JP6663761B2 - ハニカム型脱硝触媒の製造方法 - Google Patents

ハニカム型脱硝触媒の製造方法 Download PDF

Info

Publication number
JP6663761B2
JP6663761B2 JP2016057485A JP2016057485A JP6663761B2 JP 6663761 B2 JP6663761 B2 JP 6663761B2 JP 2016057485 A JP2016057485 A JP 2016057485A JP 2016057485 A JP2016057485 A JP 2016057485A JP 6663761 B2 JP6663761 B2 JP 6663761B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
oxide
catalyst
mass
titanium
water
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2016057485A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2017170307A (ja
Inventor
光晴 萩
光晴 萩
森田 敦
敦 森田
近藤 久雄
久雄 近藤
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Shokubai Co Ltd
Original Assignee
Nippon Shokubai Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Shokubai Co Ltd filed Critical Nippon Shokubai Co Ltd
Priority to JP2016057485A priority Critical patent/JP6663761B2/ja
Publication of JP2017170307A publication Critical patent/JP2017170307A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP6663761B2 publication Critical patent/JP6663761B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Landscapes

  • Exhaust Gas Treatment By Means Of Catalyst (AREA)
  • Catalysts (AREA)

Description

本発明は、ハニカム型脱硝触媒(窒素酸化物除去用触媒)の製造方法に関する。本発明に係るハニカム型脱硝触媒(窒素酸化物除去用触媒)は、例えば、重油焚きボイラや石炭焚きボイラ、ガス焚きボイラ、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、火力発電所、ごみ焼却炉および各種工業プロセスから排出される排ガス中に含まれる窒素酸化物(NOx)を除去するのに用いられる。
一般に、重油焚きボイラや石炭焚きボイラ、ガス焚きボイラ、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、火力発電所、ごみ焼却炉および各種工業プロセスから排出される排ガス中には、窒素酸化物(NOx)が含まれている。そして、この排ガス中の窒素酸化物を除去する目的で現在実用化されている窒素酸化物の除去方法としては、アンモニアまたは尿素などの還元剤を用いて排ガス中の窒素酸化物を触媒上で接触還元して窒素および水に分解する選択的触媒還元法(SCR法)が一般的である。近年、酸性雨に代表されるように窒素酸化物による環境汚染が世界的に深刻化するに伴い、高性能な触媒が求められている。
一方、上記排ガス中には硫黄酸化物(SOx)等の酸性ガスも含まれていることから、当該排ガスの処理に用いられる触媒にはNOx除去性能に加えて耐SOx性を有していることが必要であり、この観点からはチタニア系触媒が有望とされている。
ここで、チタニア系の脱硝触媒をハニカム型触媒の形態とすることで、触媒の表面積および細孔容積を大きくし、低温、高空間速度でも高性能を示す高活性な脱硝触媒とすることが行われている。しかしながら、ハニカム型触媒は強度が小さく、特にガスとの接触面が摩耗に弱いという欠点がある。また、例えば石炭焚きボイラに使用される場合、その排ガスには石炭燃焼灰等がダスト(煤塵)として数百mg/m〜数十g/m含まれることも少なくない。このように多量のダストを含む排ガスをハニカム型触媒の形態のチタニア系脱硝触媒を用いて処理すると、ガスとの接触面がダストにより摩耗し、排ガス処理効率が低下したり、粉塵が排ガスとともに系外に排出されて二次公害を引き起こしたり、後流層の触媒層が閉塞したりするなどの問題を引き起こす可能性がある。
従来、脱硝触媒の耐摩耗性を向上させることを目的として、酸化チタン(TiO)と、バナジウム(V)、モリブデン(Mo)、タングステン(W)、鉄(Fe)のうちの一種以上の元素の化合物(活性成分)とを含有する脱硝触媒において、酸化チタンに上記活性成分を加熱混練して担持したものの乾燥または仮焼粉末からなる第一成分と、含水酸化チタン粉末からなる第二成分との混練物成形体を乾燥・焼成することにより脱硝触媒を得る技術が提案されている(特許文献1を参照)。
また、酸化チタンまたは酸化チタン−シリカ複合酸化物100重量部に対して、三酸化タングステン5〜20重量部と、五酸化バナジウム0〜2.0重量部とを含む多孔質成形体に硫酸マグネシウム水溶液を含浸させ、加熱焼成して、硫酸マグネシウムを0.5〜5.5重量部の範囲で上記多孔質成形体に担持させることにより脱硝触媒を得る技術も提案されている(特許文献2を参照)。
特開平7−163876号公報 特開平9−276659号公報
本発明者らが検討を行ったところ、特許文献1〜2に開示されている脱硝触媒では、ハニカム型触媒としての耐摩耗性が依然として十分ではないことが判明した。一方、耐摩耗性を向上させようとすると、場合によっては脱硝性能が低下してしまうというトレードオフが存在することも判明した。
