JP2004325496A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】周囲温度が変化しても表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、応答速度を向上可能で、しかも、回路構成が簡単な液晶表示装置を実現する。
【解決手段】変調駆動処理部13は、前フレームから現フレームへの階調遷移を強調するために、前および現フレームの映像データの組み合わせに対応する補正映像データを、周囲温度に拘わらず、1枚のルックアップテーブルから読み出して出力する。一方、温度制御回路7は、ヒータ5を制御して、48℃〜63℃までに設定された温度を目標温度とし、上記パネル11の温度が、1℃から1.5℃までに設定されたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータ5による加熱を停止し、上記パネル11の温度が、1℃から1.5℃までに設定されたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータ5による加熱を開始する。
【選択図】 図1
【解決手段】変調駆動処理部13は、前フレームから現フレームへの階調遷移を強調するために、前および現フレームの映像データの組み合わせに対応する補正映像データを、周囲温度に拘わらず、1枚のルックアップテーブルから読み出して出力する。一方、温度制御回路7は、ヒータ5を制御して、48℃〜63℃までに設定された温度を目標温度とし、上記パネル11の温度が、1℃から1.5℃までに設定されたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータ5による加熱を停止し、上記パネル11の温度が、1℃から1.5℃までに設定されたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータ5による加熱を開始する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関するものであり、特に、簡単な回路構成であるにも拘わらず、周囲温度が変化しても表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
比較的少ない電力で駆動可能な液晶表示装置は、携帯機器のみならず、据え置き型の機器の表示装置として、広く使用されている。当該液晶表示装置では、液晶パネルの温度が変化すると、例えば、応答速度など、表示品質に影響する特性も変化してしまう。したがって、後述の特許文献1には、液晶パネル全体を均一な温度に加熱するヒータを設け、表示品質の劣化を抑制する液晶表示装置が開示されている。
【0003】
一方、液晶表示装置は、CRT(Cathode−Ray Tube)などと比較すると、応答速度が遅く、遷移階調によって、通常のフレーム周波数(60Hz)に対応した書き換え時間(16.7msec)で応答が完了しないこともあるため、前回から今回への階調遷移を強調するように、駆動信号を変調して駆動する方法も採用されている(後述の特許文献2参照)。
【0004】
例えば、前フレームFR(k−1) から現フレームFR(k) への階調遷移がライズ駆動の場合、前回から今回への階調遷移を強調するように、具体的には、現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) が示す電圧レベルよりも高いレベルの電圧を画素へ印加する。
【0005】
この結果、階調が遷移するとき、現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) が示す電圧レベルを最初から印加する場合の輝度レベルと比較して、画素の輝度レベルは、より急峻に増大し、より短い期間で、上記現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) に応じた輝度レベル近傍に到達する。これにより、液晶の応答速度が遅い場合であっても、液晶表示装置の応答速度を向上できる。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−173153号公報(公開日:1993年7月13日)
【0007】
【特許文献2】
特許第2650479号公報(発行日:1997年9月3日)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記特許文献2のように、階調遷移を強調する液晶表示装置は、今回の画素の階調を示す映像データを補正して、前回から今回への階調遷移を強調するため、画素には、今回の映像データ自体ではなく、補正後の映像データが印加される。したがって、階調遷移強調の程度が適切に設定されていないと、階調遷移を強調し過ぎて白光りが発生したり、階調遷移を十分に強調できずに、黒沈みが発生したりする。
【0009】
当該不具合を解消するために、周囲温度の変化に拘わらず、適切に階調遷移を強調するために、各温度毎にルックアップテーブル(LUT)を設けると、階調遷移を強調する回路に必要なLUTの枚数が増え、当該回路の構成が複雑になる虞れがある。
【0010】
一方、特許文献1のように、ヒータを設ける構成では、温度を高精度(例えば、±1℃程度など)に制御しようとすると、例えば、温度を予測する回路や加熱量の段階的に制御する回路などが不可欠になり、ヒータ、および、その温度制御回路が複雑になってしまう。また、これらの予測回路や制御回路を設けたとしても、想定されたよりも大きな周囲温度の変化が発生した場合、温度制御回路は、通常よりも加熱量を大幅に大きくして、周囲温度の変化を打ち消そうとする。この結果、温度を予測する回路や加熱量の段階的に制御する回路を設けて、温度を高精度に制御しようとすると、予測の誤りなどによって液晶パネルの温度が不所望に高くなる虞れがある。
【0011】
ここで、上記特許文献2のように、階調遷移を強調する構成では、画素には、今回の映像データ自体ではなく、補正後の映像データが印加される。したがって、液晶パネルの温度が不所望に高くなると、階調遷移を強調し過ぎて白光りが発生して、表示品質を著しく低下させてしまう。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑み、さらに、階調遷移を強調する液晶表示装置では、通常の液晶表示装置とは異なり、温度を高精度に制御することが必ずしも表示品質の劣化防止に直結しないことを見出した結果なされたものであり、その目的は、簡単な回路構成であるにも拘わらず、周囲温度が変化しても表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、上記液晶パネルを加熱するヒータと、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0014】
ここで、液晶パネルの温度が30℃を下回った場合、前々回から前回への階調遷移を強調しても、十分に画素の階調を遷移させることができず、当該画素が目標とする階調に到達できないことがある。この場合、前々回から前回への階調遷移によって目標階調に到達したときと同程度に階調遷移を強調すると、階調遷移を強調し過ぎて、画素に白光りが発生したり、階調遷移を十分に強調できずに、画素に黒沈みが発生したりする。一方、前々回から前回への階調遷移が、これらの不具合の発生する特定の階調遷移に該当するか否かを判定する回路と、判定結果に応じて、階調遷移強調の程度を調整する回路とを制御手段に設けると、上記不具合の発生を防止できる代わりに制御手段の回路構成が複雑になってしまう。
【0015】
これに対して、上記構成の液晶表示装置では、ヒータ制御手段による液晶パネルの温度制御の目標温度が、33℃以上に予め定められた温度に設定されており、液晶パネルの温度は、30℃以上に保たれている。したがって、上記判定回路および調整回路を設けることなく、白光りや黒沈みの発生を防止できる。
【0016】
また、上記構成に係るヒータ制御手段は、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御する。したがって、上記ルックアップテーブルの枚数が1枚に設定され、制御手段による階調遷移強調の程度が、前回および今回の階調のみから決定されているにも拘わらず、画素の到達する輝度を、目標とする輝度の±20%以内に抑えることができる。
【0017】
加えて、上記構成に係るヒータ制御手段は、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するので、1℃以内に制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0018】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0019】
また、本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、上記液晶パネルを加熱するヒータと、上記ヒータを制御して、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータによる加熱を停止し、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータによる加熱を開始するヒータ制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0020】
上記構成に係るヒータ制御手段は、液晶パネルの温度が1℃から1.5℃までの間に設定されたしきい値(第1のしきい値)以上に目標温度を上回った場合、ヒータによる加熱を停止し、1℃から1.5℃までの間に設定されたしきい値(第2のしきい値)以上に目標温度を下回った場合、ヒータによる加熱を開始するので、液晶パネルの周囲温度が変化しても、液晶パネルの温度を目標温度±3℃以内に制御できる。この結果、上記液晶表示装置と同様に、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0021】
さらに、本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、上記液晶パネルを加熱するヒータと、上記制御手段による階調遷移の強調によって、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度と当該目標温度との差が予め定められたしきい値を超えないように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備え、上記しきい値は、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されていることを特徴としている。
【0022】
上記構成では、ヒータ制御手段がヒータの加熱/加熱停止を制御するための目標温度は、制御手段が1枚のルックアップテーブルによって階調遷移を強調しているにも拘わらず、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度に設定されている。また、ヒータ制御手段がヒータの加熱/加熱停止を制御する際のしきい値は、制御手段が1枚のルックアップテーブルによって階調遷移を強調しているにも拘わらず、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されている。
【0023】
したがって、目標温度との差が1℃以内になるように温度を制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0024】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0025】
また、上記構成に加えて、上記目標温度は、33℃から63℃の範囲に設定されていてもよい。当該構成では、目標温度が33℃から63℃の範囲に設定されているので、上記しきい値を3℃に設定したとしても、液晶パネルの温度が30℃を下回ることがない。したがって、上記判定回路および調整回路を設けることなく、白光りや黒沈みの発生を防止でき、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0026】
さらに、上記構成に加えて、上記許容範囲は、目的とする輝度に対する、今回の階調遷移により到達する輝度の誤差が、±20%以内の範囲であってもよい。当該構成では、許容範囲が目的とする輝度の±20%以内の範囲になるように設定されているので、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0027】
ところで、気温が30℃を超える気候の場所での使用が想定される場合、上記各構成に加えて、目標温度は、48℃以上に設定することが望ましい。当該構成では、気温が30℃を超える気候で、上記液晶表示装置が使用される場合であっても、冷却システムを設けず、ヒータによって液晶パネルを加熱し、放射(熱伝導)冷却によって自然冷却する構成によって、液晶パネルの温度を当該目標温度から3℃以内になるように制御できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について図1ないし図12に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施形態に係る液晶表示装置1は、簡単な回路構成であるにも拘わらず、周囲温度が変化しても表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置1である。
【0029】
