JP2004322785A - 車両事故原因解明システムおよび車両用事故状況記憶装置 - Google Patents

車両事故原因解明システムおよび車両用事故状況記憶装置 Download PDF

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Abstract

【課題】使用者等が車両事故時の車両状況が記憶された記憶内容を改ざんできないようにすると共に、交通事故等の事故原因を早期に解析することができるようにする。
【解決手段】車両事故が生じた後、事故状況解析装置に対してロックされたUIMカードが装着される。車両状況解析装置の制御部がUIMカードの制御回路に事故情報管理機関であることを証明する電子証明書を送信する。UIMカード側では制御回路が、当該電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことを認定した(S8:OK)後、記憶内容の情報を事故状況解析装置の制御部に送信し、当該制御部は車両事故時にロックされたUIMカードのメモリの記憶内容を読出す(S11)。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、交通事故等の事故原因を早期に解析することができる車両事故原因解明システムおよびそのシステムに使用される事故状況記憶装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、例えば不慮の交通事故,ひき逃げ事故等が問題となっている。このような車両事故の発生後には、警察等が交通事故発生時の道路状況,被害者の状態や被害車両の破損状態等を的確に把握し早期解決を図っている。しかし車両事故発生から時間が経過するにつれて事故原因が判明し難くなり原因を解明することが困難となる問題が生じる虞等があり、それと共にその他の利便性も向上することから、緊急通報システムが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このシステムは、車両の緊急事態(衝撃力)が検出された時に予め登録された緊急通報先に緊急通報するシステムである。
【0003】
【特許文献1】
特許第3331937号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、このようなシステムには例えば事故当時の状況を書込(書換)可能なデータ記憶媒体が使用される。このようなデータ記憶媒体として、例えばROM,RAM等のメモリやCD−RW、特許文献1に記載されているSIM(Subscriber Identity Module)カードが代表的に用いられる。しかしながら、このような記憶媒体を用いたシステムでは、事故時に、データ記憶媒体に記憶される記憶内容が使用者の悪意により改ざんされる虞がある。記憶内容が改ざんされてしまうと、交通事故原因を解析できない上に、交通事故事実をも抹消されてしまう虞も生じる。
【0005】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたもので、車両の使用者等が車両事故時の車両状況が記憶された記憶内容を改ざんできないようにしてセキュリティの向上を図ると共に、交通事故等の事故原因を早期に解析することができる車両事故原因解明システムおよびそのシステムに使用される事故状況記憶装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明によれば、次のように作用する。記憶制御手段は、記憶手段に車両の状況を逐次記憶させ、使用制限制御部は、事故判定部により車両事故が生じたことが判定されると記憶手段に記憶された記憶内容をロックする。この後、事故情報管理機関側の送信手段が、事故情報管理機関であることを証明する電子証明書を認定手段に送信すると、認定手段は電子証明書が事故情報管理機関から送信されたものであることを認定する。認定手段が、電子証明書が事故情報管理機関から送信されたものであることを認定すると、事故情報管理機関側の読出手段は、使用制限制御部によりロックされた記憶手段の記憶内容を読出すことができる。したがって、事故情報管理機関側では、車両事故が発生した当時の車両の状況を把握することができる。
【0007】
車両事故が生じたときには記憶手段の記憶内容がロックされるので、車両の使用者等が記憶内容を改ざんできなくなり、セキュリティの向上を図ることができる。しかも、認定手段により電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことが認定されると、読出手段が使用制限制御部によりロックされた記憶手段の記憶内容を読出可能になるため、事故情報管理機関側では、車両事故が発生した当時の車両状況を把握することができ、交通事故等の事故原因を早期に解析することができる。
