JP2004333177A - 被検査物の判別方法とその装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別方法を提供する。
【解決手段】透過照明手段2によりコンベヤ41,42上の被検査物Hに近赤外光を照射し、カメラ部3により透過光信号を取得し、これら透過光信号により被検査物Hの良否を判別する。そして、その透過光信号から被検査物Hの状態を判断し、特に近赤外光は、可視光よりも被検査物Hを透過し易く、正確な透過光信号を得ることができ、正確な判別が可能となる。
【選択図】 図1
【解決手段】透過照明手段2によりコンベヤ41,42上の被検査物Hに近赤外光を照射し、カメラ部3により透過光信号を取得し、これら透過光信号により被検査物Hの良否を判別する。そして、その透過光信号から被検査物Hの状態を判断し、特に近赤外光は、可視光よりも被検査物Hを透過し易く、正確な透過光信号を得ることができ、正確な判別が可能となる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、被検査物の判別方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製品の検査において、キズや汚れなどの外観検査や不純物の混入検査などが行われ、例えば、被検査物が食品の場合では、その成分以外の異物が混入しないことが絶対条件として求められ、食品への異物の混入は完全に除去することが食品衛生上の見地からも要求されている。
【0003】
そして、食品製造工程では非破壊の全量検査を必要とするため、多くは目視検査に頼っているのが現状であるが、目視検査は見落としが発生する虞があると共に、工数が大になる問題がある。
【0004】
そこで、自動化のために自動検出機が開発され、その自動検査機としては、異物の物性に着目し、金属検出機やX線検出システム、画像処理システムが用いられている。
【0005】
しかし、金属検出機は、非磁性金属の検出に限界があり、X線検出システムは、X線透過量の違いを利用するもので、透過画像情報を処理し、検査を行い、食品以外でも実用化が図られているが、コスト,操作性,処理速度などに課題が残されている。
【0006】
一方、画像処理システムとして、ラインセンサカメラを用いて被撮像体の欠陥検査を行う欠陥検査装置に適用され、被撮像体における欠陥とその背景のコントラストを強調するための画像入力装置において、欠陥信号と背景信号とのコントラストを強調することにより、欠陥を見落とす虞を軽減する(例えば特許文献1)ようにした画像入力装置がある。
【0007】
しかし、この画像入力装置では光沢フィルムなどの表面が平滑な被検査物において、その表面の凹凸などの欠陥を検出するものであるから、表面に凹凸のある被検査物において、内部の欠陥を検出することはできない。
【0008】
そこで、米菓生地等の被検査物の検出方法として、異物を含まない物体の周辺外側透過光出力と内部内側透過光出力とが同じ値となるようにするため、物体を全方向から一様に照明し、同値化した透過光出力を正常値と定め、該正常値から透過光出力の変化の有無によって異物の有無を判断可能にした光透過度を利用する物体中の異物検出法があり、検査通路の床面下に受光素子(フォトダイオード又はCCDリニアイメージセンサー)を配設し、上部の光源から照射され光拡散された光が遮光した検査通路を通過する被検出物を照射することにより、被検出物の物体の外周辺の透過光出力と内部方向の透過光出力とが同じ値になるようにして照射し、被検出物からの透過光を受光する受光素子の出力信号の変化を電気的に処理することにより、食品に混入した異物の有無を検知する(例えば特許文献2)ものである。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−33396号公報(段落0015、0017段)
【特許文献2】
特開平11−183118号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献2の装置では、検査通路の床面下に受光素子を配設し、上部の光源から照射され光拡散された光が検査通路を通過する被検出物を照射し、受光素子の出力信号の変化を処理することにより、食品に混入した異物を検出することができる。
【0011】
ところで、複数枚の食品生地を重ねてプラスチックフィルムで包装したものを検査する場合、従来の画像処理方法では、包装フィルムからの反射光がノイズとして作用する虞があり、また、重ね合わせた下側に位置する食品生地の状態を確認できなかった。また、重量計測では、食品のゆらぎに対応できない場合があり、重なっている食品生地の枚数や状態を判断することはできなかった。
【0012】
そこで、本発明は、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別方法とその装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の判別方法は、被検査物の複数点に近赤外光を照射し、前記被検査物の複数点における透過光信号を取得し、これら透過光信号により被検査物の状態を判別する方法である。
【0014】
この請求項1の構成によれば、被検査物に近赤外光を照射し、被検査物の複数点での透過光信号を取得する。そして、判定手段は、透過光信号から被検査物の状態を判断し、特に近赤外光は、可視光よりも被検査物を透過し易く、正確な透過光信号が得られる。
【0015】
請求項2の判別装置は、被検査物に近赤外光を照射する透過照明手段と、この透過照明手段により透過照明された被検査物の透過光信号を検出する透過光信号検出手段と、前記透過光信号から被検査物の状態を判別する判別手段とを備え、前記透過照明手段の複数の発光部に対応して前記透過信号検出手段に複数の受光部を設け、対応する発光部と受光部とを同期して被検査物の複数点で前記透過光信号を得る装置である。