当該液晶表示装置1のパネル11は、図1に示すように、マトリクス状に配された画素PIX(1,1) 〜PIX(n,m) を有する画素アレイ2と、画素アレイ2のデータ信号線SL1〜SLnを駆動するデータ信号線駆動回路3と、画素アレイ2の走査信号線GL1〜GLmを駆動する走査信号線駆動回路4と、パネル11を加熱するヒータ5と、パネル11の温度を検出する温度センサ6と、温度センサ6が検出した温度に基づいて、パネル11の温度が後述する温度範囲に入るように上記ヒータ5を制御する温度制御回路(ヒータ制御手段)7とを備えている。また、液晶表示装置1には、両駆動回路3・4へ制御信号を供給する制御回路12と、入力される映像信号に基づいて、上記階調遷移を強調するように、上記制御回路12へ与える映像信号を変調する変調駆動処理部13とが設けられている。なお、これらの回路は、電源回路14からの電力供給によって動作している。また、図1では、説明の便宜上、ヒータ5が画素アレイ2から離れた場所に図示されているが、図7を参照しながら後述するように、本実施形態に係るヒータ5は、パネル11の表面から見て、画素アレイ2に重なるように配置されており、画素アレイ2全体を加熱できる。
【0030】
以下では、変調駆動処理部13、並びに、ヒータ5および温度制御回路7の詳細構成について説明する前に、液晶表示装置1全体の概略構成および動作を説明する。また、説明の便宜上、例えば、i番目のデータ信号線SLiのように、位置を特定する必要がある場合にのみ、位置を示す数字または英字を付して参照し、位置を特定する必要がない場合や総称する場合には、位置を示す文字を省略して参照する。
【0031】
上記画素アレイ2は、複数(この場合は、n本)のデータ信号線SL1〜SLnと、各データ信号線SL1〜SLnに、それぞれ交差する複数(この場合は、m本)の走査信号線GL1〜GLmとを備えており、1からnまでの任意の整数および1からmまでの任意の整数をjとすると、データ信号線SLiおよび走査信号線GLjの組み合わせ毎に、画素PIX(i,j) が設けられている。
【0032】
本実施形態の場合、各画素PIX(i,j) は、隣接する2本のデータ信号線SL(i−1) ・SLiと、隣接する2本の走査信号線GL(j−1) ・GLjとで囲まれた部分に配されている。
【0033】
上記画素PIX(i,j) は、例えば、図2に示すように、スイッチング素子として、ゲートが走査信号線GLjへ、ドレインがデータ信号線SLiに接続された電界効果トランジスタSW(i,j) と、当該電界効果トランジスタSW(i,j) のソースに、一方電極(後述する画素電極121a)が接続された画素容量Cp(i,j) とを備えている。また、画素容量Cp(i,j) の他方電極(後述する対向電極121b)、全画素PIX…に共通の共通電極線に接続されている。上記画素容量Cp(i,j) は、液晶容量CL(i,j) と、必要に応じて付加される補助容量Cs(i,j) とから構成されている。
【0034】
上記画素PIX(i,j) において、走査信号線GLjが選択されると、電界効果トランジスタSW(i,j) が導通し、データ信号線SLiに印加された電圧が画素容量Cp(i,j) へ印加される。一方、当該走査信号線GLjの選択期間が終了して、電界効果トランジスタSW(i,j) が遮断されている間、画素容量Cp(i,j) は、遮断時の電圧を保持し続ける。ここで、液晶の透過率は、液晶容量CL(i,j) に印加される電圧によって変化する。したがって、走査信号線GLjを選択し、当該画素PIX(i,j) への映像データDに応じた電圧をデータ信号線SLiへ印加すれば、当該画素PIX(i,j) の表示状態を、映像データDに合わせて変化させることができる。
【0035】
本実施形態に係る液晶表示装置は、液晶セルとして、垂直配向モードの液晶セル、すなわち、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対して略垂直に配向し、画素PIX(i,x) の液晶容量CL(i,j) への印加電圧に応じて、液晶分子が垂直配向状態から傾斜する液晶セルを採用しており、当該液晶セルをノーマリブラックモード(電圧無印加時には、黒表示となるモード)で使用している。
【0036】
より詳細には、本実施形態に係る画素アレイ2は、図4に示すように、垂直配向(VA)方式の液晶セル(液晶表示装置)111と、当該液晶セル111の両側に配された偏光板112・113とを積層して構成されている。
【0037】
上記液晶セル111は、各画素PIXにそれぞれ対応する画素電極121aが設けられたTFT(Thin Film Transistor)基板111aと、対向電極121bが設けられた対向基板111bと、両基板111a・111bにて挟持され、負の誘電異方性を有するネマチック液晶からなる液晶層111cとを備えている。なお、本実施形態に係る液晶表示装置1は、カラー表示可能であり、上記対向基板111bには、各画素PIXの色に対応するカラーフィルタ(図示せず)が形成されている。
【0038】
さらに、上記TFT基板111aには、液晶層111c側の表面に垂直配向膜122aが形成されている。同様に、上記対向基板111bの液晶層111c側の表面には、垂直配向膜122bが形成されている。これにより、上記両電極121a・121b間に電圧が印加されていない状態において、両基板111a・111c間に配された液晶層111cの液晶分子Mを、上記基板111a・111b表面に対して略垂直に配向させることができる。
【0039】
一方、両電極121a・121b間に電圧が印加されると、液晶分子Mは、上記基板111a・111bの法線方向に沿った状態(電圧無印加状態)から、印加電圧に応じた傾斜角で傾斜する(図5参照)。なお、両基板111a・111bが対向しているので、特に区別する必要がある場合を除いて、それぞれの法線方向および面内方向を、単に法線方向あるいは面内方向と称する。
【0040】
ここで、本実施形態に係る液晶セル111は、マルチドメイン配向の液晶セルであって、各画素PIXが複数の範囲(ドメイン)に分割され、配向方向、すなわち、電圧印加時に液晶分子Mが傾斜する際の方位(配向方向の面内成分)が、各ドメイン間で異なるように制御されている。
【0041】
具体的には、図6に示すように、上記画素電極121aには、断面形状が山型で、面内の形状がジグザグと略直角に曲がる突起列123a…が、ストライプ状に形成されている。一方、上記対向電極121bには、面内の形状がジグザグと略直角に曲がるスリット(開口部:電極が形成されていない部分)123b…が、ストライプ状に形成されている。これらの突起列123aとスリット123bの面内方向における間隔は、予め定められた間隔に設定されている。また、上記突起列123aは、上記画素電極121a上に感光性樹脂を塗布し、フォトリソグラフィー工程で加工することで形成されている。さらに、上記両電極121a・121bは、それぞれの基板111a・111b上にITO( Indium Tin Oxide )膜を成膜した後、その上にフォトレジストを塗布して電極のパターンを露光して現像した後エッチングすることにより形成されており、上記スリット123bは、対向電極121bを形成する際に、スリット121bの部分を除くようにパターニングすることによって形成される。
【0042】
ここで、突起列123aの近傍では、液晶分子が斜面に垂直になるように配向する。加えて、電圧印加時において、突起列123aの近傍の電界は、突起列123aの斜面に平行になるように傾く。ここで、液晶分子は、長軸が電界に垂直な方向に傾くので、液晶分子は、基板表面に対して斜め方向に配向する。さらに、液晶の連続性によって、突起列123aの斜面から離れた液晶分子も斜面近傍の液晶分子と同様の方向に配向する。
【0043】
同様に、スリット123bのエッジ(スリット123bと対向電極121bとの境界)近傍の領域では、電圧印加時において、基板表面に対して傾斜した電界が形成されるので、液晶分子は、基板表面に対して斜め方向に配向する。さらに、液晶の連続性によって、エッジ近傍の領域から離れた液晶分子もエッジ近傍の液晶分子と同様の方向に配向する。
【0044】
これらの結果、各突起列123a…およびスリット123b…において、角部Cと角部Cとの間の部分を線部と称すると、突起列123aの線部L123aとスリット123bの線部L123bとの間の領域では、電圧印加時における液晶分子の配向方向の面内成分は、線部L123aから線部123bへの方向の面内成分と一致する。
【0045】
ここで、突起列123aおよびスリット123bは、角部Cで略直角に曲がっている。したがって、液晶分子の配向方向は、画素PIX内で4分割され、画素PIX内に、液晶分子の配向方向が互いに異なるドメインD1〜D4を形成できる。
【0046】
一方、図2に示す両偏光板112・113は、偏光板112の吸収軸AA112と偏光板113の吸収軸AA113とが直交するように配置されている。さらに、両偏光板112・113は、それぞれの吸収軸AA112・AA113と、電圧印加時における、上記各ドメインD1〜D4の液晶分子の配向方向の面内成分とが、45度の角度をなすように配置されている。
【0047】
上記構成の画素アレイ2では、画素電極121aと対向電極121bとの間に電圧を印加している間、液晶セル111の液晶分子は、図5に示すように、基板法線方向に対して、電圧に応じた角度だけ傾斜配向している。これにより、液晶セル111を通過する光には、電圧に応じた位相差が与えられる。
【0048】
ここで、両偏光板112・113の吸収軸AA112・AA113は、互いに直交するように配置されている。したがって、出射側の偏光板(例えば、112)へ入射する光は、液晶セル111が与える位相差に応じた楕円偏光になり、当該入射光の一部が偏光板112を通過する。この結果、印加電圧に応じて偏光板112からの出射光量を制御でき、階調表示が可能となる。
【0049】
さらに、上記液晶セル111では、画素内に、液晶分子の配向方向が互いに異なるドメインD1〜D4が形成されている。したがって、あるドメイン(例えば、D1)に属する液晶分子の配向方向に平行な方向から、液晶セル111を見た結果、当該液晶分子が透過光に位相差を与えることができない場合であっても、残余のドメイン(この場合は、D2〜D4)の液晶分子は、透過光に位相差を与えることができる。したがって、各ドメイン同士が、互いに光学的に補償し合うことができる。この結果、液晶セル111を斜め方向から見た場合の表示品位を改善し、視野角を拡大できる。
【0050】
これとは逆に、画素電極121aと対向電極121bとの間に電圧を印加していない間、液晶セル11の液晶分子は、図4に示すように、垂直配向状態にある。この状態(電圧無印加時)では、法線方向から液晶セル111へ入射した光は、各液晶分子によって位相差が与えられず、偏光状態を維持したままで液晶セル111を通過する。この結果、出射側の偏光板(例えば、112)へ入射する光は、偏光板112の吸収軸AA112に略平行な方向の直線偏光となり、偏光板112を通過することができない。この結果、画素アレイ2は、黒を表示できる。
【0051】
このように、本実施形態に係る画素アレイ2では、画素電極121aと対向電極121bとの間に電圧を印加することによって、基板表面に対して斜めの電界を発生させ、液晶分子を傾斜配向させる。これにより、画素電極121aへ印加する電圧レベルに応じて、画素PIXの透過率を変更でき、階調表示できる。
【0052】
一方、上記構成において、図2に示す走査信号線駆動回路4は、各走査信号線GL1〜GLmへ、例えば、電圧信号など、選択期間か否かを示す信号を出力している。また、走査信号線駆動回路4は、選択期間を示す信号を出力する走査信号線GLjを、例えば、制御回路12から与えられるクロック信号GCKやスタートパルス信号GSPなどのタイミング信号に基づいて変更している。これにより、各走査信号線GL1〜GLmは、予め定められたタイミングで、順次選択される。
【0053】
さらに、データ信号線駆動回路3は、映像信号DATとして、時分割で入力される各画素PIX…への映像データD…を、所定のタイミングでサンプリングすることで、それぞれ抽出する。さらに、データ信号線駆動回路3は、走査信号線駆動回路4が選択中の走査信号線GLjに対応する各画素PIX(1,j) 〜PIX(n,j) へ、各データ信号線SL1〜SLnを介して、それぞれへの映像データD…に応じた出力信号を出力する。
【0054】
なお、データ信号線駆動回路3は、制御回路12から入力される、クロック信号SCKおよびスタートパルス信号SSPなどのタイミング信号に基づいて、上記サンプリングタイミングや出力信号の出力タイミングを決定している。
【0055】
一方、各画素PIX(1,j) 〜PIX(n,j) は、自らに対応する走査信号線GLjが選択されている間に、自らに対応するデータ信号線SL1〜SLnに与えられた出力信号に応じて、透過率などを調整して、自らの明るさを決定する。
【0056】
ここで、走査信号線駆動回路4は、走査信号線GL1〜GLmを順次選択している。したがって、画素アレイ2の全画素PIX(1,1) 〜PIX(n,m) を、それぞれへの映像データDが示す明るさに設定でき、画素アレイ2へ表示される画像を更新できる。
【0057】
なお、上記液晶表示装置1において、映像信号源S0から変調駆動処理部13へ与えられる映像信号DATは、フレーム単位(画面全体単位)で伝送されていてもよいし、1フレームを複数のフィールドに分割すると共に、当該フィールド単位で伝送されていてもよいが、以下では、一例として、フィールド単位で伝送される場合について説明する。
【0058】
すなわち、本実施形態において、映像信号源S0から変調駆動処理部13へ与えられる映像信号DATは、1フレームを複数のフィールド(例えば、2フィールド)に分割すると共に、当該フィールド単位で伝送されている。
【0059】
より詳細には、映像信号源S0は、映像信号線VLを介して、液晶表示装置1の変調駆動処理部13に映像信号DATを伝送する際、あるフィールド用の映像データを全て伝送した後に、次のフィールド用の映像データを伝送するなどして、各フィールド用の映像データを時分割伝送している。
【0060】
