JP2004331584A - 亜リン酸エステル類の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】フェノール類からビフェノール類を得、これを三ハロゲン化リンと脱酸剤の存在下にヒドロキシ化合物と反応させて亜リン酸エステル類(I)を製造する際に、ビフェノール類の収率低下や粉塵飛散の無い製法の提供。
【解決手段】下記二工程を含む亜リン酸エステル類の製造法。
Figure 2004331584

Figure 2004331584

[式中、R及びRは水素、アルキル、Rは水素、アルキル、R及びRは水素、アルキル、Aはアルキレン、Y及びZは一方がヒドロキシ、アルコキシ、他方が水素、アルキルを表す。]
工程1:フェノール類を酸化カップリング反応させて、対応するビフェノール類を含む反応混合物を得る工程、
工程2:上記ビフェノール類含有反応混合物から疎水性有機溶媒でビフェノール類を抽出して得た溶液を対応するヒドロキシ化合物と混合して反応させる工程。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、亜リン酸エステル類の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
下式(I)で示される亜リン酸エステル類は、例えば、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、又は天然若しくは合成ゴム等の加工時や使用時における熱、光又は酸素による劣化を防止する安定剤として有用な化合物である(特許文献1を参照)。
【0003】
【化6】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
【0004】
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
Aは炭素数2〜8のアルキレン基、*−CO−基又は*−CO−R−基を表す。上記のRは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素側に結合していることを示す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
【0005】
亜リン酸エステル(I)の製造法としては、例えば式(II)
【0006】
【化7】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
【0007】
[式中、R、R及びRは、上記と同じ定義である。]
で示されるビフェノ−ル類の乾燥粉粒体を、三ハロゲン化リン及び下式(III)
【化8】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
[R、R、A、Y及びZは、上記と同じ定義である。]
で示されるヒドロキシ化合物と反応させる方法が公知である(特許文献2を参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平11−236475号公報(段落番号0013〜0022及び0081を参照)
【0009】
【特許文献2】
特開平11−217470号公報(段落番号0021〜0036、及び0104〜0108を参照)
【0010】
上記のビフェノール類(II)は、例えば、特開昭56−135432号公報、特開2000−281606号公報及び特開2001−97908号公報等に記載のように、下式(II’)
【0011】
【化9】
Figure 2004331584
[式中、R、R及びRは上記と同じ定義である。]
で示されるフェノール類を反応溶媒の存在下に過酸化水素又は酸素を用いて酸化カップリング反応させた後、反応混合物を必要に応じて中和後、晶析等により結晶を析出させ、該析出した結晶を濾過して製造されている。
【0012】
このようにして製造されたビフェノール類(II)は、水や有機溶媒を比較的多く含むため、該ビフェノール類(II)を原料化合物として亜リン酸エステル類(I)を製造する際には、予め乾燥機を用いて乾燥する必要があった。
しかしながら、ビフェノール類(II)を晶析等により結晶として析出させ、この析出した結晶を濾過、洗浄すると、ビフェノール類(II)が濾洗液中にロスして収率が低下するという問題や、多量の廃有機溶媒と排水が生じるという問題があった。また、亜リン酸エステル(I)を製造する際に、原料のビフェノール類(II)として乾燥粉粒体を使用すると、反応槽のマンホール等に接続されたホッパー等に上記乾燥粉粒体を仕込む際に、飛散が著しくて粉塵による環境汚染が生じるという問題があった。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明者らは、鋭意検討した結果、上記の酸化カップリング反応混合物から疎水性有機溶媒で抽出して得た上記のビフェノール類(II)を含む溶液を、三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下に、上記ヒドロキシ化合物(III)と混合して反応させると、上記問題点を解決できることを見出して、本発明を完成するに至った。