JP2004331978A - ニトリルゴムを含有するゴムコンパウンド - Google Patents

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Abstract

【課題】 改良された耐透過性、より少ないミル収縮、および向上したスコーチ安全性を示す、ニトリルゴムコンパウンドおよび加硫性ゴムコンパウンドを提供する。
【解決手段】 少なくとも1つの水素化カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを含んで成るゴムコンパウンド、並びに上記ゴムコンパウンドおよび少なくとも1つの加硫剤を含んで成る加硫性ゴムコンパウンド。
【選択図】なし

Description

本発明は、少なくとも1つの水素化カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを含んで成るゴムコンパウンド;該ゴムコンパウンドおよび少なくとも1つの加硫剤を含んで成る硬化性ゴムコンパウンド;および該ゴムコンパウンドを含んで成る造形品に関する。
本発明は、少なくとも1つの水素化カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを含んで成るゴムコンパウンド;該ゴムコンパウンドおよび少なくとも1つの加硫剤を含んで成る硬化性ゴムコンパウンド;該ゴムコンパウンドを含んで成る造形品;ならびに、少なくとも1つの水素化カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを混合すること含んで成る該ゴムコンパウンドの製造法に関する。
ニトリルゴム(NBR;少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つの不飽和ニトリルおよび任意に他の成分から誘導される繰返し単位から成るコポリマー)の選択的水素化によって製造される水素化ニトリルゴム(HNBR);および、カルボキシル化ニトリルゴム(XNBR;少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つの不飽和ニトリル、カルボキシル基を有する少なくとも1つの共役ジエン(例えば、α,β−不飽和カルボン酸)、および任意に他の成分から誘導される繰返し単位から成る、好ましくはランダムターポリマー)の選択的水素化によって製造される水素化カルボキシル化ニトリルゴム(HXNBR);は、極めて優れた耐熱性、優れた耐オゾンおよび薬品性、ならびに優れた耐油性を有する特殊ゴムである。ゴムの高水準の機械的特性(特に、高い耐磨耗性)を考え合わせれば、HXNBRおよびHNBRが、特に、自動車産業(シール、ホース、ベアリングパッド)、石油産業(固定子、坑口シール、バルブプレート)、電気産業(ケーブル外装)、機械工学産業(ホイール、ローラー)、および造船産業(パイプシール、カップリング)において、広い用途を有することは驚くにあたらない。
商業的に入手可能なHNBRは、ムーニー粘度55〜105、分子量200,000〜500,000g/mol、多分散度3.0より大、残存二重結合(RDB)分0.1〜18%(IR分光分析法による)を有する。
HXNBRおよびその製造法は、例えばWO-01/77185-A1(これに開示の内容は参照として本明細書に組み入れられる)から既知である。
HNBRおよびHXNBRを含んで成るコンパウンドは、大部分の自動車用途に充分に適しているが、燃料および空気に対する耐透過性(透過抵抗)、ならびにミル収縮およびスコーチ安全性は、改良の余地が残っている。
ナノクレーは、改質して有機モノマーおよびポリマーに適合性のクレー複合体を形成することができるナノメートル厚の小板を有する加工されたナノメートル−スケールクレーである。一般に、ナノクレーは、加工した天然スメクタイトクレー、例えばナトリウムまたはカルシウムモンモリロナイトであり、それらは、入手可能性、容易抽出性および比較的低いコストにより、ナノクレーの製造における第一の選択肢である。しかし、天然クレーの不均一性は問題になる場合がある。これは、ヒドロタルサイトおよびラポナイトのような合成クレーを使用することによって解決できる。「ギャラリー・スペーシング」を与え、選択した樹脂との適合性を促進するために、それらを有機的に処理してもよく、しなくてもよい。大部分の処置は、オニウムイオン置換反応および/または双極子モーメンント改質を含む。
ナノクレーは、膨張クレーである。膨張クレーの構造および化学構造は、各小板が互いに分離して、ある膨潤剤(一般に水)と相互作用することを意味する。
