JP2004327737A - 複合基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】セラミック基板と金属部材との接合信頼性が高く、生産性に優れた複合基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミック基板3と、該セラミック基板3との接合面に凹部2が形成された金属部材1と、該凹部2の凹部2底面2aと前記セラミック基板3表面との間及び前記金属部材2の堤部2c表面と前記セラミック基板3表面との間に形成された接合層4とを具備し、前記接合層4によって前記セラミック基板3と前記金属部材1とが接合されてなることを特徴とする。
【選択図】図2
【解決手段】セラミック基板3と、該セラミック基板3との接合面に凹部2が形成された金属部材1と、該凹部2の凹部2底面2aと前記セラミック基板3表面との間及び前記金属部材2の堤部2c表面と前記セラミック基板3表面との間に形成された接合層4とを具備し、前記接合層4によって前記セラミック基板3と前記金属部材1とが接合されてなることを特徴とする。
【選択図】図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属部材とセラミック基板との複合基板及びその製造方法に関するものであり、詳細にはパワーモジュール等の放熱性や大電流許容配線を必要とする分野に好適に用いることのできる複合基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、パワーモジュール等の放熱性や大電流許容配線を必要とする複合基板は、セラミック基板の表面に、Cu板やAl板などの金属部材をCuAg系ろう材やAl系ろう材を用いて接合されたものが知られている。
【0003】
例えば、放熱性を向上させるため、ヒートシンク材などの熱伝導性に優れた金属材と回路基板を半田等で接合することが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
ところが、接合温度が高い場合、熱膨張係数の違いにより、反りや変形が発生する。これを抑制するためこれらの対策として、Sn系、In系及びZn系のろうや半田を用いて接合温度を下げることにより、熱膨張差で発生する残留応力を抑え、信頼性の向上を計っている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−12554号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平6−53624号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平7−14940号公報
【0008】
【特許文献4】
特開平2002−222905号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3、4に記載の方法では、ろう材や半田等の接合材を金属部材とセラミック基板との間に挿入して熱処理を行い、接合後には接合層が形成するため、接合材を完全に溶融させてセラミック基板と金属部材を接合しようとする場合、セラミック基板や金属部材の傾きによって接合層の厚みが不均一となり、応力が一部に集中するため接合強度にばらつきが起こり、接合信頼性が低下する問題があった。
【0010】
また、セラミック基板や金属部材の移動を防止したり、接合層の厚みを一定にするためには、特殊な冶具を用いることもできるが、手間がかかって生産性が低くなるという問題があった。
【0011】
従って、本発明は、セラミック基板と金属部材との接合信頼性が高く、生産性に優れた複合基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面に凹部を有する金属部材とセラミック基板とを、該凹部に接合材を充填するとともに、セラミック基板表面に接合材を形成して接合処理を行うことにより、接合材が溶融しても位置ずれの抑制が可能で、寸法精度に優れ、しかも接合が容易な複合基板を実現できるとの知見に基づく。
【0013】
即ち、本発明の複合基板は、セラミック基板と、該セラミック基板との接合面に凹部が形成された金属部材と、該凹部の凹部底面と前記セラミック基板表面との間、及び前記金属部材の堤部表面と前記セラミック基板表面との間に形成された接合層とを具備し、前記接合層によって前記セラミック基板と前記金属部材とが接合されてなることを特徴とするものである。
【0014】
凹部に設けられた接合層がセラミック基板と金属部材とを接合し、しかも接合層の主たる部分が凹部に保持されるため、接合層の厚みが不均一になることを防止し、接合信頼性を高めることができる。また、セラミック基板と金属部材の堤部との間にも接合層を設けているため、金属部材のエッジに掛かる負荷を緩和し、接合における高い信頼性が得られる。しかも接合が容易であるため生産性を高めることができる。
【0015】
このとき、前記金属部材の堤部と前記セラミック基板間の接合層の厚みは20〜100μmの範囲内が好ましく、その厚みばらつきは50%以下が望ましい。これにより、金属部材が斜めに接合することを防止し、接合信頼性をさらに高めることができる。
【0016】
特に、前記金属部材がCu及び/又はAlを主成分とすることが好ましい。このようにCuやAlを用いることによって、熱伝導性、電気伝導性に優れ、且つ、加工しやすいため容易に凹形状を形成することができる。
【0017】