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、フェノール類(II’)を酸化カップリング反応させてビフェノール類(II)を得、該ビフェノール類を三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下に、ヒドロキシ化合物(III)と反応させて亜リン酸エステル類(I)を製造するに際して、上述したビフェノール類(II)の濾洗液中へのロスに起因する収率低下や、ビフェノール類(II)の乾燥粉粒体を反応槽のマンホール等に接続されたホッパー等に仕込む際の環境汚染が無い製造方法を提供することである。
【0015】
すなわち、本発明は、下記の第一工程及び第二工程を含むことを特徴とする下式(I)で示される亜リン酸エステル類の製造方法を提供する。
【0016】
【化10】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
[式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
Aは炭素数2〜8のアルキレン基、*−CO−基又は*−CO−R−基を表す。上記のRは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素側に結合していることを示す。
Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
【0017】
(第一工程)
下式(II’)
【化11】
Figure 2004331584
[式中、R、R及びRは上記と同じ定義である。]
で示されるフェノール類を反応溶媒の存在下に酸化カップリング反応させて、下式(II)
【化12】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
[式中、R、R及びRは、上記と同じ定義である。]
で示されるビフェノール類を含む反応混合物を得る工程、
【0018】
(第二工程)
第一工程で得たビフェノール類(II)を含む反応混合物から、上記ビフェノール類を疎水性有機溶媒で抽出して得た溶液を、三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下に、下式(III)
【化13】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
[式中、R、R、A、Y及びZは、上記と同じ定義である。]
で示されるヒドロキシ化合物と混合して反応させる工程。
以下、本発明を詳細に説明する。
【0019】
【発明の実施の形態】
先ず、本発明の第一工程について説明する。
本発明における第一工程は、フェノール類(II’)を反応溶媒の存在下に酸化カップリング反応させて、ビフェノール類(II)を含む反応混合物を得る工程である。
上記の酸化カップリング反応は、好ましくは過酸化水素溶液を用いて行なわれる。該酸化カップリング反応は、より好ましくは、反応溶媒及び塩基の共存下にフェノール類(II’)に過酸化水素溶液を滴下して行なわれる。
上記の反応溶媒としては、水;メタノール、エタノール、プロパノール、i−プロパノールやブタノール等の低級アルコール類;水と上記の低級アルコール類の混合溶媒が挙げられる。反応溶媒としては、水が好ましい。
反応溶媒の使用量は、好ましくは、フェノール類(II’)の100重量部に対して50〜1000重量部の範囲である。
上記の塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム;炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸リチウム等が挙げられる。
塩基の使用量は、好ましくは、フェノール類(II’)の1モルに対して0.5〜4モルの範囲である。
過酸化水素の使用量は、好ましくは、フェノール類(II’)の1モルに対して0.3〜2モルの範囲であり、より好ましくは、0.5〜1モルの範囲である。
反応温度は、好ましくは75〜90℃の範囲である。
【0020】
上記フェノール類(II’)のR及びRにおけるアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基等の炭素数1〜8のアルキル基等が挙げられる。
上記のR及びRにおけるシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等の炭素数5〜8のシクロアルキル基等が挙げられる。
上記のR及びRにおけるアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−イソプロピルシクロヘキシル基等の炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基等が挙げられる。