Cloisite(登録商標)ナノクレーは、Southern Clay Products, Inc.(テキサス, USA)によって製造されている。それらは、モンモリロナイトクレーに基づく高アスペクト比の添加剤である。
1つの局面において、本発明は、少なくとも1つの、水素化、好ましくはランダム、カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを含んで成るゴムコンパウンドに関する。
ナノクレーは、スメクタイトクレー、特にモンモリロナイトクレーに基づくのが好ましく、Cloisite(登録商標)ナノクレーがさらに好ましい。
他の局面において、本発明は、少なくとも1つの、水素化、好ましくはランダム、カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴム、少なくとも1つのナノクレー、少なくとも1つの加硫剤、および任意にさらに充填剤を含んで成る加硫性ゴムコンパウンドに関する。
さらに他の局面において、本発明は、少なくとも1つの、水素化、好ましくはランダム、カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴム、少なくとも1つのナノクレーおよび任意にさらに充填剤を含んで成る該ゴムコンパウンドを含んで成る造形品に関する。
さらに他の局面において、本発明は、少なくとも1つの、水素化、好ましくはランダム、カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを含んで成る該ゴムコンパウンドの製造法であって、少なくとも1つの、水素化、好ましくはランダム、カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを混合すること含んで成る製造法に関する。
本明細書に使用される「ニトリル」またはNBRという用語は、広い意味を有するものとし、少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリル、および任意にさらに1つまたはそれ以上の共重合性モノマーから誘導される繰返し単位を有するコポリマーを包含するものとする。
本明細書に使用される「カルボキシル化ニトリルゴム」またはXNBRという用語は、広い意味を有するものとし、少なくとも1つの共役ジエン、少なくとも1つのα,β−不飽和ニトリル、少なくとも1つのα,β−不飽和カルボン酸またはα,β−不飽和カルボン酸誘導体、および任意にさらに1つまたはそれ以上の共重合性モノマーから誘導される繰返し単位を有するコポリマーを包含するものとする。
本明細書に使用される「水素化」またはHNBR/HXNBRという用語は、広い意味を有するものとし、出発NBRまたはXNBRに存在する残存C−C二重結合(RDB:residual C-C double bond)の少なくとも10%が水素化されている、好ましくはRDBの50%より大が水素化されている、より好ましくはRDBの90%より大が水素化されている、さらに好ましくはRDBの95%より大が水素化されている、最も好ましくはRDBの99%より大が水素化されている、NBRまたはXNBRを包含するものとする。
共役ジエンは、あらゆる既知の共役ジエン、特にC4〜C6共役ジエンであってよい。好ましい共役ジエンは、ブタジエン、イソプレン、ピペリレン、2,3−ジメチルブタジエンおよびそれらの混合物である。より好ましいC4〜C6共役ジエンは、ブタジエン、イソプレンおよびそれらの混合物である。最も好ましいC4〜C6共役ジエンはブタジエンである。
α,β−不飽和ニトリルは、あらゆる既知のα,β−不飽和ニトリル、特にC3〜C5−α,β−不飽和ニトリルであってよい。好ましいC3〜C5−α,β−不飽和ニトリルは、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、エタクリロニトリルおよびそれらの混合物である。最も好ましいC3〜C5−α,β−不飽和ニトリルは、アクリロニトリルである。
好ましくは、HNBRは、1つまたはそれ以上の共役ジエンから誘導される繰返し単位40〜85wt%、および1つまたはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される繰返し単位15〜60wt%を含んで成る。より好ましくは、HNBRは、1つまたはそれ以上の共役ジエンから誘導される繰返し単位60〜75wt%、および1つまたはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される繰返し単位25〜40wt%を含んで成る。最も好ましくは、HNBRは、1つまたはそれ以上の共役ジエンから誘導される繰返し単位60〜70wt%、および1つまたはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される繰返し単位30〜40wt%を含んで成る。
