JP2004323668A - 硬化性組成物 - Google Patents
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Abstract
【課題】耐候性に優れた硬化物を与える組成物の提供。
【解決手段】オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとを共重合して得られるビニル重合体(A)、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体(B)、および、オキシラン環と反応性を有する官能基と加水分解性シリル基とを併有する化合物(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【選択図】なし
【解決手段】オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとを共重合して得られるビニル重合体(A)、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体(B)、および、オキシラン環と反応性を有する官能基と加水分解性シリル基とを併有する化合物(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【選択図】なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は湿分存在下で硬化する硬化性組成物に関し、硬化物の耐候性が改良された組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、末端または分子内に加水分解性シリル基を有する各種の重合体を硬化させてシーラント等に使用する方法は工業的に有用な方法として知られている。特にオキシアルキレン重合体を主鎖とする重合体は、室温で液状であり、かつ硬化物が比較的低温でも柔軟性を保持し、建築用を中心としたシーラント等に利用する場合好ましい特性を備えている。
【0003】
しかし、シーラント用途では屋外で長期間、曝露されることによって、表面のひび割れ、シーラント境界部の薄膜部の白化などの劣化が発生する問題があった。この問題は、主として、ポリオキシアルキレン主鎖中のエーテル結合部位が紫外線や化学物質に対して分解を受け易いことに起因すると考えられる。
【0004】
このため、耐候性の改良を目的に、加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体を添加する方法が提案された(特許文献1〜2)。これらの文献に記載の発明では、アクリル系重合体およびオキシアルキレン重合体中の加水分解性シリル基が硬化、縮合反応することにより、オキシアルキレン重合体の重合体骨格中にアクリル系重合体の骨格が取り込まれた複合骨格を持つ樹脂が得られるものと考えられる。このような樹脂においては、長期間の暴露によりオキシアルキレンの主鎖骨格が分解しても、アクリル系重合体の骨格が維持されることにより樹脂自体の骨格が維持できると考えられる。
【0005】
これらの発明では、加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体は、加水分解性シリル基を有するモノマーを共重合する方法、または、加水分解性シリル基を有する開始剤や連鎖移動剤の使用によって、ポリマー末端に加水分解性シリル基を導入する方法を採用している。
【0006】
しかし、前者では、硬化後の硬化物の物性が悪化する傾向にあり、特にモジュラスがシーラントの実用許容範囲の上限を超える傾向にあった。また、後者では、硬化物のモジュラス、伸びなどの物性が維持されるが、硬化前のポリマーの粘度が高くなり、施工時に刷毛等でシーラントを充填する際、刷毛操作が重くなるなど、作業性が劣り、施工業者に従来以上の負荷をかける原因となっていた。また、いずれも、加水分解性シリル基を有する特殊な化合物を使用することからコストが高くなりがちであった。
【0007】
一方、特許文献3〜4では、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体に、反応性基を有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体、光硬化性化合物または空気硬化性化合物を添加することにより、耐候性を改善する方法が提案されている。これは、硬化物の表面部に光硬化性化合物等の硬化物が強固な薄膜を形成することにより耐候性の向上を図る提案である。しかし、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体が反応性基を有していないため、オキシアルキレン重合体鎖骨格とは複合骨格を形成せず、単独で分散しているものと考えられ、よって表面での皮膜形成によって耐候性は向上するものの、樹脂骨格自体の特性の改善にはつながらず、より高い耐候性が求められていた。
【0008】
一方、特許文献5には、塩化ビニル鋼板などの接着性改善の目的で加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体に、エポキシシランおよびケチミンシランを配合する方法が提案されている。しかし、耐候性の改善は認められない。
【0009】
同様に、特許文献6では、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体に、エステル部分の炭素数が1〜20であるアクリル酸アルキルエステルを主成分とした重合体、およびケチミンシランを配合することが提案されている。しかし、アクリル酸アルキルエステルを主成分とした重合体は、反応性基を有していないので、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体と複合骨格を形成せず、やはり、耐候性の向上効果が充分でなかった。
【0010】
【特許文献1】
特公平4−56066号公報
【特許文献2】
特公平2−52935号公報
【特許文献3】
特開2002−179904号公報
【特許文献4】
特開2002−188002号公報
【特許文献5】
特許第2962642号公報
【特許文献6】
特開2002−338948号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の課題を解決するものであり、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体とビニル重合体とで複合骨格を形成することで、オキシアルキレン重合体主鎖の耐候性が改善され、かつ、硬化後の物性のバランスの取れた室温硬化性樹脂組成物を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は次の発明である。
【0013】
オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとを共重合して得られるビニル重合体(A)、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体(B)、および、オキシラン環と反応性を有する官能基と加水分解性シリル基とを併有する化合物(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体(B)としては、特開昭50−156599号公報、特開昭53−134095号公報、特開平3−72527号公報などにより公知の重合体が使用できる。
【0015】
オキシアルキレン重合体鎖は、アルキレンオキシドを重合して得られる重合体鎖であり、アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられ、プロピレンオキシドが好ましい。
【0016】
これらのオキシアルキレン重合体鎖には、分子鎖をつなげるためにオキシアルキレン以外の構造、たとえばカルバメート結合、エステル結合、チオエーテル結合、シロキサン結合などを含んでいてもよい。このような分子鎖をつなげるための化学構造は、原料となるポリオキシアルキレン重合体の分子量を架橋反応によって高分子量化する場合に使用される。また、複合金属シアン化物錯体触媒、水酸化セシウムなどを使用することにより、高分子量のオキシアルキレン重合体鎖を製造することができる。
【0017】
重合体(B)は式1で示される加水分解性シリル基を有することが好ましい。
【0018】
−O−R0−SiXaR1 3−a・・・式1
(式中、R0は、−CONH−、−O−、−S−、−CO−または−NH−を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、R1は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、Xは水酸基または加水分解性基、aは1、2または3。ただし、R1が複数個存在するときはR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、またXが複数個存在するときは、Xはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)。