そこで本発明は、ハニカム型脱硝触媒において、脱硝性能の低下を最小限に抑制しつつ、耐摩耗性を向上させうる手段を提供することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討を行った。その結果、所定の第1の酸化物と、チタン酸化物からなる第2の酸化物と、所定の活性成分と、水と、を含む触媒ペースト前駆体を混練して得られた触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成してハニカム型脱硝触媒を製造する際に、触媒ペースト前駆体における水の含有量を所定の範囲内の値に制御するとともに、触媒ペースト前駆体における第1の酸化物と第2の酸化物との配合比を所定の範囲内の値に制御することで上記課題が解決されうることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明の一形態によれば、チタン酸化物、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、チタン−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択される第1の酸化物と、チタン酸化物からなる第2の酸化物と、バナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の活性成分と、水と、を含む触媒ペースト前駆体を混練して触媒ペーストを得ること、および、前記触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成することを含む、ハニカム型脱硝触媒の製造方法が提供される。そして、当該製造方法においては、触媒ペースト前駆体における水の含有量が、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり450〜550g/kgであり、かつ、触媒ペースト前駆体における第2の酸化物の含有量が、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量に対して2〜40質量%である点に特徴がある。
本発明によれば、脱硝性能の低下を最小限に抑制しつつ、耐摩耗性が向上したハニカム型脱硝触媒が提供されうる。
実施例9の製造方法に対応したフロー図である。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための具体的な形態について詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められるべきであり、下記の形態のみには限定されない。
本発明の一形態によれば、チタン酸化物、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、チタン−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択される第1の酸化物と、チタン酸化物からなる第2の酸化物と、バナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の活性成分と、水と、を含む触媒ペースト前駆体を混練して触媒ペーストを得ること(以下、「工程(1)」とも称する)、および、前記触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成すること(以下、「工程(2)」とも称する)を含む、ハニカム型脱硝触媒の製造方法であって、前記触媒ペースト前駆体における水の含有量が、前記第1の酸化物と前記第2の酸化物との合計質量当たり450〜550g/kgであり、かつ、前記触媒ペースト前駆体における前記第2の酸化物の含有量が、前記第1の酸化物と前記第2の酸化物との合計質量に対して2〜40質量%であることを特徴とする、ハニカム型脱硝触媒の製造方法が提供される。
[工程(1)]
工程(1)は、所定の原料を含む触媒ペースト前駆体を得た後、これを混練して触媒ペーストを得る工程である。
(触媒ペースト前駆体)
触媒ペースト前駆体は、第1の酸化物、第2の酸化物、活性成分、および水を必須に含み、必要に応じて、無機繊維、バインダなどの添加剤をさらに含んでもよい。
・第1の酸化物
触媒ペースト前駆体に含まれる第1の酸化物は、以下のものからなる群から選択される酸化物である:
チタン酸化物(TiO);
チタン−ケイ素の混合酸化物(TiOとSiOとの混合物);
チタン−ケイ素の複合酸化物(TiO−SiO複合酸化物(「TS複合酸化物」とも称する));
チタン−タングステンの複合酸化物(TiO−WO複合酸化物(「TW複合酸化物」とも称する));
チタン−タングステンの混合酸化物(TiOとWOとの混合物);
チタン−ケイ素−タングステンの複合酸化物(TiO−SiO−WO複合酸化物(「TSW複合酸化物」とも称する));
チタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物(TiOとSiOとWOとの混合物、TS複合酸化物またはTSW複合酸化物とWOとの混合物、TW複合酸化物またはTSW複合酸化物とSiOとの混合物、TS複合酸化物とTW複合酸化物(さらに必要に応じてSiOおよび/またはWO)との混合物、)。
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、第1の酸化物は、ケイ素の酸化物(SiO)を含むものであることが、脱硝性能および耐摩耗性の両立の観点からはより好ましい。すなわち、第1の酸化物は、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択されることが好ましい。
なお、第1の酸化物はチタン酸化物(TiO)を必須成分として含むものであるが、第1の酸化物がチタン酸化物(TiO)以外の成分をも含む場合、第1の酸化物におけるチタン酸化物(TiO)の含有割合は、酸化物換算で好ましくは70〜99.9質量%であり、より好ましくは80〜99.5質量%である。
第1の酸化物の平均粒子径は、好ましくは1〜50μmであり、より好ましくは2〜50μmであり、さらに好ましくは2〜40μmである。第1の酸化物の平均粒子径が1〜50μmであれば、第2の酸化物と密接な結合を形成し触媒強度および摩耗強度を向上できるという利点がある。なお、第1の酸化物および後述する第2の酸化物の平均粒子径の値は、粒子径分布測定装置を用い、レーザー回折散乱法という方法によって測定された値を採用するものとする。また、第1の酸化物のBET比表面積は、好ましくは70〜250m/gであり、より好ましくは80〜200m/gであり、さらに好ましくは90〜180m/gである。第1の酸化物のBET比表面積が70〜250m/gであれば、第1の酸化物、第2の酸化物および活性成分の原料である塩類等を混合するときに添加する水分量を適正な範囲に制御することができ、触媒強度および摩耗強度の向上を図れるという利点がある。
第1の酸化物としては、市販品を購入したものを用いてもよいし、自ら調製したものを用いてもよい。第1の酸化物のなかでも複合酸化物を自ら調製する方法としては、例えば、共沈法が挙げられる(後述する実施例8〜9を参照)。共沈法によって複合酸化物を得る方法自体は従来公知であり、公知の知見が適宜参照されうる。共沈法によって調製された複合酸化物は比表面積が高いなどの優れた特性を有しており、触媒性能も高くなることから、より好適に用いられる。この際、チタンの原料としては、塩化チタン、硫酸チタン、四塩化チタン、硫酸チタニル、テトライソプロピルチタネートが挙げられ、ケイ素の原料としては、シリカゾル、水ガラス、四塩化ケイ素が挙げられ、タングステンの原料としては、三酸化タングステン、タングステン酸、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウムが挙げられる。
・第2の酸化物
