JP2004327816A - リフロー半田付け方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】リフロー半田付けを単一の容器内で、単一の熱媒体を使用して、一定の温度の下で行うことにより、ワークの過熱と半田付け不良を防止する。
【解決手段】密閉可能な処理槽21の中層部分にワーク15を支持し、下層部分に熱媒体を溜めて加熱ヒーター24によって加熱することにより沸騰蒸発させて、蒸気によってワーク15を加熱する。蒸気は処理槽21内の上層部分に設けられた冷却器25によって冷却されて凝縮し、下層部分へ戻って再び加熱される。例えば真空ポンプ31を選択的に作動させることによって、処理槽21内の圧力が少なくとも2段階に変化される。まず、所定の低圧とすることにより、その圧力に対応する低い沸点温度に調整された蒸気がワーク15へ供給されて予熱が行われる。次に、処理槽21内を所定の高圧とすることにより、その圧力に対応する高い沸点温度に調整された蒸気が供給されてリフロー半田付けが行われる。
【選択図】 図1
【解決手段】密閉可能な処理槽21の中層部分にワーク15を支持し、下層部分に熱媒体を溜めて加熱ヒーター24によって加熱することにより沸騰蒸発させて、蒸気によってワーク15を加熱する。蒸気は処理槽21内の上層部分に設けられた冷却器25によって冷却されて凝縮し、下層部分へ戻って再び加熱される。例えば真空ポンプ31を選択的に作動させることによって、処理槽21内の圧力が少なくとも2段階に変化される。まず、所定の低圧とすることにより、その圧力に対応する低い沸点温度に調整された蒸気がワーク15へ供給されて予熱が行われる。次に、処理槽21内を所定の高圧とすることにより、その圧力に対応する高い沸点温度に調整された蒸気が供給されてリフロー半田付けが行われる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板に載せたチップ等を半田蝋のリフロー作用によって半田付けするためのリフロー半田付け方法及び同装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の微細な構造を有する高集積回路の要求に応えるため、プリント基板に搭載される部品には、高集積化された大型チップから微細なコンデンサー等まで多彩なサイズがあるので、これらのリフロー半田付けにおいては、部品間の間隔がきわめて小さくなっていることもあって、それらのリフロー半田付け時の昇温プロファイルが重要となっている。
【0003】
例えば図3及び図4に示すように、大きさの異なるチップ1及び2を搭載したプリント基板3を、リフロー半田付け温度まで加熱されたリフロー半田付け装置へ流した場合には、図6に示すように、チップ1及び2の昇温プロファイルが各チップの大きさ(熱容量)によって異なるため、小チップ1が昇温した後も大チップ2が十分に昇温しないことによって、大チップ2が半田付け不良になるというような問題を生じる。また、大チップ2に合わせてリフロー半田付け工程における加熱時間を長くすると、小チップ1の温度が高くなり過ぎて回路の破損を起こす恐れがある。
【0004】
そこで、2段階以上の温度プロファイルを実現することができるリフロー半田付け装置を用いて、図7に示したように、第1段階においてワークを160℃のような所定の予熱温度まで加熱してワークの温度を均熱化した後に、第2段階において予熱温度よりも高い240℃のようなリフロー半田付け温度まで加熱するという2段階加熱の方式をとることが必要となる。
【0005】
このような2段階加熱を実現するために、従来は図5に示したようなリフロー半田付け装置4を使用している。従来の装置4においては、その内部を隔壁5によって低温槽6と高温槽7に区画し、それらの内部で沸点の異なる2種類の熱媒体、即ち低温熱媒体8と高温熱媒体9とをそれぞれ蒸発させて、発生した2種類の蒸気、即ち予熱蒸気層10と半田付け蒸気層11の中を、ワーク15がベルトのような搬送装置12に載って順次に通過するように構成することによって、図7のような温度プロファイルを実現している。なお、図5において13及び14は各熱媒体を加熱するための低温及び高温の加熱ヒーターを示している。
【0006】
しかしながら、従来のリフロー半田付け装置においては2種類の熱媒体の蒸気が隔壁5を越えて混合するために、沸点の温度が安定しないという問題があり、また、リフロー半田付けの温度が熱媒体の沸点において固定されるため、条件を変更する場合には熱媒体を入れ替える必要があること等から、近年の多種少量の製品生産形態に適合しないという問題もあった。
【0007】
更に、微細化の進む基板業界の要求に応えるためには、短時間のうちにワーク15の均熱加熱を終わらせる必要があるが、そのために温度プロファイルを2段階から数段階まで加熱の段階の数を増やすか、或いはアナログ的に変化する温度プロファイルに従って温度を制御することが必要となるが、従来の方式によると多数の熱媒体を準備するというような非現実的な対応策をとる必要があるので、これらの要求に十分に応えることができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における前述のような問題に鑑み、新規な手段によってそれらの問題を解消することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1に記載されたリフロー半田付け方法と、請求項5に記載されたリフロー半田付け装置を提供する。
【0010】
本発明のリフロー半田付け方法によれば、ワークが処理槽内の中層部分に支持されて処理槽が密閉された後に、まず、処理槽内の圧力が後述のリフロー半田付けを実行する時に比べて低い少なくとも一つの値に調整される。その圧力状態において処理槽の下層部分に溜まっている液体状の熱媒体を加熱して蒸発させると共に、発生した蒸気によってワークを加熱する。また、処理槽の上層部分において熱媒体の蒸気を継続的に冷却することにより凝縮させて下層部分へ戻すので、下層部分には絶えず液体状の熱媒体が溜まって加熱されている。従って、ワークは処理槽内の低い圧力に対応する沸点において安定に予熱される。
