JP2004330451A - 酸素検知機能付き酸素吸収性テープ、及び当該テープ付き包装体 - Google Patents

酸素検知機能付き酸素吸収性テープ、及び当該テープ付き包装体 Download PDF

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徹郎 安池
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Abstract

【課題】包装体に酸素吸収性能と酸素検知機能を併せて付与するとともに、多様化する包装形態に対して容易に適用できる酸素検知機能付き酸素吸収性テープ、及び当該テープ付き包装体を提供すること。
【解決手段】酸素吸収性物質を含有する酸素吸収層10A、熱可塑性樹脂層10B、及び酸素検知物質を含有する酸素検知層10Cを備えていることを特徴とする酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10、及び当該テープを内面側に貼り付けてなることを特徴とする当該テープ付き包装体1。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ、及び当該テープ付き包装体に関する。更に詳しくは、食品、医薬品、機械部品、電子部品等の密封包装に好適に用いられる酸素検知機能付き酸素吸収性テープ、及び当該テープ付き包装体に関する。
【0002】
【背景技術】
食品、医薬品、飲料、各種機器などの包装においては、収納物の酸素による変質や微生物の繁殖による腐敗を防いで品質を保持するために、包装材料について酸素ガスバリアー性を有する材料で構成するとともに、包装体内の酸素を除去し、被収納物の酸素劣化、変色、カビ、好気性菌などによる変質などを防止する包装形態が用いられている。
【0003】
また、一般には、包装体における内部の酸素を除去するために、粉末状ないし粒状の酸素吸収剤(脱酸素剤)を、ガスバリアー性を有した通気性包装材料に包装した酸素吸収剤包装体(酸素吸収剤入り小袋)を、収納物とともに密封する方法が採用されており、今日において流通される各種の包装形態は、かかる酸素吸収剤包装体が封入されたものが多い。
【0004】
しかしながら、かかる包装形態にあっては、例えば、酸素吸収剤包装体が食品中に混入してしまったり、また、誤って食されたり、調理されたりする等、安全性の面からの問題があった。更には、酸素吸収剤包装体が破けたりすると、内容物である酸素吸収剤が外部にもれ出してしまって、食品等が汚染されてしまうという心配もあった。そして、収納物が水分を含んだ非乾燥物である場合や、また、液状物である場合には、前記の酸素吸収剤包装体を実質的に使用できないなどの問題もあった。このため、近年では、包装材料自体、すなわち、フィルムやシート、容器等の包装体の構成材料自体に酸素吸収機能を付与する手段がいろいろ提案されてきている。
【0005】
このような酸素吸収機能を有した包装形態としては、例えば、ポリ塩化ビニリデン系樹脂またはエチレン−ビニルアルコール系共重合体からなるガスバリアー層の保護層として水分により酸素吸収能を有する脱酸素剤を混入した脱酸素層を設けた包装材料が提案されていた(例えば、特許文献1)。
【0006】
一方、前記した食品等の酸素の存在を問題とする包装形態にあっては、包装体が市場において正常に機能しているかどうか、すなわち、包装体内部の酸素がユーザーでの開封使用時において実質的に存在しない状態に維持されているかどうかが非常に重要であった。従って、包装体に対して内部における酸素の存在状態を知らせる酸素検知機能(酸素インジケーター)を付与した包装形態についても、従来から検討が進められていた。かかる酸素検知機能を有する包装形態としては、例えば、特定のアイオノマーと酸素バリアー性ポリマーからなる積層体により構成される包装材料や(例えば、特許文献2)、気体不透過性の透明樹脂シート上に酸素インジケーター層が設けられ、前記酸素インジケーター層が覆われるように気体透過性の樹脂によりシーラント層が形成された包装材料が提案されていた(例えば、特許文献3及び特許文献4)。
【0007】
【特許文献1】
特開昭63−137838号公報(第1頁−第6頁)
【特許文献2】
特公平7−82001号公報(第1頁−第6頁)
【特許文献3】
特開平5−149942号公報(第1頁−第5頁)
【特許文献4】
特開平5−149943号公報(第1頁−第5頁)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記した従来から提案されている技術は、いずれも、酸素吸収機能と酸素検知機能を併せ持ったものではないことに加えて、包装体を構成するフィルムやシート等の材料自体が酸素吸収性能及び酸素検知機能を有しているものであるため、包装形態としての汎用性に欠けるものであった。すなわち、フィルムやシートで構成される包装体はそれぞれの用途、サイズ、包装材料の種類(例えば、フィルムからなる袋状包装体や、シートを熱成形して得られる容器状包装体等)と非常に多様化しており、更には、包装体のデザインや表面への印刷などを考慮すると、包装材料自体に酸素吸収性能等の諸機能を付与したのでは、かかる多様化する包装形態の要求に対処することは極めて困難であるというのが実状であった。
【0009】
本発明の目的は、前記の課題に鑑みてなされたものであり、包装体に酸素吸収性能と酸素検知機能を併せて付与するとともに、多様化する包装形態に対して容易に適用できる酸素検知機能付き酸素吸収性テープ及び当該テープ付き包装体を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープは、酸素吸収性物質を含有する酸素吸収層、熱可塑性樹脂層と、酸素検知物質を含有する酸素検知層を備えていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の包装体は、前記の酸素検知機能付き酸素吸収性テープを内面側に貼り付けてなることを特徴とする。
【0012】
本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープ(以下、単に「テープ」とする場合もある)を構成する酸素吸収性物質としては、酸素吸収能を有するものであれば特に制限はないが、例えば、鉄粉、アルミニウム粉、亜鉛粉、珪素(ケイ素)粉等の金属粉、ハロゲン化金属等の金属塩類、第一鉄塩などの無機塩類、アスコルビン酸又はその塩類、カテコール、グリセリンなどのアルコールまたはフェノール類、多価フェノール類などの各種還元性有機化合物、第一酸化鉄(FeO)、第二酸化鉄(Fe)、FeTiO等の鉄還元性低位酸化物や鉄化合物などの還元性無機物質、金属錯体、亜硫酸塩、亜硫酸水素塩、チオ硫酸塩、シュウ酸塩、ピロガロール、カテロール、ロンガリット、グルコース、ビタミンC、酸素吸収ポリエステル等の酸素吸収ポリマー等が挙げられ、前記したうち、鉄粉を主成分とするものが好ましい。なお、酸素吸収性物質として鉄粉等の鉄系の物質を使用する場合には、酸素吸収開始機能を付与すべく、少量の水分を含ませてもよい。
【0013】
本発明においては、これらの中で、鉄粉と金属塩類との鉄系材料、特に、鉄粉とハロゲン化金属からなる酸素吸収性物質を使用することが好ましい。そして、ハロゲン化金属により表面が被覆された鉄粉を酸素吸収性物質として適用することにより、酸素吸収層に優れた脱酸素性能を付与することができるため好ましい。
【0014】
酸素吸収性物質として用いられる鉄粉は、脱酸素反応を呈することが知られている公知の鉄粉を使用することができる。また、鉄粉は、熱可塑性樹脂等の樹脂成分中に分散することができるものを使用することが好ましい。
【0015】
使用される鉄粉は、平均粒径が5〜200μmであることが好ましく、5〜50μmであることがより好ましい。鉄粉の平均粒径が5μmより小さいと、粉塵などによる作業性の低下を招く場合があり、一方、鉄粉の平均粒径が200μmより大きいと、鉄粉の表面積が相対的に小さくなって、酸素吸収速度が低下するとともに、酸素吸収層の平滑性が損なわれる場合があるため、それぞれ好ましくない。
【0016】
酸素吸収性物質として用いられるハロゲン化金属としては、特に制限はなく、例えば、アルカリ金属またはアルカリ土類金属の塩化物、臭化物、ヨウ化物などを挙げることができる。これらの中で、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びバリウムの塩化物を使用することが好ましい。
