JP2004325754A - 画像形成用トナー及び画像形成方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】接触現像方式における問題点である画像白筋の発生を防止すると同時に、低温定着性及び転写効率を向上させることを目的とした。
【解決手段】トナー担持体上のトナー層を静電荷像担持体表面に圧接させながら静電荷像を現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成するように構成されている画像形成方法に使用される画像形成用トナーであって、該トナーは少なくとも結着樹脂及びワックスを含有し、該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量5000以下の含有量が3〜20重量%でかつ5×105以上の含有量が5〜25重量%でありかつ3×104〜9×104に少なくとも最大ピークを有し、DSCの最大吸熱ピークを60〜120℃に有することを特徴とするトナー。
【選択図】 図1
【解決手段】トナー担持体上のトナー層を静電荷像担持体表面に圧接させながら静電荷像を現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成するように構成されている画像形成方法に使用される画像形成用トナーであって、該トナーは少なくとも結着樹脂及びワックスを含有し、該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量5000以下の含有量が3〜20重量%でかつ5×105以上の含有量が5〜25重量%でありかつ3×104〜9×104に少なくとも最大ピークを有し、DSCの最大吸熱ピークを60〜120℃に有することを特徴とするトナー。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリ等に適用される静電荷像接触現像用のトナー及び該トナーを使用する画像形成方法に関する。より詳細には、トナー担持体上のトナーと感光体表面が接触した状態で現像される方式の、プリンター、複写機、ファクシミリ等に適用できる画像形成用トナー及び該トナーを使用する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては、多数の方法が知られている。一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体(像担持体)上に静電荷潜像を形成し、次いで静電荷潜像をトナーによって現像してトナー像を形成し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー像を転写した後、熱、圧力、加熱加圧により転写材上にトナー像を定着して複写物又はプリント物を得るものである。
【0003】
感光体上の静電荷潜像を可視化する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られている。更には、磁性トナーを用い、内部に磁石を配した回転スリーブを用いて回転スリーブ上に担持された磁性トナーを感光体上へ電界にて飛翔させ、トナー画像を得る現像方法も知られている。
【0004】
又、現像方法に用いられる現像剤の種類によって、トナーと呼ばれる着色樹脂粒子からなる一成分系現像剤を用いる一成分系現像方式と、トナーにキャリアが混合された二成分系現像剤を用いる二成分系現像方式に大別されるが、一成分系現像方式では、ガラスビーズや鉄粉の如き材料からなるキャリア粒子が不要なため、現像装置自体を小型化及び軽量化できるという利点がある。更に、二成分系現像方式では、現像剤中のトナーの濃度を一定に保つ必要があるため、トナー濃度を検知し、必要量のトナーを補給する装置が必要となるので、現像装置が大きく重くなるという問題がある。これに対し、一成分系現像方式ではこのような装置は必要とならないため、現像装置を小さく軽くできるという利点がある。
【0005】
一方、電子写真を使用したプリンター装置は、LBPプリンター及びLBDプリンターが最近の市場の主流になってきている。又、技術の方向としては、従来は、解像度が240、300dpiであったものが、400、600又は800dpiと高解像度になってきている。従って、現像方式もこれに伴って、更なる高精細化が要求されてきている。このためトナーの小粒径化及び粒度分布のシャープ化が進んでおり、例えば、特開平1−112253号公報、特開平1−191156号公報、特開平2−214156号公報、特開平2−284158号公報、特開平3−181952号公報及び特開平4−162048号公報に、特定のシャープな粒度分布を有する粒径の小さいトナーが提案されている。
【0006】
近年、半導電性の現像ローラ又は表面に誘電層を形成した現像ローラを用いて感光体表面層に押し当てる構成にて現像を行う、接触一成分系現像方法が提案されている。例えば、Japan Hardcopy89論文集25〜28頁、FUJITSU Sci.Tech.J.,28,4,pp.473〜480(December1992)、特開平5−188752号公報及び特開平5−188765号公報に、一成分系接触現像に関する技術が記載されている。かかる接触一成分系現像方法においては、感光体表面と現像電極が非常に近接しているため、現像のエッジ効果を低減できる等の利点がある。
【0007】
しかしながら、上記接触一成分現像方法においては半導電性の現像ローラ又は表面に誘電層が形成された現像ローラを用いて感光体表面層に押し当てる構成で現像を行うため、トナー粒子に力学的負荷のかかる工程として、トナ一粒子を摩擦帯電させる際の帯電部材との接触工程、及び感光体のクリーニング工程に用いられているブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等における力学的な転写残トナーの捕集工程を有している従来の現像方式と比較した場合においてもトナー粒子にかかる力学的負荷が増加し、このために下記にに挙げるような種々の問題が生じていた。
【0008】
即ち、上記工程における各種部材との力学的負荷或いは隣接したトナー粒子との摩擦による負荷からトナー表面の結着樹脂が軟化し、各種部材に融着、堆積することによって、これに起因した画像欠陥が生じ易く、又、トナー粒子同士の融着、凝集が引き起こす現像剤劣化によって、転写性や現像安定性が著しく損なわれ、画像欠陥が生じやすい。かかる画像欠陥の例としては画像現像筋の発生が挙げられる。即ち、トナー層厚規制部材とトナー担持体当接部に、トナー或いはトナー凝集物が融着若しくは局在化することによってトナー層厚が均一に規制できなくなり、画像濃度の不均一化が生じ、或いは更に、トナー層厚の不均一化が進むと現像白筋として画像上に欠陥が現れる。こうしたトナー粒子の融着、凝集を減らす方法として、トナーの結着樹脂の熱的耐性を向上させる方法が考えられる。
【0009】
例えば、接触現像方式における、ドラム融着を防止することが可能な現像剤として特開平4−246653号公報に提案されている。
【0010】
しかしながら、結着樹脂の耐熱性はトナーの定着性の良否に直接影響を及ぼすため、定着性との両立は困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとしている課題】
従って、本発明の目的は、静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に露光して静電荷像を形成し、静電荷像をトナーを有する現像手段で現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成し、形成されたトナー像を中間転写体を介して或いは介さずに転写材上へと転写し、転写されたトナー像を定着手段によって定着して定着画像を転写材上に形成する画像形成方法において、上述の従来技術の問題点を解決し得る新規な画像形成用トナー、及び新規な画像形成方法を提供することにある。即ち、接触一成分現像法において画像白筋が発生せず、定着性、転写性も良好な画像形成用トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に露光して静電荷像を形成し、静電荷像をトナーを有する現像手段で現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成し、形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材上へと転写し、転写されたトナー像を定着手段によって転写材上に定着して定着画像を形成する画像形成方法であり、上記現像手段が、弾性層を有する回転可能なトナー担持体、該トナー担持体上にトナー層を形成する為のトナー層厚規制手段を少なくと有し、且つトナー担持体上のトナー層を静電荷像担持体表面に圧接させながら静電荷像を現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成するように構成されている画像形成方法に使用される画像形成用トナーであって、該トナーは少なくとも結着樹脂及びワックスを含有し、該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量5000以下の含有量が3〜20重量%でかつ5×105以上の含有量が5〜25重量%でありかつ3×104〜9×104に少なくとも最大ピークを有し、DSC最大吸熱ピークを60〜120℃に有することを特徴とするトナーに関する。
【0013】
