JP2004332200A - 建物 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】上階屋根31と下階屋根32とが同一面で連続する葺き降ろし屋根34を有し、この葺き降ろし屋根34の棟33から軒先35までほぼ全域にわたって太陽光発電パネル40が敷設された建物100としている。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、屋根に太陽光発電パネルを取り付けた建物に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、建物に太陽光発電パネルを設けるのは、他の目的に使用されることが少なく、一番邪魔にならず、また、採光効率が良い場所として屋根ということになる。
【0003】
一般的な建物は、多くは下屋部分と二階建て部分とがあり、これらの部分にはそれぞれ下階屋根、上階屋根が分割され、別個独立に設けられている。そして、これらの屋根部分に、太陽光発電パネルが設置されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
これによれば、建物の屋根に取り付けた太陽光発電パネルで太陽光を受け発電し、屋内の使用電力の一部または全部を賄うことがなされている。
【0005】
【特許文献1】
特許第2501724号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、この太陽光発電パネルは大きさが規格化されており、分割された小さな屋根では、設置自由度が限られており、ときに上下左右に空きが生ずるような配設になり、屋根の総面積が有効に活用されていないという問題があった。
【0007】
また、この空きを有効利用しようと軒を長くする場合には、採光等の問題がある。
【0008】
また、必要発電量を確保するため、各屋根を大きくしたり、別に屋根を設けたりすることは、住宅の床面積を必要以上に大きくすること、すなわち大規模住宅にしてしまうという問題があった。
【0009】
そこで、この発明は、必要以上に床面積を大きくすること無く、太陽光発電パネルの設置自由度をより良くし、充分な発電量が得られる建物を提供することを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明では、上階屋根と下階屋根とが同一面で連続する葺き降ろし屋根を有し、この葺き降ろし屋根の棟から軒先までほぼ全域にわたって太陽光発電パネルが敷設されたことを特徴とする建物としている。
【0011】
このように構成された請求項1記載のものでは、上下分割屋根で無く連続した葺き降ろし屋根であるため、上階屋根と下階屋根との連続した境界部でも無駄な空きを発生させること無く、太陽光発電パネルを設置でき、設置の自由度が増し、より多くの太陽光発電パネルが設置され、有効かつ充分な発電量が得られる。また、小分割されていないので、施工やメンテナンス時の作業性や安全性が良くなる。
【0012】
また、請求項2に記載された発明では、請求項1において、前記下階屋根の下方には、吹き抜け空間が形成され、かつ前記下階屋根に前記吹き抜け空間への採光がなされる天窓が設けられたことを特徴とする建物としている。
【0013】
このように構成された請求項2記載のものでは、床面積を増加すること無く、充分な発電量を確保し、下階屋根下に天井高となる空間が形成され、開放感と共に明るさも享受できる。
【0014】
さらに、請求項3に記載の発明では、請求項1または2のいずれかにおいて、前記葺き降ろし屋根の前記上階屋根に隣接して、他の上階屋根が設けられ、前記他の上階屋根と前記葺き降ろし屋根の前記下階屋根とに隣接して屋外に開放されたバルコニーが設けられ、前記他の上階屋根にも太陽光発電パネルが敷設されていることを特徴とする建物としている。
【0015】
このように構成された請求項3記載のものでは、さらに発電量を増やしながら、充分な採光の得られるバルコニーを確保することができ、このバルコニーから屋根に登りやすいので、施工やメンテナンス時の作業性や安全性がさらに良くなる。
【0016】
