JP2004330110A - 脱硝触媒の製造方法 - Google Patents

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Yoshimi Okada
佳巳 岡田
Masashi Saito
政志 斉藤
Toshiji Makabe
利治 真壁
Hiroaki Nishijima
裕明 西島
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Abstract

【課題】溶解度向上剤の使用や溶媒除去工程を必要とすることなく、チタニア担体に活性種として酸化バナジウムと酸化モリブデン又は酸化タングステンとが担持された脱硝触媒を簡便で容易にかつ工業的に有利に製造することができる脱硝触媒の製造方法を提供する。
【解決手段】焼成前のチタニア前駆体であって混練に適した水分含有量を有する含水酸化チタンの湿潤ケーキにバナジウム化合物粉末とモリブデン化合物粉末又はタングステン化合物粉末とからなる金属化合物粉末を添加し、混練してこれらの金属化合物粉末を湿潤ケーキ中の水分に溶解させると共にこの湿潤ケーキの含水酸化チタンにこれらの金属化合物を吸着せしめ、次いで成形し、乾燥し、焼成して酸化バナジウムと酸化モリブデン又は酸化タングステンとがチタニア担体に担持された脱硝触媒を製造する、脱硝触媒の製造方法である。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、チタニア担体に酸化バナジウムと酸化モリブデン又は酸化タングステンとを担持させた脱硝触媒、特に好適には排煙脱硝操作に用いる排煙脱硝触媒を製造するための脱硝触媒の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
ボイラー、加熱炉、ガスタービン、ディーゼルエンジン等の燃焼プロセスから発生する一酸化窒素等の窒素酸化物は、大気汚染や酸性雨の原因物質であり、昭和40年代の公害問題に端を発して以来、精力的にその除去方法が研究開発されてきた。火力発電所や製鉄所等の大量固定発生源の窒素酸化物除去では、排煙中にアンモニアを導入して触媒作用によって窒素酸化物を選択的に還元する接触還元法(SCR法)が酸素を多く含む排煙においても少ない還元剤量で効果的に除去することが可能なため、現在では広く利用されている。
【0003】
この方法に用いられる触媒は、当初アルミナ担体に鉄酸化物を活性種として担持した触媒が用いられたが、その後の改良によりアルミナ担体はチタニア担体に転換され、活性種も酸化鉄からバナジウム酸化物に変遷した。その後、特公昭53−28,148号公報が例示するように、五酸化バナジウム(V)と共に酸化モリブデン(MoO)又は酸化タングステン(WO)とを担持させた触媒が考案された。
【0004】
また、チタニア担体も特公昭57−30,532号公報が例示するように、シリカを含む複合酸化物担体を利用することが考案された。また、排煙処理で特段の昇圧装置を設けることはガス量が膨大なため経済的でなく、圧力損失を低減するために触媒をハニカム又はモノリスと呼ばれる成形体として利用している。この際に、特公昭57−35,055号公報が例示するように、ハニカム成形体の強度を向上させる方法としてガラス繊維等をバインダーと共に利用することが考案されている。このような技術的変遷を経て、現在、工業的に用いられる排煙脱硝触媒としてはこの触媒系が主流となっている。
【0005】
触媒のハニカム成形体は、チタニア粉末に活性金属が担持された触媒粒子をバインダーと共に成形する方法、既に成形された構造体にチタニア粉末に活性種を構成する金属の化合物、すなわちバナジウム化合物、モリブデン化合物及びタングステン化合物(以下、これらを単に「金属化合物」ということがある)の溶液を含浸せしめ、溶媒を除去して焼成することにより製造する含浸法によって調製された触媒粒子を固定する方法、あるいはチタニアを含む構造体を担体として、これに活性金属を含む溶液を含浸して焼成する方法とに大別される。ここで、触媒粒子の調製については、成形するのに適した量の水分に予め必要量の金属化合物を溶解し、この金属化合物の溶液を原料のチタニア粉末に添加して混練し、所定の剤形に成形し、乾燥し、焼成することにより製造する混練法も知られている。また、チタニア粉末と共に予めバインダーやガラス繊維を混合しておき、ここに金属化合物の溶液を加えて混練する方法も知られている。