【0016】
この請求項2の構成によれば、複数の発光部に対応して複数の受光部を設け、受光部が発光部の発光に同期することにより、透過光信号を透過した透過光の信号を精度よく取出し、被検査物の複数点で透過光の信号を検出して被検査物の状態を判別することができる。
【0017】
また、請求項3の判別装置は、搬出側コンベヤの搬出端と搬入側コンベヤの搬入端との間に隙間を設け、前記搬出側コンベヤから搬入側コンベヤに受け渡される前記被検査物を近赤外光により透過照明する前記透過照明手段と、この透過照明手段と前記コンベヤを挟む位置に設けられ透過照明された前記被検査物の透過光信号を検出する前記透過光信号検出手段とを備える装置である。
【0018】
この請求項3の構成によれば、被検査物がコンベヤ間の隙間を通過する間に、被検査物の複数点の透過光信号を検出し、その状態を判断することができる。
【0019】
また、請求項4の判別装置は、前記被検査物が、重ね合わされた状態の食品生地である。
【0020】
この請求項4の構成によれば、重ね合わされた状態の食品生地において複数点の透過光信号を検出し、この透過光信号から例えば判別分析法でしきい値を求め、2値化し、重ね合わせた食品生地の状態を判別することができる。
【0021】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。図1〜図10は本発明の第1実施形態を示し、食品生地判別装置1は、透過照明手段2と、透過光信号検出手たるカメラ部3と、搬送部4と、前記カメラ部3で取得した透過光信号を処理する処理部5とから構成され、この処理部5は判別手段である。
【0022】
前記搬送部4は、搬入側コンベヤ41と搬出側コンベヤ42とを搬送方向に並べると共に、搬入側コンベヤ41の搬出端41Dと、搬出側コンベヤ42の搬入端42Hとの間に上下に貫通する隙間43を設けている。
【0023】
前記透過照明手段2は、発光部たる近赤外LED21を備え、この近赤外LED21を、前記隙間43の上方に固定している。前記近赤外LED21は、その照明光をビーム光にするため、近赤外LED21にパイプ機構を設け、このパイプ機構を照明光が通過することにより、スポット光としている。尚、近赤外光の波長帯域としては、750nm〜2500nm、好ましくは800nm〜1000nmである。
【0024】
前記カメラ部3は受光部たるPDセンサ(フォトダイオードセンサ)31により構成され、前記隙間43の下方に固定され、対応する前記近赤外LED21のビーム光が入光するように配置されている。
【0025】
図5に示すように、複数の前記近赤外LED21を一直線上に並べ、この例では16個の前記近赤外LED21をコンベヤ41,42の搬送方向と交差方向に並べ、それら近赤外LED21と光軸が一致するように同数の前記PDセンサ31を配列する。すなわち、近赤外LED21とPDセンサ31の1対1の組合わせが複数個一直上に並び、それら複数の近赤外LED21及びPDセンサ31のピットを5.0mmとしている。
【0026】
そして、16組の近赤外LED21とPDセンサ31が16KHzで同期し、近赤外LED21は発光ドライブ回路22により駆動する。すなわち、16組並んだ近赤外LED21とPDセンサ31が、1組目から16組目に向って1KHz間隔で駆動し、スキャンが行われ、被検査物Hの複数点でその透過率に対応した透過光信号を得るように構成している。
【0027】
前記両コンベヤ41,42は一定幅を有する無端状ベルト44が移動して食品生地などの被検査物Hを搬送するものであり、平面において、搬出端41Dと搬入端42Hが平行をなす。例えば、図10に示すように、被検査物Hは、2枚の食品生地K,Kを部分的に重ね合わせ、透明な包装用フィルムF,Fで包装したものなどが挙げられる。また、前記無端状ベルト44の幅は200mmで、搬入側コンベヤ41の長さは300mm、搬出側コンベヤ42の長さは500mmであり、両コンベヤ41,42間を通過する被検査物の姿勢変化を防止するため、コンベヤ41,42のシャフト45の直径は10mm以下、例えば8mmで、前記隙間43は20mm以下、好ましくは10mm以下であり、隙間43よりシャフト45の直径を小さく設定する。また、搬出側コンベヤ42の搬出端には、被検査物Hの排出装置47を設ける。
【0028】
前記処理部5は、前期近赤外LED21及びPDセンサ31が駆動を制御する。また、前記処理部5は信号処理手段51を備え、この信号処理手段51は、発光ドライブ回路22のドライブ信号Sdにより近赤外LED21が発光し、前記ドライブ信号Sdに同期してPDセンサ31が透過光信号Spを取得し、その方法としては透過光信号Spをハイパスフィルタ23でフィルタ処理し、得られた透過光信号Spを、1次増幅回路24と2次増幅回路25により増幅し、そのデータをコンピュータ54によりモニター55に表示する。また、前記搬入側コンベヤ41に、無端状ベルト44の移動量を検出するエンコーダ46を設け、このエンコーダ44はシャフト45の回転を検出し、これに基づき前記移動量を検出し、例えば、移動量が5mm毎に信号を出力して前記透過光信号Spを取り込む。
【0029】
前記処理部5は、PDセンサ31の出力信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(アナログデジタル変換器)と、そのデジタル信号などを記憶するメモリーとを備え、さらに、記憶した透過光信号Spなどを前記コンピュータ54が処理し、その処理結果を前記モニター55に表示することもできる。
【0030】
次に、上記処理部5による判別処理について説明する。被検査物Hが搬入側コンベヤ41から搬出側コンベヤ42に受け渡される際、該被検査物Hを近赤外LED41により透過照明し、PDセンサ31により得られた透過光信号Spを前記信号処理手段51により処理し、さらに、処理部5が以下のような処理を行う。
【0031】