【0017】
かかるハロゲン化金属の配合量は、鉄粉100重量部当たり0.1〜20重量部であることが好ましく、0.5〜5重量部であることがより好ましい。また、ハロゲン化金属により鉄粉の表面を被覆することにより、鉄粉に配合する金属ハロゲン化物の量を少なくすることができる。
【0018】
前記した酸素吸収性物質は、そのままの形態で使用してもよく、また、他の樹脂材料と混合ないし混練した混合材料ないしは混練材料として用いてもよい。
かかる他の樹脂材料としては、例えば、後記する熱可塑性樹脂層で使用される熱可塑性樹脂や、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)樹脂、無水マレイン酸変性ポリプロピレン樹脂等の樹脂材料の1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。また、酸素吸収性物質に対するかかる他の樹脂成分の配合量は、一般に、30〜70質量%程度とすることが好ましく、40〜60質量%程度とすることが特に好ましい。なお、本発明における酸素吸収層を、前記のように酸素吸収性物質と他の樹脂成分との混合ないし混練材料とする場合には、酸素検知機能付き酸素吸収性テープを製造する際にあたり、延伸処理して多孔質化することにより、酸素吸収層の酸素吸収性能を高めてもよい。
【0019】
更には、本発明においては、酸素吸収層が、酸素吸収性物質と熱可塑性樹脂との混練材料であることが好ましい。酸素吸収層を酸素吸収性物質と熱可塑性樹脂との混練物とすることにより、耐水性が向上するため、お粥など水分を多量に含んだレトルト食品を包装する用途にも好適に使用することができる。
【0020】
また、酸素吸収性物質としては、酸素吸収性能を有する高分子系物質を使用することができる。かかる高分子系物質としては、例えば、特開2002−69320号に開示される樹脂組成物、Chevron Phillip Chemicals社のOSPや、BP Amoco社のamsorb dfc等の高分子系樹脂を好適に使用することができる。
【0021】
本発明を構成する酸素吸収層の形態としては、酸素吸収性物質が、後記する熱可塑性樹脂中に混練されている態様や、熱可塑性樹脂層が不織布等の場合には、酸素吸収性物質が熱可塑性樹脂層にすき込まれている場合、酸素吸収性物質が粉体のまま、または熱可塑性樹脂パウダーとの混合物として存在する場合等、種々の形態を適用することができる。
【0022】
次に、本発明の熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂としては、ポリエチレン(PE)系樹脂、ポリプロピレン(PP)系樹脂等のポリオレフィン系樹脂、ポリオレフィン系エラストマー、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂、ポリアミド(ナイロン)樹脂の1種を単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。
ポリエチレン系樹脂としては、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)(メタロセン系触媒により製造された低密度ポリエチレン含む)、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)等が挙げられ、また、ポリプロピレン系樹としては、例えば、ホモポリプロピレン(HPP)、ランダムポリプロピレン(RPP)等が挙げられる。
【0023】
また、本発明における熱可塑性樹脂層を構成する熱可塑性樹脂には、公知の充填剤を、本発明の効果に影響を与えない範囲で適宜配合してもよい。充填剤としては、例えば、タルク、酸化チタン、炭酸カルシウム等が挙げられ、これらの1種を単独で、または2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0024】
また、熱可塑性樹脂層の形態としては、例えば、シート状(フィルム状含む)、不織布状、織布状等、種々の形態とすることができる。
【0025】
そして、本発明における酸素検知層を構成する材料としては、酸素検知機能を有するものであれば特には制限はないが、例えば、色素及び必要により還元剤を含有するインキまたは塗料や、2価マンガンと有機アミンの錯イオンを陽イオンとするアイオノマー等を使用することが好ましい。酸素検知層をかかる材料で構成することにより、酸素検知層に対して優れた酸素検知機能を付与することができるため好ましい。
【0026】
( インキまたは塗料 )
インキまたは塗料(以下、「インキ等」とする場合もある)に使用される色素は、酸化状態から還元状態に変態するにあたって変色(発色から消色)する色素であればいずれの公知の色素でもよいが、本発明においては、色素として、酸化状態においては有色であり、還元状態においては無色または淡色となる性質を有する染料を使用することが好ましい。
【0027】
また、かかる性質を有する染料としては、例えば以下(1)〜(4)に示す染料が挙げられ、特に好ましいものは上記(1)のチアジン系染料である。なお、以下に示す染料は、酸化状態でも還元状態でも使用することができる。
【0028】
(1)基本構造として、下記(I)式を有するチアゾン系染料(例えば、メ
チレンブルー等)
【化1】
Figure 2004330451
Figure 2004330451
【0029】
(2)基本構造として、下記(II)式を有するインジゴイド系染料(例えば、インジゴスルフォン酸カリウム塩等)
【化2】
Figure 2004330451
Figure 2004330451
【0030】
(3)基本構造として、下記(III)式を有するチオインジゴイド染料(例えば、ミケスレンブリリアントピンクR等)
【化3】
Figure 2004330451
Figure 2004330451
【0031】
(4)基本構造として下記(IV)式を有する硫化染料(例えば、C.I.スルファーブルー7等)
【化4】
Figure 2004330451
Figure 2004330451
(Rは−H、アルキル基、アリル基を示す)
【0032】
前記した色素は、還元状態であれば単独でも使用することができるが、酸素検知層の安定性を高めるために、還元剤を併用することが好ましい。また、前記色素は酸化状態でも使用でき、この場合には還元剤の併用が必要とされる。色素と併用される還元剤としては、色素を還元状態に保持し得るものであればいずれも使用可能であるが、例えば、ハイドロサルファイトのような強力な還元剤の場合には、該還元剤が色素を過還元して色素を発色不能とする場合があり、また、保持時には該還元剤自体が空気中の酸素によって酸化される等、得られる包装材料の保持性が不足する場合があるので色素を選択する必要がある。このような観点から、本発明においては、常温では色素の還元性が低い一方、常温では空気内の酸素によって酸化されにくい弱還元剤を使用することが好ましい。
【0033】
かかる弱還元剤として好ましいものとしては、例えば、還元性糖類であり、かかる還元性糖類の例としては、D−マルトース、D−グルコース、D−フラクトース、D−エサスロース、D−アラビノース等の単糖類;マルトース、ラクトース等の単糖類分子のグリコシド結合からなる還元性糖類が挙げられ、また、アスコルビン酸のように水酸基を有している樹脂酸も使用することができる。色素に対する還元剤の配合量は、色素1重量部に対して、還元剤を1〜100重量部とすることが好ましい。
【0034】
また、インキ等には、適当なアルカリ性物質を併存させるのが好ましい。かかるアルカリ性物質としては、水と接触してpHが8以上になるものであればいずれでもよく、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、水酸化カルシウム、炭酸カルシウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム、炭酸水素カルシウム、水酸化マグネシウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酒石酸カリウムナトリウム、2−エチルヘキサン酸カリウム塩等の水酸化物、カルボン酸塩、各種塩類等が挙げられ、本発明においては、長期的な安定性の点を考慮して水酸化マグネシウムを使用することが特に好ましい。かかるアルカリ性物質の配合量は、使用される色素の種類等により適宜決定すればよいが、前記の色素1重量部に対して1〜500重量部とすることが好ましい。
