JP2004325761A - 情報処理装置、情報処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コンテンツデータの再生出力が途切れるような不都合を回避する。
【解決手段】コンテンツデータを連続して再生出力させるべき場合には、現在再生対象である現コンテンツデータの次に再生対象となる次コンテンツデータについての改竄チェック処理を、現コンテンツデータについての暗号化復号/復調処理の終了後となるタイミングで開始させる。これにより、現コンテンツデータについての暗号化復号/復調処理と、次コンテンツデータについての改竄チェック処理が同時併行して実行される期間はなくなって、改竄チェック処理と暗号化復号/復調処理が同時実行されることに依る処理負担の増加は避けられる。
【選択図】 図4

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えばコンテンツ単位として扱われる単位データについて処理を実行する情報処理装置、及びその方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年においては、例えばオーディオデータ又はビデオデータなどのAV(Audio,Video)コンテンツデータについて、さらに何らかの符号化を施して記録することが行われる。このような符号化の1つとして、所定方式による圧縮形式とするための圧縮符号化が広く知られている。コンテンツデータを圧縮符号化すれば、コンテンツ単位のデータサイズも小さくなるから、有限の記録媒体の記録容量を有効に使用することができる。また、ネットワークを介してのコンテンツデータのダウンロードも、より短時間で行うことができる。
また、符号化としては、暗号化を施すことも行われるようになってきている。このような暗号化は、一般に著作権保護を目的として行われる。つまり、暗号符号化されたコンテンツデータを再生するのにあたっては、このコンテンツデータの再生が許可される場合に応じてのみ、暗号解読のための鍵が与えられるようにされる。そして、この鍵を利用して暗号化についての復号処理を行うことで、再生出力することができるようになる。
【0003】
このようにして符号化されたコンテンツデータとしては、例えば複数のコンテンツデータ間で内容が連続性を有している場合がある。このような場合において、単に、連続するコンテンツを順次再生したのでは、それぞれコンテンツデータごとに完結した再生出力となってしまい、コンテンツデータの前後において再生出力の連続性を与えることができない。そこで、再生順的に前後となるコンテンツデータについて、再生出力の連続性が維持されるように符号化を施すようにされた技術が知られている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−112341号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のようにして、複数のコンテンツデータの間での再生出力の連続性が与えられるようにした符号化技術の構成を採ったとしても、例えば、以下のような状況の場合には、再生出力の連続性を維持できなくなる場合がある。
【0006】
例えば、近年においては、上記したような暗号化及び圧縮符号化についての復号処理を、ソフトウェア処理として実行するように実行させる構成を採る場合がある。つまり、CPUなどが、復号処理のためのプログラムに従って処理を実行するものである。
【0007】
このような構成においては、例えば現在再生出力すべきコンテンツデータについての復号化処理を実行しているときに、CPUが、この複合化処理と併行して異なる他の処理を実行しなければならない場合がある。
ここで一般に、AVコンテンツデータの復号化処理は、CPUの占有率が高いとされる、重い処理である。そして、この復号化処理と併行して実行しなければならなくなった処理としても、相当にCPUの占有率が高い、重たい処理であったとする。
このような場合、例えばCPUに相当の負荷がかかり、再生出力の連続性を維持できない程度に復号化処理が遅くなってしまうようなことがある。このような状態では、例えばコンテンツデータ内であっても、再生出力が途切れてしまう状態が発生する可能性がある。
このような不都合に対応して、1つには、より高性能で処理能力の高いCPUを採用すればよいこととなるが、現状としては、例えばコストの問題から、システムに見合った処理能力のCPUを選定することが一般には行われる。従って、例えば上記したような再生出力の連続性を完全に保証できるレベルの処理能力が、実際のシステムに対応しては過剰であるような場合には、性能保証とコスト的なバランスが崩れるので、必ずしも好ましいことではない。
つまり、或る一定の処理能力のCPUを使用している条件の下では、復号化処理を実行している際において、例えばCPUの占有率が一定以下となるような構成を与えることが好ましいということになる。
【0008】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は上記した課題を考慮して、情報処理装置として次のように構成する。
つまり、再生出力対象である1つの単位データに対して実行すべき処理として、所定の符号化方式によって符号化された単位データを復号する復号処理と、上記復号処理の開始以前のタイミングで実行すべきものとされ、上記復号処理を実行するのに必須とされる所要の処理である復号前処理とを、少なくとも実行する単位データ対応処理手段と、所定のデータ容量を有し、復号処理によって得られた復号データが書き込まれて一時蓄積される蓄積手段と、この蓄積手段に蓄積されている復号データを連続的に読み出して再生出力用データとして出力する出力手段とを備える。
そして、上記単位データ対応処理手段は、単位データを連続して再生出力させるべき場合には、現在再生出力対象とされている単位データの次に再生出力対象となる単位データについての上記復号前処理を、現在再生出力対象とされている単位データについての復号処理の終了後となるタイミングで開始するように構成することとした。
【0009】
また、情報処理方法としては次のように構成することとした。
つまり、本発明の情報処理方法としては、再生出力対象である1つの単位データに対して実行すべき処理の1つであり、所定の符号化方式によって符号化された単位データを復号する復号処理と、再生出力対象である1つの単位データに対して実行すべき処理の1つであり、上記復号処理の開始以前のタイミングで実行すべきものとされ、復号処理を実行するのに必須とされる所要の処理である復号前処理と、この復号処理によって得られた復号データが書き込まれて一時蓄積される蓄積領域から、蓄積されている復号データを連続的に読み出して、再生出力用データとして出力する出力処理とを実行可能とされる。
そして、単位データを連続して再生出力させるべき場合には、現在再生出力対象とされている単位データの次に再生出力対象となる単位データについての復号前処理は、現在再生出力対象とされている単位データについての復号処理の終了後となるタイミングで開始するようにして構成することとした。
【0010】
上記各構成によると、単位データを再生出力させるために、少なくとも、符号化された単位データを復号する復号処理と、この復号処理の実行開始前において必須となる所要の処理である復号前処理とを実行するようにされている。そして、復号処理後の単位データは一時蓄積された後に再生出力されるようになっている。
