JP2004257799A - 放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】輝度ムラのない放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法を提供する。
【解決手段】支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、
該支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させる工程、湾曲した前記支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層が形成されることを特徴とする放射線画像変換パネルの作製方法。
【選択図】 なし
【解決手段】支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、
該支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させる工程、湾曲した前記支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層が形成されることを特徴とする放射線画像変換パネルの作製方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、輝尽性蛍光体を利用した放射線像変換パネルにより放射線像を画像化する方法が用いられるようになってきた。
【0003】
このような例としては、支持体上に輝尽性蛍光体層を形成した放射線像変換パネル(例えば、特許文献1、2参照。)を使用するものがある。
【0004】
このような放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線をあてて被写体各部の放射線透過度に対応する放射線エネルギーを輝尽性蛍光体層に蓄積させて潜像(蓄積像)を形成し、この輝尽性蛍光体層を輝尽励起光(レーザ光が用いられる)で走査することによって各部に蓄積された放射線エネルギーを放射させて光に変換し、この光の強弱を読みとって画像を得る。この画像はCRT等各種のディスプレイ上に再生してもよいし、又ハードコピーとして再生してもよい。
【0005】
この放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層には、放射線吸収率及び光変換率が高いこと、画像の粒状性がよく、高鮮鋭性であることが要求される。
【0006】
通常、放射線感度を高くするには輝尽性蛍光体層の膜厚を厚くする必要があるが、余り厚くなりすぎると、輝尽性蛍光体粒子間での輝尽発光の散乱のため発光が外部に出てこなくなる現象があり限界がある。
【0007】
又鮮鋭性については、輝尽性蛍光体層を薄層化するほど向上するが、薄すぎると感度の現象が大きくなる。
【0008】
又粒状性についても画像の粒状性は放射線量子数の場所的ゆらぎ(量子モトル)或いは放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層の構造的乱れ(構造モトル)等によって決定されるので、輝尽性蛍光体層の層厚が薄くなると輝尽性蛍光体層に吸収される放射線量子数が減少してモトルが増加したり、構造的乱れが顕在化して構造モトルが増加したりして画質の低下を生ずる。従って画像の粒状性を向上させるためには輝尽性蛍光体層の層厚が厚い必要があった。
【0009】
この様に様々な要因から放射線像変換パネルを用いた放射線像変換方法の画質及び感度は決定される。これらの感度や画質に関する複数の因子を調整して感度、画質を改良するため、これまで様々な検討がされてきた。
【0010】
それらの内放射線画像の鮮鋭性改善の為の手段として、例えば形成される輝尽性蛍光体の形状そのものをコントロールし感度及び鮮鋭性の改良を図る試みがされている。
【0011】
これらの試みの1つとして、微細な凹凸パターンを有する支持体上に輝尽性蛍光体を堆積させ形成した微細な擬柱状ブロックからなる輝尽性蛍光体層を用いる方法(例えば、特許文献3参照。)がある。又、微細なパターンを有する支持体上に、輝尽性蛍光体を堆積させて得た柱状ブロック間のクラックをショック処理を施して更に発達させた輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネル(例えば、特許文献4参照。)を用いる方法、更には、支持体の面に形成された輝尽性蛍光体層にその表面側から亀裂を生じさせ擬柱状とした放射線像変換パネル(例えば、特許文献5参照。)を用いる方法、更には、支持体の上面に蒸着により空洞を有する輝尽性蛍光体層を形成した後、加熱処理によって空洞を成長させ亀裂を設ける方法(例えば、特許文献6参照。)等も提案されている。
【0012】
最近では、支持体上に輝尽性蛍光体層を気相堆積法を用いての作製時、輝尽性蛍光体成分の蒸気流の流線と支持体面との交角を特定の範囲に調節しながら、輝尽性蛍光体層を所定の厚みに形成する方法(例えば、特許文献7参照。)が開示され、また、気相堆積法によって支持体上に、支持体の法線方向に対し一定の傾きをもった細長い柱状結晶が形成された輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネル(例えば、特許文献8参照。)が提案されている。
【0013】
これらの蛍光体層の形状をコントロールする試みにおいては、蛍光体層を柱状結晶構造にすることにより、画質向上を目途としている。特に、柱状にすることにより、輝尽励起光(又輝尽発光)の横方向への拡散を抑える(クラック(柱状結晶)界面において反射を繰り返しながら支持体面まで到達する)ことができるため、輝尽発光による画像の鮮鋭性を著しく増大させることができるという特徴があるとされている。
【0014】
しかしながら、上記記載の気相成長(堆積)により形成した輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいても、輝度ムラ等が発生しやすいという問題点があり、均一で輝度ムラのない蛍光体プレートが求められている。
【0015】
【特許文献1】
米国特許第3,859,527号明細書
【0016】
【特許文献2】
特開昭55−12144号公報
【0017】
【特許文献3】
特開昭61−142497号公報
【0018】
【特許文献4】
特開昭61−142500号公報
【0019】
【特許文献5】
特開昭62−3973号公報
【0020】
【特許文献6】
特開昭62−110200号公報
【0021】
【特許文献7】
特開昭62−157600号公報
【0022】
【特許文献8】
特許第2899812号明細書
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、輝度ムラのない放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜3により達成された。
【0025】
1.支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、
該支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させる工程、湾曲した前記支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層が形成されることを特徴とする放射線画像変換パネルの作製方法。
【0026】
2.前記輝尽性蛍光体層の少なくとも1層がCsBrを含む輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする前記1に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
【0027】
3.前記1または2に記載の放射線画像変換パネルの作製方法により作製されたことを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、上記の問題点を種々検討した結果、支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、該支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させる工程、湾曲した該支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層を形成することを特徴とする作製方法により作製した放射線画像変換パネルは、本発明に記載の効果を奏することを見いだした。