更に本発明は電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に露光して静電荷像を形成し、静電荷像をトナーを有する現像手段で現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成し、形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材上へと転写し、転写されたトナー像を定着手段によって転写材上に定着して定着画像を形成する画像形成方法において、上記トナーは、少なくとも結着樹脂及びワックスを含有し、該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量5000以下の含有量が3〜20重量%でかつ5×105以上の含有量が5〜25重量%でありかつ3×104〜9×104に少なくとも最大ピークを有し、DSCの最大吸熱ピークを60〜120℃に有するように構成されており、更に、上記現像手段が、弾性層を有する回転可能なトナー担持体、該トナー担持体上にトナー層を形成する為のトナー層厚規制手段を少なくと有し、且つトナー担持体上のトナー層を静電荷像担持体表面に圧接させながら静電荷像を現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成することを特徴とする画像形成方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。先に述べたように、従来の技術手段において、トナー構成を考える場合に、画像白筋の防止と低温定着の達成は技術的に同時解決することは困難な状況にあった。
【0015】
これに対して、本発明者等は、上記問題を解決すべくトナー構成材料の面から鋭意検討した結果、トナーの構成材料である結着樹脂及びワックスに起因するトナーの物性値を特定の領域に制御することで本発明の目的を達成するに至った。
【0016】
即ち、本発明では、トナーのGPCが特定の分子量分布を有しかつDSCの吸熱ピークが特定の温度範囲に存在することを特徴とするトナーを使用する。
【0017】
従来より、トナー粒子に、機械的ストレスに耐え得る硬さと低温定着性を実現する為には、トナーのGPCにおける分子量分布において、低分子成分と高分子成分がバランスよく含まれていることが好適であることが一般的に知られている。しかし、接触現像方式においては、トナー担持体と感光体表面との接触面における力学的ストレスは、非接触現像方式(例えばジャンピング現像方式)に比較して大きくなっている。この様な場合において、トナーに含まれる低分子量成分が、力学的ストレスを受けることにより、トナー表面は発熱し、凝集体を形成し易くなり画像白筋が生じてくる。特に力学的ストレスを受け易い分子量成分は、分子量5000以下の成分でありこの成分が、画像白筋の発生の原因となることが明確となった。分子量が5000以下の成分が20重量%より多い場合は画像白筋の発生が顕在化する。但し、3重量%より少ない場合は、定着性に不具合をもたらす為に好ましくない。より好ましくは、5〜17重量%の場合である。
【0018】
更に、本発明の目的を達成するためには、5×105以上の含有量が5〜25重量%であることが必要となる。5重量%より少ない場合は、トナーに適度の弾性を保持させることが困難になり、画像白筋発生が生じ易くなり、又、流動性を確保すべく添加されている外添剤が力学的ストレスがかかった場合トナー内部に埋め込まれ易くなることにより、トナーの帯電特性が変化する為と推測しているが、転写効率の低下がみられる。5×105以の含有量が25重量%より多い場合は、定着性の低下をもたらし好ましくない。より好ましくは、8〜23重量%の場合である。
【0019】
分子量のピークは、3×104〜9×104に最大ピークを有することが好適である。3×104より小さい領域にピークを有する場合は、画像白筋の発生が発生し易くなって好ましくない。9×104より大きい領域にピークを有する場合は、定着性に不具合をもたらす為に好ましくない。
【0020】
より好ましくは3.5×104〜8×104に最大ピークを有する場合である。
【0021】
本発明に係るトナーの結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルプチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性,定着性等の点で好ましい。
【0022】
本発明に用いられる結着樹脂は、カルボキシル基含有単量体或はカルボキシル基から誘導された基を有する単量体を構成成分としていることが特に好ましい。
【0023】
例えば、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル(例えば、モノ−n−ブチルマレート)、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン散ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸ジエステルが挙げられる。
【0024】
さらに、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ散の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;該α,β−不飽和散と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル散、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルが挙げられる。
【0025】
これらの中でも、マレイン酸、フマル酸、コハク酸の如き構造をもつα,β−さらに、本発明の目的である低温定着性を効果的に達成する為には、本発明においては結着樹脂の低分子量成分を増やす方法を採用せず低融点のワックスを含有させる方法を採る。
【0026】
トナー中におけるワックス部分は、結着樹脂中に微分散されている。トナー表面に露出したワックス部分は、通常滑性を有する為、トナー表面に露出した結着樹脂の低分子量成分の部分より感光体とトナー担持体間における機械的ストレスによる発熱による、軟化は生じ難いと推定される。それに対して、トナー合体に熱を与えられる定着工程において低融点ワックスは、可塑剤としての効果を発揮し、トナーの低温定着性を効果的に達成させることが可能となる。低融点ワックスは、DSCの最大吸熱ピークを60〜120℃に有するものが好ましい。より好ましくは、70〜115℃に有する場合である。
【0027】
ここでトナーのDSCによる最大吸熱ピークは、ワックス単体のDSCによる吸熱ピークと通常ほぼ一致しており、トナーのDSCによる最大吸熱ピークはワックスに由来するものといえる。
【0028】
本発明に用いられるワックスとしては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、直鎖ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体が挙げられる誘導体には酸化物やビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変成物、アルコール変成物等含む。特に好ましくはパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、脂肪族アルコールワックスである。
【0029】
本発明におけるDSC測定では、トナーの熱のやり取りを測定しその挙動を観測するので、測定原理から高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定する必要がありこの様な測定器としては、例えばパーキングエルマー社製のDSC−7が利用できる。測定方法はASTM D3418−82に準じて行なう。吸熱ピーク温度とは、示差走査熱量計で得られるDSC曲線のプラス方向を吸熱とし、ピークトップの温度をいう。
【0030】
ワックスの分子量分布で好ましい範囲は、重量平均分子量(Mw)が300〜3000,数平均分子量との比(Mw/Mn)が3.0以下のものが好ましく用いられる。Mwが300より小さい場合は、トナーの流動性が低下し、画像白筋が悪化し好ましくない。Mwが3000より大きい場合は、低温定着を達成することが困難となる。
【0031】
Mw/Mnが3.0より大きい場合は、トナーの流動性が低下し、画像白筋の悪化し好ましくない。より好ましくはMwが400〜2500の場合であり、Mw/Mnが2.5以下の場合である。
【0032】
本発明において、トナー組成物、後述の樹脂およびワックスの分子量分布はGPCによってそれぞれ次の条件で測定される。
【0033】
(トナー組成物及び樹脂のGPC測定条件)
装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
カラム:KF801〜7(ショウデックス社製)の7連
温度:40℃
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/min.
試料:濃度0.05〜0.6重量%の試料を0.1ml注入
(ワックスのGPC測定条件)
装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
カラム:GMH−HT(東ソー社製)の2連
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min.
