JP2004323307A - セラミックグリーンシート及びその製法並びに電子部品の製法 - Google Patents

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Abstract

【課題】静電気の帯電を大幅に抑制できるセラミックグリーンシート及びその製法並びに電子部品の製法を提供する。
【解決手段】セラミック粉末と、有機バインダと、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤とを含有することをセラミックグリーンシート3であり、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤として、アニオン系樹脂又はカチオン系樹脂を用い、その含有量がセラミック粉末100質量部に対して、0.5〜5質量部であることが望ましい。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セラミックグリーンシート及びその製法並びに電子部品の製法に関し、例えば多層基板や積層セラミックコンデンサ、積層アクチュエータ等の電子部品に好適に用いられるセラミックグリーンシート及びその製法並びに電子部品の製法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、セラミック積層体、例えば積層セラミックコンデンサ等の積層型電子部品は以下に記述するような工程によって製造されている。
【0003】
先ず、セラミック粉体、有機溶媒及び非水溶性の分散剤を混合させた泥漿に、有機バインダと呼ばれる接着性の樹脂を溶媒に溶かしたバインダ溶液を混合し、セラミックスラリを作製する。従来、分散剤として、アニオン系分散剤を用いたセラミックスラリが知られている(特許文献1参照)。
【0004】
作製したセラミックスラリを、ドクターブレード、グラビアコータ、マイクログラビア、リバースロールコータ、ダイコータなどの成形方法により、PETフィルムなどのキャリアフィルム上に塗布し、乾燥してセラミックグリーンシートを作製する。
【0005】
そして、このセラミックグリーンシートにNi、Ag、Pd等を含有する導電性ペーストをスクリーン印刷などで印刷して電極パターンを形成し、この電極パターンが形成されたグリーンシートを複数積層し、所定形状にカットした後、脱バインダ工程、焼成工程を経て、内部電極と導通する外部電極を形成し、電子部品を得る。
【0006】
ところで、近年、電子部品の小型化、大容量化が進むにつれて、セラミックグリーンシートの薄層化が必要となり、10μm以下の膜厚のものが要求されるようになってきている。そして、従来、成形速度を早くすることにより、セラミックグリーンシートの薄層化を達成していた。
【0007】
【特許文献1】
特開2001−114569号
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、成形速度を早くして、セラミックグリーンシートを薄層化していたため、キャリアフイルム上における摩擦による静電気が増大し、大気中の塵埃等の異物付着が増大していた。
【0009】
また、キャリアフィルム上に形成されたセラミックグリーンシートは、キャリアフィルムごと巻き取りを行った後に収納し、適宜巻き戻して使用する。この巻き取り、巻き戻しの際、摩擦による静電気が発生するため、従来、セラミックスラリ塗布時に帯電除去イオン等を照射することが行われている。
【0010】
しかしながら、キャリアフィルムはセラミックスラリの塗布厚みに応じて、1分間に5〜50mの速度にて成形搬送されるため、帯電除去イオン照射等によるセラミックグリーンシート及びキャリアフィルム上の除電を充分に行うことができず、これにより帯電のために大気中の塵埃等の異物が吸着し易いという問題があった。特に、グリーンシートを薄層化するために、セラミックスラリの塗布速度を高めた場合には、除電が不十分となり、大気中の塵埃等の異物が吸着し易いという問題があった。
【0011】
このグリーンシートの表面に吸着した塵埃等の異物は、グリーンシートの厚みの約2分の1以上の大きさがある場合(近年においてはグリーンシートの厚みが薄くなる傾向にあるため、このようになる傾向が強い)、積層し焼成を行なった際にショート不良、空孔等の欠陥を形成する。そのため、グリーンシートに付着した異物が燃焼した欠陥部への導電性ペーストの浸透が進行し、ショート不良率の増大、及び破壊電圧等の信頼性が低下するという問題があった。
【0012】
