JP2004322757A - 車両の後部車体構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】車体後部に形成された開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラー下部に対応してリヤフレーム後部を配設することにより、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図ることができ、車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、またリヤピラーを車体の後方面側に位置させたことで後突に対しても有利となる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【解決手段】車体の後部に車室内外を連通する開口部25が形成された車両の後部車体構造であって、上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラー41を設け、上記リヤピラー41は車体の後方面側に配設され、上記リヤピラー41の下部に対応してフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるリヤフレーム11の後部を配設したことを特徴とする。
【選択図】 図6
【解決手段】車体の後部に車室内外を連通する開口部25が形成された車両の後部車体構造であって、上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラー41を設け、上記リヤピラー41は車体の後方面側に配設され、上記リヤピラー41の下部に対応してフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるリヤフレーム11の後部を配設したことを特徴とする。
【選択図】 図6
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体の後部に車室内外を連通する開口部が形成されたような車両の後部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両の後部車体構造としては次のような構造がある。
すなわち、車体フロアの後部にフロア基準面より一段低く凹設された荷室フロアパン(いわゆる低床タイプのリヤフロア)を形成し、この荷室フロアパンからルーフ部までを大きく開口して、車室内外を連通する開口部を形成すると共に、開口部下域を開閉可能に覆うテールゲートを設け、また開口部上域を開閉可能に覆うリヤハッチバックドアを設けて、上記開口部をリヤハッチバックドアとテールゲートで開閉すべく構成した車両の後部車体構造である(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−47927号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来構造においては、リヤハッチバックドアおよびテールゲートを開放して、このテールゲートにより荷室と路面とを掛け渡した時、開放状態のテールゲートの上面がスロープ部材となって、このスロープ部材から上述の荷室に車椅子を乗り込ませることができる。
【0005】
このように上述のリヤハッチバックドアおよびテールゲートを開放すると、車体の後部に車室内外を連通する大きな開口部が開放形成されるので、この開口部を補強して充分な車体剛性の確保を図ることが要請される。
【0006】
そこで、この発明は、車体後部に形成された開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラー下部に対応してリヤフレーム後部を配設することにより、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図ることができ、車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、またリヤピラーを車体の後方面側に位置させたことで後突に対しても有利となる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両の後部車体構造は、車体の後部に車室内外を連通する開口部が形成された車両の後部車体構造であって、上記開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、上記リヤピラーは車体の後方面側に配設され、上記リヤピラーの下部に対応してフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるリヤフレームの後部を配設したものである。
【0008】
上記構成のリヤフレームは、リヤサイドフレームに設定してもよい。
上記構成によれば、上述の開口部の車幅方向口縁に沿って上下方向に延びる車体剛性部材としてのリヤピラーを設け、このリヤピラーの下部にはリヤフレーム後部を配設したので、上記開口部を大きく設定しても、車体剛性を確保することができる。
【0009】
つまり、大きな後部開口の形成と車体剛性の確保との両立を図ることができ、この結果、操縦安定性の向上を図ることができる。
また上述のリヤピラーが車体の後方面側に位置するので後突に対しても有利となる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記リヤピラーは車体後面の左右コーナ部より所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられたものである。
上記構成によれば、車体剛性(特にねじり剛性)をさらに向上させることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記リヤピラーの下部と上記リヤフレームの後端とが接続されたものである。
上記構成によれば、リヤピラーとリヤフレームとの接続構造により、骨格として強いフレームを形成することができるので、車体剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、車両後部にはリヤクオータウインドが設けられ、該リヤクオータウインドを車体側面からリヤピラーに向って車体後面まで廻り込ませて配設したものである。
【0013】
上記構成によれば、車体側面からリヤピラーに向けて車体後面まで廻り込むリヤクオータウインドを設けたので、外観意匠の向上を図ることができ、かつクオータピラーを細く形成しつつ、後方視界の向上を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネル上には複数列のシートが配設され、前列シートの後方のリヤフロアパネルを下方に凹設して凹設部を形成し、上記凹設部の後端を車室外方向に開放して上記開口部を形成し、上記凹設部を形成する車室側壁部には上記リヤフレームが設けられ、上記リヤフレームと対応した車室側壁部に後列シートを取付け支持したものである。
【0015】
上記構成の複数列は3列に設定してもよく、後列シートは3列目シートに設定してもよい。
上記構成によれば、リヤピラーおよびリヤフレームが配設された剛性が高い部分に後列シートが取付けられるので、後列シートの支持剛性が向上すると共に、上記凹設部の形成により上下寸法を確保することができるので、車両の前後長が短いコンパクトな車両であっても複数列のシート(特に3列目シート)の配設が可能となり、しかも後列シートの乗員の乗り心地を確保することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記リヤフレームはフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びると共に、上記凹設部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部を備え、該キックアップ部に後列シートが取付け支持されたものである。
【0017】
上記構成によれば、リヤピラーおよびリヤフレームが配設または接続された剛性が高い部分で、かつリヤフレームのうちの高剛性のキックアップ部に後列シートを取付け支持したので、後列シートの支持剛性がさらに向上し、かつ側突に対しても有利となり、側突時の安全性確保を図ることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記後列シートは凹設部の上部空間に引き出される使用状態と、車室側壁部に格納される格納状態とを択一的に選択すべく構造したものである。
【0019】
上記構成によれば、後列シートを凹設部の上部空間に引き出した時には、後列シートを座席として使用することができ、この後列シートを車室側壁部に格納した時には、凹設部および上部空間を荷室として使用することができ、この結果、ニーズに応じて座席と荷室との使い分けができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記車室側壁部には後列シートを格納するため車外方向に凹設された段部が形成され、上記段部の下方に上記キックアップ部が近接して車両の前後方向に配設されたものである。
【0021】
上記構成によれば、後列シートは車外方向に凹設された段部に格納されるので、この後列シートの格納時には凹設部および上部空間に広い荷室が形成され、この荷室を有効利用することができる。また上記段部の下方にはキックアップ部が近接配設されているので、後列シートの支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、上記リヤフレームのキックアップ部は後列シートの使用時においてシートクッションの高さ位置にて車両の前後方向に延設されたものである。
【0023】
上記構成によれば、その後端がリヤピラー下部に配設または接続されてなるリヤフレームのキックアップ部を、使用状態下の後列シートのシートクッションの高さ位置に延設したので、側突に対してより一層有利となり、側突時の安全性をさらに向上することができる。