試料:濃度0.15重量%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。更に、ワックスの分子量は、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式で換算することによって算出される。
【0034】
本発明に使用されるトナーにほ、荷電制御剤として有機金属化合物を用いることが好ましい。有機金属化合物のうちでも、特に気化性や昇華性に富む有機化合物を配位子や対イオンとして含有するものが有用である。
【0035】
このような金属錯体としては次に示した一般式で表わされるアゾ系金属錯体がある。
【外1】
【0036】
上記式中、式中Mは配位中心金属を表し、配位数6のCr、Co、Ni、Mn、Fe、Al、Ti、Sc、V等を示す。Arは、フェニル基、ナフチル基の如きアリール基であり、置換基を有していそもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アニリド基及び、炭素数1〜18のアルキル基やアルコキシル基がある。X、X’、Y、Y’は、−0−、−CO−、−NH−、−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。A+は、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン又は、脂肪族アンモニウムイオン或いは、これらいずれかの混合イオンを示す。
【0037】
本発明のトナーには、画像白筋を防止する為に、トナー中に無機微粉体を含有させることが好ましい。トナー表面に存在する無機微粉体が感光体と現像担持体との界面に存在することによりトナー粒子に加わる力学的ストレスが減じられることでトナー表面の発熱を抑制することが可能となっていると考える。無機微粉体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素等の元素を含む磁性金属酸化物等が挙げられる。その中でも、黒色度の点から四三酸化鉄が好ましい。
【0038】
本発明のトナーにおけるこれらの無機微分体の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜70重量部、好ましくは30〜60重量部がよい。20重量部未満では画像白筋に対する効果が少ない。
【0039】
一方、磁性体の含有量が70重量部を超えると、定着性が低下する可能性がある。
【0040】
本発明のトナーを作製するには、公知の方法が用いられる。例えば、結着樹脂、ワックス、金属塩乃至は金属錯体、着色剤としての顔料、染料、又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により充分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相落せしめた中に、金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって、本発明で使用するトナー粒子を得ることが出来る。上記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用いて所望の粒度分布を有するトナー粒子を得ることが好ましい。
【0041】
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の為、無機微粉体を添加することが好ましい。
【0042】
本発明に用いられる無機微粉体としては、例えばシリカ微粉体、酸化チタン、アルミナ等が挙げられる。この中でもBET法で測定した窒素吸着により比表面積が30m2/g以上(特に50〜400m2/g)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100重量部に対して無機微粉体0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜5重量部使用するのが良い。
【0043】
また、本発明に用いられる無機微粉末は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロール、などの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、或いは種々の処理剤で併用して処理されていることも好ましい。
【0044】
他の添加剤としては、例えばテフロン(R)、ステアリン酸亜鉛、ポリ弗化ビニリデン、シリコーンオイル粒子(約40%のシリカ含有)の如き滑剤が好ましい。或いは酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。或いは例えば酸化チタン、酸化アルミニウム等の流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。ケーキング防止剤、或いは例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、また逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0045】
本発明の係るトナーは、上記分級工程で得られたトナー粒子に、先述した外添剤を適宜添加し混合して製造される。外添混合装置として好ましいものにFM−500、−300、−75、−10等の名称を有する三井三池化工機社製のヘンシェルミキサーを挙げることができる。
【0046】
次に本発明の画像形成装置を図に沿って具体的に説明する。
【0047】
図1,図2は、本発明の画像形成装置をもちいたプリンターエンジン構成の一例を表した図である。11は静電荷像担持体である円筒状の感光ドラムであり、その軸を中心にして一方向に回転する。感光ドラム11は帯電装置である帯電ローラ10によって表面を一様に帯電された後、露光装置9より潜像を形成される。現像ローラ3は導電性の弾性体から構成されており所定の当接圧で感光ドラム11に当接しており、トナー2を有した容器1の開口部に図中矢印方向に回転自在には配置されている。現像ローラ3に対しては、トナー2の塗布を行う塗布ローラ4が当接されており、図中矢印方向に回転自在に配置されている。塗布ローラ4の下流側には、トナー規制部材5が当接されており、その導電性部に対して高圧DC電源7から所定のDCバイアスが印加される。現像ローラ3上にコートされたトナー2は不図示の摺動接点を界して、高圧DC電源6から所定のDCバイアスが印可され、感光ドラム11上に形成された潜像を顕像化する。トナー2により可視化された感光ドラム11上の像は転写装置12により転写材15に転写される。転写材15は給紙用カセットに保管されており、給紙ローラ17により給紙された不図示のレジストローラにより感光ドラム11上の像と同期して転写装置12に送られる。転写装置12により転写材15に転写されたトナー2による可視像は定着装置16に搬送され、熱もしくは圧力により転写材15上に定着され記録画像となる。一方転写後に転写されずに感光ドラム11上に残ったトナー2や紙粉はクリーニング装置14のクリーニングブレード13により除去される。トナー2等を除去された感光ドラム11は再び帯電ローラ10によって帯電され上述の工程を繰り返す。
【0048】
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。尚、「部」は重量部を意味する。
【0049】
(結着樹脂1の製造例)
スチレン 70部
アクリル酸−n−ブチル 24部
マレイン酸モノブチル 5部
ジビニルベンゼン 0.5部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5部
上記化合物をキシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂1を得た。GPCの測定結果を表1に示す。
【0050】
(結着樹脂2の製造例)
スチレン 75部
アクリル酸−n−ブチル 20.5部
マレイン酸モノブチル 3.6部
ジビニルベンゼン 0.4部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5部
上記化合物をキシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂2を得た。GPCの測定結果を表1に示す。
【0051】
(結着樹脂3の製造例)
スチレン 70部
アクリル酸−n−ブチル 23.9部
マレイン酸モノブチル 5部