本発明は、静電気の帯電を大幅に抑制できるセラミックグリーンシート及びその製法並びに電子部品の製法を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックグリーンシートは、セラミック粉末と、有機バインダと、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤とを含有することを特徴とする。このようなセラミックグリーンシートでは、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤を含有するため、キャリアフィルム上に、セラミック粉末と、有機バインダと、有機溶媒と、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤とを含有するセラミックスラリを塗布した後、界面活性剤及び/又は分散剤が大気中の水分を吸湿し、セラミックグリーンシートの上下面を短時間で等電位にすることができ、これにより局所的な静電気の帯電を抑制でき、静電気による塵埃等の異物付着を低減でき、電子部品製造における不良率や電子部品の信頼性を向上できる。
【0014】
また、本発明のセラミックグリーンシートは、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤として、アニオン系樹脂又はカチオン系樹脂を用い、その含有量がセラミック粉末100質量部に対して、0.5〜5質量部であることを特徴とする。このようなセラミックグリーンシートでは、水溶性の界面活性剤、水溶性の分散剤により静電気を除去できるとともに、水溶性の界面活性剤、水溶性の分散剤の量が少量であるため、バインダ樹脂のガラス転移点を変化させることがなく、所望の強度を得ることができる。
【0015】
さらに、本発明のセラミックグリーンシートは、有機バインダの含有量が、セラミック粉末100質量部に対して、6〜18質量部であることを特徴とする。このようなセラミックグリーンシートでは、有機バインダの含有量が適量であるため、グリーンシートの強度を高く維持できるとともに、有機バインダの熱分解を十分に行うことができ、電子部品の信頼性を向上できる。
【0016】
また、本発明のセラミックグリーンシートは、厚みが5μm以下であることを特徴とする。このようなセラミックグリーンシートを作製するためには、キャリアフィルム上におけるセラミックスラリの塗布速度を高める必要があり、特に帯電し易くなるため、本発明を用いる意義が大きい。
【0017】
本発明のセラミックグリーンシートの製法は、キャリアフィルム上に、セラミック粉末と、有機バインダと、有機溶媒と、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤とを含有するセラミックスラリを塗布し、乾燥することを特徴とする。このようなセラミックグリーンシートの製法では、セラミックスラリ塗布乾燥後であって、キャリアフィルム巻き取り前に、界面活性剤及び/又は分散剤が大気中の水分を吸湿し、セラミックグリーンシートの上下面を短時間で等電位にすることができる。
【0018】
また、本発明のセラミックグリーンシートの製法は、セラミックスラリを塗布した後に、室温から前記有機溶媒の蒸発温度以上まで、段階的に加熱し乾燥することを特徴とする。このようなセラミックグリーンシートの製法では、液体状のスラリ膜から均一に、また徐々に有機溶媒を乾燥させ、高温での急激な乾燥による溶媒の沸騰痕による表面、または剥離面の粗さを解消することができる。
【0019】
本発明の電子部品の製法は、複数の上記セラミックグリーンシート間に電極パターンが介在された積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を焼成する工程とを具備することを特徴とする。このような電子部品の製法では、セラミックグリーンシートの静電気を十分に除去できるため、塵埃等の異物付着を低減でき、電子部品製造における不良率、及び電子部品の信頼性を向上できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明のグリーンシートは、例えば、電子部品の一つである積層セラミックコンデンサの製造に用いられるもので、セラミック粉末と、有機バインダと、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤とを含有するものである。
【0021】
このようなセラミックグリーンシートは、先ず、図1(a)に示すように、キャリアフィルム1上にセラミックスラリを塗布し、セラミックグリーンシート(シート状成形体)3が形成される。ここで用いるキャリアフィルム1としては、例えばPETフィルムからなるキャリアフィルムが用いられ、薄層化したグリーンシート3の剥離性を良好とするために、キャリアフィルム1の表面にシリコン樹脂等の離型層5が形成されていることが望ましい。
【0022】
