JP4209926B1 - 近赤外線を用いた包装食品の検査装置 - Google Patents

近赤外線を用いた包装食品の検査装置 Download PDF

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Abstract

【課題】包装食品の出荷前の検査工程において、包装材内の食品中に含まれる異物の有無を高精度に且つ安価な構成で全品検査することが可能な検査装置を提供する
【解決手段】近赤外線を透過する部材から成るコンベア、又は包装食品の撮像領域に対応する開口をコンベア連結部若しくは搬送面に設けたコンベアに包装食品を載置して搬送する搬送手段と、近赤外線を発するライン状光源から包装食品に対して近赤外線を照射する近赤外線照射手段と、コンベアの搬送面を挟んでライン状光源と対向配置されたラインセンサを有し、ラインセンサにより照明された包装食品の近赤外線透過像を撮像する撮像手段と、撮像手段から出力される近赤外線透過像の画像信号に基づいて、包装材内の各薄板状食品の表裏各面に付着した異物の有無と各薄板状食品の内部に含まれる異物の有無とを同時に検査する検査手段と、を備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、少なくとも1枚以上の薄板状食品が包装された包装食品を検査対象として、出荷前の検査工程において包装材内の薄板状食品に含まれる異物の有無を検査する装置に関し、特に、薄板状食品が複数枚重ね合わせた状態で包装されている包装食品であっても、表裏や多数枚の何枚目かを問わずに異物の有無を全品検査することが可能な、包装食品中異物検査装置に関する。
ここ数年、食の安全が求められる傾向がますます強くなっている中で、相変らず、異物検出は万能な手法が無く、大きなテーマとなっている。煎餅や海苔などの薄いワークの異物検出には、金属探知機や可視光に依る画像処理などが採用されているが、ペンキなどの非金属がワークの裏や多層枚の2目以降に付着、あるいはワークの内部に混入した場合には検出が困難であった。また、X線を使った画像処理に依る検出は、比較的厚いワークの場合は異物検出が可能であるが、波長が短すぎ、結果として透過力が強すぎるため、煎餅や海苔などの薄いワークの場合は用を成さないのが現状である。また、衛生面の配慮から食品を合成樹脂フィルムや和紙などの包装材で包む食材は多いが、可視光による撮橡では反射や包装材を可視光が透過しないなどの理由から異物の検出は困難であった(包装食品の検査システムに関しては、例えば非特許文献1、2を参照)
神田和也,伊藤和雄,岡田徳次共著、「光透過度に基づく食品生地内混入異物の検出法」、計測自動制御学会論文集、2001年10月、第37巻、第10号、p916−925 神田和也,岡田徳次,伊藤和雄共著、「透過光量を利用する包装食品良否判別システム」、計測自動制御学会論文集、2001年10月、第37巻、第10号、p926−933
本発明は上述のような事情から成されたものであり、本発明の目的は、包装食品の出荷前の検査工程において、包装材内の食品中に含まれる異物の有無を高精度に且つ安価な構成で全品検査することが可能な検査装置を提供することにある。詳しくは、コンベア上を連続的に搬送される包装食品の出荷前の検査工程において、板海苔や煎餅等の薄板状食品が複数枚重ね合わせた状態で包装されたものを検査対象とした場合においても、表裏や多数枚の何枚目かを問わずに異物の有無をリアルタイムに全品検査することが可能な検査装置を提供することにある。
