JP2004327060A - 燃料電池スタック - Google Patents

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JP2004327060A JP2003115643A JP2003115643A JP2004327060A JP 2004327060 A JP2004327060 A JP 2004327060A JP 2003115643 A JP2003115643 A JP 2003115643A JP 2003115643 A JP2003115643 A JP 2003115643A JP 2004327060 A JP2004327060 A JP 2004327060A
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亨 岩成
Teruyuki Ushijima
輝幸 牛島
Shigeru Toda
茂 戸田
Takeshi Muto
剛 武藤
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Abstract

【課題】周辺補器を有効に削減することができ、簡単かつ小型な構成で、発電性能の向上を図ることを可能にする。
【解決手段】燃料電池システム12では、水素ボンベ88から減圧弁90を介して0.1kPa〜50kPa程度に減圧された燃料ガスが、第3流量制御器92により電極1cm当たりの水素供給量が0.0014normal l/min〜0.014normal l/minに調整された後、燃料ガス供給口64から燃料電池スタック10に供給される。反応用空気は、第1ブロア80を介して0.1kPa〜50kPa程度に加圧され、第1流量制御器82により所定の空気供給量に調整されるとともに、常に、水素供給量の1.5倍〜25倍程度になるように、反応用空気供給口60から燃料電池スタック10に供給される。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、固体高分子電解質膜の両側にアノード側電極とカソード側電極とを設けた電解質膜・電極構造体を、セパレータにより挟持する発電セルを備え、前記発電セルが複数積層される燃料電池スタックに関する。
【0002】
【従来の技術】
例えば、固体高分子型燃料電池は、高分子イオン交換膜(陽イオン交換膜)からなる電解質膜を採用している。この電解質膜の両側に、それぞれカーボンを主体とする基材に貴金属系の電極触媒層を接合したアノード側電極およびカソード側電極を対設した電解質膜・電極構造体を、セパレータによって挟持することにより、燃料電池(発電セル)が構成されている。
【0003】
この種の燃料電池において、アノード側電極に供給された燃料ガス、例えば、主に水素を含有するガス(以下、水素含有ガスともいう)は、電極触媒上で水素がイオン化され、電解質膜を介してカソード側電極側へと移動する。その間に生じた電子は外部回路に取り出され、直流の電気エネルギとして利用される。なお、カソード側電極には、酸化剤ガス、例えば、主に酸素を含有するガスあるいは空気(以下、酸素含有ガスともいう)が供給されているために、このカソード側電極において、水素イオン、電子および酸素が反応して水が生成される。
【0004】
一般的に、燃料電池では、一方のセパレータには、セパレータの面方向に沿って燃料ガスを流すための燃料ガス流路が形成されるとともに、他方のセパレータには、セパレータの面方向に沿って酸化剤ガスを流すための酸化剤ガス流路が形成されている。さらに、いずれかのセパレータまたは別のセパレータには、セパレータの面方向に沿って冷却媒体を流すための冷却媒体流路が形成されている。
【0005】
例えば、特許文献1に開示されている燃料電池スタックは、図10に示すように、カソードプレート1とアノードプレート2とを備えている。カソードプレート1の面内には、蛇行流路3が形成されており、この蛇行流路3は、酸化剤ガス入口4aと酸化剤ガス出口4bとに連通している。アノードプレート2の面内には、蛇行流路5が形成されるとともに、この蛇行流路5は、燃料ガス入口6aと燃料ガス出口6bとに連通している。
【0006】
カソードプレート1には、酸化剤ガスが高濃度でかつ低湿度である第1領域7aと、前記酸化剤ガスが低濃度でかつ高湿度である第2領域7bとが存在している。アノードプレート2の蛇行流路5に沿って流れる燃料ガスは、実質的に、第2領域7bから第1領域7aに向かって流れ方向が設定されている。
【0007】
