JP2004336671A - 弾性表面波装置の製造方法及び弾性表面波装置 - Google Patents

弾性表面波装置の製造方法及び弾性表面波装置 Download PDF

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Koji Nakajima
幸司 中島
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Abstract

【課題】弾性表面波素子と配線基板との隙間を樹脂で封止している構造を有し、該樹脂のIDT側への流入を防止する枠状のダムが設けられている弾性表面波装置の製造方法であって、上記ダムの内面と外面とを貫通する貫通孔の発生を確実に抑制することを可能とする弾性表面波装置の製造方法を提供する。
【解決手段】一方主面にIDT5及び配線電極6〜9が形成されており、配線電極6〜9と交叉する部分を有する、感光性樹脂からなる枠状のダム12が形成されている弾性表面波素子2を配線基板3にフリップチップボンディングにより接合し、弾性表面波素子2と配線基板3との隙間に樹脂14を充填する弾性表面波装置の製造方法であって、上記ダム12の形成に際し、感光性樹脂層にダム12をパターニングするための露光を行った後に、ダム形成部分と配線電極6〜9とが交叉する部分を再度露光する、弾性表面波装置の製造方法。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、弾性表面波素子が配線基板に対してフリップチップボンディングにより搭載され、両者の隙間が樹脂で封止されている弾性表面波装置及びその製造方法に関し、より詳細には、樹脂の内部への侵入を防止するための枠状のダムが設けられている弾性表面波装置及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
弾性表面波素子では表面波が励振されるため、パッケージングに際してIDTが形成されている表面波励振部分の振動を妨げないことが必要である。そのため、弾性表面波素子を収納してなる様々なパッケージ構造が提案されている。特に、弾性表面波装置の小型化を図るために、板状の弾性表面波素子を配線基板にフリップチップボンディングで搭載し、配線基板と弾性表面波素子との間の隙間の周囲を樹脂により封止してなる弾性表面波装置が種々提案されている。
【0003】
上記のような弾性表面波装置では、封止を行うための樹脂が弾性表面波素子の表面波励振部分に至ると特性が劣化するおそれがあった。そこで、下記の特許文献1や特許文献2には、このような樹脂の励振部分への侵入防止するために、弾性表面波素子に枠状のダムを設けた構造が開示されいてる。
【0004】
図18は、このような枠状のダムを説明するための弾性表面波素子の模式図平面図である。弾性表面波素子201では、圧電基板202上にIDT203が形成されている。図18では、IDT203が形成されている領域のみが矩形の領域として略図的に示されている。IDT203には、配線電極204a〜204dが接続されている。配線電極204a〜204dは、電極パッド205a〜205dにそれぞれ接続されている。電極パッド205a〜205d上には、それぞれ、弾性表面波素子201が実装される配線基板上の電極ランドと接合するためのバンプ206a〜206dが設けられている。
【0005】
弾性表面波素子201は、圧電基板202のIDT203が形成されている主面202a側を下面とし、配線基板にバンプ206a〜206dにより隙間を隔てて接合される。そして、弾性表面波素子201と配線基板との間の隙間を封止するために樹脂が注入される。この樹脂がIDT203が形成されている部分に至ると弾性表面波素子201の特性が劣化する。そこで、IDT203を囲むように枠状のダム207が設けられている。すなわち、ダム207により、上述した樹脂のIDT203側への侵入が抑制される。
【0006】
【特許文献1】
特許第3207222号公報
【特許文献2】
特許第3225906号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
図18から明らかなように、ダム207は、IDT203を囲むように枠状の形状を有する。他方、配線電極204a〜204dは、ダム207の外側に設けられた電極パッド205a〜205dに接続されている。従って、配線電極204a〜204dと枠207とがそれぞれ交叉していた。
【0008】
上記ダム207は、感光性ポリイミド樹脂などを用いたフォトリソグラフィーにより形成されていた。この場合、圧電基板202上に感光性ポリイミド樹脂を塗工し、焼き付けた後、露光によりパターニングしてダム207が形成される。ところが、上述した配線電極204a〜204dとダム207との交叉部分において、露光が十分に行われず、ダム207の内面207aと外面207bを貫通している貫通孔が形成されがちであるという問題があった。これを図19及び図20を参照して説明する。
【0009】
図19は、図18の矢印Aで示す交叉部を模式的に示す図であり、配線電極204aの横断面に沿う模式的断面図である。ここでは、配線電極204aは、複数の電極層204a1及び204a2を積層してなる多層配線電極により構成されている。このように配線電極204aが多層配線電極で構成されていたり、配線電極204aの厚みが厚い場合、配線電極204a1の裾野、あるいは電極層204a2の裾野において、貫通孔210が生じがちであった。図20に平面図で示すように、貫通孔210は、ダム207の内面207aと外面と207bとを貫通している。このような貫通孔210が形成されるのは以下の理由による。すなわち、上述したフォトリソグラフィーのパターニングに際し、貫通孔が形成れる部分では露光が十分に行われず、露光後の現像によってダム207が形成されている部分以外の感光性ポリイミド樹脂を除去する際に、前述した露光が十分行われていない部分の感光性樹脂も除去され、貫通孔が形成される。
【0010】
貫通孔210は、図20に平面図で示すように、ダム207の内面207a及び外面207b側において大きく開いており、ダム207の内面207aと外面207bとの中央に行くに従って小さくなっている。これは、以下の理由によると考えられる。
【0011】