【0011】
ワークの予熱が終わった後に、処理槽内の圧力が予熱時よりも高い一定値まで上昇されて、その圧力が維持される。その圧力状態において処理槽の下層部分に溜まっている熱媒体を加熱して蒸発させると共に、発生した蒸気によりワークを所定のリフロー半田付け温度まで加熱する。処理槽内の圧力が一定であり、リフロー半田付け温度を、その圧力に対応する熱媒体の沸点温度と一致させておくことによって、熱媒体の蒸気の温度が沸点温度において一定に維持される。その蒸気によってリフロー半田付けが実行されるため、ワークの温度が過度に上昇することが防止されるだけでなく、その温度以下に低下することも防止される。その結果、ワークに含まれるチップ等が劣化するのが防止されると共に、半田付け不良が発生することも防止される。
【0012】
本発明のリフロー半田付け方法においては、ワークを予熱する段階における処理槽内の圧力が真空ポンプのような手段によって大気圧よりも減圧された状態であって、且つワークをリフロー半田付け温度まで加熱する時の圧力が実質的に大気圧と同じ状態であるようにすると、操作が容易になると共に、それに使用するリフロー半田付け装置の構成も簡単になる。この場合は、ワークを予熱する段階における処理槽内の圧力状態を多段階或いは連続的に変化させることによって、予熱温度を多段階或いは連続的に変化させてもよい。
【0013】
また、本発明のリフロー半田付け方法においては、ワークを予熱する少なくとも一つの段階の圧力を実質的に大気圧と同じにすると共に、ワークをリフロー半田付け温度まで加熱する時に処理槽内を加圧ポンプ等によって加圧して、その圧力を大気圧よりも高くしてもよい。この場合も、処理操作が容易になると共に、それに使用するリフロー半田付け装置の構成が簡単になる。
【0014】
本発明のリフロー半田付け装置は、少なくとも、ワークを中層部分に支持する密閉可能な処理槽と、処理槽内の圧力を相対的に低い少なくとも一つの値に調整する手段と、処理槽の下層部分に溜まっている液体状の熱媒体をその時の処理槽内の圧力に対応する沸点温度まで加熱して蒸発させる加熱手段と、処理槽の上層部分において熱媒体の蒸気を継続的に冷却して凝縮させる冷却手段と、凝縮した熱媒体を下層部分へ戻す手段と、予熱が終わった後に処理槽内の圧力を相対的に高い一定の値まで上昇させてその圧力を維持する手段とを備えている。
【0015】
従って、処理槽内にワークが支持されて処理槽が密閉された後に、まず、処理槽内の圧力が後述のリフロー半田付けを実行する時に比べて低い少なくとも一つの値に調整される。その圧力状態において処理槽の下層部分に溜まっている液体状の熱媒体を加熱手段によって沸点温度まで加熱して蒸発させると共に、発生した蒸気によってワークを加熱する。また、処理槽の上層部分において熱媒体の蒸気を冷却手段によって継続的に冷却することにより凝縮させて下層部分へ戻すので、下層部分には絶えず液体状の熱媒体が溜まって加熱手段により加熱される。従って、ワークは処理槽内の低い圧力に対応する沸点温度において安定に予熱される。
【0016】
ワークの予熱が終わった後に、処理槽内の圧力が予熱時よりも高い一定値まで上昇されて、その圧力が維持される。その圧力状態において処理槽の下層部分に溜まっている熱媒体を、高くなった圧力に対応して高くなった沸点温度まで加熱して蒸発させると共に、発生した蒸気によりワークを所定のリフロー半田付け温度まで加熱する。処理槽内の圧力が高められた状態で一定であり、リフロー半田付け温度を、その圧力に対応する熱媒体の沸点温度と一致させてあることによって、熱媒体の蒸気の温度がリフロー半田付け温度において一定に維持される。それによって、ワークの温度が過度に上昇することが防止されるだけでなく、その温度以下に低下することも防止される。その結果、ワークに含まれるチップ等が劣化するのが防止されると共に、半田付け不良が発生することも防止される。
【0017】
本発明のリフロー半田付け装置においては、処理槽へ未処理のワークを供給する一方、リフロー半田付けが終わったワークを処理槽から取り出すためにロボットハンドのような搬送手段を付設することができる。また、処理槽内の圧力を相対的に低い値に調整するために真空ポンプを設けてもよいし、処理槽内の圧力を相対的に高い値まで上昇させるために加圧ポンプを設けてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。図1は本発明によるリフロー半田付け装置を例示したもので、図示実施例の装置は主要部として密閉可能な容器である処理槽21を備えている。処理槽21は上蓋22と、それ以外の下部容器23から構成されていて、上蓋22によって下部容器23の上部開口を着脱可能に閉じることができる。下部容器23の内部の最下層部分には加熱ヒーター24が設けられると共に、最上層部分には冷却器25が設けられる。加熱ヒーター24は例えば電熱線によって、また、冷却器25は例えば冷却水を循環させる螺旋状のチューブによって形成することができる。更に、冷却器25の下部に凝縮液受け26を設けると共に、凝縮液受け26に溜まる液体状の熱媒体を、凝縮液回収通路27によって下部容器23の最下層部分へ戻すようになっている。
【0019】
下部容器23の最下層部分には液体状の熱媒体28が収容されていて、加熱ヒーター24がその中に浸されている。従って、加熱ヒーター24が発生する熱は全て熱媒体28に与えられ、それによって熱媒体28が沸騰して発生する蒸気が蒸気層29を形成して下部容器23の中層部分に溜まる。図示実施例のリフロー半田付け装置の処理槽21においては、下部容器23の最上層部分に冷却器25が設けられて蒸気層29を上部から冷却し、熱媒体の蒸気を凝縮液化させて、凝縮液受け26と凝縮液回収通路27によって最下層部分へ戻すので、冷却器25よりも上層の部分と、上蓋22の内部には実質的に熱媒体の蒸気が存在しない。更に、上蓋22の内部に一端部が開口する排気管30の他端部には真空ポンプ31が接続されて、処理槽21の内部から空気等を吸引するから、処理槽21の内部を真空ポンプ31によって所定の低圧まで減圧することができる。
