JP2004333419A - 放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法 - Google Patents

放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法 Download PDF

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Kuniaki Nakano
中野  邦昭
Satoru Honda
哲 本田
Osamu Morikawa
修 森川
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Abstract

【課題】膜厚分布が均一であり、且つ、蒸着効率の高い放射線画像変換パネルの作製方法及びその様な方法で作成された放射線画像変換パネルを提供する。
【解決手段】支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、輝尽性蛍光体層が複数の蒸発源1−1〜1−5等を有する真空チャンバ内で形成されることを特徴とする。複数の蒸発源は支持体3との距離2a、2b、2c等が互いに異なるように配置されても良く、蒸発速度及び/又は蒸発量が互いに異なるように調整されても良い。更に、原料を含む蒸気流を該支持体に入射する時に、支持体の一方の面を加熱しながら、且つ、前記支持体のもう一方の面を冷却することが好ましい。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像変換パネル、及び放射線画像変換パネルの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、輝尽性蛍光体を利用した放射線像変換パネルにより放射線像を画像化する方法が用いられるようになってきた。
【0003】
このような例としては、支持体上に輝尽性蛍光体層を形成した放射線像変換パネル(例えば、特許文献1、2参照。)を使用するものがある。
【0004】
このような放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線をあてて被写体各部の放射線透過度に対応する放射線エネルギーを輝尽性蛍光体層に蓄積させて潜像(蓄積像)を形成し、この輝尽性蛍光体層を輝尽励起光(レーザ光が用いられる)で走査することによって各部に蓄積された放射線エネルギーを放射させて光に変換し、この光の強弱を読みとって画像を得る。この画像はCRT等各種のディスプレイ上に再生してもよいし、又ハードコピーとして再生してもよい。
【0005】
この放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層には、放射線吸収率及び光変換率が高いこと、画像の粒状性がよく、高鮮鋭性であることが要求される。
【0006】
通常、放射線感度を高くするには輝尽性蛍光体層の膜厚を厚くする必要があるが、余り厚くなりすぎると、輝尽性蛍光体粒子間での輝尽発光の散乱のため発光が外部に出てこなくなる現象があり限界がある。
【0007】
又鮮鋭性については、輝尽性蛍光体層を薄層化するほど向上するが、薄すぎると感度の現象が大きくなる。
【0008】
又粒状性についても画像の粒状性は放射線量子数の場所的ゆらぎ(量子モトル)或いは放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層の構造的乱れ(構造モトル)等によって決定されるので、輝尽性蛍光体層の層厚が薄くなると輝尽性蛍光体層に吸収される放射線量子数が減少してモトルが増加したり、構造的乱れが顕在化して構造モトルが増加したりして画質の低下を生ずる。従って画像の粒状性を向上させるためには輝尽性蛍光体層の層厚が厚い必要があった。
【0009】
この様に様々な要因から放射線像変換パネルを用いた放射線像変換方法の画質及び感度は決定される。これらの感度や画質に関する複数の因子を調整して感度、画質を改良するため、これまで様々な検討がされてきた。
【0010】
それらの内放射線画像の鮮鋭性改善の為の手段として、例えば形成される輝尽性蛍光体の形状そのものをコントロールし感度及び鮮鋭性の改良を図る試みがされている。
【0011】
これらの試みの1つとして、微細な凹凸パターンを有する支持体上に輝尽性蛍光体を堆積させ形成した微細な擬柱状ブロックからなる輝尽性蛍光体層を用いる方法(例えば、特許文献3参照。)がある。又、微細なパターンを有する支持体上に、輝尽性蛍光体を堆積させて得た柱状ブロック間のクラックをショック処理を施して更に発達させた輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネル(例えば、特許文献4参照。)を用いる方法、更には、支持体の面に形成された輝尽性蛍光体層にその表面側から亀裂を生じさせ擬柱状とした放射線像変換パネル(例えば、特許文献5参照。)を用いる方法、更には、支持体の上面に蒸着により空洞を有する輝尽性蛍光体層を形成した後、加熱処理によって空洞を成長させ亀裂を設ける方法(例えば、特許文献6参照。)等も提案されている。
【0012】
最近では、支持体上に輝尽性蛍光体層を気相堆積法を用いての作製時、輝尽性蛍光体成分の蒸気流の流線と支持体面との交角を特定の範囲に調節しながら、輝尽性蛍光体層を所定の厚みに形成する方法(例えば、特許文献7参照。)が開示され、また、気相堆積法によって支持体上に、支持体の法線方向に対し一定の傾きをもった細長い柱状結晶が形成された輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネル(例えば、特許文献8参照。)が提案されている。
【0013】