【0035】
前記の色素等をインキ化または塗料化するために使用される適当なバインダーとしては、例えば、エチルセルロース、エチルヒドロキシエチルセルロース、セルロースアセチルプロピオネート等のセルロース誘導体、ブチラール樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテル樹脂、ポリアミド樹脂、石油系樹脂等の1種または2種以上が挙げられる。これらのバインダーは、好ましくは、トルエン、キシレン等の芳香族系、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル系、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール系、更にはエチレングリコールモノエーテル類或いはエチレングリコール等のグリコール類等の有機溶剤或いは水に溶解ないし分散させて使用すればよい。前記したバインダーの配合量は、溶剤100重量部に対して5〜100重量部を溶解ないし分散させて配合することが好ましい。
【0036】
酸素検知層を形成するためのインキ等は、上記樹脂溶液100重量部に対して前記成分系を5〜40重量部の割合で溶解若しくは分散させることにより得られる。この溶解若しくは分散させる方法としては全成分を混合してサンドミル、ボールミル、ロールミル、アトライター等の一般的手段により混練すればよいが、インキ等としての性能を長く保持する為には、密閉状態でインキ化または塗料化することが好ましい。
【0037】
なお、上記のインキ等には、グリセリンやエチレングリコール等の多価アルコールを、インキ等の全体に対して5重量%程度の量で添加しておくことにより、酸素検知層が酸素と接触した時に色素の変色ないしは消色を早める上で効果的である。
【0038】
また、インキ等には、ノニオン系界面活性剤等の各種添加剤や助剤等を加えておくこともできる。また、上記インキ等は2液型に調製して、即ち、色素及び還元剤をバインダー液に加えてA液を調製し、一方、アルカリ性物質をバインダー液に加えてB液を調製し、これらの両液を酸素検知層を形成する直前に混合して使用することにより、インキ等の保存安定性を向上させることができる。
【0039】
更には、前記のインキ等には、組成物の系内で還元されず、かつ酸素インジケーター層用染料とは異なる色の他の色素を別個に添加しておくことにより、無色から有色への発色だけでなく、有色から異なる色相の色に変化させることができる。このような色素としては、従来から印刷インキまたは塗料等一般の着色剤として広く使用されている一般的な顔料や染料をそのまま使用すればよく、これらの他の色素はインキ等全体に対して、0.05〜5質量%程度の量で添加することができる。
【0040】
( アイオノマー )
また、本発明で用いられる2価マンガンと有機アミンの錯イオンを陽イオンとするアイオノマー(以下、単に「アイオノマー」とする場合もある)は、疎水性の炭化水素主鎖に側鎖及び/または末端基としてカルボン酸基やスルフォン酸基等の酸性官能基を有する高分子化合物が2価マンガンと有機アミンとの錯イオンで部分的または完全に中和されているものである。ここで、前記した錯イオンの部分的な中和物にあっては、当該錯イオンが存在する限り、錯イオンで中和されていない酸性官能基が他の金属イオンやアンモニウムイオンなどで部分的または完全に中和されたものであってもよい。
【0041】
アイオノマーの基体(ベース)となる酸性官能基を有する高分子化合物としては、オレフィンと不飽和カルボン酸、更には必要に応じて他の不飽和単量体との共重合体、スルフォン化オレフィン系重合体などを使用することができる。また、共重合体としては、ランダム共重合体、ブロック共重合体、交互共重合体、グラフト共重合体などのいずれをも使用でき、例えば、エチレン−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−(メタ)アクリル酸エステル−(メタ)アクリル酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸共重合体、エチレン−無水マレイン酸−酢酸ビニル共重合体、エチレン−マレイン酸モノエステル共重合体、エチレン−マレイン酸モノエステル−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、スチレン−メタクリル酸共重合体、スルフォン化ポリエチレン、スルフォン化ポリスチレン等が挙げられる。本発明では、これらの中ではフィルムなどへの熱成形加工性の点からエチレン系の重合体、特にエチレン−不飽和カルボン酸共重合体やエチレン−不飽和カルボン酸エステル−不飽和カルボン酸共重合体を使用することが好ましい。なお、これらのエチレン系共重合体としては、エチレン含有量が70〜99モル%、特に90〜99モル%のものが好ましい。
【0042】
アイオノマーの陽イオンとしては、2価マンガンと有機アミンとの錯イオンが用いられる。かかる錯イオンを陽イオンとするアイオノマーは、酸素の吸脱着によって色が変化するという特異な性質を有し、酸素検知物質として利用しうることが見出されたものであり、その一方で、有機アミンと錯イオンを形成させない2価のマンガン単独を陽イオンとするアイオノマーは、酸素の存在下で変色するものであるが、その速度は非常に遅く、また変色の程度も小さいものである。
【0043】
2価マンガンとの錯イオンを形成させる有機アミンとしては、1級アミノ基を1分子に2個以上有するポリアミンを使用することが好ましい。例えば、1級アミノ基を1分子に2個以上有するポリアミンと2価マンガンとの錯イオンを陽イオンとするアイオノマーは、2級または3級のアミノ基を有するポリアミンや、1級モノアミンと2価マンガンとの錯イオンを陽イオンとするアイオノマーに比べて、熱に対して比較的安定であり、熱成形加工時に分解したり、アミンがアイオノマーより気化し、脱離してしまうおそれが少ないので本発明を構成する酸素検知物質として好ましい。
また、好ましい有機アミンとしては1,3−ビスアミノシクロヘキサン、メタキシレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、テトラエチレンペンタミンなどがあり、これらの有機アミンを2種以上混合して使用してもよい。
【0044】
アイオノマー中におけるマンガン濃度は、基体(ベース)となる酸性官能基を有する高分子化合物の種類によっても異なるが、一般に、アイオノマー全体に対して0.1〜10質量%程度とすることが好ましい。また、アイオノマー中におけるアミンの量は、酸性官能基(中和されたものを含む)1モルに対して、0.05〜3.0モル程度とすることが好ましい。
【0045】
マンガンと有機アミンとの錯イオンを陽イオンとするアイオノマーは単独で使用することもできるが、酸素による変色反応に影響を与えないものであれば他の陽イオンを有するアイオノマー、あるいはその他の熱可塑性樹脂等と混合使用することもできる。
【0046】
本発明に用いられるアイオノマーは、一般に実施されているアイオノマーの製造方法と同様な方法で製造される。アイオノマーの製造は、通常酸性高分子化合物の合成工程とその後のアイオノマー化(中和)工程に分かれる。酸性高分子化合物の合成は、例えば酸性高分子化合物がエチレン−メタクリル酸共重合体であれば、1000〜3000kg/cm(約98〜294MPa)、150〜250℃の反応条件で、有機過酸化物を開始剤とするラジカル重合法を用いて製造すればよい。また、酸性高分子化合物がポリオレフィン−アクリル酸グラフト共重合体であれば、押出機等で100〜300℃の温度条件下でポリオレフィンとアクリル酸モノマー、有機過酸化合物を混練することによって製造すればよい。なお、スルフォン化ポリスチレン等のスルフォン酸ポリマーは、ポリスチレンを発煙硫酸浴中でスルフォン化処理することにより合成される。
【0047】
また、アイオノマー化(中和)工程では、100〜300℃の温度条件下で酸性高分子化合物に対して、酢酸マンガン等の2価マンガンの有機酸塩や有機アミンを所望量添加混合して反応させることにより行なわれ、反応により副生する水や有機酸は脱気処理等により除かれる。混練装置としてはスクリュ押出機、バンバリーミキサー、ロールミキサー等が使用できるが、操作の容易性の点で押出機が好ましい。アイオノマー工程においては、2価マンガンの有機酸塩と有機アミンの2成分を同一工程で酸性高分子化合物と反応させることや、これらのいずれか一方を先に高分子化合物と反応させて錯イオン化することも可能である。アイオノマー化工程としては、この他にも酸性高分子化合物を有機溶剤に溶解した状態で2価マンガン塩および有機アミンを反応させ、その後溶剤を除いてアイオノマーを得る方法を使用してもよい。