図4に示すように、コンベヤ41,42上を搬送される被検査物Hに対して連続スキャンであるフリースキャン(S1)を行い、PDセンサ31が受ける光の信号レベルが設定値を下回る場合、生地有りとして生地有信号(S2)を出力する。すなわち、隙間43を被検査物Hが通過することによりPDセンサ31が受ける光の信号レベルが低下するから、これを生地ありとして、透過光信号Spのデータ取込(S3)を開始し、取りこんだデータを格納し、前記信号処理手段51で透過光信号Spを取得する。そして、この例では、被検査物Hの搬送量に対応するエンコーダ46の信号に基き、搬送量5mmピッチごとにスキャンを行い、固定値である20スキャン後に、生地通過終了信号(S4)を出力する。生地有信号(S2)と生地通過終了信号(S4)との間に得られた透過光信号を1024階調信号としてデータ読み出し(S5)を行い、これをデータ変換(S6)により16階調に変換し、データ読み出し終了(S7)となる。その16階調に変換したデータからヒストグラムを生成(S8)し、得られたヒストグラムから、判別分析法によりしきい値を決定し2値化を行い(S9)、さらにデータ判別(S10)を行う。データ判別において、規定外のデータは破棄(S11)され、また、生地が3枚重なった部分があることを示すデータがある場合は、3枚重畳(S12)として出力し、これら以外を2枚重畳状態を示すデータとして次の処理に移行する。尚、これは正規の枚数が2枚の場合であり、正規の枚数と異なる場合を不良と判断する。ここでは、3種類の処理が例示され、1種類目の処理としては、前記データに基く全体輪郭凸包構成点選択(S13)処理により凸包度を検出し、凸包度により生地の欠けの有無を判断(S14)し、欠けなしの場合は良品とし、欠け有りの場合は、欠け有りNG信号(S15)を出力する。また、2種類目の処理としては、前記データに基く面積計算(S13)処理により、得られた1つの生地Kの面積を生地の基準値と比較(S16)し、所定範囲の基準値であれば良品とし、基準値を外れた場合、欠け有りNG信号(S15)を出力する。また、3種類目の処理としては、生地が円形の場合に用いられ、前記データに基き擬似円作成(S18)処理により擬似円を作成し、その擬似円の円形度(S19)が所定の範囲内であるかどうかを判断し、所定の範囲内であれば良品とし、所定の範囲を外れた場合、欠け有りNG信号(S15)を出力する。これらの処理が処理部5などにより行われる。この場合、欠け部分が重ね合わせ部分の下方の生地Kにあってもこれを検出できるため、被検査物Hを反転することなく、良否判別を行うことができる。
【0032】
図4に示した処理について実験結果に基いて詳述する。図5に示すように、実験には、ダミーの生地Kを用い、直径80mm、厚さ3mmで人工大理石を用いた。図6はダミーの生地K,Kの配置に対して、生地搬送方向におけるスキャン動作のピッチたる5mmと、搬送方向に交差する方向に配置された近赤外LED21及びPDセンサ31のピッチである5mmを升目状に表したものである。そして、同図に示すように、16×18=288点で透過光信号を得る。尚、生地K以外の部分の透過光信号Spは前記破棄(S11)により処理される。
【0033】
図7は、実験で得られた濃淡画像のヒストグラムを示し、同図は16階調の度数分布で、16組の近赤外LED21及びPDカメラ31で得られたデータの合計をグラフ化したものであり、このヒストグラムでは判別分析法によってしきい値がBとなり、しきい値B以上が2枚に重なった部分であると判断する。図8(A)は。16階調表示で2枚の生地Kの濃度を前記ヒストグラムで記載の濃度値に当てはめて図示したものであり、これをしきい値Bにより2値化して図示したものが、図8(B)である。図8(B)において、重なり部分の濃度値は「2」、1枚部分の濃度値は「1」と表示され、重なり部分以外の一枚部分のエッジに濃度値「2」が現れているが、1枚部分と2枚部分の2値化が可能なことが判る。
【0034】
図9は、前記1種類目の処理に係る実験を説明するものであり、図9のように生地Kの一方の重ね合わせ部分に「欠け部分」がある場合、この透過光信号を処理して図9(B)に示すように2値化された画像情報とし、これから凸包度の判別アルゴリズムにより面積充足度を判断することができる。尚、これらの判断は処理部5及びコンピュータ54にて行うことができる。
【0035】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、被検査物Hの複数点に近赤外光を照射し、被検査物Hの複数点における透過光信号Spを取得し、これら透過光信号Spにより被検査物Hの状態を判別するから、被検査物Hに近赤外光を照射し、被検査物Hの複数点での透過光信号Spを取得する。そして、その透過光信号Spから被検査物Hの状態を判断し、特に近赤外光は、可視光よりも被検査物Hを透過し易く、正確な透過光信号Spを得ることができる。
【0036】
請求項2の判別装置は、被検査物Hに近赤外光を照射する透過照明手段2と、この透過照明手段2により透過照明された被検査物Hの透過光信号Spを検出する透過光信号検出手段たるカメラ部3と、透過光信号Spから被検査物Hの状態を判別する判別手段たる処理部5とを備え、透過照明手段2の複数の発光部たる近赤外LED21に対応してカメラ部3に複数の受光部たるPDセンサ31を設け、対応する近赤外LED21とPDセンサ31とを同期して被検査物Hの複数点で透過光信号Spを得るから、近赤外LED21がPDセンサ31の発光に同期することにより、被検査物Hを透過した透過光の信号を精度よく取出し、被検査物Hの複数点で透過光の信号を検出して被検査物Hの状態を判別することができる。
【0037】