上記のR及びRにおけるアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、フェニルエチル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等の炭素数7〜12のアラルキル基等が挙げられる。
上記のR及びRにおけるフェニル基の置換基であるアルキル基及びアルコキシ基としては、炭素数1〜8のアルキル基や、炭素数1〜8のアルコキシ基が挙げられる。
このようなアルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。
また、アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、i−プロポキシ基、n−ブトキシ基、i−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、t−ブトキシ基、t−ペントキシ基、i−オクトキシ基、t−オクトキシ基、2−エチルヘキシルオキシ基等が挙げられる。
上記のRにおけるアルキル基としては、R及びRにおけるアルキル基として例示した炭素数1〜8のアルキル基と同じものが挙げられる。
【0021】
フェノール類(II’)としては、例えば、p−クレゾール、p−エチルフェノール、p−プロピルフェノール、p−i−プロピルフェノール、p−n−ブチルフェノール、p−sec−ブチルフェノール、p−t−ブチルフェノール、p−t−アミルフェノール、p−t−オクチルフェノール、p−ノニルフェノール、p−フェニルフェノール、2,4−ジメチルフェノール、2,4−ジエチルフェノール、2−t−ブチル−4−メチルフェノール、4−t−ブチル−2−メチルフェノール、2−t−ブチル−4−エチルフェノール、2−t−ブチル−4−イソプロピルフェノール、2,4−ジ−t−ブチルフェノール、2、4−ジ−t−アミルフェノール、2、4−ジ−t−オクチルフェノール、2−(1−メチルシクロヘキシル)−4−メチルフェノール、2−シクロヘキシル−4−メチルフェノール、4−t−ブチル−2−フェニルフェノール、2,4,5−トリメチルフェノール、2−t−ブチル−3−エチル−4−メチルフェノール、2,4−ジ−t−ブチル−5−メチルフェノール等が挙げられる。
【0022】
本発明の第一工程における酸化カップリング反応は、好ましくは、下式(V)
【化14】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
[式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、又はアルキル若しくはアルコキシで置換されていてもよいフェニル基を表す。
Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。nは1又は2であり、Mがアルカリ金属原子であるときにnは1であり、Mがアルカリ土類金属原子であるときにnは2である。]
で示されるカルボン酸塩の存在下に行われる。
【0023】
上記のカルボン酸塩(V)において、Rで表されるアルキル基としては、例えばn−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、t−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基等の炭素数6〜17のアルキル基等が挙げられる。
で表されるシクロアルキル基及びアルキルシクロアルキル基としては、上式(II’)におけるR及びRにおいて例示したと同様の基等が挙げられる。
Mにおけるアルカリ金属原子としては、例えば、ナトリウム原子、カリウム原子、リチウム原子又はセシウム原子等が挙げられる。
アルカリ土類金属原子としては、例えば、カルシウム原子、マグネシウム原子又はバリウム原子等が挙げられる。
【0024】
カルボン酸塩(V)の具体例としては、n−デカン酸ナトリウム、n−デカン酸カリウム、n−デカン酸リチウム、n−デカン酸セシウム等のn−デカン酸アルカリ金属塩;n−デカン酸カルシウム、n−デカン酸マグネシウム、n−デカン酸バリウム等のn−デカン酸アルカリ土類金属塩;ラウリン酸ナトリウム、ラウリン酸カリウム、ラウリン酸リチウム、ラウリン酸セシウム等のラウリン酸アルカリ金属塩;ラウリン酸カルシウム、ラウリン酸マグネシウム、ラウリン酸バリウム等のラウリン酸アルカリ土類金属塩;ミリスチン酸ナトリウム、ミリスチン酸カリウム、ミリスチン酸リチウム、ミリスチン酸セシウム等のミリスチン酸アルカリ金属塩;ミリスチン酸カルシウム、ミリスチン酸マグネシウム、ミリスチン酸バリウム等のミリスチン酸アルカリ土類金属塩;パルミチン酸ナトリウム、パルミチン酸カリウム、パルミチン酸リチウム、パルミチン酸セシウム等のパルミチン酸アルカリ金属塩;パルミチン酸カルシウム、パルミチン酸マグネシウム、パルミチン酸バリウム等のパルミチン酸アルカリ土類金属塩;ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸リチウム、ステアリン酸セシウム等のステアリン酸アルカリ金属塩;ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸バリウム等のステアリン酸アルカリ土類金属塩等が挙げられる。