【0048】
また、アイオノマーは、製造時の形状である粉末の状態のままで使用することもでき、かかる状態にあっては、包装材料および収納物を着色汚染しないという利点を有する。
しかしながら、本発明の酸素検知層を構成するアイオノマーは、成形の容易なポリマーであり、各種の成形体として成形して使用することによって、その特徴をより一層効果的に利用することができる。特にシート状またはフィルム状の成形体は広い面積を持った面状の酸素検知層として酸素の進入経路をも検知し得る特徴を有している。成形体として使用する場合には、メルトフローレート(条件:190℃、2160g荷重で測定)が0.1〜1000g/10分程度のものを用いるのが好ましい。
【0049】
アイオノマーの成形方法は、通常の熱可塑性高分子化合物の一般的な成形方法がそのまま適用できる。すなわちスクリュ押出機を使用した押出成形によるフィルムやシート、熱プレス成形によるシート、フィルム、ロール成形によるシート等が成形できる。また、後記するように、本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープを構成する他の層とともに、共押出成形により形成してもよい。
【0050】
かかる酸素検知層の厚さは、特に制限はなく、本発明を構成する他の層の種類や厚さに応じて適宜決定すればよいが、一般に、1〜20μm程度とすることが好ましい。
【0051】
前記した各層により構成される本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープの形状としては、特に制限はないが、一般には、長尺な矩形状であることが好ましい。
また、当該テープの厚さは、一般に、50〜500μmであることが好ましく、100〜250μmであることが特に好ましい。テープの厚さをかかる範囲にすることにより、酸素検知機能と酸素吸収性能を併せ持つとともに、生産性、加工性、取り扱い性等に優れたテープを得ることができるため好ましい。
【0052】
また、当該テープの断面形態としては、例えば、矩形状の酸素吸収層が完全に熱可塑性樹脂層に被覆され、その表面の少なくとも一部に酸素検知層が形成されている断面形態や、矩形状の酸素吸収層が完全に熱可塑性樹脂層に被覆され、かつ、酸素検知層も、熱可塑性樹脂層に被覆された断面形態とすることができる。また、各層を並べて積層した断面形態としてもよい。更には、円形の酸素吸収層のまわりがドーナツ形の熱可塑性樹脂層に覆われ、その表面の少なくとも一部に酸素検知層が形成されている断面形態や、円形の酸素吸収層のまわりが星形の熱可塑性樹脂層に覆われ、その表面の少なくとも一部に酸素検知層が形成されている断面形態等、各種の形態とすることもできる。そして、最外層として酸素検知層が形成されている場合にあっては、当該酸素検知層の上面に対してさらに保護層を形成するようにすれば、酸素検知層と収納物との接触を確実に防止できるので好ましい。なお、保護層を形成する材料としては、特に制限はなく、例えば、前記した熱可塑性樹脂等の各種樹脂材料を好適に使用することができる。
【0053】
なお、本発明においては、前記した形態のうち、酸素吸収層が熱可塑性樹脂層に被覆された断面形態とすることが好ましく、かかる断面形態とすることにより、包装体の収納物と酸素吸収性物質の接触を確実に防止できるため好ましい。
【0054】
本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープの製造方法としては、例えば、
酸素検知層を構成する材料がインキまたは塗料等の液状のものである場合には、まず、公知の多層異形共押出成形法により、酸素吸収層と熱可塑性樹脂層からなるテープ(酸素吸収性テープ)を製造した後、当該テープに対して、グラビア印刷法、オフセット印刷法、凸版印刷法、スクリーン印刷法等公知の印刷方法または公知の塗布方法により、酸素検知層を形成する手段等が挙げられる。なお、かかる多層異形共押出成形によるテープの製造と、インキの印刷ないし塗布は、一工程で同時に行ってもよい。
【0055】
また、酸素検知層を構成する材料が、アイオノマー等高分子材料から構成される場合には、公知の多層異形共押出法により、一工程により製造する手段や、前記と同様に、まず、酸素吸収層と熱可塑性樹脂層からなるテープを製造した後、酸素検知層を構成する特定のアイオノマーを、公知のラミネート法等により前記テープに積層して、本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープを製造してもよい。
【0056】
なお、前記の酸素吸収性テープの製造にあたっては、熱可塑性樹脂のチューブに酸素吸収性物質を充填して、熱ロールなどで熱圧着したり、熱可塑性樹脂からなる不織布や織布の間に酸素吸収性物質を充填し、熱可塑性樹脂のシート等で被覆して熱圧着したり、熱可塑性樹脂のチューブに挿入する方法等、種々の手段を適用してもよい。そして、かかる酸素吸収性テープの表面に対して、酸素検知層を形成すればよい。
【0057】
かくして得られる本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープは、酸素吸収性物質を含有する酸素吸収層、熱可塑性樹脂層及び酸素検知物質を含有する酸素検知層を備える構成としているので、酸素吸収機能と酸素検知機能を併せ持ったテープであるとともに、酸素吸収層や酸素検知層を有するシートを構成材料として包装体として製造するのと比較して、包装体に対してかかるテープを熱接着等するだけで、包装体に簡便に酸素吸収性能及び酸素検知機能を付与することができる。また、テープが包装体に熱接着されている形態となるため、製造時の入れ忘れや、あるいは包装体の開封時に誤って外部に出てしまったりすることもない。更には、テープの構成として、酸素吸収層が、前記熱可塑性樹脂層に被覆された断面を有するようにすれば、包装体の収納物と酸素吸収性物質の接触を確実に防止することができる。さらに、酸素検知機能付き酸素吸収性テープの酸素検知層の色の変化は、包装体の外部から確認できるものであるため、包装体を外部から観察することにより、包装体内の酸素の存在を容易に確認することができる。
【0058】
また、本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープは、テープという汎用形態であることから、在庫、輸送、貯蔵が容易であるとともに、テープ自体が、包装体の基材を構成しないので、包装形態の多様化に柔軟に対応できる、更には、当該テープは、従来の包装体の製袋時におけるヒートシール工程や、容器包装の蓋材のヒートシール工程などに容易に組み込むことが可能であるため、包装体の製造に影響を及ぼすこともない。そして、テープ自体の製造も簡便な手段が用いられており、一工程で行うことも可能であるため、テープ製造工程の簡略化や製造コストの削減にもつながるものである。
【0059】
本発明の包装体は、前記した酸素検知機能付き酸素吸収性テープを、包装体の内面側に熱接着して貼り付けていることを特徴とする。包装体をかかる構成とすることにより、酸素吸収機能及び酸素検知機能を併せ持った包装体を簡便に提供することが可能となる。
なお、かかる包装体の形態は、矩形状のフィルムの周縁を熱接着して構成される包装体として、当該包装体の内部面に酸素検知機能付き酸素吸収性テープが熱接着されていることが好ましい。
【0060】
また、酸素検知機能付き酸素吸収性テープの包装体に対する熱接着は、当該テープの全面を熱接着してもよく、また、その一部を熱接着するようにして貼り付けていてもよい。なお、本明細書における「熱接着」とは、加熱手段を用いて層同士の接着させることの全てを指し、例えば、熱融着(溶融接着、溶着)、いわゆるヒートシールをも含む意味である。
【0061】