また、請求項3の判別装置は、搬出側コンベヤ41の搬出端41Dと搬入側コンベヤ42の搬入端42Hとの間に隙間43を設け、搬出側コンベヤ41から搬入側コンベヤ42に受け渡される被検査物Hを近赤外光により透過照明する透過照明手段2と、この透過照明手段2とコンベヤ41,42を挟む位置に設けられ透過照明された被検査物Hの透過光信号Spを検出する透過光信号検出手段たるカメラ部3とを備えるから、被検査物Hがコンベヤ41,42間の隙間43を通過する間に、被検査物Hの複数点の透過光信号Spを検出し、これに基いて被検査物Hの状態を判別することができる。
【0038】
また、請求項4の判別装置は、検査物Hが、重ね合わされた状態の食品生地K,Kであるから、重ね合わされた状態の食品生地K,Kにおいて複数点の透過光信号を検出し、この透過光信号から例えば判別分析法でしきい値を求め、2値化し、重ね合わせた食品生地K,Kの枚数や形状など状態を検出して良否の判別を行うことができる。尚、食品生地Kとしては、米菓生地などが例示され、焼成前の生地や焼成後の生地を検査することができる。
【0039】
そして、食品生地K中では、光が散乱するから、近赤外LED21からPDセンサ31に直線的に入る光を取り出すことが透過光信号の明瞭化に繋がり、本実施形態では、近赤外LED21とPDセンサ31とを1対1で同期させながら高速でスキャンする方法を用いた。また、透過光信号から枚数を認識するためのしきい値の決定方法に、判別分析法を用いることにより、食品生地Kの揺らぎ、外乱・経時変化による信号の変位に対応でき、また、面積充足度(欠け)の検出に凸包アルゴリズムの変形型や面積値、面積比率、真円度などを導入することにより、円を基準としている不定形な食品生地Kに対応することができる。さらに、信号処理手段51にハイパスフィルタ23を設けることにより、外乱光の影響を回避することができ、また、しきい値の決定方法に判別分析法を用いることにより、温度・湿度などの変化による影響が少なく、精度の高い検出が可能となった。
【0040】
図11は本発明の第2実施形態を示し、上記第1実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では搬入側が低くなるように搬入側コンベヤ41を斜設し、搬出側が低くなるように搬出側コンベヤ42を斜設しており、隙間43を通過する際、被検査物Hが放物線を描きながら移動するため、その下方で透過光を安定した姿勢で取り込むことができる。尚、コンベヤ41,42の一方を水平とし他方を斜設するようにしてもよい。
【0041】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、被検査物は実施形態に示した以外でも、近赤外光の透過照明により透過光信号が得られるものであれば各種のものに適用可能であり、例えば食品ではかまぼこやはんぺんなど水産練物の検査に適用可能であり、あるいは窒化アルミ板の検査にも用いることができる。また、実施形態では、被検出物として2枚の食品生地を示したが、3枚でもよい。また、コンピュータ54で判別処理を行えば、このコンピュータが判別手段となる。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の判別方法は、被検査物の複数点に近赤外光を照射し、前記被検査物の複数点における透過光信号を取得し、これら透過光信号により被検査物の状態を判別することを備える方法であり、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別方法を提供することができる。
【0043】
請求項2の判別装置は、被検査物に近赤外光を照射する透過照明手段と、この透過照明手段により透過照明された被検査物の透過光信号を検出する透過光信号検出手段と、前記透過光信号から被検査物の状態を判別する判別手段とを備え、前記透過照明手段の複数の発光部に対応して前記透過信号検出手段に複数の受光部を設け、対応する発光部と受光部とを同期して被検査物の複数点で前記透過光信号を得る装置であり、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別装置を提供することができる。
【0044】
また、請求項3の判別装置は、搬出側コンベヤの搬出端と搬入側コンベヤの搬入端との間に隙間を設け、前記搬出側コンベヤから搬入側コンベヤに受け渡される前記被検査物を近赤外光により透過照明する前記透過照明手段と、この透過照明手段と前記コンベヤを挟む位置に設けられ透過照明された前記被検査物の透過光信号を検出する前記透過光信号検出手段とを備える装置であり、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別装置を提供することができる。
【0045】
また、請求項4の判別装置は、前記被検査物が、重ね合わされた状態の食品生地であり、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体説明図である。
【図2】同上、信号処理手段のブロック図である。
【図3】同上、透過光信号に係る波形図である。
【図4】同上、判別手段のブロック図である。
【図5】同上、搬送部の要部の平面図である。
【図6】同上、搬送部における被検査物の説明図である。
【図7】同上、被検査物の16階調ヒストグラムを示すグラフの図である。
【図8】同上、被検出物の濃度分布を説明する説明図であり、図8(A)は16階調濃度、図8(B)は2値化したものである。
【図9】同上、被検出物の説明図であり、図9(A)は平面図、図9(B)は濃度分布を説明する説明図である。
【図10】同上、被検出物の縦断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態を示す全体説明図である。
【符号の説明】
1 食品生地判別装置
2 透過照明手段
3 カメラ部(透過光信号検出手段)
5 処理部(判断手段)
21 近赤外LED(発光部)
31 PDセンサ(受光部)
41 搬入側コンベヤ
41D 搬出端
42 搬出側コンベヤ
42H 搬入端
43 隙間
Sp 透過光信号
【発明が属する技術分野】