また、上記フィールドは、複数の水平ラインから構成されており、上記映像信号線VLでは、例えば、あるフィールドにおいて、ある水平ライン用の映像データ全てが伝送された後に、次に伝送する水平ライン用の映像データを伝送するなどして、各水平ライン用の映像データが時分割伝送されている。
【0061】
なお、本実施形態では、2フィールドから1フレームを構成しており、偶数フィールドでは、1フレームを構成する各水平ラインのうち、偶数行目の水平ラインの映像データが伝送される。また、奇数フィールドでは、奇数行目の水平ラインの映像データが伝送される。さらに、上記映像信号源S0は、1水平ライン分の映像データを伝送する際も上記映像信号線VLを時分割駆動しており、予め定められた順番で、各映像データが順次伝送される。
【0062】
ここで、図3に示すように、本実施形態に係る変調駆動処理部13は、入力端子T1から入力される映像データD(i,j,k) を1フレーム分蓄積するフレームメモリ(メモリ)21と、上記入力端子T1から入力される現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) 、および、当該映像データD(i,j,k) と同じ画素PIX(i,j) へ供給すべき映像データであって、しかも、上記フレームメモリ21から読み出した前フレームFR(k−1) の映像データD(i,j,k−1) に基づいて、両者間の階調遷移を強調するように、現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) を変調した補正映像データD2(i,j,k) を出力する変調処理部22とを備えている。なお、変調処理部22が出力する映像信号(補正映像信号)DAT2は、図1に示す制御回路12へ与えられ、データ信号線駆動回路3は、補正映像信号DAT2に基づいて、各画素PIX(i,j) を駆動する。
【0063】
また、上記変調処理部22には、上記両映像データD(i,j,k−1) ・D(i,j,k) として入力される可能性のある組み合わせに対応する補正映像データが、予め記憶されたルックアップテーブル(LUT)23が設けられている。これにより、上記各組み合わせに対応するデータを高精度に近似する式を少ない規模の回路で演算できない場合であっても、何ら支障なく、上記両映像データD(i,j,k−1) およびD(i,j,k) が入力されたときに当該組み合わせに応じたデータを高精度に出力可能な変調処理部22を、小規模な回路で実現できる。
【0064】
さらに、本実施形態では、上記LUT23に必要な記憶容量を削減するために、上記LUT23が記憶している補正映像データは、上記組み合わせ全てに対応する補正映像データではなく、予め定められた組み合わせに制限されており、上記変調処理部22には、LUT23に記憶された各組み合わせに対応する補正映像データを補間して、前フレームFR(k−1) の映像データD(i,j,k−1) と現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) との組み合わせに対応する補正映像データD2(i,j,k) を算出して出力する演算回路(制御手段)24が設けられている。
【0065】
また、詳細は後述するように、本実施形態に係る液晶表示装置1は、ヒータ5、温度センサ6および温度制御回路7を備えており、上記温度制御回路7は、48℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記パネル11の温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータ5による加熱を停止し、上記パネル11の温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータ5による加熱を開始する。これにより、上記パネル11の温度は、周囲温度に拘わらず、上記目標温度±3℃の範囲に保たれている。
【0066】
これにより、上記変調駆動処理部13は、前フレームFR(k−1) の映像データD(i,j,k−1) と現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) との組み合わせに対応する補正映像データD2(i,j,k) を算出するための補正映像データを、周囲温度に拘わらず、1枚のLUT43から読み出し、それらを補間して、補正映像データD2(i,j,k) を算出するという簡単な構成でありながら、何ら支障なく、前フレームFR(k−1) から現フレームFR(k) への階調遷移を強調できる。
【0067】
一方、図1に示すヒータ5は、図4に示すように、液晶セル111において、一方の基板(図4の例では、TFT基板111a)の一方の表面(図4の例では、偏光板112側の表面)に形成された透明のヒータ電極111d…から構成されている。上記ヒータ電極111dは、例えば、ITO( Indium Tin Oxide )などの透明電極によって形成されており、ヒータ電極111dへ電流を流すことによって、当該ヒータ電極111d自身が発熱し、パネル11を過熱できる。
【0068】
図7に示すように、上記各ヒータ電極111dは、直線の帯状に形成されており、それぞれが互いに並列になるように配置されている。上記各ヒータ電極111dは、好ましくは、パネル11の縦(短い方の辺)と平行に配されており、パネル11の表面から見ると、全ヒータ電極111d…と、それらの間の間隙とによって、上記パネル11の表示領域P全体を覆っている。
【0069】
また、本実施形態では、上記パネル11の表面が少なくとも3つの領域(図7の例では、3つの領域Pa〜Pc)に分けられており、パネル11の中央部領域Paに含まれる各ヒータ電極111d…は、それぞれの両端に設けられた金属電極111e・111eによって、互いに電気的に接続されている。同様に、パネル11の端部領域Pb・Pcにおいても、同じ領域に含まれるヒータ電極111d…同士が、それぞれの両端に設けられた金属電極111e・111eによって接続されている。
【0070】
また、本実施形態に係る温度制御回路7には、上記各領域Pa〜Pcにそれぞれ対応する制御部7a〜7cが設けられており、制御部7b・7cは、両端の領域Pb・Pcのヒータ電極111d…へ、制御部7aが中央部領域Paのヒータ電極111d…へ印加する電圧よりも高い電圧を印加できる。これにより、パネル11全域を、略均一な温度に保つことができる。
【0071】
また、本実施形態に係る温度センサ6として、上記各領域Pa〜Pcの温度を測定する温度センサ6a〜6cが設けられており、上記各制御部7a〜7cは、それぞれに対応する温度センサ6a〜6cの測定結果が、予め定められた第1のしきい値を超えると、ヒータ電極111d…への電圧印加を停止し、予め定められた第2のしきい値を下回ると、ヒータ電極111d…への電圧印加を開始している。上記温度センサ6a〜6cは、好ましくは、カラーフィルタ上あるいは基板111a(111b)のうち、各領域Pa〜Pcに対応する位置にある非表示領域上に設けられている。これにより、本実施形態に係るヒータ5は、周囲温度の変化に拘わらず、パネル11の温度を目標とする温度(目標温度)と略同一の温度に保つことができる。
【0072】
上記制御部7aは、例えば、図8に示すように、上記第1のしきい値を示す第1の基準信号と上記温度センサ6aの出力信号とを比較して、温度センサ6aが検出したパネル11の温度が第1のしきい値を超えているか否かを判定する比較回路31、上記第2のしきい値を示す第2の基準信号と上記温度センサ6aの出力信号とを比較して、上記パネル11の温度が第2のしきい値を下回っているかを判定する比較回路32、並びに、上記比較回路32がパネル11の温度が第2のしきい値を下回っていると判断した場合に、上記ヒータ電極111d…への電圧印加を開始し、上記比較回路31がパネル11の温度が第1のしきい値を上回っていると判断したときに、上記ヒータ電極111d…への電圧印加を停止する印加電圧制御回路33とを備えている。なお、本実施形態に係る他の制御部7b・7cも、接続されている温度センサおよびヒータ電極を除いて、上記制御部7aと同じ構成である。
【0073】
さらに、本実施形態では、上記目標温度が48℃〜63℃までのうちのいずれかに設定されている。また、上記第1のしきい値は、目標温度+1℃から1.5℃までの値に、上記第2のしきい値は、目標温度−1℃から目標温度−1.5℃までの値に設定されている。
【0074】
これにより、温度制御回路7は、周囲温度に拘わらず、上記パネル11の温度を上記目標温度±3℃の範囲に保つことができる。また、当該温度制御回路7が上記目標温度の±3℃の範囲にパネル11の温度を制御しているので、変調駆動処理部13は、周囲温度がいずれの値であっても、1枚のLUT43から読み出したデータを補間して、補正映像データD2(i,j,k) を算出するという簡単な構成な構成であるにも拘わらず、周囲温度が変化しても、白光りが発生しない程度に階調遷移を強調できる。したがって、変調駆動処理部13は、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えながら、画素PIX(i,j) の応答速度を向上できる。
【0075】
また、上述の基準温度±3℃にパネル11の温度を制御しているので、±1℃に制御する場合と異なり、例えば、パネル11の温度を予測して次の制御へ反映させるなどの複雑な構成が不要であり、第1および第2のしきい値とパネル11の温度とを比較し、比較結果に応じて、ヒータ5への電圧印加を開始/停止するという比較的簡単な回路構成で温度制御回路7を実現できる。
【0076】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置1を、簡単な回路構成で実現できる。
【0077】
より詳細には、パネル11の温度が上昇し、画素PIX(i,j) 自体の応答速度、すなわち、階調遷移を強調しない状態での応答速度が向上すると、応答速度を予め定められた目標の値へ短縮するために必要な階調遷移強調の程度が弱くなる。これとは逆に、パネル11の温度が下がり、画素PIX(i,j) 自体の応答速度が低下すると、応答速度を上記目標値へ短縮するためには、より強く階調遷移を強調する必要がある。
【0078】
言い換えると、階調遷移強調の程度を、ある温度(基準温度)のときに適切な値に固定すると、パネル11の温度が当該基準温度よりも高いときは、階調遷移を強調し過ぎて、画素PIX(i,j) の表示階調が目的とする階調を上回り、白光りが発生する虞れがある。これとは逆に、パネル11の温度が上記基準温度よりも低いときは、階調遷移を十分に強調できず、画素PIX(i,j) の表示階調が目的とする階調を下回るので、黒沈みが発生する虞れがある。
【0079】
ここで、スタート階調が示す輝度を0%、目的階調が示す輝度を100%としたとき、画素PIX(i,j) の輝度が90%を下回ると、黒沈みの発生が液晶表示装置1の使用者によって把握されやすくなり、110%を上回ると、白光りの発生が液晶表示装置1の使用者によって把握されてしまう。したがって、階調遷移強調の程度をある値に固定し、1枚のLUT23で駆動する場合、温度制御回路7は、温度の変化に起因する目的階調の誤差、より詳細には、透過率(輝度)の誤差、すなわち、目的とする透過率(輝度)に対する、最終(1フィールド)で到達する透過率(輝度)の誤差が、±20%以内になるように、パネル11の温度変動を抑えることが望まれる。
【0080】
ここで、図9〜図12は、パネル11の温度が40℃、35℃、30℃および25℃のそれぞれの場合に適切なLUT23の内容を示している。これらを比較した結果、階調変動が使用者に視認されやすい領域(例えば、128階調への階調遷移または128からの階調遷移)において、パネル11の温度が±5℃変化すると、概ね、画素PIX(i,j) の輝度に20%程度の誤差が発生することが判明した。
【0081】
一例として、図13は、上記パネル11の温度を35℃に維持すると共に、35℃に最適なLUT23(図10に示す内容のLUT)によって駆動した場合の到達率を示している。また、図14は、図13は、上記パネル11の温度を35℃に維持すると共に、40℃に最適なLUT23(図9に示す内容のLUT)によって駆動した場合の到達率を示している。なお、上記到達率%は、(1フィールド後の到達輝度−スタート輝度)/(目的輝度−スタート輝度)である。両者を比較すると明らかなように、パネル11の温度が35℃であるにも拘わらず、それよりも5℃高い温度用のLUT23(40℃用のLUT)で駆動すると、到達率の誤差(100%との差)が20%に達している階調遷移が発生してしまい、上記の許容限界に達していることが判る。
【0082】
なお、40℃〜80℃までの温度範囲においても、同様に到達率を測定したところ、30℃以上の温度範囲では、後述する不具合、すなわち、32階調へのディケイの階調遷移に正確に応答できないという不具合も発生せず、上記と同様の到達率の誤差が発生することが確認できた。
【0083】
さらに、パネル11の特性には、製造上の要因によってバラツキが発生するので、当該特性バラツキが発生しても、透過率(輝度)の誤差、すなわち、目的とする透過率(輝度)に対する、最終(1フィールド)で到達する透過率(輝度)の誤差を、±20%以内に抑えるためには、温度変化を±5℃よりも狭い範囲、より詳細には、6℃以内に抑えればよいことも確認できた。
【0084】
したがって、変調処理部22が1枚のLUT23により階調遷移を強調し、階調遷移強調の程度を固定しているにも拘わらず、温度制御回路7は、パネル11の温度変化が6℃以内におさまるようにヒータ5を制御することによって、上述の表示品質低下を防止できる。
【0085】
特に、本実施形態に係る温度制御回路7では、上記第1のしきい値は、目標温度+1℃から1.5℃までの値に、上記第2のしきい値は、目標温度−1℃から目標温度−1.5℃までの値に設定されており、周囲温度が第1のしきい値を超えると、温度制御回路7がヒータ5による加熱を停止し、周囲温度が第2のしきい値を下回ると、温度制御回路7がヒータ5による加熱を開始している。したがって、簡単な回路で、パネル11の温度変化を6℃以内に抑制できる。