そして、このような単位データの再生出力のための処理が行われることを前提として、複数の単位データを連続して再生出力させる場合においては、現在再生出力されている単位データの次に再生されるべき単位データのための復号前処理を、現在再生出力されている単位データのための復号処理の終了後のタイミングで開始するようにされている。
これは即ち、現在再生出力されている単位データの復号処理と、その次に再生出力されるべき単位データの復号前処理とを、同時に併行して実行させないようにしていることを意味する。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1のブロック図は、本発明の実施の形態としての情報処理装置が適用される記録再生装置1の構成例を示している。
CPU(Central Processing Unit)11は、起動されたプログラムに基づいて記録再生装置1の全体の制御、演算処理を行う。例えばネットワークを介した通信動作、ユーザーに対する入出力動作、メディアからのコンテンツ再生やリッピング、HDD21へのコンテンツ記憶やそのための管理などを行う。
CPU11はバス12を介して各回路部との間で制御信号やデータのやりとりを行う。
【0012】
ROM13は、CPU11が実行すべき動作プログラム、プログラムローダーや、各種演算係数、プログラムで用いるパラメータ等が記憶される。
また、RAM20には、CPU11が実行すべきプログラムが展開される。また、CPU11が各種処理を実行する際において必要となるデータ領域、タスク領域としても用いられる。そして、本実施の形態では、このようなデータ領域、タスク領域の1つとして、バッファエリア20aとしての領域が確保される場合がある。このバッファエリア20aは、例えば、メディアドライブ19に装填されたメディア又はHDD21などから読み出したコンテンツデータを再生出力させる際において、デコード処理後のコンテンツデータが一時蓄積される領域とされる。
なお、以降の説明を単純なものとするために、本実施の形態の記録再生装置1が対応して記録再生可能なコンテンツデータとしては、オーディオのコンテンツデータであることとする。
【0013】
操作入力部15は、記録再生装置1の筐体に設けられた操作キーやジョグダイヤル、タッチパネルなどの各種操作子などから成る部位である。なお、GUI(Graphical User Interface)操作のためのキーボードやマウスが操作入力部15として設けられてもよい。また、操作入力部15としては、リモートコントローラとされてもよい。
操作入力部15で入力された情報は入力処理部14において所定の処理が施され、CPU11に対して操作コマンドとして伝送される。CPU11は入力された操作コマンドに応答した機器としての動作が得られるように、所要の演算や制御を行う。
【0014】
ディスプレイモニタ17としては、例えば液晶ディスプレイなどの表示デバイスが接続され、各種情報表示が行われる。
CPU11が各種動作状態や入力状態、通信状態に応じて表示情報を表示処理部16に供給すると、表示処理部16は供給された表示データに基づいてディスプレイモニタ17に表示動作を実行させる。
例えば本実施の形態の場合であれば、リッピングされたオーディオファイルを再生管理するプログラムに従っては、オーディオファイルを管理、再生するためのGUI画面が表示される。
【0015】
この場合のメディアドライブ19は、所定のメディアに対応して少なくとも再生が可能なドライブとされる。もちろんのこと、所定メディアに対応して、再生だけではなく、記録が可能なドライブとされても良い。
また、この場合のメディアドライブ19が対応するメディアとしては、特に限定されるべきものではないが、例えばCD、DVD、ミニディスクなどの各種光学ディスク状記録媒体とされても良い。あるいは、フラッシュメモリなどのメモリ素子により構成されたメディアとされてもよい。また、メディアドライブとしては、例えばこれらの各種メディアに対応した各種のドライブが個々に設けられてバス12と接続される構成とされてもよいものである。
【0016】
例えばユーザーが操作入力部15に対する操作によって、メディアドライブ19による再生指示を行った場合は、CPU11は、メディアドライブ19に対してメディアに対する再生を指示する。これに応じて、メディアドライブ19は、装填されているメディアから、指定されたデータにアクセスして読み出しを実行する。
【0017】
このようにして読み出されたデータが、オーディオコンテンツである場合には、必要に応じてCPU11の処理によってデコード処理等が施された後、オーディオ入出力処理部24に転送される。オーディオ入出力処理部24においては、イコライジング等の音場処理や音量調整、D/A変換、増幅等の処理が施され、スピーカ部25から出力される。
【0018】
またメディアドライブ19にて再生されたデータは、CPU11の制御によって、HDD21にオーディオデータファイルとして蓄積することもできる。つまり、いわゆるリッピングにより得たオーディオデータファイルをコンテンツとして記憶させることができる。
なお、このオーディオデータファイルの形式としては、CDフォーマットにおけるサンプリング周波数44.1KHzで16ビット量子化のデジタルオーディオデータとされてもよいし、HDD21の容量を節約するために、所定方式にしたがって圧縮処理が施された形式の圧縮オーディオデータとされてもよい。また、圧縮方式としても限定されるものではないが、ATRAC(Adaptive Transform Acoustic Coding)方式やMP3(MPEG Audio Layer III)方式などを採用することができる。
【0019】
チューナ部27は、例えばAM・FMラジオチューナとされ、CPU11の制御に基づいて、アンテナ26で受信された放送信号を復調する。もちろんテレビチューナや衛星放送チューナ、デジタル放送チューナなどとしてのチューナでもよい。
復調された放送音声信号は、オーディオデータ処理部24において所要の処理が施され、スピーカ部25から放送音声として出力される。
【0020】
通信処理部22は、CPU11の制御に基づいて送信データのエンコード処理、受信データのデコード処理を行う。
ネットワークインターフェイス23は、通信処理部22でエンコードされた送信データをネットワークを介して所定の外部ネットワーク対応機器に送信する。またネットワークを介して外部ネットワーク対応機器から送信されてきた信号を通信処理部22に受け渡す。
通信処理部22は受信した情報をCPU11に転送する。
【0021】
なお、記録再生装置1の構成は、この図1の構成に限られるものではなく、更に多様に考えられる。
例えばUSB(Universal Serial Bus)、IEEE1394、Bluetoothなどの通信方式による周辺機器とのインターフェースが設けられるようにしてもよい。
そして、上記ネットワークインターフェイス23によりネットワークを介してダウンロードしたオーディオのコンテンツデータや、上記USB、IEEE1394などのインターフェイスを経由して転送されてきたオーディオのコンテンツデータについても、HDD21に対して記憶させることができる。
またマイクロホンや外部のヘッドホンの接続に用いられる端子や、DVD再生時に対応するビデオ出力端子、ライン接続端子、光デジタル接続端子等が設けられてもよい。
またPCMCIAスロット、メモリカードスロットなどが形成され、外部の情報処理装置やオーディオ機器とデータのやりとりが可能とされてもよい。