【0008】
請求項2記載の発明によれば、解除手段は、認定手段により電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことが認定されロック解除要求を受付けることを条件として、使用制限制御部により記憶手段の記憶内容のロックを解除させるため、車両の使用者等が記憶手段を書込/読出可能になり、車両側で記憶手段を再度使用することができる。
【0009】
請求項3または4記載の発明によれば、記憶手段は、ICカードに内蔵されるメモリにより構成されており、また、認定手段は、ICカードに内蔵される制御回路により構成されるため、例えば使用者等が当該ICカードを携帯することで様々な用途(例えば、携帯電話機用のICカード)で使用することができ、汎用性を向上することができる。
【0010】
請求項5記載の発明によれば、記憶制御手段は、記憶手段に車両の状況を逐次記憶させ、ロック制御手段は、事故判定部により車両事故が生じたことが判定されると記憶手段に記憶された記憶内容を使用制限制御部にロックさせる。これにより、車両事故が生じたときには、記憶手段の記憶内容がロックされるので、車両の使用者等が記憶手段の記憶内容を改ざんできなくなり、セキュリティの向上を図ることができる。
【0011】
請求項6記載の発明によれば、請求項5記載の発明において、電子証明書が認定手段に送信されたとき、認定手段が、電子証明書が事故情報管理機関から送信されたものであることを認定すると、読出手段が、記憶手段に記憶された車両状況の記憶内容を読出可能になるので、電子証明書が事故情報管理機関から認定手段に送信されない限り記憶手段の記憶内容を読出すことができなくなり、さらにセキュリティの向上を図ることができる。
【0012】
請求項7記載の発明によれば、請求項5または6記載の発明において、解除手段は、認定手段により電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことが認定されロック解除要求を受付けると、記憶手段の記憶内容のロックを使用制限制御部に解除させるため、記憶手段を再度使用することができるようになる。
【0013】
請求項8記載の発明によれば、請求項5ないし7の何れかに記載の発明において、記憶手段がICカードに内蔵されるメモリにより構成されているので、記憶手段を携帯することができ、例えば携帯電話機等で使用することができるようになり利便性を向上することができる。
【0014】
請求項9記載の車両用事故状況記憶装置によれば、請求項6ないし8の何れかに記載の発明において、認定手段がICカードに内蔵される制御回路により構成されているので、記憶手段を携帯することができ、例えば携帯電話機等で使用することができるようになり、さらに利便性を向上することができる。
【0015】
尚、本発明における記憶内容のロックとは、記憶手段に記憶された内容の書換え,書込/読出制限(禁止)を行うという意味で用いられる電気的なロックや、必要に応じて、例えばロック機構による機械的なロック(錠)を総称している。尚、記憶内容の電気的なロックは、書換禁止,追加書込禁止,読出禁止にする意味を含む。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の車両事故原因解明システムについて図1ないし図5を参照しながら説明する。
車両事故原因解明システムAは、図2および図4に示すように、事故状況記憶装置1および事故情報管理機関側の事故状況解析装置201を有して構成されている。図2は、自動車(車両)内に搭載された車両状況記憶装置の概略的なブロック図を示している。この図2において、車両状況記憶装置1は、車両の例えばダッシュボード等,運転者が容易に触れることができない場所に搭載されるもので、I/O(入出力)部2を介して車内LAN100に電気的に接続されており、統括制御部3を主体として構成されている。統括制御部3は、CPUおよびメモリを備え(何れも図示せず)、メモリに記憶された制御用プログラムに基づいて車両状況記憶装置1全体を制御するもので、この統括制御部3には、事故判定部4、車両情報収集部5、電源部6、無線通信部7、GPS制御部8、車内録音部9、およびUIMI/F(UIMインターフェース)部10が接続されており、車両状況記憶装置1を構成している。
【0017】