【0029】
《輝尽性蛍光体層》
本発明に係る輝尽性蛍光体層について説明する。
【0030】
本発明に係る輝尽性蛍光体層に用いられる輝尽性蛍光体としては、下記一般式(1)またはCsBrで表される組成を有する輝尽性蛍光体が好ましく用いられるが、中でも好ましいのはCsBrである。
【0031】
一般式(1)
MIX・aMIIX′2・bMIIIX″3:eA
式中、MIはLi、Na、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、CdおよびNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、X、X′およびX″はF、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。AはEu、Tb、In、Ga、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である。a、b、eは、各々0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。
【0032】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIとしては、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属が好ましい。
【0033】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、Xとしては、BrまたはIが好ましい。
【0034】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIIとしては、Be、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属が好ましい。
【0035】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIIIとしては、Y、La、Ce、Sm、Eu、Gd、Lu、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種の三価金属であることが好ましい。
【0036】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、bとしては、0≦b≦10−2であることが好ましい。
【0037】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、Aとしては、Eu、Ce、Sm、Tl及びNaからなる群から選択される少なくとも1種の金属であることが好ましく、特に好ましくは、Euである。
【0038】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の中でも特に好ましく用いられるのは、CsBrである。
【0039】
CsBrで表される組成を有する輝尽性蛍光体は、X線吸収が大きく、更なる高感度化が可能であり、柱状結晶を精密に制御して形成することにより、高感度、高鮮鋭性を両立させることが出来る。
【0040】
前記一般式(1)及び/またはCsBrで表される、上記の輝尽性蛍光体の作製は、特公平7−84589号公報、同7−74334号公報、同7−84591号公報、同5−1475号公報等に記載の材料を蛍光体作製の為に用いることが出来る。
【0041】
本発明に係る輝尽性蛍光体層の少なくとも1層は、気相堆積法により形成されることが必須要件であるが、形成された輝尽性蛍光体の形状は、柱状結晶構造を有することが好ましく、また、前記柱状結晶は各々が独立し、ある間隔を隔てて結晶成長した結晶構造を有することが好ましい、ここで、各々の結晶がある間隙をおいて独立に柱状結晶構造を持つように成長させる方法は、例えば、特許第2899812号明細書に記載された方法が一例として参照することが出来る。
【0042】
《気相堆積法による輝尽性蛍光体層の作製》
輝尽性蛍光体を気相成長(気相堆積法)させ、柱状結晶に成長させる方法としては蒸着法、スパッタ法及びCVD法等が好ましく用いられる。
【0043】
気相堆積法とは、支持体上に特定の入射角で輝尽性蛍光体(輝尽性蛍光体原料ともいう)の蒸気または該原料を供給し、結晶を気相成長(気相堆積法と呼ぶ)させる方法によって独立した細長い柱状結晶構造を有する輝尽性蛍光体層を得ることが出きる。また、蒸着時の輝尽性蛍光体の蒸気流の入射角に対し約半分の成長角で柱状結晶を結晶成長させることができる。
【0044】
輝尽性蛍光体または輝尽性蛍光体原料の蒸気流を支持体面に対しある入射角をつけて供給する方法には、支持体を蒸発源を仕込んだ坩堝に対し互いに傾斜させる配置を取る、或いは、支持体と坩堝を互いに平行に設置し、蒸発源を仕込んだ坩堝の蒸発面からスリット等により斜め成分のみ支持体上に蒸着させる様規制する等の方法をとることができる。
【0045】
これらの場合において、支持体と坩堝との最短部の間隔は輝尽性蛍光体の平均飛程に合わせて概ね10cm〜60cmに設置するのが好ましい。
【0046】
(支持体の形状、支持体温度、支持体の表面粗さ、真空度等の設定)
前記柱状結晶の太さは支持体温度、真空度、蒸気流入射角度等によって影響を受け、これらを制御することによって所望の太さの柱状結晶を作製することが可能である。
【0047】
(a)支持体の形状
輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を、支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させ、湾曲した該支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層が形成される。
【0048】
本発明の放射線画像変換パネルの製造方法においては、前記支持体の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲に調整することが必須要件であり、曲率半径Rが1000mm未満であると、取り付け時に支持体(基板ともいう)が割れたり、蒸着時に製膜された輝尽性蛍光体層が剥離したり、クラックは入る等の問題点が発生する。
【0049】
一方、曲率Rが10000mmを超えると、取り付けた支持体(基板)がたわんで支持体の温度制御が精密に行うことが出来ないという問題が発生する。
【0050】
ここで、前記曲率半径としては、2000mm〜9000mmの範囲が好ましく、更に好ましくは、3000mm〜8000mmである。
【0051】
(b)支持体温度
支持体温度については、温度が低くなるほど細くなる傾向にあるが、好ましい支持体の温度としては、50℃〜350℃であり、より好ましくは50℃〜250℃である。
【0052】
(c)真空度
真空度については、5×10−5Pa〜1Paの範囲が好ましく、更に好ましくは、1×10−4Pa〜0.5Paの範囲である。
【0053】
(d)支持体の表面粗さRa(JIS B 0601に規定された値)
支持体の表面粗さについては、平滑性が高くなるにつれて前記柱状結晶の太さが細くなる傾向にあるが、好ましくは、Raが0.5以下であり、更に好ましくは、0.1以下である。
【0054】
これらの柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層において変調伝達関数(MTF)をよくするためには、柱状結晶の大きさ(柱状結晶を支持体と平行な面から観察したときの各柱状結晶の断面積の円換算した直径の平均値であり、少なくとも100個以上の柱状結晶を視野中に含む顕微鏡写真から計算する)は1μm〜50μm程度がよく、更に好ましくは、1μm〜30μmである。即ち、柱状結晶が1μmより細い場合は、柱状結晶により輝尽励起光が散乱される為にMTFが低下するし、柱状結晶が50μm以上の場合も輝尽励起光の指向性が低下し、MTFは低下する。