また、図示しない冷却プレートがカソードプレート1の反対の面側に配置されており、この冷却プレートでは、最冷領域がカソードプレート1の第1領域7aに対応する一方、最暖領域が第2領域7bに対応している。
【0008】
これにより、カソードプレート1およびアノードプレート2間に挟持される図示しない固体高分子電解質膜の乾燥を防止して、所望の湿潤状態を維持することができる、としている。
【0009】
【特許文献1】
米国特許第5,773,160号明細書(第14欄第31行〜第15欄第6行、図11)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
通常、燃料電池スタックには、酸化剤ガス、例えば、反応用空気を供給するためのコンプレッサまたはブロアや、反応ガス(反応用空気および燃料ガス)を加湿するための加湿器や、運転温度を最適に維持するための温度調整機器等の周辺補器が組み込まれている。上記の燃料電池スタックでは、システム全体の小型化および軽量化が望まれており、周辺補器を削減するとともに、前記周辺補器を作動させるための電力消費を最小化する必要がある。
【0011】
しかしながら、特許文献1では、反応ガスの供給圧力が30psig(207kPaゲージ圧)と高圧であるとともに、作動温度が70℃〜90℃と比較的高温である。このため、コンプレッサまたはブロアの小型化を図ることができず、しかも固体高分子電解質膜が乾燥し易いために、加湿器等の削減が遂行されないという問題が指摘されている。
【0012】
本発明はこの種の問題を解決するものであり、周辺補器を有効に削減することができ、簡単かつ小型な構成で、発電性能に優れる燃料電池スタックを提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明の請求項1に係る燃料電池スタックでは、固体高分子電解質膜の両側にアノード側電極とカソード側電極とを設けた電解質膜・電極構造体を、セパレータにより挟持するとともに、前記アノード側電極に沿って燃料ガスを供給する燃料ガス流路と、前記カソード側電極に沿って酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路とを設ける発電セルを備える。そして、燃料電池スタックの作動温度が60℃以下に設定されるため、生成水が液状水として存在し易く、この液状水を使用して固体高分子電解質膜を良好に加湿することができる。
【0014】
さらに、燃料ガス流路は、燃料ガスを重力方向に沿って流すとともに、該燃料ガスの供給圧力が0.1kPa〜50kPaで、かつ電極1cm当たりの供給量が0.0014normal l/min〜0.014normal l/minに設定されている。一方、酸化剤ガス流路は、酸化剤ガスを反重力方向に沿って流している。
【0015】
従って、燃料ガスの供給圧力および供給量が比較的低く設定されていても、液状水は、前記燃料ガスと共に燃料ガス流路内を上方から下方に向かって円滑かつ確実に流動し、前記燃料ガス流路内に前記液状水が滞留することがない。このため、発電セルの発電性能が低下したり、発電が不安定になったりすることを確実に阻止することができる。
【0016】
しかも、酸化剤ガスが酸化剤ガス流路内を下方から上方に向かって流動するため、前記酸化剤ガス流路の下流である上方には、上流である下方に比べて多量の生成水が存在する。一方、燃料ガス流路では、燃料ガスが導入される上流である上方の加湿量が、下流である下方の加湿量に比べて少ない。これにより、比較的乾燥し易い固体高分子電解質膜の上方では、酸化剤ガス流路内の液状水が燃料ガス流路側に拡散し、前記固体高分子電解質膜を所望の湿潤状態に維持することが可能になる。
【0017】
また、本発明の請求項2に係る燃料電池スタックでは、電極1cm当たりの酸化剤ガスの供給量が、燃料ガスの供給量の1.5倍〜25倍に設定されている。従って、酸化剤ガス流路内の液状水は、酸化剤ガスの流動作用下に前記酸化剤ガス流路の上方に容易に押し上げられる。このため、液状水の排水性を向上させるとともに、固体高分子電解質膜全体を所望の湿潤状態に確実に維持し、発電性能を確保し、かつ安定した発電が遂行可能になる。
【0018】
さらに、本発明の請求項3に係る燃料電池スタックでは、燃料ガスおよび酸化剤ガスが無加湿状態で供給されるため、加湿器および該加湿器用の制御システムが不要になる。これにより、燃料電池スタック全体を小型化かつ経済的に構成することができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の実施形態に係る燃料電池スタック10を組み込む燃料電池システム12の概略斜視説明図であり、図2は、前記燃料電池スタック10の一部分解概略斜視図である。