【0006】
ここで、前者の含浸法で脱硝触媒を製造する場合、チタニア担体に含浸させた金属化合物溶液の溶媒を除去する溶媒除去工程が不可避的に必要になり、溶媒を除去する工程のために製造コストが上昇すると共に、製造期間が長くなるという問題がある。
これに対して、後者の混練法は、成形に適した量の水分を用いるだけなので、含浸法のように溶媒除去工程が必要でなく、工業的に有利な方法であるといえる。
【0007】
しかしながら、後者の混練法においては、活性種を形成せしめるための金属化合物のうちバナジウム化合物及びタングステン化合物がいずれも難溶性であってその溶解度が低く、チタニア担体に担持させる触媒金属に相当する金属化合物の必要量を溶解させるには多量の溶媒が必要になり、結局は混練前に混練に適した水分含有量に調整するための溶媒除去工程が必要になり、低溶解度の金属化合物については混練法の長所を生かすことができないという問題があった。
【0008】
そこで、従来においては、このような問題を解決するため、このような金属化合物をシュウ酸やアミン類等の溶解度向上剤と共に混練に適した量の水分に溶解させてバナジウム化合物溶液やタングステン化合物溶液を調製し、これらの化合物溶液を用いて混練法によりバナジウム及びタングステン担持酸化物を製造することが行われている(例えば、非特許文献1、特許文献1、2、6及び7参照)。
【0009】
しかしながら、この方法においては、金属化合物を混練に適した量の溶媒中に溶解させるためにシュウ酸やアミン類等の溶解度向上剤の使用が必須であり、溶解度向上剤の使用量が、シュウ酸の場合にはバナジウム金属化合物より多量になり、また、アミン類の場合でもタングステン金属化合物の約1/3以上を必要とし、それだけ製造コストが高くなって工業的には大きな問題である。またこれらの薬品の溶解工程が必要なほか、アミン類等を用いる場合は、溶解度向上剤から焼成時に発生するガスの無害化設備が必要となり、製造コストを上昇させるという問題がある。
【0010】
また、脱硝触媒を製造する方法として、焼成前のチタニア前駆体である含水酸化チタンを用いる方法も知られている。
例えば、チタンの含水酸化チタン(ゾル化したメタチタン酸)に、パラタングステン酸アンモニウムを含む10%−メチルアミン溶液、モリブデン酸アンモニウムを含むメチルアミン溶液、又はメタバナジン酸アンモニウムとシュウ酸の水溶液を添加し、混練したのち、成形し、乾燥し、焼成して金属担持酸化物を製造する方法(特許文献3及び4参照)や、メタチタン酸スラリーに、メタバナジン酸アンモニウムとパラタングステン酸アンモニウムの水溶液を添加し、生成したスラリー溶液を蒸発乾固し、得られた固体に第三成分のスラリー溶液又は水を添加して混練したのち、成形し、乾燥し、焼成して金属担持酸化物を製造する方法(特許文献5参照)が提案されている。
【0011】
しかしながら、これらの方法においても、メチルアミンやシュウ酸等の溶解度向上剤の使用やスラリー溶液の蒸発乾固の操作が行われており、上述した従来の方法と同様の問題点を抱えている。
【0012】
【非特許文献1】株式会社講談社昭和49年11月10日発行「触媒調製」148〜160頁
【特許文献1】特開昭58−143,838号公報
【特許文献2】特開昭58−143,839号公報
【特許文献3】特開昭59−35,026号公報
【特許文献4】特開昭59−35,028号公報
【特許文献5】特開平1−151,940号公報
【特許文献6】特開平8−229,412号公報
【特許文献7】特開2000−464号公報