【0055】
又各柱状結晶間の間隙の大きさは30μm以下がよく、更に好ましくは5μm以下がよい。即ち、間隙が30μmを越える場合は蛍光体層中の蛍光体の充填率が低くなり、感度が低下してしまう。
【0056】
(蒸着法)
蒸着法は支持体を蒸着装置内に設置したのち、装置内を排気して1.0×10−4Pa程度の真空とし、次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも1つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに斜め堆積させる。この結果、結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層が形成されるが、前記蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、前記蒸着工程では複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着を行うことも可能である。また蒸着法においては、輝尽性蛍光体原料を複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着し、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。更に蒸着法においては、蒸着時に必要に応じて被蒸着物を冷却或いは加熱してもよい。蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0057】
また、蒸着装置の排気バルブの開口の絞りを調節する、窒素ガス、アルゴンガス等のガスを蒸着時に導入し、1×10−4Pa〜1Paの真空度で蒸着しても良い。
【0058】
(スパッタ法)
スパッタ法は前記蒸着法と同様に支持体をスパッタ装置内に設置した後、装置内を一旦排気して1.333×10−4Pa程度の真空度とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガスを装置内に導入して1.333×10−1Pa程度のガス圧とする。次に、前記輝尽性蛍光体をターゲットとして、斜めにスパッタリングすることにより支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに斜めに堆積させる。このスパッタ工程では蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、それぞれを用いて同時或いは順次、前記ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ法では、複数の輝尽性蛍光体原料をターゲットとして用い、これを同時或いは順次スパッタリングして、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体層を形成する事も可能であるし、必要に応じてO2、H2等のガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。更に、スパッタ法においては、スパッタ時必要に応じて被蒸着物を冷却或いは加熱してもよい。また、スパッタ終了後に輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0059】
(CVD法)
CVD法は、目的とする輝尽性蛍光体或いは輝尽性蛍光体原料を含有する有機金属化合物を熱、高周波電力等のエネルギーで分解することにより、支持体上に結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を得るものであり、いずれも輝尽性蛍光体層を支持体の法線方向に対して特定の傾きをもって独立した細長い柱状結晶に気相成長させることが可能である。
【0060】
(輝尽性蛍光体層の膜厚)
これらの方法により形成した輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線像変換パネルの放射線に対する感度、輝尽性蛍光体の種類等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、20μm〜800μmの範囲である。
【0061】
また、上記記載の気相堆積法を用いて輝尽性蛍光体層の作製時、蒸発源となる輝尽性蛍光体は、均一に溶解させるか、プレス、ホットプレスによって成形して坩堝に仕込まれる。この際、脱ガス処理を行うことが好ましい。蒸発源から輝尽性蛍光体を蒸発させる方法は電子銃により発した電子ビームの走査により行われるが、これ以外の方法にて蒸発させることもできる。
【0062】
また、蒸発源は必ずしも輝尽性蛍光体である必要はなく、輝尽性蛍光体原料を混和したものであってもよい。
【0063】
また、賦活剤は母体(basic substance)に対して賦活剤(actibator)を混合したものを蒸着してもよいし、母体のみを蒸着した後、あとから賦活剤をドープしてもよい。例えば、母体であるRbBrのみを蒸着した後、例えば賦活剤であるTlをドープしてもよい。即ち、結晶が独立しているため、膜が厚くとも充分にドープ可能であるし、結晶成長が起こりにくいので、MTFは低下しないからである。
【0064】
ドーピングは形成された蛍光体の母体層中にドーピング剤(賦活剤)を熱拡散、イオン注入法によって行うことが出来る。
【0065】
支持体上に形成した輝尽性蛍光体層は、結着剤を含有していないので、指向性に優れており、輝尽励起光及び輝尽発光の指向性が高く、輝尽性蛍光体を結着剤中に分散した分散型の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルより層厚を厚くすることができる。更に輝尽励起光の輝尽性蛍光体層中での散乱が減少することで像の鮮鋭性が向上する。
【0066】
又、柱状結晶間の間隙に結着剤等充填物を充填してもよく、輝尽性蛍光体層の補強となる。又高光吸収率の物質、高光反射率の物質等を充填してもよい。これにより前記補強効果をもたせるほか、輝尽性蛍光体層に入射した輝尽励起光の横方向への光拡散をほぼ完全に防止できる。
【0067】
高光反射率の物質とは、輝尽励起光(500nm〜900nm、特に600nm〜800nm)に対する反射率の高いものをいい、例えばアルミニウム、マグネシウム、銀、インジウムその他の金属など、白色顔料及び緑色から赤色領域の色材を用いることができる。
【0068】
白色顔料は輝尽発光も反射することができる。白色顔料として、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al2O3、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの中の少なくとも一種であり、XはCl、及びBrのうちの少なくとも一種である。)、CaCO3、ZnO、Sb2O3、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸鉛、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射したり、屈折させることにより輝尽発光を容易に散乱し、得られる放射線画像変換パネルの感度を顕著に向上させうる。
【0069】
又、高光吸収率の物質としては、例えば、カーボン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄など及び青の色材が用いられる。このうちカーボンは輝尽発光も吸収する。
【0070】