また、請求項4に記載されたものでは、第1の屋根の上端縁を第2の屋根の上端縁の上方に位置させた段違い屋根を有する建物であって、前記第1の屋根の棟から軒先まで、ほぼ全域にわたって太陽光発電パネルが敷設された建物を特徴としている。
【0017】
このように構成された請求項4記載のものでは、前記太陽光発電パネルが、前記第1の屋根の棟から軒先まで、ほぼ全域にわたって敷設されている。
【0018】
該第1の屋根の上端縁は、第2の屋根の上端縁の上方に位置しているので、第1の屋根の面積が増大し、太陽光発電パネルを設置する面積を増大させることが出来、充分な発電量が得られる。
【0019】
また、請求項5に記載されたものでは、前記第1の屋根の下端近傍に、バルコニーが設けられている請求項4記載の建物を特徴としている。
【0020】
このように構成された請求項5記載のものでは、前記第1の屋根の下端近傍にバルコニーを設けて、充分な採光を得られるバルコニーを確保して、軒先近傍の太陽光発電パネルの数が減少する場合でも、前記太陽光発電パネルを設置する面積が増大しているので、充分な発電量が確保出来る。
【0021】
更に、請求項6に記載されたものでは、前記第1の屋根の上端縁から垂下されて前記第2の屋根の上端縁に至る屋根部縦壁面には、通風用の開口部が形成されている請求項4又は5のうち何れか一項記載の建物を特徴としている。
【0022】
このように構成された請求項6記載のものでは、換気性を良好なものとして、更に、冷暖房効率を向上させることができる。従って、冷暖房時に電力が不足しがちな場合であっても、建物の床面積を増大させることなく、電力供給を充分に行わせることができる。
【0023】
また、請求項7に記載されたものでは、屋根の軒側に位置する居室の上部が、標準高さ以下に、かつ傾斜面として区画されて、該屋根の棟から、軒先に至るまで略全域に渡り太陽光発電パネルが敷設されている建物を特徴としている。
【0024】
このように構成された請求項7記載のものでは、前記居室上部が、標準高さ以下に、かつ傾斜面として区画されているので、屋根の高さを抑えながら、屋根の面積すなわち太陽光発電パネルの設置可能面積を増大させることができる。
【0025】
また、請求項8に記載されたものでは、第1の外壁と、該第1の外壁よりも後退した第2の外壁と、該第1の外壁の上方に位置する第1の屋根と、前記第2の外壁の上方に位置する第2の屋根とを有して、前記第1の屋根と第2の屋根とは同一平面とされると共に、該第1の屋根の軒先と、前記第2の屋根の軒先とは、同一直線上に位置すると共に、該第1の屋根と第2の屋根との棟から軒先まで、略全域に渡り太陽光発電パネルが設置された建物を特徴としている。
【0026】
このように構成された請求項8に記載されたものでは、前記第2の屋根は、前記第1の屋根と同一平面とされると共に、該第1の屋根の軒先と、前記第2の屋根の軒先とが、同一直線上に位置されているので、床面積を増大させることなく、屋根の面積すなわち太陽光発電パネルの設置可能面積を増大させることができる。
【0027】
また、前記第2の屋根が、前記第1の屋根と同一平面とされているので、屋根部に段差を発生させることがない。このため、段差によって日陰部分が生じることもなく、太陽光発電パネルの発電効率を良好なものとすることができる。
【0028】
更に、請求項9に記載されたものでは、前記第2の外壁の屋外側には、バルコニーが設けられている請求項8記載の建物を特徴としている。
【0029】
このように構成された請求項9記載のものでは、前記第2の外壁の屋外側に設けられたバルコニーの上方に前記第2の屋根の軒先を設けることができるので、更に、床面積を増大させることなく、屋根の面積すなわち太陽光発電パネルの設置可能面積を増大させることができる。
【0030】
【発明の実施の形態1】
次に、図面に基づいてこの発明の実施の形態1の建物100を説明する。
【0031】
図1及び図2は、この発明の実施の形態1の建物100を示す図である。
【0032】