【0024】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は後部車体構造を含む、車両の車体構造を示し図1、図2、図3において、エンジンルーム1と車室2とを前後に仕切るダッシュロアパネル3(ダッシュパネル)を設け、このダッシュロアパネル3の下端には後方に延びるフロアパネル4を接続している。
このフロアパネル4はキックアップ部4aと、このキックアップ部4aから後方に延びるリヤフロアパネル5とを含み、このリヤフロアパネル5が下方に凹設されて凹設部6を形成している。
【0025】
一方、上述のダッシュロアパネル3の前方にはエンジンルーム1内の左右を前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム7を設け、このフロントサイドフレーム7をダッシュロアパネル3に沿って下方かつ後方に延設すると共に、このフロントサイドフレーム7の後端部にはフロアフレーム8を接続している。
【0026】
上述の凹設部6は図3に示すように左右の車室側壁部9,9により形成され、これらの車室側壁部9,9には後述する3列目シート19を格納するために車外方向に凹設された段部10,10が形成されている。
【0027】
上述の凹設部6を形成する車室側壁部9において段部10の下端水平部10a(図1参照)外面には車両の前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム11,11(リヤサイドフレームアッパ)が設けられ、断面略逆ハット形状のリヤサイドフレーム11と車室側壁部9および段部10との間には同方向に延びる閉断面77(図14参照)が形成されている。
【0028】
これらのリヤサイドフレーム11,11はリヤフロアパネル5に沿って車両の前後方向に延び、その前端部はフロアフレーム8に接続されている。
また上述のリヤサイドフレーム11は図1に示すように凹設部6の前部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部12を備え、この剛性が高いキックアップ部12が図1、図3に示すように段部10の下方に近接して車両の前後方向に配設されている。
【0029】
さらに上述の凹設部6の下端に対応して、この凹設部6の底面と車室側壁部9における下部外面との間にはキックアップ部12と略平行に車両後方に延びる補強用のレインフォースメントとしてのリヤサイドフレームロア13を取付け、このリヤサイドフレームロア13と車室側壁部9との間には車両の前後方向に延びる閉断面14を形成している。
また上述の凹設部6の底面外部における前部および後端部には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ15,16を配設している。
【0030】
ところで、上述のフロアパネル4およびリヤフロアパネル5の上部には図1、図2に示すように、複数列のシートつまり1列目シート17と2列目シート18と3列目シート19とが前後方向に離間して配設されている。
【0031】
これらの各シート17,18,19はバケット・シート(bucket seat)に設定されているが、2列目シート18についてはベンチ・シートを採用することができる。
【0032】
1列目シート17はシートクッション17Cと、シートバック17Bと、ヘッドレスト17Hとを備え、この実施例では右側の1列目シート17がドライバーズシートに、左側の1列目シート17がパッセンジャーズシートにそれぞれ設定されている。
【0033】
2列目シート18はシートクッション18Cと、シートバック18Bと、ヘッドレスト18Hとを備え、この2列目シート18はキックアップ部4a後方のフロアパネル4よりも一段高い部分に配設されている。
【0034】
左右一対の各3列目シート19,19はそれぞれシートクッション19Cと、シートバック19Bとを備え、上述の凹設部6の上部空間90(図17参照)においてリヤサイドフレーム11のキックアップ部12と対応した車室側壁部9における段部10の下端水平部10aに取付けられ、この下端水平部10aにそれぞれ片持ち支持されている。
【0035】
ここで、上述の凹設部6は前列シート(1列目シート17参照)の取付け面より下方に凹設されたものであって、この凹設部6の内部には図1に示すように3列目シート19の乗員の足置きスペース20が形成されている。
【0036】
この実施例の車両は図4、図5、図6に示すように5ドア構造に構成されている。
すなわち、左右一対のフロントドア21,21と、左右一対のリヤドア22,22と、車体後面に設けられたリヤゲート23(上部リヤゲート)とを備えている。
【0037】
図1、図3、図6に示すように凹設部6の後方にはリヤエンドパネルを設けることなく、該凹設部6の後方がルーフ部24まで車室外方向に一体的に開放された開口部25を形成し、この車体の後部に形成された開口部25で車室内外を連通すべく構成している。
【0038】
そして、この開口部25を開閉可能に覆うリヤゲートを設けるが、図3〜図6の実施例においては、このリヤゲートは凹設部6を覆って上下方向に回動する下部リヤゲート26と、凹設部6の上方の開口部25a(図3参照)を覆って左右方向に開閉する単一の上部リヤゲート23とを備えている。
【0039】
下部リヤゲート26は車室側壁部9の外面下部に固定されたブラケット27の支点部28に開閉可能に枢支されると共に、図6に示すように該下部リヤゲート26の車幅方向両端部にはロック部材29,29を設けている。
【0040】
これらのロック部材29,29はリヤバンパ30の対応部に設けられたストライカ31により係合されるものである。
この下部リヤゲート26を後方かつ下方へ回動して、この下部リヤゲート26で凹設部6と路面とを掛け渡した時、開放状態の下部リヤゲート26上面がスロープ部材32に設定される。すなわち、スロープ部材32を兼ねる下部リヤゲート26が凹設部6の後端に設けられ、この下部リヤゲート26は車両側に折り畳み可能に設けられたものである。
【0041】
図1に示すように、この下部リヤゲート26で凹設部6を覆った状態下において、該下部リヤゲート26の前面には下部リヤゲート26の前面上部を支点として回動可能なランプ(ramp)部材33が設けられており、下部リヤゲート26で凹設部6と路面とを掛け渡した時、上述のランプ部材33を後方に反転回動させ、このランプ部材33の遊端を路面に接地して、路面と凹設部6との間に形成される傾斜角度を緩斜角に設定すべく構成している。
【0042】
一方、上部リヤゲート23は図6に示すように、車体後面に上下一対のヒンジ部材34,34を介して開閉可能に枢支されており、この上部リヤゲート23の遊端側中間部にはロック部材35が設けられている。
【0043】
このロック部材35は開口部25の対応位置に設けられたボディ側のストライカ(図示せず)により係合されるものであって、上部リヤゲート23のアウタパネルおよびインナパネルにはロック部材35のロック状態を車外側および車内側から解除するためのアウタハンドル36(図5参照)およびインナハンドル37(図6参照)を設けている。
【0044】
要するに、図4〜図6のリヤゲートは、凹設部6を覆う部分(下部リヤゲート26参照)と、その上方の開口部25a(図3参照)を覆う部分(上部リヤゲート23参照)とに上下に分割され、各リヤゲート23,26がそれぞれ独立して開閉可能に構成されたものであり、下部リヤゲート26のみの開閉と、上部リヤゲート23のみの開閉と、両リヤゲート23,26の開閉ができるように構成している。
【0045】
リヤゲートの構造は図4〜図6の構成に代えて、図7に示す構造を採用してもよい。
図7に示すリヤゲートは、凹設部6を覆って上下方向に回動する下部リヤゲート26と、凹設部6の上方の開口部25a(図3参照)を覆う左右一対の観音開き構造の上部リヤゲート38,39とを備えたものである。
【0046】
要するに、図7のリヤゲートは、凹設部6を覆う部分(下部リヤゲート26参照)と、その上方の開口部25a(図3参照)を覆う部分(上部リヤゲート38,39参照)とに上下に分割され、各リヤゲート26,38,39がそれぞれ独立して開閉可能に構成されたものであり、下部リヤゲート26のみの開閉と、左側の上部リヤゲート38のみの開閉と、右側の上部リヤゲート39のみの開閉と、何れか2つのリヤゲートのみの開閉と、全リヤゲート26,38,39の開閉ができるように構成している。
なお、図7において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0047】
ところで、上述の開口部25は図4、図6に示すように車体の後部に大きく開放形成されるので、同図に示すように、この開口部25の車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6まで上下方向に延びるリヤピラー41(図4、図6においては図示の便宜上、リヤヘッダ部およびリヤピラー部にハッチングを施している)を設けている。
【0048】
上述のリヤピラー41は図4、図6に示すように車体の後方面側に配設されている。すなわち、同図に示すように車体後面の左右コーナ部CL,CRよりも所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられている。
【0049】
図8は図6のA−A線に沿う要部の拡大断面図(但し、リヤゲート閉成時の断面図)であって、車体側面から車体後面にかけて一体的に車体外板を形成するキャブサイドアウタパネル42を設け、このキャブサイドアウタパネル42における上部リヤゲート23配設部を車両前方にL字状に屈曲形成して側面片42aと前面片42bとを一体形成している。
【0050】
そして、上述の側面片42aの反リヤゲート側(車幅方向外方側)にはレインフォースメント43を固定し、上部リヤゲート23側(車幅方向内方側)には前述のヒンジ部材34におけるボディ側ヒンジブラケット44を固定している。
【0051】
上述の上部リヤゲート23はアウタパネル45とインナパネル46とを有し、インナパネル46のヒンジ部材34取付け位置に対応して、該インナパネル46のリヤゲート内部にはレインフォースメント47を固定し、リヤゲート外側部にはゲート側ヒンジブラケット48を固定し、このゲート側ヒンジブラケット48とボディ側ヒンジブラケット44とをヒンジピン49にて開閉可能に連結している。