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、触媒ペースト前駆体は、上述した第1の酸化物とともに、第2の酸化物としてチタン酸化物(TiO)を含む。本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法においては、上述した第1の酸化物に加えて、この第2の酸化物(チタン酸化物(TiO))を所定の割合で併用することで、脱硝性能の低下を抑制しつつ、耐摩耗性に優れる脱硝触媒を得ることが可能となる。具体的に、本形態に係る製造方法においては、工程(1)で得られる触媒ペースト前駆体における当該第2の酸化物の含有量を、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量に対して2〜40質量%とする。好ましくは、この第2の酸化物の含有量は、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量に対して5〜25質量%である。第2の酸化物の含有量が2質量%未満であると、十分な耐摩耗性を実現することができない。一方、第2の酸化物の含有量が40質量%を超えると、耐摩耗性は確保されるものの、脱硝性能が低下してしまうという問題がある。
第2の酸化物の平均粒子径は、好ましくは0.5〜5μmであり、より好ましくは0.5〜3μmである。第2の酸化物の平均粒子径が0.5〜5μmであれば、第1の酸化物と密接な結合を形成し触媒強度および摩耗強度を向上できるという利点がある。また、第2の酸化物のBET比表面積は、好ましくは50〜150m/gであり、より好ましくは70〜120m/gであり、さらに好ましくは80〜120m/gである。当該酸化物のBET比表面積が50〜150m/gであれば、第1の酸化物、第2の酸化物および活性成分の原料である塩類等を混合するときに添加する水分量を適正な範囲に制御することができ、触媒強度および摩耗強度の向上を図れるという利点がある。
なお、第2の酸化物についても、市販品を購入したものを用いてもよいし、自ら調製したものを用いてもよい。
・活性成分
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、触媒ペースト前駆体は、活性成分を含む。この活性成分は、バナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種を必須に含有する。これらの活性成分は通常、当該成分を含む化合物またはその溶液(例えば、水溶液)の形態で供給されて、触媒ペースト前駆体中に導入される。上記活性成分の原料(化合物)としては、例えば、バナジウム原料として五酸化バナジウム、メタバナジン酸アンモニウム、硫酸バナジル、シュウ酸バナジル;タングステン原料として上記と同様の三酸化タングステン、タングステン酸、メタタングステン酸アンモニウム、パラタングステン酸アンモニウム;モリブデン原料として三酸化モリブデン、モリブデン酸、パラモリブデン酸アンモニウムが挙げられる。
なお、上述した活性成分以外の活性成分が含まれてもよく、例えば、ケイ素、アルミニウム、ジルコニウムなどが含まれてもよい。また、これらの原料としては、ケイ素原料として上記と同様のシリカゾル、水ガラス、四塩化ケイ素;アルミニウム原料としてアルミナ、ベーマイト、硝酸アルミニウム、シュウ酸アルミニウム、硫酸アルミニウム;ジルコニウム原料として酸化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、硫酸ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウムが挙げられる。
・水
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法において、触媒ペースト前駆体は、水を含む。この水は、上述した活性成分を触媒ペースト前駆体に導入する際の溶液の溶媒として導入される場合のほか、水のみの形態で別途添加されることにより導入される場合がある。
本形態に係る脱硝触媒およびその製造方法においては、触媒ペースト前駆体に含まれる水の量にも特徴がある。すなわち、触媒ペースト前駆体における水の含有量は、上述した第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり450〜550g/kgであり、好ましくは475〜525g/kgである。この水の量が450g/kg未満であると、耐摩耗性は確保されるものの、脱硝性能が低下してしまうという問題がある。一方、この水の量が550g/kgを超えると、十分な耐摩耗性を実現することができない。
・添加剤
触媒ペースト前駆体は、必要に応じて、上述した成分以外の添加剤を含みうる。かような添加剤としては、例えば、グラスウール等の無機繊維からなる強化用部材や、シリカゾル、澱粉、ポリビニルアルコール、メトロース(セルロース系増粘剤、信越化学工業株式会社の商品名)、カルボキシルセルロース等からなる成型助剤(バインダ)が挙げられる。これらの添加剤種および添加剤の添加量について特に制限はなく、本発明の作用効果を損ねない範囲で、従来公知の知見を参照しつつ適宜決定されうる。
(混練工程)
工程(1)は、上記で得られた触媒ペースト前駆体を混練する工程(混練工程)を含む。触媒ペースト前駆体は、混練工程を経ることで粘度、硬度が調整されて組成も均一化されて触媒ペーストとなり、後述の工程(2)において使用される。
混練工程の詳細について特に制限はなく、触媒ペースト前駆体の粘度、硬度を後述する成型に適した値に制御することができ、かつ、組成物の組成を均一化することが可能な手段であれば、従来公知の任意の手段が採用されうる。例えば、双軸式ニーダー、コンティニュアスニーダー、双腕型ニーダー、連続スクリュー式ニーダー、加圧型ニーダー、多羽根式ニーダー、混合機(パグミキサー、リボンミキサー)などが用いられる。
好ましい実施形態において、混練工程は、多段階(例えば、2段階)で行われる。ここで、「混練工程が多段階で行われる」とは、条件の異なる混練、混合操作を続けて行うことを意味する。この際、「異なる条件」としては、混練工程の際の混練強度、温度、装置の種類、装置の回転速度、装置内圧力、処理量、時間の1つまたは2つ以上が挙げられるが、特に好ましいのは、異なる装置を用いて多段階(好ましくは2段階)の混練、混合操作を行うことである。例えば2段階での混練処理を例に挙げると、1段階目の混練工程に用いる第1の混練装置としては、比較的混練強度の大きい、いわゆる混練機が好ましい。混練機としては、例えば、加圧型ニーダー、双軸式ニーダー、コンティニュアスニーダー、連続スクリュー式ニーダーのうち1機種を用いることが好ましい。また、2段階目の混練工程に用いる第2の混練装置としては、比較的混練強度の小さい、いわゆる混合機が好ましい。混合機としては、パグミキサー、リボンミキサー、双腕型ニーダー、多羽根式ニーダーのうち1機種を用いることが好ましい。混練機と混合機を併用する好ましい実施形態について説明したが、混練機と混合機とを併用することが好ましく、上述したように混練機を先に用い、混合機をその後の工程で用いることがより好ましい。言い換えれば、混練工程の途中で混練強度を弱めるように変化させることが好ましく、混練機→混合機のように装置の種類を変更することによってかような混練強度の変化を達成することがより好ましい。このような構成とすることで、触媒ペースト前駆体の粘度、硬度を成型に適した値に制御し、組成物の組成を均一化することが確実に行われうるという利点がある。これは、混練強度が大きいと混練対象物をしっかりと強く練ることができ、目的とする練物の粘度、硬度を得ることができる。一方で、この工程でしっかりと強く練ると、添加した無機繊維が破壊される結果、もとの繊維長さを維持することができない可能性もある。このため、混練強度のより大きい混練の後、混練強度のより小さい混練の前に無機繊維を添加する工程を含むことがより好ましい。これにより、触媒の摩耗強度をよりいっそう向上させることができる