ダムの側面部(内側と外側)は、フォトマスクの透光部と遮光部の境界部にあたるため、露光時の露光量は他の部分よりも少なく、また、配線電極の段差部では段差が壁となって露光量が少なくなる。露光後現像を行うと、未露光部の樹脂が現像液に溶解するとともに、露光部の樹脂でも前述した露光量が不足している部分の樹脂は現像液に溶解する。従って、配線段差部では毛細管現象によって配線電極の段差にそって溶解が進むため、段差部に発生する孔の開口面積は側面部が最も大きく内部に行くに従って小さくなると考えられる。
【0012】
上記貫通孔210がダム207に生じると、上述した樹脂によりIDT203が設けられている部分の周囲を封止する場合、樹脂がダム207によって確実に妨げられず、貫通孔210を通って、樹脂がIDT203側に侵入することがあった。そのため、弾性表面波装置の特性が劣化し、良品率が低下するという問題があった。
【0013】
上記のような貫通孔210は、多層配線電極が設けられている場合だけでなく、配線電極の厚みが比較的大きい場合においても生じがちであった。
本発明の目的は、上述した従来技術の欠点を解消し、フリップチップボンディングにより弾性表面波素子が配線基板に接合され、かつ樹脂で封止されている弾性表面波装置であって、樹脂の表面波励振部分への侵入を防止するためのダムにより樹脂の内部への侵入が確実に防止され得る弾性表面波装置の製造方法及び弾性表面波装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本願の第1の発明は、一方主面にIDT及び配線電極が形成された弾性表面波素子を用意する工程と、前記弾性表面波素子の一方主面において、前記IDTを囲むように、かつ前記配線電極と交叉する部分を有する感光性樹脂からなる枠状のダムをフォトリソグラフィーにより形成する工程と、前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように、前記弾性表面波素子に配線基板を接合する工程と、前記弾性表面波素子と配線基板との隙間に樹脂を充填し、封止樹脂層を形成する工程とを備え、前記弾性表面波素子に前記ダムをフォトリソグラフィーにより形成するにあたり、感光性樹脂のダム構成部分を露光した後に、ダムと配線電極とが交叉する部分の少なくとも一部を再度露光することを特徴とする弾性表面波装置の製造方法である。
【0015】
第2の発明は、一方主面にIDT及び配線電極が形成された弾性表面波素子を用意する工程と、前記弾性表面波素子の一方主面において、前記IDTを囲むように、かつ前記配線電極と交叉する部分を有する感光性樹脂からなる枠状のダムをフォトリソグラフィーにより形成する工程と、前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように、前記弾性表面波素子に配線基板を接合する工程と、前記弾性表面波素子と配線基板との隙間に樹脂を充填し、封止樹脂層を形成する工程とを備え、前記弾性表面波素子に前記ダムをフォトリソグラフィーにより形成するにあたり、感光性樹脂において配線電極とダム構成部分とが交叉する部分を露光した後に、感光性樹脂のダム構成部分を再度露光することを特徴とする、弾性表面波装置の製造方法である。
【0016】
第1,第2の発明の他の特定の局面では、前記弾性表面波素子にダムを形成する工程において、前記感光性樹脂が弾性表面波素子上にスピンコートにより塗布され、焼付けられた後に、ダム構成部分が透光部とされているフォトマスク及びダムと配線電極とが交叉する部分の一部が透光部となっているフォトマスクを用いて、それぞれ露光が行われる。
【0017】
第1,第2の発明のさらに他の特定の局面では、前記配線電極と前記ダム構成部分との交叉部分の全てが、2回目の露光により露光される。
第1,第2の発明のさらに他の特定の局面では、前記ダムと配線電極とが交叉する部分の少なくとも一部を露光する工程においては、ダムの幅よりも狭い透光部を有するフォトマスクを用いて露光が行われる。
【0018】
第1,第2の発明のさらに別の特定の局面では、前記感光性樹脂としてネガ型の感光性樹脂が用いられる。
第1,第2の発明のさらに他の特定の局面では、前記弾性表面波素子が、透光性の基板を用いて構成されている。
【0019】
第1,第2の発明のさらに他の特定の局面では、前記配線電極が、複数の電極層を積層した構造を有する多層配線電極である。
第1,第2の発明のさらに別の特定の局面では、上記配線電極として厚みが0.5μm以上の配線電極が形成される。
【0020】
本願の第3の発明は、一方主面に、IDTと、配線電極と、感光性樹脂のパターニングにより形成されており、前記IDTを囲んでおりかつ前記配線電極と交叉するように設けられた枠状のダムとを有する弾性表面波素子と、前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように前記弾性表面波素子に接合された配線基板と、前記弾性表面波素子と配線基板との間の隙間を封止する封止樹脂層とを備える弾性表面波装置において、前記配線電極が複数の電極層を積層してなる多層配線電極からなり、かつ前記多層配線電極の少なくとも一部の電極層が、前記配線電極と前記ダムとが交叉する部分において断線されていることを特徴とする弾性表面波装置である。
【0021】
本願の第4の発明は、一方主面に、IDTと、配線電極と、感光性樹脂のパターニングにより形成されており、前記IDTを囲んでおりかつ前記配線電極と交叉するように設けられた枠状のダムとを有する弾性表面波素子と、前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように前記弾性表面波素子に接合された配線基板と、前記弾性表面波素子と配線基板との間の隙間を封止する封止樹脂層とを備える弾性表面波装置において、前記配線電極とダムとが交叉する部分において、前記配線電極の側方においてダムの下方にダミー電極が設けられていることを特徴とする、弾性表面波装置である。
【0022】
第5の発明は、一方主面に、IDTと、配線電極と、感光性樹脂のパターニングにより形成されており、前記IDTを囲んでおりかつ前記配線電極と交叉するように設けられた枠状のダムとを有する弾性表面波素子と、前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように前記弾性表面波素子に接合された配線基板と、前記弾性表面波素子と配線基板との間の隙間を封止する封止樹脂層とを備える弾性表面波装置において、前記配線電極の横断面形状が、上底よりも下底が大きい台形の形状とされていることを特徴とする、弾性表面波装置である。
【0023】