また、この車両状況記憶装置1には、UIM(User Identity Module)カード20の装着用のスロット1aが設けられており、UIMカード20がこのスロット1aに装着されることにより、UIMI/F部10にUIMカード20がI/O部21を介して電気的に接続される。また、車両状況記憶装置1は、スロット1aのロック機構(図示せず)を有しており、統括制御部3の制御に基づいて、このロック機構によりUIMカード20を機械的にロックしスロット1aから取出不能にすることができる。このロック機構は、事故情報管理機関(後述する)側の解析者によりロックを解除できるように構成されている。
【0018】
ここで、UIMカード20の構成内容について説明する。UIMカード20は、制御回路22を主体として、この制御回路22に接続されるI/O部21,メモリ23から構成されており、ICカードとして機能しアプリケーション実行機能を有するものである。制御回路22は、メモリ23の制御を行うメモリ制御部22a、メモリ23の使用制限制御を主として行うメモリ使用制限制御部22b、セキュリティの制御を主として行うセキュリティ制御部22cに機能的に分割されて構成されている。
【0019】
メモリ制御部22aは、車両状況のメモリ23への書込/読出制御を主として行う機能ブロックであり、メモリ使用制限制御部22bは、メモリ23の改ざんを防ぐための機能ブロックであり、セキュリティ制御部22cは、電子証明書を利用したセキュリティ制御を行う機能ブロックであり、それぞれの機能ブロックが個別に機能的に動作する。UIMカード20のメモリ23には、認証局Bから発行された電子証明書が記憶される。
【0020】
ここで、電子証明書の内容について図3を参照して概略的に説明する。
認証局Bは、例えば公的機関(国や自治体や役所など)により管理されており、各関係機関等からの申請等を受付けるとネットワーク(図示せず)を通じて電子証明書を発行するようになっている。図3にその発行内容の説明を概略的に示している。認証局Bが例えば一般的なユーザからの申請を受付けると、一般ユーザ用の秘密鍵情報および公開鍵情報、公開鍵の持ち主情報(一般ユーザ情報)、発行した認証局Bの情報、その発行認証局Bの署名情報を含む一般ユーザ用の電子証明書を発行する。この一般ユーザ用の電子証明書は、ユーザ等によりUIMカード20のメモリ23に記憶される。
【0021】
また、認証局Bが、警察署,消防関係各署や保険会社等の事故情報管理機関からの申請を受付けると、その事故情報管理機関用の秘密鍵情報および公開鍵情報、公開鍵の持ち主情報(事故情報管理機関情報)、発行した認証局Bの情報、その発行認証局Bの署名情報を含む事故情報管理機関用の電子証明書を発行する。この事故情報管理機関用の電子証明書には、一般ユーザ用のUIMカード20が電気的にロックされていてもアクセス(読出/書込/書換)できる権限を有することを証明する情報も記録される。この発行された電子証明書は、パトカーや救急車等の緊急車両や保険会社等の車両に搭載される事故状況解析装置201のUIMカード202のメモリ220に記憶される(後述する図4参照)。このようにして電子証明書が発行される。
【0022】
図2に戻って、車両には車内LAN100が搭載されている。この車内LAN100には、エアバッグ装置101、衝突センサ装置102、全周囲カメラ装置103、メータ装置104、タイヤセンサ装置105、ステアリングセンサ装置106、エンジン装置107が接続されている。この車内LAN100は、この車内LAN100に接続された自動車内の各構成ブロック間で情報を送受信するために設けられている。
【0023】
衝突センサ装置102は、自動車の前部や後部に設けられた衝突センサ(Gセンサ;図示せず)により自動車の前部や後部が衝突したか否かを検出し、衝突を検出したときに衝突レベルを表わす衝突信号を車内LAN100を介してエアバッグ装置101や統括制御部3等に出力するようになっている。
【0024】
エアバッグ装置101は、衝突センサ装置102により出力された衝突信号を入力すると、この衝突信号が所定のしきい値を上回っているか否かを判定し、所定のしきい値を上回っている場合に自動車に搭載される前面エアバッグや側面エアバッグを短時間に展開し、エアバッグが展開されたときにエアバッグ作動信号を車内LAN100を介して統括制御部3等に出力する。
【0025】
全周囲カメラ装置103は、自動車の前後部や側部に設けられた撮像用カメラ(図示せず)により自動車の周辺画像を取得し、統括制御部3から画像の取得要求を受信したときには統括制御部3等に対して周辺画像の映像信号を出力する。