本発明は、複数枚重畳された薄板状食品群が包装材により包装された包装食品を検査対象として、出荷前の検査工程において前記包装材内の各薄板状食品に含まれる異物の有無と前記包装材内の薄板状食品群の形状不良とを検査する装置に関するものであり、本発明の上記目的は、搬送方向に平行に且つ搬送路幅方向に所定間隔を置いて配置された複数本の透明ベルトから成るコンベアに前記包装食品を載置して搬送する搬送手段と、近赤外線を発する光源を直線状に並べてなるライン状光源を有し、前記コンベアの下方又は上方で且つ前記包装食品の搬送方向に対して直交する方向に配置された前記ライン状光源から、前記搬送手段により搬送される包装食品に対して前記近赤外線を照射する近赤外線照射手段と、前記コンベアの搬送面を挟んで前記ライン状光源のラインと平行に対向配置されたラインセンサを有し、前記包装食品を透過した前記ライン状光源からの近赤外線を前記ラインセンサにより受光して前記包装食品の近赤外線透過像を撮像する撮像手段と、前記撮像手段から出力される近赤外線透過像の画像信号に基づいて、前記包装材内の各薄板状食品の表裏各面に付着した異物の有無と各薄板状食品の内部に含まれる異物の有無とを同時に検査する第1の検査処理を実行すると共に、その第1の検査処理と同時並行的に、前記近赤外線透過像の画像信号に基づいて、前記包装材内の薄板状食品群の濃淡画像を処理することにより得られる面積値を積算し、その積算を良品基準と比較することにより、前記包装材内の薄板状食品群全体の良/不良を検査する第2の検査処理を実行する検査手段と、を備えることによって達成される。
さらに、本発明の上記目的は、
前記近赤外線は、780nm〜1100nmの波長域のうちの一部の特定波長域を含む近赤外線であること、
前記薄板状食品が、煎餅、板海苔を含む薄板状固形食品であること、によってそれぞれ一層効果的に達成される。
さらに、本発明の上記目的は、前記ライン状光源は、前記近赤外線を発するLEDを隙間無く配置して成ること、
前記検査手段から出力される排除信号に応じて当該包装食品を排除する排除装置を前記コンベア又は、前記コンベアに連結される下流側のコンベアに備え、前記検査手段は、当該包装食品が不良品と判定した場合は、前記排除装置に対して前記排除信号を送信して前記不良品と判定した包装食品を生産ライン上から自動的に排除させる処理を実行すると共に、前記近赤外線透過像の画像信号に基づく検査処理を繰り返すことにより、前記コンベア上を連続的に搬送される包装食品を、生産ラインを止めることなく全品検査すること、
によってそれぞれ一層効果的に達成される。
本発明によれば、包装食品を透過する近赤外線を照明光として用い、包装食品を透過した近赤外線透過像に基づいて異物を検出する構成としているので、板海苔や煎餅等の薄板状食品が複数枚重ね合わせた状態で包装されたものを検査対象とした場合においても、表裏や内部、多数枚の何枚目かを問わずに異物の有無を検査することができる。また、搬送される包装食品をライン状光源とラインセンサを用いて検査する構成としているので、包装食品の出荷前の検査工程において、包装材内の食品中に含まれる異物の有無を高精度に且つ安価な構成で全品検査することが可能となる。さらに、撮像手段からの近赤外線透過像の情報を基に、異物の有無と形状不良の両方を検査する形態とすることで、異物及び形状不良の検査機能を有する装置を安価に提供することが可能となる。
以下、本発明の好適な実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明に係る包装食品の検査装置(以下「食品検査装置」と呼ぶ)の全体構成の一例を示す概略構成図である。図1に示される食品検査装置は、煎餅や海苔などの薄板状の固形食品(以下「薄板状食品」と呼ぶ)を検査対象として、食品の表裏の各面に付着した異物、及び食品内部に含まれる異物の有無を光学的に検査する装置であり、特に、和紙や合成樹脂フィルム等の包装材で包装済みの薄板状食品を検査対象として、コンベア上を搬送される包装食品の包装材内の各食品中に含まれる異物の有無を全品検査する装置として好適に適用される。
本実施の形態では、連続運転をしているコンべア30の搬送面を挟んで一方に近赤外線光源10を他方にラインスキャンカメラなどのラインセンサ20を配置し、検査対象の包装食品1を検知するセンサ(2a,2b)からのトリガー信号で撮像のタイミングを得た後、近赤外線による連続透過画像を取得し、画像処理部40において異物検査や欠け等の検査を行う形態としている。なお、センサ(2a,2b)を備えずに、ラインセンサ20により連続的に撮像した連続画像を取得し、画像自体の濃淡の閾値(包装食品の有無を判定する閾値)をトリガー信号に利用して、前後数コマを加算した画像を対象として異物検査や欠け等の検査を行う形態としても良い。
