JP2004332177A - 炭素繊維用処理液、およびゴム補強用炭素繊維コード - Google Patents
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Abstract
【課題】課題は、繊維束に多量に樹脂を付着させることを可能とする炭素繊維用処理液を提供すること、及び、炭素繊維とゴム配合物との接着性に優れる上に、屈曲変形に対する耐疲労性にも優れたゴム補強用炭素繊維コードを提供せんとするものである。
【解決手段】本発明の繊維用処理液は、エポキシ樹脂とゴムラテックスからなる炭素繊維用処理液であって、固形分濃度が35〜65重量%であることを特徴とするものである。
また、本発明のゴム補強用炭素繊維コードは該炭素繊維用処理液を炭素繊維束に含浸してなるものである。
【選択図】なし
【解決手段】本発明の繊維用処理液は、エポキシ樹脂とゴムラテックスからなる炭素繊維用処理液であって、固形分濃度が35〜65重量%であることを特徴とするものである。
また、本発明のゴム補強用炭素繊維コードは該炭素繊維用処理液を炭素繊維束に含浸してなるものである。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維束に多量に樹脂を付着させることを可能とする固形分濃度の極めて高い炭素繊維用処理液に関するものである。更に、タイヤ・ベルトに代表されるゴム製品に適したゴム補強用コードであり、より詳しくは、ゴム基材との接着性、及びゴム製品中での耐疲労性に優れるゴム補強用炭素繊維コードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ、ベルトなどの繊維・ゴム複合体製品の補強材としては、ポリε−カプロラクタム繊維やポリヘキサメチレンアジパミド繊維に代表されるポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維に代表されるポリエステル繊維、および芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維が主として用いられている。
【0003】
そのような中、高弾性率、高強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性等の性能のバランスが他の繊維に比較し優れた特性を有する炭素繊維をゴム補強用素材に用いることが試みられている。しかしながら炭素繊維は他繊維に比較し、接着性、耐疲労性に劣るという問題があった。この対策として、非水溶性エポキシ化合物を用い、RFLを繊維に対して10〜20%付着させる処理方法(例えば特許文献1参照)、炭素繊維糸状束にエポキシ/ゴムラテックスの1浴液(濃度30%)を含浸した後熱処理し、次いでレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物・ゴムラテックスの2浴液を付着し後熱処理する方法(例えば特許文献2参照)、破断伸度が一定値以上の炭素繊維束にゴムラテックスを含む樹脂組成物を含浸させる方法(例えば特許文献3)等が開示されている。しかし、いずれの方法でも接着性は満足するものが得られるが、耐疲労性は実用レベルには達していなかった。
【0004】
【特許文献1】
特公昭53−30757号公報
【0005】
【特許文献2】
特開昭60−181369号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2001−234445号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、炭素繊維とゴム配合物との接着性に優れる上に、屈曲変形に対する耐疲労性にも優れたゴム補強用炭素繊維コードを提供せんとするものであり、更にはそのような耐疲労性に優れたゴム補強用炭素繊維コードを提供するための炭素繊維用処理液を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。即ち、エポキシ樹脂とゴムラテックスからなる炭素繊維用処理液であって、固形分濃度が35〜65重量%であることを特徴とする炭素繊維用処理液である。また、炭素繊維用処理液を炭素繊維束に含浸してなるゴム補強用炭素繊維コードである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり炭素繊維とゴム配合物との接着性に優れる上に、屈曲変形に対する耐疲労性(以下、単に耐疲労性という)にも優れたゴム補強用炭素繊維コード(以下、単にコードという)を得るため鋭意検討し、エポキシ樹脂とゴムラテックスからなり、固形分濃度が一定値内にある処理液を摘要することによって意外にも、かかる課題を一挙に解決することを見出したものである。
【0010】
本発明における炭素繊維用処理液(以下、単に処理液という)は、エポキシ樹脂、ゴムラテックスが水に均一分散して構成されるが、その固形分濃度は、35〜65重量%であることが必要であり、好ましくは40〜63重量%、より好ましくは45〜60重量%が良い。35重量%未満であると、十分な固形分を繊維束に付着させることが困難になることがある。固形分濃度が35重量%未満の処理液を適用すると、固形分が少ないため、束内部に未含浸部が生じ、単繊維同士の擦過が生じるため、結果としてコードの耐疲労性が不十分になることがある。65重量%を超えると、処理液の安定性が悪くなり、固形分が凝集してくることがあるため、処理液含浸処理(ディッピング処理)が困難になることがある。
【0011】
また、固形分濃度が35重量%未満の処理液で炭素繊維束(無撚り)を処理して得られるコードはその断面形状が楕円状になりやすく、耐疲労性が不十分になることがある。35重量%を越えるとコードが真円状になりやすい。ここで「真円状」とは、コード断面の外接円の半径Rと内接円の半径rとの比(=R/r)で定義される断面の変形度が1〜1.4の範囲内であることをいう。
【0012】
本発明者らは、耐疲労性に優れるゴム補強用コードを得るための条件を鋭意検討した結果、コードとゴムの接着性に優れること、コードに柔軟性があること、処理液の固形分が十分に繊維束内部に存在すること等が必要であると考えるに至った。本発明は、それらの条件を満たすコードを作製するための処理液について鋭意検討した結果に見出された処理液、およびその処理液を炭素繊維束に含浸してなるゴム補強用炭素繊維コードに関するものである。つまり、コードとゴムの接着性、コードの柔軟性を発現させるために、処理液中にエポキシ樹脂とゴムラテックスが必須成分である。さらに処理液の固形分を充分に繊維束内部に存在させるためには、処理液の固形分濃度が35〜65重量%必要なのである。
【0013】
本発明の処理液は、25℃における粘度が30mPa・s〜150mPa・sであるのが良い。好ましくは40mPa・s〜120mPa・sであり、より好ましくは50mPa・s〜150mPa・sである。30mPa・s未満であると、ディッピング処理した処理液が乾燥工程に入る前に繊維から脱落しやすく、十分な固形分を付着させることが困難になることがある。150mPs・sを越えると繊維束内部まで処理液を浸透させることが困難になることがあり、結果としてコードの耐疲労性が不十分になることがある。
【0014】
また、本発明の繊維用処理液は経時的に固形分が凝集するのを防ぎ、安定性を向上させる観点から、エポキシ樹脂100重量部に対し、界面活性剤を0.1〜20重量部含有するのが良い。好ましくは1〜15重量部、より好ましくは2〜10重量部である。0.1重量部未満であると、処理液の安定性向上効果が不十分になることがあり、20重量部を超えるとコードと被着ゴムの接着性が不十分になることがある。
【0015】
本発明の処理液に含まれるエポキシ樹脂とゴムラテックスの乾燥重量比は30/70〜70/30、好ましくは40/60〜60/40であるのがよい。30/70未満であるとコードとゴムの接着性が不十分になることがあり、70/30以上であると、コードが剛くなりすぎる傾向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果として耐疲労性が低下することがある。なお、エポキシ樹脂とゴムラテックスの乾燥重量比は、エポキシ樹脂の重量、及びゴムラテックスの固形分重量(ゴムラテックス由来のゴム成分)の計算値から処理液を調合することで、調整できる。
【0016】
本発明の処理液に用いることができるエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればいかなる化合物を用いても良い。分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物は特に限定されないが、例えば、分子内に水酸基を有する化合物から得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物から得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物から得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に不飽和結合を有する化合物から得られる環式脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートなどの複素環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプが分子内に混在するエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0017】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンのようなハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビフェニル型エポキシ樹脂、レゾルシノールと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールSと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、多価アルコール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物であるポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ビス−(3,4−エポキシ−6−メチル−ジシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシドなどの不飽和結合部分を酸化して得られるエポキシ樹脂、その他ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびこれらのハロゲンあるいはアルキル置換体などが挙げられる。