まず、構成を説明すると、この発明の実施の形態1に係る建物100は、基礎10と、基礎10上に組み付けられた躯体本体20と、躯体本体20を覆う屋根30と、この屋根30に敷設された太陽光発電パネル40,40aとから構成され、これらの太陽光発電パネル40,40aで発電される電力の供給を受けている。
【0033】
躯体本体20は、例えば、南側の下屋部と北側の2階建て部とが一体となっている。図2に示す例では、南側下屋部がリビングルーム21であり、北側2階建て部が1階にリビングルーム21と接した台所22と台所22の北側に洗面所23とがあり、2階に主寝室24がある。
【0034】
リビングルーム21は、後述する葺き降ろし屋根のため天井高の吹き抜け空間21aを有するように、例えば、屋根に近接し、勾配を同じくした天井21bを有している。また、リビングルーム21は、南面する掃き出し窓21c、主寝室24との間の窓21d、天窓21e等を有している。
【0035】
屋根30は、2階建て部の上階屋根31,31a、31bと下屋部の下階屋根32とからなり、上階屋根31は棟33を境に両側に設けられ、南側の上階屋根31と下階屋根32とが同一面で棟33から軒先35まで連続して葺き降ろし屋根34を構成している。
【0036】
この葺き降ろし屋根34の上階屋根31に隣接して、同一面あるいは段差の付いた他の上階屋根31aが設けられ、上階屋根31の棟33を介した反対側には上階屋根31bが設けられている。そして、他の上階屋根31aと葺き降ろし屋根34の下階屋根32とに隣接して屋外に開放されたバルコニー25が設けられている。
【0037】
太陽光発電を有効に利用するために、屋根30に太陽光発電パネル40を敷設している。この太陽光発電パネル40は、例えば規格化されており、縦1577mm、横783mmの矩形平板、あるいは縦が半分になった矩形平板を呈し、中に図示省略の太陽電池が配設されていて、太陽光発電パネル40の1枚当たりの発電量が、例えば約0.171kwである。
【0038】
葺き降ろし屋根34は、棟33から軒先35までほぼ全域にわたって、太陽光発電パネルとして、例えば、縦方向の長さが通常の半分の全長の太陽光発電パネル40aと、通常の全長の太陽光発電パネル40…を4枚とが縦列に敷設され、さらに、これが6列に横列されて敷設されている。
【0039】
他の上階屋根31a及び上階屋根31bにも、なるべく多くの太陽光発電パネル40が敷設できるような配置を考えて配設されている。これら太陽光発電パネル40が敷設された屋根30には、周囲に空き36が形成されている。この空き36は、上階屋根31,31a、31b及び下階屋根32が単独分離され、あるいは同一面でなかったりで別個独立である場合には、一般的により大きな面積で発生する。
【0040】
したがって、葺き降ろし屋根34とするとか、上階屋根31と他の上階屋根31aとを隣接させ同一面にすることにより、無駄な空き36ができるだけできるのを少なくしている。すなわち、太陽光発電パネル40を単独であれば出来るであろう空き36の位置に続けて配置できて有効に敷設できる。
【0041】
また、葺き降ろし屋根でなく、同等面積の大きな上階屋根にするならば、2階の床面積が増えて全床面積が増え、屋根全体が高くなってしまう。それに比べ本実施例では必要以上に床面積を大きくすることなく、また、屋根の高さを抑えているので施工やメンテナンス時の作業性や安全性が良い。
【0042】
この実施の形態1では、沢山の太陽光発電パネル40の内、一枚を太陽光電池を除いて透光性の良い窓ガラスとし、ここでは開閉可能な天窓21eとしている。下階屋根32の下方には、吹き抜け空間21aが形成され、かつ下階屋根32に吹き抜け空間21aへの採光がなされる天窓21eが設けられた建物100としている。吹き抜け空間21a及びリビングルーム21への採光及び換気は、天窓21e及び掃き出し窓21c等からなされ、主寝室24も同様に窓21dを介してなされる。
【0043】
この構成によれば、床面積を増加すること無く、充分な発電量を確保し、下階屋根32下に天井高となる空間が形成され、開放感と共に明るさも享受できる。
【0044】
