JP2004323658A - 剥離表示機能付き粘着シート及び該粘着シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】剥離後に、より確実且つ明瞭に剥がされた証が視認できる剥がし検知表示機能付き粘着シート、及びその製造方法を提供する。
【解決手段】基材層1が、基材層支持体4と前記基材層支持体4の片面の一部に形成された剥離層5を有し、更に前記剥離層5を覆うように前記基材層支持体4の全面若しくは一部に着色層6が積層された構造であり、粘着層2が前記基材層に積層され、前記基材層支持体4及び前記剥離層5が前記着色層6と接する面が密着性改良手段により処理された表面改質層13を有し、且つ前記基材層支持体4と前記剥離層5の接着力(A)と、前記基材層支持体4の表面改質層13と前記着色層6の接着力(B)と、前記着色層6と前記粘着層2の接着力(C)と、前記粘着層2をポリエチレン板に対する接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)である剥がし検知表示機能付き粘着シート。
【選択図】図1
【解決手段】基材層1が、基材層支持体4と前記基材層支持体4の片面の一部に形成された剥離層5を有し、更に前記剥離層5を覆うように前記基材層支持体4の全面若しくは一部に着色層6が積層された構造であり、粘着層2が前記基材層に積層され、前記基材層支持体4及び前記剥離層5が前記着色層6と接する面が密着性改良手段により処理された表面改質層13を有し、且つ前記基材層支持体4と前記剥離層5の接着力(A)と、前記基材層支持体4の表面改質層13と前記着色層6の接着力(B)と、前記着色層6と前記粘着層2の接着力(C)と、前記粘着層2をポリエチレン板に対する接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)である剥がし検知表示機能付き粘着シート。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、不正行為等を検知したり、インスタントくじや絵の出るシールなどに利用可能な、剥がされた証を視認できる剥離表示機能を有する粘着シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一定形状の開口を有するマスクを介してフィルム表面を部分的に改質処理を行った後、金属反射層、粘着剤層が順次積層された改ざん防止ラベルが知られている。(例えば、特許文献1および特許文献2参照)
【0003】
前記改ざん防止ラベルは、前記マスクの開口部より表面改質された部分の金属反射層のフィルム表面との接着力がマスクにより遮蔽されて表面改質がなされなかった部分の金属反射層のフィルム表面との接着力より大きくなることを利用し、該改ざん防止ラベルを被貼着物件より剥離した場合に、マスクにより遮蔽されて表面改質がなされなかった部分が金属反射層とフィルム表面との界面で剥離することで前記パターン状に金属反射層が抜けることとなり、剥がし行為が検知表示されるというものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−54818号公報
【特許文献2】
特開2002−82616号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マスクを使用してパターン状に表面改質を行う場合、特殊な装置が必要となるばかりか、表面改質部分が非連続となるなど、パターンに制約があるという問題があった。
【0006】
ところで、剥離表示機能付き粘着シートにおいて、支持体と剥離が発生する部位の間で層間剥離を生じさせて剥がされた証を視認できるようにするためには、支持体と剥離が発生する部位の接着力を極力小さくしておかなければならない。特に、実用上は、低速で剥離したり、接着性の低い被貼着物件から剥離する場合においても剥がされた証を視認できるようにするための技術がより重要である。
【0007】
したがって、本発明の目的は、低速で剥離したり、接着性の低い被貼着物件から剥離した場合でも、剥離後に、より確実且つ明瞭に剥がされた証が視認できる剥離表示機能付き粘着シートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、特殊な装置を必要とせず、所望のパターンを容易に形成できる、上記課題を解決した剥離表示機能付き粘着シートの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、基材層1と粘着層2が積層された粘着シートであって、前記基材層1が、基材層支持体4と前記基材層支持体4の片面の一部に形成された剥離層5を有し、更に前記剥離層5を覆うように前記基材層支持体4の全面若しくは一部に着色層6が積層された構造であり、前記粘着層2が前記着色層6を介して前記基材層1に積層され、前記基材層支持体4が前記着色層6に接する面及び前記剥離層5が前記着色層6と接する面が密着性改良手段により処理された表面改質層13を有し、且つ前記基材層支持体4と前記剥離層5の接着力(A)と、前記基材層支持体4の表面改質層13と前記着色層6の接着力(B)と、前記着色層6と前記粘着層2の接着力(C)と、前記粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)であることを特徴とする剥離表示機能付き粘着シートを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、基材層1と粘着層2が積層された粘着シートの製造方法であって、前記基材層1が、基材層支持体4の片面の一部に剥離層5を形成する工程と、前記基材層支持体4の前記剥離層5を形成した面に密着性改良手段を用いて、前記基材層支持体4の前記剥離層5が形成されていない面及び前記剥離層5の表面に表面改質層13を形成する工程と、前記表面改質層13に着色層6を積層する工程を順次行うことにより製造され、更に、前記着色層6を介して粘着層2を積層する工程を行うことにより上記の粘着シートを製造することを特徴とする剥離表示機能付き粘着シートの製造方法を提供するものである。
【0010】
剥離表示機能付き粘着シートを構成する樹脂皮膜に対してコロナ処理等の密着性改良手段を用いて表面改質処理を行った場合、改質される部分が樹脂皮膜の極表面部分のみである。したがって、粘着シートの基材層支持体の一部に予め印刷等の手段により樹脂皮膜(剥離層)を形成した後に表面改質処理を行った場合、樹脂皮膜を形成した部分では樹脂皮膜の表面のみが改質され、樹脂皮膜によって覆われた基材層支持体の表面部分は表面改質されない。一方、樹脂皮膜を形成していない基材層支持体の表面は表面改質処理がされることにより、基材層支持体の樹脂皮膜により覆われていない表面が、実質的にパターン状に表面改質処理がなされる。本発明者等は以上の現象を見出し、本発明に至った。
【0011】
【発明の実施の形態】
(図1の説明)
本発明の剥離表示機能付き粘着シート(以下、本発明の粘着シートという)の実施の形態を貼付図面を参照して説明する。図1の粘着シートは、一旦、物品に貼り付けた後、剥がしたときに剥離表示を形成する剥離層5が裏面側に形成された柔軟な透明又は半透明のフィルム状の基材層支持体4と、前記剥離層5上を含んで基材層支持体4の裏面側全体を覆うように積層された着色層6と、この着色層6の裏面側に積層された粘着層2とそれを保護する剥離シート3を有する積層構造となっている。なお、基材層1は基材層支持体4と剥離層5と着色層6から構成されており、粘着層2は粘着剤層9のみの単層構造となっている。また、基材層支持体4が着色層6に接する面及び剥離層5が着色層6と接する面は、密着性改良手段により処理された表面改質層13を有しており、着色層6と強く接着する構成となっている。
【0012】
剥離シート3は、本発明の粘着シートを毎葉の実施形態とする場合は必要であるが、ロール状(巻状)の実施形態で製造する場合は設けなくても良い。ロール状の実施形態とする場合は、基材層支持体4の表面、つまり、剥離層5及び着色層6が設けられていない面は、シリコーン系樹脂等により剥離処理を施されていることが好ましい。
【0013】
(粘着層2の構成)
粘着層2は、物品に貼着するための粘着剤層9が必須であるが、必要に応じて、(1)粘着剤層9のみの単層構造、(2)粘着剤層9と粘着層支持体8の積層構造、(3)粘着剤層9と接着層7の積層構造、及び(4)粘着剤層9と粘着層支持体8と接着層7の3層構造(図2に示した構造)、の構成を挙げることができる。中でも、粘着層2は、基材層1に接着するように接着層7が積層され、更に、粘着層支持体8が積層され、粘着剤層9が積層された図2に示されている構造であることが好ましい。