【0020】
図示実施例における熱媒体28としては、処理槽21の内部が大気圧となる時に沸点がリフロー半田付け温度と一致する物質、即ち、大気圧下の沸点がリフロー半田付け温度と同じである物質を使用する。その理由は、例えば、真空ポンプ31が作動していない状態においては処理槽21の内部空間が大気圧になるが、この圧力状態において熱媒体28が蒸発を継続することにより、蒸気層29の温度が熱媒体28の大気圧沸点において一定となるので、この性質を利用して、蒸気層29の温度を熱媒体28の蒸発によって一定に維持するためである。このような目的に使用することができる熱媒体28の具体的な例としては、パーフルオロポリエーテルを挙げることができる。
【0021】
処理槽21においては、下部容器23の中層において蒸気層29が形成される部分に、チップ1及び2とプリント基板3からなる所定数のワーク15が図示しない籠やフレームのような支持部によって支持される。ワーク15を処理槽21内へ供給する一方、処理が終わったワーク15を外部へ取り出すために、図1においては図示が省略されているが、上蓋22が開いている状態において下部容器23の上部開口内へ移動するロボットハンドのようなものを搬送手段として利用することができる。なお、図1において、参照符号32は、処理槽21を支持する台座を示している。
【0022】
次に、図示実施例のリフロー半田付け装置の作動について説明する。準備段階において、処理槽21の上蓋22を取り外して、図示しないロボットハンドのような搬送機構によって、所定の数のワーク15を下部容器23内の蒸気層29となる中層の部分へ供給すると共に、図示しない棚のような支持手段によって支持する。処理槽21の最下層には熱媒体28が所定の量だけ供給されている。この状態で上蓋22を載せて下部容器23の上部開口を閉じることにより処理槽21が密閉される。
【0023】
図2における温度グラフに示すような2段階加熱を実現するために、本装置においては熱媒体28の温度だけでなく、処理槽21内の圧力を、図2における圧力グラフに示すように2段階に制御する点に特徴がある。そのために、直接的に真空ポンプ31を制御することも可能であるが、図示実施例では、加熱ヒーター24の発熱量、従って、加熱ヒーター24への通電量が制御される。また、必要に応じて、冷却器25へ供給する冷却水の供給量を調整して、冷却器25の吸熱量(冷却能力)を制御することも補助的に行なわれる。
【0024】
準備が終わると、まず、真空ポンプ31を作動させて処理槽21の内部空間から空気を排出し、内部空間を真空に近い8kPaまで減圧する。次に、加熱ヒーター24を発熱させることにより熱媒体28を加熱して沸騰蒸発させる。蒸発した熱媒体28の蒸気は処理槽21の中層部分に蒸気層29を形成する。更に冷却器25へ冷却水を供給して、処理槽21の最上層まで上昇した蒸気を冷却し、凝縮した液状の熱媒体を凝縮液受け26に集めて、凝縮液回収通路27を介して処理槽21の最下層部分へ流下させる。
【0025】
作動中は加熱ヒーター24への通電が継続されて、熱媒体28が蒸発を続けるが、冷却器25による蒸気の冷却、凝縮と、凝縮液受け26等による熱媒体28の回収が行われるので、熱媒体28が真空ポンプ31によって排出される量は僅かであって、処理槽21内の熱媒体の全量は殆ど変わらない。処理槽21の最下層部分には常に液体状の熱媒体28が溜まっている。それによって、熱媒体を無駄に放出することが防止されるから、省資源や、環境保護の面からも好ましい。このように、熱媒体28が処理槽21内の現在の圧力に対応する沸点温度において沸騰蒸発を継続している限り、処理槽21内の最下層に溜まっている液体状の熱媒体28と、中層にある熱媒体の蒸気層29の温度は、処理槽21内の圧力に対応して決まる沸点温度を維持するから、加熱ヒーター24や冷却器25、或いは真空ポンプ31等によって処理槽21内の圧力が一定に維持されている間は、蒸気層29の温度が一定となる。
【0026】
図示実施例のリフロー半田付け装置においては、処理槽21の最下層部分に溜まっている液体状の熱媒体28が加熱ヒーター24によって加熱されて蒸発しても、その蒸気が冷却器25によって冷却されて凝縮し、凝縮液受け26と凝縮液回収通路27を介して最下層へ戻るので、処理槽21の最下層において熱媒体28が涸渇することがない。従って、蒸気層29の温度は、その時の圧力に対応する沸点温度を維持することができる。また、真空ポンプ31が常時運転を継続することもあって、処理槽21の内部の圧力は一定の値(この場合は8kPa)に維持される。なお、蒸気の冷却回収手段が設けられているので、真空ポンプ31によって排出されるものは実質的に空気のみである。
【0027】
このようにして、処理槽21内の空気が略完全に除去されている状態では、蒸気層29の成分は熱媒体28の蒸気のみとなる。その圧力が加熱ヒーター24の発熱量と冷却器25の冷却水量、更に真空ポンプ31の回転数の制御等によって一定の低圧8kPaに維持されるため、処理槽21内にある熱媒体28の沸点が降下して、蒸気圧8kPaに対応する沸点となる。それによって蒸気層29の温度は120〜160℃の範囲内の一定値となる。つまり蒸気層29の温度は120〜160℃の範囲内の一定値に維持される。従って、蒸気層29内に置かれたワーク15の温度も120〜160℃の範囲内の一定値となって「均熱化」される。それによって、2段階加熱の第1段階として、一定の中間温度における予熱を安定的に行うことができ、次の加熱のための準備が迅速に整う。
【0028】
ワーク15を構成する大小のチップ1及び2が等しく目標の中間温度まで予熱された後に第2段階の加熱に移る。第2段階への移行は、加熱ヒーター24への通電量を増加して発熱量を増大させると共に、冷却器25への冷却水の供給量を制御して冷却能力を調整することによって行う。但し、冷却能力を過度に低下させると、冷却器25による熱媒体28の蒸気の凝縮捕捉が不十分になって、真空ポンプ31が吸い出す気体状の熱媒体の量が増加し、処理槽21内の熱媒体28の量が減少するから、むしろ、真空ポンプ31の回転数を減少させる制御を行うとか、真空ポンプ31を完全に停止させて、処理槽21内が大気圧になるまで待つ方がよい。これらの制御のいずれかによって、図示実施例の場合は処理槽21内の圧力をそれが実質的に大気圧と同じ高さになるまで上昇させる。
