JP2004326896A - 光ピックアップ - Google Patents
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Abstract
【課題】サスペンションワイヤをねじることなく、低消費電力で、高速に光軸の傾きを補正する。
【解決手段】対物レンズ(11)を保持する可動部(10A)と、可動部を複数本のサスペンションワイヤ(341〜344)を介してフォーカス方向(F)およびトラッキング方向(Tr)に変位可能に支持するダンパーベース(22A)と、ダンパーベースを揺動可能に支持するアクチュエーターベース(21A)と、アクチュエーターベースに対してダンパーベースを、所定方向(S)に延在する揺動軸の周りのチルト方向に駆動するチルト駆動装置(41、46、47)とを備える。
【選択図】 図3
【解決手段】対物レンズ(11)を保持する可動部(10A)と、可動部を複数本のサスペンションワイヤ(341〜344)を介してフォーカス方向(F)およびトラッキング方向(Tr)に変位可能に支持するダンパーベース(22A)と、ダンパーベースを揺動可能に支持するアクチュエーターベース(21A)と、アクチュエーターベースに対してダンパーベースを、所定方向(S)に延在する揺動軸の周りのチルト方向に駆動するチルト駆動装置(41、46、47)とを備える。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクドライブに備えられる光ピックアップに関し、特に、対物レンズを上下方向(フォーカス方向)および左右方向(トラッキング方向)に変位させるための光ピックアップアクチュエータを有する光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近では、パーソナルコンピュータ等の電子機器には光ディスクドライブが搭載されることが多い。光ディスクドライブに使用可能な記録媒体として、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(CD−ReWritable)が知られている。CD−Rは追記が可能な記録媒体であって、CD−RWは書き換え可能な記録媒体であるが、CD−ROM(CD−Read Only Memory)やオーディオCD(CD−DA: CD−Digital Audio)と互換性がある。CD−R、CD−RWへの書込みには専用の装置と書込み用アプリケーションとが必要であるが、CD−R、CD−RWからの読出しは通常のCD−ROMドライブで実行できる。CD−ROM、オーディオCD、CD±R、およびCD±RW、ならびに、DVD−ROM(Digital Versatile (Video) Disc−ROM)、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM(DVD−Random Access Memory)、DVD+R、およびDVD+RW等を、ここでは纏めて光ディスクと呼ぶことにする。
【0003】
さて、このような光ディスクに対して情報(データ)を書き込んだり、それから情報(データ)を読み出すために、光ディスクドライブは、光ディスク上にレーザビームを照射するための記録再生用光ピックアップを備えている。
【0004】
一般に、この種の光ピックアップは、レーザビームを出射するレーザ光源と、この出射されたレーザビームを光ディスクへ導く光学系とを備えている。前述したように、CD−Rでは情報の読出しばかりでなく、情報の書込みをも行うことができる。CD−R用の光ピックアップでは、レーザ光源から出射されるレーザビームの出力を、情報の読出し時と情報の書込み時とで切り替える必要がある。その理由は、情報の書込みを、レーザビームの照射により光ディスクの記録層にピットを形成することで行うからであり、情報書込み時におけるレーザ光源から出射されるレーザビームの出力は、情報読出し時における出力に比較して大きく、例えば、10〜20倍程度である。
【0005】
さて、このような光ピックアップにおいて、上記レーザ光源から出射されたレーザビームは光学系を通り、その光学系を構成する対物レンズによって光ディスクの信号記録面上に集光させることによって、情報の記録(書込み)や消去を行う。一方、光ピックアップは、その信号記録面からの反射光(戻り光)を光検出手段である光検出器(フォトディテクタ)で検出することによって、情報の再生を行う。
【0006】
このように、光ディスクドライブでは、光ピックアップから出射されるレーザビームを使用して光ディスクの記録・再生を行うので、フォーカシング制御とトラッキング制御とが不可欠である。このフォーカシング制御とトラッキング制御とを行うために、光ピックアップは、上記対物レンズを上下方向(フォーカス方向)と左右方向(トラッキング方向)に変位させるための光ピックアップアクチュエータを備えている。
【0007】
従来の光ピックアップアクチュエータは、対物レンズを保持するレンズホルダを含む可動部と、この可動部を複数本のサスペンションワイヤを介して上下左右方向に変位可能に支持するダンパーベースと、このダンパーベースを固定支持するアクチュエーターベースとを有している。
【0008】
以下、図1を参照して、従来の光ピックアップアクチュエータについて説明する。図1は、光ピックアップアクチュエータの斜視図である。
【0009】
図示の光ピックアップアクチュエータは、光ヘッド(光ピックアップ)の一部を構成する可動部10と、この可動部10を上下方向(フォーカス方向)Fおよび左右方向(トラッキング方向)Trに移動可能に支持する固定部20と、これらに設けられた駆動装置30とを備えている。
【0010】
可動部10は、対物レンズ11と、この対物レンズ11を保持するレンズホルダ12と、このレンズホルダ12を一体に固定保持する保持部13とを備えている。保持部13には、中央部に孔部13aが空けられている。この孔部13a中に駆動装置30が設けられている。駆動部30は、可動部分と固定部分とに分けられる。
【0011】
駆動装置30の可動部分は、第1および第2のトラッキングコイル31および32と、フォーカスコイル33とを有する。第1および第2のトラッキングコイル31および32は、保持部13で保持され、各々垂直方向に巻回されており、保持部13の中心軸に対して左右対称に設けられている。一方、フォーカスコイル33は、第1および第2のトラッキングコイル31および32に対して中心軸方向に隣接して保持部13で保持され、水平方向に巻回されている。駆動部30の固定部分については後述する。
【0012】
また、保持部13の両側には上下に2本づつ弾性を有する棒または線材からなる第1〜第4のサスペンションワイヤ341、342、343および344が設けられている。第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344の一端341a〜344aは、それぞれ、保持部13に、それから水平方向外側へ突出した第1〜第4の突起131、132、133および134で固定されている。一方、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344の他端341b〜344bは、後述するように、固定部20を構成するダンパーベースに固定される。
【0013】
固定部20は、アクチュエーターベース21と、ダンパーベース22とを有する。アクチュエーターベース21は、金属の磁性材料で形成された長四角形の枠状体の形状をしており、その一端側にダンパーベース22の受入れ部21aを形成する支持ブロック211を有する。即ち、ダンパーベース22は支持ブロック211上に固定支持されている。支持ブロック211は、アクチュエーターベース21に一体に成形されている。
【0014】
保持部13の孔部13a中に設けられる駆動部30の固定部分は、第1および第2のヨーク36および37と、第1および第2のマグネット38および39とを有する。第1および第2のヨーク36および37は、アクチュエーターベース21の一部から構成されて、アクチュエーターベース21から立設し、それらの間に、上述した第1および第2のトラッキングコイル31および32とフォーカスコイル33とが配設されている。第1のマグネット38は、第1のトラッキングコイル31および32と対向する側の、第1のヨーク36の面に取り付けられている。第2のマグネット39は、フォーカスコイル33と対向する側の、第2のヨーク37の面に取り付けられている。第1のヨーク36と第1のマグネット38とで第1の固定磁石部を構成し、第2のヨーク37と第2のマグネット39とで第2の固定磁石部を構成している。
【0015】
即ち、駆動装置30は、可動部10に保持された第1および第2のトラッキングコイル31、32およびフォーカスコイル33と、固定部20に設けられた第1および第2のヨーク36および37および第1および第2のマグネット38および39とによって構成されている。この駆動装置30によって、可動部10は固定部20(アクチュエーターベース21)に対してフォーカス方向Fおよびトラッキング方向Trに移動可能に構成されている。