【0086】
加えて、上記構成に係る温度制御回路7は、パネル11の温度変化が目標温度±3℃におさまるようにヒータ5を制御しているので、±1℃以内に制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0087】
また、上述したように、温度が低下し、画素PIX(i,j) 自体の応答速度が低下すると、階調遷移をより大きく強調する必要があるが、画素PIX(i,j) へ印加可能な電圧は、電源回路14が印加可能な電圧に制限されているため、必要な階調遷移強調の程度が大きくなると、十分に階調遷移を強調できなくなる虞れがある。
【0088】
特に、本実施形態に係る液晶セル111は、垂直配向モードの液晶セル、すなわち、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対して略垂直に配向し、画素PIX(i,x) の液晶容量CL(i,j) への印加電圧に応じて、液晶分子が垂直配向状態から傾斜する液晶セルを採用している。ここで、上記液晶セルでは、例えば、垂直配向膜などによる規制力によって、液晶分子の配向方向を垂直方向に復帰させるので、階調を低下させるときは、階調を増加させるときに比べて、応答速度が遅くなりやすく、十分に階調遷移を強調できないことが多い。
【0089】
このように、階調遷移を強調しても、前々フレームから前フレームへの階調遷移が十分ではない状態のときに、十分に階調遷移した場合と同程度に、前フレームから現フレームへの階調遷移を強調すると、階調遷移を強調し過ぎて、白光りが発生したり、階調遷移を十分に強調できずに、応答速度が低下したりして、表示品質が低下する虞れがある。
【0090】
一方、この不具合の発生を防止するために、前々フレームから前フレームへの階調遷移が上記不具合を招来する階調遷移か否かを判定する回路と、判定結果によって前フレームから現フレームへの階調遷移強調の程度を調整する回路とを設けると、液晶表示装置1の回路構成が複雑になる虞れがある。
【0091】
本願発明者は、上記判定回路および調整回路を用いることなく、上記表示品質低下を防止すべく、研究を重ねた結果、映像データD(i,j,k) が255階調(8ビット)で表現されている場合、32階調までの画素PIX(i,j) の応答が正確であれば、上記判定回路および調整回路を設けなくても、上記表示品質低下が、液晶表示装置1の使用者に認識されないことを見出した。
【0092】
ここで、図11は、パネル11の温度が30℃の場合に適切なLUT23の内容を示し、図12は、25℃の場合に適切なLUT23の内容を示している。両者を比較すると、パネル11の温度が25℃まで低下すると、変調処理部22は、128階調または160階調から32階調へのディケイの階調遷移において、最も低い階調(0階調)を出力しており、それ以上の階調(192、224および255階調)から32階調へのディケイの階調遷移でも、それ以上に低い階調を出力することができない。したがって、パネル11の温度が25℃まで低下すると、変調処理部22は、上記各階調から32階調へ正しく階調遷移させるための補正映像データD2(i,j,k) を生成できなくなってしまう。一方、パネル11の温度が30℃に維持されている場合は、図12に示すように、変調処理部22は、224階調から32階調への階調遷移の時点で初めて最も低い階調を出力しており、画素PIX(i,j) は、255階調から32階調へ階調遷移する際であっても、補正映像データD2(i,j,k) として0階調が指定されれば、32階調へと到達する。
【0093】
したがって、パネル11の温度が30℃以上に維持されていれば、上記画素PIX(i,j) が32階調へのディケイの階調遷移(階調が低下する階調遷移)にも、正確に応答できる。したがって、上記判定回路および調整回路を設けることなく、画素PIX(i,j) が32階調へのディケイの階調遷移にも正確に応答可能な補正映像データD2(i,j,k) を、変調処理部22によって生成するためには、温度制御回路7は、パネル11の温度の下限値が30℃以上になり、上記目標温度が33℃以上になるように、ヒータ5を制御することが望ましい。
【0094】
また、本実施形態に係る液晶表示装置1のように、冷却システムを設けず、ヒータ5によってパネル11を加熱し、放射(熱伝導)冷却によって自然冷却する構成では、パネル11周囲の温度よりも低い温度に、パネル11を維持することはできない。ここで、一般に、パネル11の温度は、例えば、バックライトなど、液晶表示装置1内の熱源からの発熱によって、液晶表示装置1周囲の温度(環境温度)よりも高くなる。例えば、環境温度が30℃になると、パネル11周囲の温度は、40℃を超えてしまう。したがって、気温が30℃を超える気候の場所での使用が想定される場合は、温度の変動幅の下限値は、45℃以上に設定することが望ましく、目標温度は、48℃以上に設定することが望ましい。
【0095】
なお、温度制御回路7による温度制御の上限値は、液晶の相転移温度(80℃)を超えず、しかも、液晶表示装置1の使用者がパネル11を手で持ってやけどしないためには、66℃以下に設定することが望ましい。ただし、目標温度を高く設定して、温度の上限値を高く設定すればする程、ヒータ5の消費電力が増大するので、目標温度は、上記各条件を満たす範囲で、低く設定することが望ましい。
【0096】
【発明の効果】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、階調遷移を強調する際に参照されるルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、液晶パネルを加熱するヒータと、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備えている構成である。
【0097】
また、本発明に係る液晶表示装置は、上記ヒータ制御手段に代えて、上記ヒータを制御して、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータによる加熱を停止し、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータによる加熱を開始するヒータ制御手段とを備えている構成であり、当該構成によって、液晶パネルの周囲温度が変化しても、液晶パネルの温度を目標温度±3℃以内に制御する構成である。
【0098】
これらの構成では、ヒータ制御手段による液晶パネルの温度制御の目標温度が、33℃以上に予め定められた温度に設定されており、液晶パネルの温度は、30℃以上に保たれている。したがって、前々回から前回への階調遷移が特定の階調遷移であるか否かを判定する回路および判定結果に応じて階調遷移強調の程度を調整する回路を設けることなく、白光りや黒沈みの発生を防止できる。
【0099】
また、上記構成に係るヒータ制御手段は、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御する。したがって、上記ルックアップテーブルの枚数が1枚に設定され、制御手段による階調遷移強調の程度が、前回および今回の階調のみから決定されているにも拘わらず、画素の到達階調を目標とする輝度の±20%以内に抑えることができる。
【0100】
加えて、上記構成に係るヒータ制御手段は、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するので、1℃以内に制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0101】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できるという効果を奏する。
【0102】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、階調遷移を強調する際に参照されるルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、上記液晶パネルを加熱するヒータと、上記制御手段による階調遷移の強調によって、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度と当該目標温度との差が予め定められたしきい値を超えないように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備え、上記しきい値は、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されている構成である。
【0103】
上記構成では、ヒータ制御手段がヒータの加熱/加熱停止を制御するための目標温度は、制御手段が1枚のルックアップテーブルによって階調遷移を強調しているにも拘わらず、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度に設定されている。また、ヒータ制御手段がヒータの加熱/加熱停止を制御する際のしきい値は、制御手段が1枚のルックアップテーブルによって階調遷移を強調しているにも拘わらず、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されている。
【0104】
したがって、目標温度との差が1℃以内になるように温度を制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0105】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できるという効果を奏する。
【0106】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記目標温度は、33℃から63℃の範囲に設定されている構成である。当該構成では、目標温度が33℃から63℃の範囲に設定されているので、上記しきい値を3℃に設定したとしても、液晶パネルの温度が30℃を下回ることがない。したがって、上記判定回路および調整回路を設けることなく、白光りや黒沈みの発生を防止でき、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できるという効果を奏する。
【0107】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記許容範囲は、目的とする輝度に対する、今回の階調遷移により到達する輝度の誤差が、±20%以内の範囲である。当該構成では、許容範囲が目的とする輝度の±20%以内の範囲になるように設定されているので、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できるという効果を奏する。
【0108】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、上記構成に加えて、目標温度は、48℃以上に設定する構成である。当該構成では、気温が30℃を超える気候で、上記液晶表示装置が使用される場合であっても、冷却システムを設けず、ヒータによって液晶パネルを加熱し、放射(熱伝導)冷却によって自然冷却する構成によって、液晶パネルの温度を当該目標温度から3℃以内になるように制御できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、液晶表示装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記液晶表示装置に設けられた画素の構成例を示す回路図である。
【図3】上記液晶表示装置に設けられた変調駆動処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図4】上記液晶表示装置に設けられた液晶セルを示すものであり、電圧無印加状態を示す模式図である。
【図5】上記液晶表示装置に設けられた液晶セルを示すものであり、電圧印加状態を示す模式図である。
【図6】上記液晶セルの構成例を示すものであり、画素電極近傍を示す平面図である。
【図7】上記液晶表示装置に設けられたヒータの構成例を示す平面図である。
【図8】上記液晶表示装置に設けられた温度制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】上記液晶表示装置の温度を40℃に維持した場合に好適なルックアップテーブルの内容を示す図面である。
【図10】上記液晶表示装置の温度を35℃に維持した場合に好適なルックアップテーブルの内容を示す図面である。
【図11】上記液晶表示装置の温度を30℃に維持した場合に好適なルックアップテーブルの内容を示す図面である。
【図12】上記液晶表示装置の温度を25℃に維持した場合に好適なルックアップテーブルの内容を示す図面である。
【図13】上記液晶表示装置の温度を35℃に維持すると共に、35℃に最適なルックアップテーブルによって駆動した場合の到達率を示す図面である。
【図14】上記液晶表示装置の温度を35℃に維持すると共に、40℃に最適なルックアップテーブルによって駆動した場合の到達率を示す図面である。
【符号の説明】
1 液晶表示装置
5 ヒータ
7 温度制御回路(ヒータ制御手段)
21 フレームメモリ(メモリ)
23 ルックアップテーブル
24 演算回路(制御手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置に関するものであり、特に、簡単な回路構成であるにも拘わらず、周囲温度が変化しても表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