【0019】
R0としては、−CONH−、−O−、−S−、−CO−または−NH−を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、トリメチレン基が特に好ましい。R1は炭素数1〜5の1価のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。Xにおける加水分解性基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、アミノオキシ基またはケトキシメート基が好ましい。これらのうち炭素原子を有する加水分解性基の炭素数は6以下、特に4以下が好ましい。Xは炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。aは2または3が好ましい。
【0020】
オキシアルキレン重合体(B)は、数平均分子量(Mn)が5000以上30000以下が好ましく、10000以上25000以下が特に好ましい。数平均分子量が5000を下回ると重合体の硬化反応時の硬化性が悪くなり、数平均分子量が3万を上回ると重合体の粘度が高くなり作業性が悪くなる。
【0021】
重合体(A)を製造するのに使用できる、オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジエーテル、ビニルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、クロトン酸グリシジル、桂皮酸グリシジル、ビニル安息香酸グリシジル等の不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル;不飽和ジカルボン酸のモノアルキルモノグリシジルエステルが挙げられる。不飽和カルボン酸のグリシジルエステルが好ましく、中でもグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。
【0022】
オキシラン環を有する重合性不飽和基含有モノマーの重合単位は、重合体(A)中で、質量換算で0.5〜2.5%であることが好ましい。0.5%未満では、反応性基が少なくなりすぎるため、複合樹脂骨格の形成が不充分となり耐候性が低下する。2.5%超となると、複合樹脂骨格の形成に関与しないオキシラン環が硬化性組成物の硬化後に残存するため、長時間太陽光に暴露すると、モジュラスが顕著に高くなり、シーラントとしての物性を保持できなくなるおそれがある。
【0023】
オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーと共重合するその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとをいう)が好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合単位を重合体(A)中、質量換算で60〜97.5%有することが好ましい。
【0024】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、式2で表すことができる。
CH2=CR2COOR3・・・式2
(式中、R2は水素原子またはメチル基、R3はアルキル基を示す。)。
【0025】
式2におけるR2はアルキル基であるが、本発明においてはアラルキル基、シクロアルキル基等のように、アルキル基の水素原子の少なくとも一つが環状炭化水素基等の炭化水素基で置換されたような置換アルキル基もアルキル基に含むものとする。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましく、1〜20が好ましく、1〜8が特に好ましい。
【0026】
アルキル基の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0027】
耐候性の向上の点から、このうち、アルキル基の炭素数が1〜8であるメタクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましい。メタクリル酸アルキルエステルはアルキル基の炭素数が1〜4であるものが特に好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−t−ブチルが最も好ましい。前記メタクリル酸アルキルエステルの重合単位を重合体(A)中10〜50質量%、好ましくは15〜35質量%有することが好ましい。
【0028】
また、重合体(A)のガラス転移温度(Tg)を下げることによる低温時の施工性の改良や、重合体(A)と重合体(B)との相溶性が向上することから、さらにアルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルを併用することが好ましい。前記アクリル酸アルキルエステルの重合単位を重合体(A)中30〜90質量%、好ましくは35〜80質量%有することが好ましい。
【0029】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外に下記の重合性不飽和基含有モノマーを使用してもよい。
【0030】
(メタ)アクリル酸;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネートアルキル(メタ)アクリレート;2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;フルフリル(メタ)アクリレートやテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(水添)フルフリル基を有する(メタ)アクリレート;3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアルコキシシラン;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンモノオールの(メタ)アクリル酸エステル;N,N−ジメチルアクリルアミド等のN−置換またはN,N−置換(メタ)アクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリロニトリル、2,4−ジシアノブテン−1等のシアノ基含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;オレフィン;ハロゲン化オレフィン;不飽和エステル;ビニルエーテル等を用いることができる。
【0031】
オキシアルキレン重合体(B)と、オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーと共重合して得られる有機重合体(A)との複合体を得る方法としては下記の2通りが挙げられる。
【0032】
(1)予め特定の有機溶媒中でオキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとをラジカル開始剤存在下で共重合して有機重合体を得た後、オキシアルキレン重合体(B)と混合し、脱溶媒する方法。
【0033】
(2)オキシアルキレン重合体(B)中で、ラジカル開始剤の存在下、オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーのラジカル重合反応を行い、反応後未反応のビニル重合性不飽和基含有モノマーを除去する方法。
【0034】
(2)の方法では、ラジカル重合反応中に、オキシアルキレン骨格に少量の連鎖移動が生じ、ビニル重合性不飽和基含有モノマーの重合体中に一部オキシアルキレン重合体が取り込まれた構造を生成し、相溶性が向上すると考えられる。(1)の方法では、(2)の方法で得られた同じモノマー組成、同じ分子量の重合体では、複合体の粘度が低下する傾向がある。
【0035】
また、(1)の方法において、重合後、さらにオキシアルキレン重合体(B)を混合してもよく、粘度を下げたい場合はこの方法は有効である。
【0036】
重合性不飽和基含有モノマーの重合反応において、使用できるラジカル開始剤としては、アゾ系、パーオキサイド系、酸化還元反応を利用したレドックス系のラジカル開始剤が挙げられる。なお、光、放射線や熱により活性化を行う場合は、ラジカル重合開始剤は必ずしも必要ではない。また、上記反応は20〜200℃(好ましくは、50〜150℃)で数時間〜数十時間行うことが好ましい。
。オキシアルキレン重合体(B)中での重合方法においては、ポリオキシアルキレン主鎖の分解を抑制する点からアゾ系の開始剤の使用が好ましい。
【0037】
アゾ系開始剤の具体例としては、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビス−2−メチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、等が例示される。
【0038】
オキシアルキレン重合体(B)中で重合性不飽和基含有モノマーを重合させて得られる複合体は、ラジカル重合の反応後に、ラジカル残渣が残留していると、貯蔵時に化学反応が進行して複合体の分解等の2次反応を促進させ、貯蔵安定性や耐候性の観点で望ましくない。このため、反応終了後、ラジカルのクエンチャーとして、連鎖移動剤や重合停止剤などを加えることが望ましい。
