JP2004331601A - 5−ホルミルベンゾフランの製造方法 - Google Patents
5−ホルミルベンゾフランの製造方法 Download PDFInfo
- Publication number
- JP2004331601A JP2004331601A JP2003131591A JP2003131591A JP2004331601A JP 2004331601 A JP2004331601 A JP 2004331601A JP 2003131591 A JP2003131591 A JP 2003131591A JP 2003131591 A JP2003131591 A JP 2003131591A JP 2004331601 A JP2004331601 A JP 2004331601A
- Authority
- JP
- Japan
- Prior art keywords
- furan
- formylbenzo
- group
- orthoformate
- general formula
- Prior art date
- Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
- Pending
Links
- LLLBDLDNTMMZHL-UHFFFAOYSA-N O=Cc1ccc2[o]ccc2c1 Chemical compound O=Cc1ccc2[o]ccc2c1 LLLBDLDNTMMZHL-UHFFFAOYSA-N 0.000 description 1
Landscapes
- Furan Compounds (AREA)
Abstract
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は5−ホルミルベンゾ[b]フランの新規製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
5−ホルミルベンゾ[b]フランは、以下の式(I):
【0003】
【化7】
【0004】
で表わされる化合物であり、医薬中間体として有用である(たとえば、非特許文献1参照)。本化合物の合成方法としては、5−ブロモベンゾ[b]フランと金属マグネシウムの反応によりグリニャール試薬(すなわち、臭化5−ベンゾ[b]フラニルマグネシウム)を調製し、これにジメチルホルムアミドを添加する方法が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、3−エチニル−4−メトキシベンズアルデヒドを塩化リチウムおよびヘキサメチルホスホリックトリアミドの存在下、130℃で反応させ、5−ホルミルベンゾ[b]フランを得る方法も知られている(たとえば、非特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら非特許文献1記載の合成法は、ジメチルホルムアミド添加時の発熱が非常に大きく工業的に反応を制御することが困難であり、また、該製法では、後述するように、異性体である2−ホルミルベンゾ[b]フランが副生し、その除去が困難であるという問題点がある。また、非特許文献2記載の合成法は、使用する原料が高価であり、かつ、工程が長いことから工業化することは極めて困難であるという問題点がある。
【0007】
本発明者らは、非特許文献1に記載されている、5−ブロモベンゾ[b]フランとジメチルホルムアミドとの反応による5−ホルミルベンゾフランの製造を実施したところ、異性体である2−ホルミルベンゾ[b]フランの副生を確認した。生成比は5−ホルミルベンゾ[b]フラン:2−ホルミルベンゾ[b]フラン=98:2であった。さらにこの異性体は再結晶、蒸留等の通常の精製方法により、実質的に含有しない程度にまで除去することは困難であった。
【0008】
さらに、近来は医薬品の安全性を向上させるために、使用される中間体に含まれる不純物含量が厳しく規制される傾向にある。
【0009】
かかる事情から、高純度の5−ホルミルベンゾ[b]フランの安価かつ簡便な製造方法が望まれていた。
【0010】
【非特許文献1】
ホングウ(Hongu)ら、「ケミカル & ファーマシューティカル ブレタン(Chemical & Pharmaceutical Bulletin)」、1998年、46巻、p.22−33
【非特許文献2】
ヒロヤ(Hiroya)ら、「ヘテロサイクルズ(Heterocycles)」、1994年、38巻、p.2463−2472
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は高品質で安価かつ簡便な5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
従来技術に見られる欠点を是正し、5−ホルミルベンゾ[b]フランを工業的に有利に製造する方法を開発するため鋭意検討した結果、本発明の製造方法を見いだした。
【0013】
すなわち、本発明は、一般式(III):
【0014】
【化8】
【0015】
(ただし、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
で表わされる化合物とオルトギ酸エステル類とを反応させることを特徴とする、一般式(II):
【0016】
【化9】
【0017】
(ただし、Rは置換されていてもよい低級アルキル基またはアリール基である。)
で表わされるベンゾフラン誘導体の製造方法に関する。
【0018】
また、本発明は、一般式(III):
【0019】
【化10】
【0020】
(ただし、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
で表わされる化合物とオルトギ酸エステル類とを反応させ、一般式(II):
【0021】
【化11】
【0022】
(ただし、Rは置換されていてもよい低級アルキル基またはアリール基である。)
で表わされるベンゾフラン誘導体を製造し、ついで該化合物を加水分解することを特徴とする、5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法に関する。
