JP2004323632A - ポリエステルおよびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】主として、ポリエステルの製造工程で発生する重縮合槽内での泡立ちに伴う液面上昇のため、重縮合槽への仕込み量を制限しなければならないなどの課題があった。本発明は、この液面上昇による生産性低下の問題を解決し、しかも得られたポリエステルの品質も維持されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法を提供するものである。
【解決手段】芳香族もしくは脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル誘導体、およびジオールまたはそのエステル誘導体との直接エステル化反応またはエステル交換反応から得られるオリゴマーを用いて、ポリエステルを重縮合する製造方法において、表面調整剤から選ばれる少なくとも1種を使用することを特徴とするポリエステルの製造方法。
【解決手段】芳香族もしくは脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル誘導体、およびジオールまたはそのエステル誘導体との直接エステル化反応またはエステル交換反応から得られるオリゴマーを用いて、ポリエステルを重縮合する製造方法において、表面調整剤から選ばれる少なくとも1種を使用することを特徴とするポリエステルの製造方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、生産性が改善されたポリエステルおよびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、ポリエステル製造中に発生する泡立ちに伴う重縮合槽内での液面上昇を、表面調整剤で抑制することを特徴とするポリエステル、並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィルムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等の広範な分野において使用されている。
【0003】
代表的なポリエステルである芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下で触媒を用いて重縮合する重縮合法等により、工業的に製造されている。
【0004】
従来から、このようなポリエステルの重縮合時に用いられるポリエステル重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物およびアルミニウム化合物などが用いることができる。しかしながら、これらの重縮合触媒を用いたポリエステルの製造工程、特に、エステル化反応およびエステル交換反応、オリゴマーの減圧下での初期重縮合段階で大なり小なり泡立ちが見られ、重縮合槽内での液面上昇が伴うため、泡立ちの大きい場合には、仕込み量を抑え、泡立ちによる系外へのオリゴマーなどの飛散を抑制する処置が、特に連続重縮合の場合では、一般にとられる。この仕込み量の抑制は、生産性においてマイナスに働くため、該泡立ちの抑制が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリエステルの製造工程で発生する泡立ちを表面調整剤の添加で、液面上昇による生産性低下の問題を解決し、触媒活性の低下の問題などがなく、しかも得られたポリエステルの品質も維持されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法を提供するものである。 すなわち、本発明は、溶融成形時の熱安定性、異物の発生、透明性、さらには色調の点でも表面調整剤添加による品質低下のないポリエステルを提供する。 本発明はまた、フィルム、ボトル等の中空成形品、繊維、エンジニアリングプラスチック等の溶融成形を行う際の熱安定性、異物の発生、生産性の点でも表面調整剤添加による品質および生産性低下はなく、また、バージンの樹脂を使用してもまた成形時に発生する屑を再利用しても品位に優れた製品が得られるポリエステル、並びにポリエステルの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の筆者らは、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物およびアルミニウム化合物などを触媒として用いたポリエステル製造工程において、重合槽内での泡立ちによる液面上昇を抑制する方法について検討した。その結果、触媒活性の低下なしに、工程中の重合槽内での泡立ちによる液面上昇を抑制することで、仕込み量のアップを可能にし、生産性を改善するという当所の目的を達成し本発明に到達した。すなわち、重縮合前での各種表面調整剤の添加効果を検討したところ、理由は不明であるが、本発明の表面調整剤を添加することによって、ポリエステル製造時の泡立ちによる液面上昇の抑制効果が得られるとともに、触媒活性の低減も見られず、しかも、表面調整剤無添加と同等の品質のポリエステルが得られることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は上記課題の解決法として、特定の表面調整剤を用いて製造されたポリエステルならびにそのポリエステルの製造方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、表面調整剤を用いて製造されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法を提供するものである。本発明の表面調整剤は、重縮合槽内での泡立ちによる液面上昇の抑制および触媒活性の維持は勿論、芳香族もしくは脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル誘導体、およびジオールおよびそのエステル誘導体との直接エステル化反応またはエステル交換反応から得られるオリゴマーなどに対する相容性、ポリエステル製造に耐える耐熱性、得られたポリエステルの諸物性に問題が生じないことが要求される。
【0008】
これらの要求を満足する表面調整剤には、脂肪族ポリエステル化合物類が挙げられる。これらには、式(2)に示す脂肪族モノオキシモノカルボン酸あるいは環状脂肪族ラクタムを出発物質としたポリエステル化合物類および該ポリエステル化合物類と高級脂肪酸との反応生成物類、
R1COO−(CHR2−A−COO)n− H (2)
ただし、R1およびR2:C1〜16のアルキル基、A:C4〜12のアルキレン基、nは、2〜30である。
式(3)に示す、上述のポリエステル化合物類と片方のアミノ基がアルキル置換されてなるアルキレンジアミンとの反応生成物類およびその酸成分による四級化物類、
HO−(CHR2−A−COO)n− CHR2−A−CONH−B−NH(R3)(R4)(+)X(−) (3)
ただし、R1およびR2:C1〜16のアルキル基、R3およびR4:C1〜4のアルキル基、A:C4〜12のアルキレン基、B:C2から10のアルキレン基、n:2〜30の整数を示す。
【0009】
式(4)に示す、上述のポリエステル化合物類と分子中にイミノ基を含有するジグリコール類との反応生成物の酸成分による四級化物類、
HO−(CHR2−A−COO)n− CHR2−A−COO−B−NH2(B−OH)(+)X(−) (4)
ただし、R1:Hあるいはメチル基、R2:C1〜16のアルキル基、AおよびB:C4〜12のアルキレン基、n:2〜30の整数を示す。
式(5)に示す脂肪族モノオキシモノカルボン酸あるいは環状脂肪族ラクタムを出発物質とした脂肪族オキシカルボン酸類とポリエチレンイミンの反応生成物類、
HO−(CHR2−A−COO)n− CHR2−A−CO−NH−(CH2CH2NH)m−H (5)
R2:C1〜16のアルキル基、A:C4〜12のアルキレン基、m、n:2〜30の整数を示す。
【0010】
式(6)に示す脂肪族モノオキシモノカルボン酸あるいは環状脂肪族ラクタムを出発物質とした脂肪族オキシカルボン酸類とエチレンイミンのランダムコポリマー類と高級脂肪酸の反応生成物類、