α,β−不飽和カルボン酸は、ジエンおよびニトリルと共重合可能なあらゆる既知のα,β−不飽和酸、特に、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸であってよく、それらの中でアクリル酸およびメタクリル酸が好ましい。
α,β−不飽和カルボン酸誘導体は、ジエンおよびニトリルと共重合可能なあらゆる既知のα,β−不飽和酸誘導体、特に、エステル、アミドおよび無水物、好ましくは、アクリル酸、メタクリル酸、エタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、フマル酸またはイタコン酸のエステルおよび無水物であってよい。
好ましくは、HXNBRは、1つまたはそれ以上の共役ジエンから誘導される繰返し単位39.1〜80wt%、1つまたはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される繰返し単位5〜60wt%、および1つまたはそれ以上の不飽和カルボン酸または酸誘導体から誘導される繰返し単位0.1〜15wt%を含んで成る。より好ましくは、HXNBRは、1つまたはそれ以上の共役ジエンから誘導される繰返し単位60〜70wt%、1つまたはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される繰返し単位20〜39.5wt%、および1つまたはそれ以上の不飽和カルボン酸または酸誘導体から誘導される繰返し単位0.5〜10wt%を含んで成る。最も好ましくは、HXNBRは、1つまたはそれ以上の共役ジエンから誘導される繰返し単位56〜69.5wt%、1つまたはそれ以上の不飽和ニトリルから誘導される繰返し単位30〜37wt%、および1つまたはそれ以上の不飽和カルボン酸または酸誘導体から誘導される繰返し単位0.5〜7wt%を含んで成る。好ましくは、該HXNBRは、特に、カルボン酸官能基がポリマー鎖にランダムに分布したランダムコポリマーである。
HNBRおよび/またはHXNBRは、1つまたはそれ以上の共重合性モノマーから誘導される繰返し単位を任意にさらに含んでいてよい。1つまたはそれ以上の共重合性モノマーから誘導される繰返し単位は、ニトリルゴムのニトリルまたはジエン部分に置き換わり、前記の数値は100wt%になるように調節すべきことは当業者に明らかである。
ゴムのムーニー粘度は、ASTM試験D1646を使用して測定した。
本発明のゴムコンパウンドの組成は広い範囲で変化してよく、実際に、HXNBR/HNBR比を変化させることによって、得られるコンパウンドの特性を調整することができる。
本発明は、特定のナノクレーに限定されない。即ち、当業者に既知のどのようなナノクレーも好適である。しかし、天然、粉末の、有機改質剤で任意に改質したスメクタイトクレー、例えば、ナトリウムまたはカルシウムモンモリロナイト、または合成クレー、例えばヒドロタルサイトおよびラポナイトが好ましい。有機改質剤で改質した粉末モンモリロナイトクレー、例えば、(CH32N(HT)2[HTは水素化獣脂(約65%C18;約30%C16;約5%C14)]または(CH32N(CH2−C6H5)(HT)[HTは水素化獣脂(約65%C18;約30%C16;約5%C14)]のハロゲン塩で改質したモンモリロナイトクレーがさらに好ましい。これらの好ましいクレーは、Cloisite(登録商標)クレー10A、20A、6A、15A、30B、25Aとして入手できる。
本発明のコンパウンドは、0.1〜30phr(ゴム100部当たり)のナノクレー、好ましくは1〜15phr、より好ましくは2〜8phrのナノクレーを含んで成る。
本発明のコンパウンドに含有されるHXNBRおよびHNBRは、限定されない。しかし、それらは30より大のムーニー粘度(ML1+4 100℃)を有するのが好ましい。異なるムーニー粘度を有する2つまたはそれ以上のニトリルゴムポリマーをブレンドすることによって、2モードまたは多モードの分子量分布を有するブレンドを一般に生じる。本発明によれば、最終ブレンドは、少なくとも2モードの分子量分布を有するのが好ましい。