【0016】
この駆動装置30では、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344を介して第1および第2のトラッキングコイル31、32およびフォーカスコイル33に通電すると、第1および第2の固定磁石部からの磁束の作用によって、可動部10を固定部20(アクチュエーターベース21)に対して相対的に移動するように駆動し、焦点およびトラッキングを調整するようにしている。
【0017】
さて、上述したような従来の光ピックアップアクチュエータでは、対物レンズ11をフォーカス方向Fおよびトラッキング方向Trに移動させる際に、対物レンズ11がレーザ光の光軸に対して傾かないように、上下および左右に平行移動させている。その理由は、対物レンズ11と対向配置される光ディスクの信号記録面が、一般には、実質的に水平面を持っているだろうと推測されるからである。換言すれば、従来の光ピックアップアクチュエータは、光ディスクの信号記録面が水平面を持っていることを前提として製造されている。
【0018】
しかし、現実の(実際の)光ディスクは反りを持っているのが普通である。このため、従来の光ピックアップアクチュエータを備えた光ピックアップを使用して、このような反りが生じている光ディスクから信号を読み込んだり、光ディスクへ信号を書き込む際に、光ディスクのレーザ光の照射位置で、光ディスクと対物レンズとが互いに非平行となってしまう。即ち、光ディスクの信号記録面上のレーザスポットの形状が所望の形状から変形してしまい、レーザスポットの形状が劣化してしまう。その結果、読み込みエラーや書き込みエラーを起こしてしまうという問題がある。換言すれば、光ディスクの信号記録面とそれに照射されるレーザ光(対物レンズ)の光軸とのずれに起因して信号劣化を引き起こしてしまう。
【0019】
この問題を解決するためには、光ディスクの反りにより信号記録面に対してレーザ光が傾くことで発生する波面収差を補正するため対物レンズを傾けたり、反りのある光ディスクの信号記録面に対してレーザ光を垂直に照射するため光ピックアップ全体を傾ける必要がある。即ち、回転する光ディスクの反り量の変化に対応して、傾いて照射されるレーザ光の光軸の傾きを補正する必要がある。この問題に対処するために、従来においては、以下に述べる3通りの方法が採用されている。
【0020】
第1の従来方法は、対物レンズ11を保持するレンズホルダ12にチルト補正用のコイルを配設し、光ディスクの反り量に対応してレンズホルダ12を傾ける方法である。
【0021】
第2の従来方法は、光ピックアップ自体を光ディスクの半径方向に添って摺動するスレッド機構のスライドシャフトを、光ディスクの反り量に対応して傾ける方法である。
【0022】
第3の従来方法は、上記スレッド機構全体を光ディスクの反り量に対応して傾ける方法である。
【0023】
また、レンズホルダ、スレッド機構におけるスライドシャフト、あるいはスレッド機構全体のいずれをチルトさせる構成においても、チルト角度を検出し、これが所望の値になるようにフィードバック制御することで、回転する光ディスクの反り量の変化に対応して、傾いて照射されるレーザ光の光軸の傾きを補正している。これを実現するためには、チルト角度を検出するためのチルトセンサが必要である。チルトセンサは、例えば、特開平7−128033号公報に開示されている。具体的には、従来、チルトセンサとしては、光ピックアップに具備されている光検出器(フォトディテクタ)が兼用されている。
【0024】
【特許文献1】
特開平7−128033号公報
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1〜第3の従来方法には、それぞれ、次に述べるような問題がある。
【0026】
第1の従来方法では、対物レンズ11のレンズホルダ12を傾けると、サスペンションワイヤ341〜344にねじれが生じる。換言すれば、サスペンションワイヤ341〜344にストレスがかかってしまう。このようなサスペンションワイヤ341〜344がねじれた状態で、光ピックアップアクチュエータにフォーカスサーボやトラッキングサーボを掛けると、対物レンズ11に通常起こり得ない新たな共振が発生してしまう。その結果、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボの特性が劣化してしまう。
【0027】
一方、第2または第3の従来方法では、スライドシャフトまたはスレッド機構全体を駆動する機構(以下、「チルト駆動機構」と呼ぶ。)が必要である。そのチルト駆動機構によって駆動される被駆動体(スライドシャフトまたはスレッド機構全体)の重量が重いので、光軸の傾きを高速に補正するためには、チルト駆動機構における消費電力が高くなってしまう。
【0028】
また、従来は、チルトセンサが光検出器で兼用されているため、即ち、光検出器が光ディスクに記録された信号の読み取りとチルト角度の検出との二機能を担うため、両機能を切り換えるための電気回路が複雑な構成であり、高コストである。
【0029】
それ故、本発明の課題は、サスペンションワイヤをねじることなく、高速に光軸の傾きを補正することができる光ピックアップを提供することにある。
【0030】
本発明の他の課題は、低消費電力で、高速に光軸の傾きを補正することができる光ピックアップを提供することにある。
【0031】
本発明のさらに他の課題は、簡素な電気回路の構成で、チルト角度の検出が可能な光ピックアップを提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、対物レンズ(11)を保持するレンズホルダ(12A)を含む可動部(10A)と、可動部をその両側から延在する複数本のサスペンションワイヤ(341〜344)を介してフォーカス方向(F)およびトラッキング方向(Tr)に変位可能に支持するためのダンパーベース(22A)と、ダンパーベースを揺動可能に支持するアクチュエーターベース(21A)と、アクチュエーターベースに対して可動部をフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動する主駆動装置(31−1〜31−4、33、36、37、38)と、アクチュエーターベースに対してダンパーベースを、フォーカス方向およびトラッキング方向の双方に直交する所定方向(S)に延在する揺動軸の周りのチルト方向に駆動するチルト駆動装置(41、46、47)とを備える光ピックアップアクチュエータと、前記ダンパーベース上に配置され、光ディスクの信号記録面に対して光を出射すると共に、光ディスクの信号記録面からの反射光を受光することによって、該ダンパーベースの光ディスクの信号記録面に対する前記チルト方向の傾きを検出するチルトセンサ(60)とを有する光ピックアップが得られる。
【0033】
本発明によればまた、前記対物レンズ(11)および前記チルトセンサ(60)双方の光学的中心は、共通の前記揺動軸上に配置されている前記光ピックアップが得られる。
【0034】
本発明によればさらに、前記チルトセンサ(60)は、前記ダンパーベースのうちの前記可動部に近い位置に配置されている前記光ピックアップが得られる。
【0035】
また、本発明によれば、前記チルトセンサ(60)の検出結果に基づいて、前記ダンパーベースの光ディスクの信号記録面に対する前記チルト方向の傾きが所望の値になるように、前記チルト駆動装置に対して駆動量を含む命令信号を出力する制御部をさらに有する前記光ピックアップが得られる。
【0036】
さらに、本発明によれば、上記揺動軸は、可動部がフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動されていない状態で、フォーカス方向に延在して対物レンズの中心を通る光軸と、光軸と直交しかつトラッキング方向に延在して対物レンズの中心を通るトラッキング軸との双方に直角に交わるように、配置されている前記光ピックアップが得られる。
【0037】
本発明によればまた、上記チルト駆動装置は、例えば、ダンパーベースに水平方向に巻回されて保持されたチルトコイル(41)と、チルトコイルと対向して、アクチュエーターベースに設けられた一対のチルトマグネット(46、47)とによって構成されている前記光ピックアップが得られる。
【0038】
本発明によればさらに、上記主駆動装置は、例えば、可動部に保持されたトラッキングコイル(31−1〜31−4)およびフォーカスコイル(33)と、アクチュエーターベースに設けられたヨーク(36、37)およびマグネット(38、39)とによって構成されている前記光ピックアップが得られる。
【0039】
