JP2004356309A - 複合基板及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】寸法精度、接合信頼性及び生産性に優れた複合基板とその製造方法を提供する。
【解決手段】セラミック基板3に接合材5を介して金属部材1を接合した複合基板において、前記接合材5の内部に該接合材5よりも高融点の内蔵金属部材7が内蔵され、該内蔵金属部材7が、前記セラミック基板3と前記金属部材1とにそれぞれ接触し、前記内蔵金属部材7が接触するセラミック基板接触面Aと、前記内蔵金属部材7が接触する金属部材接触面Bとが略平行であることを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】セラミック基板3に接合材5を介して金属部材1を接合した複合基板において、前記接合材5の内部に該接合材5よりも高融点の内蔵金属部材7が内蔵され、該内蔵金属部材7が、前記セラミック基板3と前記金属部材1とにそれぞれ接触し、前記内蔵金属部材7が接触するセラミック基板接触面Aと、前記内蔵金属部材7が接触する金属部材接触面Bとが略平行であることを特徴とする。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属部材とセラミック基板とを接合材を介して接合した複合基板及びその製造方法に関するものであり、詳細にはパワーモジュール等の放熱性や大電流許容配線を必要とする分野に好適に用いることのできる複合基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、パワーモジュール等の放熱性や大電流許容配線を必要とする複合基板は、セラミック基板の表面に、Cu板やAl板などの金属部材をCuAg系ろう材やAl系ろう材を用いて接合して作製されていた。
【0003】
例えば、放熱性を向上させるため、ヒートシンク材などの熱伝導性に優れた金属部材とセラミック基板とを半田等で接合することが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
ところが、接合温度が高い場合、金属部材とセラミック基板との熱膨張係数の違いにより、反りや変形が発生するなどの問題があった。このような不具合の発生を抑制するため、Sn系、In系及びZn系のろうや半田を用いて接合温度を下げ、熱膨張差で発生する残留応力を抑え、信頼性の向上を図った例も報告されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−12554号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平6−53624号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平7−14940号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2002−222905号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3、4に記載の方法では、ろう材や半田等の接合材を金属部材とセラミック基板との間に挿入して熱処理を行い、接合材を完全に溶融させてセラミック基板と金属部材を接合する際に、セラミック基板や金属部材が傾き、接合材の厚みが不均一となり、位置ずれが起こり、寸法精度が低下したり、接合信頼性が劣化するという問題があった。
【0010】
また、セラミック基板や金属部材の位置ずれを防止したり、接合材の厚みを一定にするために、特殊な冶具を用いることもできるが、手間がかかり、生産性が低くなる、コストが上昇するという問題があった。
【0011】
従って、本発明は上記問題に鑑み、寸法精度、接合信頼性及び生産性に優れたセラミック基板と金属部材との複合基板及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の複合基板は、セラミック基板に接合材を介して金属部材を接合した複合基板において、前記接合材の内部に該接合材よりも高融点の内蔵金属部材が内蔵され、該内蔵金属部材が、前記セラミック基板と前記金属部材とにそれぞれ接触し、前記内蔵金属部材が接触するセラミック基板接触面と、前記内蔵金属部材が接触する金属部材接触面とが略平行であることを特徴とする。
【0013】
このような複合基板では、接合材の融点以上で熱処理した際に、接合材と一緒に挟み込んだ内蔵金属部材が、セラミック基板と金属部材とに、それぞれ接触することにより、セラミック基板と内蔵金属部材及び金属部材と内蔵金属部材との間で摩擦が生じ、位置ずれを抑制するため、寸法精度を高めることができるとともに、セラミック基板と内蔵金属部材とが接触する側のセラミック基板接触面と、金属部材と内蔵金属部材との金属部材接触面とを略平行にすることで、金属部材とセラミック基板との間隔が、接合材が設けられた部分で略均一になり、接合材の厚みが一定となるため、応力発生の不均一を防止することができ、接合信頼性を高めることができる。また、特別な治具も不要となり、容易に複合基板を作製することができる。
【0014】
また、本発明の複合基板は、内蔵金属部材が、Cu、Al、Fe、Ni、W及びMoのうち少なくとも一種を主成分とすることを特徴とする。
【0015】
本発明に用いられる内蔵金属部材は、接合材の融点より高い金属部材であれば良いが、接合層にも金属部材と同様の熱伝導性、電気特性が必要な場合、Cu又はAlのように金属部材1と同じ材質が良く、セラミック基板との接合信頼性が必要な場合はセラミック基板の熱膨張係数が近いW又はMoを主成分とする材質が良く、コストの点ではFe又はNiを主成分とする材質が好適に用いられる。
【0016】
また、本発明の複合基板は、金属部材が、Cu及び/又はAlを主成分とすることを特徴とする。
【0017】