R1O−(CHR2−A−CONHCH2CH2NH)l−(CHR2−A−COO)m− CHR2−A−CONH−(CH2CH2NH)
m−H (6)
l,m,n:2〜30の整数を示す。
などが挙げられる。
【0011】
また、本発明の表面調整剤として、アセチレングリコール類、ビニル系ポリマー類、アクリル系ポリマー類、ポリグリコール類が使用できる。
さらに、本発明で使用できるシリコーン系表面調整剤としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、ジメチルポリシロキサンのアミノ変性物あるいはエポキシ変性物などが挙げられる。ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体などがより好適である。
【0012】
本発明の表面調整剤の使用量としては、表面調整剤のポリエステル中の含有量(A)が下記式(1)を満足することが要求される。
1≦A(ppm)≦10,000 (1)
表面調整剤のポリエステル中の含有量が、1ppmを下回る場合は、重縮合槽内での泡立ちによる液面上昇を抑制する効果が不十分で好ましくない態様である。一方、10,000ppmを超える場合は、ポリエステルレジンの力学特性および耐熱性が低下し好ましくない。表面調整剤のポリエステル中の含有量は、1〜10,000ppmで使用できるが、好ましくは5〜1,000ppmであり、さらに好ましくは、10〜500ppmである。
【0013】
本発明の表面調整剤の添加方法は、粉末状もしくはニート状での添加であってもよいし、エチレングリコールなどの溶媒のスラリー状もしくは溶液状での添加であってもよく、特に限定されない。また、本発明で用いる重縮合触媒と予め混合したものを添加してもよく、これらを別々に添加してもよい。
【0014】
本発明の表面調整剤の添加時期は、重縮合反応の任意の段階で反応系に添加することができる。例えばエステル化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途中の任意の段階あるいは重縮合反応の開始直前あるいは重縮合反応途中の任意の段階で反応系への添加することが出きる。
【0015】
本発明で使用できるポリエステルの重縮合触媒としては、アンチモン、ゲルマニウム、チタンおよびアルミニウム化合物などがある。これらの重縮合触媒は、それぞれ単独あるいは複合的に用いることができる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリオキサイドなどが挙げられ、特に三酸化アンチモンが好ましい。
【0016】
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、特に二酸化ゲルマニウムが好ましい。
チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネートなどが挙げられ、特に、テトラブチルチタネートが好ましい。
【0017】
本発明のアルミニウム化合物からなる重合触媒は、リン化合物またはフェノール系化合物、特にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物と併用することが好ましい。
【0018】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。
【0019】
併用するリン化合物としては特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
【0020】
本発明の重合触媒は、アンチモン化合物、ゲルマニウム、チタンおよびアルミニウム化合物等をポリエステルの特性、加工性、色調等製品に問題が生じない添加量の範囲内において共存させて用いることは、重合時間の短縮による生産性を向上させる際に有利であり、好ましい。
【0021】
本発明によれば、上述の特定の表面調整剤を使用することにより、ポリエステル製造工程中の重縮合槽内での泡立ちによる液面上昇が抑制され、しかもいずれの触媒を用いた場合でも触媒活性を低下させることなく、成形用ポリエステルレジンを得ることが可能となる。
【0022】
本発明に言うポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状エステルから成るものをいう。
【0023】
ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタンジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4’ービフェニルジカルボン酸、4、4’ービフェニルスルホンジカルボン酸、4、4’ービフェニルエーテルジカルボン酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p’ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0024】
これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナフタレンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分とする。
【0025】
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3’、4’ービフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0026】
グリコールとしてはエチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4, 4’ージヒドロキシビスフェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベン ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
【0027】
これらのグリコールのうちエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
【0028】
これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0029】
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0030】
環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
【0031】
多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられる。
【0032】
本発明で用いられるポリエステルは主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルが好ましい。
【0033】
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
【0034】
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良い。
【0035】
本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0036】
本発明で用いられるアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール等があげられる。これらは同時に2種以上を使用しても良い。
【0037】
本発明のポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4ーシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどが好ましく、これらのうちポリエチレンテレフタレートの共重合体が特に好ましい。
【0038】
