JP2004323584A - エポキシ粉体塗料及び鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法 - Google Patents
エポキシ粉体塗料及び鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法 Download PDFInfo
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Abstract
【課題】エポキシ粉体塗料及び鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法を提供する。
【解決手段】固形ノボラック型エポキシ樹脂が、固形エポキシ樹脂のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(A)を総合計重量換算として、5〜40重量%の範囲で含有する固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部、イミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部及び酸ヒドラジド系硬化剤(C)0.2〜40重量部を含有してなることを特徴とするエポキシ粉体塗料及び該エポキシ粉体塗料を鋳物に塗装し、硬化塗膜の架橋間分子量が1000以下になるように加熱することを特徴とする鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法。
【選択図】 なし
【解決手段】固形ノボラック型エポキシ樹脂が、固形エポキシ樹脂のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(A)を総合計重量換算として、5〜40重量%の範囲で含有する固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部、イミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部及び酸ヒドラジド系硬化剤(C)0.2〜40重量部を含有してなることを特徴とするエポキシ粉体塗料及び該エポキシ粉体塗料を鋳物に塗装し、硬化塗膜の架橋間分子量が1000以下になるように加熱することを特徴とする鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なエポキシ粉体塗料及び鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗装、焼付硬化後、極めて良好な切削加工性が得られるエポキシ粉体塗料及び鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法に関する。
【0003】
【従来の技術及びその問題点】
従来まで粉体塗装、焼付硬化後にフライス盤等で切削加工した場合、切削加工面に塗膜バリや塗膜ワレが生じることが多かった。
【0004】
このように、切削加工面に生じた塗膜バリはその都度これを取り除く工程が必要となり、生産性の低下につながる。また、切削加工面に生じた塗膜ワレは、塗膜外観を損なう。
【0005】
また、切削性に優れた粉体塗装方法として、エポキシ樹脂、酸ヒドラジド系硬化剤、体質顔料及びイミダゾール系触媒からなるエンジン・シリンダーブロックの粉体塗装用塗料が周知である(特許文献1)。
【0006】
該特許文献1において、先行文献として特許文献2が挙げられ、その公報にはビスフェノール型エポキシ樹脂を使用した粉体塗料が記載されており、その粉体塗料を使用したものでは、切削性が十分でないことが記載されている。
【0007】
該特許文献1は、この様な切削性を改良するために、該特許文献1の段落0007に記載されるように、実質的にはアクリル型エポキシ樹脂、エーテル型エポキシ樹脂、エステル型エポキシ樹脂等を使用することが記載されており、好ましくは、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂を使用することが記載されている。
【0008】
しかしながら、該特許文献1に記載の塗装方法により、粉体塗膜を鋳物に形成し、目的とするエンジン・シリンダーブロックなどの形状に切削加工しても塗膜にバリやワレを生じ、塗膜性能が悪くなるといった問題点があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−40889号公報
【特許文献2】
特開平6−279709号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
粉体塗装、焼付硬化後にフライス盤等で切削加工した場合、切削加工面に塗膜バリや塗膜ワレが発生しない粉体塗料が望まれている。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記性能を満足する粉体塗料が得られることを見い出したものである。
【0012】
本発明塗料は、固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部及びイミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部含有してなることを特徴とするエポキシ粉体塗料に関する。
【0013】
また、本発明塗料は、固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部、イミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部及び酸ヒドラジド系硬化剤(C)0.2〜40重量部を含有してなることが好ましく、更に、固形ノボラック型エポキシ樹脂が、固形エポキシ樹脂(A)を総合計重量換算として、5〜40重量%の範囲で含有する固形ノボラック型エポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であり、固形ノボラック型エポキシ樹脂が、エポキシ当量200〜400の範囲であることを特徴とするエポキシ粉体塗料に関する。