これらの蛍光体層の形状をコントロールする試みにおいては、蛍光体層を柱状結晶構造にすることにより、画質向上を目途としている。特に、柱状にすることにより、輝尽励起光(又輝尽発光)の横方向への拡散を抑える(クラック(柱状結晶)界面において反射を繰り返しながら支持体面まで到達する)ことができるため、輝尽発光による画像の鮮鋭性を著しく増大させることができるという特徴があるとされている。
【0014】
しかしながら、上記記載の気相成長(堆積)により形成した輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいても、より一層の高画質化が求められている。
【0015】
【特許文献1】
米国特許第3,859,527号明細書
【0016】
【特許文献2】
特開昭55−12144号公報
【0017】
【特許文献3】
特開昭61−142497号公報
【0018】
【特許文献4】
特開昭61−142500号公報
【0019】
【特許文献5】
特開昭62−3973号公報
【0020】
【特許文献6】
特開昭62−110200号公報
【0021】
【特許文献7】
特開昭62−157600号公報
【0022】
【特許文献8】
特許第2899812号明細書
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、膜厚分布が均一であり、且つ、蒸着効率の高い放射線画像変換パネルの作製方法及び前記作製方法によって作製された放射線画像変換パネルを提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜6により達成された。
【0025】
1.支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、
該輝尽性蛍光体層が複数の蒸発源を有する真空チャンバ内で形成されることを特徴とする放射線画像変換パネルの作製方法。
【0026】
2.前記複数の蒸発源の少なくとも一つの蒸発源Aと前記支持体との距離Aと、少なくとも一つの蒸発源Bと前記支持体との距離Bとが互いに異なるように前記真空チャンバ内に配置されていることを特徴とする前記1に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
【0027】
3.前記蒸発源Aから発せられる蒸発原料Aの蒸発速度Aと、前記蒸発源Bとから発せられる蒸発原料Bの蒸発速度Bとが互いに異なるように調整されていることを特徴とする前記1または2に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
【0028】
4.前記蒸発源Aから発せられる蒸発原料Aの蒸発量Aと、前記蒸発源Bとから発せられる蒸発原料Bの蒸発量Bとが互いに異なるように調整されていることを特徴とする前記1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
【0029】
5.前記輝尽性蛍光体層がCsBrを含むことを特徴とする前記1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
【0030】
6.前記1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネルの作製方法により作製されたことを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0031】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、上記の問題点を種々検討した結果、支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、
該輝尽性蛍光体層が複数の蒸発源を有する真空チャンバ内で形成されたことを特徴とする放射線画像変換パネルは、膜厚分布が均一であり、且つ、蒸着効率が高いことが判った、
《輝尽性蛍光体層》
本発明に係る輝尽性蛍光体層について説明する。
【0032】
本発明に係る輝尽性蛍光体層に用いられる輝尽性蛍光体としては、下記一般式(1)で表される組成を有する輝尽性蛍光体が好ましく用いられるが、中でも好ましいのはCsBrである。
【0033】
一般式(1)
X・aMIIX′・bMIIIX″:eA
式中、MはLi、Na、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、CdおよびNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、X、X′およびX″はF、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。AはEu、Tb、In、Ga、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である。a、b、eは、各々0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。
【0034】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、Mとしては、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属が好ましい。
【0035】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、Xとしては、BrまたはIが好ましい。
【0036】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIIとしては、Be、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属が好ましい。
