JP2004322800A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】トラクション性能と、偏摩耗性能とを両立可能な空気入りタイヤを提供すること。
【解決手段】ブロック22の外周縁領域22Aに片側開口サイプ24を複数形成し、中央領域22Bを外周縁領域22Aよりも高く設定する。ブロック22が路面26に接地すると、外周縁領域22Aよりも高く設定されている中央領域22Bが強く押され、ブロック22の外周縁に大きな張力(ブロック周方向)が発生する。これにより、外周縁領域22Aに形成された片側開口サイプ24が、ブロック中央部分が高く設定されていない場合に比較してより開き、大きく開いた片側開口サイプ24が路面26に接触することで、トラクション力の向上を図ることが出来る。また、ブロック22には、外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する片側開口サイプ24を形成しているので、ブロック剛性の低下は少なく、偏摩耗性能の低下は抑えられる。
【選択図】 図3
【解決手段】ブロック22の外周縁領域22Aに片側開口サイプ24を複数形成し、中央領域22Bを外周縁領域22Aよりも高く設定する。ブロック22が路面26に接地すると、外周縁領域22Aよりも高く設定されている中央領域22Bが強く押され、ブロック22の外周縁に大きな張力(ブロック周方向)が発生する。これにより、外周縁領域22Aに形成された片側開口サイプ24が、ブロック中央部分が高く設定されていない場合に比較してより開き、大きく開いた片側開口サイプ24が路面26に接触することで、トラクション力の向上を図ることが出来る。また、ブロック22には、外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する片側開口サイプ24を形成しているので、ブロック剛性の低下は少なく、偏摩耗性能の低下は抑えられる。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤにかかり、特に、片側開口サイプの形成されたブロックをトレッドに備えた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、舗装されていない泥路面の走行を主体に考えられている空気入りタイヤ(以後、マッド系のタイヤと呼ぶ)では、ブロックパターンが採用されている。
【0003】
このようなマッド系のタイヤでは、主にブロックにサイピングを実施せず、ブロックエッジ力によってトラクション力を得ていた。
【0004】
しかしながら、トラクション力を高めようとブロックエッジを増やすと、ブロックが小さくなり、ブロックの剛性低下から限界があった。
【0005】
また、従来技術のサイピングでは、サイプ数を多くしようとするとブロック剛性の低下を招き、偏摩耗に対して悪影響を与えるものであった(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−138715号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、トラクション性能と、偏摩耗性能とを両立可能な空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、トレッドに複数のブロックを形成した空気入りタイヤであって、前記ブロックは、外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する複数の片側開口サイプを備え、かつ、ブロック踏面の中央部分が、前記片側開口サイプの形成されている外周縁領域よりも高く設定されている、ことを特徴としている。
【0009】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0010】
ブロックの外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する複数の片側開口サイプを形成した場合、ブロック剛性の低下は少なく、偏摩耗に対しては有利であるが、片側開口サイプをブロックに形成したのみでは、トラクション効果に与える影響は少ない。
【0011】
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、ブロック踏面の中央部分が、片側開口サイプの形成されている外周縁領域よりも高く設定されているので、ブロックの踏面が路面に接地した際、踏面の中ではブロック中央部分が強く押される。ブロック中央部分が強く押されるようにブロックが圧縮されると、ブロックの外周縁付近に大きな張力が発生し、その結果、外周縁付近に形成された片側開口サイプが、ブロック中央部分が高く設定されていない場合に比較してより開く結果となる。
【0012】
したがって、大きく開いた片側開口サイプが路面に接触することで、トラクション力の向上を図ることが出来、ブレーキング力の向上を図ることも出来る。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ブロックは、前記中央部分の高さが前記外周縁領域の高さの1.05〜1.3倍の範囲内である、ことを特徴としている。
【0014】
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0015】
中央部分の高さを外周縁領域の高さの1.05〜1.3倍の範囲内とすることにより、接地時に片側開口サイプを大きく開かせ、かつ路面に確実に接地させることが出来る。