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明者らは、溶解度向上剤の使用や溶媒除去工程の必要による脱硝触媒製造上の問題点を解決し、簡便で容易に、かつ、工業的に有利な脱硝触媒の製造方法を開発すべく鋭意検討した結果、低溶解度の金属化合物(バナジウム化合物及びタングステン化合物)であっても、水に溶解した分の金属化合物が焼成前のチタニア前駆体と接触することによりこの前駆体に吸着されて、容易にその固相中に移行するため、たとえ少量の水の使用であっても、混練操作と組み合わせることによって、溶解分が固相に移行して、未溶解分が新たに溶解して更に前駆体に吸着することが、前駆体の吸着容量に達するまで連続的に進行することを突き止め、これらの原理を応用することにより上記の問題点を一挙に解決できることを見い出し、本発明を完成した。
【0014】
従って、本発明の目的は、溶解度向上剤の使用や溶媒除去工程を必要とすることなく、チタニア担体に活性種として酸化バナジウムと酸化モリブデン又は酸化タングステンとが担持された脱硝触媒を簡便で容易にかつ工業的に有利に製造することができる脱硝触媒の製造方法を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、焼成前のチタニア前駆体であって成形に適した水分含有量を有するチタニア前駆体の湿潤ケーキにバナジウム化合物粉末とモリブデン化合物粉末又はタングステン化合物粉末とからなる金属化合物粉末を添加し、混練してこれらの金属化合物粉末を湿潤ケーキ中の水分に溶解させると共にこの湿潤ケーキ中のチタニア前駆体にこれらの金属化合物を吸着せしめ、次いで成形し、乾燥し、焼成して酸化バナジウムと酸化モリブデン又は酸化タングステンとがチタニア担体に担持された脱硝触媒を製造する、脱硝触媒の製造方法である。
【0016】
本発明において、焼成前のチタニア前駆体とは、最終的に焼成されて活性種を担持するチタニア担体となり得るものであればよい。文献“酸化チタン−物性と応用技術−”清野学著 技報堂出版に記載されているように酸化チタンの前駆体は、硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得られるメタチタン酸と硫酸チタン水溶液又は四塩化チタン水溶液又は硫酸チタニル水溶液に塩基性化合物を添加して得られるオルソチタン酸がある。メタチタン酸はTiO(OH)又はTiO・HOと表され、含水酸化チタンと呼ばれている。この含水酸化チタンは硫酸法酸化チタン製造法において、硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得られており、結晶形態はアナタース型である。オルソチタン酸は水酸化チタンで、Ti(OH)又はTiO・2HOと表され、無定形である。
【0017】
これらのチタニア前駆体は、混練して所望の剤形に成形するのに適した水分量を有する湿潤ケーキとされる。この湿潤ケーキは必要に応じて合成時に生じた前駆体成分と水以外の成分を除くために洗浄操作が施され、最終的に濾過操作によって湿潤ケーキとされるが、この際に混練操作後の成形に好ましい水分量に吸引濾過等によって脱水することができる。この湿潤ケーキに含まれる水分は、例えば触媒金属の金属化合物粉末と混練された際に、この金属化合物粉末の一部を溶解し、この溶解した金属化合物を含水酸化物中に移行させて吸着せしめる作用をするものである。即ち、未溶解分の試薬が存在しても、チタニア前駆体が溶解した試薬を吸着する能力を有することから、溶解分が前駆体に吸着することによって固体相に移行し、新たに未溶解分が水分に溶解して更に吸着することが前駆体の吸着容量に達するまで連続的に進行する。このため、焼成前の前駆体を用いることによって、少量の水分でもそれを溶媒として有効に利用することができる。
【0018】
成形に好ましい水分含有量は、通常30重量%以上150重量%以下、好ましくは50重量%以上90重量%以下である。水分含有量が30重量%より少ないと成形性が悪くなるという問題が起こり易く、反対に、150重量%を超えると調湿工程を必要として触媒調製期間が長くなるという問題が起こり易くなる。なお、ここでいう水分量は、遊離水分と焼成時の脱水縮合反応によって生じる水分の両方を含む総合的な水分量であり、具体的には、酸化物前駆体を400℃以上、好ましくは500℃以上の温度で焼成して酸化物としたときの重量減少によって測定される水分量である。また、混練に際しては溶媒として必ずしも水である必要はない。水以外の溶媒においても本発明を適用することはできるが、工業的には経済性の観点からほとんどの場合、溶媒としては水が使用される。