【0023】
前記ベンゾフラン誘導体の製造方法においてオルトギ酸エステル類がオルトギ酸トリメチルであり、Rがメチル基であり、Xが臭素原子であることが好ましい。
【0024】
前記5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法において、オルトギ酸エステル類がオルトギ酸トリメチルであり、Rがメチル基であり、Xが臭素原子であることが好ましい。
【0025】
前記5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法において、生成する5−ホルミルベンゾ[b]フラン中に2−ホルミルベンゾ[b]フランを実質的に含有しないことが好ましく、さらに2−ホルミルベンゾ[b]フランの含量が0.1%以下であることが好ましい。
【0026】
本発明はまた、一般式(II):
【0027】
【化12】
【0028】
(ただし、Rは置換されていてもよい低級アルキル基またはアリール基である。)
で表わされるベンゾフラン誘導体に関する。
【0029】
前記ベンゾフラン誘導体において、Rがメチル基であることが好ましい。
【0030】
本発明はまた、一般式(II):
【0031】
【化13】
【0032】
(ただし、Rは置換されていてもよい低級アルキル基またはアリール基である。)
で表わされるベンゾフラン誘導体を加水分解することを特徴とする、5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法に関する。
【0033】
前記5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法において、Rがメチル基であることが好ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容をさらに詳細に説明する。
【0035】
一般式(III)で表わされる化合物とオルトギ酸エステル類との反応は、適当な溶媒中または無溶媒で実施することができる。
【0036】
オルトギ酸エステル類としては、一般式(IV):
(RO)3CH (IV)
(ただし、Rは式(II)において定義されたものと同じである。)
で表わされるオルトギ酸トリ低級アルキルエステルやオルトギ酸トリアリールエステルなどを用いることができる。オルトギ酸トリ低級アルキルエステルやオルトギ酸トリアリールエステルの具体例としては、たとえば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリプロピル、オルトギ酸トリイソプロピル、オルトギ酸トリ−n−ブチル、オルトギ酸トリ−sec−ブチル、オルトギ酸トリ−tert−ブチル、オルトギ酸トリ−n−ヘキシル、オルトギ酸トリシクロヘキシル、オルトギ酸トリフェニルなどのオルトギ酸エステル類をあげることができる。なかでも、オルトギ酸トリメチルが好適に用いられる。
【0037】
オルトギ酸エステル類の使用量は、化合物(III)に対して1〜10モル当量が好ましく、さらに2〜5モル当量の範囲であることがより好ましい。
【0038】
溶媒は、反応に影響しないものであれば特に制限なく使用することができる。そのような溶媒としては、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒が挙げられる。
【0039】
反応温度は使用する溶媒及びオルトギ酸エステル類の種類により適宜選択できる。通常は冷却下から加熱下、具体的には0℃から使用する溶媒もしくはオルトギ酸エステル類の沸点のうちのいずれか低い方までで実施できる。たとえば、化合物(III)とオルトギ酸トリメチルを無溶媒で反応させた場合では、50℃〜還流温度が好ましく、さらに80℃〜還流温度であることがより好ましい。
【0040】
反応終了後は、反応混合物を塩化アンモニウム水溶液、硫酸アンモニウム水溶液などの弱酸で処理する。ついで、常法に従い後処理して、目的とする化合物(II)を得ることができる。
【0041】
なお、後処理において弱酸で処理せずに強酸で処理することにより、次工程の加水分解まで実施することも可能である。あるいは、反応の後処理を行うことなく、反応混合物のまま以下に述べる次工程の加水分解を行うことも可能である。
【0042】
化合物(II)の加水分解は、適当な溶媒中、または無溶媒で、酸で処理することにより実施することができる。
【0043】
使用する酸は特に限定はされないが、通常、強酸が好ましく、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸、または、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸が好適に用いられる。
【0044】
溶媒は、反応に影響しないものであれば特に制限なく使用できる。そのような溶媒としては、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、または水、あるいは、これらの混合溶媒が挙げられる。
【0045】
加水分解は、冷却下から加熱下で行うことができ、好ましくは、0℃〜使用する溶媒の沸点まで、より好ましくは10〜50℃で実施するのがよい。
【0046】
また、本発明の製造方法においては、オルトギ酸エステル類としてはオルトギ酸トリメチル、Rとしてはメチル基、Xとしては臭素原子が好ましい。
【0047】
本発明の製造方法により得られたベンゾフラン誘導体(II)は高純度であって、位置異性体は実質的に含有されず、0.1%以下であった。さらに本発明の製造方法により得られた5−ホルミルベンゾ[b]フラン中には2−ホルミルベンゾ[b]フランは実質的に含有されず、0.1%以下であった。
【0048】
ベンゾフラン誘導体(II)は新規化合物である。本発明の製造方法には、Rがメチル基である化合物が好適に用いられる。
【0049】
本反応の原料である化合物(III)は、一般式(V):
【0050】
【化14】
【0051】
(ただし、Xは前記と同じである。)