また、セラミックスラリは、セラミック粉末、有機バインダ、有機溶媒、並びに水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤を含有して作製されている。
【0023】
ここで用いられるセラミック粉末としては、ガラスを含有したものも含まれる概念である。また有機バインダとしては、セラミック粉末や溶媒との分散性、グリーンシートの強度、脱脂性の観点よりポリビニルブチラール樹脂、アクリル樹脂等を用いることができる。
【0024】
また有機溶媒としては、トルエンとエタノールを混合したものが好ましい。
【0025】
また水溶性の界面活性剤、分散剤としては、アニオン系、カチオン系のいずれでもよいが、水溶性且つ上記有機溶媒であるトルエン、エタノールに可溶であることが望ましい。このような水溶性の界面活性剤としては、例えばポリカルボン酸アンモニウム塩、縮合ナフタレンスルホン酸アンモニウム塩があり、水溶性の分散剤としては、例えばアクリル酸アルキルエステル共重合体がある。
【0026】
本発明では、離型処理したキャリアフィルム1上に塗布されたセラミックスラリは、室温からその有機溶媒の蒸発温度以上の温度まで加熱して乾燥され、グリーンシート3が形成される。
【0027】
加熱温度は、例えば、室温、60℃、溶媒の蒸発温度以上の100℃のように段階的に加熱する。このように段階的に加熱することにより、液体状のスラリ膜から均一に、また徐々に有機溶媒を乾燥させ、高温での急激な乾燥による溶媒の沸騰痕による表面、または剥離面の粗さを解消することができる。
【0028】
また、有機溶媒の蒸発温度以上の温度まで加熱して乾燥されるため、低温での長時間乾燥によるバインダの沈降や凝集物がなく、ピンホール、膜切れ等の欠陥もない均一なグリーンシートを形成できる。
【0029】
このようなグリーンシートを製造するための製造装置を図2に示す。製造装置では、グリーンシート3を均一な膜厚で薄層化するためにダイコータが好適に用いられる。グリーンシート3の薄層化を可能とするものであれば、その他の成形装置としてドクターブレード、グラビアコータ、マイクログラビアおよびリバースロールコータを用いることもできる。
【0030】
図2を用いて説明すると、先ず引出しロール8からキャリアフィルム1であるPETフィルムを引き出し、次に、塗工部9においてキャリアフィルム1の上面にセラミックスラリを塗布する。最後方部にはキャリアフィルム1上に成形されたグリーンシート3をキャリアフィルム1ごと巻き取るロール連携方式の巻取りロール10が設けられている。これらの引出しロール8と巻取りロール10の間に、塗布したセラミックスラリを乾燥させる乾燥部11が設けられている。
【0031】
ここで、乾燥部11は少なくとも2室以上の乾燥室があれば良く、この図2では乾燥部は3つの乾燥室11a、11b、11cの3室に分割されており、それぞれ個別に温度の設定が可能となっている。
【0032】
まず、グリーンシート3を形成する工程では、塗工部9でキャリアフィルム1上にセラミックスラリを所定の厚みになるように塗布し、乾燥部11で乾燥の後巻取りロール10で巻き取る。本発明は、塗工部9での成形速度が1分間に40m以上である場合に好適に用いることができる。
【0033】
このとき、乾燥室11aは室温の風を吹き付け、乾燥室11cではセラミックスラリに含有される有機溶媒の蒸発温度以上の温風(例えば溶媒の蒸発温度が80℃であれば100℃)を吹き付ける。乾燥室11bでは、例えば、中間の60℃の温風を吹き付ける。このようにして、キャリアフィルム1上にグリーンシート3が形成される。
【0034】
また、グリーンシート3中に含まれる水溶性の界面活性剤、分散剤の含有量は、グリーンシート3に含まれるセラミック粉末100質量部に対して0.5〜5質量部が好ましい。水溶性の界面活性剤、分散剤の添加量が0.5質量部以上であるため充分に静電気を除去できるとともに、5質量部以下であるため、バインダ樹脂のガラス転移点を変化させることがなく、所望の強度を得ることができる。特に、水溶性の界面活性剤、分散剤の含有量は、セラミック粉末100質量部に対して0.5〜3質量部であることが望ましい。
【0035】
また、グリーンシート3に含まれる有機バインダの含有量は、セラミック粉末100質量部に対して、6〜18質量部が好ましい。有機バインダの含有量を上記範囲とすることによりグリーンシート3の強度を高く維持でき、印刷、積層時のシートアタックや破れ等の発生を抑制できるとともに、有機バインダの含有量が18質量部以下であるため、グリーンシート3の有機バインダの熱分解を十分に行うことができ、電子部品の信頼性を向上できる。強度や脱バインダ性という点から、有機バインダ量は、特に、8〜15質量部が望ましい。
【0036】