本発明は、被検査物の判別方法とその装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
製品の検査において、キズや汚れなどの外観検査や不純物の混入検査などが行われ、例えば、被検査物が食品の場合では、その成分以外の異物が混入しないことが絶対条件として求められ、食品への異物の混入は完全に除去することが食品衛生上の見地からも要求されている。
【0003】
そして、食品製造工程では非破壊の全量検査を必要とするため、多くは目視検査に頼っているのが現状であるが、目視検査は見落としが発生する虞があると共に、工数が大になる問題がある。
【0004】
そこで、自動化のために自動検出機が開発され、その自動検査機としては、異物の物性に着目し、金属検出機やX線検出システム、画像処理システムが用いられている。
【0005】
しかし、金属検出機は、非磁性金属の検出に限界があり、X線検出システムは、X線透過量の違いを利用するもので、透過画像情報を処理し、検査を行い、食品以外でも実用化が図られているが、コスト,操作性,処理速度などに課題が残されている。
【0006】
一方、画像処理システムとして、ラインセンサカメラを用いて被撮像体の欠陥検査を行う欠陥検査装置に適用され、被撮像体における欠陥とその背景のコントラストを強調するための画像入力装置において、欠陥信号と背景信号とのコントラストを強調することにより、欠陥を見落とす虞を軽減する(例えば特許文献1)ようにした画像入力装置がある。
【0007】
しかし、この画像入力装置では光沢フィルムなどの表面が平滑な被検査物において、その表面の凹凸などの欠陥を検出するものであるから、表面に凹凸のある被検査物において、内部の欠陥を検出することはできない。
【0008】
そこで、米菓生地等の被検査物の検出方法として、異物を含まない物体の周辺外側透過光出力と内部内側透過光出力とが同じ値となるようにするため、物体を全方向から一様に照明し、同値化した透過光出力を正常値と定め、該正常値から透過光出力の変化の有無によって異物の有無を判断可能にした光透過度を利用する物体中の異物検出法があり、検査通路の床面下に受光素子(フォトダイオード又はCCDリニアイメージセンサー)を配設し、上部の光源から照射され光拡散された光が遮光した検査通路を通過する被検出物を照射することにより、被検出物の物体の外周辺の透過光出力と内部方向の透過光出力とが同じ値になるようにして照射し、被検出物からの透過光を受光する受光素子の出力信号の変化を電気的に処理することにより、食品に混入した異物の有無を検知する(例えば特許文献2)ものである。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−33396号公報(段落0015、0017段)
【特許文献2】
特開平11−183118号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献2の装置では、検査通路の床面下に受光素子を配設し、上部の光源から照射され光拡散された光が検査通路を通過する被検出物を照射し、受光素子の出力信号の変化を処理することにより、食品に混入した異物を検出することができる。
【0011】
ところで、複数枚の食品生地を重ねてプラスチックフィルムで包装したものを検査する場合、従来の画像処理方法では、包装フィルムからの反射光がノイズとして作用する虞があり、また、重ね合わせた下側に位置する食品生地の状態を確認できなかった。また、重量計測では、食品のゆらぎに対応できない場合があり、重なっている食品生地の枚数や状態を判断することはできなかった。
【0012】
そこで、本発明は、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別方法とその装置を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
請求項1の判別方法は、被検査物の複数点に近赤外光を照射し、前記被検査物の複数点における透過光信号を取得し、これら透過光信号により被検査物の状態を判別する方法である。
【0014】
この請求項1の構成によれば、被検査物に近赤外光を照射し、被検査物の複数点での透過光信号を取得する。そして、判定手段は、透過光信号から被検査物の状態を判断し、特に近赤外光は、可視光よりも被検査物を透過し易く、正確な透過光信号が得られる。
【0015】
請求項2の判別装置は、被検査物に近赤外光を照射する透過照明手段と、この透過照明手段により透過照明された被検査物の透過光信号を検出する透過光信号検出手段と、前記透過光信号から被検査物の状態を判別する判別手段とを備え、前記透過照明手段の複数の発光部に対応して前記透過信号検出手段に複数の受光部を設け、対応する発光部と受光部とを同期して被検査物の複数点で前記透過光信号を得る装置である。
【0016】
この請求項2の構成によれば、複数の発光部に対応して複数の受光部を設け、受光部が発光部の発光に同期することにより、透過光信号を透過した透過光の信号を精度よく取出し、被検査物の複数点で透過光の信号を検出して被検査物の状態を判別することができる。
【0017】
また、請求項3の判別装置は、搬出側コンベヤの搬出端と搬入側コンベヤの搬入端との間に隙間を設け、前記搬出側コンベヤから搬入側コンベヤに受け渡される前記被検査物を近赤外光により透過照明する前記透過照明手段と、この透過照明手段と前記コンベヤを挟む位置に設けられ透過照明された前記被検査物の透過光信号を検出する前記透過光信号検出手段とを備える装置である。
【0018】
この請求項3の構成によれば、被検査物がコンベヤ間の隙間を通過する間に、被検査物の複数点の透過光信号を検出し、その状態を判断することができる。
【0019】
また、請求項4の判別装置は、前記被検査物が、重ね合わされた状態の食品生地である。
【0020】