又、色材は、有機若しくは無機系色材のいずれでもよい。有機系色材としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学製)、D&CブルーNo.1(ナショナルアニリン製)、スピリットブルー(保土谷化学製)、オイルブルーNo.603(オリエント製)、キトンブルーA(チバガイギー製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土ヶ谷化学製)、レイクブルーAFH(協和産業製)、プリモシアニン6GX(稲畑産業製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学製)、シアンブルーBNRCS(東洋インク製)、ライオノイルブルーSL(東洋インク製)等が用いられる。又カラーインデクスNo.24411、23160、74180、74200、22800、23154、23155、24401、14830、15050、15760、15707、17941、74220、13425、13361、13420、11836、74140、74380、74350、74460等の有機系金属錯塩色材も挙げられる。無機系色材としては群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−Co−NiO系顔料が挙げられる。
【0071】
また、本発明の放射線画像変換パネルに係る輝尽性蛍光体としては、例えば、特開昭48−80487号公報に記載されているBaSO4:Axで表される蛍光体、特開昭48−80488号公報に記載のMgSO4:Axで表される蛍光体、特開昭48−80489号公報に記載されているSrSO4:Axで表される蛍光体、特開昭51−29889号公報に記載されているNa2SO4、CaSO4及びBaSO4等にMn、Dy及びTbの中少なくとも1種を添加した蛍光体、特開昭52−30487号公報に記載されているBeO、LiF、MgSO4及びCaF2等の蛍光体、特開昭53−39277号公報に記載されているLi2B4O7:Cu,Ag等の蛍光体、特開昭54−47883号公報に記載されているLi2O・(Be2O2)x:Cu,Ag等の蛍光体、米国特許第3,859,527号公報に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、La2O2S:Eu,Sm及び(Zn,Cd)S:Mnxで表される蛍光体が挙げられる。又、特開昭55−12142号公報に記載されているZnS:Cu,Pb蛍光体、一般式がBaO・xAl2O3:Euで挙げられるアルミン酸バリウム蛍光体、及び、一般式がM(II)O・xSiO2:Aで表されるアルカリ土類金属珪酸塩系蛍光体が挙げられる。
【0072】
又、特開昭55−12143号公報に記載されている一般式が(Ba1−x−yMgxCay)Fx:Eu2+で表されるアルカリ土類フッ化ハロゲン化物蛍光体、特開昭55−12144号公報に記載されている一般式がLnOX:xAで表される蛍光体、特開昭55−12145号公報に記載されている一般式が(Ba1−xM(II)x)Fx:yAで表される蛍光体、特開昭55−84389号公報に記載されている一般式がBaFX:xCe,yAで表される蛍光体、特開昭55−160078号公報に記載されている一般式がM(II)FX・xA:yLnで表される希土類元素賦活二価金属フルオロハライド蛍光体、一般式ZnS:A、CdS:A、(Zn,Cd)S:A,Xで表される蛍光体、特開昭59−38278号公報に記載されている下記いずれかの一般式
xM3(PO4)2・NX2:yA
xM3(PO4)2:yA
で表される蛍光体、特開昭59−155487号公報に記載されている下記いずれかの一般式
nReX3・mAX′2:xEu
nReX3・mAX′2:xEu,ySm
で表される蛍光体、特開昭61−72087号公報に記載されている下記一般式
M(I)X・aM(II)X′2・bM(III)X″3:cA
で表されるアルカリハライド蛍光体、及び特開昭61−228400号公報に記載されている一般式M(I)X:xBiで表されるビスマス賦活アルカリハライド蛍光体等が挙げられる。
【0073】
特に、アルカリハライド蛍光体は、蒸着、スパッタリング等の方法で柱状の輝尽性蛍光体層を形成させやすく好ましい。
【0074】
又、前述のように、アルカリハライド蛍光体の中でもCsBr系蛍光体が高輝度、高画質である点で好ましい。
【0075】
《支持体》
本発明に係る支持体について説明する。
【0076】
支持体としては、各種高分子材料、ガラス、セラミックス、金属、カーボン繊維、カーボン繊維を含む複合材料等が用いられ、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス、結晶化ガラスなどの板ガラス、あるいはアルミナ、窒化珪素等のセラミックス、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは親水性微粒子の被覆層を有する金属シートが好ましい。これら支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。また、本発明においては、支持体と輝尽性蛍光体層の接着性を向上させるために、必要に応じて支持体の表面に予め接着層を設けてもよい。
【0077】
(支持体の膜厚)
これら支持体の厚みは用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜8000μmであり、取り扱い上の観点から、更に好ましいのは80μm〜5000μmである。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0079】
実施例1
《放射線画像変換パネル1の作製》:比較例
以下に記載の方法に従って、蒸着型蛍光体層を有する放射線画像変換パネル1を作製した。
【0080】
(支持体1の作製)
厚さ500μm厚の透明結晶化ガラスに下記のようにして光反射層を設け、支持体1を作製した。支持体1の表面粗さ(Ra)は、0.01であった。
【0081】
(光反射層の形成)
フルウチ化学社製酸化チタンとフルウチ化学社製酸化ジルコニウムとを、400nmでの反射率が85%、660nmでの反射率が20%となるように、蒸着装置を用いて支持体表面に膜形成を行った。
【0082】
(輝尽性蛍光体プレート1の作製)
上記作製した支持体1を曲率半径Rが20000mmになるように湾曲させて真空チャンバに設置し、次いで、支持体温度が240℃になるように加温し、次いで、真空チャンバ中に窒素ガスを導入しながら減圧調整して、真空度を0.27Paとした後、支持体の一方の面に、当該業者公知の蒸着装置を用いて、CsBr:0.001Euからなるアルカリハライド蛍光体を支持体表面の法線方向に対して0°の入射角度で、アルミニウム製のスリットを用いて、支持体とスリット(蒸着源)の距離を60cmとして、支持体の凸面と蒸着源との最短距離が常に一定になるように支持体を搬送しながら蒸着を行って、300μm厚の柱状構造を有する蛍光体層を形成した。
【0083】
上記で作製した輝尽性蛍光体プレート1を用いて放射線画像変換パネル1を作製した。詳しくは、輝尽性蛍光体層を有するガラス状の側縁部にスペーサを介して、各輝尽性蛍光体層と保護層として用いるガラスとの間に、低屈折率層として空気層が100μmの厚みになるように、ガラス製の保護層を設けた。なお、スペーサとしてはガラスセラミックス製で、支持体及び保護層ガラスの間に輝尽性蛍光体層及び低屈折率層(空気層)が所定の厚みとなるように厚みを調整したものを用い、ガラス支持体及びガラス製の保護層の側縁部は、エポキシ系接着剤を用いて接着し、放射線画像変換パネル1を作製した。
【0084】
《放射線画像変換パネル2〜4の作製》
放射線画像変換パネル1の作製において、輝尽性蛍光体層形成時の支持体の曲率半径Rを表1に記載のように変更して、輝尽性蛍光体プレート2〜4を各々作製した以外は同様にして放射線画像変換パネル2〜4を各々作製した。
【0085】
得られた放射線画像変換パネル1〜4の各々について、輝度ムラと輝尽性蛍光体プレートの外観を評価した。
【0086】
《輝度ムラ評価》
タングステン管球を用い、80kVp、10mAsに設定した爆射線源とプレート間距離を2mに調整して、X線を照射した後、Regius150(コニカ(株)製)にプレートを設置して輝尽発光の読み取りを行い、均一画像データ上のデジタル信号の標準偏差(S.D.値)を求め、輝度ムラとして評価した。
【0087】
ここでは、値が小さいほど、輝度ムラが少ないことを示す。
《輝尽性蛍光体プレートの外観》
放射線画像変換パネル1〜4の各々に用いた、輝尽性蛍光体プレート1〜4の各々の表面を目視評価し、下記のようなランク評価を行った。
【0088】
○:蛍光体プレートの表面に全く異常がない
△:蛍光体プレートの表面にクラックなどが数カ所認められる