第3〜5の発明のある特定の局面では、上記配線電極が、複数の電極層を積層してなる多層配線電極により構成されている。
第6の発明は、一方主面に、IDTと、配線電極と、感光性樹脂のパターニングにより形成されており、前記IDTを囲んでおりかつ前記配線電極と交叉するように設けられた枠状のダムとを有する弾性表面波素子と、前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように前記弾性表面波素子に接合された配線基板と、前記弾性表面波素子と配線基板との間の隙間を封止する封止樹脂層とを備える弾性表面波装置において、前記配線電極が、複数の電極層が積層された多層配線電極からなり、該多層配線電極の前記ダムと交叉している部分の少なくとも一部において、前記多層配線電極の最下層の電極層の幅よりも、上方の少なくとも1つの電極層の幅が太くされていることを特徴とする、弾性表面波装置である。
【0024】
第3〜第6の発明に係る弾性表面波装置のある特定の局面では、上記配線電極の厚みは0.5μm以上とされている。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を説明することにより、本発明を明らかにする。
(第1の実施例)
図1〜図4を参照して、本発明の第1の実施例の弾性表面波装置の製造方法を説明する。
【0026】
本実施例では、図2(a)に、断面図で示す弾性表面波装置1が製造される。製造方法の説明に先立ち、弾性表面波装置1の構造を説明する。
弾性表面波装置1では、弾性表面波素子2が配線基板3にフリップチップボンディングにより搭載されている。弾性表面波素子2は、一方主面2aが下面となるようにして、配線基板3に実装されている。弾性表面波素子2の一方主面2a上の構造を、図2(b)を参照して説明する。
【0027】
弾性表面波素子2は、矩形の圧電基板4を有する。圧電基板4は、水晶やLiTaOなどの圧電単結晶、あるいはチタン酸ジルコン酸鉛系セラミックスなどの圧電セラミックスにより構成されている。圧電基板4は、透光性材料により構成されてもよい。圧電基板4が透光性材料で構成されている場合、後述のフォトリソグラフィーに際しての照射される光が圧電基板4の裏面で反射され、該反射光による悪影響が生じたとしても、本実施例に従って、反射光による影響を軽減することができる。この点については、図5を参照して後ほど説明する。
【0028】
圧電基板4上には、図2(b)に示されているように、インターデジタルトランスデューサ(IDT)5が形成されている。図2(b)では、IDT5が形成されている領域が略図的に矩形の形状で示されているが、実際には、少なくとも1個のIDTが構成される。
【0029】
IDT5には、配線電極6〜9が接続されている。配線電極6〜9の外側端は、電極パッド10a〜10dに接続されている。また、電極パッド10a〜10d上には、金属バンプ11a〜11dが形成されている。金属バンプ11a〜11dは、配線基板3(図2(a))に弾性表面波素子2を接合するために設けられており、Auなどの適宜の金属材料により構成されている。
【0030】
IDT5が設けられている領域を囲むように枠状のダム12が形成されている。ダム12は、感光性ポリイミド樹脂などの感光性樹脂により構成されている。ダム12は、前述した特許文献1,2に記載のダムと同様に、後述する封止のための樹脂のIDT5側への流入を防止するために設けられている。
【0031】
本実施例では、ダム12の外側に、さらに第2のダム13が設けられている。ダム13もまた、ダム12と同様に感光性ポリイミド樹脂などの感光性樹脂により構成されている。もっとも、本発明においては、外側のダム13は、必ずしも必要ではない。ダム13を設けることにより、後述の封止樹脂層を構成する樹脂の内部への侵入をより確実に防止することができる。
【0032】
なお、ダム12,13の高さは、配線基板3に弾性表面波素子2をフリップチップボンディングにより搭載した後、配線基板と接しないように設定されることが好ましい。これにより、金属バンプ11a〜11dの接合強度を劣化させることなく、弾性表面波素子2を配線基板3に搭載できる。
【0033】
弾性表面波素子2は、主面2aを下面として、配線基板3に接合されている。この接合は、前述したバンプ10a〜10dを、配線基板3上の電極ランド3a,3bなどに接合することにより行われる。しかる後、配線基板3と弾性表面波素子2との間の隙間に樹脂が注入され、封止樹脂層14が形成される。
【0034】
なお、本実施例では、封止樹脂層14は、配線基板3と弾性表面波素子2との間の隙間のみに形成されているが、弾性表面波素子2を覆うように、つまり弾性表面波素子2上にも封止樹脂層14が形成されていてもよい。
【0035】
図2(a)に示されているように、ダム12,13が設けられているため、封止樹脂層14を形成する樹脂のダム12,13の内側への侵入が防止されている。
【0036】
また、本実施例では、ダム13を超えて封止樹脂層14を構成する樹脂が内部に流入したとしても、ダム12により樹脂のIDT5側への侵入がより確実に抑制される。
【0037】
ところで、枠状のダム12,13は、通常、感光性ポリイミド樹脂などのような感光性樹脂をフォトリソグラフィーによりパターニングすることにより形成される。この場合、前述したように、特許文献1,2に記載の先行技術では、ダムと配線電極との交叉部分において貫通孔が生じるおそれがあるという問題があった。これに対して、本実施例の製造方法によれば、このような貫通孔の発生を効果的に抑制することができる。これを、図1、図3及び図4を参照して説明する。
【0038】
上記のような貫通孔の形成は、配線電極6〜9の厚みが厚い場合、あるいは多層配線電極により配線電極6〜9が形成されている場合に生じがちである。ここでは、配線電極6が多層配線電極である場合を例にとり説明を行う。
【0039】
本実施例では、先ず、弾性表面波素子2において、圧電基板4上に、上述した各種電極、すなわちIDT5、配線電極6〜9、電極パッド10a〜10dが形成される。これらの電極は、蒸着、メッキ、スパッタリングなどの適宜の方法により形成され得る。
【0040】
しかる後、圧電基板4上の全面に、スピンコート法によりダム12,13を構成するための感光性樹脂が塗布される。この場合の感光性樹脂としては、前述した感光性ポリイミド樹脂の他、様々な感光性樹脂を用いることができる。また、感光性樹脂は、ポジ型であってもネガ型であってもよいが、本実施例ではネガ型の感光性樹脂が用いられる。