以下、包装材によって被包された多層枚の板海苔(以下、単に「海苔」と呼ぶ)を検査対象とした場合を例として詳細に説明する。
図1において、食品検査装置は、検査対象となる包装食品1を照明する照明部10と、包装食品1の透過画像を撮像する撮像部20と、包装食品1をコンベア上に載置して図1中の矢印X方向に搬送する搬送部30と、包装食品1の透過画像を処理して異物の有無等を検査するための画像処理部40とで構成されている。
照明部10は、近赤外線の光束Lを包装食品1に対して照射する照明ユニットから構成され、その光源としては、近赤外線を発する小光源を略直線状に多数配置した構成のライン状光源を用いている。照明部(以下「近赤外線照射ユニット」と呼ぶ)10を構成するライン状光源の発光素子としては、包装食品1を透過する近赤外域にピーク波長をもつ近赤外発光ダイオード(以下「近赤外LED」と呼ぶ)を使用するのが好ましい。
撮像部20は、カラー・ライン・スキャンカメラなどのラインセンサ等から構成され、本実施の形態では、包装食品1の近赤外線透過像を撮像するラインセンサとして、カラーCCD(Charge Coupled Device)リニアセンサ用いている。なお、近赤外光を受光可能なCMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)リニアセンサを用いても良い。撮像部(以下、単に「カメラ」と呼ぶ)20にラインセンサを使用する理由は、エリアセンサと比較してラインセンサは分解能が高く、また、搬送される包装食品1を検査する際に、1スキャン毎に画像信号が出力されるため、連続的な画像処理が容易にできるためである。
搬送部30は、コンベア(本例では丸ベルト)、プーリ、及び駆動モータ等からなる搬送手段(以下「搬送コンベア」と呼ぶ)で構成され、搬送コンベア30の部材としては、近赤外線を透過する透光性部材を用いている。なお、搬送部30の構成としては、本例のように、近赤外線を透過する部材から成るコンベアを用いた構成とするのが好ましいが、包装食品1の撮像領域に対応する開口をコンベア連結部(コンベアとコンベアとの間)若しくは搬送面に設けたコンベアを用いる構成としても良い。
画像処理部40は、画像処理ボード41、画像処理ソフトウェア42、入出力ボード等を搭載したPC等のコンピュータで構成される。画像処理部40の入出力ボード41には、近赤外線照射ユニット10とカメラ20の他に、包装食品1の異物検査ステージへの到来を検知するための投受光センサ(以下「食品検知センサ」と呼ぶ)2a,2bが、PLC(Programmable Logic Controller)3を介して接続されている。
食品検知センサ2a,2bは、図1中に示すように、搬送コンベア30の一端部の上下に取り付けられており、画像処理部40では、受光センサ2bの出力信号によりカメラ20を作動して近赤外線透過像の画像データのサンプリングを開始させ、画像データに基づいて後述する異物の検査処理と外観品質の検査処理とを実行する。
次に、近赤外線照射ユニット10とカメラ20の配置構成について説明する。
図2は、図1に示した食品検査装置の搬送部30の構成と近赤外線照射ユニット10の配置構成の一例を示す平面図である。また、図3は、図2の搬送部30を矢印X方向から見た背面図であり、近赤外線照射ユニット10とカメラ20の配置構成を示している。
図2に示される搬送部30の例では、長さ190mm、幅100mmの海苔を搭載できるように、搬送路の幅方向にWmm間隔で、半径Rmmの透明丸ベルト31をN本配置した構成としている(例えば、W=50、N=3、R=2.5)。搬送部30の両脇に設けられている部材32はガイド部材であり、透明丸ベルト31上に載置された海苔の包装体1は、所定の速度で矢印X方向に搬送される。なお、包装体1の搬送速度が目標速度となるように、エンコーダやサーボで速度を受像側にフィードバックして制御する構成としても良い。搬送部30の搬送速度は、本例では、生産ラインの搬送系(例えば、搬送コンベアの上流側端部に連結される搬送コンベア)の速度に連動させて駆動できるように、10〜100m/minの範囲で可変可能となっている。