【0020】
燃料電池スタック10は、複数の発電セル16が矢印A方向に積層された積層体18を備える。積層体18の積層方向(矢印A方向)一端には、集電用ターミナルプレート20a、絶縁プレート22aおよびエンドプレート24aが外方に向かって、順次、配設される。積層体18の積層方向他端には、集電用ターミナルプレート20b、絶縁性プレート22bおよびエンドプレート24bが外方に向かって、順次、配設される。
【0021】
図2に示すように、各発電セル16は、電解質膜・電極構造体30と、前記電解質膜・電極構造体30を挟持する第1および第2セパレータ32、34とを備える。電解質膜・電極構造体30と第1および第2セパレータ32、34との間には、後述する各種連通孔の周囲および電極面の外周を覆って、シール部材36aが介装されるとともに、隣接する発電セル16間には、シール部材36bが介装される。
【0022】
発電セル16の矢印B方向(水平方向)の一端縁部には、矢印A方向(積層方向)に互いに連通して、酸化剤ガス、例えば、反応用空気を供給するための反応用空気供給連通孔38と、冷却用空気を供給するための冷却用空気供給連通孔40とが設けられる。冷却用空気供給連通孔40は、反応用空気供給連通孔38よりも開口面積が大きく設定される。
【0023】
発電セル16の矢印C方向(鉛直方向)の一端縁部(上端縁部)には、矢印A方向に連通して、燃料ガスを供給するための燃料ガス供給連通孔42が設けられるとともに、前記発電セル16の矢印C方向の他端縁部(下端縁部)には、矢印A方向に連通して、燃料ガスを排出するための燃料ガス排出連通孔44が設けられる。燃料ガス供給連通孔42および燃料ガス排出連通孔44は、矢印B方向に長尺な長円状開口形状に設定される。
【0024】
電解質膜・電極構造体30は、例えば、パーフルオロカーボンスルホン酸樹脂の薄膜に水が含浸された固体高分子電解質膜46と、この固体高分子電解質膜46を挟持するアノード側電極48およびカソード側電極50とを備える(図2および図3参照)。
【0025】
アノード側電極48およびカソード側電極50は、多孔質のカーボンペーパ、カーボンクロスまたはカーボン不織布等からなるガス拡散層と、白金系触媒がカーボン担体に担持されて固体高分子電解質膜46の両面に塗布された電極触媒層とを有する。第1および第2セパレータ32、34は、導電性材料、例えば、緻密質のカーボン材料や金属で構成される。
【0026】
図4に示すように、第1セパレータ32のアノード側電極48に向かう面32aには、燃料ガス供給連通孔42と燃料ガス排出連通孔44とを連通する燃料ガス流路52が形成される。この燃料ガス流路52は、例えば、矢印C方向に延在する複数本の溝部により構成され、燃料ガスを重力方向に沿って流す。
【0027】
図5に示すように、第1セパレータ32の面32aとは反対の面32bには、冷却用空気流路54が形成され、この冷却用空気流路54は、両端が水平方向に延在しかつ中央部が傾斜する複数本の溝部により構成される。冷却用空気流路54は、冷却用空気供給連通孔40に連通する冷却用空気入口54aと、第1セパレータ32の側部から外方に開放される冷却用空気出口54bとを有する。
【0028】
図6に示すように、第2セパレータ34のカソード側電極50に向かう面34aには、例えば、矢印B方向に1往復半だけ折り返す蛇行流路である反応用空気流路56が設けられる。この反応用空気流路56は、反応用空気供給連通孔38に連通する反応用空気入口56aと、第2セパレータ34の側部から、すなわち、発電セル16の側部から外方に開放される反応用空気出口56bとを有する。反応用空気入口56aは、第2セパレータ34の下部側に設けられる一方、反応用空気出口56bは、前記第2セパレータ34の上部側に設けられ、酸化剤ガスを反重力方向に流す。
【0029】
図1に示すように、エンドプレート24aには、反応用空気供給連通孔38に連通する反応用空気供給口60が形成された第1ブロック60aと、冷却用空気供給連通孔40に連通する冷却用空気供給口62が形成された第2ブロック62aと、燃料ガス供給連通孔42に連通する燃料ガス供給口64が形成された第3ブロック64aと、燃料ガス排出連通孔44に連通する燃料ガス排出口66が形成された第4ブロック66aとが設けられる。
【0030】