【0037】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIIIとしては、Y、La、Ce、Sm、Eu、Gd、Lu、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種の三価金属であることが好ましい。
【0038】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、bとしては、0≦b≦10−2であることが好ましい。
【0039】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、Aとしては、Eu、Ce、Sm、Tl及びNaからなる群から選択される少なくとも1種の金属であることが好ましく、特に好ましくは、Euである。
【0040】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の中でも特に好ましく用いられるのは、CsBrである。
【0041】
CsBrで表される組成を有する輝尽性蛍光体は、X線吸収が大きく、更なる高感度化が可能であり、柱状結晶を精密に制御して形成することにより、高感度、高鮮鋭性を両立させることが出来る。
【0042】
前記一般式(1)及び/またはCsBrで表される、上記の輝尽性蛍光体の作製は、特公平7−84589号公報、同7−74334号公報、同7−84591号公報、同5−01475号公報等に記載の材料を蛍光体作製の為に用いることが出来る。
【0043】
本発明に係る輝尽性蛍光体層の少なくとも1層は、気相堆積法により形成されることが必須要件であるが、形成された輝尽性蛍光体の形状は、柱状結晶構造を有することが好ましく、また、前記柱状結晶は各々が独立し、ある間隔を隔てて結晶成長した結晶構造を有することが好ましい、ここで、各々の結晶がある間隙をおいて独立に柱状結晶構造を持つように成長させる方法は、例えば、特許第2899812号明細書に記載された方法を一例として参照することが出来る。
【0044】
《気相堆積法による輝尽性蛍光体層の作製》
輝尽性蛍光体を気相成長(気相堆積法)させ、柱状結晶に成長させる方法としては、後述する蒸着法、スパッタ法及びCVD法等が好ましく用いられる。
【0045】
気相堆積法により、支持体上に特定の入射角で輝尽性蛍光体(輝尽性蛍光体原料ともいう)の蒸気または該原料を供給し、結晶を気相成長(気相堆積法と呼ぶ)させる方法によって独立した細長い柱状結晶構造を有する輝尽性蛍光体層を得ることが出きる。また、蒸着時の輝尽性蛍光体の蒸気流の入射角に対し約半分の成長角で柱状結晶を結晶成長させることができる。
【0046】
輝尽性蛍光体または輝尽性蛍光体原料の蒸気流を支持体面に対しある入射角をつけて供給する方法には、支持体を蒸発源を仕込んだ坩堝に対し互いに傾斜させる配置を取る、或いは、支持体と坩堝を互いに平行に設置し、蒸発源を仕込んだ坩堝の蒸発面からスリット等により斜め成分のみ支持体上に蒸着させる様規制する等の方法をとることができる。
【0047】
これらの場合において、支持体と坩堝との最短部の間隔は輝尽性蛍光体の平均飛程に合わせて概ね10cm〜60cmに設置するのが好ましい。
【0048】
これらの柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層において変調伝達関数(MTF)をよくするためには、柱状結晶の大きさ(柱状結晶を支持体と平行な面から観察したときの各柱状結晶の断面積の円換算した直径の平均値であり、少なくとも100個以上の柱状結晶を視野中に含む顕微鏡写真から計算する)は1μm〜50μm程度がよく、更に好ましくは、1μm〜30μmである。即ち、柱状結晶が1μmより細い場合は、柱状結晶により輝尽励起光が散乱される為にMTFが低下するし、柱状結晶が50μm以上の場合も輝尽励起光の指向性が低下し、MTFは低下する。
【0049】
又、各柱状結晶間の間隙の大きさは30μm以下がよく、更に好ましくは5μm以下がよい。即ち、間隙が30μmを越える場合は蛍光体層中の蛍光体の充填率が低くなり、感度が低下してしまう。
【0050】
《支持体温度の調整、支持体の表面粗さ、真空度等の設定》
前記柱状結晶の太さは支持体温度、真空度、蒸気流入射角度等によって影響を受け、これらを制御することによって所望の太さの柱状結晶を作製することが可能である。
【0051】
(a)支持体温度の調整
輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を、支持体上に入射させ輝尽性蛍光体層形成を行う時、本発明では前記支持体の一方の面を加熱しながら、且つ、もう一方の面には冷却を行うことが必須である。
【0052】
本発明では、上記のように支持体の一方の面を加熱しながら、且つ、もう一方の面を冷却することにより、輝尽性蛍光体層が設けられる支持体全体の温度を所定の範囲に調整し、且つ、前記所定の温度範囲からの偏差を可能な限り少なくすることにより、本発明に記載の効果(高感度、高鮮鋭性)を奏する放射線画像変換パネルが得られる。
【0053】
(支持体温度)
ここで、支持体温度としては、200℃以下に調整することが好ましく、更に好ましくは、150℃以下であるが、特に好ましくは、50℃〜150℃の範囲である。
【0054】
上記の支持体温度の設定は、前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体を含む輝尽性蛍光体層の形成に好ましく、特に好ましくは、CsBr組成を有する輝尽性蛍光体層の形成であり、これら輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの画質が著しく向上することがわかった。