また、本発明のポリエステルには公知のリン化合物を共重合成分として含むことができる。リン系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例えば(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、9,10−ジヒドロ−10−オキサ−(2,3−カルボキシプロピル)−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどが挙げられる。これらのリン系化合物を共重合成分として含むことで、得られるポリエステルの難燃性等を向上させることが可能である。
【0039】
本発明のポリエステルの構成成分として、ポリエステルを繊維として使用した場合の染色性改善のために、スルホン酸アルカリ金属塩基を有するポリカルボン酸を共重合成分とすることは好ましい態様である。
【0040】
共重合モノマーとして用いる金属スルホネート基含有化合物としては、特に限定されるものではないが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、2−リチウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、またはそれらの低級アルキルエステル誘導体などが挙げられる。本発明では特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の使用が好ましい。
【0041】
金属スルホネート基含有化合物の共重合量はポリエステルを構成する酸性分に対して、0.3〜10.0モル%が好ましく、より好ましくは0.80〜5.0モル%である。共重合量が少なすぎると塩基性染料可染性に劣り、多すぎると繊維とした場合、製糸性に劣るだけでなく、増粘現象により繊維として十分な強度が得られなくなる。また、金属スルホネート含有化合物を2.0モル%以上共重合すると、得られた改質ポリエステル繊維に常圧可染性を付与することも可能である。また適切な易染化モノマーを選択することで金属スルホネート基含有化合物の使用量を適宜減少させることは可能である。易染化モノマーとしては特に限定はしないが、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールに代表される長鎖グリコール化合物やアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0042】
本発明のポリエステル中には、有機系、無機系、および有機金属系のトナー、並びに蛍光増白剤などを含むことができ、これらを1種もしくは2種以上含有することによって、ポリエステルの黄み等の着色をさらに優れたレベルにまで抑えることができる。また他の任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、顔料、艶消し剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤が含有されてもよい。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系などの酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、イオウ系、アミン系などの安定剤が使用可能である。
【0043】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。なお、ポリエステルの特性は、以下の方法に従って測定した。
【0044】
(1)液面上昇の評価
重縮合槽内での泡立ちによる液面上昇を5段階法で評価した。
5級:液面上昇が殆ど認められない。
4級:液面上昇が少し認められる。
3級:液面上昇が認められる。
2級:重合槽の上部までの液面上昇が認められる。
1級:液面上昇が激しく重合槽の上部まで到達し減圧度の調整を要する。
【0045】
(2)固有粘度(IV:dl/g)
溶融重縮合で得られたレジンペレット(長さ約3mm,直径約2mm、シリンダー状)を、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒に80〜100℃で数時間かけ溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、温度30℃で測定した。濃度は、4g/lを中心にして何点か測定し、常法に従ってIVを決定した。
【0046】
(3)オリゴマー酸価(AV0)
オリゴマーを粉砕し、110℃で15時間以上減圧乾燥する。試料約1gを精秤し、ピリジン20mlを加える。15分間煮沸還流し溶解させる。溶解後、10mlの純水を添加し、室温まで放冷する。フェノールフタレインを指示薬としてN/10−NaOHで滴定する。試料を入れずにブランクも同じ作業を行う。なお、オリゴマーがピリジンに溶解しない場合は、ベンジルアルコール中で行う。
下記式に従って、AVo(eq/ton)を算出する。
AVo=(A−B)×0.1×f×1000/W
(A=滴定数(ml),B=ブランクの滴定数(ml),f=N/10−NaOHのファク ター,W=試料の重さ(g))
【0047】
(4)b値
得られたレジンペレットを用い、色差計(東京電色(株)製)でb値を測定した。
【0048】
(5)耐熱性(熱処理に伴う色相変化)の評価
得られたポリエステルレジンペレットを200℃で5時間、オーブン中で熱処理したものと、しないものとのレジンの色相を目視評価した。
○:色相変化がほとんど認められない。
△:色相変化が少し認められる。
×:色相変化顕著に認められる。
【0049】
(実施例1)
攪拌機および留出コンデンサーを有する、容積2.5m3のエステル化反応槽に、ジメチルテレフタレート(DMT)330kg、エチレングリコール(EG)175kg、ネオペンチルグリコール(NPG)60kgを投入し、触媒として酢酸マンガン4水和物を生成ポリマー中の酸成分に対して0.020mol%、三酸化アンチモンを生成ポリマー中の酸成分に対して0.026mol%、表面調整剤としてソルスパース9000(アビシア社製)を生成ポリマーに対して20ppmとなるように添加した。その後、攪拌しながら反応系内を最終的に240℃となるまで徐々に昇温し、圧力0.25MPaでエステル化反応を180分間行った。反応系内から留出水が出なくなるのを確認した後、反応系内を常圧に戻し、リン酸トリメチルを生成ポリマーに対して0.022mol%となるように添加した。この時のオリゴマーの酸価は350eq./tonであった。
【0050】
得られたオリゴマーを攪拌しながら昇温と減圧をし、最終的に温度が280℃で、圧力が0.2hPaになるようにした。固有粘度が所望の数値になるまで反応させ、重縮合反応を終了した。エステル化反応および重縮合反応中の槽内での泡立ちによる液面上昇の状態を上部に取り付けられた覗き窓から目視判定した。その結果は表1に示す。得られた溶融ポリエステルレジンを重合槽下部の抜き出し口からストランド状に抜き出す際に、ろ過精度95%以上の30μmのステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを使用した。ストランドを水槽で冷却した後ペレット状に切断した。得られた結果を表1に示す。
【0051】
(実施例2)
表面調整剤であるソルスパース9000を生成ポリマーに対して添加量を100ppmに増加させる以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0052】
(実施例3)
表面調整剤をソルスパース3000(アビシア社製)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を20ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0053】
(実施例4)
表面調整剤をソルスパース3000(アビシア社製)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0054】
(実施例5)