【0018】
中でも、コードの柔軟性の観点から、環状構造を有しない脂肪族系エポキシ樹脂が好ましく、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど多価アルコール類とエピクロロヒドリンとの反応物が好ましく用いることができる。
【0019】
とりわけ、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルは、耐疲労性の向上に特に効果的であり、好ましく用いられる。
【0020】
本発明で用いるエポキシ樹脂は、エポキシ当量が50〜500、好ましくは70〜400、さらに好ましくは100〜300であるのがよい。50未満であると、この処理液を炭素繊維に含浸してなるコードが剛くなりすぎる傾向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果として耐疲労性が低下する。500を超えるとコードとゴムの接着性が不十分になることがある。複数種のエポキシ樹脂を用いる場合は、その中の少なくとも1種類のエポキシ樹脂についてエポキシ当量が上記範囲を満たすことが好ましく、使用するエポキシ樹脂の全てが上記範囲であることがより好ましい。
【0021】
20重量%未満であると、ゴム基材との界面においてコードとの接着性が不足することがあり、80重量%未満を超えると、コードの柔軟性が低下し、耐疲労性が不足することがある。
【0022】
尚、本発明の処理液は必要に応じて、1分子中にエポキシ基を1個有するエポキシ化合物を含有しても構わない。1分子中にエポキシ基を1個有するエポキシ化合物としては、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0023】
本発明の処理液には、処理液の固形分100重量%に対して、20〜80重量%のゴム成分を含有することが好ましい。20重量%未満であると、屈曲変形等の応力変形を受けた際に、単繊維同士の擦過によるコードの破断が生じたり、ゴム界面においてコードとの剥離が生じたりすることがある。また、80重量%を超えるとコードの粘着性が過剰となり、取り扱い性が悪化することがある。
【0024】
該ゴム成分は、ゴムラテックスとして処理液中に加えることができる。ゴムラテックスを用いることで、処理液中への均一な分散が容易となり、炭素繊維束の内部への処理液の含浸が容易になり、処理液の固形分による単繊維擦過抑制の役割を果たしやすくなる。
【0025】
ゴムラテックスとは、一般に、高分子が水中に安定に分散しているものであり、炭素繊維束に含浸させた後、コード中に残存する水分を加熱乾燥等により除去しておくのが好ましい。コード中に水分が残存しているとコードの耐疲労性を損なうボイドの原因となる場合がある。加熱乾燥の温度としては、100〜270℃の範囲が好ましく、150〜240℃の範囲がより好ましい。
【0026】
ゴムラテックスとしては、ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスおよびビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスなどが使用できる。中でも、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスやビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスは、耐疲労性の向上に特に効果的であり、好ましく用いられる。これらは単独でも使用できるし、混合して使用することもできる。
【0027】
ゴムラテックスの種類は、補強すべきゴム基材との相性により適宜選択することができる。例えば、ゴム基材として、天然ゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%のうち、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が50重量%以上を占めることがが好ましい。また、ゴム基材として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が、50重量%以上を占めることが好ましい。
【0028】
本発明に用いるゴムラテックスの平均粒径は0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下が好ましい。0.3μmを超えると、炭素繊維束内部への浸透性が悪くなることがあり、単繊維同士の擦過が生じるため、コードの耐疲労性が悪くなることがある。また、ゴムラテックスの平均粒径は小さければ小さいほど好ましいが、0.05μmであれば、本発明の目的は達することができる。尚、本発明における平均粒径とは、標準ふるいを用いる方法、顕微鏡法、光路遮へい法、レーザー前方散乱法、光散乱法、電気的方法(懸濁液中の電気容量を測るコールタカウンター)、沈降速度法、X線小角散乱法、カスケードインパクター法などのいずれかで求めることができる。
【0029】
本発明はエポキシ樹脂やゴムラテックスなどの固形分を高濃度で含有していることを特徴とするが、その達成手段の一つとして挙げられるものに界面活性剤の添加がある。後述する界面活性剤を添加することにより、高い固形分濃度であっても処理液の安定性を保つことができる。
【0030】
本発明に用いることのできる界面活性剤は、特に限定されずアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等のイオン型界面活性剤や、非イオン界面活性剤等を挙げることができる。中でも処理液の安定性、コードとゴム基材との接着性の観点から非イオン界面活性剤が好ましい。イオン型界面活性剤を用いると、処理液の安定性が乏しくなったり、コードとゴム基材との接着性が乏しくなることがある。
【0031】
界面活性剤を加えることで処理液の安定性が改良される機構は明らかではないが、ゴムラテックスとエポキシ樹脂が反応することが処理液の安定性不良の要因であると推定すると、エポキシ樹脂を界面活性剤で乳化分散することで、ゴムラテックスとの反応が阻止されるため、結果として処理液の安定性が向上するものと考えられる。
【0032】
アニオン界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等が使用できる。
【0033】
カチオン界面活性剤としては、高級アルキルアミン塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が使用できる。
【0034】
両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が使用できる。
【0035】
非イオン界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキシド付加物、油脂のエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、グリセロール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド、ショ糖の脂肪酸エステル等が使用できる。中でも、高級アルコールエチレンオキシド付加物、油脂のエチレンオキシド付加物は処理液の安定性に特に効果的であり好ましく用いられる。
【0036】
非イオン界面活性剤を用いる場合、界面活性剤のHLB(Hidrophile−Lipophile Balance)は3〜15が好ましく、4〜14がさらに好ましい。HLBが3未満であると、界面活性剤が水に溶解しにくいことがあり、15を超えるとエポキシ樹脂の乳化効果が乏しくなり、結果として処理液の安定性が乏しくなることがある。
【0037】
なお、本発明の処理液の調製は、水、エポキシ樹脂、界面活性剤を混合することで、エポキシ樹脂の均一分散液とし、これをゴムラテックスに混合する方法をとることが好ましく、あるいはゴムラテックスに該均一分散液を混合することが好ましい。
【0038】
さらに、濃度を調整するため、これら混合液(水、エポキシ樹脂、界面活性剤、ゴムラテックス)に水を混合してもよい。ここで、水とはイオン交換水を用いることが処理液の安定性の向上から好ましい。
【0039】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、前記処理液を炭素繊維束に含浸してなるものである。詳しくは、炭素繊維束の内部に前記処理液を含浸させ、水分を除去し、繊維束内部および繊維束全体の表面に処理液の固形分を付着せしめてコード形状の材料としたものである。