【0052】
上述のキャブサイドアウタパネル42の内側において開口部25に沿って上下方向に延びるリヤピラーインナパネル50を設け、このリヤピラーインナパネル50の車外側にはリヤピラーインナレインフォースメント51を接合して、これら両者50,51間に上下方向に延びる閉断面52を形成している。
【0053】
上述のキャブサイドアウタパネル42の前面片42b、リヤピラーインナレインフォースメント51およびリヤピラーインナパネル50の三者には車両後方に指向して一体的に接合される接合フランジ部がそれぞれ一体形成され、これら三者の接合部にはシール部材としてのウエザストリップ53を嵌着して、ボディ側と上部リヤゲート23側とをシールすべく構成している。
【0054】
また上述のリヤピラーインナパネル50の車室側にはトリム部材54を配設している。
ここで、上述のリヤピラー41は、車両後部に設けられたリヤクオータウインド55(図6、図10参照)と対応する上域部においては図10に示すようにキャブサイドアウタパネル42とリヤピラーインナパネル50とで構成され、それよりも下部の下域部においては図8に示すようにリヤピラーインナパネル50とリヤピラーインナレインフォースメント51とで構成されている。
【0055】
リヤピラー41の下域部における閉断面52(図8参照)はその上域部における閉断面56(図10参照)と上下方向に連続する。
【0056】
図9、図11に示すように上述のリヤサイドフレーム11のキックアップ部12は、リヤピラー41の下部に対応してリヤフロアパネル5に沿って車両の前後方向に延びる車体剛性部材であって、図9、図11に示すようにリヤピラー41の下部にはリヤサイドフレーム11のキックアップ部12後端を接続すると共に、このリヤサイドフレーム11の下方部において該リヤサイドフレーム11と略平行に後方に延びるリヤサイドフレームロア13の後端をリヤピラー41の下端に接続している。
【0057】
図9は後部車体構造を車室内側から見た状態で示す斜視図、図10は図9のB−B線矢視断面図であって、リヤドア22(図4参照)と対応する部分にはリヤドア開口部57が設けられ、後輪58(図1参照)と対応する部分にはホイールハウス59が設けられ、リヤクオータウインド55と対応する部分にはウインド開口部60が設けられている。
【0058】
また上述のリヤドア開口部57とウインド開口部60との間には車体側面を上下方向に延びるクオータピラー61を設けている。
左右一対のクオータピラー61は図10に示すようにキャブサイドアウタパネル42と、クオータピラーインナパネル62とを接合して、車両の上下方向に延びる閉断面63を有する車体剛性部材であって、これら左右の各クオータピラー61の上端部相互間は、ルーフ24の下面を車幅方向に延びるルーフクロスメンバ64(図1参照)に接続されている。
【0059】
図10に示すように、ウインド開口部60に対応して車両後部に設けられた上述のリヤクオータウインド55は、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込ませて配設されている。
【0060】
ところで、上述の後輪58,58は図2に示すようにトーションビーム形式のリヤサスペンション65で懸架され、かつ図3、図6に示すように左右のリヤピラー41,41の下方に対応させて該リヤサスペンション65のリヤダンパ66を配設している。
【0061】
そして、図3、図6に示すようにホイールハウス59の上部において上述のクオータピラー61とリヤピラー41との間を車両の前後方向に接続するフレーム部材としてのサスペンション支持メンバ67を設けている。
【0062】
このサスペンション支持メンバ67は図6にハッチングを施して示すように、クオータピラー61から後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込み、この廻り込み部が上述のリヤピラー41に接続されたものである。
【0063】
図3に示すようにサスペンション支持メンバ67の直下におけるホイールハウス59下面にはスペーサブラケット71が設けられ、リヤサスペンション65におけるリヤダンパ66の上部は該スペーサブラケット71に取付けられている。つまり、リヤピラー41とリヤダンパ66の上部とはサスペンション支持メンバ67で接続されている。
【0064】
図11は凹設部6の側面図であって、この凹設部6を形成する車室側壁9の上部にはキックアップ部12が、下部にはリヤサイドフレームロア13がそれぞれ取付けられており、上側のキックアップ部12後端はリヤピラー41の下部に接続され、下側のリヤサイドフレームロア13後端はリヤピラー41の下端に接続されている。
【0065】
上述のキックアップ部12の後端にはリヤピラー41を介してクラッシュカン等のエネルギ吸収部材72を設け、このエネルギ吸収部材72の後端にバンパブラケット73を取付けている。
【0066】
同様に上述のリヤサイドフレームロア13の後端にはリヤピラー41を介してクラッシュカン等のエネルギ吸収部材74を設け、このエネルギ吸収部材74の後端にバンパブラケット75を取付けている。
【0067】
そして上下の各バンパブラケット73,75には前述したリヤバンパ30を取付けて、後突荷重をリヤサイドフレーム11のキックアップ部12とリヤサイドフレームロア13とに分散して伝達すべく構成している。
【0068】
図11に示す構成に代えて、図12の構成を採用してもよい。すなわち、図11の構成ではリヤピラー41を開口部25の車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6下端まで上下方向に延設したが、図12の構成ではリヤピラー41を上方の開口部25aの車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6上端まで上下方向に延設したものである。
【0069】
この図12の構造の場合には、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12の後端と、リヤサイドフレームロア13の後端との間にリヤブラケット46を取付け、このリヤブラケット76に上述のエネルギ吸収部材72,74を取付ける。
【0070】
図13は凹設部6の斜視図、図14は図13のC−C線矢視断面図であって、車外方向に凹設された段部10(図9参照)の下端水平部10aの下面車外側に沿って車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム11のキックアップ部12と、下端水平部10aとの間には同方向に延びる閉断面77が形成されている。
【0071】
またキックアップ部12の外面とリヤサイドフレームロア13の外面との間には補強部材78を取付けて、各要素9,12,13,78間にも閉断面79を形成し、車体剛性の向上と、後突に対する耐力の向上との両立を図るように構成している。
【0072】
次に図15、図16を参照して3列目シート19の支持構造について説明する。但し、左右の3列目シート19の支持構造は左右ほぼ対称に構成されているので、ここでは右側の3列目シート19の支持構造について説明する。
【0073】
上述の3列目シート19は方形枠状のシートクッションフレーム80と、このシートクッションフレーム80にリクライニングナックル81を介して前倒可能に設けられた方形枠状のシートバックフレーム82と、シートクッションフレーム80の車内側片内方に接合された突片83,83に対して起伏可能に枢支された凹状のシートステー84とを備えている。ここで、上述の各フレーム80,82およびシートステー84は金属製パイプ部材にて構成されている。
【0074】
上述のシートクッションフレーム80の前後両片外面には可動側のブラケット85,85を接合固定する一方、前述の段部10における下端水平部10aには固定側のブラケット86,86をボルトアップしている。
【0075】
そして、前後一対の固定側のブラケット86,86における立上り片に支軸87,87を介して前後一対の可動側のブラケット85,85を枢支させている。つまり、シートクッションフレーム80を車室側壁部9の段部10における下端水平部10aに片持ち構造にて支持したものである。
【0076】
またシートステー84の下片下面には前後一対のストライカ88,88を突設し、このストライカ88,88を凹設部6側のロック部材89でロックすべく構成している。
【0077】
図15に示す使用状態の3列目シート19を図16に示すように格納する場合には、まずロック部材89,89によるストライカ88,88のロックを解除すると共に、シートステー84およびシートバックフレーム82をシートクッションフレーム80側へ折り畳む。
その後、支軸87を支点として各要素80,82,84を一体的に段部10側へ上方回動させると、3列目シート19は図16、図17に示すように格納される。
【0078】
逆に図16に示す格納状態の3列目シート19を図15に示すように使用状態と成す場合には、まず支軸87を支点として各要素80,82,84を一体的に段部10から凹設部6の上部空間90(図11,図12、図17参照)に引出す。
【0079】
次に、シートステー84を下方へ引き起こし、その下部のストライカ88,88を凹設部6側のロック部材89,89にてロックし、このシートステー84によるシート支持と、ロック部材89によるロック構造とで、シート支持剛性の向上を図る。
【0080】
次に、リクライニングナックル81を介してシートバックフレーム82を着座状態に引き起こすと、3列目シート19は図15、図3に示すように使用状態となり、この3列目シート19の使用状態時において、シートクッション19C、シートクッションフレーム80は図3、図15に示すように、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12とほぼ同等の高さ位置となる。
【0081】