比較的少ない電力で駆動可能な液晶表示装置は、携帯機器のみならず、据え置き型の機器の表示装置として、広く使用されている。当該液晶表示装置では、液晶パネルの温度が変化すると、例えば、応答速度など、表示品質に影響する特性も変化してしまう。したがって、後述の特許文献1には、液晶パネル全体を均一な温度に加熱するヒータを設け、表示品質の劣化を抑制する液晶表示装置が開示されている。
【0003】
一方、液晶表示装置は、CRT(Cathode−Ray Tube)などと比較すると、応答速度が遅く、遷移階調によって、通常のフレーム周波数(60Hz)に対応した書き換え時間(16.7msec)で応答が完了しないこともあるため、前回から今回への階調遷移を強調するように、駆動信号を変調して駆動する方法も採用されている(後述の特許文献2参照)。
【0004】
例えば、前フレームFR(k−1) から現フレームFR(k) への階調遷移がライズ駆動の場合、前回から今回への階調遷移を強調するように、具体的には、現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) が示す電圧レベルよりも高いレベルの電圧を画素へ印加する。
【0005】
この結果、階調が遷移するとき、現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) が示す電圧レベルを最初から印加する場合の輝度レベルと比較して、画素の輝度レベルは、より急峻に増大し、より短い期間で、上記現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) に応じた輝度レベル近傍に到達する。これにより、液晶の応答速度が遅い場合であっても、液晶表示装置の応答速度を向上できる。
【0006】
【特許文献1】
特開平5−173153号公報(公開日:1993年7月13日)
【0007】
【特許文献2】
特許第2650479号公報(発行日:1997年9月3日)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、上記特許文献2のように、階調遷移を強調する液晶表示装置は、今回の画素の階調を示す映像データを補正して、前回から今回への階調遷移を強調するため、画素には、今回の映像データ自体ではなく、補正後の映像データが印加される。したがって、階調遷移強調の程度が適切に設定されていないと、階調遷移を強調し過ぎて白光りが発生したり、階調遷移を十分に強調できずに、黒沈みが発生したりする。
【0009】
当該不具合を解消するために、周囲温度の変化に拘わらず、適切に階調遷移を強調するために、各温度毎にルックアップテーブル(LUT)を設けると、階調遷移を強調する回路に必要なLUTの枚数が増え、当該回路の構成が複雑になる虞れがある。
【0010】
一方、特許文献1のように、ヒータを設ける構成では、温度を高精度(例えば、±1℃程度など)に制御しようとすると、例えば、温度を予測する回路や加熱量の段階的に制御する回路などが不可欠になり、ヒータ、および、その温度制御回路が複雑になってしまう。また、これらの予測回路や制御回路を設けたとしても、想定されたよりも大きな周囲温度の変化が発生した場合、温度制御回路は、通常よりも加熱量を大幅に大きくして、周囲温度の変化を打ち消そうとする。この結果、温度を予測する回路や加熱量の段階的に制御する回路を設けて、温度を高精度に制御しようとすると、予測の誤りなどによって液晶パネルの温度が不所望に高くなる虞れがある。
【0011】
ここで、上記特許文献2のように、階調遷移を強調する構成では、画素には、今回の映像データ自体ではなく、補正後の映像データが印加される。したがって、液晶パネルの温度が不所望に高くなると、階調遷移を強調し過ぎて白光りが発生して、表示品質を著しく低下させてしまう。
【0012】
本発明は、上記の問題点に鑑み、さらに、階調遷移を強調する液晶表示装置では、通常の液晶表示装置とは異なり、温度を高精度に制御することが必ずしも表示品質の劣化防止に直結しないことを見出した結果なされたものであり、その目的は、簡単な回路構成であるにも拘わらず、周囲温度が変化しても表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を実現することにある。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、上記液晶パネルを加熱するヒータと、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0014】
ここで、液晶パネルの温度が30℃を下回った場合、前々回から前回への階調遷移を強調しても、十分に画素の階調を遷移させることができず、当該画素が目標とする階調に到達できないことがある。この場合、前々回から前回への階調遷移によって目標階調に到達したときと同程度に階調遷移を強調すると、階調遷移を強調し過ぎて、画素に白光りが発生したり、階調遷移を十分に強調できずに、画素に黒沈みが発生したりする。一方、前々回から前回への階調遷移が、これらの不具合の発生する特定の階調遷移に該当するか否かを判定する回路と、判定結果に応じて、階調遷移強調の程度を調整する回路とを制御手段に設けると、上記不具合の発生を防止できる代わりに制御手段の回路構成が複雑になってしまう。
【0015】
これに対して、上記構成の液晶表示装置では、ヒータ制御手段による液晶パネルの温度制御の目標温度が、33℃以上に予め定められた温度に設定されており、液晶パネルの温度は、30℃以上に保たれている。したがって、上記判定回路および調整回路を設けることなく、白光りや黒沈みの発生を防止できる。
【0016】
また、上記構成に係るヒータ制御手段は、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御する。したがって、上記ルックアップテーブルの枚数が1枚に設定され、制御手段による階調遷移強調の程度が、前回および今回の階調のみから決定されているにも拘わらず、画素の到達する輝度を、目標とする輝度の±20%以内に抑えることができる。
【0017】
加えて、上記構成に係るヒータ制御手段は、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するので、1℃以内に制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0018】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0019】
また、本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、上記液晶パネルを加熱するヒータと、上記ヒータを制御して、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータによる加熱を停止し、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータによる加熱を開始するヒータ制御手段とを備えていることを特徴としている。
【0020】
上記構成に係るヒータ制御手段は、液晶パネルの温度が1℃から1.5℃までの間に設定されたしきい値(第1のしきい値)以上に目標温度を上回った場合、ヒータによる加熱を停止し、1℃から1.5℃までの間に設定されたしきい値(第2のしきい値)以上に目標温度を下回った場合、ヒータによる加熱を開始するので、液晶パネルの周囲温度が変化しても、液晶パネルの温度を目標温度±3℃以内に制御できる。この結果、上記液晶表示装置と同様に、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0021】
さらに、本発明に係る液晶表示装置は、上記課題を解決するために、液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、上記液晶パネルを加熱するヒータと、上記制御手段による階調遷移の強調によって、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度と当該目標温度との差が予め定められたしきい値を超えないように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備え、上記しきい値は、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されていることを特徴としている。
【0022】
上記構成では、ヒータ制御手段がヒータの加熱/加熱停止を制御するための目標温度は、制御手段が1枚のルックアップテーブルによって階調遷移を強調しているにも拘わらず、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度に設定されている。また、ヒータ制御手段がヒータの加熱/加熱停止を制御する際のしきい値は、制御手段が1枚のルックアップテーブルによって階調遷移を強調しているにも拘わらず、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されている。
【0023】
したがって、目標温度との差が1℃以内になるように温度を制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0024】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0025】
また、上記構成に加えて、上記目標温度は、33℃から63℃の範囲に設定されていてもよい。当該構成では、目標温度が33℃から63℃の範囲に設定されているので、上記しきい値を3℃に設定したとしても、液晶パネルの温度が30℃を下回ることがない。したがって、上記判定回路および調整回路を設けることなく、白光りや黒沈みの発生を防止でき、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0026】
さらに、上記構成に加えて、上記許容範囲は、目的とする輝度に対する、今回の階調遷移により到達する輝度の誤差が、±20%以内の範囲であってもよい。当該構成では、許容範囲が目的とする輝度の±20%以内の範囲になるように設定されているので、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できる。
【0027】
ところで、気温が30℃を超える気候の場所での使用が想定される場合、上記各構成に加えて、目標温度は、48℃以上に設定することが望ましい。当該構成では、気温が30℃を超える気候で、上記液晶表示装置が使用される場合であっても、冷却システムを設けず、ヒータによって液晶パネルを加熱し、放射(熱伝導)冷却によって自然冷却する構成によって、液晶パネルの温度を当該目標温度から3℃以内になるように制御できる。
【0028】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施形態について図1ないし図12に基づいて説明すると以下の通りである。すなわち、本実施形態に係る液晶表示装置1は、簡単な回路構成であるにも拘わらず、周囲温度が変化しても表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置1である。
【0029】
当該液晶表示装置1のパネル11は、図1に示すように、マトリクス状に配された画素PIX(1,1) 〜PIX(n,m) を有する画素アレイ2と、画素アレイ2のデータ信号線SL1〜SLnを駆動するデータ信号線駆動回路3と、画素アレイ2の走査信号線GL1〜GLmを駆動する走査信号線駆動回路4と、パネル11を加熱するヒータ5と、パネル11の温度を検出する温度センサ6と、温度センサ6が検出した温度に基づいて、パネル11の温度が後述する温度範囲に入るように上記ヒータ5を制御する温度制御回路(ヒータ制御手段)7とを備えている。また、液晶表示装置1には、両駆動回路3・4へ制御信号を供給する制御回路12と、入力される映像信号に基づいて、上記階調遷移を強調するように、上記制御回路12へ与える映像信号を変調する変調駆動処理部13とが設けられている。なお、これらの回路は、電源回路14からの電力供給によって動作している。また、図1では、説明の便宜上、ヒータ5が画素アレイ2から離れた場所に図示されているが、図7を参照しながら後述するように、本実施形態に係るヒータ5は、パネル11の表面から見て、画素アレイ2に重なるように配置されており、画素アレイ2全体を加熱できる。
【0030】
以下では、変調駆動処理部13、並びに、ヒータ5および温度制御回路7の詳細構成について説明する前に、液晶表示装置1全体の概略構成および動作を説明する。また、説明の便宜上、例えば、i番目のデータ信号線SLiのように、位置を特定する必要がある場合にのみ、位置を示す数字または英字を付して参照し、位置を特定する必要がない場合や総称する場合には、位置を示す文字を省略して参照する。
【0031】
上記画素アレイ2は、複数(この場合は、n本)のデータ信号線SL1〜SLnと、各データ信号線SL1〜SLnに、それぞれ交差する複数(この場合は、m本)の走査信号線GL1〜GLmとを備えており、1からnまでの任意の整数および1からmまでの任意の整数をjとすると、データ信号線SLiおよび走査信号線GLjの組み合わせ毎に、画素PIX(i,j) が設けられている。
【0032】
本実施形態の場合、各画素PIX(i,j) は、隣接する2本のデータ信号線SL(i−1) ・SLiと、隣接する2本の走査信号線GL(j−1) ・GLjとで囲まれた部分に配されている。
【0033】
上記画素PIX(i,j) は、例えば、図2に示すように、スイッチング素子として、ゲートが走査信号線GLjへ、ドレインがデータ信号線SLiに接続された電界効果トランジスタSW(i,j) と、当該電界効果トランジスタSW(i,j) のソースに、一方電極(後述する画素電極121a)が接続された画素容量Cp(i,j) とを備えている。また、画素容量Cp(i,j) の他方電極(後述する対向電極121b)、全画素PIX…に共通の共通電極線に接続されている。上記画素容量Cp(i,j) は、液晶容量CL(i,j) と、必要に応じて付加される補助容量Cs(i,j) とから構成されている。