【0055】
(支持体温度の偏差)
また、輝尽性蛍光体層形成時の支持体温度の偏差(ここで、偏差とは所定の温度からの偏差(±)を表し、所定の温度とは、輝尽性蛍光体層の形成時に予め設定した支持体の温度を示す)としては、所定の温度からの偏差(±)が±20℃以内であることが好ましく、更に好ましくは、±10℃以内であり、特に好ましくは、±5℃以内である。
【0056】
(b)真空度
真空度については、5×10−5Pa〜1Paの範囲が好ましく、更に好ましくは、1×10−4Pa〜0.5Paの範囲である。
【0057】
(c)支持体の表面粗さRa(JIS B 0601に規定された値)
支持体の表面粗さについては、平滑性が高くなるにつれて前記柱状結晶の太さが細くなる傾向にあるが、好ましくは、Raが0.5以下であり、更に好ましくは、0.1以下である。
【0058】
以下、気相堆積法(気相法ともいう)として好ましく用いられる蒸着法、スパッタ法、CVD法について説明し、併せて、上記の支持体温度調整手段について説明する。
【0059】
(蒸着法)
蒸着法は支持体を蒸着装置内に設置したのち、装置内を排気して1.0×10−4Pa程度の真空とし、次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも1つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに斜め堆積させる。この結果、結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層が形成されるが、前記蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、前記蒸着工程では複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着を行うことも可能である。また蒸着法においては、輝尽性蛍光体原料を複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着し、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。更に蒸着法においては、蒸着時に必要に応じて被蒸着物を冷却或いは加熱してもよい。蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0060】
また、蒸着装置の排気バルブの開口の絞りを調節する、窒素ガス、アルゴンガス等のガスを蒸着時に導入し、1×10−4Pa〜1Paの真空度で蒸着しても良い。
【0061】
(スパッタ法)
スパッタ法は前記蒸着法と同様に支持体をスパッタ装置内に設置した後、装置内を一旦排気して1.333×10−4Pa程度の真空度とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガスを装置内に導入して1.333×10−1Pa程度のガス圧とする。次に、前記輝尽性蛍光体をターゲットとして、斜めにスパッタリングすることにより支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに斜めに堆積させる。このスパッタ工程では蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、それぞれを用いて同時或いは順次、前記ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ法では、複数の輝尽性蛍光体原料をターゲットとして用い、これを同時或いは順次スパッタリングして、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体層を形成する事も可能であるし、必要に応じてO、H等のガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。更に、スパッタ法においては、スパッタ時必要に応じて被蒸着物を冷却或いは加熱してもよい。また、スパッタ終了後に輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0062】
(CVD法)
CVD法は、目的とする輝尽性蛍光体或いは輝尽性蛍光体原料を含有する有機金属化合物を熱、高周波電力等のエネルギーで分解することにより、支持体上に結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を得るものであり、いずれも輝尽性蛍光体層を支持体の法線方向に対して特定の傾きをもって独立した細長い柱状結晶に気相成長させることが可能である。
【0063】
《支持体温度の調整手段》
上記の支持体を所定の支持体温度(支持体は基板ともいう)に調整する手段、併せて、輝尽性蛍光体層形成時における前記支持体温度の偏差を少なくする手段を有する、本発明に用いられる蒸着(スパッタ、CVD等も含む)装置の真空チャンバ内での蒸発源と基板(支持体ともいう)の配置の一例を図1〜図3で示し、併せて、従来公知の蒸着装置の真空チャンバ内での蒸発源と基板の配置の一例を図4、図5を用いて説明する。
【0064】
尚、図1〜図5の蒸着装置はすべて、真空チャンバ(図示していない)内に設置されている。
【0065】
気相堆積法を用いる輝尽性蛍光体層の形成は、従来、図4または図5に示すような構成を有する蒸着装置が一般的に用いられている。
【0066】
図4は、従来型の蒸着装置内における蒸発源と支持体(基板)の配置の一例を示す模式図である。
【0067】
(a)は、真空チャンバの下側から見たときに、蒸発源1−2と支持体3(基板3ともいう)との位置関係を示す底面図であり、(b)は、蒸発源1−2と基板3との距離関係を示す正面図である。
