JP2004322804A - 車両の下部車体構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】車体後部の開口部に車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設けて、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラーとリヤダンパの上部とをフレーム部材で接続するとにより、大きな後部開口の形成と、車体剛性確保との両立を図ることができ、かつ所望の車高の確保とサスペンション支持剛性の確保とが両立でき、また車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、さらにリヤピラーが車体の後方面側に位置することで、後突に対しても有利となる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【解決手段】車体の後部に車室内外を連通する開口部25を備えた車両において、上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラー41を設け、上記リヤピラー41を車体の後方面側に配設すると共に、上記リヤピラー41の下方に対応させてリヤサスペンションのリヤダンパ66を配設し、上記リヤピラー41とリヤダンパ66の上部とをフレーム部材67で接続したことを特徴とする。
【選択図】 図7
【解決手段】車体の後部に車室内外を連通する開口部25を備えた車両において、上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラー41を設け、上記リヤピラー41を車体の後方面側に配設すると共に、上記リヤピラー41の下方に対応させてリヤサスペンションのリヤダンパ66を配設し、上記リヤピラー41とリヤダンパ66の上部とをフレーム部材67で接続したことを特徴とする。
【選択図】 図7
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体の後部に車室内外を連通する開口部が形成されたような車両の下部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両の下部車体構造としては次のような構造がある。
すなわち、車体のリヤフロアの後部のリヤフロア基準面より一段低く凹設された荷室フロアパン(いわゆる低床タイプのリヤフロア)を形成し、この凹状の荷室フロアパンからルーフ部までを大きく開口して、車室内外を連通する開口部を形成すると共に、開口部下域を開閉可能に覆うテールゲートを設け、また開口部上域を開閉可能に覆うリヤハッチバックドアを設けて、上記開口部をリヤハッチバックドアとテールゲートで開閉すべく構成した車両の下部車体構造である(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−47927号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように上述のリヤハッチバックドアおよびテールゲートを開放すると、車体の後部に車室内外を連通する大きな開口部が開放形成されるので、この開口部を補強して充分な車体剛性の確保を図ることが要請される。
【0005】
そこで、この発明は、車体後部の開口部に車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設けて、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラーとリヤダンパの上部とをフレーム部材で接続するとにより、大きな後部開口の形成と、車体剛性確保との両立を図ることができ、かつ所望の車高の確保とサスペンション支持剛性の確保とが両立でき、また車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、さらにリヤピラーが車体の後方面側に位置することで、後突に対しても有利となる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両の下部車体構造は、車体の後部に車室内外を連通する開口部を備えた車両において、上記開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、上記リヤピラーを車体の後方面側に配設すると共に、上記リヤピラーの下方に対応させてリヤサスペンションのリヤダンパを配設し、上記リヤピラーとリヤダンパの上部とをフレーム部材で接続したものである。
【0007】
上記構成のリヤサスペンションは、トーションビーム形成のリヤサスペンションに設定してもよく、またフレーム部材はサスペンション支持メンバに設定してもよい。
【0008】
上記構成によれば、車体の後方面側において上記開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びる構造部材としてのリヤピラーを設けたので、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図り、車体剛性が確保されることで操縦安定性の向上を図ることができるうえ、上記リヤピラーが車体の後方面側に位置するので、後突に対しても有利となる。
【0009】
しかも、リヤサスペンションのリヤダンパ上部と上述のリヤピラーとをフレーム部材にて接続したので、所望の車高を確保しつつ、サスペンション支持剛性の向上を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記フレーム部材は車体側面を上下方向に延びるクオータピラーと、上記リヤピラーとの間を車両の前後方向に接続するように設けられたものである。
【0011】
上記構成によれば、上述のフレーム部材で閉断面構造部材としてのクオータピラーと、閉断面構造部材としてのリヤピラーとを車両の前後方向に接続したので、車体剛性のさらなる向上と、ダンパ支持剛性の向上とを両立することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記フレーム部材はクオータピラーから後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラーに向って車体後面まで廻り込み、廻り込み部がリヤピラーに接続されたものである。
上記構成によれば、廻り込み形状のフレーム部材でクオータピラーとリヤピラーとの間を確実に接続することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記リヤピラーの下方に対応してフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるリヤフレームの後部が配設されたものである。
【0014】
上記構成のリヤフレームは、左右一対のリヤサイドフレームに設定してもよい。
上記構成によれば、少なくともリヤピラーと、フレーム部材と、リヤフレームとの各構造部材を備えているので、全体的な車体剛性がさらに向上する。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記リヤピラーの下部と上記リヤフレームの後端とが接続されたものである。
上記構成によれば、リヤピラーとリヤダンパ上部とを接続するフレーム部材にて所望の車高確保、サスペンション支持剛性向上を図りつつ、リヤピラーとリヤフレームとの両者の接続構造により骨格として強いフレームを形成することができるので、全体的な車体剛性をより一層向上させることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネル上には複数列のシートが配設され、前列シートの後方のリヤフロアパネルを下方に凹設して凹設部が形成され、上記凹設部の後端が車室外方向に開放されると共に、上記凹設部を形成する車室側壁部には車両の前後方向に延びる一対のリヤフレームが設けられ、上記リヤフレームと対応する車室側壁部に後列シートを取付け支持したものである。
【0017】
上記構成の複数列シートは、3列シートに設定してもよく、後列シートは3列目シートに設定してもよい。
上記構成によれば、リヤピラーおよびリヤフレームが配設された剛性の高い部部に後列シートが取付けられるので、この後列シートの支持剛性が向上すると共に、上記凹設部の形成により上下寸法を確保することができるので、車両の前後長さが短く、コンパクトな車両であっても複数列シート(特に3列のシート)を配設することができ、かつ後列シートの乗員の乗り心地を確保することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記リヤフレームはフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びると共に、凹設部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部を備え、上記キックアップ部に後列シートが取付け支持されたものである。
上記構成によれば、キックアップ部は剛性が高いので、後列シートの支持剛性がさらに向上し、かつ側突に対しても有利となる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記後列シートは凹設部の上部空間に引出される使用状態と、車室側壁部に格納される格納状態とを択一的に選択すべく構成したものである。
【0020】
上記構成によれば、後列シートをキックアップ部に支持して、その支持剛性向上を図りつつも、該後列シートを凹設部の上部空間に引出した時には、後列シートを座席として使用することができ、この後列シートを車室側壁部に格納した時には、凹設部および上部空間を荷室として使用することができる。この結果、ニーズに応じて座席と荷室との使い分けができる。
【0021】
この発明の一実施態様においては、上記車室側壁部には後列シートを格納するため車外方向に凹設された段部が形成され、該段部の下方に上記キックアップ部が近接して車両の前後方向に配設されたものである。
【0022】
上記構成によれば、後列シートは車外方向に凹設された段部に格納されるので、この後列シートの格納時には後列シートが上部空間側に出っ張ることがない。この結果、シートの格納状態時においては凹設部およびその上部空間に広い荷室が形成され、この広い荷室を有効利用することができる。
また上述の段部の下方には剛性が高い構造部材としてのキックアップ部が近接配設されているので、後列シートの支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0023】
この発明の一実施態様においては、上記リヤフレームのキックアップ部は後列シートの使用時においてシートクッション高さ位置にて車両の前後方向に延設されたものである。
【0024】
上記構成によれば、後端がリヤピラー下部に配設または接続されてなるリヤフレームのキックアップ部を、使用状態下における後列シートのシートクッションの高さ位置に延設したので、側突に対してより一層有利となり、側突時の安全性確保を図ることができる。
【0025】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は下部車体構造を含む、車両の車体構造を示し図1、図2、図3(但し、図3はホイールハウス部における断面図)において、エンジンルーム1と車室2とを前後に仕切るダッシュロアパネル3(ダッシュパネル)を設け、このダッシュロアパネル3の下端には後方に延びるフロアパネル4を接続している。
【0026】
このフロアパネル4は、フロントフロアパネルと、キックアップ部4aと、このキックアップ部4aから後方に延びるリヤフロアパネル5とを含み、このリヤフロアパネル5が下方に凹設されて凹設部6を形成している。