【0041】
次に、ダム12,13を形成するために、ダム12,13の形状、すなわち枠状の形状が透光部となっているフォトマスクが感光性樹脂層上に重ねられ、露光が行われる。すなわち、図1に模式的平面図で示すように、配線電極6とダム12とが交叉している部分では、ダム12の形状に応じた開口部を有するフォトマスクを用いて露光が行われる。なお、図1においては、フォトリソグラフィーによりダム12が形成された後の状態が示されているが、これは、第1回及び第2回の露光領域を明確にするためであり、第1回及び第2回の露光が行われている段階では、感光性樹脂は、圧電基板の全面に形成されている。上記のように、第1回目の露光に際しては、図1のダム12が形成される部分に露光が行われる。
【0042】
なお、図1では、配線電極6とダム12の交叉部のみを示しているが、配線電極7〜9とダム12の交叉部も同様に処理される。また、配線電極6は、下方の第1の電極層6aと、第1の電極層6a上に積層されており、かつ第1の電極層6aよりも幅の狭い第2の電極層6bとを有する多層配線電極である。
【0043】
しかる後、図1の一点鎖線Bで囲まれた矩形の領域に再度露光が行われる。この一点鎖線Bで囲まれた矩形の領域は、配線電極6とダム12とが交叉している部分の一部である。本実施例では、ダム12の内面12aと外面12bとの間の中央領域において、2回目の上記露光が行われる。このように、配線電極6とダム12とが交叉している部分の少なくとも一部において2回目の露光を行うことにより、光が配線電極6とダム12との交叉部分に確実に行き渡る。従って、2回目の露光後に未露光の感光性樹脂層を溶剤を用いて除去することにより、図1示したダム12が確実に形成される。この場合、ダム12を構成している感光性樹脂の隅々に上記2回目の露光により光が行き渡るため、形成されたダム12において前述した貫通孔は生じ難い。
【0044】
図3は、本実施例の変形例を説明するための模式的平面図である。図1に示した実施例では、破線Bで示す部分が透光部とされているマスクを用いて2回目の露光が行われていたが、この2回目の露光は、交叉部の少なくとも一部であれば特に限定されるものではない。すなわち、図3の一点鎖線C1,C2で囲まれている部分において、第2回目の露光を行ってもよい。ここでは、一点鎖線C1,C2で囲まれている部分を透光部とするマスクを用いて2回目の露光が行われる。
【0045】
もっとも、本発明においては、2回目の露光は、配線電極6とダム12との交叉部の全てに光が照射されるように行われてもよい。もっとも、好ましくは、上記実施例のように、交叉部の一部においてダムの幅よりも幅の狭い透光部を有するマスクを用いて露光することが望ましく、それによって圧電基板の裏面からの反射光による感光性樹脂の露光を抑制することができる。これを、図4を参照して説明する。
【0046】
図4(a),(b)に示すように、配線電極6は、電極層6a上に、電極層6bを形成した多層配線電極からなる。この場合、ダム12を形成するために、ダム12が設けられる部分を透光部とするフォトマスクを被せて1回目の露光が行われる。しかる後、図4の一点鎖線Dで囲まれた領域、すなわち配線電極6とダム12の交叉部の全領域を覆う領域を透光部とするフォトマスクを用いて2回目の露光を行ってもよい。この場合においても、交叉部に十分な光が2回目の露光により与えられ、露光不足による貫通孔の形成を抑制することができる。
【0047】
しかしながら、圧電基板3が透光性である場合、図5に示すように、2回目の露光に際して、照射された光が圧電基板4内を通過し、圧電基板4の裏面で反射される。この反射光が、フォトマスクX遮光部下の感光性樹脂層15に到達し、矢印Eで示す部分の感光性樹脂が感光し残渣が発生するおそれがある。すなわち、図5に示すように、配線電極6の側縁6Aよりも外側の領域において光が2回目の露光において照射された場合には、反射光によるフォトマスクX遮光部下の感光性樹脂の感光による残渣が発生するため、現像時にダム12の交叉部外における貫通孔の形成という問題が生じ好ましくない。従って、貫通孔が生じる部分に多くの露光量を与えるには、好ましくは、図1及び図3に示した実施例及び変形例のように、交叉部の一部において2回目の露光を行うことが望ましい。言い換えれば、ダム12の内面12aと外面12bとの間の一部の領域において2回目の露光を行うことが望ましい。
【0048】
なお、本実施例では、ダム12を形成するために、ダム12が設けられる部分を透光部とするフォトマスクを被せて、1回目の露光をした後、配線電極6とダム12の交叉部分を露光しているが、まず、配線電極6とダム12の交叉部分を先に露光した後、ダム12全体を露光してもよい。
【0049】
(第2の実施例)
図6を参照して、本発明の第2の実施例の弾性表面波装置を説明する。なお、第2の実施例、並びに後述する第3以下の各実施例は、基本的には第1の実施例で示した弾性表面波装置1と同様の構造を有する。異なるところは、配線電極と枠との交叉部分のみである。従って、第2の実施例以下の説明においては、第1の実施例について示した弾性表面波装置1の構造の説明を援用することにより省略する。
【0050】
図6は、第2の実施例の弾性表面波装置における配線電極16とダム12との交叉部分を説明するための模式的平面図である。
本実施例では、配線電極16は、相対的に幅の広い配線電極16a上に、相対的に幅の狭い16bを積層した構造を有する。
【0051】
もっとも、配線電極16は、2層目の電極層16bに、矢印Eで示す断線部が設けられている点において、第1の実施例の配線電極6と異なる。すなわち、本実施例では、配線電極16には、ダム12の下方に位置する部分において、2層目の電極層16bに断線部Eが形成されている。
【0052】
従って、配線電極16の厚みが厚い場合であっても、断線部Eにおいては、感光性樹脂層の上面の高さが低くなる。言い換えれば、多層配線からなる配線電極16における前述した段差及び配線電極16の厚みの影響を受け難い。よって、感光性樹脂層を全面に形成した後、フォトリソグラフィー露光技術によりダム12が形成されている部分を露光した場合、光が交叉部の底部まで十分に届くことになる。従って、1回の露光を行っただけでも、現像処理後に所望でない前述の貫通孔が形成し難い。また、たとえダム12の内面12aと外面12bとに露光が十分でないため、孔が形成されたとしても、これらの孔が中央で貫通することがない。従って、ダム12の内側への前述した樹脂の流入を確実に抑制することができる。