金属部材は、電気伝導及び熱伝導に優れているCu及び/又はAlを主成分とする金属であることが望ましく、特に、電気伝導及び熱伝導に優れている点でCuを主成分とする金属が、加工性に優れている点ではAlを主成分とする金属が望ましい。
【0018】
また、本発明の複合基板は、接合材が、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0019】
これらは、いずれも高い接合強度を実現することが可能であり、金属部材及びセラミック基板の材質と表面状態、接合材の融点及び接合条件に応じて上記の元素を含む半田やろう材を選択すれば良い。
【0020】
また、本発明の複合基板は、セラミック基板が、アルミナ、窒化珪素及び窒化アルミニウムのうち少なくとも1種からなることを特徴とする。
【0021】
複合基板に用いられるセラミック基板は、絶縁性や熱伝導性に優れるアルミナ、窒化珪素及び窒化アルミニウムのうち少なくとも1種からなることが望ましい。
【0022】
また、本発明の複合基板の製造方法は、接合材と、該接合材よりも高融点の内蔵金属部材を、セラミック基板と金属部材とで挟持するように重ねた状態で、前記接合材の融点以上、前記内蔵金属部材の融点以下の温度で熱処理し、前記セラミック基板を、前記接合剤及び前記内蔵金属部材とを介して前記金属部材と接合する工程を具備することを特徴とする。
【0023】
このように内蔵金属部材を、接合材よりも高融点し、接合材の融点以上、前記内蔵金属部材の融点以下の温度で熱処理することで、接合時に接合材が溶融しても、接合材の内蔵金属部材は溶融することがないため、熱処理を行っても内蔵金属部材は変形することがなく、内蔵金属部材とセラミック基板及び金属部材との摩擦は維持され、セラミック基板及び金属部材の位置ずれを抑制することができる。
【0024】
また、本発明の複合基板の製造方法は、金属部材とセラミック基板の対向面に略垂直な方向に圧力を加えて熱処理する工程を具備することを特徴とする。
【0025】
特に、熱処理において、金属部材とセラミック基板の対向面に略垂直な方向に圧力を加えることが望ましく、これにより、内蔵金属部材とセラミック基板及び金属部材との摩擦が増大するため、位置ずれをさらに効果的に防止することができるとともに、接合界面の密着性が高まりボイドの少ない複合基板を得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の複合基板は、図1に示すように、金属部材1とセラミック基板3とが接合材5を介して接合され、接合部材5内部には、金属部材1及びセラミック基板3と、それぞれ接触し、セラミック基板3と内蔵金属部材7との複数の接触点を結んで形成されるセラミック基板接触面Aと、金属部材1と内蔵金属部材7との複数の接触点を結んで形成される金属部材接触面Bとが略平行になるように内蔵金属部材7が配置されて構成される。
【0027】
このとき、内蔵金属部材7と金属部材1及びセラミック基板3との接触点は、それぞれ3点以上必要で、且つ、その接触点が少なくとも三角形以上の多角形を形成することが必要である。このようにして形成された両接触面を略平行とすることで、金属部材1とセラミック基板3とを平行に接合することができる。
【0028】
そのため、内蔵金属部材7は、上記の条件を満たす形状のものであればよい。例えば、金属球を用いる場合には、接合材と混合して用いることができ、取り扱いが容易となる点で望ましい。また、金属線材を用いる場合には、コストを下げることができ、加工も容易である点で望ましい。なお、金属線材を用いる場合には、金属線材を図2(a)示すように円状、あるいは図2(b)に示すように多角形状にして用いることができる。また、円状、多角形状とし、さらに、金属部材1やセラミック基板3と接する方向が凸凹となるように波形に加工してもよい。また、シート状の金属板を用いてもよく、この場合には、表面を凸凹状とすることで、金属板の上下面の金属部材1やセラミック基板3と接する面で凹状になる部分に接合材が配置されるようになる。
【0029】
なお、内蔵金属部材7の形態によっては、点ではなく、線や面で金属部材1やセラミック基板3と接触する場合もあるが、金属部材1とセラミック基板3とを略平行にできる形態であればよいのは勿論である。
【0030】
また、内蔵金属部材7は、接合材5の融点より高い金属部材であれば、特に材質は問わないが、接合材5と内蔵金属部材7とからなる接合層にも金属部材1と同様の熱伝導性、電気特性が必要な場合、金属部材1と同じ材質、例えば、CuやAlなどを用いることが望ましく、セラミック基板3との接合信頼性を向上させるためにはセラミック基板3の熱膨張係数に近い、例えば、W又はMoを主成分とする材質が良く、コストを下げるという点ではFe又はNiを主成分とする材質が好適である。
【0031】
また、内蔵金属部材7の厚みの平均値は、金属部材1とセラミック基板3との間隔を確保するための機能を有するものであり、接合材5が溶融した際に均一な厚みを確保できるように50μm以上、特に70μm以上であることが好ましい。また、金属部材1が大きい場合は接合信頼性を確保するため、70μm以上、特に100μm以上であることが望ましい。
【0032】
また、金属部材1は、パワーモジュールのように大電流が配線基板に流れ、放熱量が大きい用途に用いられる場合、電気伝導及び熱伝導に優れているのが好ましい。さらにこれらを考慮すると、Cu及び/又はAlを主成分とする金属であることが望しい。特に、電気伝導及び熱伝導に優れている点でCuを主成分とする金属が、加工性に優れている点ではAlを主成分とする金属が望ましい。
【0033】
金属部材1及び内蔵金属部材7の接合材5と接する側の表面は、図3に示したように、耐腐食性を高めるとともに、接合材5との濡れ性を向上させるため、金属部材被覆層9、内装金属部材被覆層11を設けることが望ましく、例えば、Ni、Cu及びSnのうち少なくとも1種からなるメッキ層が形成されていることが望ましい。例えば、CuAg系、Al系ろうの接合材5で接合する場合はNi、Cuがメッキ層として好適であり、In、Sn、Pb系ろうの接合材5で接合する場合はSnがメッキ層として好適である。