【0039】
これら、連鎖移動剤、重合停止剤としては、α−メチルスチレンダイマーなどの不飽和基含有化合物や、ドデシルメルカプタンなどの長鎖アルキルメルカプタン、t−ブチルヒドロキノンなどのヒンダードフェノール類などが例示できる。
【0040】
重合性不飽和基含有モノマーを重合後、未反応で残っている重合性不飽和基含有モノマーを減圧脱気にて除去することが好ましい。具体的には、減圧下に80℃〜120℃で加温する方法で除去できる。この際窒素バブリング法を併用すると効率的である。なお、未反応の重合性不飽和基含有モノマーの除去は、オキシアルキレン重合体(B)中で重合を行った場合は、重合後、溶媒中で重合を行った場合は、重合後オキシアルキレン重合体(B)と混合後、溶媒の留去と同時に行えばよい。
【0041】
オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーと共重合して得られる重合体(A)と、重合体(B)の割合は、質量比で、10/90〜60/40が好ましい。
【0042】
重合体(A)の割合が(A)と(B)の合計の10質量%未満の場合は、耐候性が充分ではない。また、重合体(A)の割合が(A)と(B)の合計の60質量%を超えると、重合体(A)のオキシアルキレン重合体(B)への溶解性が下がり、凝集沈殿するポリマーが生成し、シーラントとして作業性が劣る。耐候性の観点では、(A)と(B)の割合は20/80〜50/50が好ましい。
【0043】
本発明において、オキシラン環と反応性を有する官能基を加水分解性シリル基とを併有する化合物(C)を使用する。オキシラン環と反応性を有する官能基としては、アミノ基、メルカプト基または加水分解時にアミノ基を発生しうる基が好ましい。加水分解時にアミノ基を発生し得る基としては、ケチミン化したアミノ基が好ましい。
【0044】
化合物(C)は分子量500以下、好ましくは300以下の低分子ケイ素化合物であることが好ましい。化合物(C)としてアミノシラン類、メルカプトシラン類、またはアミノシラン類とケトン類との脱水反応によって得られる化合物が挙げられる。ケトン類としては、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどが挙げられる。アミノシラン類またはケチミン化したアミノシラン類が特に好ましい。具体的には下記の化合物を例示できる。
【0045】
アミノシラン類;アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノプロピルエチルジエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノアルキルアルコキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
【0046】
メルカプト基含有シラン類;メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、メルカプトプロピル−メチルジエトキシシラン、メルカプトプロピル−エチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランなど。
【0047】
ケチミン化したアミノ基含有シラン類;3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−メチルジエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−エチルジエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンなど。
【0048】
化合物(C)の使用割合は重合体(A)と重合体(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることが好ましい。さらに好ましくは、重合体(A)中に含まれるオキシラン環のモル数に対し0.5〜5倍モルが好ましく、0.5〜1.5倍モルがさらに好ましい。0.8〜1.2倍モルが特に好ましく、ほぼ同等であることが最も好ましい。モル数で5倍モルを超えると、モジュラスの上昇などの悪影響を引き起こす。また、モル数で0.5倍モル未満となると、重合体(A)とオキシアルキレン重合体(B)との交架橋が充分に行えなくなり、耐候性が悪くなる。
【0049】
化合物(C)を用いることにより、硬化性組成物中で化合物(C)中の官能基が、重合体(A)中のオキシラン環と反応し、その結果、シラノール結合を介して重合体(A)とオキシアルキレン重合体(B)との複合骨格を形成されると考えられる。
【0050】
また、エポキシシラン類などの、化合物(C)以外の加水分解性シリル基を有する化合物を使用してもよい。
【0051】
(硬化促進剤)
本発明の硬化性組成物は、上記オキシアルキレン重合体(B)における加水分解性シリル基の硬化反応を促進する硬化促進剤を使用することが好ましい。該硬化促進剤は、シラノール触媒として公知の化合物が使用できる。また、本発明における化合物(C)の加水分解性シリル基の硬化反応をも促進する。具体的には下記の化合物が挙げられる。
【0052】
2−エチルヘキサン酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズなどの2価スズ化合物。ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズモノアセテート、ジブチルスズマレエート等のジアルキルスズジカルボキシレートやジアルコキシスズモノカルボキシレートのような有機スズカルボン酸塩、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズビスエチルアセトアセテート、ジブチルスズモノアセチルアセトナートモノアルコキシドなどのスズキレート化合物、ジアルキルスズオキシドとエステル化合物の反応物および該反応物にさらにアルコキシシラン化合物を反応させて得られる反応物、ジアルキルスズオキシドとアルコキシシラン化合物の反応物、ジアルキルスズジアルキルスルフィドなどの4価スズ化合物。
【0053】
上記エステル化合物としては、フタル酸ビス−2−エチルヘキシルやフタル酸ジイソノニルなどのフタル酸エステルやその他脂肪族、芳香族カルボン酸のエステル、テトラエチルシリケートやその部分加水分解縮合物などが挙げられる。
【0054】
有機カルボン酸ビスマス塩など2価ビスマス化合物。ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミンなどの脂肪族モノアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミン化合物。芳香族アミン化合物、アルカノールアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランや3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシランカップリング剤等のアミン化合物、またはこれらアミン化合物のカルボン酸などとの塩。
【0055】
酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、アジピン酸、シュウ酸、クエン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸等の炭素数1〜20の有機カルボン酸、リン酸などの酸。
【0056】
硬化促進剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。例えば2価スズ化合物や2価ビスマス化合物は、アミンおよび/または酸との併用により、硬化促進効果が向上するので、併用が好ましい。なかでも1級アミンとの併用が好ましい。また、2価スズ化合物や2価ビスマス化合物と4価スズ化合物の併用は応力緩和性と低温硬化性のバランスの取れた組成物を得られる点から好ましい。
硬化促進剤の使用量は、重合体(A)とオキシアルキレン重合体(B)の合計)100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。
【0057】
(その他の添加剤)
本発明の硬化性組成物は、さらに、公知の各種添加剤を任意に添加、配合することができる。例えば下記の公知の添加剤が例示できる。各種炭酸カルシウム、樹脂バルーン、ガラスバルーンなどの充填材。フタル酸エステル類、ポリエーテル類などの可塑剤。溶剤。ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの脱水剤。水添ひまし油、脂肪酸アミドなどのチキソ性付与剤。ヒンダードフェノール系化合物などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤。ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤。フェノキシトリメチルシランなど加水分解によりトリメチルシラノールを発生する化合物などのモジュラス調整剤。桐油などの空気によって硬化する化合物、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの光によって硬化する化合物、等の表面改質剤。