【0068】
蒸着時には、輝尽性蛍光体原料(図示していない)は所定量が蒸発源1−2におかれ、蒸発源1−2が加熱されると前記輝尽性蛍光体原料が蒸気流1aを形成し、蒸発源1−2から距離2の位置に配置された支持体3(基板3)上に堆積し、輝尽性蛍光体層(図示していない)が形成される。
【0069】
また、蒸着時において、真空チャンバー(図示していない)内の気体は、排気ポンプ(図示していない)により前記真空チャンバーより排気され、チャンバー内は常に輝尽性蛍光体層の形成に適切な気圧になるように減圧調整される。
【0070】
図5は、従来型の蒸着装置における蒸発源と支持体3(基板3)の配置のその他の一例を示す模式図である。
【0071】
(a)は、真空チャンバの下側から観測した時に、蒸発源1−2と支持体3との位置関係を示す底面図であり、(b)は、蒸発源1−2と支持体3の距離関係を示す正面図である。
【0072】
図5では、図4とは異なり、蒸発源1−2と支持体3との間には、スリット形成用部材4が配置され、スリット形成用部材4に設けられた隙間を通過した蒸気流1aのみが支持体3上に入射されるように設定され、且つ、支持体3は、左右の振幅運動を繰り返すことにより、支持体3上には均一な膜厚を有する輝尽性蛍光体層(図示していない)が形成される。
【0073】
しかしながら、従来公知の図4、図5で各々示したような、単一構成の蒸発源を用いて輝尽性蛍光体層を形成する装置の場合、支持体3の蒸着時の設定温度を200℃以下、好ましくは、150℃以下、特に好ましくは、50℃〜150℃の温度範囲で温度制御しようとした場合、蒸発源からの輻射熱や、蒸気の潜熱の影響等温度で制御が困難、支持体温度を予め設定した所定の温度に保つことが難しい、且つ、所定の温度からの偏差が大きくなりやすい為に輝尽性蛍光体層の膜厚分布にバラツキが大きくなりやすいので、放射線画像変換パネルの輝度低下や鮮鋭性の劣化が招来されやすいという問題点があった。
【0074】
また、従来の装置では、蒸発源が単一構成の為か、輝尽性蛍光体層の作製に実質的に用いられる輝尽性蛍光体原料の量に制限があり、結果的に蒸着効率が低いという問題点があった。
【0075】
以下、図1、図2及び図3により、本発明に係る輝尽性蛍光体層の形成に用いられる、蒸着装置の真空チャンバ内での複数の蒸発源1−1〜1−5(図面によっては、蒸発源1−2がない場合もある)と基板3との配置の一態様を各々説明する。
【0076】
図1は、輝尽性蛍光体層の形成に用いられる蒸着装置における蒸発源1−1〜1−5と支持体3(基板3)の配置の一例を示す模式図である。
【0077】
(a)は、真空チャンバの下側から観測したときに、蒸発源1−1〜1−5と支持体3(基板3ともいう)との位置関係を示す底面図であり、(b)は、蒸発源1−1〜1−3の各々と支持体3との距離関係を示す正面図である。1a、1b、1cは、蒸発源1−1、1−2、1−3から各々支持体3に放出されている蒸気流を表す。
【0078】
2a、2b、2cは、各々蒸発源1−1〜1−3と支持体3との距離を表す。また、蒸発源1−4、蒸発源1−5は、(b)では図示されていないが、支持体3との距離は、各々、蒸発源1−1、蒸発源1−3と同様である。
【0079】
(b)で示されているように、各蒸発源と支持体3との距離2a、2b、2cはすべて同一に設定されている。
【0080】
本発明では、支持体3と蒸発源との距離は、蒸着時の支持体3の温度、蒸発源からの輝尽性蛍光体原料の蒸発速度等により適宜微調整が必要であるが、20cm〜60cmまでの範囲に設定することが好ましい。
【0081】
(a)においては、蒸発源1−2は、支持体3の中心に蒸気流1bが放出されるように配置される。ここで、蒸発源1−2の位置を原点と定め、蒸発源1−2とその他の蒸発源1−1、1−3〜1−5との位置関係をX軸、Y軸を用いた数値で表現する。図中の数値は、cmを表す。
【0082】
図1に記載のような蒸発源を複数(支持体3の中心及び支持体3の四隅に各々蒸発源を配置)配置する構成により、支持体3上に形成される輝尽性蛍光体層の膜厚は従来よりも著しく均一化され、併せて、蒸着効率も著しく向上する。また、副次的な効果として、輝尽性蛍光体の結晶成長面の温度が精密に制御できるということがわかった。
【0083】
図2は、本発明に係る輝尽性蛍光体層の形成に用いられる蒸着装置における蒸発源と基板の配置の一例を示す模式図である。蒸着装置は真空チャンバ(図示していない)内に設置されている。
【0084】
(a)は、真空チャンバの下側から観測したときに、蒸発源1−1〜1−5と支持体3(基板3ともいう)との位置関係を示す底面図であり、(b)は、蒸発源1−1〜1−3の各々と基支持体3との距離関係を示す正面図である。(b)においては、蒸発源1−4、蒸発源1−5と支持体3との距離関係は、各々、蒸発源1−1、1−3と同様である。
【0085】
図2と図1の違いは、蒸発源1−2と支持体3との距離2bが、蒸発源1−1、1−3と支持体3との距離2a、2cよりも、支持体3から離れた位置に設定されていることであるが、このような構成でも図1に記載のような構成と同様な効果を得ることが出来る。
【0086】
図3は、輝尽性蛍光体層の形成に用いられる蒸着装置における蒸発源と基板の配置の一例を示す模式図である。尚、蒸着装置は真空チャンバ(図示していない)内に設置されている。
【0087】
(a)は、真空チャンバの下側から観測したときに、蒸発源1−1〜1−5と支持体3(基板3ともいう)との位置関係を示す底面図であり、(b)は、蒸発源1−1、1−3の各々と支持体3との距離関係を示す正面図である。
【0088】
図3に示された構成は、図1において、蒸発源1−2が配置されていないことをのぞけば、図1に示された構成と同一である。このような構成でも図1に記載のような構成と同様な効果を得ることが出来る。