【0022】
上記図1による説明から理解されるように、本実施の形態の記録再生装置1は、オーディオのコンテンツデータについて、音声として再生出力することが可能とされる。例えば、メディアドライブ19に装填されたメディアにコンテンツデータが記録されていれば、このメディアから読み出したコンテンツデータについての再生出力を行うことができる。また、HDD21に記憶されているコンテンツデータについての読み出しを行って再生出力させることができる。
【0023】
そのうえで、本実施の形態としては、所定の圧縮符号化方式により圧縮符号化されたうえで、さらに所定の暗号化方式により暗号化が施されたオーディオのコンテンツデータ(以下、単に「暗号化コンテンツ」ともいう)について、音声として再生出力することが可能に構成されている。
【0024】
このような暗号化コンテンツを、音声として再生出力するための処理シーケンスについて、図2を参照して説明する。図2には、1つの暗号化コンテンツを再生出力する場合が示されている。また、ここでは説明を簡単にするために、再生対象の暗号化コンテンツが記憶されているのはHDD21であることとする。
但し、以降説明する本実施の形態としての暗号化コンテンツの再生処理は、例えばメディアに記録された暗号化コンテンツをメディアドライブ19により読み出して再生する場合や、ネットワークを介して取得した暗号化コンテンツを再生する場合など、本実施の形態の記録再生装置1により暗号化コンテンツを再生する場合全般に適用できるものである。
【0025】
HDD21に記憶された再生対象の暗号化コンテンツに対しては、先ず、不正なデータの改竄などが行われていないか否かについての検証を行うための、改竄チェック処理が実行される。この改竄チェック処理は、暗号化コンテンツ再生のためのプログラムに従って、CPU11が実行する。また、暗号化コンテンツ再生のためのプログラムは、HDD21にインストールされるようにして記憶されており、このプログラムを実行すべきときには、HDD21から読み出されてRAM20に展開されることになる。
【0026】
そして、上記した改竄チェック処理が完了して、不正なデータの改竄などは行われていないことが認識されると、続いては、HDD21から読み出されて逐次転送されてくる暗号化コンテンツについて、暗号化復号/復調処理を実行していくようにされる。
暗号化復号/復調処理も、暗号化コンテンツ再生のためのプログラムに従って、CPU11が実行するもので、転送されてきた暗号化コンテンツのデータについて、所定の処理データ単位ごとに暗号化についての復号処理を実行する。そして、この暗号の復号処理によって得られた、暗号化の解かれたコンテンツデータについて、圧縮符号化方式に従った復調処理(伸長処理)を実行する。これにより、伸長処理後のデジタルオーディオデータが得られることになる。
このようにして、暗号化復号/復調処理により得られたデジタルオーディオデータとしてのデータ列は、バッファ書き込み処理によって、順次、バッファエリア20aを分割して形成されるバッファに対して書き込みが行われていく。
【0027】
ここで、暗号化復号/復調処理は、暗号化コンテンツについて、実際に暗号化を解き、伸長処理を施すことで、デジタルオーディオデータを復調する処理である。つまり、暗号符号化及び圧縮符号化についての復号を行う処理である。これに対して、改竄チェック処理は、これ自体は復号処理ではないが、復号処理を実行するのに先だって実行すべきことが必須として要求される処理であるということになる。
【0028】
ここで、本実施の形態としては、バッファエリア20aにおいて複数のバッファを設けることとしている。ここでは、3つのバッファ1,2,3を備えた例を示している。また、ここでは、これら複数のバッファの各々は同じデータ容量が割り与えられているものとする。また、実際においては、これらの各バッファは、リングバッファとして構成される。
【0029】
このような場合におけるバッファ書き込み処理としては次のようにして実行するものとなる。
暗号化復号/復調処理が開始される以前の段階では、バッファ1,2,3は全て空きの状態にあるが、暗号化復号/復調処理が開始されて、バッファにデータを書き込むべきタイミングとなると、例えば、先ずバッファ1に対してデータを書き込んでいくようにされる。そして、バッファ1におけるデータ蓄積量が一杯になったとされると、続いては、バッファ2にデータを書き込んでいくようにされ、さらにバッファ2におけるデータ蓄積量が一杯になったのであれば、バッファ3にデータを書き込んでいくようにされる。なお、確認のために述べておくと、バッファへのデータの書き込みは、バッファに対する読み出しよりも高速なデータレートによって行われる。また、このようにして、バッファ1,2,3に書き込まれて蓄積されていったデータは、通常であれば、時間軸的に連続性を有していることになる。つまり、再生出力音としては連続性が得られているものである。
【0030】
上記のようにして、バッファ1から書き込みが開始され、次のバッファ2,3への書き込みが順次実行されている過程において、例えばバッファ1に対して一定以上のデータが蓄積される状態となると、バッファエリア20aに対するメモリ読み出しとして、このバッファ1に最初に蓄積されたデータから、所定のデータレートによる読み出しが開始される。
【0031】
そして、バッファ読出処理としては、バッファ1に蓄積されたデータを全て読み出したとされると、続いては、バッファ2に蓄積されたデータの読み出しを実行し、さらにバッファ2に蓄積されたデータを全て読み出したのであれば、バッファ3からのデータ読み出しを行う。
一方、バッファ書き込み処理として、バッファ3までの書き込みが完了した後は、上記のようにしてデータの読み出しが完了して空きとなったバッファ1に戻って、書き込みを行っていくようにされる。以降においては、同様にして、順次、読み出しが完了して空きとなったバッファ2、バッファ3に対してデータの書き込みを実行していくようにされる。
【0032】
つまり、バッファ1,2,3に対する書き込み処理としては、バッファ1,2,3の順で繰り返すようにして、空き状態のバッファにデータの書き込みを所定のデータレートによって行うようにされる。
そして、バッファ1,2,3に対する読み出し処理としては、バッファ書き込み処理によって一定量以上のデータが蓄積されるのに対応した時間分遅延するようにして、バッファ1,2,3の順で、書き込みよりも低速なデータレートによって読み出しを行っていくようにされる。
このようなバッファ1,2,3に対する書き込み/読み出しの処理によると、いわゆるメモリのオーバーフロー、アンダーフローが生じない限りは、バッファ1,2,3の少なくともいずれかにおいて、データが蓄積されている状態にあるようにされる。これにより、再生データの連続性が得られるようにしている。また、このような読み出し動作である場合、バッファ書き込み処理としては、全てのバッファにおいてデータが蓄積されている状態ではデータ書き込みを待機し、書き込み順的に書き込みを行うべきバッファが空になったら、データ書き込みを開始するようにされる。つまり、少なくともバッファ書き込み処理については、間欠的な動作となる場合がある。
【0033】
上記したようなバッファに対する書き込み/読み出しの処理に対応して、バッファからのデータの読み出しの開始に同期しては、再生出力系転送処理が開始されることになる。