尚、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、これらに限定されないのは勿論のことである。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態による光ピックアップにおける主に光ピックアップアクチュエータを示す斜視図である。図3は、図2に示した光ピックアップアクチュエータの分解斜視図である。図4は、図2に示した光ピックアップアクチュエータをカバーで覆った状態を示す斜視図である。尚、図2〜図4において、図1に示す光ピックアップアクチュエータと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付している。但し、図1に図示した従来の光ピックアップアクチュエータは、対物レンズ11の片側にのみ駆動装置30が設けられているタイプであるが、図2〜図4に図示した光ピックアップアクチュエータは、後述するように、対物レンズ11の両側に主駆動装置30Aが設けられているタイプである。
【0042】
図示の光ピックアップアクチュエータは、光ヘッド(光ピックアップ)の一部を構成する可動部10Aと、この可動部10Aを光軸が延在する上下方向(フォーカス方向)Fおよび左右方向(トラッキング)Trに移動可能に支持する支持固定部20Aと、これらに設けられた主駆動装置30Aおよびチルト駆動装置40とを備えている。
【0043】
可動部10Aは、対物レンズ11と、この対物レンズ11を保持するレンズホルダ12Aと、このレンズホルダ12Aを一体に固定保持する保持部13Aとを備えている。主駆動装置30Aは、可動部分と固定部分とに分けられる。
【0044】
主駆動装置30Aの可動部分は、第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4と、フォーカスコイル33とを有する。第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4は、保持部13Aの四隅前後両側で保持され、各々垂直方向に巻回されており、保持部13Aの中心軸に対して左右対称に設けられている。一方、フォーカスコイル33は、第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4に対して中心軸方向に隣接して保持部13Aで保持され、水平方向に巻回されている。主駆動装置30Aの固定部分については後述する。
【0045】
また、保持部13Aの左右両側には上下に2本づつ弾性を有する棒または線材からなる第1〜第4のサスペンションワイヤ341、342、343および344が設けられている。第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344の一端341a〜344aは、それぞれ、保持部13Aに、それから水平方向外側へ突出した第1〜第4の突起131〜134(但し、第3の突起は図示せず)で固定されている。一方、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344の他端341b〜344bは、後述する支持固定部20Aを構成するダンパーベースに支持される。
【0046】
支持固定部20Aは、アクチュエーターベース21Aと、ダンパーベース22Aとを有する。アクチュエーターベース21Aは、金属の磁性材料で形成された長四角形の枠状体の形状をしており、その一端側にダンパーベース22Aの受入れ部を形成する支持ブロック211を有する。ダンパーベース22Aは、後述するように、支持ブロック211上に揺動可能に支持されている。支持ブロック211は、アクチュエーターベース21Aに一体に成形されている。
【0047】
保持部13Aの前後両側に設けられる主駆動装置30Aの固定部分は、第1および第2のヨーク36および37と、第1および第2のマグネット38および39とを有する。第1および第2のヨーク36および37は、アクチュエーターベース21Aの一部から構成されて、アクチュエーターベース21Aから立設し、それらの間に、上述した第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4とフォーカスコイル33とが配設されている。第1のマグネット38は、第1および第2のトラッキングコイル31−1および31−2と対向する側の、第1のヨーク36の面に取り付けられ、第2のマグネット39は、第3および第4のトラッキングコイル31−3および31−4と対向する側の、第2のヨーク37の面に取り付けられている。第1のヨーク36と第1のマグネット38とで第1の固定磁石部を構成し、第2のヨーク37と第2のマグネット39とで第2の固定磁石部を構成している。
【0048】
即ち、主駆動装置30Aは、可動部10Aに保持された第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4およびフォーカスコイル33と、固定部20Aに設けられた第1および第2のヨーク36および37および第1および第2のマグネット38および39とによって構成されている。この主駆動装置30Aによって、可動部10Aは固定部20A(アクチュエーターベース21A)に対してフォーカス方向Fおよびトラッキング方向Trに移動可能に構成されている。
【0049】
この主駆動装置30Aでは、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344を介して第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4およびフォーカスコイル33に通電すると、第1および第2の固定磁石部からの磁束の作用によって、可動部10Aを固定部20A(アクチュエーターベース21A)に対して相対的に移動するように駆動し、焦点およびトラッキングを調整するようにしている。
【0050】
次に、チルト駆動装置40について説明する。ダンパーベース22Aは、前述したように、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344を支持するので、サスペンションワイヤ支持部とも呼ばれる。このダンパーベース22Aは、後述するように、アクチュエーターベース21Aに対して、揺動軸の周りに揺動可能に支持されている。ここで、揺動軸の延在する方向Sは、フォーカス方向Fおよびトラッキング方向Trの両方に直交する方向である。したがって、対物レンズ11を保持するレンズホルダ12Aは、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344と共に、所定方向Sに延在する揺動軸の周りにチルト方向に駆動される。
【0051】
尚、図示の例では、揺動軸は、対物レンズ11の中心を通るフォーカス方向に延在する光軸(フォーカス軸)と、対物レンズ11の中心を通りかつこの光軸と直交するトラッキング方向Trに延在するトラッキング軸との双方に直交している。
【0052】
図3に示されるように、アクチュエーターベース21Aは、ダンパーベース22Aを所定の方向Sの周りにチルト方向に揺動可能に支持するためのV字形の一対の支持片212と、ダンパーベース22Aの揺動範囲を規制するための一対のネジ213とを有する。一対の支持片212は、上記揺動軸上で互いに対向する面から突出する突起212a(図3では、一方のみ図示)を持つ。
【0053】
一方、ダンパーベース22Aは、一対の支持片212で支持される一対のV溝222(一方のみ図示する)と、一対のネジ213が貫通される一対の貫通穴223とを持つ。一対のV溝222には、上記突起212aが枢支可能に嵌合される穴(図示せず)が形成されている。即ち、一対の支持片212に形成された突起212aとV溝222に形成された穴とによって、ダンパーベース22Aを揺動させる揺動軸を形成している。
【0054】
チルト駆動装置40は、駆動部分と固定部分とに分けられる。チルト駆動装置40の可動部分はチルトコイル41を有している。このチルトコイル41は、ダンパーベース22Aの周りに水平方向に巻回されている。チルト駆動装置40の固定部分は第1および第2のチルトマグネット46および47を有する。第1および第2のチルトマグネット46および47は、チルトコイル41と対向する側の、支持ブロック211に取り付けられている。
【0055】
即ち、チルト駆動装置40は、ダンパーベース22Aに保持されたチルトコイル41と、アクチュエーターベース21Aに設けられた第1および第2のチルトマグネット46および47とによって構成される。このチルト駆動装置40によって、ダンパーベース22A(したがって、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344および可動部10Aも)はアクチュエーターベース21Aに対して、揺動軸の周りのチルト方向に揺動可能に構成されている。
【0056】
このように、本実施の形態に係るチルト駆動装置40は、ダンパーベース22Aをアクチュエーターベース21Aに揺動可能に支持した状態で、ダンパーベース22A、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344、および可動部10Aを揺動軸の周りにチルト方向に駆動しているので、レンズホルダ12Aを傾けても第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344にねじれを生じさせることがない。したがって、新たな対物レンズ11の共振は発生しない。
【0057】