近赤外線照射ユニット10は、本実施の形態では、図2に示すように、コンベア(透明丸ベルト31)の下方で且つ包装食品1の搬送方向Xに対して直交する方向に配置し、近赤外線照射ユニット10のライン状光源11から、包装食品1の幅方向全域に対して線状の近赤外線の光束を照射するように構成されている。なお、ライン状光源11は、図3に示すように、各近赤外LED11から互いに略平行な近赤外線の光束Lを包装食品1に対して照射する形態としても良いが、本実施の形態では、発光面の上部に拡散板11B(例えば乳白色の樹脂材から成る拡散板)を設け、その拡散板11Bを介して近赤外線の拡散光を包装食品1に対して照射する形態としている。
カメラ20を構成するラインセンサ21は、図3に示すように、近赤外線照射ユニット10のライン状光源11のラインと平行に、コンベア(透明丸ベルト31)を挟んで対向配置し、包装食品1を透過したライン状光源11からの近赤外線Lをラインセンサ21により受光して、包装食品1の近赤外線透過像を撮像するように構成されている。本実施の形態では、コンベアの下方にライン状光源11を配置し、コンベアの上方(本例ではコンベアの面から300〜600mm程度上方)にラインセンサ21を配置した構成としているが、コンベアの下方にラインセンサ21を配置し、コンベアの上方にライン状光源11を配置した構成とすることも可能である。なお、搬送部30は、照明とカメラのセットを3箇所設置できるように設計されている。様々な製品を検査対象とできるように、近赤外域における異なる波長を発するライン状光源11と、その波長を受光可能なラインセンサ21とを更に追加した構成としても良い。また、形状不良(欠けを含む外観品質)の検査は、赤色LEDを用いた面光源と2次元CMOSカメラとを用いて検査する構成としても良い。
本例における検査対象の包装食品1は、図3中に示すように、多層枚に積層された矩形状の海苔1bが包装材1aにより包装されているが、和紙や樹脂フィルムから成る包装材1aは、近赤外線の透過率が高いため、異物の検査や形状不良(欠けや穴等の外観品質)の検査に影響することは無い。但し、近赤外線の透過率の低いフィルム柄を有する包装食品1を検査対象とした場合は、異物との識別が困難なため、パターンマッチング処理によってフィルム柄の画像部分を除去する形態としている。
次に、異物検査に用いる近赤外線の波長域について説明する。
海苔の透過スペクトルについて、紫外可視分光光度計を用いて波長域400〜2500nmで調べた結果、図4のグラフ(横軸を波長(nm)、縦軸を透過率T(%)としたグラフ)に示すように、800nm近辺(780nm程度)を超える波長域で、海苔の透過率が急激に大きくなることがわかった。また、海苔の吸光スペクトルについては、同様に調べた結果、図5のグラフ(横軸を波長(nm)、縦軸を吸光度(Abs)としたグラフ)に示すように、吸収率については620nm程度の領域で高くなることがわかった。図4及び図5の例は、産地、等級、ロットによる違いを確認するため、兵庫、福岡、三陸産の海苔を各3枚(合計9枚)を対象として調べた結果であり、いずれの海苔も略同等の光学的性質を持つことが判明した。なお、海苔の成分は、主にタンパク質,炭水化物,脂質である。
本発明に係る食品検査装置は、海苔の他に煎餅も対象としているが、炭水化物,脂質タンパク質を主成分とする多くの食品は、780nm〜1100nmの波長域で極めて良く透過する。
そこで、本発明では、780nm〜1100nmの波長域のうちの一部の特定波長域を含む近赤外線を用いて、検査対象の包装食品1を照射するようにしている。近赤外線の照射手段としては、ハロゲンランプと光学フィルタを用いることができるが、本実施の形態では、長寿命で安価、且つ入手しやすい利点などがある近赤外LEDを用いている。
次に、近赤外線照射ユニット10の構成について説明する。