【0029】
処理槽21内の圧力が上昇して大気圧と等しくなることにより、処理槽21内における熱媒体28の沸点温度も上昇するので、この状態で熱媒体28が沸騰蒸発を続けると、蒸気層29の温度が224〜240℃の間の値となる。その温度は、加熱と冷却がバランスすると共に、処理槽21内の圧力が大気圧となることによって短時間内に安定し、224〜240℃の間の一定値となる。
【0030】
従って、蒸気層29の中に置かれているワーク15は、熱媒体28の大気圧下の沸点と同じ一定の温度において加熱されるので、大小のチップ1及び2が等しく224〜240℃の間の一定値まで加熱されてその温度を維持する。この温度はリフロー半田付けに適した温度として予め選択された温度である。それ以上の温度まで上昇することはないし、それ以下の温度へ降下することもない。このようにして、ワーク15が一定の温度において加熱されるため、チップ1,2が過熱される恐れがなく、ワーク15の所定の位置に予め施された半田蝋が溶融してリフロー半田付けが万遍なく行われる。
【0031】
このように、2段階加熱の第1段階のみならず、第2段階も同じ処理槽21内において同じ熱媒体28の蒸発を続けながら、単に処理槽21内の圧力を変化させることによって熱媒体28の沸点温度を変化させて、それぞれの段階に最適な蒸気層29の温度を実現して、その温度を一定に維持するので、予熱及びリフロー半田付けがいずれも安定に行われるため、熱容量の小さい小チップ1に過熱による劣化が生じたり、熱容量の大きい大チップ2に半田付け不良が発生すること等が防止される。また、単一の処理槽21内において単一の熱媒体のみを蒸発させるので、従来のように複数種類の熱媒体の混合による問題とか、多種類の熱媒体の煩雑な入れ替え作業の問題も生じない。
【0032】
リフロー半田付けが完了した時期に加熱ヒーター24への通電を停止し、冷却器25への冷却水の供給量を増加させて冷却器能力を上昇させることにより処理槽21内を冷却する。それによってワーク15を取り出し可能な温度まで降温させた後に、上蓋22を開放して処理槽21内を大気に解放し、半田付けの終わったワーク15をロボットハンド等の搬送手段によって外部へ取り出す。
【0033】
図示実施例においては、従来から行われていた2段階加熱の昇温プロファイルを単一の処理槽21において単一の熱媒体28によって簡単に実現するために、真空に近い低圧下における熱媒体28の蒸発によって中間温度(約160℃)の安定した予熱温度を発生させると共に、大気圧の下における熱媒体28の蒸発によって高温の安定した半田付け温度(約240℃)を発生させているが、本発明は、蒸気層29の圧力を真空に近い低圧と、大気圧に近い高圧との2段階に切り替えることを必須の要件としているわけではない。
【0034】
本発明の特徴は、圧力の変化によって同じ熱媒体28の沸点温度が変化することを利用して、処理槽21内の圧力を多段階に変化させることによって熱媒体28の沸点温度を多段階に変化させて、蒸気層29と、そこにあるワーク15の温度をそれらの沸点温度に維持する点にある。従って、維持すべき温度と、それに対応する処理槽21内の圧力は大気圧に限らず任意の高さに設定することができる。それに応じて熱媒体28にも色々な物質を使用することができる。また、2段階加熱に限らず、それ以上の数の多段階加熱としてもよい。
【0035】
また、図示実施例においては、操作を簡単にするために、処理槽21内の圧力を主として真空ポンプ31によって減圧した真空に近い一定の低圧と、大気圧との2つの圧力下における2段階加熱をとっているが、処理槽21内の圧力を変化させて同じ熱媒体の沸点温度を変化させる点に本発明の特徴があるから、それらの圧力は大気圧以上の高圧であってもよい。従って、例えば、大気圧において一定の予熱温度を発生させる一方、真空ポンプ31に代わる加圧ポンプによって処理槽21内を大気圧以上に加圧して、その圧力における沸点温度をリフロー半田付け温度に一致させるというような2段階加熱もとり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリフロー半田付け装置を例示する概念的な縦断面図である。
【図2】本発明による2段階加熱の方法を示す温度及び圧力グラフである。
【図3】大小のチップを載せたプリント基板を例示する平面図である。
【図4】図3に示すプリント基板の正面図である。
【図5】従来のリフロー半田付け装置を例示する縦断面図である。
【図6】大小のチップを載せたプリント基板のリフロー半田付けにおける問題点を説明するためのグラフである。
【図7】一般的な2段階加熱の方法を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
3…プリント基板
4…従来のリフロー半田付け装置
6…低温槽
7…高温槽
8…低温熱媒体
9…高温熱媒体
10…予熱蒸気層
11…半田付け蒸気層
15…ワーク
21…処理槽(本発明)
24…加熱ヒーター
25…冷却器
26…凝縮液受け
28…熱媒体
29…蒸気層
31…真空ポンプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリント基板に載せたチップ等を半田蝋のリフロー作用によって半田付けするためのリフロー半田付け方法及び同装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の微細な構造を有する高集積回路の要求に応えるため、プリント基板に搭載される部品には、高集積化された大型チップから微細なコンデンサー等まで多彩なサイズがあるので、これらのリフロー半田付けにおいては、部品間の間隔がきわめて小さくなっていることもあって、それらのリフロー半田付け時の昇温プロファイルが重要となっている。
【0003】