【0040】
処理液の固形分を炭素繊維束の内部に十分に付着させないと、屈曲変形などの応力変形を受けた際に、単繊維同士の擦過によるコードの破断が生じることが多い。また、コード表面に処理液の固形分が付着していなければ、後述するゴム基材との界面において、コードの剥離が生じることがある。
【0041】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、炭素繊維束100重量部に対して処理液の固形分が30〜60重量部、好ましくは35〜55重量部、より好ましくは40〜50重量部となるように処理液を含浸させるのが良い。付着固形分が30重量部未満であると、未含浸部が生じ、単繊維同士の擦過によりコードの耐疲労性が低下することがある。逆に樹脂組成物含量が60重量部を越えるとコードが剛くなりすぎる傾向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果として耐疲労性が低下することがある。
【0042】
本発明のコードは炭素繊維同士の擦過を防ぐ効果を有する程度に固形分が繊維束内部に付着したものであるが、前記した本発明の処理液、すなわち高濃度でも安定な繊維用処理液を使用することではじめて達成されるものである。また、該繊維用処理液はゴム成分を含むため、炭素繊維束に摘要すると、固形分重量が多いにもかかわらず可撓性に富むコードとなり、かつ単繊維同士の擦過を防止できるため、これまでにない高い耐疲労性を発現するものと推定される。
【0043】
本発明では、コード/ゴム基材の接着性をさらに向上させるため、前記コード表面にさらにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(以下、RFL)を付着させることが好ましい。つまりは、コード表層にRFL層を有することが好ましい。ここで「コード表面に付着させる」或いは「コード表層にRFL層を有する」とは、コードの全断面積の10%に相当する外周部面積内に全RFLの90%以上が偏在している状態を表す。コード/ゴム基材界面にRFLを偏在することにより、さらにコード/ゴム基材界面の接着性を高めるものである。
【0044】
ゴム補強用コードの表面にRFLを偏在させる方法は特に限定されないが、炭素繊維束に対し、処理液を含浸せしめてコード形状の材料とした前記ゴム補強用コードの表面にさらにRFLを付与する方法をとることもできる。
【0045】
例えば、次のような方法により処理することができる。すなわち、炭素繊維束を本発明の処理液を満たした処理液槽を通過させた後、加熱乾燥し、次いで、RFLを満たした処理液槽を通過させた後、さらに加熱乾燥し、コード中の水分を除去する方法である。
【0046】
尚、ゴム補強用炭素繊維コードに含まれる全RFLの付着量は、炭素繊維束100重量部に対して、乾燥後に好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部、特に好ましくは3〜10重量部であるのがよい。1重量部未満であると、コード/ゴム基材界面の接着性が低下することがあり、20重量部を越えると、コードの柔軟性が低下することやコード作製プロセスにおいてロールへの付着(ガムアップ)が生じ、品質安定性が損なわれることがある。
【0047】
RFLの製造方法は特に限定されないが、レゾルシンとホルマリンを初期縮合させたものを使用して調製することができる。特にアルカリ触媒下で初期縮合して得たレゾルシン・ホルマリン初期縮合物を用いてRFLを好ましく調製することができる。例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含むアルカリ性水溶液内に、レゾルシンとホルマリンを添加混合して、室温で数時間静置し、レゾルシンとホルムアルデヒドを初期縮合させた後、ゴムラテックスを加えて混合エマルジョンとする方法により調製される。
【0048】
レゾルシン・ホルマリン初期縮合物は、レゾルシンとホルマリンのモル比が好ましくは1:0.3〜1:5、さらに好ましくは1:0.75〜1:2.0の範囲のものを用いることができる。この範囲をはずれると、コード/ゴム界面の接着性が不十分になることがある。
【0049】
RFL調製に用いるゴムラテックスとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス等の合成ゴムラテックスを挙げることができる。
【0050】
ゴムラテックスの種類は、用いるゴム基材との相性により適宜選択することができる。例えば、ゴム基材として、天然ゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が50重量%以上を占めることが好ましい。また、ゴム基材として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が、50重量%以上を占めることが好ましい。
【0051】
RFLにおけるレゾルシンホルマリン初期縮合物とゴムラテックスの配合比率は、固形分重量比で1:0.3〜1:5、好ましくは1:0.75〜1:2.0の範囲のものである。この範囲をはずれると、接着性が不充分になることがある。
【0052】
RFLにおけるレゾルシンホルマリン初期縮合物とゴムラテックスの配合比率は、固形分重量比で1:3〜1:8であることが好ましく、1:4〜1:6の範囲であることがさらに好ましい。この範囲を外れると接着性が不十分になることがある。
【0053】
本発明において、処理液による炭素繊維束の処理は、炭素繊維束を処理液に浸漬した後、熱処理することにより行うことができる。この熱処理は、炭素繊維束に含浸ないし付着させた処理液の固形分を定着させ、水分を除去するに足る温度にて行えば良く、通常、100〜270℃にて数分間処理すれば良い。
【0054】
また、前述のRFLは水等の溶媒を添加し、RFL液として用いることが、炭素繊維束上に均一に付与するという点において好ましい。ここで水としてはRFL液の安定性向上の点からイオン交換水を用いることが好ましい。
【0055】
なお、必要に応じてパラクロロフェノール及びレゾルシンをホルムアルデヒドと共縮合したクロロフェノール化合物や、ポリイソシアネート化合物とブロック化合物との付加物であるブロックドイソシアネート化合物等をRFL液に添加することができる。
【0056】
RFL液の濃度は10〜40重量%が好ましく、さらには15〜30重量%が好ましい。10重量%未満であると、RFLの付着量が不十分となり、接着力が不十分となることがある。RFL液の濃度が40重量%を越えると、RFL液の保存安定性が悪くなることがあり、固形分が凝集してくるため濃度低下等がおこり均一にRFLを付着させることが困難となる。ここで、RFL液の濃度とは、RFL液に含まれる乾燥後の固形物質の重量を乾燥前のRFL液の重量で除した値である。
【0057】
本発明に用いる炭素繊維束は、その製造方法が限定されるものではないが、紡糸工程により前駆体繊維を得て、その後、耐炎化(熱安定化、不融化)工程、炭化(炭素化)工程を経て炭素繊維束としたものを用いることができる。さらに熱処理を施した黒鉛繊維束も本発明でいうところの炭素繊維束に含むものである。尚、かかる炭素繊維束を得るに際しての各工程の処理温度、昇温速度、処理速度、延伸比、張力などの条件は目的とする炭素繊維束の特性によって適宜選択することができる。例えば前駆体繊維束を300℃未満の空気中で耐炎化処理し、かかる耐炎化繊維を300℃以上2000℃未満の不活性雰囲気中で炭化処理して炭素繊維束としたものを用いることができる。更に2000〜3000℃の不活性雰囲気中で熱処理して黒鉛繊維としたものを用いてもよい。
【0058】
本発明に用いる炭素繊維束の前駆体繊維束としては、ポリアクリロニトリル、レーヨン、リグニン、ポリビニルアルコール、ポリアセチレン、ピッチなどを原料とする各種前駆体繊維束が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。高強度という点では、ポリアクリロニトリルを原料とした前駆体が好ましく用いられる。前駆体繊維束はフィラメント数1000〜48000が好ましく、さらには6000〜24000が好ましい。
【0059】
前駆体繊維束を得るための紡糸方法としては、原料に応じて湿式紡糸、乾式紡糸、乾湿式紡糸、溶融紡糸などが挙げられる。操業性の点からは、湿式紡糸、乾湿式紡糸が好ましく用いられ、乾湿式紡糸がより好ましい。
【0060】
さらに、製品目的によっては得られた炭素繊維束を仕上げ処理することが好ましい。かかる仕上げ処理には表面処理やサイジング剤の付与などが含まれる。かかる表面処理法としては、気相中での加熱、紫外線等による酸化、液相中で酸化剤を用いた化学的酸化又は水溶液中で電気化学的手法により酸化する方法などが挙げられる。かかる処理によりゴム補強用コードの強化繊維として用いる場合の樹脂との親和性、例えば接着性、濡れ性、分散性等の表面特性を高められる。さらに、サイジング剤を付与することにより集束性を増し、繊維の取り扱いが容易となる。
【0061】
また本発明のゴム補強用コードは、撚りを掛けられていることが好ましい。その撚り数は100回/m以下、好ましくは10回/m〜80回/m、より好ましくは20回/m〜60回/mが良い。100回/mを超えると、キンクが発生しやすくなり、強力低下、操業性悪化につながることがある。なお、撚りの付与は、処理液含浸前、処理液含浸・熱処理後のいずれの工程でもよいが、処理液の炭素繊維束内部への含浸を促すため、開繊状態で処理液を含浸し、熱処理した後に撚りを付与することがより好ましい。