図6は、近赤外線照射ユニット10の発光部の構成例を示す平面図である。本例では、撮像エリアとなる搬送路の幅が略200mmであり、その撮像エリアをカバーできるように、図6に示すように、M個(本例ではM=40)の近赤外LED11Aを5mmピッチで隙間無く配置し、さらに、研磨した乳白色のアクリル板(図3中の拡散板11B)で覆い、長さ300mm、幅30mmの拡散線光源を有するユニット構成としている。なお、本実施の形態では、個々の近赤外LED11Aは、図7の分光特性図に示すように、波長が870nm近辺の近赤外域にピーク波長をもつLED(本例では、浜松ホトニクス社製のL1939)を用いている。なお、近赤外線照射ユニット10に用いる光源は、波長780nm〜1100nm程度の範囲内にピーク波長をもつ近赤外光源であれば好ましく、870nmに限るものではない。
図8は、照明ユニット(近赤外線照射ユニット)の構成例を示す回路図である。本例での照明ユニット回路は、1以上の近赤外LED11Aを直列接続したLED群を並列接続したLED並列回路と、近赤外LED11Aの点灯動作をオンオフ制御するスイッチング素子11aと、そのスイッチング素子11aを介してLED並列回路に直列接続された平滑回路11b及び定電流回路11cと、を備えている。定電流回路11cは、本例では、可変出力型シャント・レギュレータ(例えばTL431)と抵抗器を用い、平滑回路11bはコンデンサを用い、スイッチング素子11aは、シリコンNチャネルMOS形電界効果トランジスタを用いている。また、定電流回路11cと平滑回路11bとの間に、可変抵抗器11dと増幅器11eを接続した構成とし、近赤外LED11Aを駆動電圧16Vで駆動するようにしている。本実施の形態では、このような回路構成の近赤外線照射ユニットを画像処理部のコンピュータにより駆動制御する形態としている。
上述のような構成において、本発明に係る食品検査装置の動作例と異物及び外観品質の検査処理について、図1を参照して説明する。
検査対象となる包装食品1は、搬送コンベア30上に載置された状態で、図1中の矢印X方向に搬送されてくる。食品検知センサ2a,2bから包装食品1の検出信号が画像処理部40の入出力ボード41に送信されると、画像処理部40は、検出信号をトリガーとしてカメラ20を作動し、包装食品1を透過した近赤外線透過像の画像データのサンプリングを開始させる。画像処理部40の検査手段(本例では画像処理ソフトウェア42)は、近赤外線透過像を画素単位でサンプリングした多階調の濃度レベルを異物判定用閾値(2値化の基準値)と比較して2値化する。なお、2値化の基準値の設定は例えばモード法で行う。モード法とは画像の輝度ヒストグラムを調べ、その分布のモード間の谷を閾値とする一般的な基準値設定手法の一つである。上記異物判定用閾値は、製品の厚薄、光透過度(近赤外光の透過において散乱吸収の度合い)等によって変わるため、検査対象の種類毎に設定されて記憶手段に記憶されている。
ここで、包装材により包装された板海苔を例として、異物が混入している場合の実際の画像例を示して説明する。
図9に示される包装食品1の画像例は、コンビニエンス・ストアなどに供される「おにぎり」に使用されるプラスチックフィルムで包装された板海苔の画像例であり、図9(A)は可視光により撮像した表面側の画像、図9(B)は裏面側の画像を示している。おにぎり用のフィルムには、図9(A)に示すように、開封順序や説明図などのフィルム柄1aが施されている。本例では、図9(B)中の破線の丸枠内に示すように、板海苔1の裏面に異物1b(本例では2mm四方のガムテープ片)が付着している場合を例としている。その場合、表面側からの目視検査や可視光による表面側からの画像の検査では、異物1bの検出は困難なことがわかる。
このような包装食品1に対して、図1中の近赤外線照射ユニット10により近赤外線を包装食品1に照射し、包装食品1の表面側からカメラ20により撮像した近赤外線透過像は、図10(A)に示すような画像となる。図10(A)の画像例に示すように、近赤外線は海苔を透過しており、異物1bが裏面側に付着している場合でも、異物1bの部分が他に比べ黒く見えていること良くわかる。この近赤外線透過像を2値化処理した画像が、図10(B)の画像である。