加硫性ゴムコンパウンドを提供するために、少なくとも1つの加硫剤または硬化系を添加すべきである。本発明は特定の硬化系に限定されないが、過酸化物硬化系が好ましい。さらに、本発明は、特定の過酸化物硬化系に限定されない。例えば、無機または有機パーオキシドが好適である。好ましいのは、有機過酸化物、例えば、ジアルキルパーオキシド、ケタールパーオキシド、アラルキルパーオキシド、パーオキシドエーテル、パーオキシドエステル、例えば、ジ−tert−ブチルパーオキシド、ビス−(tert−ブチルペルオキシイソプロピル)−ベンゼン、ジクミルパーオキシド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキサン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(tert−ブチルペルオキシ)−ヘキセン−(3)、1,1−ビス−(tert−ブチルペルオキシ)−3,3,5−トリメチル−シクロヘキサン、ベンゾイルパーオキシド、tert−ブチルクミルパーオキシドおよびtert−ブチルペルベンゾエートである。一般に、加硫性ゴムコンパウンドにおけるパーオキシドの量は1〜10phr、好ましくは4〜8phrである。後の硬化は一般に100〜200℃、好ましくは130〜180℃で行われる。パーオキシドは、ポリマー結合形態で適用するのが好都合な場合がある。好適な系は、Rhein Chemie Rheinau GmbH, DからのPolydispersion T(VC)D-40 P(=ポリマー結合ジ−tert−ブチルペルオキシ−イソプロピルベンゼン)のように商業的に入手可能である。
加硫性ゴムコンパウンドは、充填剤をさらに含んでいてよい。充填剤は、活性または不活性充填剤、またはそれらの混合物であってよい。充填剤は、特に下記の充填剤であってよい:
− 高分散シリカ:例えば、シリケート溶液の沈殿またはハロゲン化珪素の火炎加水分解によって製造;比表面積5〜1000m2/g;一次粒子径10〜400nm;該シリカは、Al、Mg、Ca、Ba、Zn、ZrおよびTiのような他の金属酸化物との混合酸化物としても存在しうる;
− 合成珪酸塩:例えば、珪酸アルミニウム、および珪酸マグネシウムまたは珪酸カルシウムのようなアルカリ土類金属珪酸塩;BET比表面積20〜400m2/g;一次粒径10〜400nm;
− 天然珪酸塩、例えば、カオリンおよび他の天然シリカ;
− ガラス繊維およびガラス繊維製品(マット類、押出品)またはガラス微小球;
− 金属酸化物、例えば、酸化亜鉛、酸化カルシウム、酸化マグネシウムおよび酸化アルミニウム;
− 金属炭酸塩、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウムおよび炭酸亜鉛;
− 金属水酸化物、例えば、水酸化アルミニウムおよび水酸化マグネシウム;
− カーボンブラック:ここで使用されるカーボンブラックは、ランプブラック、ファーネスブラックまたはガスブラック法によって製造され、好ましくは20〜200m2/gのBET(DIN 66 131)比表面積を有する;例えば、SAF、ISAF、HAF、FEFまたはGPFカーボンブラック;
− ゴムゲル;特に、ポリブタジエン、ブタジエン/スチレンコポリマー、ブタジエン/アクリロニトリルコポリマー、およびポリクロロプレンに基づくゴムゲル;
または、それらの混合物。
好ましい無機充填剤の例は、シリカ、珪酸塩、クレー、例えば、ベントナイト、石膏、アルミナ、二酸化チタン、タルク、これらの混合物等である。これらの無機充填剤は、それらの表面にヒドロキシル基を有し、それらを親水性および疎油性にしている。これは、充填剤粒子とゴムとの優れた相互作用を得ることを困難にする。多くの目的のために、好ましい無機物質は、シリカ、特に珪酸ナトリウムの二酸化炭素沈降によって製造されるシリカである。本発明に使用される乾燥非晶質シリカ粒子は、1〜100ミクロン、好ましくは10〜50ミクロン、最も好ましくは10〜25ミクロンの平均凝集塊粒径を有する。凝集塊粒子の10vol%未満が、5ミクロン未満、または50ミクロンより大の大きさであるのが好ましい。好適な非晶質乾燥シリカは、DIN(Deutsche Industrie Norm)66131によって測定されるBET表面積50〜450m2/g、およびDIN 53601によって測定されるDBP吸収150〜400g/100gシリカ、およびDIN ISO 787/11によって測定される乾燥減量0〜10wt%も一般に有する。好適なシリカ充填剤は、HiSil(登録商標)210、HiSil(登録商標)233およびHiSil(登録商標)243の商品名でPPG Industries Inc.から入手できる。Bayer AGからのVulkasil(登録商標)SおよびVulkasil(登録商標)Nも好適である。