で表わされる5−ハロゲノベンゾフランとマグネシウムを反応させることにより製造することができる。
【0052】
本反応は、公知の方法(たとえば、非特許文献1参照)に準じて行うことができ、適当な溶媒(たとえば、テトラヒドロフラン)中、触媒量の活性化剤(たとえば、ヨウ素)の存在もしくは非存在下、マグネシウムと反応させることにより実施することができる。
【0053】
反応は、0℃から使用する溶媒の沸点、好ましくは40〜65℃、さらに好ましくは50〜60℃の範囲で実施する。
【0054】
本発明において、「2−ホルミルベンゾ[b]フランを実質的に含有しない」とは、高速液体クロマトグラフィーなどの通常の分析手段において、5−ホルミルベンゾ[b]フラン中の2−ホルミルベンゾ[b]フランが検出限界もしくは定量限界以下であることを意味し、具体的には後述の実施例1記載の高速液体クロマトグラフィーの条件により測定した場合に、2−ホルミルベンゾ[b]フランの含有量が0.1%以下であることであり、好ましくは、2−ホルミルベンゾ[b]フランの含有量は0.05%以下であることを意味する。
【0055】
また本発明において、低級アルキル基とは、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数3〜6の環状のアルキル基を意味し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基がその具体例として挙げられる。アリール基とは単環又は二環の芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基をいい、たとえば、フェニル基、ナフチル基などを例として挙げることができる。
【0056】
次に本発明を実施例によってより詳細に説明する。
【0057】
【実施例】
実施例1
マグネシウム(24.7g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(600ml)混合物に、50〜60℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(200g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、同温で1時間攪拌した。そののち常圧で溶媒を留去した。この残渣にオルトギ酸トリメチル(538.6g)を60〜70℃で滴下し、21時間還流した。ついで、反応液を常圧で濃縮し、濃縮残液を9%塩酸水に分散し、トルエンで抽出した。有機層を重曹水、食塩水で洗浄後、濃縮した。濃縮液を下記の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析したが、2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。濃縮液を蒸留にて精製し、5−ホルミルベンゾ[b]フラン87.5gを得た。これをさらにジイソプロプルエーテルから再結晶し、減圧乾燥して5−ホルミルベンゾ[b]フランの結晶69.3gを得た。融点37.6〜38.2℃。この結晶をHPLCで分析したが、やはり2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。
【0058】
2−ホルミルベンゾ[b]フランのHPLC分析条件:
カラム:GL Science社製、商品名Inertsil ODS−3 4.6mmφ×250mm
移動層(溶出溶媒):0.05M K2HPO4水溶液(H3PO4でpH7に調整)/アセトニトリル 80:20
流速:1.5ml/分
検出波長:UV 254nm
【0059】
実施例2
マグネシウム(1.23g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(50ml)混合物に、50〜60℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(10g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、同温で1時間攪拌した。この反応液にオルトギ酸トリメチル26.9gを60〜70℃で滴下し、24時間還流した。ついで、反応混合物を減圧下で濃縮し、濃縮残液を9%塩酸水に分散し、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、濃縮し粗体の5−ホルミルベンゾ[b]フラン7.0gを得た。得られた5−ホルミルベンゾ[b]フランを実施例1記載の条件でHPLCを用いて分析したが、2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。
【0060】
実施例3
マグネシウム(2.5g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(60ml)混合物に、45〜55℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(20g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、50〜55℃で17時間攪拌した。溶媒を減圧で留去後、オルトギ酸トリメチル(32.3g)を60〜90℃で滴下し、還流下で6時間反応を行った。反応混合物を減圧下で濃縮し、濃縮残渣にトルエンを加え、20%塩化アンモニウム水溶液を氷冷下で滴下した。析出した結晶を濾別後、有機層を分離し、食塩水で洗浄し、濃縮した。残渣を蒸留して5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール4.6gを得た。これをさらに蒸留し、5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール体1.1gを得た。
【0061】
沸点:85〜86℃/0.1kpa。
1H−NMR:δ3.35(6H、s)、5.49(1H、s)、6.77(1H、d、J=2.2)、7.38(1H、dd、J=8.6、J=1.7)、7.48(1H、d、J=8.6)、7.62(1H、d、J=2.2)、7.70(1H、d、J=1.7)
