JP2004327114A - ガス放電パネル - Google Patents

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Abstract

【課題】動作電圧の経時変化がなく、動作が高安定で長寿命のガス放電パネルを提供する。
【解決手段】放電空間111を介して対向する表示面側基板101と背面側基板112からなる基板のうち、背面側基板112上に下地導電性電極107および紫外線により励起して発光する蛍光体層110および隔壁109が形成された構造を少なくとも有するガス放電パネルにおいて、表示面側基板101と背面側基板112および隔壁109で形成される放電セル内に光触媒物質層120を形成する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビなどの画像表示に用いられ、且つ真空紫外線で励起され発光する蛍光体層を有するガス放電パネルに関し、特にプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやテレビなどの画像表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、PDPを用いたプラズマディスプレイ装置は、大型で薄型軽量を実現することのできるカラー表示デバイスとして注目されている。
【0003】
PDPは、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起発光させ、画像表示するディスプレイである。
【0004】
図8に従来の反射型AC面放電PDPの放電セルの基本的な構成を示す。以下に、この構造および動作について説明する。
【0005】
ガラス板からなる表示面側基板801上に、ITOやSnOからなる透明電極802X、802Yが対になって形成されている。ただし、この透明電極802X、802Yではシート抵抗が高く、大型パネルにおいては全画素に充分な電力を供給することができないため、透明電極802X、802Y上にそれぞれ銀の厚膜やアルミニウム薄膜やクロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)の積層薄膜によるバス電極803X、803Yが形成されている。このバス電極803X、803Yによって、見かけ上透明電極802X、802Yのシート抵抗が下がる。これらの電極上に透明な誘電体層(低融点ガラスが使用される)804および酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層805が形成されている。誘電体層804は、AC型PDP特有の電流制限機能を有しており、DC型に比べて長寿命にできる要因となっている。保護層805は、放電によって誘電体層804がスパッタされて削られないように保護するためのもので、耐スパッタ性に優れるとともに高い2次電子放出係数(γ)を有して放電開始電圧を低減する働きが要求される。
【0006】
上記表示面側基板801に対向して、同じくガラス板からなる背面側基板806が設けられている。背面側基板806上には画像データを書き込むデータ電極807、下地誘電体層808、隔壁809および蛍光体層810が形成されている。
【0007】
PDPは、いわゆる3原色(赤、緑、青)を加法混色することにより、フルカラー表示を行っている。このフルカラー表示を行うために、PDPには3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発光する蛍光体層810が備えられ、この蛍光体層810を構成する蛍光体材料は、PDPの放電セル内で発生する紫外線により励起され、各色の可視光を生成している。
【0008】
背面側基板806の蛍光体層810の形成プロセスは、隔壁809を形成した後、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体ペーストをスクリーン印刷またはラインジェット法によって塗布形成し、その後、大気中で焼成し、ペースト中の溶剤成分を取り除くというものである。
【0009】
以上のようにして構成された表示面側基板801と背面側基板806は、どちらか一方、もしくは両方の基板周囲に、封着用ガラスフリットが塗布され(図示していない)、フリット中の樹脂成分を除去するため300℃〜350℃で仮焼し、両基板を重ね合わせた後、高温(450℃〜550℃)に加熱して封着ガラスを軟化させて両基板を貼り合わせる(封着工程)。ここで、データ電極807および隔壁809は、透明電極802X、802Yと互いに直交するように配置されており、また2本の隔壁809および表示面側基板801、背面側基板806で囲まれた空間でもって放電セル811が形成されている。この時、隔壁809は、隣接する放電セル間を仕切り、誤放電や光学的クロストークを防ぐ役割をしている。
【0010】