メータ装置104は、車輪速センサや車速センサ(何れも図示せず)により得られる車速信号を車内LAN100を介して統括制御部3等に出力する。また、メータ装置104は、燃料タンク内等に設けられるフューエルセンダやサーミスタ(何れも図示せず)に基づいて得られる燃料の残量情報によりメータ表示用機器(フューエルゲージ)を変化させるが、燃料の残量情報が所定の残量レベルよりも下回ったときに燃料の警告信号を外部に報知する。またメータ装置104は、エンジン周辺の冷却水路に設けられたサーモセンサにより得られるエンジン冷却水の水温情報によりメータ表示用機器(サーモゲージ)を変化させる。
【0026】
メータ装置104は、エンジン冷却水の水温が高いときには水温の警告信号を車内LAN100を介して統括制御部3等に出力するようになっていると共に、燃料の残量が所定の残量レベルを下回ったときには前述した燃料の警告信号を車内LAN100を介して統括制御部3等に出力するようになっている。
【0027】
また、メータ装置104は、車輪速センサや車速センサにより得られる車両の速度情報を表示するためのスピードメータや、燃料残量を表示するフューエルゲージや、エンジン冷却水の水温情報を表示するサーモゲージ等のメータ表示用機器が正常に動作しているか否かを検出し、異常を検出したときにメータ異常信号を車内LAN100を介して統括制御部3等に出力するようになっている。
【0028】
タイヤセンサ装置105は、空気圧センサ(図示せず)により計測されるタイヤの空気圧に基づいて適正な空気圧であるか否かを判定し、例えばパンク(バースト)したときには所定の空気圧よりも減少したことを検出し空気減圧信号を車内LAN100を介して統括制御部3等に出力するようになっている。
【0029】
ステアリングセンサ装置106は、自動車内のハンドル(図示せず)の切り角を示すステアリング切り角信号を車内LAN100を介して統括制御部3等に出力する。エンジン装置107は、エンジンが正常に動作しているか否かを検出し、エンジン状態信号を車内LAN100を介して統括制御部3等に出力するようになっている。
このような各装置が車内LAN100に接続されている。
【0030】
<車両状況記憶装置1に内蔵される各構成の説明>
以下、車両状況記憶装置1の各構成の説明を行う。
電源部6は、車両状況記憶装置1の各構成(統括制御部3,事故判定部4,車両情報収集部5,無線通信部7,GPS制御部8,車室内録音部9等)の電源を供給するようになっており、UIMカード20が接続されたときにはUIMカード20に対して電源を供給するようになっている。
【0031】
事故判定部4は、エアバッグ装置101から出力されるエアバッグ作動信号,もしくは衝突センサ装置102から出力される衝突信号を統括制御部3を介して入力すると、車両事故(交通事故)が発生したことを断定し事故発生信号を無線通信部7を介して外部の緊急通報センタ(図示せず)に通報するようになっている。
【0032】
尚、無線通信部7は、外部装置(図示せず)との間での双方向通信機能を備えたものであり、例えばパケット通信機、携帯電話機、自動車電話機などから構成されている通信部である。
【0033】
GPS制御部8は、図示しないGPS衛星からGPS信号をアンテナを介して受信するGPS受信機やジャイロスコープ、地磁気センサ等により自己の現在位置信号を取得し、当該現在位置信号を取得した取得時間を示す取得時間信号と共に統括制御部3や車両情報収集部5に出力するようになっている。車室内録音部9は、接続された車室内マイク12により車室内の音や搭乗者の会話を録音し、この録音信号を統括制御部3や車両情報収集部5に出力するようになっている。
車両情報収集部5は、統括制御部3を介して全周囲カメラ装置103に対して周辺画像の取得要求を送信することに基づいて自動車周辺画像の映像信号を入力するようになっている。また車両情報収集部5は、メータ装置104から出力される車速信号や、水温や燃料の警告信号を統括制御部3を介して入力するようになっている。
【0034】
また、車両情報収集部5は、タイヤセンサ装置105から出力される空気減圧信号を統括制御部3を介して入力するようになっており、ステアリングセンサ装置106から出力されるステアリング切り角信号を統括制御部3等を介して入力するようになっている。
【0035】
さらに、車両情報収集部5は、エンジン装置107から出力されるエンジン状態信号を統括制御部3を介して入力するようになっており、GPS制御部8から出力される現在位置信号およびその取得時間信号を入力するようになっており、車室内録音部9から出力される録音信号を入力するようになっている。
【0036】
<事故状況解析装置201について>