【0014】
(基材層支持体4)
本発明の粘着シートに用いられる基材層支持体4は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂などのプラスチックフィルムが使用できるが、表面改質処理を施した部分と未処理の部分のぬれ張力の差が大きくなる材質であることが好ましく、透明または半透明の二軸延伸ポリプロピレンや未延伸ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートが好適に使用できる。
【0015】
基材層支持体4の表面は、印刷密着性を向上させたり、剥離表示をより明瞭に見せる為等の目的で、易接着処理やマット処理等を施されていても良く、更に、バーコードや管理コード等の印刷がされていても良い。基材層支持体4の表面にマット処理が施されているとサインや捺印等を行うことが出来る。
【0016】
基材層支持体4の厚みは特に限定されないが、薄すぎると取り扱い性や剥離表示の発現がしにくくなり、厚すぎると、剛性が高くなって曲面やコーナーに貼付した場合に基材層支持体4自体の反発力により自然に剥離してしまうことから、好ましくは15〜200μm、より好ましくは25〜150μm、更に好ましくは30〜100μmである。
【0017】
(剥離層5)
剥離層5は、該剥離層5と基材層支持体4との密着性が比較的弱いインキ等を用いて、例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はスクリーン印刷等、公知慣用の手段を用いて基材層支持体4上に形成する。剥離層5を形成する為のインキとしては、UV硬化型のインキや溶媒乾燥型のインキ等から適宜選定して使用すればよく、例えば、アクリル樹脂やポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリスチレン、セルロース、酢酸ビニル、ウレタン樹脂等の樹脂を溶媒に溶解、または分散したものを使用することができる。また、インキを基材層支持体4上に形成する方法には、印刷後に溶剤を含有するインキを用いて印刷後に加熱乾燥する方法や、紫外線や電子線等の照射により硬化するタイプのインキを用いて印刷後に紫外線や電子線を照射させる方法を用いることができる。特に、種々の画像や情報を織り交ぜて、少量多品種の粘着シートを生産したい場合には、紫外線や電子線硬化タイプのインキを使用して、凸版又はフレキソ印刷機を用いて印刷することが好ましい。
【0018】
印刷のパターンとしては、開封防止用ラベルであれば「VOID」や「開封済」等、くじシールであれば「当たり」「1等」等の文字を、絵の出るシールであればキャラクターなどの画像等、適宜選択する。剥離層5の色は、特に限定されるものではないが、本発明の粘着シートを物品に貼着した状態では剥離層5のパターンが目視できず、粘着シートを物品から剥離させることにより、はじめて剥離層5による剥離表示が発現するようにしたい場合は、無色透明、または着色層6と同等色であることが好ましい。
【0019】
また、剥離層5の厚みは特に限定されないが、剥離表示が明瞭に発現するようにするためには、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μm、特に好ましくは1〜3μmとなるようにする。
【0020】
(密着性改良手段による表面改質処理)
本発明の粘着シートでは、基材層支持体4と剥離層5が着色層6と強く接着するように、基材層支持体4が着色層6に接する面及び剥離層5が着色層6と接する面は、密着性改良手段により表面改質処理が施されている。処理された面は表面改質層13となっている。密着性改良手段としては、例えば、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、又はオゾン処理等を用いることができる。これらの密着性改良手段は、単独または組み合わせて使用することができる。上記の密着性改良手段の中でもコロナ放電処理を用いるのが好ましい。
【0021】
上記の密着性改良手段を用いて表面改質処理を行う場合、基材層支持体4の片面の一部に剥離層5が形成された状態で、当該面側の全面に、例えば、コロナ放電処理を行うことで、剥離層5が形成されていない基材層支持体4の表面及び剥離層5の表面に表面改質層13を形成することができる。本発明の方法によれば、表面改質層13を形成するためのマスク等の特殊な装置を必要とせず、したがって、表面改質層13が基材層支持体4の全面に渡って連なったパターンであっても容易に形成することができる。
【0022】
表面改質処理の効果はJIS K6768「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」によりぬれ張力を測定することで確認できる。基材層支持体4の表面の表面改質前後のぬれ張力の差は、好ましくは8mN/m以上、より好ましくは10mN/m以上、中でも、15mN/m以上であることが特に好ましい。上記の範囲であると、基材層支持体4と剥離層5の接着力(A)と、基材層支持体4の表面改質層13と着色層6の接着力(B)の差が顕著となり、本発明の粘着シートを被貼着物件から低速で剥離したり、接着性の低い被貼着物件から剥離した場合でも、剥離後に、より確実且つ明瞭に剥がされた証が視認できるようになる。
【0023】
コロナ放電処理装置を使用して上記表面改質を行う場合、使用する基材層支持体4の種類等により処理効果が異なる。例えば、基材層支持体4としてコロナ放電処理を行わない未処理のPETフィルムのぬれ張力をJIS K6768に従って測定すると40mN/mである。このPETフィルムの一方の表面に対し、春日電機社製コロナ処理装置(高周波電源AGI−021型、300mmクォーツ電極)を使用して、放電量T=83W/m2/分のコロナ放電処理を行うと表面改質後のぬれ張力は60mN/mとなる。ここで、放電量T(W/m2/分)=発信器放電電力P(W)÷{電極の長さ(m)×フィルム速度(m/分)}と定義する。また、基材層支持体4として未処理のCPPフィルムを用い、前記と同様にコロナ放電処理すると、未処理時のぬれ張力が30mN/mであるのに対し、表面改質後のぬれ張力は44mN/mとなる。さらに、同じCPPフィルムに対し、放電量T=33W/m2/分のコロナ放電処理を行うと、ぬれ張力は38mN/mとなる。したがって、表面改質前後のぬれ張力を確認しながら適切な放電量を適宜調整する必要がある。好ましい放電量としては、20〜120W/m2/分である。
【0024】
(着色層6)
着色層6を形成する方法としては、基材層支持体4の表面に形成された表面改質層13に密着性の高いインキを用いて、公知の印刷方法又はコーティング方法等により積層する方法、あるいは金属材料をスパッタリングや蒸着等により被覆する方法等を用いることができる。
【0025】
中でも、着色層6を形成する材料としては着色インキであることが好ましい。着色インキ及びそれを印刷する方法については、公知慣用の手段が使用できる。例えば、剥離層5と同様のインキ及び印刷方法が使用できる。また、バーコーターやナイフコーター等のコーティング方法も使用できる。着色層6の色は、特に限定されないが、剥離表示をより明瞭に判別させる為には、顔料や染料等を使用して明度の低い濃色に着色したものが好ましい。また、着色層6の厚みは特に限定されないが、厚すぎても薄すぎても剥離表示性能に影響がある為、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μm、更に好ましくは1〜3μmである。
【0026】
(部分転移タイプと不転移タイプの説明)
本発明の粘着シートは、基材層支持体4と剥離層5の接着力(A)と、基材層支持体4の表面改質層13と着色層6の接着力(B)と、着色層6と粘着層2の接着力(C)と、粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)であるため、本発明の粘着シートを被貼着物件に貼着した後に、該粘着シートを剥がそうとした場合、前記基材層支持体4と前記剥離層5の界面で剥離が起きる。このとき、下記に記載する「90°剥離伸び変形試験」において、粘着層2が破断する場合、前記剥離層5が形成されたパターン形状に該剥離層5と前記着色層6と前記粘着層2とからなる積層体が被貼着物件に残留する(図3;図3は図1の粘着シートが破断して非貼着物件に残留する様子を示している。)。このような状態となる本発明の粘着シートを「部分転移型の剥離表示機能付き粘着シート」と言う。一方、「90°剥離伸び変形試験」において、粘着層2が破断せずに2.5%以上の変形率を示した場合は、本発明の粘着シートは破断せず、したがって、被貼着物件に残留しない。本発明ではこのような状態となる粘着シートを「不転移型の剥離表示機能付き粘着シート」と言う。