このPDPの透明電極802X、802Y間に、数十kHz〜数百kHzのAC電圧を印加して放電セル811内に放電を発生させ、励起されたXe原子からの真空紫外線(波長:147nm、173nm)によって蛍光体層810を励起し可視光を発生させて表示動作を行う。
【0011】
ここで、PDPにおいては、経時的な動作電圧の増加が発生するという課題があった。これは、不純ガスとして炭化水素系ガス(以下、CH系ガスとする)が蛍光体に吸着しており、放電により発生する真空紫外線あるいはイオン衝撃によってCH系ガスが放電空間に放出され、MgOの保護層805に吸着し、MgO表面の2次電子放出係数が小さくなってしまうために生じる現象である。
【0012】
従来、前記CH系ガスによる動作電圧の増加を抑えるために、MgOの保護層805表面に珪素化合物をコーティングする、もしくは珪素化合物ガスを放電ガスに混合するという技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−373588号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
MgO保護層表面に珪素化合物をコーティングする方法は、CH系ガスと珪素化合物を反応させてCH系ガスを、HOあるいはCOに分解し、放電に影響のない領域に選択的にSiC膜を生成させることを目的としている。珪素化合物は、MgOに比べると2次電子放出係数(γ)が小さいため動作電圧も高くなるとともに、放電の安定性も悪くなるという現象が生じる。そのため、最適な珪素化合物以上の場合には、PDP製造工程の中でエージングと呼ばれる長時間の放電動作によって珪素化合物を除去する必要がある。この時、珪素化合物の殆どは放電に伴うMgO表面のスパッタによって除去されるが、除去された珪素化合物がMgO表面に再成長するので完全に除去することはできない。この影響によってMgO表面の2次電子放出係数(γ)が小さくなり、動作電圧が充分下がり切らないという問題がある。
【0015】
放電ガスに珪素化合物ガスを混合した場合も同様で、CH系ガスと反応し生成したSiC膜がMgO表面にも成長するため、やはりMgO表面の2次電子放出係数は小さくなり、動作電圧が高くなっていくという問題がある。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、経時的な動作電圧の上昇のない、安定なガス放電パネルを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するため、本発明のガス放電パネルは、放電空間を介して対向する表示面側基板と背面側基板とを有し、背面板上に少なくとも導電性電極と紫外線により励起発光する蛍光体層と隔壁とが形成されたガス放電パネルにおいて、表示面側基板と背面側基板および隔壁で形成される放電セル内に光触媒物質層を配設したことを特徴とする。セル内の放電によって発生する紫外線を光触媒物質に照射することにより、CH系ガスはMgO表面に吸着して動作電圧の大きな変動をもたらさないCOあるいはHOに分解されるので、経時的な動作電圧の上昇のない安定なガス放電パネルを実現できる。光触媒物質層を放電セルの隔壁に配設した場合は、放電空間内の広い面積に光触媒物質層を配設することができるので特に効果が高い。
【0018】
また本発明のガス放電パネルは、放電空間を介して対向する表示面側基板と背面側基板とを有し、表示面側基板上に少なくとも表示電極と表示電極を覆う誘電体層と誘電体層上に設けられた保護層とを有するガス放電パネルにおいて、保護層上に光触媒物質層を配設したことを特徴とするもので、保護層上に光触媒物質層を配設することで、セル内の放電で発生する紫外線が光触媒物質層により強く照射され、CH系ガスの分解をより促進できるようにしたものである。
【0019】
さらに本発明のガス放電パネルは、光触媒物質層上に酸化物層を形成することで、紫外線照射によるヒドロキシラジカル(OH)の発生量を増加させ、CH系ガスの分解をより促進できるようにしたものである。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態によるガス放電パネルについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、ガス放電パネルの代表例であるPDPを例に説明する。
【0021】
(実施の形態1)
図1は、本発明の実施の形態1におけるPDPの構成を示す断面斜視図である。また、図2はそのA−A’断面図である。
【0022】