×:蛍光体プレートの表面に形成されている蒸着膜が割れている
本発明では、○が実用可である。
【0089】
得られた結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1から、比較に比べて、本発明の試料は、輝度ムラが少なく、蛍光体プレートの外観にも全く異常がないことが明らかである。
【0092】
【発明の効果】
本発明により輝度ムラのない放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法を提供することが出来た。
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、輝尽性蛍光体を利用した放射線像変換パネルにより放射線像を画像化する方法が用いられるようになってきた。
【0003】
このような例としては、支持体上に輝尽性蛍光体層を形成した放射線像変換パネル(例えば、特許文献1、2参照。)を使用するものがある。
【0004】
このような放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層に被写体を透過した放射線をあてて被写体各部の放射線透過度に対応する放射線エネルギーを輝尽性蛍光体層に蓄積させて潜像(蓄積像)を形成し、この輝尽性蛍光体層を輝尽励起光(レーザ光が用いられる)で走査することによって各部に蓄積された放射線エネルギーを放射させて光に変換し、この光の強弱を読みとって画像を得る。この画像はCRT等各種のディスプレイ上に再生してもよいし、又ハードコピーとして再生してもよい。
【0005】
この放射線像変換方法に用いられる放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層には、放射線吸収率及び光変換率が高いこと、画像の粒状性がよく、高鮮鋭性であることが要求される。
【0006】
通常、放射線感度を高くするには輝尽性蛍光体層の膜厚を厚くする必要があるが、余り厚くなりすぎると、輝尽性蛍光体粒子間での輝尽発光の散乱のため発光が外部に出てこなくなる現象があり限界がある。
【0007】
又鮮鋭性については、輝尽性蛍光体層を薄層化するほど向上するが、薄すぎると感度の現象が大きくなる。
【0008】
又粒状性についても画像の粒状性は放射線量子数の場所的ゆらぎ(量子モトル)或いは放射線像変換パネルの輝尽性蛍光体層の構造的乱れ(構造モトル)等によって決定されるので、輝尽性蛍光体層の層厚が薄くなると輝尽性蛍光体層に吸収される放射線量子数が減少してモトルが増加したり、構造的乱れが顕在化して構造モトルが増加したりして画質の低下を生ずる。従って画像の粒状性を向上させるためには輝尽性蛍光体層の層厚が厚い必要があった。
【0009】
この様に様々な要因から放射線像変換パネルを用いた放射線像変換方法の画質及び感度は決定される。これらの感度や画質に関する複数の因子を調整して感度、画質を改良するため、これまで様々な検討がされてきた。
【0010】
それらの内放射線画像の鮮鋭性改善の為の手段として、例えば形成される輝尽性蛍光体の形状そのものをコントロールし感度及び鮮鋭性の改良を図る試みがされている。
【0011】
これらの試みの1つとして、微細な凹凸パターンを有する支持体上に輝尽性蛍光体を堆積させ形成した微細な擬柱状ブロックからなる輝尽性蛍光体層を用いる方法(例えば、特許文献3参照。)がある。又、微細なパターンを有する支持体上に、輝尽性蛍光体を堆積させて得た柱状ブロック間のクラックをショック処理を施して更に発達させた輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネル(例えば、特許文献4参照。)を用いる方法、更には、支持体の面に形成された輝尽性蛍光体層にその表面側から亀裂を生じさせ擬柱状とした放射線像変換パネル(例えば、特許文献5参照。)を用いる方法、更には、支持体の上面に蒸着により空洞を有する輝尽性蛍光体層を形成した後、加熱処理によって空洞を成長させ亀裂を設ける方法(例えば、特許文献6参照。)等も提案されている。
【0012】
最近では、支持体上に輝尽性蛍光体層を気相堆積法を用いての作製時、輝尽性蛍光体成分の蒸気流の流線と支持体面との交角を特定の範囲に調節しながら、輝尽性蛍光体層を所定の厚みに形成する方法(例えば、特許文献7参照。)が開示され、また、気相堆積法によって支持体上に、支持体の法線方向に対し一定の傾きをもった細長い柱状結晶が形成された輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネル(例えば、特許文献8参照。)が提案されている。
【0013】
これらの蛍光体層の形状をコントロールする試みにおいては、蛍光体層を柱状結晶構造にすることにより、画質向上を目途としている。特に、柱状にすることにより、輝尽励起光(又輝尽発光)の横方向への拡散を抑える(クラック(柱状結晶)界面において反射を繰り返しながら支持体面まで到達する)ことができるため、輝尽発光による画像の鮮鋭性を著しく増大させることができるという特徴があるとされている。
【0014】
しかしながら、上記記載の気相成長(堆積)により形成した輝尽性蛍光体層を有する放射線像変換パネルにおいても、輝度ムラ等が発生しやすいという問題点があり、均一で輝度ムラのない蛍光体プレートが求められている。
【0015】
【特許文献1】
米国特許第3,859,527号明細書
【0016】
【特許文献2】
特開昭55−12144号公報
【0017】
【特許文献3】
特開昭61−142497号公報
【0018】
【特許文献4】
特開昭61−142500号公報
【0019】
【特許文献5】
特開昭62−3973号公報
【0020】
【特許文献6】
特開昭62−110200号公報
【0021】
【特許文献7】
特開昭62−157600号公報
【0022】
【特許文献8】
特許第2899812号明細書
【0023】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、輝度ムラのない放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法を提供することである。
【0024】
【課題を解決するための手段】
本発明の上記目的は、下記の構成1〜3により達成された。
【0025】
1.支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、
該支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させる工程、湾曲した前記支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層が形成されることを特徴とする放射線画像変換パネルの作製方法。
【0026】
2.前記輝尽性蛍光体層の少なくとも1層がCsBrを含む輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする前記1に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
【0027】
3.前記1または2に記載の放射線画像変換パネルの作製方法により作製されたことを特徴とする放射線画像変換パネル。
【0028】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明者等は、上記の問題点を種々検討した結果、支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、該支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させる工程、湾曲した該支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層を形成することを特徴とする作製方法により作製した放射線画像変換パネルは、本発明に記載の効果を奏することを見いだした。
【0029】
《輝尽性蛍光体層》
本発明に係る輝尽性蛍光体層について説明する。
【0030】
本発明に係る輝尽性蛍光体層に用いられる輝尽性蛍光体としては、下記一般式(1)またはCsBrで表される組成を有する輝尽性蛍光体が好ましく用いられるが、中でも好ましいのはCsBrである。