さらに、葺き降ろし屋根34の上階屋根31に隣接して、他の上階屋根31aが設けられ、他の上階屋根31aと葺き降ろし屋根34の下階屋根32とに隣接して屋外に開放されたバルコニー25が設けられ、他の上階屋根31aにも太陽光発電パネル40が敷設されている建物100としているので、さらに発電量を増やしながら、バルコニー25を確保することができ、このバルコニー25から屋根30に登りやすいので、施工やメンテナンス時の作業性や安全性がさらに良くなる。
【0045】
【発明の実施の形態2】
次に、この発明の実施の形態2の建物200について説明する。
【0046】
図3乃至図7は、この発明の実施の形態2の建物200を示す図である。なお、前記実施の形態1と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0047】
まず、構成を説明すると、この発明の実施の形態2に係る建物200は、基礎10と、基礎10上に組み付けられた躯体本体120とから主に構成されている。 このうち、躯体本体120は、複数の建物ユニットとしての1階居室ユニット131,132等を組み合わせて構成される1階部130と、複数の建物ユニットとしての2階居室ユニット141,142及びバルコニーユニット143等を組み合わせて構成される2階部140と、この2階部140の上部を覆う段違い屋根150を構成する屋根ユニット151,152等とを有して主に構成されている。
【0048】
ここで、南側の2階居室ユニット142以外の2階居室ユニットは、上面が水平であるのに対し、南側の2階居室ユニット142は、その上面が第1の屋根160の勾配に沿って傾斜し、ここに、屋根ユニット152と連続して第1の屋根160の軒側部分を構成する屋根パネル153が設置されている。
【0049】
すなわち、屋根160の軒側部分によって、2階居室ユニット内部の居室上部が、標準高さ以下に、かつ傾斜面として区画されている。
【0050】
そして、この屋根パネル153の上面にも、太陽光発電パネル40が敷設されている。
【0051】
このうち、前記段違い屋根150は、勾配角度は同一で流れ方向を南向きとする第1の屋根160と、流れ方向を北向きとする第2の屋根170とから主に構成されて、前記第1屋根160の上端縁160aを、第2の屋根の上端縁の真上に位置させている。
【0052】
即ち、第1の屋根160は、第2の屋根170の延長線Vとの交点(図7のS)より上方まで延在されている。
【0053】
そして、この第1の屋根160の棟160bから軒先160cまで、ほぼ全域にわたって、前記バルコニーユニット143の上部を除き、流れ方向4枚×桁方向10枚で合計36枚の太陽光発電パネル40…が敷設されている。
【0054】
これらの太陽光発電パネル40…の総出力は、約6.16kwで、標準的な4人家族における光熱費を太陽光発電だけでほぼ賄える出力を有している。
【0055】
そして、図7に示すように、前記第2の屋根170の上端縁170aからの延長線Vが、前記第1の屋根160と交わる位置Sよりも、第1の屋根160の上端縁160a側にも、前記太陽光発電パネル40が延設されて敷設されている。
【0056】
更に、この実施の形態2では、前記第1の屋根160の上端縁160aから垂下されて前記第2の屋根170の上端縁170aに至る屋根部縦壁面180が形成されている。そして、この実施の形態2の屋根部縦壁面180には、通風用の開口部181が形成されていて、排熱換気扇又は換気窓182が設けられている。
【0057】
また、この実施の形態2では、前記第1の屋根160の下端160c近傍に、前記バルコニーユニット143からなるバルコニー190が設けられている。
【0058】
次に、この実施の形態2の建物200の作用について説明する。
【0059】
この実施の形態2では、前記太陽光発電パネル40…が、前記建物200の段違い屋根150のうち、前記第1の屋根160の棟160bから軒先160cまで、ほぼ全域にわたって敷設されている。
【0060】
この第1の屋根160の上端縁160aは、第2の屋根170の上端縁170aよりも高い位置に位置しているので、第1の屋根160の面積が増大し、太陽光発電パネル40を設置する面積を増大させることが出来、充分な発電量が得られる。
【0061】