【0034】
上記メッキ層の厚みは、十分な腐食性を確保し、高い密着性を保持するように、1〜30μm、特に5〜10μmであることが望ましい。なお、耐腐食性を効果的に高めるため、上記のメッキ層の表面に、メッキによってさらにAu層を形成することが望ましい。
【0035】
金属部材1の形状は、平板(金属板)であっても、ブロックであっても、いくつかのブロックに分割されて、例えば、配線を形成するような形状であっても、更には冷却用のフィン形状等の複雑形状であっても良く、金属部材1の使用目的に従って決定すれば良い。
【0036】
接合材5は、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことが望ましい。これらは、いずれも高い接合強度を実現することを可能とするもので、金属部材1及びセラミック基板3の材質と表面状態、接合材5の融点及び接合条件によって上記の元素を含む半田やろう材を選択すれば良い。
【0037】
具体的には、Inろう、Sn−Cuろう、Sn−Cu−Agろう、Au−Cuろう半田等を例示できるが、他の接合材5も使用できることは言うまでもない。
【0038】
接合材5としてCuAg系、Al系ろうを用いる場合は、Ni又はCrを金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11として用いることが望ましく、In、Sn、Pb系ろうを用いる場合はSnを金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11として用いることが望ましく、半田を用いる場合はSn、Auを金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11に用いることが望ましい。特に、耐腐食性をさらに高めることが必要な場合は、金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11の厚みを3μm以上にするか、金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11上にAuめっきを施すことが望ましい。
【0039】
また、接合材5の厚みは、再現良く均一な厚みを確保できるように50μm以上、特に70μm以上が好ましい。また、金属部材1が大きい場合、例えば金属部材1の主面の一辺が10mm以上の正方形の場合や主面の直径が10mm以上の円形の場合、接合信頼性を確保するため、70μm以上、特に100μm以上が望ましい。
【0040】
セラミック基板3は、平板を形成できる材料であれば良いが、パワーモジュールのように大電流が複合基板に流れ、放熱量が大きい用途に用いられる場合、絶縁性、強度、及び熱伝導に優れていることが望ましく、さらに低コストであるのことが望ましい。例えば、強度とコストの点ではアルミナが、高強度と高熱伝導性が必要な場合には窒化珪素が、さらに高い熱伝導性が必要な場合は窒化アルミニウムが好適に用いられる。
【0041】
セラミック基板3の接合材5との当接部には、メタライズ層13が形成されていることが望ましい。メタライズ層13を設けることで、セラミック基板3の接合部を金属化して接合材5との濡れを向上させることができ、接合性、接合信頼性を向上させることができる。さらに、メタライズ層13の表面には、金属部材1の場合と同様に、耐腐食性や接合材5との濡れ性をさらに向上させるために、Ni、Cr及びSnのうち少なくとも1種の被覆層(図示せず)を設けることも可能である。
【0042】
次に、本発明の複合基板の製造方法について説明する。
【0043】
まず、金属部材1を用意する。金属部材1は、エッチング法や金型プレスによる機械加工等の公知の手法で所望の形状に加工しても良い。また、耐腐食性を高めるとともに、接合材5との濡れ性を向上させて接合強度を高めるため金属部材被覆層9となるメッキ層を形成しても良い。
【0044】
次に、セラミック基板3を準備する。セラミック基板3の製造方法は、公知のセラミック焼結体の製造方法を用いることができる。例えば、アルミナからなる原料粉末を混合してスラリーを作製し、このスラリーを用いてドクターブレード法やロールコンパクション法等の公知のセラミック成形方法によりグリーンシートを作製する。得られたグリーンシートの表面に、所望により導体ペーストを塗布し、所望の厚みになるまで複数のグリーンシートを積層した後に、同時焼成によってメタライズ層13を形成する。
【0045】
さらに、所望により、メタライズ層13の表面に、In、Sn、Pb、Ag、Cu、Ni及びAlのうち少なくとも1種を含む金属をメッキ法、スパッタリングやCVD(気相蒸着法)等の公知のコーティング方法によって、被覆し、被覆層(図示せず)を形成することができる。これらのうち、簡便で低コストである点でメッキ法が好ましい。
【0046】
ここで接合材5を準備する。接合材5の形状は、特に制限はないが、粉末、ペースト及び箔のうち少なくとも1種を用いることができ、接合面に均一に形成する点でペースト又は箔が好ましい。また、接合材5の選択に当っては、金属部材1とセラミック基板3との組合せを考慮し、さらに接合材5の融点及び接合部との良好な濡れ状態を形成する温度を選択する。
【0047】
例えば、接合温度が800℃前後の場合には、Ag及びCuを主成分とする接合材5が好適に使用され、600℃前後の場合には、Alを主成分とする接合材5が好適に使用され、400℃以下の場合にはIn、Sn及びPbの少なくとも1つを含む接合材5が好適に使用される。
【0048】
また、複合基板の構造が接合面に関して対称性に乏しい場合、例えば、セラミック基板3の一方の主面のみに金属部材1を接合する場合や、残留応力による反りや変形の抑制が必要な場合は、融点が400℃以下のSn、In、Pb系のろう材や半田を用いることが望ましい。
【0049】