【0053】
このように、本実施例の弾性表面波装置では、配線電極が多層配線電極である場合、上層の少なくとも1つの電極層を、ダムの下方に位置している部分において断線させることにより、上記貫通孔の形成を防止したことに特徴を有する。従って、断線部Eは、ダム12の内面12aと外面12bとの間の一部の領域において設けられればよい。
【0054】
図7〜図9は、第2の実施例の変形例を説明するための各模式的平面図である。図7では、配線電極16の第2の電極層16bに、複数の断線部E1,E2が形成されている。断線部E1,E2は、それぞれ、ダム12の下方に配線電極16が位置している部分において、ダム12の内面12aの両側及び外面12bの両側に至るように形成されている。
【0055】
図8に示す変形例では、ダム12の下方に配線電極16が位置している部分の全領域に渡って第2の電極層16bが存在しないように断線部E3が形成されている。
【0056】
なお、図8では、断線部E3の配線電極16の長さ方向に沿う上端部は、ダム12の内面12a及び外面12bよりも内側及び外側にそれぞれ位置している。図9に示すさらに他の変形例では、配線電極16Aは、電極層16a,16b及びさらに細い幅の第3の電極層16cを有する。このように、多層配線電極における電極層の積層数は特に限定されない。ここでは、断線部E3は、図8に示した変形例と同様に構成されている。すなわち、第2,第3の電極層16b,16cに断線部E3が構成されている。
【0057】
図7〜図9に示した変形例から明らかなように、第2の実施例における配線電極16は、3以上の電極層を積層したものであってもよく、その場合、2層目以降の電極層の少なくとも1層に上記断線部を設けることにより、第2の実施例と同様にダム12の内面12aから外面12bに至る貫通孔の形成を効果的に抑制し得ることがわかる。
【0058】
(第3の実施例)
第3の実施例の弾性表面波装置では、配線電極と枠との交叉部分にダミー電極が形成されている。その他の点は、第1の実施例と同様である。
【0059】
図11は、第3の実施例に係る弾性表面波装置における配線電極6,7とダム12との交叉部分を示す模式的平面図である。ここでは、配線電極6,7と交叉するようにダム12が形成されている。もっとも、配線電極6,7の側方には、ダム12の下方に位置するように、ダミー電極21,22,23a,23bが形成されている。
【0060】
ダミー電極21,22,23a,23bは、上記のように配線電極6,7とダム12との交叉部分において、配線電極6,7の側方であって、ダム12の下方の領域に形成されている。
【0061】
ダミー電極21〜23bは、図5に示した圧電基板4の裏面で反射してくる光の影響を抑制するために設けられている。すなわち、スピンコートなどにより全面に感光性樹脂を塗布した後、ダム12を開口部とするフォトマスクを用いて露光を行うと、圧電基板4が透光性である場合、図10に示すように圧電基板3の裏面で反射された光がフォトマスクXの下方に位置している感光性樹脂層15にも至ることになる。従って、現像により形成されたダム12において、内面12aと外面12bを貫通する孔が形成されがちとなる。すなわち、ダミー電極21〜23bが設けられていない場合、配線電極6の側方において光が圧電基板の裏面に達し、圧電基板4の裏面で反射された光がフォトマスクXで覆われている部分の感光性樹脂層15にも至ることになる。そのため、ダム12を高精度に形成することができず、また前述した段差による貫通孔の形成等の問題が生じることがあった。
【0062】
これに対して、本実施例では、上記ダミー電極21,22,23a,23bが設けられているため、ダミー電極21,22,23a,23bが設けられている領域においては、反射光が感光性樹脂層に至らない。よって、反射光による上記問題を解決することができる。すなわち、ダム12を高精度に形成することができるとともに、前述した段差による貫通孔の形成を効果的に抑制することができる。
【0063】
上記のように、ダミー電極21〜23bは、反射光の影響を抑制するために設けられているため、ダミー電極21〜23bの厚みは配線電極6,7と同等とする必要は必ずしもない。すなわち、1層の反射層を形成すればよく、またダミー電極21〜23bは、配線電極6,7と異なる材料で構成されていてもよい。もっとも、好ましくは、配線電極6,7と同じ材料で構成することにより、同一工程においてダミー電極21,22,23a,23bを配線電極6,7と同時に形成することができる。
【0064】
また、ダミー電極23a,23bとダミー電極22を比較すれば明らかなように、配線電極6,7の側方に、複数のダミー電極23a,23bを配置してもよい。
【0065】
さらに、図12に示す変形例のように、配線電極6,7と連なるようにダミー電極31,32を形成してもよい。ここでは、配線電極6,7の一方側縁から側方に延びるようにダミー電極31,32が連ねられている。
【0066】
さらに、図13(a)に示すように、配線電極6,7の両側縁から側方にのびるようにダミー電極41,42を形成してもよい。
また、図13(b)に示すように、配線電極6,7の両側にそれぞれダミー電極51,52,53、54を、両側において異なる形状に形成してもよい。ここでは、ダミー電極51,52の幅が異ならされており、ダミー電極53,54の幅も異ならされている。なお、ダミー電極の幅とは、ダミー電極の突出する方向に直交する寸法をいうものとする。
【0067】
図13(c)に示す変形例では、配線電極6,7の側方に延びるダミー電極61,62,63,64が形成されている。そして、ダミー電極62,63間に、配線電極6,7に接続されていないダミー電極65が形成されている。また、ダミー電極64は、矩形枠状の形状を有し、その開口部に独立したダミー電極64aがさらに配置されている。
【0068】
図12及び図13(a)〜(c)に示す各変形例から明らかなように、ダミー電極は、配線電極の側方のダム12の下方の領域における反射光の影響を抑制するものであるため、様々な形状に変形することができ、かつダミー電極の数についても特に限定されるものではない。
【0069】
(第4の実施例)
図14及び図15を参照して、本発明の第4の実施例を説明する。第4の実施例は、配線電極の横断面形状が異なることを除いては、図2に示した弾性表面波装置1と同様に構成されている。
【0070】