このようなグリーンシート3を用いた電子部品の製法について説明する。上記のようにして作製されたグリーンシート3上に、図1(b)に示すように電極パターン6が形成される。例えば、電子部品の内部電極層となる電極パターンに用いられる金属粉末として、小型、高容量および低コストの点でNi金属が望ましく、内部電極層の薄層化のために、粒子径は0.4μm以下であることが好ましい。
【0037】
次に、電極パターン6を形成したグリーンシート3をキャリアフィルム3から剥離し、積層圧着した後、所定の電子部品サイズに切断し、図3に示すような積層成形体7を作製する。この積層成形体7の側面には、電極パターン6の端部が交互に露出している。この積層成形体7を焼成して電子部品本体を作製する。
【0038】
この後、内部電極の端部が露出した電子部品本体の側面に電極材料を含有するペーストを塗布し、焼き付けて外部電極を形成し、電子部品が作製される。
【0039】
【実施例】
先ず、表1に示す組成のセラミックスラリを作製した。セラミックスラリは、トルエンとエタノールを混合した有機溶媒に、水溶性の界面活性剤としてポリカルボン酸アンモニウム塩を溶解させ、この混合溶媒に、0.4μmのBaTiO粉末と、添加物粉末としてY粉末、MgO粉末、MnO粉末を、BaTiO100質量部に対してそれぞれ1.0、0.1、0.1質量部と、さらにSi系ガラス粉末をBaTiO100質量部に対して2質量部とを、ボールミルによって分散させることによりセラミック泥漿を作製した。次いで有機溶媒としてトルエンとエタノールを混合した溶媒に、有機バインダとしてポリビニルブチラール樹脂を溶解させた後、可塑剤を混合することによりバインダ溶液を作製し、これをセラミック泥漿に表1の組成になるように混合し、セラミックスラリを作製した。
【0040】
得られたセラミックスラリの組成は、BaTiO粉末と、Y等の添加物粉末の合計100質量部に対して、トルエン85質量部、エタノール90質量部、界面活性剤2質量部、有機バインダ11質量部、可塑剤3質量部であった。
【0041】
このセラミックスラリを用いて、厚み4μmのグリーンシート3を成形した。即ち、図2に示すような製造装置を用い、上記セラミックスラリをダイコータ方式の塗工部9でキャリアフィルム1上に塗布し(成形速度40m/分)、この塗布膜を、乾燥室11aが30℃、乾燥室11bが60℃、乾燥室11cが100℃(有機溶媒の蒸発温度以上)に設定された乾燥部11で、段階的に加熱し、乾燥した。
【0042】
このキャリアフィルム1上のグリーンシート3にNiを含有する導電性ペーストを塗布して電極パターン6を形成し、電極パターン6が形成されたグリーンシート3をキャリアフィルム1から剥離し、これを300層積層し、上下に内部電極パターン6が形成されていないグリーンシート3を積層し、これを切断し、積層成形体7を作製し、脱脂処理後、還元雰囲気にて焼成を行った。
【0043】
次に、この焼結体の両端面に外部導電性ペーストを塗布し、焼き付けて外部電極を形成し、積層セラミックコンデンサを作製した。
【0044】
グリーンシート3の評価では、グリーシート3が形成された後(乾燥後巻き取り前)のグリーンシートの静電気を、静電電位測定器により測定し、その平均値を記載した。また、電子部品の電気特性の評価として、ショート不良率(N=100)、破壊電圧(N=5)を評価し、表2の試料No.5として記載した。ショート不良率は外部電極間にAC1Vを印加して評価し、破壊電圧は、外部電極間に印加する電圧を次第に上げて破壊する時の電圧を測定し、その平均値とした。
【0045】
また、試料No.5の界面活性剤を用い、その添加量を表2に示すように変化させる以外は、上記と同様にしてグリーンシートを作製し、このグリーンシートを用いて電子部品を作製し、上記と同様の評価を行い、表2に記載した。
【0046】
さらに、比較例として、水溶性の界面活性剤を添加することなく、非水溶性の界面活性剤としてポリオキシプロレンモノアリルモノブチルエーテル,無水マレイン酸、スチレン共重合物を2.0質量部添加したスラリを用い、上記と同様にしてグリーンシートを作製し、このグリーンシートを用いて電子部品を作製し、上記と同様の評価を行い、表2の試料No.1として記載した。
【0047】
【表1】
Figure 2004323307
【0048】
【表2】
Figure 2004323307
【0049】
これらの表1、2の結果より、グリーンシート中に含まれる水溶性の界面活性剤を添加した試料No.2〜7では、静電荷が5kV以下となった。これにより静電気による塵埃等の異物吸着から形成される開気孔、閉気孔の発生が低減され、グリーンシート中への導電性ペーストの浸透が抑制されたため、電子部品のショート不良率が低減され、また破壊圧を80V以上と向上させることができた。
【0050】