この再生出力系転送処理も、暗号化コンテンツ再生のためのプログラムに従って、CPU11が実行するものであり、バッファから読み出したデータを、再生出力のために、再生信号処理系(再生出力系)に対して転送するための処理となる。
この場合の再生信号処理系(再生出力系)は、図1においてはオーディオデータ処理部24となる。再生出力系転送処理としては、オーディオデータ処理部24において再生出力すべきオーディオデータの連続性が保証されるように、所要のデータレートによって、バッファから読み出したデータをバス12を介して転送していくことになる。
ここで、バッファ書き込み処理は、暗号化復号/復調処理により得られるデジタルオーディオデータをバッファに書き込む処理であり、バッファ読出処理により読み出されたデータは、再生出力系転送処理によってオーディオデータ処理部24に転送される。従って、暗号化復号/復調処理と再生出力系転送処理とは同時に併行して実行されている期間が存在する。
【0034】
オーディオデータ処理部24では、上記のようにしてバッファから読み出されたデジタルオーディオデータが連続的に入力されてくることになる。そして、このようにして入力されてくるデジタルオーディオデータについて、D/A変換処理を含む所定の信号処理を実行することで、最終的にスピーカ25から音声として出力するようにされる。ここで、オーディオデータ処理部24に入力されるデジタルオーディオデータが連続性を保っている限り、スピーカ25から出力されるコンテンツの音声としても連続性が得られることになる。
【0035】
上記図2による説明から理解されるように、1つの暗号化コンテンツを再生出力するのにあたって、CPU11が暗号化コンテンツ再生のためのプログラムに従って実行すべき基本的な処理(暗号化コンテンツ対応再生処理)としては、
改竄チェック処理
暗号化復号/復調処理
再生出力系転送処理
の3つであるということがいえる。そして、改竄チェック処理は、データの改竄などの有無に基づいて、コンテンツのデータ内容についての真性をチェックするものであるから、必然的に暗号化復号/復調処理の前段階において実行されるべきものとなる。つまり、1コンテンツを対象とした場合において、改竄チェック処理と暗号化復号/復調処理とは同時に実行されることはなく、改竄チェック処理→暗号化復号/復調処理の実行順が守られるべきものとなる。ただし、暗号化復号/復調処理と再生出力系転送処理については、前述もしたように同時に併行して実行される場合がある。
なお、ここではバッファエリア20aのバッファに対する書き込み処理は、暗号化復号/復調処理に付随するものであることとし、また、読み出し処理は再生出力系転送処理に付随するものであることとする。
【0036】
そして、暗号化コンテンツを連続して再生する場合における、暗号化コンテンツ対応再生処理としては、例えば一般的には、図3のタイミングチャートに示す実行タイミングとすることが考えられる。
ここでは暗号化コンテンツとして、コンテンツAからコンテンツ再生を開始して、続いてコンテンツBを連続的に再生する場合を例に挙げる。
【0037】
例えばコンテンツAの再生を開始すべき指示が得られたとされると、先ず、時点t1において、コンテンツAを対象とした改竄チェック処理を実行することになる。なお、本実施の形態においては、改竄チェック処理に要する時間は、暗号化コンテンツの内容等にかかわらず、ほぼ一定となる。ただし、暗号化方式などによっては、改竄チェック処理に要する時間が、コンテンツごとに変化することがある。
【0038】
そして、時点t1から或る時間経過した時点t2においてコンテンツA対象の改竄チェック処理が終了したとされると、この時点t2からコンテンツA対象の暗号化復号/復調処理を開始するようにされる。
コンテンツA対象の暗号化復号/復調処理が実行開始されるのに応じては、復調処理によって得られたデジタルオーディオデータをバッファエリア20aのバッファに蓄積させていく動作も開始され、或る時間を経過すると、バッファにおける蓄積容量が一定以上となって、読み出し可能な状態となる。このタイミングが時点t3として示されている。
これにより、時点t3から、コンテンツA対象の再生出力系転送処理が開始される。つまり、バッファから読み出したデジタルオーディオデータを再生出力系であるオーディオデータ処理部24に対して転送する処理である。
コンテンツAとしての再生音の出力は、この時点t3に対応して開始されるものとなる。
【0039】
例えば、コンテンツAとしての符号化データについての暗号化復号/復調処理は、時点t5にて完了する。この時点t5において、暗号化復号/復調処理により得られたコンテンツAのデジタルオーディオデータのバッファへの書き込みも終了するが、このとき、バッファには、未だ読み出しが行われていないデジタルオーディオデータが蓄積されている状態にある。
このため、時点t5以降においても、バッファに蓄積されているデータが全て読み出されるまでは、コンテンツA対象の再生出力系転送処理は継続される。そして、この場合には、時点t7において、コンテンツA対象の再生出力系転送処理が終了しており、これに対応して、時点t7においてコンテンツAとしての再生出力音も終了するものとされる。このことから、コンテンツAが再生出力される再生出力期間としては、時点t3〜時点t7の期間ということになる。
【0040】
また、コンテンツAに連続して次に再生されるべきコンテンツBを対象とする暗号化コンテンツ対応再生処理は、次のようにして実行する。
コンテンツA,Bの順で連続再生するには、コンテンツB対象の再生出力系転送処理の開始タイミングを、コンテンツA対象の再生出力系転送処理の終了タイミングと連続させる必要がある。つまり、この場合には、図示もしているように、時点t7からコンテンツB対象の再生出力系転送処理を開始させる必要がある。
このため、コンテンツB対象の暗号化復号/復調処理は、時点t7からのバッファからの読み出し処理が開始されることを保証するために、時点t7を基点として、所定量のデジタルオーディオデータの蓄積に要する時間分前のタイミングの時点t6から開始すべきものとなる。
従って、コンテンツB対象の改竄チェック処理は、この時点t6よりも前の段階において実行する必要がある。
【0041】
そこで、この図3に示す場合には、このような場合の順当な処理シーケンスとして、コンテンツB対象の改竄チェック処理について、コンテンツAの改竄チェック処理が終了するのに続けて実行するようにしている。つまり、図においては、コンテンツAの改竄チェック処理が時点t2において終了しているが、コンテンツB対象の改竄チェック処理については、この時点t2から開始させることとしているものである。このコンテンツBの改竄チェック処理は、時点t4において終了させている。
【0042】
しかしながら、ここで留意すべきことは、暗号化コンテンツ対応再生処理の実際として、改竄チェック処理、暗号化復号/復調処理、及び再生出力系転送処理のうち、改竄チェック処理及び暗号化復号/復調処理については、それぞれ、比較的CPU11の占有率が高い重い処理となることである。これに対して、再生出力系転送処理は、バッファから読み出されたデジタルオーディオデータを、バス12を介して転送させる指示を行うだけであるので、CPU11の占有率が低い軽い処理となる。
【0043】
ここで、図3に例示した処理シーケンスのタイミングを見てみると、時点t2から時点t4の期間において、コンテンツA対象の暗号化復号/復調処理と、コンテンツB対象の改竄チェック処理とが同時に併行して実行されていることがわかる。