【0034】
上記画素PIX(i,j) において、走査信号線GLjが選択されると、電界効果トランジスタSW(i,j) が導通し、データ信号線SLiに印加された電圧が画素容量Cp(i,j) へ印加される。一方、当該走査信号線GLjの選択期間が終了して、電界効果トランジスタSW(i,j) が遮断されている間、画素容量Cp(i,j) は、遮断時の電圧を保持し続ける。ここで、液晶の透過率は、液晶容量CL(i,j) に印加される電圧によって変化する。したがって、走査信号線GLjを選択し、当該画素PIX(i,j) への映像データDに応じた電圧をデータ信号線SLiへ印加すれば、当該画素PIX(i,j) の表示状態を、映像データDに合わせて変化させることができる。
【0035】
本実施形態に係る液晶表示装置は、液晶セルとして、垂直配向モードの液晶セル、すなわち、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対して略垂直に配向し、画素PIX(i,x) の液晶容量CL(i,j) への印加電圧に応じて、液晶分子が垂直配向状態から傾斜する液晶セルを採用しており、当該液晶セルをノーマリブラックモード(電圧無印加時には、黒表示となるモード)で使用している。
【0036】
より詳細には、本実施形態に係る画素アレイ2は、図4に示すように、垂直配向(VA)方式の液晶セル(液晶表示装置)111と、当該液晶セル111の両側に配された偏光板112・113とを積層して構成されている。
【0037】
上記液晶セル111は、各画素PIXにそれぞれ対応する画素電極121aが設けられたTFT(Thin Film Transistor)基板111aと、対向電極121bが設けられた対向基板111bと、両基板111a・111bにて挟持され、負の誘電異方性を有するネマチック液晶からなる液晶層111cとを備えている。なお、本実施形態に係る液晶表示装置1は、カラー表示可能であり、上記対向基板111bには、各画素PIXの色に対応するカラーフィルタ(図示せず)が形成されている。
【0038】
さらに、上記TFT基板111aには、液晶層111c側の表面に垂直配向膜122aが形成されている。同様に、上記対向基板111bの液晶層111c側の表面には、垂直配向膜122bが形成されている。これにより、上記両電極121a・121b間に電圧が印加されていない状態において、両基板111a・111c間に配された液晶層111cの液晶分子Mを、上記基板111a・111b表面に対して略垂直に配向させることができる。
【0039】
一方、両電極121a・121b間に電圧が印加されると、液晶分子Mは、上記基板111a・111bの法線方向に沿った状態(電圧無印加状態)から、印加電圧に応じた傾斜角で傾斜する(図5参照)。なお、両基板111a・111bが対向しているので、特に区別する必要がある場合を除いて、それぞれの法線方向および面内方向を、単に法線方向あるいは面内方向と称する。
【0040】
ここで、本実施形態に係る液晶セル111は、マルチドメイン配向の液晶セルであって、各画素PIXが複数の範囲(ドメイン)に分割され、配向方向、すなわち、電圧印加時に液晶分子Mが傾斜する際の方位(配向方向の面内成分)が、各ドメイン間で異なるように制御されている。
【0041】
具体的には、図6に示すように、上記画素電極121aには、断面形状が山型で、面内の形状がジグザグと略直角に曲がる突起列123a…が、ストライプ状に形成されている。一方、上記対向電極121bには、面内の形状がジグザグと略直角に曲がるスリット(開口部:電極が形成されていない部分)123b…が、ストライプ状に形成されている。これらの突起列123aとスリット123bの面内方向における間隔は、予め定められた間隔に設定されている。また、上記突起列123aは、上記画素電極121a上に感光性樹脂を塗布し、フォトリソグラフィー工程で加工することで形成されている。さらに、上記両電極121a・121bは、それぞれの基板111a・111b上にITO( Indium Tin Oxide )膜を成膜した後、その上にフォトレジストを塗布して電極のパターンを露光して現像した後エッチングすることにより形成されており、上記スリット123bは、対向電極121bを形成する際に、スリット121bの部分を除くようにパターニングすることによって形成される。
【0042】
ここで、突起列123aの近傍では、液晶分子が斜面に垂直になるように配向する。加えて、電圧印加時において、突起列123aの近傍の電界は、突起列123aの斜面に平行になるように傾く。ここで、液晶分子は、長軸が電界に垂直な方向に傾くので、液晶分子は、基板表面に対して斜め方向に配向する。さらに、液晶の連続性によって、突起列123aの斜面から離れた液晶分子も斜面近傍の液晶分子と同様の方向に配向する。
【0043】
同様に、スリット123bのエッジ(スリット123bと対向電極121bとの境界)近傍の領域では、電圧印加時において、基板表面に対して傾斜した電界が形成されるので、液晶分子は、基板表面に対して斜め方向に配向する。さらに、液晶の連続性によって、エッジ近傍の領域から離れた液晶分子もエッジ近傍の液晶分子と同様の方向に配向する。
【0044】
これらの結果、各突起列123a…およびスリット123b…において、角部Cと角部Cとの間の部分を線部と称すると、突起列123aの線部L123aとスリット123bの線部L123bとの間の領域では、電圧印加時における液晶分子の配向方向の面内成分は、線部L123aから線部123bへの方向の面内成分と一致する。
【0045】
ここで、突起列123aおよびスリット123bは、角部Cで略直角に曲がっている。したがって、液晶分子の配向方向は、画素PIX内で4分割され、画素PIX内に、液晶分子の配向方向が互いに異なるドメインD1〜D4を形成できる。
【0046】
一方、図2に示す両偏光板112・113は、偏光板112の吸収軸AA112と偏光板113の吸収軸AA113とが直交するように配置されている。さらに、両偏光板112・113は、それぞれの吸収軸AA112・AA113と、電圧印加時における、上記各ドメインD1〜D4の液晶分子の配向方向の面内成分とが、45度の角度をなすように配置されている。
【0047】
上記構成の画素アレイ2では、画素電極121aと対向電極121bとの間に電圧を印加している間、液晶セル111の液晶分子は、図5に示すように、基板法線方向に対して、電圧に応じた角度だけ傾斜配向している。これにより、液晶セル111を通過する光には、電圧に応じた位相差が与えられる。
【0048】
ここで、両偏光板112・113の吸収軸AA112・AA113は、互いに直交するように配置されている。したがって、出射側の偏光板(例えば、112)へ入射する光は、液晶セル111が与える位相差に応じた楕円偏光になり、当該入射光の一部が偏光板112を通過する。この結果、印加電圧に応じて偏光板112からの出射光量を制御でき、階調表示が可能となる。
【0049】
さらに、上記液晶セル111では、画素内に、液晶分子の配向方向が互いに異なるドメインD1〜D4が形成されている。したがって、あるドメイン(例えば、D1)に属する液晶分子の配向方向に平行な方向から、液晶セル111を見た結果、当該液晶分子が透過光に位相差を与えることができない場合であっても、残余のドメイン(この場合は、D2〜D4)の液晶分子は、透過光に位相差を与えることができる。したがって、各ドメイン同士が、互いに光学的に補償し合うことができる。この結果、液晶セル111を斜め方向から見た場合の表示品位を改善し、視野角を拡大できる。
【0050】
これとは逆に、画素電極121aと対向電極121bとの間に電圧を印加していない間、液晶セル11の液晶分子は、図4に示すように、垂直配向状態にある。この状態(電圧無印加時)では、法線方向から液晶セル111へ入射した光は、各液晶分子によって位相差が与えられず、偏光状態を維持したままで液晶セル111を通過する。この結果、出射側の偏光板(例えば、112)へ入射する光は、偏光板112の吸収軸AA112に略平行な方向の直線偏光となり、偏光板112を通過することができない。この結果、画素アレイ2は、黒を表示できる。
【0051】
このように、本実施形態に係る画素アレイ2では、画素電極121aと対向電極121bとの間に電圧を印加することによって、基板表面に対して斜めの電界を発生させ、液晶分子を傾斜配向させる。これにより、画素電極121aへ印加する電圧レベルに応じて、画素PIXの透過率を変更でき、階調表示できる。
【0052】
一方、上記構成において、図2に示す走査信号線駆動回路4は、各走査信号線GL1〜GLmへ、例えば、電圧信号など、選択期間か否かを示す信号を出力している。また、走査信号線駆動回路4は、選択期間を示す信号を出力する走査信号線GLjを、例えば、制御回路12から与えられるクロック信号GCKやスタートパルス信号GSPなどのタイミング信号に基づいて変更している。これにより、各走査信号線GL1〜GLmは、予め定められたタイミングで、順次選択される。
【0053】
さらに、データ信号線駆動回路3は、映像信号DATとして、時分割で入力される各画素PIX…への映像データD…を、所定のタイミングでサンプリングすることで、それぞれ抽出する。さらに、データ信号線駆動回路3は、走査信号線駆動回路4が選択中の走査信号線GLjに対応する各画素PIX(1,j) 〜PIX(n,j) へ、各データ信号線SL1〜SLnを介して、それぞれへの映像データD…に応じた出力信号を出力する。
【0054】
なお、データ信号線駆動回路3は、制御回路12から入力される、クロック信号SCKおよびスタートパルス信号SSPなどのタイミング信号に基づいて、上記サンプリングタイミングや出力信号の出力タイミングを決定している。
【0055】
一方、各画素PIX(1,j) 〜PIX(n,j) は、自らに対応する走査信号線GLjが選択されている間に、自らに対応するデータ信号線SL1〜SLnに与えられた出力信号に応じて、透過率などを調整して、自らの明るさを決定する。
【0056】
ここで、走査信号線駆動回路4は、走査信号線GL1〜GLmを順次選択している。したがって、画素アレイ2の全画素PIX(1,1) 〜PIX(n,m) を、それぞれへの映像データDが示す明るさに設定でき、画素アレイ2へ表示される画像を更新できる。
【0057】
なお、上記液晶表示装置1において、映像信号源S0から変調駆動処理部13へ与えられる映像信号DATは、フレーム単位(画面全体単位)で伝送されていてもよいし、1フレームを複数のフィールドに分割すると共に、当該フィールド単位で伝送されていてもよいが、以下では、一例として、フィールド単位で伝送される場合について説明する。
【0058】
すなわち、本実施形態において、映像信号源S0から変調駆動処理部13へ与えられる映像信号DATは、1フレームを複数のフィールド(例えば、2フィールド)に分割すると共に、当該フィールド単位で伝送されている。
【0059】
より詳細には、映像信号源S0は、映像信号線VLを介して、液晶表示装置1の変調駆動処理部13に映像信号DATを伝送する際、あるフィールド用の映像データを全て伝送した後に、次のフィールド用の映像データを伝送するなどして、各フィールド用の映像データを時分割伝送している。
【0060】
また、上記フィールドは、複数の水平ラインから構成されており、上記映像信号線VLでは、例えば、あるフィールドにおいて、ある水平ライン用の映像データ全てが伝送された後に、次に伝送する水平ライン用の映像データを伝送するなどして、各水平ライン用の映像データが時分割伝送されている。
【0061】
なお、本実施形態では、2フィールドから1フレームを構成しており、偶数フィールドでは、1フレームを構成する各水平ラインのうち、偶数行目の水平ラインの映像データが伝送される。また、奇数フィールドでは、奇数行目の水平ラインの映像データが伝送される。さらに、上記映像信号源S0は、1水平ライン分の映像データを伝送する際も上記映像信号線VLを時分割駆動しており、予め定められた順番で、各映像データが順次伝送される。
【0062】
ここで、図3に示すように、本実施形態に係る変調駆動処理部13は、入力端子T1から入力される映像データD(i,j,k) を1フレーム分蓄積するフレームメモリ(メモリ)21と、上記入力端子T1から入力される現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) 、および、当該映像データD(i,j,k) と同じ画素PIX(i,j) へ供給すべき映像データであって、しかも、上記フレームメモリ21から読み出した前フレームFR(k−1) の映像データD(i,j,k−1) に基づいて、両者間の階調遷移を強調するように、現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) を変調した補正映像データD2(i,j,k) を出力する変調処理部22とを備えている。なお、変調処理部22が出力する映像信号(補正映像信号)DAT2は、図1に示す制御回路12へ与えられ、データ信号線駆動回路3は、補正映像信号DAT2に基づいて、各画素PIX(i,j) を駆動する。
【0063】
また、上記変調処理部22には、上記両映像データD(i,j,k−1) ・D(i,j,k) として入力される可能性のある組み合わせに対応する補正映像データが、予め記憶されたルックアップテーブル(LUT)23が設けられている。これにより、上記各組み合わせに対応するデータを高精度に近似する式を少ない規模の回路で演算できない場合であっても、何ら支障なく、上記両映像データD(i,j,k−1) およびD(i,j,k) が入力されたときに当該組み合わせに応じたデータを高精度に出力可能な変調処理部22を、小規模な回路で実現できる。
【0064】