【0058】
(その他)
本発明における硬化性組成物は、湿気により硬化可能である。硬化温度は、0〜35℃の範囲が好ましく、20〜25℃がより好ましい。本発明における硬化性組成物は、シーリング材、防水材、弾性接着剤などの接着剤、コーティング材などに好適に使用できる。
【0059】
【実施例】
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。部は質量部を示す。
【0060】
なお本実施例中の分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して測定したポリスチレン換算分子量をもとにした値である。また原料となる水酸基含有ポリアルキレンオキシド重合体の分子量は含有する水酸基のモル数と各重合体を重合する際に使用した開始剤の官能基数とから計算によって出した分子量である。
【0061】
GPCによるMn、Mw/Mnの測定は、東ソー株式会社製 HLC−8020システムを用い、テトラヒドロフランを展開溶媒として使用し、計算には、ポリスチレン換算の値を用いた。
【0062】
(合成例1)
ジプロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて、Mnが16000でMw/Mnが1.4のポリオキシプロピレンジオールを得た。このポリオキシプロピレンジオールの水酸基のモル数に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドをメタノール溶液として添加し、ついで加熱減圧下でメタノールを留去して水酸基をナトリウムアルコキシドとした。添加したナトリウムメトキシドのモル数に対して1.1倍モルの塩化アリルを添加して反応させた。未反応の塩化アリルを除去後、副生した無機塩を除去精製して、アリル基末端のポリオキシプロピレン重合体を得た。
【0063】
この重合体500gを窒素置換された反応容器に仕込み、1,1,3,3−テトラメチルジビニルシロキサン白金錯体(以下VTS錯体と表す)を白金が2ppmになるように添加して、さらに30分撹拌した。次に、ジメトキシメチルシラン5.5gを加えて70℃で5時間反応させた。反応終了後、減圧にして揮発性物質を除去し、23℃における粘度が15Pa・sの淡黄色透明な重合体(P−1)500gを得た。
【0064】
(合成例2)
水酸化カリウム触媒を用いて得られた平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオールを金属ナトリウムの存在下、クロロブロモメタンと反応させて高分子量化を行った。得られたポリオキシプロピレンジオールを用い、合成例1と同様の方法でアリル基末端のオキシプロピレン重合体を得た。この重合体500gを窒素置換された反応容器に仕込み、VTS錯体を白金が2ppmになるように添加して、さらに30分撹拌した。次に、ジメトキシメチルシラン5.2gを加えて70℃で5時間反応させた。反応終了後、減圧にして揮発性物質を除去し、23℃における粘度が19Pa・sの淡黄色透明な重合体(P−2)500gを得た。
【0065】
(合成例3)
ジプロピレングリコールとグリセリンとの質量比で60/40の混合物を開始剤としてプロピレンオキシドを反応させてMnが16000、Mw/Mnが1.70のポリオキシプロピレンポリオールを得た。得られたポリオールを用い、合成例1と同様の方法でアリル基末端のオキシプロピレン重合体を得た。
【0066】
この重合体500gを窒素置換された反応容器に仕込み、VTS錯体を白金が2ppmになるように添加して、さらに30分撹拌した。次に、ジメトキシメチルシラン5.5gを加えて70℃で5時間反応させた。反応終了後、減圧にして揮発性物質を除去すると23℃における粘度が17Pa・sの淡黄色透明な重合体(P−3)500gを得た。
【0067】
(合成例4)
合成例1で得られた重合体P−1の500gに対して、窒素雰囲気下にて、メチルメタクリレート(以下、MMA)45.2g、2−エチルヘキシルアクリレート(以下、2−EHeA)166.1g、および、グリシジルメタクリレート(GMA)3.0gを加え、撹拌混合した後、ラジカル開始剤としてアゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下、ABMA)4.3gを加えた後、70℃で12時間反応を行った。反応後、安定剤として、イルガノックス245(チバスペシャリティーケミカル株式会社製、ヒンダードフェノール系安定剤)、およびチヌビンB75(チバスペシャリティーケミカル株式会社製、ヒンダードアミン紫外線吸収剤およびヒンダードフェノール系安定剤の混合物をそれぞれ1.8g加えた後、100℃で3時間減圧脱気して、未反応のモノマーを除いて、25℃における粘度が62Pa・sの淡黄色透明な液体である重合体(C−1)710gを得た。
【0068】
(合成例5〜11)
重合体P−1〜P−3のうち表1に示すものを用い、ビニル重合性不飽和基含有モノマーとして表1に示すものを用い、合成例4と同様に行い、重合体(C−2〜C−6およびCR−1〜CR−2)を得た。得られた重合体の25℃における粘度を表1に示す。なおt−BMAはt−ブチルメタクリレート、n−BAはn−ブチルアクリレート、i−BAはイソブチルアクリレートを示す。
【0069】
【表1】
【0070】
(合成例12)
メチルエチルケトンの214g中に、MMAの45.2g、2−EHeAの166.1gおよびGMAの3.0g、ならびに、開始剤としてABMAの4.3gを加え、70℃に保ち、24時間反応させて、アクリル系重合体溶液(S−1)を得た。S−1の少量をサンプリングして、蒸発皿に入れて、溶媒を減圧留去させた後の固形分質量から固形分濃度を求めると49.2%であった。また、GPCによる分子量を求めたところ、Mnが20500であった。
【0071】
アクリル系重合体溶液(S−1)428gを重合体(P−3)500gに加え、混合後、脱溶媒して、重合体(C−7)を得た。重合体(C−7)中のアクリル系重合体含有率(質量換算)は、アクリル系重合体溶液(S−1)の固形分濃度を元に計算すると、ほぼ30%に相当し、計算上、合成例1で得られた重合体(C−1)と同じアクリル系重合体含有率になるよう調整した。得られた重合体は、微黄色透明液体で、25℃における粘度は54Pa・sであった。
【0072】
(合成例13)
メチルエチルケトン中に加える重合性不飽和基含有モノマーの種類変更して合成例13と同様の反応を行い、重合体(CR−3)を得た。加えたモノマーの種類と得られた重合体の性状を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
(例1〜17)
表4に示す重合体100部を用い、表3に示す組成でコンパウンドを作成した。スレート板を被着体として、コンパウンドを20mm幅で2mm厚に被覆しサンプル1を得た。同様に20mm幅で50mm厚に被覆しサンプル2を得た。いずれのサンプルも、温度25℃、湿度65%環境下で7日養生した後、さらに温度50℃、湿度65%環境下で養生を行い試験体を製造した。この試験体を用いてサンシャインウエザオメーター(表中、S−WOM)およびメタルウエザオメーター(表中、M−WOM)にて、24時間ごとに試験体の表面状態を目視観察し、最初に皮膜のひび割れまたは白化状況が発見された時間を劣化時間として、表4に示した。
【0075】
次に、同様に得たコンパウンドを用い、被着体としてのアルミニウム板に市販のシラン系プライマ−を塗布、乾燥してから、コンパウンドを被覆し試験体とした。JIS A 1439の建築用シーリング材の試験方法に準拠して引っ張り特性試験を行い、50%モジュラス(表中、M50)、破断時強度(表中、Tmax)および、破断時伸び(表中、E)を測定した。結果を表4に示した。
【0076】
なお、例8と例9は、サイラエースS340(表中、S340)の代わりにKBM−603(信越化学工業社製、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、表中、KBM603、表中K603)を1.4部使用する以外は、それぞれ例4と例7と、例13と例14はサイラエースS340を使用しないこと以外は、それぞれ例4と例7と、同様に行った例である。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】
以上に示したように、本発明の硬化性組成物は、機械物性にも優れながら、耐候性向上が大幅に向上した硬化物を与える効果を有する。
【発明の属する技術分野】
本発明は湿分存在下で硬化する硬化性組成物に関し、硬化物の耐候性が改良された組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、末端または分子内に加水分解性シリル基を有する各種の重合体を硬化させてシーラント等に使用する方法は工業的に有用な方法として知られている。特にオキシアルキレン重合体を主鎖とする重合体は、室温で液状であり、かつ硬化物が比較的低温でも柔軟性を保持し、建築用を中心としたシーラント等に利用する場合好ましい特性を備えている。