【0014】
また、本発明方法は、上記のエポキシ粉体塗料を鋳物に塗装し、硬化塗膜の架橋間分子量が1000以下になるように加熱することを特徴とする鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明塗料について説明する。
【0016】
本発明塗料は、固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部及びイミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部含有してなる。
【0017】
固形ノボラック型エポキシ樹脂として、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾール型エポキシ樹脂などが使用できるが、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。固形ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ当量としては200〜400、更に 軟化点としては80〜120℃の固形エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ当量が200未満になると塗膜が固くなりすぎて塗膜にわれを生じ、一方、400を超えると硬化塗膜の架橋間密度が低くなり、切削性が低下する。また、軟化点が80℃未満になると粉体粒子がブロッキング性(粉末の粒子同士が熱融着して固まりとなり、指などで解れなくなる。)して、塗装作業性が低下し、一方、120℃を超えると塗料の製造中に硬化剤とエポキシ樹脂との反応が一部起こり、塗膜形成時における溶融粘度が高くなり、塗膜平滑性が低下する。
【0018】
上記した固形ノボラック型エポキシ樹脂は、固形エポキシ樹脂(A)を総合計重量換算として、固形エポキシ樹脂(A)中に5〜40重量%、好ましくは6〜30重量%の範囲で含まれる。固形エポキシ樹脂(A)に含まれる固形ノボラック型エポキシ樹脂の含有量が5重量%未満になると、切削性が低下し、一方、40重量%を超えるとエポキシ樹脂(A)中のエポキシ含有量が多くなり過ぎるために、塗膜平滑性、切削性などが低下する。
【0019】
固形エポキシ樹脂(A)において、固形ノボラック型エポキシ樹脂と併用されるその他の固形エポキシ樹脂としては、固形ノボラック型エポキシ樹脂以外の固形のエポキシ樹脂であれば特に制限なしに使用することができる。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、アクリル型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂及び環式脂肪族エポキシ樹脂(シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオキサイド基、シクロペンテンオキサイド基などを含有するエポキシ樹脂)などが挙げられる。これらの中でも、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が切削性、仕上がリ外観に優れた塗膜を形成できることから、このものを使用することが好ましい。
【0020】
本発明塗料で使用するイミダゾール系硬化触媒(B)は、特に限定されず、従来から公知のものを特に制限なしに使用することができる。具体的には、例えば、キュアゾール2PZL、2MZ−A等(四国化成工業株式会社製)などが挙げられる。
【0021】
イミダゾール系硬化触媒(B)の配合割合は、固形エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜20重量部である。配合割合が0.1重量部未満になると硬化性が低下し、塗膜バリを生じ、一方、30重量部を越えると硬化速度が速くなり過ぎるため塗膜平滑性が悪くなる。
【0022】
また、本発明塗料において、上記した(A)及び(B)成分の配合以外に酸ヒドラジド系硬化剤(C)を配合することができる。酸ヒドラジド系硬化剤(C)としては、特に限定されず、従来から公知のものを特に制限なしに使用することができる。具体的には、例えば、アジピン酸ヒドラジド(日本ヒドラジン工業株式会社製)等を挙げることができる。酸ヒドラジド系硬化剤(C)の配合割合は、固形エポキシ樹脂100重量部に対して0.2〜40重量部、好ましくは1〜30重量部である。配合割合が0.2重量部未満になると硬化性が低下し、塗膜バリを生じ、一方、40重量部を越えると塗膜の耐熱性、耐水性などの性能が悪くなる。
【0023】
本発明塗料において、上記した(A)、(B)及び(C)成分の配合物以外に、体質顔料を配合することができる。
【0024】
使用できる体質顔料としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムである。これら体質顔料の粒度は20μm以下が80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。80重量%以下では粉体塗料にした場合、粉体塗料の粒度によって粉体塗料中に含有される体質顔料の量が異なってくるため、塗装時間毎の粒度分布の変化と共に塗膜外観が劣化する現象を生じる。又、これら体質顔料は一種の単独使用でも、或いは二種以上を混合して用いても良く、その使用量は全粉体塗料の0〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0025】