換言すれば、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12は3列目シート19の使用時におけるシートクッション19C、シートクッションフレーム80の高さ位置とほぼ同等の高さ位置において車両の前後方向に延設された車体剛性部材である。
【0082】
要するに、後列シートとしての3列目シート19は凹設部6の上方に配設されたものであって、左右一対の3列目シート19は図3、図15に示すように凹設部6の上部空間90に引出される使用状態と、図16、図17に示すように車室側壁部9の段部10に格納される格納状態とを、左側のシート19と右側のシート19とがそれぞれ独立して択一的に選択できるように構成したものであり、左右両方の3列目シート19,19を共に使用状態に設定すると、左右のシートクッション19C,19Cが車幅方向に連続して、連続したクッション面が形成され、また左右両方の3列目シート19,19を共に格納状態に設定すると、格納状態のシートクッション19Cと車室側壁部9とがほぼフラットになり、シートクッション19Cが上部空間90側へ出っ張らないので、凹設部6および上部空間90上に広い荷室を形成することができる。
【0083】
なお、図中、91はステアリングホイール、92は前輪、93はリヤウインドガラスである。また図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示すものである。
【0084】
このように上記実施例の車両の後部車体構造は、車体の後部に車室内外を連通する開口部25が形成された車両の後部車体構造であって、上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラー41を設け、上記リヤピラー41は車体の後方面側に配設され、上記リヤピラー41の下部に対応してフロアパネル4に沿って車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム11の後部を配設したものである。
【0085】
この構成によれば、上述の開口部25の車幅方向口縁に沿って上下方向に延びる車体剛性部材としてのリヤピラー41を設け、このリヤピラー41の下部にはリヤサイドフレーム11後部を配設したので、上記開口部25を大きく設定しても、車体剛性を確保することができる。
【0086】
つまり、大きな後部開口の形成と車体剛性の確保との両立を図ることができ、この結果、操縦安定性の向上を図ることができる。
また上述のリヤピラー41が車体の後方面側に位置するので後突に対しても有利となる。
【0087】
さらに、上記リヤピラー41は車体後面の左右コーナー部CL,CRより所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられたものである。
この構成によれば、車体剛性(特にねじり剛性)をさらに向上させることができる。
【0088】
しかも、上記リヤピラー41の下部と上記リヤサイドフレーム11の後端とが接続されたものである。
この構成によれば、リヤピラー41とリヤサイドフレーム11との接続構造により、骨格として強いフレームを形成することができるので、車体剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0089】
加えて、車両後部にはリヤクオータウインド55が設けられ、該リヤクオータウインド55を車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込ませて配設したものである。
【0090】
この構成によれば、車体側面からリヤピラー41に向けて車体後面まで廻り込むリヤクオータウインド55を設けたので、外観意匠の向上を図ることができ、かつクオータピラー55を細く形成しつつ、後方視界の向上を図ることができる。
【0091】
また、上記フロアパネル4上には複数列のシート17,18,19が配設され、前列シート17の後方のリヤフロアパネル5を下方に凹設して凹設部6を形成し、上記凹設部6の後端を車室外方向に開放して上記開口部25を形成し、上記凹設部6を形成する車室側壁部9には上記リヤサイドフレーム11が設けられ、上記リヤサイドフレーム11と対応した車室側壁部9に後列シート(3列目シート19参照)を取付け支持したものである。
【0092】
この構成によれば、リヤピラー41およびリヤサイドフレーム11が配設された剛性が高い部分に後列シート(3列目シート19参照)が取付けられるので、後列シートの支持剛性が向上すると共に、上記凹設部6の形成により上下寸法を確保することができるので、車両の前後長が短いコンパクトな車両であっても複数列のシート(特に3列目シート)の配設が可能となり、しかも後列シート(3列目シート19参照)の乗員の乗り心地を確保することができる。
【0093】
さらに、上記リヤサイドフレーム11はフロアパネル4に沿って車両の前後方向に延びると共に、上記凹設部6より後方で上方にキックアップしたキックアップ部12を備え、該キックアップ部12に後列シート(3列目シート19参照)が取付け支持されたものである。
【0094】
この構成によれば、リヤピラー41およびリヤサイドフレーム11が配設または接続された剛性が高い部分で、かつリヤサイドフレーム11のうちの高剛性のキックアップ部12に後列シート(3列目シート19参照)を取付け支持したので、後列シートの支持剛性がさらに向上し、かつ側突に対しても有利となり、側突時の安全性確保を図ることができる。
【0095】
加えて、上記後列シート(3列目シート19参照)は凹設部6の上部空間90(図17参照)に引き出される使用状態と、車室側壁部9に格納される格納状態とを択一的に選択すべく構造したものである。
【0096】
この構成によれば、後列シート(3列目シート19参照)を凹設部6の上部空間90(図17参照)に引き出した時には、後列シートを座席として使用することができ、この後列シートを車室側壁部9に格納した時には、凹設部6および上部空間90を荷室として使用することができ、この結果、ニーズに応じて座席と荷室との使い分けができる。
【0097】
また、上記車室側壁部9には後列シート(3列目シート19参照)を格納するため車外方向に凹設された段部10(図3参照)が形成され、上記段部10の下方に上記キックアップ部12が近接して車両の前後方向に配設されたものである。
【0098】
この構成によれば、後列シート(3列目シート19参照)は車外方向に凹設された段部10に格納されるので、この後列シートの格納時には凹設部6および上部空間90に広い荷室が形成され、この荷室を有効利用することができる。また上記段部10の下方にはキックアップ部12が近接配設されているので、後列シートの支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0099】
さらに、上記リヤサイドフレーム11のキックアップ部12は後列シート(3列目シート19参照)の使用時においてそのシートクッション19Cの高さ位置にて車両の前後方向に延設されたものである。
【0100】
この構成によれば、その後端がリヤピラー41下部に配設または接続されてなるリヤサイドフレーム11のキックアップ部12を、使用状態下の後列シートのシートクッション19Cの高さ位置に延設したので、側突に対してより一層有利となり、側突時の安全性をさらに向上することができる。
【0101】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のリヤフレームは、実施例のリヤサイドフレーム11に対応し、
以下同様に、
後列シートは、3列目シート19に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0102】
【発明の効果】
この発明によれば、車体後部に形成された開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラー下部に対応してリヤフレーム後部を配設したので、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図ることができ、車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、またリヤピラーを車体の後方面側に位置させたことで後突に対しても有利となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の後部車体構造を備えた車両の側面図。
【図2】複数列シートの配設構造を示す平面図。
【図3】車両の背面図。
【図4】車両の斜視図。
【図5】リヤゲート構造を示す斜視図。
【図6】後部車体構造を示す斜視図。
【図7】リヤゲート構造の他の実施例を示す斜視図。
【図8】図6のA−A線矢視断面図。
【図9】後部車体構造を車室内側から見た状態で示す斜視図。
【図10】図9のB−B線矢視断面図。
【図11】後部車体構造を示す要部の側面図。
【図12】後部車体構造の他の実施例を示す側面図。
【図13】図11の要部斜視図。
【図14】図13のC−C線矢視断面図。
【図15】後列シートの支持構造を示す斜視図。
【図16】後列シートの格納状態を示す斜視図。
【図17】シート格納時の車両の背面図。
【符号の説明】
4…フロアパネル
5…リヤフロアパネル
6…凹設部
9…車室側壁部
10…段部
11…リヤサイドフレーム(リヤフレーム)
12…キックアップ部
17,18…シート
19…3列目シート(後列シート)
19C…シートクッション
25…開口部
41…リヤピラー
55…リヤクオータウインド
90…上部空間
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体の後部に車室内外を連通する開口部が形成されたような車両の後部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両の後部車体構造としては次のような構造がある。