【0003】
しかし、シーラント用途では屋外で長期間、曝露されることによって、表面のひび割れ、シーラント境界部の薄膜部の白化などの劣化が発生する問題があった。この問題は、主として、ポリオキシアルキレン主鎖中のエーテル結合部位が紫外線や化学物質に対して分解を受け易いことに起因すると考えられる。
【0004】
このため、耐候性の改良を目的に、加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体を添加する方法が提案された(特許文献1〜2)。これらの文献に記載の発明では、アクリル系重合体およびオキシアルキレン重合体中の加水分解性シリル基が硬化、縮合反応することにより、オキシアルキレン重合体の重合体骨格中にアクリル系重合体の骨格が取り込まれた複合骨格を持つ樹脂が得られるものと考えられる。このような樹脂においては、長期間の暴露によりオキシアルキレンの主鎖骨格が分解しても、アクリル系重合体の骨格が維持されることにより樹脂自体の骨格が維持できると考えられる。
【0005】
これらの発明では、加水分解性シリル基を有するアクリル系重合体は、加水分解性シリル基を有するモノマーを共重合する方法、または、加水分解性シリル基を有する開始剤や連鎖移動剤の使用によって、ポリマー末端に加水分解性シリル基を導入する方法を採用している。
【0006】
しかし、前者では、硬化後の硬化物の物性が悪化する傾向にあり、特にモジュラスがシーラントの実用許容範囲の上限を超える傾向にあった。また、後者では、硬化物のモジュラス、伸びなどの物性が維持されるが、硬化前のポリマーの粘度が高くなり、施工時に刷毛等でシーラントを充填する際、刷毛操作が重くなるなど、作業性が劣り、施工業者に従来以上の負荷をかける原因となっていた。また、いずれも、加水分解性シリル基を有する特殊な化合物を使用することからコストが高くなりがちであった。
【0007】
一方、特許文献3〜4では、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体に、反応性基を有しない(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体、光硬化性化合物または空気硬化性化合物を添加することにより、耐候性を改善する方法が提案されている。これは、硬化物の表面部に光硬化性化合物等の硬化物が強固な薄膜を形成することにより耐候性の向上を図る提案である。しかし、(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合体が反応性基を有していないため、オキシアルキレン重合体鎖骨格とは複合骨格を形成せず、単独で分散しているものと考えられ、よって表面での皮膜形成によって耐候性は向上するものの、樹脂骨格自体の特性の改善にはつながらず、より高い耐候性が求められていた。
【0008】
一方、特許文献5には、塩化ビニル鋼板などの接着性改善の目的で加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体に、エポキシシランおよびケチミンシランを配合する方法が提案されている。しかし、耐候性の改善は認められない。
【0009】
同様に、特許文献6では、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体に、エステル部分の炭素数が1〜20であるアクリル酸アルキルエステルを主成分とした重合体、およびケチミンシランを配合することが提案されている。しかし、アクリル酸アルキルエステルを主成分とした重合体は、反応性基を有していないので、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体と複合骨格を形成せず、やはり、耐候性の向上効果が充分でなかった。
【0010】
【特許文献1】
特公平4−56066号公報
【特許文献2】
特公平2−52935号公報
【特許文献3】
特開2002−179904号公報
【特許文献4】
特開2002−188002号公報
【特許文献5】
特許第2962642号公報
【特許文献6】
特開2002−338948号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の従来の課題を解決するものであり、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体とビニル重合体とで複合骨格を形成することで、オキシアルキレン重合体主鎖の耐候性が改善され、かつ、硬化後の物性のバランスの取れた室温硬化性樹脂組成物を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は次の発明である。
【0013】
オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとを共重合して得られるビニル重合体(A)、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体(B)、および、オキシラン環と反応性を有する官能基と加水分解性シリル基とを併有する化合物(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明における加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体(B)としては、特開昭50−156599号公報、特開昭53−134095号公報、特開平3−72527号公報などにより公知の重合体が使用できる。
【0015】
オキシアルキレン重合体鎖は、アルキレンオキシドを重合して得られる重合体鎖であり、アルキレンオキシドとしては、プロピレンオキシド、エチレンオキシド、1,2−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、テトラヒドロフランなどが挙げられ、プロピレンオキシドが好ましい。
【0016】
これらのオキシアルキレン重合体鎖には、分子鎖をつなげるためにオキシアルキレン以外の構造、たとえばカルバメート結合、エステル結合、チオエーテル結合、シロキサン結合などを含んでいてもよい。このような分子鎖をつなげるための化学構造は、原料となるポリオキシアルキレン重合体の分子量を架橋反応によって高分子量化する場合に使用される。また、複合金属シアン化物錯体触媒、水酸化セシウムなどを使用することにより、高分子量のオキシアルキレン重合体鎖を製造することができる。
【0017】
重合体(B)は式1で示される加水分解性シリル基を有することが好ましい。
【0018】
−O−R0−SiXaR1 3−a・・・式1
(式中、R0は、−CONH−、−O−、−S−、−CO−または−NH−を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、R1は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、Xは水酸基または加水分解性基、aは1、2または3。ただし、R1が複数個存在するときはR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、またXが複数個存在するときは、Xはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)。
【0019】
R0としては、−CONH−、−O−、−S−、−CO−または−NH−を有していてもよい炭素数1〜10のアルキレン基であることが好ましい。炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、トリメチレン基が特に好ましい。R1は炭素数1〜5の1価のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基がより好ましく、メチル基が特に好ましい。Xにおける加水分解性基としては、ハロゲン原子、アルコキシ基、アシルオキシ基、アミド基、アミノ基、アミノオキシ基またはケトキシメート基が好ましい。これらのうち炭素原子を有する加水分解性基の炭素数は6以下、特に4以下が好ましい。Xは炭素数4以下のアルコキシ基が好ましい。メトキシ基またはエトキシ基が特に好ましい。aは2または3が好ましい。
【0020】
オキシアルキレン重合体(B)は、数平均分子量(Mn)が5000以上30000以下が好ましく、10000以上25000以下が特に好ましい。数平均分子量が5000を下回ると重合体の硬化反応時の硬化性が悪くなり、数平均分子量が3万を上回ると重合体の粘度が高くなり作業性が悪くなる。
【0021】