図1および図2において、ガラス板からなる表示面側基板101上にITOまたは酸化錫(SnO)などの透明導電性材料からなる表示電極102X、102Yを形成し、その上に銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)よりなるバス電極103X、103Yを形成している。これらの表示電極102X、102Yおよびバス電極103X、103Yを覆うように、さらに酸化鉛(PbO)70重量%、酸化硼素(B)15重量%、酸化珪素(SiO)15重量%の組成を有する低融点ガラス(厚み20μm〜40μm)からなる誘電体層104をスクリーン印刷やダイコート印刷またはフィルムラミネート法によって形成する。続いて、放電プラズマによる損傷から誘電体層104を保護するMgOからなる保護層105(厚み:0.3μm〜1μm)が電子ビーム蒸着法あるいはスパッタ法あるいは化学的気相成長法(CVD法)により形成されている。ここで、所定の間隔でもって互いに平行に並んだ2本の表示電極102X、102Yによって1つの画素(ピクセル:PU)の表示電極が構成され、この間に交流電圧を印加して放電空間111内に放電を発生させる。
【0023】
一方、放電空間111を介して上記表示面側基板101に対向する背面側基板112が設けられている。背面側基板112はガラス板からなり、その上に銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)からなる下地導電性電極107が形成され、下地導電性電極107を覆うように低融点ガラスからなる下地誘電体層108(厚み:5μm〜20μm)が形成されている。さらに、低融点ガラスのスクリーン印刷の繰り返しと焼成によって隔壁109(高さ0.1mm〜0.15mm)を所定の間隔で形成さている。
【0024】
さらに、隔壁109および下地誘電体層108上に膜厚5nm〜500nmの光触媒物質層120を形成することにより、光触媒物質が配設されている。光触媒物質層120は酸化チタン(TiO)膜をスパッタ法(ターゲットは酸化チタン、スパッタガスはArとOの混合ガスを使用)で形成される。
【0025】
さらに、膜厚5nm〜200nmの光触媒物質層120上には、酸化物層121が形成されている。酸化物層121は、酸化珪素(シリカ:SiO)膜をスパッタ法(ターゲットは酸化珪素、スパッタガスはArとOの混合ガスを使用)で積層される。
【0026】
続いて、カラー表示のための3原色(赤:R、緑:G、青:B)の蛍光体層110R、110G、110Bが順次積層して設けられている。
【0027】
表示面側基板101と背面側基板112は、表示電極102と下地導電性電極107とが互いに直交するように貼り合わされ、隔壁109によりライン方向にサブピクセルSU毎に区画された放電セルとこれによって仕切られた放電空間111が形成されている。隔壁109の高さを揃えることによって、放電空間111の間隙寸法が所定の一定値をとるようになっている。ここで1つの画素(ピクセル:PU)は、ライン方向に並んで赤(R)、緑(G)、青(B)の各色で発光する3つのサブピクセルSUで構成されている。
【0028】
上記のようにして表示面側基板101と背面側基板112を対向させ、周囲を気密封止し、加熱しながら放電空間111内を真空排気した後、例えばNeとXeの混合ガスからなる放電ガスを所定の圧力および混合比で充填する。さらに、表示電極102X、102Y間に300V〜500Vの電圧パルスを交互に印加して表示電極102X、102Y間の放電空間111に放電を発生させ、放電開始電圧を下げるとともに安定させるためにエージングを8時間〜16時間行ってPDP100を作製する。
【0029】
ここで、光触媒物質層120の形成方法としては、上記のスパッタ法の他に、金属チタンまたは酸化チタンをソースとした酸素雰囲気での電子ビーム蒸着法を用いてもよい。膜の安定化のために、膜を形成した後200℃〜600℃でアニールしてもよい。
【0030】
また、上記以外に、光触媒物質層120の形成方法としては、チタンアルコキシド、チタンキレートまたはチタンアセテートなどに、加水分解抑制剤としての塩酸やエチルアミンを、希釈剤としてのエタノールやプロパノールなどで希釈して添加し、加水分解を部分的または完全に行った混合物、あるいは、四塩化チタンあるいは硫酸チタンの酸性水溶液(必要に応じてアルカリ水溶液を添加してもよい)、あるいは酸化チタンゾルなどを準備し、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの手法で塗布、乾燥させ、200℃〜600℃で焼成して酸化チタン層を形成する方法を用いることができる。
【0031】