次に、セラミック基板3又はその表面に設けられたメタライズ層13と当接するように、接合材5を形成し、この上に内蔵金属部材7を配置して、この内蔵金属部材2上に金属部材1を配置することで、セラミック基板3と金属部材1で接合材5と内蔵金属部材7を挟持する状態にし、金属部材1の上に重しをのせるなどして、所望により接合面に垂直な方向に加圧しながら加熱処理をして接合する。
【0050】
加熱処理は、AgCu系ろう材の場合、還元雰囲気で800〜900℃、Al系ろう材の場合還元雰囲気で550℃〜660℃、半田の場合、還元雰囲気で250〜400℃、In系の場合、還元雰囲気で200〜300℃の条件で行う。
【0051】
また、接合部のボイドを低減したい場合は、1×10− 4torr以上の減圧状態で熱処理することが望ましい。
【0052】
尚、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、セラミック基板3の両面に金属部材1を接合してもよく、金属部材1は穴が設けられた形状であってもよい。
【0054】
【実施例】
実施例1
縦12mm、横22mm、厚み0.2mmのCu板及びAl板を金属部材1として準備した。また、Cuを主成分とする直径50μm金属線材を縦8mm、横16mmの図2(b)に示すような矩形に加工し、内蔵金属部材7を準備した。
【0055】
次いで、金属部材1と内蔵金属部材7に無電解法で厚み3μmのNiメッキ層を形成した。
【0056】
次に、厚み0.3mmのアルミナグリーンシートの一方の主面にタングステンペーストを塗布し、さらに、タングステンペーストを塗布していない面に、他のアルミナグリーンシートを2層積層した後、同時焼成して、表面にメタライズ層13を具備するアルミナ基板3を作製した。アルミナ基板3の寸法は縦15mm、横25mmであった。
【0057】
次いで、このメタライズ層13の表面に、電解法によって、Ni被覆層3μmを形成した。
【0058】
さらに、厚み50μmのIn系半田箔をメタライズ層13上に配置し、接合材5である半田箔に内蔵金属部材7と金属部材1を重ね合わせ、金属部材1上に無機多孔体からなる重しを乗せ、大気中雰囲気中200℃で熱処理を行って接合した。
【0059】
接合した試料を切断し、顕微鏡によって接合材5の厚みを確認した。その結果、いずれの試料においても、クラックや剥離といった異常は観られなかった。また、接合材5の厚みも均一であり、寸法の大きなずれは見られなかった。
【0060】
また、接合した試料を−30℃〜120℃の冷熱サイクルを100サイクル行って熱負荷を与えた後、顕微鏡により金属部材1とセラミック基板3との接合界面を観察した。その結果、何らの異常も見られず、良好な接合状態を呈しており、寸法精度も良好であった。
【0061】
実施例2
縦12mm、横22mm、厚み0.3mmのCu板及びAl板を金属部材1として準備した。また、Wを主成分とする直径70μmの金属線材を縦8mm、横16mmの図2(b)に示すような矩形に加工し、内蔵金属部材7を準備し、この金属部1材と内蔵金属部材7に実施例1と同様にして3μmのNiメッキ層を形成した。
【0062】
また、縦15mm、横25mm、厚み0.3mmの窒化珪素基板3を準備し、その主面にCVD(化学気相)法で0.1μmのCr層を形成した。
【0063】
次いで、窒化珪素基板3のCr層上にCuSn系のろうペーストを印刷し、内蔵金属部材7と金属部材3を重ね合わせ、金属部材1上に無機多孔体からなる重しを乗せ、還元中雰囲気中400℃で熱処理を行った。
【0064】
実施例1と同様の方法で評価を行ったところ、異常は無く、良好な接合状態であった。
【0065】
比較例1
実施例1と同じ形状のCu板及びAl板を準備し、内蔵金属部材7を設置しない以外は実施例1と同様にして複合基板を作製した。また、評価も実施例1と同様にして行った。その結果、内蔵金属材7が配置されていないため、接合材5の厚みが20〜100μmとばらついており、金属部材1に傾きが生じていた。また、所定の位置から最大500μm以上ずれていた。そして、冷熱サイクル後に、接合材5の薄い部位にクラックが観察された。
【0066】
比較例2
実施例2と同一形状のCu板及びAl板を準備し、内蔵金属部材7を設置しない以外は実施例1と同様にして複合基板を作製した。また、評価も実施例1と同様にして行った。その結果、内蔵金属材7が配置されていないため、接合材5の厚みが10〜100μmとばらついており、金属部材1に傾きを生じていた。また、所定の位置から最大500μm以上ずれていた。そして、冷熱サイクル後に、接合材5の薄い部分の界面に剥離が観察された。
【0067】
【発明の効果】
本発明の複合基板では、金属部材とセラミック基板間に内蔵金属部材が設置されるため、特殊な治具や工程を要せずに、高い寸法精度を実現することができる。しかも、均一な接合材厚みで接合することができるため、接合工程の生産性が高く、且つ接合信頼性に優れた複合基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合基板の構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の内蔵金属部材を示す斜視図である。
【図3】本発明の複合基板の一部を拡大した概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・金属部材
3・・・セラミック基板
5・・・接合材
7・・・内蔵金属部材
A・・・セラミック基板接触面
B・・・金属部材接触面B
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属部材とセラミック基板とを接合材を介して接合した複合基板及びその製造方法に関するものであり、詳細にはパワーモジュール等の放熱性や大電流許容配線を必要とする分野に好適に用いることのできる複合基板及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来技術】