重合体(A)を製造するのに使用できる、オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとしては、アリルグリシジルエーテル、メタリルグリシジエーテル、ビニルグリシジルエーテル等の不飽和グリシジルエーテル;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、クロトン酸グリシジル、桂皮酸グリシジル、ビニル安息香酸グリシジル等の不飽和モノカルボン酸のグリシジルエステル;不飽和ジカルボン酸のモノアルキルモノグリシジルエステルが挙げられる。不飽和カルボン酸のグリシジルエステルが好ましく、中でもグリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレートが特に好ましい。
【0022】
オキシラン環を有する重合性不飽和基含有モノマーの重合単位は、重合体(A)中で、質量換算で0.5〜2.5%であることが好ましい。0.5%未満では、反応性基が少なくなりすぎるため、複合樹脂骨格の形成が不充分となり耐候性が低下する。2.5%超となると、複合樹脂骨格の形成に関与しないオキシラン環が硬化性組成物の硬化後に残存するため、長時間太陽光に暴露すると、モジュラスが顕著に高くなり、シーラントとしての物性を保持できなくなるおそれがある。
【0023】
オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーと共重合するその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとしては、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(アクリル酸アルキルエステルとメタクリル酸アルキルエステルとをいう)が好ましい。(メタ)アクリル酸アルキルエステルの重合単位を重合体(A)中、質量換算で60〜97.5%有することが好ましい。
【0024】
(メタ)アクリル酸アルキルエステルは、式2で表すことができる。
CH2=CR2COOR3・・・式2
(式中、R2は水素原子またはメチル基、R3はアルキル基を示す。)。
【0025】
式2におけるR2はアルキル基であるが、本発明においてはアラルキル基、シクロアルキル基等のように、アルキル基の水素原子の少なくとも一つが環状炭化水素基等の炭化水素基で置換されたような置換アルキル基もアルキル基に含むものとする。アルキル基の炭素数は1〜30が好ましく、1〜20が好ましく、1〜8が特に好ましい。
【0026】
アルキル基の炭素数が1〜8である(メタ)アクリル酸アルキルエステルとしては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸−t−ブチル、(メタ)アクリル酸−n−ブチル、(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アクリル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ベンジル等が挙げられる。
【0027】
耐候性の向上の点から、このうち、アルキル基の炭素数が1〜8であるメタクリル酸アルキルエステルを使用することが好ましい。メタクリル酸アルキルエステルはアルキル基の炭素数が1〜4であるものが特に好ましく、メタクリル酸メチル、メタクリル酸−t−ブチルが最も好ましい。前記メタクリル酸アルキルエステルの重合単位を重合体(A)中10〜50質量%、好ましくは15〜35質量%有することが好ましい。
【0028】
また、重合体(A)のガラス転移温度(Tg)を下げることによる低温時の施工性の改良や、重合体(A)と重合体(B)との相溶性が向上することから、さらにアルキル基の炭素数が1〜8であるアクリル酸アルキルエステルを併用することが好ましい。前記アクリル酸アルキルエステルの重合単位を重合体(A)中30〜90質量%、好ましくは35〜80質量%有することが好ましい。
【0029】
また、(メタ)アクリル酸アルキルエステル以外に下記の重合性不飽和基含有モノマーを使用してもよい。
【0030】
(メタ)アクリル酸;ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;イソシアネートエチル(メタ)アクリレート等のイソシアネートアルキル(メタ)アクリレート;2−フェノキシエチル(メタ)アクリレート等のフェノキシアルキル(メタ)アクリレート;フルフリル(メタ)アクリレートやテトラヒドロフルフリル(メタ)アクリレート等の(水添)フルフリル基を有する(メタ)アクリレート;3−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン等の(メタ)アクリロイルオキシアルキルアルコキシシラン;メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート等のポリオキシアルキレンモノオールの(メタ)アクリル酸エステル;N,N−ジメチルアクリルアミド等のN−置換またはN,N−置換(メタ)アクリルアミド;スチレン、α−メチルスチレン、クロロスチレン等のスチレン系単量体;アクリロニトリル、2,4−ジシアノブテン−1等のシアノ基含有単量体;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のビニルエステル系単量体;ブタジエン、イソプレン、クロロプレン等のジエン系単量体;オレフィン;ハロゲン化オレフィン;不飽和エステル;ビニルエーテル等を用いることができる。
【0031】
オキシアルキレン重合体(B)と、オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーと共重合して得られる有機重合体(A)との複合体を得る方法としては下記の2通りが挙げられる。
【0032】
(1)予め特定の有機溶媒中でオキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとをラジカル開始剤存在下で共重合して有機重合体を得た後、オキシアルキレン重合体(B)と混合し、脱溶媒する方法。
【0033】
(2)オキシアルキレン重合体(B)中で、ラジカル開始剤の存在下、オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーのラジカル重合反応を行い、反応後未反応のビニル重合性不飽和基含有モノマーを除去する方法。
【0034】
(2)の方法では、ラジカル重合反応中に、オキシアルキレン骨格に少量の連鎖移動が生じ、ビニル重合性不飽和基含有モノマーの重合体中に一部オキシアルキレン重合体が取り込まれた構造を生成し、相溶性が向上すると考えられる。(1)の方法では、(2)の方法で得られた同じモノマー組成、同じ分子量の重合体では、複合体の粘度が低下する傾向がある。
【0035】
また、(1)の方法において、重合後、さらにオキシアルキレン重合体(B)を混合してもよく、粘度を下げたい場合はこの方法は有効である。
【0036】
重合性不飽和基含有モノマーの重合反応において、使用できるラジカル開始剤としては、アゾ系、パーオキサイド系、酸化還元反応を利用したレドックス系のラジカル開始剤が挙げられる。なお、光、放射線や熱により活性化を行う場合は、ラジカル重合開始剤は必ずしも必要ではない。また、上記反応は20〜200℃(好ましくは、50〜150℃)で数時間〜数十時間行うことが好ましい。
。オキシアルキレン重合体(B)中での重合方法においては、ポリオキシアルキレン主鎖の分解を抑制する点からアゾ系の開始剤の使用が好ましい。
【0037】
アゾ系開始剤の具体例としては、アゾビスイソブチルニトリル、アゾビス−2−メチルブチロニトリル、アゾビスイソバレロニトリル、等が例示される。
【0038】
オキシアルキレン重合体(B)中で重合性不飽和基含有モノマーを重合させて得られる複合体は、ラジカル重合の反応後に、ラジカル残渣が残留していると、貯蔵時に化学反応が進行して複合体の分解等の2次反応を促進させ、貯蔵安定性や耐候性の観点で望ましくない。このため、反応終了後、ラジカルのクエンチャーとして、連鎖移動剤や重合停止剤などを加えることが望ましい。
【0039】
これら、連鎖移動剤、重合停止剤としては、α−メチルスチレンダイマーなどの不飽和基含有化合物や、ドデシルメルカプタンなどの長鎖アルキルメルカプタン、t−ブチルヒドロキノンなどのヒンダードフェノール類などが例示できる。
【0040】
重合性不飽和基含有モノマーを重合後、未反応で残っている重合性不飽和基含有モノマーを減圧脱気にて除去することが好ましい。具体的には、減圧下に80℃〜120℃で加温する方法で除去できる。この際窒素バブリング法を併用すると効率的である。なお、未反応の重合性不飽和基含有モノマーの除去は、オキシアルキレン重合体(B)中で重合を行った場合は、重合後、溶媒中で重合を行った場合は、重合後オキシアルキレン重合体(B)と混合後、溶媒の留去と同時に行えばよい。
【0041】
オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーと共重合して得られる重合体(A)と、重合体(B)の割合は、質量比で、10/90〜60/40が好ましい。
【0042】
重合体(A)の割合が(A)と(B)の合計の10質量%未満の場合は、耐候性が充分ではない。また、重合体(A)の割合が(A)と(B)の合計の60質量%を超えると、重合体(A)のオキシアルキレン重合体(B)への溶解性が下がり、凝集沈殿するポリマーが生成し、シーラントとして作業性が劣る。耐候性の観点では、(A)と(B)の割合は20/80〜50/50が好ましい。