すなわち、車体フロアの後部にフロア基準面より一段低く凹設された荷室フロアパン(いわゆる低床タイプのリヤフロア)を形成し、この荷室フロアパンからルーフ部までを大きく開口して、車室内外を連通する開口部を形成すると共に、開口部下域を開閉可能に覆うテールゲートを設け、また開口部上域を開閉可能に覆うリヤハッチバックドアを設けて、上記開口部をリヤハッチバックドアとテールゲートで開閉すべく構成した車両の後部車体構造である(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−47927号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上述の従来構造においては、リヤハッチバックドアおよびテールゲートを開放して、このテールゲートにより荷室と路面とを掛け渡した時、開放状態のテールゲートの上面がスロープ部材となって、このスロープ部材から上述の荷室に車椅子を乗り込ませることができる。
【0005】
このように上述のリヤハッチバックドアおよびテールゲートを開放すると、車体の後部に車室内外を連通する大きな開口部が開放形成されるので、この開口部を補強して充分な車体剛性の確保を図ることが要請される。
【0006】
そこで、この発明は、車体後部に形成された開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラー下部に対応してリヤフレーム後部を配設することにより、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図ることができ、車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、またリヤピラーを車体の後方面側に位置させたことで後突に対しても有利となる車両の後部車体構造の提供を目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両の後部車体構造は、車体の後部に車室内外を連通する開口部が形成された車両の後部車体構造であって、上記開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、上記リヤピラーは車体の後方面側に配設され、上記リヤピラーの下部に対応してフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるリヤフレームの後部を配設したものである。
【0008】
上記構成のリヤフレームは、リヤサイドフレームに設定してもよい。
上記構成によれば、上述の開口部の車幅方向口縁に沿って上下方向に延びる車体剛性部材としてのリヤピラーを設け、このリヤピラーの下部にはリヤフレーム後部を配設したので、上記開口部を大きく設定しても、車体剛性を確保することができる。
【0009】
つまり、大きな後部開口の形成と車体剛性の確保との両立を図ることができ、この結果、操縦安定性の向上を図ることができる。
また上述のリヤピラーが車体の後方面側に位置するので後突に対しても有利となる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記リヤピラーは車体後面の左右コーナ部より所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられたものである。
上記構成によれば、車体剛性(特にねじり剛性)をさらに向上させることができる。
【0011】
この発明の一実施態様においては、上記リヤピラーの下部と上記リヤフレームの後端とが接続されたものである。
上記構成によれば、リヤピラーとリヤフレームとの接続構造により、骨格として強いフレームを形成することができるので、車体剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、車両後部にはリヤクオータウインドが設けられ、該リヤクオータウインドを車体側面からリヤピラーに向って車体後面まで廻り込ませて配設したものである。
【0013】
上記構成によれば、車体側面からリヤピラーに向けて車体後面まで廻り込むリヤクオータウインドを設けたので、外観意匠の向上を図ることができ、かつクオータピラーを細く形成しつつ、後方視界の向上を図ることができる。
【0014】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネル上には複数列のシートが配設され、前列シートの後方のリヤフロアパネルを下方に凹設して凹設部を形成し、上記凹設部の後端を車室外方向に開放して上記開口部を形成し、上記凹設部を形成する車室側壁部には上記リヤフレームが設けられ、上記リヤフレームと対応した車室側壁部に後列シートを取付け支持したものである。
【0015】
上記構成の複数列は3列に設定してもよく、後列シートは3列目シートに設定してもよい。
上記構成によれば、リヤピラーおよびリヤフレームが配設された剛性が高い部分に後列シートが取付けられるので、後列シートの支持剛性が向上すると共に、上記凹設部の形成により上下寸法を確保することができるので、車両の前後長が短いコンパクトな車両であっても複数列のシート(特に3列目シート)の配設が可能となり、しかも後列シートの乗員の乗り心地を確保することができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記リヤフレームはフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びると共に、上記凹設部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部を備え、該キックアップ部に後列シートが取付け支持されたものである。
【0017】
上記構成によれば、リヤピラーおよびリヤフレームが配設または接続された剛性が高い部分で、かつリヤフレームのうちの高剛性のキックアップ部に後列シートを取付け支持したので、後列シートの支持剛性がさらに向上し、かつ側突に対しても有利となり、側突時の安全性確保を図ることができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記後列シートは凹設部の上部空間に引き出される使用状態と、車室側壁部に格納される格納状態とを択一的に選択すべく構造したものである。
【0019】
上記構成によれば、後列シートを凹設部の上部空間に引き出した時には、後列シートを座席として使用することができ、この後列シートを車室側壁部に格納した時には、凹設部および上部空間を荷室として使用することができ、この結果、ニーズに応じて座席と荷室との使い分けができる。
【0020】
この発明の一実施態様においては、上記車室側壁部には後列シートを格納するため車外方向に凹設された段部が形成され、上記段部の下方に上記キックアップ部が近接して車両の前後方向に配設されたものである。
【0021】
上記構成によれば、後列シートは車外方向に凹設された段部に格納されるので、この後列シートの格納時には凹設部および上部空間に広い荷室が形成され、この荷室を有効利用することができる。また上記段部の下方にはキックアップ部が近接配設されているので、後列シートの支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0022】
この発明の一実施態様においては、上記リヤフレームのキックアップ部は後列シートの使用時においてシートクッションの高さ位置にて車両の前後方向に延設されたものである。
【0023】
上記構成によれば、その後端がリヤピラー下部に配設または接続されてなるリヤフレームのキックアップ部を、使用状態下の後列シートのシートクッションの高さ位置に延設したので、側突に対してより一層有利となり、側突時の安全性をさらに向上することができる。
【0024】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は後部車体構造を含む、車両の車体構造を示し図1、図2、図3において、エンジンルーム1と車室2とを前後に仕切るダッシュロアパネル3(ダッシュパネル)を設け、このダッシュロアパネル3の下端には後方に延びるフロアパネル4を接続している。
このフロアパネル4はキックアップ部4aと、このキックアップ部4aから後方に延びるリヤフロアパネル5とを含み、このリヤフロアパネル5が下方に凹設されて凹設部6を形成している。
【0025】
一方、上述のダッシュロアパネル3の前方にはエンジンルーム1内の左右を前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム7を設け、このフロントサイドフレーム7をダッシュロアパネル3に沿って下方かつ後方に延設すると共に、このフロントサイドフレーム7の後端部にはフロアフレーム8を接続している。
【0026】
上述の凹設部6は図3に示すように左右の車室側壁部9,9により形成され、これらの車室側壁部9,9には後述する3列目シート19を格納するために車外方向に凹設された段部10,10が形成されている。
【0027】
上述の凹設部6を形成する車室側壁部9において段部10の下端水平部10a(図1参照)外面には車両の前後方向に延びる左右一対のリヤサイドフレーム11,11(リヤサイドフレームアッパ)が設けられ、断面略逆ハット形状のリヤサイドフレーム11と車室側壁部9および段部10との間には同方向に延びる閉断面77(図14参照)が形成されている。
【0028】
これらのリヤサイドフレーム11,11はリヤフロアパネル5に沿って車両の前後方向に延び、その前端部はフロアフレーム8に接続されている。
また上述のリヤサイドフレーム11は図1に示すように凹設部6の前部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部12を備え、この剛性が高いキックアップ部12が図1、図3に示すように段部10の下方に近接して車両の前後方向に配設されている。
【0029】
さらに上述の凹設部6の下端に対応して、この凹設部6の底面と車室側壁部9における下部外面との間にはキックアップ部12と略平行に車両後方に延びる補強用のレインフォースメントとしてのリヤサイドフレームロア13を取付け、このリヤサイドフレームロア13と車室側壁部9との間には車両の前後方向に延びる閉断面14を形成している。
また上述の凹設部6の底面外部における前部および後端部には、車幅方向に延びるリヤクロスメンバ15,16を配設している。