表面調整剤をソルスパース13000(アビシア社製)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0055】
(実施例6)
表面調整剤をソルスパース20000(アビシア社製)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0056】
(実施例7)
表面調整剤をダッポーSN368(サンノプコ株式会社製、ビニル系ポリマー)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0057】
(実施例8)
表面調整剤をダッポーSN354(サンノプコ株式会社製、アクリル系ポリマー)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0058】
(実施例9)
表面調整剤をサーフィノール104(エアープロダクツジャパン社製、アセチレングリコール系)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0059】
(実施例10)
実施例1の重縮合触媒である三酸化アンチモンに替わって、15g/l塩基性酢酸アルミニウム(Aldrich社製)の水/エチレングリコール溶液を生成ポリマーの酸成分に対してアルミニウム原子として0.014mol%とリン化合物としてIrganox 1425(チバ・スペシャルティーケミカル社製)の10g/lエチレングリコール溶液を生成ポリマーの酸成分に対して0.02mol%を加える以外はすべて実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
【0060】
(実施例11)
表面調整剤をTEGOSIPON N(Gold Schmidt社製ポリジメチルシロキサン系)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を20ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0061】
(実施例12)
ネオペンチルグリコールを添加せず、ジメチルテレフタレート(DMT)330kgに対して、エチレングリコール(EG)211kgを投入する以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0062】
(実施例13)
ネオペンチルグリコールを添加せず、ジメチルテレフタレート(DMT)330kgに対して、エチレングリコール(EG)211kgを投入する以外は、実施例10と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0063】
(比較例1)
実施例1において、表面調整剤であるソルスパース9000の添加を削除する以外は実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
【0064】
(比較例2)
実施例1において、表面調整剤であるソルスパース9000の添加を20000ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
【0065】
(比較例3)
実施例12において、表面調整剤であるソルスパース9000の添加を削除する以外は、実施例12と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
【0066】
(比較例4)
実施例10において、表面調整剤であるソルスパース9000を削除する以外は、実施例6と同様にして実施した。得られた結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明は、ポリエステルの製造工程で発生する重縮合槽内での泡立ちに伴う液面上昇のため、重縮合槽への仕込み量を制限しなければならないなどの課題があった。この液面上昇による生産性低下の問題を、特定の表面調整剤を添加することで解決し、しかも得られたポリエステルの品質も維持されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物およびアルミニウム化合物などを触媒として用いたポリエステル製造工程中、重縮合槽内での液面上昇による問題が解決され生産性が改善される。本発明のポリエステルは、例えば、衣料用繊維、カーテン、カーペット、ふとんわた等に代表されるインテリア・寝装用繊維、タイヤコード、ロープ等に代表される産業資材用繊維、各種織物、各種編物、短繊維不織布、長繊維不織布等の繊維、包装用フィルム、工業用フィルム、光学用フィルム、磁気テープ用フィルム、写真用フィルム、缶ラミネート用フィルム、コンテンサ用フィルム、熱収縮フィルム、ガスバリアフィルム、白色フィルム、易カットフィルム等のフィルム、非耐熱延伸ボトル、耐熱延伸ボトル、ダイレクトブローボトル、ガスバリアボトル、耐圧ボトル、耐熱圧ボトル等の中空成形体、シート、ガラス繊維強化ポリエステル、エラストマー等に代表されるエンジニアリングプラスチックなどの各種成形物、および塗料や接着剤などへの応用が可能である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、生産性が改善されたポリエステルおよびその製造方法に関するものであり、さらに詳しくは、ポリエステル製造中に発生する泡立ちに伴う重縮合槽内での液面上昇を、表面調整剤で抑制することを特徴とするポリエステル、並びにその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリエチレンナフタレート(PEN)等に代表されるポリエステルは、機械的特性、及び化学的特性に優れており、それぞれのポリエステルの特性に応じて、例えば衣料用や産業資材用の繊維、包装用や磁気テープ用などのフィルムやシート、中空成形品であるボトル、電気・電子部品のケーシング、その他エンジニアリングプラスチック成形品等の広範な分野において使用されている。
【0003】
代表的なポリエステルである芳香族ジカルボン酸とアルキレングリコールを主構成成分とするポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)の場合には、テレフタル酸もしくはテレフタル酸ジメチルとエチレングリコールとのエステル化もしくはエステル交換によってビス(2−ヒドロキシエチル)テレフタレートを製造し、これを高温、真空下で触媒を用いて重縮合する重縮合法等により、工業的に製造されている。
【0004】
従来から、このようなポリエステルの重縮合時に用いられるポリエステル重合触媒としては、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物およびアルミニウム化合物などが用いることができる。しかしながら、これらの重縮合触媒を用いたポリエステルの製造工程、特に、エステル化反応およびエステル交換反応、オリゴマーの減圧下での初期重縮合段階で大なり小なり泡立ちが見られ、重縮合槽内での液面上昇が伴うため、泡立ちの大きい場合には、仕込み量を抑え、泡立ちによる系外へのオリゴマーなどの飛散を抑制する処置が、特に連続重縮合の場合では、一般にとられる。この仕込み量の抑制は、生産性においてマイナスに働くため、該泡立ちの抑制が望まれていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ポリエステルの製造工程で発生する泡立ちを表面調整剤の添加で、液面上昇による生産性低下の問題を解決し、触媒活性の低下の問題などがなく、しかも得られたポリエステルの品質も維持されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法を提供するものである。 すなわち、本発明は、溶融成形時の熱安定性、異物の発生、透明性、さらには色調の点でも表面調整剤添加による品質低下のないポリエステルを提供する。 本発明はまた、フィルム、ボトル等の中空成形品、繊維、エンジニアリングプラスチック等の溶融成形を行う際の熱安定性、異物の発生、生産性の点でも表面調整剤添加による品質および生産性低下はなく、また、バージンの樹脂を使用してもまた成形時に発生する屑を再利用しても品位に優れた製品が得られるポリエステル、並びにポリエステルの製造方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の筆者らは、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物およびアルミニウム化合物などを触媒として用いたポリエステル製造工程において、重合槽内での泡立ちによる液面上昇を抑制する方法について検討した。その結果、触媒活性の低下なしに、工程中の重合槽内での泡立ちによる液面上昇を抑制することで、仕込み量のアップを可能にし、生産性を改善するという当所の目的を達成し本発明に到達した。すなわち、重縮合前での各種表面調整剤の添加効果を検討したところ、理由は不明であるが、本発明の表面調整剤を添加することによって、ポリエステル製造時の泡立ちによる液面上昇の抑制効果が得られるとともに、触媒活性の低減も見られず、しかも、表面調整剤無添加と同等の品質のポリエステルが得られることを見出し本発明に到達した。