包装体を構成するフィルムとしては、ガスバリアー性を有するものを使用することが好ましく、例えば、アルミニウム、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等から選ばれた少なくとも1つからなるフィルム、または、ポリエチレンテレフタレートに酸化ケイ素や酸化アルミ等の無機物質を蒸着させたものからなるフィルム等の種々の材料を使用することができる。また、酸素検知機能付き酸素吸収性テープが熱接着される面には、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)、ランダムポリプロピレン(RPP)、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)、各種アイオノマー等の樹脂材料でシーラント層を形成しておくことが好ましく、あるいは、本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープの接着面に対して、前記樹脂材料で構成されるシーラント層を設けてもよい。
【0062】
具体的なフィルムの構成としては、例えば、ナイロン/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ナイロン/ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)/ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートに酸化ケイ素や酸化アルミ等の無機物質を蒸着させた層/ポリオレフィン系樹脂、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)/ポリプロピレン、ナイロン/ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、前記ポリオレフィン系樹脂としては、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。フィルムの厚さは、特に制限はないが、一般に30〜1500μm程度とすることが好ましい。なお、ここでいう「フィルム」とは、いわゆるシートや、当該シートを熱成形等することにより得られる容器成形品も含む概念である。
【0063】
形成される包装体の形態としては、前記したフィルムからなる縦ピロー袋、横ピロー袋、四方シール袋、三方シール袋、ガゼット袋、自立袋、成形容器包装体等種々の形態の包装体を採用できる。
また、酸素検知機能付き酸素吸収性テープの熱接着の位置としては、各ピロー袋内面への熱接着、容器成形品、蓋材への熱接着等が挙げられ、酸素検知層が包装体の外部から容易に観察できる位置に熱接着させることが好ましい。
【0064】
このように、本発明の包装体は、酸素検知機能付き酸素吸収性テープが、包装体の内面側に熱接着されていることにより、接着剤、粘着剤等で貼り付けた場合と比較して臭気の発生がなく、臭気が包装体の収納物へ移行するということもなく、また、熱水に対して接着性が高いため、ボイル、レトルト等加熱殺菌が容易に行うことができる。更には、製造においても、フィルム端部の熱接着と同時に酸素検知機能付き酸素吸収性テープの熱接着を行うことができるため、効率的である。
【0065】
また、本発明の包装体は、酸素検知機能付き酸素吸収性テープが、端部が前記フィルム周縁部に達して、前記フィルムとともに熱接着されていることが好ましい。包装体をかかる形態とすることにより、酸素吸収性テープの端部の断面が周縁部で熱接着されることとなり、包装体内部に露出しないので、収納物と酸素吸収性物質の接触をより確実に防止できることとなり好ましい。
【0066】
そして、本発明の包装体は、食品、医薬品、機械部品、電子部品等の密封包装において、有利に使用することができるものである。
【0067】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
〔1〕 酸素検知機能付き酸素吸収性テープ:
図1には、本発明の第1実施形態にかかる、長尺の酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の断面形状が示されている。かかる酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10は、内側の矩形状の酸素吸収層10A、テープ10の断面の形態として酸素吸収層10Aを被覆して(酸素吸収層10Aが熱可塑性樹脂層10Bに囲まれた)、当該酸素吸収層10Aの外側に位置して形成された熱可塑性樹脂層10B、及び当該熱可塑性樹脂層の片面表面に形成された酸素検知層10Cから構成されている。
ここで、図1中、酸素検知機能付き酸素吸収性テープの厚さをT5(酸素検知層を含まない酸素吸収性テープの厚さをT1)、幅をW1とし、酸素吸収層10Aの厚さをT2とする。また、熱可塑性樹脂層10Bの厚さをT3とし、酸素検知層4の厚さをT4とする。
【0068】
本実施形態において、酸素吸収層10Aは、酸素吸収性物質を含有している。酸素吸収性物質としては、ハロゲン化金属により被覆された鉄粉が使用されており、当該物質と直鎖低密度ポリエチレン(L−LDPE)とを、重量比として約30:70として混練した材料により、酸素吸収層10Aが構成されている。
【0069】
熱可塑性樹脂層10Bを構成する熱可塑性樹脂としては、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)が用いられている。
【0070】
酸素検知層10Cの構成としては、酸素検知機能を有する色素と還元剤を含有するインキが使用されており、当該色素としては、例えばメチレンブルー等が、また、還元剤としては、例えば、D−フラクトース等が挙げられる。
【0071】
本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の製造方法としては、まず、前記した酸素吸収層10Aおよび熱可塑性樹脂層10Bを構成する材料を、単軸押し出し機2台からなる多層異形押出装置を用いた多層異形押出法により押出成形を行って、酸素吸収層10Aが熱可塑性樹脂層10Bに被覆された(酸素吸収層10Aが熱可塑性樹脂層10Bに囲まれた)断面を有する長尺テープを成形する。
そして、当該テープの表面に、前記したインキをグラビア印刷により長手方向に断続的に塗布して、厚さが約5μmの酸素検知層10Cを形成して、図1に示す実施形態の酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10(厚さ約200μm)が製造される。
【0072】
〔2〕 包装体:
図2、3には、本発明の第1実施形態に係る矩形状の2枚のフィルム30を含んで構成される包装体である包装体1が示されている。包装体1は、2枚のフィルム30、30と、〔1〕で調製した酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10とを備えて構成されている。
包装体1は、フィルム30、30が重ね合わさって、短辺側の1辺が開口部20となり、残りの3辺がヒートシール部21となって貼り合わされている。また、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10は、開口部20と反対側の短辺側近傍に、包装体1の内面に、開口部20に対して平行に貼付されている。
【0073】
フィルム30の構成としては、ポリエチレンテレフタレート/アルミニウム/ナイロン/ポリオレフィン系樹脂を採用している。その他、ポリエチレンテレフタレート/ナイロン/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)/ポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレートに酸化ケイ素や酸化アルミ等の無機物を蒸着させた層/ポリオレフィン系樹脂、ポリプロピレン/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)/ポリプロピレン、ナイロン/ポリオレフィン系樹脂、ナイロン/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等が挙げられ、ポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン系樹脂やポリプロピレン系樹脂等が挙げられる。
【0074】
フィルム30のうち、ガスバリアー性を有する層は、例えば、アルミニウム、ナイロン、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)等や、または、ポリエチレンテレフタレートに酸化ケイ素や酸化アルミ等の無機物質を蒸着させたものからなる層が該当する。
【0075】