【0030】
ところで、上述のフロアパネル4およびリヤフロアパネル5の上部には図1、図2に示すように、複数列のシートつまり1列目シート17と2列目シート18と3列目シート19とが前後方向に離間して配設されている。
【0031】
これらの各シート17,18,19はバケット・シート(bucket seat)に設定されているが、2列目シート18についてはベンチ・シートを採用することができる。
【0032】
1列目シート17はシートクッション17Cと、シートバック17Bと、ヘッドレスト17Hとを備え、この実施例では右側の1列目シート17がドライバーズシートに、左側の1列目シート17がパッセンジャーズシートにそれぞれ設定されている。
【0033】
2列目シート18はシートクッション18Cと、シートバック18Bと、ヘッドレスト18Hとを備え、この2列目シート18はキックアップ部4a後方のフロアパネル4よりも一段高い部分に配設されている。
【0034】
左右一対の各3列目シート19,19はそれぞれシートクッション19Cと、シートバック19Bとを備え、上述の凹設部6の上部空間90(図17参照)においてリヤサイドフレーム11のキックアップ部12と対応した車室側壁部9における段部10の下端水平部10aに取付けられ、この下端水平部10aにそれぞれ片持ち支持されている。
【0035】
ここで、上述の凹設部6は前列シート(1列目シート17参照)の取付け面より下方に凹設されたものであって、この凹設部6の内部には図1に示すように3列目シート19の乗員の足置きスペース20が形成されている。
【0036】
この実施例の車両は図4、図5、図6に示すように5ドア構造に構成されている。
すなわち、左右一対のフロントドア21,21と、左右一対のリヤドア22,22と、車体後面に設けられたリヤゲート23(上部リヤゲート)とを備えている。
【0037】
図1、図3、図6に示すように凹設部6の後方にはリヤエンドパネルを設けることなく、該凹設部6の後方がルーフ部24まで車室外方向に一体的に開放された開口部25を形成し、この車体の後部に形成された開口部25で車室内外を連通すべく構成している。
【0038】
そして、この開口部25を開閉可能に覆うリヤゲートを設けるが、図3〜図6の実施例においては、このリヤゲートは凹設部6を覆って上下方向に回動する下部リヤゲート26と、凹設部6の上方の開口部25a(図3参照)を覆って左右方向に開閉する単一の上部リヤゲート23とを備えている。
【0039】
下部リヤゲート26は車室側壁部9の外面下部に固定されたブラケット27の支点部28に開閉可能に枢支されると共に、図6に示すように該下部リヤゲート26の車幅方向両端部にはロック部材29,29を設けている。
【0040】
これらのロック部材29,29はリヤバンパ30の対応部に設けられたストライカ31により係合されるものである。
この下部リヤゲート26を後方かつ下方へ回動して、この下部リヤゲート26で凹設部6と路面とを掛け渡した時、開放状態の下部リヤゲート26上面がスロープ部材32に設定される。すなわち、スロープ部材32を兼ねる下部リヤゲート26が凹設部6の後端に設けられ、この下部リヤゲート26は車両側に折り畳み可能に設けられたものである。
【0041】
図1に示すように、この下部リヤゲート26で凹設部6を覆った状態下において、該下部リヤゲート26の前面には下部リヤゲート26の前面上部を支点として回動可能なランプ(ramp)部材33が設けられており、下部リヤゲート26で凹設部6と路面とを掛け渡した時、上述のランプ部材33を後方に反転回動させ、このランプ部材33の遊端を路面に接地して、路面と凹設部6との間に形成される傾斜角度を緩斜角に設定すべく構成している。
【0042】
一方、上部リヤゲート23は図6に示すように、車体後面に上下一対のヒンジ部材34,34を介して開閉可能に枢支されており、この上部リヤゲート23の遊端側中間部にはロック部材35が設けられている。
【0043】
このロック部材35は開口部25の対応位置に設けられたボディ側のストライカ(図示せず)により係合されるものであって、上部リヤゲート23のアウタパネルおよびインナパネルにはロック部材35のロック状態を車外側および車内側から解除するためのアウタハンドル36(図5参照)およびインナハンドル37(図6参照)を設けている。
【0044】
要するに、図4〜図6のリヤゲートは、凹設部6を覆う部分(下部リヤゲート26参照)と、その上方の開口部25a(図3参照)を覆う部分(上部リヤゲート23参照)とに上下に分割され、各リヤゲート23,26がそれぞれ独立して開閉可能に構成されたものであり、下部リヤゲート26のみの開閉と、上部リヤゲート23のみの開閉と、両リヤゲート23,26の開閉ができるように構成している。
【0045】
リヤゲートの構造は図4〜図6の構成に代えて、図7に示す構造を採用してもよい。
図7に示すリヤゲートは、凹設部6を覆って上下方向に回動する下部リヤゲート26と、凹設部6の上方の開口部25a(図3参照)を覆う左右一対の観音開き構造の上部リヤゲート38,39とを備えたものである。
【0046】
要するに、図7のリヤゲートは、凹設部6を覆う部分(下部リヤゲート26参照)と、その上方の開口部25a(図3参照)を覆う部分(上部リヤゲート38,39参照)とに上下に分割され、各リヤゲート26,38,39がそれぞれ独立して開閉可能に構成されたものであり、下部リヤゲート26のみの開閉と、左側の上部リヤゲート38のみの開閉と、右側の上部リヤゲート39のみの開閉と、何れか2つのリヤゲートのみの開閉と、全リヤゲート26,38,39の開閉ができるように構成している。
なお、図7において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略する。
【0047】
ところで、上述の開口部25は図4、図6に示すように車体の後部に大きく開放形成されるので、同図に示すように、この開口部25の車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6まで上下方向に延びるリヤピラー41(図4、図6においては図示の便宜上、リヤヘッダ部およびリヤピラー部にハッチングを施している)を設けている。
【0048】
上述のリヤピラー41は図4、図6に示すように車体の後方面側に配設されている。すなわち、同図に示すように車体後面の左右コーナ部CL,CRよりも所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられている。
【0049】
図8は図6のA−A線に沿う要部の拡大断面図(但し、リヤゲート閉成時の断面図)であって、車体側面から車体後面にかけて一体的に車体外板を形成するキャブサイドアウタパネル42を設け、このキャブサイドアウタパネル42における上部リヤゲート23配設部を車両前方にL字状に屈曲形成して側面片42aと前面片42bとを一体形成している。
【0050】
そして、上述の側面片42aの反リヤゲート側(車幅方向外方側)にはレインフォースメント43を固定し、上部リヤゲート23側(車幅方向内方側)には前述のヒンジ部材34におけるボディ側ヒンジブラケット44を固定している。
【0051】
上述の上部リヤゲート23はアウタパネル45とインナパネル46とを有し、インナパネル46のヒンジ部材34取付け位置に対応して、該インナパネル46のリヤゲート内部にはレインフォースメント47を固定し、リヤゲート外側部にはゲート側ヒンジブラケット48を固定し、このゲート側ヒンジブラケット48とボディ側ヒンジブラケット44とをヒンジピン49にて開閉可能に連結している。
【0052】
上述のキャブサイドアウタパネル42の内側において開口部25に沿って上下方向に延びるリヤピラーインナパネル50を設け、このリヤピラーインナパネル50の車外側にはリヤピラーインナレインフォースメント51を接合して、これら両者50,51間に上下方向に延びる閉断面52を形成している。
【0053】
上述のキャブサイドアウタパネル42の前面片42b、リヤピラーインナレインフォースメント51およびリヤピラーインナパネル50の三者には車両後方に指向して一体的に接合される接合フランジ部がそれぞれ一体形成され、これら三者の接合部にはシール部材としてのウエザストリップ53を嵌着して、ボディ側と上部リヤゲート23側とをシールすべく構成している。
【0054】
また上述のリヤピラーインナパネル50の車室側にはトリム部材54を配設している。
ここで、上述のリヤピラー41は、車両後部に設けられたリヤクオータウインド55(図6、図10参照)と対応する上域部においては図10に示すようにキャブサイドアウタパネル42とリヤピラーインナパネル50とで構成され、それよりも下部の下域部においては図8に示すようにリヤピラーインナパネル50とリヤピラーインナレインフォースメント51とで構成されている。
【0055】
リヤピラー41の下域部における閉断面52(図8参照)はその上域部における閉断面56(図10参照)と上下方向に連続する。
【0056】
図9、図11に示すように上述のリヤサイドフレーム11のキックアップ部12は、リヤピラー41の下部に対応してリヤフロアパネル5に沿って車両の前後方向に延びる車体剛性部材であって、図9、図11に示すようにリヤピラー41の下部にはリヤサイドフレーム11のキックアップ部12後端を接続すると共に、このリヤサイドフレーム11の下方部において該リヤサイドフレーム11と略平行に後方に延びるリヤサイドフレームロア13の後端をリヤピラー41の下端に接続している。
【0057】
図9は後部車体構造を車室内側から見た状態で示す斜視図、図10は図9のB−B線矢視断面図であって、リヤドア22(図4参照)と対応する部分にはリヤドア開口部57が設けられ、後輪58(図1参照)と対応する部分にはホイールハウス59が設けられ、リヤクオータウインド55と対応する部分にはウインド開口部60が設けられている。
【0058】
また上述のリヤドア開口部57とウインド開口部60との間には車体側面を上下方向に延びるクオータピラー61を設けている。