かかるカルボン酸塩(V)としては、好ましくは、ラウリン酸アルカリ金属塩が挙げられ、さらに好ましくは、ラウリン酸ナトリウム等が挙げられる。
カルボン酸塩(V)の使用量は、フェノール類(II’)の使用量に対して、通常は0.001〜0.1モル倍の範囲である。
かかるカルボン酸塩(V)は、
【0025】
下式(IV)
【化15】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
〔式中、Rは前記と同じ定義である。〕
で示されるカルボン酸類をアルカリ金属水酸化物又はアルカリ土類金属水酸化物等と反応させることによって容易に製造することができる。
したがって、上記のカルボン酸類(IV)と反応して上記のカルボン酸塩(V)を生成し得る塩基、例えば、アルカリ金属水酸化物、アルカリ金属炭酸塩、アルカリ土類金属水酸化物やアルカリ土類金属炭酸塩等を用いる場合には、カルボン酸塩(V)に代えて、カルボン酸類(IV)と上記の塩基を併用することによって、反応系内でカルボン酸塩(V)を生成させてもよい。
【0026】
本発明の第一工程においては、フェノール類(II’)を酸化カップリング反応させる際に、鉄、又は鉄を含有する材質からなる反応器の中で行うことが好ましい。
上記反応器における鉄を含有する材質としては、例えばステンレス鋼や鉄鋼等が挙げられる。
ステンレス鋼としては、例えば、SUS304、SUS304L、SUS316やSUS316L等が挙げられる。
上記反応器は、例えば内壁、攪拌翼や邪魔板、又は冷却管や加熱管等の温度調節用コイルのような温度調節機器等を含む。
【0027】
反応器における上記の内壁、攪拌翼や邪魔板、又は冷却管や加熱管等の温度調節用コイル等と反応溶媒を含む内容液との接触面積は、反応速度の観点からは、好ましくは、反応溶媒を含む内容液の1kg当り1×10−4以上であり、より好ましくは反応溶媒を含む内容液の1kg当り1×10−3以上である。反応速度の観点からは上記の接触面積は大きいほどよいが、操作性の観点からは、反応溶媒を含む内容液の1kg当り1×10−1を超えない方がよい。
したがって、前記の接触面積は、反応溶媒を含む内容液の1kg当り1×10−4〜1×10−1の範囲が更に好ましく、反応溶媒を含む内容液の1kg当り1×10−3〜5×10−2の範囲が殊に好ましい。
前述した接触面積は、反応器内壁、攪拌翼、邪魔板及び温度調節機器の表面積並びに反応器の内容積等を適宜変更することによって、調整することができる。
【0028】
反応の進行は、例えば、高速液体クロマトグラフィー等の慣用の手段を用いて、反応混合物中のフェノール類(II’)及び/又はビフェノール類(II)の含有量を分析することによりチェックすることができる。
反応終了後、必要に応じて、反応混合物に亜硫酸ナトリウム等の還元剤を添加して、残留過酸化水素を分解することができる。
【0029】
酸化カップリング反応を反応溶媒及び無機強塩基の共存下に行った場合は、残留過酸化水素の分解後、フェノール類(II’)と過酸化水素の反応により得られる反応混合物を酸で中和する。中和の際に用いる酸としては、例えば、硫酸、塩酸、硝酸又はリン酸等の鉱酸等が好ましく用いられる。
【0030】
次に、本発明の第二工程について説明する。
本発明の第二工程においては、第一工程で得たビフェノール類(II)を含む反応混合物から上記ビフェノール類を疎水性有機溶媒で抽出して得た溶液を、三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下に、ヒドロキシ化合物(III)と混合して反応させる。
第一工程における酸化カップリング反応を反応溶媒及び無機強塩基の共存下に行った場合は、フェノール類(II’)と過酸化水素の反応により得られる反応混合物を前述した鉱酸等の酸で中和する。酸で中和後、ビフェノール類(II)を疎水性の有機溶媒を用いて抽出する。
次に、好ましくは、得られたビフェノール類(II)を含有する溶液を水洗し、水洗後の溶液を脱水した後、三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下に、上記ヒドロキシ化合物(III)と混合して反応させることにより、亜リン酸エステル類(I)が製造される。
【0031】