例えば、比較として、前記実施の形態1では、最も棟側に敷設された太陽光発電パネル40aは、標準の太陽光発電パネル40の約半分の流れ方向長さを有して、発電量も比較的小さくなってしまうが、この実施の形態2では、最も棟側に敷設される太陽光発電パネル40…も標準の流れ方向長さのものを使用出来、発電量を増大させることができる。
【0062】
ここで、南向きの屋根のみで屋根を構成した片流れ屋根は、更に、南向きの屋根面積が増大するが、屋根の上端縁が高くなりすぎ、法規制に抵触しやすく、また、外観も単調となってしまう。
【0063】
更に、建物200の床面積を増大させること無く、前記第2の屋根170の上端縁170aからの延長線Vが、前記第1の屋根160と交わる位置Sよりも、第1の屋根160の上端縁160a側にまで、太陽光発電パネル40を延設して設置する面積を増大させることができる。
【0064】
また、前記第1の屋根160の下端近傍にバルコニーユニット143を設けて、充分な採光を得られるバルコニー190を確保しているが、軒先近傍の太陽光発電パネル40の数が、4枚減少するにも拘わらず、前記太陽光発電パネル40…を設置する面積が、この段違い屋根150の第1の屋根160では、増大しているので、充分な発電量が確保出来る。
【0065】
また、この実施の形態2の建物200では、南側の2階居室ユニット142が、その上面が第1の屋根160の勾配に沿って傾斜し、ここに、屋根ユニット152と連続して第1の屋根160の軒側部分を構成する屋根パネルユニット153が設置されていて、この屋根パネル153の上面にも、太陽光発電パネル40が敷設されている。
【0066】
そして、前記2階居室ユニット142内部の居室上部は、標準高さ以下に、かつ傾斜面として区画されている。
【0067】
このため、屋根の高さを抑えながら、屋根の面積すなわち太陽光発電パネル40…の設置可能面積を増大させることができる。
【0068】
更に、この実施の形態2では、前記屋根部縦壁面180に、通風用の開口部181が形成されていて、排熱換気扇又は換気窓182が設けられている。
【0069】
このため、換気性を良好なものとして、更に、冷暖房効率を向上させることができる。従って、冷暖房時に電力が不足しがちな場合であっても、換気により不要な冷暖房を減少させることが出来、建物の床面積を増大させることなく、電力供給を充分に行わせることができる。
【0070】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態1と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【0071】
【発明の実施の形態3】
次に、この発明の実施の形態3の建物300について図面を参照しながら説明する。
【0072】
図8乃至図11は、この発明の実施の形態3の建物300を説明するものである。なお、前記実施の形態1,2と同一乃至均等な部分については、同一符号を付して説明する。
【0073】
まず、構成を説明すると、この発明の実施の形態3に係る建物300は、基礎10と、基礎10上に組み付けられた躯体本体220とから主に構成されている。 このうち、躯体本体220は、複数の建物ユニットとしての1階居室ユニット131等が組み合わせられて構成される1階部230と、複数の建物ユニットとしての2階居室ユニット241,242及びバルコニーユニット243等を組み合わせて構成される2階部240と、この2階部240の上部を覆う屋根250とを有して主に構成されている。
【0074】
このうち、2階部240を構成する2階居室ユニット242は、図10に示すように、通常の2階居室ユニット241の桁方向長さd1よりも短い桁方向長さd2を有することにより、2階居室ユニット241の第1の外壁241aよりも寸法d3だけ後退した位置に、第2の外壁242aを有している。
【0075】
また、前記屋根部250は、第1の屋根260及び第2の屋根270と、北側に設けられた段違い屋根部280を構成する屋根ユニット281,281等とから主に構成されている。
【0076】