従来、パワーモジュール等の放熱性や大電流許容配線を必要とする複合基板は、セラミック基板の表面に、Cu板やAl板などの金属部材をCuAg系ろう材やAl系ろう材を用いて接合して作製されていた。
【0003】
例えば、放熱性を向上させるため、ヒートシンク材などの熱伝導性に優れた金属部材とセラミック基板とを半田等で接合することが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。
【0004】
ところが、接合温度が高い場合、金属部材とセラミック基板との熱膨張係数の違いにより、反りや変形が発生するなどの問題があった。このような不具合の発生を抑制するため、Sn系、In系及びZn系のろうや半田を用いて接合温度を下げ、熱膨張差で発生する残留応力を抑え、信頼性の向上を図った例も報告されている(例えば、特許文献3、4参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平4−12554号公報
【0006】
【特許文献2】
特開平6−53624号公報
【0007】
【特許文献3】
特開平7−14940号公報
【0008】
【特許文献4】
特開2002−222905号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献3、4に記載の方法では、ろう材や半田等の接合材を金属部材とセラミック基板との間に挿入して熱処理を行い、接合材を完全に溶融させてセラミック基板と金属部材を接合する際に、セラミック基板や金属部材が傾き、接合材の厚みが不均一となり、位置ずれが起こり、寸法精度が低下したり、接合信頼性が劣化するという問題があった。
【0010】
また、セラミック基板や金属部材の位置ずれを防止したり、接合材の厚みを一定にするために、特殊な冶具を用いることもできるが、手間がかかり、生産性が低くなる、コストが上昇するという問題があった。
【0011】
従って、本発明は上記問題に鑑み、寸法精度、接合信頼性及び生産性に優れたセラミック基板と金属部材との複合基板及びその製造方法を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明の複合基板は、セラミック基板に接合材を介して金属部材を接合した複合基板において、前記接合材の内部に該接合材よりも高融点の内蔵金属部材が内蔵され、該内蔵金属部材が、前記セラミック基板と前記金属部材とにそれぞれ接触し、前記内蔵金属部材が接触するセラミック基板接触面と、前記内蔵金属部材が接触する金属部材接触面とが略平行であることを特徴とする。
【0013】
このような複合基板では、接合材の融点以上で熱処理した際に、接合材と一緒に挟み込んだ内蔵金属部材が、セラミック基板と金属部材とに、それぞれ接触することにより、セラミック基板と内蔵金属部材及び金属部材と内蔵金属部材との間で摩擦が生じ、位置ずれを抑制するため、寸法精度を高めることができるとともに、セラミック基板と内蔵金属部材とが接触する側のセラミック基板接触面と、金属部材と内蔵金属部材との金属部材接触面とを略平行にすることで、金属部材とセラミック基板との間隔が、接合材が設けられた部分で略均一になり、接合材の厚みが一定となるため、応力発生の不均一を防止することができ、接合信頼性を高めることができる。また、特別な治具も不要となり、容易に複合基板を作製することができる。
【0014】
また、本発明の複合基板は、内蔵金属部材が、Cu、Al、Fe、Ni、W及びMoのうち少なくとも一種を主成分とすることを特徴とする。
【0015】
本発明に用いられる内蔵金属部材は、接合材の融点より高い金属部材であれば良いが、接合層にも金属部材と同様の熱伝導性、電気特性が必要な場合、Cu又はAlのように金属部材1と同じ材質が良く、セラミック基板との接合信頼性が必要な場合はセラミック基板の熱膨張係数が近いW又はMoを主成分とする材質が良く、コストの点ではFe又はNiを主成分とする材質が好適に用いられる。
【0016】
また、本発明の複合基板は、金属部材が、Cu及び/又はAlを主成分とすることを特徴とする。
【0017】
金属部材は、電気伝導及び熱伝導に優れているCu及び/又はAlを主成分とする金属であることが望ましく、特に、電気伝導及び熱伝導に優れている点でCuを主成分とする金属が、加工性に優れている点ではAlを主成分とする金属が望ましい。
【0018】
また、本発明の複合基板は、接合材が、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする。
【0019】
これらは、いずれも高い接合強度を実現することが可能であり、金属部材及びセラミック基板の材質と表面状態、接合材の融点及び接合条件に応じて上記の元素を含む半田やろう材を選択すれば良い。
【0020】
また、本発明の複合基板は、セラミック基板が、アルミナ、窒化珪素及び窒化アルミニウムのうち少なくとも1種からなることを特徴とする。
【0021】
複合基板に用いられるセラミック基板は、絶縁性や熱伝導性に優れるアルミナ、窒化珪素及び窒化アルミニウムのうち少なくとも1種からなることが望ましい。
【0022】
また、本発明の複合基板の製造方法は、接合材と、該接合材よりも高融点の内蔵金属部材を、セラミック基板と金属部材とで挟持するように重ねた状態で、前記接合材の融点以上、前記内蔵金属部材の融点以下の温度で熱処理し、前記セラミック基板を、前記接合剤及び前記内蔵金属部材とを介して前記金属部材と接合する工程を具備することを特徴とする。
【0023】
このように内蔵金属部材を、接合材よりも高融点し、接合材の融点以上、前記内蔵金属部材の融点以下の温度で熱処理することで、接合時に接合材が溶融しても、接合材の内蔵金属部材は溶融することがないため、熱処理を行っても内蔵金属部材は変形することがなく、内蔵金属部材とセラミック基板及び金属部材との摩擦は維持され、セラミック基板及び金属部材の位置ずれを抑制することができる。