ジビニルベンゼン 0.6部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5部
上記化合物をキシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂1を得た。GPCの測定結果を表1に示す。
【0052】
(結着樹脂4の製造例)
スチレン 80部
アクリル酸−n−ブチル 15部
マレイン酸モノブチル 3部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 2部
上記化合物をキシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂4の低分子側の重合体を得た。
【0053】
更に、
スチレン 80部
アクリル酸−n−ブチル 22部
マレイン酸モノブチル 3部
ジビニルベンゼン 0.005部
2,2−ビス(4,4−ジ−オ−ブチルパーオキノシクロヘキシル)プロパン 0.2部
を懸濁重合法により結着樹脂4の高分子側の重合体を得た。
【0054】
上記低分子側の重合体と低分子側の重合体を70:30の重量比率でキシレン溶液中で混合し、結着樹脂4を得た。GPCの結果を表1に示す。
【0055】
(トナーの作成及び評価結果)
(実施例1)
結着樹脂1 100部
荷電制御剤(モノアゾ鉄錯体) 2部
カーボンブラック 5部
高分子アルコール系ワックス 5部
(Mw=870,Mw/Mn=1.90)
上記混合物を、130℃に過熱された2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、更にエルボージェット分級機で重量平均径(D4)で6.8μmのトナー粒子を得た。得られたトナー100部に疎水性シリカ1.2部加えて、ヘンシェルミキサーで混合して本実施例のトナーを得た。得られたトナーのGPCのデータ及びDSCの吸熱ピークの温度を示す。
【0056】
得られたトナーを、キヤノン社製レーザービームプリンターLBP−320の改造機を使用して評価を行った。
【0057】
主な改造内容及びプロセス条件を以下に説明する。
【0058】
ステンレススリーブの代わりに芯金を中心部に有し、発泡ウレタン層を有する中抵抗ゴムローラー(直径16mm)をトナー担持体とし、感光体に当接した。該トナー担持体の回転速度は、感光体との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対して120%となるように駆動した。
【0059】
トナー担持体にトナーを塗布する手段として、塗布ローラーを設け、該トナー担持体に当接させた。さらに、該トナー担持体上トナーのコート層制御のためにステンレス製ブレードを取り付けた。現像時の現像担持体への印加電圧をDC成分(−350V)のみとした。感光体の帯電電位は、暗部電位を−600Vとし、明部電位は−150Vを標準とした。これらのプロセスカートリッジの改造に適合するよう電子写真装置に改造及びプロセス条件設定を行った。
【0060】
評価結果を表2に示した。
【0061】
(1)画像白筋の評価
高温・高湿環境(32.5℃、90%)下で、初期、100枚、500枚、1000枚、2000枚時のベタ黒画像によって以下の評価基準の下に評価を行なった。
A:画像白筋が全く発生しない
B:AとCの中間レベル
C:画像白筋の発生みられるが実用上問題ないレベル
D:CとEの中間レベル
E:画像白筋が発生し、実用上問題が生じるレベル
(2)転写効率評価
常温・常湿環境(23℃、60%)下において、ドラム上に形成されたベタ黒画像から転写効率を調べて、評価結果を表2に示した。転写効率の値は、転写後の転写紙上に存する単位面積あたりのトナー量に転写後のドラム上に残った単位面積あたりのトナー量を加えた値で、転写後の転写紙上に存する単位面積あたりのトナー量を割った値で求めた。
【0062】
(3)定着性の評価
定着性は、50g/cm2の荷重をかけ、柔和な薄紙により定着画像を摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価し、評価結果を表2に示した。
◎(優):5%未満
○(良):5〜10%
△(可):10〜20%
×(不可):20%以上
(実施例2)
トナー構成原材料として、以下の構成材料を用いた。
結着樹脂1’ 100部
磁性体(Fe3O4) 60部
荷電制御剤(実施例1と同じ) 2部
高分子アルコール系ワックス(実施例1と同じ) 5部
以下実施例1と同様にしてトナーを得、実施例1と同様にして評価を行なった。
【0063】
(実施例3)
トナー構成原材料として、以下の構成材料を用いた。
結着樹脂1 100部
磁性体(Fe3O4) 60部
荷電制御剤(実施例1と同一) 2部
パラフィンワックス 3部
(Mw=500,Mw/Mn=1.30)
ポリプロピレンワックス(Mw=8700,Mw/Mn=8.50)
以下実施例1と同様にしてトナーを得、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表2に示す。
【0064】
(実施例4)
ワックスとして、高分子アルコール系ワックスに変えてフィッシュートロプシュワックス(Mw=1290,Mw/Mn=1.60)5部を使用する以外は実施例1と同様にトナーを得、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表2に示す。
【0065】
(実施例5)
結着樹脂1に変えて結着樹脂2を使用する以外は実施例2と同様にトナーを得、評価を行なった。結果を表2に示す。
【0066】
(実施例6)
結着樹脂1に変えて結着樹脂3を使用する以外は実施例2と同様にトナーを得、評価を行なった。結果を表2に示す。
【0067】
(比較例1)
結着樹脂1を結着樹脂4に、高分子アルコール系ワックスをポリプロピレン系ワックスに変更する以外は実施例1と同様にしてトナーを得、評価を行なった。結果を表2に示す。
【0068】
(比較例2)
結着樹脂1を結着樹脂3に、実施例1で使用した高分子アルコール系ワックスを実施例3で使用したポリプロピレン系ワックスに変更する以外は実施例2と同様にしてトナーを得、評価を行なった。結果を表2に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のよれば、トナーGPCクロマトグラムにおいて、特定の要件を満たす様な結着樹脂及び、トナーのDSCにおいて特定の温度範囲に最大吸熱ピークを有する低融点ワックスを含有するトナーを用いることで、接触一成分現像方法において画像白筋が発生せず、定着性、転写性も良好な画像形成方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 容器
2 トナー
3 現像ローラー
4 塗布ローラー
5 トナー規制部材
6 高圧DC電源
7 高圧DC電源
8 画像形成装置外枠
9 露光装置
10 帯電ローラー
11 静電荷像担持体
12 転写装置
13 クリーニングブレード
14 クリーニング装置
15 転写材
16 定着装置
17 給紙ローラー
18 給紙カセット
【発明の属する技術分野】
本発明は、プリンター、複写機、ファクシミリ等に適用される静電荷像接触現像用のトナー及び該トナーを使用する画像形成方法に関する。より詳細には、トナー担持体上のトナーと感光体表面が接触した状態で現像される方式の、プリンター、複写機、ファクシミリ等に適用できる画像形成用トナー及び該トナーを使用する画像形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、電子写真法としては、多数の方法が知られている。一般には、光導電性物質を利用し、種々の手段により感光体(像担持体)上に静電荷潜像を形成し、次いで静電荷潜像をトナーによって現像してトナー像を形成し、必要に応じて紙の如き転写材にトナー像を転写した後、熱、圧力、加熱加圧により転写材上にトナー像を定着して複写物又はプリント物を得るものである。
【0003】
感光体上の静電荷潜像を可視化する方法としては、カスケード現像法、磁気ブラシ現像法、加圧現像方法等が知られている。更には、磁性トナーを用い、内部に磁石を配した回転スリーブを用いて回転スリーブ上に担持された磁性トナーを感光体上へ電界にて飛翔させ、トナー画像を得る現像方法も知られている。
【0004】