このうち、前記第1の屋根260は、前記2階居室ユニット241の上方に載置されて、前記第1の外壁241aの上方に位置する棟側の屋根ユニット261及び、桁方向中央の2階居室ユニット241の上方に載置される軒先側の屋根ユニット262とを有して主に構成されている。
【0077】
また、前記第2の屋根270は、前記2階居室ユニット241,242の上方に各々載置される棟側の屋根ユニット271及び軒先側の屋根ユニット272とを有して主に構成されている。
【0078】
これらの屋根ユニット261,262及び屋根ユニット271,272の上面には、同一平面を呈して、複数の太陽光発電パネル40,40が、隣接配置されている。
【0079】
この実施の形態3では、前記第1の屋根260の屋根面260aに、棟261aから軒先262aまで、ほぼ全域にわたって、通常の全長の太陽光発電パネル40…が3枚縦列に敷設され、さらに、これが4列に横列されて敷設されている。
【0080】
そして、この第1の屋根260の屋根面260aと同一高さで、同一角度の傾斜を有する第2の屋根270の屋根面270aに、棟271aから軒先272aまで、ほぼ全域にわたって、通常の全長の太陽光発電パネル40…が3枚縦列に敷設され、さらに、これが6列に横列されて敷設されている。
【0081】
また、前記屋根ユニット272は、図8に示すように、前記第2の外壁242aの上方に位置するように構成されて、軒先272aが、前記バルコニーユニット243の上方に位置するように、前記第1の屋根260の屋根ユニット262の軒先262aと同一直線上に設けられている。
【0082】
そして、この実施の形態3のバルコニーユニット243は、図10に示すように、一部を前記居室ユニット131の下屋上に載置することにより、前記2階居室ユニット241の第1の外壁241aよりも、更に、建物300の外側方に他の一部を、寸法d4だけ突設させるように、前記第2の外壁242aの外側に隣接配置されている。
【0083】
次に、この実施の形態3の建物300の作用について説明する。
【0084】
このように構成されたこの実施の形態3の建物300では、前記第2の屋根270は、前記第1の屋根260と同一平面とされると共に、この第1の屋根260の軒先262aと、前記第2の屋根270の軒先272aとが、同一直線上となるように構成されているので、床面積を増大させることなく、屋根の面積すなわち太陽光発電パネル40の設置可能面積を、前記バルコニーユニット243設置増部位である2階居室ユニット242の外壁242a上方から、バルコニー部分の上方を略覆うように増大させることができる。
【0085】
このように、前記第2の外壁242aの屋外側に設けられたバルコニーユニット243の上方に前記第2の屋根270の軒先272aを設けることができるので、更に、第2の屋根270でも、第1の屋根260と同様に、3列の太陽光発電パネル40…を、棟271aから軒272aまでに渡り敷設出来る。
【0086】
従って、床面積を増大させることなく、屋根の面積すなわち太陽光発電パネル40の設置可能面積を増大させることができる。
【0087】
また、前記第2の屋根270が、前記第1の屋根260と同一平面とされているので、第2の屋根270と、前記第1の屋根260との間の屋根250に段差を発生させることがない。
【0088】
比較例として示す図11の建物400では、大屋根部401及びこの大屋根部401の棟402よりも低い位置に棟404を有する小屋根部403を有して、各々の大屋根部401及び小屋根部403に太陽光発電パネル40,40が敷設されている。
【0089】
このような建物では、大屋根部401及び小屋根部403間の段差hによって、図11中斜線で示すような日陰部分Bが生じてしまい、大屋根部401に隣接する小屋根部403の太陽光発電パネル40b,40bが、この日陰部分Bに入る虞があった。
【0090】
しかしながら、この実施の形態3の記載された建物300では、図8に示すように、前記第の屋根270が、前記第1の屋根260と同一平面とされているので、屋根部に段差を発生させることがない。
【0091】
このため、比較例として示した図11の建物400の様に段差hによって日陰部分が生じることもなく、太陽光発電パネル40…に略均等に太陽光が当たる。
【0092】