尚、チルト方向に可動なダンパーベース22Aは、突起による軸支ではなく、シャフトによる軸支でもよい。さらには、エラストマ等で支持するものであってもよい。
【0058】
これに対して、上述した第1の従来方法を実現するチルト駆動装置では、ダンパーベース22がアクチュエーターベース21に固定設置された状態で、可動部10のみをチルト方向に駆動しているので、レンズホルダ12を傾けると必ず第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344にねじれが生じてしまう。その結果、前述したように、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344にストレスがかかり、対物レンズ11に通常起こり得ない新たな共振が発生してしまう。
【0059】
尚、特開2001−319353は、可動部を、光ディスクの反りによるフォーカス高さ変化に対応して、対物レンズの光軸方向が光ディスクの信号記録面に対してほぼ直交するように所定の傾きを持ってフォーカス方向に駆動させるようにした技術的思想を開示している。しかしながら、この公報でも、可動部をサスペンションワイヤを介して支持するダンパーベースは、アクチュエーターベースに固定設置されている。したがって、この公報による方法も実質的に前述した第1の従来方法と同様の方法であることが分かる。このため、この公報に開示された技術でも、レンズホルダを傾けると、サスペンションワイヤにねじれが生じてしまい、第1の従来方法と同様の問題が起こってしまう。
【0060】
また、本実施の形態によるチルト駆動装置40は、被駆動体としてダンパーベース22A、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344、および可動部10Aを駆動しているので、上述した第2または第3の従来方法を実現するためのチルト駆動機構のように、スライドシャフトまたはスレッド機構全体のような比較的重い被駆動体を駆動する場合に比較して、被駆動体の重量を比較的軽量となる。したがって、本実施の形態によるチルト駆動装置40は、低消費電力で光軸の傾きを高速に補正することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態では、ダンパーベース22Aの揺動軸を対物レンズ11の中心を通る方向へ延在させているので、光軸補正の際に、対物レンズ11の中心位置ずれを防ぐことが可能である。
【0062】
本光ピックアップは、ダンパーベース22A上に配置され、光ディスクの信号記録面に対して光を出射すると共に、光ディスクの信号記録面からの反射光を受光することによって、ダンパーベース22Aの光ディスクの信号記録面に対するチルト方向の傾きを検出するチルトセンサ60をさらに有している。
【0063】
チルトセンサ60は、光出射部を有しているのに加え、その受光部が少くともトラッキング方向Trに並んだ2以上のセンサ片または2以上の領域領域から成り、このセンサ片または領域間の光ディスクの信号記録面からの反射光の受光量の相違に基づいて、ダンパーベース22Aの光ディスクの信号記録面に対するチルト方向の傾き、換言すれば、光ディスクの傾きを検出するものである。
【0064】
チルトセンサ60によるチルト角の検出のためのより具体的な構成は、光ディスクに記録された信号を読み取る光検出器を用いてチルト角をも検出する従来技術や、前述の特許文献に開示されているため、ここでは詳述しない。
【0065】
対物レンズ11およびチルトセンサ60双方の光学的中心は、共通の揺動軸上に配置されている。これにより、対物レンズ11およびチルトセンサ60が互いに同じチルト角で傾斜するため、チルトセンサ60が厳密には対物レンズ11と異なる位置にあるけれども、対物レンズ11(可動部10)のチルト角検出が正確になされる。尚、チルトセンサ60がダンパーベース22Aのうちの可動部10に可及的近い位置に配置されていることが、より好ましい。
【0066】
本光ピックアップは、チルトセンサ60の検出結果に基づいて、ダンパーベース22Aの光ディスクの信号記録面に対するチルト方向の傾きが所望の値になるように、チルト駆動装置40に対して駆動量を含む命令信号を出力する制御部(図示せず)をさらに有している。
【0067】
具体的な動作としては、制御部は、光ディスクの信号記録面と対物レンズ11とが相対的に平行であるときに、エラー検出がゼロとなるように予め設定されている。光ディスクの記録時、再生時に、まず、チルトセンサ60、チルト駆動装置40、および制御部を有するチルトサーボシステムが稼動する。続いて、フォーカスおよびトラッキングサーボシステムが稼動し、光ディスクからの信号再生、光ディスクへの信号記録が行われる。このようにして、光ディスクの反りやスキュー調整不良等によるずれなどに因る再生、記録エラーが防止される。
【0068】
本発明は上述した実施の形態に限定せず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更・変形が可能なのは勿論である。例えば、上述した実施の形態では、対物レンズの両側に主駆動装置が設けられているタイプの光ピックアップアクチュエータに適用した例についてのみ述べているが、本発明は対物レンズの片側にのみ主駆動装置が設けられているタイプの光ピックアップアクチュエータにも同様に適用できるのは勿論である。
【0069】
例えば、光ピックアップアクチュエータは、方向Sに延在する揺動軸の周りの第1のチルト方向ならびに第1のチルト方向に直交する第2のチルト方向の二つのチルト方向に、可動部が可動であってもよい。この場合、ダンパーベースが二軸方向に可動な構造であると共に、チルト駆動部も二軸方向に駆動可能とすることは勿論のこと、トラッキング方向Trに、かつ、方向Sに並んだ4以上のセンサ片または4以上の領域領域から成り、このセンサ片または領域間の光ディスクの信号記録面からの反射光の受光量の相違に基づいて、ダンパーベース22Aの光ディスクの信号記録面に対する第1および第2のチルト方向の傾き、換言すれば、光ディスクの傾きを検出するものとする。尚、二軸方向に可動なダンパーベースは、突起等による軸支ではなく、エラストマ等で支持するものであってもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、対物レンズを保持するレンズホルダをサスペンションワイヤを介してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動可能に支持するダンパーベースを、アクチュエーターベースに対して固定設置するのではなく、アクチュエーターベースに対して揺動軸の周りに揺動可能に支持しているので、レンズホルダをチルト方向に駆動する際に、サスペンションワイヤにねじれが生じるのを防止することができる。
【0071】
これにより、サスペンションワイヤのねじれに起因する新たな対物レンズの共振が発生するのを防止することができる。また、本発明によるチルト駆動装置によって駆動する被駆動体は、ダンパーベース、サスペンションワイヤおよび可動部であり、比較的軽量であるので、低消費電力で光軸の傾きを高速に補正することができる。
【0072】
また、光ディスクに記録された信号の読み取りとチルト角度の検出との二機能を異なるセンサで分担した構成であるため、従来必要であった両機能を切り換えるための電気回路の構成が不要であり、電気回路が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光ピックアップアクチュエータの斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態による光ピックアップアクチュエータの斜視図である。
【図3】図2に示した光ピックアップアクチュエータの分解斜視図である。
【図4】図2に示した光ピックアップアクチュエータをカバーで覆った状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10A 可動部
11 対物レンズ
12A レンズホルダ
21A アクチュエーターベース
22A ダンパーベース(サスペンションワイヤ支持部)
341〜344 サスペンションワイヤ
40 チルト駆動装置
41 チルトコイル
46、47 チルトマグネット
60 チルトセンサ
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ディスクドライブに備えられる光ピックアップに関し、特に、対物レンズを上下方向(フォーカス方向)および左右方向(トラッキング方向)に変位させるための光ピックアップアクチュエータを有する光ピックアップに関する。
【0002】
【従来の技術】