【0062】
また、撚り構造は、一本のコードに撚りを加えた片撚り構造でもよく、数本のコードにまず下撚りを加えた後、さらにそれら数本を合わせ、上撚りを加えるという所謂もろ撚り構造でもよい。
【0063】
以上のように処理したゴム補強用コードをゴムを含んでなる基材(以下、ゴム基材)と密着させ、そのゴム基材において知られている通常の処理条件にて加硫接着することによつて、炭素繊維とゴム基材との間に強固な接着を達成することが可能となる。
【0064】
本発明の繊維強化ゴム材料は、ゴム基材が、前記コードにより補強されてなるものである。
【0065】
ここでゴム基材100重量%中、ゴムは50〜100重量%含まれていることが好ましい。
【0066】
基材に含まれるゴムの具体例としては、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピクロロヒドリンンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム等を使用することができる。
【0067】
なお、基材には、主成分であるゴム以外に、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、クマロン樹脂、フェノール樹脂等の有機充填剤、ナフテン系オイル等の軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、加工助剤等を必要に応じて含ませてもよい。
【0068】
本発明の繊維強化ゴム材料は、例えば、次の方法により製造することができる。すなわち、一方向に引き揃えたコードを、両面からゴムを主成分として含むシート状の基材で挟み込んだ後、かかるコード/ゴム複合体をプレス機内で加熱・加圧し、ゴムを加硫させ、成形する方法である。
【0069】
本発明によるゴム材料は、タイヤ、ベルト、ホースのいずれにも好適に使用できる。タイヤの場合、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが特に好適である。また動力伝達ベルトの場合、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムの使用が特に好適である。
【0070】
こうした基材に用いるゴムの種類に応じて、同種のゴム成分を前述のゴム補強用コードに用いる処理液に含有させることが、繊維強化ゴム材料として良好な接着性、耐屈曲疲労性を得るために好ましい。
【0071】
【実施例】
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0072】
なお、実施例における処理液、ゴム補強用炭素繊維コードの作製に当たり、以下に示す原材料を用いた。
【0073】
<原材料>
(ゴムラテックス)
・ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス:ピラテックス(登録商標)FS(日本A&L(株)製)、固形分濃度40.5%、平均粒径0.09μm(後述の顕微鏡法にて測定)
・スチレン−ブタジエンゴムラテックス:ニッポール(登録商標)LX110(日本ゼオン(株)製)、固形分濃度40.5%、平均粒径0.05μm(顕微鏡法にて測定)
(エポキシ樹脂)
・ソルビトールポリグリシジルエーテル:デナコール(登録商標)EX−614B(ナガセ化成工業(株)製)、エポキシ当量173、固形分濃度100%
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:デナコール(登録商標)EM−150(ナガセ化成工業(株)製)、エポキシ当量450、固形分濃度50%
・ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル:デナコール(登録商標)EX−850(ナガセ化成工業(株)製)、エポキシ当量122、固形分濃度100%
(界面活性剤)
・ポリオキシエチレンひまし油エーテル:GS−2(三洋化成工業(株)製)非イオン界面活性剤、HLB=13.8、固形分濃度100%
(炭素繊維束)
・トレカ(登録商標)T700G−12K−31E(東レ(株)製):引張強度4900MPa、繊度8000dTex
また、本実施例において用いた各物性の評価方法は、以下に示すとおりである。
【0074】
<処理液の安定性評価(ライフ)>
処理液を調製後、25℃、湿度50%の部屋に放置し、処理液がゲル化し、流動性を失うまでの時間を測定した。
【0075】
<ラテックスの粒子径(顕微鏡法)>
ラテックス滴をコロージョン膜を付与した透過型電子顕微鏡用銅メッシュ上に載せ、これを四酸化オスミウムで染色後水分を蒸発乾固させ透過型電子顕微鏡で写真撮影した後、粒子径を測定した。
【0076】
<処理液の粘度測定>
処理液調整後、25℃雰囲気下でB型粘度計(東京計器製)を用いて測定した。
【0077】
<コード作製・評価>
(1)樹脂含浸(コード作製)
炭素繊維束を10m/分の速度で搬送し、処理液を満たした処理液槽(1浴目)を通過させた後、200℃の加熱炉内を通過させ、水分を除去した。
【0078】
次いで、RFL液を満たした処理液槽(2浴目)を通過させた。エアーワイパー圧9.8kPaの条件で液きりを行い、200℃の加熱炉内を通過させ、水分を除去し、ゴム補強用コードを得た。
【0079】
尚、乾燥後コードの1浴目処理液の固形分付着量、2浴目RFLの固形分付着量は、炭素繊維束100重量部に対して、それぞれ45重量部、5重量部を目安とした。
【0080】
ここで、本実施例では炭素繊維を処理液槽において浸漬する際に炭素繊維を搬送する装置として、コンピュートリーターシングルディッピングマシン(米リッツラー社製)を用いた。
【0081】
また、各実施例では、表1に示す組成の繊維用処理液を1浴目の処理液として用い、表2に示す組成のRFL液を2浴目の処理液として用いた。
(2)処理液固形分付着量
処理液固形分付着量の測定は、一定長さあたりの炭素繊維束の重量を予め測定しておき、処理液含浸、熱処理後の同一長さのコード重量を測定することで、差分としての処理液固形分付着量(部)を計算した。
(3)T−接着力
ゴム基材とコードの接着力はJIS L−1017(1983年)の接着力Tテスト(A法)に準じて測定した。ゴム補強用コードをシート状ゴム基材に埋め込み、加圧下で150℃、30分間プレス加硫を行いゴムブロックを得た。放冷後、コードをゴムブロックから30cm/minの速度で引き抜き、その引き抜き荷重をN/cmで表し、これをT−接着力とした。
【0082】
本実施例では、シート状ゴム基材として表3に示す組成の基材を用いた。
(4)ゴム補強用炭素繊維コードの耐屈曲疲労性
JIS L1017に記載のグッドイヤ法に準じ、チューブ試験片を用いてチューブが破壊に至るまでの時間(破壊寿命)を測定し、これを耐屈曲疲労性の指標とした。
【0083】
本実施例では、表3の組成のシート状のゴム基材をドラムに捲回し、その上から、各実施例のゴム補強用コードを55本/10cmの間隔で捲回し、さらに、その上から、同一のシート状のゴム基材を捲回した。
【0084】
こうして得たゴム基材/コード/ゴム基材の3層体をドラムから脱型してマンドレルに巻き付けチューブ状とした。さらに、プレス機内で、ゴムを温度160℃、圧力9.8MPa、時間30分の条件で加硫させ、チューブ試験片を作製した。こうしてゴムチューブの軸方向とコードの配向が一致した繊維強化ゴム材料(外径27mm、内径13mm、長さ24cm)を得た。
【0085】
前記繊維強化ゴム材料の中央部を90゜に折り曲げ、チューブ内に圧力0.3MPaの空気を送り込み、温度25℃の雰囲気中でチューブの両端を同一方向に850回/分の速さで回転させ、チューブが破壊に至るまでの時間を測定した。
【0086】
(実施例1〜6、比較例1〜3)
前述の方法に従い、処理液、ゴム補強用コードおよび繊維強化ゴム材料を得た。尚、各実施例で用いたRFL液の組成は表1に、シート状ゴム基材の組成は表2に示した。
【0087】
各実施例の処理液の安定性、ゴム補強用コードとゴム基材間の接着力、耐屈曲疲労性の指標であるチューブ破壊寿命の評価結果については、表3に纏めて示した。
【0088】
表3に示す評価結果から判るように、本発明による処理液で処理したコードは多量に樹脂が付着していることが分かる。さらに高濃度でも高い安定性を示すことがわかる。さらに、本発明によるゴム補強用コードは、屈曲変形の繰り返しに対して、極めて優れた耐疲労性を発現していることが判る。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、タイヤ・ベルトに代表されるゴム製品との接着性、及びゴム中での耐疲労性に優れるゴム補強用炭素繊維コードを提供することができる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、繊維束に多量に樹脂を付着させることを可能とする固形分濃度の極めて高い炭素繊維用処理液に関するものである。更に、タイヤ・ベルトに代表されるゴム製品に適したゴム補強用コードであり、より詳しくは、ゴム基材との接着性、及びゴム製品中での耐疲労性に優れるゴム補強用炭素繊維コードに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
タイヤ、ベルトなどの繊維・ゴム複合体製品の補強材としては、ポリε−カプロラクタム繊維やポリヘキサメチレンアジパミド繊維に代表されるポリアミド繊維、ポリエチレンテレフタレート繊維に代表されるポリエステル繊維、および芳香族ポリアミド繊維などの合成繊維が主として用いられている。
【0003】
