及び炭酸カルシウムを含有する膨脹剤組成物は、吸湿を抑制し、膨張効果を維持できるが、食品中に添加する量が多くなったり、また、一定の微粉状にする際、粉砕の度合いにより、pHのばらつきがみられるといった問題点がある。
【0004】
一方、ステアリン酸カルシウムは、グリセリン脂肪酸エステル、ショ糖脂肪酸エステルなどとともに膨脹剤に添加する安定剤として使用可能な、通常糊料又は微細粒子に揃えた高級脂肪酸塩の一つとして例示されており、これら高級脂肪酸塩は、炭酸ガスを発生する膨脹剤の各成分を被覆し、早すぎる反応を調製して安定化させるのに役立つと記載されている(特許文献2)。しかし、グリセリン脂肪酸エステルやショ糖脂肪酸エステルには、実際には膨脹剤の安定化効果はほとんどみられない。
【0005】
【特許文献1】特開2001−286255号公報
【特許文献2】特公昭52−24577号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、特に一剤式膨脹剤並びにアンモニア系合成膨脹剤など、酸とアルカリ剤とを予め一剤中に含有する膨脹剤を対象として、その吸湿防止並びにそれによる効力低下を簡便に防止する方法を提供することを目的とする。具体的には、保存安定性に優れ、ベーカリー食品を効率的に膨脹させて口当たりのよい食感を付与できる膨脹剤を提供することを目的とする。
【0007】
更に本発明は、スナック菓子においてはサクサクとした食感を与える効果を発揮する膨脹剤を提供することを目的とする。
【0008】
また、膨脹剤には、速効性、遅効性及び持続性のものとがあり、通常、食品の種類や目的に応じて使い分けられている。一般に、アルカリ剤に適用する酸を選択することによって速効性や遅効性といった反応速度が調節されているが、アルカリ剤と酸とを単に組み合わせただけでは膨脹剤に十分な遅効性ないしは徐放性を持たせることができず、従来から遅効性ないしは徐放性が改善された膨脹剤が求められていた。本発明は、かかる課題を解決することも目的とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねたところ、膨脹剤に微粉末のステアリン酸カルシウムを配合することによって、保存時における膨脹剤の吸湿が有意に防止でき、その結果、膨脹剤の固結化(ケーキング)並びに水との反応による脱ガス現象(膨脹効力の低下)を防いで、使用に際して所望の膨脹効果を十分に発揮できることを見出した。
【0010】
また、膨脹剤に微粉末のステアリン酸カルシウムを混合することによって、食品を膨脹させるスピードを所望なレベルにコントロールでき、膨脹剤の徐放化が実現できることを見いだした。更に、本発明者らは、本発明の膨脹剤組成物を用いることによってベーキング食品に所望の食感が付与できることを見出した。
【0011】
本発明はかかる知見に基づいて開発されたものであり、次の態様を含むものである:
項1.微粉末のステアリン酸カルシウムを含有することを特徴とする膨脹剤組成物。
項2.膨脹剤100重量部に対して、微粉末のステアリン酸カルシウムを2〜10重量部含有する項1に記載の膨脹剤組成物。
項3.項1又は2に記載の膨脹剤組成物を膨脹剤として用いてベーキング食品を製造することからなる、ベーキング食品の食感改善方法。
項4.項1又は2に記載の膨脹剤組成物を膨脹剤として用いて調製されるベーキング食品。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明の膨脹剤組成物は、微粉末のステアリン酸カルシウムを含有することを特徴とする。粉末の度合いは膨脹剤に添加して効果を発揮する程度であればよいが、200メッシュ篩過、好ましくは、400メッシュ篩過の微粉末とするのが好ましい。微粉末化方法は特に制限されないが、例えば、奈良式粉砕機などの一般の粉砕機で、例えば1〜10KGの条件で数十秒〜数分にわたって、粉砕する方法を挙げることができ、予め混合して粉砕調製してから膨脹剤に添加するのが好ましい。なお、本発明において用いられるステアリン酸カルシウムは、食品に適用できるものであれば特に制限されない。