【0031】
一般式(1)
MIX・aMIIX′2・bMIIIX″3:eA
式中、MIはLi、Na、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属であり、MIIはBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Zn、CdおよびNiからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属であり、MIIIはSc、Y、La、Ce、Pr、Nd、Pm、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Lu、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種の三価金属であり、X、X′およびX″はF、Cl、BrおよびIからなる群から選ばれる少なくとも一種のハロゲンである。AはEu、Tb、In、Ga、Cs、Ce、Tm、Dy、Pr、Ho、Nd、Yb、Er、Gd、Lu、Sm、Y、Tl、Na、Ag、Cu及びMgからなる群から選ばれる少なくとも一種の金属である。a、b、eは、各々0≦a<0.5、0≦b<0.5、0<e≦0.2の範囲の数値を表す。
【0032】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIとしては、K、RbおよびCsから選ばれる少なくとも一種のアルカリ金属が好ましい。
【0033】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、Xとしては、BrまたはIが好ましい。
【0034】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIIとしては、Be、Mg、Ca、Sr及びBaからなる群から選ばれる少なくとも一種の二価金属が好ましい。
【0035】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、MIIIとしては、Y、La、Ce、Sm、Eu、Gd、Lu、Al、GaおよびInから選ばれる少なくとも一種の三価金属であることが好ましい。
【0036】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、bとしては、0≦b≦10−2であることが好ましい。
【0037】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体において、Aとしては、Eu、Ce、Sm、Tl及びNaからなる群から選択される少なくとも1種の金属であることが好ましく、特に好ましくは、Euである。
【0038】
前記一般式(1)で表される輝尽性蛍光体の中でも特に好ましく用いられるのは、CsBrである。
【0039】
CsBrで表される組成を有する輝尽性蛍光体は、X線吸収が大きく、更なる高感度化が可能であり、柱状結晶を精密に制御して形成することにより、高感度、高鮮鋭性を両立させることが出来る。
【0040】
前記一般式(1)及び/またはCsBrで表される、上記の輝尽性蛍光体の作製は、特公平7−84589号公報、同7−74334号公報、同7−84591号公報、同5−1475号公報等に記載の材料を蛍光体作製の為に用いることが出来る。
【0041】
本発明に係る輝尽性蛍光体層の少なくとも1層は、気相堆積法により形成されることが必須要件であるが、形成された輝尽性蛍光体の形状は、柱状結晶構造を有することが好ましく、また、前記柱状結晶は各々が独立し、ある間隔を隔てて結晶成長した結晶構造を有することが好ましい、ここで、各々の結晶がある間隙をおいて独立に柱状結晶構造を持つように成長させる方法は、例えば、特許第2899812号明細書に記載された方法が一例として参照することが出来る。
【0042】
《気相堆積法による輝尽性蛍光体層の作製》
輝尽性蛍光体を気相成長(気相堆積法)させ、柱状結晶に成長させる方法としては蒸着法、スパッタ法及びCVD法等が好ましく用いられる。
【0043】
気相堆積法とは、支持体上に特定の入射角で輝尽性蛍光体(輝尽性蛍光体原料ともいう)の蒸気または該原料を供給し、結晶を気相成長(気相堆積法と呼ぶ)させる方法によって独立した細長い柱状結晶構造を有する輝尽性蛍光体層を得ることが出きる。また、蒸着時の輝尽性蛍光体の蒸気流の入射角に対し約半分の成長角で柱状結晶を結晶成長させることができる。
【0044】
輝尽性蛍光体または輝尽性蛍光体原料の蒸気流を支持体面に対しある入射角をつけて供給する方法には、支持体を蒸発源を仕込んだ坩堝に対し互いに傾斜させる配置を取る、或いは、支持体と坩堝を互いに平行に設置し、蒸発源を仕込んだ坩堝の蒸発面からスリット等により斜め成分のみ支持体上に蒸着させる様規制する等の方法をとることができる。
【0045】
これらの場合において、支持体と坩堝との最短部の間隔は輝尽性蛍光体の平均飛程に合わせて概ね10cm〜60cmに設置するのが好ましい。
【0046】
(支持体の形状、支持体温度、支持体の表面粗さ、真空度等の設定)
前記柱状結晶の太さは支持体温度、真空度、蒸気流入射角度等によって影響を受け、これらを制御することによって所望の太さの柱状結晶を作製することが可能である。
【0047】
(a)支持体の形状
輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を、支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させ、湾曲した該支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層が形成される。
【0048】
本発明の放射線画像変換パネルの製造方法においては、前記支持体の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲に調整することが必須要件であり、曲率半径Rが1000mm未満であると、取り付け時に支持体(基板ともいう)が割れたり、蒸着時に製膜された輝尽性蛍光体層が剥離したり、クラックは入る等の問題点が発生する。
【0049】
一方、曲率Rが10000mmを超えると、取り付けた支持体(基板)がたわんで支持体の温度制御が精密に行うことが出来ないという問題が発生する。
【0050】
ここで、前記曲率半径としては、2000mm〜9000mmの範囲が好ましく、更に好ましくは、3000mm〜8000mmである。
【0051】
(b)支持体温度
支持体温度については、温度が低くなるほど細くなる傾向にあるが、好ましい支持体の温度としては、50℃〜350℃であり、より好ましくは50℃〜250℃である。
【0052】
(c)真空度
真空度については、5×10−5Pa〜1Paの範囲が好ましく、更に好ましくは、1×10−4Pa〜0.5Paの範囲である。
【0053】
(d)支持体の表面粗さRa(JIS B 0601に規定された値)
支持体の表面粗さについては、平滑性が高くなるにつれて前記柱状結晶の太さが細くなる傾向にあるが、好ましくは、Raが0.5以下であり、更に好ましくは、0.1以下である。
【0054】
これらの柱状結晶からなる輝尽性蛍光体層において変調伝達関数(MTF)をよくするためには、柱状結晶の大きさ(柱状結晶を支持体と平行な面から観察したときの各柱状結晶の断面積の円換算した直径の平均値であり、少なくとも100個以上の柱状結晶を視野中に含む顕微鏡写真から計算する)は1μm〜50μm程度がよく、更に好ましくは、1μm〜30μmである。即ち、柱状結晶が1μmより細い場合は、柱状結晶により輝尽励起光が散乱される為にMTFが低下するし、柱状結晶が50μm以上の場合も輝尽励起光の指向性が低下し、MTFは低下する。
【0055】
又各柱状結晶間の間隙の大きさは30μm以下がよく、更に好ましくは5μm以下がよい。即ち、間隙が30μmを越える場合は蛍光体層中の蛍光体の充填率が低くなり、感度が低下してしまう。
【0056】
(蒸着法)