【0027】
図4は「不転移型の剥離表示機能付き粘着シート」において剥離表示10が発現された所を示している。被貼着物件から不転移型の剥離表示機能付き粘着シートを剥がした場合、図4に示すように剥離層5と基材層支持体4との間に剥離表示10が生じる。所定の形状に形成した剥離層5の部分だけに層間破壊が起こることで、所定の形状に剥離表示10を目視可能に出現させる。このような剥離表示10は、基材層支持体4の表面から(図4の上側から)入射した光が基材層支持体4を透過して、剥離部10において光の乱反射等、光の反射状態が変化することにより目視可能となるものである。
【0028】
(粘着層2の90°剥離伸び変形)
被貼着物件が高価な品物である場合、繰り返し使用する品物である場合、または、本発明の粘着シートを一度使用し、剥離表示が発現した状態の粘着シートを更に使用したい場合においては、「不転移型」であることが望ましい。「不転移型」においては、本発明に用いる粘着層2の90°剥離伸び変形は、好ましくは2.5%以上、更に好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上である。また、粘着層2の90°剥離伸び変形の上限は特に限定されないが、粘着層2の変形が大きい粘着シートでは、粘着シートを被貼着物件から剥がす際に粘着層2が引き伸ばされることにより粘着層2と基材層1の接着性が低下するため、好ましくは900%以下であり、より好ましくは400%以下、特に好ましくは300%以下である。
【0029】
(90°剥離伸び変形試験)
90°剥離伸び変形試験方法の概略を図5に示す。20mm幅の粘着層2をJIS―Z0237(2000)の90°剥離試験板11に貼着し、同法に従い90°剥離試験を行う。同試験法における90°剥離伸び変形率(%)は、つかみ間隔がdmmの位置から粘着層2を90°剥離試験板11と90°の角度に保ったまま300mm/分の速度でamm引き上げたときの剥離長さをbとした時、次式で与えられる値と定義されている。
90°剥離伸び変形率(%)=(a−b)÷(b+d)×100
本発明では、d=0mm、a=20mm、剥離距離の測定は0.5mm単位とした。また、測定は23℃雰囲気下で行う。
なお、上記の90°剥離伸び変形試験において、粘着層2が破断する場合とは、粘着層2が20mm引き上げられる間に破断が発生する場合をいう。
【0030】
(粘着層2の引張強さ)
本発明の粘着シートを不転移型の剥離表示機能付き粘着シートとする場合において、使用する粘着層2の引張強さは、該粘着層2の一部が被貼着物件に残留しないことをより確実にするために、1N/10mm以上であることが好ましく、より好ましくは2N/10mm以上、特に好ましくは4N/10mm以上である。なお、本発明においては伸び変形と引張強さの下限が重要であり、これらの値がクリアされれば引張強さの上限は特に問題とならないため特に限定しない。なお、粘着層2の引張強さは、JIS−Z0237(2000)の引張強さの試験方法において、標線間隔を5mmとしたときの引張り強さ(N/10mm)と定義する。
【0031】
(粘着層2の引張強さの定義)
ここで、粘着層2の引張強さは、JIS−Z0237(2000)の引張強さの試験方法において、標線間隔を5mmとしたときの引張り強さ(N/10mm)と定義する。
(粘着層支持体8)
不転移型の剥離表示機能付き粘着シートを作製しようとした場合は、本発明の粘着シートに使用する粘着層2は90°剥離伸び変形率が2.5%以上であれば、特に構成は限定されず、粘着剤層9のみの単層構造であっても良いが、前記粘着層2が粘着剤層9のみの場合、該粘着層2と基材層1との接着力、および該粘着層2の90°剥離伸び変形率、および該粘着層2の引張強さ、および該粘着層2と被貼着物件との接着力のバランスを調整する必要がある。このため、粘着層2が粘着剤層9と粘着層支持体8と接着層7からなり、該接着層7が前記基材層1上に積層された構成の方が、上記のバランスを調整しやすくなるため好ましい。一方、部分転移型の剥離表示機能付き粘着シートを作製しようとした場合においては、粘着層2が粘着剤層9のみの単層構造であって、粘着層1の引張り強度が低く、破断点伸度が小さいものが好適に選択される。
【0032】
(粘着層支持体8の種類)
不転移型の剥離表示機能付き粘着シートを作製しようとした場合において、本発明の粘着シートに粘着層支持体8を使用する場合は、材質等は特に限定されないが、柔軟でかつ破断しにくい材料が好適に選択される。具体的には、LLDPEやLDPE、CPP、EVA、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を主成分とする単層、または、多層のフィルムが例示できる。また、接着性向上のためにその表面にコロナ処理や易接着コート処理等が施されているものであっても良く、着色や意匠、偽造防止等の目的で印刷等が施されているものであっても良い。さらに、着色剤や帯電防止剤等の添加剤を添加することも出来る。
【0033】
(粘着層支持体8の厚み)
粘着層支持体8の厚みは特に限定されないが、一般に薄すぎると引張り強度が低下するため、破断しやすくなり、厚すぎると剛性が高くなって変形し難くなるため、好ましくは3〜200μm、より好ましくは5〜50μmである。
【0034】
(粘着剤層9の粘着剤の種類)
本発明の粘着シートに使用する粘着剤層9の粘着剤の種類は特に限定されず、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等の粘着剤から適宜選択して使用できるが、不転移型の剥離表示機能付き粘着シートの場合は貼着物品により残留しにくい、いわゆる再剥離タイプのアクリル系粘着剤がより好適に選択される。また、被貼着物品への接着力は、低すぎると剥離表示10が発現せず、高すぎると被貼着物品に残留しやすくなるため、好ましくは1〜25N/25mm、より好ましくは3〜12N/25mmのものが好適に選択されるが、特にこの範囲に限定されるものではない。
【0035】
(層間接着力)
基材層支持体4と剥離層5の接着力(A)と、基材層支持体4の表面改質層13と着色層6の接着力(B)と、着色層6と粘着層2の接着力(C)と、粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)であれば、各層間の接着力は特に限定されないが、好ましい態様を以下に例示する。
▲1▼基材層支持体4と剥離層5の接着力(A):低すぎると生産中に剥離層5が脱落したり、被貼着物件に貼付するまでの取り扱いにおいて剥離表示10が発現する。一方、高すぎると剥離表示10が発現しにくくなり、剥離表示10を発現させる為には他の層間接着力を高める必要があることからも、0.02〜5N/25mmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3N/25mmである。
▲2▼基材層支持体4の表面改質層13と着色層6の接着力(B):より高い接着力が好ましく、5N/25mm以上、より好ましくは10N/25mm以上である。
▲3▼着色層6と粘着層2の接着力(C):より高い接着力が好ましく、5N/25mm以上、より好ましくは10N/25mm以上である。
▲4▼粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D):2N/25mmを超えて、15N/25mm以下、より好ましくは3〜10N/25mm、特に好ましくは、3〜8N/25mmである。
【0036】
なお、上記接着力(A)〜(D)の測定は以下の方法及びそれに準じた方法で測定した値である。
・サンプルの作製;▲1▼基材層支持体4と剥離層5、▲2▼表面改質層13を形成した基材層支持体4と着色層6、▲3▼表面改質層13を形成した基材層支持体4上に設けた着色層6と粘着層2、あるいは▲4▼ポリエチレン板と粘着層2を積層し、大日本インキ化学工業製粘着フィルム「UVPET透明50FL−YM」を剥離層5、着色層6、あるいは粘着層2の背面に貼り合わせ、25mm×100mmの測定用サンプルを作製する。
・引張試験機;オリエンテック製テンシロン万能引っ張り試験機RTA100