【0027】
一方、上述のダッシュロアパネル3の前方にはエンジンルーム1内の左右を前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム7を設け、このフロントサイドフレーム7をダッシュロアパネル3に沿って下方かつ後方に延設すると共に、このフロントサイドフレーム7の後端部にはフロアフレーム8を接続している。
ここで、上述のフロントサイドフレーム7およびフロアフレーム8は何れも閉断面を形成する構造部材(剛性部材)である。
【0028】
上述の凹設部6は図3に示すように左右の車室側壁部9,9により形成され、これらの車室側壁部9,9には後述する3列目シート19を格納するために車外方向に凹設された段部10,10が形成されている。
【0029】
上述の凹設部6を形成する車室側壁部9において段部10の下端水平部10a(図1参照)外面には車両の前後方向に延びるリヤフレームとしての左右一対のリヤサイドフレーム11,11(詳しくはリヤサイドアッパフレーム)が設けられ、断面ほぼ逆ハット形状のリヤサイドフレーム11と車室側壁部9および段部10との間には同方向に延びる閉断面77(図3、図17参照)が形成されている。
【0030】
これらのリヤサイドフレーム11,11はリヤフロアパネル5に沿って車両の前後方向に延び、その前端部はフロアフレーム8に接続されている。
また上述のリヤサイドフレーム11は図1に示すように凹設部6の前部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部12を備え、この剛性が高いキックアップ部12が図1、図3に示すように段部10の下方に近接して車両の前後方向に配設されている。ここで、上述のキックアップ部12は図1から明らかなように凹設部6に対応した位置が上方に曲がって後方へ延びる構造部材(剛性部材)である。
【0031】
さらに上述の凹設部6の下端に対応して、この凹設部6の底面と車室側壁部9における下部外面との間にはキックアップ部12と平行または略平行に車両後方に延びる補強用のレインフォースメントとしてのリヤサイドロアフレーム13を取付け、このリヤサイドロアフレーム13と車室側壁部9との間には車両の前後方向に延びる閉断面14(図3、図17参照)を形成している。
また上述の凹設部6の底面外部における前部および後端部には、図1に示すように車幅方向に延びるリヤクロスメンバ15,16を配設している。
【0032】
ところで、上述のフロアパネル4およびリヤフロアパネル5の上部には図1、図2に示すように、複数列のシート(合計3列のシート)つまり1列目シート17と2列目シート18と3列目シート19とが前後方向に離間して配設されている。
【0033】
これらの各シート17,18,19はバケット・シート(bucket seat)に設定されているが、2列目シート18についてはベンチ・シートを採用することができる。
【0034】
1列目シート17はシートクッション17Cと、シートバック17Bと、ヘッドレスト17Hとを備え、この実施例では右側の1列目シート17がドライバーズシートに、左側の1列目シート17がパッセンジャーズシートにそれぞれ設定されているが、ドライバーズシートとパッセンジャーズシートとは左右逆に配置してもよい。
【0035】
2列目シート18はシートクッション18Cと、シートバック18Bと、ヘッドレスト18Hとを備え、この2列目シート18はキックアップ部4a後方のフロアパネル4(詳しくはフロントフロアパネル)よりも一段高い部分に配設されている。
【0036】
左右一対の各3列目シート19,19はそれぞれシートクッション19Cと、シートバック19Bとを備え、上述の凹設部6の上部空間90(図21参照)においてリヤサイドフレーム11のキックアップ部12と対応した車室側壁部9における段部10の下端水平部10aに取付けられ、この下端水平部10aにそれぞれ片持ち支持されている。後列シートとしての3列目シート19を片持ち支持することにより、シートの構造の簡略化を図ることができる。なお、3列目シート19にヘッドレストを起伏可能または着脱可能に設けるように構成してもよい。
【0037】
ここで、上述の凹設部6は前列シート(1列目シート17参照)の取付け面よりも下方に凹設されたものであって、この凹設部6の内部には図1に示すように3列目シート19の乗員の足置きスペース20が形成されている。
【0038】
この実施例の車両は図4、図5、図6、図7に示すように5ドア構造に構成されている。
すなわち、左右一対のフロントドア21,21と、左右一対のリヤドア22,22と、車体後面(車体の後方面側)に設けられたリヤゲート23(上部リヤゲート)とを備えており、3列目シート19に対してはリヤゲート23および後述する下部リヤゲート26を開放することによっても乗降が可能となるように構成している。
【0039】
図1、図3、図7に示すように凹設部6の後方にはリヤエンドパネルを設けることなく、該凹設部6の後方がルーフ部24まで車室外方向に一体的に開放された開口部25を形成し、この車体の後部に形成された開口部25で車室内外を連通すべく構成している。
【0040】
そして、この開口部25を開閉可能に覆うリヤゲートを設けるが、図5〜図7の実施例においては、このリヤゲートは凹設部6を覆って上下方向に回動する下部リヤゲート26と、凹設部6の上方の開口部25a(図3参照)を覆って左右方向に開閉する単一の上部リヤゲート23とを備えている。
【0041】
下部リヤゲート26は車室側壁部9の外面下部に固定されたブラケット27の支点部28に開閉可能に枢支されると共に、図7に示すように該下部リヤゲート26の車幅方向両端部にはロック部材29,29を設けている。
【0042】
これらのロック部材29,29はリヤバンパ30の対応部に設けられたストライカ31により係合されるものである。
この下部リヤゲート26を後方かつ下方へ回動して、この下部リヤゲート26で凹設部6と路面とを掛け渡した時、開放状態の下部リヤゲート26上面がスロープ部材32に設定される。すなわち、スロープ部材32を兼ねる下部リヤゲート26が凹設部6の後端に設けられ、この下部リヤゲート26は車両側に折り畳み可能に設けられたものである。
【0043】
図1に示すように、この下部リヤゲート26で凹設部6を覆った状態下において、該下部リヤゲート26の前面には下部リヤゲート26の前面上部を支点として回動可能なランプ(ramp)部材33が設けられており、下部リヤゲート26で凹設部6と路面とを掛け渡した時、上述のランプ部材33を後方に反転回動させ、このランプ部材33の遊端を路面に接地して、路面と凹設部6との間に形成される傾斜角度を緩斜角に設定し、乗員の乗降、荷物の出し入れ等が容易になるように構成している。
【0044】
一方、上部リヤゲート23は図7に示すように、車体後面に上下一対のヒンジ部材34,34を介して開閉可能に枢支されており、この上部リヤゲート23の遊端側中間部にはロック部材35が設けられている。
【0045】
このロック部材35は開口部25の対応位置に設けられたボディ側のストライカ(図示せず)により係合されるものであって、上部リヤゲート23のアウタパネル45およびインナパネル46(図1、図9参照)にはロック部材35のロック状態を車外側および車内側から解除するためのドアアウタハンドル36(図6参照)およびドアインナハンドル37(図7参照)を設けている。
【0046】
要するに、図5〜図7のリヤゲートは、凹設部6の後端を覆う部分(下部リヤゲート26参照)と、その上方の開口部25a(図3参照)を覆う部分(上部リヤゲート23参照)とに上下に分割され、各リヤゲート23,26がそれぞれ独立して開閉可能に構成されたものであり、下部リヤゲート26のみの開閉と、上部リヤゲート23のみの開閉と、両リヤゲート23,26の開閉ができるように構成している。
【0047】
リヤゲートの構造は図5〜図7の構成に代えて、図8に示す構造を採用してもよい。
図8に示すリヤゲートは、凹設部6の後端を覆って上下方向に回動する下部リヤゲート26と、凹設部6の上方の開口部25a(図3参照)を覆う左右一対の観音開き構造の上部リヤゲート38,39とを備えたものである。
【0048】
要するに、図8のリヤゲートは、凹設部6の後端を覆う部分(下部リヤゲート26参照)と、その上方の開口部25a(図3参照)を覆う部分(上部リヤゲート38,39参照)とに上下に分割され、各リヤゲート26,38,39がそれぞれ独立して開閉可能に構成されたものであり、下部リヤゲート26のみの開閉と、左側の上部リヤゲート38のみの開閉と、右側の上部リヤゲート39のみの開閉と、何れか2つのリヤゲートのみの開閉と、全リヤゲート26,38,39の開閉ができるように構成している。
なお、図8において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略するが、この場合には、上部リヤゲート38,39の遊端側上下両部にロック部材を設け、リヤヘッダ側および下部リヤゲート26側にそれぞれストライカを設けるとよい。
【0049】
ところで、上述の開口部25は図5、図7に示すように車体の後部に大きく開放形成されるので、同図に示すように、この開口部25の車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6まで上下方向に略真っ直ぐに延びるリヤピラー41(図4、図7においては図示の便宜上、リヤヘッダ部およびリヤピラー部にハッチングを施している)を設けている。
【0050】
上述のリヤピラー41は図5、図7に示すように開口部25と対応して車体の後方面側に配設されている。すなわち、左右の各リヤピラー41,41は、同図に示すように車体後面の左右コーナ部CL,CRよりも所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられている。
【0051】
図9は図7のA−A線に沿う要部の拡大断面図(但し、リヤゲート閉成時の断面図)であって、車体側面から車体後面にかけて一体的に車体外板を形成するキャブサイドアウタパネル42を設け、このキャブサイドアウタパネル42における上部リヤゲート23配設部を車両前方にL字状に屈曲形成して側面片42aと前面片42bとを一体形成している。
【0052】
そして、上述の側面片42aの反リヤゲート側(車幅方向外方側)にはボルト、ナット等による締結手段または溶接による固定手段にてレインフォースメント43を固定し、上部リヤゲート23側(車幅方向内方側)には前述のヒンジ部材34におけるボディ側ヒンジブラケット44を固定している。なお、これら三者43,42a,44は共締め固定してもよい。
【0053】
上述の上部リヤゲート23はアウタパネル45とインナパネル46とを有し、インナパネル46のヒンジ部材34取付け位置に対応して、該インナパネル46のリヤゲート内部にはボルト、ナット等による締結手段または溶接による固定手段にてレインフォースメント47を固定し、リヤゲート外側部にはゲート側ヒンジブラケット48を固定し、このゲート側ヒンジブラケット48とボディ側ヒンジブラケット44とをヒンジピン49にて開閉可能に連結している。ここで、上述の三者47,46,48は共締め固定してもよい。
【0054】
上述のキャブサイドアウタパネル42の内側において開口部25に沿って上下方向に延びるリヤピラーインナパネル50を設け、このリヤピラーインナパネル50の車外側にはリヤピラーインナレインフォースメント51を接合して、これら両者50,51間に上下方向に延びる閉断面52を形成している。つまり、上述のリヤピラーインナレインフォースメント51は閉断面52を形成するための補強部材である。
【0055】