蒸着法は支持体を蒸着装置内に設置したのち、装置内を排気して1.0×10−4Pa程度の真空とし、次いで、輝尽性蛍光体の少なくとも1つを抵抗加熱法、エレクトロンビーム法などの方法で加熱蒸発させて支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚みに斜め堆積させる。この結果、結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層が形成されるが、前記蒸着工程では複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、前記蒸着工程では複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着を行うことも可能である。また蒸着法においては、輝尽性蛍光体原料を複数の抵抗加熱器或いはエレクトロンビームを用いて蒸着し、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体を合成すると同時に輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。更に蒸着法においては、蒸着時に必要に応じて被蒸着物を冷却或いは加熱してもよい。蒸着終了後、輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0057】
また、蒸着装置の排気バルブの開口の絞りを調節する、窒素ガス、アルゴンガス等のガスを蒸着時に導入し、1×10−4Pa〜1Paの真空度で蒸着しても良い。
【0058】
(スパッタ法)
スパッタ法は前記蒸着法と同様に支持体をスパッタ装置内に設置した後、装置内を一旦排気して1.333×10−4Pa程度の真空度とし、次いでスパッタ用のガスとしてAr、Ne等の不活性ガスを装置内に導入して1.333×10−1Pa程度のガス圧とする。次に、前記輝尽性蛍光体をターゲットとして、斜めにスパッタリングすることにより支持体表面に輝尽性蛍光体を所望の厚さに斜めに堆積させる。このスパッタ工程では蒸着法と同様に複数回に分けて輝尽性蛍光体層を形成することも可能であるし、それぞれを用いて同時或いは順次、前記ターゲットをスパッタリングして輝尽性蛍光体層を形成することも可能である。また、スパッタ法では、複数の輝尽性蛍光体原料をターゲットとして用い、これを同時或いは順次スパッタリングして、支持体上で目的とする輝尽性蛍光体層を形成する事も可能であるし、必要に応じてO2、H2等のガスを導入して反応性スパッタを行ってもよい。更に、スパッタ法においては、スパッタ時必要に応じて被蒸着物を冷却或いは加熱してもよい。また、スパッタ終了後に輝尽性蛍光体層を加熱処理してもよい。
【0059】
(CVD法)
CVD法は、目的とする輝尽性蛍光体或いは輝尽性蛍光体原料を含有する有機金属化合物を熱、高周波電力等のエネルギーで分解することにより、支持体上に結着剤を含有しない輝尽性蛍光体層を得るものであり、いずれも輝尽性蛍光体層を支持体の法線方向に対して特定の傾きをもって独立した細長い柱状結晶に気相成長させることが可能である。
【0060】
(輝尽性蛍光体層の膜厚)
これらの方法により形成した輝尽性蛍光体層の膜厚は目的とする放射線像変換パネルの放射線に対する感度、輝尽性蛍光体の種類等によって異なるが、10μm〜1000μmの範囲が好ましく、更に好ましくは、20μm〜800μmの範囲である。
【0061】
また、上記記載の気相堆積法を用いて輝尽性蛍光体層の作製時、蒸発源となる輝尽性蛍光体は、均一に溶解させるか、プレス、ホットプレスによって成形して坩堝に仕込まれる。この際、脱ガス処理を行うことが好ましい。蒸発源から輝尽性蛍光体を蒸発させる方法は電子銃により発した電子ビームの走査により行われるが、これ以外の方法にて蒸発させることもできる。
【0062】
また、蒸発源は必ずしも輝尽性蛍光体である必要はなく、輝尽性蛍光体原料を混和したものであってもよい。
【0063】
また、賦活剤は母体(basic substance)に対して賦活剤(actibator)を混合したものを蒸着してもよいし、母体のみを蒸着した後、あとから賦活剤をドープしてもよい。例えば、母体であるRbBrのみを蒸着した後、例えば賦活剤であるTlをドープしてもよい。即ち、結晶が独立しているため、膜が厚くとも充分にドープ可能であるし、結晶成長が起こりにくいので、MTFは低下しないからである。
【0064】
ドーピングは形成された蛍光体の母体層中にドーピング剤(賦活剤)を熱拡散、イオン注入法によって行うことが出来る。
【0065】
支持体上に形成した輝尽性蛍光体層は、結着剤を含有していないので、指向性に優れており、輝尽励起光及び輝尽発光の指向性が高く、輝尽性蛍光体を結着剤中に分散した分散型の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルより層厚を厚くすることができる。更に輝尽励起光の輝尽性蛍光体層中での散乱が減少することで像の鮮鋭性が向上する。
【0066】
又、柱状結晶間の間隙に結着剤等充填物を充填してもよく、輝尽性蛍光体層の補強となる。又高光吸収率の物質、高光反射率の物質等を充填してもよい。これにより前記補強効果をもたせるほか、輝尽性蛍光体層に入射した輝尽励起光の横方向への光拡散をほぼ完全に防止できる。
【0067】
高光反射率の物質とは、輝尽励起光(500nm〜900nm、特に600nm〜800nm)に対する反射率の高いものをいい、例えばアルミニウム、マグネシウム、銀、インジウムその他の金属など、白色顔料及び緑色から赤色領域の色材を用いることができる。
【0068】
白色顔料は輝尽発光も反射することができる。白色顔料として、TiO2(アナターゼ型、ルチル型)、MgO、PbCO3・Pb(OH)2、BaSO4、Al2O3、M(II)FX(但し、M(II)はBa、Sr及びCaの中の少なくとも一種であり、XはCl、及びBrのうちの少なくとも一種である。)、CaCO3、ZnO、Sb2O3、SiO2、ZrO2、リトポン(BaSO4・ZnS)、珪酸マグネシウム、塩基性珪硫酸鉛、塩基性燐酸鉛、珪酸アルミニウムなどが挙げられる。これらの白色顔料は隠蔽力が強く、屈折率が大きいため、光を反射したり、屈折させることにより輝尽発光を容易に散乱し、得られる放射線画像変換パネルの感度を顕著に向上させうる。
【0069】
又、高光吸収率の物質としては、例えば、カーボン、酸化クロム、酸化ニッケル、酸化鉄など及び青の色材が用いられる。このうちカーボンは輝尽発光も吸収する。
【0070】
又、色材は、有機若しくは無機系色材のいずれでもよい。有機系色材としては、ザボンファーストブルー3G(ヘキスト製)、エストロールブリルブルーN−3RL(住友化学製)、D&CブルーNo.1(ナショナルアニリン製)、スピリットブルー(保土谷化学製)、オイルブルーNo.603(オリエント製)、キトンブルーA(チバガイギー製)、アイゼンカチロンブルーGLH(保土ヶ谷化学製)、レイクブルーAFH(協和産業製)、プリモシアニン6GX(稲畑産業製)、ブリルアシッドグリーン6BH(保土谷化学製)、シアンブルーBNRCS(東洋インク製)、ライオノイルブルーSL(東洋インク製)等が用いられる。又カラーインデクスNo.24411、23160、74180、74200、22800、23154、23155、24401、14830、15050、15760、15707、17941、74220、13425、13361、13420、11836、74140、74380、74350、74460等の有機系金属錯塩色材も挙げられる。無機系色材としては群青、コバルトブルー、セルリアンブルー、酸化クロム、TiO2−ZnO−Co−NiO系顔料が挙げられる。
【0071】
また、本発明の放射線画像変換パネルに係る輝尽性蛍光体としては、例えば、特開昭48−80487号公報に記載されているBaSO4:Axで表される蛍光体、特開昭48−80488号公報に記載のMgSO4:Axで表される蛍光体、特開昭48−80489号公報に記載されているSrSO4:Axで表される蛍光体、特開昭51−29889号公報に記載されているNa2SO4、CaSO4及びBaSO4等にMn、Dy及びTbの中少なくとも1種を添加した蛍光体、特開昭52−30487号公報に記載されているBeO、LiF、MgSO4及びCaF2等の蛍光体、特開昭53−39277号公報に記載されているLi2B4O7:Cu,Ag等の蛍光体、特開昭54−47883号公報に記載されているLi2O・(Be2O2)x:Cu,Ag等の蛍光体、米国特許第3,859,527号公報に記載されているSrS:Ce,Sm、SrS:Eu,Sm、La2O2S:Eu,Sm及び(Zn,Cd)S:Mnxで表される蛍光体が挙げられる。又、特開昭55−12142号公報に記載されているZnS:Cu,Pb蛍光体、一般式がBaO・xAl2O3:Euで挙げられるアルミン酸バリウム蛍光体、及び、一般式がM(II)O・xSiO2:Aで表されるアルカリ土類金属珪酸塩系蛍光体が挙げられる。