【0089】
以上から、図1、図2及び図3に記載の装置では、従来公知の装置構成である、図4、図5に示されているような、単一の蒸発源と支持体からなる構成とは異なり、複数の蒸発源を用い、更には、複数の蒸発源の配置と支持体との距離設定を適宜変更することにより、形成される輝尽性蛍光体層の膜厚分布を小さく、且つ、蒸着工程での蒸着効率をも併せて向上できることが判った。
【0090】
また、蒸発源の配置、蒸発源と支持体との距離を適宜調節することに加え、本発明に係る輝尽性蛍光体層の作製において、前記一般式(1)で表される組成、またはCsBr組成を有する輝尽性蛍光体を有する輝尽性蛍光体層の作製では、蒸着時の支持体3の蒸着時の設定温度を200℃以下にすることが好ましく、更に好ましくは、150℃以下、であり、特に好ましくは、50℃〜150℃の温度範囲で温度制御することにより、本発明に記載の効果、即ち、高い発光強度、且つ、高鮮鋭性を示す放射線画像変換パネルを得ることが出来ることが判った。
【0091】
図1〜図3に記載のような、本発明に係る輝尽性蛍光体層の形成に用いられる蒸着装置の構成では、支持体の加熱手段としては、ハロゲンランプ、赤外線ランプが一般的に用いられるが、加熱手段としては特に制限はなく、カーボンヒータ等の他の加熱手段を用いても構わない。また、冷却手段を併用してもよい。
【0092】
(輝尽性蛍光体層の膜厚)
これらの方法により形成した輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線像変換パネルの放射線に対する感度、輝尽性蛍光体の種類等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、20μm〜800μmの範囲である。
【0093】
また、上記記載の気相堆積法を用いて輝尽性蛍光体層の作製時、蒸発源となる輝尽性蛍光体は、均一に溶解させるか、プレス、ホットプレスによって成形して坩堝に仕込まれる。この際、脱ガス処理を行うことが好ましい。蒸発源から輝尽性蛍光体を蒸発させる方法は電子銃により発した電子ビームの走査により行われるが、これ以外の方法にて蒸発させることもできる。
【0094】
また、蒸発源は必ずしも輝尽性蛍光体である必要はなく、輝尽性蛍光体原料を混和したものであってもよい。
【0095】
また、賦活剤は母体(basic substance)に対して賦活剤(actibator)を混合したものを蒸着してもよいし、母体のみを蒸着した後、あとから賦活剤をドープしてもよい。例えば、母体であるRbBrのみを蒸着した後、例えば賦活剤であるTlをドープしてもよい。即ち、結晶が独立しているため、膜が厚くとも充分にドープ可能であるし、結晶成長が起こりにくいので、MTFは低下しないからである。
【0096】
ドーピングは形成された蛍光体の母体層中にドーピング剤(賦活剤)を熱拡散、イオン注入法によって行うことが出来る。
【0097】
支持体上に形成した輝尽性蛍光体層は、結着剤を含有していないので、指向性に優れており、輝尽励起光及び輝尽発光の指向性が高く、輝尽性蛍光体を結着剤中に分散した分散型の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルより層厚を厚くすることができる。更に輝尽励起光の輝尽性蛍光体層中での散乱が減少することで像の鮮鋭性が向上する。
【0098】
又、柱状結晶間の間隙に結着剤等充填物を充填してもよく、輝尽性蛍光体層の補強となる。又高光吸収率の物質、高光反射率の物質等を充填してもよい。これにより前記補強効果をもたせるほか、輝尽性蛍光体層に入射した輝尽励起光の横方向への光拡散をほぼ完全に防止できる。
【0099】
高光反射率の物質とは、輝尽励起光(500nm〜900nm、特に600nm〜800nm)に対する反射率の高いものをいい、例えばアルミニウム、マグネシウム、銀、インジウムその他の金属など、白色顔料及び緑色から赤色領域の色材を用いることができる。
【0100】
白色顔料は輝尽発光も反射することができる。白色顔料として、TiO(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO・Pb(OH)、BaSO、Al、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの中の少なくとも一種であり、XはCl、及びBrのうちの少なくとも一種である。)、CaCO、ZnO、Sb、SiO、ZrO、リトポン(BaSO・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸鉛、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射したり、屈折させることにより輝尽発光を容易に散乱し、得られる放射線画像変換パネルの感度を顕著に向上させうる。
【0101】
又、高光吸収率の物質としては、例えば、カーボン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄など及び青の色材が用いられる。このうちカーボンは輝尽発光も吸収する。
【0102】