次に図4を参照しながら事故状況解析装置201の構成について説明を行う。上述したように事故状況解析装置201は、パトカーや救急車等の緊急車両や保険会社が所持する車両に搭載されており、事故の原因を解明するために用いられる。事故状況解析装置201は、全体の動作を制御する制御部203を主体として構成されている。この制御部203は、データ入出力制御部204を介してメモリ205に接続されている。また、制御部203は、データ入出力制御部204および印刷データ出力部206を介してプリンタ207に接続されている。このプリンタ207は、制御部203および印刷データ出力部206の制御に基づいて印字,印刷処理を行う。
【0037】
また、制御部203は、データ入出力制御部204および表示制御部208を介してディスプレイ209に接続されている。このディスプレイ209は、制御部203および表示制御部208の制御に基づいて各種データの表示を行う部分である。さらに、制御部203は、データ入出力制御部204およびキー操作検出部210を介してキー操作部211に接続されている。車両の使用者によりキー操作部211がキー操作入力されると、このキー信号がキー操作検出部210により検出され制御部203に与えられる。制御部203では、このキー信号に基づいて各種制御を行うように構成されている。
【0038】
また、制御部203には無線通信部212が接続されている。この無線通信部212は、制御部203の制御に基づいて外部と無線通信するために設けられている。さらに、メモリ205には、外部入出力制御部213を介して外部入出力装置214が接続されている。この外部入出力装置214は、CD−RやDAT、DVD−RWやHDD装置等により構成されており、制御部203の制御に基づいてデータの読出/書込可能に構成されている。
【0039】
また、事故状況解析装置201には、UIMカード装着用のスロット215が設けられており、UIMカード202がこのスロット215に装着されることにより、制御回路22がI/O部21およびUIMI/F部216を介して制御部203に電気的に接続されるようになる。
【0040】
さらに、事故状況解析装置201には、UIMカード202が装着されている。このUIMカード202は、制御回路217を主体としてこの制御回路217に接続されるI/O部218,メモリ220から構成されている。制御回路217には、メモリ220の制御を主体として行うメモリ制御部217aが内蔵されている。このUIMカード202のI/O部218は、UIMI/F部219を介して制御部203に接続されている。尚、事故状況解析装置201には、前述したように、電子証明書がUIMカード202のメモリ220に記憶されている。
【0041】
以下、上述構成の作用について説明する。
本実施形態では自動車に事故が生じたときの動作内容について説明する。尚、通常時(事故未発生時)において、UIMカード20側では、メモリ使用制限制御部22bがメモリ23の外部(統括制御部3側)からの書込/読出制限を解除しデータの入出力が可能になっている。車両状況記憶装置1側では、車両情報収集部5が上述したような映像信号、メータ異常信号、車速信号、水温や燃料の警告信号、空気減圧信号、ステアリング切り角信号、エンジン状態信号を入力すると、統括制御部3が、制御回路22に例えば所定周期(例えば1秒周期)でこの信号の内容を出力することに基づいて車両の状況を逐次メモリ23に記憶させる。尚、UIMカード20のメモリ23に記憶される記憶内容は例えば30秒間(数十秒間)保存され、順次上書きされる。
【0042】
このとき、車両の使用者が自動車を運転し車両事故を起こしたときには、自動車の前部もしくは後部等が衝撃を受ける。すると、衝突センサ装置102が衝突を検出し衝突信号をエアバッグ装置101および統括制御部3を介して事故判定部4に出力する。エアバッグ装置101は、上述した所定条件でエアバッグを作動させ、エアバッグが作動したときにはエアバッグ作動信号を統括制御部3を介して事故判定部4に出力する。事故判定部4では、この信号を入力すると車両事故が生じたことを判定し、事故発生信号を無線通信部7を介して外部の緊急通報センタ(図示せず)に通信出力すると共に、UIMI/F部10を介してUIMカード20の制御回路22のメモリ使用制限制御部22bに事故発生信号を出力する。
【0043】
メモリ使用制限制御部22bは、この事故発生信号を入力すると、メモリ23に記憶された記憶内容の外部からの書込/読出を制限し、メモリ23に対する外部からの読出,追加書込および書換を禁止(ロック)する。すなわち、仮にI/O部21を介して統括制御部3等から読出指示信号や追加書込指示信号,書換え指示信号等が制御回路22に与えられたとしても、制御回路22はメモリ使用制限制御部22bによりこの信号を受付けない。また、統括制御部3は、ロック機構によりスロット1aを機械的にロックし取出不能にする。これにより、車両の使用者等がメモリ23の記憶内容を改ざんできなくなる。