そのような中、高弾性率、高強度、寸法安定性、耐熱性、耐薬品性等の性能のバランスが他の繊維に比較し優れた特性を有する炭素繊維をゴム補強用素材に用いることが試みられている。しかしながら炭素繊維は他繊維に比較し、接着性、耐疲労性に劣るという問題があった。この対策として、非水溶性エポキシ化合物を用い、RFLを繊維に対して10〜20%付着させる処理方法(例えば特許文献1参照)、炭素繊維糸状束にエポキシ/ゴムラテックスの1浴液(濃度30%)を含浸した後熱処理し、次いでレゾルシン・ホルムアルデヒド縮合物・ゴムラテックスの2浴液を付着し後熱処理する方法(例えば特許文献2参照)、破断伸度が一定値以上の炭素繊維束にゴムラテックスを含む樹脂組成物を含浸させる方法(例えば特許文献3)等が開示されている。しかし、いずれの方法でも接着性は満足するものが得られるが、耐疲労性は実用レベルには達していなかった。
【0004】
【特許文献1】
特公昭53−30757号公報
【0005】
【特許文献2】
特開昭60−181369号公報
【0006】
【特許文献3】
特開2001−234445号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の課題は、炭素繊維とゴム配合物との接着性に優れる上に、屈曲変形に対する耐疲労性にも優れたゴム補強用炭素繊維コードを提供せんとするものであり、更にはそのような耐疲労性に優れたゴム補強用炭素繊維コードを提供するための炭素繊維用処理液を提供せんとするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を有する。即ち、エポキシ樹脂とゴムラテックスからなる炭素繊維用処理液であって、固形分濃度が35〜65重量%であることを特徴とする炭素繊維用処理液である。また、炭素繊維用処理液を炭素繊維束に含浸してなるゴム補強用炭素繊維コードである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明は、前記課題、つまり炭素繊維とゴム配合物との接着性に優れる上に、屈曲変形に対する耐疲労性(以下、単に耐疲労性という)にも優れたゴム補強用炭素繊維コード(以下、単にコードという)を得るため鋭意検討し、エポキシ樹脂とゴムラテックスからなり、固形分濃度が一定値内にある処理液を摘要することによって意外にも、かかる課題を一挙に解決することを見出したものである。
【0010】
本発明における炭素繊維用処理液(以下、単に処理液という)は、エポキシ樹脂、ゴムラテックスが水に均一分散して構成されるが、その固形分濃度は、35〜65重量%であることが必要であり、好ましくは40〜63重量%、より好ましくは45〜60重量%が良い。35重量%未満であると、十分な固形分を繊維束に付着させることが困難になることがある。固形分濃度が35重量%未満の処理液を適用すると、固形分が少ないため、束内部に未含浸部が生じ、単繊維同士の擦過が生じるため、結果としてコードの耐疲労性が不十分になることがある。65重量%を超えると、処理液の安定性が悪くなり、固形分が凝集してくることがあるため、処理液含浸処理(ディッピング処理)が困難になることがある。
【0011】
また、固形分濃度が35重量%未満の処理液で炭素繊維束(無撚り)を処理して得られるコードはその断面形状が楕円状になりやすく、耐疲労性が不十分になることがある。35重量%を越えるとコードが真円状になりやすい。ここで「真円状」とは、コード断面の外接円の半径Rと内接円の半径rとの比(=R/r)で定義される断面の変形度が1〜1.4の範囲内であることをいう。
【0012】
本発明者らは、耐疲労性に優れるゴム補強用コードを得るための条件を鋭意検討した結果、コードとゴムの接着性に優れること、コードに柔軟性があること、処理液の固形分が十分に繊維束内部に存在すること等が必要であると考えるに至った。本発明は、それらの条件を満たすコードを作製するための処理液について鋭意検討した結果に見出された処理液、およびその処理液を炭素繊維束に含浸してなるゴム補強用炭素繊維コードに関するものである。つまり、コードとゴムの接着性、コードの柔軟性を発現させるために、処理液中にエポキシ樹脂とゴムラテックスが必須成分である。さらに処理液の固形分を充分に繊維束内部に存在させるためには、処理液の固形分濃度が35〜65重量%必要なのである。
【0013】
本発明の処理液は、25℃における粘度が30mPa・s〜150mPa・sであるのが良い。好ましくは40mPa・s〜120mPa・sであり、より好ましくは50mPa・s〜150mPa・sである。30mPa・s未満であると、ディッピング処理した処理液が乾燥工程に入る前に繊維から脱落しやすく、十分な固形分を付着させることが困難になることがある。150mPs・sを越えると繊維束内部まで処理液を浸透させることが困難になることがあり、結果としてコードの耐疲労性が不十分になることがある。
【0014】
また、本発明の繊維用処理液は経時的に固形分が凝集するのを防ぎ、安定性を向上させる観点から、エポキシ樹脂100重量部に対し、界面活性剤を0.1〜20重量部含有するのが良い。好ましくは1〜15重量部、より好ましくは2〜10重量部である。0.1重量部未満であると、処理液の安定性向上効果が不十分になることがあり、20重量部を超えるとコードと被着ゴムの接着性が不十分になることがある。
【0015】
本発明の処理液に含まれるエポキシ樹脂とゴムラテックスの乾燥重量比は30/70〜70/30、好ましくは40/60〜60/40であるのがよい。30/70未満であるとコードとゴムの接着性が不十分になることがあり、70/30以上であると、コードが剛くなりすぎる傾向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果として耐疲労性が低下することがある。なお、エポキシ樹脂とゴムラテックスの乾燥重量比は、エポキシ樹脂の重量、及びゴムラテックスの固形分重量(ゴムラテックス由来のゴム成分)の計算値から処理液を調合することで、調整できる。
【0016】
本発明の処理液に用いることができるエポキシ樹脂としては、1分子中に2個以上のエポキシ基を有するものであればいかなる化合物を用いても良い。分子内にエポキシ基を2個以上有する化合物は特に限定されないが、例えば、分子内に水酸基を有する化合物から得られるグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、分子内にアミノ基を有する化合物から得られるグリシジルアミン型エポキシ樹脂、分子内にカルボキシル基を有する化合物から得られるグリシジルエステル型エポキシ樹脂、分子内に不飽和結合を有する化合物から得られる環式脂肪族エポキシ樹脂、トリグリシジルイソシアネートなどの複素環式エポキシ樹脂、あるいはこれらから選ばれる2種類以上のタイプが分子内に混在するエポキシ樹脂などを用いることができる。
【0017】
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の具体例としては、ビスフェノールAとエピクロロヒドリンのようなハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールFと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビフェニルと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビフェニル型エポキシ樹脂、レゾルシノールと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるレゾルシノール型エポキシ樹脂、ビスフェノールSと前記ハロゲン含有エポキシド類との反応により得られるビスフェノールS型エポキシ樹脂、多価アルコール類と前記ハロゲン含有エポキシド類との反応生成物であるポリエチレングリコール型エポキシ樹脂、ポリプロピレングリコール型エポキシ樹脂、ビス−(3,4−エポキシ−6−メチル−ジシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシシクロヘキセンエポキシドなどの不飽和結合部分を酸化して得られるエポキシ樹脂、その他ナフタレン型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、およびこれらのハロゲンあるいはアルキル置換体などが挙げられる。
【0018】
中でも、コードの柔軟性の観点から、環状構造を有しない脂肪族系エポキシ樹脂が好ましく、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパンポリグリシジルエーテル、ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテルなど多価アルコール類とエピクロロヒドリンとの反応物が好ましく用いることができる。
【0019】
とりわけ、グリセロールポリグリシジルエーテル、ソルビトールポリグリシジルエーテルは、耐疲労性の向上に特に効果的であり、好ましく用いられる。
【0020】
本発明で用いるエポキシ樹脂は、エポキシ当量が50〜500、好ましくは70〜400、さらに好ましくは100〜300であるのがよい。50未満であると、この処理液を炭素繊維に含浸してなるコードが剛くなりすぎる傾向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果として耐疲労性が低下する。500を超えるとコードとゴムの接着性が不十分になることがある。複数種のエポキシ樹脂を用いる場合は、その中の少なくとも1種類のエポキシ樹脂についてエポキシ当量が上記範囲を満たすことが好ましく、使用するエポキシ樹脂の全てが上記範囲であることがより好ましい。