・測定条件;23℃、50%RHに1時間放置した後に測定。
・剥離速度;300mm/分
・剥離角度;90度(T型ピール)
【0037】
(基材層1と粘着層2の積層方法)
本発明の粘着シートの基材層1と粘着層2を積層する方法は特に限定されないが、基材層1上に粘着層2を順次塗布乾燥させることで積層シートとする方法や、予めおのおの積層させた基材層1と粘着層2とを、いずれかの層に接着剤や粘着剤を塗布乾燥しておき、必要に応じて加熱ラミネータ等の装置を用いて貼り合わせるなどの方法が例示できる。また、粘着シートの粘着層2が接着層7を有し、その接着層7を介して基材層1と粘着層2が積層される態様が挙げられる。更にその接着層7が粘着剤であって、予め剥離紙3上に粘着層2が形成され、必要に応じて接着層7の保護用に第2の剥離紙14(相対的に粘着層2との剥離力が剥離紙3よりも低いものが好ましい)を積層させ、両面粘着テープ状に巻き取られたものを、必要に応じて剥離紙14を剥離しながら、接着層7を介して粘着層2と基材層1を貼り合わせる方法、および、粘着層2が粘着剤層9の単層の場合であって、予め剥離紙3上に粘着層2が形成され、必要に応じて粘着層9の保護用に第2の剥離紙14(相対的に粘着層2との剥離力が剥離紙3よりも低いものが好ましい)を積層させ、両面粘着テープ状に巻き取られたものを、必要に応じて剥離紙14を剥離しながら、粘着層2と基材層1を貼り合わせる方法は、基材層1と粘着層2を数種類ずつ組み合わせて少量多品種の粘着シートを生産することを容易とし、また、基材層1の作成工程と粘着層2の積層工程を連続して生産することを容易とするために好ましい実施態様である。特に、基材層支持体4の一部に剥離層5を凸版またはフレキソ印刷機で印刷することにより形成する工程と、基材層支持体4の剥離層5形成側にコロナ放電処理を行う工程と、前記基材層支持体4の剥離層5上および該剥離層5がない部分上に着色層6を凸版またはフレキソ印刷機で印刷することにより形成する工程と、前記基材層支持体4の着色層6形成側の基材層1上に前記粘着層2を積層する工程を順次連続して行う製造方法は、シール印刷機と呼ばれる公知既存の装置などにおいて安価に少量多品種の粘着シートを生産できる方法として好ましい実施態様である。
【0038】
【実施例】
以下に実施例により具体的に説明する。
【0039】
(実施例1)
基材層支持体4として80μmの表面未処理の透明CPP系フィルム(出光ユニテック社製 製品名ピュアソフティ)を使用し、該フィルムに剥離層5としてシール印刷用インキ(大日本インキ化学工業社製 製品名ダイキュアRT−Vメジューム)で「開封済」のパターンをシール印刷機により印刷した後、UV光を照射させてインキをキュアさせる工程、CPPフィルムのパターン印刷層形成面全体にコロナ処理を施し表面改質を行い、表面改質層13を形成する工程、更に表面改質層13上に着色層6としてシール印刷用インキ(大日本インキ化学工業社製 製品名ダイキュアRT−V墨)を用い、パターン印刷層を完全に覆う様にCPPフィルム上にシール印刷機によりベタ印刷を施した後、UV光を照射させてインキをキュアさせる工程を順次連続して行うことにより基材層1を作成した。さらに該基材層1の印刷面側に、粘着層2としてアクリル系粘着剤層30μm単層の両面テープ(大日本インキ化学工業社製 製品名BP−1013、ポリエチレン板に対する90°剥離伸び変形率の測定にて破断した)を貼り合わせる工程を連続的に行った後、巻き取ることにより、実施例1の粘着シートを得た。
【0040】
実施例1の粘着シートにおける基材層支持体4(ぬれ張力30mN/m)と剥離層5の密着強度(A)は0.1N/25mmであった。また、基材層支持体4の表面に形成された表面改質層13(ぬれ張力44mN/m)と、着色層6の接着強度(B)は、接着力10N/25mmの粘着テープによる引きはがしでは剥離せず、よって、10N/25mm以上の接着強度と判断された。この粘着シートを被貼着物件としてポリエチレン板に貼付し、23℃雰囲気下に24時間放置後、粘着シートを剥離したところ、その接着強度(D)は3N/25mmであり、「開封済」のパターン形状に剥離層5と基材層支持体4の界面で剥離し、被貼着物件に「開封済」のパターンが残留した。なお、着色層6と粘着層2の界面で剥離が生じていないところから、着色層6と粘着層2の接着力(C)は(D)よりも大きいと判断される。
【0041】
更に、実施例1の粘着シートをステンレス板に貼付し、23℃雰囲気下に24時間放置後、粘着シートを低速で剥離したところ、「開封済」のパターン形状に剥離層5と基材層支持体4の界面で剥離し、被貼着物件に「開封済」のパターンが残留した。なお、ポリエチレン板に貼付した時と同様に、着色層6と粘着層2の界面で剥離が生じていないところから、着色層6と粘着層2の接着力(C)は(D)よりも大きいと判断される。
【0042】
(実施例2)
剥離紙3上に、乾燥後の厚さが30μmとなるようにアクリル系粘着剤(大日本インキ化学工業社製「クイックマスター SPS−1068」に大日本インキ化学工業社製イソシアネート系架橋剤「バーノックNC−40」を2重量部添加)を塗布、乾燥させて粘着剤層9を形成した。ついで、粘着剤層9の面に、粘着層支持体8として、予め両面にコロナ処理を施した厚さ20μmのLDPEフィルム(密度0.919)を貼り合わせた。
【0043】
さらに、該粘着層支持体8のもう一方の面に、接着層7として、アクリル系粘着剤(綜研化学社製「SK−1502」に綜研化学社製架橋剤「L−45」を1.3部添加)を乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布し、乾燥後のアクリル系粘着剤の上に剥離紙14を貼り合わせることで、剥離紙3と剥離紙14が上下に付いた、粘着層2(粘着剤層9、粘着層支持体8及び接着層7が順次貼り合わさった両面テープ)を作成した。この粘着剤層9、粘着層支持体8及び接着層7からなる粘着層2のポリエチレン板に対する90°剥離伸び変形率は11%であった。この粘着層2(両面テープ)の剥離紙14を剥離して、実施例1で作成した基材層1の印刷面側と貼り合わせることで剥離表示機能付き粘着シートを作成した。この粘着シートを被貼着物件としてポリエチレン板に貼付し、23℃雰囲気下に24時間放置後、粘着シートを剥離したところ、その接着強度(D)は4.9N/25mmであり、「開封済」のパターン形状に剥離層5と基材層支持体4の界面で剥離し、粘着シートに「開封済」のパターンが表示されたが、被貼着物件には粘着剤やパターンは残留しなかった。なお、着色層6と粘着層2の界面で剥離が生じていないところから、着色層6と粘着層2の接着力(C)は(D)よりも大きいと判断される。
【0044】
更に、実施例1の粘着シートをステンレス板に貼付し、23℃雰囲気下に24時間放置後、粘着シートを低速で剥離したところ、「開封済」のパターン形状に剥離層5と基材層支持体4の界面で剥離し、粘着シートに「開封済」のパターンが表示されたが、被貼着物件には粘着剤やパターンは残留しなかった。なお、ポリエチレン板に貼付した時と同様に、着色層6と粘着層2の界面で剥離が生じていないところから、着色層6と粘着層2の接着力(C)は(D)よりも大きいと判断される。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、低速で剥離したり、接着性の低い被貼着物件から剥離した場合でも、剥離後に、より確実且つ明瞭に剥がされた証が視認できる剥離表示表示機能付き粘着シートを提供することができる。また、特殊な装置を必要とせず、所望のパターンを容易に形成できる剥離表示機能付き粘着シートおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着シートにおける一実施例の断面図である。
【図2】本発明の粘着シートにおける一実施例の断面図である。
【図3】本発明の一実施例である部分転移型粘着シートを被貼着物件に貼着後、剥離した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例である不転移型粘着シートを被貼着物件に貼着後、剥離した状態を示す断面図である。
【図5】粘着層2の90°剥離伸び変形率の測定の概略図である。
【符号の説明】
1:基材層
2:粘着層
3:剥離紙
4:基材層支持体
5:剥離層
6:着色層
7:接着層
8:粘着層支持体
9:粘着剤層
10:剥離表示
11:被貼着物件
12:引張試験機チャック
13:表面改質層
a:90°剥離伸び変形率の測定における引き上げ距離
b:90°剥離伸び変形率の測定における剥離距離