また、前記接合層が、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。接合温度が800℃前後では、Ag及びCuを主成分とする接合層が好ましく、600℃前後ではAlを主成分とする接合層が好ましく、400℃以下ではIn、Sn及びPbの少なくとも1つを含む接合層が好適である。
【0018】
さらに、前記セラミック基板が、アルミナ、窒化珪素及び窒化アルミニウムのうち少なくとも1種からなることが好ましい。絶縁性、熱伝導性に優れるため、絶縁抵抗や熱放散性を必要とするパワーモジュール基板等の絶縁層に好適である。
【0019】
また、本発明の複合基板の製造方法は、金属部材の主面に形成された凹部内と、前記金属部材の堤部表面とセラミック基板表面との間に接合材を充填し、該接合材をセラミック基板と前記金属部材とで挟持するように、前記接合材と前記セラミック基板とを接触させながら熱処理を行なって前記金属部材と前記セラミック基板を接合することを特徴とするものであり、これにより、上記の複合基板を容易に得ることができる。
【0020】
特に、前記熱処理において、前記金属部材と前記セラミック基板との間に圧力を加えることが好ましい。これにより、接合界面の密着性が高まりボイドの少ない複合基板を得ることができる。
【0021】
また、前記金属部材と前記セラミック基板間に充填された接合材の厚みがほぼ一様になるように、圧力を加えることが好ましい。これにより、厚みばらつきを小さくでき、接合信頼性をさらに高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる金属部材は、図1に示したように、金属部材1の主面に凹部2が形成され、凹部2は、底面2a及び側面2bにより構成される。また、凹部2の外部には堤部2cが設けられている。
【0023】
本発明の複合基板は、図2に示したように、金属部材1の主面に設けられた凹部2の底面2aとセラミック基板3間、及び金属部材1の堤部2cとセラミック基板3間、に接合層4が形成され、金属部材1とセラミック基板3とで接合層4を挟持するように接合されていることが重要である。
【0024】
換言すれば、金属部材1が接合層4を介してセラミック基板1に接合されており、接合層4は、金属部材1の主面に設けられた凹部2の底面2aと堤部2cとを含む接合面に設けられている。この接合層4は、金属部材1の凹部2の接合層4a、及び接合層4aとセラミック基板3間と金属部材1の堤部2cとセラミック基板3間とに形成された接合層4bとで構成されている。
【0025】
或いはまた、図3のように金属部材1の凹部2の底面2aとセラミック基板3間に設けられた接合層4cと、金属部材1の堤部2cとセラミック基板3間に設けられた接合層4dとで接合層4が形成されていても良い。
【0026】
なお、接合層4aと4bは同一であっても異なっても良い。同様に、接合層4cと4dも同一であっても異なっても良い。接合層4aと4bが同一の場合、又は、接合層4cと4dが同一の場合は、接合層4が一体となった状態にあり、接合信頼性が最も良い状態となる。
【0027】
金属部材1に設けられた凹部2の深さT1は、充填された接合層4aが再現良く均一な厚みを確保できるように20μm以上、特に50μm以上、更には70μm以上が好ましい。特に、金属部材1が大きい場合、例えば金属部材1の主面の一辺が10mm以上の正方形の場合や主面の直径が10mm以上の円形の場合、接合信頼性を確保するため、70μm以上、特に100μm以上が望ましい。
【0028】
金属部材1の堤部2cからセラミック基板3間の高さT2は応力を緩和し接合信頼性を確保する為20μm以上、特に30μm以上が好ましい。また、接合時に発生する接合材の溶融による位置ずれ及び傾きによる厚みの不均一を抑制する為、金属部材1の堤部2cからセラミック基板3間の高さT2の上限は100μm、特に80μmが望ましく、厚みばらつきは50%以下、特に30%以下が望ましい。
【0029】
金属部材1は、パワーモジュールのように大電流が配線基板に流れ、放熱量が大きい用途に用いられる場合、電気伝導及び熱伝導に優れているのが好ましく、さらに一方の主面に凹部2を容易に加工することができる材料が良い。また、低コストであるのがさらに好ましい。これらを考慮すると、Cu及び/又はAlを主成分とする金属であることが望しい。特に、電気伝導及び熱伝導により優れている点でCuを主成分とする金属が、凹部2の加工性により優れている点ではAlを主成分とする金属が望ましい。
【0030】
凹部2を含む金属部材1の表面は、図4に示したように、耐腐食性を高めるとともに、接合層4との濡れ性を向上させるため、Ni、Cu及びSnのうち少なくとも1種からなるメッキ層5が形成されているのが良い。例えば、CuAg系、Al系ろうで接合する場合はNi、Cuがメッキ層5として好適であり、In、Sn、Pb系ろうで接合する場合はSnがメッキ層5として好適である。
【0031】
上記メッキ層5の厚みは、十分な腐食性を確保し、高い密着性を保持するように、1〜30μm、特に5〜10μmであるのが良い。なお、耐腐食性を効果的に高めるため、上記のメッキ層5の表面に、メッキによってさらにAu層を形成するのが良い。
【0032】
金属部材1の形状は、平板(金属板)であっても、ブロックであっても、配線パターン形状であっても、更には冷却用のフィン形状等の複雑形状であっても良く、金属部材1の使用目的に従って決定すれば良い。
【0033】