多くの場合、カーボンブラックを充填剤として使用することは好都合である。一般に、カーボンブラックは、ポリマーブレンド中に、20〜200重量部、好ましくは30〜150重量部、より好ましくは40〜100重量部の量で存在する。さらに、本発明の加硫性ゴムコンパウンドにおいて、カーボンブラックと無機充填剤との組合せを使用することも好都合である。この組合せにおいて、無機充填剤/カーボンブラックの比率は、一般に0.05〜20、好ましくは0.1〜10である。
加硫性ゴムコンパウンドは、さらに、他の天然または合成ゴム、例えば、BR(ポリブタジエン)、ABR(ブタジエン/アクリル酸−C1〜C4アルキルエステルコポリマー)、EVM(エチレンビニルアセテートコポリマー)、AEM(エチレンアクリレートコポリマー)、CR(ポリクロロプレン)、IR(ポリイソプレン)、スチレン分1〜60wt%のSBR(スチレン/ブタジエンコポリマー)、EPDM(エチレン/プロピレン/ジエンコポリマー)、FKM(フルオロポリマーまたはフルオロゴム)およびそれらのポリマーの混合物も含んでいてよい。該ゴムとの注意深いブレンドは、加工性を犠牲にせずにポリマーブレンドのコストを減少させる場合が多い。天然および/または合成ゴムの量は、造形品の製造の間に適用される工程条件に依存し、少しの予備試験によって容易に得られる。
本発明の加硫性ゴムコンパウンドは、ゴム用の補助物質、例えば、反応促進剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、酸化防止剤、起泡剤、老化防止剤、熱安定剤、光安定剤、オゾン安定剤、加工助剤、可塑剤、粘着性付与剤、発泡剤、染料、顔料、ワックス、増量剤、有機酸、抑制剤、金属酸化物、および活性剤、例えば、トリエタノールアミン、ポリエチレングリコール、ヘキサントリオール等をさらに含有することができ、それらはゴム工業において既知である。ゴム助剤は、目的とする使用にとりわけ依存する一般的な量で使用される。一般的な量は、例えば0.1〜50phrである。好ましくは、該溶液ブレンドを含んで成る加硫性コンパウンドは、0.1〜20phrの1つまたはそれ以上の有機脂肪酸、好ましくは1つ、2つまたはそれ以上の炭素二重結合を分子中に有する不飽和脂肪酸を、補助物質としてさらに含有し、より好ましくは、少なくとも1つの共役炭素−炭素二重結合を分子中に有する共役ジエン酸10wt%またはそれ以上を含有する。好ましくは、それらの脂肪酸は、8〜22個、好ましくは12〜18個の炭素原子を有する。そのような脂肪酸の例は、ステアリン酸、パルミチン酸およびオレイン酸ならびにそれらのカルシウム、亜鉛、マグネシウム、カリウムおよびアンモニウム塩である。
該ゴムコンパウンドを含んで成る最終加硫性ゴムコンパウンドの成分は、好ましくは25〜200℃の高温で混合される場合が多い。一般に、混合時間は、1時間を超えず、2〜30分の混合時間が一般に使用される。混合は、密閉式ミキサー、例えば、バンバリーミキサー、またはHaakeまたはブラベンダー小型密閉式ミキサーで行うのが好ましい。二本ロールミルミキサーも、エラストマーにおける添加剤の優れた分散を与える。押出機も優れた混合を与え、より短い混合時間を可能にする。混合を2つまたはそれ以上の段階で行うことができ、異なる装置で混合を行うことができ、例えば、1つの段階を密閉式ミキサーで行い、1つの段階を押出機で行うことができる。しかし、好ましくない予備架橋(=スコーチ)が混合段階の間に生じないよう注意すべきである。配合および加硫については、下記も参照される:Encyclopedia of Polymer Science and Engineering、第4巻、p.66以下(配合)および第17巻、p.666以下(加硫)。
改良された耐透過性、より少ないミル収縮、および向上したスコーチ安全性により、加硫性ゴムコンパウンドは、造形品、例えば、シール、ホース、ベアリングパッド、固定子、坑口シール、バルブプレート、ケーブル外装、ホイールローラー、パイプシール、インプレースガスケットまたは履物材料の製造に極めて適している。さらに、本発明の加硫性ゴムコンパウンドは、燃料に対する向上した耐透過性を付与された低排気自動車の条件を満たすことに使用される自動車部品に極めて適している。
[実施例]
試験の説明
硬化流動度測定:
振動数1.7Hz、1°アークを使用して180℃において合計ラン時間30分で、Moving Die Rheometer(MDR 2000(E))によって加硫を行った。試験手順はASTM D-5289に従う。
コンパウンドムーニー粘度およびスコーチ:
大きいローターをこれらの試験に使用し、ASTM方法D-1646に従った。試料を1分間予熱することによって、コンパウンドムーニー粘度を100℃で測定し、次に、2r.p.m.で回転する粘度計円板によって生じた剪断作用の4分後に、トルク(ムーニー粘度単位)を測定した。最も低いトルク値から5ムーニー単位(t05)に増加する時間として測定されるムーニースコーチの測定を、125℃で行った。
応力−歪:
マクロシートを180℃で12分間硬化することによって試料を準備し、次に、適切な試料を、標準ASTMダイCダンベルに打ち抜いた。23℃で試験を行った。
熱空気老化/応力−歪:
加硫ダンベルダイC試料を、熱風炉で150℃において168時間にわたって老化させ、次に、23℃で試験した。この試験は、ASTM D-573に従う。
硬度:
全ての硬度測定を、A−2型硬度測定計で行った。
ミル収縮:
この試験は、ASTM D-917、方法Bに従う。ゴム試料70gについて、50℃(ロ−ル温度)で試験を行う。
ガーヴィー(Garvey)ダイでのHaake押出:3/4”スクニュー直径および10”スクリュー長さ:
バレル温度を100℃に設定し、ガーヴィーダイは105℃に設定した。一軸スクリューは45r.p.m.で回転した。ASTM D-2230によって試験を行った。
成分および一般混合手順の説明
Cloisite(登録商標)20A、6A:モンモリロナイト、有機的改質−Southern Claysの製品;
Cloisite(登録商標)NA+:モンモリロナイト、非有機的改質−Southern Claysの製品;
Therban(登録商標)A 3406:Bayer Inc.から販売のHNBR;
Therban(登録商標)XT VP KA 8889:Bayer Inc.から市販の水素化カルボキシル化ニトリル(HXNBR)ゴム;
Aktiplast(登録商標)PP:−Rhein Chemie Corp, USAから販売の高分子量脂肪酸の亜鉛塩;
Maglite(登録商標)D:The C.P. Hall Co., Inc.からの酸化マグネシウム;
Naugard(登録商標)445:Uniroyal Chemicalsによるp-ジクミルジフェニルアミン;
Plasthall(登録商標)TOTM:The C.P. Hall Co., Inc.によるトリオクチルトリメリテート;
Carbon Black, N 762:Cabot Corp.によるカーボンブラック;
Vulkanox ZMB-2/C5:Bayer AGによる亜鉛−4−および−5−メチル−2−メルカプト−ベンズイミダゾール(ZMMBI);
Ricon(登録商標)153-D:Sartomer Co.による1-2 ポリブタジエン(珪酸カルシウム上65%);
Kadox(登録商標)920:St. Lawrence Chem. Inc.による酸化亜鉛;
Vulcup(登録商標)40 KE:Geo Specialty Chemicals Inc.によるビス2−(t−ブチル−ペルオキシ)ジイソプロピルベンゼン(Burgess Clay上40%)。
ゴムおよびナノクレーを、30℃に設定したMokonを使用して回転速度55RPMで2分間にわたって、1.57Lのバンバリー密閉式接線ミキサーで混合した。次に、カーボンブラック、Aktiplast PP、Maglite D、Naugard 445、Plasthall TOTM、Vulkanox ZMB-2/C5およびKadox 920を、コンパウンドに添加し、コンパウンドをさらに3分間混合した。試料を冷却するために、Ricon 153-DおよびVulcup 40KEを、30℃に設定したMokonで10”×20”ミルに添加した。いくつかの4分の3カットを行って、硬化剤をマスターバッチに均質化し、次に、コンパウンドの、6回の縦方向(end-wise)パスを行った。
8つのバッチを、表1によって製造した。実施例1a、1b、1c、1eおよび1gは比較例である。
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表2は、実施例1a〜1hの8つの実施例の、コンパウンド硬化、物理的特性および老化特性を示す。HNBR(実施例1a)へのHXNBR 25phrの添加は、熱空気老化の間に、圧縮永久歪値の増加を生じる。これは、隣接HXNBRポリマー鎖を結合させるイオン基によって生じる不安定架橋の減少によると考えられる。しかし、圧縮永久歪の増加は、最終製品の特性に有害でない。ナノクレー5phrの添加(1c、1eおよび1g)は、圧縮永久歪にほとんど影響しない。1aと比較した、ナノクレー実施例1d、1fおよび1hにおける増加した圧縮永久歪の主な効果は、ブレンドのHXNBR成分から生じている。