【0019】
ここで、チタニア前駆体の原料化合物としては、例えばチタンの塩化物、弗化物、臭化物、ヨウ化物、硝酸塩、硫酸塩、炭酸塩、酢酸塩、燐酸塩、ホウ酸塩、蓚酸塩、フッ酸塩、ケイ酸塩、ヨウ素酸塩、オキソ酸塩、アルコキシド類等を挙げることができ、その1種のみを単独で使用できるほか、2種以上の混合物として使用することもできる。
【0020】
チタニア前駆体は、焼成後にシリカを含む複合酸化物となるように珪素を含有するものでもよい。脱硝対象となる排ガスには、石炭焚きボイラー排ガスのようにガス中にSOを含む場合があり、SOが触媒上でSOに酸化されると触媒上に蓄積したり、添加しているアンモニアとの反応によって酸性硫安(NHSO)を生成し、煙道や熱交換器等にスケールとして影響する。従って、SOの酸化活性をできるだけ抑制した触媒が求められ、特公昭57−30,532号公報に例示されるように、チタニア−シリカの複合酸化物を使用することが有効とされている。また、砒素やカルシウム等の被毒成分に対しても有効とされている。チタニア−シリカ複合酸化物前駆体の原料となる珪素化合物としては、シリカゾル、水ガラス、アルコキシド、四塩化珪素、シリカゲル等が例示されるが、特に制限されるものではなく、酸性チタン含有水溶液中に均一に溶解又は微分散させられる珪素源であればよい。
【0021】
上記チタニア前駆体又はチタニアシリカ前駆体の湿潤ケーキに添加する金属化合物については、バナジン酸アンモニウム、硫酸バナジル、シュウ酸バナジル、酸化バナジウム等のバナジウム化合物や、モリブデン酸アンモニウム、塩化モリブデン、オキシ塩化モリブデン、モリブデン酸等のモリブデン化合物や、パラタングステン酸アンモニウム、メタタングステン酸アンモニウム、タングステン酸、オキシ塩化タングステン等のタングステン化合物を挙げることができ、脱硝触媒の用途等によりその1種又は2種以上を適宜選択して用いることができる。
【0022】
本発明においては、上記酸化物前駆体の湿潤ケーキ中に上記金属化合物粉末を添加し、混練して湿潤ケーキ中の水分に上記金属化合物粉末を溶解させると共にこの湿潤ケーキ中の酸化物前駆体に金属化合物を吸着せしめる。ここで、上記湿潤ケーキと金属化合物粉末との混練は、従来この種の金属担持酸化物を製造する際に行われていたと同様の装置や条件で行うことができ、具体的には、自動混練器等の装置を用い、常温、常圧の通常の条件で行うことができる。
【0023】
以上のようにして得られた湿潤ケーキと金属化合物粉末との混練物については、次いで成形し、乾燥し、焼成して活性種がチタニア担体又はチタニア−シリカ複合酸化物担体に担持された金属担持酸化物とされる。
ここで、成形、乾燥、焼成の条件については、製造される脱硝触媒の用途に応じて設定され、従来この種の脱硝触媒を製造する際に行われていたと同様の条件で行うことができる。
【0024】
本発明の方法により製造された触媒は、従来の含浸法や混練法で製造されるものと変わりなく、同様な性能を発揮して排煙脱硝触媒として好適に用いられる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、実施例及び試験例に基づいて、本発明の好適な実施の形態を具体的に説明する。
【0026】
〔実施例1〕(チタニア前駆体ゲルの調製)
四塩化チタン(TiCl)500gを純水から製造した氷を粉砕したものと混合した後に、純水で1,000mlとして四塩化チタン水溶液(溶液A)を得た。また28wt%のアンモニア水を同重量の純水で希釈して14wt%のアンモニア水(溶液B)を調製した。
【0027】