最近では、パーソナルコンピュータ等の電子機器には光ディスクドライブが搭載されることが多い。光ディスクドライブに使用可能な記録媒体として、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(CD−ReWritable)が知られている。CD−Rは追記が可能な記録媒体であって、CD−RWは書き換え可能な記録媒体であるが、CD−ROM(CD−Read Only Memory)やオーディオCD(CD−DA: CD−Digital Audio)と互換性がある。CD−R、CD−RWへの書込みには専用の装置と書込み用アプリケーションとが必要であるが、CD−R、CD−RWからの読出しは通常のCD−ROMドライブで実行できる。CD−ROM、オーディオCD、CD±R、およびCD±RW、ならびに、DVD−ROM(Digital Versatile (Video) Disc−ROM)、DVD−R、DVD−RW、DVD−RAM(DVD−Random Access Memory)、DVD+R、およびDVD+RW等を、ここでは纏めて光ディスクと呼ぶことにする。
【0003】
さて、このような光ディスクに対して情報(データ)を書き込んだり、それから情報(データ)を読み出すために、光ディスクドライブは、光ディスク上にレーザビームを照射するための記録再生用光ピックアップを備えている。
【0004】
一般に、この種の光ピックアップは、レーザビームを出射するレーザ光源と、この出射されたレーザビームを光ディスクへ導く光学系とを備えている。前述したように、CD−Rでは情報の読出しばかりでなく、情報の書込みをも行うことができる。CD−R用の光ピックアップでは、レーザ光源から出射されるレーザビームの出力を、情報の読出し時と情報の書込み時とで切り替える必要がある。その理由は、情報の書込みを、レーザビームの照射により光ディスクの記録層にピットを形成することで行うからであり、情報書込み時におけるレーザ光源から出射されるレーザビームの出力は、情報読出し時における出力に比較して大きく、例えば、10〜20倍程度である。
【0005】
さて、このような光ピックアップにおいて、上記レーザ光源から出射されたレーザビームは光学系を通り、その光学系を構成する対物レンズによって光ディスクの信号記録面上に集光させることによって、情報の記録(書込み)や消去を行う。一方、光ピックアップは、その信号記録面からの反射光(戻り光)を光検出手段である光検出器(フォトディテクタ)で検出することによって、情報の再生を行う。
【0006】
このように、光ディスクドライブでは、光ピックアップから出射されるレーザビームを使用して光ディスクの記録・再生を行うので、フォーカシング制御とトラッキング制御とが不可欠である。このフォーカシング制御とトラッキング制御とを行うために、光ピックアップは、上記対物レンズを上下方向(フォーカス方向)と左右方向(トラッキング方向)に変位させるための光ピックアップアクチュエータを備えている。
【0007】
従来の光ピックアップアクチュエータは、対物レンズを保持するレンズホルダを含む可動部と、この可動部を複数本のサスペンションワイヤを介して上下左右方向に変位可能に支持するダンパーベースと、このダンパーベースを固定支持するアクチュエーターベースとを有している。
【0008】
以下、図1を参照して、従来の光ピックアップアクチュエータについて説明する。図1は、光ピックアップアクチュエータの斜視図である。
【0009】
図示の光ピックアップアクチュエータは、光ヘッド(光ピックアップ)の一部を構成する可動部10と、この可動部10を上下方向(フォーカス方向)Fおよび左右方向(トラッキング方向)Trに移動可能に支持する固定部20と、これらに設けられた駆動装置30とを備えている。
【0010】
可動部10は、対物レンズ11と、この対物レンズ11を保持するレンズホルダ12と、このレンズホルダ12を一体に固定保持する保持部13とを備えている。保持部13には、中央部に孔部13aが空けられている。この孔部13a中に駆動装置30が設けられている。駆動部30は、可動部分と固定部分とに分けられる。
【0011】
駆動装置30の可動部分は、第1および第2のトラッキングコイル31および32と、フォーカスコイル33とを有する。第1および第2のトラッキングコイル31および32は、保持部13で保持され、各々垂直方向に巻回されており、保持部13の中心軸に対して左右対称に設けられている。一方、フォーカスコイル33は、第1および第2のトラッキングコイル31および32に対して中心軸方向に隣接して保持部13で保持され、水平方向に巻回されている。駆動部30の固定部分については後述する。
【0012】
また、保持部13の両側には上下に2本づつ弾性を有する棒または線材からなる第1〜第4のサスペンションワイヤ341、342、343および344が設けられている。第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344の一端341a〜344aは、それぞれ、保持部13に、それから水平方向外側へ突出した第1〜第4の突起131、132、133および134で固定されている。一方、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344の他端341b〜344bは、後述するように、固定部20を構成するダンパーベースに固定される。
【0013】
固定部20は、アクチュエーターベース21と、ダンパーベース22とを有する。アクチュエーターベース21は、金属の磁性材料で形成された長四角形の枠状体の形状をしており、その一端側にダンパーベース22の受入れ部21aを形成する支持ブロック211を有する。即ち、ダンパーベース22は支持ブロック211上に固定支持されている。支持ブロック211は、アクチュエーターベース21に一体に成形されている。
【0014】
保持部13の孔部13a中に設けられる駆動部30の固定部分は、第1および第2のヨーク36および37と、第1および第2のマグネット38および39とを有する。第1および第2のヨーク36および37は、アクチュエーターベース21の一部から構成されて、アクチュエーターベース21から立設し、それらの間に、上述した第1および第2のトラッキングコイル31および32とフォーカスコイル33とが配設されている。第1のマグネット38は、第1のトラッキングコイル31および32と対向する側の、第1のヨーク36の面に取り付けられている。第2のマグネット39は、フォーカスコイル33と対向する側の、第2のヨーク37の面に取り付けられている。第1のヨーク36と第1のマグネット38とで第1の固定磁石部を構成し、第2のヨーク37と第2のマグネット39とで第2の固定磁石部を構成している。
【0015】
即ち、駆動装置30は、可動部10に保持された第1および第2のトラッキングコイル31、32およびフォーカスコイル33と、固定部20に設けられた第1および第2のヨーク36および37および第1および第2のマグネット38および39とによって構成されている。この駆動装置30によって、可動部10は固定部20(アクチュエーターベース21)に対してフォーカス方向Fおよびトラッキング方向Trに移動可能に構成されている。
【0016】
この駆動装置30では、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344を介して第1および第2のトラッキングコイル31、32およびフォーカスコイル33に通電すると、第1および第2の固定磁石部からの磁束の作用によって、可動部10を固定部20(アクチュエーターベース21)に対して相対的に移動するように駆動し、焦点およびトラッキングを調整するようにしている。
【0017】
さて、上述したような従来の光ピックアップアクチュエータでは、対物レンズ11をフォーカス方向Fおよびトラッキング方向Trに移動させる際に、対物レンズ11がレーザ光の光軸に対して傾かないように、上下および左右に平行移動させている。その理由は、対物レンズ11と対向配置される光ディスクの信号記録面が、一般には、実質的に水平面を持っているだろうと推測されるからである。換言すれば、従来の光ピックアップアクチュエータは、光ディスクの信号記録面が水平面を持っていることを前提として製造されている。
【0018】
しかし、現実の(実際の)光ディスクは反りを持っているのが普通である。このため、従来の光ピックアップアクチュエータを備えた光ピックアップを使用して、このような反りが生じている光ディスクから信号を読み込んだり、光ディスクへ信号を書き込む際に、光ディスクのレーザ光の照射位置で、光ディスクと対物レンズとが互いに非平行となってしまう。即ち、光ディスクの信号記録面上のレーザスポットの形状が所望の形状から変形してしまい、レーザスポットの形状が劣化してしまう。その結果、読み込みエラーや書き込みエラーを起こしてしまうという問題がある。換言すれば、光ディスクの信号記録面とそれに照射されるレーザ光(対物レンズ)の光軸とのずれに起因して信号劣化を引き起こしてしまう。
【0019】
この問題を解決するためには、光ディスクの反りにより信号記録面に対してレーザ光が傾くことで発生する波面収差を補正するため対物レンズを傾けたり、反りのある光ディスクの信号記録面に対してレーザ光を垂直に照射するため光ピックアップ全体を傾ける必要がある。即ち、回転する光ディスクの反り量の変化に対応して、傾いて照射されるレーザ光の光軸の傾きを補正する必要がある。この問題に対処するために、従来においては、以下に述べる3通りの方法が採用されている。