燃料電池スタック10の積層方向両端には、カラー68を介してバックアッププレート70a、70bが配設される。バックアッププレート70a、70bは、上下にそれぞれ2本ずつ配置される締め付けロッド72により積層方向に締め付け保持される。ターミナルプレート20a、20bには、例えば、モータ等の外部負荷74が接続される。
【0031】
第1ブロック60aには、反応用空気供給口60に反応用空気を供給するための第1ブロア80が第1流量制御器82を介して接続され、第2ブロック62aには、冷却用空気供給口62に冷却用空気を供給するための第2ブロア84が第2流量制御器86を介して接続される。第3ブロック64aには、燃料ガス供給口64に燃料ガスを供給するための水素ボンベ88が減圧弁90および第3流量制御器92を介して接続される。
【0032】
このように構成される燃料電池スタック10の動作について、以下に説明する。
【0033】
まず、燃料電池スタック10では、作動温度が比較的低温、例えば、60℃以下、より好ましくは、30℃〜50℃の範囲内に設定されている。また、燃料ガス(水素ガス)では、水素供給圧力が0.1kPa〜50kPaであり、電極1cm当たりの水素供給量が0.0014normal l/min(水素利用率100%)〜0.014normal l/min(水素利用率10%)に調整される。一方、酸化剤ガスでは、空気供給圧力が0.1kPa〜50kPaであり、電極1cm当たりの空気供給量が0.0033normal l/min(空気利用率100%)〜0.033normal l/min(空気利用率10%)に調整される。
【0034】
そこで、図1に示すように、燃料電池システム12では、水素ボンベ88から減圧弁90を介して0.1kPa〜50kPa程度に減圧された燃料ガスが、第3流量制御器92により上記の水素供給量に調整された後、燃料ガス供給口64から燃料電池スタック10に供給される。この燃料電池スタック10内では、燃料ガスが燃料ガス供給連通孔42に供給され、この燃料ガス供給連通孔42から第1セパレータ32の燃料ガス流路52に導入される(図3および図4参照)。従って、燃料ガスは、電解質膜・電極構造体30のアノード側電極48に沿って鉛直下方向(重力方向)に移動する。
【0035】
一方、図1に示すように、反応用空気は、第1ブロア80を介して0.1kPa〜50kPa程度に加圧され、第1流量制御器82により上記の空気供給量に調整されるとともに、常に、水素供給量の1.5倍〜25倍程度になるように、反応用空気供給口60から燃料電池スタック10に供給される。この燃料電池スタック10内では、反応用空気が反応用空気供給連通孔38に供給され、この反応用空気供給連通孔38から第2セパレータ34の反応用空気流路56に導入される(図3および図6参照)。このため、反応用空気は、電解質膜・電極構造体30のカソード側電極50に沿って蛇行しながら反重力方向に移動する。
【0036】
従って、各電解質膜・電極構造体30では、アノード側電極48に供給される燃料ガスと、カソード側電極50に供給される反応用空気とが、電極触媒層内で電気化学反応により消費され、発電が行われる(図2および図3参照)。
【0037】
また、図1に示すように、冷却用空気は、第2ブロア84および第2流量制御器86を介して冷却用空気供給口62から燃料電池スタック10に供給される。この燃料電池スタック10内では、冷却用空気が冷却用空気供給連通孔40に供給され、この冷却用空気供給連通孔40から第1セパレータ32の冷却用空気流路54に導入される(図3および図5参照)。このため、冷却用空気は、電解質膜・電極構造体30に沿って移動し、各発電セル16の運転温度が60℃以下、より好ましくは、30℃〜50℃になるように冷却する。
【0038】
これにより、各発電セル16が比較的低温で運転され、反応用空気および燃料ガスを無加湿、あるいは低加湿で使用しても、固体高分子電解質膜46が乾燥し難くなり、加湿器等の周辺補器が不要になるという効果がある。
【0039】
次いで、アノード側電極48に供給されて消費された燃料ガスは、燃料ガス排出連通孔44に排出されて矢印A方向に流動し、燃料ガス排出口66から外部に排出される。一方、カソード側電極50に供給されて消費された反応用空気は、反応用空気流路56の反応用空気出口56bから外部に排出される。
【0040】
この場合、燃料電池スタック10の運転温度は、60℃以下(好ましくは30℃〜50℃)と低温であり、発電反応により生成される生成水は、液状水として存在する割合が大きい。この液状水の一部は、固体高分子電解質膜46を拡散して燃料ガス流路52に到達し、この燃料ガス流路52に前記液状水が存在し易い。このため、反応用空気流路56および燃料ガス流路52から液状水が排出される場合が多い。