【0024】
また、本発明の複合基板の製造方法は、金属部材とセラミック基板の対向面に略垂直な方向に圧力を加えて熱処理する工程を具備することを特徴とする。
【0025】
特に、熱処理において、金属部材とセラミック基板の対向面に略垂直な方向に圧力を加えることが望ましく、これにより、内蔵金属部材とセラミック基板及び金属部材との摩擦が増大するため、位置ずれをさらに効果的に防止することができるとともに、接合界面の密着性が高まりボイドの少ない複合基板を得ることができる。
【0026】
【発明の実施の形態】
本発明の複合基板は、図1に示すように、金属部材1とセラミック基板3とが接合材5を介して接合され、接合部材5内部には、金属部材1及びセラミック基板3と、それぞれ接触し、セラミック基板3と内蔵金属部材7との複数の接触点を結んで形成されるセラミック基板接触面Aと、金属部材1と内蔵金属部材7との複数の接触点を結んで形成される金属部材接触面Bとが略平行になるように内蔵金属部材7が配置されて構成される。
【0027】
このとき、内蔵金属部材7と金属部材1及びセラミック基板3との接触点は、それぞれ3点以上必要で、且つ、その接触点が少なくとも三角形以上の多角形を形成することが必要である。このようにして形成された両接触面を略平行とすることで、金属部材1とセラミック基板3とを平行に接合することができる。
【0028】
そのため、内蔵金属部材7は、上記の条件を満たす形状のものであればよい。例えば、金属球を用いる場合には、接合材と混合して用いることができ、取り扱いが容易となる点で望ましい。また、金属線材を用いる場合には、コストを下げることができ、加工も容易である点で望ましい。なお、金属線材を用いる場合には、金属線材を図2(a)示すように円状、あるいは図2(b)に示すように多角形状にして用いることができる。また、円状、多角形状とし、さらに、金属部材1やセラミック基板3と接する方向が凸凹となるように波形に加工してもよい。また、シート状の金属板を用いてもよく、この場合には、表面を凸凹状とすることで、金属板の上下面の金属部材1やセラミック基板3と接する面で凹状になる部分に接合材が配置されるようになる。
【0029】
なお、内蔵金属部材7の形態によっては、点ではなく、線や面で金属部材1やセラミック基板3と接触する場合もあるが、金属部材1とセラミック基板3とを略平行にできる形態であればよいのは勿論である。
【0030】
また、内蔵金属部材7は、接合材5の融点より高い金属部材であれば、特に材質は問わないが、接合材5と内蔵金属部材7とからなる接合層にも金属部材1と同様の熱伝導性、電気特性が必要な場合、金属部材1と同じ材質、例えば、CuやAlなどを用いることが望ましく、セラミック基板3との接合信頼性を向上させるためにはセラミック基板3の熱膨張係数に近い、例えば、W又はMoを主成分とする材質が良く、コストを下げるという点ではFe又はNiを主成分とする材質が好適である。
【0031】
また、内蔵金属部材7の厚みの平均値は、金属部材1とセラミック基板3との間隔を確保するための機能を有するものであり、接合材5が溶融した際に均一な厚みを確保できるように50μm以上、特に70μm以上であることが好ましい。また、金属部材1が大きい場合は接合信頼性を確保するため、70μm以上、特に100μm以上であることが望ましい。
【0032】
また、金属部材1は、パワーモジュールのように大電流が配線基板に流れ、放熱量が大きい用途に用いられる場合、電気伝導及び熱伝導に優れているのが好ましい。さらにこれらを考慮すると、Cu及び/又はAlを主成分とする金属であることが望しい。特に、電気伝導及び熱伝導に優れている点でCuを主成分とする金属が、加工性に優れている点ではAlを主成分とする金属が望ましい。
【0033】
金属部材1及び内蔵金属部材7の接合材5と接する側の表面は、図3に示したように、耐腐食性を高めるとともに、接合材5との濡れ性を向上させるため、金属部材被覆層9、内装金属部材被覆層11を設けることが望ましく、例えば、Ni、Cu及びSnのうち少なくとも1種からなるメッキ層が形成されていることが望ましい。例えば、CuAg系、Al系ろうの接合材5で接合する場合はNi、Cuがメッキ層として好適であり、In、Sn、Pb系ろうの接合材5で接合する場合はSnがメッキ層として好適である。
【0034】
上記メッキ層の厚みは、十分な腐食性を確保し、高い密着性を保持するように、1〜30μm、特に5〜10μmであることが望ましい。なお、耐腐食性を効果的に高めるため、上記のメッキ層の表面に、メッキによってさらにAu層を形成することが望ましい。
【0035】
金属部材1の形状は、平板(金属板)であっても、ブロックであっても、いくつかのブロックに分割されて、例えば、配線を形成するような形状であっても、更には冷却用のフィン形状等の複雑形状であっても良く、金属部材1の使用目的に従って決定すれば良い。
【0036】
接合材5は、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことが望ましい。これらは、いずれも高い接合強度を実現することを可能とするもので、金属部材1及びセラミック基板3の材質と表面状態、接合材5の融点及び接合条件によって上記の元素を含む半田やろう材を選択すれば良い。
【0037】
具体的には、Inろう、Sn−Cuろう、Sn−Cu−Agろう、Au−Cuろう半田等を例示できるが、他の接合材5も使用できることは言うまでもない。
【0038】
接合材5としてCuAg系、Al系ろうを用いる場合は、Ni又はCrを金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11として用いることが望ましく、In、Sn、Pb系ろうを用いる場合はSnを金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11として用いることが望ましく、半田を用いる場合はSn、Auを金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11に用いることが望ましい。特に、耐腐食性をさらに高めることが必要な場合は、金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11の厚みを3μm以上にするか、金属部材被覆層9、内蔵金属部材被覆層11上にAuめっきを施すことが望ましい。