MS(APCl(MeOH))m/z:160.9(M+H−MeOH)
【0062】
実施例4
実施例3で得られた5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール(0.5g)を1N塩酸水及びトルエン中に分散し、トルエン層を分離、食塩水で洗浄後、トルエン層を濃縮し、5−ホルミルベンゾ[b]フラン0.36gを得た。得られた5−ホルミルベンゾ[b]フランを実施例1記載の条件によりHPLCで分析したが、2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。
【0063】
実施例5
マグネシウム(2.5g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(60ml)混合物に、47〜57℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(20g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、同温で2時間攪拌した。溶媒を減圧で留去後、オルトギ酸トリメチル(32.3g)を49〜53℃で滴下した。滴下後、60℃で1時間、70℃で19時間、80℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧で濃縮し、濃縮残渣にn−ヘキサンを加え、20%塩化アンモニウム水溶液を氷冷下で滴下した。析出した結晶を濾別後、有機層を分離し食塩水で洗浄後、濃縮して粗5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール(11.0g)を得た。得られた粗5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール(1g)をn−ヘキサンおよび1N塩酸水中に分散し、n−ヘキサン層を分離、食塩水で洗浄後、n−ヘキサン層を濃縮し、5−ホルミルベンゾ[b]フラン0.54gを得た。得られた5−ホルミルベンゾ[b]フランを実施例1記載の条件でHPLCを用いて分析したが、2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。
【0064】
比較例1
マグネシウム(1.23g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(50ml)混合物に、50〜60℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(10g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、同温で1時間攪拌した。この反応液にジメチルホルムアミド4.8gを0〜5℃で滴下した。滴下終了後、0〜5℃で15時間反応を行った。反応終了後、反応液に10%塩酸水10mlと10%食塩水18mlを添加し、ジクロロメタン60mlで抽出した。有機層を食塩水で洗浄後、濃縮して5−ホルミルベンゾ[b]フランの粗体7.4gを得た。得られた粗体を実施例1記載の条件によりHPLCで分析したところ、5−ホルミルベンゾ[b]フラン98%、2−ホルミルベンゾ[b]フラン2%であった。これを蒸留し、ジイソプロピルエーテルで再結晶を行い、5−ホルミルベンゾ[b]フランの結晶を得た。得られた結晶を実施例1記載の条件でHPLC分析したところ、5−ホルミルベンゾ[b]フラン99%、2−ホルミルベンゾ[b]フラン1%であった。
【0065】
比較例1の結果より、非特許文献1に記載されている製造方法では、生成比、5−ホルミルベンゾ[b]フラン:2−ホルミルベンゾ[b]フラン=98:2で、異性体である2−ホルミルベンゾ[b]フランが副生されることが確認された。さらにこの異性体は再結晶、蒸留等の通常の精製方法により、実質的に含有しない程度にまで除去することは困難であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明の5−ホルミルベンゾフランの製造方法は、異性体である2−ホルミルベンゾフランが実質的に含有しないことから、医薬中間体として有用な5−ホルミルベンゾフランを工業的に安価で製造することが可能となる。
【発明の属する技術分野】
本発明は5−ホルミルベンゾ[b]フランの新規製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
5−ホルミルベンゾ[b]フランは、以下の式(I):
【0003】
【化7】
【0004】
で表わされる化合物であり、医薬中間体として有用である(たとえば、非特許文献1参照)。本化合物の合成方法としては、5−ブロモベンゾ[b]フランと金属マグネシウムの反応によりグリニャール試薬(すなわち、臭化5−ベンゾ[b]フラニルマグネシウム)を調製し、これにジメチルホルムアミドを添加する方法が知られている(たとえば、非特許文献1参照)。
【0005】
また、3−エチニル−4−メトキシベンズアルデヒドを塩化リチウムおよびヘキサメチルホスホリックトリアミドの存在下、130℃で反応させ、5−ホルミルベンゾ[b]フランを得る方法も知られている(たとえば、非特許文献2参照)。
【0006】
しかしながら非特許文献1記載の合成法は、ジメチルホルムアミド添加時の発熱が非常に大きく工業的に反応を制御することが困難であり、また、該製法では、後述するように、異性体である2−ホルミルベンゾ[b]フランが副生し、その除去が困難であるという問題点がある。また、非特許文献2記載の合成法は、使用する原料が高価であり、かつ、工程が長いことから工業化することは極めて困難であるという問題点がある。
【0007】
本発明者らは、非特許文献1に記載されている、5−ブロモベンゾ[b]フランとジメチルホルムアミドとの反応による5−ホルミルベンゾフランの製造を実施したところ、異性体である2−ホルミルベンゾ[b]フランの副生を確認した。生成比は5−ホルミルベンゾ[b]フラン:2−ホルミルベンゾ[b]フラン=98:2であった。さらにこの異性体は再結晶、蒸留等の通常の精製方法により、実質的に含有しない程度にまで除去することは困難であった。