本発明の第二工程において、第一工程で得たビフェノール類(II)を含む反応混合物を抽出する際に用いる疎水性有機溶媒としては、例えばベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類;モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等のハロゲン化芳香族炭化水素類;n−ヘキサン、n−ヘプタン、シクロヘキサン等の脂肪族炭化水素類;ジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジイソプロピルエーテル等のエーテル類;ジクロロメタン、クロロホルム等のハロゲン化脂肪族炭化水素類等が挙げられる。これらのうち、芳香族炭化水素溶媒が好ましく用いられる。
疎水性有機溶媒は、単独で用いてもよく、混合物として用いてもよい。
【0032】
疎水性有機溶媒の使用量は、フェノール類(II’)の1重量部に対して、通常0.5〜10重量倍の範囲である。
疎水性有機溶媒で抽出して得たビフェノール類(II)の溶液は、好ましくは水洗される。また、必要に応じて、ビフェノール類(II)の溶液に活性炭等を加えて攪拌し、精製してもよい。
【0033】
上記の抽出によって得たビフェノール類(II)の溶液は、通常、水を含むので、脱水することが好ましい。
ビフェノール類(II)の溶液を脱水することにより、三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下におけるビフェノール類(II)とヒドロキシ化合物(III)との反応において、三ハロゲン化リンの加水分解によるロスを防止することができる。
【0034】
本発明の第二工程におけるビフェノール類(II)の溶液の脱水は、好ましくは、還流下で、水と共沸する疎水性有機溶媒の存在下に、上記のビフェノール類(II)の溶液中に含まれる水を、水と共沸する疎水性有機溶媒と共に反応系外へ留出させ、該反応系外でコンデンサ等により冷却された留出液を分離管等により、上記疎水性有機溶媒と水に分液される。
本発明の第二工程におけるビフェノール類(II)の溶液の脱水は、大気圧下に行ってもよく、減圧下に行ってもよい。そして、水と分離された疎水性有機溶媒は反応系内へ戻される。このようにして、疎水性有機溶媒が反応系内と反応系外を循環することにより、効率的に脱水される。
脱水時の温度は、好ましくは水と疎水性有機溶媒の共沸点以上である。
脱水時の温度は、より好ましくは60〜190℃の範囲であり、特に好ましくは60℃〜140℃の範囲である。
【0035】
本発明の第二工程におけるビフェノール類(II)の疎水性有機溶媒溶液中の水分量は、好ましくは、ビフェノール類(II)の1モル当たり、0.03モル以下であり、より好ましくは、ビフェノール類(II)の1モル当たり、0.02モル以下である。
ビフェノール類(II)の疎水性有機溶媒溶液中における水分量が、ビフェノール類(II)の1モル当たり、0.03モルを超える場合は、不純物の生成量が増加し、亜リン酸エステル類(I)の収率が低下する傾向がある。
【0036】
本発明の第二工程においては、好ましくは、先ず、ビフェノール類(II)の疎水性有機溶媒溶液を上述のように脱水して得た疎水性有機溶媒の溶液に三ハロゲン化リンを加え、次いで脱ハロゲン化水素剤の共存下に、下式(VI)
【0037】
【化16】
Figure 2004331584
Figure 2004331584
[式中、R、R及びRは上記の定義と同じである。「CL」はハロゲン原子を表す。]
で示されるリン化合物を生成させる(以下、第1段反応という)。
【0038】
次に、第1段反応で得たリン化合物(VI)を含む反応液に、更に上記ヒドロキシ化合物(III)を加えて反応させる(以下、第2段反応という)。
【0039】
第1段反応で用いる三ハロゲン化リンとしては、三塩化リンや三臭化リン等が挙げられる。
三ハロゲン化リンとしては、特に三塩化リンが好ましい。
また、脱ハロゲン化水素剤としては、総炭素数6〜14の3級アルキルアミンが好ましい。
上記の総炭素数6〜14の3級アルキルアミンとしては、例えば、トリエチルアミン、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソブチルエチルアミン又はジ−t−ブチルエチルアミン等が挙げられる。
【0040】
上記の第1段反応における三ハロゲン化リンの使用量は、ビフェノール類(II)の1モル当り1モル以上であればよく、より好ましくはビフェノール類(II)の1モル当り1〜1.15モルの範囲であり、特に好ましくは、ビフェノール類(II)の1モル当り、1.05〜1.1モルの範囲である。
三ハロゲン化リンの使用量がビフェノール類(II)の1モル当り、1モル未満であるときは、亜リン酸エステル類(I)の収率が低下する傾向がある。
脱ハロゲン化水素剤の使用量は、三ハロゲン化リンの1モル当り、好ましくは3モル以上であり、より好ましくは3〜3.5モルの範囲である。
【0041】
第1段反応における反応温度は、通常5〜140℃の範囲である。また、第1段反応における反応時間は、通常0.5〜2時間の範囲である。
【0042】
第2段反応で用いるヒドロキシ化合物(III)において、R及びRで示される炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、i−プロピル、n−ブチル、i−ブチル、sec−ブチル、t−ブチル、t−ペンチル、i−オクチル、t−オクチル、2−エチルヘキシル等が挙げられる。