セラミック基板3は、平板を形成できる材料であれば良いが、パワーモジュールのように大電流が配線基板に流れ、放熱量が大きい用途に用いられる場合、絶縁性、強度、及び熱伝導に優れていることが好ましく、さらに低コストであるのが良い。例えば、強度とコストの点ではアルミナが、高強度と高熱伝導性が必要な場合には窒化珪素が、さらに高い熱伝導性が必要な場合は窒化アルミニウムが好適である。
【0034】
セラミック基板3の表面には、メタライズ層6が形成されているのが良い。メタライズ層6の目的は、セラミック基板3の接合部を金属化して接合層4との濡れを向上させるためである。さらに、メタライズ層6の表面には、金属部材1の場合と同様に、耐腐食性や接合層4との濡れ性をさらに向上させるために、Ni、Cr及びSnのうち少なくとも1種の被覆層(図示せず)を設けることも可能である。
【0035】
接合層4は、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは、いずれも高い接合強度を実現することが可能であり、金属部材1及びセラミック基板3の材質と表面状態、接合層4の融点及び接合条件によって上記の元素を含む半田やろう材を選択すれば良い。
【0036】
具体的には、Inろう、Sn−Cuろう、Sn−Cu−Agろう、Pb半田、Au−Cuろう等を例示できるが、他のろう材も使用できることは言うまでもない。
【0037】
接合層4としてCuAg系、Al系ろうを用いる場合はNi又はCrを被覆層に用いることが望ましく、In、Sn、Pb系ろうを用いる場合はSnを被覆層に用いることが望ましい。特に、耐腐食性をさらに高めることが必要な場合は、被覆層の厚みを3μm以上にするか、被覆層上にAuめっきを施すことが望ましい。
【0038】
本発明において高い接合強度を得るためには、金属部材1の凹部2の底面2aの少なくとも50%以上、特に70%以上、更には85%以上が接合層4と接合していることが好ましい。
【0039】
次に、本発明の複合基板の製造方法について説明する。
【0040】
まず、図1に示したような金属部材1を用意し、凹部2を形成する。凹部2の形成方法はエッチング法や金型プレスによる機械加工等の公知の手法で所望の形状に加工すれば良い。また、耐腐食性を高めるとともに、接合層との濡れ性を向上させて接合強度を高めるため、金属部材1の凹部2の底面2aや側面2b及び堤部2cを含む一方の面にメッキ層を形成しても良い。
【0041】
次に、セラミック基板3を準備する。セラミック基板3の製造方法は、公知のセラミック焼結体の製造方法を用いることができる。例えば、アルミナからなる原料粉末を混合してスラリーを作製し、このスラリーを用いてドクターブレード法やロールコンパクション法等の公知のセラミック成形方法によりグリーンシートを作製する。得られたグリーンシートの表面に、所望により導体ペーストを塗布し、積層の後に同時焼成によってメタライズ層6を形成する。
【0042】
さらに、所望により、メタライズ層6の表面に、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含む金属を、メッキ法、スパッタリングやCVD(気相蒸着法)等の公知のコーティング方法によって被覆層を形成することができる。これらのうち、簡便で低コストである点でメッキ法が好ましい。
【0043】
ここで接合材14を準備する。接合材14の種類は、特に制限はないが、粉末、ペースト及び箔のうち少なくとも1種を用いることができる。均一に且つ確実に凹部2に充填できるためには、ペースト又は箔が好ましい。
【0044】
接合材14の選択に当っては、金属部材1とセラミック基板3との組合せを考慮し、さらに接合材14の融点及び金属部材1やセラミック基板3との良好な濡れ状態を形成する温度を選択する。また、接合材14は同一組成のものが好ましい。接合温度が800℃前後では、Ag及びCuを主成分とする接合層4a及び/又は4bが好ましく、600℃前後ではAlを主成分とする接合層4a及び/又は4bが好ましく、400℃以下ではIn、Sn及びPbの少なくとも1つを含む接合層4a及び/又は4bが好ましい。
【0045】
また、構造が接合面に関して対称性に乏しい場合、例えば、セラミック基板3の一方の主面のみに金属部材1を接合する場合、残留応力による反りや変形の抑制が必要な場合、融点が400℃以下のSn、In、Pb系のろう材や半田を用いることが望ましい。
【0046】
次に、接合層4aを凹部2に充填する。充填する接合層4aの量は、その容積が凹部2の容積に略同一であることが好ましいが、接合層4aの総容積が凹部2の容積以上であっても良い。特に、凹部2と略同一の形状に加工された接合材14を凹部2に挿入するのが良い。
【0047】
同様にして、セラミック基板3上又はその表面に設けられたメタライズ層6上に、箔を載置する、又は、ペーストを塗布する。
【0048】
次いで、図5に示したように、金属部材1の凹部2内の接合材14とセラミック基板3表面にある接合材14とが、金属部材1とセラミック基板3とによって挟持されるように、金属部材1とセラミック基板3とを接触させ、所望により接合面に垂直な方向に加圧しながら加熱処理をして接合する。
【0049】
加熱処理は、AgCu系ろう材の場合、還元雰囲気で800〜900℃、Al系ろう材の場合、還元雰囲気において550℃〜660℃で熱処理する。また、接合部のボイドを低減したい場合は、1×10− 4Pa以上、特に1×10− 6Pa以上の真空度で熱処理するのが良い。
【0050】
【実施例】
実施例1