d:90°剥離伸び変形率の測定における初期つかみ間隔
【発明の属する技術分野】
この発明は、不正行為等を検知したり、インスタントくじや絵の出るシールなどに利用可能な、剥がされた証を視認できる剥離表示機能を有する粘着シート及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一定形状の開口を有するマスクを介してフィルム表面を部分的に改質処理を行った後、金属反射層、粘着剤層が順次積層された改ざん防止ラベルが知られている。(例えば、特許文献1および特許文献2参照)
【0003】
前記改ざん防止ラベルは、前記マスクの開口部より表面改質された部分の金属反射層のフィルム表面との接着力がマスクにより遮蔽されて表面改質がなされなかった部分の金属反射層のフィルム表面との接着力より大きくなることを利用し、該改ざん防止ラベルを被貼着物件より剥離した場合に、マスクにより遮蔽されて表面改質がなされなかった部分が金属反射層とフィルム表面との界面で剥離することで前記パターン状に金属反射層が抜けることとなり、剥がし行為が検知表示されるというものである。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−54818号公報
【特許文献2】
特開2002−82616号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、マスクを使用してパターン状に表面改質を行う場合、特殊な装置が必要となるばかりか、表面改質部分が非連続となるなど、パターンに制約があるという問題があった。
【0006】
ところで、剥離表示機能付き粘着シートにおいて、支持体と剥離が発生する部位の間で層間剥離を生じさせて剥がされた証を視認できるようにするためには、支持体と剥離が発生する部位の接着力を極力小さくしておかなければならない。特に、実用上は、低速で剥離したり、接着性の低い被貼着物件から剥離する場合においても剥がされた証を視認できるようにするための技術がより重要である。
【0007】
したがって、本発明の目的は、低速で剥離したり、接着性の低い被貼着物件から剥離した場合でも、剥離後に、より確実且つ明瞭に剥がされた証が視認できる剥離表示機能付き粘着シートを提供することにある。また、本発明の他の目的は、特殊な装置を必要とせず、所望のパターンを容易に形成できる、上記課題を解決した剥離表示機能付き粘着シートの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は、基材層1と粘着層2が積層された粘着シートであって、前記基材層1が、基材層支持体4と前記基材層支持体4の片面の一部に形成された剥離層5を有し、更に前記剥離層5を覆うように前記基材層支持体4の全面若しくは一部に着色層6が積層された構造であり、前記粘着層2が前記着色層6を介して前記基材層1に積層され、前記基材層支持体4が前記着色層6に接する面及び前記剥離層5が前記着色層6と接する面が密着性改良手段により処理された表面改質層13を有し、且つ前記基材層支持体4と前記剥離層5の接着力(A)と、前記基材層支持体4の表面改質層13と前記着色層6の接着力(B)と、前記着色層6と前記粘着層2の接着力(C)と、前記粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)であることを特徴とする剥離表示機能付き粘着シートを提供するものである。
【0009】
また、本発明は、基材層1と粘着層2が積層された粘着シートの製造方法であって、前記基材層1が、基材層支持体4の片面の一部に剥離層5を形成する工程と、前記基材層支持体4の前記剥離層5を形成した面に密着性改良手段を用いて、前記基材層支持体4の前記剥離層5が形成されていない面及び前記剥離層5の表面に表面改質層13を形成する工程と、前記表面改質層13に着色層6を積層する工程を順次行うことにより製造され、更に、前記着色層6を介して粘着層2を積層する工程を行うことにより上記の粘着シートを製造することを特徴とする剥離表示機能付き粘着シートの製造方法を提供するものである。
【0010】
剥離表示機能付き粘着シートを構成する樹脂皮膜に対してコロナ処理等の密着性改良手段を用いて表面改質処理を行った場合、改質される部分が樹脂皮膜の極表面部分のみである。したがって、粘着シートの基材層支持体の一部に予め印刷等の手段により樹脂皮膜(剥離層)を形成した後に表面改質処理を行った場合、樹脂皮膜を形成した部分では樹脂皮膜の表面のみが改質され、樹脂皮膜によって覆われた基材層支持体の表面部分は表面改質されない。一方、樹脂皮膜を形成していない基材層支持体の表面は表面改質処理がされることにより、基材層支持体の樹脂皮膜により覆われていない表面が、実質的にパターン状に表面改質処理がなされる。本発明者等は以上の現象を見出し、本発明に至った。
【0011】
【発明の実施の形態】
(図1の説明)
本発明の剥離表示機能付き粘着シート(以下、本発明の粘着シートという)の実施の形態を貼付図面を参照して説明する。図1の粘着シートは、一旦、物品に貼り付けた後、剥がしたときに剥離表示を形成する剥離層5が裏面側に形成された柔軟な透明又は半透明のフィルム状の基材層支持体4と、前記剥離層5上を含んで基材層支持体4の裏面側全体を覆うように積層された着色層6と、この着色層6の裏面側に積層された粘着層2とそれを保護する剥離シート3を有する積層構造となっている。なお、基材層1は基材層支持体4と剥離層5と着色層6から構成されており、粘着層2は粘着剤層9のみの単層構造となっている。また、基材層支持体4が着色層6に接する面及び剥離層5が着色層6と接する面は、密着性改良手段により処理された表面改質層13を有しており、着色層6と強く接着する構成となっている。
【0012】
剥離シート3は、本発明の粘着シートを毎葉の実施形態とする場合は必要であるが、ロール状(巻状)の実施形態で製造する場合は設けなくても良い。ロール状の実施形態とする場合は、基材層支持体4の表面、つまり、剥離層5及び着色層6が設けられていない面は、シリコーン系樹脂等により剥離処理を施されていることが好ましい。
【0013】
(粘着層2の構成)
粘着層2は、物品に貼着するための粘着剤層9が必須であるが、必要に応じて、(1)粘着剤層9のみの単層構造、(2)粘着剤層9と粘着層支持体8の積層構造、(3)粘着剤層9と接着層7の積層構造、及び(4)粘着剤層9と粘着層支持体8と接着層7の3層構造(図2に示した構造)、の構成を挙げることができる。中でも、粘着層2は、基材層1に接着するように接着層7が積層され、更に、粘着層支持体8が積層され、粘着剤層9が積層された図2に示されている構造であることが好ましい。
【0014】
(基材層支持体4)
本発明の粘着シートに用いられる基材層支持体4は、特に限定されるものではないが、例えば、ポリオレフィン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、フッ素樹脂などのプラスチックフィルムが使用できるが、表面改質処理を施した部分と未処理の部分のぬれ張力の差が大きくなる材質であることが好ましく、透明または半透明の二軸延伸ポリプロピレンや未延伸ポリプロピレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートが好適に使用できる。
【0015】
基材層支持体4の表面は、印刷密着性を向上させたり、剥離表示をより明瞭に見せる為等の目的で、易接着処理やマット処理等を施されていても良く、更に、バーコードや管理コード等の印刷がされていても良い。基材層支持体4の表面にマット処理が施されているとサインや捺印等を行うことが出来る。
【0016】
基材層支持体4の厚みは特に限定されないが、薄すぎると取り扱い性や剥離表示の発現がしにくくなり、厚すぎると、剛性が高くなって曲面やコーナーに貼付した場合に基材層支持体4自体の反発力により自然に剥離してしまうことから、好ましくは15〜200μm、より好ましくは25〜150μm、更に好ましくは30〜100μmである。
【0017】
(剥離層5)
剥離層5は、該剥離層5と基材層支持体4との密着性が比較的弱いインキ等を用いて、例えば、凸版印刷、フレキソ印刷、グラビア印刷又はスクリーン印刷等、公知慣用の手段を用いて基材層支持体4上に形成する。剥離層5を形成する為のインキとしては、UV硬化型のインキや溶媒乾燥型のインキ等から適宜選定して使用すればよく、例えば、アクリル樹脂やポリビニルアルコール、ポリエステル、ポリスチレン、セルロース、酢酸ビニル、ウレタン樹脂等の樹脂を溶媒に溶解、または分散したものを使用することができる。また、インキを基材層支持体4上に形成する方法には、印刷後に溶剤を含有するインキを用いて印刷後に加熱乾燥する方法や、紫外線や電子線等の照射により硬化するタイプのインキを用いて印刷後に紫外線や電子線を照射させる方法を用いることができる。特に、種々の画像や情報を織り交ぜて、少量多品種の粘着シートを生産したい場合には、紫外線や電子線硬化タイプのインキを使用して、凸版又はフレキソ印刷機を用いて印刷することが好ましい。