【0016】
ここで、中央部分の高さが外周縁領域の高さの1.05倍未満では、接地時に片側開口サイプを大きく開かせることが出来なくなる。
【0017】
中央部分の高さが前記外周縁領域の高さの1.3倍を越えると、中央部分が高くなり過ぎて片側開口サイプの開口端部分が路面に接地し難くなり、サイプとしての効果が十分に得られなくなる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記片側開口サイプは、溝幅が0.5〜3.0mmの範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
【0019】
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0020】
片側開口サイプの溝幅が0.5mm未満では、サイプ開口による効果が得られなくなる。
【0021】
一方、片側開口サイプの溝幅が3.0mmを越えると、ブロック剛性の低下を招く。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気りタイヤにおいて、前記片側開口サイプは、ブロック端での溝深さがブロック高さの30〜50%の範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
【0023】
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0024】
ブロック端での片側開口サイプの溝深さがブロック高さの30%未満では、接地時に片側開口サイプの開口する面積が少ないため、トラクションの効果が得られなくなる。
【0025】
一方、ブロック端での片側開口サイプの溝深さがブロック高さの50%を越えると、ブロック剛性が大幅に低下してしまう。
【0026】
したがって、片側開口サイプは、ブロック端での溝深さをブロック高さの30〜50%の範囲内に設定することが好ましい。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記片側開口サイプは、踏面での長さが2.0〜4.0mmの範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
【0028】
次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0029】
片側開口サイプの踏面での長さが2.0mm未満になると、得られるエッジ効果が少なくなる。
【0030】
片側開口サイプの踏面での長さが4.0mmを越えると、ブロック剛性が低下し過ぎてしまう。
【0031】
したがって、片側開口サイプは、踏面での長さを2.0〜4.0mmの範囲内に設定することが好ましい。
【0032】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記片側開口サイプは、前記ブロックの外周縁全体に渡って形成されている、ことを特徴としている。
【0033】
次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0034】
片側開口サイプを、ブロックの外周縁全体に渡って形成することにより、全方向のエッジ効果を得ることができ、例えば、タイヤ周方向、及びタイヤ幅方向に対してエッジ効果を効かせることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッド12には、周方向にジグザグ状に延びる周方向溝14,16、及び横溝18,20で区画された複数のブロック22が形成されている。
【0037】
図2、及び図3に示すように、ブロック22は、外周縁からブロック内側へ略一定幅の領域(以後、外周縁領域22Aと呼ぶ)が一定高さに設定されており、外周縁領域22Aの内側(以後、中央領域22Bと呼ぶ)が外周縁領域22Aよりも高く設定されている。
【0038】
本実施形態では、中央領域22Bがブロック中央に向けてステップ状に高く設定されているが、図4に示すように、ブロック中央に向けて徐々に高くなっても良い。
【0039】
外周縁領域22Aには、ブロック22の端部に開口する複数の片側開口サイプ24が、外周縁に沿って略一定の間隔で形成されている。
【0040】
ここで、ブロック22は、中央領域22Bの高さHbが外周縁領域22Aの高さHaの1.05〜1.3倍の範囲内であることが好ましい。
【0041】
次に、片側開口サイプ24は、溝幅wが0.5〜3.0mmの範囲内に設定されていることが好ましい。
【0042】
片側開口サイプ24は、ブロック端での溝深さDが、外周縁領域22Aでのブロック高さHaの30〜50%の範囲内に設定されていることが好ましい。
【0043】
片側開口サイプ24は、踏面での長さLが2.0〜4.0mmの範囲内に設定されていることが好ましい。
【0044】
また、片側開口サイプ24の配設ピッチPは、1.0〜4.0mmの範囲内に設定されていることが好ましい。
【0045】
なお、本実施形態の空気入りタイヤ10は、タイヤサイズが265/70R16であり、ブロック22の外周縁領域22Aの高さHaが10mm、中央領域22Bの高さHbが11mm(段部一つの高さは0.5mm)、片側開口サイプ24の溝幅wが0.7mm、片側開口サイプ24の踏面での長さLが3.0mm、片側開口サイプ24のブロック端での溝深さDが4.0mm、片側開口サイプ24の配設ピッチPが3.0mmに設定されている。