【0020】
第1の従来方法は、対物レンズ11を保持するレンズホルダ12にチルト補正用のコイルを配設し、光ディスクの反り量に対応してレンズホルダ12を傾ける方法である。
【0021】
第2の従来方法は、光ピックアップ自体を光ディスクの半径方向に添って摺動するスレッド機構のスライドシャフトを、光ディスクの反り量に対応して傾ける方法である。
【0022】
第3の従来方法は、上記スレッド機構全体を光ディスクの反り量に対応して傾ける方法である。
【0023】
また、レンズホルダ、スレッド機構におけるスライドシャフト、あるいはスレッド機構全体のいずれをチルトさせる構成においても、チルト角度を検出し、これが所望の値になるようにフィードバック制御することで、回転する光ディスクの反り量の変化に対応して、傾いて照射されるレーザ光の光軸の傾きを補正している。これを実現するためには、チルト角度を検出するためのチルトセンサが必要である。チルトセンサは、例えば、特開平7−128033号公報に開示されている。具体的には、従来、チルトセンサとしては、光ピックアップに具備されている光検出器(フォトディテクタ)が兼用されている。
【0024】
【特許文献1】
特開平7−128033号公報
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、第1〜第3の従来方法には、それぞれ、次に述べるような問題がある。
【0026】
第1の従来方法では、対物レンズ11のレンズホルダ12を傾けると、サスペンションワイヤ341〜344にねじれが生じる。換言すれば、サスペンションワイヤ341〜344にストレスがかかってしまう。このようなサスペンションワイヤ341〜344がねじれた状態で、光ピックアップアクチュエータにフォーカスサーボやトラッキングサーボを掛けると、対物レンズ11に通常起こり得ない新たな共振が発生してしまう。その結果、フォーカスサーボおよびトラッキングサーボの特性が劣化してしまう。
【0027】
一方、第2または第3の従来方法では、スライドシャフトまたはスレッド機構全体を駆動する機構(以下、「チルト駆動機構」と呼ぶ。)が必要である。そのチルト駆動機構によって駆動される被駆動体(スライドシャフトまたはスレッド機構全体)の重量が重いので、光軸の傾きを高速に補正するためには、チルト駆動機構における消費電力が高くなってしまう。
【0028】
また、従来は、チルトセンサが光検出器で兼用されているため、即ち、光検出器が光ディスクに記録された信号の読み取りとチルト角度の検出との二機能を担うため、両機能を切り換えるための電気回路が複雑な構成であり、高コストである。
【0029】
それ故、本発明の課題は、サスペンションワイヤをねじることなく、高速に光軸の傾きを補正することができる光ピックアップを提供することにある。
【0030】
本発明の他の課題は、低消費電力で、高速に光軸の傾きを補正することができる光ピックアップを提供することにある。
【0031】
本発明のさらに他の課題は、簡素な電気回路の構成で、チルト角度の検出が可能な光ピックアップを提供することにある。
【0032】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、対物レンズ(11)を保持するレンズホルダ(12A)を含む可動部(10A)と、可動部をその両側から延在する複数本のサスペンションワイヤ(341〜344)を介してフォーカス方向(F)およびトラッキング方向(Tr)に変位可能に支持するためのダンパーベース(22A)と、ダンパーベースを揺動可能に支持するアクチュエーターベース(21A)と、アクチュエーターベースに対して可動部をフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動する主駆動装置(31−1〜31−4、33、36、37、38)と、アクチュエーターベースに対してダンパーベースを、フォーカス方向およびトラッキング方向の双方に直交する所定方向(S)に延在する揺動軸の周りのチルト方向に駆動するチルト駆動装置(41、46、47)とを備える光ピックアップアクチュエータと、前記ダンパーベース上に配置され、光ディスクの信号記録面に対して光を出射すると共に、光ディスクの信号記録面からの反射光を受光することによって、該ダンパーベースの光ディスクの信号記録面に対する前記チルト方向の傾きを検出するチルトセンサ(60)とを有する光ピックアップが得られる。
【0033】
本発明によればまた、前記対物レンズ(11)および前記チルトセンサ(60)双方の光学的中心は、共通の前記揺動軸上に配置されている前記光ピックアップが得られる。
【0034】
本発明によればさらに、前記チルトセンサ(60)は、前記ダンパーベースのうちの前記可動部に近い位置に配置されている前記光ピックアップが得られる。
【0035】
また、本発明によれば、前記チルトセンサ(60)の検出結果に基づいて、前記ダンパーベースの光ディスクの信号記録面に対する前記チルト方向の傾きが所望の値になるように、前記チルト駆動装置に対して駆動量を含む命令信号を出力する制御部をさらに有する前記光ピックアップが得られる。
【0036】
さらに、本発明によれば、上記揺動軸は、可動部がフォーカス方向およびトラッキング方向に駆動されていない状態で、フォーカス方向に延在して対物レンズの中心を通る光軸と、光軸と直交しかつトラッキング方向に延在して対物レンズの中心を通るトラッキング軸との双方に直角に交わるように、配置されている前記光ピックアップが得られる。
【0037】
本発明によればまた、上記チルト駆動装置は、例えば、ダンパーベースに水平方向に巻回されて保持されたチルトコイル(41)と、チルトコイルと対向して、アクチュエーターベースに設けられた一対のチルトマグネット(46、47)とによって構成されている前記光ピックアップが得られる。
【0038】
本発明によればさらに、上記主駆動装置は、例えば、可動部に保持されたトラッキングコイル(31−1〜31−4)およびフォーカスコイル(33)と、アクチュエーターベースに設けられたヨーク(36、37)およびマグネット(38、39)とによって構成されている前記光ピックアップが得られる。
【0039】
尚、上記括弧内の参照符号は、理解を容易にするために付したものであり、一例に過ぎず、これらに限定されないのは勿論のことである。
【0040】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0041】
図2は、本発明の実施の形態による光ピックアップにおける主に光ピックアップアクチュエータを示す斜視図である。図3は、図2に示した光ピックアップアクチュエータの分解斜視図である。図4は、図2に示した光ピックアップアクチュエータをカバーで覆った状態を示す斜視図である。尚、図2〜図4において、図1に示す光ピックアップアクチュエータと同様の機能を有するものには同一の参照符号を付している。但し、図1に図示した従来の光ピックアップアクチュエータは、対物レンズ11の片側にのみ駆動装置30が設けられているタイプであるが、図2〜図4に図示した光ピックアップアクチュエータは、後述するように、対物レンズ11の両側に主駆動装置30Aが設けられているタイプである。
【0042】
図示の光ピックアップアクチュエータは、光ヘッド(光ピックアップ)の一部を構成する可動部10Aと、この可動部10Aを光軸が延在する上下方向(フォーカス方向)Fおよび左右方向(トラッキング)Trに移動可能に支持する支持固定部20Aと、これらに設けられた主駆動装置30Aおよびチルト駆動装置40とを備えている。
【0043】
可動部10Aは、対物レンズ11と、この対物レンズ11を保持するレンズホルダ12Aと、このレンズホルダ12Aを一体に固定保持する保持部13Aとを備えている。主駆動装置30Aは、可動部分と固定部分とに分けられる。
【0044】
主駆動装置30Aの可動部分は、第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4と、フォーカスコイル33とを有する。第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4は、保持部13Aの四隅前後両側で保持され、各々垂直方向に巻回されており、保持部13Aの中心軸に対して左右対称に設けられている。一方、フォーカスコイル33は、第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4に対して中心軸方向に隣接して保持部13Aで保持され、水平方向に巻回されている。主駆動装置30Aの固定部分については後述する。
【0045】
また、保持部13Aの左右両側には上下に2本づつ弾性を有する棒または線材からなる第1〜第4のサスペンションワイヤ341、342、343および344が設けられている。第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344の一端341a〜344aは、それぞれ、保持部13Aに、それから水平方向外側へ突出した第1〜第4の突起131〜134(但し、第3の突起は図示せず)で固定されている。一方、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344の他端341b〜344bは、後述する支持固定部20Aを構成するダンパーベースに支持される。