すなわち、本発明は上記課題の解決法として、特定の表面調整剤を用いて製造されたポリエステルならびにそのポリエステルの製造方法を提供する。
【0007】
【発明の実施の形態】
本発明は、表面調整剤を用いて製造されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法を提供するものである。本発明の表面調整剤は、重縮合槽内での泡立ちによる液面上昇の抑制および触媒活性の維持は勿論、芳香族もしくは脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル誘導体、およびジオールおよびそのエステル誘導体との直接エステル化反応またはエステル交換反応から得られるオリゴマーなどに対する相容性、ポリエステル製造に耐える耐熱性、得られたポリエステルの諸物性に問題が生じないことが要求される。
【0008】
これらの要求を満足する表面調整剤には、脂肪族ポリエステル化合物類が挙げられる。これらには、式(2)に示す脂肪族モノオキシモノカルボン酸あるいは環状脂肪族ラクタムを出発物質としたポリエステル化合物類および該ポリエステル化合物類と高級脂肪酸との反応生成物類、
R1COO−(CHR2−A−COO)n− H (2)
ただし、R1およびR2:C1〜16のアルキル基、A:C4〜12のアルキレン基、nは、2〜30である。
式(3)に示す、上述のポリエステル化合物類と片方のアミノ基がアルキル置換されてなるアルキレンジアミンとの反応生成物類およびその酸成分による四級化物類、
HO−(CHR2−A−COO)n− CHR2−A−CONH−B−NH(R3)(R4)(+)X(−) (3)
ただし、R1およびR2:C1〜16のアルキル基、R3およびR4:C1〜4のアルキル基、A:C4〜12のアルキレン基、B:C2から10のアルキレン基、n:2〜30の整数を示す。
【0009】
式(4)に示す、上述のポリエステル化合物類と分子中にイミノ基を含有するジグリコール類との反応生成物の酸成分による四級化物類、
HO−(CHR2−A−COO)n− CHR2−A−COO−B−NH2(B−OH)(+)X(−) (4)
ただし、R1:Hあるいはメチル基、R2:C1〜16のアルキル基、AおよびB:C4〜12のアルキレン基、n:2〜30の整数を示す。
式(5)に示す脂肪族モノオキシモノカルボン酸あるいは環状脂肪族ラクタムを出発物質とした脂肪族オキシカルボン酸類とポリエチレンイミンの反応生成物類、
HO−(CHR2−A−COO)n− CHR2−A−CO−NH−(CH2CH2NH)m−H (5)
R2:C1〜16のアルキル基、A:C4〜12のアルキレン基、m、n:2〜30の整数を示す。
【0010】
式(6)に示す脂肪族モノオキシモノカルボン酸あるいは環状脂肪族ラクタムを出発物質とした脂肪族オキシカルボン酸類とエチレンイミンのランダムコポリマー類と高級脂肪酸の反応生成物類、
R1O−(CHR2−A−CONHCH2CH2NH)l−(CHR2−A−COO)m− CHR2−A−CONH−(CH2CH2NH)
m−H (6)
l,m,n:2〜30の整数を示す。
などが挙げられる。
【0011】
また、本発明の表面調整剤として、アセチレングリコール類、ビニル系ポリマー類、アクリル系ポリマー類、ポリグリコール類が使用できる。
さらに、本発明で使用できるシリコーン系表面調整剤としては、ジメチルポリシロキサン、ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体、ジメチルポリシロキサンのアミノ変性物あるいはエポキシ変性物などが挙げられる。ジメチルポリシロキサンポリオキシアルキレン共重合体などがより好適である。
【0012】
本発明の表面調整剤の使用量としては、表面調整剤のポリエステル中の含有量(A)が下記式(1)を満足することが要求される。
1≦A(ppm)≦10,000 (1)
表面調整剤のポリエステル中の含有量が、1ppmを下回る場合は、重縮合槽内での泡立ちによる液面上昇を抑制する効果が不十分で好ましくない態様である。一方、10,000ppmを超える場合は、ポリエステルレジンの力学特性および耐熱性が低下し好ましくない。表面調整剤のポリエステル中の含有量は、1〜10,000ppmで使用できるが、好ましくは5〜1,000ppmであり、さらに好ましくは、10〜500ppmである。
【0013】
本発明の表面調整剤の添加方法は、粉末状もしくはニート状での添加であってもよいし、エチレングリコールなどの溶媒のスラリー状もしくは溶液状での添加であってもよく、特に限定されない。また、本発明で用いる重縮合触媒と予め混合したものを添加してもよく、これらを別々に添加してもよい。
【0014】
本発明の表面調整剤の添加時期は、重縮合反応の任意の段階で反応系に添加することができる。例えばエステル化反応もしくはエステル交換反応の開始前および反応途中の任意の段階あるいは重縮合反応の開始直前あるいは重縮合反応途中の任意の段階で反応系への添加することが出きる。
【0015】
本発明で使用できるポリエステルの重縮合触媒としては、アンチモン、ゲルマニウム、チタンおよびアルミニウム化合物などがある。これらの重縮合触媒は、それぞれ単独あるいは複合的に用いることができる。
アンチモン化合物としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモン、酢酸アンチモン、アンチモングリオキサイドなどが挙げられ、特に三酸化アンチモンが好ましい。
【0016】
ゲルマニウム化合物としては、二酸化ゲルマニウム、四塩化ゲルマニウムなどが挙げられ、特に二酸化ゲルマニウムが好ましい。
チタン化合物としては、テトラ−n−プロピルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラシクロヘキシルチタネート、テトラフェニルチタネート、テトラベンジルチタネートなどが挙げられ、特に、テトラブチルチタネートが好ましい。
【0017】
本発明のアルミニウム化合物からなる重合触媒は、リン化合物またはフェノール系化合物、特にフェノール部を同一分子内に有するリン化合物と併用することが好ましい。
【0018】
アルミニウム化合物としては、酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウム、炭酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、ホスホン酸アルミニウムなどの無機酸塩、アルミニウムn−プロポキサイド、アルミニウムiso−プロポキサイド、アルミニウムn−ブトキサイド、アルミニウムt−ブトキサイドなどアルミニウムアルコキサイド、アルミニウムアセチルアセトネート、アルミニウムアセチルアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテート、アルミニウムエチルアセトアセテートジiso−プロポキサイドなどのアルミニウムキレート化合物、トリメチルアルミニウム、トリエチルアルミニウムなどの有機アルミニウム化合物およびこれらの部分加水分解物、酸化アルミニウムなどが挙げられる。これらのうち酢酸アルミニウム、塩基性酢酸アルミニウム、塩化アルミニウム、水酸化アルミニウム、水酸化塩化アルミニウムおよびアルミニウムアセチルアセトネートがとくに好ましい。