さらに、本実施形態では、上記LUT23に必要な記憶容量を削減するために、上記LUT23が記憶している補正映像データは、上記組み合わせ全てに対応する補正映像データではなく、予め定められた組み合わせに制限されており、上記変調処理部22には、LUT23に記憶された各組み合わせに対応する補正映像データを補間して、前フレームFR(k−1) の映像データD(i,j,k−1) と現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) との組み合わせに対応する補正映像データD2(i,j,k) を算出して出力する演算回路(制御手段)24が設けられている。
【0065】
また、詳細は後述するように、本実施形態に係る液晶表示装置1は、ヒータ5、温度センサ6および温度制御回路7を備えており、上記温度制御回路7は、48℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記パネル11の温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータ5による加熱を停止し、上記パネル11の温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータ5による加熱を開始する。これにより、上記パネル11の温度は、周囲温度に拘わらず、上記目標温度±3℃の範囲に保たれている。
【0066】
これにより、上記変調駆動処理部13は、前フレームFR(k−1) の映像データD(i,j,k−1) と現フレームFR(k) の映像データD(i,j,k) との組み合わせに対応する補正映像データD2(i,j,k) を算出するための補正映像データを、周囲温度に拘わらず、1枚のLUT43から読み出し、それらを補間して、補正映像データD2(i,j,k) を算出するという簡単な構成でありながら、何ら支障なく、前フレームFR(k−1) から現フレームFR(k) への階調遷移を強調できる。
【0067】
一方、図1に示すヒータ5は、図4に示すように、液晶セル111において、一方の基板(図4の例では、TFT基板111a)の一方の表面(図4の例では、偏光板112側の表面)に形成された透明のヒータ電極111d…から構成されている。上記ヒータ電極111dは、例えば、ITO( Indium Tin Oxide )などの透明電極によって形成されており、ヒータ電極111dへ電流を流すことによって、当該ヒータ電極111d自身が発熱し、パネル11を過熱できる。
【0068】
図7に示すように、上記各ヒータ電極111dは、直線の帯状に形成されており、それぞれが互いに並列になるように配置されている。上記各ヒータ電極111dは、好ましくは、パネル11の縦(短い方の辺)と平行に配されており、パネル11の表面から見ると、全ヒータ電極111d…と、それらの間の間隙とによって、上記パネル11の表示領域P全体を覆っている。
【0069】
また、本実施形態では、上記パネル11の表面が少なくとも3つの領域(図7の例では、3つの領域Pa〜Pc)に分けられており、パネル11の中央部領域Paに含まれる各ヒータ電極111d…は、それぞれの両端に設けられた金属電極111e・111eによって、互いに電気的に接続されている。同様に、パネル11の端部領域Pb・Pcにおいても、同じ領域に含まれるヒータ電極111d…同士が、それぞれの両端に設けられた金属電極111e・111eによって接続されている。
【0070】
また、本実施形態に係る温度制御回路7には、上記各領域Pa〜Pcにそれぞれ対応する制御部7a〜7cが設けられており、制御部7b・7cは、両端の領域Pb・Pcのヒータ電極111d…へ、制御部7aが中央部領域Paのヒータ電極111d…へ印加する電圧よりも高い電圧を印加できる。これにより、パネル11全域を、略均一な温度に保つことができる。
【0071】
また、本実施形態に係る温度センサ6として、上記各領域Pa〜Pcの温度を測定する温度センサ6a〜6cが設けられており、上記各制御部7a〜7cは、それぞれに対応する温度センサ6a〜6cの測定結果が、予め定められた第1のしきい値を超えると、ヒータ電極111d…への電圧印加を停止し、予め定められた第2のしきい値を下回ると、ヒータ電極111d…への電圧印加を開始している。上記温度センサ6a〜6cは、好ましくは、カラーフィルタ上あるいは基板111a(111b)のうち、各領域Pa〜Pcに対応する位置にある非表示領域上に設けられている。これにより、本実施形態に係るヒータ5は、周囲温度の変化に拘わらず、パネル11の温度を目標とする温度(目標温度)と略同一の温度に保つことができる。
【0072】
上記制御部7aは、例えば、図8に示すように、上記第1のしきい値を示す第1の基準信号と上記温度センサ6aの出力信号とを比較して、温度センサ6aが検出したパネル11の温度が第1のしきい値を超えているか否かを判定する比較回路31、上記第2のしきい値を示す第2の基準信号と上記温度センサ6aの出力信号とを比較して、上記パネル11の温度が第2のしきい値を下回っているかを判定する比較回路32、並びに、上記比較回路32がパネル11の温度が第2のしきい値を下回っていると判断した場合に、上記ヒータ電極111d…への電圧印加を開始し、上記比較回路31がパネル11の温度が第1のしきい値を上回っていると判断したときに、上記ヒータ電極111d…への電圧印加を停止する印加電圧制御回路33とを備えている。なお、本実施形態に係る他の制御部7b・7cも、接続されている温度センサおよびヒータ電極を除いて、上記制御部7aと同じ構成である。
【0073】
さらに、本実施形態では、上記目標温度が48℃〜63℃までのうちのいずれかに設定されている。また、上記第1のしきい値は、目標温度+1℃から1.5℃までの値に、上記第2のしきい値は、目標温度−1℃から目標温度−1.5℃までの値に設定されている。
【0074】
これにより、温度制御回路7は、周囲温度に拘わらず、上記パネル11の温度を上記目標温度±3℃の範囲に保つことができる。また、当該温度制御回路7が上記目標温度の±3℃の範囲にパネル11の温度を制御しているので、変調駆動処理部13は、周囲温度がいずれの値であっても、1枚のLUT43から読み出したデータを補間して、補正映像データD2(i,j,k) を算出するという簡単な構成な構成であるにも拘わらず、周囲温度が変化しても、白光りが発生しない程度に階調遷移を強調できる。したがって、変調駆動処理部13は、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えながら、画素PIX(i,j) の応答速度を向上できる。
【0075】
また、上述の基準温度±3℃にパネル11の温度を制御しているので、±1℃に制御する場合と異なり、例えば、パネル11の温度を予測して次の制御へ反映させるなどの複雑な構成が不要であり、第1および第2のしきい値とパネル11の温度とを比較し、比較結果に応じて、ヒータ5への電圧印加を開始/停止するという比較的簡単な回路構成で温度制御回路7を実現できる。
【0076】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置1を、簡単な回路構成で実現できる。
【0077】
より詳細には、パネル11の温度が上昇し、画素PIX(i,j) 自体の応答速度、すなわち、階調遷移を強調しない状態での応答速度が向上すると、応答速度を予め定められた目標の値へ短縮するために必要な階調遷移強調の程度が弱くなる。これとは逆に、パネル11の温度が下がり、画素PIX(i,j) 自体の応答速度が低下すると、応答速度を上記目標値へ短縮するためには、より強く階調遷移を強調する必要がある。
【0078】
言い換えると、階調遷移強調の程度を、ある温度(基準温度)のときに適切な値に固定すると、パネル11の温度が当該基準温度よりも高いときは、階調遷移を強調し過ぎて、画素PIX(i,j) の表示階調が目的とする階調を上回り、白光りが発生する虞れがある。これとは逆に、パネル11の温度が上記基準温度よりも低いときは、階調遷移を十分に強調できず、画素PIX(i,j) の表示階調が目的とする階調を下回るので、黒沈みが発生する虞れがある。
【0079】
ここで、スタート階調が示す輝度を0%、目的階調が示す輝度を100%としたとき、画素PIX(i,j) の輝度が90%を下回ると、黒沈みの発生が液晶表示装置1の使用者によって把握されやすくなり、110%を上回ると、白光りの発生が液晶表示装置1の使用者によって把握されてしまう。したがって、階調遷移強調の程度をある値に固定し、1枚のLUT23で駆動する場合、温度制御回路7は、温度の変化に起因する目的階調の誤差、より詳細には、透過率(輝度)の誤差、すなわち、目的とする透過率(輝度)に対する、最終(1フィールド)で到達する透過率(輝度)の誤差が、±20%以内になるように、パネル11の温度変動を抑えることが望まれる。
【0080】
ここで、図9〜図12は、パネル11の温度が40℃、35℃、30℃および25℃のそれぞれの場合に適切なLUT23の内容を示している。これらを比較した結果、階調変動が使用者に視認されやすい領域(例えば、128階調への階調遷移または128からの階調遷移)において、パネル11の温度が±5℃変化すると、概ね、画素PIX(i,j) の輝度に20%程度の誤差が発生することが判明した。
【0081】
一例として、図13は、上記パネル11の温度を35℃に維持すると共に、35℃に最適なLUT23(図10に示す内容のLUT)によって駆動した場合の到達率を示している。また、図14は、図13は、上記パネル11の温度を35℃に維持すると共に、40℃に最適なLUT23(図9に示す内容のLUT)によって駆動した場合の到達率を示している。なお、上記到達率%は、(1フィールド後の到達輝度−スタート輝度)/(目的輝度−スタート輝度)である。両者を比較すると明らかなように、パネル11の温度が35℃であるにも拘わらず、それよりも5℃高い温度用のLUT23(40℃用のLUT)で駆動すると、到達率の誤差(100%との差)が20%に達している階調遷移が発生してしまい、上記の許容限界に達していることが判る。
【0082】
なお、40℃〜80℃までの温度範囲においても、同様に到達率を測定したところ、30℃以上の温度範囲では、後述する不具合、すなわち、32階調へのディケイの階調遷移に正確に応答できないという不具合も発生せず、上記と同様の到達率の誤差が発生することが確認できた。
【0083】
さらに、パネル11の特性には、製造上の要因によってバラツキが発生するので、当該特性バラツキが発生しても、透過率(輝度)の誤差、すなわち、目的とする透過率(輝度)に対する、最終(1フィールド)で到達する透過率(輝度)の誤差を、±20%以内に抑えるためには、温度変化を±5℃よりも狭い範囲、より詳細には、6℃以内に抑えればよいことも確認できた。
【0084】
したがって、変調処理部22が1枚のLUT23により階調遷移を強調し、階調遷移強調の程度を固定しているにも拘わらず、温度制御回路7は、パネル11の温度変化が6℃以内におさまるようにヒータ5を制御することによって、上述の表示品質低下を防止できる。
【0085】
特に、本実施形態に係る温度制御回路7では、上記第1のしきい値は、目標温度+1℃から1.5℃までの値に、上記第2のしきい値は、目標温度−1℃から目標温度−1.5℃までの値に設定されており、周囲温度が第1のしきい値を超えると、温度制御回路7がヒータ5による加熱を停止し、周囲温度が第2のしきい値を下回ると、温度制御回路7がヒータ5による加熱を開始している。したがって、簡単な回路で、パネル11の温度変化を6℃以内に抑制できる。
【0086】
加えて、上記構成に係る温度制御回路7は、パネル11の温度変化が目標温度±3℃におさまるようにヒータ5を制御しているので、±1℃以内に制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0087】
また、上述したように、温度が低下し、画素PIX(i,j) 自体の応答速度が低下すると、階調遷移をより大きく強調する必要があるが、画素PIX(i,j) へ印加可能な電圧は、電源回路14が印加可能な電圧に制限されているため、必要な階調遷移強調の程度が大きくなると、十分に階調遷移を強調できなくなる虞れがある。
【0088】
特に、本実施形態に係る液晶セル111は、垂直配向モードの液晶セル、すなわち、電圧無印加時には、液晶分子が基板に対して略垂直に配向し、画素PIX(i,x) の液晶容量CL(i,j) への印加電圧に応じて、液晶分子が垂直配向状態から傾斜する液晶セルを採用している。ここで、上記液晶セルでは、例えば、垂直配向膜などによる規制力によって、液晶分子の配向方向を垂直方向に復帰させるので、階調を低下させるときは、階調を増加させるときに比べて、応答速度が遅くなりやすく、十分に階調遷移を強調できないことが多い。
【0089】
このように、階調遷移を強調しても、前々フレームから前フレームへの階調遷移が十分ではない状態のときに、十分に階調遷移した場合と同程度に、前フレームから現フレームへの階調遷移を強調すると、階調遷移を強調し過ぎて、白光りが発生したり、階調遷移を十分に強調できずに、応答速度が低下したりして、表示品質が低下する虞れがある。
【0090】
一方、この不具合の発生を防止するために、前々フレームから前フレームへの階調遷移が上記不具合を招来する階調遷移か否かを判定する回路と、判定結果によって前フレームから現フレームへの階調遷移強調の程度を調整する回路とを設けると、液晶表示装置1の回路構成が複雑になる虞れがある。
【0091】
本願発明者は、上記判定回路および調整回路を用いることなく、上記表示品質低下を防止すべく、研究を重ねた結果、映像データD(i,j,k) が255階調(8ビット)で表現されている場合、32階調までの画素PIX(i,j) の応答が正確であれば、上記判定回路および調整回路を設けなくても、上記表示品質低下が、液晶表示装置1の使用者に認識されないことを見出した。
【0092】