(作用)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
【0046】
空気入りタイヤ10が転動し、図3(B)に示すように、ブロック22が路面26に接地すると、外周縁領域22Aよりも高く設定されている中央領域22Bが強く押され、ブロック22の外周縁に大きな張力(ブロック周方向)が発生する。
【0047】
これにより、外周縁領域22Aに形成された片側開口サイプ24が、ブロック中央部分が高く設定されていない場合に比較してより開き、大きく開いた片側開口サイプ24が路面26に接触することで、トラクション力の向上を図ることが出来、ブレーキング力の向上を図ることもで出来る。
【0048】
また、本実施形態では、片側開口サイプ24を、ブロック22の外周縁全体に渡って形成しているので、タイヤ周方向、及びタイヤ幅方向の全方向に対してエッジ効果を得ることができる。
【0049】
また、ブロック22には、外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する片側開口サイプ24を形成しているので、ブロック剛性の低下は少なく、偏摩耗性能の低下は抑えられている。
【0050】
ここで、中央領域22Bの高さHbが外周縁領域22Aの高さHaの1.05倍未満では、接地時に片側開口サイプ24を大きく開かせることが出来なくなる。
【0051】
一方、中央領域22Bの高さHbが外周縁領域22Aの高さHaの1.3倍を越えると、中央領域22Bが高くなり過ぎて片側開口サイプ24の開口端部分が路面に接地し難くなり、サイプとしての効果が十分に得られなくなる。
【0052】
片側開口サイプ24の溝幅wが0.5mm未満では、サイプ開口による効果が得られなくなる。
【0053】
一方、片側開口サイプ24の溝幅wが3.0mmを越えると、ブロック剛性の低下を招く。
【0054】
ブロック端での片側開口サイプ24の溝深さDがブロック高さHaの30%未満では、接地時に片側開口サイプ24の開口する面積が少ないため、トラクションの効果が得られなくなる。
【0055】
一方、ブロック端での片側開口サイプ24の溝深さDがブロック高さHaの50%を越えると、ブロック剛性が大幅に低下してしまう。
【0056】
片側開口サイプ24の踏面での長さLが2.0mm未満になると、得られるエッジ効果が少なくなる。
【0057】
一方、片側開口サイプ24の踏面での長さLが4.0mmを越えると、ブロック剛性が低下し過ぎてしまう。
【0058】
片側開口サイプ24の配設ピッチPが1.0mm未満になると、ブロック剛性が大幅に低下してしまう。
【0059】
一方、片側開口サイプ24の配設ピッチPが4.0mmを越えると、得られるエッジ効果が少なくなる。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、従来例のタイヤ、比較例のタイヤ、及び本発明の適用された実施例のタイヤを用意し、トラクション性能、及び偏摩耗性能の比較を行った。
【0060】
ブロックの高さは10mm、片側開口サイプの配設ピッチP(図3参照)は全て3mmとした。
【0061】
実施例のタイヤ:前述した実施形態と同様のトレッドパターン、及びブロックを有する。
【0062】
従来例のタイヤ:踏面が平坦なブロックを有する。なお、トレッドパターンは実施例と同一である。
【0063】
比較例のタイヤ:踏面の中央部分が高く設定されたブロックを有するが、実施例とはサイプの幅、深さ、長さ等が異なる。なお、トレッドパターンは実施例と同一である。
【0064】
タイヤサイズは、何れも265/70R16である。なお、ブロック及び片側開口サイプの寸法は、以下の表内に記載した通りである。
【0065】
トラクション性能:国産のRV車にタイヤを装着し、マッド路面での走破タイムを計測した。評価は、従来例のタイムの逆数を100とする指数表示であり、数値が大きいほどトラクション性能が大きいことを表している。
【0066】
偏摩耗性能:試験タイヤを装着した車両を一般道で15000km走行させ、ブロックのヒール・アンド・トゥ段差量を比較した。評価は、◎が優良、○が良、△が可、×が不可を表す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空気入りタイヤによれば、トラクション性能と、偏摩耗性能とを両立することが出来る、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのブロックの拡大平面図である。
【図3】(A)は路面と接触していないブロックの側面図であり、(B)は路面に接地したブロックの断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのブロックの側面図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
22 ブロック
22A 外周縁領域
22B 中央領域
24 片側開口サイプ
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気入りタイヤにかかり、特に、片側開口サイプの形成されたブロックをトレッドに備えた空気入りタイヤに関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、舗装されていない泥路面の走行を主体に考えられている空気入りタイヤ(以後、マッド系のタイヤと呼ぶ)では、ブロックパターンが採用されている。
【0003】