金属部材として、縦12mm、横22mm、厚さ0.2mmのAl板をそれそれ5枚ずつ準備した。この金属部材の主面に、金型プレス法によって縦10mm、横20mm、深さ70μmの凹部をそれぞれ金型プレス加工で形成した。
【0051】
次いで、凹部が形成された金属部材に無電解法で3μmのNiメッキ層を形成した。
【0052】
次に、厚さ0.3mmのアルミナグリーンシートの主面にタングステンペーストを塗布し、同時焼成することによって、表面にメタライズ層を具備するアルミナ基板を作製した。アルミナ基板の寸法は縦15mm、横25mmであった。
【0053】
次いで、このメタライズ層の表面に、電解法によって、Ni被覆層3μmを形成した。
【0054】
さらに、金属部材の凹部に、凹部の形状と略同一である厚さ50μmのIn系半田箔を埋設し、セラミック基板上に厚さ20、30、50、80、100μmのIn系半田箔をそれぞれ貼り合わせ、金属部材の凹部が形成されている主面に重ね合わせ、セラミック基板の上に圧力を加えながら、大気中雰囲気中200℃で熱処理を行って接合した。
【0055】
接合した試料を切断し、顕微鏡によって接合層の厚みを確認した。その結果、いずれの金属部材の場合でも、クラックや剥離といった異常は観られなかった。また、接合層の厚みもばらつきが20%以下と均一であり、寸法の大きなずれは見られなかった。
【0056】
また、接合した試料を−30℃〜120℃の冷熱サイクルを100サイクル行って熱負荷を与えた後、顕微鏡により金属部材とセラミック基板との接合界面を観察した。その結果、何らの異常も見られず、良好な接合状態を呈しており、寸法精度も良好であった。
【0057】
実施例2
金属部材として縦22mm、横22mm、厚さ0.3mmのCu板を3枚準備した。この金属部材の主面に実施例1と同様にして深さ70、100、150μmの凹部をそれぞれ形成し、3μmのNiメッキ層を形成した。
【0058】
また、縦15mm、横25mm、厚さ0.3mmの窒化珪素基板を準備し、その主面にCVD(化学気相)法で0.1μmのCr層を形成した。
【0059】
次いで、金属部材の凹部にCuSn系のろうペーストを充填し、さらに窒化珪素基板上に40μmのCuSn系ろうペーストを塗布し、上記Cr層上のろうペーストが金属部材と接するように、セラミック基板を金属部材の凹部に重ね合わせ、しかる後に還元中雰囲気中400℃で熱処理を行った。
【0060】
実施例1と同様の方法で評価を行ったところ、接合層の厚みもばらつきが30%以下と均一で、大きなずれはなく、また、接合界面も異常は無く、良好な接合状態であった。
【0061】
比較例1
実施例1と同じ形状のCu板及びAl板を準備し、凹部加工以外は実施例1と同様にして接合体を作製した。また、評価も実施例1と同様にして行った。その結果、凹部を形成していないため、接合層の厚みが55%以上のばらつきがあり、金属部材に傾きが生じていた。そして、冷熱サイクル後に、接合層の薄い部位にクラックが観察された。
【0062】
比較例2
実施例2と同一形状のCu板及びAl板を準備し、凹部加工以外は実施例2と同様にして接合体を作製した。また、評価も実施例1と同様にして行った。その結果、凹部を形成していないため、接合層の厚みが60%以上のばらつきがあり、金属部材に傾きを生じていた。そして、冷熱サイクル後に、接合層の薄い部分の界面に剥離が観察された。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、接合材が金属部材の凹部に充填されるため、接合を行なう金属部材及びセラミック基板が大きくなっても、特殊な冶具を使用する必要が無く、且つ高い接合信頼性を実現することができる。しかも、特殊な治具や工程を要せずに接合層を均一な厚みに調整して接合することができるため、接合工程の生産性が高く、且つ接合信頼性に優れた複合基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる金属部材の構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の複合基板の構造を示す概略断面図である。
【図3】本発明の複合基板の他の構造を示す概略断面図である。
【図4】本発明の複合基板の一部を拡大した概略断面図である。
【図5】本発明の複合基板の製造方法の一部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・金属部材
2・・・凹部
2a・・・凹部の底面
2b・・・凹部の側面
2c・・・金属部材1の堤部
3・・・セラミック基板
4・・・接合層
4a、4b、4c、4d・・・接合層
5・・・メッキ層
6・・・メタライズ層
T1・・・凹部2の深さ
T2・・・金属部材1の堤部2cからセラミック基板3間の高さ
T3・・・凹部底面2aからセラミック基板3間の高さ
14・・・接合材
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属部材とセラミック基板との複合基板及びその製造方法に関するものであり、詳細にはパワーモジュール等の放熱性や大電流許容配線を必要とする分野に好適に用いることのできる複合基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、パワーモジュール等の放熱性や大電流許容配線を必要とする複合基板は、セラミック基板の表面に、Cu板やAl板などの金属部材をCuAg系ろう材やAl系ろう材を用いて接合されたものが知られている。