【0013】
膨脹剤に対する微粉末のステアリン酸カルシウムの配合割合は、使用する膨脹剤(酸成分)の種類、膨脹剤の膨脹作用発現の早さ、強さ、持続時間などに応じて適宜選択調整することができるが、膨脹剤組成物100重量部にあたり、ステアリン酸カルシウムが通常2〜10重量部、好ましくは3〜8重量部となるような割合を挙げることができる。
【0014】
かかる微粉末のステアリン酸カルシウムは、膨脹剤に配合することによって膨脹剤の吸湿をより一層有意に防いで保存時の質低下を防止でき、その結果ケーキングの発生や膨脹作用の低下を防ぐことができる。その結果、使用に際して所望の膨脹作用を発揮することにより、より良好な膨脹食品(ベーキング食品)を製造することができる。
【0015】
膨脹剤は、一般に中に含まれるアルカリ剤と酸剤とが、水と熱によって化学変化をおこして、炭酸ガスまたはアンモニアガスを発生し、ドウやバッターなどの生地に気泡を包含させて多孔性とし、得られる食品の食感を向上させるために用いられる食品添加物である。本発明の膨脹剤は、このように食品添加物として用いられる膨脹剤を広く包含するものである。
【0016】
膨脹剤として用いられるアルカリ剤としては、炭酸水素ナトリウム(重曹)、炭酸ナトリウム、炭酸水素アンモニウム、炭酸アンモニウム、塩化アンモニウム等を挙げることができる。また、酸剤としては、焼きミョウバン、生ミョウバン、第一燐酸カルシウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、ピロリン酸二水素二ナトリウム、グルコノデルタラクトン、酒石酸、酒石酸水素カリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム等を挙げることができる。
【0017】
膨脹剤は、食品の種類や目的に応じて、用いる酸を種々選択することにより速効性、遅効性及び持続性の各種の特性を備えることができる。
【0018】
一般に上記酸剤のうち有機酸系のものは、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ剤との反応が早く、比較的低い温度で多量のガスを発生する。このため、有機酸系の酸剤とアルカリ剤との組み合わせは、速効性膨脹剤として、例えば比較的加熱時間の短い蒸しパン、中華まんじゅう、蒸しケーキ、ソフトドーナツ、蒸しカステラ、フランクフルトの衣、天ぷらの衣などのベーキング食品を製造する際に有用である。かかる有機酸系の酸剤として、具体的には酒石酸、酒石酸水素カリウム、フマル酸、フマル酸ナトリウム、グルコノデルタラクトンなどが例示できる。
【0019】
次に、有機酸系の酸剤以外の酸剤として、第一リン酸カルシウム、酸性ピロリン酸ナトリウム、生ミョウバンを挙げることができ、最も遅いものとしては焼きミョウバンを挙げることができる。これらの酸剤は、炭酸水素ナトリウム等のアルカリ剤と組み合わせて遅効性若しくは持続性膨脹剤として、比較的高温で短時間加熱して製造されるホットケーキ、どら焼き、人形焼きなどの焼き菓子もしくは長時間じっくり加熱して製造されるスポンジケーキやパンなどのベーカリー食品の製造に有用である。
【0020】
本発明において、膨脹剤は前述するアルカリ剤及び酸を、用いる食品の種類や用途に応じて適宜組み合わせて調製することができ、その組み合わせ並びにその配合割合は、当業者の通常の知識に基づいて設定並びに設計変更することができるものである(「食品添加物表示の実務」平成2年3月20日発行、食品添加物表示懇談会発行、第335頁;全面改定第6版「食品添加物の使用法」岡村一弘著、食品と科学社発行、第199〜213頁)。