また、本発明塗料において、目的に応じ難燃剤、着色剤、カップリング剤、レベリング剤、滑剤等を適宜添加することができる。難燃剤としては3酸化アンチモン、5酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化モリブデン、硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、赤燐、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウム等の無機難燃剤、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、ブロム化フェノールノボラック樹脂、ブロム化フェノールノボラック等の臭素系難燃剤、トリス(トリブロモフェニル)フォスフェート等の燐酸系難燃剤が挙げられる。
【0026】
着色剤としては、特に制限はなく、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン又はメチン系の各種有機系色素、酸化チタン、硫酸鉛、酸化亜鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、弁柄、コバルト紫、紺青、群青、カーボンブラック、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料、マイカ系顔料、金属粉末顔料が挙げられる。
【0027】
カップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニュウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニュウムジルコニュウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤が挙げられるが好ましくはシリコン系カップリング剤、又はチタネート系カップリング剤である。
【0028】
レベリング剤としてはエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリレート類からなる分子量4000〜12000のオリゴマー類、エポキシ化大豆脂肪酸、エポキシ化アビエチルアルコール、チタン系カップリング剤等が挙げられる。
【0029】
滑剤としてはパラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド系滑剤、硬化ひまし油、ブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトール(モノ−,ジ−,トリ−,又はテトラ−)ステアレート等の高級脂肪酸エステル系滑剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リシノール酸、ナフテン酸等のマグネシウム、カルシウム、カドミウム、バリュウム、亜鉛、鉛等の金属塩である金属石鹸類、カルナウバロウ、カンデリラロウ、密ロウ、モンタンロウ等の天然ワックス類が挙げられる。
【0030】
また、上記した以外にも防錆剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、流動調整剤、ハジキ防止剤等を配合することができる。
【0031】
本発明塗料は、例えば、エポキシ樹脂、硬化触媒及び必要に応じて上記した配合物を、ヘンシェルミキサー等を用いて乾式混合後、ニーダー、エクストルーダー等により、例えば110℃以下で溶融混合処理を施した後、混合物を冷却固化し、微粉砕後分級して製造することができる。得られた粉体塗料の粒度は、その塗装方法により変えることができる。鋳物塗装する際にあらかじめ鋳物自体を180℃〜220℃程度にプレヒートして、塗装するいわゆる熱間塗装を行なう場合、粉体塗料の粒度は、1〜100μm程度と幅広く設定することができる。また、鋳物自体のプレヒートがない場合、塗膜外観上、5〜80μmが望ましい。
【0032】
本発明塗料は、それ自体公知の流動浸漬法、静電流動浸漬法、コロナ帯電スプレー法、摩擦帯電スプレー法、振りかけ法、転がし法、溶射法、霧箱法等の各種塗装方法により被塗物に塗装されるが、どの塗装法を用いるかは被塗物の種類、形状、大きさ、塗膜の膜厚により適宜選択される。例えば、鋳物粉体塗装の場合、好ましくはコロナ帯電スプレ―法である。コロナ帯電スプレー法の場合、マイナス帯電された粉体塗料をアースされた鋳物被塗物上に付着させた後、高周波加熱等の加熱手段で溶融硬化させて本発明の塗装された物品が得られる。
【0033】
本発明塗料が塗装される鋳物としては、例えば、機械用鋳物部品、水道管内面、機器用モーター等が挙げられるが、好ましくは機械用鋳物部品である。
【0034】
本発明方法は、上記した本発明塗料を上記した鋳物に粉体塗装し、硬化塗膜の架橋間分子量が1000以下、好ましくは700以下になるように加熱してなる鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法である。架橋間分子量が1000を超えると切削性が低下する。
【0035】
塗装膜厚は、50〜1000μm、好ましくは60〜800μmである。
【0036】
該架橋間分子量は、ブリキ板に硬化膜厚が約60μmになるように塗装し鋳物と同じ焼付け条件になるように加熱をおこなったのち塗膜を剥離し、自動動的粘弾性測定器[東洋ボ−ルドウイン社製、モデルレオバイブロンDDV−II−EA]を用い測定した。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成を有することから次の様な顕著な効果を発揮するものと推察される。
【0038】