【0003】
例えば、放熱性を向上させるため、ヒートシンク材などの熱伝導性に優れた金属材と回路基板を半田等で接合することが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
ところが、接合温度が高い場合、熱膨張係数の違いにより、反りや変形が発生する。これを抑制するためこれらの対策として、Sn系、In系及びZn系のろうや半田を用いて接合温度を下げることにより、熱膨張差で発生する残留応力を抑え、信頼性の向上を計っている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−12554号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平6−53624号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平7−14940号公報
【0008】
【特許文献4】
特開平2002−222905号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3、4に記載の方法では、ろう材や半田等の接合材を金属部材とセラミック基板との間に挿入して熱処理を行い、接合後には接合層が形成するため、接合材を完全に溶融させてセラミック基板と金属部材を接合しようとする場合、セラミック基板や金属部材の傾きによって接合層の厚みが不均一となり、応力が一部に集中するため接合強度にばらつきが起こり、接合信頼性が低下する問題があった。
【0010】
また、セラミック基板や金属部材の移動を防止したり、接合層の厚みを一定にするためには、特殊な冶具を用いることもできるが、手間がかかって生産性が低くなるという問題があった。
【0011】
従って、本発明は、セラミック基板と金属部材との接合信頼性が高く、生産性に優れた複合基板とその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、表面に凹部を有する金属部材とセラミック基板とを、該凹部に接合材を充填するとともに、セラミック基板表面に接合材を形成して接合処理を行うことにより、接合材が溶融しても位置ずれの抑制が可能で、寸法精度に優れ、しかも接合が容易な複合基板を実現できるとの知見に基づく。
【0013】
即ち、本発明の複合基板は、セラミック基板と、該セラミック基板との接合面に凹部が形成された金属部材と、該凹部の凹部底面と前記セラミック基板表面との間、及び前記金属部材の堤部表面と前記セラミック基板表面との間に形成された接合層とを具備し、前記接合層によって前記セラミック基板と前記金属部材とが接合されてなることを特徴とするものである。
【0014】
凹部に設けられた接合層がセラミック基板と金属部材とを接合し、しかも接合層の主たる部分が凹部に保持されるため、接合層の厚みが不均一になることを防止し、接合信頼性を高めることができる。また、セラミック基板と金属部材の堤部との間にも接合層を設けているため、金属部材のエッジに掛かる負荷を緩和し、接合における高い信頼性が得られる。しかも接合が容易であるため生産性を高めることができる。
【0015】
このとき、前記金属部材の堤部と前記セラミック基板間の接合層の厚みは20〜100μmの範囲内が好ましく、その厚みばらつきは50%以下が望ましい。これにより、金属部材が斜めに接合することを防止し、接合信頼性をさらに高めることができる。
【0016】
特に、前記金属部材がCu及び/又はAlを主成分とすることが好ましい。このようにCuやAlを用いることによって、熱伝導性、電気伝導性に優れ、且つ、加工しやすいため容易に凹形状を形成することができる。
【0017】
また、前記接合層が、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。接合温度が800℃前後では、Ag及びCuを主成分とする接合層が好ましく、600℃前後ではAlを主成分とする接合層が好ましく、400℃以下ではIn、Sn及びPbの少なくとも1つを含む接合層が好適である。
【0018】
さらに、前記セラミック基板が、アルミナ、窒化珪素及び窒化アルミニウムのうち少なくとも1種からなることが好ましい。絶縁性、熱伝導性に優れるため、絶縁抵抗や熱放散性を必要とするパワーモジュール基板等の絶縁層に好適である。
【0019】
また、本発明の複合基板の製造方法は、金属部材の主面に形成された凹部内と、前記金属部材の堤部表面とセラミック基板表面との間に接合材を充填し、該接合材をセラミック基板と前記金属部材とで挟持するように、前記接合材と前記セラミック基板とを接触させながら熱処理を行なって前記金属部材と前記セラミック基板を接合することを特徴とするものであり、これにより、上記の複合基板を容易に得ることができる。
【0020】
特に、前記熱処理において、前記金属部材と前記セラミック基板との間に圧力を加えることが好ましい。これにより、接合界面の密着性が高まりボイドの少ない複合基板を得ることができる。
【0021】
また、前記金属部材と前記セラミック基板間に充填された接合材の厚みがほぼ一様になるように、圧力を加えることが好ましい。これにより、厚みばらつきを小さくでき、接合信頼性をさらに高めることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
本発明で用いる金属部材は、図1に示したように、金属部材1の主面に凹部2が形成され、凹部2は、底面2a及び側面2bにより構成される。また、凹部2の外部には堤部2cが設けられている。