つまり、CPU11としては、共にCPU占有率が高いとされる2つの処理を同時に実行していることになり、実際のCPU占有率としても相当に高くなっていることになる。
【0044】
上記した期間t2〜t4に示すCPU11の処理状況となるときには、例えば、CPU11の性能にも依るが、同時実行される処理について遅れが生じるような可能性もでてくる。これにより、例えば、図3の場合であれば、コンテンツA対象の暗号化復号/復調処理が必要とされる処理速度を維持できずに、バッファにアンダーフローを生じさせ、結果として再生出力の音声が途切れるなどの、不都合を生じる可能性が出てくる。
【0045】
また、本実施の形態の記録再生装置1としては、例えば暗号化コンテンツ再生以外にも、他のアプリケーションのプログラムが実行される場合がある。例えば、本実施の形態の記録再生装置1としてはネットワーク接続機能を有しているから、この機能を利用した、例えばWebブラウザであったり、電子メール送受信のためのメーラーなどのアプリケーションをHDD21にインストールしておくことで、これらのアプリケーションを必要に応じて起動させて実行させることが可能とされる。
そして、例えば暗号化コンテンツの再生処理プログラムと、上記したような他のアプリケーションプログラムを実行させているようなときに、図3の期間t2〜t4に示すようなCPU占有率の高い状態が生じたとすると、この場合には、さらに上記したような再生出力音声の途切れが生じる可能性が高くなる。あるいは、逆に他のアプリケーションプログラムの動作が重くなって緩慢な状態となることも考えられる。
【0046】
このようにして、例えば暗号化コンテンツ対応再生処理のための処理シーケンスについて、CPU占有率が高いとされる重い処理が併行して実行されることは、結果的に機器の動作に好ましくない影響を及ぼしてしまうという不都合を招く。
【0047】
そこで、本実施の形態では、図4に示すようにして、暗号化コンテンツ対応再生処理の処理シーケンスを実行させることとしている。なお、この図4としても、暗号化コンテンツとして、コンテンツAから再生を開始し、続けてコンテンツBを連続して再生する場合を例に挙げることとする。
この場合において、コンテンツAを対象とする改竄チェック処理、暗号化復号/復調処理、及び再生出力系転送処理のタイミングについては、図3の場合と同様である。
また、コンテンツBを対象とする暗号化復号/復調処理、及び再生出力系転送処理としても、コンテンツAに続けての連続再生が要求される都合上、図3の場合と同様のタイミングとすることになる。
【0048】
そのうえで、本実施の形態では、図4に示すようにして、コンテンツB対象の改竄チェック処理については、コンテンツAを対象とする暗号化復号/復調処理の終了時点である時点t5から開始されるようにしている。
つまり、本実施の形態では、次に再生されるべきコンテンツを対象とする改竄チェック処理については、現在再生出力中のコンテンツを対象とする暗号化復号/復調処理に続けて実行させるように、プログラムのアルゴリズムを構成するものである。
【0049】
このような処理シーケンスによるコンテンツBを対象とする改竄チェック処理は、コンテンツAを対象とする暗号化復号/復調処理が完了した後において、同じコンテンツAを対象とする再生出力系転送処理により、バッファに蓄積されているデジタルオーディオデータを読み出して再生出力している期間を利用して実行されることになる。
この図では、コンテンツB対象の改竄チェック処理は、コンテンツB対象の暗号化復号/復調処理が開始される時点t6において完了していることになっているが、これは、コンテンツB対象の改竄チェック処理が、遅くとも時点t6に終了すればよいことを示している。例えば実際においては、このコンテンツB対象の暗号化復号/復調処理の開始時点よりも前の時点で終了されて良い。
【0050】
そして、このような処理シーケンスであれば、暗号化コンテンツを連続して再生出力する場合において、CPU占有率の高い暗号化復号/復調処理と改竄チェック処理とが同時に実行される期間をなくすことができる。これにより、暗号化コンテンツの再生に対応したCPUの最大占有率を、これまでよりも大幅に低くすることができる。
これによって、例えばCPU占有率が高くなって、再生出力の連続性が維持できなくなるような不都合な動作を回避できる。また、例えば他のアプリケーションを同時に実行するときにも、CPUの能力に余裕を与えることが可能となる。
【0051】
ところで、上記したことから理解されるように、図4に示した本実施の形態としての、次に再生されるべき次コンテンツを対象とする改竄チェック処理の実行タイミングは、暗号化復号/復調処理されたデジタルオーディオデータをバッファに一時蓄積するという動作を利用している。
つまり、現在再生中の現コンテンツの暗号化復号/復調処理の終了時から、次のコンテンツのための暗号化復号/復調処理が開始されるまでの期間は、即ち、バッファに蓄積されているデジタルオーディオデータを読み出して再生出力する期間となる。この期間は、現コンテンツについての暗号化コンテンツ対応再生処理として、現コンテンツを対象とする再生出力系転送処理のみが実行され、暗号化復号/復調処理が実行されない期間であるから、この期間において、次のコンテンツを対象とする改竄チェック処理を実行させることとしているものである。
【0052】
従って、この次コンテンツを対象とする改竄チェック処理の終了と、次のコンテンツの連続再生が適正に行われるようにするには、現コンテンツの暗号化復号/復調処理が終了した時点以降において、バッファに蓄積されているデジタルオーディオデータを読み出して再生出力を終了させるまでの時間長として、改竄チェック処理に要するとされる時間よりも長くなるようにされていればよいことになる。
本実施の形態としても、通常考えられる再生時間を有する暗号化コンテンツを連続再生することを前提とすれば、次コンテンツを対象とする改竄チェック処理の終了と、次のコンテンツの連続再生とが保証されることを考慮して、バッファエリア20aにおける各バッファの容量が設定されているものである。
【0053】
また、これまでの説明から理解されるように、暗号化コンテンツの音声再生は、改竄チェック処理の後において暗号化復号/復調処理が開始され、バッファに一定量以上のデータが蓄積された後に、バッファ読出処理を含む再生出力系転送処理が開始されるのに応じて開始される。つまり、バッファに所定以上のデータが蓄積されるまでの期間は、再生が開始されない待機期間が生じる。
【0054】
本実施の形態では、コンテンツ再生の開始に対応したバッファからのデータ読み出しの開始は、例えばバッファ1,2,3の3つのバッファが備えられている場合であれば、最初のバッファ1の全容量にデータを書き込んだことを以て、一定以上のデータが蓄積されたとみなし、バッファからの読み出しを開始することとしている。従って、バッファ1,2,3の容量を多くすれば、それだけ蓄積量も多くなるのではあるが、再生開始までの待機時間も長くなるので、この点で好ましいことではない。
そこで、本実施の形態としては、上記したように、
1.通常考えられる再生時間を有する暗号化コンテンツを連続再生することを前提として、次コンテンツを対象とする改竄チェック処理の終了と、次のコンテンツの連続再生とが保証されること、
2.再生開始までの待機時間が、実使用上問題とならない程度に収まるようにすること、
という、これらの2つの条件を考慮して、通常のバッファ1,2,3の容量を設定している。
【0055】