【0008】
さらに、近来は医薬品の安全性を向上させるために、使用される中間体に含まれる不純物含量が厳しく規制される傾向にある。
【0009】
かかる事情から、高純度の5−ホルミルベンゾ[b]フランの安価かつ簡便な製造方法が望まれていた。
【0010】
【非特許文献1】
ホングウ(Hongu)ら、「ケミカル & ファーマシューティカル ブレタン(Chemical & Pharmaceutical Bulletin)」、1998年、46巻、p.22−33
【非特許文献2】
ヒロヤ(Hiroya)ら、「ヘテロサイクルズ(Heterocycles)」、1994年、38巻、p.2463−2472
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は高品質で安価かつ簡便な5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
従来技術に見られる欠点を是正し、5−ホルミルベンゾ[b]フランを工業的に有利に製造する方法を開発するため鋭意検討した結果、本発明の製造方法を見いだした。
【0013】
すなわち、本発明は、一般式(III):
【0014】
【化8】
【0015】
(ただし、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
で表わされる化合物とオルトギ酸エステル類とを反応させることを特徴とする、一般式(II):
【0016】
【化9】
【0017】
(ただし、Rは置換されていてもよい低級アルキル基またはアリール基である。)
で表わされるベンゾフラン誘導体の製造方法に関する。
【0018】
また、本発明は、一般式(III):
【0019】
【化10】
【0020】
(ただし、Xは塩素原子、臭素原子またはヨウ素原子である。)
で表わされる化合物とオルトギ酸エステル類とを反応させ、一般式(II):
【0021】
【化11】
【0022】
(ただし、Rは置換されていてもよい低級アルキル基またはアリール基である。)
で表わされるベンゾフラン誘導体を製造し、ついで該化合物を加水分解することを特徴とする、5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法に関する。
【0023】
前記ベンゾフラン誘導体の製造方法においてオルトギ酸エステル類がオルトギ酸トリメチルであり、Rがメチル基であり、Xが臭素原子であることが好ましい。
【0024】
前記5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法において、オルトギ酸エステル類がオルトギ酸トリメチルであり、Rがメチル基であり、Xが臭素原子であることが好ましい。
【0025】
前記5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法において、生成する5−ホルミルベンゾ[b]フラン中に2−ホルミルベンゾ[b]フランを実質的に含有しないことが好ましく、さらに2−ホルミルベンゾ[b]フランの含量が0.1%以下であることが好ましい。
【0026】
本発明はまた、一般式(II):
【0027】
【化12】
【0028】
(ただし、Rは置換されていてもよい低級アルキル基またはアリール基である。)
で表わされるベンゾフラン誘導体に関する。
【0029】
前記ベンゾフラン誘導体において、Rがメチル基であることが好ましい。
【0030】
本発明はまた、一般式(II):
【0031】
【化13】
【0032】
(ただし、Rは置換されていてもよい低級アルキル基またはアリール基である。)
で表わされるベンゾフラン誘導体を加水分解することを特徴とする、5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法に関する。
【0033】
前記5−ホルミルベンゾ[b]フランの製造方法において、Rがメチル基であることが好ましい。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の内容をさらに詳細に説明する。
【0035】
一般式(III)で表わされる化合物とオルトギ酸エステル類との反応は、適当な溶媒中または無溶媒で実施することができる。
【0036】
オルトギ酸エステル類としては、一般式(IV):
(RO)3CH (IV)
(ただし、Rは式(II)において定義されたものと同じである。)
で表わされるオルトギ酸トリ低級アルキルエステルやオルトギ酸トリアリールエステルなどを用いることができる。オルトギ酸トリ低級アルキルエステルやオルトギ酸トリアリールエステルの具体例としては、たとえば、オルトギ酸トリメチル、オルトギ酸トリエチル、オルトギ酸トリプロピル、オルトギ酸トリイソプロピル、オルトギ酸トリ−n−ブチル、オルトギ酸トリ−sec−ブチル、オルトギ酸トリ−tert−ブチル、オルトギ酸トリ−n−ヘキシル、オルトギ酸トリシクロヘキシル、オルトギ酸トリフェニルなどのオルトギ酸エステル類をあげることができる。なかでも、オルトギ酸トリメチルが好適に用いられる。
【0037】
オルトギ酸エステル類の使用量は、化合物(III)に対して1〜10モル当量が好ましく、さらに2〜5モル当量の範囲であることがより好ましい。
【0038】
溶媒は、反応に影響しないものであれば特に制限なく使用することができる。そのような溶媒としては、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒が挙げられる。
【0039】
反応温度は使用する溶媒及びオルトギ酸エステル類の種類により適宜選択できる。通常は冷却下から加熱下、具体的には0℃から使用する溶媒もしくはオルトギ酸エステル類の沸点のうちのいずれか低い方までで実施できる。たとえば、化合物(III)とオルトギ酸トリメチルを無溶媒で反応させた場合では、50℃〜還流温度が好ましく、さらに80℃〜還流温度であることがより好ましい。
【0040】