【0021】
なお、本発明で用いられる膨脹剤は、通常用いられるように、10〜80メッシュ、好ましくは20〜40メッシュの粉末状若しくは粒子状のものであることが望ましい。
【0022】
前述する膨脹剤のうち特に速効性膨脹剤は、吸湿の影響を受けやすく、わずかな水分にも反応してガスを発生して効力を逸したり、固結化(ケーキング)して本来の粉末状もしくは粒子状のさらさら感を失ったりしてしまう傾向が強い。本発明は、膨脹剤に対して吸湿を防止し、それによって効力低下を防止するという効果を発揮することから、速効性膨脹剤に対して特に有効である。
【0023】
また、より優れた膨脹効果を得るために、アルカリ剤と速やかに反応する酸と比較的遅く反応する酸剤とを併用することもできる。すなわち膨脹剤として速効性膨脹剤と遅効性膨脹剤とを組み合わせて用いることによって、食品の製造にあたり二段式にガスを発生させることができ、より一層ボリューム感がアップした食品を得ることができる。具体的には、速効性の膨脹剤による一次反応により生地を柔らかくして次の反応が進みやすい状態とし、次いで遅効性の膨脹剤による二次反応により、一層ボリューム感がアップしたベーキング食品等を調製することができる。
【0024】
本発明においては、かかる膨脹剤に微粉末のステアリン酸カルシウムを併用することによって、速効性膨脹剤の吸湿性及び質低下を防止して速効的に一次反応を生じせしめ、かつ遅効性膨脹剤による徐放的膨脹をより効果的に発揮させることができ、その結果かかる、上述するような所望の膨脹効果を得ることができるものである。
【0025】
本発明の膨脹剤組成物は、前述する膨脹剤と微粉末のステアリン酸カルシウムを混合することによって調製することができるが、具体的には膨脹剤とステアリン酸カルシウムの粉砕混合物とを配合して、例えば高速ミキサー、Wコン型ミキサー、V型ミキサーなどを利用して、両者を緊密に混合する方法を例示することができる。なお上記製造にあたり、膨脹剤とステアリン酸カルシウムとの混合は、摩擦熱等による熱の発生を伴わないように穏和な条件で実施されることが好ましく、例えば混合時の温度が40℃を越えないように、例えば20〜30℃の範囲に収まるように混合条件を設定制御することが好ましい。
【0026】
本発明の膨脹剤組成物は、膨脹剤として、従来の膨脹剤と同様に自体公知の方法に従ってベーキング食品の調製に使用することができる。
【0027】
本発明においてベーキング食品とは、焼成、蒸し、揚げ等の処理を経て調製される食品を広く包含するものであるが、好適にはホットケーキ、スポンジケーキ、パン、クッキー、和菓子(どら焼き、人形焼き等)などの焼き菓子;蒸しパン、肉まん、あんまん、饅頭、中華まんじゅう、蒸しケーキ、蒸しカステラ等の蒸しもの;ドーナツ、プレッツェル、スナック菓子などの揚げ物;並びにウエハース、温泉煎餅、コーンカップ、フランクフルトや天ぷら等の衣などの、主に小麦粉を主原料とする生地を膨張させて調製される食品を挙げることができる。
【0028】
上記ベーキング食品は、本発明の膨脹剤組成物の存在下で焼成工程に供されることによって調製することができる。焼成工程の具体的な条件は、対象とするベーキング食品に応じて定められた慣用方法に従うことができるが、適宜調製することもできる。
【0029】
またベーキング食品に配合する本発明の膨脹剤組成物の配合割合は、該膨脹剤組成物を構成する膨脹剤の各ベーキング食品に対する慣用の使用割合をもとに、適宜選択決定することができる。
【0030】
さらに本発明の膨脹剤組成物は、ベーキング食品の調製に使用されることによって該ベーキング食品に所望の食感を付与することができる。本発明の膨脹剤組成物は、特にスナック菓子、プレッツェル、クッキー、クラッカー等の揚げ菓子にサクサクした食感を付与する効果に優れている。
【0031】