図4を用いて、包装体1の製造方法について説明する。2枚のフィルム30を連続的に製袋機に供給するとともに、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10も製袋機(図示しない)に供給される。また、かかる酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10は、製袋される包装体1の短辺と同寸法となるように裁断された後、1枚のフィルム30に製袋機に内蔵される加熱ロール(図示しない)により、フィルム30の長手方向と平行になるように、さらに、当該テープ10の端部が、フィルム30の周縁部に達するようにして熱接着される(テープ接着工程、図4(A))。
【0076】
次に、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が接着されたフィルム30に、酸素吸収性テープ10上からもう1枚のフィルム30を重ね合わせ、フィルム30の長手方向とは垂直な方向に包装体1の短辺の長さで区画される区画部22を形成する。更に、この区画部22および包装体1の開口部20となる短辺に対向する短辺を含んでコ字形に連続的にヒートシールを行う(フィルム接着工程、図4(B))。そして、コ字形に連続的にヒートシールしたフィルム30、30を、区画部22の中心線に沿って切断して、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が貼り付けられた包装体1が製造される(フィルム切断工程、図4(C))。
【0077】
上述のような本実施形態によれば、次のような効果がある。
(1)酸素吸収層10A、熱可塑性樹脂層10B、及び酸素検知層10Cとを備えた酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が、熱可塑性樹脂層10Bを包装体1の内面側に接するように熱接着されていることにより、酸素吸収層や酸素検知層を有するフィルムやシートを包装体1として製造するのと比較して、包装体1内面側に酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10を熱接着するだけでよいので、包装体1が無駄なく低コストで製造できるとともに、包装体1に対して簡便に酸素吸収性能及び酸素検知機能を付与することができる。また、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の酸素検知層10Cの色の変化は、包装体1の外部から確認できるものであるため、包装体1を外部から観察することにより、包装体1内の酸素の存在を容易に確認することができる。
(2)酸素吸収層10Aが、熱可塑性樹脂層10Bに被覆された断面を有することにより、包装体1の収納物と酸素吸収性物質との接触を確実に防止することができる。
【0078】
(3)テープ10が、包装体1の内面側となるフィルム30に熱接着されていることにより、接着剤、粘着剤等で貼り付けた場合と比較して、臭気の発生がなく、臭気が包装体1の収納物へ移行するということもない。更には、耐熱性が向上するので、ボイル、レトルト等にも使用することができ。また、製造上、フィルム30端部の熱接着と同時に酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の熱接着を行うことができることとなり、効率的である。
(4)テープ10は、フィルム30の互いに対向する開口部20に垂直な2辺を横断するように貼られていることにより、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が偏在しないで貼られているので、包装体1内部の酸素をまんべんなく吸収ないし検知することができる。
【0079】
(5)フィルム切断工程を有することにより、区画部22に沿って切断されるので、包装体1の周縁部分の位置ずれが起こらない。
(6)酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の端部が、フィルム30の周縁部に達し、フィルム30とともに熱接着されていることにより、酸素吸収性テープ10の端部の断面が周縁部で熱接着されて包装体1内部に露出することがないので、包装体1の収納物と酸素吸収性物質との接触をより確実に防止できる。
【0080】
〔第2実施形態〕
次に本発明の第2実施形態を説明する。なお、以下の説明では既に説明した部分、部材と同一のものは同一符号を付してその説明を簡略する。
【0081】
[3]包装体2
包装体1では、ヒートシール部21と酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が重なる部分はヒートシールされるだけであったが、包装体2では、ヒートシールされる前に超音波シールがなされ、超音波シール部23を有する点が包装体1とは異なる。
【0082】
図5を用いて、包装体2の製造方法について説明する。2枚のフィルム30を連続的に製袋機(図示しない)に供給するとともに、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10も当該製袋機に供給する。かかるテープ10を、1枚のフィルム30に製袋機に内蔵される加熱ロール(図示しない)により、フィルム30と同じ長さで、フィルム30の長手方向と平行になるように、さらに、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の端部がフィルム30の周縁部に達するようにして熱接着させる(テープ接着工程、図5(A))。
【0083】
次に、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が接着されたフィルム30に、酸素吸収性テープ10上からもう1枚のフィルム30を重ね合わせる。包装体2における開口部20の長さの間隔で、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10を介在させて、かかるテープ10とフィルム30が重なる部分を超音波シールにより、超音波シール部23を形成し、熱接着させる。熱接着後、フィルム30の長手方向とは垂直な方向に包装体1の短辺の長さに区画し、超音波シール部23も含む区画部22を形成する。区画部22を形成した後、この区画部22および包装体1の開口部20となる短辺に対向する短辺を含んでコ字形に連続的にヒートシールを行う(フィルム接着工程、図5(A)、(B))。そして、コ字形に連続的にヒートシールしたフィルム30、30を、区画部22の中心線に沿って切断することにより、包装体2が調製される(フィルム切断工程、図5(C))。
【0084】
上述のような本実施形態によれば、前述の第1実施形態の効果に加えて次のような効果がある。
(7)フィルム接着工程において、区画部22では、フィルム30の間に酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が超音波シールにより介在して熱接着されている。従って、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が表裏両面から接着されることとなり、当該テープ10を確実に包装体2に固定することが可能となる。
【0085】
[第3実施形態]
次に本発明の第3実施形態を説明する。
[3]包装容器3
図6に示されるように、包装容器3は、蓋材40と、成形容器50とを備えて構成される。
円形の蓋材40は包装容器3の蓋となり、円形の周縁部分が成形容器50に接着され、基材シート41および基材シート41の裏面に貼着される酸素吸収性テープ10から構成される。
【0086】
成形容器50は、円形状の底面部51の周囲から立ち上げて形成された側面部52と、この側面部52に囲まれた上端に形成される開口部53と、この開口部53の周縁から外側に延出されたフランジ部54とを備えて構成されている。
【0087】
また、成形容器50は、表面から表面層50A、剥離層50B、基材層50C、ガスバリアー層50D、基材層50Eの多層シートを重ね合わせた5層構造とされており、この4層のうちフランジ部54の表面層50Aのみに断面V字形の切り込みを入れることで、切り込み55が形成されている。なお、多層シートは、ガスバリアー層50Dが、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)の他は、ポリプロピレン系樹脂により構成される。