反応終了後は、反応混合物を塩化アンモニウム水溶液、硫酸アンモニウム水溶液などの弱酸で処理する。ついで、常法に従い後処理して、目的とする化合物(II)を得ることができる。
【0041】
なお、後処理において弱酸で処理せずに強酸で処理することにより、次工程の加水分解まで実施することも可能である。あるいは、反応の後処理を行うことなく、反応混合物のまま以下に述べる次工程の加水分解を行うことも可能である。
【0042】
化合物(II)の加水分解は、適当な溶媒中、または無溶媒で、酸で処理することにより実施することができる。
【0043】
使用する酸は特に限定はされないが、通常、強酸が好ましく、塩酸、硫酸、硝酸などの鉱酸、または、p−トルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などの有機酸が好適に用いられる。
【0044】
溶媒は、反応に影響しないものであれば特に制限なく使用できる。そのような溶媒としては、トルエンなどの芳香族炭化水素系溶媒、ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドンなどのアミド系溶媒、ジメチルスルホキシドなどのスルホキシド系溶媒、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、テトラヒドロフラン、ジオキサンなどのエーテル系溶媒、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノールなどのアルコール系溶媒、アセトン、メチルエチルケトンなどのケトン系溶媒、または水、あるいは、これらの混合溶媒が挙げられる。
【0045】
加水分解は、冷却下から加熱下で行うことができ、好ましくは、0℃〜使用する溶媒の沸点まで、より好ましくは10〜50℃で実施するのがよい。
【0046】
また、本発明の製造方法においては、オルトギ酸エステル類としてはオルトギ酸トリメチル、Rとしてはメチル基、Xとしては臭素原子が好ましい。
【0047】
本発明の製造方法により得られたベンゾフラン誘導体(II)は高純度であって、位置異性体は実質的に含有されず、0.1%以下であった。さらに本発明の製造方法により得られた5−ホルミルベンゾ[b]フラン中には2−ホルミルベンゾ[b]フランは実質的に含有されず、0.1%以下であった。
【0048】
ベンゾフラン誘導体(II)は新規化合物である。本発明の製造方法には、Rがメチル基である化合物が好適に用いられる。
【0049】
本反応の原料である化合物(III)は、一般式(V):
【0050】
【化14】
【0051】
(ただし、Xは前記と同じである。)
で表わされる5−ハロゲノベンゾフランとマグネシウムを反応させることにより製造することができる。
【0052】
本反応は、公知の方法(たとえば、非特許文献1参照)に準じて行うことができ、適当な溶媒(たとえば、テトラヒドロフラン)中、触媒量の活性化剤(たとえば、ヨウ素)の存在もしくは非存在下、マグネシウムと反応させることにより実施することができる。
【0053】
反応は、0℃から使用する溶媒の沸点、好ましくは40〜65℃、さらに好ましくは50〜60℃の範囲で実施する。
【0054】
本発明において、「2−ホルミルベンゾ[b]フランを実質的に含有しない」とは、高速液体クロマトグラフィーなどの通常の分析手段において、5−ホルミルベンゾ[b]フラン中の2−ホルミルベンゾ[b]フランが検出限界もしくは定量限界以下であることを意味し、具体的には後述の実施例1記載の高速液体クロマトグラフィーの条件により測定した場合に、2−ホルミルベンゾ[b]フランの含有量が0.1%以下であることであり、好ましくは、2−ホルミルベンゾ[b]フランの含有量は0.05%以下であることを意味する。
【0055】
また本発明において、低級アルキル基とは、炭素数1〜6の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基または炭素数3〜6の環状のアルキル基を意味し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ヘキシル基、イソヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基などが挙げられる。好ましくは、炭素数1〜4の直鎖もしくは分岐鎖のアルキル基であり、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、イソブチル基がその具体例として挙げられる。アリール基とは単環又は二環の芳香族炭素環式基または芳香族複素環式基をいい、たとえば、フェニル基、ナフチル基などを例として挙げることができる。
【0056】
次に本発明を実施例によってより詳細に説明する。
【0057】
【実施例】
実施例1
マグネシウム(24.7g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(600ml)混合物に、50〜60℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(200g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、同温で1時間攪拌した。そののち常圧で溶媒を留去した。この残渣にオルトギ酸トリメチル(538.6g)を60〜70℃で滴下し、21時間還流した。ついで、反応液を常圧で濃縮し、濃縮残液を9%塩酸水に分散し、トルエンで抽出した。有機層を重曹水、食塩水で洗浄後、濃縮した。濃縮液を下記の条件で高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用いて分析したが、2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。濃縮液を蒸留にて精製し、5−ホルミルベンゾ[b]フラン87.5gを得た。これをさらにジイソプロプルエーテルから再結晶し、減圧乾燥して5−ホルミルベンゾ[b]フランの結晶69.3gを得た。融点37.6〜38.2℃。この結晶をHPLCで分析したが、やはり2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。