従って、発電効率を良好なものとすることができる。
【0093】
他の構成及び作用効果については、前記実施の形態1,2と同一乃至均等であるので、説明を省略する。
【0094】
以上、図面を参照して、本発明の実施の形態1乃至3を詳述してきたが、具体的な構成は、これらの実施の形態1乃至3に限らず、本発明の要旨を逸脱しない程度の設計的変更は、本発明に含まれる。
【0095】
例えば、実施の形態2では、前記第1の屋根160の上端縁160aから前記第2の屋根170の上端縁170aに至るまで垂下された屋根部縦壁面180を有するものを用いて説明してきたが、特にこれに限らず、例えば、前記第2の屋根170の上端縁170aから、前記第1の屋根160と交わる位置S近傍まで、第2の屋根170の上端縁170aが、第1の屋根160の下側に位置する形状等、第1の屋根の上端縁を第2の屋根の上端縁よりも高い位置に位置させた段違い屋根を有するものであるならば、どの様な形状であってもよい。
【0096】
また、実施の形態3では、段違い屋根280を形成する屋根ユニット281を屋根250の北側に設けているが、特にこれに限らず、例えば、寄せ棟屋根等、他の形状の屋根であってもよい。
【0097】
【発明の効果】
以上説明してきたように、この発明の請求項1に記載されたものによれば、上下分割屋根で無く連続した葺き降ろし屋根であるため、上階屋根と下階屋根との連続した境界部でも無駄な空きを発生させること無く、太陽光発電パネルを敷設でき、配置の自由度が増し、より多くの太陽光発電パネルが設置され、有効かつ充分な発電量が得られる建物を提供することが出来る。また、小分割されていないので、施工やメンテナンス時の作業性や安全性が良くなる。
【0098】
更に、請求項2に記載された発明では、床面積を増加すること無く、充分な発電量を確保し、下階屋根下に天井高となる空間が形成され、開放感と共に明るさも享受できる。
【0099】
さらに、請求項3に記載の発明では、さらに発電量を増やしながら、充分な採光の得られるバルコニーを確保することができ、このバルコニーから屋根に登りやすいので、施工やメンテナンス時の作業性や安全性がさらに良くなる。
【0100】
また、請求項4記載のものでは、前記太陽光発電パネルが、前記第1の屋根の棟から軒先まで、ほぼ全域にわたって敷設されている。
【0101】
該第1の屋根の上端縁は、第2の屋根の上端縁の上方に位置しているので、第1の屋根の面積が増大し、太陽光発電パネルを設置する面積を増大させることが出来、充分な発電量が得られる。
【0102】
更に、請求項5に記載されたものでは、前記第1の屋根の下端近傍にバルコニーを設けて、充分な採光を得られるバルコニーを確保して、軒先近傍の太陽光発電パネルの数が減少する場合でも、発電パネルを設置する面積が増大しているので、充分な発電量が確保出来る。
【0103】
更に、請求項6に記載されたものでは、換気性を良好なものとして、更に、冷暖房効率を向上させることができる。従って、冷暖房時に電力が不足しがちな場合であっても、建物の床面積を増大させることなく、電力供給を充分に行わせることができる。
【0104】
また、請求項7に記載されたものでは、前記居室上部が、標準高さ以下に、かつ傾斜面として区画されているので、屋根の高さを抑えながら、屋根の面積すなわち太陽光発電パネルの設置可能面積を増大させることができる。
【0105】
そして、請求項8に記載されたものでは、前記第2の屋根は、前記第1の屋根と同一平面とされると共に、該第1の屋根の軒先と、前記第2の屋根の軒先とが、同一直線上に位置されているので、床面積を増大させることなく、屋根の面積すなわち太陽光発電パネルの設置可能面積を増大させることができる。
【0106】
また、前記第2の屋根が、前記第1の屋根と同一平面とされているので、屋根部に段差を発生させることがない。このため、段差によって日陰部分が生じることもなく、太陽光発電パネルの発電効率を良好なものとすることができる。
【0107】
