JP2004328961A - 車両の充放電制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄電装置の過充電と車両の燃費とを両立する充放電装置を提供する。
【解決手段】発電機または蓄電装置からの電力に基づき車両の駆動源として機能し、車両制動時には回生発電を行い電力を蓄電装置に充電する電動機4と、蓄電装置の状態に応じて蓄電装置が充電可能な電力を算出するコントローラ10を備えた車両の充放電制御装置において、車両制動時に発生する回生電力の算出した充電可能電力を超える分の電力を消費する回生電力消費手段2を備え、前記コントローラ10は、前記充電可能電力と前記回生電力消費手段の制御誤差に応じて前記蓄電装置の充電可能電力を補正した充電可能電力補正値を算出する算出手段(S4、S6、S8)と、前記充電可能電力補正値を前記回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換える手段(S3、S5)とを備え、回生電力消費手段は、回生電力のうち前記充電可能電力補正値を越えた分の電力を消費する。
【選択図】 図1
【解決手段】発電機または蓄電装置からの電力に基づき車両の駆動源として機能し、車両制動時には回生発電を行い電力を蓄電装置に充電する電動機4と、蓄電装置の状態に応じて蓄電装置が充電可能な電力を算出するコントローラ10を備えた車両の充放電制御装置において、車両制動時に発生する回生電力の算出した充電可能電力を超える分の電力を消費する回生電力消費手段2を備え、前記コントローラ10は、前記充電可能電力と前記回生電力消費手段の制御誤差に応じて前記蓄電装置の充電可能電力を補正した充電可能電力補正値を算出する算出手段(S4、S6、S8)と、前記充電可能電力補正値を前記回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換える手段(S3、S5)とを備え、回生電力消費手段は、回生電力のうち前記充電可能電力補正値を越えた分の電力を消費する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の充放電制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
駆動源として内燃機関とモータとを備えるハイブリッド車両において、車両制動時にモータを発電機として機能させて、制動時の回生発電により発電した電力を蓄電装置(例えば、バッテリ)に充電して、充電した電力でモータを駆動することにより車両の燃費を向上させている。
【0003】
しかしながら、ハイブリッド車両が長い下り坂を走行するような回生発電が継続する場合には、回生発電により発電された電力により蓄電装置の充電量が過充電状態となり、蓄電装置が劣化する恐れが生じる。また、満充電状態に達する前であっても回生発電の電力が蓄電装置の充電可能電力を超える場合には蓄電装置の端子電圧が許容電圧を越えて蓄電装置を劣化させる可能性がある。
【0004】
このような課題を解決するために、シリーズハイブリッド車両において、回生発電の電力が蓄電装置の充電可能電力を超える場合には、発電機を作動させて内燃機関を空回りさせて充電可能電力を超えた分の電力を消費させ、過充電を防止して蓄電装置の劣化を防止する技術がある(特許文献1参照のこと。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−238303号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の技術では回生発電により発電した電力が充電可能電力の範囲となるように余剰分の電力の消費量を調整する。ここで、回生発電の電力はモータで生じる駆動力に応じて、また充電可能電力は蓄電装置の蓄電状態(以下、SOCという。)に応じて変化するため、これらに応じて調整される消費電力量も変化する。このため、予めマップ等を用いて消費電力量の目標値を設定する際には、車両の定常運転時に発生する実測値と制御値との定常誤差と、消費電力の目標値に追従する際に生じる制御上の過渡的な誤差とを考慮して設定する必要がある。したがって、消費電力量の目標値は、蓄電装置の充電可能電力に誤差分のマージンを差し引いて設定する必要がある。
【0007】
また、蓄電装置としてキャパシタのようなエネルギ容量の小さな蓄電装置を用いた場合には、あるエネルギ量を充電した場合のSOCの変化が、エネルギ容量の大きい、バッテリのような蓄電装置に比較して大きくなる。前述のように充電可能電力はSOCに応じて変化するため、キャパシタを用いた場合には充電可能電力の変化がバッテリに対して早く、過渡的に生じる誤差が大きくなる。したがって、キャパシタを使用する場合には、過充電を防止するためのマージンを大きくする必要が生じ、充電可能電力が少なくなる。一方で、燃費の向上のためには、マージンを小さくして充電可能電力を大きくしたいという要求もある。特に、キャパシタの場合にはエネルギ容量が小さいため、マージンをできるだけ小さくする必要がある。
【0008】
したがって、本発明においては、蓄電装置の過充電を防止しつつ、充電可能電力をできるだけ大きくできる車両の充放電制御装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発電機または蓄電装置からの電力に基づき車両の駆動源として機能すると共に、車両制動時には回生発電を行い電力を蓄電装置に充電する電動機と、蓄電装置が充電可能な電力を算出するコントローラを備えた車両の充放電制御装置において、車両制動時に発生する回生電力の算出した充電可能電力を超える分の電力を消費する回生電力消費手段とを備え、
充電可能電力と回生電力消費手段の制御誤差に応じて蓄電装置の充電可能電力を補正した充電可能電力補正値を算出し、充電可能電力補正値は回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換えられ、回生電力消費手段は、回生電力の充電可能電力補正値を越えた分の電力を消費することを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、充電可能電力と回生電力消費手段の制御誤差に応じて蓄電装置の充電可能電力を補正した充電可能電力補正値を算出し、充電可能電力補正値を回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換えるため、制御誤差が大きいときにはマージンを大きく設定して、蓄電装置の充電量が過充電となることを防止し、蓄電装置の劣化を防ぐことができる。また、制御誤差が小さいときにはマージンを小さく設定して回生電力の蓄電装置への充電量を大きくし、蓄電装置からの供給電力による走行距離を長くして燃費を向上することができる。。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を適用するシリーズハイブリッド車両の構成図を示す。
【0012】
パワートレインは、内燃機関1と、内燃機関1に直結され内燃機関1の出力を電力に変換する発電機2と、発電機2で発電された電力を蓄電する蓄電装置3と、発電機2で発電された電力または蓄電装置3に蓄えられている電力、さらにそれら両方の電力で駆動される駆動モータ4とで構成され、駆動モータ4のトルクはファイナルギヤ5を介してタイヤ6に伝達され、車両を走行させる。
【0013】
ハイブリッド車両を統合制御する統合コントローラ10が設置され、統合コントローラ10は内燃機関トルク指令値を内燃機関コントローラ11に出力し、内燃機関コントローラ11はこの指令値に基づき図示しないスロットル開度を制御して内燃機関1のトルクを制御する。
【0014】
また、発電機コントローラ12は統合コントローラ10から出力される回転速度指令値と等しくなるように、内燃機関1及び発電機2の回転速度は発電機2でベクトル制御を行う。
【0015】
蓄電装置コントローラ13は図示しないセンサを用いて蓄電装置3の電圧・電流を検出し、充電可能電力を演算し、演算結果を統合コントローラ10に出力する。
【0016】
