JPH0744507U - 酸素インジケーター付きの脱酸素剤包装袋 - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 【目的】 製品パッケージ内への封入工程を簡略化し，
正しい評価判定を可能とした脱酸素剤インジケーター付
きの包装袋である。 【構成】 酸素に接触して変色するインジケーターイン
キを表面に印刷した脱酸素剤包装袋である。

Description

【考案の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】

本考案は脱酸素剤包装袋の表面に，酸素に接触して変色するインジケーターを 有し，使用時の脱酸素剤の働きとその効果の評価判定とを一つの包装袋で実施で きるようにしたものである。本考案の脱酸素剤包装袋は，これを各種食品，飼料 ，医薬，衣類等あらゆる製品のパッケージ内に入れておくことによって，パッケ ージ内を脱酸素の状態に保つとともに脱酸素の状態を評価判定することができる 。

【０００２】

【従来の技術】

従来から製品パッケージ内の脱酸素を行うには脱酸素剤の使用が有効であり実 用化されている。また製品パッケージ内の脱酸素の効果を評価判定する方法とし ては，酸素に接触して変色するインジケーター（以下酸素インジケーターという ）を同封しておく方法がとられ実用化されている。酸素インジケーターには酸素 インジケーターインキを紙表面に印刷したものと，錠剤タイプのものとがある。 いずれにしても別々になっている脱酸素剤包装袋と酸素インジケーターとの二つ を一つの製品パッケージ内に封入する必要があり二度手間がかかる。またこれら 二つのものは別々であるがゆえに使用前保管中の脱酸素雰囲気の程度が異なった 場合，どちらかの性能が既に逆の性質に変化していて，組み合わせて使用する直 前直後の脱酸素性能を正確に評価判定出来ない可能性も出てくる。

【０００３】 また実開昭５８−２７１７９，実開昭５９−４３３７２ではパッケージのシー ト内面に酸素インジケーターインキを印刷して簡素化する考案がなされている。 しかしこれらの考案は本考案の脱酸素剤包装袋の表面に酸素インジケーターイン キを印刷する方法とは根本的に異なる。即ち先の考案では酸素インジケーターイ ンキを印刷したパッケージと脱酸素剤包装袋とは別々のものであり，これら二つ を確実に組み合わせて使用する必要がある。またこれら二つのものは別々である がゆえに使用前保管中の脱酸素雰囲気の程度が異なった場合，どちらかの性能が 既に逆の性質に変化していて，組み合わせて使用する直前直後の脱酸素性能を正 確に評価判定出来ない可能性も出てくる。

【０００４】

【考案が解決しようとする課題】

本考案が解決しようとする課題は，前記従来の技術に記したごとき一つの製 品パッケージ内に脱酸素剤包装袋と酸素インジケーターの二つのものを封入する 二度手間を一度手間に簡略化すること，及び脱酸素剤と酸素インジケーターと を組み合わせて使用する直前直後に，脱酸素性能とその評価判定性能との間に矛 盾が生じず両者が常に一致した正しい評価判定ができるようにすることである。

【０００５】

【課題を解決するための手段】

本考案は包装袋の表面に，酸素に接触して変色するインジケーターを有するこ とを特徴とする酸素インジケーター付きの脱酸素剤包装袋である。これを図で示 した例が図１，及び図２である。図１は本考案の脱酸素剤包装袋（脱酸素剤封入 済）の斜視図である。図２は図１のＡ−Ａ′線における拡大断面図である。図に おいて１は酸素インジケーター付きの脱酸素剤包装袋（脱酸素剤封入済）であり ，２は酸素インジケーター，３は熱融着シール部分，４は袋の折り返し部分，５ は脱酸素剤，６は紙，７は紙にラミネートした酸素ガス透過性プラスチックフィ ルムである。

【０００６】 包装袋表面への酸素インジケーターの付与は，酸素インジケーターインキを製 袋前のシート表面に印刷あるいは塗布してもよいし，製袋後の袋に印刷あるいは 塗布してもよい。また脱酸素剤を封入した後で袋上に，酸素インジケーターイン キを塗布あるいは捺印してもよい。包装袋表面への酸素インジケーターの付与面 積は色変化が判定できる以上の大きさがあればよく，従って付与の形状も円形， 角形のほかに文字化，図案化ができる。

【０００７】 上記のようにして酸素インジケーターを有する包装袋に封入された脱酸素剤は 袋を介して脱酸素剤と酸素インジケーターとが一体化しているので，従来の別 々になっている脱酸素剤包装袋と酸素インジケーターとの二つのものを一つの製 品パッケージ内に封入する二度手間を一度手間に簡略化できる。また脱酸素剤 と酸素インジケーターとが一体化しているので，使用する直前直後の脱酸素性能 とその評価判定性能との間に矛盾が生じず両者が常に一致した正しい評価判定が できる。

【０００８】 本考案に用いられる袋材は，脱酸素剤包装袋として従来から用いられているす べての袋材が使用できる。例として酸素ガス透過性の紙，不織布，プラスチック フィルム及びシート等があり，これらの組み合わせ使用も有効である。特に熱融 着型の紙あるいは不織布の袋材では，これらに熱融着性のプラスチックフィルム をラミネートして用いている。