【0023】
本発明の複合基板は、図2に示したように、金属部材1の主面に設けられた凹部2の底面2aとセラミック基板3間、及び金属部材1の堤部2cとセラミック基板3間、に接合層4が形成され、金属部材1とセラミック基板3とで接合層4を挟持するように接合されていることが重要である。
【0024】
換言すれば、金属部材1が接合層4を介してセラミック基板1に接合されており、接合層4は、金属部材1の主面に設けられた凹部2の底面2aと堤部2cとを含む接合面に設けられている。この接合層4は、金属部材1の凹部2の接合層4a、及び接合層4aとセラミック基板3間と金属部材1の堤部2cとセラミック基板3間とに形成された接合層4bとで構成されている。
【0025】
或いはまた、図3のように金属部材1の凹部2の底面2aとセラミック基板3間に設けられた接合層4cと、金属部材1の堤部2cとセラミック基板3間に設けられた接合層4dとで接合層4が形成されていても良い。
【0026】
なお、接合層4aと4bは同一であっても異なっても良い。同様に、接合層4cと4dも同一であっても異なっても良い。接合層4aと4bが同一の場合、又は、接合層4cと4dが同一の場合は、接合層4が一体となった状態にあり、接合信頼性が最も良い状態となる。
【0027】
金属部材1に設けられた凹部2の深さT1は、充填された接合層4aが再現良く均一な厚みを確保できるように20μm以上、特に50μm以上、更には70μm以上が好ましい。特に、金属部材1が大きい場合、例えば金属部材1の主面の一辺が10mm以上の正方形の場合や主面の直径が10mm以上の円形の場合、接合信頼性を確保するため、70μm以上、特に100μm以上が望ましい。
【0028】
金属部材1の堤部2cからセラミック基板3間の高さT2は応力を緩和し接合信頼性を確保する為20μm以上、特に30μm以上が好ましい。また、接合時に発生する接合材の溶融による位置ずれ及び傾きによる厚みの不均一を抑制する為、金属部材1の堤部2cからセラミック基板3間の高さT2の上限は100μm、特に80μmが望ましく、厚みばらつきは50%以下、特に30%以下が望ましい。
【0029】
金属部材1は、パワーモジュールのように大電流が配線基板に流れ、放熱量が大きい用途に用いられる場合、電気伝導及び熱伝導に優れているのが好ましく、さらに一方の主面に凹部2を容易に加工することができる材料が良い。また、低コストであるのがさらに好ましい。これらを考慮すると、Cu及び/又はAlを主成分とする金属であることが望しい。特に、電気伝導及び熱伝導により優れている点でCuを主成分とする金属が、凹部2の加工性により優れている点ではAlを主成分とする金属が望ましい。
【0030】
凹部2を含む金属部材1の表面は、図4に示したように、耐腐食性を高めるとともに、接合層4との濡れ性を向上させるため、Ni、Cu及びSnのうち少なくとも1種からなるメッキ層5が形成されているのが良い。例えば、CuAg系、Al系ろうで接合する場合はNi、Cuがメッキ層5として好適であり、In、Sn、Pb系ろうで接合する場合はSnがメッキ層5として好適である。
【0031】
上記メッキ層5の厚みは、十分な腐食性を確保し、高い密着性を保持するように、1〜30μm、特に5〜10μmであるのが良い。なお、耐腐食性を効果的に高めるため、上記のメッキ層5の表面に、メッキによってさらにAu層を形成するのが良い。
【0032】
金属部材1の形状は、平板(金属板)であっても、ブロックであっても、配線パターン形状であっても、更には冷却用のフィン形状等の複雑形状であっても良く、金属部材1の使用目的に従って決定すれば良い。
【0033】
セラミック基板3は、平板を形成できる材料であれば良いが、パワーモジュールのように大電流が配線基板に流れ、放熱量が大きい用途に用いられる場合、絶縁性、強度、及び熱伝導に優れていることが好ましく、さらに低コストであるのが良い。例えば、強度とコストの点ではアルミナが、高強度と高熱伝導性が必要な場合には窒化珪素が、さらに高い熱伝導性が必要な場合は窒化アルミニウムが好適である。
【0034】
セラミック基板3の表面には、メタライズ層6が形成されているのが良い。メタライズ層6の目的は、セラミック基板3の接合部を金属化して接合層4との濡れを向上させるためである。さらに、メタライズ層6の表面には、金属部材1の場合と同様に、耐腐食性や接合層4との濡れ性をさらに向上させるために、Ni、Cr及びSnのうち少なくとも1種の被覆層(図示せず)を設けることも可能である。
【0035】
接合層4は、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことが好ましい。これらは、いずれも高い接合強度を実現することが可能であり、金属部材1及びセラミック基板3の材質と表面状態、接合層4の融点及び接合条件によって上記の元素を含む半田やろう材を選択すれば良い。
【0036】
具体的には、Inろう、Sn−Cuろう、Sn−Cu−Agろう、Pb半田、Au−Cuろう等を例示できるが、他のろう材も使用できることは言うまでもない。
【0037】
接合層4としてCuAg系、Al系ろうを用いる場合はNi又はCrを被覆層に用いることが望ましく、In、Sn、Pb系ろうを用いる場合はSnを被覆層に用いることが望ましい。特に、耐腐食性をさらに高めることが必要な場合は、被覆層の厚みを3μm以上にするか、被覆層上にAuめっきを施すことが望ましい。
【0038】