また、駆動モータコントローラ14は統合コントローラ10のモータトルク指令値に基づき駆動モータ4のトルクをベクトル制御する。
【0017】
なお、統合コントローラ10は、回生発電時に駆動モータ4を作動させて得られる回生電力が蓄電装置3の充電可能電力を越えた場合には、発電機2がベクトル制御を行い、内燃機関1を空回しさせることにより充電可能電力を超えた余剰分の電力を消費する制御を、通常の発電動作と合わせて行う。
【0018】
次に図2に示すフローチャートを用いて本発明の特徴的な制御内容について説明する。この制御内容は統合コントローラ10により所定間隔、例えば10msec毎に実施される。
【0019】
本発明は、回生電力消費手段(例えば、発電機2)の制御誤差の大きさに応じて蓄電装置の充電電力を制限する充電電力制限値(請求項の充電可能電力補正値)を設定することを特徴とし、具体的には、制御誤差が大きいときには充電可能電力に対する充電電力制限値を小さく設定(第1の充電電力設定値)して蓄電装置3の過充電を防止し、制御誤差が小さいときには充電電力制限値を大きく設定(第2の充電電力制限値)して蓄電装置3へより多くの回生電力を蓄電して燃費を向上するものである。
【0020】
本発明を模式的に示したのが図3である。図3(a)は制御誤差なしの場合であり、蓄電装置3の充電可能電力を越えた分の回生電力を回生消費電力として回生電力消費手段が消費する。制御誤差のない、この制御内容が最も燃費の良い状態である。
【0021】
図3(b)は回生電力消費手段の電力消費に目標値に対する遅れが生じて、一時的に目標の回生電力を消費できず、制御誤差が生じた場合である。この場合には制御誤差分(=目標回生消費電力−実回生消費電力)を充電可能電力に加えると蓄電装置3は過充電となり、劣化を生じることになるため、制御誤差分だけ充電可能電力を低減する必要がある(この低減した値(マージンを見込んだ値)が充電電力制限値である。)。この場合には過充電は防止できるが、蓄電装置3の充電容量には余裕が生じて、燃費の向上代を残すことになる。
【0022】
そこで本発明は、制御誤差の大きさに応じて充電電力制限値を切り換えることにより、制御誤差が大きいときには蓄電装置3の過充電を防止するため蓄電装置3の充電電力制限値を小さくし、一方、制御誤差が小さい、あるいは0の場合には充電電力制限値を充電可能電力に近づけ、或いは一致させることで、燃費を向上するものである。
【0023】
図2のフローチャートの説明に入ると、まずステップ1で蓄電装置3の充電可能電力Pchgを算出する。充電可能電力の算出について図4に示すフローチャートを用いて説明すると、ステップ11で蓄電装置コントローラ13で算出した蓄電装置3のSOCを読み込む。このSOCは蓄電装置コントローラ13で蓄電装置3に流れる電流I[A]を積算して算出した値であり、下式(1)により算出される。
【0024】
【数1】
ここで、Cap:蓄電装置3の充電容量[A]であり、現在の充電電力量を充電容量で除してSOCが算出される。
【0025】
続くステップ12で蓄電装置3の充電可能電力Pchg[kW]を算出する。充電可能電力Pchgは式(2)より算出される。
【0026】
【数2】
ここで、Vmax[V]:蓄電装置3の最大電圧、R[Ω]:内部抵抗、V0[V]:開放電圧である。内部抵抗Rと開放電圧V0は、図5から図7に示すマップを用いて算出することができる。なお、これらのマップは予め実験等により求め、統合コントローラ10に記憶しておく。
【0027】
図5は、蓄電装置3のSOCと内部抵抗Rとの関係を示しており、このマップは、蓄電装置3が所定温度(例えば、25℃)における各SOCと内部抵抗Rの関係を示す。
【0028】
図6は、蓄電装置3の温度と内部抵抗Rとの関係を示す。このマップは、図5を求めた所定温度を基準として、各温度における内部抵抗と基準温度での内部抵抗との比を示す。
【0029】
図7は、蓄電装置3のSOCと開放電圧V0との関係を示すマップである。
【0030】
図2のフローチャートに戻り、ステップ2では回生フラグを設定する。回生フラグは駆動モータ2の回生発電の状態に応じて以下の3種類のフラグを設定する。
▲1▼回生発電を行っていない場合:FLAG=0
回生発電を行っていない非回生発電状態の場合にはフラグとしてFLAG=0を設定する。回生発電を行っていないことは予め運転者の制駆動力要求を満たすように定めた図8に示すようなマップを用い、車速VSPとアクセル開度から得られた値が正の値であるときは駆動力が発生して回生が行われていないと判定する。
▲2▼回生発電開始直後の場合:FLAG=1
回生開始直後は発電機2が停止している状態から瞬時に運転状態に立ち上げ、回生消費電力Pcrgを消費するが、例えば内燃機関1と直結された発電機2を空回しさせて回生電力を消費する場合には、実際の消費電力はイナーシャの分だけ目標値との大きな誤差(制御誤差)を発生する。
【0031】
回生発電直後かどうかは、回生発電中に回生消費電力手段の目標回生消費電力Pcrgと実際の回生消費電力Pcrgとの差(制御誤差)が大きいかどうかで判定でき、制御誤差が大きいときに回生発電開始直後であると判定し、FLAG=1を設定する。具体的な判定方法としては、制御誤差が後述するステップ8での第2の充電電量制限値の算出時に設定したマージンより大きい場合に回生発電開始直後と判定する。
▲3▼回生発電中の場合:FLAG=2
回生発電中であるときにはフラグとしてFLAG=2を設定する。回生発電中であるかどうかは前述の図8のマップを用い、車速VSPとアクセル開度から得られた値が負の値であるときに制動力が発生して回生が行われていると判定する。但し、回生発電開始直後は、前述のようにフラグとして1を設定する。回生発電中である場合には発電機2が稼動しており、制御誤差は小さい。
【0032】
回生フラグ設定後のステップ3では、回生フラグがFLAG=0であるかどうかを判定し、FLAG=0である場合にはステップ4に進み、第1の充電電力制限値(第1の充電可能電力補正値)を算出する。第1の充電電力制限値を算出について図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0033】
まずステップ21で、現在の車速VSPから回生発電を開始した場合の回生電力tPrg[kW]を推定する。回生電力tPrgの推定は、以下のように算出できる。
【0034】
図示しない車速センサで検出された車速VSP[km/h]と駆動モータ4の回転速度Nm[rpm]とは以下の関係にある。
【0035】
【数3】
ここで、G:総減速比、rD:タイヤ有効半径[m]である。
【0036】
車速VSPから回生発電を開始した瞬間の回生電力は式(4)から推定できる。
【0037】
【数4】
ここで、tTmg[Nm]:回生発電時に駆動モータ4で発生する目標回生トルク、Pmgloss[kW]:駆動モータ4で発生する損失電力である。
【0038】
目標回生トルクtTmgは、図8に示すマップから算出した目標駆動力F[N]から下式により算出できる。
【0039】
【数5】
目標駆動力が負の値(すなわち制動力)であるとき、目標モータトルクtTmgも負の値(すなわち回生トルク)となる。
【0040】
また、Pmglossは、図10に示すマップより算出することができる。このマップは、駆動モータ4の回転速度Nm[rpm]で回生トルクtTmgを発生した場合の損失電力を予め実験により求め、記憶しておく。
【0041】
次にステップ22で、第1の充電電力制限値Pchglmtを算出する。第1の充電電力制限値Pchglmtは下式より算出することができる。
【0042】
【数6】