【0046】
支持固定部20Aは、アクチュエーターベース21Aと、ダンパーベース22Aとを有する。アクチュエーターベース21Aは、金属の磁性材料で形成された長四角形の枠状体の形状をしており、その一端側にダンパーベース22Aの受入れ部を形成する支持ブロック211を有する。ダンパーベース22Aは、後述するように、支持ブロック211上に揺動可能に支持されている。支持ブロック211は、アクチュエーターベース21Aに一体に成形されている。
【0047】
保持部13Aの前後両側に設けられる主駆動装置30Aの固定部分は、第1および第2のヨーク36および37と、第1および第2のマグネット38および39とを有する。第1および第2のヨーク36および37は、アクチュエーターベース21Aの一部から構成されて、アクチュエーターベース21Aから立設し、それらの間に、上述した第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4とフォーカスコイル33とが配設されている。第1のマグネット38は、第1および第2のトラッキングコイル31−1および31−2と対向する側の、第1のヨーク36の面に取り付けられ、第2のマグネット39は、第3および第4のトラッキングコイル31−3および31−4と対向する側の、第2のヨーク37の面に取り付けられている。第1のヨーク36と第1のマグネット38とで第1の固定磁石部を構成し、第2のヨーク37と第2のマグネット39とで第2の固定磁石部を構成している。
【0048】
即ち、主駆動装置30Aは、可動部10Aに保持された第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4およびフォーカスコイル33と、固定部20Aに設けられた第1および第2のヨーク36および37および第1および第2のマグネット38および39とによって構成されている。この主駆動装置30Aによって、可動部10Aは固定部20A(アクチュエーターベース21A)に対してフォーカス方向Fおよびトラッキング方向Trに移動可能に構成されている。
【0049】
この主駆動装置30Aでは、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344を介して第1〜第4のトラッキングコイル31−1〜31−4およびフォーカスコイル33に通電すると、第1および第2の固定磁石部からの磁束の作用によって、可動部10Aを固定部20A(アクチュエーターベース21A)に対して相対的に移動するように駆動し、焦点およびトラッキングを調整するようにしている。
【0050】
次に、チルト駆動装置40について説明する。ダンパーベース22Aは、前述したように、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344を支持するので、サスペンションワイヤ支持部とも呼ばれる。このダンパーベース22Aは、後述するように、アクチュエーターベース21Aに対して、揺動軸の周りに揺動可能に支持されている。ここで、揺動軸の延在する方向Sは、フォーカス方向Fおよびトラッキング方向Trの両方に直交する方向である。したがって、対物レンズ11を保持するレンズホルダ12Aは、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344と共に、所定方向Sに延在する揺動軸の周りにチルト方向に駆動される。
【0051】
尚、図示の例では、揺動軸は、対物レンズ11の中心を通るフォーカス方向に延在する光軸(フォーカス軸)と、対物レンズ11の中心を通りかつこの光軸と直交するトラッキング方向Trに延在するトラッキング軸との双方に直交している。
【0052】
図3に示されるように、アクチュエーターベース21Aは、ダンパーベース22Aを所定の方向Sの周りにチルト方向に揺動可能に支持するためのV字形の一対の支持片212と、ダンパーベース22Aの揺動範囲を規制するための一対のネジ213とを有する。一対の支持片212は、上記揺動軸上で互いに対向する面から突出する突起212a(図3では、一方のみ図示)を持つ。
【0053】
一方、ダンパーベース22Aは、一対の支持片212で支持される一対のV溝222(一方のみ図示する)と、一対のネジ213が貫通される一対の貫通穴223とを持つ。一対のV溝222には、上記突起212aが枢支可能に嵌合される穴(図示せず)が形成されている。即ち、一対の支持片212に形成された突起212aとV溝222に形成された穴とによって、ダンパーベース22Aを揺動させる揺動軸を形成している。
【0054】
チルト駆動装置40は、駆動部分と固定部分とに分けられる。チルト駆動装置40の可動部分はチルトコイル41を有している。このチルトコイル41は、ダンパーベース22Aの周りに水平方向に巻回されている。チルト駆動装置40の固定部分は第1および第2のチルトマグネット46および47を有する。第1および第2のチルトマグネット46および47は、チルトコイル41と対向する側の、支持ブロック211に取り付けられている。
【0055】
即ち、チルト駆動装置40は、ダンパーベース22Aに保持されたチルトコイル41と、アクチュエーターベース21Aに設けられた第1および第2のチルトマグネット46および47とによって構成される。このチルト駆動装置40によって、ダンパーベース22A(したがって、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344および可動部10Aも)はアクチュエーターベース21Aに対して、揺動軸の周りのチルト方向に揺動可能に構成されている。
【0056】
このように、本実施の形態に係るチルト駆動装置40は、ダンパーベース22Aをアクチュエーターベース21Aに揺動可能に支持した状態で、ダンパーベース22A、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344、および可動部10Aを揺動軸の周りにチルト方向に駆動しているので、レンズホルダ12Aを傾けても第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344にねじれを生じさせることがない。したがって、新たな対物レンズ11の共振は発生しない。
【0057】
尚、チルト方向に可動なダンパーベース22Aは、突起による軸支ではなく、シャフトによる軸支でもよい。さらには、エラストマ等で支持するものであってもよい。
【0058】
これに対して、上述した第1の従来方法を実現するチルト駆動装置では、ダンパーベース22がアクチュエーターベース21に固定設置された状態で、可動部10のみをチルト方向に駆動しているので、レンズホルダ12を傾けると必ず第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344にねじれが生じてしまう。その結果、前述したように、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344にストレスがかかり、対物レンズ11に通常起こり得ない新たな共振が発生してしまう。
【0059】
尚、特開2001−319353は、可動部を、光ディスクの反りによるフォーカス高さ変化に対応して、対物レンズの光軸方向が光ディスクの信号記録面に対してほぼ直交するように所定の傾きを持ってフォーカス方向に駆動させるようにした技術的思想を開示している。しかしながら、この公報でも、可動部をサスペンションワイヤを介して支持するダンパーベースは、アクチュエーターベースに固定設置されている。したがって、この公報による方法も実質的に前述した第1の従来方法と同様の方法であることが分かる。このため、この公報に開示された技術でも、レンズホルダを傾けると、サスペンションワイヤにねじれが生じてしまい、第1の従来方法と同様の問題が起こってしまう。
【0060】
また、本実施の形態によるチルト駆動装置40は、被駆動体としてダンパーベース22A、第1〜第4のサスペンションワイヤ341〜344、および可動部10Aを駆動しているので、上述した第2または第3の従来方法を実現するためのチルト駆動機構のように、スライドシャフトまたはスレッド機構全体のような比較的重い被駆動体を駆動する場合に比較して、被駆動体の重量を比較的軽量となる。したがって、本実施の形態によるチルト駆動装置40は、低消費電力で光軸の傾きを高速に補正することができる。
【0061】
さらに、本実施の形態では、ダンパーベース22Aの揺動軸を対物レンズ11の中心を通る方向へ延在させているので、光軸補正の際に、対物レンズ11の中心位置ずれを防ぐことが可能である。
【0062】
本光ピックアップは、ダンパーベース22A上に配置され、光ディスクの信号記録面に対して光を出射すると共に、光ディスクの信号記録面からの反射光を受光することによって、ダンパーベース22Aの光ディスクの信号記録面に対するチルト方向の傾きを検出するチルトセンサ60をさらに有している。