しかしながら、通常のバッファ1,2,3の容量では、連続再生されるべき暗号化コンテンツが非常に短いような場合には、前者の条件を保証することができなくなり、現コンテンツと次のコンテンツとの間での再生出力の連続性が維持できなくなる場合がある。
この点について、図5及び図6を参照して説明する。
【0056】
先ず、図5には、連続再生される暗号化コンテンツA,Bにおいて、少なくとも先に再生されるコンテンツAについては、再生時間が通常として考えられる長さとされており、適正にコンテンツA,Bが連続再生される場合を示している。なお、この図において、読み出し処理として、バッファ1,2,3において白抜きのバーで示す部分が、読み出しが実行されている期間を示す。また、書き込み処理として、バッファ1,2,3において黒色のバーとして示す部分が、書き込みが実行されている期間を示す。
【0057】
この場合において、先ず、時点t1〜時点t2の期間によりコンテンツAを対象とする改竄チェック処理が実行され、時点t2以降からコンテンツAを対象とする暗号化復号/復調処理が実行開始されている。このコンテンツAを対象とする暗号化復号/復調処理の開始に応じては、バッファ1に対して書き込みが行われる。そして、このバッファ1に対する書き込みが時点t3において完了している。以降の暗号化復号/復調処理に伴っては、順次バッファ2,3に対して書き込みを実行していき、またバッファ1に戻って書き込みを繰り返していくという、バッファ書き込み処理のシーケンスとなる。
また、バッファ1に対する書き込みが時点t3において完了したのに応じて、この時点t3から、コンテンツを対象とする再生出力系転送処理が開始されており、同じ時点t3からバッファ1に対する読み出し処理が実行される。バッファ読み出し処理としても、既にデータが蓄積されているバッファ2,3に対して順次読み出しを実行し、バッファ1に戻って読み出しを実行していくようにされる。
【0058】
ただし、前述もしているように、バッファに対する書き込み速度は、読み出し速度よりも高速とされている。従って、バッファに対する書き込み/読み出しが正常に実行されていくことによっては、例えば、或るバッファに対する読み出しが実行されているときには、他のバッファにデータがほぼ定常的に蓄積されているような状態が得られることになる。
【0059】
そしてここで、例えば時点t4に示すタイミングで、コンテンツAを対象とする暗号化復号/復調処理が終了して、コンテンツAとしてのデジタルオーディオデータのバッファへの書き込みも、例えばバッファ3への書き込みを以て終了したとする。
この場合、時点t4に至るまでにおいてバッファ1に対するデータ読み出しが実行されていたとすると、時点t4を経過した後においては、バッファ2とバッファ3にデータが蓄積されている状態が得られていることになる。従って、時点t4以降における再生出力系転送処理によっては、先ず、バッファ2から読み出したデータを転送して再生出力させ、続いてバッファ3から読み出したデータを転送して再生出力させることになる。
ここで、例えば通常のバッファ2の記憶容量に対応する単位再生時間が、図示しているようにしてTsに相当するものであるとすると、時点t4にてコンテンツAの暗号化復号/復調処理が終了した後において、この単位再生時間Ts×2で表される時間分、再生出力系転送処理によってコンテンツAの読み出しが可能とされていることになる。
【0060】
そして、時点t4においては、コンテンツを対象とする暗号化復号/復調処理が終了したのであるから、時点t4からはコンテンツBを対象とする改竄チェック処理が開始されることになる。
例えば本実施の形態の改竄チェック処理は、概ね1つのバッファ蓄積容量に対応する単位再生時間Tsよりは長いが、単位再生時間Ts×2よりも短いとされる処理時間であるとする。
このため、上記コンテンツBを対象とする改竄チェック処理は、上記単位再生時間Ts×2に相当する時点t4〜時点t6の期間内における時点t5において終了されることになる。
そして、この場合には、時点t5からコンテンツBの暗号化復号/復調処理を開始させることで、コンテンツAの再生期間が終了する時点t6から、コンテンツBを対象とする再生出力系転送処理を開始させている。つまり、時点t6からコンテンツBの音声再生を開始させており、これによりコンテンツA,Bの連続再生動作が得られていることが分かる。
【0061】
これに対して、通常のバッファ容量を設定してコンテンツA,Bを連続再生するのにあたり、少なくともコンテンツAが非常に短い再生時間である場合には、図6のような再生処理となる場合がある。
この場合においても、先ず、期間t1〜t2によりコンテンツAを対象とする改竄チェック処理が実行されている。そして、これに続けて、時点t2からコンテンツAを対象とする暗号化復号/復調処理が開始されている。但し、この場合においては、コンテンツAの再生時間が短いことに対応して、コンテンツA対象の暗号化復号/復調処理としての時間も比較的短時間で終了したとする。
【0062】
このような場合、例えば図6における、コンテンツA対象の暗号化復号/復調処理の実行期間(t2〜t4)における、バッファ1,2,3に対する書き込み/読み出し処理によると、時点t4に至った段階で、データが蓄積されているのは、バッファ3のみとなっている。
つまり、コンテンツAの再生時間が非常に短いために、暗号化復号/復調処理の実行期間も非常に短いものとなり、この結果、暗号化復号/復調処理の実行期間における、バッファ書き込み処理により蓄積されるデータ量と、読み出し処理により読み出されて消費されるデータ量との差分が充分に得られていない状態である。
【0063】
この場合、時点t4以降によるコンテンツA対象の再生出力系転送処理によって稼ぐことのできる時間は、バッファ3に蓄積されたデータ分に相当する単位時間Tsということになる。
従って、この場合には、時点t4以降におけるコンテンツA対象の再生出力系転送処理が、時点t4からほぼ単位時間Tsを経過した時点t4aにて終了し、この時点に応じて、コンテンツAの再生音出力も停止されることになる。
【0064】
これに対して、改竄チェック処理は、単位時間Tsよりも長い処理であるから、時点t4から開始されたコンテンツB対象の改竄チェック処理は、時点t4aを経過しても実行していることになり、例えば時点t5において終了することになる。
このときのコンテンツB対象の暗号化復号/復調処理は、この時点t5から開始されることになり、この時点t5から、例えばバッファ1へのデータ書き込みがほぼ完了したとされる時点t6からコンテンツB対象の再生出力系転送処理が開始されて、コンテンツBの音声出力も開始されることになる。
【0065】
このような動作となる結果、コンテンツAの再生音声の出力が終了する時点t4aと、コンテンツBの再生音声の出力が開始される時点t6との間には、非再生期間(t4a〜t6)が生じることになる。つまり、コンテンツA,Bを連続再生することができなくなっている。
【0066】
例えば、このようにして非常に再生時間の短いコンテンツの連続再生が必要となる場合としては、実際のコンテンツの再生時間が短い場合の他に、コンテンツの連結編集を行うような場合を挙げることができる。
つまり、連結編集を行うのにあたっては、連結すべきとして指定した前後のコンテンツの終了位置と開始位置の連結状態が、ユーザの意図するものであるか否かを確認してもらうために、前後のコンテンツの終端部分と開始部分の各数秒のみを抜き出して、連続再生を繰り返すことが行われる。