ここで、Pchg[kW]:ステップ1で算出した充電可能電力、Pmrg[kW]:充電可能電力Pchgに対して回生電力消費手段としての発電機2で生じる制御誤差を見込み、制御誤差が生じた場合でも蓄電装置3の過充電を防止するマージンである。このマージンPmrgは図11に示すマップから算出できる。図11において、Pchg−tPrgは回生電力が蓄電装置3の充電可能電力を超えている分の電力値を示す。つまり、この電力が回生電力消費手段で消費する電力(以下、回生消費電力Pcrgという。)となる。図11に示すようにマージンPmrgは回生消費電力が大きいほど大きくする。これは、回生消費電力Pcrgが大きいほど停止状態の発電機2を瞬時に高回転速度まで空回しして電力を消費する必要があり、高回転ほど内燃機関1と発電機2のイナーシャに打ち勝って回生消費電力Pcrgを実際に消費するまでに遅れが生じるためであり、言い換えると制御誤差が大きい、つまり目標回生消費電力と実際の回生消費電力との差が大きい。なおここで、回生電力消費手段は、燃費向上のため必要以上の回生電力を消費しないように目標電力分のみを消費するように制御される。また図11のマップは、目標回生消費電力と実際の回生消費電力との遅れを予め実験により求め、その遅れが発生した場合であっても充電可能電力Pchgを越えることがないようにマージンPmrgを設定することで設定される。
【0043】
次に図12を用いて、第1の充電電力制限値を算出する際のマージンPmrgの設定について説明する。
【0044】
図12はマージンPmrgの設定を示したものであり、3つの異なる車速から回生発電を開始した場合のマージンを比較している。車速が高いほうから実線、破線、一点鎖線の順に示し、(b)に示すように車速が高いほど回生電力Prgが大きく、充電可能電力Pchg(細破線)を上回る電力が大きくなる。それに伴って(c)に示すように回生消費電力Pcrgが大きくなる。マージンPmrgは目標の回生消費電力と実際の回生消費電力との誤差が生じた場合であっても蓄電装置3が過充電とならないように設定する必要があり、また、そのマージンPmrgは誤差が最も大きく発生する状態を想定して設定する必要がある。図中で一番誤差が発生する部分は、回生開始時の○で囲んだハッチング部分となる。この部分は、回生消費電力が全くない状態から瞬時に回生電力を立ち上げる必要があり、例えば内燃機関1と直結された発電機2を空回しさせて回生電力を消費する場合には、実際にはイナーシャの分だけ目標値との誤差が大きく発生する。一方、車速の一番低い一点鎖線については、(b)に示すように回生発電開始時には回生電力が充電可能電力を上回らないため、マージンPmrgはゼロとしてすべての回生電力を蓄電装置3に充電することができる。
【0045】
このように、車速から予想される回生電力Prgと充電可能電力Pchgに基づいて、回生電力消費手段での誤差が大きくなることが予想される場合(車速が高い状態からの回生発電の場合)には、その誤差の大きさに応じてマージンPmrgを大きく設け、未然に蓄電装置3の過充電を防止し、誤差が発生しない場合(車速が低い状態からの回生発電の場合)にはマージンPmrgをゼロとしてすべての回生電力を蓄電装置3に充電し、燃費向上を図ることができる。
【0046】
図2に戻り、ステップ3でFLAG=0である場合にはステップ4に進み、前述の第1の充電電力制限値Pchglmtを算出後、制御を終える。
【0047】
一方、ステップ3でFLAG=0でない場合にはステップ5に進み、フラグがFLAG=1かどうかを判定する。FLAG=1である場合にはステップ6に進み、前述のステップ4と同様の制御を実施する。FLAG=1でない場合、つまりFLAG=2の場合にはステップ7に進み、実際に回生電力Prgを算出する。この電力の算出は、ステップ21で説明した回生電力の算出方法に類似するがステップ21での式(4)は下式に変更となる。
【0048】
【数7】
式(4)との違いは、tTmgがTmgに変更になった点である。Tmgは回生発電時に駆動モータ4で実際に発生している回生トルクであり、ステップ4の場合と異なり、実際にセンサ等により検出された実測値に基づいて算出した値である。具体的にはこの回生トルクTmgは、駆動モータ4の制御に設置されるインバータ(図示せず)に流れる電流値と単調増加の関係にあり、センサで検出した電流値から推定することができる。
【0049】
続くステップ8では、第2の充電電力制限値を算出する。第2の充電電力制限値の算出について図13のフローチャートを用いて説明する。なお、この場合には、回生発電中を示すFLAG=2の場合には前述のように制御誤差が小さく設定することができるためマージンを小さくでき、第2の充電電力制限値の下限値は第1の充電電力制限値の下限値より大きく設定可能である。
【0050】
まずステップ31で、ステップ7で算出した回生電力Prgの前回値と前々回値の差dPrgを下式から算出する。
【0051】
【数8】
ここでPrg[t−1]:回生電力Prgの前回値、Prg[t−2]:回生電力Prgの前々回値である。
【0052】
続くステップ32では、式(7)で算出した差dPrgに基づいて今回の目標回生電力tPrgを推定する。
【0053】
【数9】
次にステップ33で充電可能電力の前回値Pchg[t−1]と回生電力の前回値Prg[t−1]との差と、充電可能電力の今回値tPchg[t]と回生電力の今回値tPrg[t]との差を比較する。
【0054】
【数10】
ここで、dPcrg[t]:回生消費電力Pcrgの前回値と今回値の差である。
【0055】
次にステップ33で前回演算時における蓄電装置3に充電されると予想した電力と実際に充電された電力との差dPinを算出する。
【0056】
【数11】
ここで、Pchglmt[t−1]:第2の充電電力制限値の前回値、I[A]:センサから検出した蓄電装置3に流れる電流の前回値、Vt[t−1]:センサから検出した蓄電装置3に流れる電圧の前回値である。
【0057】
続くステップ34では、ステップ1で算出した充電可能電力Pchgに基づいて第2の充電電力制限値Pchglmtを算出する。
【0058】
【数12】
ここで、Pmrg[kW]は充電可能電力に対して、発電機2等の回生電力消費手段において発生する制御誤差を見込み、式(9)と式(10)で算出された差dPcrg[t]とdPin[t−1]とに基づいてMAPmrg2[dPcrg(t−1)−dPin(t−1)、dPcrg(t)−dPin(t)]を検索することにより、求まるマージンである。このマップは、回生消費電力Pcrgの前回値と今回値から、今回の回生消費電力tPcrgが前回の回生消費電力Pcrg(t−1)に対して増加するほど、マージンPmrgを大きく確保する傾向を持つ。これは、回生消費電力Pcrgが大きくなるほど発電機2を高回転まで空回しして電力を消費する必要があり、回生消費電力分を実際に消費するまでの間に遅れが発生し、制御誤差が生じてしまうためである。
【0059】
また、このマップは目標とする回生消費電力tPcrgに対する実際の回生消費電力Pcrgの消費の遅れを予め実験によって求め、その遅れが発生した場合であっても充電可能電力Pchgを上回ることがないようにマージンPmrgを設定することから求めることができる。
【0060】
このマップは回生開始直後において回生電力を消費するために既に発電機2を動作させているか、若しくは回生中に回生電力を充電した結果、充電可能電力Pchgが小さくなり徐々に回生消費電力が大きくなるときに発生する制御誤差を想定してそのマージンが設けられている。
【0061】
このため、回生開始直後に発電機2が停止している状態から瞬時に回生消費電力Pcrgを立ち上げる状態、言い換えれば、最も制御誤差が多く発生する状態を想定してマージンPmrgを求めた図11に示すテーブルTABLEpmrg[Pchg−tPrg]に対して、同じ回生消費電力Pcrgが発生した場合であっても、算出されるマージンPmrgは小さな値となる。このため、例えば回生発電中に終始、TABLEpmrg[Pchg−tPrg]から算出されるマージンPmrgを用いた場合と比較して、回生発電中に参照するマップをMAPmrg2[dPcrg(t−1)−dPin(t−1)、dPcrg(t)−dPin(t)]に切り換えることによって必要最小限のマージンPmrgで蓄電装置3の過充電を防止することが可能となり、またマージンPmrgを小さくできることによって多くの回生電力Prgを充電することが可能となり良好な燃費向上効果が得られる。
【0062】
第1と第2の充電電力制限値Pchglmtを算出する際のマージンPmrgの設定の差異について図14を用いて説明する。
【0063】