図14は、配線電極66の横断面図を示す。配線電極66は、図3に示した配線電極6の代わりに用いられるものである。配線電極66は、圧電基板4上に形成された第1の電極層66aと、第1の電極層66aよりも相対的に幅の狭い第2の電極層66bとを有する。ここでは、第2の電極層66bは、第1の電極層66aよりも厚みが厚くされており、かつその横断面形状が、台形の形状とされている。すなわち、図14から明らかなように、第2の電極層66bは、上底が下底よりも小さい台形の横断面形状を有する。
【0071】
他の配線電極についても同様に構成されている。
本実施例では、上記のように、配線電極66が多層配線電極からなり、少なくとも一部が、上底が下底よりも小さい台形の横断面形状を有するするように構成されている。従って、前述したフォトリソグラフィーによりダム12を形成した場合、前述した段差の影響が軽減され、電極層66bの側縁近傍に十分に光が行き渡る。よって、ダム12の内面と外面とを貫通する貫通孔の発生を効果的に抑制することができる。
【0072】
本実施例においても、第2,第3の実施例と同様に、配線電極の形状等により貫通孔の形成を抑制するものであるため、露光処理は1回でよい。すなわち、第1の実施例のように、2回目の露光を行う必要はない。もっとも、本実施例においても、2回目の露光を施してもよい。
【0073】
図15は、第4の実施例の変形例を説明するための模式的断面図である。図15に示す配線電極76では、第1の電極層76a上に、第2の電極層76b及び第3の電極層76cが形成されている。第2,第3の電極層76b,76cは、いずれも、横断面が台形の形状とされている。従って、第1の電極層76aと、第2の電極層76bとの間の段差部分だけでなく、第2の電極層76bと第3の電極層76cとの段差部分においても、フォトリソグラフィーに際しての光が十分に行き渡り、前述したダム12の内面及び外面を結ぶ貫通孔の発生を抑制することができる。
【0074】
図15に示した変形例からも明らかなように、本実施例では、多層配線電極の電極層の積層数は3以上であってもよい。さらに、配線電極は1層の電極層のみを有するものであってもよく、その場合には、1層の電極層の横断面形状を上底が下底よりも小さい台形とすればよい。
【0075】
(第5の実施例)
図16は、本発明の第5の実施例を説明するための模式的平面図である。本実施例も、配線電極とダム12との交叉部分のみが第1の実施例と異なる。従って、弾性表面波装置の他の構成については、第1の実施例の説明を援用することとする。
【0076】
図16に示すように、図2の配線電極6の代わりに用いられる配線電極86は、第1の電極層86aと、第2の電極層86bとを有する。ここでは、第1の電極層86a上に積層される第2の電極層86bの幅は、第1の電極層86aよりも細くされているが、ダム12の下方に位置している部分で、第1の電極層86aよりも幅の広い幅広部86bが設けられている。従って、幅広部86bにおいては、フォトリソグラフィーによりダム12を形成するに際し、前述した段差の影響が緩和され、光が十分に行き渡る。すなわち、ダム12の内面と外面とを直接的に結ぶ貫通孔の発生を確実に抑制することができる。
【0077】
上記のように、本実施例は、第2の電極層86bの幅をダム12の下方部分において第1の電極層よりも広くすることにより、前述した段差の影響により露光不足を抑制したことに特徴を有する。従って、図17に示すように、第2の電極層86b、すなわち上に形成される電極層86bの幅を、その全長に渡って第1の電極層86aよりも広くしてもよい。
【0078】
また、本実施例においても、配線電極は、3以上の電極層が積層されている構造であってもよく、その場合には、1層目よりも2層目、2層目よりも3層目の電極層の幅をダム12の下方の領域の少なくとも一部において広くすればよい。
【0079】
上述した第2〜第5の実施例では、配線電極の形状の変更やダミー電極の付加等により前述したダム12の内面12aと外面12bとを結ぶ貫通孔の形成が抑制される。従って、露光処理が1回のみでよく、第1の実施例のように2回の露光を施す必要はない。もっとも、第2〜第5の実施例においても2回目の露光を行ってもよく、それによって貫通孔の形成をより確実に抑制することができる。
【0080】
【発明の効果】
第1の発明に係る弾性表面波装置の製造方法では、弾性表面波素子に封止樹脂層を構成する樹脂のIDTが設けられている側への流入を抑制するためのダムを形成するにあたり、フォトリソグラフィーにより感光性樹脂をパターニングにした後に、ダム構成部分と配線電極とが交叉する部分の少なくとも一部を再度露光するため、交叉部分に十分に光が行き渡る。従って、ダムの内面と外面とを貫通する孔の発生を効果的に抑制することができ、それによって樹脂のIDTが設けられている側への流入を確実に抑制することができる。よって、弾性表面波装置の歩留りを効果的に高めることが可能となる。
【0081】
第2の発明では、弾性表面波素子にダムをフォトリソグラフィーにより形成するにあたり、感光性樹脂において配線電極とダム構成部分とが交叉する部分を露光した後に、感光性樹脂のダム構成部分を再度露光される。従って、第2の発明においても、第1の発明と同様に、ダムと配線電極とが交叉する部分に十分に光が行き渡るので、ダムの内面と外面とを貫通する孔の発生が効果的に抑制することができ、それによって樹脂のIDTが設けられている側への流入を確実に抑制することができる。よって、弾性表面波装置の歩留りを効果的に高めることが可能となる。
【0082】
第1,第2の発明において、上記ダムの形成に際し、感光性樹脂を弾性表面波素子上にスピンコートにより塗布し、焼き付けた後、ダムの構成される部分が透光部とされているフォトマスクと、上記交叉部分の少なくとも一部が透光部となっているフォトマスクとを用いて露光が行われる場合には、上記2種のフォトマスクを用いるだけで、交叉部においてダムの内面と外面とを貫通する貫通孔の形成をより確実に抑制することができる。
【0083】
配線電極とダムとの交叉部分の全てが露光される場合においても、該露光により交叉部へ光が十分に行き渡るため、ダムの内面と外面との間を貫通する貫通孔の形成を抑制することができる。
【0084】
ダムと配線電極とが交叉する部分との少なくとも一部を露光するに際し、ダムの幅よりも狭い透光部を有するフォトマスクを用いて露光が行われる場合には、圧電基板の裏面からの反射光による感光性樹脂の所望でない露光を抑制することができる。