この観点から、本発明は、前述する膨脹剤組成物を用いてベーキング食品を製造することを特徴とする、ベーキング食品の食感改善方法を提供するものである。膨脹剤組成物は、ベーキング食品の焼成工程に配合されていればよく、具体的な配合時期や順序を特に制限するものではない。また、この場合の膨脹剤組成物の配合割合も、上記膨脹剤としての配合割合に準じて決定することができる。
【0032】
本発明によれば、膨脹剤に微粉末のステアリン酸カルシウムを配合し混合することによって、保存時における膨脹剤の吸湿を有意に防止でき、その結果、膨脹剤の固結化(ケーキング)並びに水との反応による脱ガス現象(効力の低下)を防いで、使用に際して所望な膨脹効果を十分に発揮することができる。また、速効性膨脹剤と遅効性膨脹剤を組み合わせて使用する場合でも、本発明によれば両者膨脹剤同士の反応や空気中の水分との反応を阻止して、ガス発生反応を抑えることができる。更に、ステアリン酸カルシウムを微粉末化の程度により、pHの変動がないので、常に均一な製品を製造することが出来る。
【0033】
また、膨脹剤に微粉末のステアリン酸カルシウムを混合することによって速効性膨脹剤の即時反応が抑制でき、これにより反応を徐放化乃至持続化することができ、ガス発生のスピードを調整することができる。
【0034】
また、かかる本発明の膨脹剤組成物によれば、上記有用な膨張効果だけでなく、スナック菓子においてはサクサクとした食感を与える効果を発揮することができる。
【0035】
【実施例】
以下、本発明の内容を以下の実施例を用いて具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。また、特に記載のない限り「部」とは、「重量部」を意味するものとする。文中「*」印のものは、三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製、文中「※」印は三栄源エフ・エフ・アイ株式会社の登録商標であることを示す。
【0036】
実験例1・比較例1〜2:ステアリン酸カルシウム粉末の安定性試験
ステアリン酸カルシウム微粉末の安定性を試験した。ステアリン酸カルシウムを奈良式粉砕機にて粉砕(5KG、3秒間)し、400メッシュ篩過の微粉末に調製した(実験例1)。比較例として、ステアリン酸:炭酸カルシウム=6:4の割合とし、実験例1と同様の条件にて、400メッシュ篩過の微粉末に調製したもの(比較例1)、ステアリン酸100%を同様の条件にて400メッシュ篩過の微粉末に調製したもの(比較例2)を調製した。各試料をそれぞれ5回ずつ調製し、常温(30℃)で保存後の経時変化及び試料毎のpHのばらつきをみた。結果を表1に示す。
【0037】
【表1】
Figure 2004337131
【0038】
表1より、ステアリン酸カルシウムの微粉末品(実験例1)は、保存後の経時変化もなく、また、試料毎にpHのばらつきもみられず、安定であった。それに対して、比較例1のステアリン酸:炭酸カルシウム混合品は、保存後の経時変化はみられないものの、試料を調製する際の粉砕の度合いにより、pHのばらつきがみられた。また、比較例2については、保存中に経時変化がみられ、微粉化した状態から二次粒子を形成し、ケーキングを起こした状態となった。
【0039】
実験例2・比較例3〜8:膨脹剤組成物の安定性及び膨張性試験
表2に示す割合に従って、Wコーン型ミキサーにて30分混合し、奈良式粉砕機(5KG)にて、30秒間粉砕して膨脹剤組成物(実験例2,比較例3〜8)を調製した。
【0040】
各膨脹剤組成物の反応性について試験する。反応性は各膨脹剤組成物を用いて黒糖蒸しパンを調製した場合の該パンの膨らみ具合(目視)で判断した。なお、黒糖蒸しパンは水70部に黒糖30部及び食塩0.1部を溶かし、これに薄力粉100部と表2に示す割合に従って調製した各膨脹剤組成物4部を混合、篩過したものを添加し、軽く混ぜたものを容器に充填し、蒸気にて15〜20分間蒸すことによって調製した。