上記のヒドロキシ化合物(III)において、R及びRで示される炭素数1〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル等が挙げられる。
上記のR及びRで示される炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、1−メチルシクロアルキル、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル等が挙げられる。
及びRで示される炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル、α−メチルベンジル、α、α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
上記のヒドロキシ化合物(III)において、Aで示される炭素数2〜8のアルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン、1−メチルエチレン、ジメチルメチレン、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン等が挙げられる。
また、*−CO−R−基におけるRで示される炭素数1〜8のアルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、オクタメチレン等が挙げられる。
更に、Y及びZで示される炭素数1〜8のアルコキシとしては、例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロピルオキシ、i−プロピルオキシ、n−ブチルオキシ、i−ブチルオキシ、sec−ブチルオキシ、t−ブチルオキシ、t−ペンチルオキシ、i−オクチルオキシ、t−オクチルオキシ等が挙げられる。Y及びZで示される炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、α−ベンジルオキシ、α、α−ジメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。
【0043】
上記のヒドロキシ化合物(III)は、反応液中のリン化合物(VI)の1モル当り、通常は1モル以上、好ましくは1〜1.2モルの範囲で用いられる。ヒドロキシ化合物(III)の使用量が1モル倍未満であるときは、亜リン酸エステル類(I)の収率が低下する傾向がある。
【0044】
第2段反応における反応温度は、通常、0℃〜反応溶媒の沸点の範囲である。第2段反応における反応温度は、好ましくは、30℃〜反応溶媒の沸点の範囲である。
また、反応時間は、通常0.5〜2時間の範囲である。
【0045】
かくして、亜リン酸エステル類(I)を含む反応混合物を得ることができる。
亜リン酸エステル類(I)は、反応で副生した脱ハロゲン化水素剤の塩酸塩又は臭化水素塩や用いた反応溶媒を除去後、晶析等の手段により取出すことができる。
反応混合物に含まれる脱ハロゲン化水素剤の塩酸塩又は臭化水素塩の除去は、例えば、水で洗浄後、分液して水層を除去すればよい。上記の水洗後、無機塩基を加えて水洗してもよい。無機塩基を加えて水洗する場合は、希薄な無機塩基の水溶液を用いることが好ましい。上記の塩基として、例えば、水酸化ナトリウムや水酸化カリウム等が挙げられる。
【0046】
上記の晶析は、反応溶媒を留去した後の残分に、晶析溶媒を加えて行われる。晶析溶媒としては、例えば、n−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン等の脂肪族炭化水素類;シクロヘキサン等の脂環式炭化水素類が挙げられる。
これらの晶析溶媒は、単独で用いてもよく、2種類以上を組合せてもよい。
晶析は、例えば、亜リン酸エステル類(I)が溶解している状態から、冷却することにより行われる。冷却することにより、亜リン酸エステル類が母液から析出するが、析出し難い場合には種晶を加えてもよい。
亜リン酸エステル類(I)は、母液から析出した結晶を濾過により分離し、次いで濾上物を洗浄後、乾燥することによって得ることができる。得られた亜リン酸エステル類(I)は、更に再結晶等により精製してもよい。
【0047】
【実施例】
次に、実施例等を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらの例により、限定されるものではない。
【0048】
比較例1−1
温度計、攪拌機及びコンデンサを備えたステンレス鋼(SUS 304、鉄を主成分とするクロム、ニッケル、マンガン、シリコンの合金)製の反応器に、窒素気流下で、水205重量部を加え、攪拌下に80℃迄加熱した。その後、ラウリン酸1.8重量部、28%水酸化ナトリウム水溶液1265重量部、2,4−ジ−t−ブチルフェノ−ル1810重量部を加えた。次いで、同温度で35%過酸化水素水439重量部を4時間要して加えた後、さらに35%過酸化水素水30重量部を2時間要して加え、反応を終了させた。