例えば図3及び図4に示すように、大きさの異なるチップ1及び2を搭載したプリント基板3を、リフロー半田付け温度まで加熱されたリフロー半田付け装置へ流した場合には、図6に示すように、チップ1及び2の昇温プロファイルが各チップの大きさ(熱容量)によって異なるため、小チップ1が昇温した後も大チップ2が十分に昇温しないことによって、大チップ2が半田付け不良になるというような問題を生じる。また、大チップ2に合わせてリフロー半田付け工程における加熱時間を長くすると、小チップ1の温度が高くなり過ぎて回路の破損を起こす恐れがある。
【0004】
そこで、2段階以上の温度プロファイルを実現することができるリフロー半田付け装置を用いて、図7に示したように、第1段階においてワークを160℃のような所定の予熱温度まで加熱してワークの温度を均熱化した後に、第2段階において予熱温度よりも高い240℃のようなリフロー半田付け温度まで加熱するという2段階加熱の方式をとることが必要となる。
【0005】
このような2段階加熱を実現するために、従来は図5に示したようなリフロー半田付け装置4を使用している。従来の装置4においては、その内部を隔壁5によって低温槽6と高温槽7に区画し、それらの内部で沸点の異なる2種類の熱媒体、即ち低温熱媒体8と高温熱媒体9とをそれぞれ蒸発させて、発生した2種類の蒸気、即ち予熱蒸気層10と半田付け蒸気層11の中を、ワーク15がベルトのような搬送装置12に載って順次に通過するように構成することによって、図7のような温度プロファイルを実現している。なお、図5において13及び14は各熱媒体を加熱するための低温及び高温の加熱ヒーターを示している。
【0006】
しかしながら、従来のリフロー半田付け装置においては2種類の熱媒体の蒸気が隔壁5を越えて混合するために、沸点の温度が安定しないという問題があり、また、リフロー半田付けの温度が熱媒体の沸点において固定されるため、条件を変更する場合には熱媒体を入れ替える必要があること等から、近年の多種少量の製品生産形態に適合しないという問題もあった。
【0007】
更に、微細化の進む基板業界の要求に応えるためには、短時間のうちにワーク15の均熱加熱を終わらせる必要があるが、そのために温度プロファイルを2段階から数段階まで加熱の段階の数を増やすか、或いはアナログ的に変化する温度プロファイルに従って温度を制御することが必要となるが、従来の方式によると多数の熱媒体を準備するというような非現実的な対応策をとる必要があるので、これらの要求に十分に応えることができない。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、従来技術における前述のような問題に鑑み、新規な手段によってそれらの問題を解消することを目的としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、この課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の請求項1に記載されたリフロー半田付け方法と、請求項5に記載されたリフロー半田付け装置を提供する。
【0010】
本発明のリフロー半田付け方法によれば、ワークが処理槽内の中層部分に支持されて処理槽が密閉された後に、まず、処理槽内の圧力が後述のリフロー半田付けを実行する時に比べて低い少なくとも一つの値に調整される。その圧力状態において処理槽の下層部分に溜まっている液体状の熱媒体を加熱して蒸発させると共に、発生した蒸気によってワークを加熱する。また、処理槽の上層部分において熱媒体の蒸気を継続的に冷却することにより凝縮させて下層部分へ戻すので、下層部分には絶えず液体状の熱媒体が溜まって加熱されている。従って、ワークは処理槽内の低い圧力に対応する沸点において安定に予熱される。
【0011】
ワークの予熱が終わった後に、処理槽内の圧力が予熱時よりも高い一定値まで上昇されて、その圧力が維持される。その圧力状態において処理槽の下層部分に溜まっている熱媒体を加熱して蒸発させると共に、発生した蒸気によりワークを所定のリフロー半田付け温度まで加熱する。処理槽内の圧力が一定であり、リフロー半田付け温度を、その圧力に対応する熱媒体の沸点温度と一致させておくことによって、熱媒体の蒸気の温度が沸点温度において一定に維持される。その蒸気によってリフロー半田付けが実行されるため、ワークの温度が過度に上昇することが防止されるだけでなく、その温度以下に低下することも防止される。その結果、ワークに含まれるチップ等が劣化するのが防止されると共に、半田付け不良が発生することも防止される。
【0012】
本発明のリフロー半田付け方法においては、ワークを予熱する段階における処理槽内の圧力が真空ポンプのような手段によって大気圧よりも減圧された状態であって、且つワークをリフロー半田付け温度まで加熱する時の圧力が実質的に大気圧と同じ状態であるようにすると、操作が容易になると共に、それに使用するリフロー半田付け装置の構成も簡単になる。この場合は、ワークを予熱する段階における処理槽内の圧力状態を多段階或いは連続的に変化させることによって、予熱温度を多段階或いは連続的に変化させてもよい。
【0013】
また、本発明のリフロー半田付け方法においては、ワークを予熱する少なくとも一つの段階の圧力を実質的に大気圧と同じにすると共に、ワークをリフロー半田付け温度まで加熱する時に処理槽内を加圧ポンプ等によって加圧して、その圧力を大気圧よりも高くしてもよい。この場合も、処理操作が容易になると共に、それに使用するリフロー半田付け装置の構成が簡単になる。
【0014】
本発明のリフロー半田付け装置は、少なくとも、ワークを中層部分に支持する密閉可能な処理槽と、処理槽内の圧力を相対的に低い少なくとも一つの値に調整する手段と、処理槽の下層部分に溜まっている液体状の熱媒体をその時の処理槽内の圧力に対応する沸点温度まで加熱して蒸発させる加熱手段と、処理槽の上層部分において熱媒体の蒸気を継続的に冷却して凝縮させる冷却手段と、凝縮した熱媒体を下層部分へ戻す手段と、予熱が終わった後に処理槽内の圧力を相対的に高い一定の値まで上昇させてその圧力を維持する手段とを備えている。