【0018】
印刷のパターンとしては、開封防止用ラベルであれば「VOID」や「開封済」等、くじシールであれば「当たり」「1等」等の文字を、絵の出るシールであればキャラクターなどの画像等、適宜選択する。剥離層5の色は、特に限定されるものではないが、本発明の粘着シートを物品に貼着した状態では剥離層5のパターンが目視できず、粘着シートを物品から剥離させることにより、はじめて剥離層5による剥離表示が発現するようにしたい場合は、無色透明、または着色層6と同等色であることが好ましい。
【0019】
また、剥離層5の厚みは特に限定されないが、剥離表示が明瞭に発現するようにするためには、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μm、特に好ましくは1〜3μmとなるようにする。
【0020】
(密着性改良手段による表面改質処理)
本発明の粘着シートでは、基材層支持体4と剥離層5が着色層6と強く接着するように、基材層支持体4が着色層6に接する面及び剥離層5が着色層6と接する面は、密着性改良手段により表面改質処理が施されている。処理された面は表面改質層13となっている。密着性改良手段としては、例えば、コロナ放電処理、フレーム処理、プラズマ処理、グロー放電処理、又はオゾン処理等を用いることができる。これらの密着性改良手段は、単独または組み合わせて使用することができる。上記の密着性改良手段の中でもコロナ放電処理を用いるのが好ましい。
【0021】
上記の密着性改良手段を用いて表面改質処理を行う場合、基材層支持体4の片面の一部に剥離層5が形成された状態で、当該面側の全面に、例えば、コロナ放電処理を行うことで、剥離層5が形成されていない基材層支持体4の表面及び剥離層5の表面に表面改質層13を形成することができる。本発明の方法によれば、表面改質層13を形成するためのマスク等の特殊な装置を必要とせず、したがって、表面改質層13が基材層支持体4の全面に渡って連なったパターンであっても容易に形成することができる。
【0022】
表面改質処理の効果はJIS K6768「プラスチック−フィルム及びシート−ぬれ張力試験方法」によりぬれ張力を測定することで確認できる。基材層支持体4の表面の表面改質前後のぬれ張力の差は、好ましくは8mN/m以上、より好ましくは10mN/m以上、中でも、15mN/m以上であることが特に好ましい。上記の範囲であると、基材層支持体4と剥離層5の接着力(A)と、基材層支持体4の表面改質層13と着色層6の接着力(B)の差が顕著となり、本発明の粘着シートを被貼着物件から低速で剥離したり、接着性の低い被貼着物件から剥離した場合でも、剥離後に、より確実且つ明瞭に剥がされた証が視認できるようになる。
【0023】
コロナ放電処理装置を使用して上記表面改質を行う場合、使用する基材層支持体4の種類等により処理効果が異なる。例えば、基材層支持体4としてコロナ放電処理を行わない未処理のPETフィルムのぬれ張力をJIS K6768に従って測定すると40mN/mである。このPETフィルムの一方の表面に対し、春日電機社製コロナ処理装置(高周波電源AGI−021型、300mmクォーツ電極)を使用して、放電量T=83W/m2/分のコロナ放電処理を行うと表面改質後のぬれ張力は60mN/mとなる。ここで、放電量T(W/m2/分)=発信器放電電力P(W)÷{電極の長さ(m)×フィルム速度(m/分)}と定義する。また、基材層支持体4として未処理のCPPフィルムを用い、前記と同様にコロナ放電処理すると、未処理時のぬれ張力が30mN/mであるのに対し、表面改質後のぬれ張力は44mN/mとなる。さらに、同じCPPフィルムに対し、放電量T=33W/m2/分のコロナ放電処理を行うと、ぬれ張力は38mN/mとなる。したがって、表面改質前後のぬれ張力を確認しながら適切な放電量を適宜調整する必要がある。好ましい放電量としては、20〜120W/m2/分である。
【0024】
(着色層6)
着色層6を形成する方法としては、基材層支持体4の表面に形成された表面改質層13に密着性の高いインキを用いて、公知の印刷方法又はコーティング方法等により積層する方法、あるいは金属材料をスパッタリングや蒸着等により被覆する方法等を用いることができる。
【0025】
中でも、着色層6を形成する材料としては着色インキであることが好ましい。着色インキ及びそれを印刷する方法については、公知慣用の手段が使用できる。例えば、剥離層5と同様のインキ及び印刷方法が使用できる。また、バーコーターやナイフコーター等のコーティング方法も使用できる。着色層6の色は、特に限定されないが、剥離表示をより明瞭に判別させる為には、顔料や染料等を使用して明度の低い濃色に着色したものが好ましい。また、着色層6の厚みは特に限定されないが、厚すぎても薄すぎても剥離表示性能に影響がある為、好ましくは0.5〜10μm、より好ましくは1〜5μm、更に好ましくは1〜3μmである。
【0026】
(部分転移タイプと不転移タイプの説明)
本発明の粘着シートは、基材層支持体4と剥離層5の接着力(A)と、基材層支持体4の表面改質層13と着色層6の接着力(B)と、着色層6と粘着層2の接着力(C)と、粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)であるため、本発明の粘着シートを被貼着物件に貼着した後に、該粘着シートを剥がそうとした場合、前記基材層支持体4と前記剥離層5の界面で剥離が起きる。このとき、下記に記載する「90°剥離伸び変形試験」において、粘着層2が破断する場合、前記剥離層5が形成されたパターン形状に該剥離層5と前記着色層6と前記粘着層2とからなる積層体が被貼着物件に残留する(図3;図3は図1の粘着シートが破断して非貼着物件に残留する様子を示している。)。このような状態となる本発明の粘着シートを「部分転移型の剥離表示機能付き粘着シート」と言う。一方、「90°剥離伸び変形試験」において、粘着層2が破断せずに2.5%以上の変形率を示した場合は、本発明の粘着シートは破断せず、したがって、被貼着物件に残留しない。本発明ではこのような状態となる粘着シートを「不転移型の剥離表示機能付き粘着シート」と言う。
【0027】
図4は「不転移型の剥離表示機能付き粘着シート」において剥離表示10が発現された所を示している。被貼着物件から不転移型の剥離表示機能付き粘着シートを剥がした場合、図4に示すように剥離層5と基材層支持体4との間に剥離表示10が生じる。所定の形状に形成した剥離層5の部分だけに層間破壊が起こることで、所定の形状に剥離表示10を目視可能に出現させる。このような剥離表示10は、基材層支持体4の表面から(図4の上側から)入射した光が基材層支持体4を透過して、剥離部10において光の乱反射等、光の反射状態が変化することにより目視可能となるものである。
【0028】
(粘着層2の90°剥離伸び変形)
被貼着物件が高価な品物である場合、繰り返し使用する品物である場合、または、本発明の粘着シートを一度使用し、剥離表示が発現した状態の粘着シートを更に使用したい場合においては、「不転移型」であることが望ましい。「不転移型」においては、本発明に用いる粘着層2の90°剥離伸び変形は、好ましくは2.5%以上、更に好ましくは5%以上、特に好ましくは10%以上である。また、粘着層2の90°剥離伸び変形の上限は特に限定されないが、粘着層2の変形が大きい粘着シートでは、粘着シートを被貼着物件から剥がす際に粘着層2が引き伸ばされることにより粘着層2と基材層1の接着性が低下するため、好ましくは900%以下であり、より好ましくは400%以下、特に好ましくは300%以下である。
【0029】
(90°剥離伸び変形試験)
90°剥離伸び変形試験方法の概略を図5に示す。20mm幅の粘着層2をJIS―Z0237(2000)の90°剥離試験板11に貼着し、同法に従い90°剥離試験を行う。同試験法における90°剥離伸び変形率(%)は、つかみ間隔がdmmの位置から粘着層2を90°剥離試験板11と90°の角度に保ったまま300mm/分の速度でamm引き上げたときの剥離長さをbとした時、次式で与えられる値と定義されている。