上述した混練工程を経て、工程(1)では触媒ペーストが得られるが、この触媒ペーストの硬度(土壌硬度計にて測定)は、好ましくは20mm以上であり、より好ましくは22mm以上である。この触媒ペーストの支持力強度は、好ましくは6.3kg/cm以上、より好ましくは8.5kg/cm以上である。
[工程(2)]
工程(2)は、工程(1)において得られた触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成する工程である。これにより、ハニカム型脱硝触媒が得られる。
成型工程の詳細についても特に制限はなく、従来公知の任意の手段が採用されうる。例えば、押出し成形機を用いてハニカム状に成型すればよい。
得られた成型体については、その後、50〜120℃程度の温度でよく乾燥する。次いで、300〜750℃程度、好ましくは400〜650℃、より好ましくは490〜520℃の温度で、1〜10時間、好ましくは3〜10時間焼成する。これにより、ハニカム状脱硝触媒を得ることができる。
得られた脱硝触媒の特性について特に制限はないが、触媒の比表面積については、80m/g以上の範囲が好ましく、80〜250m/gの範囲がより好ましい。触媒の比表面積が80m/g以上程度あれば、十分な脱硝性能を得ることができる。
また、触媒の細孔容積については、全細孔容積が0.25〜0.5mL/gの範囲にあるのがよく、より好ましくは0.3〜0.5mL/gがよい。触媒の細孔容積が0.25mL/g以上であれば十分な脱硝性能が得られ、0.5mL/g以下であれば触媒の機械的強度も十分なものとなり、耐磨耗性も十分に確保されうる。
得られた脱硝触媒は、工程(1)において添加された活性成分であるバナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種を含有する。脱硝触媒における活性成分含有量は、特に制限されないが、バナジウム、タングステンおよびモリブデンのそれぞれについての酸化物換算で、好ましくは0〜20質量%であり、より好ましくは0〜10質量%である(ただし、その合計は0質量%超である)。また、活性成分の総量(複数の活性成分が含まれる場合にはその合計量)についても特に制限されないが、好ましくは0〜30質量%であり、より好ましくは3〜20質量%であり、さらに好ましくは5〜10質量%である。なお、脱硝触媒中にタングステンが活性成分として含まれる可能性としては、上述した第1の酸化物(WO)に由来する場合と、WO以外の化合物の形態で含まれる場合とがありうるが、触媒の形態では、いずれもWOとして観察され、活性成分としてのタングステンの量はその総量として規定される。
本形態に係る脱硝触媒は、各種排ガスの処理に用いられる。排ガスの組成については特に制限はないが、重油焚きボイラや石炭焚きボイラ、ガスタービン、ガスエンジン、ディーゼルエンジン、火力発電所、産業廃棄物や都市廃棄物を処理する焼却施設および各種工業プロセスから排出される窒素酸化物(NOx)の分解活性に優れるため、これら窒素酸化物を含む排ガスの処理に好適に用いられる。
本形態に係る脱硝触媒を用いて窒素酸化物の除去を行うには、本形態に係る触媒をアンモニアや尿素などの還元剤の存在下、排ガスと接触させることで、排ガス中の窒素酸化物を還元除去することができる。アンモニア量は、窒素酸化物を窒素と水に分解できる当量に対して0.3〜1.5倍、好ましくは0.5〜1.2倍である。アンモニア量が窒素酸化物を窒素と水に分解できる当量に対して0.3倍以上であれば窒素酸化物の処理効率を十分に確保することができ、1.5倍以下であれば未反応のアンモニアの残存量の増大に伴う環境への悪影響を防止することができる。ここで、窒素酸化物を窒素と水に分解できる当量について、対象物質がNOの場合は、NO 1モルに対してアンモニアは1モルであり、対象物質がNOの場合は、NO 1モルに対してアンモニアは1.33〜2モルである。なお、尿素をも用いる場合は、尿素はアンモニアの2倍モルとして作用するのでアンモニア量の半分のモル量となる。
本形態に係る脱硝触媒を用いて窒素酸化物の除去を行う際の条件について特に制限はなく、この種の反応に一般的に用いられている条件で実施することができる。具体的には、排ガスの種類、性状、要求される除去率などを考慮して適宜決定すればよい。
なお、触媒入口ガス温度は100〜600℃の範囲であることが好ましく、より好ましくは150〜500℃、さらに好ましくは200〜450℃がよい。また、その際の空間速度は100〜200000hr−1(STP)が好ましく、1000〜100000hr−1(STP)がより好ましく、さらに好ましくは2000〜50000hr−1(STP)がよい。なお、排ガス中の窒素酸化物の濃度は、5〜5000ppm、好ましくは10〜2000ppmである。
以下、実施例を用いて本発明の実施形態をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲は下記の実施例に限定して解釈されるべきではない。なお、実施例9の製造方法に対応したフロー図を図1に示す。
<ハニカム型触媒の製造>
(実施例1)
第1の酸化物としてTS混合酸化物を用いて、以下の手法によりハニカム型脱硝触媒を得た。
具体的には、まず、2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム2.12kgおよびモノエタノールアミン0.91kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.32kgおよびシュウ酸0.44kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、第1の酸化物であるTS混合酸化物(硫黄化合物を硫黄原子換算で1.2質量%含むチタン−ケイ素混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO=88:12(質量比)];平均粒子径3μm)15.0kgを計量した。次いで、第2の酸化物であるチタン酸化物(平均粒子径1μm)を5.0kg計量した。計量した第1の酸化物および第2の酸化物を混練機に投入し(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は75/25(質量比)である)、この上からa液およびb液を投入し、さらに触媒の質量100質量%に対して4質量%となる量の無機繊維(グラスウール)および成形助剤とともに追加水を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、触媒の質量100質量%に対して4質量%となる量の無機繊維(グラスウール)をさらに添加して、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は100m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり475gとした。