上述のキャブサイドアウタパネル42の前面片42b、リヤピラーインナレインフォースメント51およびリヤピラーインナパネル50の三者には車両後方に指向して一体的に接合される接合フランジ部がそれぞれ一体形成され、これら三者24b,51,50の接合部にはシール部材としてのウエザストリップ53を嵌着して、ボディ側と上部リヤゲート23側とをシールすべく構成している。
【0056】
また上述のリヤピラーインナパネル50の車室側には内装部材としてのトリム部材54を配設している。
ここで、上述のリヤピラー41は、車両後部に設けられたリヤクオータウインド55(図7、図11参照)と対応する上域部においては図11に示すようにキャブサイドアウタパネル42とリヤピラーインナパネル50とで構成され、それよりも下部の下域部においては図9に示すようにリヤピラーインナパネル50とリヤピラーインナレインフォースメント51とで構成されている。
【0057】
リヤピラー41の下域部における閉断面52(図9参照)はその上域部における閉断面56(図11参照)と上下方向に連続する。
【0058】
図10、図12に示すように剛性部材としてのリヤサイドフレーム11のキックアップ部12は、リヤピラー41の下部に対応してリヤフロアパネル5に沿って車両の前後方向に延びる車体剛性部材であって、図10、図12に示すようにリヤピラー41の下部にはリヤサイドフレーム11のキックアップ部12後端を接続すると共に、このリヤサイドフレーム11の下方部において該リヤサイドフレーム11と平行または略平行に後方に延びるリヤサイドロアフレーム13(補強用のレインフォースメント)の後端をリヤピラー41の下端に接続している。
【0059】
図10は後部車体構造を車室内側から見た状態で示す斜視図、図11は図10のB−B線矢視断面図であって、リヤドア22(図4、図5参照)と対応する部分にはリヤドア開口部57が設けられ、後輪58(図1〜図7参照)と対応する部分にはホイールハウス59が設けられ、リヤクオータウインド55と対応する部分にはウインド開口部60が設けられている。
【0060】
また上述のリヤドア開口部57(いわゆるドア開口)とウインド開口部60との間には車体側面を上下方向に延びるクオータピラー61を設けている。
左右一対のクオータピラー61,61は図11に示すようにキャブサイドアウタパネル42と、クオータピラーインナパネル62とを接合して、車両の上下方向に延びる閉断面63を有する車体剛性部材であって、これら左右の各クオータピラー61,61の上端部相互間は、ルーフ24の下面を車幅方向に延びるルーフクロスメンバ64(図1、図4、図5、図7参照)に接続されている。
【0061】
図11に示すように、ウインド開口部60に対応して車両後部に設けられた上述のリヤクオータウインド55は、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込ませて配設されている。つまり、このリヤクオータウインド55は図11に示すように側面部55aと、アール状のコーナ部55bと、後面部55cとが一体形成されたものである。
【0062】
ところで、上述の後輪58,58は図2に示すようにトーションビーム形式のリヤサスペンション65で懸架され、かつ図3、図7に示すように左右のリヤピラー41,41の下方に対応させて該リヤサスペンション65のリヤダンパ66を配設している。
【0063】
そして、図4、図5、図7に示すようにホイールハウス59の上部において上述のクオータピラー61とリヤピラー41との間を車両の前後方向に接続するフレーム部材としてのサスペンション支持メンバ67を設けている。
【0064】
このサスペンション支持メンバ67は図4、図5、図7にハッチングを施して示すように、クオータピラー61から後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込み、この廻り込み部が上述のリヤピラー41に接続されたものである。
【0065】
また、上述のサスペンション支持メンバ67は図3の要部を拡大して図13に示すようにアッパメンバ68とロアメンバ69とを接合して、これら両メンバ68,69間に閉断面70が形成された構造部材(剛性部材)である。
【0066】
図3に示すようにサスペンション支持メンバ67の直下におけるホイールハウス59下面にはスペーサブラケット71が設けられ、リヤサスペンション65におけるリヤダンパ66の上部は該スペーサブラケット71に取付けられている。つまり、リヤピラー41とリヤダンパ66の上部とはサスペンション支持メンバ67で接続されていて、車体剛性の確保と、ダンパ支持剛性の確保との両立を図るように構成している。
【0067】
なお、図13に示す構造に代えて、図14に示すようにスペーサブラケット71を設けない構造つまり、スペーサブラケットレス構造を採用してもよく、この場合においても、リヤピラー41とリヤダンパ66上部とがサスペンション支持メンバ67で接続されており、車体剛性の確保と、サスペンション支持剛性、ダンパ支持剛性の確保を図ることができる。
【0068】
図12は凹設部6の側面図であって、この凹設部6を形成する車室側壁9の上部にはキックアップ部12が、下部にはリヤサイドロアフレーム13がそれぞれ取付けられており、上側のキックアップ部12後端はリヤピラー41の下部に接続され、下側のリヤサイドロアフレーム13後端はリヤピラー41の下端に接続されている。
【0069】
上述のキックアップ部12の後端にはリヤピラー41を介してクラッシュカン等のエネルギ吸収部材72を設け、このエネルギ吸収部材72の後端にバンパブラケット73を取付けている。
【0070】
同様に上述のリヤサイドロアフレーム13の後端にはリヤピラー41を介してクラッシュカン等のエネルギ吸収部材74を設け、このエネルギ吸収部材74の後端にバンパブラケット75を取付けている。
【0071】
そして上下の各バンパブラケット73,75には前述したリヤバンパ30を取付けて、後突荷重をリヤサイドフレーム11のキックアップ部12とリヤサイドロアフレーム13とに分散して伝達すべく構成している。
【0072】
図12に示す構成に代えて、図15の構成を採用してもよい。すなわち、図12の構成ではリヤピラー41を開口部25の車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6下端まで上下方向に延設したが、図15の構成ではリヤピラー41を上方の開口部25aの車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6上端まで上下方向に延設したものである。
【0073】
この図15の構造の場合には、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12の後端と、リヤサイドロアフレーム13の後端との間にリヤブラケット46(いわゆる盲蓋)を取付け、このリヤブラケット76に上述のエネルギ吸収部材72,74を取付ける。
【0074】
図16は凹設部6の斜視図、図17は図16のC−C線矢視断面図であって、車外方向に凹設された段部10(図3、図10参照)の下端水平部10aの下面車外側に沿って車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム11のキックアップ部12と、下端水平部10aとの間には同方向に延びる閉断面77が形成されている。
【0075】
またキックアップ部12の外面とリヤサイドロアフレーム13の外面との間には補強部材78を取付けて、各要素9,12,13,78間にも閉断面79を形成し、車体剛性の向上と、後突に対する耐力の向上との両立を図るように構成している。
【0076】
なお、上述の凹設部6を図18に示すように段差形状が少ない略フラットな形状に構成し、この凹設部6を形成する車室側壁部9の上下に上述のキックアップ部12およびリヤサイドロアフレーム13を取付けてもよいことは勿論である。
【0077】
次に図19、図20を参照して3列目シート19の支持構造について説明する。但し、左右の3列目シート19の支持構造は左右ほぼ対称に構成されているので、ここでは右側の3列目シート19の支持構造について説明する。
【0078】
上述の3列目シート19は方形枠状のシートクッションフレーム80と、このシートクッションフレーム80にリクライニングナックル81を介して前倒可能に設けられた方形枠状のシートバックフレーム82と、シートクッションフレーム80の車内側片内方に接合された突片83,83に対して起伏可能に枢支された凹状のシートステー84とを備えている。ここで、上述の各フレーム80,82およびシートステー84は金属製パイプ部材にて構成されている。
【0079】
上述のシートクッションフレーム80の前後両片外面には可動側のブラケット85,85を接合固定する一方、前述の段部10における下端水平部10aには固定側のブラケット86,86をボルトアップしている。
【0080】
そして、前後一対の固定側のブラケット86,86における立上り片に支軸87,87を介して前後一対の可動側のブラケット85,85を枢支させている。つまり、シートクッションフレーム80を車室側壁部9の段部10における下端水平部10aに片持ち構造にて支持したものである。
【0081】
またシートステー84の下片下面には前後一対のストライカ88,88を突設固定し、このストライカ88,88を凹設部6側のロック部材89でロックすべく構成している。
【0082】
図19に示す使用状態の3列目シート19を図20に示すように格納する場合には、まずロック部材89,89によるストライカ88,88のロックを解除すると共に、シートステー84およびシートバックフレーム82をシートクッションフレーム80側へ折り畳む。
その後、支軸87を支点として各要素80,82,84を一体的に段部10側へ上方回動させると、3列目シート19は図20、図21に示すように格納される。
【0083】
逆に図20に示す格納状態の3列目シート19を図19に示すように使用状態と成す場合には、まず支軸87を支点として各要素80,82,84を一体的に段部10から凹設部6の上部空間90(図21参照)に引出す。
【0084】
次に、シートステー84を下方へ引き起こし、その下部のストライカ88,88を凹設部6側のロック部材89,89にてロックし、このシートステー84によるシート支持と、ロック部材89によるロック構造とで、シート支持剛性の向上を図る。
【0085】
次に、リクライニングナックル81を介してシートバックフレーム82を着座状態に引き起こすと、3列目シート19は図19、図3に示すように使用状態となり、この3列目シート19の使用状態時において、シートクッション19C、シートクッションフレーム80は図3、図19に示すように、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12とほぼ同等の高さ位置となる。
【0086】
換言すれば、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12は3列目シート19の使用時におけるシートクッション19C、シートクッションフレーム80の高さ位置とほぼ同等の高さ位置において車両の前後方向に延設された車体剛性部材である。
【0087】
要するに、後列シートとしての3列目シート19は凹設部6の上方に配設されたものであって、左右一対の3列目シート19は図3、図19に示すように凹設部6の上部空間90に引出される使用状態と、図20、図21に示すように車室側壁部9の段部10に格納される格納状態とを、左側のシート19と右側のシート19とがそれぞれ独立して択一的に選択できるように構成したものであり、左右両方の3列目シート19,19を共に使用状態に設定すると、左右のシートクッション19C,19Cが車幅方向に連続して、連続したクッション面が形成され、また左右両方の3列目シート19,19を共に格納状態に設定すると、格納状態のシートクッション19Cと車室側壁部9とがほぼフラットになり、シートクッション19Cが上部空間90側へ出っ張らないので、凹設部6および上部空間90上に広い荷室を形成することができる。