又、色材は、有機若しくは無機系色材のいずれでもよい。有機系色材としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学製)、D&CブルーNo.1(ナショナルアニリン製)、スピリットブルー(保土谷化学製)、オイルブルーNo.603(オリエント製)、キトンブルーA(チバガイギー製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土ヶ谷化学製)、レイクブルーAFH(協和産業製)、プリモシアニン6GX(稲畑産業製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学製)、シアンブルーBNRCS(東洋インク製)、ライオノイルブルーSL(東洋インク製)等が用いられる。又カラーインデクスNo.24411、23160、74180、74200、22800、23154、23155、24401、14830、15050、15760、15707、17941、74220、13425、13361、13420、11836、74140、74380、74350、74460等の有機系金属錯塩色材も挙げられる。無機系色材としては群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO−ZnO−Co−NiO系顔料が挙げられる。
【0103】
また、本発明の放射線画像変換パネルに係る輝尽性蛍光体としては、例えば、特開昭48−80487号公報に記載されているBaSO:Axで表される蛍光体、特開昭48−80488号公報に記載のMgSO:Axで表される蛍光体、特開昭48−80489号公報に記載されているSrSO:Axで表される蛍光体、特開昭51−29889号公報に記載されているNaSO、CaSO及びBaSO等にMn、Dy及びTbの中少なくとも1種を添加した蛍光体、特開昭52−30487号公報に記載されているBeO、LiF、MgSO及びCaF等の蛍光体、特開昭53−39277号公報に記載されているLi:Cu,Ag等の蛍光体、特開昭54−47883号公報に記載されているLiO・(Be)x:Cu,Ag等の蛍光体、米国特許第3,859,527号公報に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、LaS:Eu,Sm及び(Zn,Cd)S:Mnxで表される蛍光体が挙げられる。又、特開昭55−12142号公報に記載されているZnS:Cu,Pb蛍光体、一般式がBaO・xAl:Euで挙げられるアルミン酸バリウム蛍光体、及び、一般式がM(II)O・xSiO:Aで表されるアルカリ土類金属珪酸塩系蛍光体が挙げられる。
【0104】
又、特開昭55−12143号公報に記載されている一般式が(Ba1−x−yMgCa)F:Eu2+で表されるアルカリ土類フッ化ハロゲン化物蛍光体、特開昭55−12144号公報に記載されている一般式がLnOX:xAで表される蛍光体、特開昭55−12145号公報に記載されている一般式が(Ba1−xM(II))F:yAで表される蛍光体、特開昭55−84389号公報に記載されている一般式がBaFX:xCe,yAで表される蛍光体、特開昭55−160078号公報に記載されている一般式がM(II)FX・xA:yLnで表される希土類元素賦活二価金属フルオロハライド蛍光体、一般式ZnS:A、CdS:A、(Zn,Cd)S:A,Xで表される蛍光体、特開昭59−38278号公報に記載されている下記いずれかの一般式
xM(PO・NX:yA
xM(PO:yA
で表される蛍光体、特開昭59−155487号公報に記載されている下記いずれかの一般式
nReX・mAX′:xEu
nReX・mAX′:xEu,ySm
で表される蛍光体、特開昭61−72087号公報に記載されている下記一般式
M(I)X・aM(II)X′・bM(III)X″:cA
で表されるアルカリハライド蛍光体、及び特開昭61−228400号公報に記載されている一般式M(I)X:xBiで表されるビスマス賦活アルカリハライド蛍光体等が挙げられる。
【0105】
特に、アルカリハライド蛍光体は、蒸着、スパッタリング等の方法で柱状の輝尽性蛍光体層を形成させやすく好ましい。
【0106】
又、前述のように、アルカリハライド蛍光体の中でもCsBr系蛍光体が高輝度、高画質である点で好ましい。
【0107】
《支持体》
本発明に係る支持体について説明する。
【0108】
支持体としては、各種高分子材料、ガラス、セラミックス、金属、カーボン繊維、カーボン繊維を含む複合材料等が用いられ、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス、結晶化ガラスなどの板ガラス、あるいはアルミナ、窒化珪素等のセラミックス、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは親水性微粒子の被覆層を有する金属シートが好ましい。これら支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。また、本発明においては、支持体と輝尽性蛍光体層の接着性を向上させるために、必要に応じて支持体の表面に予め接着層を設けてもよい。
【0109】
(支持体の膜厚)
これら支持体の厚みは用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜8000μmであり、取り扱い上の観点から、更に好ましいのは80μm〜5000μmである。
【0110】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0111】
実施例1
《放射線画像変換パネル1の作製》:比較例
以下に記載の作製方法に従って、蒸着型蛍光体層を有する放射線画像変換パネル1を作製した。
【0112】
(輝尽性蛍光体プレート1の作製)
図4の配置4に示されるような、従来型の蒸着装置の真空チャンバー(真空容器ともいう)内に厚さ500μmの結晶化ガラス基板を設置した。また、蒸発源としては、Mo製ルツボにCsBr:0.001Eu組成を有する蛍光体を充填し、同様に真空チャンバー内に設置した。
【0113】
蛍光体を設置後、真空チャンバー内を真空ポンプを用いて排気し、1×10−4Paになるまで排気した後、Arガスを導入して1×10−2Paに調整した。