【0041】
結果を表2に併せて示す。なお蒸しパンの膨らみ方は、最高に膨らんだ時の膨らみ度を100としてこれを基準として評価した。
【0042】
【表2】
Figure 2004337131
【0043】
本発明に係る膨脹剤組成物(微粉末(400メッシュ篩過)の微粉末ステアリン酸カルシウム混合品)を使用した蒸しパンは、比較例と比べて、ボリューム感に優れた良好な蒸しパンとなった。
【0044】
黒糖蒸しパンは、その独特の味より使用できる膨脹剤が限られており、従来から有機酸系の膨脹剤の使用が好ましいとされているが、有機酸系の膨脹剤は安定性に欠けるという欠点を有している。本発明において膨脹剤に、微粉末のステアリン酸カルシウムを併用した膨脹剤組成物を用いることにより、有機酸系の膨脹剤の安定性を確保することができ、黒糖特有の風味を損なうことなく良好な膨らみ及び食感を呈した黒糖蒸しパンを調製できることが確認できた。
【0045】
実験例3,比較例9〜13:膨脹剤組成物の長期保存性試験
表3に示す割合に従って、Wコーン型ミキサーにて30分混合し、奈良式粉砕機(5KG)にて、30秒間粉砕して膨脹剤組成物(実験例4,比較例8〜12)を調製した。各膨脹剤組成物をポリ袋に入れ輪ゴムで封をし、30℃、湿度60%の条件下で3ヶ月間保存し、その後の製剤の性状(ケーキングの有無、粉末の状態)及びガス発生量を観察した。なお、ガス発生量は、第7版食品添加物公定書 第45頁に記載の発生ガス測定法により測定し亜。結果を表3に併せて示す。
【0046】
【表3】
Figure 2004337131
【0047】
表3より、ステアリン酸カルシウムを添加した膨脹剤組成物は、他の膨脹剤組成物と比較して、ガス量の重量変化がなく、保存中の、酸剤とアルカリ剤の反応を抑制して、保存安定性が良好であることが判った。
【0048】
実施例1:膨脹剤組成物(1)
ステアリン酸カルシウムを、Wコーン型混合機で20〜30分間混合し、次いで奈良式粉砕機で粉砕(5KG、30秒間)した。これを上記処方の他成分に配合して、高速ミキサーを用いて5分間撹拌することによって、本発明の膨脹剤組成物(1)を調製した。
【0049】
Figure 2004337131
【0050】
比較例として、ステアリン酸カルシウムに代えて、ショ糖脂肪酸エステル3部を使用した以外は同様にして、膨脹剤組成物比較例(1)を調製した。
【0051】
膨脹剤組成物(1)を使用して、スポンジケーキを調製する。
下記処方のうち、上白糖、全卵及び膨脹剤組成物(1)を混合し、これに薄力粉を篩過したものを添加して高速ミキサーで2〜3分間混合した。これを容器に充填し、180℃のオーブンで20分間焼成してスポンジケーキを作成した。比較のため、膨脹剤組成物(1)に代えて膨脹剤組成物比較例(1)を用いた以外は、上記と同様にしてスポンジケーキを調製した。
【0052】
Figure 2004337131
【0053】
実施例のスポンジケーキは、比較例のスポンジケーキと比べて膨らみが大きく、ふわっとした食感でおいしいスポンジケーキとなった。
【0054】
実施例2:膨脹剤組成物(2)
下記処方のうち、ステアリン酸カルシウムをWコーン型混合機で20〜30分間混合し、次いで奈良式粉砕機で粉砕(5KG、3秒間)した。これを上記処方の他成分に配合してWコン型ミキサーを用いて20分間撹拌することによって本発明の膨脹剤組成物(2)を調製した。
【0055】
Figure 2004337131
【0056】
比較例として、ステアリン酸カルシウムに代えて、グリセリン脂肪酸エステル3部を使用した以外は同様にして、膨脹剤組成物、比較例(2)を調製した。
【0057】
本発明の膨脹剤組成物(2)を使用して、プレッツエルを調製する。