第2の充電電力制限値Pchglmtの算出時は、回生電力消費手段が作動している状態であり、第1の充電電力制限値Pchglmtの算出時のように回生電力消費手段を起動させる必要がなく、言い換えると制御誤差が小さくでき、マージンPmrgを大きく設定する必要がない(図中、第2の充電電力制限値PchglmtのマージンPmrgを実線で示し、第1の充電電力制限値PchglmtのマージンPmrgを破線で示す。)。したがって、第2の充電電力制限値Pchglmtによる制御の場合にはマージンPmrgを小さく設定して第2の充電電力制限値Pchglmtを大きく設定し、結果として蓄電装置3への充電電力を大きくでき、燃費を向上することができる。一方、第1の充電電力制限値はマージンを大きく設定することで蓄電装置3の過充電を確実に防止することができる。
【0064】
図15を用いてFLAGの設定と制御誤差と充電電力制限値との関係について説明する。回生発電が開始される時刻t1までは制御誤差は生じずフラグは、FLAG=0である。但し、回生発電前であっても第1の充電電力制限値に基づくマージンPmrgを設ける。ここで、回生発電が開始される前から予めマージンPmrgを設ける理由としては、車両外部からの情報等を用いない限りドライバがいつ回生動作を開始するかがわからないため、いつ回生動作が開始されても対応できるようにマージンPmrgをとっておく必要があるためである。
【0065】
時刻t1で回生発電が開始された直後は前述のように回生発電消費手段を起動する必要があるため制御誤差が大きくなり、このときフラグはFLAG=1が設定される。回生発電開始直後には制御誤差が大きいためマージンPmrgは第1の充電電力制限値に基づく大きなマージンを設定する。そして時刻t2以降で制御誤差が収束して小さくなるとフラグはFLAG=2に設定する。そしてこのフラグに応じて第2の充電電力制限値が切り換えられ、マージンPmrgは小さな値を設定できる。
【0066】
図2のフローチャートに戻り、ステップ9で、蓄電装置3の過充電を防止するため回生消費電力を消費する。回生消費電力についての制御を図16を用いて説明する。
【0067】
まずステップ41で回生消費電力Pcrg[kW]を下式から算出する。
【0068】
【数13】
続くステップ42で、算出した回生消費電力が0より大きいかどうかを判定する。0より大きい場合にはステップ43に進み、発電機2のトルク制御を実施して回生消費電力Pcrgを発生させる。
【0069】
一方、回生消費電力が0以下の場合には回生電力Prgをすべて蓄電装置3に充電させて制御を終了する。
【0070】
なお、本発明は、図17に示すような燃料電池車両にも適用することができる。この場合には発電機2に相当する、燃料電池7にガスを供給する図示しないコンプレッサを備え、充電可能電力を超える回生電力が充電される恐れがある場合には、コンプレッサの運転条件を制御して回生電力を消費し、蓄電装置3の過充電を防止する。
【0071】
また、燃料電池としては種々のタイプの燃料電池に対応可能であるが、燃料改質器を備えた燃料電池システムに適応する場合には改質器の応答性を考慮して充電電力制限値を設定する必要がある。
【0072】
したがって、本発明においては、充電可能電力と回生電力消費手段の制御誤差に応じて蓄電装置3の充電可能電力を補正した充電電力制限値(充電可能電力補正値)を算出し、充電電力制限値を回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換えるため、制御誤差が大きいときにはマージンを大きく設定して、蓄電装置3の充電量が過充電となることを防止し、蓄電装置3の劣化を防ぐことができる。また、制御誤差が小さいときにはマージンを小さく設定して回生電力の蓄電装置3への充電量を大きくし、蓄電装置3からの供給電力による走行距離を長くして燃費を向上することができる。
【0073】
また、充電可能電力を車両の速度が高いほど小さくなるように補正するため、車速が高いほどマージンを大きく設定し、蓄電装置3の過充電を確実に防止できる。
【0074】
また、回生電力消費手段の制御誤差が所定値以下かどうかを判定し、制御誤差が所定値を超える場合に第1の充電電力制限値を設定し、所定値以下の場合には、第1の充電電力制限値より大きい第2の充電電力制限値に切り換える。これにより、回生電力を消費していない状態から瞬時に電力を立ち上げた直後や回生発電開始直後の最も制御誤差が生じる状態を想定してマージンを設定した第1の充電電力制限値とするため、蓄電装置3の過充電を防止できる。また回生発電定常状態では制御誤差が所定値以下となり、マージンを小さくすることができる場合には小さなマージンを設定する第2の充電電力制限値に切り換えるため、充電電力制限値を蓄電装置3の充電可能電力に近付けることができ、蓄電装置3のSOCを高め、燃費を向上することができる。
【0075】
また、第2の充電電力制限値を充電可能電力を超える回生電力の変化率が大きいほど充電可能電力より小さく設定するため、回生発電中の回生電力消費手段の制御誤差を回生電力の変化率から見積り、必要最小限のマージンを設定することができ、蓄電装置3のSOCを向上し、燃費を更に改善できる。なお、回生電力の変化率は、前回演算時の回生電力と今回演算時の回生電力の差に応じて設定される。
【0076】
また、充電電力制限値を回生発電の状態に応じて設定するため、制御誤差に応じた設定とすることができ、蓄電装置の過充電と車両の燃費の向上を両立することができる。
【0077】
つまり、非回生発電時には充電電力制限値として第1の充電電力制限値を設定し、回生発電開始直後には第1の充電電力制限値を設定し、回生発電開始時から所定時間経過後以降には、第2の充電電力制限値を設定する。
【0078】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でさまざまな変更がなしうることは明白である。
【0079】
なお、請求項の充電可能電力算出手段は図2のフローチャートのステップ1に相当し、充電可能電力補正値算出手段はステップ4、6、8が相当し、充電可能電力算出手段はステップ3、5が相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するハイブリッド車両の構成図である。
【図2】本発明の充電電力制限制御のメインフローチャートである。
【図3】回生電力消費手段の制御誤差の大きさに応じて蓄電装置の充電電力を制限する充電電力制限値の設定する概念を説明する図である。
【図4】充電可能電力算出のフローチャートである。
【図5】内部抵抗とSOCの関係を示すマップの一例を示す図である。
【図6】内部抵抗と蓄電装置の温度の関係を示すマップの一例を示す図である。
【図7】SOCと蓄電装置の開放電圧の関係を示すマップの一例を示す図である。
【図8】制駆動力マップの一例を示す図である。
【図9】第1の充電電力制限値を算出するフローチャートである。
【図10】駆動モータの損失電力を示す図である。
【図11】マージンの設定を示す図である。
【図12】発電機停止時のマージンの設定方法を説明する図である。
【図13】第2の充電電力制限値を算出するフローチャートである。
【図14】発電機作動時のマージンの設定方法を説明する図である。
【図15】回生フラグの設定方法を示す図である。
【図16】回生消費電力を算出するフローチャートである。
【図17】本発明を適用する燃料電池車両の構成図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 発電機
3 蓄電装置
4 駆動モータ
5 デファレンシャルギア
6 タイヤ
10 統合コントローラ
11 内燃機関コントローラ
12 発電機コントローラ
13 蓄電装置コントローラ
14 駆動モータコントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の充放電制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
駆動源として内燃機関とモータとを備えるハイブリッド車両において、車両制動時にモータを発電機として機能させて、制動時の回生発電により発電した電力を蓄電装置(例えば、バッテリ)に充電して、充電した電力でモータを駆動することにより車両の燃費を向上させている。