【0043】
本発明において、オキシラン環と反応性を有する官能基を加水分解性シリル基とを併有する化合物(C)を使用する。オキシラン環と反応性を有する官能基としては、アミノ基、メルカプト基または加水分解時にアミノ基を発生しうる基が好ましい。加水分解時にアミノ基を発生し得る基としては、ケチミン化したアミノ基が好ましい。
【0044】
化合物(C)は分子量500以下、好ましくは300以下の低分子ケイ素化合物であることが好ましい。化合物(C)としてアミノシラン類、メルカプトシラン類、またはアミノシラン類とケトン類との脱水反応によって得られる化合物が挙げられる。ケトン類としては、メチルエチルケトンやメチルイソブチルケトンなどが挙げられる。アミノシラン類またはケチミン化したアミノシラン類が特に好ましい。具体的には下記の化合物を例示できる。
【0045】
アミノシラン類;アミノプロピルメチルジメトキシシラン、アミノプロピルメチルジエトキシシラン、アミノプロピルエチルジエトキシシラン、アミノプロピルトリメトキシシラン、アミノプロピルトリエトキシシランなどのアミノアルキルアルコキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシランなど。
【0046】
メルカプト基含有シラン類;メルカプトプロピル−メチルジメトキシシラン、メルカプトプロピル−メチルジエトキシシラン、メルカプトプロピル−エチルジエトキシシラン、メルカプトプロピルトリメトキシシラン、メルカプトプロピルトリエトキシシランなど。
【0047】
ケチミン化したアミノ基含有シラン類;3−メチルジメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−メチルジエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−エチルジエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリメトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミン、3−トリエトキシシリル−N−(1,3−ジメチル−ブチリデン)プロピルアミンなど。
【0048】
化合物(C)の使用割合は重合体(A)と重合体(B)の合計100質量部に対して、0.1〜10質量部であることが好ましく、0.5〜5質量部であることが好ましい。さらに好ましくは、重合体(A)中に含まれるオキシラン環のモル数に対し0.5〜5倍モルが好ましく、0.5〜1.5倍モルがさらに好ましい。0.8〜1.2倍モルが特に好ましく、ほぼ同等であることが最も好ましい。モル数で5倍モルを超えると、モジュラスの上昇などの悪影響を引き起こす。また、モル数で0.5倍モル未満となると、重合体(A)とオキシアルキレン重合体(B)との交架橋が充分に行えなくなり、耐候性が悪くなる。
【0049】
化合物(C)を用いることにより、硬化性組成物中で化合物(C)中の官能基が、重合体(A)中のオキシラン環と反応し、その結果、シラノール結合を介して重合体(A)とオキシアルキレン重合体(B)との複合骨格を形成されると考えられる。
【0050】
また、エポキシシラン類などの、化合物(C)以外の加水分解性シリル基を有する化合物を使用してもよい。
【0051】
(硬化促進剤)
本発明の硬化性組成物は、上記オキシアルキレン重合体(B)における加水分解性シリル基の硬化反応を促進する硬化促進剤を使用することが好ましい。該硬化促進剤は、シラノール触媒として公知の化合物が使用できる。また、本発明における化合物(C)の加水分解性シリル基の硬化反応をも促進する。具体的には下記の化合物が挙げられる。
【0052】
2−エチルヘキサン酸スズ、ナフテン酸スズ、ステアリン酸スズなどの2価スズ化合物。ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズジアセテート、ジブチルスズモノアセテート、ジブチルスズマレエート等のジアルキルスズジカルボキシレートやジアルコキシスズモノカルボキシレートのような有機スズカルボン酸塩、ジブチルスズビスアセチルアセトナート、ジブチルスズビスエチルアセトアセテート、ジブチルスズモノアセチルアセトナートモノアルコキシドなどのスズキレート化合物、ジアルキルスズオキシドとエステル化合物の反応物および該反応物にさらにアルコキシシラン化合物を反応させて得られる反応物、ジアルキルスズオキシドとアルコキシシラン化合物の反応物、ジアルキルスズジアルキルスルフィドなどの4価スズ化合物。
【0053】
上記エステル化合物としては、フタル酸ビス−2−エチルヘキシルやフタル酸ジイソノニルなどのフタル酸エステルやその他脂肪族、芳香族カルボン酸のエステル、テトラエチルシリケートやその部分加水分解縮合物などが挙げられる。
【0054】
有機カルボン酸ビスマス塩など2価ビスマス化合物。ブチルアミン、ヘキシルアミン、オクチルアミン、デシルアミン、ラウリルアミン、N,N−ジメチルオクチルアミンなどの脂肪族モノアミン、エチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミンなどの脂肪族ポリアミン化合物。芳香族アミン化合物、アルカノールアミン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシランや3−アミノプロピルトリメトキシシランなどのアミノシランカップリング剤等のアミン化合物、またはこれらアミン化合物のカルボン酸などとの塩。
【0055】
酢酸、プロピオン酸、2−エチルヘキサン酸、ステアリン酸、アジピン酸、シュウ酸、クエン酸、アクリル酸、メタクリル酸、安息香酸等の炭素数1〜20の有機カルボン酸、リン酸などの酸。
【0056】
硬化促進剤は1種または2種以上を組み合わせて使用することもできる。例えば2価スズ化合物や2価ビスマス化合物は、アミンおよび/または酸との併用により、硬化促進効果が向上するので、併用が好ましい。なかでも1級アミンとの併用が好ましい。また、2価スズ化合物や2価ビスマス化合物と4価スズ化合物の併用は応力緩和性と低温硬化性のバランスの取れた組成物を得られる点から好ましい。
硬化促進剤の使用量は、重合体(A)とオキシアルキレン重合体(B)の合計)100質量部に対して0.01〜10質量部が好ましい。
【0057】
(その他の添加剤)
本発明の硬化性組成物は、さらに、公知の各種添加剤を任意に添加、配合することができる。例えば下記の公知の添加剤が例示できる。各種炭酸カルシウム、樹脂バルーン、ガラスバルーンなどの充填材。フタル酸エステル類、ポリエーテル類などの可塑剤。溶剤。ビニルトリメトキシシラン、テトラエトキシシランなどの脱水剤。水添ひまし油、脂肪酸アミドなどのチキソ性付与剤。ヒンダードフェノール系化合物などの酸化防止剤、ベンゾトリアゾール系化合物などの紫外線吸収剤。ヒンダードアミン系化合物などの光安定剤。フェノキシトリメチルシランなど加水分解によりトリメチルシラノールを発生する化合物などのモジュラス調整剤。桐油などの空気によって硬化する化合物、トリメチロールプロパントリアクリレートなどの光によって硬化する化合物、等の表面改質剤。
【0058】
(その他)
本発明における硬化性組成物は、湿気により硬化可能である。硬化温度は、0〜35℃の範囲が好ましく、20〜25℃がより好ましい。本発明における硬化性組成物は、シーリング材、防水材、弾性接着剤などの接着剤、コーティング材などに好適に使用できる。
【0059】
【実施例】
以下に本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されない。部は質量部を示す。
【0060】
なお本実施例中の分子量分布はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)を使用して測定したポリスチレン換算分子量をもとにした値である。また原料となる水酸基含有ポリアルキレンオキシド重合体の分子量は含有する水酸基のモル数と各重合体を重合する際に使用した開始剤の官能基数とから計算によって出した分子量である。
【0061】
GPCによるMn、Mw/Mnの測定は、東ソー株式会社製 HLC−8020システムを用い、テトラヒドロフランを展開溶媒として使用し、計算には、ポリスチレン換算の値を用いた。
【0062】
(合成例1)
ジプロピレングリコールを開始剤として亜鉛ヘキサシアノコバルテート−グライム錯体触媒の存在下、プロピレンオキシドを反応させて、Mnが16000でMw/Mnが1.4のポリオキシプロピレンジオールを得た。このポリオキシプロピレンジオールの水酸基のモル数に対して1.05倍モルのナトリウムメトキシドをメタノール溶液として添加し、ついで加熱減圧下でメタノールを留去して水酸基をナトリウムアルコキシドとした。添加したナトリウムメトキシドのモル数に対して1.1倍モルの塩化アリルを添加して反応させた。未反応の塩化アリルを除去後、副生した無機塩を除去精製して、アリル基末端のポリオキシプロピレン重合体を得た。
【0063】