このようなマッド系のタイヤでは、主にブロックにサイピングを実施せず、ブロックエッジ力によってトラクション力を得ていた。
【0004】
しかしながら、トラクション力を高めようとブロックエッジを増やすと、ブロックが小さくなり、ブロックの剛性低下から限界があった。
【0005】
また、従来技術のサイピングでは、サイプ数を多くしようとするとブロック剛性の低下を招き、偏摩耗に対して悪影響を与えるものであった(例えば、特許文献1参照。)。
【0006】
【特許文献1】
特開平10−138715号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題を解決すべく成されたもので、トラクション性能と、偏摩耗性能とを両立可能な空気入りタイヤを提供することが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、トレッドに複数のブロックを形成した空気入りタイヤであって、前記ブロックは、外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する複数の片側開口サイプを備え、かつ、ブロック踏面の中央部分が、前記片側開口サイプの形成されている外周縁領域よりも高く設定されている、ことを特徴としている。
【0009】
次に、請求項1に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0010】
ブロックの外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する複数の片側開口サイプを形成した場合、ブロック剛性の低下は少なく、偏摩耗に対しては有利であるが、片側開口サイプをブロックに形成したのみでは、トラクション効果に与える影響は少ない。
【0011】
請求項1に記載の空気入りタイヤでは、ブロック踏面の中央部分が、片側開口サイプの形成されている外周縁領域よりも高く設定されているので、ブロックの踏面が路面に接地した際、踏面の中ではブロック中央部分が強く押される。ブロック中央部分が強く押されるようにブロックが圧縮されると、ブロックの外周縁付近に大きな張力が発生し、その結果、外周縁付近に形成された片側開口サイプが、ブロック中央部分が高く設定されていない場合に比較してより開く結果となる。
【0012】
したがって、大きく開いた片側開口サイプが路面に接触することで、トラクション力の向上を図ることが出来、ブレーキング力の向上を図ることも出来る。
【0013】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の空気入りタイヤにおいて、前記ブロックは、前記中央部分の高さが前記外周縁領域の高さの1.05〜1.3倍の範囲内である、ことを特徴としている。
【0014】
次に、請求項2に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0015】
中央部分の高さを外周縁領域の高さの1.05〜1.3倍の範囲内とすることにより、接地時に片側開口サイプを大きく開かせ、かつ路面に確実に接地させることが出来る。
【0016】
ここで、中央部分の高さが外周縁領域の高さの1.05倍未満では、接地時に片側開口サイプを大きく開かせることが出来なくなる。
【0017】
中央部分の高さが前記外周縁領域の高さの1.3倍を越えると、中央部分が高くなり過ぎて片側開口サイプの開口端部分が路面に接地し難くなり、サイプとしての効果が十分に得られなくなる。
【0018】
請求項3に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤにおいて、前記片側開口サイプは、溝幅が0.5〜3.0mmの範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
【0019】
次に、請求項3に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0020】
片側開口サイプの溝幅が0.5mm未満では、サイプ開口による効果が得られなくなる。
【0021】
一方、片側開口サイプの溝幅が3.0mmを越えると、ブロック剛性の低下を招く。
【0022】
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気りタイヤにおいて、前記片側開口サイプは、ブロック端での溝深さがブロック高さの30〜50%の範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
【0023】
次に、請求項4に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0024】
ブロック端での片側開口サイプの溝深さがブロック高さの30%未満では、接地時に片側開口サイプの開口する面積が少ないため、トラクションの効果が得られなくなる。
【0025】
一方、ブロック端での片側開口サイプの溝深さがブロック高さの50%を越えると、ブロック剛性が大幅に低下してしまう。
【0026】
したがって、片側開口サイプは、ブロック端での溝深さをブロック高さの30〜50%の範囲内に設定することが好ましい。
【0027】
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記片側開口サイプは、踏面での長さが2.0〜4.0mmの範囲内に設定されている、ことを特徴としている。
【0028】
次に、請求項5に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0029】