【0003】
しかしながら、ハイブリッド車両が長い下り坂を走行するような回生発電が継続する場合には、回生発電により発電された電力により蓄電装置の充電量が過充電状態となり、蓄電装置が劣化する恐れが生じる。また、満充電状態に達する前であっても回生発電の電力が蓄電装置の充電可能電力を超える場合には蓄電装置の端子電圧が許容電圧を越えて蓄電装置を劣化させる可能性がある。
【0004】
このような課題を解決するために、シリーズハイブリッド車両において、回生発電の電力が蓄電装置の充電可能電力を超える場合には、発電機を作動させて内燃機関を空回りさせて充電可能電力を超えた分の電力を消費させ、過充電を防止して蓄電装置の劣化を防止する技術がある(特許文献1参照のこと。)。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−238303号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
上述の技術では回生発電により発電した電力が充電可能電力の範囲となるように余剰分の電力の消費量を調整する。ここで、回生発電の電力はモータで生じる駆動力に応じて、また充電可能電力は蓄電装置の蓄電状態(以下、SOCという。)に応じて変化するため、これらに応じて調整される消費電力量も変化する。このため、予めマップ等を用いて消費電力量の目標値を設定する際には、車両の定常運転時に発生する実測値と制御値との定常誤差と、消費電力の目標値に追従する際に生じる制御上の過渡的な誤差とを考慮して設定する必要がある。したがって、消費電力量の目標値は、蓄電装置の充電可能電力に誤差分のマージンを差し引いて設定する必要がある。
【0007】
また、蓄電装置としてキャパシタのようなエネルギ容量の小さな蓄電装置を用いた場合には、あるエネルギ量を充電した場合のSOCの変化が、エネルギ容量の大きい、バッテリのような蓄電装置に比較して大きくなる。前述のように充電可能電力はSOCに応じて変化するため、キャパシタを用いた場合には充電可能電力の変化がバッテリに対して早く、過渡的に生じる誤差が大きくなる。したがって、キャパシタを使用する場合には、過充電を防止するためのマージンを大きくする必要が生じ、充電可能電力が少なくなる。一方で、燃費の向上のためには、マージンを小さくして充電可能電力を大きくしたいという要求もある。特に、キャパシタの場合にはエネルギ容量が小さいため、マージンをできるだけ小さくする必要がある。
【0008】
したがって、本発明においては、蓄電装置の過充電を防止しつつ、充電可能電力をできるだけ大きくできる車両の充放電制御装置を提供する。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、発電機または蓄電装置からの電力に基づき車両の駆動源として機能すると共に、車両制動時には回生発電を行い電力を蓄電装置に充電する電動機と、蓄電装置が充電可能な電力を算出するコントローラを備えた車両の充放電制御装置において、車両制動時に発生する回生電力の算出した充電可能電力を超える分の電力を消費する回生電力消費手段とを備え、
充電可能電力と回生電力消費手段の制御誤差に応じて蓄電装置の充電可能電力を補正した充電可能電力補正値を算出し、充電可能電力補正値は回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換えられ、回生電力消費手段は、回生電力の充電可能電力補正値を越えた分の電力を消費することを特徴とする。
【0010】
【発明の効果】
本発明によれば、充電可能電力と回生電力消費手段の制御誤差に応じて蓄電装置の充電可能電力を補正した充電可能電力補正値を算出し、充電可能電力補正値を回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換えるため、制御誤差が大きいときにはマージンを大きく設定して、蓄電装置の充電量が過充電となることを防止し、蓄電装置の劣化を防ぐことができる。また、制御誤差が小さいときにはマージンを小さく設定して回生電力の蓄電装置への充電量を大きくし、蓄電装置からの供給電力による走行距離を長くして燃費を向上することができる。。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1に本発明を適用するシリーズハイブリッド車両の構成図を示す。
【0012】
パワートレインは、内燃機関1と、内燃機関1に直結され内燃機関1の出力を電力に変換する発電機2と、発電機2で発電された電力を蓄電する蓄電装置3と、発電機2で発電された電力または蓄電装置3に蓄えられている電力、さらにそれら両方の電力で駆動される駆動モータ4とで構成され、駆動モータ4のトルクはファイナルギヤ5を介してタイヤ6に伝達され、車両を走行させる。
【0013】
ハイブリッド車両を統合制御する統合コントローラ10が設置され、統合コントローラ10は内燃機関トルク指令値を内燃機関コントローラ11に出力し、内燃機関コントローラ11はこの指令値に基づき図示しないスロットル開度を制御して内燃機関1のトルクを制御する。
【0014】
また、発電機コントローラ12は統合コントローラ10から出力される回転速度指令値と等しくなるように、内燃機関1及び発電機2の回転速度は発電機2でベクトル制御を行う。
【0015】
蓄電装置コントローラ13は図示しないセンサを用いて蓄電装置3の電圧・電流を検出し、充電可能電力を演算し、演算結果を統合コントローラ10に出力する。
【0016】
また、駆動モータコントローラ14は統合コントローラ10のモータトルク指令値に基づき駆動モータ4のトルクをベクトル制御する。
【0017】
なお、統合コントローラ10は、回生発電時に駆動モータ4を作動させて得られる回生電力が蓄電装置3の充電可能電力を越えた場合には、発電機2がベクトル制御を行い、内燃機関1を空回しさせることにより充電可能電力を超えた余剰分の電力を消費する制御を、通常の発電動作と合わせて行う。
【0018】
次に図2に示すフローチャートを用いて本発明の特徴的な制御内容について説明する。この制御内容は統合コントローラ10により所定間隔、例えば10msec毎に実施される。
【0019】
本発明は、回生電力消費手段(例えば、発電機2)の制御誤差の大きさに応じて蓄電装置の充電電力を制限する充電電力制限値(請求項の充電可能電力補正値)を設定することを特徴とし、具体的には、制御誤差が大きいときには充電可能電力に対する充電電力制限値を小さく設定(第1の充電電力設定値)して蓄電装置3の過充電を防止し、制御誤差が小さいときには充電電力制限値を大きく設定(第2の充電電力制限値)して蓄電装置3へより多くの回生電力を蓄電して燃費を向上するものである。
【0020】
本発明を模式的に示したのが図3である。図3(a)は制御誤差なしの場合であり、蓄電装置3の充電可能電力を越えた分の回生電力を回生消費電力として回生電力消費手段が消費する。制御誤差のない、この制御内容が最も燃費の良い状態である。
【0021】
図3(b)は回生電力消費手段の電力消費に目標値に対する遅れが生じて、一時的に目標の回生電力を消費できず、制御誤差が生じた場合である。この場合には制御誤差分(=目標回生消費電力−実回生消費電力)を充電可能電力に加えると蓄電装置3は過充電となり、劣化を生じることになるため、制御誤差分だけ充電可能電力を低減する必要がある(この低減した値(マージンを見込んだ値)が充電電力制限値である。)。この場合には過充電は防止できるが、蓄電装置3の充電容量には余裕が生じて、燃費の向上代を残すことになる。
【0022】
そこで本発明は、制御誤差の大きさに応じて充電電力制限値を切り換えることにより、制御誤差が大きいときには蓄電装置3の過充電を防止するため蓄電装置3の充電電力制限値を小さくし、一方、制御誤差が小さい、あるいは0の場合には充電電力制限値を充電可能電力に近づけ、或いは一致させることで、燃費を向上するものである。
【0023】
図2のフローチャートの説明に入ると、まずステップ1で蓄電装置3の充電可能電力Pchgを算出する。充電可能電力の算出について図4に示すフローチャートを用いて説明すると、ステップ11で蓄電装置コントローラ13で算出した蓄電装置3のSOCを読み込む。このSOCは蓄電装置コントローラ13で蓄電装置3に流れる電流I[A]を積算して算出した値であり、下式(1)により算出される。