【0041】
その際、燃料ガス流路52では、燃料ガスの供給圧力が低圧で、かつ供給量が低く設定されているものの、前記燃料ガスを重力方向に沿って流すため、前記燃料ガス流路52内の液状水は、上方から下方に向かって円滑かつ確実に流動する。このため、燃料ガス流路52内に液状水が滞留して発電セル16の発電性能が低下したり、発電が不安定になったりすることを確実に阻止することができる。
【0042】
ここで、固体高分子電解質膜46の上方には、燃料ガス供給連通孔42が設けられており、この固体高分子電解質膜46の上部側が乾燥され易い。一方、反応用空気は、反応用空気流路56に沿って下方から上方に、すなわち、反重力方向に沿って移動する。このため、反応用空気流路56の下流である上方には、上流である下方に比べて多量の生成水が存在し、固体高分子電解質膜46の上部側を有効に加湿することができる。反応用空気流路56の上方において、液状水が固体高分子電解質膜46を拡散して燃料ガス流路52側に移動するからである。
【0043】
さらに、本実施形態では、反応用空気は、常に、燃料ガスの供給量の1.5倍〜25倍程度になるように設定されている。従って、反応用空気流路56内の液状水は、反応用空気の流動作用下に前記反応用空気流路56の上方に押し上げられる。この押し上げられた液状水の一部は、カソード側電極50を透過して固体高分子電解質膜46に達し、前記固体高分子電解質膜46の湿潤状態を維持することができる。これにより、水素イオンの伝導率を適正に維持するとともに、各発電セル16の発電性能を確保し、かつ安定した発電を遂行することが可能になるという効果が得られる。
【0044】
しかも、上記のように、反応生成水を用いて固体高分子電解質膜46を所望の湿潤状態に維持することができ、水素ボンベ88から燃料電池スタック10内に供給される燃料ガスの加湿を行う必要がない。一方、反応用空気は、第1ブロア80から燃料電池スタック10に供給される際に、この反応用空気の加湿を行う必要がない。
【0045】
このため、燃料ガスおよび反応用空気を、加湿せずに、すなわち、無加湿状態で、燃料電池スタック10に供給することが可能となり、加湿器や加湿用の制御システムが不要になる。これにより、燃料電池スタック10全体を有効に小型化かつ経済的に構成することができるという利点が得られる。
【0046】
実施例
電極面積が150cmの発電セル16を使用し、この発電セル16を1個だけ図1の燃料電池システム12に組み込んだ実施例を構成し、燃料ガスおよび反応用空気を供給した。そして、電流密度が0.2A/cmの条件下で発電を開始し、第2ブロア84の作用下に冷却用空気を20normal l/min〜30normal l/minの供給量で供給し、作動温度を40℃近傍に維持した。
【0047】
次いで、燃料ガスの供給圧力を0.5kPa〜0.33kPa間で領域▲1▼〜▲5▼の5段階に順次変化させるとともに、電極1cm当たりの供給量を0.0028normal l/min(水素利用率50%)〜0.0015normall/min(水素利用率90%)、すなわち、発電セル16当たりの供給量を0.42normal l/min〜0.23normal l/min間で領域▲1▼〜▲5▼の5段階に順次変化させ、前記燃料ガスを加湿することなく水素ボンベ88から供給した。
【0048】
一方、反応用空気では、加湿することなく第1ブロア80から供給圧力を1.1kPaで、かつ電極1cm当たりの供給量を0.0047normal l/min(空気利用率70%)、すなわち、発電セル16当たりの供給量を0.71normal l/minに設定して前記反応用空気を供給した。そこで、電流密度が0.2A/cmで作動したときのセル電圧およびセル温度の時間変化が、図7に示されている。
【0049】
また、比較例として、実施例の発電セル16を180°反転させ、燃料ガスを下方から上方に向かって反重力方向に、反応用空気を上方から下方に向かって重力方向に、それぞれ連通させる燃料電池システムを構成した。そして、上記の実施例と同様の条件で発電を行い、電流密度が0.2A/cmで作動したときのセル電圧とセル温度の時間変化を検出し、その結果が、図8に示されている。さらに、図7および図8の結果は、図9に比較説明図として示されている。
【0050】
