JP2004330163A - 水循環路洗浄方法 - Google Patents

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温 奥村
Toru Kozuka
透 小塚
Koichi Kudo
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Abstract

【課題】生物膜などを効果的に除去できるように水循環路を洗浄でき、人体に悪影響を及ぼすおそれも少ない水循環路洗浄方法を提供する。
【解決手段】水槽1と濾過装置2とに亘る水循環路6を、その水循環路を循環する循環水3に殺菌剤を添加して洗浄する水循環路洗浄方法であって、殺菌剤として、次亜塩素酸塩又は塩素化イソシアヌル酸のいずれか一種と、変性亜塩素酸塩とを添加する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水槽と濾過装置とに亘る水循環路を、その水循環路を循環する循環水に殺菌剤を添加して洗浄する水循環路洗浄方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
浴槽やプール,人工池などの水槽の水を浄化するために、水槽と濾過装置とに亘る水循環路を設けてある水循環システムでは、病原菌などの微生物の繁殖を抑制するとともに、水循環路を洗浄して、水循環路に形成された生物膜(バイオフィルム) などを除去するために、循環水に殺菌剤を添加している。
そして、循環水に添加する殺菌剤として例えば過酸化水素を添加する場合は、循環水が泡だって循環ポンプの運転に支障をきたすおそれがあるとともに、劇物である過酸化水素の取り扱いや保管に注意を要する欠点があるので、循環ポンプの運転に支障をきたすおそれが少なく、取り扱いや保管が比較的容易な次亜塩素酸ナトリウムを殺菌剤として添加している(例えば、特許文献1参照) 。
【0003】
【特許文献1】
特開2003−35586号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、次亜塩素酸ナトリウムは、処理水のpH値の上昇に伴って殺菌効果が急激に低下する特性があるところ、高分子化した生物膜などを効果的に除去できるように水循環路を洗浄するためには、次亜塩素酸ナトリウムを高濃度で添加する必要があるが、水槽と濾過装置とに亘って循環する循環水に添加するために、循環水のpH値が徐々に高くなって、充分な効果が得られなくなるとともに、pH値の高い循環水が人体に悪影響を及ぼし易い欠点がある
また、次亜塩素酸ナトリウムを殺菌剤として添加した場合は、生物膜などと反応して、結合塩素やトリハロメタンなどの有害物質を生成するおそれがあり、この点でも人体に悪影響を及ぼし易い欠点がある。
本発明は上記実情に鑑みてなされたものであって、生物膜などを効果的に除去できるように水循環路を洗浄でき、人体に悪影響を及ぼすおそれも少ない水循環路洗浄方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明の特徴構成は、水槽と濾過装置とに亘る水循環路を、その水循環路を循環する循環水に殺菌剤を添加して洗浄する水循環路洗浄方法であって、前記殺菌剤として、次亜塩素酸塩又は塩素化イソシアヌル酸のいずれか一種と、変性亜塩素酸塩とを添加する点にある。
【0006】
〔作用及び効果〕
殺菌剤として、次亜塩素酸塩又は塩素化イソシアヌル酸のいずれか一種と、変性亜塩素酸塩とを循環水に添加するので、水中での[化1]に示す反応によって、活性酸素の作用で幅広いpH値範囲で強い殺菌力(塩素の殺菌効果の約2.6倍) と酸化力(塩素の酸化力の約10倍) を発揮し、しかも、結合塩素やトリハロメタンなどの有害物質を生成するおそれが少ない二酸化塩素(ClO)が循環水中に生成され、この二酸化塩素の殺菌力と酸化力で生物膜などを除去できるように水循環路を洗浄できる。
【化1】
Figure 2004330163
従って、従来に比べて少ない殺菌剤を循環水に添加して、循環水のpH値の上昇を抑制しながら、有害物質を生成するおそれが少ない二酸化塩素で、生物膜などを効果的に除去できるように水循環路を洗浄でき、人体に悪影響を及ぼすおそれも少ない。