▲1▼ 本発明塗料は、エポキシ樹脂として、ノボラック型エポキシ樹脂を使用しているので、従来のビスフェノールA型エポキシ樹脂を単独で使用した粉体塗料と比較して、エポキシ基が多く、また、芳香族含有量も多いので、強靭な塗膜が形成でき、その結果として切削加工性、耐熱性などに優れた塗膜が形成できる。
【0039】
▲2▼ 本発明塗料において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂と併用することにより、ノボラック型エポキシ樹脂単独では得られない塗膜が形成できる。
【0040】
即ち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、リニアーな構造を有しており、しかも親水性の水酸基と疎水性の炭化水素基とが規則的分布しているので、鋳物に対する付着性が優れる。また、主鎖結合はエーテル結合を有しているので加工性、耐薬品性などの塗膜性能が優れる。
【0041】
上記した如く、それぞれのエポキシ樹脂の機能を有効に発揮させることにより、ノボラック型エポキシ樹脂単独では得られない付着性、加工性、耐薬品性などの効果をビスフェノールA型エポキシ樹脂により補い、そしてビスフェノールA型エポキシ樹脂単独では得られない切削加工性、耐熱性などの効果をノボラック型エポキシ樹脂により、お互いにその弱点を補い、その機能を分担することにより、鋳物に適した粉体塗膜が形成できた。
【0042】
▲3▼ また、従来のアクリル系エポキシ樹脂を単独で使用したとしても、本発明の塗料の様な強靭な塗膜を形成させることは不可能であり、切削加工性、耐熱性、付着性などに優れた塗膜を形成することはできない。
【0043】
▲4▼ また、本発明において、上記した粉体塗料を使用して架橋間分子量を1000以下の塗膜を形成することにより、より切削性、耐熱性、付着性に優れた塗膜が形成できる。
【0044】
【実施例】
実施例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例、比較例に於いて「部」は重量部を意味する。
【0045】
実施例1
エポキシ当量925のビスフェノールA型エポキシ樹脂85部(平均分子量約1800、以下同様)、エポキシ当量220のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(平均分子量2000、以下同様)15部、2MZ−A(四国化成製、商品名、イミダゾール系硬化剤)1.5部、炭酸カルシウム25部、チタン白30部を2軸ニーダーを用いて混練した後、混合物を冷却固化し、粉砕後分級して平均粒径1〜100μmの粒度として実施例1の粉体塗料を得た。コロナ帯電ガン(ノードソン社製、商品名)を用いて、厚さ20mm、縦100mm、横50mmの鋳物部品に塗膜厚50〜120μmになるように静電塗装し、鋳物素材温度が160℃以上で20分焼付後に、切削加工性を評価した。塗膜の架橋間分子量は367であった。塗膜の切削加工性は○で良好であった。
【0046】
切削加工性(以下同様の意味を示す。):粉体塗装した鋳物粉体部品をフライス盤にて切削した。切削面に、ワレ、バリ等がないものを○、切削面に、ワレ、バリ等があるものを×とした。
【0047】
実施例2
エポキシ当量925のビスフェノールA型エポキシ樹脂85部、エポキシ当量220のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂15部、2MZ−A(四国化成製、商品名、イミダゾール系硬化剤)1.0部、アジピン酸ヒドラジド 2.5部、炭酸カルシウム25部、チタン白30部を2軸ニーダーを用て混練した後、混合物を冷却固化し、粉砕後分級して平均粒径1〜100μmの粒度として本発明の粉体塗料を得た。コロナ帯電ガン(ノードソン社製、商品名、)を用いて、厚さ20mm、縦100mm、横50mmの鋳物部品に塗膜厚50〜120μmになるように静電塗装し、鋳物素材温度が160℃以上で20分焼付後に、切削加工性を評価した。塗膜の架橋間分子量は680であった。塗膜の切削加工性は○で良好であった。
【0048】
比較例1
エポキシ当量925のビスフェノールA型エポキシ樹脂100部、2MZ−A(四国化成製、商品名、イミダゾール系硬化剤)1.5部、炭酸カルシウム25部、チタン白30部を2軸ニーダーを用いて混練した後、混合物を冷却固化し、粉砕後分級して平均粒径1〜100μmの粒度として本発明の粉体塗料を得た。コロナ帯電ガン(ノードソン社製、商品名)を用いて、厚さ20mm、縦100mm、横50mmの鋳物部品に塗膜厚50〜120μmになるように静電塗装し、鋳物素材温度が160℃以上で20分焼付後に、切削加工性を評価した。塗膜の架橋間分子量は1250であった。塗膜の切削加工性は×で悪かった。
【0049】
比較例2
エポキシ当量925のビスフェノールA型エポキシ樹脂100部、アジピン酸ヒドラジド5.0部、炭酸カルシウム25部、チタン白30部を2軸ニーダーを用いて混練した後、混合物を冷却固化し、粉砕後分級して平均粒径1〜100μmの粒度として本発明の粉体塗料を得た。コロナ帯電ガン(ノードソン社製、商品名)を用いて、厚さ20mm、縦100mm、横50mmの鋳物部品に塗膜厚50〜120μmになるように静電塗装し、鋳物素材温度が160℃以上で20分焼付後に、切削加工性を評価した。塗膜の架橋間分子量は2055であった。塗膜の切削加工性は×で悪かった。
【産業上の利用分野】
本発明は、新規なエポキシ粉体塗料及び鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法に関する。
【0002】
【発明の属する技術分野】本発明は、塗装、焼付硬化後、極めて良好な切削加工性が得られるエポキシ粉体塗料及び鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法に関する。