【0015】
従って、処理槽内にワークが支持されて処理槽が密閉された後に、まず、処理槽内の圧力が後述のリフロー半田付けを実行する時に比べて低い少なくとも一つの値に調整される。その圧力状態において処理槽の下層部分に溜まっている液体状の熱媒体を加熱手段によって沸点温度まで加熱して蒸発させると共に、発生した蒸気によってワークを加熱する。また、処理槽の上層部分において熱媒体の蒸気を冷却手段によって継続的に冷却することにより凝縮させて下層部分へ戻すので、下層部分には絶えず液体状の熱媒体が溜まって加熱手段により加熱される。従って、ワークは処理槽内の低い圧力に対応する沸点温度において安定に予熱される。
【0016】
ワークの予熱が終わった後に、処理槽内の圧力が予熱時よりも高い一定値まで上昇されて、その圧力が維持される。その圧力状態において処理槽の下層部分に溜まっている熱媒体を、高くなった圧力に対応して高くなった沸点温度まで加熱して蒸発させると共に、発生した蒸気によりワークを所定のリフロー半田付け温度まで加熱する。処理槽内の圧力が高められた状態で一定であり、リフロー半田付け温度を、その圧力に対応する熱媒体の沸点温度と一致させてあることによって、熱媒体の蒸気の温度がリフロー半田付け温度において一定に維持される。それによって、ワークの温度が過度に上昇することが防止されるだけでなく、その温度以下に低下することも防止される。その結果、ワークに含まれるチップ等が劣化するのが防止されると共に、半田付け不良が発生することも防止される。
【0017】
本発明のリフロー半田付け装置においては、処理槽へ未処理のワークを供給する一方、リフロー半田付けが終わったワークを処理槽から取り出すためにロボットハンドのような搬送手段を付設することができる。また、処理槽内の圧力を相対的に低い値に調整するために真空ポンプを設けてもよいし、処理槽内の圧力を相対的に高い値まで上昇させるために加圧ポンプを設けてもよい。
【0018】
【発明の実施の形態】
次に、添付の図面を参照しながら、本発明の好適な実施例を詳細に説明する。図1は本発明によるリフロー半田付け装置を例示したもので、図示実施例の装置は主要部として密閉可能な容器である処理槽21を備えている。処理槽21は上蓋22と、それ以外の下部容器23から構成されていて、上蓋22によって下部容器23の上部開口を着脱可能に閉じることができる。下部容器23の内部の最下層部分には加熱ヒーター24が設けられると共に、最上層部分には冷却器25が設けられる。加熱ヒーター24は例えば電熱線によって、また、冷却器25は例えば冷却水を循環させる螺旋状のチューブによって形成することができる。更に、冷却器25の下部に凝縮液受け26を設けると共に、凝縮液受け26に溜まる液体状の熱媒体を、凝縮液回収通路27によって下部容器23の最下層部分へ戻すようになっている。
【0019】
下部容器23の最下層部分には液体状の熱媒体28が収容されていて、加熱ヒーター24がその中に浸されている。従って、加熱ヒーター24が発生する熱は全て熱媒体28に与えられ、それによって熱媒体28が沸騰して発生する蒸気が蒸気層29を形成して下部容器23の中層部分に溜まる。図示実施例のリフロー半田付け装置の処理槽21においては、下部容器23の最上層部分に冷却器25が設けられて蒸気層29を上部から冷却し、熱媒体の蒸気を凝縮液化させて、凝縮液受け26と凝縮液回収通路27によって最下層部分へ戻すので、冷却器25よりも上層の部分と、上蓋22の内部には実質的に熱媒体の蒸気が存在しない。更に、上蓋22の内部に一端部が開口する排気管30の他端部には真空ポンプ31が接続されて、処理槽21の内部から空気等を吸引するから、処理槽21の内部を真空ポンプ31によって所定の低圧まで減圧することができる。
【0020】
図示実施例における熱媒体28としては、処理槽21の内部が大気圧となる時に沸点がリフロー半田付け温度と一致する物質、即ち、大気圧下の沸点がリフロー半田付け温度と同じである物質を使用する。その理由は、例えば、真空ポンプ31が作動していない状態においては処理槽21の内部空間が大気圧になるが、この圧力状態において熱媒体28が蒸発を継続することにより、蒸気層29の温度が熱媒体28の大気圧沸点において一定となるので、この性質を利用して、蒸気層29の温度を熱媒体28の蒸発によって一定に維持するためである。このような目的に使用することができる熱媒体28の具体的な例としては、パーフルオロポリエーテルを挙げることができる。
【0021】
処理槽21においては、下部容器23の中層において蒸気層29が形成される部分に、チップ1及び2とプリント基板3からなる所定数のワーク15が図示しない籠やフレームのような支持部によって支持される。ワーク15を処理槽21内へ供給する一方、処理が終わったワーク15を外部へ取り出すために、図1においては図示が省略されているが、上蓋22が開いている状態において下部容器23の上部開口内へ移動するロボットハンドのようなものを搬送手段として利用することができる。なお、図1において、参照符号32は、処理槽21を支持する台座を示している。
【0022】
次に、図示実施例のリフロー半田付け装置の作動について説明する。準備段階において、処理槽21の上蓋22を取り外して、図示しないロボットハンドのような搬送機構によって、所定の数のワーク15を下部容器23内の蒸気層29となる中層の部分へ供給すると共に、図示しない棚のような支持手段によって支持する。処理槽21の最下層には熱媒体28が所定の量だけ供給されている。この状態で上蓋22を載せて下部容器23の上部開口を閉じることにより処理槽21が密閉される。
【0023】
図2における温度グラフに示すような2段階加熱を実現するために、本装置においては熱媒体28の温度だけでなく、処理槽21内の圧力を、図2における圧力グラフに示すように2段階に制御する点に特徴がある。そのために、直接的に真空ポンプ31を制御することも可能であるが、図示実施例では、加熱ヒーター24の発熱量、従って、加熱ヒーター24への通電量が制御される。また、必要に応じて、冷却器25へ供給する冷却水の供給量を調整して、冷却器25の吸熱量(冷却能力)を制御することも補助的に行なわれる。