【0007】
請求項2記載の発明の特徴構成は、前記変性亜塩素酸塩がテトラクロロデカオキサイドである点にある。
【0008】
〔作用及び効果〕
変性亜塩素酸塩としてテトラクロロデカオキサイドを添加することにより、水中の一般細菌や大腸菌群,レジオネラ属菌を安定した状態で効果的に除菌できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下に本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
〔第1実施形態〕
図1は、浴槽(水槽の一例) 1と濾過装置2とを、浴槽水3を濾過装置2に流入させる流入配管4と、濾過装置2を通過した浴槽水3を浴槽1に戻す戻し配管5とで接続して、水循環路6を設けてある浴槽水循環設備を示す。
【0010】
そして、流入配管4に循環ポンプ7と、本発明による水循環路洗浄方法に使用する殺菌剤添加装置8とを設け、循環ポンプ7の駆動で浴槽水3を循環水として浴槽1と濾過装置2とに亘って循環させながら、殺菌剤添加装置8で循環水3に殺菌剤を添加するとともに、殺菌剤を添加したあとの循環水3を濾過装置2に通過させて、その循環水3に含まれる濁質分を除去できるように構成してある。
【0011】
前記殺菌剤添加装置8は、次亜塩素酸塩水溶液を貯留している第1薬液タンク9と、変性亜塩素酸塩水溶液を貯留している第2薬液タンク10とを設けると共に、第1薬液タンク9の第1薬液供給配管11と第2薬液タンク10の第2薬液供給配管12とを流入配管4に接続し、第1薬液供給配管11に設けた第1供給ポンプ14と第2薬液供給配管12に設けた第2供給ポンプ15とを各別に駆動して、次亜塩素酸塩水溶液と変性亜塩素酸塩水溶液とを所定の比率で殺菌剤として流入配管4内の循環水3に各別に直接添加して、濾過装置2を含む水循環路6を洗浄できるように構成してある。
【0012】
前記次亜塩素酸塩水溶液としては、次亜塩素酸ナトリウムや次亜塩素酸カルシウムなどの無機系次亜塩素酸塩の水溶液を使用することができ、また、変性亜塩素酸塩水溶液としては、例えば特公平6−102522号公報に記載されているものを使用することができ、本実施形態では、テトラクロロデカオキサイド(以下、TCDOと略称する) の水溶液を使用する。
【0013】
また、次亜塩素酸塩水溶液に代えて、塩素化イソシアヌル酸の水溶液を第1薬液タンク9に貯留して、塩素化イソシアヌル酸水溶液と変性亜塩素酸塩水溶液とを所定の比率で殺菌剤として流入配管4内の循環水3に各別に直接添加して、水循環路6を洗浄できるように構成しても良い。
【0014】
〔第2実施形態〕
図2は、本発明による水循環路洗浄方法に使用する浴槽水循環設備の別実施形態を示し、二基の濾過装置2(2a,2b) を、それらの下流側に設けた二つの流路切換バルブ16a,16bを介して水循環路6に並列に接続して、流路切換バルブ16a,16bの操作で、浴槽水3を循環水として浴槽1と第1濾過装置2aとに亘って循環させながら、第2濾過装置2bに流入した浴槽水3を排水する第1循環状態と、浴槽水3を循環水として浴槽1と第2濾過装置2bとに亘って循環させながら、第1濾過装置2aに流入した浴槽水3を排水する第2循環状態とに切換自在に構成してある。
【0015】
また、殺菌剤添加装置8を、注入路切換バルブ17a,17bの操作で、次亜塩素酸塩水溶液と変性亜塩素酸塩水溶液とを第1濾過装置2aの上流側の並列配管部分4aの浴槽水3にのみ添加する第1添加状態と、次亜塩素酸塩水溶液と変性亜塩素酸塩水溶液とを第2濾過装置2bの上流側の並列配管部分4bの浴槽水3にのみ添加する第2添加状態とに切換自在に構成してある。
【0016】