このような前後のコンテンツの終端部分と開始部分を連続再生する再生動作は、ちょうど、図6に示したような、再生時間の非常に短いコンテンツAに続けてコンテンツBを再生する状況と同等であることになり、従って、前後のコンテンツの終端部分と開始部分は、連続的に再生されない場合が生じる可能性が高いということになる。
連結編集に際して、その連結状態が適正であるかを確認できるようにするためには、前後のコンテンツの終端部分と開始部分は、確実に連続的に再生されなければならない。
【0067】
そこで、本実施の形態としては、上記のようにして、連続再生されるべき暗号化コンテンツとして、少なくとも先に再生されるべき暗号化コンテンツの再生時間が所定以下であって、通常のバッファ容量設定では連続再生が保証できないとされる場合においては、通常よりも大きいとされる所要のバッファ容量(以降、「短時間連続再生用バッファ容量」ともいう)を設定することとする。
このようなバッファ容量の設定変更は、CPU11の制御によって、RAM20内のバッファエリア20aにおけるバッファ1,2,3の各領域設定を変更することで実現できる。つまり、通常のバッファ容量として、バッファ1,2,3の各々について、容量A分の領域割当を行うとすれば、短時間連続再生用バッファ容量を設定する際には、バッファ1,2,3の各々について、容量Aよりも大きい所定の容量B分の領域割当を行うようにするものである。
【0068】
図7のタイミングチャートは、短時間連続再生用バッファ容量を設定して、図6の場合と同様に、再生時間が短いコンテンツAに続けてコンテンツBを再生した場合の動作を示している。
この場合においても、期間t1〜t2によるコンテンツA対象の改竄チェック処理に続けて、時点t2から暗号化復号/復調処理が開始される。そして、この暗号化復号/復調処理に伴って、同じ時点t2以降において、バッファ1から書き込みが開始されている。ここでバッファ1,2,3の各々は、通常よりも大きな容量が設定されているので、バッファ1への書き込み終了に要する時間も長くなっていることが分かる。これにより、実際に、時点t2から、コンテンツA対象の再生出力系転送処理が開始される時点t3までの時間長としても、図6に示す期間t2〜t3よりも長いものとされている。つまり、再生開始時において実際に音声が再生出力開始されるまでの待機時間は長くなる。
【0069】
そして、この場合においても、例えばコンテンツA対象の暗号化復号/復調処理が終了した時点t4の段階では、バッファ1,2,3のうち、バッファ3にのみデータが蓄積されている状態が示されている。従って、時点t4以降においては、コンテンツA対象の再生出力系転送処理に伴い、バッファ3に蓄積されたデータを読み出して再生出力させる動作が実行されることになる。そして、この動作は、バッファ3の容量に応じた再生時間TLの期間長によって実行されることになる。ここで、単位再生時間TLは、短時間連続再生用バッファ容量に対応しているから、通常のバッファ容量に対応する単位再生時間Tsよりも長くなっている。これに対して、改竄チェック処理に要する時間は、コンテンツの再生時間等にかかわらず、ほぼ一定とされる。
【0070】
従って、この場合において、時点t4から実行されるコンテンツB対象の改竄チェック処理は、図6の場合とほぼ同様の時間長を経過した時点t5にて終了することになる。
この時点t5は、図示するようにして、バッファ3に蓄積されたデータを読み出して再生出力させる動作が終了する時点t6よりも以前のタイミングである。つまり、この場合には、コンテンツAのデジタルオーディオデータを再生出力させている間に、コンテンツB対象の改竄チェック処理が完了することになる。そして、この場合においては、時点t5からコンテンツB対象の暗号化復号/復調処理が実行されたうえで、時点t5から一定時間経過した時点t6において、コンテンツAの音声再生出力が終了されるのに代わり、コンテンツB対象の再生出力系転送処理が適正に開始される。つまり、コンテンツAの音声再生出力が開始される。
このようにして、通常よりも大きな所要のバッファ容量が設定されることで、短い再生時間の暗号化コンテンツを含んで連続再生を実行する場合にも、音声の連続性が保たれることが理解される。
【0071】
本実施の形態としては、通常時に対応しては、通常のバッファ容量を設定することとしている。通常時の場合、暗号化コンテンツを連続再生するときでも、暗号化コンテンツの再生時間長は一定以上であることから、図5により説明したようにして連続性を保つことができる。
また、このときのバッファ容量としても、再生開始時において実際に音声再生が開始されるまでの待機時間も許容範囲内となることを考慮して設定されているから、通常の使用状態において、ユーザが、待機時間に違和感を感じるようなことはない。
【0072】
これに対して、例えば先に説明した連結編集における連結位置の確認再生や、一定以下の再生時間となる非常に再生時間の短い暗号化コンテンツに続けて、暗号化コンテンツを連続再生するような場合には、短時間連続再生用のバッファ容量に切り換えるようにされる。これにより、図7に示したように、再生時間の短い暗号化コンテンツを再生するときにも、連続性が確保できる。
図7において時点t2から時点t3の期間としても示したように、短時間連続再生用のバッファ容量は、通常のバッファ容量よりも大きいことから、再生処理を開始してから音声出力開始までの再生待機時間は長くなってしまう。しかしながら、連結編集、及び非常に再生時間の短い暗号化コンテンツの再生などは、通常の暗号化コンテンツの再生と比較すれば、特殊な再生となるものであり、実行される頻度、機会は少ない。つまり、特殊とされる場合においてのみ、一時的に再生待機時間が長くなるだけであるから、記録再生装置1を実際に使用するうえで特に問題にはならない。
【0073】
なお、本発明としては上記実施の形態としての構成に限定されるものではない。
例えば、上記実施の形態としての説明では、バッファ容量の切り換えを2段階で行っていることになるが、例えば、暗号化コンテンツの再生時間長に応じて、3段階以上のバッファ容量の切り換えが行われるように構成してもよいものである。
【0074】
また、例えば、上記実施の形態では、バッファは、RAM20におけるバッファエリア20aとしての領域において、バッファ1,2,3の各領域サイズの割り当てを行うことで形成されるようにしている。
しかしながら、例えば、RAM20とは別に、バッファとして機能するメモリ素子を設ける構成とされても構わない。そして、このような場合においては、通常のバッファ容量に対応するバッファ1,2,3としての容量を有するメモリ素子と、短時間連続再生用バッファ容量に対応するバッファ1,2,3としての容量を有するメモリ素子とを個別に設けるようにすることも考えられる。そして、バッファ書き込み/読み出し処理として、通常のバッファ容量を設定する場合には、前者のメモリ素子に対する書き込み/読み出しを実行し、短時間連続再生用バッファ容量を設定する場合には、後者のメモリ素子に対する書き込み/読み出しを実行するように構成してもよい。このような構成であっても、本発明としてのデータ蓄積手段の容量を変更する動作が得られているものである。
【0075】
また、上記実施の形態では、再生対象となるコンテンツに対して行われる符号化としても、圧縮符号化及び暗号符号化に限定される必要はない。これに伴って、コンテンツの復号処理と、この復号処理に対応する復号前処理の実際としては、適宜変更されて良い。
また、符号化されるコンテンツとしては、オーディオデータ以外にも、例えばビデオデータなどとされてよい。
【0076】