片側開口サイプの踏面での長さが2.0mm未満になると、得られるエッジ効果が少なくなる。
【0030】
片側開口サイプの踏面での長さが4.0mmを越えると、ブロック剛性が低下し過ぎてしまう。
【0031】
したがって、片側開口サイプは、踏面での長さを2.0〜4.0mmの範囲内に設定することが好ましい。
【0032】
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤにおいて、前記片側開口サイプは、前記ブロックの外周縁全体に渡って形成されている、ことを特徴としている。
【0033】
次に、請求項6に記載の空気入りタイヤの作用を説明する。
【0034】
片側開口サイプを、ブロックの外周縁全体に渡って形成することにより、全方向のエッジ効果を得ることができ、例えば、タイヤ周方向、及びタイヤ幅方向に対してエッジ効果を効かせることができる。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施の形態の一例を詳細に説明する。
【0036】
図1に示すように、本実施形態の空気入りタイヤ10のトレッド12には、周方向にジグザグ状に延びる周方向溝14,16、及び横溝18,20で区画された複数のブロック22が形成されている。
【0037】
図2、及び図3に示すように、ブロック22は、外周縁からブロック内側へ略一定幅の領域(以後、外周縁領域22Aと呼ぶ)が一定高さに設定されており、外周縁領域22Aの内側(以後、中央領域22Bと呼ぶ)が外周縁領域22Aよりも高く設定されている。
【0038】
本実施形態では、中央領域22Bがブロック中央に向けてステップ状に高く設定されているが、図4に示すように、ブロック中央に向けて徐々に高くなっても良い。
【0039】
外周縁領域22Aには、ブロック22の端部に開口する複数の片側開口サイプ24が、外周縁に沿って略一定の間隔で形成されている。
【0040】
ここで、ブロック22は、中央領域22Bの高さHbが外周縁領域22Aの高さHaの1.05〜1.3倍の範囲内であることが好ましい。
【0041】
次に、片側開口サイプ24は、溝幅wが0.5〜3.0mmの範囲内に設定されていることが好ましい。
【0042】
片側開口サイプ24は、ブロック端での溝深さDが、外周縁領域22Aでのブロック高さHaの30〜50%の範囲内に設定されていることが好ましい。
【0043】
片側開口サイプ24は、踏面での長さLが2.0〜4.0mmの範囲内に設定されていることが好ましい。
【0044】
また、片側開口サイプ24の配設ピッチPは、1.0〜4.0mmの範囲内に設定されていることが好ましい。
【0045】
なお、本実施形態の空気入りタイヤ10は、タイヤサイズが265/70R16であり、ブロック22の外周縁領域22Aの高さHaが10mm、中央領域22Bの高さHbが11mm(段部一つの高さは0.5mm)、片側開口サイプ24の溝幅wが0.7mm、片側開口サイプ24の踏面での長さLが3.0mm、片側開口サイプ24のブロック端での溝深さDが4.0mm、片側開口サイプ24の配設ピッチPが3.0mmに設定されている。
(作用)
次に、本実施形態の空気入りタイヤ10の作用を説明する。
【0046】
空気入りタイヤ10が転動し、図3(B)に示すように、ブロック22が路面26に接地すると、外周縁領域22Aよりも高く設定されている中央領域22Bが強く押され、ブロック22の外周縁に大きな張力(ブロック周方向)が発生する。
【0047】
これにより、外周縁領域22Aに形成された片側開口サイプ24が、ブロック中央部分が高く設定されていない場合に比較してより開き、大きく開いた片側開口サイプ24が路面26に接触することで、トラクション力の向上を図ることが出来、ブレーキング力の向上を図ることもで出来る。
【0048】
また、本実施形態では、片側開口サイプ24を、ブロック22の外周縁全体に渡って形成しているので、タイヤ周方向、及びタイヤ幅方向の全方向に対してエッジ効果を得ることができる。
【0049】
また、ブロック22には、外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する片側開口サイプ24を形成しているので、ブロック剛性の低下は少なく、偏摩耗性能の低下は抑えられている。
【0050】
ここで、中央領域22Bの高さHbが外周縁領域22Aの高さHaの1.05倍未満では、接地時に片側開口サイプ24を大きく開かせることが出来なくなる。
【0051】
一方、中央領域22Bの高さHbが外周縁領域22Aの高さHaの1.3倍を越えると、中央領域22Bが高くなり過ぎて片側開口サイプ24の開口端部分が路面に接地し難くなり、サイプとしての効果が十分に得られなくなる。
【0052】
片側開口サイプ24の溝幅wが0.5mm未満では、サイプ開口による効果が得られなくなる。
【0053】
一方、片側開口サイプ24の溝幅wが3.0mmを越えると、ブロック剛性の低下を招く。
【0054】
ブロック端での片側開口サイプ24の溝深さDがブロック高さHaの30%未満では、接地時に片側開口サイプ24の開口する面積が少ないため、トラクションの効果が得られなくなる。
【0055】
一方、ブロック端での片側開口サイプ24の溝深さDがブロック高さHaの50%を越えると、ブロック剛性が大幅に低下してしまう。
【0056】
片側開口サイプ24の踏面での長さLが2.0mm未満になると、得られるエッジ効果が少なくなる。
【0057】