ここで、図11は、パネル11の温度が30℃の場合に適切なLUT23の内容を示し、図12は、25℃の場合に適切なLUT23の内容を示している。両者を比較すると、パネル11の温度が25℃まで低下すると、変調処理部22は、128階調または160階調から32階調へのディケイの階調遷移において、最も低い階調(0階調)を出力しており、それ以上の階調(192、224および255階調)から32階調へのディケイの階調遷移でも、それ以上に低い階調を出力することができない。したがって、パネル11の温度が25℃まで低下すると、変調処理部22は、上記各階調から32階調へ正しく階調遷移させるための補正映像データD2(i,j,k) を生成できなくなってしまう。一方、パネル11の温度が30℃に維持されている場合は、図12に示すように、変調処理部22は、224階調から32階調への階調遷移の時点で初めて最も低い階調を出力しており、画素PIX(i,j) は、255階調から32階調へ階調遷移する際であっても、補正映像データD2(i,j,k) として0階調が指定されれば、32階調へと到達する。
【0093】
したがって、パネル11の温度が30℃以上に維持されていれば、上記画素PIX(i,j) が32階調へのディケイの階調遷移(階調が低下する階調遷移)にも、正確に応答できる。したがって、上記判定回路および調整回路を設けることなく、画素PIX(i,j) が32階調へのディケイの階調遷移にも正確に応答可能な補正映像データD2(i,j,k) を、変調処理部22によって生成するためには、温度制御回路7は、パネル11の温度の下限値が30℃以上になり、上記目標温度が33℃以上になるように、ヒータ5を制御することが望ましい。
【0094】
また、本実施形態に係る液晶表示装置1のように、冷却システムを設けず、ヒータ5によってパネル11を加熱し、放射(熱伝導)冷却によって自然冷却する構成では、パネル11周囲の温度よりも低い温度に、パネル11を維持することはできない。ここで、一般に、パネル11の温度は、例えば、バックライトなど、液晶表示装置1内の熱源からの発熱によって、液晶表示装置1周囲の温度(環境温度)よりも高くなる。例えば、環境温度が30℃になると、パネル11周囲の温度は、40℃を超えてしまう。したがって、気温が30℃を超える気候の場所での使用が想定される場合は、温度の変動幅の下限値は、45℃以上に設定することが望ましく、目標温度は、48℃以上に設定することが望ましい。
【0095】
なお、温度制御回路7による温度制御の上限値は、液晶の相転移温度(80℃)を超えず、しかも、液晶表示装置1の使用者がパネル11を手で持ってやけどしないためには、66℃以下に設定することが望ましい。ただし、目標温度を高く設定して、温度の上限値を高く設定すればする程、ヒータ5の消費電力が増大するので、目標温度は、上記各条件を満たす範囲で、低く設定することが望ましい。
【0096】
【発明の効果】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、階調遷移を強調する際に参照されるルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、液晶パネルを加熱するヒータと、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備えている構成である。
【0097】
また、本発明に係る液晶表示装置は、上記ヒータ制御手段に代えて、上記ヒータを制御して、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータによる加熱を停止し、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータによる加熱を開始するヒータ制御手段とを備えている構成であり、当該構成によって、液晶パネルの周囲温度が変化しても、液晶パネルの温度を目標温度±3℃以内に制御する構成である。
【0098】
これらの構成では、ヒータ制御手段による液晶パネルの温度制御の目標温度が、33℃以上に予め定められた温度に設定されており、液晶パネルの温度は、30℃以上に保たれている。したがって、前々回から前回への階調遷移が特定の階調遷移であるか否かを判定する回路および判定結果に応じて階調遷移強調の程度を調整する回路を設けることなく、白光りや黒沈みの発生を防止できる。
【0099】
また、上記構成に係るヒータ制御手段は、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御する。したがって、上記ルックアップテーブルの枚数が1枚に設定され、制御手段による階調遷移強調の程度が、前回および今回の階調のみから決定されているにも拘わらず、画素の到達階調を目標とする輝度の±20%以内に抑えることができる。
【0100】
加えて、上記構成に係るヒータ制御手段は、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するので、1℃以内に制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0101】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できるという効果を奏する。
【0102】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、階調遷移を強調する際に参照されるルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、上記液晶パネルを加熱するヒータと、上記制御手段による階調遷移の強調によって、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度と当該目標温度との差が予め定められたしきい値を超えないように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備え、上記しきい値は、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されている構成である。
【0103】
上記構成では、ヒータ制御手段がヒータの加熱/加熱停止を制御するための目標温度は、制御手段が1枚のルックアップテーブルによって階調遷移を強調しているにも拘わらず、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度に設定されている。また、ヒータ制御手段がヒータの加熱/加熱停止を制御する際のしきい値は、制御手段が1枚のルックアップテーブルによって階調遷移を強調しているにも拘わらず、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されている。
【0104】
したがって、目標温度との差が1℃以内になるように温度を制御する場合と異なり、温度を予測回路や段階的に加熱量を制御する回路を設ける必要がない。したがって、予測の誤りなどに起因する不所望な温度の上昇が発生せず、当該温度上昇に起因する白光りも発生しない。
【0105】
これらの結果、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できるという効果を奏する。
【0106】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記目標温度は、33℃から63℃の範囲に設定されている構成である。当該構成では、目標温度が33℃から63℃の範囲に設定されているので、上記しきい値を3℃に設定したとしても、液晶パネルの温度が30℃を下回ることがない。したがって、上記判定回路および調整回路を設けることなく、白光りや黒沈みの発生を防止でき、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できるという効果を奏する。
【0107】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、上記構成に加えて、上記許容範囲は、目的とする輝度に対する、今回の階調遷移により到達する輝度の誤差が、±20%以内の範囲である。当該構成では、許容範囲が目的とする輝度の±20%以内の範囲になるように設定されているので、周囲温度に拘わらず、表示品質の劣化を使用者が認識できない程度に抑えつつ、しかも、応答速度を向上可能な液晶表示装置を、簡単な回路構成で実現できるという効果を奏する。
【0108】
本発明に係る液晶表示装置は、以上のように、上記構成に加えて、目標温度は、48℃以上に設定する構成である。当該構成では、気温が30℃を超える気候で、上記液晶表示装置が使用される場合であっても、冷却システムを設けず、ヒータによって液晶パネルを加熱し、放射(熱伝導)冷却によって自然冷却する構成によって、液晶パネルの温度を当該目標温度から3℃以内になるように制御できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すものであり、液晶表示装置の要部構成を示すブロック図である。
【図2】上記液晶表示装置に設けられた画素の構成例を示す回路図である。
【図3】上記液晶表示装置に設けられた変調駆動処理部の要部構成を示すブロック図である。
【図4】上記液晶表示装置に設けられた液晶セルを示すものであり、電圧無印加状態を示す模式図である。
【図5】上記液晶表示装置に設けられた液晶セルを示すものであり、電圧印加状態を示す模式図である。
【図6】上記液晶セルの構成例を示すものであり、画素電極近傍を示す平面図である。
【図7】上記液晶表示装置に設けられたヒータの構成例を示す平面図である。
【図8】上記液晶表示装置に設けられた温度制御回路の構成例を示すブロック図である。
【図9】上記液晶表示装置の温度を40℃に維持した場合に好適なルックアップテーブルの内容を示す図面である。
【図10】上記液晶表示装置の温度を35℃に維持した場合に好適なルックアップテーブルの内容を示す図面である。
【図11】上記液晶表示装置の温度を30℃に維持した場合に好適なルックアップテーブルの内容を示す図面である。
【図12】上記液晶表示装置の温度を25℃に維持した場合に好適なルックアップテーブルの内容を示す図面である。
【図13】上記液晶表示装置の温度を35℃に維持すると共に、35℃に最適なルックアップテーブルによって駆動した場合の到達率を示す図面である。
【図14】上記液晶表示装置の温度を35℃に維持すると共に、40℃に最適なルックアップテーブルによって駆動した場合の到達率を示す図面である。
【符号の説明】
1 液晶表示装置
5 ヒータ
7 温度制御回路(ヒータ制御手段)
21 フレームメモリ(メモリ)
23 ルックアップテーブル
24 演算回路(制御手段)
Claims (6)
- 液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、
上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、
上記液晶パネルを加熱するヒータと、
33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が当該目標温度から3℃以内になるように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備えていることを特徴とする液晶表示装置。 - 液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、
上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、
上記液晶パネルを加熱するヒータと、
上記ヒータを制御して、33℃から63℃までのうちの予め定められた温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を上回った場合は、上記ヒータによる加熱を停止し、上記液晶パネルの温度が、1℃から1.5℃までのうちの予め定められたしきい値以上に上記目標温度を下回った場合は、上記ヒータによる加熱を開始するヒータ制御手段とを備えていることを特徴とする液晶表示装置。 - 液晶パネルの各画素の今回の輝度を示すデータを、次回まで記憶するメモリと、入力され得る前回のデータと今回のデータとの組み合わせ、それぞれに対応する出力信号が予め記憶されたルックアップテーブルと、上記ルックアップテーブルから、上記メモリから読み出した前回のデータと今回のデータとの組み合わせに対応するデータを読み出し、当該データ自体、または、それを補間したデータを上記今回の輝度を示すデータに代えて出力することによって、前回から今回への階調遷移を強調するように、今回のデータを補正した出力信号を出力する制御手段とを有する液晶表示装置において、
上記ルックアップテーブルの枚数は、1枚に設定されており、
上記液晶パネルを加熱するヒータと、
上記制御手段による階調遷移の強調によって、いずれの階調遷移であっても上記画素が実質的に目的階調へ到達できる液晶温度を目標温度とし、上記液晶パネルの温度と当該目標温度との差が予め定められたしきい値を超えないように、上記ヒータによる加熱開始/加熱停止を制御するヒータ制御手段とを備え、
上記しきい値は、上記制御手段による階調補正によって画素が到達する階調と目的階調との差が許容範囲に収まるように設定されていることを特徴とする液晶表示装置。 - 上記目標温度は、33℃から63℃の範囲に設定されていることを特徴とする請求項3記載の液晶表示装置。
- 上記許容範囲は、目的とする輝度に対する、今回の階調遷移により到達する輝度の誤差が、±20%以内の範囲であることを特徴とする請求項3または4記載の液晶表示装置。
- 上記目標温度は、48℃から63℃までのうちの予め定められた温度に設定されていることを特徴とする請求項1、2または3記載の液晶表示装置。
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