本発明において高い接合強度を得るためには、金属部材1の凹部2の底面2aの少なくとも50%以上、特に70%以上、更には85%以上が接合層4と接合していることが好ましい。
【0039】
次に、本発明の複合基板の製造方法について説明する。
【0040】
まず、図1に示したような金属部材1を用意し、凹部2を形成する。凹部2の形成方法はエッチング法や金型プレスによる機械加工等の公知の手法で所望の形状に加工すれば良い。また、耐腐食性を高めるとともに、接合層との濡れ性を向上させて接合強度を高めるため、金属部材1の凹部2の底面2aや側面2b及び堤部2cを含む一方の面にメッキ層を形成しても良い。
【0041】
次に、セラミック基板3を準備する。セラミック基板3の製造方法は、公知のセラミック焼結体の製造方法を用いることができる。例えば、アルミナからなる原料粉末を混合してスラリーを作製し、このスラリーを用いてドクターブレード法やロールコンパクション法等の公知のセラミック成形方法によりグリーンシートを作製する。得られたグリーンシートの表面に、所望により導体ペーストを塗布し、積層の後に同時焼成によってメタライズ層6を形成する。
【0042】
さらに、所望により、メタライズ層6の表面に、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含む金属を、メッキ法、スパッタリングやCVD(気相蒸着法)等の公知のコーティング方法によって被覆層を形成することができる。これらのうち、簡便で低コストである点でメッキ法が好ましい。
【0043】
ここで接合材14を準備する。接合材14の種類は、特に制限はないが、粉末、ペースト及び箔のうち少なくとも1種を用いることができる。均一に且つ確実に凹部2に充填できるためには、ペースト又は箔が好ましい。
【0044】
接合材14の選択に当っては、金属部材1とセラミック基板3との組合せを考慮し、さらに接合材14の融点及び金属部材1やセラミック基板3との良好な濡れ状態を形成する温度を選択する。また、接合材14は同一組成のものが好ましい。接合温度が800℃前後では、Ag及びCuを主成分とする接合層4a及び/又は4bが好ましく、600℃前後ではAlを主成分とする接合層4a及び/又は4bが好ましく、400℃以下ではIn、Sn及びPbの少なくとも1つを含む接合層4a及び/又は4bが好ましい。
【0045】
また、構造が接合面に関して対称性に乏しい場合、例えば、セラミック基板3の一方の主面のみに金属部材1を接合する場合、残留応力による反りや変形の抑制が必要な場合、融点が400℃以下のSn、In、Pb系のろう材や半田を用いることが望ましい。
【0046】
次に、接合層4aを凹部2に充填する。充填する接合層4aの量は、その容積が凹部2の容積に略同一であることが好ましいが、接合層4aの総容積が凹部2の容積以上であっても良い。特に、凹部2と略同一の形状に加工された接合材14を凹部2に挿入するのが良い。
【0047】
同様にして、セラミック基板3上又はその表面に設けられたメタライズ層6上に、箔を載置する、又は、ペーストを塗布する。
【0048】
次いで、図5に示したように、金属部材1の凹部2内の接合材14とセラミック基板3表面にある接合材14とが、金属部材1とセラミック基板3とによって挟持されるように、金属部材1とセラミック基板3とを接触させ、所望により接合面に垂直な方向に加圧しながら加熱処理をして接合する。
【0049】
加熱処理は、AgCu系ろう材の場合、還元雰囲気で800〜900℃、Al系ろう材の場合、還元雰囲気において550℃〜660℃で熱処理する。また、接合部のボイドを低減したい場合は、1×10− 4Pa以上、特に1×10− 6Pa以上の真空度で熱処理するのが良い。
【0050】
【実施例】
実施例1
金属部材として、縦12mm、横22mm、厚さ0.2mmのAl板をそれそれ5枚ずつ準備した。この金属部材の主面に、金型プレス法によって縦10mm、横20mm、深さ70μmの凹部をそれぞれ金型プレス加工で形成した。
【0051】
次いで、凹部が形成された金属部材に無電解法で3μmのNiメッキ層を形成した。
【0052】
次に、厚さ0.3mmのアルミナグリーンシートの主面にタングステンペーストを塗布し、同時焼成することによって、表面にメタライズ層を具備するアルミナ基板を作製した。アルミナ基板の寸法は縦15mm、横25mmであった。
【0053】
次いで、このメタライズ層の表面に、電解法によって、Ni被覆層3μmを形成した。
【0054】
さらに、金属部材の凹部に、凹部の形状と略同一である厚さ50μmのIn系半田箔を埋設し、セラミック基板上に厚さ20、30、50、80、100μmのIn系半田箔をそれぞれ貼り合わせ、金属部材の凹部が形成されている主面に重ね合わせ、セラミック基板の上に圧力を加えながら、大気中雰囲気中200℃で熱処理を行って接合した。
【0055】
接合した試料を切断し、顕微鏡によって接合層の厚みを確認した。その結果、いずれの金属部材の場合でも、クラックや剥離といった異常は観られなかった。また、接合層の厚みもばらつきが20%以下と均一であり、寸法の大きなずれは見られなかった。
【0056】
また、接合した試料を−30℃〜120℃の冷熱サイクルを100サイクル行って熱負荷を与えた後、顕微鏡により金属部材とセラミック基板との接合界面を観察した。その結果、何らの異常も見られず、良好な接合状態を呈しており、寸法精度も良好であった。
【0057】
実施例2