一方、片側開口サイプ24の踏面での長さLが4.0mmを越えると、ブロック剛性が低下し過ぎてしまう。
【0058】
片側開口サイプ24の配設ピッチPが1.0mm未満になると、ブロック剛性が大幅に低下してしまう。
【0059】
一方、片側開口サイプ24の配設ピッチPが4.0mmを越えると、得られるエッジ効果が少なくなる。
(試験例)
本発明の効果を確かめるために、従来例のタイヤ、比較例のタイヤ、及び本発明の適用された実施例のタイヤを用意し、トラクション性能、及び偏摩耗性能の比較を行った。
【0060】
ブロックの高さは10mm、片側開口サイプの配設ピッチP(図3参照)は全て3mmとした。
【0061】
実施例のタイヤ:前述した実施形態と同様のトレッドパターン、及びブロックを有する。
【0062】
従来例のタイヤ:踏面が平坦なブロックを有する。なお、トレッドパターンは実施例と同一である。
【0063】
比較例のタイヤ:踏面の中央部分が高く設定されたブロックを有するが、実施例とはサイプの幅、深さ、長さ等が異なる。なお、トレッドパターンは実施例と同一である。
【0064】
タイヤサイズは、何れも265/70R16である。なお、ブロック及び片側開口サイプの寸法は、以下の表内に記載した通りである。
【0065】
トラクション性能:国産のRV車にタイヤを装着し、マッド路面での走破タイムを計測した。評価は、従来例のタイムの逆数を100とする指数表示であり、数値が大きいほどトラクション性能が大きいことを表している。
【0066】
偏摩耗性能:試験タイヤを装着した車両を一般道で15000km走行させ、ブロックのヒール・アンド・トゥ段差量を比較した。評価は、◎が優良、○が良、△が可、×が不可を表す。
【0067】
【表1】
【0068】
【表2】
【0069】
【表3】
【0070】
【表4】
【0071】
【発明の効果】
以上説明したように本発明の空気入りタイヤによれば、トラクション性能と、偏摩耗性能とを両立することが出来る、という優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのトレッドの平面図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る空気入りタイヤのブロックの拡大平面図である。
【図3】(A)は路面と接触していないブロックの側面図であり、(B)は路面に接地したブロックの断面図である。
【図4】本発明の他の実施形態に係る空気入りタイヤのブロックの側面図である。
【符号の説明】
10 空気入りタイヤ
22 ブロック
22A 外周縁領域
22B 中央領域
24 片側開口サイプ
Claims (6)
- トレッドに複数のブロックを形成した空気入りタイヤであって、
前記ブロックは、外周縁付近に一端のみがブロック端に開口する複数の片側開口サイプを備え、かつ、ブロック踏面の中央部分が、前記片側開口サイプの形成されている外周縁領域よりも高く設定されている、ことを特徴とする空気入りタイヤ。 - 前記ブロックは、前記中央部分の高さが前記外周縁領域の高さの1.05〜1.3倍の範囲内である、ことを特徴とする請求項1に記載の空気入りタイヤ。
- 前記片側開口サイプは、溝幅が0.5〜3.0mmの範囲内に設定されている、ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の空気入りタイヤ。
- 前記片側開口サイプは、ブロック端での溝深さがブロック高さの30〜50%の範囲内に設定されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記片側開口サイプは、踏面での長さが2.0〜4.0mmの範囲内に設定されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
- 前記片側開口サイプは、前記ブロックの外周縁全体に渡って形成されている、ことを特徴とする請求項1乃至請求項5の何れか1項に記載の空気入りタイヤ。
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-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003119396A patent/JP2004322800A/ja active Pending
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WO2019229315A1 (fr) * | 2018-05-31 | 2019-12-05 | Compagnie Generale Des Etablissements Michelin | Bande de roulement de pneumatique pour vehicule lourd de type génie civil comprenant des incisions de ventilation |
FR3081773A1 (fr) * | 2018-05-31 | 2019-12-06 | Compagnie Generale Des Etablissements Michelin | Bande de roulement de pneumatique pour vehicule lourd de type genie civil comprenant des incisions de ventilation |
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