【0024】
【数1】
ここで、Cap:蓄電装置3の充電容量[A]であり、現在の充電電力量を充電容量で除してSOCが算出される。
【0025】
続くステップ12で蓄電装置3の充電可能電力Pchg[kW]を算出する。充電可能電力Pchgは式(2)より算出される。
【0026】
【数2】
ここで、Vmax[V]:蓄電装置3の最大電圧、R[Ω]:内部抵抗、V0[V]:開放電圧である。内部抵抗Rと開放電圧V0は、図5から図7に示すマップを用いて算出することができる。なお、これらのマップは予め実験等により求め、統合コントローラ10に記憶しておく。
【0027】
図5は、蓄電装置3のSOCと内部抵抗Rとの関係を示しており、このマップは、蓄電装置3が所定温度(例えば、25℃)における各SOCと内部抵抗Rの関係を示す。
【0028】
図6は、蓄電装置3の温度と内部抵抗Rとの関係を示す。このマップは、図5を求めた所定温度を基準として、各温度における内部抵抗と基準温度での内部抵抗との比を示す。
【0029】
図7は、蓄電装置3のSOCと開放電圧V0との関係を示すマップである。
【0030】
図2のフローチャートに戻り、ステップ2では回生フラグを設定する。回生フラグは駆動モータ2の回生発電の状態に応じて以下の3種類のフラグを設定する。
▲1▼回生発電を行っていない場合:FLAG=0
回生発電を行っていない非回生発電状態の場合にはフラグとしてFLAG=0を設定する。回生発電を行っていないことは予め運転者の制駆動力要求を満たすように定めた図8に示すようなマップを用い、車速VSPとアクセル開度から得られた値が正の値であるときは駆動力が発生して回生が行われていないと判定する。
▲2▼回生発電開始直後の場合:FLAG=1
回生開始直後は発電機2が停止している状態から瞬時に運転状態に立ち上げ、回生消費電力Pcrgを消費するが、例えば内燃機関1と直結された発電機2を空回しさせて回生電力を消費する場合には、実際の消費電力はイナーシャの分だけ目標値との大きな誤差(制御誤差)を発生する。
【0031】
回生発電直後かどうかは、回生発電中に回生消費電力手段の目標回生消費電力Pcrgと実際の回生消費電力Pcrgとの差(制御誤差)が大きいかどうかで判定でき、制御誤差が大きいときに回生発電開始直後であると判定し、FLAG=1を設定する。具体的な判定方法としては、制御誤差が後述するステップ8での第2の充電電量制限値の算出時に設定したマージンより大きい場合に回生発電開始直後と判定する。
▲3▼回生発電中の場合:FLAG=2
回生発電中であるときにはフラグとしてFLAG=2を設定する。回生発電中であるかどうかは前述の図8のマップを用い、車速VSPとアクセル開度から得られた値が負の値であるときに制動力が発生して回生が行われていると判定する。但し、回生発電開始直後は、前述のようにフラグとして1を設定する。回生発電中である場合には発電機2が稼動しており、制御誤差は小さい。
【0032】
回生フラグ設定後のステップ3では、回生フラグがFLAG=0であるかどうかを判定し、FLAG=0である場合にはステップ4に進み、第1の充電電力制限値(第1の充電可能電力補正値)を算出する。第1の充電電力制限値を算出について図9に示すフローチャートを用いて説明する。
【0033】
まずステップ21で、現在の車速VSPから回生発電を開始した場合の回生電力tPrg[kW]を推定する。回生電力tPrgの推定は、以下のように算出できる。
【0034】
図示しない車速センサで検出された車速VSP[km/h]と駆動モータ4の回転速度Nm[rpm]とは以下の関係にある。
【0035】
【数3】
ここで、G:総減速比、rD:タイヤ有効半径[m]である。
【0036】
車速VSPから回生発電を開始した瞬間の回生電力は式(4)から推定できる。
【0037】
【数4】
ここで、tTmg[Nm]:回生発電時に駆動モータ4で発生する目標回生トルク、Pmgloss[kW]:駆動モータ4で発生する損失電力である。
【0038】
目標回生トルクtTmgは、図8に示すマップから算出した目標駆動力F[N]から下式により算出できる。
【0039】
【数5】
目標駆動力が負の値(すなわち制動力)であるとき、目標モータトルクtTmgも負の値(すなわち回生トルク)となる。
【0040】
また、Pmglossは、図10に示すマップより算出することができる。このマップは、駆動モータ4の回転速度Nm[rpm]で回生トルクtTmgを発生した場合の損失電力を予め実験により求め、記憶しておく。
【0041】
次にステップ22で、第1の充電電力制限値Pchglmtを算出する。第1の充電電力制限値Pchglmtは下式より算出することができる。
【0042】
【数6】
ここで、Pchg[kW]:ステップ1で算出した充電可能電力、Pmrg[kW]:充電可能電力Pchgに対して回生電力消費手段としての発電機2で生じる制御誤差を見込み、制御誤差が生じた場合でも蓄電装置3の過充電を防止するマージンである。このマージンPmrgは図11に示すマップから算出できる。図11において、Pchg−tPrgは回生電力が蓄電装置3の充電可能電力を超えている分の電力値を示す。つまり、この電力が回生電力消費手段で消費する電力(以下、回生消費電力Pcrgという。)となる。図11に示すようにマージンPmrgは回生消費電力が大きいほど大きくする。これは、回生消費電力Pcrgが大きいほど停止状態の発電機2を瞬時に高回転速度まで空回しして電力を消費する必要があり、高回転ほど内燃機関1と発電機2のイナーシャに打ち勝って回生消費電力Pcrgを実際に消費するまでに遅れが生じるためであり、言い換えると制御誤差が大きい、つまり目標回生消費電力と実際の回生消費電力との差が大きい。なおここで、回生電力消費手段は、燃費向上のため必要以上の回生電力を消費しないように目標電力分のみを消費するように制御される。また図11のマップは、目標回生消費電力と実際の回生消費電力との遅れを予め実験により求め、その遅れが発生した場合であっても充電可能電力Pchgを越えることがないようにマージンPmrgを設定することで設定される。
【0043】
次に図12を用いて、第1の充電電力制限値を算出する際のマージンPmrgの設定について説明する。
【0044】
図12はマージンPmrgの設定を示したものであり、3つの異なる車速から回生発電を開始した場合のマージンを比較している。車速が高いほうから実線、破線、一点鎖線の順に示し、(b)に示すように車速が高いほど回生電力Prgが大きく、充電可能電力Pchg(細破線)を上回る電力が大きくなる。それに伴って(c)に示すように回生消費電力Pcrgが大きくなる。マージンPmrgは目標の回生消費電力と実際の回生消費電力との誤差が生じた場合であっても蓄電装置3が過充電とならないように設定する必要があり、また、そのマージンPmrgは誤差が最も大きく発生する状態を想定して設定する必要がある。図中で一番誤差が発生する部分は、回生開始時の○で囲んだハッチング部分となる。この部分は、回生消費電力が全くない状態から瞬時に回生電力を立ち上げる必要があり、例えば内燃機関1と直結された発電機2を空回しさせて回生電力を消費する場合には、実際にはイナーシャの分だけ目標値との誤差が大きく発生する。一方、車速の一番低い一点鎖線については、(b)に示すように回生発電開始時には回生電力が充電可能電力を上回らないため、マージンPmrgはゼロとしてすべての回生電力を蓄電装置3に充電することができる。
【0045】
このように、車速から予想される回生電力Prgと充電可能電力Pchgに基づいて、回生電力消費手段での誤差が大きくなることが予想される場合(車速が高い状態からの回生発電の場合)には、その誤差の大きさに応じてマージンPmrgを大きく設け、未然に蓄電装置3の過充電を防止し、誤差が発生しない場合(車速が低い状態からの回生発電の場合)にはマージンPmrgをゼロとしてすべての回生電力を蓄電装置3に充電し、燃費向上を図ることができる。
【0046】