【0019】
併用するリン化合物としては特に限定はされないが、ホスホン酸系化合物、ホスフィン酸系化合物、ホスフィンオキサイド系化合物、亜ホスホン酸系化合物、亜ホスフィン酸系化合物、ホスフィン系化合物からなる群より選ばれる一種または二種以上の化合物を用いると触媒活性の向上効果が大きく好ましい。これらの中でも、一種または二種以上のホスホン酸系化合物を用いると触媒活性の向上効果がとくに大きく好ましい。
【0020】
本発明の重合触媒は、アンチモン化合物、ゲルマニウム、チタンおよびアルミニウム化合物等をポリエステルの特性、加工性、色調等製品に問題が生じない添加量の範囲内において共存させて用いることは、重合時間の短縮による生産性を向上させる際に有利であり、好ましい。
【0021】
本発明によれば、上述の特定の表面調整剤を使用することにより、ポリエステル製造工程中の重縮合槽内での泡立ちによる液面上昇が抑制され、しかもいずれの触媒を用いた場合でも触媒活性を低下させることなく、成形用ポリエステルレジンを得ることが可能となる。
【0022】
本発明に言うポリエステルとは、ジカルボン酸を含む多価カルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から選ばれる一種または二種以上とグリコールを含む多価アルコールから選ばれる一種または二種以上とから成るもの、またはヒドロキシカルボン酸およびこれらのエステル形成性誘導体から成るもの、または環状エステルから成るものをいう。
【0023】
ジカルボン酸としては、蓚酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、アジピン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、デカンジカルボン酸、ドデカンジカルボン酸、 テトラデカンジカルボン酸、ヘキサデカンジカルボン酸、1,3ーシクロブタンジカルボン酸、1,3ーシクロペンタンジカルボン酸、1,2ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,3ーシクロヘキサンジカルボン酸、1,4ーシクロヘキサンジカルボン酸、2,5ーノルボルナンジカルボン酸、ダイマー酸などに例示される飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸などに例示される不飽和脂肪族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体、オルソフタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、5ー(アルカリ金属)スルホイソフタル酸、ジフェニン酸、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、4、4’ービフェニルジカルボン酸、4、4’ービフェニルスルホンジカルボン酸、4、4’ービフェニルエーテルジカルボン酸、1,2ービス(フェノキシ)エタンーp,p’ージカルボン酸、パモイン酸、アントラセンジカルボン酸などに例示される芳香族ジカルボン酸またはこれらのエステル形成性誘導体が挙げられる。
【0024】
これらのジカルボン酸のうちテレフタル酸およびナフタレンジカルボン酸とくに2,6ーナフタレンジカルボン酸が、得られるポリエステルの物性等の点で好ましく、必要に応じて他のジカルボン酸を構成成分とする。
【0025】
これらジカルボン酸以外の多価カルボン酸として、エタントリカルボン酸、プロパントリカルボン酸、ブタンテトラカルボン酸、ピロメリット酸、トリメリット酸、トリメシン酸、3、4、3’、4’ービフェニルテトラカルボン酸、およびこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0026】
グリコールとしてはエチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、ジエチレングリ コール、トリエチレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール、ポリエチレングリコール、ポリトリメチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールなどに例示される脂肪族グリコール、ヒドロキノン、4, 4’ージヒドロキシビスフェノール、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシ)ベン ゼン、1,4ービス(βーヒドロキシエトキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(p−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(p−ヒドロキシフェニル)メタン、1、2ービス(p−ヒドロキシフェニル)エタン、ビスフェノールA、ビスフェノールC、2,5ーナフタレンジオール、これらのグリコールにエチレンオキシドが付加したグリコール、などに例示される芳香族グリコールが挙げられる。
【0027】
これらのグリコールのうちエチレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが好ましい。
【0028】
これらグリコール以外の多価アルコールとして、トリメチロールメタン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、グリセロール、ヘキサントリオールなどが挙げられる。
【0029】
ヒドロキシカルボン酸としては、乳酸、クエン酸、リンゴ酸、酒石酸、ヒドロキシ酢酸、3ーヒドロキシ酪酸、p−ヒドロキシ安息香酸、pー( 2ーヒドロキシエトキシ)安息香酸、4ーヒドロキシシクロヘキサンカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体などが挙げられる。
【0030】
環状エステルとしては、ε−カプロラクトン、β−プロピオラクトン、β−メチル−β−プロピオラクトン、δ−バレロラクトン、グリコリド、ラクチドなどが挙げられる。
【0031】
多価カルボン酸もしくはヒドロキシカルボン酸のエステル形成性誘導体としては、これらのアルキルエステル、酸クロライド、酸無水物などが挙げられる。
【0032】
本発明で用いられるポリエステルは主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であり、主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルが好ましい。
【0033】
主たる酸成分がテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体もしくはナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体であるポリエステルは、全酸成分に対してテレフタル酸またはそのエステル形成性誘導体とナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体を合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。
【0034】
主たるグリコール成分がアルキレングリコールであるポリエステルとは、全グリコール成分に対してアルキレングリコールを合計して70モル%以上含有するポリエステルであることが好ましく、より好ましくは80モル%以上含有するポリエステルであり、さらに好ましくは90モル%以上含有するポリエステルである。ここで言うアルキレングリコールは、分子鎖中に置換基や脂環構造を含んでいても良い。
【0035】