この請求項4の構成によれば、重ね合わされた状態の食品生地において複数点の透過光信号を検出し、この透過光信号から例えば判別分析法でしきい値を求め、2値化し、重ね合わせた食品生地の状態を判別することができる。
【0021】
【発明の実施形態】
以下、本発明の実施形態を、添付図面を参照して説明する。図1〜図10は本発明の第1実施形態を示し、食品生地判別装置1は、透過照明手段2と、透過光信号検出手たるカメラ部3と、搬送部4と、前記カメラ部3で取得した透過光信号を処理する処理部5とから構成され、この処理部5は判別手段である。
【0022】
前記搬送部4は、搬入側コンベヤ41と搬出側コンベヤ42とを搬送方向に並べると共に、搬入側コンベヤ41の搬出端41Dと、搬出側コンベヤ42の搬入端42Hとの間に上下に貫通する隙間43を設けている。
【0023】
前記透過照明手段2は、発光部たる近赤外LED21を備え、この近赤外LED21を、前記隙間43の上方に固定している。前記近赤外LED21は、その照明光をビーム光にするため、近赤外LED21にパイプ機構を設け、このパイプ機構を照明光が通過することにより、スポット光としている。尚、近赤外光の波長帯域としては、750nm〜2500nm、好ましくは800nm〜1000nmである。
【0024】
前記カメラ部3は受光部たるPDセンサ(フォトダイオードセンサ)31により構成され、前記隙間43の下方に固定され、対応する前記近赤外LED21のビーム光が入光するように配置されている。
【0025】
図5に示すように、複数の前記近赤外LED21を一直線上に並べ、この例では16個の前記近赤外LED21をコンベヤ41,42の搬送方向と交差方向に並べ、それら近赤外LED21と光軸が一致するように同数の前記PDセンサ31を配列する。すなわち、近赤外LED21とPDセンサ31の1対1の組合わせが複数個一直上に並び、それら複数の近赤外LED21及びPDセンサ31のピットを5.0mmとしている。
【0026】
そして、16組の近赤外LED21とPDセンサ31が16KHzで同期し、近赤外LED21は発光ドライブ回路22により駆動する。すなわち、16組並んだ近赤外LED21とPDセンサ31が、1組目から16組目に向って1KHz間隔で駆動し、スキャンが行われ、被検査物Hの複数点でその透過率に対応した透過光信号を得るように構成している。
【0027】
前記両コンベヤ41,42は一定幅を有する無端状ベルト44が移動して食品生地などの被検査物Hを搬送するものであり、平面において、搬出端41Dと搬入端42Hが平行をなす。例えば、図10に示すように、被検査物Hは、2枚の食品生地K,Kを部分的に重ね合わせ、透明な包装用フィルムF,Fで包装したものなどが挙げられる。また、前記無端状ベルト44の幅は200mmで、搬入側コンベヤ41の長さは300mm、搬出側コンベヤ42の長さは500mmであり、両コンベヤ41,42間を通過する被検査物の姿勢変化を防止するため、コンベヤ41,42のシャフト45の直径は10mm以下、例えば8mmで、前記隙間43は20mm以下、好ましくは10mm以下であり、隙間43よりシャフト45の直径を小さく設定する。また、搬出側コンベヤ42の搬出端には、被検査物Hの排出装置47を設ける。
【0028】
前記処理部5は、前期近赤外LED21及びPDセンサ31が駆動を制御する。また、前記処理部5は信号処理手段51を備え、この信号処理手段51は、発光ドライブ回路22のドライブ信号Sdにより近赤外LED21が発光し、前記ドライブ信号Sdに同期してPDセンサ31が透過光信号Spを取得し、その方法としては透過光信号Spをハイパスフィルタ23でフィルタ処理し、得られた透過光信号Spを、1次増幅回路24と2次増幅回路25により増幅し、そのデータをコンピュータ54によりモニター55に表示する。また、前記搬入側コンベヤ41に、無端状ベルト44の移動量を検出するエンコーダ46を設け、このエンコーダ44はシャフト45の回転を検出し、これに基づき前記移動量を検出し、例えば、移動量が5mm毎に信号を出力して前記透過光信号Spを取り込む。
【0029】
前記処理部5は、PDセンサ31の出力信号をデジタル信号に変換するA/Dコンバータ(アナログデジタル変換器)と、そのデジタル信号などを記憶するメモリーとを備え、さらに、記憶した透過光信号Spなどを前記コンピュータ54が処理し、その処理結果を前記モニター55に表示することもできる。
【0030】
次に、上記処理部5による判別処理について説明する。被検査物Hが搬入側コンベヤ41から搬出側コンベヤ42に受け渡される際、該被検査物Hを近赤外LED41により透過照明し、PDセンサ31により得られた透過光信号Spを前記信号処理手段51により処理し、さらに、処理部5が以下のような処理を行う。
【0031】
図4に示すように、コンベヤ41,42上を搬送される被検査物Hに対して連続スキャンであるフリースキャン(S1)を行い、PDセンサ31が受ける光の信号レベルが設定値を下回る場合、生地有りとして生地有信号(S2)を出力する。すなわち、隙間43を被検査物Hが通過することによりPDセンサ31が受ける光の信号レベルが低下するから、これを生地ありとして、透過光信号Spのデータ取込(S3)を開始し、取りこんだデータを格納し、前記信号処理手段51で透過光信号Spを取得する。そして、この例では、被検査物Hの搬送量に対応するエンコーダ46の信号に基き、搬送量5mmピッチごとにスキャンを行い、固定値である20スキャン後に、生地通過終了信号(S4)を出力する。生地有信号(S2)と生地通過終了信号(S4)との間に得られた透過光信号を1024階調信号としてデータ読み出し(S5)を行い、これをデータ変換(S6)により16階調に変換し、データ読み出し終了(S7)となる。その16階調に変換したデータからヒストグラムを生成(S8)し、得られたヒストグラムから、判別分析法によりしきい値を決定し2値化を行い(S9)、さらにデータ判別(S10)を行う。