【0044】
<事故後の解析の流れについて>
以下、事故後に事故情報管理機関側で事故原因を解析する際の流れについて説明する。
事故後に事故情報管理機関が事故原因を解析するときには、メモリ23の記憶内容を読出す必要がある。そこで、事故情報管理機関側の解析者は、事故車両から機械的なロックを解除しUIMカード20を取出し、事故状況解析装置201のスロット215に装着する。制御部203は、この装着状態をUIMI/F部216に基づいて検知する。図1は、事故後の解析の流れをシーケンスにより示しており、公開鍵暗号方式を使用した電子署名を付加した通信の流れを示している。
【0045】
このとき、事故状況解析装置201においては、制御部203は、UIMカード20に読出要求を送信するための読出指示信号を作成し、当該読出指示信号のハッシュ値(以下、ハッシュ値▲1▼と称する)を算出し(S1)、ハッシュ値▲1▼をメモリ220に記憶された電子証明書中の秘密鍵情報で暗号化し電子署名を作成する(S2)。制御部203は、読出指示信号,電子署名および電子証明書をUIMカード20の制御回路22に送信し、読出要求を行う。このとき、UIMカード20側では、制御回路22が、送信された読出指示信号のハッシュ値(これをハッシュ値▲2▼と称する)を自身で算出すると共に(S3)、電子署名を公開鍵で復号化しハッシュ値▲1▼を取得する(S4)。制御回路22は、ハッシュ値▲1▼および▲2▼を比較し、この値が一致していなければ(S5:NG)、事故状況解析装置201の制御部203にエラー応答することで、制御回路22は読出要求を受付けず終了する(S6:NG)。
【0046】
一方、UIMカード20の制御回路22は、ハッシュ値▲1▼及び▲2▼の値が一致していれば(S5:OK)、送信された電子証明書の発行認証局の情報が、予めメモリ23に記憶された発行認証局の情報に一致しているか否かを判定する(S7)。すなわち、信頼できる認証局から発行された電子証明書であるか否かを検証する。この場合、制御回路22は発行認証局の情報が一致しなければ(S7:NG)、事故状況解析装置201側の制御部203にエラー応答することで、制御回路22は読出要求を受付けず終了する(S6:NG)。
【0047】
また、UIMカード20の制御回路22は、電子証明書のアクセス権限の情報が、電気的にロックされたUIMカード20にアクセス可能な権限を有しているか否かを判定する(S8)。この場合、制御回路22は、アクセス可能な権限を有していないことを判定した場合には(S8:NG)、事故状況解析装置201側の制御部203にエラー応答することで、制御回路22は読出要求を受付けず終了する(S6:NG)。
【0048】
制御回路22は、電子証明書のアクセス権限の情報がUIMカード20にアクセス可能であることを示す情報であることを確認すると、電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことを認定し(S8:OK)、事故状況解析装置201側の制御部203に確認応答し、受付メッセージを送信する。事故状況解析装置201側の制御部203は、この受付メッセージを受信すると(S6:OK)、車両状況の記憶内容の情報の送信を待機する。
【0049】
このとき、UIMカード20の制御回路22は、メモリ23から車両状況の記憶内容を読出し(S9)、送信された電子証明書中の公開鍵情報でこの記憶内容を暗号化し(S10)、この情報を送信する。事故状況解析装置201側の制御部203は、暗号化された車両状況の記憶内容を電子証明書の秘密鍵の情報で復号化して読出す(S11)。そして、制御部203はメモリ205やメモリ220に車両状況の記憶内容を保存し(S12)、解析する(S13)。したがって、事故情報管理機関側の制御部203は、メモリ使用制限制御部22bによりロックされたメモリ23の記憶内容を読み取ることに基づいて事故原因を解析することができる。
【0050】
この場合、車両事故が生じたときに、例えば、車両状況記憶装置1の筐体が破壊され無線通信部7等の通信手段に故障が発生したとしても、UIMカード20の記憶内容が破壊されていなければ、事故情報管理機関側の解析者がUIMカード20を取出して事故状況解析装置201のスロット215に装着することで、事故状況解析装置201の制御回路203が車両状況の記憶内容を読出し解析することができるので、たとえ無線通信手段等の通信手段により互いに通信できなくても事故当時の車両状況を解析することができる。
【0051】
<メモリ23のロック解除の流れについて>