次に35Lのホーロー容器に純水を20L入れて電磁加熱器で加熱し、湯温が75℃になったら四塩化チタン水溶液(溶液A)500mlを投入して攪拌した。このときのpH値は1.1であった。続いてアンモニア水溶液(溶液B)710ccを1度に投入してpH値を8.5とした。この操作によって溶液中にチタニア前駆体が析出しスラリー溶液となった。更に5分間攪拌した後にスラリー溶液を濾過してチタニア前駆体の湿潤ケーキを得た。このケーキを再び20Lの純水に分散して30分攪拌した後に再度濾過を行う洗浄操作を3回実施して析出時に生じる塩化アンモニウムを除去した。3回洗浄後の濾過ケーキを特段の調湿操作をせずに、そのまま採取して500℃で焼成し、重量減少分を水分としてケーキの含水率を測定したところ85.0重量%であった。
【0028】
〔実施例2〕(モリブデン共存下でのバナジウム飽和溶解濃度の測定)
実施例1で得たゲル200g中に含まれる水分量と等しい170mlの純水にバナジン酸アンモニウム試薬(NHVO)4.54g及びモリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)10.0gを投入して、室温で3時間攪拌した。溶液中には多量の未溶解分の試薬が残留していた。この溶液を濾過した濾液を1晩静置した後に溶液の上部からサンプルを分取して原子吸光光度計にてバナジウム濃度及びモリブデン濃度を測定したところ2,800mg/L及び32,000mg/Lであり、投入した総バナジウム分1.98gのうち0.34gが溶解し、総モリブデン分5,430mgは全て溶解していた。
【0029】
〔実施例3〕(チタニア前駆体ゲルのモリブデン存在下のバナジウム平衡吸着量測定)
実施例2と同量のバナジン酸アンモニウム試薬(NHVO)4.54g(バナジウム分として1,980mg)と共に、モリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)2.16g(モリブデン分として1,173mg)を均一に溶解させるのに十分な2,500mlの純水に完全に溶解させ、実施例6で得たゲル200gを投入して室温で3時間攪拌した後に濾別した。濾液中のバナジウム濃度及びモリブデン濃度を原子吸光光度計にて測定したところ17mg/L及び435mg/Lであった。この濃度と系内に存在する水分2.67L(仕込み水2,500mlとゲルに含まれる水分170ml)から求めた未吸着バナジウム分及びモリブデン分の量は45mg及び1,161mgであった。これより、実施例6で調製したチタニア前駆体のバナジウム吸着容量は前駆体ゲル(含水率85重量%)1g当たり9.8mgで焼成後のチタニア1g当たり65.0mgで、モリブデン吸着量はわずかであり、モリブデン共存下においてもバナジウムが良好に吸着した。
【0030】
これより、実施例1で得たチタニア前駆体ゲルは多量のモリブデンが共存してもバナジウムを選択的に吸着する。従って、バナジウムと共にモリブデンを担持する場合においても、特段の調湿操作を行わない洗浄濾過後のケーキに対して、バナジウム試薬と共にモリブデン試薬を混練することで、シュウ酸等の溶解度向上剤を用いないで担持することができる。このときのモリブデンの担持限界量はゲル中に含まれる水分のモリブデン飽和溶解量にほぼ相当する量までとなる。
【0031】
〔実施例4〕(V−MoO/TiO触媒の調製)
実施例1で得たチタニア前駆体ゲル200gをプラスチック製のバットに広げて2日間静置することによって調湿し、総重量を82gとして、含水率を63重量%とした。このゲルに、バナジン酸アンモニウム試薬(NHVO)4.54g(バナジウム分として1,980mg)及びモリブデン酸アンモニウム((NHMo24・4HO)2.16g(モリブデン分として1,173mg)の粉末を混合して直接混練することによって、黄緑色の均一なゲルを得た。次に、このゲルを押出し成形器にかけてゲルを成形した後、恒温乾燥器にて120℃で3時間乾燥した。この乾燥体を適当な長さに粉砕した後に空気を流通させたマッフル炉にて500℃で3時間焼成した。このようにして調製した触媒に担持されたV量及びMoO量を原子吸光光度計で定量したところ、V/MoO/TiO=10/5/85の重量比であった。また物理性状を測定したところ、BET表面積81cm/g、水銀圧入法による細孔容積0.151ml/g、平均細孔径27.2nmであった。
【0032】
〔実施例5〕(V−MoO/TiO触媒の脱硝反応試験)