【0003】
【従来の技術及びその問題点】
従来まで粉体塗装、焼付硬化後にフライス盤等で切削加工した場合、切削加工面に塗膜バリや塗膜ワレが生じることが多かった。
【0004】
このように、切削加工面に生じた塗膜バリはその都度これを取り除く工程が必要となり、生産性の低下につながる。また、切削加工面に生じた塗膜ワレは、塗膜外観を損なう。
【0005】
また、切削性に優れた粉体塗装方法として、エポキシ樹脂、酸ヒドラジド系硬化剤、体質顔料及びイミダゾール系触媒からなるエンジン・シリンダーブロックの粉体塗装用塗料が周知である(特許文献1)。
【0006】
該特許文献1において、先行文献として特許文献2が挙げられ、その公報にはビスフェノール型エポキシ樹脂を使用した粉体塗料が記載されており、その粉体塗料を使用したものでは、切削性が十分でないことが記載されている。
【0007】
該特許文献1は、この様な切削性を改良するために、該特許文献1の段落0007に記載されるように、実質的にはアクリル型エポキシ樹脂、エーテル型エポキシ樹脂、エステル型エポキシ樹脂等を使用することが記載されており、好ましくは、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂を使用することが記載されている。
【0008】
しかしながら、該特許文献1に記載の塗装方法により、粉体塗膜を鋳物に形成し、目的とするエンジン・シリンダーブロックなどの形状に切削加工しても塗膜にバリやワレを生じ、塗膜性能が悪くなるといった問題点があった。
【0009】
【特許文献1】
特開平9−40889号公報
【特許文献2】
特開平6−279709号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
粉体塗装、焼付硬化後にフライス盤等で切削加工した場合、切削加工面に塗膜バリや塗膜ワレが発生しない粉体塗料が望まれている。
【0011】
【課題を解決する手段】
本発明者らは、前記したような課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、上記性能を満足する粉体塗料が得られることを見い出したものである。
【0012】
本発明塗料は、固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部及びイミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部含有してなることを特徴とするエポキシ粉体塗料に関する。
【0013】
また、本発明塗料は、固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部、イミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部及び酸ヒドラジド系硬化剤(C)0.2〜40重量部を含有してなることが好ましく、更に、固形ノボラック型エポキシ樹脂が、固形エポキシ樹脂(A)を総合計重量換算として、5〜40重量%の範囲で含有する固形ノボラック型エポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であり、固形ノボラック型エポキシ樹脂が、エポキシ当量200〜400の範囲であることを特徴とするエポキシ粉体塗料に関する。
【0014】
また、本発明方法は、上記のエポキシ粉体塗料を鋳物に塗装し、硬化塗膜の架橋間分子量が1000以下になるように加熱することを特徴とする鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法に関する。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明塗料について説明する。
【0016】
本発明塗料は、固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部及びイミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部含有してなる。
【0017】
固形ノボラック型エポキシ樹脂として、フェノールノボラック型エポキシ樹脂やクレゾール型エポキシ樹脂などが使用できるが、特にクレゾールノボラック型エポキシ樹脂が好ましい。固形ノボラック型エポキシ樹脂のエポキシ当量としては200〜400、更に 軟化点としては80〜120℃の固形エポキシ樹脂が好ましい。エポキシ当量が200未満になると塗膜が固くなりすぎて塗膜にわれを生じ、一方、400を超えると硬化塗膜の架橋間密度が低くなり、切削性が低下する。また、軟化点が80℃未満になると粉体粒子がブロッキング性(粉末の粒子同士が熱融着して固まりとなり、指などで解れなくなる。)して、塗装作業性が低下し、一方、120℃を超えると塗料の製造中に硬化剤とエポキシ樹脂との反応が一部起こり、塗膜形成時における溶融粘度が高くなり、塗膜平滑性が低下する。
【0018】
上記した固形ノボラック型エポキシ樹脂は、固形エポキシ樹脂(A)を総合計重量換算として、固形エポキシ樹脂(A)中に5〜40重量%、好ましくは6〜30重量%の範囲で含まれる。固形エポキシ樹脂(A)に含まれる固形ノボラック型エポキシ樹脂の含有量が5重量%未満になると、切削性が低下し、一方、40重量%を超えるとエポキシ樹脂(A)中のエポキシ含有量が多くなり過ぎるために、塗膜平滑性、切削性などが低下する。
【0019】