これにより、発電セル16当たりの燃料ガス供給量を0.42normal l/min〜0.23normal l/minと低く設定した場合、実施例のセル電圧は、低下量が0.02Vと極めて小さくなる一方、比較例のセル電圧は、低下量が0.1Vと相当に大きなものとなった。
【0051】
しかも、発電セル16当たりの燃料ガス供給量が一定の場合、実施例のセル電圧は、比較例のセル電圧に比べて高い値となった。さらにまた、発電セル16当たりの燃料ガス供給量が一定の場合、実施例のセル電圧の変動が、比較例のセル電圧の変動に比べて小さくなった。
【0052】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池スタックでは、燃料電池スタックの作動温度が60℃以下に設定されるため、生成水が液状水として存在し易く、この液状水を使用して固体高分子電解質膜を良好に加湿することができる。
【0053】
さらに、燃料ガスの供給圧力および供給量が比較的低く設定されていても、液状水は、前記燃料ガスと共に燃料ガス流路内を上方から下方に向かって円滑かつ確実に流動し、前記燃料ガス流路内に前記液状水が滞留することがない。このため、発電セルの発電性能が低下したり、発電が不安定になったりすることを確実に阻止することができる。
【0054】
しかも、酸化剤ガスが酸化剤ガス流路内を下方から上方に向かって流動するため、比較的乾燥し易い固体高分子電解質膜の上方では、前記酸化剤ガス流路内の液状水が燃料ガス流路側に拡散し、前記固体高分子電解質膜を所望の湿潤状態に維持することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る燃料電池スタックを組み込む燃料電池システムの概略斜視説明図である。
【図2】前記燃料電池スタックの一部分解概略斜視図である。
【図3】前記燃料電池スタックの一部断面図である。
【図4】前記燃料電池スタックを構成する第1セパレータの一方の面の正面図である。
【図5】前記燃料電池スタックを構成する第1セパレータの他方の面の正面図である。
【図6】前記燃料電池スタックを構成する第2セパレータの一方の面の正面図である。
【図7】実施例のセル電圧およびセル温度と経過時間との関係図である。
【図8】比較例のセル電圧およびセル温度と経過時間との関係図である。
【図9】前記実施例と前記比較例との比較説明図である。
【図10】特許文献1の燃料電池スタックの概略斜視説明図である。
【符号の説明】
10…燃料電池スタック 12…燃料電池システム
16…発電セル 18…積層体
30…電解質膜・電極構造体 32、34…セパレータ
36a、36b…シール部材 38…反応用空気供給連通孔
40…冷却用空気供給連通孔 42…燃料ガス供給連通孔
44…燃料ガス排出連通孔 46…固体高分子電解質膜
48…アノード側電極 50…カソード側電極
52…燃料ガス流路 54…冷却用空気流路
54a…冷却用空気入口 54b…冷却用空気出口
56…反応用空気流路 56a…反応用空気入口
56b…反応用空気出口 60…反応用空気供給口
60a、62a、64a、66a…ブロック
62…冷却用空気供給口 64…燃料ガス供給口
66…燃料ガス排出口 70a、70b…バックアッププレート
74…外部負荷 80、84…ブロア
82、86、92…流量制御器 88…水素ボンベ
90…減圧弁

Claims (3)

  1. 固体高分子電解質膜の両側にアノード側電極とカソード側電極とを設けた電解質膜・電極構造体を、セパレータにより挟持するとともに、前記アノード側電極に沿って燃料ガスを供給する燃料ガス流路と、前記カソード側電極に沿って酸化剤ガスを供給する酸化剤ガス流路とを設ける複数の発電セルを備え、作動温度が60℃以下の燃料電池スタックであって、
    前記燃料ガス流路は、前記燃料ガスを重力方向に沿って流すとともに、該燃料ガスの供給圧力が0.1kPa〜50kPaで、かつ電極1cm当たりの供給量が0.0014normal l/min〜0.014normal l/minに設定される一方、
    前記酸化剤ガス流路は、前記酸化剤ガスを反重力方向に沿って流すことを特徴とする燃料電池スタック。
  2. 請求項1記載の燃料電池スタックにおいて、電極1cm当たりの前記酸化剤ガスの供給量は、前記燃料ガスの供給量の1.5倍〜25倍に設定されることを特徴とする燃料電池スタック。
  3. 請求項1または2記載の燃料電池スタックにおいて、前記燃料ガスおよび前記酸化剤ガスは、無加湿状態で供給されることを特徴とする燃料電池スタック。
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