実施例4で得たV−MoO/TiO触媒を粉砕して0.85〜1.15mmの目開き篩で整粒した触媒1.0mlを反応管に充填し、脱硝反応試験を行った。触媒層の温度を170℃としてNO:250ppm及びO5%を含むNガスをGHSV=30,000(30NL/h)でアンモニア(NH3/NOモル比=1.0)と共に供給(feed)した。出口ガス中のNO濃度は15.5ppmであり、脱硝率は53.8%であった。ここで、脱硝率は次式より算出した。
脱硝率(%)=[[(入口NO濃度)−(出口NO濃度)]/(入口NO濃度)]×100
【0033】
〔実施例6〕(パラタングステン酸アンモニウムの飽和溶解濃度の測定)
実施例1で得たゲル200g中に含まれる水分量と等しい170mlの純水にパラタングステン酸アンモニウム試薬((NH101241・5HO)2.0gを投入して、室温で3時間攪拌した。溶液中には多量の未溶解分の試薬が残留していた。この溶液を濾過した濾液を1晩静置した後に溶液の上部からサンプルを分取して原子吸光光度計にてタングステン濃度を測定したところ6,800mg/Lであり、投入した総タングステン分1.41gのうち1.16gが溶解していた。
【0034】
〔実施例7〕(チタニア前駆体ゲルのバナジウム存在下でのタングステン平衡吸着量測定)
バナジン酸アンモニウム試薬(NHVO)4.54g(バナジウム分として1,980mg)及びパラタングステン酸アンモニウム((NH101241・5HO)2.00g(タングステン分として1,410mg)を均一に溶解させるのに十分な2,500mlの純水に完全に溶解させ、実施例1で得たゲル200gを投入して室温で3時間攪拌した後に濾別した。濾液中のバナジウム濃度及びタングステン濃度を原子吸光光度計にて測定したところ25mg/L及び224mg/Lであった。この濃度と系内に存在する水分2.67L(仕込み水2,500mlとゲルに含まれる水分170ml)から求めた未吸着バナジウム分及びタングステン分の量は67mg及び600mgであった。これより、実施例6で調製したチタニア前駆体は前駆体ゲル(含水率85重量%)1g当たり9.6mgのバナジウムを吸着し、同時に4.0mgのタングステン分を吸着した。
【0035】
これより、モリブデンの代わりにタングステンを用いた場合にもタングステンが前駆体ゲルに吸着されることからアミン等の溶解度向上剤を用いなくても混練によって担持することができると考えられ、実施例1で調製したチタニア前駆体ゲルのタングステン分の担持限界量は、ゲル200g(TiO 30g相当)当り、吸着分として800mg、ゲルに含まれる水分170gに対する飽和溶解分として1,156mgの合計1,956mgとなる。
【0036】
〔実施例8〕(V−WO/TiO触媒の調製)
実施例1で得たチタニア前駆体ゲル200gをプラスチック製のバットに広げて2日間静置することによって調湿し、総重量を82gとして、含水率を63重量%とした。このゲルに、バナジン酸アンモニウム試薬(NHVO)4.54g(バナジウム分として1,980mg)及びパラタングステン酸アンモニウム((NH101241・5HO)2.00g(タングステン分として1,410mg)の粉末を混合して直接混練した。次に、このゲルを押出し成形器にかけてゲルを成形した後、恒温乾燥器にて120℃で3時間乾燥した。この乾燥体を適当な長さに粉砕した後に空気を流通させたマッフル炉にて500℃で3時間焼成した。このようにして調製した触媒に担持されたV量及びWO量を原子吸光光度計で定量したところ、V/WO/TiO=10/5/85の重量比であった。また物理性状を測定したところ、BET表面積82cm/g、水銀圧入法による細孔容積0.240ml/g、平均細孔径26.1nmであった。
【0037】
〔実施例9〕(V−WO/TiO触媒の脱硝反応試験)
実施例8で得たV−WO/TiO触媒を用いた以外は実施例5と同様にして脱硝反応試験をした結果、出口ガス中のNO濃度は17.5ppmであり、脱硝率は93.0%であった。
【0038】
〔実施例10〕(チタニア−シリカ複合前駆体ゲルの調製)