この重合体500gを窒素置換された反応容器に仕込み、1,1,3,3−テトラメチルジビニルシロキサン白金錯体(以下VTS錯体と表す)を白金が2ppmになるように添加して、さらに30分撹拌した。次に、ジメトキシメチルシラン5.5gを加えて70℃で5時間反応させた。反応終了後、減圧にして揮発性物質を除去し、23℃における粘度が15Pa・sの淡黄色透明な重合体(P−1)500gを得た。
【0064】
(合成例2)
水酸化カリウム触媒を用いて得られた平均分子量3000のポリオキシプロピレンジオールを金属ナトリウムの存在下、クロロブロモメタンと反応させて高分子量化を行った。得られたポリオキシプロピレンジオールを用い、合成例1と同様の方法でアリル基末端のオキシプロピレン重合体を得た。この重合体500gを窒素置換された反応容器に仕込み、VTS錯体を白金が2ppmになるように添加して、さらに30分撹拌した。次に、ジメトキシメチルシラン5.2gを加えて70℃で5時間反応させた。反応終了後、減圧にして揮発性物質を除去し、23℃における粘度が19Pa・sの淡黄色透明な重合体(P−2)500gを得た。
【0065】
(合成例3)
ジプロピレングリコールとグリセリンとの質量比で60/40の混合物を開始剤としてプロピレンオキシドを反応させてMnが16000、Mw/Mnが1.70のポリオキシプロピレンポリオールを得た。得られたポリオールを用い、合成例1と同様の方法でアリル基末端のオキシプロピレン重合体を得た。
【0066】
この重合体500gを窒素置換された反応容器に仕込み、VTS錯体を白金が2ppmになるように添加して、さらに30分撹拌した。次に、ジメトキシメチルシラン5.5gを加えて70℃で5時間反応させた。反応終了後、減圧にして揮発性物質を除去すると23℃における粘度が17Pa・sの淡黄色透明な重合体(P−3)500gを得た。
【0067】
(合成例4)
合成例1で得られた重合体P−1の500gに対して、窒素雰囲気下にて、メチルメタクリレート(以下、MMA)45.2g、2−エチルヘキシルアクリレート(以下、2−EHeA)166.1g、および、グリシジルメタクリレート(GMA)3.0gを加え、撹拌混合した後、ラジカル開始剤としてアゾビス−2−メチルブチロニトリル(以下、ABMA)4.3gを加えた後、70℃で12時間反応を行った。反応後、安定剤として、イルガノックス245(チバスペシャリティーケミカル株式会社製、ヒンダードフェノール系安定剤)、およびチヌビンB75(チバスペシャリティーケミカル株式会社製、ヒンダードアミン紫外線吸収剤およびヒンダードフェノール系安定剤の混合物をそれぞれ1.8g加えた後、100℃で3時間減圧脱気して、未反応のモノマーを除いて、25℃における粘度が62Pa・sの淡黄色透明な液体である重合体(C−1)710gを得た。
【0068】
(合成例5〜11)
重合体P−1〜P−3のうち表1に示すものを用い、ビニル重合性不飽和基含有モノマーとして表1に示すものを用い、合成例4と同様に行い、重合体(C−2〜C−6およびCR−1〜CR−2)を得た。得られた重合体の25℃における粘度を表1に示す。なおt−BMAはt−ブチルメタクリレート、n−BAはn−ブチルアクリレート、i−BAはイソブチルアクリレートを示す。
【0069】
【表1】
【0070】
(合成例12)
メチルエチルケトンの214g中に、MMAの45.2g、2−EHeAの166.1gおよびGMAの3.0g、ならびに、開始剤としてABMAの4.3gを加え、70℃に保ち、24時間反応させて、アクリル系重合体溶液(S−1)を得た。S−1の少量をサンプリングして、蒸発皿に入れて、溶媒を減圧留去させた後の固形分質量から固形分濃度を求めると49.2%であった。また、GPCによる分子量を求めたところ、Mnが20500であった。
【0071】
アクリル系重合体溶液(S−1)428gを重合体(P−3)500gに加え、混合後、脱溶媒して、重合体(C−7)を得た。重合体(C−7)中のアクリル系重合体含有率(質量換算)は、アクリル系重合体溶液(S−1)の固形分濃度を元に計算すると、ほぼ30%に相当し、計算上、合成例1で得られた重合体(C−1)と同じアクリル系重合体含有率になるよう調整した。得られた重合体は、微黄色透明液体で、25℃における粘度は54Pa・sであった。
【0072】
(合成例13)
メチルエチルケトン中に加える重合性不飽和基含有モノマーの種類変更して合成例13と同様の反応を行い、重合体(CR−3)を得た。加えたモノマーの種類と得られた重合体の性状を表2に示す。
【0073】
【表2】
【0074】
(例1〜17)
表4に示す重合体100部を用い、表3に示す組成でコンパウンドを作成した。スレート板を被着体として、コンパウンドを20mm幅で2mm厚に被覆しサンプル1を得た。同様に20mm幅で50mm厚に被覆しサンプル2を得た。いずれのサンプルも、温度25℃、湿度65%環境下で7日養生した後、さらに温度50℃、湿度65%環境下で養生を行い試験体を製造した。この試験体を用いてサンシャインウエザオメーター(表中、S−WOM)およびメタルウエザオメーター(表中、M−WOM)にて、24時間ごとに試験体の表面状態を目視観察し、最初に皮膜のひび割れまたは白化状況が発見された時間を劣化時間として、表4に示した。
【0075】
次に、同様に得たコンパウンドを用い、被着体としてのアルミニウム板に市販のシラン系プライマ−を塗布、乾燥してから、コンパウンドを被覆し試験体とした。JIS A 1439の建築用シーリング材の試験方法に準拠して引っ張り特性試験を行い、50%モジュラス(表中、M50)、破断時強度(表中、Tmax)および、破断時伸び(表中、E)を測定した。結果を表4に示した。
【0076】
なお、例8と例9は、サイラエースS340(表中、S340)の代わりにKBM−603(信越化学工業社製、アミノプロピルメチルジメトキシシラン、表中、KBM603、表中K603)を1.4部使用する以外は、それぞれ例4と例7と、例13と例14はサイラエースS340を使用しないこと以外は、それぞれ例4と例7と、同様に行った例である。
【0077】
【表3】
【0078】
【表4】
【0079】
【発明の効果】
以上に示したように、本発明の硬化性組成物は、機械物性にも優れながら、耐候性向上が大幅に向上した硬化物を与える効果を有する。
Claims (6)
- オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーとその他のビニル重合性不飽和基含有モノマーとを共重合して得られるビニル重合体(A)、加水分解性シリル基を有するオキシアルキレン重合体(B)、および、オキシラン環と反応性を有する官能基と加水分解性シリル基とを併有する化合物(C)を含有することを特徴とする硬化性組成物。
- オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーの重合単位を、有機重合体(A)中に、質量換算で0.5%〜2.5%有する、請求項1に記載の硬化性組成物。
- オキシラン環を有するビニル重合性不飽和基含有モノマーが、グリシジルアクリレートおよびグリシジルメタクリレートから選ばれる、請求項1または2に記載の硬化性組成物。
- 化合物(C)が加水分解性シリル基とアミノ基を有する化合物である、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- 化合物(C)が加水分解性シリル基とケチミン化したアミノ基を有する、請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
- オキシアルキレン重合体(B)が式1で示される基を有する、請求項1〜5のいずれかに記載の硬化性組成物。
−O−R0−SiXaR1 3−a・・・式1
(式中、R0は、−CONH−、−O−、−S−、−CO−または−NH−を有していてもよい炭素数1〜20の2価の炭化水素基、R1は炭素数1〜10の1価の炭化水素基、Xは水酸基または加水分解性基、aは1、2または3。ただし、R1が複数個存在するときはR1はそれぞれ同一でも異なっていてもよく、またXが複数個存在するときは、Xはそれぞれ同一でも異なっていてもよい。)
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JP2003120233A JP2004323668A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 硬化性組成物 |
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JP2008063437A (ja) * | 2006-09-07 | 2008-03-21 | Sk Kaken Co Ltd | 塗料組成物及び塗装方法 |
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- 2003-04-24 JP JP2003120233A patent/JP2004323668A/ja not_active Withdrawn
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