金属部材として縦22mm、横22mm、厚さ0.3mmのCu板を3枚準備した。この金属部材の主面に実施例1と同様にして深さ70、100、150μmの凹部をそれぞれ形成し、3μmのNiメッキ層を形成した。
【0058】
また、縦15mm、横25mm、厚さ0.3mmの窒化珪素基板を準備し、その主面にCVD(化学気相)法で0.1μmのCr層を形成した。
【0059】
次いで、金属部材の凹部にCuSn系のろうペーストを充填し、さらに窒化珪素基板上に40μmのCuSn系ろうペーストを塗布し、上記Cr層上のろうペーストが金属部材と接するように、セラミック基板を金属部材の凹部に重ね合わせ、しかる後に還元中雰囲気中400℃で熱処理を行った。
【0060】
実施例1と同様の方法で評価を行ったところ、接合層の厚みもばらつきが30%以下と均一で、大きなずれはなく、また、接合界面も異常は無く、良好な接合状態であった。
【0061】
比較例1
実施例1と同じ形状のCu板及びAl板を準備し、凹部加工以外は実施例1と同様にして接合体を作製した。また、評価も実施例1と同様にして行った。その結果、凹部を形成していないため、接合層の厚みが55%以上のばらつきがあり、金属部材に傾きが生じていた。そして、冷熱サイクル後に、接合層の薄い部位にクラックが観察された。
【0062】
比較例2
実施例2と同一形状のCu板及びAl板を準備し、凹部加工以外は実施例2と同様にして接合体を作製した。また、評価も実施例1と同様にして行った。その結果、凹部を形成していないため、接合層の厚みが60%以上のばらつきがあり、金属部材に傾きを生じていた。そして、冷熱サイクル後に、接合層の薄い部分の界面に剥離が観察された。
【0063】
【発明の効果】
本発明は、接合材が金属部材の凹部に充填されるため、接合を行なう金属部材及びセラミック基板が大きくなっても、特殊な冶具を使用する必要が無く、且つ高い接合信頼性を実現することができる。しかも、特殊な治具や工程を要せずに接合層を均一な厚みに調整して接合することができるため、接合工程の生産性が高く、且つ接合信頼性に優れた複合基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に用いる金属部材の構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の複合基板の構造を示す概略断面図である。
【図3】本発明の複合基板の他の構造を示す概略断面図である。
【図4】本発明の複合基板の一部を拡大した概略断面図である。
【図5】本発明の複合基板の製造方法の一部を示す概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・金属部材
2・・・凹部
2a・・・凹部の底面
2b・・・凹部の側面
2c・・・金属部材1の堤部
3・・・セラミック基板
4・・・接合層
4a、4b、4c、4d・・・接合層
5・・・メッキ層
6・・・メタライズ層
T1・・・凹部2の深さ
T2・・・金属部材1の堤部2cからセラミック基板3間の高さ
T3・・・凹部底面2aからセラミック基板3間の高さ
14・・・接合材
Claims (9)
- セラミック基板と、該セラミック基板との接合面に凹部が形成された金属部材と、該凹部の凹部底面と前記セラミック基板表面との間、及び前記金属部材の堤部表面と前記セラミック基板表面との間に形成された接合層とを具備し、前記接合層によって前記セラミック基板と前記金属部材とが接合されてなることを特徴とする複合基板。
- 前記金属部材がCu及び/又はAlを主成分とすることを特徴とする請求項1記載の複合基板。
- 前記金属部材の堤部表面と前記セラミック基板表面との間に形成された接合層の厚みが20〜100μmであることを特徴とする請求項1又は2記載の複合基板。
- 前記金属部材の堤部表面と前記セラミック基板表面との間に形成された接合層の厚みばらつきが50%以下であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の複合基板。
- 前記接合層が、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の複合基板。
- 前記セラミック基板が、アルミナ、窒化珪素及び窒化アルミニウムのうち少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の複合基板。
- 金属部材の主面に形成された凹部内に接合材を充填し、且つセラミック基板表面に接合材を充填し、該接合材をセラミック基板と前記金属部材とで挟持するように、前記接合材と前記セラミック基板とを接触させながら熱処理を行なって前記金属部材と前記セラミック基板を接合することを特徴とする複合基板の製造方法。
- 前記熱処理において、前記金属部材と前記セラミック基板との間に圧力を加えることを特徴とする請求項7記載の複合基板の製造方法。
- 前記金属部材と前記セラミック基板間に充填された前記接合材の厚みがほぼ一様になるように、圧力を加えることを特徴とする請求項8記載の複合基板の製造方法。
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-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003120768A patent/JP2004327737A/ja active Pending
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