【0021】
20重量%未満であると、ゴム基材との界面においてコードとの接着性が不足することがあり、80重量%未満を超えると、コードの柔軟性が低下し、耐疲労性が不足することがある。
【0022】
尚、本発明の処理液は必要に応じて、1分子中にエポキシ基を1個有するエポキシ化合物を含有しても構わない。1分子中にエポキシ基を1個有するエポキシ化合物としては、アリルグリシジルエーテル、2−エチルヘキシルグリシジルエーテル、フェニルグリシジルエーテル、ラウリルアルコールグリシジルエーテルなどが挙げられる。
【0023】
本発明の処理液には、処理液の固形分100重量%に対して、20〜80重量%のゴム成分を含有することが好ましい。20重量%未満であると、屈曲変形等の応力変形を受けた際に、単繊維同士の擦過によるコードの破断が生じたり、ゴム界面においてコードとの剥離が生じたりすることがある。また、80重量%を超えるとコードの粘着性が過剰となり、取り扱い性が悪化することがある。
【0024】
該ゴム成分は、ゴムラテックスとして処理液中に加えることができる。ゴムラテックスを用いることで、処理液中への均一な分散が容易となり、炭素繊維束の内部への処理液の含浸が容易になり、処理液の固形分による単繊維擦過抑制の役割を果たしやすくなる。
【0025】
ゴムラテックスとは、一般に、高分子が水中に安定に分散しているものであり、炭素繊維束に含浸させた後、コード中に残存する水分を加熱乾燥等により除去しておくのが好ましい。コード中に水分が残存しているとコードの耐疲労性を損なうボイドの原因となる場合がある。加熱乾燥の温度としては、100〜270℃の範囲が好ましく、150〜240℃の範囲がより好ましい。
【0026】
ゴムラテックスとしては、ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、天然ゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックスおよびビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスなどが使用できる。中でも、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスやビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスは、耐疲労性の向上に特に効果的であり、好ましく用いられる。これらは単独でも使用できるし、混合して使用することもできる。
【0027】
ゴムラテックスの種類は、補強すべきゴム基材との相性により適宜選択することができる。例えば、ゴム基材として、天然ゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%のうち、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が50重量%以上を占めることがが好ましい。また、ゴム基材として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が、50重量%以上を占めることが好ましい。
【0028】
本発明に用いるゴムラテックスの平均粒径は0.3μm以下、好ましくは0.2μm以下、さらに好ましくは0.1μm以下が好ましい。0.3μmを超えると、炭素繊維束内部への浸透性が悪くなることがあり、単繊維同士の擦過が生じるため、コードの耐疲労性が悪くなることがある。また、ゴムラテックスの平均粒径は小さければ小さいほど好ましいが、0.05μmであれば、本発明の目的は達することができる。尚、本発明における平均粒径とは、標準ふるいを用いる方法、顕微鏡法、光路遮へい法、レーザー前方散乱法、光散乱法、電気的方法(懸濁液中の電気容量を測るコールタカウンター)、沈降速度法、X線小角散乱法、カスケードインパクター法などのいずれかで求めることができる。
【0029】
本発明はエポキシ樹脂やゴムラテックスなどの固形分を高濃度で含有していることを特徴とするが、その達成手段の一つとして挙げられるものに界面活性剤の添加がある。後述する界面活性剤を添加することにより、高い固形分濃度であっても処理液の安定性を保つことができる。
【0030】
本発明に用いることのできる界面活性剤は、特に限定されずアニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤等のイオン型界面活性剤や、非イオン界面活性剤等を挙げることができる。中でも処理液の安定性、コードとゴム基材との接着性の観点から非イオン界面活性剤が好ましい。イオン型界面活性剤を用いると、処理液の安定性が乏しくなったり、コードとゴム基材との接着性が乏しくなることがある。
【0031】
界面活性剤を加えることで処理液の安定性が改良される機構は明らかではないが、ゴムラテックスとエポキシ樹脂が反応することが処理液の安定性不良の要因であると推定すると、エポキシ樹脂を界面活性剤で乳化分散することで、ゴムラテックスとの反応が阻止されるため、結果として処理液の安定性が向上するものと考えられる。
【0032】
アニオン界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩、高級アルキルエーテル硫酸エステル塩、硫酸化脂肪酸エステル、硫酸化オレフィン、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレン酸塩、パラフィンスルホン酸塩、高級アルコールリン酸エステル塩等が使用できる。
【0033】
カチオン界面活性剤としては、高級アルキルアミン塩、高級アルキルアミンエチレンオキサイド付加物、アルキルトリメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩等が使用できる。
【0034】
両性界面活性剤としては、ヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン液、ラウリン酸アミドプロピルベタイン液、ラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン等が使用できる。
【0035】
非イオン界面活性剤としては、高級アルコールエチレンオキシド付加物、アルキルフェノールエチレンオキシド付加物、多価アルコール脂肪酸エステルエチレンオキシド付加物、高級アルキルアミンエチレンオキシド付加物、脂肪酸アミドエチレンオキシド付加物、油脂のエチレンオキシド付加物、ポリプロピレングリコールエチレンオキシド付加物、グリセロール脂肪酸エステル、ペンタエリスリトール脂肪酸エステル、ソルビトール脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、多価アルコールのアルキルエーテル、アルカノールアミン類の脂肪酸アミド、ショ糖の脂肪酸エステル等が使用できる。中でも、高級アルコールエチレンオキシド付加物、油脂のエチレンオキシド付加物は処理液の安定性に特に効果的であり好ましく用いられる。
【0036】
非イオン界面活性剤を用いる場合、界面活性剤のHLB(Hidrophile−Lipophile Balance)は3〜15が好ましく、4〜14がさらに好ましい。HLBが3未満であると、界面活性剤が水に溶解しにくいことがあり、15を超えるとエポキシ樹脂の乳化効果が乏しくなり、結果として処理液の安定性が乏しくなることがある。
【0037】
なお、本発明の処理液の調製は、水、エポキシ樹脂、界面活性剤を混合することで、エポキシ樹脂の均一分散液とし、これをゴムラテックスに混合する方法をとることが好ましく、あるいはゴムラテックスに該均一分散液を混合することが好ましい。
【0038】
さらに、濃度を調整するため、これら混合液(水、エポキシ樹脂、界面活性剤、ゴムラテックス)に水を混合してもよい。ここで、水とはイオン交換水を用いることが処理液の安定性の向上から好ましい。
【0039】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、前記処理液を炭素繊維束に含浸してなるものである。詳しくは、炭素繊維束の内部に前記処理液を含浸させ、水分を除去し、繊維束内部および繊維束全体の表面に処理液の固形分を付着せしめてコード形状の材料としたものである。
【0040】
処理液の固形分を炭素繊維束の内部に十分に付着させないと、屈曲変形などの応力変形を受けた際に、単繊維同士の擦過によるコードの破断が生じることが多い。また、コード表面に処理液の固形分が付着していなければ、後述するゴム基材との界面において、コードの剥離が生じることがある。
【0041】
本発明のゴム補強用炭素繊維コードは、炭素繊維束100重量部に対して処理液の固形分が30〜60重量部、好ましくは35〜55重量部、より好ましくは40〜50重量部となるように処理液を含浸させるのが良い。付着固形分が30重量部未満であると、未含浸部が生じ、単繊維同士の擦過によりコードの耐疲労性が低下することがある。逆に樹脂組成物含量が60重量部を越えるとコードが剛くなりすぎる傾向があり、屈曲変形による座屈が生じやすく、結果として耐疲労性が低下することがある。
【0042】
本発明のコードは炭素繊維同士の擦過を防ぐ効果を有する程度に固形分が繊維束内部に付着したものであるが、前記した本発明の処理液、すなわち高濃度でも安定な繊維用処理液を使用することではじめて達成されるものである。また、該繊維用処理液はゴム成分を含むため、炭素繊維束に摘要すると、固形分重量が多いにもかかわらず可撓性に富むコードとなり、かつ単繊維同士の擦過を防止できるため、これまでにない高い耐疲労性を発現するものと推定される。