左右一対のクオータピラー61は図10に示すようにキャブサイドアウタパネル42と、クオータピラーインナパネル62とを接合して、車両の上下方向に延びる閉断面63を有する車体剛性部材であって、これら左右の各クオータピラー61の上端部相互間は、ルーフ24の下面を車幅方向に延びるルーフクロスメンバ64(図1参照)に接続されている。
【0059】
図10に示すように、ウインド開口部60に対応して車両後部に設けられた上述のリヤクオータウインド55は、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込ませて配設されている。
【0060】
ところで、上述の後輪58,58は図2に示すようにトーションビーム形式のリヤサスペンション65で懸架され、かつ図3、図6に示すように左右のリヤピラー41,41の下方に対応させて該リヤサスペンション65のリヤダンパ66を配設している。
【0061】
そして、図3、図6に示すようにホイールハウス59の上部において上述のクオータピラー61とリヤピラー41との間を車両の前後方向に接続するフレーム部材としてのサスペンション支持メンバ67を設けている。
【0062】
このサスペンション支持メンバ67は図6にハッチングを施して示すように、クオータピラー61から後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込み、この廻り込み部が上述のリヤピラー41に接続されたものである。
【0063】
図3に示すようにサスペンション支持メンバ67の直下におけるホイールハウス59下面にはスペーサブラケット71が設けられ、リヤサスペンション65におけるリヤダンパ66の上部は該スペーサブラケット71に取付けられている。つまり、リヤピラー41とリヤダンパ66の上部とはサスペンション支持メンバ67で接続されている。
【0064】
図11は凹設部6の側面図であって、この凹設部6を形成する車室側壁9の上部にはキックアップ部12が、下部にはリヤサイドフレームロア13がそれぞれ取付けられており、上側のキックアップ部12後端はリヤピラー41の下部に接続され、下側のリヤサイドフレームロア13後端はリヤピラー41の下端に接続されている。
【0065】
上述のキックアップ部12の後端にはリヤピラー41を介してクラッシュカン等のエネルギ吸収部材72を設け、このエネルギ吸収部材72の後端にバンパブラケット73を取付けている。
【0066】
同様に上述のリヤサイドフレームロア13の後端にはリヤピラー41を介してクラッシュカン等のエネルギ吸収部材74を設け、このエネルギ吸収部材74の後端にバンパブラケット75を取付けている。
【0067】
そして上下の各バンパブラケット73,75には前述したリヤバンパ30を取付けて、後突荷重をリヤサイドフレーム11のキックアップ部12とリヤサイドフレームロア13とに分散して伝達すべく構成している。
【0068】
図11に示す構成に代えて、図12の構成を採用してもよい。すなわち、図11の構成ではリヤピラー41を開口部25の車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6下端まで上下方向に延設したが、図12の構成ではリヤピラー41を上方の開口部25aの車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6上端まで上下方向に延設したものである。
【0069】
この図12の構造の場合には、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12の後端と、リヤサイドフレームロア13の後端との間にリヤブラケット46を取付け、このリヤブラケット76に上述のエネルギ吸収部材72,74を取付ける。
【0070】
図13は凹設部6の斜視図、図14は図13のC−C線矢視断面図であって、車外方向に凹設された段部10(図9参照)の下端水平部10aの下面車外側に沿って車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム11のキックアップ部12と、下端水平部10aとの間には同方向に延びる閉断面77が形成されている。
【0071】
またキックアップ部12の外面とリヤサイドフレームロア13の外面との間には補強部材78を取付けて、各要素9,12,13,78間にも閉断面79を形成し、車体剛性の向上と、後突に対する耐力の向上との両立を図るように構成している。
【0072】
次に図15、図16を参照して3列目シート19の支持構造について説明する。但し、左右の3列目シート19の支持構造は左右ほぼ対称に構成されているので、ここでは右側の3列目シート19の支持構造について説明する。
【0073】
上述の3列目シート19は方形枠状のシートクッションフレーム80と、このシートクッションフレーム80にリクライニングナックル81を介して前倒可能に設けられた方形枠状のシートバックフレーム82と、シートクッションフレーム80の車内側片内方に接合された突片83,83に対して起伏可能に枢支された凹状のシートステー84とを備えている。ここで、上述の各フレーム80,82およびシートステー84は金属製パイプ部材にて構成されている。
【0074】
上述のシートクッションフレーム80の前後両片外面には可動側のブラケット85,85を接合固定する一方、前述の段部10における下端水平部10aには固定側のブラケット86,86をボルトアップしている。
【0075】
そして、前後一対の固定側のブラケット86,86における立上り片に支軸87,87を介して前後一対の可動側のブラケット85,85を枢支させている。つまり、シートクッションフレーム80を車室側壁部9の段部10における下端水平部10aに片持ち構造にて支持したものである。
【0076】
またシートステー84の下片下面には前後一対のストライカ88,88を突設し、このストライカ88,88を凹設部6側のロック部材89でロックすべく構成している。
【0077】
図15に示す使用状態の3列目シート19を図16に示すように格納する場合には、まずロック部材89,89によるストライカ88,88のロックを解除すると共に、シートステー84およびシートバックフレーム82をシートクッションフレーム80側へ折り畳む。
その後、支軸87を支点として各要素80,82,84を一体的に段部10側へ上方回動させると、3列目シート19は図16、図17に示すように格納される。
【0078】
逆に図16に示す格納状態の3列目シート19を図15に示すように使用状態と成す場合には、まず支軸87を支点として各要素80,82,84を一体的に段部10から凹設部6の上部空間90(図11,図12、図17参照)に引出す。
【0079】
次に、シートステー84を下方へ引き起こし、その下部のストライカ88,88を凹設部6側のロック部材89,89にてロックし、このシートステー84によるシート支持と、ロック部材89によるロック構造とで、シート支持剛性の向上を図る。
【0080】
次に、リクライニングナックル81を介してシートバックフレーム82を着座状態に引き起こすと、3列目シート19は図15、図3に示すように使用状態となり、この3列目シート19の使用状態時において、シートクッション19C、シートクッションフレーム80は図3、図15に示すように、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12とほぼ同等の高さ位置となる。
【0081】
換言すれば、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12は3列目シート19の使用時におけるシートクッション19C、シートクッションフレーム80の高さ位置とほぼ同等の高さ位置において車両の前後方向に延設された車体剛性部材である。
【0082】
要するに、後列シートとしての3列目シート19は凹設部6の上方に配設されたものであって、左右一対の3列目シート19は図3、図15に示すように凹設部6の上部空間90に引出される使用状態と、図16、図17に示すように車室側壁部9の段部10に格納される格納状態とを、左側のシート19と右側のシート19とがそれぞれ独立して択一的に選択できるように構成したものであり、左右両方の3列目シート19,19を共に使用状態に設定すると、左右のシートクッション19C,19Cが車幅方向に連続して、連続したクッション面が形成され、また左右両方の3列目シート19,19を共に格納状態に設定すると、格納状態のシートクッション19Cと車室側壁部9とがほぼフラットになり、シートクッション19Cが上部空間90側へ出っ張らないので、凹設部6および上部空間90上に広い荷室を形成することができる。
【0083】
なお、図中、91はステアリングホイール、92は前輪、93はリヤウインドガラスである。また図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示すものである。
【0084】
このように上記実施例の車両の後部車体構造は、車体の後部に車室内外を連通する開口部25が形成された車両の後部車体構造であって、上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラー41を設け、上記リヤピラー41は車体の後方面側に配設され、上記リヤピラー41の下部に対応してフロアパネル4に沿って車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム11の後部を配設したものである。
【0085】
この構成によれば、上述の開口部25の車幅方向口縁に沿って上下方向に延びる車体剛性部材としてのリヤピラー41を設け、このリヤピラー41の下部にはリヤサイドフレーム11後部を配設したので、上記開口部25を大きく設定しても、車体剛性を確保することができる。
【0086】
つまり、大きな後部開口の形成と車体剛性の確保との両立を図ることができ、この結果、操縦安定性の向上を図ることができる。
また上述のリヤピラー41が車体の後方面側に位置するので後突に対しても有利となる。
【0087】
さらに、上記リヤピラー41は車体後面の左右コーナー部CL,CRより所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられたものである。