光触媒物質層120上に形成する酸化物層121の形成方法としては、上記スパッタ法の他に、シリコンまたは酸化シリコンをソースとし、酸素雰囲気において、電子ビーム蒸着法を用いて形成してもよい。膜の安定化のために、膜形成後は、200℃〜600℃でアニールしてもよい。また、この他の形成方法としては、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン、テトライソプロボキシラン、テトラn−プロボキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン)、シリコンキレートまたはシリコンアセテートなどに、加水分解抑制剤としての塩酸やエチルアミンを、希釈剤としてのエタノールやプロパノールなどで希釈して添加し、加水分解を部分的または完全に行った混合物、あるいは、四塩化チタン、あるいは硫酸チタンの酸性水溶液(必要に応じてアルカリ水溶液を添加してもよい)あるいは酸化チタンゾルを準備し、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの手法で塗布、乾燥させ、焼成(200℃〜600℃)して酸化珪素(シリカ)層を形成する方法も用いることができる。
【0032】
比較のために、上記PDP100において、光触媒物質層120および酸化物層121を形成せず、他の構成要素はPDP100と全く同様にして比較用PDP(A)を作製した。
【0033】
PDP100およびPDP(A)について、通常使用で5万時間に相当する加速寿命試験を行った。PDP100は、放電開始電圧は動作上殆ど問題ない程度の変動しか生じず、この間は非常に安定に動作できることが確認された。一方、比較PDP(A)の場合、寿命試験前でもPDP100に比べて放電開始電圧が数ボルト高い状態ではあったが、寿命試験中においても時間経過とともに点灯部での放電開始電圧が20V以上増加し、通常使用で1万時間に相当する加速寿命試験において、PDP(A)の一部に点灯しない領域が発生しているのが確認された。
【0034】
寿命試験後、これらのPDPを割り、MgO保護層表面の時間走行型2次イオン質量分析(TOF−SIMS)を行ったところ、PDP100に比べてPDP(A)のCH系ガスの吸着量が多いことが判明した。また、表示面側基板および背面側基板の一部を切り出し、それぞれ昇温脱離質量分析(TDS)を行ったところ、TOF−SIMSの結果と同様に、PDP100に比べてPDP(A)のCH系ガスの吸着量が多いことが判明した。さらに、エージング前後で、同様にMgO表面のTOF−SIMS分析したところ、寿命試験後ほどではないがPDP100に比べてPDP(A)の方がCH系ガスの吸着量が多いことが判明した。
【0035】
隔壁109上に光触媒物質層120および酸化物層121を形成した本発明によるPDP100において、放電開始電圧が安定で長寿命になった理由については、以下のように考えられる。PDP100内部のCH系ガスは、主に蛍光体層110に吸着して取り込まれている。PDP100を動作するとセル内の放電に伴い、蛍光体表面への紫外線照射やイオン衝突によって、吸着しているCH系ガスが脱離、MgO表面に吸着する。そのために2次電子放出係数(γ)値が減少し、結果として放電開始電圧が増加する。PDP(A)の放電開始電圧がエージング後でPDP100より大きいこと、PDP(A)の寿命試験において放電開始電圧が増加したことは、TOF−SIMSやTDSの結果からCH系ガスが原因と思われる。
【0036】
一方、光触媒物質層120を形成した本発明によるPDP100では、光触媒物質層120による触媒作用によってCH系ガスが放電開始電圧に余り影響しないCOやHOに変化するため、PDP(A)に比べて放電開始電圧の変動が少なかったとともにTOF−SIMSやTDSの分析でもCH系ガス量が少なかったものと思われる。
【0037】
光触媒物質層120のCH系ガスの分解について、もう少し詳細に説明する。
【0038】
セル内の放電で発生する紫外線が半導体である光触媒物質層120表面に照射されると、電子が伝導体に励起され、電子・正孔対が生成する。この際、光触媒物質層120上に酸化物層121が形成されていると、正孔は、容易に酸化物層121へ移動し、酸化物層121表面に吸着しているHOを分解してヒドロキシラジカル(OH)を発生する。このヒドロキシラジカル(OH)は酸化物層121表面およびその付近に存在するCH系ガスと酸化反応し、COやHOに分解する。ここで酸化物層121を、光触媒物質層120よりも表面により多くのHOを吸着しやすい材料で構成すると、ヒドロキシラジカル(OH)の発生量が増えるためCH系ガスの分解をより促進できる。
【0039】
このようにPDPを動作することによって内部に発生する紫外線と光触媒物質層によるCH系ガスの分解を行うことができ、蛍光体表面から徐々に出てくるCH系ガスを、放電開始電圧を上昇させにくいCOやHOガスに分解するので、安定動作が可能になる。
【0040】
放電によって発生し蛍光体を励起する作用を有する紫外線は、蛍光体表面での反射係数が高く、蛍光体層110中を蛍光体粒子間反射しながら進むので蛍光体層110の下にあっても光触媒物質層120に紫外線は充分届く。それゆえ光触媒物質層120の表面に形成する酸化物層121の膜厚は紫外線の吸収が少ない5nm〜200nmの範囲に設定するのが好ましい。
【0041】