【0088】
なお、図中、91はステアリングホイール、92は前輪、93はリヤウインドガラス(バックウインドガラスと同意)、図7の94はトーションビーム形式のリヤサスペンション65(図2参照)とボディー側の間に設けられたコイルスプリングである。また図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示すものである。
【0089】
このように、上記実施例の車両の下部車体構造は、車体の後部に車室内外を連通する開口部25を備えた車両において、上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に真っ直ぐに延びる一対のリヤピラー41,41を設け、上記リヤピラー41を車体の後方面側に配設すると共に、上記リヤピラー41の下方に対応させてリヤサスペンション65のリヤダンパ66を配設し、上記リヤピラー41とリヤダンパ66の上部とをフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)で接続したものである。
【0090】
この構成によれば、車体の後方面側において上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に延びる構造部材としてのリヤピラー41を設けたので、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図り、車体剛性が確保されることで操縦安定性の向上を図ることができるうえ、上記リヤピラー41が車体の後方面側に位置するので(詳しくは車体後面の左右コーナ部CL,CRよりも所定量車幅方向の内方に位置するので)、後突に対しても有利となる。
【0091】
しかも、リヤサスペンション65のリヤダンパ66上部と上述のリヤピラー41とをフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)にて接続したので、所望の車高を確保しつつ、サスペンション支持剛性の向上を図ることができる。
【0092】
また、上記フレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)は車体側面を上下方向に延びるクオータピラー61と、上記リヤピラー41との間を車両の前後方向に接続するように設けられたものである。
【0093】
この構成によれば、上述のフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)で閉断面構造部材としてのクオータピラー61と、閉断面構造部材としてのリヤピラー41とを車両の前後方向に接続したので、車体剛性のさらなる向上と、ダンパ支持剛性の向上とを両立することができる。
【0094】
さらに、上記フレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)はクオータピラー61から後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込み、廻り込み部がリヤピラー41に接続されたものである。
この構成によれば、廻り込み形状のフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)でクオータピラー61とリヤピラー41との間を確実に接続することができる。
【0095】
しかも、上記リヤピラー41の下方に対応してフロアパネル4に沿って車両の前後方向に延びる剛性部材としてのリヤサイドフレーム11の後部が配設されたものである。
【0096】
この構成によれば、少なくともリヤピラー41と、フレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)と、リヤサイドフレーム11との各構造部材を備えているので、全体的な車体剛性がさらに向上する。
【0097】
また、上記リヤピラー41の下部と上記リヤサイドフレーム11の後端とが接続されたものである。
この構成によれば、リヤピラー41とリヤダンパ66上部とを接続するフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)にて所望の車高確保、サスペンション支持剛性向上を図りつつ、リヤピラー41とリヤサイドフレーム11との両者の接続構造により骨格として強いフレームを形成することができるので、全体的な車体剛性をより一層向上させることができる。
【0098】
さらに、上記フロアパネル4上には複数列のシート17,18,19が配設され、前列シート17の後方のリヤフロアパネル4を下方に凹設して凹設部6が形成され、上記凹設部6の後端が車室外方向に開放されると共に、上記凹設部6を形成する車室側壁部9には車両の前後方向に延びる一対のリヤサイドフレーム11が設けられ、上記リヤサイドフレーム11と対応する車室側壁部9に後列シート(3列目シート19参照)を取付け支持したものである。
【0099】
この構成によれば、リヤピラー41およびリヤサイドフレーム11が配設された剛性の高い部部に後列シート(3列目シート19参照)が取付けられるので、この後列シートの支持剛性が向上すると共に、上記凹設部6の形成により上下寸法を確保することができるので、車両の前後長さが短く、コンパクトな車両であっても複数列シート(特に3列のシート17,18,19)を配設することができ、かつ後列シート(3列目シート19参照)の乗員の乗り心地を確保することができる。
【0100】
加えて、上記リヤサイドフレーム11はフロアパネル4に沿って車両の前後方向に延びると共に、凹設部6より後方で上方にキックアップしたキックアップ部12を備え、上記キックアップ部12に後列シート(3列目シート19参照)が取付け支持されたものである。
この構成によれば、キックアップ部12は剛性が高いので、後列シート(3列目シート19参照)の支持剛性がさらに向上し、かつ側突に対しても有利となる。
【0101】
また、上記後列シート(3列目シート19参照)は凹設部6の上部空間90(図21参照)に引出される使用状態(図3参照)と、車室側壁部9に格納される格納状態(図21参照)とを択一的に選択すべく構成したものである。
【0102】
この構成によれば、後列シート(3列目シート19参照)をキックアップ部12に支持して、その支持剛性向上を図りつつも、該後列シートを凹設部6の上部空間90に引出した時には、後列シート(3列目シート19参照)を座席として使用することができ、この後列シート(3列目シート19参照)を車室側壁部9に格納した時には、凹設部6および上部空間90を荷室として使用することができる。この結果、ニーズに応じて座席と荷室との使い分けができる。
【0103】
さらに、上記車室側壁部9には後列シート(3列目シート19参照)を格納するため車外方向に凹設された段部10(図3、図10参照)が形成され、該段部10の下方に上記キックアップ部12が近接して車両の前後方向に配設されたものである。
【0104】
この構成によれば、後列シート(3列目シート19参照)は車外方向に凹設された段部10に格納されるので、この後列シート(3列目シート19参照)の格納時には後列シート(3列目シート19参照)が上部空間90側に出っ張ることがない。この結果、シートの格納状態時においては凹設部6およびその上部空間90に広い荷室が形成され、この広い荷室を有効利用することができる。
また上述の段部10の下方には剛性が高い構造部材としてのリヤサイドフレーム11のキックアップ部12が近接配設されているので、後列シート(3列目シート19参照)の支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0105】
しかも、上記リヤサイドフレーム11のキックアップ部12は後列シート(3列目シート19参照)の使用時においてそのシートクッション19C高さ位置にて車両の前後方向に延設されたものである。
【0106】
この構成によれば、後端がリヤピラー41下部に配設または接続されてなるリヤサイドフレーム11のキックアップ部12を、使用状態下における後列シート(3列目シート19参照)のシートクッション19Cの高さ位置に延設したので、側突に対してより一層有利となり、側突時の安全性確保を図ることができる。
【0107】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のリヤサスペンションは、実施例のトーションビーム形式のリヤサスペンション65に対応し、
以下同様に、
フレーム部材は、サスペンション支持メンバ67に対応し、
リヤフレームは、リヤサイドフレーム11に対応し、
シートの複数列構造は、3列構造に対応し、
後列シートは3列目シート19に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0108】
【発明の効果】
この発明は、車体後部の開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設けて、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラーとリヤダンパの上部とをフレーム部材で接続したので、大きな後部開口の形成と、車体剛性確保との両立を図ることができ、かつ所望の車高の確保とサスペンション支持剛性の確保とが両立でき、また車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、さらにリヤピラーが車体の後方面側に位置することで、後突に対しても有利となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の下部車体構造を備えた車両の側面図。
【図2】複数列シートの配設構造を示す平面図。
【図3】車両の背面図。
【図4】前方から見た状態で示す車両の斜視図。
【図5】後方から見た状態で示す車両の斜視図。
【図6】リヤゲート構造を示す斜視図。
【図7】下部車体構造を示す斜視図。
【図8】リヤゲート構造の他の実施例を示す斜視図。
【図9】図7のA−A線矢視断面図。
【図10】車体構造を車室内側から見た状態で示す斜視図。
【図11】図10のB−B線矢視断面図。
【図12】下部車体構造を示す要部の側面図。
【図13】図3の要部拡大図。
【図14】ダンパ支持構造の他の実施例を示す断面図。
【図15】下部車体構造の他の実施例を示す側面図。
【図16】図12の要部斜視図。
【図17】図16のC−C線矢視断面図。
【図18】凹設部の他の実施例を示す斜視図。
【図19】後列シートの支持構造を示す斜視図。
【図20】後列シートの格納状態を示す斜視図。
【図21】シート格納時の車両の背面図。
【符号の説明】
4…フロアパネル
5…リヤフロアパネル
6…凹設部
9…車室側壁部
10…段部
11…リヤサイドフレーム(リヤフレーム)
12…キックアップ部
17,18…シート
19…3列目シート(後列シート)
19C…シートクッション
25…開口部
41…リヤピラー
61…クオータピラー
65…リヤサスペンション
66…リヤダンパ
67…サスペンション支持メンバ(フレーム部材)
90…上部空間
【発明の属する技術分野】
この発明は、車体の後部に車室内外を連通する開口部が形成されたような車両の下部車体構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、上述例の車両の下部車体構造としては次のような構造がある。