本発明で用いられるナフタレンジカルボン酸またはそのエステル形成性誘導体としては、1,3ーナフタレンジカルボン酸、1,4ーナフタレンジカルボン酸、1,5ーナフタレンジカルボン酸、2,6ーナフタレンジカルボン酸、2,7ーナフタレンジカルボン酸、またはこれらのエステル形成性誘導体が好ましい。
【0036】
本発明で用いられるアルキレングリコールとしては、エチレングリコール、1、2ープロピレングリコール、1、3ープロピレングリコール、1、2ーブチレングリコール、1、3ーブチレングリコール、2、3ーブチレングリコール、1,4ーブチレングリコール、1、5ーペンタンジオール、ネオペンチルグリコール、1,6ーヘキサンジオー ル、1,2ーシクロヘキサンジオール、1,3ーシクロヘキサンジオール、1,4ーシクロヘキサンジオール、1,2ーシクロヘキサンジメタノール、1,3ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジメタノール、1,4ーシクロヘキサンジエタノール、1,10ーデカメチレングリコール、1、12ードデカンジオール等があげられる。これらは同時に2種以上を使用しても良い。
【0037】
本発明のポリエステルとしてはポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリプロピレンテレフタレート、ポリ(1,4ーシクロヘキサンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレートなどが好ましく、これらのうちポリエチレンテレフタレートの共重合体が特に好ましい。
【0038】
また、本発明のポリエステルには公知のリン化合物を共重合成分として含むことができる。リン系化合物としては二官能性リン系化合物が好ましく、例えば(2−カルボキシルエチル)メチルホスフィン酸、(2−カルボキシエチル)フェニルホスフィン酸、9,10−ジヒドロ−10−オキサ−(2,3−カルボキシプロピル)−10−ホスファフェナンスレン−10−オキサイドなどが挙げられる。これらのリン系化合物を共重合成分として含むことで、得られるポリエステルの難燃性等を向上させることが可能である。
【0039】
本発明のポリエステルの構成成分として、ポリエステルを繊維として使用した場合の染色性改善のために、スルホン酸アルカリ金属塩基を有するポリカルボン酸を共重合成分とすることは好ましい態様である。
【0040】
共重合モノマーとして用いる金属スルホネート基含有化合物としては、特に限定されるものではないが、5−ナトリウムスルホイソフタル酸、2−ナトリウムスルホテレフタル酸、5−リチウムスルホイソフタル酸、2−リチウムスルホテレフタル酸、5−カリウムスルホイソフタル酸、2−カリウムスルホテレフタル酸、またはそれらの低級アルキルエステル誘導体などが挙げられる。本発明では特に5−ナトリウムスルホイソフタル酸またはそのエステル形成性誘導体の使用が好ましい。
【0041】
金属スルホネート基含有化合物の共重合量はポリエステルを構成する酸性分に対して、0.3〜10.0モル%が好ましく、より好ましくは0.80〜5.0モル%である。共重合量が少なすぎると塩基性染料可染性に劣り、多すぎると繊維とした場合、製糸性に劣るだけでなく、増粘現象により繊維として十分な強度が得られなくなる。また、金属スルホネート含有化合物を2.0モル%以上共重合すると、得られた改質ポリエステル繊維に常圧可染性を付与することも可能である。また適切な易染化モノマーを選択することで金属スルホネート基含有化合物の使用量を適宜減少させることは可能である。易染化モノマーとしては特に限定はしないが、ポリエチレングリコール、ポリテトラメチレングリコールに代表される長鎖グリコール化合物やアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸に代表される脂肪族ジカルボン酸が挙げられる。
【0042】
本発明のポリエステル中には、有機系、無機系、および有機金属系のトナー、並びに蛍光増白剤などを含むことができ、これらを1種もしくは2種以上含有することによって、ポリエステルの黄み等の着色をさらに優れたレベルにまで抑えることができる。また他の任意の重合体や制電剤、消泡剤、染色性改良剤、染料、顔料、艶消し剤、蛍光増白剤、安定剤、酸化防止剤、その他の添加剤が含有されてもよい。酸化防止剤としては、芳香族アミン系、フェノール系などの酸化防止剤が使用可能であり、安定剤としては、リン酸やリン酸エステル系等のリン系、イオウ系、アミン系などの安定剤が使用可能である。
【0043】
【実施例】
以下に、実施例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。なお、ポリエステルの特性は、以下の方法に従って測定した。
【0044】
(1)液面上昇の評価
重縮合槽内での泡立ちによる液面上昇を5段階法で評価した。
5級:液面上昇が殆ど認められない。
4級:液面上昇が少し認められる。
3級:液面上昇が認められる。
2級:重合槽の上部までの液面上昇が認められる。
1級:液面上昇が激しく重合槽の上部まで到達し減圧度の調整を要する。
【0045】
(2)固有粘度(IV:dl/g)
溶融重縮合で得られたレジンペレット(長さ約3mm,直径約2mm、シリンダー状)を、フェノール/1,1,2,2−テトラクロロエタンの6/4(重量比)混合溶媒に80〜100℃で数時間かけ溶解し、ウベローデ粘度計を用いて、温度30℃で測定した。濃度は、4g/lを中心にして何点か測定し、常法に従ってIVを決定した。
【0046】
(3)オリゴマー酸価(AV0)
オリゴマーを粉砕し、110℃で15時間以上減圧乾燥する。試料約1gを精秤し、ピリジン20mlを加える。15分間煮沸還流し溶解させる。溶解後、10mlの純水を添加し、室温まで放冷する。フェノールフタレインを指示薬としてN/10−NaOHで滴定する。試料を入れずにブランクも同じ作業を行う。なお、オリゴマーがピリジンに溶解しない場合は、ベンジルアルコール中で行う。
下記式に従って、AVo(eq/ton)を算出する。
AVo=(A−B)×0.1×f×1000/W
(A=滴定数(ml),B=ブランクの滴定数(ml),f=N/10−NaOHのファク ター,W=試料の重さ(g))
【0047】
(4)b値
得られたレジンペレットを用い、色差計(東京電色(株)製)でb値を測定した。
【0048】
(5)耐熱性(熱処理に伴う色相変化)の評価
得られたポリエステルレジンペレットを200℃で5時間、オーブン中で熱処理したものと、しないものとのレジンの色相を目視評価した。
○:色相変化がほとんど認められない。
△:色相変化が少し認められる。
×:色相変化顕著に認められる。
【0049】
(実施例1)
攪拌機および留出コンデンサーを有する、容積2.5m3のエステル化反応槽に、ジメチルテレフタレート(DMT)330kg、エチレングリコール(EG)175kg、ネオペンチルグリコール(NPG)60kgを投入し、触媒として酢酸マンガン4水和物を生成ポリマー中の酸成分に対して0.020mol%、三酸化アンチモンを生成ポリマー中の酸成分に対して0.026mol%、表面調整剤としてソルスパース9000(アビシア社製)を生成ポリマーに対して20ppmとなるように添加した。その後、攪拌しながら反応系内を最終的に240℃となるまで徐々に昇温し、圧力0.25MPaでエステル化反応を180分間行った。反応系内から留出水が出なくなるのを確認した後、反応系内を常圧に戻し、リン酸トリメチルを生成ポリマーに対して0.022mol%となるように添加した。この時のオリゴマーの酸価は350eq./tonであった。
【0050】
得られたオリゴマーを攪拌しながら昇温と減圧をし、最終的に温度が280℃で、圧力が0.2hPaになるようにした。固有粘度が所望の数値になるまで反応させ、重縮合反応を終了した。エステル化反応および重縮合反応中の槽内での泡立ちによる液面上昇の状態を上部に取り付けられた覗き窓から目視判定した。その結果は表1に示す。得られた溶融ポリエステルレジンを重合槽下部の抜き出し口からストランド状に抜き出す際に、ろ過精度95%以上の30μmのステンレス長繊維製のリーフ付き筒状型ポリマーフィルターを使用した。ストランドを水槽で冷却した後ペレット状に切断した。得られた結果を表1に示す。