以下、メモリ23の電気的なロック解除の流れについて説明する。前述したように、車両事故が発生すると、メモリ23にはメモリ使用制限制御部22bにより電気的なロック(読出禁止/書込禁止/書換禁止)がかかる。このとき、車両の使用者等がUIMカード20を再使用するためには、電気的なロックが解除される必要があり、このロック解除は事故状況解析装置201側から行われる。図5は、このロック解除の流れをシーケンス図で示している。
【0052】
このとき、事故状況解析装置201の制御部203は、ロック解除するためにUIMカード20側に送信するためのロック解除指示信号を作成し、ロック解除指示信号のハッシュ値(以下、ハッシュ値▲3▼と称する)を算出する(T1)。制御部203は、ハッシュ値▲3▼をメモリ220に記憶された電子証明書中の秘密鍵情報で暗号化し電子署名を作成する(T2)。制御部203は、ロック解除指示信号,電子署名および電子証明書をUIMカード20の制御回路22に送信し、ロック解除要求する。
【0053】
このとき、UIMカード20側では、制御回路22が、送信されたロック解除指示信号のハッシュ値(これをハッシュ値▲4▼と称する)を自身で算出する(T3)と共に、送付された電子証明書中の公開鍵で電子署名を復号化しハッシュ値▲3▼を取得する(T4)。制御回路22はハッシュ値▲3▼および▲4▼を比較し、この値が一致していなければ(T5:NG)、事故状況解析装置201の制御部203にエラー応答することで、制御回路22は、ロック解除要求を受付けず(T6:NG)終了する。
【0054】
一方、UIMカード20の制御回路22は、ハッシュ値▲3▼及び▲4▼の値が一致していれば(T5:OK)、電子証明書の発行認証局の情報が、予めメモリ23に記憶された発行認証局の情報に一致しているか否かを判定する(T7)。すなわち、前述と同様に信頼できる認証局から発行された電子証明書であるか否かを検証する。この場合、制御回路22は、発行認証局の情報が一致しなければ(T7:NG)、事故状況解析装置201側の制御部203にエラー応答することで、制御回路22はロック解除要求を受付けず終了する(T6:NG)。
【0055】
制御回路22は、電子証明書の発行認証局の情報が一致した場合には(T7:OK)、電子証明書中のアクセス権限の情報が電気的にロックされたUIMカード20にアクセス可能な権限を有しているか否かを判定する(T8)。この場合、制御回路22は、アクセス可能な権限を有していないことを判定した場合には(T8:NG)、事故状況解析装置201側の制御部203にエラー応答することで、制御回路22はロック解除要求を受付けず終了する(T6:NG)。
【0056】
制御回路22は、電子証明書のアクセス権限の情報がロックされたUIMカード20にアクセス可能であることを示す情報であることを確認すると、電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことを認定し(T8:OK)、メモリ使用制限制御部22bによりメモリ23の記憶内容のロックを解除させる(T9)。これにより、制御回路22がメモリ23の記憶内容のロックを解除することができ、再使用が可能になる。
【0057】
このような実施形態によれば、統括制御部3がUIMカード20のメモリ23に車両の状況を逐次記憶させ、事故判定部4により車両事故が生じたことが判定されると、メモリ23に記憶された記憶内容をメモリ使用制限制御部22bにより電気的にロックすると共にスロット1aのロック機構により機械的にロックする。この後、UIMカード20は事故状況解析装置201に装着され、車両状況解析装置201の制御部203が制御回路22に事故情報管理機関であることを証明する電子証明書を送信し、UIMカード20側では制御回路22が当該電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことを認定した後、記憶内容の情報を事故状況解析装置201の制御部203に送信しロックされたメモリ23の記憶内容を読出すため、事故情報管理機関側では、車両事故が発生した当時の車両の状況を把握することができる。さらに、車両事故が生じたときにはメモリ23の記憶内容がロックされるので、車両の使用者等がメモリ23に記憶された記憶内容を改ざんできなくなり、セキュリティの向上を図ることができる。したがって、車両事故が発生した当時の車両状況を把握することができ、交通事故等の事故原因を早期に解析することができる。
【0058】
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく、例えば次に示す変形、拡張が可能である。