図10(B)の画像例に示すように、2値化処理後は、異物1bとフィルム柄1aの部分が黒く抽出されていることがわかる。海苔の場合はペンキ片が主な異物となるが、それらの異物も近赤外線の透過率が低いため、2値化処理後は黒く抽出される。なお、フィルム柄1aが存在しないものや、フィルム柄1aが存在しても近赤外線の透過率が高いものを検査対象とした場合は、2値化処理後の画像から異物1bを検出することができる。
本例では、近赤外線の透過率が低いフィルム柄1aが存在するため、画像処理部40の検査手段では、2値化した画像からフィルム柄1aをパターンマッチング等の画像処理によって除去し、異物1bのみを抽出する。そして、例えば、抽出した画素数の計数値が所定の許容範囲内(例えば予め設定した基準画素数)を超えた場合に、包装材内の各海苔の表面、裏面、又は食品内部のいずれかに異物が存在すると判定する。続いて、画像処理部40の検査手段は、異物が存在すると判定した包装食品1は不良品として見なし、その旨を示す信号を例えば外部コンピュータに送信する。例えば、不良品を排除する排除装置を搬送コンベア30、あるいは搬送コンベア30に連結される下流側のコンベアに備えた構成の場合は、食品検査装置の検査手段では、排除装置に対して排除信号を送信し、当該包装食品1を不良品として生産ライン上から自動的に排除させる。そして、生産ラインを止めることなく、上述した処理を繰り返す。
以上の処理によって、包装材内の各薄板状食品の表裏各面に付着した異物の有無と各薄板状食品の内部に含まれる異物の有無とを同時に検査するができる。
なお、図9の例では、板海苔の裏側の一枚目に異物1bが付着して場合を例としているが、板海苔のどの部位に異物1bが存在していても、また、金属、非金属(ペンキ片,砂等)を問わずに、海苔の成分外異物を高精度で検出することができる。すなわち、本発明に係る食品検査装置によれば、表裏や板海苔の内部、多数枚の何枚目かを問わずに、従来困難とされてきた海苔中の異物や1mm程度の小さな異物も高精度で検出することが可能となる。
次に、形状不良の検査について説明する。なお、形状不良の検査処理は、上記異物の検査処理と同時並行的に実行される。ここで言う「形状不良」とは、包装材内の薄板状食品(本例では海苔)に欠けや穴がある場合のことを言う。
画像処理部40の検査手段は、形状不良を検査する場合は、異物検査と同様に、食品検知センサ2a,2bから包装食品1の検出信号により動作タイミングを取り、近赤外線透過像の画像を取得する。そして、画素単位でサンプリングした多階調の濃度レベルを形状不良判定用閾値(赤外線透過画像の海苔の部分を判定するための閾値)と比較して2値化し、黒色部の画素数を計数する。そして、その計数値(合計値)を予め設定した正常な海苔の画素数と比較し、黒色部の合計値が正常な海苔の画素数に満たない場合は、欠け有りと判定する。そして、欠けが有ると判定した包装食品1は不良品として見なし、その旨を示す信号を例えば外部コンピュータに送信する。そして、異物を検出した場合と同様に、排除装置に対して排除信号を送信し、当該包装食品1を不良品として生産ライン上から自動的に排除させると共に、上述した処理を繰り返す。
図11(A)は可視光による板海苔1枚の正常品の画像例、図11(B)は不良品(欠け1cが有る形状不良品)の画像例を示している。そして、図12(A)は正常品における赤外線透過画像の2値化処理後の画像例、図12(B)は不良品における赤外線透過画像の2値化処理後の画像例を示している。このように、正常状態と比較し、欠け1cが有る状態では、明らかに黒色部の画素数が少ないことがわかる。
従来の検査装置は、欠けの有無検出についても検出精度が低く(例えば一辺2cm程度の大きさで四隅の欠けに限定)、大掛かりな装置で高価なものであったが、本発明に係る食品検査装置によれば、波長域が780〜1100nm程度の近赤外線を用いているので、比較的安価なラインCCDセンサと近赤外LEDとを用いて不良品を高精度で判別することが可能である。例えば、1100nmを超える波長域とした場合は、InGaAsラインセンサを使用する必要が生じ、ラインCCDセンサと比較して数倍の価格で高価となる。