【0058】
2−ホルミルベンゾ[b]フランのHPLC分析条件:
カラム:GL Science社製、商品名Inertsil ODS−3 4.6mmφ×250mm
移動層(溶出溶媒):0.05M K2HPO4水溶液(H3PO4でpH7に調整)/アセトニトリル 80:20
流速:1.5ml/分
検出波長:UV 254nm
【0059】
実施例2
マグネシウム(1.23g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(50ml)混合物に、50〜60℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(10g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、同温で1時間攪拌した。この反応液にオルトギ酸トリメチル26.9gを60〜70℃で滴下し、24時間還流した。ついで、反応混合物を減圧下で濃縮し、濃縮残液を9%塩酸水に分散し、トルエンで抽出した。有機層を飽和食塩水で洗浄後、濃縮し粗体の5−ホルミルベンゾ[b]フラン7.0gを得た。得られた5−ホルミルベンゾ[b]フランを実施例1記載の条件でHPLCを用いて分析したが、2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。
【0060】
実施例3
マグネシウム(2.5g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(60ml)混合物に、45〜55℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(20g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、50〜55℃で17時間攪拌した。溶媒を減圧で留去後、オルトギ酸トリメチル(32.3g)を60〜90℃で滴下し、還流下で6時間反応を行った。反応混合物を減圧下で濃縮し、濃縮残渣にトルエンを加え、20%塩化アンモニウム水溶液を氷冷下で滴下した。析出した結晶を濾別後、有機層を分離し、食塩水で洗浄し、濃縮した。残渣を蒸留して5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール4.6gを得た。これをさらに蒸留し、5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール体1.1gを得た。
【0061】
沸点:85〜86℃/0.1kpa。
1H−NMR:δ3.35(6H、s)、5.49(1H、s)、6.77(1H、d、J=2.2)、7.38(1H、dd、J=8.6、J=1.7)、7.48(1H、d、J=8.6)、7.62(1H、d、J=2.2)、7.70(1H、d、J=1.7)
MS(APCl(MeOH))m/z:160.9(M+H−MeOH)
【0062】
実施例4
実施例3で得られた5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール(0.5g)を1N塩酸水及びトルエン中に分散し、トルエン層を分離、食塩水で洗浄後、トルエン層を濃縮し、5−ホルミルベンゾ[b]フラン0.36gを得た。得られた5−ホルミルベンゾ[b]フランを実施例1記載の条件によりHPLCで分析したが、2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。
【0063】
実施例5
マグネシウム(2.5g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(60ml)混合物に、47〜57℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(20g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、同温で2時間攪拌した。溶媒を減圧で留去後、オルトギ酸トリメチル(32.3g)を49〜53℃で滴下した。滴下後、60℃で1時間、70℃で19時間、80℃で1時間攪拌した。反応終了後、反応液を減圧で濃縮し、濃縮残渣にn−ヘキサンを加え、20%塩化アンモニウム水溶液を氷冷下で滴下した。析出した結晶を濾別後、有機層を分離し食塩水で洗浄後、濃縮して粗5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール(11.0g)を得た。得られた粗5−ホルミルベンゾ[b]フランジメチルアセタール(1g)をn−ヘキサンおよび1N塩酸水中に分散し、n−ヘキサン層を分離、食塩水で洗浄後、n−ヘキサン層を濃縮し、5−ホルミルベンゾ[b]フラン0.54gを得た。得られた5−ホルミルベンゾ[b]フランを実施例1記載の条件でHPLCを用いて分析したが、2−ホルミルベンゾ[b]フランは検出されなかった。
【0064】
比較例1
マグネシウム(1.23g)とヨウ素(微量)のテトラヒドロフラン(50ml)混合物に、50〜60℃で5−ブロモベンゾ[b]フラン(10g)を攪拌下に滴下した。滴下終了後、同温で1時間攪拌した。この反応液にジメチルホルムアミド4.8gを0〜5℃で滴下した。滴下終了後、0〜5℃で15時間反応を行った。反応終了後、反応液に10%塩酸水10mlと10%食塩水18mlを添加し、ジクロロメタン60mlで抽出した。有機層を食塩水で洗浄後、濃縮して5−ホルミルベンゾ[b]フランの粗体7.4gを得た。得られた粗体を実施例1記載の条件によりHPLCで分析したところ、5−ホルミルベンゾ[b]フラン98%、2−ホルミルベンゾ[b]フラン2%であった。これを蒸留し、ジイソプロピルエーテルで再結晶を行い、5−ホルミルベンゾ[b]フランの結晶を得た。得られた結晶を実施例1記載の条件でHPLC分析したところ、5−ホルミルベンゾ[b]フラン99%、2−ホルミルベンゾ[b]フラン1%であった。