データ判別において、規定外のデータは破棄(S11)され、また、生地が3枚重なった部分があることを示すデータがある場合は、3枚重畳(S12)として出力し、これら以外を2枚重畳状態を示すデータとして次の処理に移行する。尚、これは正規の枚数が2枚の場合であり、正規の枚数と異なる場合を不良と判断する。ここでは、3種類の処理が例示され、1種類目の処理としては、前記データに基く全体輪郭凸包構成点選択(S13)処理により凸包度を検出し、凸包度により生地の欠けの有無を判断(S14)し、欠けなしの場合は良品とし、欠け有りの場合は、欠け有りNG信号(S15)を出力する。また、2種類目の処理としては、前記データに基く面積計算(S13)処理により、得られた1つの生地Kの面積を生地の基準値と比較(S16)し、所定範囲の基準値であれば良品とし、基準値を外れた場合、欠け有りNG信号(S15)を出力する。また、3種類目の処理としては、生地が円形の場合に用いられ、前記データに基き擬似円作成(S18)処理により擬似円を作成し、その擬似円の円形度(S19)が所定の範囲内であるかどうかを判断し、所定の範囲内であれば良品とし、所定の範囲を外れた場合、欠け有りNG信号(S15)を出力する。これらの処理が処理部5などにより行われる。この場合、欠け部分が重ね合わせ部分の下方の生地Kにあってもこれを検出できるため、被検査物Hを反転することなく、良否判別を行うことができる。
【0032】
図4に示した処理について実験結果に基いて詳述する。図5に示すように、実験には、ダミーの生地Kを用い、直径80mm、厚さ3mmで人工大理石を用いた。図6はダミーの生地K,Kの配置に対して、生地搬送方向におけるスキャン動作のピッチたる5mmと、搬送方向に交差する方向に配置された近赤外LED21及びPDセンサ31のピッチである5mmを升目状に表したものである。そして、同図に示すように、16×18=288点で透過光信号を得る。尚、生地K以外の部分の透過光信号Spは前記破棄(S11)により処理される。
【0033】
図7は、実験で得られた濃淡画像のヒストグラムを示し、同図は16階調の度数分布で、16組の近赤外LED21及びPDカメラ31で得られたデータの合計をグラフ化したものであり、このヒストグラムでは判別分析法によってしきい値がBとなり、しきい値B以上が2枚に重なった部分であると判断する。図8(A)は。16階調表示で2枚の生地Kの濃度を前記ヒストグラムで記載の濃度値に当てはめて図示したものであり、これをしきい値Bにより2値化して図示したものが、図8(B)である。図8(B)において、重なり部分の濃度値は「2」、1枚部分の濃度値は「1」と表示され、重なり部分以外の一枚部分のエッジに濃度値「2」が現れているが、1枚部分と2枚部分の2値化が可能なことが判る。
【0034】
図9は、前記1種類目の処理に係る実験を説明するものであり、図9のように生地Kの一方の重ね合わせ部分に「欠け部分」がある場合、この透過光信号を処理して図9(B)に示すように2値化された画像情報とし、これから凸包度の判別アルゴリズムにより面積充足度を判断することができる。尚、これらの判断は処理部5及びコンピュータ54にて行うことができる。
【0035】
このように本実施形態では、請求項1に対応して、被検査物Hの複数点に近赤外光を照射し、被検査物Hの複数点における透過光信号Spを取得し、これら透過光信号Spにより被検査物Hの状態を判別するから、被検査物Hに近赤外光を照射し、被検査物Hの複数点での透過光信号Spを取得する。そして、その透過光信号Spから被検査物Hの状態を判断し、特に近赤外光は、可視光よりも被検査物Hを透過し易く、正確な透過光信号Spを得ることができる。
【0036】
請求項2の判別装置は、被検査物Hに近赤外光を照射する透過照明手段2と、この透過照明手段2により透過照明された被検査物Hの透過光信号Spを検出する透過光信号検出手段たるカメラ部3と、透過光信号Spから被検査物Hの状態を判別する判別手段たる処理部5とを備え、透過照明手段2の複数の発光部たる近赤外LED21に対応してカメラ部3に複数の受光部たるPDセンサ31を設け、対応する近赤外LED21とPDセンサ31とを同期して被検査物Hの複数点で透過光信号Spを得るから、近赤外LED21がPDセンサ31の発光に同期することにより、被検査物Hを透過した透過光の信号を精度よく取出し、被検査物Hの複数点で透過光の信号を検出して被検査物Hの状態を判別することができる。
【0037】
また、請求項3の判別装置は、搬出側コンベヤ41の搬出端41Dと搬入側コンベヤ42の搬入端42Hとの間に隙間43を設け、搬出側コンベヤ41から搬入側コンベヤ42に受け渡される被検査物Hを近赤外光により透過照明する透過照明手段2と、この透過照明手段2とコンベヤ41,42を挟む位置に設けられ透過照明された被検査物Hの透過光信号Spを検出する透過光信号検出手段たるカメラ部3とを備えるから、被検査物Hがコンベヤ41,42間の隙間43を通過する間に、被検査物Hの複数点の透過光信号Spを検出し、これに基いて被検査物Hの状態を判別することができる。
【0038】
また、請求項4の判別装置は、検査物Hが、重ね合わされた状態の食品生地K,Kであるから、重ね合わされた状態の食品生地K,Kにおいて複数点の透過光信号を検出し、この透過光信号から例えば判別分析法でしきい値を求め、2値化し、重ね合わせた食品生地K,Kの枚数や形状など状態を検出して良否の判別を行うことができる。尚、食品生地Kとしては、米菓生地などが例示され、焼成前の生地や焼成後の生地を検査することができる。
【0039】