なお、上述した実施の形態では、欠けや穴等の形状不良を検査する場合、画素値を1つの閾値を用いて2値化し、黒色部の計数値と正常な海苔の画素数とを比較することにより形状不良を判別する方式を例として説明したが、板海苔や煎餅等の製品が重畳している場合を考慮して、個々の製品について検査する方式としても良い。例えば、製品が重畳している場合は、1枚部、2枚重畳部、・・・、n枚重畳部と取得画像の濃淡が変わるので、1枚部、2枚重畳部、・・・、n枚重畳部の面積値と濃淡画素数を積算し、その積算を製品全体の良品基準と比較すれば、重畳している部分を含めて不良品を検査することができる。
次に、欠け等の形状不良の検査に関する他の実施形態について説明する。
海苔は、前述の分光光度計を用いた実験の結果、図4に示したように800nm近辺を超える波長域で透過率が急激に高くなり、吸収率(吸光度:Abs)については図5に示したように620nm程度の領域で高くなることがわかった。そのため、海苔と同等の成分の食品を対象とした形状不良検査においては、波長が620nm程度の光源を用いれば、一層高精度で検出することが可能となる。但し、煎餅などの加工食品の場合、形状不良は外観品質上の問題であり、健康を損なうことがないため、前述の実施形態での検査で充分と考えられる。
以下に説明する食品検査装置は、微細な欠けや穴などの形状不良を高精度で検出する装置として適用される。
図13は、本発明に係る他の食品検査装置の構成例を図1に対応させて示す概略構成図であり、同一構成箇所は同符号を付して説明を省略する。また、異物の検査処理や形状不良の検査処理は、前述の食品検査装置における処理と同様のため、説明を省略し、ここでは、装置構成の相違点について説明する。
図13に示される食品検査装置は、図1の食品検査装置と比較して、形状不良検査用の照明手段としての面光源12と、形状不良検査用の撮像手段としてのエリアセンサ22とを追加した構成としている。波長が620nm近辺の光を発する光源としては、赤色LEDを用いるのが好ましい。なお、面光源12を有する照明ユニットとしては、有機EL(Electro Luminescence)素子を光源とする照明ユニットを用いても良い。本実施の形態では、形状不良検査に用いる照明ユニットの面光源12は、検査領域(包装食品の全域)に対応する2次元エリア内に赤色LEDを隙間無く配置した構成としている。一方、エリアセンサ22としては、安価なCMOSカメラを使用することができる。このような構成とすることにより、より高精度で形状不良を検出することが可能となる。
なお、上述した実施の形態では、搬送路の幅や近赤外LEDの個数など、具体的な数値を示して説明したが、それらの数値に限定されるものではない。また、近赤外光の光源は、ライン状光源とした場合を例として説明したが、近赤外LEDを2次元エリア内に配置した構成の面光源としても良い。また、搬送手段は、透明丸ベルトを用いた場合を例として説明したが、扁平な透明ベルトを用いても良く、近赤外線を透過する部材から成る搬送ローラを用いた構成としても良い。また、画像処理ソフトウェアにより検査処理を実行する形態を例として説明したが、一部の処理若しくは全ての処理をハードウェアによって実行する形態としても良い。
本発明に係る食品検査装置の全体構成の一例を示す概略構成図である。 本発明に係る食品検査装置の搬送部の構成と近赤外線照射ユニットの配置構成の一例を示す平面図である。 本発明に係る食品検査装置の近赤外線照射ユニットとカメラの配置構成を示す模式図である。 海苔の透過スペクトルを示すグラフである。 海苔の吸光スペクトルを示すグラフである。 本発明に係る近赤外線照射ユニットの構成例を示す模式図である。 本発明に用いる近赤外LEDの分光特性を示すグラフである。 本発明に係る近赤外線照射ユニットの構成例を示す回路図である。 異物が混入した包装食品の可視光照明による撮像画像の一例を示す図である。 異物が混入した包装食品の近赤外線照明による撮像画像の一例を示す図である。 正常品と形状不良品の可視光照明による撮像画像の一例を示す図である。 正常品と形状不良品の近赤外線照明による撮像画像の一例を示す図である。 本発明に係る食品検査装置の他の構成例を示す概略構成図である。