【0065】
比較例1の結果より、非特許文献1に記載されている製造方法では、生成比、5−ホルミルベンゾ[b]フラン:2−ホルミルベンゾ[b]フラン=98:2で、異性体である2−ホルミルベンゾ[b]フランが副生されることが確認された。さらにこの異性体は再結晶、蒸留等の通常の精製方法により、実質的に含有しない程度にまで除去することは困難であった。
【0066】
【発明の効果】
本発明の5−ホルミルベンゾフランの製造方法は、異性体である2−ホルミルベンゾフランが実質的に含有しないことから、医薬中間体として有用な5−ホルミルベンゾフランを工業的に安価で製造することが可能となる。
Claims (10)
- オルトギ酸エステル類がオルトギ酸トリメチルであり、Rがメチル基であり、Xが臭素原子である請求項1記載の製造方法。
- オルトギ酸エステル類がオルトギ酸トリメチルであり、Rがメチル基であり、Xが臭素原子である請求項2記載の製造方法。
- 生成する5−ホルミルベンゾ[b]フラン中に2−ホルミルベンゾ[b]フランを実質的に含有しないことを特徴とする請求項4記載の製造方法。
- 2−ホルミルベンゾ[b]フランの含量が0.1%以下であることを特徴とする請求項5記載の製造方法。
- Rがメチル基である請求項7記載のベンゾフラン誘導体。
- Rがメチル基である請求項9記載の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003131591A JP2004331601A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 5−ホルミルベンゾフランの製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003131591A JP2004331601A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 5−ホルミルベンゾフランの製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004331601A true JP2004331601A (ja) | 2004-11-25 |
Family
ID=33506723
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003131591A Pending JP2004331601A (ja) | 2003-05-09 | 2003-05-09 | 5−ホルミルベンゾフランの製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004331601A (ja) |
-
2003
- 2003-05-09 JP JP2003131591A patent/JP2004331601A/ja active Pending
Similar Documents
Publication | Publication Date | Title |
---|---|---|
EP2397459B1 (en) | Method for producing phenylacetamide compound | |
WO2008078482A1 (ja) | アセナピン合成中間体の製造方法 | |
KR100877849B1 (ko) | 3-히드록시테트라히드로퓨란의 효율적 제조방법 | |
CN1308289C (zh) | 水溶性氧杂双酰胺的合成方法 | |
JP5168830B2 (ja) | テトラヒドロピラン−4−オン化合物の製法 | |
JP2004331601A (ja) | 5−ホルミルベンゾフランの製造方法 | |
WO2012062109A1 (zh) | 阿利克仑的药物中间体的制备方法 | |
CN111269149A (zh) | 一种5-(3,3-二甲基胍基)-2-氧代戊酸的生产工艺 | |
EP3851429A1 (en) | A process for the purification of crisaborole | |
JP2002255954A (ja) | 2−n−ブチル−5−ニトロベンゾフランの製造方法 | |
JP2007254293A (ja) | α−メチレン−β−アルキル−γ−ブチロラクトンの製造法 | |
JP2002114737A (ja) | 光学活性o−クロロマンデル酸の製造法 | |
JP5042243B2 (ja) | ポリ−3−ヒドロキシブチレートを用いてβ−ラクタム化合物を調製する方法 | |
US7041853B2 (en) | Process for producing 4-bromothioanisole | |
JP4123709B2 (ja) | 芳香族アクリロニトリル誘導体の製法 | |
WO2005058859A1 (ja) | 3−(4−テトラヒドロピラニル)−3−オキソプロパン酸アルキル化合物及び4−アシルテトラヒドロピランの製法 | |
JP4641772B2 (ja) | フラノンの製造方法 | |
JPH08208587A (ja) | N,o−ジアルキルヒドロキサム酸及びo−アルキルヒドロキサム酸の精製方法 | |
JP2005112761A (ja) | (シス)−4−ヒドロキシプロリン誘導体の製造方法 | |
JP2734646B2 (ja) | 2,2―ジフルオロカルボン酸誘導体の新規合成法 | |
JP2010070460A (ja) | テトロン酸の製造方法 | |
WO2005058918A1 (fr) | Nouveaux derives d’acides phenyl-boronique et leurs procedes de preparation | |
JP2001072664A (ja) | trans−4−置換−2−ピペリジンカルボニトリル類の製造方法 | |
JPS6317869A (ja) | 2−低級アルキル−4−アミノ−5−ホルミルピリミジンの製造法 | |
WO2005014508A1 (ja) | 水酸基保護試薬およびそれを用いた水酸基の保護方法 |