【0063】
チルトセンサ60は、光出射部を有しているのに加え、その受光部が少くともトラッキング方向Trに並んだ2以上のセンサ片または2以上の領域領域から成り、このセンサ片または領域間の光ディスクの信号記録面からの反射光の受光量の相違に基づいて、ダンパーベース22Aの光ディスクの信号記録面に対するチルト方向の傾き、換言すれば、光ディスクの傾きを検出するものである。
【0064】
チルトセンサ60によるチルト角の検出のためのより具体的な構成は、光ディスクに記録された信号を読み取る光検出器を用いてチルト角をも検出する従来技術や、前述の特許文献に開示されているため、ここでは詳述しない。
【0065】
対物レンズ11およびチルトセンサ60双方の光学的中心は、共通の揺動軸上に配置されている。これにより、対物レンズ11およびチルトセンサ60が互いに同じチルト角で傾斜するため、チルトセンサ60が厳密には対物レンズ11と異なる位置にあるけれども、対物レンズ11(可動部10)のチルト角検出が正確になされる。尚、チルトセンサ60がダンパーベース22Aのうちの可動部10に可及的近い位置に配置されていることが、より好ましい。
【0066】
本光ピックアップは、チルトセンサ60の検出結果に基づいて、ダンパーベース22Aの光ディスクの信号記録面に対するチルト方向の傾きが所望の値になるように、チルト駆動装置40に対して駆動量を含む命令信号を出力する制御部(図示せず)をさらに有している。
【0067】
具体的な動作としては、制御部は、光ディスクの信号記録面と対物レンズ11とが相対的に平行であるときに、エラー検出がゼロとなるように予め設定されている。光ディスクの記録時、再生時に、まず、チルトセンサ60、チルト駆動装置40、および制御部を有するチルトサーボシステムが稼動する。続いて、フォーカスおよびトラッキングサーボシステムが稼動し、光ディスクからの信号再生、光ディスクへの信号記録が行われる。このようにして、光ディスクの反りやスキュー調整不良等によるずれなどに因る再生、記録エラーが防止される。
【0068】
本発明は上述した実施の形態に限定せず、本発明の要旨を逸脱しない範囲内で種々の変更・変形が可能なのは勿論である。例えば、上述した実施の形態では、対物レンズの両側に主駆動装置が設けられているタイプの光ピックアップアクチュエータに適用した例についてのみ述べているが、本発明は対物レンズの片側にのみ主駆動装置が設けられているタイプの光ピックアップアクチュエータにも同様に適用できるのは勿論である。
【0069】
例えば、光ピックアップアクチュエータは、方向Sに延在する揺動軸の周りの第1のチルト方向ならびに第1のチルト方向に直交する第2のチルト方向の二つのチルト方向に、可動部が可動であってもよい。この場合、ダンパーベースが二軸方向に可動な構造であると共に、チルト駆動部も二軸方向に駆動可能とすることは勿論のこと、トラッキング方向Trに、かつ、方向Sに並んだ4以上のセンサ片または4以上の領域領域から成り、このセンサ片または領域間の光ディスクの信号記録面からの反射光の受光量の相違に基づいて、ダンパーベース22Aの光ディスクの信号記録面に対する第1および第2のチルト方向の傾き、換言すれば、光ディスクの傾きを検出するものとする。尚、二軸方向に可動なダンパーベースは、突起等による軸支ではなく、エラストマ等で支持するものであってもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、対物レンズを保持するレンズホルダをサスペンションワイヤを介してフォーカス方向およびトラッキング方向に移動可能に支持するダンパーベースを、アクチュエーターベースに対して固定設置するのではなく、アクチュエーターベースに対して揺動軸の周りに揺動可能に支持しているので、レンズホルダをチルト方向に駆動する際に、サスペンションワイヤにねじれが生じるのを防止することができる。
【0071】
これにより、サスペンションワイヤのねじれに起因する新たな対物レンズの共振が発生するのを防止することができる。また、本発明によるチルト駆動装置によって駆動する被駆動体は、ダンパーベース、サスペンションワイヤおよび可動部であり、比較的軽量であるので、低消費電力で光軸の傾きを高速に補正することができる。
【0072】
また、光ディスクに記録された信号の読み取りとチルト角度の検出との二機能を異なるセンサで分担した構成であるため、従来必要であった両機能を切り換えるための電気回路の構成が不要であり、電気回路が簡素化される。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の光ピックアップアクチュエータの斜視図である。
【図2】本発明の一実施の形態による光ピックアップアクチュエータの斜視図である。
【図3】図2に示した光ピックアップアクチュエータの分解斜視図である。
【図4】図2に示した光ピックアップアクチュエータをカバーで覆った状態を示す斜視図である。
【符号の説明】
10A 可動部
11 対物レンズ
12A レンズホルダ
21A アクチュエーターベース
22A ダンパーベース(サスペンションワイヤ支持部)
341〜344 サスペンションワイヤ
40 チルト駆動装置
41 チルトコイル
46、47 チルトマグネット
60 チルトセンサ
Claims (7)
- 対物レンズを保持するレンズホルダを含む可動部と、
前記可動部をその両側から延在する複数本のサスペンションワイヤを介してフォーカス方向およびトラッキング方向に変位可能に支持するためのダンパーベースと、
前記ダンパーベースを揺動可能に支持するアクチュエーターベースと、
前記アクチュエーターベースに対して前記可動部を前記フォーカス方向および前記トラッキング方向に駆動する主駆動装置と、
前記アクチュエーターベースに対して前記ダンパーベースを、前記フォーカス方向および前記トラッキング方向の双方に直交する所定方向に延在する揺動軸の周りのチルト方向に駆動するチルト駆動装置とを備える光ピックアップアクチュエータと、
前記ダンパーベース上に配置され、光ディスクの信号記録面に対して光を出射すると共に、光ディスクの信号記録面からの反射光を受光することによって、該ダンパーベースの光ディスクの信号記録面に対する前記チルト方向の傾きを検出するチルトセンサとを有することを特徴とする光ピックアップ。 - 前記対物レンズおよび前記チルトセンサ双方の光学的中心は、共通の前記揺動軸上に配置されている請求項1に記載の光ピックアップ。
- 前記チルトセンサは、前記ダンパーベースのうちの前記可動部に近い位置に配置されている請求項1または2に記載の光ピックアップ。
- 前記チルトセンサの検出結果に基づいて、前記ダンパーベースの光ディスクの信号記録面に対する前記チルト方向の傾きが所望の値になるように、前記チルト駆動装置に対して駆動量を含む命令信号を出力する制御部をさらに有する請求項1乃至3のいずれかに記載の光ピックアップ。
- 前記揺動軸が、前記可動部が前記フォーカス方向およびトラッキング方向に駆動されていない状態で、前記フォーカス方向に延在して前記対物レンズの中心を通る光軸と、該光軸と直交しかつ前記トラッキング方向に延在して前記対物レンズの中心を通るトラッキング軸との双方に直角に交わるように、配置されている請求項1乃至4のいずれかに記載の光ピックアップ。
- 前記チルト駆動装置は、前記ダンパーベースに水平方向に巻回されて保持されたチルトコイルと、該チルトコイルと対向して、前記アクチュエーターベースに設けられた一対のチルトマグネットとによって構成されている請求項1乃至5のいずれかに記載の光ピックアップ。
- 前記主駆動装置は、前記可動部に保持されたトラッキングコイルおよびフォーカスコイルと、前記アクチュエーターベースに設けられたヨークおよびマグネットとによって構成されている請求項1乃至6のいずれかに記載の光ピックアップ。
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JP2003118803A JP2004326896A (ja) | 2003-04-23 | 2003-04-23 | 光ピックアップ |
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JP (1) | JP2004326896A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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KR101249136B1 (ko) * | 2005-12-23 | 2013-03-29 | 엘지전자 주식회사 | 광 픽업 액츄에이터의 와이어 홀더 구조 |
-
2003
- 2003-04-23 JP JP2003118803A patent/JP2004326896A/ja active Pending
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