90°剥離伸び変形率(%)=(a−b)÷(b+d)×100
本発明では、d=0mm、a=20mm、剥離距離の測定は0.5mm単位とした。また、測定は23℃雰囲気下で行う。
なお、上記の90°剥離伸び変形試験において、粘着層2が破断する場合とは、粘着層2が20mm引き上げられる間に破断が発生する場合をいう。
【0030】
(粘着層2の引張強さ)
本発明の粘着シートを不転移型の剥離表示機能付き粘着シートとする場合において、使用する粘着層2の引張強さは、該粘着層2の一部が被貼着物件に残留しないことをより確実にするために、1N/10mm以上であることが好ましく、より好ましくは2N/10mm以上、特に好ましくは4N/10mm以上である。なお、本発明においては伸び変形と引張強さの下限が重要であり、これらの値がクリアされれば引張強さの上限は特に問題とならないため特に限定しない。なお、粘着層2の引張強さは、JIS−Z0237(2000)の引張強さの試験方法において、標線間隔を5mmとしたときの引張り強さ(N/10mm)と定義する。
【0031】
(粘着層2の引張強さの定義)
ここで、粘着層2の引張強さは、JIS−Z0237(2000)の引張強さの試験方法において、標線間隔を5mmとしたときの引張り強さ(N/10mm)と定義する。
(粘着層支持体8)
不転移型の剥離表示機能付き粘着シートを作製しようとした場合は、本発明の粘着シートに使用する粘着層2は90°剥離伸び変形率が2.5%以上であれば、特に構成は限定されず、粘着剤層9のみの単層構造であっても良いが、前記粘着層2が粘着剤層9のみの場合、該粘着層2と基材層1との接着力、および該粘着層2の90°剥離伸び変形率、および該粘着層2の引張強さ、および該粘着層2と被貼着物件との接着力のバランスを調整する必要がある。このため、粘着層2が粘着剤層9と粘着層支持体8と接着層7からなり、該接着層7が前記基材層1上に積層された構成の方が、上記のバランスを調整しやすくなるため好ましい。一方、部分転移型の剥離表示機能付き粘着シートを作製しようとした場合においては、粘着層2が粘着剤層9のみの単層構造であって、粘着層1の引張り強度が低く、破断点伸度が小さいものが好適に選択される。
【0032】
(粘着層支持体8の種類)
不転移型の剥離表示機能付き粘着シートを作製しようとした場合において、本発明の粘着シートに粘着層支持体8を使用する場合は、材質等は特に限定されないが、柔軟でかつ破断しにくい材料が好適に選択される。具体的には、LLDPEやLDPE、CPP、EVA、ナイロン、ポリウレタン、ポリ塩化ビニル等を主成分とする単層、または、多層のフィルムが例示できる。また、接着性向上のためにその表面にコロナ処理や易接着コート処理等が施されているものであっても良く、着色や意匠、偽造防止等の目的で印刷等が施されているものであっても良い。さらに、着色剤や帯電防止剤等の添加剤を添加することも出来る。
【0033】
(粘着層支持体8の厚み)
粘着層支持体8の厚みは特に限定されないが、一般に薄すぎると引張り強度が低下するため、破断しやすくなり、厚すぎると剛性が高くなって変形し難くなるため、好ましくは3〜200μm、より好ましくは5〜50μmである。
【0034】
(粘着剤層9の粘着剤の種類)
本発明の粘着シートに使用する粘着剤層9の粘着剤の種類は特に限定されず、アクリル系、ゴム系、シリコーン系等の粘着剤から適宜選択して使用できるが、不転移型の剥離表示機能付き粘着シートの場合は貼着物品により残留しにくい、いわゆる再剥離タイプのアクリル系粘着剤がより好適に選択される。また、被貼着物品への接着力は、低すぎると剥離表示10が発現せず、高すぎると被貼着物品に残留しやすくなるため、好ましくは1〜25N/25mm、より好ましくは3〜12N/25mmのものが好適に選択されるが、特にこの範囲に限定されるものではない。
【0035】
(層間接着力)
基材層支持体4と剥離層5の接着力(A)と、基材層支持体4の表面改質層13と着色層6の接着力(B)と、着色層6と粘着層2の接着力(C)と、粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)であれば、各層間の接着力は特に限定されないが、好ましい態様を以下に例示する。
▲1▼基材層支持体4と剥離層5の接着力(A):低すぎると生産中に剥離層5が脱落したり、被貼着物件に貼付するまでの取り扱いにおいて剥離表示10が発現する。一方、高すぎると剥離表示10が発現しにくくなり、剥離表示10を発現させる為には他の層間接着力を高める必要があることからも、0.02〜5N/25mmが好ましく、さらに好ましくは0.1〜3N/25mmである。
▲2▼基材層支持体4の表面改質層13と着色層6の接着力(B):より高い接着力が好ましく、5N/25mm以上、より好ましくは10N/25mm以上である。
▲3▼着色層6と粘着層2の接着力(C):より高い接着力が好ましく、5N/25mm以上、より好ましくは10N/25mm以上である。
▲4▼粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D):2N/25mmを超えて、15N/25mm以下、より好ましくは3〜10N/25mm、特に好ましくは、3〜8N/25mmである。
【0036】
なお、上記接着力(A)〜(D)の測定は以下の方法及びそれに準じた方法で測定した値である。
・サンプルの作製;▲1▼基材層支持体4と剥離層5、▲2▼表面改質層13を形成した基材層支持体4と着色層6、▲3▼表面改質層13を形成した基材層支持体4上に設けた着色層6と粘着層2、あるいは▲4▼ポリエチレン板と粘着層2を積層し、大日本インキ化学工業製粘着フィルム「UVPET透明50FL−YM」を剥離層5、着色層6、あるいは粘着層2の背面に貼り合わせ、25mm×100mmの測定用サンプルを作製する。
・引張試験機;オリエンテック製テンシロン万能引っ張り試験機RTA100
・測定条件;23℃、50%RHに1時間放置した後に測定。
・剥離速度;300mm/分
・剥離角度;90度(T型ピール)
【0037】
(基材層1と粘着層2の積層方法)
本発明の粘着シートの基材層1と粘着層2を積層する方法は特に限定されないが、基材層1上に粘着層2を順次塗布乾燥させることで積層シートとする方法や、予めおのおの積層させた基材層1と粘着層2とを、いずれかの層に接着剤や粘着剤を塗布乾燥しておき、必要に応じて加熱ラミネータ等の装置を用いて貼り合わせるなどの方法が例示できる。また、粘着シートの粘着層2が接着層7を有し、その接着層7を介して基材層1と粘着層2が積層される態様が挙げられる。更にその接着層7が粘着剤であって、予め剥離紙3上に粘着層2が形成され、必要に応じて接着層7の保護用に第2の剥離紙14(相対的に粘着層2との剥離力が剥離紙3よりも低いものが好ましい)を積層させ、両面粘着テープ状に巻き取られたものを、必要に応じて剥離紙14を剥離しながら、接着層7を介して粘着層2と基材層1を貼り合わせる方法、および、粘着層2が粘着剤層9の単層の場合であって、予め剥離紙3上に粘着層2が形成され、必要に応じて粘着層9の保護用に第2の剥離紙14(相対的に粘着層2との剥離力が剥離紙3よりも低いものが好ましい)を積層させ、両面粘着テープ状に巻き取られたものを、必要に応じて剥離紙14を剥離しながら、粘着層2と基材層1を貼り合わせる方法は、基材層1と粘着層2を数種類ずつ組み合わせて少量多品種の粘着シートを生産することを容易とし、また、基材層1の作成工程と粘着層2の積層工程を連続して生産することを容易とするために好ましい実施態様である。特に、基材層支持体4の一部に剥離層5を凸版またはフレキソ印刷機で印刷することにより形成する工程と、基材層支持体4の剥離層5形成側にコロナ放電処理を行う工程と、前記基材層支持体4の剥離層5上および該剥離層5がない部分上に着色層6を凸版またはフレキソ印刷機で印刷することにより形成する工程と、前記基材層支持体4の着色層6形成側の基材層1上に前記粘着層2を積層する工程を順次連続して行う製造方法は、シール印刷機と呼ばれる公知既存の装置などにおいて安価に少量多品種の粘着シートを生産できる方法として好ましい実施態様である。
【0038】
【実施例】
以下に実施例により具体的に説明する。
【0039】
(実施例1)