反応終了後、70℃まで冷却し、5%亜硫酸ナトリウム水溶液442重量部、キシレン1590重量部を加えた。その後、60〜70℃の温度で硫酸を加えて中和した。
【0049】
比較例1−2
比較例1−1で得た中和後の反応マスを、60〜70℃の温度でキシレン2640重量部を加えて、反応器内の有機物を抽出し、分液後、水層を反応器外へ取出した。反応器内に残ったキシレン層を、60〜70℃の温水905重量部で洗浄した。
次に、分液後、水層を反応器外へ取出した。温水で洗浄した後の反応器内に残った有機層を徐々に25kPaまで減圧した。次に、同圧力で93〜96℃まで加熱し、同温度でキシレンを4時間還流させながら、水分を反応器外の水分離管に導いて脱水を行った。脱水終了後、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオールを28重量%含むキシレン溶液(キシレン含量69重量%、水分含量0.02%)の6129重量部を得た。
上記で得た3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオールのキシレン溶液700重量部を100℃に加熱し、約18kPa(140mmHg)の減圧下に、キシレンを留去させた。次いで同温度で徐々にメタノ−ル160重量部を加えて室温まで冷却し、結晶を析出させた。析出させた結晶を濾過した後、濾上物をメタノ−ルで洗浄した。洗浄後の濾上物を乾燥して、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオールの176.5重量部を得た(純度99.5%、不純物0.4%、水分0.02%)。
晶析における3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオールの回収率は、89.6%であった。
【0050】
実施例1−1
比較例1−2におけるキシレンの還流時間を30分とした以外は比較例1−2と同様の操作を行って、脱水した。
脱水終了後、3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオールを28重量%含むキシレン溶液(キシレン含量69.2重量%、水分含量0.05重量%)の6134重量部を得た。
【0051】
実施例1−2
上記の実施例1−1で得た3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオールのキシレン溶液613重量部に三塩化リン62重量部を加え、攪拌下に50〜65℃の温度を保ちながら、ジイソプロピルエチルアミンの188重量部を3時間要して加えた。その後、同温度で1時間保温した。
次に、50〜65℃の温度を保ちながら、3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパノール104重量部を加え、その後、60℃〜80℃で1時間保温して、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン(以下、単に「ジオキサホスフェピン」という)を含む反応液を得た。
得られた反応液を水洗後、更に3重量%の水酸化ナトリウム水溶液で洗浄した。洗浄後の有機層を、加熱下に減圧蒸留して、水とキシレンを留去した。
留去後の残液にn−ヘプタンの210重量部を加え、次いで、上記のジオキサホスフェピンの種晶を少量加えた。その後、冷却して結晶を析出させた。析出した結晶を濾別後、濾上物をn−ヘプタンで洗浄した。次いで、乾燥後、ジオキサホスフェピンの白色結晶225重量部を得た。
結果を、表1に示す。
【0052】
比較例1−3
温度計、攪拌機及びコンデンサを備えた反応器に、上記の比較例1−2で得た乾燥後の3,3’,5,5’−テトラ−t−ブチルビフェニル−2,2’−ジオールの172.5重量部、キシレンの423重量部、三塩化リンの62重量部を仕込み、攪拌下にジイソプロピルエチルアミンの188重量部と、3−(3−t−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルフェニル)プロパノール104重量部と、n−ヘプタン210重量部を用いた以外は、実施例1−2と同様に操作して、ジオキサホスフェピンの白色結晶210重量部を得た。結果を表1に示す。
【0053】
【表1】
Figure 2004331584
*・・水分含量は、ビフェノール類(II)1モル当りを基準とする。
#・・亜リン酸エステル化合物(I)の収率は、フェノール類(II’)を基準とする。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、ビフェノール類(II)を含む反応混合物を疎水性有機溶媒の溶液として、三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下に、ヒドロキシ化合物(III)と混合して反応させるので、濾過工程及び乾燥工程を省略することができ、亜リン酸エステル(I)の収率及び生産性が格段に向上する。