この構成によれば、車体剛性(特にねじり剛性)をさらに向上させることができる。
【0088】
しかも、上記リヤピラー41の下部と上記リヤサイドフレーム11の後端とが接続されたものである。
この構成によれば、リヤピラー41とリヤサイドフレーム11との接続構造により、骨格として強いフレームを形成することができるので、車体剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0089】
加えて、車両後部にはリヤクオータウインド55が設けられ、該リヤクオータウインド55を車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込ませて配設したものである。
【0090】
この構成によれば、車体側面からリヤピラー41に向けて車体後面まで廻り込むリヤクオータウインド55を設けたので、外観意匠の向上を図ることができ、かつクオータピラー55を細く形成しつつ、後方視界の向上を図ることができる。
【0091】
また、上記フロアパネル4上には複数列のシート17,18,19が配設され、前列シート17の後方のリヤフロアパネル5を下方に凹設して凹設部6を形成し、上記凹設部6の後端を車室外方向に開放して上記開口部25を形成し、上記凹設部6を形成する車室側壁部9には上記リヤサイドフレーム11が設けられ、上記リヤサイドフレーム11と対応した車室側壁部9に後列シート(3列目シート19参照)を取付け支持したものである。
【0092】
この構成によれば、リヤピラー41およびリヤサイドフレーム11が配設された剛性が高い部分に後列シート(3列目シート19参照)が取付けられるので、後列シートの支持剛性が向上すると共に、上記凹設部6の形成により上下寸法を確保することができるので、車両の前後長が短いコンパクトな車両であっても複数列のシート(特に3列目シート)の配設が可能となり、しかも後列シート(3列目シート19参照)の乗員の乗り心地を確保することができる。
【0093】
さらに、上記リヤサイドフレーム11はフロアパネル4に沿って車両の前後方向に延びると共に、上記凹設部6より後方で上方にキックアップしたキックアップ部12を備え、該キックアップ部12に後列シート(3列目シート19参照)が取付け支持されたものである。
【0094】
この構成によれば、リヤピラー41およびリヤサイドフレーム11が配設または接続された剛性が高い部分で、かつリヤサイドフレーム11のうちの高剛性のキックアップ部12に後列シート(3列目シート19参照)を取付け支持したので、後列シートの支持剛性がさらに向上し、かつ側突に対しても有利となり、側突時の安全性確保を図ることができる。
【0095】
加えて、上記後列シート(3列目シート19参照)は凹設部6の上部空間90(図17参照)に引き出される使用状態と、車室側壁部9に格納される格納状態とを択一的に選択すべく構造したものである。
【0096】
この構成によれば、後列シート(3列目シート19参照)を凹設部6の上部空間90(図17参照)に引き出した時には、後列シートを座席として使用することができ、この後列シートを車室側壁部9に格納した時には、凹設部6および上部空間90を荷室として使用することができ、この結果、ニーズに応じて座席と荷室との使い分けができる。
【0097】
また、上記車室側壁部9には後列シート(3列目シート19参照)を格納するため車外方向に凹設された段部10(図3参照)が形成され、上記段部10の下方に上記キックアップ部12が近接して車両の前後方向に配設されたものである。
【0098】
この構成によれば、後列シート(3列目シート19参照)は車外方向に凹設された段部10に格納されるので、この後列シートの格納時には凹設部6および上部空間90に広い荷室が形成され、この荷室を有効利用することができる。また上記段部10の下方にはキックアップ部12が近接配設されているので、後列シートの支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0099】
さらに、上記リヤサイドフレーム11のキックアップ部12は後列シート(3列目シート19参照)の使用時においてそのシートクッション19Cの高さ位置にて車両の前後方向に延設されたものである。
【0100】
この構成によれば、その後端がリヤピラー41下部に配設または接続されてなるリヤサイドフレーム11のキックアップ部12を、使用状態下の後列シートのシートクッション19Cの高さ位置に延設したので、側突に対してより一層有利となり、側突時の安全性をさらに向上することができる。
【0101】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のリヤフレームは、実施例のリヤサイドフレーム11に対応し、
以下同様に、
後列シートは、3列目シート19に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0102】
【発明の効果】
この発明によれば、車体後部に形成された開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラー下部に対応してリヤフレーム後部を配設したので、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図ることができ、車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、またリヤピラーを車体の後方面側に位置させたことで後突に対しても有利となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の後部車体構造を備えた車両の側面図。
【図2】複数列シートの配設構造を示す平面図。
【図3】車両の背面図。
【図4】車両の斜視図。
【図5】リヤゲート構造を示す斜視図。
【図6】後部車体構造を示す斜視図。
【図7】リヤゲート構造の他の実施例を示す斜視図。
【図8】図6のA−A線矢視断面図。
【図9】後部車体構造を車室内側から見た状態で示す斜視図。
【図10】図9のB−B線矢視断面図。
【図11】後部車体構造を示す要部の側面図。
【図12】後部車体構造の他の実施例を示す側面図。
【図13】図11の要部斜視図。
【図14】図13のC−C線矢視断面図。
【図15】後列シートの支持構造を示す斜視図。
【図16】後列シートの格納状態を示す斜視図。
【図17】シート格納時の車両の背面図。
【符号の説明】
4…フロアパネル
5…リヤフロアパネル
6…凹設部
9…車室側壁部
10…段部
11…リヤサイドフレーム(リヤフレーム)
12…キックアップ部
17,18…シート
19…3列目シート(後列シート)
19C…シートクッション
25…開口部
41…リヤピラー
55…リヤクオータウインド
90…上部空間
Claims (9)
- 車体の後部に車室内外を連通する開口部が形成された車両の後部車体構造であって、
上記開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、
上記リヤピラーは車体の後方面側に配設され、
上記リヤピラーの下部に対応してフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるリヤフレームの後部を配設した
車両の後部車体構造。 - 上記リヤピラーは車体後面の左右コーナ部より所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられた
請求項1記載の車両の後部車体構造。 - 上記リヤピラーの下部と上記リヤフレームの後端とが接続された
請求項1または2記載の車両の後部車体構造。 - 車両後部にはリヤクオータウインドが設けられ、該リヤクオータウインドを車体側面からリヤピラーに向って車体後面まで廻り込ませて配設した
請求項1〜3の何れか1に記載に車両の後部車体構造。 - 上記フロアパネル上には複数列のシートが配設され、
前列シートの後方のリヤフロアパネルを下方に凹設して凹設部を形成し、
上記凹設部の後端を車室外方向に開放して上記開口部を形成し、
上記凹設部を形成する車室側壁部には上記リヤフレームが設けられ、
上記リヤフレームと対応した車室側壁部に後列シートを取付け支持した
請求項1〜4の何れか1に記載の車両の後部車体構造。 - 上記リヤフレームはフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びると共に、
上記凹設部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部を備え、
該キックアップ部に後列シートが取付け支持された
請求項5記載の車両の後部車体構造。 - 上記後列シートは凹設部の上部空間に引き出される使用状態と、車室側壁部に格納される格納状態とを択一的に選択すべく構造した
請求項6記載の車両の後部車体構造。 - 上記車室側壁部には後列シートを格納するため車外方向に凹設された段部が形成され、
上記段部の下方に上記キックアップ部が近接して車両の前後方向に配設された
請求項7記載の車両の後部車体構造。 - 上記リヤフレームのキックアップ部は後列シートの使用時においてシートクッションの高さ位置にて車両の前後方向に延設された
請求項8記載の車両の後部車体構造。
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Cited By (2)
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JP2014097699A (ja) * | 2012-11-13 | 2014-05-29 | Honda Motor Co Ltd | 車体後部構造 |
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-
2003
- 2003-04-23 JP JP2003117854A patent/JP2004322757A/ja not_active Abandoned
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