又、現像方法に用いられる現像剤の種類によって、トナーと呼ばれる着色樹脂粒子からなる一成分系現像剤を用いる一成分系現像方式と、トナーにキャリアが混合された二成分系現像剤を用いる二成分系現像方式に大別されるが、一成分系現像方式では、ガラスビーズや鉄粉の如き材料からなるキャリア粒子が不要なため、現像装置自体を小型化及び軽量化できるという利点がある。更に、二成分系現像方式では、現像剤中のトナーの濃度を一定に保つ必要があるため、トナー濃度を検知し、必要量のトナーを補給する装置が必要となるので、現像装置が大きく重くなるという問題がある。これに対し、一成分系現像方式ではこのような装置は必要とならないため、現像装置を小さく軽くできるという利点がある。
【0005】
一方、電子写真を使用したプリンター装置は、LBPプリンター及びLBDプリンターが最近の市場の主流になってきている。又、技術の方向としては、従来は、解像度が240、300dpiであったものが、400、600又は800dpiと高解像度になってきている。従って、現像方式もこれに伴って、更なる高精細化が要求されてきている。このためトナーの小粒径化及び粒度分布のシャープ化が進んでおり、例えば、特開平1−112253号公報、特開平1−191156号公報、特開平2−214156号公報、特開平2−284158号公報、特開平3−181952号公報及び特開平4−162048号公報に、特定のシャープな粒度分布を有する粒径の小さいトナーが提案されている。
【0006】
近年、半導電性の現像ローラ又は表面に誘電層を形成した現像ローラを用いて感光体表面層に押し当てる構成にて現像を行う、接触一成分系現像方法が提案されている。例えば、Japan Hardcopy89論文集25〜28頁、FUJITSU Sci.Tech.J.,28,4,pp.473〜480(December1992)、特開平5−188752号公報及び特開平5−188765号公報に、一成分系接触現像に関する技術が記載されている。かかる接触一成分系現像方法においては、感光体表面と現像電極が非常に近接しているため、現像のエッジ効果を低減できる等の利点がある。
【0007】
しかしながら、上記接触一成分現像方法においては半導電性の現像ローラ又は表面に誘電層が形成された現像ローラを用いて感光体表面層に押し当てる構成で現像を行うため、トナー粒子に力学的負荷のかかる工程として、トナ一粒子を摩擦帯電させる際の帯電部材との接触工程、及び感光体のクリーニング工程に用いられているブレードクリーニング、ファーブラシクリーニング、ローラークリーニング等における力学的な転写残トナーの捕集工程を有している従来の現像方式と比較した場合においてもトナー粒子にかかる力学的負荷が増加し、このために下記にに挙げるような種々の問題が生じていた。
【0008】
即ち、上記工程における各種部材との力学的負荷或いは隣接したトナー粒子との摩擦による負荷からトナー表面の結着樹脂が軟化し、各種部材に融着、堆積することによって、これに起因した画像欠陥が生じ易く、又、トナー粒子同士の融着、凝集が引き起こす現像剤劣化によって、転写性や現像安定性が著しく損なわれ、画像欠陥が生じやすい。かかる画像欠陥の例としては画像現像筋の発生が挙げられる。即ち、トナー層厚規制部材とトナー担持体当接部に、トナー或いはトナー凝集物が融着若しくは局在化することによってトナー層厚が均一に規制できなくなり、画像濃度の不均一化が生じ、或いは更に、トナー層厚の不均一化が進むと現像白筋として画像上に欠陥が現れる。こうしたトナー粒子の融着、凝集を減らす方法として、トナーの結着樹脂の熱的耐性を向上させる方法が考えられる。
【0009】
例えば、接触現像方式における、ドラム融着を防止することが可能な現像剤として特開平4−246653号公報に提案されている。
【0010】
しかしながら、結着樹脂の耐熱性はトナーの定着性の良否に直接影響を及ぼすため、定着性との両立は困難であった。
【0011】
【発明が解決しようとしている課題】
従って、本発明の目的は、静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に露光して静電荷像を形成し、静電荷像をトナーを有する現像手段で現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成し、形成されたトナー像を中間転写体を介して或いは介さずに転写材上へと転写し、転写されたトナー像を定着手段によって定着して定着画像を転写材上に形成する画像形成方法において、上述の従来技術の問題点を解決し得る新規な画像形成用トナー、及び新規な画像形成方法を提供することにある。即ち、接触一成分現像法において画像白筋が発生せず、定着性、転写性も良好な画像形成用トナー及び画像形成方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に露光して静電荷像を形成し、静電荷像をトナーを有する現像手段で現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成し、形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材上へと転写し、転写されたトナー像を定着手段によって転写材上に定着して定着画像を形成する画像形成方法であり、上記現像手段が、弾性層を有する回転可能なトナー担持体、該トナー担持体上にトナー層を形成する為のトナー層厚規制手段を少なくと有し、且つトナー担持体上のトナー層を静電荷像担持体表面に圧接させながら静電荷像を現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成するように構成されている画像形成方法に使用される画像形成用トナーであって、該トナーは少なくとも結着樹脂及びワックスを含有し、該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量5000以下の含有量が3〜20重量%でかつ5×105以上の含有量が5〜25重量%でありかつ3×104〜9×104に少なくとも最大ピークを有し、DSC最大吸熱ピークを60〜120℃に有することを特徴とするトナーに関する。
【0013】
更に本発明は電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に露光して静電荷像を形成し、静電荷像をトナーを有する現像手段で現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成し、形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材上へと転写し、転写されたトナー像を定着手段によって転写材上に定着して定着画像を形成する画像形成方法において、上記トナーは、少なくとも結着樹脂及びワックスを含有し、該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量5000以下の含有量が3〜20重量%でかつ5×105以上の含有量が5〜25重量%でありかつ3×104〜9×104に少なくとも最大ピークを有し、DSCの最大吸熱ピークを60〜120℃に有するように構成されており、更に、上記現像手段が、弾性層を有する回転可能なトナー担持体、該トナー担持体上にトナー層を形成する為のトナー層厚規制手段を少なくと有し、且つトナー担持体上のトナー層を静電荷像担持体表面に圧接させながら静電荷像を現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成することを特徴とする画像形成方法に関する。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施の形態を挙げて本発明を更に詳細に説明する。先に述べたように、従来の技術手段において、トナー構成を考える場合に、画像白筋の防止と低温定着の達成は技術的に同時解決することは困難な状況にあった。
【0015】
これに対して、本発明者等は、上記問題を解決すべくトナー構成材料の面から鋭意検討した結果、トナーの構成材料である結着樹脂及びワックスに起因するトナーの物性値を特定の領域に制御することで本発明の目的を達成するに至った。
【0016】
即ち、本発明では、トナーのGPCが特定の分子量分布を有しかつDSCの吸熱ピークが特定の温度範囲に存在することを特徴とするトナーを使用する。
【0017】