すなわち、車体のリヤフロアの後部のリヤフロア基準面より一段低く凹設された荷室フロアパン(いわゆる低床タイプのリヤフロア)を形成し、この凹状の荷室フロアパンからルーフ部までを大きく開口して、車室内外を連通する開口部を形成すると共に、開口部下域を開閉可能に覆うテールゲートを設け、また開口部上域を開閉可能に覆うリヤハッチバックドアを設けて、上記開口部をリヤハッチバックドアとテールゲートで開閉すべく構成した車両の下部車体構造である(特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−47927号公報。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
このように上述のリヤハッチバックドアおよびテールゲートを開放すると、車体の後部に車室内外を連通する大きな開口部が開放形成されるので、この開口部を補強して充分な車体剛性の確保を図ることが要請される。
【0005】
そこで、この発明は、車体後部の開口部に車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設けて、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラーとリヤダンパの上部とをフレーム部材で接続するとにより、大きな後部開口の形成と、車体剛性確保との両立を図ることができ、かつ所望の車高の確保とサスペンション支持剛性の確保とが両立でき、また車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、さらにリヤピラーが車体の後方面側に位置することで、後突に対しても有利となる車両の下部車体構造の提供を目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明による車両の下部車体構造は、車体の後部に車室内外を連通する開口部を備えた車両において、上記開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、上記リヤピラーを車体の後方面側に配設すると共に、上記リヤピラーの下方に対応させてリヤサスペンションのリヤダンパを配設し、上記リヤピラーとリヤダンパの上部とをフレーム部材で接続したものである。
【0007】
上記構成のリヤサスペンションは、トーションビーム形成のリヤサスペンションに設定してもよく、またフレーム部材はサスペンション支持メンバに設定してもよい。
【0008】
上記構成によれば、車体の後方面側において上記開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びる構造部材としてのリヤピラーを設けたので、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図り、車体剛性が確保されることで操縦安定性の向上を図ることができるうえ、上記リヤピラーが車体の後方面側に位置するので、後突に対しても有利となる。
【0009】
しかも、リヤサスペンションのリヤダンパ上部と上述のリヤピラーとをフレーム部材にて接続したので、所望の車高を確保しつつ、サスペンション支持剛性の向上を図ることができる。
【0010】
この発明の一実施態様においては、上記フレーム部材は車体側面を上下方向に延びるクオータピラーと、上記リヤピラーとの間を車両の前後方向に接続するように設けられたものである。
【0011】
上記構成によれば、上述のフレーム部材で閉断面構造部材としてのクオータピラーと、閉断面構造部材としてのリヤピラーとを車両の前後方向に接続したので、車体剛性のさらなる向上と、ダンパ支持剛性の向上とを両立することができる。
【0012】
この発明の一実施態様においては、上記フレーム部材はクオータピラーから後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラーに向って車体後面まで廻り込み、廻り込み部がリヤピラーに接続されたものである。
上記構成によれば、廻り込み形状のフレーム部材でクオータピラーとリヤピラーとの間を確実に接続することができる。
【0013】
この発明の一実施態様においては、上記リヤピラーの下方に対応してフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるリヤフレームの後部が配設されたものである。
【0014】
上記構成のリヤフレームは、左右一対のリヤサイドフレームに設定してもよい。
上記構成によれば、少なくともリヤピラーと、フレーム部材と、リヤフレームとの各構造部材を備えているので、全体的な車体剛性がさらに向上する。
【0015】
この発明の一実施態様においては、上記リヤピラーの下部と上記リヤフレームの後端とが接続されたものである。
上記構成によれば、リヤピラーとリヤダンパ上部とを接続するフレーム部材にて所望の車高確保、サスペンション支持剛性向上を図りつつ、リヤピラーとリヤフレームとの両者の接続構造により骨格として強いフレームを形成することができるので、全体的な車体剛性をより一層向上させることができる。
【0016】
この発明の一実施態様においては、上記フロアパネル上には複数列のシートが配設され、前列シートの後方のリヤフロアパネルを下方に凹設して凹設部が形成され、上記凹設部の後端が車室外方向に開放されると共に、上記凹設部を形成する車室側壁部には車両の前後方向に延びる一対のリヤフレームが設けられ、上記リヤフレームと対応する車室側壁部に後列シートを取付け支持したものである。
【0017】
上記構成の複数列シートは、3列シートに設定してもよく、後列シートは3列目シートに設定してもよい。
上記構成によれば、リヤピラーおよびリヤフレームが配設された剛性の高い部部に後列シートが取付けられるので、この後列シートの支持剛性が向上すると共に、上記凹設部の形成により上下寸法を確保することができるので、車両の前後長さが短く、コンパクトな車両であっても複数列シート(特に3列のシート)を配設することができ、かつ後列シートの乗員の乗り心地を確保することができる。
【0018】
この発明の一実施態様においては、上記リヤフレームはフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びると共に、凹設部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部を備え、上記キックアップ部に後列シートが取付け支持されたものである。
上記構成によれば、キックアップ部は剛性が高いので、後列シートの支持剛性がさらに向上し、かつ側突に対しても有利となる。
【0019】
この発明の一実施態様においては、上記後列シートは凹設部の上部空間に引出される使用状態と、車室側壁部に格納される格納状態とを択一的に選択すべく構成したものである。
【0020】
上記構成によれば、後列シートをキックアップ部に支持して、その支持剛性向上を図りつつも、該後列シートを凹設部の上部空間に引出した時には、後列シートを座席として使用することができ、この後列シートを車室側壁部に格納した時には、凹設部および上部空間を荷室として使用することができる。この結果、ニーズに応じて座席と荷室との使い分けができる。
【0021】
この発明の一実施態様においては、上記車室側壁部には後列シートを格納するため車外方向に凹設された段部が形成され、該段部の下方に上記キックアップ部が近接して車両の前後方向に配設されたものである。
【0022】
上記構成によれば、後列シートは車外方向に凹設された段部に格納されるので、この後列シートの格納時には後列シートが上部空間側に出っ張ることがない。この結果、シートの格納状態時においては凹設部およびその上部空間に広い荷室が形成され、この広い荷室を有効利用することができる。
また上述の段部の下方には剛性が高い構造部材としてのキックアップ部が近接配設されているので、後列シートの支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0023】
この発明の一実施態様においては、上記リヤフレームのキックアップ部は後列シートの使用時においてシートクッション高さ位置にて車両の前後方向に延設されたものである。
【0024】
上記構成によれば、後端がリヤピラー下部に配設または接続されてなるリヤフレームのキックアップ部を、使用状態下における後列シートのシートクッションの高さ位置に延設したので、側突に対してより一層有利となり、側突時の安全性確保を図ることができる。
【0025】
【実施例】
この発明の一実施例を以下図面に基づいて詳述する。
図面は下部車体構造を含む、車両の車体構造を示し図1、図2、図3(但し、図3はホイールハウス部における断面図)において、エンジンルーム1と車室2とを前後に仕切るダッシュロアパネル3(ダッシュパネル)を設け、このダッシュロアパネル3の下端には後方に延びるフロアパネル4を接続している。
【0026】
このフロアパネル4は、フロントフロアパネルと、キックアップ部4aと、このキックアップ部4aから後方に延びるリヤフロアパネル5とを含み、このリヤフロアパネル5が下方に凹設されて凹設部6を形成している。
【0027】
一方、上述のダッシュロアパネル3の前方にはエンジンルーム1内の左右を前方に延びる左右一対のフロントサイドフレーム7を設け、このフロントサイドフレーム7をダッシュロアパネル3に沿って下方かつ後方に延設すると共に、このフロントサイドフレーム7の後端部にはフロアフレーム8を接続している。
ここで、上述のフロントサイドフレーム7およびフロアフレーム8は何れも閉断面を形成する構造部材(剛性部材)である。
【0028】
上述の凹設部6は図3に示すように左右の車室側壁部9,9により形成され、これらの車室側壁部9,9には後述する3列目シート19を格納するために車外方向に凹設された段部10,10が形成されている。
【0029】
上述の凹設部6を形成する車室側壁部9において段部10の下端水平部10a(図1参照)外面には車両の前後方向に延びるリヤフレームとしての左右一対のリヤサイドフレーム11,11(詳しくはリヤサイドアッパフレーム)が設けられ、断面ほぼ逆ハット形状のリヤサイドフレーム11と車室側壁部9および段部10との間には同方向に延びる閉断面77(図3、図17参照)が形成されている。
【0030】
これらのリヤサイドフレーム11,11はリヤフロアパネル5に沿って車両の前後方向に延び、その前端部はフロアフレーム8に接続されている。
また上述のリヤサイドフレーム11は図1に示すように凹設部6の前部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部12を備え、この剛性が高いキックアップ部12が図1、図3に示すように段部10の下方に近接して車両の前後方向に配設されている。ここで、上述のキックアップ部12は図1から明らかなように凹設部6に対応した位置が上方に曲がって後方へ延びる構造部材(剛性部材)である。
【0031】
さらに上述の凹設部6の下端に対応して、この凹設部6の底面と車室側壁部9における下部外面との間にはキックアップ部12と平行または略平行に車両後方に延びる補強用のレインフォースメントとしてのリヤサイドロアフレーム13を取付け、このリヤサイドロアフレーム13と車室側壁部9との間には車両の前後方向に延びる閉断面14(図3、図17参照)を形成している。
また上述の凹設部6の底面外部における前部および後端部には、図1に示すように車幅方向に延びるリヤクロスメンバ15,16を配設している。
【0032】
ところで、上述のフロアパネル4およびリヤフロアパネル5の上部には図1、図2に示すように、複数列のシート(合計3列のシート)つまり1列目シート17と2列目シート18と3列目シート19とが前後方向に離間して配設されている。
【0033】