(実施例2)
触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)を、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり500gとしたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(実施例3)
触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)を、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり525gとしたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(比較例1)
触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)を、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり400gとしたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(比較例2)
触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)を、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり650gとしたこと以外は、上述した実施例1と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(比較例3)
第1の酸化物(TS混合酸化物)を20.0kg用い、第2の酸化物(チタン酸化物)を用いなかった(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は100/0(質量比)である)こと以外は、上述した実施例2と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(実施例4)
第1の酸化物(TS混合酸化物)を19.0kg用い、第2の酸化物(チタン酸化物)を1.0kg用いた(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は95/5(質量比)である)こと以外は、上述した実施例2と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(実施例5)
第1の酸化物(TS混合酸化物)を18.0kg用い、第2の酸化物(チタン酸化物)を2.0kg用いた(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は90/10(質量比)である)こと以外は、上述した実施例2と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(実施例6)
第1の酸化物(TS混合酸化物)を14.0kg用い、第2の酸化物(チタン酸化物)を6.0kg用いた(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は70/30(質量比)である)こと以外は、上述した実施例2と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(比較例4)
第1の酸化物(TS混合酸化物)を10.0kg用い、第2の酸化物(チタン酸化物)を10.0kg用いた(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は50/50(質量比)である)こと以外は、上述した実施例2と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
(実施例7)
第1の酸化物としてTSW混合酸化物を用いて、以下の手法によりハニカム型脱硝触媒を得た。
具体的には、まず、2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム1.75kgおよびモノエタノールアミン0.75kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.32kgおよびシュウ酸0.43kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、第1の酸化物であるTSW混合酸化物(硫黄化合物を硫黄原子換算で1.2質量%含むチタン−ケイ素−タングステン混合酸化物の粉体[混合比がTiO:SiO:WO=95:3:2(質量比);平均粒子径25μm)15.0kgを計量した。次いで、第2の酸化物であるチタン酸化物(平均粒子径1μm)を5.0kg計量した。計量した第1の酸化物および第2の酸化物を混練機に投入し(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は75/25(質量比)である)、この上からa液およびb液を投入し、さらに触媒の質量100質量%に対して4質量%となる量の無機繊維(グラスウール)および成形助剤とともに追加水を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、触媒の質量100質量%に対して4質量%となる量の無機繊維(グラスウール)をさらに添加して、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は97m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり500gとした。
(実施例8)
以下の手法により、第1の酸化物であるTS複合酸化物を得た後、これを用いてハニカム型脱硝触媒を得た。
[第1の酸化物(TS複合酸化物)の調製]
具体的には、まず、第1の酸化物であるTS複合酸化物(TiO−SiOの複合酸化物の粉体)を、以下に述べる方法で調製した。
水1000Lにアンモニア水(NH_25%)715Lを添加し、これに30質量%のシリカゾル溶液44kgを加えた。得られた水溶液に、硫酸チタニルの硫酸水溶液(TiOSO[TiO換算]250g/L、HSO_1100g/L)401Lを水800Lに添加して希釈したチタン含有硫酸水溶液を撹拌下で徐々に滴下して、共沈ゲルを生成させた。さらに、そのまま40時間放置して静置した。このようにして得られたTiO−SiOゲルを濾過し、水洗した後、乾燥し、次いで550℃にて5時間、空気雰囲気下で焼成して、第1の酸化物(TiO−SiOの複合酸化物の粉体)を得た。得られた第1の酸化物の組成は、酸化物としての質量比でTiO:SiO=88:12であった。なお、第1の酸化物に含まれる硫黄化合物の量は、硫黄原子換算で1.2質量%であった。また、第1の酸化物の平均粒子径は20μmであった。
[ハニカム型触媒の製造]