【0043】
本発明では、コード/ゴム基材の接着性をさらに向上させるため、前記コード表面にさらにレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス(以下、RFL)を付着させることが好ましい。つまりは、コード表層にRFL層を有することが好ましい。ここで「コード表面に付着させる」或いは「コード表層にRFL層を有する」とは、コードの全断面積の10%に相当する外周部面積内に全RFLの90%以上が偏在している状態を表す。コード/ゴム基材界面にRFLを偏在することにより、さらにコード/ゴム基材界面の接着性を高めるものである。
【0044】
ゴム補強用コードの表面にRFLを偏在させる方法は特に限定されないが、炭素繊維束に対し、処理液を含浸せしめてコード形状の材料とした前記ゴム補強用コードの表面にさらにRFLを付与する方法をとることもできる。
【0045】
例えば、次のような方法により処理することができる。すなわち、炭素繊維束を本発明の処理液を満たした処理液槽を通過させた後、加熱乾燥し、次いで、RFLを満たした処理液槽を通過させた後、さらに加熱乾燥し、コード中の水分を除去する方法である。
【0046】
尚、ゴム補強用炭素繊維コードに含まれる全RFLの付着量は、炭素繊維束100重量部に対して、乾燥後に好ましくは1〜20重量部、より好ましくは2〜15重量部、特に好ましくは3〜10重量部であるのがよい。1重量部未満であると、コード/ゴム基材界面の接着性が低下することがあり、20重量部を越えると、コードの柔軟性が低下することやコード作製プロセスにおいてロールへの付着(ガムアップ)が生じ、品質安定性が損なわれることがある。
【0047】
RFLの製造方法は特に限定されないが、レゾルシンとホルマリンを初期縮合させたものを使用して調製することができる。特にアルカリ触媒下で初期縮合して得たレゾルシン・ホルマリン初期縮合物を用いてRFLを好ましく調製することができる。例えば、水酸化ナトリウムなどのアルカリ性化合物を含むアルカリ性水溶液内に、レゾルシンとホルマリンを添加混合して、室温で数時間静置し、レゾルシンとホルムアルデヒドを初期縮合させた後、ゴムラテックスを加えて混合エマルジョンとする方法により調製される。
【0048】
レゾルシン・ホルマリン初期縮合物は、レゾルシンとホルマリンのモル比が好ましくは1:0.3〜1:5、さらに好ましくは1:0.75〜1:2.0の範囲のものを用いることができる。この範囲をはずれると、コード/ゴム界面の接着性が不十分になることがある。
【0049】
RFL調製に用いるゴムラテックスとしては、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックス、イソプレンゴムラテックス、ウレタンゴムラテックス、クロロプレンゴムラテックス、スチレン−ブタジエンゴムラテックス、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス、水素化ニトリルゴムラテックス等の合成ゴムラテックスを挙げることができる。
【0050】
ゴムラテックスの種類は、用いるゴム基材との相性により適宜選択することができる。例えば、ゴム基材として、天然ゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が50重量%以上を占めることが好ましい。また、ゴム基材として、アクリロニトリル−ブタジエンゴムを用いる場合には、処理液中の全ゴム成分100重量%中、アクリロニトリル−ブタジエンゴムラテックスに由来するゴム成分が、50重量%以上を占めることが好ましい。
【0051】
RFLにおけるレゾルシンホルマリン初期縮合物とゴムラテックスの配合比率は、固形分重量比で1:0.3〜1:5、好ましくは1:0.75〜1:2.0の範囲のものである。この範囲をはずれると、接着性が不充分になることがある。
【0052】
RFLにおけるレゾルシンホルマリン初期縮合物とゴムラテックスの配合比率は、固形分重量比で1:3〜1:8であることが好ましく、1:4〜1:6の範囲であることがさらに好ましい。この範囲を外れると接着性が不十分になることがある。
【0053】
本発明において、処理液による炭素繊維束の処理は、炭素繊維束を処理液に浸漬した後、熱処理することにより行うことができる。この熱処理は、炭素繊維束に含浸ないし付着させた処理液の固形分を定着させ、水分を除去するに足る温度にて行えば良く、通常、100〜270℃にて数分間処理すれば良い。
【0054】
また、前述のRFLは水等の溶媒を添加し、RFL液として用いることが、炭素繊維束上に均一に付与するという点において好ましい。ここで水としてはRFL液の安定性向上の点からイオン交換水を用いることが好ましい。
【0055】
なお、必要に応じてパラクロロフェノール及びレゾルシンをホルムアルデヒドと共縮合したクロロフェノール化合物や、ポリイソシアネート化合物とブロック化合物との付加物であるブロックドイソシアネート化合物等をRFL液に添加することができる。
【0056】
RFL液の濃度は10〜40重量%が好ましく、さらには15〜30重量%が好ましい。10重量%未満であると、RFLの付着量が不十分となり、接着力が不十分となることがある。RFL液の濃度が40重量%を越えると、RFL液の保存安定性が悪くなることがあり、固形分が凝集してくるため濃度低下等がおこり均一にRFLを付着させることが困難となる。ここで、RFL液の濃度とは、RFL液に含まれる乾燥後の固形物質の重量を乾燥前のRFL液の重量で除した値である。
【0057】
本発明に用いる炭素繊維束は、その製造方法が限定されるものではないが、紡糸工程により前駆体繊維を得て、その後、耐炎化(熱安定化、不融化)工程、炭化(炭素化)工程を経て炭素繊維束としたものを用いることができる。さらに熱処理を施した黒鉛繊維束も本発明でいうところの炭素繊維束に含むものである。尚、かかる炭素繊維束を得るに際しての各工程の処理温度、昇温速度、処理速度、延伸比、張力などの条件は目的とする炭素繊維束の特性によって適宜選択することができる。例えば前駆体繊維束を300℃未満の空気中で耐炎化処理し、かかる耐炎化繊維を300℃以上2000℃未満の不活性雰囲気中で炭化処理して炭素繊維束としたものを用いることができる。更に2000〜3000℃の不活性雰囲気中で熱処理して黒鉛繊維としたものを用いてもよい。
【0058】
本発明に用いる炭素繊維束の前駆体繊維束としては、ポリアクリロニトリル、レーヨン、リグニン、ポリビニルアルコール、ポリアセチレン、ピッチなどを原料とする各種前駆体繊維束が挙げられるが、特にこれらに限定するものではない。高強度という点では、ポリアクリロニトリルを原料とした前駆体が好ましく用いられる。前駆体繊維束はフィラメント数1000〜48000が好ましく、さらには6000〜24000が好ましい。
【0059】
前駆体繊維束を得るための紡糸方法としては、原料に応じて湿式紡糸、乾式紡糸、乾湿式紡糸、溶融紡糸などが挙げられる。操業性の点からは、湿式紡糸、乾湿式紡糸が好ましく用いられ、乾湿式紡糸がより好ましい。
【0060】
さらに、製品目的によっては得られた炭素繊維束を仕上げ処理することが好ましい。かかる仕上げ処理には表面処理やサイジング剤の付与などが含まれる。かかる表面処理法としては、気相中での加熱、紫外線等による酸化、液相中で酸化剤を用いた化学的酸化又は水溶液中で電気化学的手法により酸化する方法などが挙げられる。かかる処理によりゴム補強用コードの強化繊維として用いる場合の樹脂との親和性、例えば接着性、濡れ性、分散性等の表面特性を高められる。さらに、サイジング剤を付与することにより集束性を増し、繊維の取り扱いが容易となる。
【0061】
また本発明のゴム補強用コードは、撚りを掛けられていることが好ましい。その撚り数は100回/m以下、好ましくは10回/m〜80回/m、より好ましくは20回/m〜60回/mが良い。100回/mを超えると、キンクが発生しやすくなり、強力低下、操業性悪化につながることがある。なお、撚りの付与は、処理液含浸前、処理液含浸・熱処理後のいずれの工程でもよいが、処理液の炭素繊維束内部への含浸を促すため、開繊状態で処理液を含浸し、熱処理した後に撚りを付与することがより好ましい。
【0062】
また、撚り構造は、一本のコードに撚りを加えた片撚り構造でもよく、数本のコードにまず下撚りを加えた後、さらにそれら数本を合わせ、上撚りを加えるという所謂もろ撚り構造でもよい。
【0063】
以上のように処理したゴム補強用コードをゴムを含んでなる基材(以下、ゴム基材)と密着させ、そのゴム基材において知られている通常の処理条件にて加硫接着することによつて、炭素繊維とゴム基材との間に強固な接着を達成することが可能となる。
【0064】
本発明の繊維強化ゴム材料は、ゴム基材が、前記コードにより補強されてなるものである。
【0065】
ここでゴム基材100重量%中、ゴムは50〜100重量%含まれていることが好ましい。
【0066】
基材に含まれるゴムの具体例としては、アクリルゴム、アクリロニトリル−ブタジエンゴム、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ウレタンゴム、エチレン−プロピレンゴム、エピクロロヒドリンンゴム、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、クロロプレンゴム、シリコーンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、多硫化ゴム、天然ゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、フッ素ゴム等を使用することができる。