これらの各シート17,18,19はバケット・シート(bucket seat)に設定されているが、2列目シート18についてはベンチ・シートを採用することができる。
【0034】
1列目シート17はシートクッション17Cと、シートバック17Bと、ヘッドレスト17Hとを備え、この実施例では右側の1列目シート17がドライバーズシートに、左側の1列目シート17がパッセンジャーズシートにそれぞれ設定されているが、ドライバーズシートとパッセンジャーズシートとは左右逆に配置してもよい。
【0035】
2列目シート18はシートクッション18Cと、シートバック18Bと、ヘッドレスト18Hとを備え、この2列目シート18はキックアップ部4a後方のフロアパネル4(詳しくはフロントフロアパネル)よりも一段高い部分に配設されている。
【0036】
左右一対の各3列目シート19,19はそれぞれシートクッション19Cと、シートバック19Bとを備え、上述の凹設部6の上部空間90(図21参照)においてリヤサイドフレーム11のキックアップ部12と対応した車室側壁部9における段部10の下端水平部10aに取付けられ、この下端水平部10aにそれぞれ片持ち支持されている。後列シートとしての3列目シート19を片持ち支持することにより、シートの構造の簡略化を図ることができる。なお、3列目シート19にヘッドレストを起伏可能または着脱可能に設けるように構成してもよい。
【0037】
ここで、上述の凹設部6は前列シート(1列目シート17参照)の取付け面よりも下方に凹設されたものであって、この凹設部6の内部には図1に示すように3列目シート19の乗員の足置きスペース20が形成されている。
【0038】
この実施例の車両は図4、図5、図6、図7に示すように5ドア構造に構成されている。
すなわち、左右一対のフロントドア21,21と、左右一対のリヤドア22,22と、車体後面(車体の後方面側)に設けられたリヤゲート23(上部リヤゲート)とを備えており、3列目シート19に対してはリヤゲート23および後述する下部リヤゲート26を開放することによっても乗降が可能となるように構成している。
【0039】
図1、図3、図7に示すように凹設部6の後方にはリヤエンドパネルを設けることなく、該凹設部6の後方がルーフ部24まで車室外方向に一体的に開放された開口部25を形成し、この車体の後部に形成された開口部25で車室内外を連通すべく構成している。
【0040】
そして、この開口部25を開閉可能に覆うリヤゲートを設けるが、図5〜図7の実施例においては、このリヤゲートは凹設部6を覆って上下方向に回動する下部リヤゲート26と、凹設部6の上方の開口部25a(図3参照)を覆って左右方向に開閉する単一の上部リヤゲート23とを備えている。
【0041】
下部リヤゲート26は車室側壁部9の外面下部に固定されたブラケット27の支点部28に開閉可能に枢支されると共に、図7に示すように該下部リヤゲート26の車幅方向両端部にはロック部材29,29を設けている。
【0042】
これらのロック部材29,29はリヤバンパ30の対応部に設けられたストライカ31により係合されるものである。
この下部リヤゲート26を後方かつ下方へ回動して、この下部リヤゲート26で凹設部6と路面とを掛け渡した時、開放状態の下部リヤゲート26上面がスロープ部材32に設定される。すなわち、スロープ部材32を兼ねる下部リヤゲート26が凹設部6の後端に設けられ、この下部リヤゲート26は車両側に折り畳み可能に設けられたものである。
【0043】
図1に示すように、この下部リヤゲート26で凹設部6を覆った状態下において、該下部リヤゲート26の前面には下部リヤゲート26の前面上部を支点として回動可能なランプ(ramp)部材33が設けられており、下部リヤゲート26で凹設部6と路面とを掛け渡した時、上述のランプ部材33を後方に反転回動させ、このランプ部材33の遊端を路面に接地して、路面と凹設部6との間に形成される傾斜角度を緩斜角に設定し、乗員の乗降、荷物の出し入れ等が容易になるように構成している。
【0044】
一方、上部リヤゲート23は図7に示すように、車体後面に上下一対のヒンジ部材34,34を介して開閉可能に枢支されており、この上部リヤゲート23の遊端側中間部にはロック部材35が設けられている。
【0045】
このロック部材35は開口部25の対応位置に設けられたボディ側のストライカ(図示せず)により係合されるものであって、上部リヤゲート23のアウタパネル45およびインナパネル46(図1、図9参照)にはロック部材35のロック状態を車外側および車内側から解除するためのドアアウタハンドル36(図6参照)およびドアインナハンドル37(図7参照)を設けている。
【0046】
要するに、図5〜図7のリヤゲートは、凹設部6の後端を覆う部分(下部リヤゲート26参照)と、その上方の開口部25a(図3参照)を覆う部分(上部リヤゲート23参照)とに上下に分割され、各リヤゲート23,26がそれぞれ独立して開閉可能に構成されたものであり、下部リヤゲート26のみの開閉と、上部リヤゲート23のみの開閉と、両リヤゲート23,26の開閉ができるように構成している。
【0047】
リヤゲートの構造は図5〜図7の構成に代えて、図8に示す構造を採用してもよい。
図8に示すリヤゲートは、凹設部6の後端を覆って上下方向に回動する下部リヤゲート26と、凹設部6の上方の開口部25a(図3参照)を覆う左右一対の観音開き構造の上部リヤゲート38,39とを備えたものである。
【0048】
要するに、図8のリヤゲートは、凹設部6の後端を覆う部分(下部リヤゲート26参照)と、その上方の開口部25a(図3参照)を覆う部分(上部リヤゲート38,39参照)とに上下に分割され、各リヤゲート26,38,39がそれぞれ独立して開閉可能に構成されたものであり、下部リヤゲート26のみの開閉と、左側の上部リヤゲート38のみの開閉と、右側の上部リヤゲート39のみの開閉と、何れか2つのリヤゲートのみの開閉と、全リヤゲート26,38,39の開閉ができるように構成している。
なお、図8において前図と同一の部分には同一符号を付して、その詳しい説明を省略するが、この場合には、上部リヤゲート38,39の遊端側上下両部にロック部材を設け、リヤヘッダ側および下部リヤゲート26側にそれぞれストライカを設けるとよい。
【0049】
ところで、上述の開口部25は図5、図7に示すように車体の後部に大きく開放形成されるので、同図に示すように、この開口部25の車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6まで上下方向に略真っ直ぐに延びるリヤピラー41(図4、図7においては図示の便宜上、リヤヘッダ部およびリヤピラー部にハッチングを施している)を設けている。
【0050】
上述のリヤピラー41は図5、図7に示すように開口部25と対応して車体の後方面側に配設されている。すなわち、左右の各リヤピラー41,41は、同図に示すように車体後面の左右コーナ部CL,CRよりも所定量車幅方向の内方位置において左右一対設けられている。
【0051】
図9は図7のA−A線に沿う要部の拡大断面図(但し、リヤゲート閉成時の断面図)であって、車体側面から車体後面にかけて一体的に車体外板を形成するキャブサイドアウタパネル42を設け、このキャブサイドアウタパネル42における上部リヤゲート23配設部を車両前方にL字状に屈曲形成して側面片42aと前面片42bとを一体形成している。
【0052】
そして、上述の側面片42aの反リヤゲート側(車幅方向外方側)にはボルト、ナット等による締結手段または溶接による固定手段にてレインフォースメント43を固定し、上部リヤゲート23側(車幅方向内方側)には前述のヒンジ部材34におけるボディ側ヒンジブラケット44を固定している。なお、これら三者43,42a,44は共締め固定してもよい。
【0053】
上述の上部リヤゲート23はアウタパネル45とインナパネル46とを有し、インナパネル46のヒンジ部材34取付け位置に対応して、該インナパネル46のリヤゲート内部にはボルト、ナット等による締結手段または溶接による固定手段にてレインフォースメント47を固定し、リヤゲート外側部にはゲート側ヒンジブラケット48を固定し、このゲート側ヒンジブラケット48とボディ側ヒンジブラケット44とをヒンジピン49にて開閉可能に連結している。ここで、上述の三者47,46,48は共締め固定してもよい。
【0054】
上述のキャブサイドアウタパネル42の内側において開口部25に沿って上下方向に延びるリヤピラーインナパネル50を設け、このリヤピラーインナパネル50の車外側にはリヤピラーインナレインフォースメント51を接合して、これら両者50,51間に上下方向に延びる閉断面52を形成している。つまり、上述のリヤピラーインナレインフォースメント51は閉断面52を形成するための補強部材である。
【0055】
上述のキャブサイドアウタパネル42の前面片42b、リヤピラーインナレインフォースメント51およびリヤピラーインナパネル50の三者には車両後方に指向して一体的に接合される接合フランジ部がそれぞれ一体形成され、これら三者24b,51,50の接合部にはシール部材としてのウエザストリップ53を嵌着して、ボディ側と上部リヤゲート23側とをシールすべく構成している。
【0056】
また上述のリヤピラーインナパネル50の車室側には内装部材としてのトリム部材54を配設している。
ここで、上述のリヤピラー41は、車両後部に設けられたリヤクオータウインド55(図7、図11参照)と対応する上域部においては図11に示すようにキャブサイドアウタパネル42とリヤピラーインナパネル50とで構成され、それよりも下部の下域部においては図9に示すようにリヤピラーインナパネル50とリヤピラーインナレインフォースメント51とで構成されている。
【0057】
リヤピラー41の下域部における閉断面52(図9参照)はその上域部における閉断面56(図11参照)と上下方向に連続する。
【0058】
図10、図12に示すように剛性部材としてのリヤサイドフレーム11のキックアップ部12は、リヤピラー41の下部に対応してリヤフロアパネル5に沿って車両の前後方向に延びる車体剛性部材であって、図10、図12に示すようにリヤピラー41の下部にはリヤサイドフレーム11のキックアップ部12後端を接続すると共に、このリヤサイドフレーム11の下方部において該リヤサイドフレーム11と平行または略平行に後方に延びるリヤサイドロアフレーム13(補強用のレインフォースメント)の後端をリヤピラー41の下端に接続している。
【0059】
図10は後部車体構造を車室内側から見た状態で示す斜視図、図11は図10のB−B線矢視断面図であって、リヤドア22(図4、図5参照)と対応する部分にはリヤドア開口部57が設けられ、後輪58(図1〜図7参照)と対応する部分にはホイールハウス59が設けられ、リヤクオータウインド55と対応する部分にはウインド開口部60が設けられている。
【0060】
また上述のリヤドア開口部57(いわゆるドア開口)とウインド開口部60との間には車体側面を上下方向に延びるクオータピラー61を設けている。
左右一対のクオータピラー61,61は図11に示すようにキャブサイドアウタパネル42と、クオータピラーインナパネル62とを接合して、車両の上下方向に延びる閉断面63を有する車体剛性部材であって、これら左右の各クオータピラー61,61の上端部相互間は、ルーフ24の下面を車幅方向に延びるルーフクロスメンバ64(図1、図4、図5、図7参照)に接続されている。
【0061】
図11に示すように、ウインド開口部60に対応して車両後部に設けられた上述のリヤクオータウインド55は、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込ませて配設されている。つまり、このリヤクオータウインド55は図11に示すように側面部55aと、アール状のコーナ部55bと、後面部55cとが一体形成されたものである。