2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム2.12kgおよびモノエタノールアミン0.91kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.32kgおよびシュウ酸0.44kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、上記で調製した第1の酸化物であるTS複合酸化物(平均粒子径20μm)を15.0kg計量した。次いで、第2の酸化物であるチタン酸化物(平均粒子径1μm)を5.0kg計量した。計量した第1の酸化物および第2の酸化物を混練機に投入し(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は75/25(質量比)である)、この上からa液およびb液を投入し、さらに触媒の質量100質量%に対して4質量%となる量の無機繊維(グラスウール)および成形助剤とともに追加水を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、触媒の質量100質量%に対して4質量%となる量の無機繊維(グラスウール)をさらに添加して、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は115m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり500gとした。
(実施例9)
以下の手法により、第1の酸化物であるTSW複合酸化物を得た後、これを用いてハニカム型脱硝触媒を得た。
[第1の酸化物(TSW複合酸化物)の調製]
具体的には、まず、第1の酸化物であるTSW複合酸化物(TiO−SiO−WOの複合酸化物の粉体)を、以下に述べる方法で調製した。
水1000Lにアンモニア水(NH_25%)715Lを添加し、これに30質量%のシリカゾル溶液19kgを加えた。そこへ、別途調製した、水5Lにモノエタノールアミン(MEA)を1kg加え、その上からパラタングステン酸アンモニウムを2.6kg混合し、約60℃まで加温して、パラタングステン酸アンモニウムを溶解した液を加えた。得られた水溶液に、硫酸チタニルの硫酸水溶液(TiOSO[TiO換算]250g/L、HSO_1100g/L)421Lを水800Lに添加して希釈したチタン含有硫酸水溶液を撹拌下で徐々に滴下して、共沈ゲルを生成させた。さらに、そのまま40時間放置して静置した。このようにして得られたTiO−SiO−WOゲルを濾過し、水洗した後、乾燥し、次いで550℃にて5時間、空気雰囲気下で焼成して、第1の酸化物(TiO−SiO−WOの複合酸化物の粉体)を得た。得られた第1の酸化物の組成は、酸化物としての質量比でTiO:SiO:WO=95:3:2であった。なお、第1の酸化物に含まれる硫黄化合物の量は、硫黄原子換算で1.2質量%であった。また、第1の酸化物の平均粒子径は25μmであった。
[ハニカム型触媒の製造]
2Lの水にパラタングステン酸アンモニウム1.75kgおよびモノエタノールアミン0.75kgを混合して溶解させ、均一溶液(a液)を調製した。また、4Lの水にメタバナジン酸アンモニウム0.32kgおよびシュウ酸0.43kgを混合して溶解させ、均一溶液(b液)を調製した。
一方、上記で調製した第1の酸化物であるTSW複合酸化物(平均粒子径25μm)を15.0kg計量した。次いで、第2の酸化物であるチタン酸化物(平均粒子径1μm)を5.0kg計量した。計量した第1の酸化物および第2の酸化物を混練機に投入し(第1の酸化物/第2の酸化物の混合比は75/25(質量比)である)、この上からa液およびb液を投入し、さらに触媒の質量100質量%に対して4質量%となる量の無機繊維(グラスウール)および成形助剤とともに追加水を加えて混合して触媒ペースト前駆体を得た。この触媒ペースト前駆体を混練機内で適度な硬さになるまで混練した(第1混練工程)。その後、第1混練工程で得られた混練物を混合機へ移し、触媒の質量100質量%に対して4質量%となる量の無機繊維(グラスウール)をさらに添加して、混練機よりも小さい混練強度で混練することにより、成分の均一化を促進させた(第2混練工程)。
第2混練工程で得られた混練物を、押出し成形機を用いて80mm角の格子状(ハニカム状)に成型した。次いで、得られた成型体を乾燥した後、490℃にて5時間焼成して、ハニカム型脱硝触媒を得た。得られた触媒中のVおよびWOの含有量は、それぞれ1.0質量%および7.5質量%であった。また、得られたハニカム型脱硝触媒の貫通孔の相当直径は6mm、セル肉厚は1.0mm、比表面積は112m/gであった。なお、触媒ペースト前駆体における水の含有量(a液に用いた水、b液に用いた水および混練時に追加した追加水の合計量)は、第1の酸化物と第2の酸化物との合計質量当たり500gとした。
(実施例10)
第1混練工程において混練機に添加する無機繊維(グラスウール)の量を、触媒の質量100質量%に対して8質量%となる量に変更し、第2混練工程において混合機に添加する無機繊維(グラスウール)の量を、触媒の質量100質量%に対して0質量%となるように変更した(つまり、混合機には無機繊維(グラスウール)を添加しなかった)こと以外は、上述した実施例2と同様の手法により、ハニカム型脱硝触媒を得た。
[ハニカム型脱硝触媒の評価]
上記の実施例および比較例で得られたハニカム型脱硝触媒を用いて、下記の条件で触媒の耐摩耗性(摩耗率)および脱硝性能(脱硝率)を評価した。結果を下記の表2に示す。なお、表2には、レーザー回折散乱法という手法により測定した第1の酸化物および第2の酸化物の平均粒子径の値、および、水銀圧入法により測定したハニカム型脱硝触媒の細孔容積の値についても併せて記載する。
(耐摩耗性の評価(摩耗率の測定))
ハニカム型脱硝触媒を9セル×9セル×100mm長さのサイズに切り出し、摩耗率測定用サンプルとした。このサンプルの貫通孔内に38g/mの濃度の硅砂を含む空気を16m/s(触媒断面あたり)のガス流量で常温にて2時間導入することにより強制摩耗試験を行い、下記式に従って摩耗率を算出した。なお、摩耗率の値が小さいほど、耐摩耗性に優れることを意味する。
摩耗率(%)=([テスト前触媒質量−テスト後触媒質量)/テスト前触媒質量]×100
(脱硝率の測定)
ハニカム型脱硝触媒を3セル×3セル×306mm長さのサイズに切り出し、ステンレス製の反応管に充填した。この反応管に、下記の表1の組成を有する合成ガスを導入した。そして、反応管入口ガスおよび出口ガスのNOx濃度を化学光学式NOx計により測定し、下記式に従って脱硝率を算出した。なお、脱硝率の値が大きいほど、脱硝性能に優れることを意味する。
脱硝率(%)=[(入口NOx濃度−出口NOx濃度)/入口NOx濃度]×100
表2に示す結果から、水の添加量が少な過ぎる比較例1や、第2の酸化物(酸化チタン)の配合量が多過ぎる比較例4では、耐摩耗性は優れるものの、十分な脱硝性能を得ることができていない。一方、水の添加量が多過ぎる比較例2や、第2の酸化物(酸化チタン)を配合していない比較例3では、脱硝性能は優れるものの、十分な耐摩耗性を得ることができていない。
これに対し、所定の第1の酸化物と酸化チタン(第2の酸化物)とを含む触媒ペースト前駆体を混練してからハニカム状に成型して脱硝触媒を製造する際に、上記酸化物を所定の質量比で配合するとともに、触媒ペースト前駆体への水の添加量を所定の範囲内の値に制御することで、脱硝性能の低下を最小限に抑えつつ、耐摩耗性に優れるハニカム型脱硝触媒を得ることができることがわかる。