【0024】
準備が終わると、まず、真空ポンプ31を作動させて処理槽21の内部空間から空気を排出し、内部空間を真空に近い8kPaまで減圧する。次に、加熱ヒーター24を発熱させることにより熱媒体28を加熱して沸騰蒸発させる。蒸発した熱媒体28の蒸気は処理槽21の中層部分に蒸気層29を形成する。更に冷却器25へ冷却水を供給して、処理槽21の最上層まで上昇した蒸気を冷却し、凝縮した液状の熱媒体を凝縮液受け26に集めて、凝縮液回収通路27を介して処理槽21の最下層部分へ流下させる。
【0025】
作動中は加熱ヒーター24への通電が継続されて、熱媒体28が蒸発を続けるが、冷却器25による蒸気の冷却、凝縮と、凝縮液受け26等による熱媒体28の回収が行われるので、熱媒体28が真空ポンプ31によって排出される量は僅かであって、処理槽21内の熱媒体の全量は殆ど変わらない。処理槽21の最下層部分には常に液体状の熱媒体28が溜まっている。それによって、熱媒体を無駄に放出することが防止されるから、省資源や、環境保護の面からも好ましい。このように、熱媒体28が処理槽21内の現在の圧力に対応する沸点温度において沸騰蒸発を継続している限り、処理槽21内の最下層に溜まっている液体状の熱媒体28と、中層にある熱媒体の蒸気層29の温度は、処理槽21内の圧力に対応して決まる沸点温度を維持するから、加熱ヒーター24や冷却器25、或いは真空ポンプ31等によって処理槽21内の圧力が一定に維持されている間は、蒸気層29の温度が一定となる。
【0026】
図示実施例のリフロー半田付け装置においては、処理槽21の最下層部分に溜まっている液体状の熱媒体28が加熱ヒーター24によって加熱されて蒸発しても、その蒸気が冷却器25によって冷却されて凝縮し、凝縮液受け26と凝縮液回収通路27を介して最下層へ戻るので、処理槽21の最下層において熱媒体28が涸渇することがない。従って、蒸気層29の温度は、その時の圧力に対応する沸点温度を維持することができる。また、真空ポンプ31が常時運転を継続することもあって、処理槽21の内部の圧力は一定の値(この場合は8kPa)に維持される。なお、蒸気の冷却回収手段が設けられているので、真空ポンプ31によって排出されるものは実質的に空気のみである。
【0027】
このようにして、処理槽21内の空気が略完全に除去されている状態では、蒸気層29の成分は熱媒体28の蒸気のみとなる。その圧力が加熱ヒーター24の発熱量と冷却器25の冷却水量、更に真空ポンプ31の回転数の制御等によって一定の低圧8kPaに維持されるため、処理槽21内にある熱媒体28の沸点が降下して、蒸気圧8kPaに対応する沸点となる。それによって蒸気層29の温度は120〜160℃の範囲内の一定値となる。つまり蒸気層29の温度は120〜160℃の範囲内の一定値に維持される。従って、蒸気層29内に置かれたワーク15の温度も120〜160℃の範囲内の一定値となって「均熱化」される。それによって、2段階加熱の第1段階として、一定の中間温度における予熱を安定的に行うことができ、次の加熱のための準備が迅速に整う。
【0028】
ワーク15を構成する大小のチップ1及び2が等しく目標の中間温度まで予熱された後に第2段階の加熱に移る。第2段階への移行は、加熱ヒーター24への通電量を増加して発熱量を増大させると共に、冷却器25への冷却水の供給量を制御して冷却能力を調整することによって行う。但し、冷却能力を過度に低下させると、冷却器25による熱媒体28の蒸気の凝縮捕捉が不十分になって、真空ポンプ31が吸い出す気体状の熱媒体の量が増加し、処理槽21内の熱媒体28の量が減少するから、むしろ、真空ポンプ31の回転数を減少させる制御を行うとか、真空ポンプ31を完全に停止させて、処理槽21内が大気圧になるまで待つ方がよい。これらの制御のいずれかによって、図示実施例の場合は処理槽21内の圧力をそれが実質的に大気圧と同じ高さになるまで上昇させる。
【0029】
処理槽21内の圧力が上昇して大気圧と等しくなることにより、処理槽21内における熱媒体28の沸点温度も上昇するので、この状態で熱媒体28が沸騰蒸発を続けると、蒸気層29の温度が224〜240℃の間の値となる。その温度は、加熱と冷却がバランスすると共に、処理槽21内の圧力が大気圧となることによって短時間内に安定し、224〜240℃の間の一定値となる。
【0030】
従って、蒸気層29の中に置かれているワーク15は、熱媒体28の大気圧下の沸点と同じ一定の温度において加熱されるので、大小のチップ1及び2が等しく224〜240℃の間の一定値まで加熱されてその温度を維持する。この温度はリフロー半田付けに適した温度として予め選択された温度である。それ以上の温度まで上昇することはないし、それ以下の温度へ降下することもない。このようにして、ワーク15が一定の温度において加熱されるため、チップ1,2が過熱される恐れがなく、ワーク15の所定の位置に予め施された半田蝋が溶融してリフロー半田付けが万遍なく行われる。
【0031】
このように、2段階加熱の第1段階のみならず、第2段階も同じ処理槽21内において同じ熱媒体28の蒸発を続けながら、単に処理槽21内の圧力を変化させることによって熱媒体28の沸点温度を変化させて、それぞれの段階に最適な蒸気層29の温度を実現して、その温度を一定に維持するので、予熱及びリフロー半田付けがいずれも安定に行われるため、熱容量の小さい小チップ1に過熱による劣化が生じたり、熱容量の大きい大チップ2に半田付け不良が発生すること等が防止される。また、単一の処理槽21内において単一の熱媒体のみを蒸発させるので、従来のように複数種類の熱媒体の混合による問題とか、多種類の熱媒体の煩雑な入れ替え作業の問題も生じない。
【0032】
リフロー半田付けが完了した時期に加熱ヒーター24への通電を停止し、冷却器25への冷却水の供給量を増加させて冷却器能力を上昇させることにより処理槽21内を冷却する。それによってワーク15を取り出し可能な温度まで降温させた後に、上蓋22を開放して処理槽21内を大気に解放し、半田付けの終わったワーク15をロボットハンド等の搬送手段によって外部へ取り出す。