万能混合機のボールに水を秤量し、生イースト、モルトエキスを分散させた後、残りの原料を加え、フックにて63rpm8分間混合した。これを30℃、75%RHで3時間醗酵の後、パスタマシーンで幅5mmにカットし、4%の重曹液に通した。出来上がった生地2gに対して、約0.03g赤穂塩をふりかけ、網の上にのせ、上下200℃のオーブンで13分間焼成し、プレッツェルを調製した。比較のため、実施例1の膨脹剤組成物に代えて比較例(2)の膨脹剤組成物を用いた以外は、上記と同様にしてプレッツェルを調製した。
【0058】
Figure 2004337131
【0059】
実施例のプレッツェルは、比較例のものと比べてサクサクとした良好な食感のプレッツェルであった。
【0060】
実施例3:膨脹剤組成物(3)
下記処方のうち、Wコーン型混合機で20〜30分間混合し、次いで奈良式粉砕機で粉砕(5KG、3秒間)した。これを上記処方の他成分に配合してV型ミキサーを用いて20分間撹拌することによって本発明の膨脹剤組成物(3)を調製した。
【0061】
Figure 2004337131
【0062】
本発明の膨脹剤組成物(3)を使用して、蒸しパンを調製する。
Figure 2004337131
【0063】
水に上白糖及び食塩を溶かし、薄力粉と膨脹剤組成物(3)を混合、篩過したものを添加し、軽く混ぜた。これを容器に充填し、蒸気にて15〜20分間蒸して蒸しパンを作成した。できあがった蒸しパンはふっくらと膨張していておいしい蒸しパンとなった。
【0064】
実施例4:膨脹剤組成物(4)
ステアリン酸カルシウムをWコーン型混合機で20〜30分間混合し、次いで奈良式粉砕機で粉砕(5KG、30秒間)した。これを上記処方の他成分に配合して高速ミキサーを用いて5分間撹拌することによって本発明の膨脹剤組成物(4)を調製した。
【0065】
Figure 2004337131
【0066】
本発明の膨脹剤組成物(4)を使用してケーキドーナツを調製する。
薄力粉、増粘多糖類、膨脹剤組成物(4)を粉末混合、20メッシュ篩別し、残りの原料を加え、万能混合機で撹拌ペースト状とし、180℃の温度で数分揚げて、ドーナツを調製した。できあがったドーナツは、中はふわっとしてるが外側はサクサクとした食感のおいしいドーナツとなった。
【0067】
Figure 2004337131
【0068】
実施例5:膨脹剤組成物(5)
ステアリン酸カルシウムをWコーン型混合機で20〜30分間混合し、次いで奈良式粉砕機で粉砕(5KG、30秒間)した。これを上記処方の他成分に配合して高速ミキサーを用いて5分間撹拌することによって本発明の膨脹剤組成物(5)を調製した。
【0069】
Figure 2004337131
【0070】
本発明の膨脹剤組成物(5)を使用して蒸しケーキを調製する。
水に、サラダ油、卵を加え、万能混合攪拌機(品川工業所製)にて、回転数L(ロー)で3分間攪拌し、薄力粉、増粘多糖類、膨脹剤組成物(5)を粉末混合・20メッシュ篩別したものを加え、更に3分間攪拌し、1個85g用の蒸しパン型に成型して、蒸気にて20分間蒸し、蒸しケーキを調製した。
【0071】
Figure 2004337131
できあがった蒸しパンは、ふっくらと膨張しており、おいしい蒸しパンとなった。

Claims (4)

  1. 微粉末のステアリン酸カルシウムを含有することを特徴とする膨脹剤組成物。
  2. 膨脹剤100重量部に対して、微粉末のステアリン酸カルシウムを2〜10重量部含有する請求項1に記載の膨脹剤組成物。
  3. 請求項1又は2に記載の膨脹剤組成物を膨脹剤として用いてベーキング食品を製造することからなる、ベーキング食品の食感改善方法。
  4. 請求項1又は2に記載の膨脹剤組成物を膨脹剤として用いて調製されるベーキング食品。
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