Claims (7)

  1. タン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、チタン−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択される第1の酸化物と、チタン酸化物からなる第2の酸化物と、バナジウム、タングステンおよびモリブデンからなる群から選択される少なくとも1種の活性成分と、水と、を含む触媒ペースト前駆体を混練して触媒ペーストを得ること、および、
    前記触媒ペーストをハニカム状に成型し、焼成することを含む、ハニカム型脱硝触媒の製造方法であって、
    前記触媒ペースト前駆体における水の含有量が、前記第1の酸化物と前記第2の酸化物との合計質量当たり450〜550g/kgであり、かつ、
    前記触媒ペースト前駆体における前記第2の酸化物の含有量が、前記第1の酸化物と前記第2の酸化物との合計質量に対して2〜40質量%であることを特徴とする、ハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  2. 前記第1の酸化物が、チタン−ケイ素の混合酸化物および/または複合酸化物、並びにチタン−ケイ素−タングステンの混合酸化物および/または複合酸化物からなる群から選択される、請求項1に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  3. 前記混練を、異なる装置を用いて2段階以上行う、請求項1または2に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  4. 前記触媒ペースト前駆体における前記第2の酸化物の含有量が、前記第1の酸化物と前記第2の酸化物との合計質量に対して5〜25質量%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  5. 前記第2の酸化物の平均粒子径が0.5〜3μmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  6. 前記第1の酸化物の平均粒子径が1〜50μmである、請求項1〜5のいずれか1項に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
  7. 前記焼成を、490〜520℃の温度にて、3〜10時間行う、請求項1〜6のいずれか1項に記載のハニカム型脱硝触媒の製造方法。
JP2016057485A 2016-03-22 2016-03-22 ハニカム型脱硝触媒の製造方法 Active JP6663761B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016057485A JP6663761B2 (ja) 2016-03-22 2016-03-22 ハニカム型脱硝触媒の製造方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2016057485A JP6663761B2 (ja) 2016-03-22 2016-03-22 ハニカム型脱硝触媒の製造方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2017170307A JP2017170307A (ja) 2017-09-28
JP6663761B2 true JP6663761B2 (ja) 2020-03-13