図2に戻り、ステップ3でFLAG=0である場合にはステップ4に進み、前述の第1の充電電力制限値Pchglmtを算出後、制御を終える。
【0047】
一方、ステップ3でFLAG=0でない場合にはステップ5に進み、フラグがFLAG=1かどうかを判定する。FLAG=1である場合にはステップ6に進み、前述のステップ4と同様の制御を実施する。FLAG=1でない場合、つまりFLAG=2の場合にはステップ7に進み、実際に回生電力Prgを算出する。この電力の算出は、ステップ21で説明した回生電力の算出方法に類似するがステップ21での式(4)は下式に変更となる。
【0048】
【数7】
式(4)との違いは、tTmgがTmgに変更になった点である。Tmgは回生発電時に駆動モータ4で実際に発生している回生トルクであり、ステップ4の場合と異なり、実際にセンサ等により検出された実測値に基づいて算出した値である。具体的にはこの回生トルクTmgは、駆動モータ4の制御に設置されるインバータ(図示せず)に流れる電流値と単調増加の関係にあり、センサで検出した電流値から推定することができる。
【0049】
続くステップ8では、第2の充電電力制限値を算出する。第2の充電電力制限値の算出について図13のフローチャートを用いて説明する。なお、この場合には、回生発電中を示すFLAG=2の場合には前述のように制御誤差が小さく設定することができるためマージンを小さくでき、第2の充電電力制限値の下限値は第1の充電電力制限値の下限値より大きく設定可能である。
【0050】
まずステップ31で、ステップ7で算出した回生電力Prgの前回値と前々回値の差dPrgを下式から算出する。
【0051】
【数8】
ここでPrg[t−1]:回生電力Prgの前回値、Prg[t−2]:回生電力Prgの前々回値である。
【0052】
続くステップ32では、式(7)で算出した差dPrgに基づいて今回の目標回生電力tPrgを推定する。
【0053】
【数9】
次にステップ33で充電可能電力の前回値Pchg[t−1]と回生電力の前回値Prg[t−1]との差と、充電可能電力の今回値tPchg[t]と回生電力の今回値tPrg[t]との差を比較する。
【0054】
【数10】
ここで、dPcrg[t]:回生消費電力Pcrgの前回値と今回値の差である。
【0055】
次にステップ33で前回演算時における蓄電装置3に充電されると予想した電力と実際に充電された電力との差dPinを算出する。
【0056】
【数11】
ここで、Pchglmt[t−1]:第2の充電電力制限値の前回値、I[A]:センサから検出した蓄電装置3に流れる電流の前回値、Vt[t−1]:センサから検出した蓄電装置3に流れる電圧の前回値である。
【0057】
続くステップ34では、ステップ1で算出した充電可能電力Pchgに基づいて第2の充電電力制限値Pchglmtを算出する。
【0058】
【数12】
ここで、Pmrg[kW]は充電可能電力に対して、発電機2等の回生電力消費手段において発生する制御誤差を見込み、式(9)と式(10)で算出された差dPcrg[t]とdPin[t−1]とに基づいてMAPmrg2[dPcrg(t−1)−dPin(t−1)、dPcrg(t)−dPin(t)]を検索することにより、求まるマージンである。このマップは、回生消費電力Pcrgの前回値と今回値から、今回の回生消費電力tPcrgが前回の回生消費電力Pcrg(t−1)に対して増加するほど、マージンPmrgを大きく確保する傾向を持つ。これは、回生消費電力Pcrgが大きくなるほど発電機2を高回転まで空回しして電力を消費する必要があり、回生消費電力分を実際に消費するまでの間に遅れが発生し、制御誤差が生じてしまうためである。
【0059】
また、このマップは目標とする回生消費電力tPcrgに対する実際の回生消費電力Pcrgの消費の遅れを予め実験によって求め、その遅れが発生した場合であっても充電可能電力Pchgを上回ることがないようにマージンPmrgを設定することから求めることができる。
【0060】
このマップは回生開始直後において回生電力を消費するために既に発電機2を動作させているか、若しくは回生中に回生電力を充電した結果、充電可能電力Pchgが小さくなり徐々に回生消費電力が大きくなるときに発生する制御誤差を想定してそのマージンが設けられている。
【0061】
このため、回生開始直後に発電機2が停止している状態から瞬時に回生消費電力Pcrgを立ち上げる状態、言い換えれば、最も制御誤差が多く発生する状態を想定してマージンPmrgを求めた図11に示すテーブルTABLEpmrg[Pchg−tPrg]に対して、同じ回生消費電力Pcrgが発生した場合であっても、算出されるマージンPmrgは小さな値となる。このため、例えば回生発電中に終始、TABLEpmrg[Pchg−tPrg]から算出されるマージンPmrgを用いた場合と比較して、回生発電中に参照するマップをMAPmrg2[dPcrg(t−1)−dPin(t−1)、dPcrg(t)−dPin(t)]に切り換えることによって必要最小限のマージンPmrgで蓄電装置3の過充電を防止することが可能となり、またマージンPmrgを小さくできることによって多くの回生電力Prgを充電することが可能となり良好な燃費向上効果が得られる。
【0062】
第1と第2の充電電力制限値Pchglmtを算出する際のマージンPmrgの設定の差異について図14を用いて説明する。
【0063】
第2の充電電力制限値Pchglmtの算出時は、回生電力消費手段が作動している状態であり、第1の充電電力制限値Pchglmtの算出時のように回生電力消費手段を起動させる必要がなく、言い換えると制御誤差が小さくでき、マージンPmrgを大きく設定する必要がない(図中、第2の充電電力制限値PchglmtのマージンPmrgを実線で示し、第1の充電電力制限値PchglmtのマージンPmrgを破線で示す。)。したがって、第2の充電電力制限値Pchglmtによる制御の場合にはマージンPmrgを小さく設定して第2の充電電力制限値Pchglmtを大きく設定し、結果として蓄電装置3への充電電力を大きくでき、燃費を向上することができる。一方、第1の充電電力制限値はマージンを大きく設定することで蓄電装置3の過充電を確実に防止することができる。
【0064】
図15を用いてFLAGの設定と制御誤差と充電電力制限値との関係について説明する。回生発電が開始される時刻t1までは制御誤差は生じずフラグは、FLAG=0である。但し、回生発電前であっても第1の充電電力制限値に基づくマージンPmrgを設ける。ここで、回生発電が開始される前から予めマージンPmrgを設ける理由としては、車両外部からの情報等を用いない限りドライバがいつ回生動作を開始するかがわからないため、いつ回生動作が開始されても対応できるようにマージンPmrgをとっておく必要があるためである。
【0065】
時刻t1で回生発電が開始された直後は前述のように回生発電消費手段を起動する必要があるため制御誤差が大きくなり、このときフラグはFLAG=1が設定される。回生発電開始直後には制御誤差が大きいためマージンPmrgは第1の充電電力制限値に基づく大きなマージンを設定する。そして時刻t2以降で制御誤差が収束して小さくなるとフラグはFLAG=2に設定する。そしてこのフラグに応じて第2の充電電力制限値が切り換えられ、マージンPmrgは小さな値を設定できる。
【0066】
図2のフローチャートに戻り、ステップ9で、蓄電装置3の過充電を防止するため回生消費電力を消費する。回生消費電力についての制御を図16を用いて説明する。
【0067】
まずステップ41で回生消費電力Pcrg[kW]を下式から算出する。
【0068】
【数13】
続くステップ42で、算出した回生消費電力が0より大きいかどうかを判定する。0より大きい場合にはステップ43に進み、発電機2のトルク制御を実施して回生消費電力Pcrgを発生させる。
【0069】
一方、回生消費電力が0以下の場合には回生電力Prgをすべて蓄電装置3に充電させて制御を終了する。
【0070】
なお、本発明は、図17に示すような燃料電池車両にも適用することができる。この場合には発電機2に相当する、燃料電池7にガスを供給する図示しないコンプレッサを備え、充電可能電力を超える回生電力が充電される恐れがある場合には、コンプレッサの運転条件を制御して回生電力を消費し、蓄電装置3の過充電を防止する。