【0062】
ところで、上述の後輪58,58は図2に示すようにトーションビーム形式のリヤサスペンション65で懸架され、かつ図3、図7に示すように左右のリヤピラー41,41の下方に対応させて該リヤサスペンション65のリヤダンパ66を配設している。
【0063】
そして、図4、図5、図7に示すようにホイールハウス59の上部において上述のクオータピラー61とリヤピラー41との間を車両の前後方向に接続するフレーム部材としてのサスペンション支持メンバ67を設けている。
【0064】
このサスペンション支持メンバ67は図4、図5、図7にハッチングを施して示すように、クオータピラー61から後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込み、この廻り込み部が上述のリヤピラー41に接続されたものである。
【0065】
また、上述のサスペンション支持メンバ67は図3の要部を拡大して図13に示すようにアッパメンバ68とロアメンバ69とを接合して、これら両メンバ68,69間に閉断面70が形成された構造部材(剛性部材)である。
【0066】
図3に示すようにサスペンション支持メンバ67の直下におけるホイールハウス59下面にはスペーサブラケット71が設けられ、リヤサスペンション65におけるリヤダンパ66の上部は該スペーサブラケット71に取付けられている。つまり、リヤピラー41とリヤダンパ66の上部とはサスペンション支持メンバ67で接続されていて、車体剛性の確保と、ダンパ支持剛性の確保との両立を図るように構成している。
【0067】
なお、図13に示す構造に代えて、図14に示すようにスペーサブラケット71を設けない構造つまり、スペーサブラケットレス構造を採用してもよく、この場合においても、リヤピラー41とリヤダンパ66上部とがサスペンション支持メンバ67で接続されており、車体剛性の確保と、サスペンション支持剛性、ダンパ支持剛性の確保を図ることができる。
【0068】
図12は凹設部6の側面図であって、この凹設部6を形成する車室側壁9の上部にはキックアップ部12が、下部にはリヤサイドロアフレーム13がそれぞれ取付けられており、上側のキックアップ部12後端はリヤピラー41の下部に接続され、下側のリヤサイドロアフレーム13後端はリヤピラー41の下端に接続されている。
【0069】
上述のキックアップ部12の後端にはリヤピラー41を介してクラッシュカン等のエネルギ吸収部材72を設け、このエネルギ吸収部材72の後端にバンパブラケット73を取付けている。
【0070】
同様に上述のリヤサイドロアフレーム13の後端にはリヤピラー41を介してクラッシュカン等のエネルギ吸収部材74を設け、このエネルギ吸収部材74の後端にバンパブラケット75を取付けている。
【0071】
そして上下の各バンパブラケット73,75には前述したリヤバンパ30を取付けて、後突荷重をリヤサイドフレーム11のキックアップ部12とリヤサイドロアフレーム13とに分散して伝達すべく構成している。
【0072】
図12に示す構成に代えて、図15の構成を採用してもよい。すなわち、図12の構成ではリヤピラー41を開口部25の車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6下端まで上下方向に延設したが、図15の構成ではリヤピラー41を上方の開口部25aの車幅方向口縁に沿ってリヤヘッダ40から凹設部6上端まで上下方向に延設したものである。
【0073】
この図15の構造の場合には、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12の後端と、リヤサイドロアフレーム13の後端との間にリヤブラケット46(いわゆる盲蓋)を取付け、このリヤブラケット76に上述のエネルギ吸収部材72,74を取付ける。
【0074】
図16は凹設部6の斜視図、図17は図16のC−C線矢視断面図であって、車外方向に凹設された段部10(図3、図10参照)の下端水平部10aの下面車外側に沿って車両の前後方向に延びるリヤサイドフレーム11のキックアップ部12と、下端水平部10aとの間には同方向に延びる閉断面77が形成されている。
【0075】
またキックアップ部12の外面とリヤサイドロアフレーム13の外面との間には補強部材78を取付けて、各要素9,12,13,78間にも閉断面79を形成し、車体剛性の向上と、後突に対する耐力の向上との両立を図るように構成している。
【0076】
なお、上述の凹設部6を図18に示すように段差形状が少ない略フラットな形状に構成し、この凹設部6を形成する車室側壁部9の上下に上述のキックアップ部12およびリヤサイドロアフレーム13を取付けてもよいことは勿論である。
【0077】
次に図19、図20を参照して3列目シート19の支持構造について説明する。但し、左右の3列目シート19の支持構造は左右ほぼ対称に構成されているので、ここでは右側の3列目シート19の支持構造について説明する。
【0078】
上述の3列目シート19は方形枠状のシートクッションフレーム80と、このシートクッションフレーム80にリクライニングナックル81を介して前倒可能に設けられた方形枠状のシートバックフレーム82と、シートクッションフレーム80の車内側片内方に接合された突片83,83に対して起伏可能に枢支された凹状のシートステー84とを備えている。ここで、上述の各フレーム80,82およびシートステー84は金属製パイプ部材にて構成されている。
【0079】
上述のシートクッションフレーム80の前後両片外面には可動側のブラケット85,85を接合固定する一方、前述の段部10における下端水平部10aには固定側のブラケット86,86をボルトアップしている。
【0080】
そして、前後一対の固定側のブラケット86,86における立上り片に支軸87,87を介して前後一対の可動側のブラケット85,85を枢支させている。つまり、シートクッションフレーム80を車室側壁部9の段部10における下端水平部10aに片持ち構造にて支持したものである。
【0081】
またシートステー84の下片下面には前後一対のストライカ88,88を突設固定し、このストライカ88,88を凹設部6側のロック部材89でロックすべく構成している。
【0082】
図19に示す使用状態の3列目シート19を図20に示すように格納する場合には、まずロック部材89,89によるストライカ88,88のロックを解除すると共に、シートステー84およびシートバックフレーム82をシートクッションフレーム80側へ折り畳む。
その後、支軸87を支点として各要素80,82,84を一体的に段部10側へ上方回動させると、3列目シート19は図20、図21に示すように格納される。
【0083】
逆に図20に示す格納状態の3列目シート19を図19に示すように使用状態と成す場合には、まず支軸87を支点として各要素80,82,84を一体的に段部10から凹設部6の上部空間90(図21参照)に引出す。
【0084】
次に、シートステー84を下方へ引き起こし、その下部のストライカ88,88を凹設部6側のロック部材89,89にてロックし、このシートステー84によるシート支持と、ロック部材89によるロック構造とで、シート支持剛性の向上を図る。
【0085】
次に、リクライニングナックル81を介してシートバックフレーム82を着座状態に引き起こすと、3列目シート19は図19、図3に示すように使用状態となり、この3列目シート19の使用状態時において、シートクッション19C、シートクッションフレーム80は図3、図19に示すように、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12とほぼ同等の高さ位置となる。
【0086】
換言すれば、リヤサイドフレーム11のキックアップ部12は3列目シート19の使用時におけるシートクッション19C、シートクッションフレーム80の高さ位置とほぼ同等の高さ位置において車両の前後方向に延設された車体剛性部材である。
【0087】
要するに、後列シートとしての3列目シート19は凹設部6の上方に配設されたものであって、左右一対の3列目シート19は図3、図19に示すように凹設部6の上部空間90に引出される使用状態と、図20、図21に示すように車室側壁部9の段部10に格納される格納状態とを、左側のシート19と右側のシート19とがそれぞれ独立して択一的に選択できるように構成したものであり、左右両方の3列目シート19,19を共に使用状態に設定すると、左右のシートクッション19C,19Cが車幅方向に連続して、連続したクッション面が形成され、また左右両方の3列目シート19,19を共に格納状態に設定すると、格納状態のシートクッション19Cと車室側壁部9とがほぼフラットになり、シートクッション19Cが上部空間90側へ出っ張らないので、凹設部6および上部空間90上に広い荷室を形成することができる。
【0088】
なお、図中、91はステアリングホイール、92は前輪、93はリヤウインドガラス(バックウインドガラスと同意)、図7の94はトーションビーム形式のリヤサスペンション65(図2参照)とボディー側の間に設けられたコイルスプリングである。また図中、矢印Fは車両前方を示し、矢印Rは車両後方を示し、矢印INは車両内方を示し、矢印OUTは車両外方を示すものである。
【0089】
このように、上記実施例の車両の下部車体構造は、車体の後部に車室内外を連通する開口部25を備えた車両において、上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に真っ直ぐに延びる一対のリヤピラー41,41を設け、上記リヤピラー41を車体の後方面側に配設すると共に、上記リヤピラー41の下方に対応させてリヤサスペンション65のリヤダンパ66を配設し、上記リヤピラー41とリヤダンパ66の上部とをフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)で接続したものである。
【0090】
この構成によれば、車体の後方面側において上記開口部25の車幅方向口縁を上下方向に延びる構造部材としてのリヤピラー41を設けたので、大きな後部開口の形成と、車体剛性の確保との両立を図り、車体剛性が確保されることで操縦安定性の向上を図ることができるうえ、上記リヤピラー41が車体の後方面側に位置するので(詳しくは車体後面の左右コーナ部CL,CRよりも所定量車幅方向の内方に位置するので)、後突に対しても有利となる。
【0091】
しかも、リヤサスペンション65のリヤダンパ66上部と上述のリヤピラー41とをフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)にて接続したので、所望の車高を確保しつつ、サスペンション支持剛性の向上を図ることができる。
【0092】
また、上記フレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)は車体側面を上下方向に延びるクオータピラー61と、上記リヤピラー41との間を車両の前後方向に接続するように設けられたものである。
【0093】
この構成によれば、上述のフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)で閉断面構造部材としてのクオータピラー61と、閉断面構造部材としてのリヤピラー41とを車両の前後方向に接続したので、車体剛性のさらなる向上と、ダンパ支持剛性の向上とを両立することができる。
【0094】
さらに、上記フレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)はクオータピラー61から後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラー41に向って車体後面まで廻り込み、廻り込み部がリヤピラー41に接続されたものである。