【0085】
弾性表面波素子が透光性の基板を用いて構成されている場合には、フォトリソグラフィーに際して露光される光の基板裏面による反射光によって、上記ダムの貫通孔が生じたり、ダムが高精度に形成されないことがあるが、本発明によれば、上記のように反射光の影響も軽減することができるため、ダムを高精度に形成することができるとともに、上記貫通孔の発生を効果的に抑制することができる。従って、透光性の基板を用いて、特性の劣化や歩留りの低下が生じ難い弾性表面波装置を提供することができる。
【0086】
配線電極が、複数の電極層を積層した構造を有する多層配線電極の場合においては、電極層間の段差部において露光が十分に行われないことがあるが、本発明によれば、2回の露光により段差部に光を確実に行き渡らせることができる。
【0087】
また、配線電極の厚みが、0.5μm以上である場合には、配線電極の測縁における段差によりダムの内面と外面とを貫通する貫通孔が形成され易いが、第1の発明によれば、2回の露光により確実に段差部に光が行き渡る。
【0088】
第3の発明に係る弾性表面波装置では、配線電極が複数の電極層を積層してなる多層配線電極からなり、多層配線電極の少なくとも一部の電極層が配線電極とダムとが交叉する部分において断線されているため、断線部により段差の影響が軽減され、それによってダムの内面と外面とを貫通する貫通孔の形成を抑制することが可能とされている。
【0089】
第4の発明に係る弾性表面波装置では、配線電極とダムとが交叉する部分において、配線電極の側方において、ダミー電極が設けられているため、弾性表面波素子を透光性の基板で構成した場合においても、弾性表面波素子の裏面側で反射された反射光による影響を抑制することができ、それによってダムを高精度に構成することができるとともに、ダムの内面と外面とを接続する貫通孔の形成を確実に抑制することができる。
【0090】
第5の発明に係る弾性表面波装置では、配線電極の横断面形状が、下底が上底よりも大きい台形の形状とされているため、それによって配線電極とダムとの交叉部分の段差による影響が軽減される。従って、第1〜第3の発明と同様にダムの内面と外面とを貫通している貫通孔の形成を効果的に抑制することができる。第4〜第5の発明においても、配線電極は複数の電極層が積層された多層配線電極により構成されていてもよい。
【0091】
第6の発明に係る弾性表面波装置では、配線電極が多層配線電極からなり、多層配線電極のダムと交叉している部分の少なくとも一部において、多層配線電極の最下層の電極層の幅よりも、上方の少なくとも1つの電極層の幅が太くされているため、それによって上記段差による影響が軽減されダムの内面と外面とを貫通している貫通孔の形成を確実に抑制することができる。
【0092】
第3〜第6の発明においても、配線電極の厚みが0.5μm以上である場合には、上記貫通孔が形成され易いが、第2〜第5の発明に従って配線電極が構成されていたり、ダミー電極が付加されているため、第2〜第5の発明に従って貫通孔の形成を確実に抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例における配線電極とダムとの交叉部分における露光方法を説明するための模式的部分切欠平面図。
【図2】(a)及び(b)は、本発明の第1の実施例で得られる弾性表面波装置の模式的正面断面図及び第1の実施例の弾性表面波装置に用いられる弾性表面波素子の平面図。
【図3】第1の実施例の製造方法の変形例における露光方法を説明するための模式的部分切欠平面図。
【図4】(a)は、第1の実施例のさらに他の変形例における露光方法を説明するための模式的平面図、(b)は、多層配線電極の形状を説明するための横断面図。
【図5】弾性表面波素子の圧電基板の裏面で反射される光による問題点を説明するための概略構成図。
【図6】第2の実施例の弾性表面波装置における配線電極とダムとの交叉部分を説明するための模式的部分切欠平面図。
【図7】第2の実施例の変形例における配線電極とダムとの交叉部分を説明するための模式的平面図。
【図8】第2の実施例の変形例における配線電極とダムとの交叉部分を説明するための模式的平面図。
【図9】第2の実施例の変形例における配線電極とダムとの交叉部分を説明するための模式的平面図。
【図10】圧電基板の裏面で反射された反射光の影響による問題を説明するための略図的断面図。
【図11】本発明の第3の実施例における配線電極とダムとの交叉部分を示す模式的平面図。
【図12】第3の実施例の変形例における配線電極とダムとの交叉部分を示す模式的平面図。
【図13】(a)〜(c)は、第3の実施例の弾性表面波装置における配線電極とダムとの交叉部分のさらに他の変形例を示す各模式的部分切欠平面図。
【図14】本発明の第4の実施例における配線電極横断面形状を説明するための横断面図。
【図15】第3の実施例における配線電極の横断面形状の変形例を説明するための横断面図。
【図16】本発明の第5の実施例の弾性表面波装置における配線電極と枠との交叉部分を示す部分切欠平面図。
【図17】図16に示した第5の実施例の変形例における配線電極と枠との交叉部分を説明するための部分切欠平面図。
【図18】従来の弾性表面波装置に用いられる弾性表面波素子を示す平面図。
【図19】従来の弾性表面波装置における枠の内面と外面とを貫通する貫通孔を示す模式的正面断面図。
【図20】図19に示した貫通孔の平面形状を説明するための模式的部分切欠平面図。
【符号の説明】
1…弾性表面波装置
2…弾性表面波素子
3…配線基板
4…圧電基板
5…IDT
6〜9…配線電極
10a〜10d…電極パッド
11a〜11d…バンプ
12…ダム
12a…内面
12b…外面
13…ダム
14…封止樹脂層
15…感光性樹脂
16…配線電極
16a…電極層
16b…電極層
16A…測縁
21,22,23a,23b…ダミー電極
31,32…ダミー電極
41,42…ダミー電極
51〜54…ダミー電極
61〜64a…ダミー電極
66…配線電極
66a,66b…電極層
76…配線電極
76a〜76c…電極層
86…配線電極
86a,86b…電極層
86b…幅広部
X…フォトマスク

Claims (16)

  1. 一方主面にIDT及び配線電極が形成された弾性表面波素子を用意する工程と、
    前記弾性表面波素子の一方主面において、前記IDTを囲むように、かつ前記配線電極と交叉する部分を有する感光性樹脂からなる枠状のダムをフォトリソグラフィーにより形成する工程と、