特に、水溶性の界面活性剤の添加量を0.5〜3質量部とした試料No.3〜6では、成形後のグリーンシート表面の静電荷が2kV以下となり、これにより電子部品のショート不良率が0%となり、また破壊電圧を100V以上と向上させることができた。
【0051】
また、試料No.7は水溶性の界面活性剤の添加量を5質量部としたものであり、静電荷は0.5kVと小さく、ショート不良率も0%で、破壊電圧が150Vと大きかったものの、バインダのガラス転移点が少々低下し、室温ではグリーンシートの強度が低下する傾向にあり、また導電性ペーストからのシートアタックが起こり、シートの破れ等が発生しやすくなり、キャリアフィルムからの剥離が難しくなる傾向にあった。
【0052】
一方、比較例の試料No.1では、水溶性の界面活性剤を含有せず、非水溶性の界面活性剤を2質量部含有するため、グリーンシート表面の静電荷が21Vとなり、本発明の試料に比較して非常に大きかった。この結果静電気による塵埃等の異物吸着から形成される開気孔、閉気孔が発生し、導電性ペーストがグリーンシート中に浸透したため、ショート不良率が増大し、破壊電圧が低下した。
【0053】
さらに、本発明者は、試料No.5の界面活性剤の代わりに、水溶性の分散剤としてアクリル酸アルキルエステル共重合体を2質量部添加して、上記と同様にしてグリーンシートを作製し、このグリーンシートを用いて電子部品を作製し、上記と同様の評価を行ったところ、帯電電位は多少高くなったものの、ショート不良率、破壊電圧は試料No.5と同等であることを確認した。
【0054】
【発明の効果】
本発明のグリーンシートは、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤を含有するため、界面活性剤及び/又は分散剤が大気中の水分を吸湿し、セラミックグリーンシートの上下面を短時間で等電位にすることができ、これにより静電気の帯電を抑制でき、静電気による塵埃等の異物付着を低減でき、電子部品製造における不良率や電子部品の信頼性を向上できる。これにより、例えば、グリーンシートの膜厚を5μm以下に薄層化しても剥離性に優れ、また内部にも欠陥の少ない均一なグリーンシートを作製できるため、導電性ペーストの浸透を抑制することができ、電子部品不良率を低減し且つ信頼性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は離型層が形成されたキャリアフィルム上にグリーンシートを形成した状態を示す断面図、(b)は(a)のグリーンシート上に電極パターンを形成した状態を示す断面図である。
【図2】本発明のグリーンシートの製造装置を示す概念図である。
【図3】本発明の積層成形体の断面図である。
【符号の説明】
1・・・キャリアフィルム
3・・・グリーンシート
6・・・電極パターン
7・・・積層成形体

Claims (7)

  1. セラミック粉末と、有機バインダと、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤とを含有することを特徴とするセラミックグリーンシート。
  2. 水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤として、アニオン系樹脂又はカチオン系樹脂を用い、その含有量がセラミック粉末100質量部に対して、0.5〜5質量部であることを特徴とする請求項1記載のセラミックグリーンシート。
  3. 有機バインダの含有量が、セラミック粉末100質量部に対して、6〜18質量部であることを特徴とする請求項1又は2記載のセラミックグリーンシート。
  4. 厚みが5μm以下であることを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれかに記載のセラミックグリーンシート。
  5. キャリアフィルム上に、セラミック粉末と、有機バインダと、有機溶媒と、水溶性の界面活性剤及び/又は水溶性の分散剤とを含有するセラミックスラリを塗布し、乾燥することを特徴とするセラミックグリーンシートの製法。
  6. セラミックスラリを塗布した後に、室温から有機溶媒の蒸発温度以上まで、段階的に加熱し乾燥することを特徴とする請求項5記載のセラミックグリーンシートの製法。
  7. 請求項1乃至4のうちいずれかに記載のセラミックグリーンシート間に電極パターンが介在された積層成形体を作製する工程と、該積層成形体を焼成する工程とを具備する電子部品の製法。
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JP2013170095A (ja) * 2012-02-20 2013-09-02 Sekisui Chem Co Ltd スラリー組成物の製造方法

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