従来より、トナー粒子に、機械的ストレスに耐え得る硬さと低温定着性を実現する為には、トナーのGPCにおける分子量分布において、低分子成分と高分子成分がバランスよく含まれていることが好適であることが一般的に知られている。しかし、接触現像方式においては、トナー担持体と感光体表面との接触面における力学的ストレスは、非接触現像方式(例えばジャンピング現像方式)に比較して大きくなっている。この様な場合において、トナーに含まれる低分子量成分が、力学的ストレスを受けることにより、トナー表面は発熱し、凝集体を形成し易くなり画像白筋が生じてくる。特に力学的ストレスを受け易い分子量成分は、分子量5000以下の成分でありこの成分が、画像白筋の発生の原因となることが明確となった。分子量が5000以下の成分が20重量%より多い場合は画像白筋の発生が顕在化する。但し、3重量%より少ない場合は、定着性に不具合をもたらす為に好ましくない。より好ましくは、5〜17重量%の場合である。
【0018】
更に、本発明の目的を達成するためには、5×105以上の含有量が5〜25重量%であることが必要となる。5重量%より少ない場合は、トナーに適度の弾性を保持させることが困難になり、画像白筋発生が生じ易くなり、又、流動性を確保すべく添加されている外添剤が力学的ストレスがかかった場合トナー内部に埋め込まれ易くなることにより、トナーの帯電特性が変化する為と推測しているが、転写効率の低下がみられる。5×105以の含有量が25重量%より多い場合は、定着性の低下をもたらし好ましくない。より好ましくは、8〜23重量%の場合である。
【0019】
分子量のピークは、3×104〜9×104に最大ピークを有することが好適である。3×104より小さい領域にピークを有する場合は、画像白筋の発生が発生し易くなって好ましくない。9×104より大きい領域にピークを有する場合は、定着性に不具合をもたらす為に好ましくない。
【0020】
より好ましくは3.5×104〜8×104に最大ピークを有する場合である。
【0021】
本発明に係るトナーの結着樹脂としては、ポリスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の単重合体;スチレン−プロピレン共重合体、スチレン−ビニルトルエン共重合体、スチレン−ビニルナフタリン共重合体、スチレン−アクリル酸メチル共重合体、スチレン−アクリル酸エチル共重合体、スチレン−アクリル酸ブチル共重合体、スチレン−アクリル酸オクチル共重合体、スチレン−アクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸メチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸エチル共重合体、スチレン−メタアクリル酸ブチル共重合体、スチレン−メタクリル酸ジメチルアミノエチル共重合体、スチレン−ビニルメチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルエチルエーテル共重合体、スチレン−ビニルメチルケトン共重合体、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンーイソプレン共重合体、スチレン−マレイン酸共重合体、スチレン−マレイン酸エステル共重合体などのスチレン系共重合体;ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリビニルプチラール、シリコーン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、エポキシ樹脂、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テンペル樹脂、フェノール樹脂、脂肪族または脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、パラフィンワックス、カルナバワックスなどが単独或いは混合して使用できる。スチレン系共重合体及びポリエステル樹脂が現像特性,定着性等の点で好ましい。
【0022】
本発明に用いられる結着樹脂は、カルボキシル基含有単量体或はカルボキシル基から誘導された基を有する単量体を構成成分としていることが特に好ましい。
【0023】
例えば、マレイン酸、シトラコン酸、イタコン酸、アルケニルコハク酸、フマル酸、メサコン酸の如き不飽和二塩基酸;マレイン酸無水物、シトラコン酸無水物、イタコン酸無水物、アルケニルコハク酸無水物の如き不飽和二塩基酸無水物;マレイン酸メチルハーフエステル、マレイン酸エチルハーフエステル、マレイン酸ブチルハーフエステル(例えば、モノ−n−ブチルマレート)、シトラコン酸メチルハーフエステル、シトラコン酸エチルハーフエステル、シトラコン散ブチルハーフエステル、イタコン酸メチルハーフエステル、アルケニルコハク酸メチルハーフエステル、フマル酸メチルハーフエステル、メサコン酸メチルハーフエステルの如き不飽和二塩基酸のハーフエステル;ジメチルマレイン酸、ジメチルフマル酸の如き不飽和二塩基酸ジエステルが挙げられる。
【0024】
さらに、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ケイヒ散の如きα,β−不飽和酸;クロトン酸無水物、ケイヒ酸無水物の如きα,β−不飽和酸無水物;該α,β−不飽和散と低級脂肪酸との無水物;アルケニルマロン酸、アルケニルグルタル散、アルケニルアジピン酸、これらの酸無水物及びこれらのモノエステルが挙げられる。
【0025】
これらの中でも、マレイン酸、フマル酸、コハク酸の如き構造をもつα,β−さらに、本発明の目的である低温定着性を効果的に達成する為には、本発明においては結着樹脂の低分子量成分を増やす方法を採用せず低融点のワックスを含有させる方法を採る。
【0026】
トナー中におけるワックス部分は、結着樹脂中に微分散されている。トナー表面に露出したワックス部分は、通常滑性を有する為、トナー表面に露出した結着樹脂の低分子量成分の部分より感光体とトナー担持体間における機械的ストレスによる発熱による、軟化は生じ難いと推定される。それに対して、トナー合体に熱を与えられる定着工程において低融点ワックスは、可塑剤としての効果を発揮し、トナーの低温定着性を効果的に達成させることが可能となる。低融点ワックスは、DSCの最大吸熱ピークを60〜120℃に有するものが好ましい。より好ましくは、70〜115℃に有する場合である。
【0027】
ここでトナーのDSCによる最大吸熱ピークは、ワックス単体のDSCによる吸熱ピークと通常ほぼ一致しており、トナーのDSCによる最大吸熱ピークはワックスに由来するものといえる。
【0028】
本発明に用いられるワックスとしては、パラフィンワックス及びその誘導体、マイクロクリスタリンワックス及びその誘導体、フィッシャートロプシュワックス及びその誘導体、直鎖ポリオレフィンワックス及びその誘導体、カルナバワックス及びその誘導体が挙げられる誘導体には酸化物やビニル系モノマーとのブロック共重合物、グラフト変成物、アルコール変成物等含む。特に好ましくはパラフィンワックス、フィッシャートロプシュワックス、脂肪族アルコールワックスである。
【0029】
本発明におけるDSC測定では、トナーの熱のやり取りを測定しその挙動を観測するので、測定原理から高精度の内熱式入力補償型の示差走査熱量計で測定する必要がありこの様な測定器としては、例えばパーキングエルマー社製のDSC−7が利用できる。測定方法はASTM D3418−82に準じて行なう。吸熱ピーク温度とは、示差走査熱量計で得られるDSC曲線のプラス方向を吸熱とし、ピークトップの温度をいう。
【0030】
ワックスの分子量分布で好ましい範囲は、重量平均分子量(Mw)が300〜3000,数平均分子量との比(Mw/Mn)が3.0以下のものが好ましく用いられる。Mwが300より小さい場合は、トナーの流動性が低下し、画像白筋が悪化し好ましくない。Mwが3000より大きい場合は、低温定着を達成することが困難となる。
【0031】
Mw/Mnが3.0より大きい場合は、トナーの流動性が低下し、画像白筋の悪化し好ましくない。より好ましくはMwが400〜2500の場合であり、Mw/Mnが2.5以下の場合である。
【0032】
本発明において、トナー組成物、後述の樹脂およびワックスの分子量分布はGPCによってそれぞれ次の条件で測定される。
【0033】
(トナー組成物及び樹脂のGPC測定条件)
装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
カラム:KF801〜7(ショウデックス社製)の7連
温度:40℃
溶媒:THF(テトラヒドロフラン)
流速:1.0ml/min.
試料:濃度0.05〜0.6重量%の試料を0.1ml注入
(ワックスのGPC測定条件)
装置:GPC−150C(ウォーターズ社製)
カラム:GMH−HT(東ソー社製)の2連
温度:135℃
溶媒:o−ジクロロベンゼン(0.1%アイオノール添加)
流速:1.0ml/min.