【0072】
又、特開昭55−12143号公報に記載されている一般式が(Ba1−x−yMgxCay)Fx:Eu2+で表されるアルカリ土類フッ化ハロゲン化物蛍光体、特開昭55−12144号公報に記載されている一般式がLnOX:xAで表される蛍光体、特開昭55−12145号公報に記載されている一般式が(Ba1−xM(II)x)Fx:yAで表される蛍光体、特開昭55−84389号公報に記載されている一般式がBaFX:xCe,yAで表される蛍光体、特開昭55−160078号公報に記載されている一般式がM(II)FX・xA:yLnで表される希土類元素賦活二価金属フルオロハライド蛍光体、一般式ZnS:A、CdS:A、(Zn,Cd)S:A,Xで表される蛍光体、特開昭59−38278号公報に記載されている下記いずれかの一般式
xM3(PO4)2・NX2:yA
xM3(PO4)2:yA
で表される蛍光体、特開昭59−155487号公報に記載されている下記いずれかの一般式
nReX3・mAX′2:xEu
nReX3・mAX′2:xEu,ySm
で表される蛍光体、特開昭61−72087号公報に記載されている下記一般式
M(I)X・aM(II)X′2・bM(III)X″3:cA
で表されるアルカリハライド蛍光体、及び特開昭61−228400号公報に記載されている一般式M(I)X:xBiで表されるビスマス賦活アルカリハライド蛍光体等が挙げられる。
【0073】
特に、アルカリハライド蛍光体は、蒸着、スパッタリング等の方法で柱状の輝尽性蛍光体層を形成させやすく好ましい。
【0074】
又、前述のように、アルカリハライド蛍光体の中でもCsBr系蛍光体が高輝度、高画質である点で好ましい。
【0075】
《支持体》
本発明に係る支持体について説明する。
【0076】
支持体としては、各種高分子材料、ガラス、セラミックス、金属、カーボン繊維、カーボン繊維を含む複合材料等が用いられ、例えば、石英、ホウ珪酸ガラス、化学的強化ガラス、結晶化ガラスなどの板ガラス、あるいはアルミナ、窒化珪素等のセラミックス、セルロースアセテートフィルム、ポリエステルフィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、ポリアミドフィルム、ポリイミドフィルム、トリアセテートフィルム、ポリカーボネートフィルム等のプラスチックフィルム、アルミニウム、鉄、銅、クロム等の金属シートあるいは親水性微粒子の被覆層を有する金属シートが好ましい。これら支持体の表面は滑面であってもよいし、輝尽性蛍光体層との接着性を向上させる目的でマット面としてもよい。また、本発明においては、支持体と輝尽性蛍光体層の接着性を向上させるために、必要に応じて支持体の表面に予め接着層を設けてもよい。
【0077】
(支持体の膜厚)
これら支持体の厚みは用いる支持体の材質等によって異なるが、一般的には80μm〜8000μmであり、取り扱い上の観点から、更に好ましいのは80μm〜5000μmである。
【0078】
【実施例】
以下、本発明を実施例により説明するが、本発明はこれらに限定されない。
【0079】
実施例1
《放射線画像変換パネル1の作製》:比較例
以下に記載の方法に従って、蒸着型蛍光体層を有する放射線画像変換パネル1を作製した。
【0080】
(支持体1の作製)
厚さ500μm厚の透明結晶化ガラスに下記のようにして光反射層を設け、支持体1を作製した。支持体1の表面粗さ(Ra)は、0.01であった。
【0081】
(光反射層の形成)
フルウチ化学社製酸化チタンとフルウチ化学社製酸化ジルコニウムとを、400nmでの反射率が85%、660nmでの反射率が20%となるように、蒸着装置を用いて支持体表面に膜形成を行った。
【0082】
(輝尽性蛍光体プレート1の作製)
上記作製した支持体1を曲率半径Rが20000mmになるように湾曲させて真空チャンバに設置し、次いで、支持体温度が240℃になるように加温し、次いで、真空チャンバ中に窒素ガスを導入しながら減圧調整して、真空度を0.27Paとした後、支持体の一方の面に、当該業者公知の蒸着装置を用いて、CsBr:0.001Euからなるアルカリハライド蛍光体を支持体表面の法線方向に対して0°の入射角度で、アルミニウム製のスリットを用いて、支持体とスリット(蒸着源)の距離を60cmとして、支持体の凸面と蒸着源との最短距離が常に一定になるように支持体を搬送しながら蒸着を行って、300μm厚の柱状構造を有する蛍光体層を形成した。
【0083】
上記で作製した輝尽性蛍光体プレート1を用いて放射線画像変換パネル1を作製した。詳しくは、輝尽性蛍光体層を有するガラス状の側縁部にスペーサを介して、各輝尽性蛍光体層と保護層として用いるガラスとの間に、低屈折率層として空気層が100μmの厚みになるように、ガラス製の保護層を設けた。なお、スペーサとしてはガラスセラミックス製で、支持体及び保護層ガラスの間に輝尽性蛍光体層及び低屈折率層(空気層)が所定の厚みとなるように厚みを調整したものを用い、ガラス支持体及びガラス製の保護層の側縁部は、エポキシ系接着剤を用いて接着し、放射線画像変換パネル1を作製した。
【0084】
《放射線画像変換パネル2〜4の作製》
放射線画像変換パネル1の作製において、輝尽性蛍光体層形成時の支持体の曲率半径Rを表1に記載のように変更して、輝尽性蛍光体プレート2〜4を各々作製した以外は同様にして放射線画像変換パネル2〜4を各々作製した。
【0085】
得られた放射線画像変換パネル1〜4の各々について、輝度ムラと輝尽性蛍光体プレートの外観を評価した。
【0086】
《輝度ムラ評価》
タングステン管球を用い、80kVp、10mAsに設定した爆射線源とプレート間距離を2mに調整して、X線を照射した後、Regius150(コニカ(株)製)にプレートを設置して輝尽発光の読み取りを行い、均一画像データ上のデジタル信号の標準偏差(S.D.値)を求め、輝度ムラとして評価した。
【0087】
ここでは、値が小さいほど、輝度ムラが少ないことを示す。
《輝尽性蛍光体プレートの外観》
放射線画像変換パネル1〜4の各々に用いた、輝尽性蛍光体プレート1〜4の各々の表面を目視評価し、下記のようなランク評価を行った。
【0088】
○:蛍光体プレートの表面に全く異常がない
△:蛍光体プレートの表面にクラックなどが数カ所認められる
×:蛍光体プレートの表面に形成されている蒸着膜が割れている
本発明では、○が実用可である。
【0089】
得られた結果を表1に示す。
【0090】
【表1】
【0091】
表1から、比較に比べて、本発明の試料は、輝度ムラが少なく、蛍光体プレートの外観にも全く異常がないことが明らかである。
【0092】
【発明の効果】
本発明により輝度ムラのない放射線画像変換パネル及び放射線画像変換パネルの作製方法を提供することが出来た。
Claims (3)
- 支持体上に、気相堆積法により形成された、少なくとも1層の輝尽性蛍光体層を有する放射線画像変換パネルの作製方法において、
該支持体の一方の面の曲率半径Rを1000mm〜10000mmの範囲になるように調整しながら湾曲させる工程、湾曲した前記支持体の凸面に、輝尽性蛍光体原料を含む蒸気流を入射させる工程を経て、該輝尽性蛍光体層の少なくとも1層が形成されることを特徴とする放射線画像変換パネルの作製方法。 - 前記輝尽性蛍光体層の少なくとも1層がCsBrを含む輝尽性蛍光体を含有することを特徴とする請求項1に記載の放射線画像変換パネルの作製方法。
- 請求項1または2に記載の放射線画像変換パネルの作製方法により作製されたことを特徴とする放射線画像変換パネル。
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