【0067】
なお、基材には、主成分であるゴム以外に、カーボンブラック、シリカ等の無機充填剤、クマロン樹脂、フェノール樹脂等の有機充填剤、ナフテン系オイル等の軟化剤、老化防止剤、加硫助剤、加工助剤等を必要に応じて含ませてもよい。
【0068】
本発明の繊維強化ゴム材料は、例えば、次の方法により製造することができる。すなわち、一方向に引き揃えたコードを、両面からゴムを主成分として含むシート状の基材で挟み込んだ後、かかるコード/ゴム複合体をプレス機内で加熱・加圧し、ゴムを加硫させ、成形する方法である。
【0069】
本発明によるゴム材料は、タイヤ、ベルト、ホースのいずれにも好適に使用できる。タイヤの場合、天然ゴム、スチレン−ブタジエンゴムが特に好適である。また動力伝達ベルトの場合、水素化アクリロニトリル−ブタジエンゴムの使用が特に好適である。
【0070】
こうした基材に用いるゴムの種類に応じて、同種のゴム成分を前述のゴム補強用コードに用いる処理液に含有させることが、繊維強化ゴム材料として良好な接着性、耐屈曲疲労性を得るために好ましい。
【0071】
【実施例】
以下、実施例により本発明についてさらに具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により何ら限定されるものではない。
【0072】
なお、実施例における処理液、ゴム補強用炭素繊維コードの作製に当たり、以下に示す原材料を用いた。
【0073】
<原材料>
(ゴムラテックス)
・ビニルピリジン−スチレン−ブタジエンゴムラテックス:ピラテックス(登録商標)FS(日本A&L(株)製)、固形分濃度40.5%、平均粒径0.09μm(後述の顕微鏡法にて測定)
・スチレン−ブタジエンゴムラテックス:ニッポール(登録商標)LX110(日本ゼオン(株)製)、固形分濃度40.5%、平均粒径0.05μm(顕微鏡法にて測定)
(エポキシ樹脂)
・ソルビトールポリグリシジルエーテル:デナコール(登録商標)EX−614B(ナガセ化成工業(株)製)、エポキシ当量173、固形分濃度100%
・クレゾールノボラック型エポキシ樹脂:デナコール(登録商標)EM−150(ナガセ化成工業(株)製)、エポキシ当量450、固形分濃度50%
・ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル:デナコール(登録商標)EX−850(ナガセ化成工業(株)製)、エポキシ当量122、固形分濃度100%
(界面活性剤)
・ポリオキシエチレンひまし油エーテル:GS−2(三洋化成工業(株)製)非イオン界面活性剤、HLB=13.8、固形分濃度100%
(炭素繊維束)
・トレカ(登録商標)T700G−12K−31E(東レ(株)製):引張強度4900MPa、繊度8000dTex
また、本実施例において用いた各物性の評価方法は、以下に示すとおりである。
【0074】
<処理液の安定性評価(ライフ)>
処理液を調製後、25℃、湿度50%の部屋に放置し、処理液がゲル化し、流動性を失うまでの時間を測定した。
【0075】
<ラテックスの粒子径(顕微鏡法)>
ラテックス滴をコロージョン膜を付与した透過型電子顕微鏡用銅メッシュ上に載せ、これを四酸化オスミウムで染色後水分を蒸発乾固させ透過型電子顕微鏡で写真撮影した後、粒子径を測定した。
【0076】
<処理液の粘度測定>
処理液調整後、25℃雰囲気下でB型粘度計(東京計器製)を用いて測定した。
【0077】
<コード作製・評価>
(1)樹脂含浸(コード作製)
炭素繊維束を10m/分の速度で搬送し、処理液を満たした処理液槽(1浴目)を通過させた後、200℃の加熱炉内を通過させ、水分を除去した。
【0078】
次いで、RFL液を満たした処理液槽(2浴目)を通過させた。エアーワイパー圧9.8kPaの条件で液きりを行い、200℃の加熱炉内を通過させ、水分を除去し、ゴム補強用コードを得た。
【0079】
尚、乾燥後コードの1浴目処理液の固形分付着量、2浴目RFLの固形分付着量は、炭素繊維束100重量部に対して、それぞれ45重量部、5重量部を目安とした。
【0080】
ここで、本実施例では炭素繊維を処理液槽において浸漬する際に炭素繊維を搬送する装置として、コンピュートリーターシングルディッピングマシン(米リッツラー社製)を用いた。
【0081】
また、各実施例では、表1に示す組成の繊維用処理液を1浴目の処理液として用い、表2に示す組成のRFL液を2浴目の処理液として用いた。
(2)処理液固形分付着量
処理液固形分付着量の測定は、一定長さあたりの炭素繊維束の重量を予め測定しておき、処理液含浸、熱処理後の同一長さのコード重量を測定することで、差分としての処理液固形分付着量(部)を計算した。
(3)T−接着力
ゴム基材とコードの接着力はJIS L−1017(1983年)の接着力Tテスト(A法)に準じて測定した。ゴム補強用コードをシート状ゴム基材に埋め込み、加圧下で150℃、30分間プレス加硫を行いゴムブロックを得た。放冷後、コードをゴムブロックから30cm/minの速度で引き抜き、その引き抜き荷重をN/cmで表し、これをT−接着力とした。
【0082】
本実施例では、シート状ゴム基材として表3に示す組成の基材を用いた。
(4)ゴム補強用炭素繊維コードの耐屈曲疲労性
JIS L1017に記載のグッドイヤ法に準じ、チューブ試験片を用いてチューブが破壊に至るまでの時間(破壊寿命)を測定し、これを耐屈曲疲労性の指標とした。
【0083】
本実施例では、表3の組成のシート状のゴム基材をドラムに捲回し、その上から、各実施例のゴム補強用コードを55本/10cmの間隔で捲回し、さらに、その上から、同一のシート状のゴム基材を捲回した。
【0084】
こうして得たゴム基材/コード/ゴム基材の3層体をドラムから脱型してマンドレルに巻き付けチューブ状とした。さらに、プレス機内で、ゴムを温度160℃、圧力9.8MPa、時間30分の条件で加硫させ、チューブ試験片を作製した。こうしてゴムチューブの軸方向とコードの配向が一致した繊維強化ゴム材料(外径27mm、内径13mm、長さ24cm)を得た。
【0085】
前記繊維強化ゴム材料の中央部を90゜に折り曲げ、チューブ内に圧力0.3MPaの空気を送り込み、温度25℃の雰囲気中でチューブの両端を同一方向に850回/分の速さで回転させ、チューブが破壊に至るまでの時間を測定した。
【0086】
(実施例1〜6、比較例1〜3)
前述の方法に従い、処理液、ゴム補強用コードおよび繊維強化ゴム材料を得た。尚、各実施例で用いたRFL液の組成は表1に、シート状ゴム基材の組成は表2に示した。
【0087】
各実施例の処理液の安定性、ゴム補強用コードとゴム基材間の接着力、耐屈曲疲労性の指標であるチューブ破壊寿命の評価結果については、表3に纏めて示した。
【0088】
表3に示す評価結果から判るように、本発明による処理液で処理したコードは多量に樹脂が付着していることが分かる。さらに高濃度でも高い安定性を示すことがわかる。さらに、本発明によるゴム補強用コードは、屈曲変形の繰り返しに対して、極めて優れた耐疲労性を発現していることが判る。
【0089】
【表1】
【0090】
【表2】
【0091】
【表3】
【0092】
【表4】
【0093】
【発明の効果】
本発明によれば、タイヤ・ベルトに代表されるゴム製品との接着性、及びゴム中での耐疲労性に優れるゴム補強用炭素繊維コードを提供することができる。
Claims (10)
- エポキシ樹脂とゴムラテックスを含む炭素繊維用処理液であって、固形分濃度が35〜65重量%であることを特徴とする炭素繊維用処理液。
- 25℃での粘度が30mPa・s〜150mPa・sであることを特徴とする請求項1記載の炭素繊維用処理液。
- 前記炭素繊維用処理液において、エポキシ樹脂100重量部に対し、界面活性剤を0.1〜20重量部含有することを特徴とする請求項1または2に記載の炭素繊維用処理液。
- エポキシ樹脂とゴムラテックスの乾燥重量比が30/70〜70/30であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の炭素繊維用処理液。
- エポキシ樹脂の少なくとも1種が脂肪族系エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の炭素繊維用処理液。
- ゴムラテックスの平均粒径が0.3μm以下であることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の炭素繊維用処理液。
- 界面活性剤が、非イオン界面活性剤であることを特徴とする請求項3〜6のいずれかに記載の炭素繊維用処理液。
- 請求項1〜7のいずれかに記載の炭素繊維用処理液を炭素繊維束に含浸してなるゴム補強用炭素繊維コード。
- 炭素繊維用処理液を、固形分重量で炭素繊維束100重量部に対して30〜60重量部含浸してなることを特徴とする請求項8に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
- コード表層部にレゾルシン・ホルマリン・ゴムラテックス層を有することを特徴とする請求項9または10に記載のゴム補強用炭素繊維コード。
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CN116947017B (zh) * | 2023-07-31 | 2024-03-12 | 武汉中科先进材料科技有限公司 | 一种碳硅复合气凝胶的制备方法及碳硅复合气凝胶 |
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