    前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように、前記弾性表面波素子に配線基板を接合する工程と、
    前記弾性表面波素子と配線基板との隙間に樹脂を充填し、封止樹脂層を形成する工程とを備え、
    前記弾性表面波素子に前記ダムをフォトリソグラフィーにより形成するにあたり、感光性樹脂のダム構成部分を露光した後に、ダムと配線電極とが交叉する部分の少なくとも一部を再度露光することを特徴とする弾性表面波装置の製造方法。
  2. 一方主面にIDT及び配線電極が形成された弾性表面波素子を用意する工程と、
    前記弾性表面波素子の一方主面において、前記IDTを囲むように、かつ前記配線電極と交叉する部分を有する感光性樹脂からなる枠状のダムをフォトリソグラフィーにより形成する工程と、
    前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように、前記弾性表面波素子に配線基板を接合する工程と、
    前記弾性表面波素子と配線基板との隙間に樹脂を充填し、封止樹脂層を形成する工程とを備え、
    前記弾性表面波素子に前記ダムをフォトリソグラフィーにより形成するにあたり、感光性樹脂において配線電極とダム構成部分とが交叉する部分を露光した後に、感光性樹脂のダム構成部分を再度露光することを特徴とする、弾性表面波装置の製造方法。
  3. 前記弾性表面波素子にダムを形成する工程において、前記感光性樹脂が弾性表面波素子上にスピンコートにより塗布され、焼付けられた後に、ダム構成部分が透光部とされているフォトマスク及びダムと配線電極とが交叉する部分の一部が透光部となっているフォトマスクを用いて、それぞれ露光が行われる、請求項1または2に記載の弾性表面波装置の製造方法。
  4. 前記配線電極と前記ダム構成部分との交叉部分の露光に際し、交叉部分の全てが露光される、請求項1〜3のいずれかに記載の弾性表面波装置の製造方法。
  5. 前記ダムと配線電極とが交叉する部分の少なくとも一部を露光する工程においては、ダムの幅よりも狭い透光部を有するフォトマスクを用いて露光が行われる、請求項1〜4のいずれかに記載の弾性表面波装置の製造方法。
  6. 前記感光性樹脂としてネガ型の感光性樹脂が用いられる、請求項1〜5のいずれかに記載の弾性表面波装置の製造方法。
  7. 前記弾性表面波素子が、透光性の基板を用いて構成されている、請求項1〜6のいずれかに記載の弾性表面波装置の製造方法。
  8. 前記配線電極が、複数の電極層を積層した構造を有する多層配線電極である、請求項1〜7のいずれかに記載の弾性表面波装置の製造方法。
  9. 前記配線電極の厚みが0.5μm以上である、請求項1〜8のいずれかに記載の弾性表面波装置の製造方法。
  10. 一方主面に、IDTと、配線電極と、感光性樹脂のパターニングにより形成されており、前記IDTを囲んでおりかつ前記配線電極と交叉するように設けられた枠状のダムとを有する弾性表面波素子と、
    前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように前記弾性表面波素子に接合された配線基板と、
    前記弾性表面波素子と配線基板との間の隙間を封止する封止樹脂層とを備える弾性表面波装置において、
    前記配線電極が複数の電極層を積層してなる多層配線電極からなり、かつ前記多層配線電極の少なくとも一部の電極層が、前記配線電極と前記ダムとが交叉する部分において断線されていることを特徴とする弾性表面波装置。
  11. 一方主面に、IDTと、配線電極と、感光性樹脂のパターニングにより形成されており、前記IDTを囲んでおりかつ前記配線電極と交叉するように設けられた枠状のダムとを有する弾性表面波素子と、
    前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように前記弾性表面波素子に接合された配線基板と、
    前記弾性表面波素子と配線基板との間の隙間を封止する封止樹脂層とを備える弾性表面波装置において、
    前記配線電極とダムとが交叉する部分において、前記配線電極の側方においてダムの下方にダミー電極が設けられていることを特徴とする、弾性表面波装置。
  12. 前記ダミー電極は、前記配線電極と同じ材料で配線電極と一体に形成されている、請求項11に記載の弾性表面波装置。
  13. 一方主面に、IDTと、配線電極と、感光性樹脂のパターニングにより形成されており、前記IDTを囲んでおりかつ前記配線電極と交叉するように設けられた枠状のダムとを有する弾性表面波素子と、
    前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように前記弾性表面波素子に接合された配線基板と、
    前記弾性表面波素子と配線基板との間の隙間を封止する封止樹脂層とを備える弾性表面波装置において、
    前記配線電極の横断面形状が、上底よりも下底が大きい台形の形状とされていることを特徴とする、弾性表面波装置。
  14. 前記配線電極が、複数の電極層が積層された多層配線電極からなる、請求項11〜13のいずれかに記載の弾性表面波装置。
  15. 一方主面に、IDTと、配線電極と、感光性樹脂のパターニングにより形成されており、前記IDTを囲んでおりかつ前記配線電極と交叉するように設けられた枠状のダムとを有する弾性表面波素子と、
    前記弾性表面波素子の前記一方主面に対向するように前記弾性表面波素子に接合された配線基板と、
    前記弾性表面波素子と配線基板との間の隙間を封止する封止樹脂層とを備える弾性表面波装置において、
    前記配線電極が、複数の電極層が積層された多層配線電極からなり、該多層配線電極の前記ダムと交叉している部分の少なくとも一部において、前記多層配線電極の最下層の電極層の幅よりも、上方の少なくとも1つの電極層の幅が太くされていることを特徴とする、弾性表面波装置。
  16. 前記配線電極の厚みが0.5μm以上である、請求項10〜15のいずれかに記載の弾性表面波装置。
JP2003133675A 2003-05-12 2003-05-12 弾性表面波装置の製造方法及び弾性表面波装置 Pending JP2004336671A (ja)

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