Claims (9)

  1. 下記の第一工程及び第二工程を含むことを特徴とする下式(I)で示される亜リン酸エステル類の製造方法。
    Figure 2004331584
    Figure 2004331584
    [式中、R及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表し、Rは水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。
    及びRは、それぞれ独立に水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基、又はアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
    Aは炭素数2〜8のアルキレン基、*−CO−基又は*−CO−R−基を表す。上記のRは炭素数1〜8のアルキレン基を表し、*は酸素側に結合していることを示す。
    Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を表し、他方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を表す。]
    (第一工程)
    下式(II’)
    Figure 2004331584
    [式中、R、R及びRは上記と同じ定義である。]
    で示されるフェノール類を反応溶媒の存在下に酸化カップリング反応させて、下式(II)
    Figure 2004331584
    Figure 2004331584
    [式中、R、R及びRは、上記と同じ定義である。]
    で示されるビフェノール類を含む反応混合物を得る工程、
    (第二工程)
    第一工程で得たビフェノール類(II)を含む反応混合物から、上記ビフェノール類を疎水性有機溶媒で抽出して得た溶液を、三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下に、下式(III)
    Figure 2004331584
    Figure 2004331584
    [式中、R、R、A、Y及びZは、上記と同じ定義である。]
    で示されるヒドロキシ化合物と混合して反応させる工程
  2. 第一工程における酸化カップリング反応を、鉄、又は鉄を含有する材質からなる反応器の中で行う請求項1に記載の亜リン酸エステル類(I)の製造方法。
  3. 第一工程における酸化カップリング反応を、塩基の存在下に行う請求項1又は2に記載の亜リン酸エステル類(I)の製造方法。
  4. 第一工程で得たビフェノール類(II)を含む反応混合物から、上記ビフェノール類を疎水性有機溶媒で抽出して得た溶液を水洗し、該水洗後のビフェノール類(II)を含む疎水性有機溶媒の溶液を脱水し、次いで、該脱水された溶液を、三ハロゲン化リン及び脱ハロゲン化水素剤の存在下に、ヒドロキシ化合物(III)と混合して反応させる請求項1〜3のいずれかに記載の亜リン酸エステル類の製造方法。
  5. 第二工程における疎水性有機溶媒が、芳香族炭化水素溶媒、脂肪族炭化水素溶媒又は脂肪族エ−テル溶媒である請求項1〜4のいずれかに記載の亜リン酸エステル類の製造方法。
  6. 第一工程における酸化カップリング反応を、下式(V)
    Figure 2004331584
    Figure 2004331584
    [式中、Rはアルキル基、シクロアルキル基、アルキルシクロアルキル基、又はアルキル基若しくはアルコキシ基で置換されていてもよいフェニル基を表す。
    Mはアルカリ金属原子又はアルカリ土類金属原子を表す。
    nは1又は2であり、Mがアルカリ金属原子であるときnは1であり、Mがアルカリ土類金属原子であるときnは2である。]
    で示されるカルボン酸塩の存在下に行う請求項1〜5のいずれかに記載の亜リン酸エステル類の製造方法。
  7. 脱ハロゲン化水素剤が、総炭素数6〜14の3級アルキルアミンである請求項1〜6のいずれかに記載の亜リン酸エステル類の製造方法。
  8. 総炭素数6〜14の3級アルキルアミンが、トリブチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、ジイソブチルエチルアミン又はジ−t−ブチルエチルアミンである請求項7に記載の亜リン酸エステル類の製造方法。
  9. ビフェノール類(II)を含む疎水性有機溶媒の溶液を脱水して得られる溶液中の水分が、ビフェノール類(II)1モル当たり、0.03モル以下である請求項4〜8のいずれかに記載の亜リン酸エステル類の製造方法。
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