生強度は、コンパウンドにおけるHXNBRの添加によって増加しうることがわかる(実施例1b)。1aと比較した実施例1c、1eおよび1gからわかるように、ナノクレーの添加だけでも、コンパウンドの生強度を増加させる効果を有する。クレー表面とポリマー鎖との有利な相互作用は、全ポリマーマトリックに追加の強化を与える。製品寸法の維持は、ゴム配合業者に有利な基準である。HXNBRおよびナノクレーの増加した生強度の利点は、実施例1d、1fおよび1hにおいて容易に理解できる。
HNBRへのHXNBRの添加は、物理的特性において充分に認識される変化、即ち増加した硬度および弾性率を生じる(実施例1aと比較した実施例1b)。5phrナノクレーの添加は、コンパウンド1c、1eおよび1gにおいて、更なる強化を生じることがわかる。コンパウンド1d、1fおよび1hは、HXNBRおよびナノクレーの添加の、硬度、弾性率および伸び率における効果に関する累積特性を示す。ダイC引裂強度値は、8つの全てのコンパウンドにおいて類似しているが、ダイB引裂強度は、HXNBRの添加にかかわらず、Cloisite 6Aおよび20A(実施例1e〜1h)を含有するコンパウンドにおいて減少すると考えられる。
全ての意図および目的に関して、熱空気老化およびその後の応力歪試験は、8つの化合物において、少しの違いを示すにすぎない。IRM 903油における応力歪試験についても同じことが言え、該試験において、8つの全ての実施例が同じ老化特性を示す。しかし、ナノクレーだけの添加(実施例1c、1eおよび1g参照)は、油中での老化の際に、極限引張強さおよび伸びの維持を補助すると考えられる。HNBR/HXNBR/ナノクレーの組合せ(実施例1d、1fおよび1h)は、重量および体積変化をそれぞれある程度改善する。HNBRへのHXNBRの添加(1bと1aの比較)は、より優れた引張および伸びの維持、ならびにより少ない重量および体積膨張を与えることによって耐燃料性を向上させる。HNBR/HXNBRおよびナノクレーの組合せは、燃料浸漬試験において付加的利益を生じない。
8つの全ての実施例の低温特性は、Gehman低温剛性試験によれば同じである。DINおよびテーバー磨耗試験は、8つの全てのコンパウンドの優れた耐磨耗性を示す。耐磨耗性の減少は、Cloisite 6Aおよび20Aグレードを使用した場合に観察される(実施例1e〜1h)。HNBRへのHXNBRの添加は、Pico耐磨耗性のかなりの増加を生じ、これはよく知られている現象である。この効果は、Cloisite型にかかわりなく、HNBR/HXNBRコンパウンドへのナノクレーの添加によって損なわれない(実施例1d、1fおよび1h)。実際に、HNBR/HXNBR/ナノクレー組合せは、実施例1fおよび1hの場合に、Pico耐磨耗性を増加させる。
HNBRにHXNBRを添加した際に、コンパウンドムーニー粘度のかなりの増加が観察される。これは、エラストマーの100℃における原料ポリマームーニーが、それぞれ63および77MUであることによる。HXNBRの非加硫状態で生じた付加的不安定架橋も、ブレンドにおけるムーニー増加に寄与する。HNBRへのナノクレーの添加は、顕著な量の付加的強化を生じ、Cloisite 20Aが最も大きい効果を有し(1g)、次にCloisite 6A(1f)、最後にCloisite Na+(1c)がそれに続く。実施例1d、1fおよび1hは、ナノクレーならびにHXNBRおよびHNBRのコンパウンドムーニー粘度において、累積効果を示す。
コンパウンドムーニーに見られるHXNBR、ナノクレーおよびHXNBR/ナノクレーの効果は、MPTによって収集した射出成形psiデータにおいても認められる。しかし、それに加えて、HXNBRは、ダイスウェルの量を名目上約4%で減少させることがわかる。ナノクレーの添加は、対照コンパウンド1aと比較して、ダイスウェルの減少に少ない効果を有する(実施例1c、1eおよび1g)。HNBR/HXNBR/ナノクレー(実施例1d、1f、1h)は、HNBR/HXNBRだけの場合(1b)と比較して、付加的利益を与えない。HXNBRおよびナノクレーによる減少したダイスウェルは、非加硫コンパウンドにおいて見られる増加した強化と相関させることができる。MPTデータによって示される射出成形における同じ効果が、Haake押出量および対応するダイスウェルデータにおいても働くことがわかる。
コンパウンドのMDR硬化特性に関して、HXNBRの添加は、最小トルク値をかなり増加させる。これは、先に見られた増加したコンパウンドムーニー粘度に相関する。硬化時間および硬化速度によって示される硬化挙動は、使用した濃度におけるHXNBRまたはナノクレーによって影響を受けない。