【0039】
また、接合材5の厚みは、再現良く均一な厚みを確保できるように50μm以上、特に70μm以上が好ましい。また、金属部材1が大きい場合、例えば金属部材1の主面の一辺が10mm以上の正方形の場合や主面の直径が10mm以上の円形の場合、接合信頼性を確保するため、70μm以上、特に100μm以上が望ましい。
【0040】
セラミック基板3は、平板を形成できる材料であれば良いが、パワーモジュールのように大電流が複合基板に流れ、放熱量が大きい用途に用いられる場合、絶縁性、強度、及び熱伝導に優れていることが望ましく、さらに低コストであるのことが望ましい。例えば、強度とコストの点ではアルミナが、高強度と高熱伝導性が必要な場合には窒化珪素が、さらに高い熱伝導性が必要な場合は窒化アルミニウムが好適に用いられる。
【0041】
セラミック基板3の接合材5との当接部には、メタライズ層13が形成されていることが望ましい。メタライズ層13を設けることで、セラミック基板3の接合部を金属化して接合材5との濡れを向上させることができ、接合性、接合信頼性を向上させることができる。さらに、メタライズ層13の表面には、金属部材1の場合と同様に、耐腐食性や接合材5との濡れ性をさらに向上させるために、Ni、Cr及びSnのうち少なくとも1種の被覆層(図示せず)を設けることも可能である。
【0042】
次に、本発明の複合基板の製造方法について説明する。
【0043】
まず、金属部材1を用意する。金属部材1は、エッチング法や金型プレスによる機械加工等の公知の手法で所望の形状に加工しても良い。また、耐腐食性を高めるとともに、接合材5との濡れ性を向上させて接合強度を高めるため金属部材被覆層9となるメッキ層を形成しても良い。
【0044】
次に、セラミック基板3を準備する。セラミック基板3の製造方法は、公知のセラミック焼結体の製造方法を用いることができる。例えば、アルミナからなる原料粉末を混合してスラリーを作製し、このスラリーを用いてドクターブレード法やロールコンパクション法等の公知のセラミック成形方法によりグリーンシートを作製する。得られたグリーンシートの表面に、所望により導体ペーストを塗布し、所望の厚みになるまで複数のグリーンシートを積層した後に、同時焼成によってメタライズ層13を形成する。
【0045】
さらに、所望により、メタライズ層13の表面に、In、Sn、Pb、Ag、Cu、Ni及びAlのうち少なくとも1種を含む金属をメッキ法、スパッタリングやCVD(気相蒸着法)等の公知のコーティング方法によって、被覆し、被覆層(図示せず)を形成することができる。これらのうち、簡便で低コストである点でメッキ法が好ましい。
【0046】
ここで接合材5を準備する。接合材5の形状は、特に制限はないが、粉末、ペースト及び箔のうち少なくとも1種を用いることができ、接合面に均一に形成する点でペースト又は箔が好ましい。また、接合材5の選択に当っては、金属部材1とセラミック基板3との組合せを考慮し、さらに接合材5の融点及び接合部との良好な濡れ状態を形成する温度を選択する。
【0047】
例えば、接合温度が800℃前後の場合には、Ag及びCuを主成分とする接合材5が好適に使用され、600℃前後の場合には、Alを主成分とする接合材5が好適に使用され、400℃以下の場合にはIn、Sn及びPbの少なくとも1つを含む接合材5が好適に使用される。
【0048】
また、複合基板の構造が接合面に関して対称性に乏しい場合、例えば、セラミック基板3の一方の主面のみに金属部材1を接合する場合や、残留応力による反りや変形の抑制が必要な場合は、融点が400℃以下のSn、In、Pb系のろう材や半田を用いることが望ましい。
【0049】
次に、セラミック基板3又はその表面に設けられたメタライズ層13と当接するように、接合材5を形成し、この上に内蔵金属部材7を配置して、この内蔵金属部材2上に金属部材1を配置することで、セラミック基板3と金属部材1で接合材5と内蔵金属部材7を挟持する状態にし、金属部材1の上に重しをのせるなどして、所望により接合面に垂直な方向に加圧しながら加熱処理をして接合する。
【0050】
加熱処理は、AgCu系ろう材の場合、還元雰囲気で800〜900℃、Al系ろう材の場合還元雰囲気で550℃〜660℃、半田の場合、還元雰囲気で250〜400℃、In系の場合、還元雰囲気で200〜300℃の条件で行う。
【0051】
また、接合部のボイドを低減したい場合は、1×10− 4torr以上の減圧状態で熱処理することが望ましい。
【0052】
尚、本発明は上記形態に限定されるものではなく、発明の要旨を変更しない範囲で種々の変更が可能である。
【0053】
例えば、セラミック基板3の両面に金属部材1を接合してもよく、金属部材1は穴が設けられた形状であってもよい。
【0054】
【実施例】
実施例1
縦12mm、横22mm、厚み0.2mmのCu板及びAl板を金属部材1として準備した。また、Cuを主成分とする直径50μm金属線材を縦8mm、横16mmの図2(b)に示すような矩形に加工し、内蔵金属部材7を準備した。
【0055】
次いで、金属部材1と内蔵金属部材7に無電解法で厚み3μmのNiメッキ層を形成した。
【0056】
次に、厚み0.3mmのアルミナグリーンシートの一方の主面にタングステンペーストを塗布し、さらに、タングステンペーストを塗布していない面に、他のアルミナグリーンシートを2層積層した後、同時焼成して、表面にメタライズ層13を具備するアルミナ基板3を作製した。アルミナ基板3の寸法は縦15mm、横25mmであった。
【0057】