この構成によれば、廻り込み形状のフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)でクオータピラー61とリヤピラー41との間を確実に接続することができる。
【0095】
しかも、上記リヤピラー41の下方に対応してフロアパネル4に沿って車両の前後方向に延びる剛性部材としてのリヤサイドフレーム11の後部が配設されたものである。
【0096】
この構成によれば、少なくともリヤピラー41と、フレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)と、リヤサイドフレーム11との各構造部材を備えているので、全体的な車体剛性がさらに向上する。
【0097】
また、上記リヤピラー41の下部と上記リヤサイドフレーム11の後端とが接続されたものである。
この構成によれば、リヤピラー41とリヤダンパ66上部とを接続するフレーム部材(サスペンション支持メンバ67参照)にて所望の車高確保、サスペンション支持剛性向上を図りつつ、リヤピラー41とリヤサイドフレーム11との両者の接続構造により骨格として強いフレームを形成することができるので、全体的な車体剛性をより一層向上させることができる。
【0098】
さらに、上記フロアパネル4上には複数列のシート17,18,19が配設され、前列シート17の後方のリヤフロアパネル4を下方に凹設して凹設部6が形成され、上記凹設部6の後端が車室外方向に開放されると共に、上記凹設部6を形成する車室側壁部9には車両の前後方向に延びる一対のリヤサイドフレーム11が設けられ、上記リヤサイドフレーム11と対応する車室側壁部9に後列シート(3列目シート19参照)を取付け支持したものである。
【0099】
この構成によれば、リヤピラー41およびリヤサイドフレーム11が配設された剛性の高い部部に後列シート(3列目シート19参照)が取付けられるので、この後列シートの支持剛性が向上すると共に、上記凹設部6の形成により上下寸法を確保することができるので、車両の前後長さが短く、コンパクトな車両であっても複数列シート(特に3列のシート17,18,19)を配設することができ、かつ後列シート(3列目シート19参照)の乗員の乗り心地を確保することができる。
【0100】
加えて、上記リヤサイドフレーム11はフロアパネル4に沿って車両の前後方向に延びると共に、凹設部6より後方で上方にキックアップしたキックアップ部12を備え、上記キックアップ部12に後列シート(3列目シート19参照)が取付け支持されたものである。
この構成によれば、キックアップ部12は剛性が高いので、後列シート(3列目シート19参照)の支持剛性がさらに向上し、かつ側突に対しても有利となる。
【0101】
また、上記後列シート(3列目シート19参照)は凹設部6の上部空間90(図21参照)に引出される使用状態(図3参照)と、車室側壁部9に格納される格納状態(図21参照)とを択一的に選択すべく構成したものである。
【0102】
この構成によれば、後列シート(3列目シート19参照)をキックアップ部12に支持して、その支持剛性向上を図りつつも、該後列シートを凹設部6の上部空間90に引出した時には、後列シート(3列目シート19参照)を座席として使用することができ、この後列シート(3列目シート19参照)を車室側壁部9に格納した時には、凹設部6および上部空間90を荷室として使用することができる。この結果、ニーズに応じて座席と荷室との使い分けができる。
【0103】
さらに、上記車室側壁部9には後列シート(3列目シート19参照)を格納するため車外方向に凹設された段部10(図3、図10参照)が形成され、該段部10の下方に上記キックアップ部12が近接して車両の前後方向に配設されたものである。
【0104】
この構成によれば、後列シート(3列目シート19参照)は車外方向に凹設された段部10に格納されるので、この後列シート(3列目シート19参照)の格納時には後列シート(3列目シート19参照)が上部空間90側に出っ張ることがない。この結果、シートの格納状態時においては凹設部6およびその上部空間90に広い荷室が形成され、この広い荷室を有効利用することができる。
また上述の段部10の下方には剛性が高い構造部材としてのリヤサイドフレーム11のキックアップ部12が近接配設されているので、後列シート(3列目シート19参照)の支持剛性のさらなる向上を図ることができる。
【0105】
しかも、上記リヤサイドフレーム11のキックアップ部12は後列シート(3列目シート19参照)の使用時においてそのシートクッション19C高さ位置にて車両の前後方向に延設されたものである。
【0106】
この構成によれば、後端がリヤピラー41下部に配設または接続されてなるリヤサイドフレーム11のキックアップ部12を、使用状態下における後列シート(3列目シート19参照)のシートクッション19Cの高さ位置に延設したので、側突に対してより一層有利となり、側突時の安全性確保を図ることができる。
【0107】
この発明の構成と、上述の実施例との対応において、
この発明のリヤサスペンションは、実施例のトーションビーム形式のリヤサスペンション65に対応し、
以下同様に、
フレーム部材は、サスペンション支持メンバ67に対応し、
リヤフレームは、リヤサイドフレーム11に対応し、
シートの複数列構造は、3列構造に対応し、
後列シートは3列目シート19に対応するも、
この発明は、上述の実施例の構成のみに限定されるものではない。
【0108】
【発明の効果】
この発明は、車体後部の開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設けて、このリヤピラーを車体の後方面側に配設し、リヤピラーとリヤダンパの上部とをフレーム部材で接続したので、大きな後部開口の形成と、車体剛性確保との両立を図ることができ、かつ所望の車高の確保とサスペンション支持剛性の確保とが両立でき、また車体剛性の確保により操縦安定性が向上し、さらにリヤピラーが車体の後方面側に位置することで、後突に対しても有利となる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の下部車体構造を備えた車両の側面図。
【図2】複数列シートの配設構造を示す平面図。
【図3】車両の背面図。
【図4】前方から見た状態で示す車両の斜視図。
【図5】後方から見た状態で示す車両の斜視図。
【図6】リヤゲート構造を示す斜視図。
【図7】下部車体構造を示す斜視図。
【図8】リヤゲート構造の他の実施例を示す斜視図。
【図9】図7のA−A線矢視断面図。
【図10】車体構造を車室内側から見た状態で示す斜視図。
【図11】図10のB−B線矢視断面図。
【図12】下部車体構造を示す要部の側面図。
【図13】図3の要部拡大図。
【図14】ダンパ支持構造の他の実施例を示す断面図。
【図15】下部車体構造の他の実施例を示す側面図。
【図16】図12の要部斜視図。
【図17】図16のC−C線矢視断面図。
【図18】凹設部の他の実施例を示す斜視図。
【図19】後列シートの支持構造を示す斜視図。
【図20】後列シートの格納状態を示す斜視図。
【図21】シート格納時の車両の背面図。
【符号の説明】
4…フロアパネル
5…リヤフロアパネル
6…凹設部
9…車室側壁部
10…段部
11…リヤサイドフレーム(リヤフレーム)
12…キックアップ部
17,18…シート
19…3列目シート(後列シート)
19C…シートクッション
25…開口部
41…リヤピラー
61…クオータピラー
65…リヤサスペンション
66…リヤダンパ
67…サスペンション支持メンバ(フレーム部材)
90…上部空間
Claims (10)
- 車体の後部に車室内外を連通する開口部を備えた車両において、
上記開口部の車幅方向口縁を上下方向に延びるリヤピラーを設け、
上記リヤピラーを車体の後方面側に配設すると共に、
上記リヤピラーの下方に対応させてリヤサスペンションのリヤダンパを配設し、
上記リヤピラーとリヤダンパの上部とをフレーム部材で接続した
車両の下部車体構造。 - 上記フレーム部材は車体側面を上下方向に延びるクオータピラーと、上記リヤピラーとの間を車両の前後方向に接続するように設けられた
請求項1記載の車両の下部車体構造。 - 上記フレーム部材はクオータピラーから後方に向けて延設され、車体側面からリヤピラーに向って車体後面まで廻り込み、廻り込み部がリヤピラーに接続された
請求項2記載の車両の下部車体構造。 - 上記リヤピラーの下方に対応してフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びるリヤフレームの後部が配設された
請求項1〜3の何れか1に記載の車両の下部車体構造。 - 上記リヤピラーの下部と上記リヤフレームの後端とが接続された
請求項4記載の車両の下部車体構造。 - 上記フロアパネル上には複数列のシートが配設され、
前列シートの後方のリヤフロアパネルを下方に凹設して凹設部が形成され、
上記凹設部の後端が車室外方向に開放されると共に、
上記凹設部を形成する車室側壁部には車両の前後方向に延びる一対のリヤフレームが設けられ、
上記リヤフレームと対応する車室側壁部に後列シートを取付け支持した
請求項1〜5の何れか1に記載の車両の下部車体構造。 - 上記リヤフレームはフロアパネルに沿って車両の前後方向に延びると共に、凹設部より後方で上方にキックアップしたキックアップ部を備え、
上記キックアップ部に後列シートが取付け支持された
請求項6記載の車両の下部車体構造。 - 上記後列シートは凹設部の上部空間に引出される使用状態と、車室側壁部に格納される格納状態とを択一的に選択すべく構成した
請求項7記載の車両の下部車体構造。 - 上記車室側壁部には後列シートを格納するため車外方向に凹設された段部が形成され、該段部の下方に上記キックアップ部が近接して車両の前後方向に配設された
請求項8記載の車両の下部車体構造。 - 上記リヤフレームのキックアップ部は後列シートの使用時においてシートクッション高さ位置にて車両の前後方向に延設された
請求項9記載の車両の下部車体構造。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2003119544A JP2004322804A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 車両の下部車体構造 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2003119544A JP2004322804A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 車両の下部車体構造 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2004322804A true JP2004322804A (ja) | 2004-11-18 |
Family
ID=33498740
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2003119544A Abandoned JP2004322804A (ja) | 2003-04-24 | 2003-04-24 | 車両の下部車体構造 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2004322804A (ja) |
-
2003
- 2003-04-24 JP JP2003119544A patent/JP2004322804A/ja not_active Abandoned
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