【0114】
真空チャンバー(真空容器)内に設置した支持体(基板)の温度は、100℃に設定した。
【0115】
次いで、蒸発源としてMoルツボを用い、加熱してCsBr:0.001Euを蒸発させ、10μm/分の堆積速度で堆積させ、支持体の中心部(X=0cm、Y=0cmの領域)の膜厚が400μmとなったところで蒸着を終了した。
【0116】
(放射線画像変換パネル1の作製)
上記で作製した輝尽性蛍光体プレート1を用いて放射線画像変換パネル1を作製した。詳しくは、輝尽性蛍光体層を有するガラス状の側縁部にスペーサを介して、各輝尽性蛍光体層と保護層として用いるガラスとの間に、低屈折率層として空気層が100μmの厚みになるように、ガラス製の保護層を設けた。なお、スペーサとしてはガラスセラミックス製で、支持体及び保護層ガラスの間に輝尽性蛍光体層及び低屈折率層(空気層)が所定の厚みとなるように厚みを調整したものを用い、ガラス支持体及びガラス製の保護層の側縁部は、エポキシ系接着剤を用いて接着し、放射線画像変換パネル1を作製した。
【0117】
《放射線画像変換パネル2の作製》:比較例
放射線画像変換パネル1の作製において、表1に記載の蒸発源構成(配置5)を有する蒸着装置を用いた以外は同様にして、放射線画像変換パネル2を作製した。
【0118】
《放射線画像変換パネル3〜5の作製》:本発明
放射線画像変換パネル1の作製において、表1に記載の蒸発源構成(配置1,配置2、配置3)を有する蒸着装置を各々用いた以外は同様にして放射線画像変換パネル3〜5を各々作製した。
【0119】
得られた放射線画像変換パネル1〜5の各々について、下記のようにして膜厚分布と蒸着効率を評価した。
【0120】
《膜厚分布》
膜厚分布については、輝尽性蛍光体層の膜厚を市販の膜厚計を用いて10〜20ポイントをランダムに測定し、最小値(Min)と最大値(Max)の値を求め、下記式により膜厚分布を算出した。
【0121】
(式)
(1−Min/Max)×100(%)
《蒸着効率》
以下の式より蒸着効率を求めた。
【0122】
(B/A)×100(%)
支持体上への輝尽性蛍光体原料の堆積量=A
蒸発源(ルツボ)からの蒸発量 =B
ここで、支持体上への堆積量は、基板に堆積した膜を剥がして質量測定し、また、蒸発源からの蒸発量は、蒸着前後でのルツボ質量の差から算出した。
【0123】
得られた結果を表1に示す。
【0124】
【表1】
Figure 2004333419
【0125】
表1から、比較に比べて、本発明の試料は、膜厚分布が小さく、且つ、蒸着効率が優れていることが明らかである。
【0126】
【発明の効果】
本発明により、膜厚分布が小さく、且つ、蒸着効率が優れている放射線画像変換パネルの作製方法及び放射線画像変換パネルを提供することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る輝尽性蛍光体層の形成に用いられる蒸着装置の一例を示す模式図である。
【図2】本発明に係る輝尽性蛍光体層の形成に用いられる蒸着装置のその他の一例を示す模式図である。
【図3】本発明に係る輝尽性蛍光体層の形成に用いられる蒸着装置のまた別の一例を示す模式図である。
【図4】輝尽性蛍光体層の形成に用いられる従来型の蒸着装置の一例を示す模式図である。
【図5】輝尽性蛍光体層の形成に用いられる従来型の蒸着装置のその他の一例を示す模式図である。
【符号の説明】
1 蒸発源
1a 蒸気流
2a、2b 加熱手段
3 支持体(基板)
4 排気ポンプ
5 冷却手段
5a、5b、5c 冷却パイプ
5d 支持体冷却用部材
6a、6b スリット形成用部材
7 蒸発源冷却手段
7a、7b、7c 冷却パイプ
7d 蒸発源冷却用部材
10 真空チャンバー
20 蒸着装置

Claims (6)

  1. 支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、
    該輝尽性蛍光体層が複数の蒸発源を有する真空チャンバ内で形成されることを特徴とする放射線画像変換パネルの作製方法。
  2. 前記複数の蒸発源の少なくとも一つの蒸発源Aと前記支持体との距離Aと、少なくとも一つの蒸発源Bと前記支持体との距離Bとが互いに異なるように前記真空チャンバ内に配置されていることを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
  3. 前記蒸発源Aから発せられる蒸発原料Aの蒸発速度Aと、前記蒸発源Bとから発せられる蒸発原料Bの蒸発速度Bとが互いに異なるように調整されていることを特徴とする請求項1または2に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
  4. 前記蒸発源Aから発せられる蒸発原料Aの蒸発量Aと、前記蒸発源Bとから発せられる蒸発原料Bの蒸発量Bとが互いに異なるように調整されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
  5. 前記輝尽性蛍光体層がCsBrを含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の放射線画像変換パネルの作製方法により作製されたことを特徴とする放射線画像変換パネル。
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WO2009028276A1 (ja) * 2007-08-28 2009-03-05 Konica Minolta Medical & Graphic, Inc. シンチレータパネル及びそれを具備した放射線画像検出器

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