次いで、このメタライズ層13の表面に、電解法によって、Ni被覆層3μmを形成した。
【0058】
さらに、厚み50μmのIn系半田箔をメタライズ層13上に配置し、接合材5である半田箔に内蔵金属部材7と金属部材1を重ね合わせ、金属部材1上に無機多孔体からなる重しを乗せ、大気中雰囲気中200℃で熱処理を行って接合した。
【0059】
接合した試料を切断し、顕微鏡によって接合材5の厚みを確認した。その結果、いずれの試料においても、クラックや剥離といった異常は観られなかった。また、接合材5の厚みも均一であり、寸法の大きなずれは見られなかった。
【0060】
また、接合した試料を−30℃〜120℃の冷熱サイクルを100サイクル行って熱負荷を与えた後、顕微鏡により金属部材1とセラミック基板3との接合界面を観察した。その結果、何らの異常も見られず、良好な接合状態を呈しており、寸法精度も良好であった。
【0061】
実施例2
縦12mm、横22mm、厚み0.3mmのCu板及びAl板を金属部材1として準備した。また、Wを主成分とする直径70μmの金属線材を縦8mm、横16mmの図2(b)に示すような矩形に加工し、内蔵金属部材7を準備し、この金属部1材と内蔵金属部材7に実施例1と同様にして3μmのNiメッキ層を形成した。
【0062】
また、縦15mm、横25mm、厚み0.3mmの窒化珪素基板3を準備し、その主面にCVD(化学気相)法で0.1μmのCr層を形成した。
【0063】
次いで、窒化珪素基板3のCr層上にCuSn系のろうペーストを印刷し、内蔵金属部材7と金属部材3を重ね合わせ、金属部材1上に無機多孔体からなる重しを乗せ、還元中雰囲気中400℃で熱処理を行った。
【0064】
実施例1と同様の方法で評価を行ったところ、異常は無く、良好な接合状態であった。
【0065】
比較例1
実施例1と同じ形状のCu板及びAl板を準備し、内蔵金属部材7を設置しない以外は実施例1と同様にして複合基板を作製した。また、評価も実施例1と同様にして行った。その結果、内蔵金属材7が配置されていないため、接合材5の厚みが20〜100μmとばらついており、金属部材1に傾きが生じていた。また、所定の位置から最大500μm以上ずれていた。そして、冷熱サイクル後に、接合材5の薄い部位にクラックが観察された。
【0066】
比較例2
実施例2と同一形状のCu板及びAl板を準備し、内蔵金属部材7を設置しない以外は実施例1と同様にして複合基板を作製した。また、評価も実施例1と同様にして行った。その結果、内蔵金属材7が配置されていないため、接合材5の厚みが10〜100μmとばらついており、金属部材1に傾きを生じていた。また、所定の位置から最大500μm以上ずれていた。そして、冷熱サイクル後に、接合材5の薄い部分の界面に剥離が観察された。
【0067】
【発明の効果】
本発明の複合基板では、金属部材とセラミック基板間に内蔵金属部材が設置されるため、特殊な治具や工程を要せずに、高い寸法精度を実現することができる。しかも、均一な接合材厚みで接合することができるため、接合工程の生産性が高く、且つ接合信頼性に優れた複合基板を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の複合基板の構造を示す概略断面図である。
【図2】本発明の内蔵金属部材を示す斜視図である。
【図3】本発明の複合基板の一部を拡大した概略断面図である。
【符号の説明】
1・・・金属部材
3・・・セラミック基板
5・・・接合材
7・・・内蔵金属部材
A・・・セラミック基板接触面
B・・・金属部材接触面B
Claims (7)
- セラミック基板に接合材を介して金属部材を接合した複合基板において、前記接合材の内部に該接合材よりも高融点の内蔵金属部材が内蔵され、該内蔵金属部材が、前記セラミック基板と前記金属部材とにそれぞれ接触し、前記内蔵金属部材が接触するセラミック基板接触面と、前記内蔵金属部材が接触する金属部材接触面とが略平行であることを特徴とする複合基板。
- 内蔵金属部材が、Cu、Al、Fe、Ni、W及びMoのうち少なくとも一種を主成分とすることを特徴とする請求項1記載の複合基板。
- 金属部材が、Cu及び/又はAlを主成分とすることを特徴とする請求項1又は2に記載の複合基板。
- 接合材が、In、Sn、Pb、Ag、Cu及びAlのうち少なくとも1種を含むことを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載の複合基板。
- セラミック基板が、アルミナ、窒化珪素及び窒化アルミニウムのうち少なくとも1種からなることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の複合基板。
- 接合材と、該接合材よりも高融点の内蔵金属部材を、セラミック基板と金属部材とで挟持するように重ねた状態で、前記接合材の融点以上、前記内蔵金属部材の融点以下の温度で熱処理し、前記セラミック基板を、前記接合剤及び前記内蔵金属部材とを介して前記金属部材と接合する工程を具備することを特徴とする複合基板の製造方法。
- 金属部材とセラミック基板の対向面に略垂直な方向に圧力を加えて熱処理する工程を具備することを特徴とする請求項6記載の複合基板の製造方法。
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Cited By (1)
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JP2020508878A (ja) * | 2017-02-28 | 2020-03-26 | ローズマウント インコーポレイテッド | 脆性材料のための接合 |
-
2003
- 2003-05-28 JP JP2003151146A patent/JP2004356309A/ja active Pending
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