【0033】
図示実施例においては、従来から行われていた2段階加熱の昇温プロファイルを単一の処理槽21において単一の熱媒体28によって簡単に実現するために、真空に近い低圧下における熱媒体28の蒸発によって中間温度(約160℃)の安定した予熱温度を発生させると共に、大気圧の下における熱媒体28の蒸発によって高温の安定した半田付け温度(約240℃)を発生させているが、本発明は、蒸気層29の圧力を真空に近い低圧と、大気圧に近い高圧との2段階に切り替えることを必須の要件としているわけではない。
【0034】
本発明の特徴は、圧力の変化によって同じ熱媒体28の沸点温度が変化することを利用して、処理槽21内の圧力を多段階に変化させることによって熱媒体28の沸点温度を多段階に変化させて、蒸気層29と、そこにあるワーク15の温度をそれらの沸点温度に維持する点にある。従って、維持すべき温度と、それに対応する処理槽21内の圧力は大気圧に限らず任意の高さに設定することができる。それに応じて熱媒体28にも色々な物質を使用することができる。また、2段階加熱に限らず、それ以上の数の多段階加熱としてもよい。
【0035】
また、図示実施例においては、操作を簡単にするために、処理槽21内の圧力を主として真空ポンプ31によって減圧した真空に近い一定の低圧と、大気圧との2つの圧力下における2段階加熱をとっているが、処理槽21内の圧力を変化させて同じ熱媒体の沸点温度を変化させる点に本発明の特徴があるから、それらの圧力は大気圧以上の高圧であってもよい。従って、例えば、大気圧において一定の予熱温度を発生させる一方、真空ポンプ31に代わる加圧ポンプによって処理槽21内を大気圧以上に加圧して、その圧力における沸点温度をリフロー半田付け温度に一致させるというような2段階加熱もとり得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のリフロー半田付け装置を例示する概念的な縦断面図である。
【図2】本発明による2段階加熱の方法を示す温度及び圧力グラフである。
【図3】大小のチップを載せたプリント基板を例示する平面図である。
【図4】図3に示すプリント基板の正面図である。
【図5】従来のリフロー半田付け装置を例示する縦断面図である。
【図6】大小のチップを載せたプリント基板のリフロー半田付けにおける問題点を説明するためのグラフである。
【図7】一般的な2段階加熱の方法を説明するためのグラフである。
【符号の説明】
3…プリント基板
4…従来のリフロー半田付け装置
6…低温槽
7…高温槽
8…低温熱媒体
9…高温熱媒体
10…予熱蒸気層
11…半田付け蒸気層
15…ワーク
21…処理槽(本発明)
24…加熱ヒーター
25…冷却器
26…凝縮液受け
28…熱媒体
29…蒸気層
31…真空ポンプ
Claims (8)
- リフロー半田付けを行うべきワークを密閉可能な処理槽内の中層部分へ供給して支持する段階と、前記処理槽を密閉する段階と、前記処理槽内の圧力を相対的に低い少なくとも一つの値に調整する段階と、その圧力状態において前記処理槽の下層部分に溜まっている液体状の熱媒体を沸点温度まで加熱することによって発生する蒸気により前記ワークを予熱する段階と、前記処理槽の上層部分において前記熱媒体の蒸気を継続的に冷却することによって凝縮させて前記下層部分へ戻す段階と、前記ワークの予熱が終わった後に前記処理槽内の圧力を相対的に高い一定の値まで上昇させてその圧力を維持する段階と、その圧力状態において前記処理槽の前記下層部分に溜まっている前記熱媒体を沸点温度まで加熱することによって発生する蒸気により前記ワークをリフロー半田付け温度まで加熱することによってその温度を一定に維持する段階と、それによって前記ワークに付着している半田蝋を溶融させてリフロー半田付けを行う段階と、前記ワークを冷却して前記半田蝋を凝固させる段階と、前記処理槽を開放して半田付けの終わった前記ワークを取り出す段階とからなるリフロー半田付け方法。
- 請求項1において、前記ワークを予熱する段階における前記圧力状態が大気圧よりも減圧された状態であって、且つ前記ワークをリフロー半田付け温度まで加熱する前記圧力状態が実質的に大気圧と同じ状態であるリフロー半田付け方法。
- 請求項1又は2において、前記前記ワークを予熱する段階における前記圧力状態が多段階に変化するリフロー半田付け方法。
- 請求項1において、前記ワークを予熱する少なくとも一つの段階における前記圧力状態が実質的に大気圧と同じ状態であって、且つ前記ワークをリフロー半田付け温度まで加熱する前記圧力状態が大気圧よりも増圧された状態であるリフロー半田付け方法。
- リフロー半田付けを行うべきワークを中層部分において支持する密閉可能な処理槽と、前記処理槽が密閉された状態において前記処理槽内の圧力を相対的に低い少なくとも一つの値に調整するための手段と、前記処理槽の下層部分に溜まっている液体状の熱媒体をその時の前記処理槽内の圧力に対応する沸点温度まで加熱して蒸発させることにより前記ワークを加熱する加熱手段と、前記処理槽の上層部分において前記熱媒体の蒸気を継続的に冷却することによって凝縮させる冷却手段と、凝縮した前記熱媒体を前記下層部分へ戻す手段と、前記ワークの予熱が終わった後に前記処理槽内の圧力を相対的に高い一定の値まで上昇させてその圧力を維持する手段とからなるリフロー半田付け装置。
- 請求項5において、前記処理槽へ未処理のワークを供給し、且つ、リフロー半田付けが終わった前記ワークを前記処理槽から取り出すための搬送手段が付設されているリフロー半田付け装置。
- 請求項5又は6において、前記処理槽内の圧力を相対的に低い値に調整するために真空ポンプを備えているリフロー半田付け装置。
- 請求項5又は6において、前記処理槽内の圧力を相対的に高い値まで上昇させるために加圧ポンプを備えているリフロー半田付け装置。
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A02 Effective date: 20071016 |