符号の説明
1 包装食品
1a フィルム柄
1b 異物
1c 欠け
2a,2b 食品検知センサ(投受光センサ)
3 PLC
10 照明部(近赤外線照射ユニット)
11 ライン状光源
11A 近赤外LED
11B 拡散板
11a スイッチング素子
11b 平滑回路
11c 定電流回路
11d 可変抵抗器
11e 増幅器
12 面光源
20 撮像部(カメラ)
21 ラインセンサ
22 エリアセンサ
30 搬送部
31 透明丸ベルト
32 ガイド部材
40 画像処理部
41 画像処理ボード
42 画像処理ソフトウェア
43 入出力ボード

Claims (5)

  1. 複数枚重畳された薄板状食品群が包装材により包装された包装食品を検査対象として、出荷前の検査工程において前記包装材内の各薄板状食品に含まれる異物の有無と前記包装材内の薄板状食品群の形状不良とを検査する装置であって、
    搬送方向に平行に且つ搬送路幅方向に所定間隔を置いて配置された複数本の透明ベルトから成るコンベアに前記包装食品を載置して搬送する搬送手段と、
    近赤外線を発する光源を直線状に並べてなるライン状光源を有し、前記コンベアの下方又は上方で且つ前記包装食品の搬送方向に対して直交する方向に配置された前記ライン状光源から、前記搬送手段により搬送される包装食品に対して前記近赤外線を照射する近赤外線照射手段と、
    前記コンベアの搬送面を挟んで前記ライン状光源のラインと平行に対向配置されたラインセンサを有し、前記包装食品を透過した前記ライン状光源からの近赤外線を前記ラインセンサにより受光して前記包装食品の近赤外線透過像を撮像する撮像手段と、
    前記撮像手段から出力される近赤外線透過像の画像信号に基づいて、前記包装材内の各薄板状食品の表裏各面に付着した異物の有無と各薄板状食品の内部に含まれる異物の有無とを同時に検査する第1の検査処理を実行すると共に、その第1の検査処理と同時並行的に、前記近赤外線透過像の画像信号に基づいて、前記包装材内の薄板状食品群の濃淡画像を処理することにより得られる面積値を積算し、その積算を良品基準と比較することにより、前記包装材内の薄板状食品群全体の良/不良を検査する第2の検査処理を実行する検査手段と、
    を備えたことを特徴とする、近赤外線を用いた包装食品の検査装置。
  2. 前記近赤外線は、780nm〜1100nmの波長域のうちの一部の特定波長域を含む近赤外線である請求項1に記載の近赤外線を用いた包装食品の検査装置。
  3. 前記薄板状食品が、煎餅、板海苔を含む薄板状固形食品である請求項1又は2に記載の近赤外線を用いた包装食品の検査装置。
  4. 前記ライン状光源は、前記近赤外線を発するLEDを隙間無く配置して成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の近赤外線を用いた包装食品の検査装置。
  5. 前記検査手段から出力される排除信号に応じて当該包装食品を排除する排除装置を前記コンベア又は、前記コンベアに連結される下流側のコンベアに備え、前記検査手段は、当該包装食品が不良品と判定した場合は、前記排除装置に対して前記排除信号を送信して前記不良品と判定した包装食品を生産ライン上から自動的に排除させる処理を実行すると共に、前記近赤外線透過像の画像信号に基づく検査処理を繰り返すことにより、前記コンベア上を連続的に搬送される包装食品を、生産ラインを止めることなく全品検査することを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の近赤外線を用いた包装食品の検査装置。
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