酸化物層121に使用できるものとしては、上記シリカの他にSiO、V、MoO、Ta、Nb、TiO、SnO、GeO、Fe、B、As、MgO、ZnO、PbO、Eu、Nd、TmO、Dy、Y、La、Al、Tl、In、Bi、HfO、CoO、CuO、NiO、Ga、MnO、CeO、Cr、MgAlO、KO・Al・6SiO、NaO・Al・6SiO、CaO・Al・6SiO、Scのうち少なくとも何れか1種類、もしくは2種類以上の混合物が使用できる。特に、これらの材料が非晶質である場合は、酸素原子が比較的表面に出にくく、よりHOの吸着性が高まるため、より好ましい。また、非晶質の場合は、量子論的組成から外れている場合や、水素原子やハロゲン(F、Cl、Br、I)原子を層中に含む場合でもよい。これら酸化物層121の形成は、これら金属アルコキシドの塗布乾燥の他に、スパッタ法、蒸着法、化学的気相成長(CVD法)、プラズマCVD法などの薄膜形成プロセスが使用できる。
【0042】
また、光触媒物質層120を構成する光触媒材料としては、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムのうち、少なくとも何れか1種類、もしくは2種類以上の混合物が使用できる。
【0043】
(実施の形態2)
図3は、本発明の実施の形態2におけるPDPの構成を示す断面図である。実施の形態2のPDP200は、実施の形態1で示したPDP100(図2)において、酸化物層121がなく、他の構成はPDP100と同じものである。
【0044】
このPDP200について実施の形態1と同様にして寿命試験を行ったところ、PDP100と同じように、放電開始電圧変化が少なく、安定動作することが確認できた。この結果より、酸化物層がない状態でも光触媒反応が進行しCH系ガスの分解が促進されているためである。
【0045】
(実施の形態3)
図4は、本発明の実施の形態3におけるPDPの構成を示す断面図である。実施の形態3のPDP300は、実施の形態1で示したPDP100(図2)において下地誘電体層108がなく、他の構成はPDP100と同じものである。
【0046】
このPDP300について実施の形態1と同様にして寿命試験を行ったところ、PDP100と同じように、放電開始電圧変化が少なく、安定動作することが確認できた。
【0047】
(実施の形態4)
図5は、本発明の実施の形態4におけるPDPの構成を示す断面図である。実施の形態4のPDP400は、実施の形態3で示したPDP300(図4)において酸化物層121がなく、他の構成はPDP200と同じものである。
【0048】
このPDP400について実施の形態1と同様にして寿命試験を行ったところ、PDP100と同じように、放電開始電圧変化が少なく、安定動作することが確認できた。
【0049】
(実施の形態5)
図6は、本発明の実施の形態5におけるPDPの構成を示す断面図である。実施の形態5のPDP500は、実施の形態2で示したPDP200(図3)において、赤(R)、緑(G)、青(B)各蛍光体粒子表面に酸化物(シリカ)を膜厚5nm〜200nmでコーティングしたものを使用し、他の構成はPDP200と同じものである。蛍光体層110R、110G、110Bを構成する蛍光体材料は、赤色(R):(YGd1−x)BO:Eu、緑色(G):ZnSiO:Mn、青色(B):BaMgAl1017:Euを使用した。
【0050】
蛍光体粒子は2μm〜10μmの粒径で、エタノールで希釈したテトラエトキシシラン中に分散、粒子を分離後乾燥し、150℃〜500℃で焼成してシリカ層をコーティングした。蛍光体粒子の表面をコーティングする材料としては、シリカ(SiO)の他にV、MoO、Ta、Nb、TiO、SnO、GeO、Fe、B、As、MgO、ZnO、PbO、Eu、Nd、TmO、Dy、Y、La、Al、Tl、In、Bi、HfO、CoO、CuO、NiO、Ga、MnO、CeO、Cr、MgAlO、KO・Al・6SiO、NaO・Al・6SiO、CaO・Al・6SiO、Scなどが挙げられる。
【0051】
このPDP500を実施の形態1と同様に寿命試験を実施したところ、PDP100よりも放電開始電圧の変化が少ないことが確認できた。
【0052】
このPDP500の背面側基板を切り出し、TDS評価したところ、シリカ層をコーティングしない時に比べてHOの吸着量は増加したが、CH系ガスの吸着量は減少したことが確認できた。
【0053】
蛍光体材料は、上記材料に限定されるものではなく、例えば赤色(R)蛍光体材料として、YBO:Eu、YS:EuまたはY:Eu、緑色(G)蛍光体材料として、YBO:Tb、BaMgAl1423:Mn、SrSiCl:Eu、そして青色(B)蛍光体材料として、BaMgAl1423:Eu、CaSiO:Eu、CaClBO:Euなどが使用できる。
【0054】
(実施の形態6)
図7は、本発明の実施の形態6におけるPDPの構成を示す断面図である。実施の形態6のPDP600は、従来の例(図8)で示したPDPにおいて、保護層105表面に光触媒物質層120を形成したものである。このことにより、セル内の放電で発生する紫外線が光触媒層により強く照射されるため、CH系ガスの分解をより一層促進できる。