そして、第1濾過装置2aを洗浄したいときには、流路切換バルブ16a,16bの操作で第2循環状態に切り換えるとともに、注入路切換バルブ17a,17bの操作で第1添加状態に切り換えて、浴槽水3を浴槽1と第2濾過装置2bとに亘って循環させながら、第1濾過装置2aの上流側の並列配管部分4aの浴槽水3にのみ、次亜塩素酸塩水溶液と変性亜塩素酸塩水溶液とを所定の比率で添加することにより第1濾過装置2aを洗浄して、第1濾過装置2aを通過した浴槽水3を排水し、第2濾過装置2bを洗浄したいときには、流路切換バルブ16a,16bの操作で第1循環状態に切り換えるとともに、注入路切換バルブ17a,17bの操作で第2添加状態に切り換えて、浴槽水3を浴槽1と第1濾過装置2aとに亘って循環させながら、第2濾過装置2bの上流側の並列配管部分4bの浴槽水3にのみ、次亜塩素酸塩水溶液と変性亜塩素酸塩水溶液とを所定の比率で添加することにより第2濾過装置2bを洗浄して、第2濾過装置2bを通過した浴槽水3を排水することで、浴槽1内への殺菌剤の流入を防止しながら浴槽水3の循環を停止することなく、各濾過装置2a,2bを洗浄できるように構成してある。
その他の構成は第1実施形態と同様である。
【0017】
〔その他の実施形態〕
1.本発明による水循環路洗浄方法は、濾過装置よりも下流側の水循環路内の循環水に殺菌剤を添加しても、水槽内の水(循環水) に殺菌剤を添加しても良い。2.本発明による水循環路洗浄方法は、プール,人工池などの水槽と濾過装置とに亘る水循環路を洗浄するために使用しても良い。
3.本発明による水循環路洗浄方法は、殺菌剤を循環水に定期的に添加しても、少しずつ連続的に添加しても良い。
【0018】
【実施例】
次亜塩素酸ナトリウム溶液(有効塩素濃度:10%) とTCDOとを殺菌剤として、循環系内に保有している水量(約5m)に対して、約1kgの次亜塩素酸ナトリウム溶液(濃度:1,000mg/リットル) と、約1kgのTCDO溶液(濃度:1,000mg/リットル) とを、第1実施形態で示した殺菌剤添加装置8を使用せずに、浴槽1に直接投入した。
【0019】
そして、次亜塩素酸ナトリウム溶液とTCDOとを投入した浴槽水3を、流入配管4と戻し配管5とを通して、約2時間、浴槽1と濾過装置2とに亘って循環させ、中和処理を行った後、その浴槽水3を排水して、新たに浴槽1に投入した水道水で流入配管4と戻し配管5とをフラッシングした後、ファイバースコープを用いて、流入配管4と戻し配管5の管壁面の生物膜が洗浄されていることを確認した。
【0020】
[表1]に、生物膜洗浄前後の浴槽水中の一般細菌数と大腸菌群, レジオネラ属菌の検査結果を示す。
【表1】
Figure 2004330163
【0021】
[表1]から、生物膜を洗浄したことによって、浴槽水中の一般細菌や大腸菌群, レジオネラ属菌を効果的に除菌できたことが分かる。
従って、強固に付着した生物膜を効果的に洗浄することができ、生物膜中及び浴槽などの循環水中の微生物を効果的に除菌することができる。
【0022】
また、循環水中に常時、次亜塩素酸塩又は塩素化イソシアヌル酸のいずれか一種を遊離残留塩素濃度が0.2〜1.0mg/リットルになるように添加し、TCDOを二酸化塩素濃度が0.1〜0.4mg/リットルになるように添加することで、生物膜の生成を抑制することができるという効果もある。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態の水循環路洗浄方法を説明するための浴槽水循環設備の概略図
【図2】第2実施形態の水循環路洗浄方法を説明するための浴槽水循環設備の概略図
【符号の説明】
1 水槽
2 濾過装置
3 循環水
6 水循環路

Claims (2)

  1. 水槽と濾過装置とに亘る水循環路を、その水循環路を循環する循環水に殺菌剤を添加して洗浄する水循環路洗浄方法であって、
    前記殺菌剤として、次亜塩素酸塩又は塩素化イソシアヌル酸のいずれか一種と、変性亜塩素酸塩とを添加する水循環路洗浄方法。
  2. 前記変性亜塩素酸塩がテトラクロロデカオキサイドである請求項1記載の水循環路洗浄方法。
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CN109882979A (zh) * 2019-01-30 2019-06-14 青岛海尔空调电子有限公司 一种加湿器及其控制方法、空调、存储介质

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