固形エポキシ樹脂(A)において、固形ノボラック型エポキシ樹脂と併用されるその他の固形エポキシ樹脂としては、固形ノボラック型エポキシ樹脂以外の固形のエポキシ樹脂であれば特に制限なしに使用することができる。具体的には、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールB型エポキシ樹脂、アクリル型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂及び環式脂肪族エポキシ樹脂(シクロヘキセンオキサイド基、トリシクロデセンオキサイド基、シクロペンテンオキサイド基などを含有するエポキシ樹脂)などが挙げられる。これらの中でも、特にビスフェノールA型エポキシ樹脂が切削性、仕上がリ外観に優れた塗膜を形成できることから、このものを使用することが好ましい。
【0020】
本発明塗料で使用するイミダゾール系硬化触媒(B)は、特に限定されず、従来から公知のものを特に制限なしに使用することができる。具体的には、例えば、キュアゾール2PZL、2MZ−A等(四国化成工業株式会社製)などが挙げられる。
【0021】
イミダゾール系硬化触媒(B)の配合割合は、固形エポキシ樹脂100重量部に対して0.1〜30重量部、好ましくは0.2〜20重量部である。配合割合が0.1重量部未満になると硬化性が低下し、塗膜バリを生じ、一方、30重量部を越えると硬化速度が速くなり過ぎるため塗膜平滑性が悪くなる。
【0022】
また、本発明塗料において、上記した(A)及び(B)成分の配合以外に酸ヒドラジド系硬化剤(C)を配合することができる。酸ヒドラジド系硬化剤(C)としては、特に限定されず、従来から公知のものを特に制限なしに使用することができる。具体的には、例えば、アジピン酸ヒドラジド(日本ヒドラジン工業株式会社製)等を挙げることができる。酸ヒドラジド系硬化剤(C)の配合割合は、固形エポキシ樹脂100重量部に対して0.2〜40重量部、好ましくは1〜30重量部である。配合割合が0.2重量部未満になると硬化性が低下し、塗膜バリを生じ、一方、40重量部を越えると塗膜の耐熱性、耐水性などの性能が悪くなる。
【0023】
本発明塗料において、上記した(A)、(B)及び(C)成分の配合物以外に、体質顔料を配合することができる。
【0024】
使用できる体質顔料としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、溶融シリカ、結晶シリカ、シリコンカーバイド、窒化珪素、窒化ホウ素、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、硫酸バリウム、硫酸カルシウム、マイカ、タルク、クレー、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、珪酸カルシウム、珪酸アルミニウム、珪酸リチウムアルミニウム、珪酸ジルコニウム、チタン酸バリウム、硝子繊維、炭素繊維、二硫化モリブデン、アスベスト等が挙げられる。これらの中でも、好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウム、水酸化アルミニウム、珪酸カルシウムであり、更に好ましくは溶融シリカ、結晶シリカ、炭酸カルシウム、酸化アルミニウムである。これら体質顔料の粒度は20μm以下が80重量%以上、好ましくは85重量%以上、更に好ましくは90重量%以上である。80重量%以下では粉体塗料にした場合、粉体塗料の粒度によって粉体塗料中に含有される体質顔料の量が異なってくるため、塗装時間毎の粒度分布の変化と共に塗膜外観が劣化する現象を生じる。又、これら体質顔料は一種の単独使用でも、或いは二種以上を混合して用いても良く、その使用量は全粉体塗料の0〜30重量部、好ましくは1〜20重量部である。
【0025】
また、本発明塗料において、目的に応じ難燃剤、着色剤、カップリング剤、レベリング剤、滑剤等を適宜添加することができる。難燃剤としては3酸化アンチモン、5酸化アンチモン、酸化錫、水酸化錫、酸化モリブデン、硼酸亜鉛、メタ硼酸バリウム、赤燐、水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、アルミン酸カルシウム等の無機難燃剤、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモ無水フタル酸、ヘキサブロモベンゼン、デカブロモビフェニルエーテル、ブロム化フェノールノボラック樹脂、ブロム化フェノールノボラック等の臭素系難燃剤、トリス(トリブロモフェニル)フォスフェート等の燐酸系難燃剤が挙げられる。
【0026】
着色剤としては、特に制限はなく、フタロシアニン、アゾ、ジスアゾ、キナクリドン、アントラキノン、フラバントロン、ペリノン、ペリレン、ジオキサジン、縮合アゾ、アゾメチン又はメチン系の各種有機系色素、酸化チタン、硫酸鉛、酸化亜鉛、クロムエロー、ジンクエロー、クロムバーミリオン、弁柄、コバルト紫、紺青、群青、カーボンブラック、クロムグリーン、酸化クロム、コバルトグリーン等の無機顔料、マイカ系顔料、金属粉末顔料が挙げられる。
【0027】
カップリング剤としては、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)3−アミノプロピルメチルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、N−(2−(ビニルベンジルアミノ)エチル)3−アミノプロピルトリメトキシシラン塩酸塩、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン等のシラン系カップリング剤、イソプロピル(N−エチルアミノエチルアミノ)チタネート、イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、チタニュウムジ(ジオクチルピロフォスフェート)オキシアセテート、テトライソプロピルジ(ジオクチルフォスファイト)チタネート、ネオアルコキシトリ(p−N−(β−アミノエチル)アミノフェニル)チタネート等のチタン系カップリング剤、Zr−アセチルアセトネート、Zr−メタクリレート、Zr−プロピオネート、ネオアルコキシジルコネート、ネオアルコキシトリスネオデカノイルジルコネート、ネオアルコキシトリス(ドデカノイル)ベンゼンスルフォニルジルコネート、ネオアルコキシトリス(エチレンジアミノエチル)ジルコネート、ネオアルコキシトリス(m−アミノフェニル)ジルコネート、アンモニュウムジルコニュウムカーボネート、Al−アセチルアセトネート、Al−メタクリレート、Al−プロピオネート等のジルコニウム、或いはアルミニウム系カップリング剤が挙げられるが好ましくはシリコン系カップリング剤、又はチタネート系カップリング剤である。