試料:濃度0.15重量%の試料を0.4ml注入
以上の条件で測定し、試料の分子量算出にあたっては単分散ポリスチレン標準試料により作成した分子量校正曲線を使用する。更に、ワックスの分子量は、Mark−Houwink粘度式から導き出される換算式で換算することによって算出される。
【0034】
本発明に使用されるトナーにほ、荷電制御剤として有機金属化合物を用いることが好ましい。有機金属化合物のうちでも、特に気化性や昇華性に富む有機化合物を配位子や対イオンとして含有するものが有用である。
【0035】
このような金属錯体としては次に示した一般式で表わされるアゾ系金属錯体がある。
【外1】
【0036】
上記式中、式中Mは配位中心金属を表し、配位数6のCr、Co、Ni、Mn、Fe、Al、Ti、Sc、V等を示す。Arは、フェニル基、ナフチル基の如きアリール基であり、置換基を有していそもよい。この場合の置換基としては、ニトロ基、ハロゲン基、カルボキシル基、アニリド基及び、炭素数1〜18のアルキル基やアルコキシル基がある。X、X’、Y、Y’は、−0−、−CO−、−NH−、−NR−(Rは炭素数1〜4のアルキル基)である。A+は、水素イオン、ナトリウムイオン、カリウムイオン、アンモニウムイオン又は、脂肪族アンモニウムイオン或いは、これらいずれかの混合イオンを示す。
【0037】
本発明のトナーには、画像白筋を防止する為に、トナー中に無機微粉体を含有させることが好ましい。トナー表面に存在する無機微粉体が感光体と現像担持体との界面に存在することによりトナー粒子に加わる力学的ストレスが減じられることでトナー表面の発熱を抑制することが可能となっていると考える。無機微粉体としては、鉄、コバルト、ニッケル、銅、マグネシウム、マンガン、アルミニウム、ケイ素等の元素を含む磁性金属酸化物等が挙げられる。その中でも、黒色度の点から四三酸化鉄が好ましい。
【0038】
本発明のトナーにおけるこれらの無機微分体の含有量は、結着樹脂100重量部に対し、20〜70重量部、好ましくは30〜60重量部がよい。20重量部未満では画像白筋に対する効果が少ない。
【0039】
一方、磁性体の含有量が70重量部を超えると、定着性が低下する可能性がある。
【0040】
本発明のトナーを作製するには、公知の方法が用いられる。例えば、結着樹脂、ワックス、金属塩乃至は金属錯体、着色剤としての顔料、染料、又は磁性体、必要に応じて荷電制御剤、その他の添加剤等をヘンシェルミキサー、ボールミル等の混合器により充分混合してから、加熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機を用いて溶融混練して樹脂類をお互いに相落せしめた中に、金属化合物、顔料、染料、磁性体を分散又は溶解せしめ、冷却固化後、粉砕、分級を行なって、本発明で使用するトナー粒子を得ることが出来る。上記分級工程においては、生産効率上、多分割分級機を用いて所望の粒度分布を有するトナー粒子を得ることが好ましい。
【0041】
本発明のトナーにおいては、帯電安定性、現像性、流動性、耐久性向上の為、無機微粉体を添加することが好ましい。
【0042】
本発明に用いられる無機微粉体としては、例えばシリカ微粉体、酸化チタン、アルミナ等が挙げられる。この中でもBET法で測定した窒素吸着により比表面積が30m2/g以上(特に50〜400m2/g)の範囲内のものが良好な結果を与える。トナー100重量部に対して無機微粉体0.01〜8重量部、好ましくは0.1〜5重量部使用するのが良い。
【0043】
また、本発明に用いられる無機微粉末は、必要に応じ、疎水化、帯電性コントロール、などの目的でシリコーンワニス、各種変性シリコーンワニス、シリコーンオイル、各種変性シリコーンオイル、シランカップリング剤、官能基を有するシランカップリング剤、その他の有機ケイ素化合物等の処理剤で、或いは種々の処理剤で併用して処理されていることも好ましい。
【0044】
他の添加剤としては、例えばテフロン(R)、ステアリン酸亜鉛、ポリ弗化ビニリデン、シリコーンオイル粒子(約40%のシリカ含有)の如き滑剤が好ましい。或いは酸化セリウム、炭化ケイ素、チタン酸ストロンチウム等の研磨剤、中でもチタン酸ストロンチウムが好ましい。或いは例えば酸化チタン、酸化アルミニウム等の流動性付与剤、中でも特に疎水性のものが好ましい。ケーキング防止剤、或いは例えばカーボンブラック、酸化亜鉛、酸化アンチモン、酸化スズ等の導電性付与剤、また逆極性の白色微粒子及び黒色微粒子を現像性向上剤として少量用いることもできる。
【0045】
本発明の係るトナーは、上記分級工程で得られたトナー粒子に、先述した外添剤を適宜添加し混合して製造される。外添混合装置として好ましいものにFM−500、−300、−75、−10等の名称を有する三井三池化工機社製のヘンシェルミキサーを挙げることができる。
【0046】
次に本発明の画像形成装置を図に沿って具体的に説明する。
【0047】
図1,図2は、本発明の画像形成装置をもちいたプリンターエンジン構成の一例を表した図である。11は静電荷像担持体である円筒状の感光ドラムであり、その軸を中心にして一方向に回転する。感光ドラム11は帯電装置である帯電ローラ10によって表面を一様に帯電された後、露光装置9より潜像を形成される。現像ローラ3は導電性の弾性体から構成されており所定の当接圧で感光ドラム11に当接しており、トナー2を有した容器1の開口部に図中矢印方向に回転自在には配置されている。現像ローラ3に対しては、トナー2の塗布を行う塗布ローラ4が当接されており、図中矢印方向に回転自在に配置されている。塗布ローラ4の下流側には、トナー規制部材5が当接されており、その導電性部に対して高圧DC電源7から所定のDCバイアスが印加される。現像ローラ3上にコートされたトナー2は不図示の摺動接点を界して、高圧DC電源6から所定のDCバイアスが印可され、感光ドラム11上に形成された潜像を顕像化する。トナー2により可視化された感光ドラム11上の像は転写装置12により転写材15に転写される。転写材15は給紙用カセットに保管されており、給紙ローラ17により給紙された不図示のレジストローラにより感光ドラム11上の像と同期して転写装置12に送られる。転写装置12により転写材15に転写されたトナー2による可視像は定着装置16に搬送され、熱もしくは圧力により転写材15上に定着され記録画像となる。一方転写後に転写されずに感光ドラム11上に残ったトナー2や紙粉はクリーニング装置14のクリーニングブレード13により除去される。トナー2等を除去された感光ドラム11は再び帯電ローラ10によって帯電され上述の工程を繰り返す。
【0048】
(実施例)
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、これは本発明を何ら限定するものではない。尚、「部」は重量部を意味する。
【0049】
(結着樹脂1の製造例)
スチレン 70部
アクリル酸−n−ブチル 24部
マレイン酸モノブチル 5部
ジビニルベンゼン 0.5部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5部
上記化合物をキシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂1を得た。GPCの測定結果を表1に示す。
【0050】
(結着樹脂2の製造例)
スチレン 75部
アクリル酸−n−ブチル 20.5部
マレイン酸モノブチル 3.6部
ジビニルベンゼン 0.4部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5部
上記化合物をキシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂2を得た。GPCの測定結果を表1に示す。
【0051】
(結着樹脂3の製造例)
スチレン 70部
アクリル酸−n−ブチル 23.9部
マレイン酸モノブチル 5部
ジビニルベンゼン 0.6部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 0.5部
上記化合物をキシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂1を得た。GPCの測定結果を表1に示す。
【0052】
(結着樹脂4の製造例)
スチレン 80部
アクリル酸−n−ブチル 15部
マレイン酸モノブチル 3部
ジ−t−ブチルパーオキサイド 2部
上記化合物をキシレンを溶媒とした溶液重合法により結着樹脂4の低分子側の重合体を得た。
【0053】
更に、
スチレン 80部
アクリル酸−n−ブチル 22部
マレイン酸モノブチル 3部
ジビニルベンゼン 0.005部
2,2−ビス(4,4−ジ−オ−ブチルパーオキノシクロヘキシル)プロパン 0.2部
を懸濁重合法により結着樹脂4の高分子側の重合体を得た。
【0054】