【0071】
また、燃料電池としては種々のタイプの燃料電池に対応可能であるが、燃料改質器を備えた燃料電池システムに適応する場合には改質器の応答性を考慮して充電電力制限値を設定する必要がある。
【0072】
したがって、本発明においては、充電可能電力と回生電力消費手段の制御誤差に応じて蓄電装置3の充電可能電力を補正した充電電力制限値(充電可能電力補正値)を算出し、充電電力制限値を回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換えるため、制御誤差が大きいときにはマージンを大きく設定して、蓄電装置3の充電量が過充電となることを防止し、蓄電装置3の劣化を防ぐことができる。また、制御誤差が小さいときにはマージンを小さく設定して回生電力の蓄電装置3への充電量を大きくし、蓄電装置3からの供給電力による走行距離を長くして燃費を向上することができる。
【0073】
また、充電可能電力を車両の速度が高いほど小さくなるように補正するため、車速が高いほどマージンを大きく設定し、蓄電装置3の過充電を確実に防止できる。
【0074】
また、回生電力消費手段の制御誤差が所定値以下かどうかを判定し、制御誤差が所定値を超える場合に第1の充電電力制限値を設定し、所定値以下の場合には、第1の充電電力制限値より大きい第2の充電電力制限値に切り換える。これにより、回生電力を消費していない状態から瞬時に電力を立ち上げた直後や回生発電開始直後の最も制御誤差が生じる状態を想定してマージンを設定した第1の充電電力制限値とするため、蓄電装置3の過充電を防止できる。また回生発電定常状態では制御誤差が所定値以下となり、マージンを小さくすることができる場合には小さなマージンを設定する第2の充電電力制限値に切り換えるため、充電電力制限値を蓄電装置3の充電可能電力に近付けることができ、蓄電装置3のSOCを高め、燃費を向上することができる。
【0075】
また、第2の充電電力制限値を充電可能電力を超える回生電力の変化率が大きいほど充電可能電力より小さく設定するため、回生発電中の回生電力消費手段の制御誤差を回生電力の変化率から見積り、必要最小限のマージンを設定することができ、蓄電装置3のSOCを向上し、燃費を更に改善できる。なお、回生電力の変化率は、前回演算時の回生電力と今回演算時の回生電力の差に応じて設定される。
【0076】
また、充電電力制限値を回生発電の状態に応じて設定するため、制御誤差に応じた設定とすることができ、蓄電装置の過充電と車両の燃費の向上を両立することができる。
【0077】
つまり、非回生発電時には充電電力制限値として第1の充電電力制限値を設定し、回生発電開始直後には第1の充電電力制限値を設定し、回生発電開始時から所定時間経過後以降には、第2の充電電力制限値を設定する。
【0078】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的思想の範囲内でさまざまな変更がなしうることは明白である。
【0079】
なお、請求項の充電可能電力算出手段は図2のフローチャートのステップ1に相当し、充電可能電力補正値算出手段はステップ4、6、8が相当し、充電可能電力算出手段はステップ3、5が相当する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用するハイブリッド車両の構成図である。
【図2】本発明の充電電力制限制御のメインフローチャートである。
【図3】回生電力消費手段の制御誤差の大きさに応じて蓄電装置の充電電力を制限する充電電力制限値の設定する概念を説明する図である。
【図4】充電可能電力算出のフローチャートである。
【図5】内部抵抗とSOCの関係を示すマップの一例を示す図である。
【図6】内部抵抗と蓄電装置の温度の関係を示すマップの一例を示す図である。
【図7】SOCと蓄電装置の開放電圧の関係を示すマップの一例を示す図である。
【図8】制駆動力マップの一例を示す図である。
【図9】第1の充電電力制限値を算出するフローチャートである。
【図10】駆動モータの損失電力を示す図である。
【図11】マージンの設定を示す図である。
【図12】発電機停止時のマージンの設定方法を説明する図である。
【図13】第2の充電電力制限値を算出するフローチャートである。
【図14】発電機作動時のマージンの設定方法を説明する図である。
【図15】回生フラグの設定方法を示す図である。
【図16】回生消費電力を算出するフローチャートである。
【図17】本発明を適用する燃料電池車両の構成図である。
【符号の説明】
1 内燃機関
2 発電機
3 蓄電装置
4 駆動モータ
5 デファレンシャルギア
6 タイヤ
10 統合コントローラ
11 内燃機関コントローラ
12 発電機コントローラ
13 蓄電装置コントローラ
14 駆動モータコントローラ
Claims (9)
- 発電機と、
発電機が発電した電力を蓄電する蓄電装置と、
前記発電機または蓄電装置からの電力に基づき車両の駆動源として機能すると共に、車両制動時には回生発電を行い電力を蓄電装置に充電する電動機と、
これらを統合制御するコントローラとからなり、
前記コントローラは、
前記蓄電装置の状態に応じて蓄電装置が充電可能な電力を算出する充電可能電力算出手段を備えた車両の充放電制御装置において、
車両制動時に発生する回生電力の算出した充電可能電力を超える分の電力を消費する回生電力消費手段を備え、
前記コントローラは、
前記充電可能電力と前記回生電力消費手段の制御誤差に応じて前記蓄電装置の充電可能電力を補正した充電可能電力補正値を算出する充電可能電力補正値算出手段と、
前記充電可能電力補正値を前記回生電力消費手段の制御誤差に応じて切り換える充電可能電力補正値切換手段とを備え、
前記回生電力消費手段は、回生電力のうち前記充電可能電力補正値を越えた分の電力を消費することを特徴とする車両の充放電制御装置。 - 前記充電可能電力補正値手段は、充電可能電力を車両の速度が高いほど小さくなるように充電可能電力を補正することを特徴とする請求項1に記載の車両の充放電制御装置。
- 前記コントローラは、前記回生電力消費手段の制御誤差が所定値以下かどうかを判定する制御誤差判定手段を備え、
制御誤差が所定値を超える場合に第1の充電可能電力補正値を設定し、所定値以下の場合には、充電可能電力を第1の充電可能電力補正値より大きい第2の充電可能電力補正値に切り換えることを特徴とする請求項1または2に記載の車両の充放電制御装置。 - 前記コントローラは、前記第2の充電可能電力補正値を前記充電可能電力を超える回生電力の変化率が大きいほど前記充電可能電力より小さく設定することを特徴とする請求項3に記載の車両の充放電制御装置。
- 前記コントローラは、前記充電可能電力補正値を回生発電の状態に応じて設定することを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の車両の充放電制御装置。
- 前記コントローラは、非回生発電時には前記充電可能電力として前記第1の充電可能電力補正値を設定することを特徴とする請求項5に記載の車両の充放電制御装置。
- 前記コントローラは、回生発電開始直後には前記充電可能電力として前記第1の充電可能電力補正値を設定することを特徴とする請求項5または6に記載の車両の充放電制御装置。
- 前記コントローラは、回生発電開始時から所定時間経過後には、前記充電可能電力として前記第2の充電可能電力補正値を設定することを特徴とする請求項5から7のいずれか一つに記載の車両の充放電制御装置。
- 前記回生電力の変化率は、前回演算時の回生電力と今回演算時の回生電力の差に応じて設定されることを特徴とする請求項4に記載の車両の充放電制御装置。
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- 2003-04-28 JP JP2003123686A patent/JP2004328961A/ja active Pending
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