【0028】
レベリング剤としてはエチルアクリレート、ブチルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート等のアクリレート類からなる分子量4000〜12000のオリゴマー類、エポキシ化大豆脂肪酸、エポキシ化アビエチルアルコール、チタン系カップリング剤等が挙げられる。
【0029】
滑剤としてはパラフィンワックス、マイクロワックス、ポリエチレンワックス等の炭化水素系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸等の高級脂肪酸系滑剤、ステアリルアミド、パルミチルアミド、オレイルアミド、メチレンビスステアロアミド、エチレンビスステアロアミド等の高級脂肪酸アミド系滑剤、硬化ひまし油、ブチルステアレート、エチレングリコールモノステアレート、ペンタエリスリトール(モノ−,ジ−,トリ−,又はテトラ−)ステアレート等の高級脂肪酸エステル系滑剤、セチルアルコール、ステアリルアルコール、ポリエチレングリコール、ポリグリセロール等のアルコール系滑剤、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、ベヘン酸、リシノール酸、ナフテン酸等のマグネシウム、カルシウム、カドミウム、バリュウム、亜鉛、鉛等の金属塩である金属石鹸類、カルナウバロウ、カンデリラロウ、密ロウ、モンタンロウ等の天然ワックス類が挙げられる。
【0030】
また、上記した以外にも防錆剤、紫外線安定剤、紫外線吸収剤、流動調整剤、ハジキ防止剤等を配合することができる。
【0031】
本発明塗料は、例えば、エポキシ樹脂、硬化触媒及び必要に応じて上記した配合物を、ヘンシェルミキサー等を用いて乾式混合後、ニーダー、エクストルーダー等により、例えば110℃以下で溶融混合処理を施した後、混合物を冷却固化し、微粉砕後分級して製造することができる。得られた粉体塗料の粒度は、その塗装方法により変えることができる。鋳物塗装する際にあらかじめ鋳物自体を180℃〜220℃程度にプレヒートして、塗装するいわゆる熱間塗装を行なう場合、粉体塗料の粒度は、1〜100μm程度と幅広く設定することができる。また、鋳物自体のプレヒートがない場合、塗膜外観上、5〜80μmが望ましい。
【0032】
本発明塗料は、それ自体公知の流動浸漬法、静電流動浸漬法、コロナ帯電スプレー法、摩擦帯電スプレー法、振りかけ法、転がし法、溶射法、霧箱法等の各種塗装方法により被塗物に塗装されるが、どの塗装法を用いるかは被塗物の種類、形状、大きさ、塗膜の膜厚により適宜選択される。例えば、鋳物粉体塗装の場合、好ましくはコロナ帯電スプレ―法である。コロナ帯電スプレー法の場合、マイナス帯電された粉体塗料をアースされた鋳物被塗物上に付着させた後、高周波加熱等の加熱手段で溶融硬化させて本発明の塗装された物品が得られる。
【0033】
本発明塗料が塗装される鋳物としては、例えば、機械用鋳物部品、水道管内面、機器用モーター等が挙げられるが、好ましくは機械用鋳物部品である。
【0034】
本発明方法は、上記した本発明塗料を上記した鋳物に粉体塗装し、硬化塗膜の架橋間分子量が1000以下、好ましくは700以下になるように加熱してなる鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法である。架橋間分子量が1000を超えると切削性が低下する。
【0035】
塗装膜厚は、50〜1000μm、好ましくは60〜800μmである。
【0036】
該架橋間分子量は、ブリキ板に硬化膜厚が約60μmになるように塗装し鋳物と同じ焼付け条件になるように加熱をおこなったのち塗膜を剥離し、自動動的粘弾性測定器[東洋ボ−ルドウイン社製、モデルレオバイブロンDDV−II−EA]を用い測定した。
【0037】
【発明の効果】
本発明は、上記した構成を有することから次の様な顕著な効果を発揮するものと推察される。
【0038】
▲1▼ 本発明塗料は、エポキシ樹脂として、ノボラック型エポキシ樹脂を使用しているので、従来のビスフェノールA型エポキシ樹脂を単独で使用した粉体塗料と比較して、エポキシ基が多く、また、芳香族含有量も多いので、強靭な塗膜が形成でき、その結果として切削加工性、耐熱性などに優れた塗膜が形成できる。
【0039】
▲2▼ 本発明塗料において、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、ノボラック型エポキシ樹脂と併用することにより、ノボラック型エポキシ樹脂単独では得られない塗膜が形成できる。
【0040】
即ち、ビスフェノールA型エポキシ樹脂は、リニアーな構造を有しており、しかも親水性の水酸基と疎水性の炭化水素基とが規則的分布しているので、鋳物に対する付着性が優れる。また、主鎖結合はエーテル結合を有しているので加工性、耐薬品性などの塗膜性能が優れる。
【0041】
上記した如く、それぞれのエポキシ樹脂の機能を有効に発揮させることにより、ノボラック型エポキシ樹脂単独では得られない付着性、加工性、耐薬品性などの効果をビスフェノールA型エポキシ樹脂により補い、そしてビスフェノールA型エポキシ樹脂単独では得られない切削加工性、耐熱性などの効果をノボラック型エポキシ樹脂により、お互いにその弱点を補い、その機能を分担することにより、鋳物に適した粉体塗膜が形成できた。