Family

ID=59970017

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2016057485A Active JP6663761B2 (ja) 2016-03-22 2016-03-22 ハニカム型脱硝触媒の製造方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP6663761B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN112473650B (zh) * 2019-09-12 2024-04-09 国家能源投资集团有限责任公司 一种脱硝催化剂及其制备方法

Also Published As

Publication number Publication date
JP2017170307A (ja) 2017-09-28

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP5947939B2 (ja) チタン含有粉末、排ガス処理触媒及びチタン含有粉末の製造方法
JP6591919B2 (ja) ハニカム型脱硝触媒の製造方法
JP2013091045A (ja) 排ガス処理方法
JP4113090B2 (ja) 排ガス処理方法
JP4098703B2 (ja) 窒素酸化物除去用触媒および窒素酸化物除去方法
JP2004000943A (ja) ハニカム状排ガス処理触媒用二酸化チタン粉末およびその二酸化チタン粉末を使用したハニカム状排ガス処理触媒
JP5787901B2 (ja) 脱硝触媒用担体、脱硝触媒及び脱硝装置
JP2008024565A (ja) 改質酸化チタン粒子およびその製造方法、並びにこの改質酸化チタン粒子を使用した排ガス処理用触媒
JP2015147165A (ja) ハニカム触媒及びハニカム触媒の製造方法
JP2015182067A (ja) 船舶排ガス処理触媒および排ガス処理方法
JP6132498B2 (ja) チタン・ケイ素・タングステンの酸化物、それを用いた脱硝触媒、当該酸化物の調製方法および脱硝方法
JP6663761B2 (ja) ハニカム型脱硝触媒の製造方法
JP2006150352A (ja) 排ガス処理用触媒および排ガスの処理方法
JP5215990B2 (ja) 排ガス処理用触媒および排ガス処理方法
JP7486301B2 (ja) 排ガス処理触媒とその製造方法およびこれを用いた排ガス処理方法、並びに触媒の設計方法
JP2004290754A (ja) ディーゼルエンジン排ガスの脱硝方法
JP6906420B2 (ja) 無機複合酸化物の製造方法およびこれを用いた排ガス処理方法
JP3749078B2 (ja) 脱硝触媒および脱硝方法
JP2012206058A (ja) 脱硝触媒および脱硝方法
JP6016572B2 (ja) 排ガス処理触媒および排ガス処理方法
JP6261260B2 (ja) 船舶排ガス処理触媒および排ガス処理方法
JP2004290753A (ja) 耐熱性脱硝触媒
JP2017177051A (ja) 排ガス処理触媒および排ガス処理方法
JP2013071071A (ja) 排ガス処理方法
JP7183081B2 (ja) 脱硝触媒およびその製造方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20181206

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20190826

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20190903

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20191101

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20200204

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20200217

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 6663761

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150