更に、請求項9に記載されたものでは、前記第2の外壁の屋外側に設けられたバルコニーの上方に前記第2の屋根の軒先を設けることができるので、更に、床面積を増大させることなく、屋根の面積すなわち太陽光発電パネルの設置可能面積を増大させることができる、という実用上有益な効果を発揮する。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施の形態1に係る建物を示す全体斜視図である。
【図2】実施の形態1の建物を示し、図1中II−II線に沿った位置での断面図である。
【図3】この発明の実施の形態2に係る建物の構成を示す全体の斜視図である。
【図4】実施の形態2の建物で、南向きの正面図である。
【図5】実施の形態2の建物で、右側面図である。
【図6】実施の形態2の建物で、左側図である。
【図7】実施の形態2の建物を示し、図4中III−III線に沿った位置での断面図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る建物の構成を示す全体の斜視図である。
【図9】実施の形態3の建物で、南向きの正面図である。
【図10】実施の形態3の建物で、右側面図である。
【図11】実施の形態2の建物との対比で説明する棟違い屋根を有する建物の斜視図である。
【符号の説明】
100,200,300:建物
20,120,220 :躯体本体
21 :リビングルーム
21a :吹き抜け空間
21e :天窓
25 :バルコニー
30 :屋根
31、31a、31b :上階屋根
32 :下階屋根
33 :棟
34 :葺き降ろし屋根
35 :軒先
36 :空き
40,40a :太陽光発電パネル
150 :招き屋根(段違い屋根)
160 :第1の屋根
160a :上端縁
170 :第2の屋根
170a :上端縁
180 :屋根部縦壁面
190 :バルコニー
241a :第1の外壁
242a :第2の外壁
250 :屋根
260 :第1の屋根
261a :棟
262a :軒先
270 :第2の屋根
271a :棟
272a :軒先
243 :バルコニーユニット(バルコニー)
Claims (9)
- 上階屋根と下階屋根とが同一面で連続する葺き降ろし屋根を有し、この葺き降ろし屋根の棟から軒先までほぼ全域にわたって太陽光発電パネルが敷設されたことを特徴とする建物。
- 請求項1において、前記下階屋根の下方には、吹き抜け空間が形成され、かつ前記下階屋根に前記吹き抜け空間への採光がなされる天窓が設けられたことを特徴とする建物。
- 請求項1または2のいずれかにおいて、前記葺き降ろし屋根の前記上階屋根に隣接して、他の上階屋根が設けられ、前記他の上階屋根と前記葺き降ろし屋根の前記下階屋根とに隣接して屋外に開放されたバルコニーが設けられ、前記他の上階屋根にも太陽光発電パネルが敷設されていることを特徴とする建物。
- 第1の屋根の上端縁を第2の屋根の上端縁の上方に位置させた段違い屋根を有する建物であって、前記第1の屋根の棟から軒先まで、ほぼ全域にわたって太陽光発電パネルが敷設されたことを特徴とする建物。
- 前記第1の屋根の下端近傍に、バルコニーが設けられていることを特徴とする請求項4記載の建物。
- 前記第1の屋根の上端縁から垂下されて前記第2の屋根の上端縁に至る屋根部縦壁面には、通風用の開口部が形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載の建物。
- 屋根の軒側に位置する居室の上部が、標準高さ以下に、かつ傾斜面として区画されて、該屋根の棟から、軒先に至るまで略全域に渡り太陽光発電パネルが敷設されていることを特徴とする建物。
- 第1の外壁と、該第1の外壁よりも後退した第2の外壁と、該第1の外壁の上方に位置する第1の屋根と、前記第2の外壁の上方に位置する第2の屋根とを有して、前記第1の屋根と第2の屋根とは同一平面とされると共に、該第1の屋根の軒先と、前記第2の屋根の軒先とは、同一直線上に位置すると共に、該第1の屋根と第2の屋根との棟から軒先まで、略全域に渡り太陽光発電パネルが設置されたことを特徴とする建物。
- 前記第2の外壁の屋外側には、バルコニーが設けられていることを特徴とする請求項8記載の建物。
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