【0051】
(実施例2)
表面調整剤であるソルスパース9000を生成ポリマーに対して添加量を100ppmに増加させる以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0052】
(実施例3)
表面調整剤をソルスパース3000(アビシア社製)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を20ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0053】
(実施例4)
表面調整剤をソルスパース3000(アビシア社製)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0054】
(実施例5)
表面調整剤をソルスパース13000(アビシア社製)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0055】
(実施例6)
表面調整剤をソルスパース20000(アビシア社製)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0056】
(実施例7)
表面調整剤をダッポーSN368(サンノプコ株式会社製、ビニル系ポリマー)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0057】
(実施例8)
表面調整剤をダッポーSN354(サンノプコ株式会社製、アクリル系ポリマー)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0058】
(実施例9)
表面調整剤をサーフィノール104(エアープロダクツジャパン社製、アセチレングリコール系)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を100ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0059】
(実施例10)
実施例1の重縮合触媒である三酸化アンチモンに替わって、15g/l塩基性酢酸アルミニウム(Aldrich社製)の水/エチレングリコール溶液を生成ポリマーの酸成分に対してアルミニウム原子として0.014mol%とリン化合物としてIrganox 1425(チバ・スペシャルティーケミカル社製)の10g/lエチレングリコール溶液を生成ポリマーの酸成分に対して0.02mol%を加える以外はすべて実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
【0060】
(実施例11)
表面調整剤をTEGOSIPON N(Gold Schmidt社製ポリジメチルシロキサン系)に変更し、生成ポリマーに対して添加量を20ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0061】
(実施例12)
ネオペンチルグリコールを添加せず、ジメチルテレフタレート(DMT)330kgに対して、エチレングリコール(EG)211kgを投入する以外は、実施例1と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0062】
(実施例13)
ネオペンチルグリコールを添加せず、ジメチルテレフタレート(DMT)330kgに対して、エチレングリコール(EG)211kgを投入する以外は、実施例10と同様に実施した。重合槽内の液面上昇の程度を表1に示す。また、得られた結果を表1に示す。
【0063】
(比較例1)
実施例1において、表面調整剤であるソルスパース9000の添加を削除する以外は実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
【0064】
(比較例2)
実施例1において、表面調整剤であるソルスパース9000の添加を20000ppmにする以外は、実施例1と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
【0065】
(比較例3)
実施例12において、表面調整剤であるソルスパース9000の添加を削除する以外は、実施例12と同様に実施した。得られた結果を表1に示す。
【0066】
(比較例4)
実施例10において、表面調整剤であるソルスパース9000を削除する以外は、実施例6と同様にして実施した。得られた結果を表1に示す。
【0067】
【表1】
【0068】
【発明の効果】
本発明は、ポリエステルの製造工程で発生する重縮合槽内での泡立ちに伴う液面上昇のため、重縮合槽への仕込み量を制限しなければならないなどの課題があった。この液面上昇による生産性低下の問題を、特定の表面調整剤を添加することで解決し、しかも得られたポリエステルの品質も維持されたポリエステルならびにポリエステルの製造方法を提供するものである。
本発明によれば、アンチモン化合物、ゲルマニウム化合物、チタニウム化合物およびアルミニウム化合物などを触媒として用いたポリエステル製造工程中、重縮合槽内での液面上昇による問題が解決され生産性が改善される。本発明のポリエステルは、例えば、衣料用繊維、カーテン、カーペット、ふとんわた等に代表されるインテリア・寝装用繊維、タイヤコード、ロープ等に代表される産業資材用繊維、各種織物、各種編物、短繊維不織布、長繊維不織布等の繊維、包装用フィルム、工業用フィルム、光学用フィルム、磁気テープ用フィルム、写真用フィルム、缶ラミネート用フィルム、コンテンサ用フィルム、熱収縮フィルム、ガスバリアフィルム、白色フィルム、易カットフィルム等のフィルム、非耐熱延伸ボトル、耐熱延伸ボトル、ダイレクトブローボトル、ガスバリアボトル、耐圧ボトル、耐熱圧ボトル等の中空成形体、シート、ガラス繊維強化ポリエステル、エラストマー等に代表されるエンジニアリングプラスチックなどの各種成形物、および塗料や接着剤などへの応用が可能である。
Claims (11)
- 芳香族もしくは脂肪族ジカルボン酸またはそのエステル誘導体、およびジオールまたはそのエステル誘導体との直接エステル化反応またはエステル交換反応から得られるオリゴマーを用いて、ポリエステルを重縮合する製造方法において、表面調整剤から選ばれる少なくとも1種を使用することを特徴とするポリエステルの製造方法。
- 表面調整剤が脂肪族ポリエステル化合物類、アセチレングリコール類、ビニル系ポリマー類、アクリル系ポリマー類、ポリグリコール類またはシリコーン化合物類であることを特徴とする請求項1に記載のポリエステルの製造方法。
- ポリエステル中の表面調整剤の含有量(A)が下記式(1)を満足することを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
1≦A(ppm)≦10,000 (1) - 表面調整剤として、モノオキシモノカルボン酸あるいは環状脂肪族ラクタムを出発物質とした脂肪族ポリエステル化合物が主たる構成成分である表面調整剤を用いることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のポリエステルの製造方法。
- アンチモン、ゲルマニウム、チタニウムおよびアルミニウム化合物から選ばれる少なくとも1種をポリエステルの重縮合触媒として使用することを特徴とする請求項1〜4いずれかに記載のポリエステルの製造方法。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の製造法により製造されたポリエステル。
- 請求項6に記載されたポリエステルよりなる成形体。
- 請求項6に記載されたポリエステルよりなる中空成形体。
- 請求項6に記載されたポリエステルよりなる繊維。
- 請求項6に記載されたポリエステルよりなるフィルム。
- 請求項6に記載されたポリエステルよりなるシート。
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