基材層支持体4として80μmの表面未処理の透明CPP系フィルム(出光ユニテック社製 製品名ピュアソフティ)を使用し、該フィルムに剥離層5としてシール印刷用インキ(大日本インキ化学工業社製 製品名ダイキュアRT−Vメジューム)で「開封済」のパターンをシール印刷機により印刷した後、UV光を照射させてインキをキュアさせる工程、CPPフィルムのパターン印刷層形成面全体にコロナ処理を施し表面改質を行い、表面改質層13を形成する工程、更に表面改質層13上に着色層6としてシール印刷用インキ(大日本インキ化学工業社製 製品名ダイキュアRT−V墨)を用い、パターン印刷層を完全に覆う様にCPPフィルム上にシール印刷機によりベタ印刷を施した後、UV光を照射させてインキをキュアさせる工程を順次連続して行うことにより基材層1を作成した。さらに該基材層1の印刷面側に、粘着層2としてアクリル系粘着剤層30μm単層の両面テープ(大日本インキ化学工業社製 製品名BP−1013、ポリエチレン板に対する90°剥離伸び変形率の測定にて破断した)を貼り合わせる工程を連続的に行った後、巻き取ることにより、実施例1の粘着シートを得た。
【0040】
実施例1の粘着シートにおける基材層支持体4(ぬれ張力30mN/m)と剥離層5の密着強度(A)は0.1N/25mmであった。また、基材層支持体4の表面に形成された表面改質層13(ぬれ張力44mN/m)と、着色層6の接着強度(B)は、接着力10N/25mmの粘着テープによる引きはがしでは剥離せず、よって、10N/25mm以上の接着強度と判断された。この粘着シートを被貼着物件としてポリエチレン板に貼付し、23℃雰囲気下に24時間放置後、粘着シートを剥離したところ、その接着強度(D)は3N/25mmであり、「開封済」のパターン形状に剥離層5と基材層支持体4の界面で剥離し、被貼着物件に「開封済」のパターンが残留した。なお、着色層6と粘着層2の界面で剥離が生じていないところから、着色層6と粘着層2の接着力(C)は(D)よりも大きいと判断される。
【0041】
更に、実施例1の粘着シートをステンレス板に貼付し、23℃雰囲気下に24時間放置後、粘着シートを低速で剥離したところ、「開封済」のパターン形状に剥離層5と基材層支持体4の界面で剥離し、被貼着物件に「開封済」のパターンが残留した。なお、ポリエチレン板に貼付した時と同様に、着色層6と粘着層2の界面で剥離が生じていないところから、着色層6と粘着層2の接着力(C)は(D)よりも大きいと判断される。
【0042】
(実施例2)
剥離紙3上に、乾燥後の厚さが30μmとなるようにアクリル系粘着剤(大日本インキ化学工業社製「クイックマスター SPS−1068」に大日本インキ化学工業社製イソシアネート系架橋剤「バーノックNC−40」を2重量部添加)を塗布、乾燥させて粘着剤層9を形成した。ついで、粘着剤層9の面に、粘着層支持体8として、予め両面にコロナ処理を施した厚さ20μmのLDPEフィルム(密度0.919)を貼り合わせた。
【0043】
さらに、該粘着層支持体8のもう一方の面に、接着層7として、アクリル系粘着剤(綜研化学社製「SK−1502」に綜研化学社製架橋剤「L−45」を1.3部添加)を乾燥後の厚さが10μmとなるように塗布し、乾燥後のアクリル系粘着剤の上に剥離紙14を貼り合わせることで、剥離紙3と剥離紙14が上下に付いた、粘着層2(粘着剤層9、粘着層支持体8及び接着層7が順次貼り合わさった両面テープ)を作成した。この粘着剤層9、粘着層支持体8及び接着層7からなる粘着層2のポリエチレン板に対する90°剥離伸び変形率は11%であった。この粘着層2(両面テープ)の剥離紙14を剥離して、実施例1で作成した基材層1の印刷面側と貼り合わせることで剥離表示機能付き粘着シートを作成した。この粘着シートを被貼着物件としてポリエチレン板に貼付し、23℃雰囲気下に24時間放置後、粘着シートを剥離したところ、その接着強度(D)は4.9N/25mmであり、「開封済」のパターン形状に剥離層5と基材層支持体4の界面で剥離し、粘着シートに「開封済」のパターンが表示されたが、被貼着物件には粘着剤やパターンは残留しなかった。なお、着色層6と粘着層2の界面で剥離が生じていないところから、着色層6と粘着層2の接着力(C)は(D)よりも大きいと判断される。
【0044】
更に、実施例1の粘着シートをステンレス板に貼付し、23℃雰囲気下に24時間放置後、粘着シートを低速で剥離したところ、「開封済」のパターン形状に剥離層5と基材層支持体4の界面で剥離し、粘着シートに「開封済」のパターンが表示されたが、被貼着物件には粘着剤やパターンは残留しなかった。なお、ポリエチレン板に貼付した時と同様に、着色層6と粘着層2の界面で剥離が生じていないところから、着色層6と粘着層2の接着力(C)は(D)よりも大きいと判断される。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、低速で剥離したり、接着性の低い被貼着物件から剥離した場合でも、剥離後に、より確実且つ明瞭に剥がされた証が視認できる剥離表示表示機能付き粘着シートを提供することができる。また、特殊な装置を必要とせず、所望のパターンを容易に形成できる剥離表示機能付き粘着シートおよびその製造方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の粘着シートにおける一実施例の断面図である。
【図2】本発明の粘着シートにおける一実施例の断面図である。
【図3】本発明の一実施例である部分転移型粘着シートを被貼着物件に貼着後、剥離した状態を示す断面図である。
【図4】本発明の一実施例である不転移型粘着シートを被貼着物件に貼着後、剥離した状態を示す断面図である。
【図5】粘着層2の90°剥離伸び変形率の測定の概略図である。
【符号の説明】
1:基材層
2:粘着層
3:剥離紙
4:基材層支持体
5:剥離層
6:着色層
7:接着層
8:粘着層支持体
9:粘着剤層
10:剥離表示
11:被貼着物件
12:引張試験機チャック
13:表面改質層
a:90°剥離伸び変形率の測定における引き上げ距離
b:90°剥離伸び変形率の測定における剥離距離
d:90°剥離伸び変形率の測定における初期つかみ間隔
Claims (5)
- 基材層1と粘着層2が積層された粘着シートであって、前記基材層1が、基材層支持体4と前記基材層支持体4の片面の一部に形成された剥離層5を有し、更に前記剥離層5を覆うように前記基材層支持体4の全面若しくは一部に着色層6が積層された構造であり、前記粘着層2が前記着色層6を介して前記基材層1に積層され、前記基材層支持体4が前記着色層6に接する面及び前記剥離層5が前記着色層6と接する面が密着性改良手段により処理された表面改質層13を有し、且つ前記基材層支持体4と前記剥離層5の接着力(A)と、前記基材層支持体4の表面改質層13と前記着色層6の接着力(B)と、前記着色層6と前記粘着層2の接着力(C)と、前記粘着層2をポリエチレン板に貼着して90°剥離を行った時の接着力(D)との関係が、(A)<(D)<(B)及び(A)<(D)<(C)であることを特徴とする剥離表示機能付き粘着シート。
- 前記密着性改良手段が、コロナ放電処理である請求項1記載の剥離表示機能付き粘着シート。
- 前記粘着層2の90°剥離伸び変形試験における変形率が2.5%以上である請求項1又は2のいずれかに記載の剥離表示機能付き粘着シート。
- 基材層1と粘着層2が積層された粘着シートの製造方法であって、前記基材層1が、基材層支持体4の片面の一部に剥離層5を形成する工程と、前記基材層支持体4の前記剥離層5を形成した面に密着性改良手段を用いて、前記基材層支持体4の前記剥離層5が形成されていない面及び前記剥離層5の表面に表面改質層13を形成する工程と、前記表面改質層13に着色層6を積層する工程を順次行うことにより製造され、更に、前記着色層6を介して粘着層2を積層する工程を行うことにより請求項1、2又は3のいずれかに記載の粘着シートを製造することを特徴とする剥離表示機能付き粘着シートの製造方法。
- 前記密着性改良手段が、コロナ放電処理である請求項4記載の剥離表示機能付き粘着シートの製造方法。
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JP2006282178A (ja) * | 2005-03-31 | 2006-10-19 | Japan Crown Cork Co Ltd | 合成樹脂製キャップ |
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-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003119675A patent/JP2004323658A/ja active Pending
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