【0088】
成形容器50の側面部52は、開口部53から底面部51に向かって縮径されテーパー状に形成されている。また、フランジ部54における開口部53側には、開口部53の全周にわたって切り込み55が形成されている。
【0089】
包装容器3の製造方法について説明すると、まず、円形に切断された基材シート41の裏面に、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10を加熱ロール(図示しない)により熱接着して、蓋材40が完成する。そして、あらかじめ公知の真空成形方法等により成形された成形容器50のフランジ部54に対して、前記の蓋材40を位置調整して、ヒートシールにより成形容器の50の開口部53を蓋材40で密封することにより、包装容器3を得ることができる。
【0090】
上述のような本実施形態によれば、前述の各実施形態の効果に加えて次のような効果がある。
(8)蓋材40は、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10を介在して成形容器50と接着され、蓋材40を剥離した際に、表面層50Aと一緒に剥離される、従って、酸素吸収層10Aを外部に露出させることなく蓋材40を成形容器50から剥離することができるので、包装体1の収納物に酸素吸収性物質が接触したりすることはない。
【0091】
なお、以上説明した態様は、本発明の一態様を示したものであって、本発明は、前記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内での変形や改良が、本発明の内容に含まれるものであることはいうまでもない。また、本発明を実施する際における具体的な構造及び形状等は、本発明の目的及び効果を達成できる範囲内において、他の構造や形状等としてもよい。
【0092】
例えば、前期実施形態においては、酸素吸収層10Aを構成する酸素吸収性物質として、ハロゲン化金属で被覆した鉄粉を、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)と特定の重量比で混練した材料を用いていたが、これには限定されず、酸素吸収能を有する材料を用いればよく、例えば、鉄粉と酸素吸収性ポリエステルとの混合材料や、あるいはかかる混合材料と熱可塑性樹脂との混練材料を使用してもよい。
【0093】
また、酸素検知層を構成する材料としては、色素であるメチレンブルーと、還元剤であるD−フラクトースを含有した、酸素検知機能を有するインキを使用したが、これには限定されず、例えば、2価マンガンと有機アミンの錯イオンを陽イオンとするアイオノマー等を使用してもよい。
【0094】
酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の断面の形態は、前記した各実施形態において、酸素吸収層10A及び熱可塑性樹脂層10Bの関係は、図1に示すように、矩形状の酸素吸収層10Aが完全に熱可塑性樹脂層10Bに覆われ、最外層として、酸素検知層10Cが形成されているものであったが、これには限定されず、例えば、図7に示すように、最外層となる酸素検知層10Aに保護層11を形成した形態としてもよい。
【0095】
また、この他にも、例えば、図8に示すように、酸素吸収層10Aが一方向のみ露わになっている形態(図8(A)参照)や、円形の酸素吸収層10Aのまわりがドーナツ形の熱可塑性樹脂層10Bに覆われている形態(図8(B))や、円形の酸素吸収層10Aの周りが、星形の熱可塑性樹脂層10Bに覆われている形態(図8(C))等、種々の形態も採用できる。
更には、酸素検知層10Cについても、前記した各実施形態においては、熱可塑性樹脂層10Bの片面表面の全面に形成された断面形態を示したが、これには限定されず、例えば、熱可塑性樹脂層10Bの片面表面の一部に形成された断面形態(図9)や、酸素検知層10Cが熱可塑性樹脂層10Bに被覆されたような断面形態(図10)とすることができる。そして、図10に示したように、各層を並べて積層した断面形態としてもよい。
【0096】
また、本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の製造方法としては、前記各実施形態では多層異形共押出法により、あらかじめ酸素吸収層10A及び熱可塑性樹脂層10Bからなるテープ(酸素吸収性テープ)を得た後、かかるテープに対して酸素検知機能を有するインキを塗布して酸素検知層10Cを形成した態様を示したが、これには限定されず、例えば、酸素検知層10Cも含め、多層異形共押出法により一工程により製造する製造方法や、まず、酸素吸収層10Aと熱可塑性樹脂層10Bからなるテープ(酸素吸収性テープ)を製造した後、酸素検知層10Cを公知のラミネート法等により、前記テープに積層して、本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10を製造してもよい。
また、熱可塑性樹脂のチューブに酸素吸収性物質を充填し、熱ロールなどで熱圧着する方法、熱可塑性樹脂からなる不織布や織布の間に酸素吸収性物質を充填し、熱可塑性樹脂のシート等で被覆して熱圧着したり、熱可塑性樹脂のチューブに挿入する方法等、種々の製造方法を用いてもよい。
【0097】
包装体1、2の形態としては、第1、第2実施形態では、三方シール袋を採用していたが、これに限られず、縦ピロー袋、横ピロー袋、四方シール袋、ガゼット袋、自立袋等、種々の形態の包装体を適用することができる。
【0098】
包装体1、2や包装容器3に対する酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10を貼付する位置としては、前記各実施形態では包装体1、2の開口部に対して対面側の近傍や、包装容器3の蓋材裏面の中央部であったが、これには限定されず、包装体1、2の開口部20の中間部等、任意の位置に貼付することができる。また、包装容器20の蓋材40の全面や、包装容器20の内面等、任意の位置に貼付してもよい。
【0099】
【実施例】
以下、実施例および比較例を挙げて、本発明をより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例等に何ら制約されるものではない。
【0100】
〔実施例1〕
前記した第1実施形態において、具体的な条件等を下記のとおりとして酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10を製造した。
【0101】
(A−1)酸素吸収性テープの製造:
酸素吸収層10A及び熱可塑性樹脂層10Bを、下記の材料として、多層異形共押出法を用いて、酸素吸収層が熱可塑性樹脂層に被覆された断面形態を有するテープ(酸素吸収性テープ)を製造した。
なお、多層異形共押出装置の単軸押し出し機のスクリュ径は、それぞれ、30mmφ、40mmφとした。
【0102】
( 酸素吸収層10Aの構成材料 )
平均粒径30μmの還元鉄粉100kgを加熱ジャケット付真空混合乾燥機中に投入し、10mmHg(1333Pa)の減圧下140℃で加熱しつつ、ハロゲン化金属である塩化カルシウムが50重量%配合された水溶液5kgを噴霧し、乾燥した後、篩い分けして100メッシュより大きい粗粒を取り除いて、塩化カルシウムにより被覆された鉄粉を得た。
次に、市販のベント付き45mmφ同方向回転二軸押出機と定量フィーダーからなる押出装置を用いて、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)(PT1450:ダウケミカル(株)製)および前記鉄粉を、2:1の重量比で混練して、ストランドダイから押出後、空冷、ペレット化して、塩化カルシウムにより被覆された鉄粉と直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)からなる混練材料を得た。
【0103】
( 熱可塑性樹脂層10Bの構成材料 )
直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)(PT1450:ダウケミカル(株)製)を使用した。
【0104】
酸素吸収性テープの生産速度は25m/分(吐出量13kg/時)として、また、生産が安定するまでの酸素吸収性テープの損失は、約100m(約1kg)であった。なお、酸素吸収性テープについての仕様は、以下のとおりである。
【0105】
( 酸素吸収性テープの仕様 )