また、上記実施の形態における本発明としての動作を実現するのは、CPU11が実行すべきプログラムであるとして説明した。このようなプログラムは、例えばHDD21、又はROM13にインストールされるようにして格納されるものである。
あるいは、プログラムは、フレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、MO(Magnet Optical)ディスク、DVD(Digital Versatile Disc)、磁気ディスク、半導体メモリなどのリムーバブル記録媒体に、一時的あるいは永続的に格納(記録)しておくことができる。このようなリムーバブル記録媒体は、いわゆるパッケージソフトウェアとして提供することができる。例えば、本実施の形態であれば、メディアドライブ19が対応するメディアなどにプログラムを記録し、パッケージソフトウェアとして提供することができる。これにより、記録再生装置1では、メディアドライブ19によりメディアからプログラムを読み出し、HDD21やROM13に記憶させることでインストールできる。また、このようなパッケージソフトウェアとすることで、例えば汎用のパーソナルコンピュータにも、本発明が適用されたシステムのプログラムをインストールすることは可能になる。
また、プログラムは、上記のようなリムーバブルな記録媒体からインストールする他、プログラムを記憶しているサーバなどから、LAN(Local Area Network)、インターネットなどのネットワークを介してダウンロードすることもできる。
【0077】
さらには、例えば本発明が適用された機能を後から追加するためのアップデートプログラムを構成し、このアップデートプログラムをパッケージメディアとして配布したり、ネットワーク上で配布するようにすることも考えられる。ユーザは、このアップデートプログラムを入手して、既存のシステムがインストールされている環境に対して、このアップデートプログラムをインストールすればよい。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したように本発明は、復号処理(暗号化復号/復調処理)と、この復号処理の開始以前のタイミングで必ず実行すべきとされる復号前処理とを実行することで再生される単位データ(コンテンツデータ)を情報処理対象としている。
そして、このような単位データを連続して再生出力させるべき場合には、現在再生出力対象とされている単位データの次に再生対象となる単位データについての復号前処理を、現在再生出力対象とされている単位データについての復号処理の終了後となるタイミングで開始させることとしている。上記次に再生対象となる単位データについての復号前処理は、蓄積手段(蓄積領域)に蓄積されたデータの読み出しによって、この現在再生出力対象とされる単位データの再生出力が継続される間に実行されることになる。
このようにすれば、例えば現在再生対象とされる単位データについての復号処理と、次に再生対象となる単位データについての復号前処理が同時併行して実行される期間は存在しないことになる。これにより、復号前処理と復号処理が同時実行されることに依る処理負担の増加は無いこととなって、例えば復号処理が適正な速度で実行されることを保証できる。さらには、例えば単位コンテンツ再生以外の処理が併行して実行されるときにも、復号前処理と復号処理が同時実行されないことで、処理能力には余裕が得られる。
つまり、本発明によっては、単位データの再生出力を含む、現在実行中とされている処理が不安定となることが避けられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態としての記録再生装置の構成例を示すブロック図である。
【図2】本実施の形態における暗号化コンテンツの再生処理を概要的に示す説明図である。
【図3】暗号化コンテンツを連続再生する場合の処理シーケンスの一般的な例を示すタイミングチャートである。
【図4】実施の形態としての暗号化コンテンツを連続再生する場合の処理シーケンスを示すタイミングチャートである。
【図5】通常のバッファ容量設定により、通常の再生時間の暗号化コンテンツを連続再生する場合の再生処理動作例を示すタイミングチャートである。
【図6】通常のバッファ容量設定により、短い再生時間の暗号化コンテンツを連続再生する場合の再生処理動作例を示すタイミングチャートである。
【図7】短時間連続再生用バッファ容量の設定により、短い再生時間の暗号化コンテンツを連続再生する場合の再生処理動作例を示すタイミングチャートである。
【符号の説明】
1 記録再生装置、11 CPU、12 バス、13 ROM、14 操作入力部、15 入力処理部、16 表示処理部、17 ディスプレイモニタ、18CDドライブ制御部、19 メディアドライブ、20 RAM、21 HDD、22 通信処理部、23 ネットワークインターフェイス、24 オーディオデータ処理部、25 スピーカ、26 アンテナ、27 チューナ

Claims (3)

  1. 再生出力対象である1つの単位データに対して実行すべき処理として、所定の符号化方式によって符号化された単位データを復号する復号処理と、上記復号処理の開始以前のタイミングで実行すべきものとされ、上記復号処理を実行するのに必須とされる所要の処理である復号前処理とを、少なくとも実行する単位データ対応処理手段と、
    所定のデータ容量を有し、上記復号処理によって得られた復号データが書き込まれて一時蓄積される蓄積手段と、
    上記蓄積手段に蓄積されている復号データを連続的に読み出して、再生出力用データとして出力する出力手段と、を備え、
    上記単位データ対応処理手段は、
    上記単位データを連続して再生出力させるべき場合には、現在再生出力対象とされている単位データの次に再生出力対象となる単位データについての上記復号前処理を、現在再生出力対象とされている単位データについての復号処理の終了後となるタイミングで開始する、
    ことを特徴とする情報処理装置。
  2. 上記単位データを連続して再生出力させるべき場合に、
    少なくとも、再生出力すべき1つの単位データについての復号データが上記蓄積手段に蓄積される期間において、この1つの単位データの再生時間長に応じて、上記蓄積手段のデータ容量を変更するようにされた、データ容量変更手段を備える、
    ことを特徴とする請求項1に記載の情報処理装置。
  3. 再生出力対象である1つの単位データに対して実行すべき処理の1つであり、所定の符号化方式によって符号化された単位データを復号する復号処理と、
    再生出力対象である1つの単位データに対して実行すべき処理の1つであり、上記復号処理の開始以前のタイミングで実行すべきものとされ、上記復号処理を実行するのに必須とされる所要の処理である復号前処理と、
    上記復号処理によって得られた復号データが書き込まれて一時蓄積される蓄積領域から、蓄積されている復号データを連続的に読み出して、再生出力用データとして出力する出力処理と、を実行可能とされ、
    単位データを連続して再生出力させるべき場合には、現在再生出力対象とされている単位データの次に再生出力対象となる単位データについての上記復号前処理は、現在再生出力対象とされている単位データについての上記復号処理の終了後となるタイミングで開始するようにされる、
    ことを特徴とする情報処理方法。
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