図1は、実施例1d、1fおよび1hによって例示されるように、HNBR/HXNBR/ナノクレーのブレンドによって付与される増加した空気に対する透過抵抗を示す。HNBRへのHXNBRの添加は、透過特性を変化させない(1aと1bの比較)。HNBRへのナノクレーだけの添加(実施例1c、1eおよび1g)は、付加的な透過抵抗を生じない。しかし、3つの全ての成分の組合せは、実質的な増加を生じる。この増加を生じることにおいて最も有効なナノクレーは、実施例dのCloisite Na+である。実施例1hにおけるCloisite 20Aも、対照と比較して極めて高い透過抵抗の増加を示す。
図2は、特にCloisite Na+ナノクレーの場合の、HNBR/HXNBR/ナノクレーのブレンドの、二酸化炭素に対する増加した透過抵抗を示す(1dと1cの比較)。
図3は、8つのコンパウンドの燃料Cに対するカップ耐透過性を示し、この場合も、HNBR/HXNBR/ナノクレーのブレンド組合せ(実施例1d、1fおよび1h)が耐透過性において優れている。燃料Cの特定の場合に、Cloisites 20AおよびNa+は、耐透過性の増加に最も有効である。
HNBR/HXNBR/ナノクレーのブレンドによって生じる耐透過性の増加は、図4において燃料の種類を変えた際にも見られる。燃料CE10におけるエタノールの添加によって、ポリマーマトリックスはより透過性になるが、HNBR/HXNBR/ナノクレーのブレンドを使用することによって、特にCloisite 6Aを含んで成る場合に(実施例1g)、耐透過性を増加させることができる。
カルボキシル化ニトリルにおいて、およびHXNBRにおいて、スコーチ性が問題になりうることはよく知られている。HNBR/HXNBR/ナノクレーのブレンドは、対照1aまたはHNBR/ナノクレーだけのブレンド(1eおよび1g)と比較して、スコーチの問題を示さないことが、図5において理解できる。
図6に示されるように、コンパウンドのミル収縮も、HNBR/HXNBR/ナノクレーの組合せを使用することによって増加する。Cloisite 6Aおよび20Aを使用した実施例1fおよび1hにおいて、ミル収縮の実質的な改善が見られる。
図1は、実施例において例示されている種々の化合物の、65.5℃および50psigにおける空気透過性を示す。 図2は、実施例において例示されている種々の化合物の、65.5℃および50psigにおける二酸化炭素透過性を示す。 図3は、23℃で1週間の老化後の、累積損失重量(g)によって測定した燃料Cに対する耐透過性を示す。 図4は、23℃で1週間の老化後の、累積損失重量(g)によって測定した燃料CE10(90%燃料C + 10%エタノール)に対する耐透過性を示す。 図5は、8つのコンパウンドの、コンパウンドムーニースコーチ特性を示す。 図6は、50℃で冷却しながら混練した材料70gについての、コンパウンド収縮の量を示す。

Claims (8)

  1. 少なくとも1つの水素化カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを含んで成るゴムコンパウンド。
  2. 水素化カルボキシル化ニトリルゴムがランダムコポリマーである請求項1に記載のゴムコンパウンド。
  3. ナノクレーがスメクタイトクレーである請求項1または2に記載のゴムコンパウンド。
  4. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のゴムコンパウンド、および少なくとも1つの加硫剤含んで成る加硫性ゴムコンパウンド。
  5. 少なくとも1つの充填剤をさらに含んで成る請求項4に記載の加硫性ゴムコンパウンド。
  6. 請求項4または5に記載の加硫性ゴムコンパウンドの製造法であって、少なくとも1つの水素化カルボキシル化ニトリルゴム、少なくとも1つの水素化ニトリルゴムおよび少なくとも1つのナノクレーを含んで成る少なくとも1つのゴムコンパウンド、加硫剤および任意に1つまたはそれ以上の充填剤および/またはさらに補助物質を混合することを含んで成る方法。
  7. 請求項1〜3のいずれか1つに記載のコンパウンドを含んで成る造形品。
  8. シール、ガスケット、ベルト、ホース、ベアリングパッド、固定子、坑口シール、バルブプレート、ケーブル外装、ホイールローラー、インプレースガスケットまたはパイプシールの形態である請求項7に記載の造形品。
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