【０００９】 本考案で用いられる脱酸素剤としては，雰囲気中の酸素を容易に吸着する物質 ，例えば鉄粉を主成分とし，水及び反応助剤を混合したものを使用することがで きる。これを上記酸素ガス透過性の包装袋に封入して使用する。

【００１０】 本発明で用いられる酸素インジケーターには，酸化時と還元時とで色変化が明 確な色素を主成分として用いる。このような色素の例としてはチアジン系染料， インジゴイド染料，チオインジゴイド染料，硫化染料等がある。いずれも還元性 糖類及びアルカリ性物質の存在下で用いられる。その他に酸素吸着状態の色と， 酸素脱着状態の色の差の大きいビスサリチルアルデヒドエチレンジイミンコバル ト錯体またはビオロゲン等がある。これらの色素をバインダーおよび助剤ととも にインキ化して用いる。なお紙あるいは不織布等の表面が粗く酸素インジケータ ーインキの吸い込みが激しい場合には，印刷前あるいは塗布前に該紙面あるいは 不織布面にフィラーを付与して目止め層を形成しておく。

【００１１】

【実施例１】 ［酸素インジケーター付きの脱酸素剤包装袋の作成工程］ 市販脱酸素剤エージレスＳ−３０ＰＵＲ（三菱瓦斯化学社製）の梱包を開封後 ，直ちに該脱酸素剤包装袋表面にメチレンブルー，還元糖，アルカリ物質，補色 剤，インキ助剤からなる酸素インジケーターインキを筆で小面積少量塗布した。 （本実施例では材料入手の都合上，既に脱酸素剤封入済みの包装袋を使用した上 記のごときモデル試験となったが，操業化に当たっては酸素インジケーターイン キを製袋前のシート表面に印刷して後，脱酸素剤を袋詰め封入する手段をとる） ［脱酸素剤の使用工程］ 上記の酸素インジケーター付きの脱酸素剤包装袋を直ちに和菓子入りの酸素遮 断性フイルムパッケージ内に挿入し密封した。封入１日後脱酸素剤包装袋に付与 した酸素インジケーターはパッケージ内が酸素の存在しないピンク色になってい た。本考案ではパッケージ内に入れるものは酸素インジケーター付きの脱酸素剤 包装袋のみの一種類（＝一工程）で済み，工程が簡略化され，酸素インジケータ ー紙シールの貼り付け機の設備が不要となる。

【００１２】

【比較例】

比較例は現在関係各方面で実施されている方法である。和菓子容器の側面にシ ール貼り付け機で，酸素インジケーターインキを印刷した紙シール例えばエージ レスアイ（三菱瓦斯化学社製）を貼り付け，和菓子入りの該容器を酸素遮断性フ イルムでパッケージする際に脱酸素剤エージレスＳ−３０ＰＵＲを挿入し密封し た。ここでは和菓子容器にエージレスアイを貼り付ける工程及び機械が必要であ る。

【００１３】

【実施例２】 実施例１の［酸素インジケーター付きの脱酸素剤包装袋の作成工程］で作成し た酸素インジケーター付きの脱酸素剤包装袋（脱酸素剤封入済み）のみを長期保 存の目的で酸素遮断性フイルムでパッケージング（＝密封）した。該パッケージ を二パック作った。１箇月後，二パック共，パック内の脱酸素剤包装袋の酸素イ ンジケーターは酸素の存在しない即ち脱酸素剤の性能が変化していないピンク色 を示していた。この時点で一パックは針で穴をあけ空気を導入した。更に１箇月 後，針で穴をあけ空気を導入した方のパックは酸素インジケーターが青色に変色 し，脱酸素剤自体の酸素吸着性能が低下していることが判明した。一方，針穴の ない方は酸素インジケーターがピンク色であり，脱酸素剤の酸素吸着性能が低下 していないことが判明した。脱酸素剤包装袋に酸素インジケーターを付与するこ とのメリットは，このように使用前及び保管中の脱酸素剤自体の酸素吸着性能の 評価をも可能にした。

【００１４】

【考案の効果】

本考案の酸素インジケーターを有する包装袋に封入した脱酸素剤は該袋を介し て脱酸素剤と酸素インジケーターとが一体化しているので，従来の別々になっ ている脱酸素剤包装袋と酸素インジケーターとの二つのものを一つの製品パッケ ージ内に封入する二度手間（＝二工程）を一度手間（＝一工程）に簡略化でき， これの設備も不要となる。また脱酸素剤と酸素インジケーターとが一体化して いるので，使用する直前直後の脱酸素性能とその評価判定性能との間に矛盾が生 じず両者が常に一致した正しい評価判定ができる。

【図面の簡単な説明】

【図１】本考案の脱酸素剤包装袋（脱酸素剤封入済み）
の斜視図である。

【図２】図１のＡ−Ａ′線における拡大断面図である。

【符号の説明】 １ 酸素インジケーター付きの脱酸素剤包装袋（脱酸素
剤封入済み） ２ 酸素インジケーター ３ 熱融着シール部分 ４ 袋の折り返し部分 ５ 脱酸素剤 ６ 紙 ７ 紙にラミネートした酸素ガス透過性プラスチックフ
ィルム

Claims (1)

【実用新案登録請求の範囲】
1. 【請求項１】 包装袋の表面に，酸素に接触して変色す
   るインジケーターを有することを特徴とする酸素インジ
   ケーター付きの脱酸素剤包装袋。