そして、食品生地K中では、光が散乱するから、近赤外LED21からPDセンサ31に直線的に入る光を取り出すことが透過光信号の明瞭化に繋がり、本実施形態では、近赤外LED21とPDセンサ31とを1対1で同期させながら高速でスキャンする方法を用いた。また、透過光信号から枚数を認識するためのしきい値の決定方法に、判別分析法を用いることにより、食品生地Kの揺らぎ、外乱・経時変化による信号の変位に対応でき、また、面積充足度(欠け)の検出に凸包アルゴリズムの変形型や面積値、面積比率、真円度などを導入することにより、円を基準としている不定形な食品生地Kに対応することができる。さらに、信号処理手段51にハイパスフィルタ23を設けることにより、外乱光の影響を回避することができ、また、しきい値の決定方法に判別分析法を用いることにより、温度・湿度などの変化による影響が少なく、精度の高い検出が可能となった。
【0040】
図11は本発明の第2実施形態を示し、上記第1実施形態と同一部分に同一符号を付し、その詳細な説明を省略して詳述すると、この例では搬入側が低くなるように搬入側コンベヤ41を斜設し、搬出側が低くなるように搬出側コンベヤ42を斜設しており、隙間43を通過する際、被検査物Hが放物線を描きながら移動するため、その下方で透過光を安定した姿勢で取り込むことができる。尚、コンベヤ41,42の一方を水平とし他方を斜設するようにしてもよい。
【0041】
尚、本発明は上記実施例に限定されるものではなく本発明の要旨の範囲内において種々の変形実施が可能である。例えば、被検査物は実施形態に示した以外でも、近赤外光の透過照明により透過光信号が得られるものであれば各種のものに適用可能であり、例えば食品ではかまぼこやはんぺんなど水産練物の検査に適用可能であり、あるいは窒化アルミ板の検査にも用いることができる。また、実施形態では、被検出物として2枚の食品生地を示したが、3枚でもよい。また、コンピュータ54で判別処理を行えば、このコンピュータが判別手段となる。
【0042】
【発明の効果】
請求項1の判別方法は、被検査物の複数点に近赤外光を照射し、前記被検査物の複数点における透過光信号を取得し、これら透過光信号により被検査物の状態を判別することを備える方法であり、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別方法を提供することができる。
【0043】
請求項2の判別装置は、被検査物に近赤外光を照射する透過照明手段と、この透過照明手段により透過照明された被検査物の透過光信号を検出する透過光信号検出手段と、前記透過光信号から被検査物の状態を判別する判別手段とを備え、前記透過照明手段の複数の発光部に対応して前記透過信号検出手段に複数の受光部を設け、対応する発光部と受光部とを同期して被検査物の複数点で前記透過光信号を得る装置であり、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別装置を提供することができる。
【0044】
また、請求項3の判別装置は、搬出側コンベヤの搬出端と搬入側コンベヤの搬入端との間に隙間を設け、前記搬出側コンベヤから搬入側コンベヤに受け渡される前記被検査物を近赤外光により透過照明する前記透過照明手段と、この透過照明手段と前記コンベヤを挟む位置に設けられ透過照明された前記被検査物の透過光信号を検出する前記透過光信号検出手段とを備える装置であり、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別装置を提供することができる。
【0045】
また、請求項4の判別装置は、前記被検査物が、重ね合わされた状態の食品生地であり、透過照明して得られた透過光信号により被検査物の状態を判別することができる被検査物の判別装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態を示す全体説明図である。
【図2】同上、信号処理手段のブロック図である。
【図3】同上、透過光信号に係る波形図である。
【図4】同上、判別手段のブロック図である。
【図5】同上、搬送部の要部の平面図である。
【図6】同上、搬送部における被検査物の説明図である。
【図7】同上、被検査物の16階調ヒストグラムを示すグラフの図である。
【図8】同上、被検出物の濃度分布を説明する説明図であり、図8(A)は16階調濃度、図8(B)は2値化したものである。
【図9】同上、被検出物の説明図であり、図9(A)は平面図、図9(B)は濃度分布を説明する説明図である。
【図10】同上、被検出物の縦断面図である。
【図11】本発明の第2実施形態を示す全体説明図である。
【符号の説明】
1 食品生地判別装置
2 透過照明手段
3 カメラ部(透過光信号検出手段)
5 処理部(判断手段)
21 近赤外LED(発光部)
31 PDセンサ(受光部)
41 搬入側コンベヤ
41D 搬出端
42 搬出側コンベヤ
42H 搬入端
43 隙間
Sp 透過光信号
Claims (4)
- 被検査物の複数点に近赤外光を照射し、前記被検査物の複数点における透過光信号を取得し、これら透過光信号により被検査物の状態を判別することを特徴とする被検査物の判別方法。
- 被検査物に近赤外光を照射する透過照明手段と、この透過照明手段により透過照明された被検査物の透過光信号を検出する透過光信号検出手段と、前記透過光信号から被検査物の状態を判別する判別手段とを備え、前記透過照明手段の複数の発光部に対応して前記透過信号検出手段に複数の受光部を設け、対応する前記発光部と受光部とを同期して被検査物の複数点で前記透過光信号を得ることを特徴とする被検査物の判別装置。
- 搬出側コンベヤの搬出端と搬入側コンベヤの搬入端との間に隙間を設け、前記搬出側コンベヤから搬入側コンベヤに受け渡される前記被検査物を近赤外光により透過照明する前記透過照明手段と、この透過照明手段と前記コンベヤを挟む位置に設けられ透過照明された前記食品生地の透過光信号を検出する前記透過光信号検出手段とを備えることを特徴とする請求項2記載の被検査物の判別装置。
- 前記被検査物が、重ね合わされた状態の食品生地であることを特徴とする請求項2又は3記載の被検査物の判別装置。
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