上記低分子側の重合体と低分子側の重合体を70:30の重量比率でキシレン溶液中で混合し、結着樹脂4を得た。GPCの結果を表1に示す。
【0055】
(トナーの作成及び評価結果)
(実施例1)
結着樹脂1 100部
荷電制御剤(モノアゾ鉄錯体) 2部
カーボンブラック 5部
高分子アルコール系ワックス 5部
(Mw=870,Mw/Mn=1.90)
上記混合物を、130℃に過熱された2軸エクストルーダーで溶融混練し、冷却した混練物をハンマーミルで粗粉砕し、粗粉砕物をジェットミルで微粉砕し、更にエルボージェット分級機で重量平均径(D4)で6.8μmのトナー粒子を得た。得られたトナー100部に疎水性シリカ1.2部加えて、ヘンシェルミキサーで混合して本実施例のトナーを得た。得られたトナーのGPCのデータ及びDSCの吸熱ピークの温度を示す。
【0056】
得られたトナーを、キヤノン社製レーザービームプリンターLBP−320の改造機を使用して評価を行った。
【0057】
主な改造内容及びプロセス条件を以下に説明する。
【0058】
ステンレススリーブの代わりに芯金を中心部に有し、発泡ウレタン層を有する中抵抗ゴムローラー(直径16mm)をトナー担持体とし、感光体に当接した。該トナー担持体の回転速度は、感光体との接触部分において同方向であり、該感光体回転周速に対して120%となるように駆動した。
【0059】
トナー担持体にトナーを塗布する手段として、塗布ローラーを設け、該トナー担持体に当接させた。さらに、該トナー担持体上トナーのコート層制御のためにステンレス製ブレードを取り付けた。現像時の現像担持体への印加電圧をDC成分(−350V)のみとした。感光体の帯電電位は、暗部電位を−600Vとし、明部電位は−150Vを標準とした。これらのプロセスカートリッジの改造に適合するよう電子写真装置に改造及びプロセス条件設定を行った。
【0060】
評価結果を表2に示した。
【0061】
(1)画像白筋の評価
高温・高湿環境(32.5℃、90%)下で、初期、100枚、500枚、1000枚、2000枚時のベタ黒画像によって以下の評価基準の下に評価を行なった。
A:画像白筋が全く発生しない
B:AとCの中間レベル
C:画像白筋の発生みられるが実用上問題ないレベル
D:CとEの中間レベル
E:画像白筋が発生し、実用上問題が生じるレベル
(2)転写効率評価
常温・常湿環境(23℃、60%)下において、ドラム上に形成されたベタ黒画像から転写効率を調べて、評価結果を表2に示した。転写効率の値は、転写後の転写紙上に存する単位面積あたりのトナー量に転写後のドラム上に残った単位面積あたりのトナー量を加えた値で、転写後の転写紙上に存する単位面積あたりのトナー量を割った値で求めた。
【0062】
(3)定着性の評価
定着性は、50g/cm2の荷重をかけ、柔和な薄紙により定着画像を摺擦し、摺擦前後での画像濃度の低下率(%)で評価し、評価結果を表2に示した。
◎(優):5%未満
○(良):5〜10%
△(可):10〜20%
×(不可):20%以上
(実施例2)
トナー構成原材料として、以下の構成材料を用いた。
結着樹脂1’ 100部
磁性体(Fe3O4) 60部
荷電制御剤(実施例1と同じ) 2部
高分子アルコール系ワックス(実施例1と同じ) 5部
以下実施例1と同様にしてトナーを得、実施例1と同様にして評価を行なった。
【0063】
(実施例3)
トナー構成原材料として、以下の構成材料を用いた。
結着樹脂1 100部
磁性体(Fe3O4) 60部
荷電制御剤(実施例1と同一) 2部
パラフィンワックス 3部
(Mw=500,Mw/Mn=1.30)
ポリプロピレンワックス(Mw=8700,Mw/Mn=8.50)
以下実施例1と同様にしてトナーを得、実施例1と同様にして評価を行なった。結果を表2に示す。
【0064】
(実施例4)
ワックスとして、高分子アルコール系ワックスに変えてフィッシュートロプシュワックス(Mw=1290,Mw/Mn=1.60)5部を使用する以外は実施例1と同様にトナーを得、実施例1と同様の評価を行なった。結果を表2に示す。
【0065】
(実施例5)
結着樹脂1に変えて結着樹脂2を使用する以外は実施例2と同様にトナーを得、評価を行なった。結果を表2に示す。
【0066】
(実施例6)
結着樹脂1に変えて結着樹脂3を使用する以外は実施例2と同様にトナーを得、評価を行なった。結果を表2に示す。
【0067】
(比較例1)
結着樹脂1を結着樹脂4に、高分子アルコール系ワックスをポリプロピレン系ワックスに変更する以外は実施例1と同様にしてトナーを得、評価を行なった。結果を表2に示す。
【0068】
(比較例2)
結着樹脂1を結着樹脂3に、実施例1で使用した高分子アルコール系ワックスを実施例3で使用したポリプロピレン系ワックスに変更する以外は実施例2と同様にしてトナーを得、評価を行なった。結果を表2に示す。
【0069】
【表1】
【0070】
【表2】
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のよれば、トナーGPCクロマトグラムにおいて、特定の要件を満たす様な結着樹脂及び、トナーのDSCにおいて特定の温度範囲に最大吸熱ピークを有する低融点ワックスを含有するトナーを用いることで、接触一成分現像方法において画像白筋が発生せず、定着性、転写性も良好な画像形成方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】本発明の画像形成装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 容器
2 トナー
3 現像ローラー
4 塗布ローラー
5 トナー規制部材
6 高圧DC電源
7 高圧DC電源
8 画像形成装置外枠
9 露光装置
10 帯電ローラー
11 静電荷像担持体
12 転写装置
13 クリーニングブレード
14 クリーニング装置
15 転写材
16 定着装置
17 給紙ローラー
18 給紙カセット
Claims (4)
- 静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に露光して静電荷像を形成し、静電荷像をトナーを有する現像手段で現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成し、形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材上へと転写し、転写されたトナー像を定着手段によって転写材上に定着して定着画像を形成する画像形成方法であり、上記現像手段が、弾性層を有する回転可能なトナー担持体、該トナー担持体上にトナー層を形成する為のトナー層厚規制手段を少なくと有し、且つトナー担持体上のトナー層を静電荷像担持体表面に圧接させながら静電荷像を現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成するように構成されている画像形成方法に使用される画像形成用トナーであって、該トナーは少なくとも結着樹脂及びワックスを含有し、該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量5000以下の含有量が3〜20重量%でかつ5×105以上の含有量が5〜25重量%でありかつ3×104〜9×104に少なくとも最大ピークを有し、DSCの最大吸熱ピークを60〜120℃に有することを特徴とするトナー。
- 静電荷像担持体を帯電し、帯電された静電荷像担持体に露光して静電荷像を形成し、静電荷像をトナーを有する現像手段で現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成し、形成されたトナー像を中間転写体を介して又は介さずに転写材上へと転写し、転写されたトナー像を定着手段によって転写材上に定着して定着画像を形成する画像形成方法において、上記トナーは、少なくとも結着樹脂及びワックスを含有し、該トナーのTHF可溶分のGPCクロマトグラムにおいて分子量5000以下の含有量が3〜20重量%でかつ5×105以上の含有量が5〜25重量%でありかつ3×104〜9×104に少なくとも最大ピークを有し、DSCの最大吸熱ピークを60〜120℃に有するように構成されており、更に、上記現像手段が、弾性層を有する回転可能なトナー担持体、該トナー担持体上にトナー層を形成する為のトナー層厚規制手段を少なくと有し、且つトナー担持体上のトナー層を静電荷像担持体表面に圧接させながら静電荷像を現像してトナー像を静電荷像担持体上に形成することを特徴とする画像形成方法。
- 磁性酸化鉄が15wt%〜40wt%含有することを特徴とする請求項1〜請求項2に記載のトナー。
- ワックスの重量平均分子量(Mw)が300〜3000でありかつ数平均分子量(Mn)との比(Mw/Mn)が3.0以下であることを特徴とする請求項1〜請求項3記載のトナー。
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