【0055】
なお、実施の形態1では隔壁109形成後、光触媒物質層120を形成したが、下地誘電体層108を形成後、光触媒物質層120を形成し、続いて隔壁109を形成してもよい(この場合は、隔壁109表面には光触媒物質層120は形成されない)。下地誘電体層108を形成しない場合は、下地導電性電極107上に光触媒物質層120を形成してもよい。
【0056】
また、上記実施の形態において、放電ガスとしては、Ne−Xeの混合ガスの他にHe−Xeの混合ガスを使用してもよく、さらにこれらのガスにAr、KrあるいはHeを加えてもよい。また、これらの放電ガスに、酸素やNO、NO、NO、N、N、N、NOなど分子内に酸素原子を含むガスをPDPの動作に影響のない程度に混合(具体的には0.1vppm〜10vppm)しても、光触媒物質層の光触媒作用でヒドロキシラジカル(OH)が発生し、CH系ガスの分解をより促進できるため効果的である。
【0057】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、放電セル内に光触媒物質層を形成することにより、経時的な不安定動作をもたらすCH系ガスを分解することができるので、電圧の経時変化がなく、動作が高安定のガス放電パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1におけるPDPの構成を示す断面斜視図
【図2】同PDPの構成を示す図1のA−A’断面図
【図3】本発明の実施の形態2におけるPDPの構成を示す断面図
【図4】本発明の実施の形態3におけるPDPの構成を示す断面図
【図5】本発明の実施の形態4におけるPDPの構成を示す断面図
【図6】本発明の実施の形態5におけるPDPの構成を示す断面図
【図7】本発明の実施の形態6におけるPDPの構成を示す断面図
【図8】従来のPDPの構成を示す断面斜視図
【符号の説明】
100 PDP
101 表示面側基板
102 表示電極
103 バス電極
104 誘電体層
105 保護層
107 下地導電性電極
108 下地誘電体層
109 隔壁
110R 蛍光体層(赤)
110G 蛍光体層(緑)
110B 蛍光体層(青)
111 放電空間
112 背面側基板
120 光触媒物質層
121 酸化物層

Claims (10)

  1. 放電空間を介して対向する表示面側基板と背面側基板とを有し、前記背面側基板上に少なくとも導電性電極と紫外線により励起発光する蛍光体層と隔壁とが形成されたガス放電パネルにおいて、
    前記表示面側基板と前記背面側基板および前記隔壁とで形成される放電セル内に光触媒物質層を配設したことを特徴とするガス放電パネル。
  2. 少なくとも放電セル内の隔壁に光触媒物質層を配設したことを特徴とする請求項1に記載のガス放電パネル。
  3. 光触媒物質層上に酸化物層を形成したことを特徴とする請求項2に記載のガス放電パネル。
  4. 導電性電極上に下地誘電体層が形成されており、少なくとも前記下地誘電体層上に光触媒物質層を配設したことを特徴とする請求項1に記載のガス放電パネル。
  5. 蛍光体層表面に酸化物層が形成されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のガス放電パネル。
  6. 放電空間を介して対向する表示面側基板と背面側基板とを有し、前記表示面側基板上に少なくとも表示電極と前記表示電極を覆う誘電体層と前記誘電体層上に設けられた保護層とを有するガス放電パネルにおいて、
    前記保護層上に光触媒物質層を配設したことを特徴とするガス放電パネル。
  7. 光触媒物質層上に酸化物層が形成されていることを特徴とする請求項6に記載のガス放電パネル。
  8. 光触媒物質層は、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムのうちの何れか1種類以上を含むものであることを特徴とする請求項1から請求項7の何れかに記載のガス放電パネル。
  9. 酸化物層は、SiO、V、MoO、Ta、Nb、TiO、SnO、GeO、Fe、B、As、MgO、ZnO、PbO、Eu、Nd、TmO、Dy、Y、La、Al、Tl、In、Bi、HfO、CoO、CuO、NiO、Ga、MnO、CeO、Cr、MgAlO、KO・Al・6SiO、NaO・Al・6SiO、CaO・Al・6SiO、Scのうちの何れか1種類以上を含むものであることを特徴とする請求項3または請求項7に記載のガス放電パネル。
  10. 放電空間内に充填される放電ガスに分子内に酸素原子を含むガスが混合されていることを特徴とする請求項1または請求項6の何れかに記載のガス放電パネル。
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