統括制御部3がUIMカード20のメモリ23に車両状況を記憶させ、事故情報管理機関側の解析者により事故状況解析装置201のスロット215に装着され当該車両状況の記憶内容を読出す実施形態を示したが、事故判定部4により車両事故が生じたことが判定されると、統括制御部3がUIMカード20からこのメモリ23の車両状況の記憶内容を、無線通信部7および無線通信部212を通じて事故状況解析装置201側の制御部203に送信させるように構成し、事故状況解析装置201側の制御部203がメモリ220に記憶された電子証明書を自己で認定するように構成しても良い。
ICカードは、UIMカード20に限らず、SIMカードであってもよい。ICカードは携帯電話機に装着することが可能であるため、汎用性を向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す記憶手段の記憶内容の読出時のシーケンス図
【図2】電気的構成図(その1)
【図3】電子証明書の発行手順を示す説明図
【図4】電気的構成図(その2)
【図5】記憶手段の記憶内容のロック解除時のシーケンス図
【符号の説明】
1は車両状況記憶装置、3は統括制御部(記憶制御手段,ロック制御手段)、4は事故判定部、20はUIMカード(ICカード)、22は制御回路(解除手段,認定手段)、22bはメモリ使用制限制御部(使用制限制御部)、23はメモリ(記憶手段)、201は事故状況記憶装置、203は制御部(読出手段,送信手段)、Aは事故情報解明システム、Bは認証局である。

Claims (9)

  1. 記憶手段と、認定手段と、
    前記記憶手段に車両の状況を逐次記憶させる記憶制御手段と、
    車両事故を判定する事故判定部と、
    前記事故判定部により車両事故が生じたことが判定されると前記記憶手段に記憶された記憶内容をロックする使用制限制御部とを備え、
    事故情報管理機関側に、
    事故情報管理機関であることを証明する電子証明書を前記認定手段に送信する送信手段と、読出手段とを備え、
    事故情報管理機関側の読出手段が、前記送信手段により電子証明書が送信され前記認定手段により当該電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことが認定されたことを条件として、前記使用制限制御部によりロックされた前記記憶手段の記憶内容を読出可能に構成されていることを特徴とする車両事故原因解明システム。
  2. 解除手段を備え、
    前記解除手段は、前記認定手段により電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことが認定されロック解除要求を受付けることを条件として、前記使用制限制御部により前記記憶手段の記憶内容のロックを解除させることを特徴とする請求項1記載の車両事故原因解明システム。
  3. 前記記憶手段は、ICカードに内蔵されるメモリにより構成されることを特徴とする請求項1または2記載の車両事故原因解明システム。
  4. 前記認定手段は、ICカードに内蔵される制御回路により構成されることを特徴とする請求項1ないし3の何れかに記載の車両事故原因解明システム。
  5. 車両に搭載可能に構成され、
    記憶手段に車両の状況を逐次記憶させる記憶制御手段と、事故判定部と、この事故判定部により車両事故が生じたことが判定されると前記記憶手段に記憶された記憶内容を使用制限制御部にロックさせるロック制御手段とを備えたことを特徴とする車両用事故状況記憶装置。
  6. 認定手段を備え、
    前記記憶手段は、電子証明書が前記認定手段に送信されたとき、前記認定手段により当該電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことが認定されることを条件として、前記記憶された車両状況の記憶内容を事故情報管理機関側の読出手段により読出可能に構成されることを特徴とする請求項5記載の車両用事故状況記憶装置。
  7. 解除手段を備え、
    前記解除手段は、前記認定手段により電子証明書が事故情報管理機関から送信されたことが認定されロック解除要求を受付けることを条件として、前記記憶手段の記憶内容のロックを前記使用制限制御部に解除させることを特徴とする請求項5または6記載の車両用事故状況記憶装置。
  8. 前記記憶手段は、ICカードに内蔵されるメモリにより構成されていることを特徴とする請求項5ないし7の何れかに記載の車両用事故状況記憶装置。
  9. 前記認定手段は、ICカードに内蔵される制御回路により構成されていることを特徴とする請求項6ないし8の何れかに記載の車両用事故状況記憶装置。
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