四塩化ケイ素(SiCl)30.0gをメタノール100mlに溶解した(溶液C)。この溶液Cを実施例1で調製した1,500mlの溶液Aに混合して1,600mlとした(溶液D)。この溶液Dの533mlを実施例1の溶液A(500ml)の代わりに用いた以外は実施例1と同様にして、チタニア−シリカ前駆体の湿潤ケーキを得た。このケーキを500℃で焼成して含水率を測定したところ87.0重量%であった。
【0039】
〔実施例11〕(チタニア−シリカ前駆体ゲルのモリブデン存在下のバナジウム平衡吸着量測定)
実施例10で得たゲルを用いた以外は実施例3と同様に仕込んで3時間攪拌した後に濾別した。濾液中のバナジウム濃度及びモリブデン濃度を原子吸光光度計にて測定したところ30mg/L及び277mg/Lであった。この濃度と系内に存在する水分2.675L(仕込み水2,500mlとゲルに含まれる水分175ml)から求めた未吸着バナジウム分及びモリブデン分の量は80mg及び742mg/Lであった。これより、実施例10で調製したチタニア−シリカ前駆体のバナジウム吸着容量は前駆体ゲル(含水率87.5重量%)1g当たり9.5mgで焼成後のチタニア−シリカ1g当たり76.0mgで、モリブデン吸着量はゲル1g当たり2.2mgで、焼成後のチタニア−シリカ1g当たり17.2mgであった。
これより、チタニア−シリカ前駆体ゲルにおいてもチタニア前駆体同様にバナジウムを良好に吸着することがわかった。
【0040】
〔実施例12〕(V−MoO/TiO−SiO触媒の調製)
実施例10で得たチタニア−シリカ前駆体ゲルを用いた以外は実施例4と同様にしてV−MoO/TiO−SiO触媒の調製を行った。調製した触媒に担持されたV量及びMoO量を原子吸光光度計で定量したところ、V/MoO/TiO=10/5/82/3の重量比であった。また物理性状を測定したところ、BET表面積94cm/g、水銀圧入法による細孔容積0.25ml/g、平均細孔径20.1nmであった。
【0041】
〔実施例13〕(V−MoO/TiO−SiO触媒の脱硝反応試験)
実施例12で得たV−MoO/TiO−SiO触媒を用いた以外は実施例5と同様にして脱硝反応試験をした結果、出口ガス中のNO濃度は18.3ppmであり、脱硝率は92.7%であった。
【0042】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、溶解度向上剤の使用や溶媒除去工程を必要とすることなく、チタニア担体に活性種として酸化バナジウムと酸化モリブデン又は酸化タングステンとが担持された脱硝触媒を簡便で容易にかつ工業的に有利に製造することができる。

Claims (8)

  1. 焼成前のチタニア前駆体であって成形に適した水分含有量を有するチタニア前駆体の湿潤ケーキにバナジウム化合物粉末とモリブデン化合物粉末又はタングステン化合物粉末とからなる金属化合物粉末を添加し、混練してこれらの金属化合物粉末を湿潤ケーキ中の水分に溶解させると共にこの湿潤ケーキ中のチタニア前駆体にこれらの金属化合物を吸着せしめ、次いで成形し、乾燥し、焼成して酸化バナジウムと酸化モリブデン又は酸化タングステンとがチタニア担体に担持された脱硝触媒を製造することを特徴とする脱硝触媒の製造方法。
  2. 当該チタニア前駆体が、硫酸チタン水溶液を熱加水分解して得られるメタチタン酸である請求項1に記載の製造方法。
  3. 当該チタニア前駆体が、硫酸チタン水溶液、四塩化チタン水溶液又は硫酸チタニル水溶液に塩基性化合物を添加して得られるオルソチタン酸である請求項1に記載の製造方法。
  4. 当該チタニア前駆体が、チタニア前駆体のほかにシリカ前駆体を含むチタニア−シリカ複合酸化物の前駆体である請求項1〜3に記載の製造方法。
  5. 成形に適した湿潤ケーキの水分含有量が30〜150重量%である請求項1〜4に記載の脱硝触媒の製造方法。
  6. バナジウム化合物粉末がバナジン酸アンモニウムである請求項1〜5に記載の脱硝触媒の製造方法。
  7. モリブデン化合物粉末がモリブデン酸アンモニウムである請求項1〜6に記載の脱硝触媒の製造方法。
  8. タングステン化合物粉末がパラタングステン酸アンモニウムである請求項1〜7に記載の脱硝触媒の製造方法。
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