【0042】
▲3▼ また、従来のアクリル系エポキシ樹脂を単独で使用したとしても、本発明の塗料の様な強靭な塗膜を形成させることは不可能であり、切削加工性、耐熱性、付着性などに優れた塗膜を形成することはできない。
【0043】
▲4▼ また、本発明において、上記した粉体塗料を使用して架橋間分子量を1000以下の塗膜を形成することにより、より切削性、耐熱性、付着性に優れた塗膜が形成できる。
【0044】
【実施例】
実施例によって、本発明を更に具体的に説明するが、本発明がこれらの実施例のみに限定されるものではない。実施例、比較例に於いて「部」は重量部を意味する。
【0045】
実施例1
エポキシ当量925のビスフェノールA型エポキシ樹脂85部(平均分子量約1800、以下同様)、エポキシ当量220のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂(平均分子量2000、以下同様)15部、2MZ−A(四国化成製、商品名、イミダゾール系硬化剤)1.5部、炭酸カルシウム25部、チタン白30部を2軸ニーダーを用いて混練した後、混合物を冷却固化し、粉砕後分級して平均粒径1〜100μmの粒度として実施例1の粉体塗料を得た。コロナ帯電ガン(ノードソン社製、商品名)を用いて、厚さ20mm、縦100mm、横50mmの鋳物部品に塗膜厚50〜120μmになるように静電塗装し、鋳物素材温度が160℃以上で20分焼付後に、切削加工性を評価した。塗膜の架橋間分子量は367であった。塗膜の切削加工性は○で良好であった。
【0046】
切削加工性(以下同様の意味を示す。):粉体塗装した鋳物粉体部品をフライス盤にて切削した。切削面に、ワレ、バリ等がないものを○、切削面に、ワレ、バリ等があるものを×とした。
【0047】
実施例2
エポキシ当量925のビスフェノールA型エポキシ樹脂85部、エポキシ当量220のクレゾールノボラック型エポキシ樹脂15部、2MZ−A(四国化成製、商品名、イミダゾール系硬化剤)1.0部、アジピン酸ヒドラジド 2.5部、炭酸カルシウム25部、チタン白30部を2軸ニーダーを用て混練した後、混合物を冷却固化し、粉砕後分級して平均粒径1〜100μmの粒度として本発明の粉体塗料を得た。コロナ帯電ガン(ノードソン社製、商品名、)を用いて、厚さ20mm、縦100mm、横50mmの鋳物部品に塗膜厚50〜120μmになるように静電塗装し、鋳物素材温度が160℃以上で20分焼付後に、切削加工性を評価した。塗膜の架橋間分子量は680であった。塗膜の切削加工性は○で良好であった。
【0048】
比較例1
エポキシ当量925のビスフェノールA型エポキシ樹脂100部、2MZ−A(四国化成製、商品名、イミダゾール系硬化剤)1.5部、炭酸カルシウム25部、チタン白30部を2軸ニーダーを用いて混練した後、混合物を冷却固化し、粉砕後分級して平均粒径1〜100μmの粒度として本発明の粉体塗料を得た。コロナ帯電ガン(ノードソン社製、商品名)を用いて、厚さ20mm、縦100mm、横50mmの鋳物部品に塗膜厚50〜120μmになるように静電塗装し、鋳物素材温度が160℃以上で20分焼付後に、切削加工性を評価した。塗膜の架橋間分子量は1250であった。塗膜の切削加工性は×で悪かった。
【0049】
比較例2
エポキシ当量925のビスフェノールA型エポキシ樹脂100部、アジピン酸ヒドラジド5.0部、炭酸カルシウム25部、チタン白30部を2軸ニーダーを用いて混練した後、混合物を冷却固化し、粉砕後分級して平均粒径1〜100μmの粒度として本発明の粉体塗料を得た。コロナ帯電ガン(ノードソン社製、商品名)を用いて、厚さ20mm、縦100mm、横50mmの鋳物部品に塗膜厚50〜120μmになるように静電塗装し、鋳物素材温度が160℃以上で20分焼付後に、切削加工性を評価した。塗膜の架橋間分子量は2055であった。塗膜の切削加工性は×で悪かった。
Claims (6)
- 固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部及びイミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部含有してなることを特徴とするエポキシ粉体塗料。
- 固形ノボラック型エポキシ樹脂を必須成分として含有する固形エポキシ樹脂(A)100重量部、イミダゾール系硬化触媒(B)0.1〜30重量部及び酸ヒドラジド系硬化剤(C)0.2〜40重量部を含有してなることを特徴とする請求項1に記載のエポキシ粉体塗料。
- 固形ノボラック型エポキシ樹脂が、固形エポキシ樹脂(A)を総合計重量換算として、5〜40重量%の範囲で含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のエポキシ粉体塗料。
- 固形ノボラック型エポキシ樹脂が、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂であることを特徴とする請求項1、2又は3に記載のエポキシ粉体塗料。
- 固形ノボラック型エポキシ樹脂が、エポキシ当量200〜400の範囲であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のエポキシ粉体塗料。
- 請求項1〜5のいずれかに記載のエポキシ粉体塗料を鋳物に塗装し、硬化塗膜の架橋間分子量が1000以下になるように加熱することを特徴とする鋳物にエポキシ粉体塗膜を形成する方法。
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-
2003
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