酸素吸収性テープの厚さT1 : 約200μm
酸素吸収性テープの幅W1 : 約20mm
酸素吸収層10Aの厚さT2 : 約140μm
熱可塑性樹脂層10Bの厚さT3 : 約30μm
【0106】
(A−2)酸素検知層10Cの形成:
下記の処方からなる成分を混合して、酸素検知機能を有するインキを調製した。
【0107】
( インキの処方 )
成 分 配合量
水酸化マグネシウム微粉末(アルカリ物質) 10質量%
D−フラクトース(還元剤) 10質量%
メチレンブルー(還元剤によって変色する色素) 1質量%
エチルセルロース(バインダー樹脂) 25質量%
フロキシン(還元剤により変色しない色素) 1質量%
エタノール(溶剤) 53質量%
【0108】
そして、(A−1)により得られた酸素吸収性テープの片側表面に対して、前記内容により得られた酸素検知機能付きインキを、公知のグラビア印刷法により塗布して、図1における厚さT4が約5μm(固形物で5g/mとなるように塗布)の酸素検知層10Cを形成することにより、本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10(厚さT5=約205μm)を製造した。
【0109】
(A−3)包装体1の製造:
第1実施形態において、具体的条件を下記のとおりとして、前記テープ10を貼付した本発明の包装体1を製造した。
【0110】
( フィルム30の構成 )
ナイロン/エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)/直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)
(厚さ約15μm/約12μm/50μm)
【0111】
2枚のフィルム30は、直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)層同士を重ね合わせて接着した。また、本構成のフィルム30において直鎖状低密度ポリエチレン(L−LDPE)はシーラント層を形成している。
なお、酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10は、包装体1の内面側(直鎖状低密度ポリエチレンが存在する側)に対して、テープの熱可塑性樹脂層10Bが接するように、温度条件を180℃として熱接着されている。
【0112】
(1)酸素吸収性能の評価:
実施例1で得られた、内面側に酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が被着されている包装体1に対して、100mlの蒸留水と100mlの空気を充填して、包装体1の開口部20を密閉した後、120℃で30分間、定差圧式レトルト加熱を行った。
そして、前記したレトルト加熱におけるレトルト前、レトルト直後、及び20℃で放置した状態で2時間、4時間並びに6時間経過後における包装体1内の開口部付近の酸素ガス濃度を、ガスクロマトグラフにより測定した。測定結果を表1に示す。
また、前記した6時間経過後の包装体1について、常温で1ヶ月放置後における包装体1内の蒸留水の臭気について官能評価を行った。結果をあわせて表1に示す。
【0113】
( 結 果 )
【表1】
Figure 2004330451
【0114】
表1の結果より、実施例1で得られた酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10を被着した包装体1は、良好な酸素吸収性能を示すものであり、かつ、1ヶ月後の蒸留水の臭気も気にならない程度であることが確認できた。
従って、本発明のテープ10が、良好な酸素吸収性能を有するとともに、内部に被着させるだけで、包装体1に酸素吸収性能を付与可能なことが確認できた。
【0115】
(2)酸素検知機能の評価:
実施例1により得られた、内面側に酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が被着されている包装体1を、開口部20を密閉した後、針穴状の穿孔を設けて酸素の通気性をもたせたものと(穴明け加工有り)、対照としてそのままのもの(穴明け加工なし)の2種類の包装体1を、温度を23℃とした空気中に1週間保存して、当該テープ10の色の変化を確認した。結果を表2に示す。
【0116】
( 結 果 )
【表2】
Figure 2004330451
【0117】
表2の結果より、包装体1内に存在する酸素により、包装体1に被着された酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10の色が赤色から青色ないし青紫色に変化し、当該テープ10が酸素検知機能を示すものであることが確認できた。従って、本発明のテープ10が、良好な酸素検知機能を有するとともに、内部に被着させるだけで、包装体1に酸素吸収性能を付与可能なことが確認できた。
また、かかる酸素検知層の色の変化は、包装体1の外部から容易に確認できるものであった。
【0118】
そして、以上の(1)及び(2)の結果より、本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープ10が酸素吸収性能と酸素検知機能を併せ持つとともに、包装体等の内部に被着させるという簡便な手段で、包装体にかかる酸素吸収性能と酸素検知機能を付与できるということが確認できた。
【0119】
【発明の効果】
本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープは、酸素吸収機能と酸素検知機能を併せ持ったテープであるとともに、酸素吸収層や酸素検知層を有するフィルムやシートを構成材料として包装体として製造するのと比較して、包装体に対してかかるテープを熱接着するだけで、包装体に簡便に酸素吸収性能及び酸素検知機能を付与することができる。
【0120】
従って、本発明は、食品、医薬品、機械部品、電子部品等の密封包装に用いられる酸素検知機能付き酸素吸収性テープ、及び当該テープ付き包装体を好適に提供可能とするものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態の酸素検知機能付き酸素吸収性テープを示す断面図である。
【図2】本発明の第1実施形態における包装体の平面図である。
【図3】前記第1実施形態における包装体の断面図である。
【図4】前記第1実施形態における包装体の製造工程を示す概略図である。
【図5】本発明の第2実施形態における包装体の製造工程を示す概略図である。
【図6】本発明の第3実施形態における包装容器の断面図である。
【図7】本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープにおいて、さらに保護層を形成した実施形態を示す断面図である。
【図8】本発明の酸素検知機能付き酸素吸収性テープを断面形態の変形例を示す断面図である。
【図9】図1の他の実施形態を示す断面図である。
【図10】図1のもう一つの実施形態を示す断面図である。
【図11】図1の他のもう一つの実施形態を示す断面図である。
【符号の説明】
1、2包装体
3 包装容器
10 酸素検知機能付き酸素吸収性テープ
10A 酸素吸収層
10B 熱可塑性樹脂層
10C 酸素検知層
11 保護層
20 開口部
21 ヒートシール部
22 区画部
23 超音波シール部
30 フィルム
40 蓋材
41 基材シート
50 成形容器
50A 表面層
50B 剥離層
50C 基材層
50D ガスバリアー層
50E 基材層
51 底面部
52 側面部
53 開口部
54 フランジ部
55 切り込み

Claims (4)

  1. 酸素吸収性物質を含有する酸素吸収層、熱可塑性樹脂層、及び酸素検知物質を含有する酸素検知層を備えていることを特徴とする酸素検知機能付き酸素吸収性テープ。
  2. 請求項1に記載のテープにおいて、前記酸素吸収層が前記熱可塑性樹脂層に被覆された断面を有することを特徴とする酸素検知機能付き酸素吸収性テープ。
  3. 請求項1または請求項2に記載のテープにおいて、前記酸素検知物質が、色素及び必要により還元剤を含有するインキまたは塗料であることを特徴とする酸素検知機能付き酸素吸収性テープ。
  4. 請求項1ないし請求項3の何れかに記載の酸素検知機能付き酸素吸収性テープを内面側に貼り付けてなることを特徴とする包装体。
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